JP7226589B2 - 短絡検知装置及び短絡検知方法 - Google Patents
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Description
また別の短絡検知装置は、180deg回転角度の異なる2つの磁極で取得した界磁磁束量同士を比較することで、短絡の発生を検知するように構成されていた(例えば、特許文献2参照)。
図1は、本実施の形態に係る短絡検知装置100a及び短絡検知装置100aが適用される回転電機200の構成図である。本実施の形態では、例として、回転電機200にはタービン発電機を用いる。
図1に示すように、回転電機200は、回転自在に設けられた回転子1及び回転子1の外側に設けられた固定子2を備えている。回転子1の外周部と、固定子2の内周部とは、空隙3を介して対向している。回転子1の回転子鉄心4には、複数の回転子スロット5が形成されている。複数の回転子スロット5には、直列接続された界磁巻線が巻かれている。
図1に示す回転電機200は、32個の回転子スロット5と、84個の固定子スロット8とを有する2極の発電機である。図1の時計周り方向の矢印Aは、回転子1の回転方向を表している。
信号取得部101は、磁束検知器10で取得した検知信号の電圧波形を取得する。
信号処理部102aは、信号取得部101から取得した検知信号を第1の検知信号として、第1の検知信号に対応する復号信号を生成して出力する。信号処理部102aは、周波数分析部11、フィルタ処理部12a、模擬信号生成部13及び信号復号部14を有している。各部の詳細な処理については後述する。
信号比較部103は、信号取得部101から信号比較部103に送られる検知信号を第2の検知信号とした第2の検知信号の電圧波形と、信号処理部102aで復号される第1の検知信号の復号信号の電圧波形との差分の波形を算出し、算出した差分の波形から、界磁巻線の短絡を検知する。各部の詳細な処理については後述する。
また、矢印Bは、短絡情報を除いた信号の経路を示しており、矢印Cは、短絡情報を含む検知信号の経路を示している。
図2に示すように、短絡検知装置100aは、ハードウェア構成として、プロセッサ300及び記憶装置400を備える。
記憶装置400は、例えば、短絡検知装置100aの機能に対応する処理を記述したプログラムが記憶されたメモリによって構成される。プロセッサ300は、記憶装置400に記憶されたプログラムを実行することにより、短絡検知装置100aの機能を実現する。プロセッサ300は、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、FPGAなどのハードウェア回路に論理構成されたプロセッサによって構成される。なお、複数のプロセッサ300及び複数の記憶装置400が連携して短絡検知装置100aの機能を実現してもよい。
図3(A)は、本実施の形態に係る信号処理部102aによって健全時を模擬した場合を示し、図3(B)は、本実施の形態に係る信号取得部101によって検知された回転電機200の三相短絡時の場合を示している。
図3(A1)は、本実施の形態に係る信号処理部102aによって健全時を模擬した場合の磁束密度の波形であり、図3(A2)は、健全時を模擬した場合の電圧波形である。健全時を模擬する処理については、後述する。
図3(B1)は、本実施の形態に係る信号取得部101によって検知された短絡時の磁束密度の波形であり、図3(B2)は、短絡時に検知される磁束検知器10の電圧波形である。また、図3(B3)は、短絡時の電圧波形と健全時を模擬した場合の電圧波形の差電圧の波形である。図3(B3)を求める処理については、後述する。
図3で示される各グラフ図では、横軸は回転子1の回転角度を示している。
また、図1で示される回転電機200の回転子1の位置関係を、回転角度0degとする。
回転角度90degは、短絡が発生した短絡磁極の中心角度であり、回転角度270degは、短絡が発生していない健全磁極の中心角度である。各磁極中心を対称として、各磁極6において16個ずつの回転子スロット5の漏れ磁束に対応した電圧変動が見られる。2つで一対の回転子スロット5に跨って巻回される界磁巻線では、漏れ磁束の方向が磁極中心に対して対称関係にあるため、図3(B2)の電圧波形は、磁極中心に対して回転対称形となっている。図3(B2)では、短絡磁極中心付近に短絡の発生した界磁巻線が巻回された一対の回転子スロット5である短絡スロットの位置を、矢印Sで示している。
短絡スロットでは、短絡の発生していない周囲の短絡磁極側の回転子スロット5及び180deg位相の異なる健全磁極側の回転子スロット5と比べて、短絡によって生じた界磁磁束量の減少に応じた電圧減少が見られる。この短絡情報を含んだサーチコイル電圧波形を用いて、以下では本実施の形態に係る短絡検知方法を説明する。
