JP6837619B1 - 回転電機の短絡検知装置及び短絡検知方法 - Google Patents

回転電機の短絡検知装置及び短絡検知方法 Download PDF

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Abstract

回転電機の短絡検知装置は、信号取得部、信号分解部、特定周波数成分低減部、信号変換部、短絡検知部、及び推定精度判定部を備えている。信号分解部は、信号取得部によって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解する。特定周波数成分低減部は、スロット高調波の基本次数よりも低い次数を閾値として、複数の周波数成分のうち、奇数次の周波数成分と、閾値よりも高い偶数次の周波数成分とを低減させる。信号変換部は、特定周波数成分低減部から出力された複数の周波数成分を電圧信号に変換する。短絡検知部は、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成し、差分波形の形状に基づいて、界磁巻線の短絡を検知するとともに、界磁巻線の短絡位置を推定する。推定精度判定部は、差分波形のピーク角度を中心とした最大波の波形の対称度合いに基づいて、界磁巻線の短絡位置の推定精度を判定する。

Description

本開示は、回転電機の短絡検知装置及び短絡検知方法に関する。
従来の回転電機では、回転子の界磁巻線の短絡による界磁磁束の変化が、さぐりコイルによって検知される。さぐりコイルは、回転子と固定子との間のギャップにおいて、固定子に固定されている。界磁巻線に短絡が発生していない場合、奇数次の周波数成分の磁束のみが、さぐりコイルによって検知される。これに対し、界磁巻線に短絡が発生している場合、奇数次の周波数成分の磁束に加えて偶数次の周波数成分の磁束が、さぐりコイルによって検知される(例えば、特許文献1参照)。
特開昭53−84101号公報
しかし、従来の回転電機では、回転子のどの位置において界磁巻線が短絡したかを推定することが難しいという問題があった。
本開示は、上記のような課題を解決するために為されたものであり、界磁巻線の短絡が、界磁の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定することができる回転電機の短絡検知装置及び短絡検知方法を提供することを目的とする。
本開示に係る回転電機の短絡検知装置は、界磁の複数のスロットに設けられている界磁巻線に対向している磁気検出器からの電圧信号を取得する信号取得部、信号取得部によって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解する信号分解部、複数のスロットのピッチに相関を有する高調波であるスロット高調波の基本次数よりも低い次数を閾値として、複数の周波数成分のうち、奇数次の周波数成分と、閾値よりも高い偶数次の周波数成分とを低減させる特定周波数成分低減部、特定周波数成分低減部から出力された複数の周波数成分を電圧信号に変換する信号変換部、信号変換部により変換された電圧信号を、界磁の複数の磁極にそれぞれ対応する界磁の周方向角度ごとに分割し、複数の磁極のうち、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成し、差分波形の形状に基づいて、界磁巻線の短絡を検知するとともに、界磁巻線の短絡が、界磁の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定する短絡検知部、及び短絡が発生している位置の推定精度を判定する推定精度判定部を備え、差分波形においてピーク電圧の絶対値の最大値を含む一波を最大波とし、最大値に対応する界磁の周方向角度をピーク角度としたとき、推定精度判定部は、ピーク角度を中心とした最大波の波形の対称度合いに基づいて、短絡が発生している位置の推定精度を判定する。
本開示に係る回転電機の短絡検知方法は、界磁の複数のスロットに設けられている界磁巻線に対向している磁気検出器からの電圧信号を取得する信号取得ステップ、信号取得ステップによって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解する信号分解