なお、ここでいう次数n(n=1,2,…)とは、回転子1の1回転分でn回変動する成分である。例えば、1次は、回転子1の1回転分で1回変動する成分の次数である。
図4のフローチャート図のステップに沿って、図5を用いながら説明する。
図4のステップS10では、信号取得部101が、磁束検知器10の検知信号を取得する。この際、1つの検知信号を取得し、第1の検知信号及び第2の検知信号とする。第1の検知信号は、信号処理部102aが有する周波数分析部11に送る。第2の検知信号は、信号比較部103に送る。ステップS10で取得し送られる検知信号は、短絡情報を含んでいる。
また、図5(B)は、図3(B2)の電圧波形を周波数分析した結果である。
図5(B)より、49.5degピッチの回転子スロット5の次数を奇数次成分の主成分とすることが分かる。また、図5(A)と比べ、図5(B)は、偶数次成分が大きく増加していることが分かる。
フィルタ処理では、偶数次成分の絶対値を奇数次成分の絶対値に対して十分小さくするとしたが、健全時の状態に近くなればよく、例えば0にしてもよい。また、回転子スロット5の次数である奇数次成分の最大値よりも小さな偶数次成分の絶対値を奇数次成分の絶対値よりも十分に小さくしてもよい。偶数次成分を小さくすることで、健全時を模擬することができる。
図4のステップS14では、信号復号部14が、ステップS13で生成された模擬電圧信号から、例えば、逆フーリエ変換を使って復号処理を行う。図5(C)で示す模擬健全時周波数分析結果の絶対値と、図5(B)で示す短絡時の周波数分析結果の位相から、図4(A2)で示す模擬健全時の電圧波形に復号処理を行う。一連の復号処理では、電圧波形の位相は互いにずれのないものとなっている。これは、図3(A2)を積分して得られる図3(A1)の磁束密度の波形が、図3(B1)の磁束密度の波形と同じ位相を示していることからも明らかである。
模擬した結果を、信号復号部14は、信号比較部103の差電圧演算部15に送る。
差電圧の大きさは、フィルタ処理部12aで処理した偶数次成分に由来するものである。
図6(A)は、角度誤差が無い場合における差電圧波形を求めたグラフ図である。
図6(B)は、角度誤差が0.1degである場合における差電圧波形を求めたグラフ図である。
図6(C)は、角度誤差が0.2degである場合におけるグラフ図である。
図6(D)は、図6(A)~(C)より、角度誤差と差電圧の誤差との関係を表すグラフ図である。
図6(B)では、発生している差電圧の誤差Z2が、およそ5.0Vを超える。したがって、短絡検知を誤検知する可能性が高いと考えられる。
図6(C)では、差電圧の誤差Z3が、およそ100Vとなる。したがって、短絡検知を誤検知する可能性がさらに高いと考えられる。
図6(D)より、角度誤差が発生すると、およそ比例して差電圧の誤差が大きくなるといえる。図6(A)~(D)から、差電圧の誤差を0.5V以下とするには、角度誤差を0.01deg以下にしなければならないと考えられる。
一方、本実施の形態では、取得した電圧信号と復号した電圧信号との位相は保たれているため、角度誤差が生じない。
したがって、本実施の形態では、位相のずれを小さくするように位置精度を保つ必要がなく、短絡を検知することができる。
位相のずれを小さくするために、測定するサンプリング時間を短くする必要がないため、データ量が削減でき、記憶装置及び通信装置を小型化することができる。データ容量の削減に伴い、長期間の監視が可能となる。
実施の形態1に係る短絡検知装置と、実施の形態2に係る短絡検知装置との相違点は、復号する電圧信号の違いである。
実施の形態1では、健全時を模擬して復号した電圧信号の電圧値と、測定した電圧値を比較して短絡を検知する。一方、実施の形態2では、測定した電圧値と位相が一致するように復号した電圧信号の電圧値と、測定した電圧値と比較して短絡を検知する。
なお、以下では、実施の形態1と実施の形態2との相違点のみ説明し、同一又は、対応する部分についての説明は省略する。符号についても、実施の形態1と同一又は相当部分は同一符号とし、説明を省略する。
磁束検知器10には、短絡検知装置100bが接続されている。短絡検知装置100bは、信号取得部101、信号処理部102b及び信号比較部103を備える。
実施の形態1と同様に、信号取得部101は、磁束検知器10から、第1の検知信号を取得する。本実施の形態では、さらに、第1の検知信号とは異なる磁極の第2の検知信号を取得する。
信号処理部102bは、信号取得部101から取得する第1の検知信号に対応する復号信号を生成して出力する。信号処理部102bは、周波数分析部11、フィルタ処理部12b、電圧信号生成部23及び信号復号部14を有している。各部の詳細な処理については後述する。
矢印Dは、短絡箇所の情報を含んだ短絡情報の経路を示している。
図8のフローチャート図のステップに沿って説明する。
図8のステップS20では、実施の形態1の図4のステップS10と同様に、信号取得部101が、磁束検知器10から検知信号を取得する。この際、異なる磁極の検知信号を取得し、第1の検知信号及び第2の検知信号とする。第1の検知信号は、信号処理部102bが有する周波数分析部11に送る。また、第2の検知信号は、信号比較部103に送る。さらに、第2の検知信号の位相情報を信号処理部102bが有するフィルタ処理部12bに送る。
図8のステップS23では、電圧信号生成部23が、ステップS22で求めたフィルタ処理の結果から電圧信号を生成する。
図8のステップS24では、信号復号部14が、ステップS23で生成された電圧信号から、例えば逆フーリエ変換を使って復号処理を行う。復号時、第2の検知信号のサンプリング数に合わせて復号処理を行う。信号復号部14は、復号した結果を信号比較部103の差電圧演算部15に送る。
また、時間精度及び空間精度が細かいように容量の大きな信号データを取得する必要がない。
200 回転電機
1 回転子
2 固定子
3 空隙
4 回転子鉄心
5 回転子スロット
6 磁極
7 固定子鉄心
8 固定子スロット
9 多相巻線
10 磁束検知器
11 周波数分析部
12a、12b フィルタ処理部
13 模擬信号生成部
14 信号復号部
15 差電圧演算部
16 短絡検知部
23 電圧信号生成部
101 信号取得部
102a、102b 信号処理部
103 信号比較部
Claims (8)
- 回転電機の回転子と固定子との間の空隙に発生する磁束を検知する磁束検知器から前記磁束に応じた1つの検知信号を取得し、第1の検知信号及び第2の検知信号とする信号取得部と、
前記第1の検知信号を周波数分析し、健全時の電圧状態を模擬した電圧信号を生成して復号する信号処理部と、
前記信号処理部で復号される復号信号と、前記信号取得部から送られた前記第2の検知信号とを比較することにより、前記回転電機の界磁巻線の短絡を検知する信号比較部と、
を備えた短絡検知装置。 - 前記信号処理部は、前記第1の検知信号を周波数分析した結果の偶数次成分の絶対値の少なくとも一つを奇数次成分の絶対値よりも小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載の短絡検知装置。 - 前記偶数次成分のうち、前記回転子のスロットの次数である前記奇数次成分の最大値よりも小さな前記偶数次成分の前記絶対値を前記奇数次成分よりも小さくする
ことを特徴とする請求項2に記載の短絡検知装置。 - 前記偶数次成分の前記絶対値を0とする
ことを特徴とする請求項2に記載の短絡検知装置。 - 回転電機の回転子と固定子との間の空隙に発生する磁束を検知する磁束検知器から前記磁束に応じた異なる磁極の検知信号を第1の検知信号及び第2の検知信号として取得する信号取得部と、
前記第1の検知信号を周波数分析し、前記第2の検知信号の位相と一致する電圧信号を生成して復号する信号処理部と、
前記信号処理部で復号される復号信号と、前記第2の検知信号とを比較することにより、前記回転電機の界磁巻線の短絡を検知する信号比較部と、
を備えた短絡検知装置。 - 前記信号取得部は、あらかじめ信号記録装置で記録されている電圧信号を前記第1の検知信号とする
ことを特徴とする請求項5に記載の短絡検知装置。 - 回転電機の回転子と固定子との間の空隙に発生する磁束を検知する磁束検知器から前記磁束に応じた1つの検知信号を取得し、第1の検知信号及び第2の検知信号とするステップと、
前記第1の検知信号を周波数分析し、健全時の電圧状態を模擬した電圧信号を生成して復号するステップと、
前記復号された復号信号と、前記第2の検知信号とを比較することにより、前記回転電機の界磁巻線の短絡を検知するステップと、
を備えた短絡検知方法。 - 回転電機の回転子と固定子との間の空隙に発生する磁束を検知する磁束検知器から前記磁束に応じた異なる磁極の検知信号を第1の検知信号及び第2の検知信号として取得するステップと、
前記第1の検知信号を周波数分析し、前記第2の検知信号の位相と一致する電圧信号を生成して復号するステップと、
前記復号された復号信号と、前記第2の検知信号とを比較することにより、前記回転電機の界磁巻線の短絡を検知するステップと、
を備えた短絡検知方法。
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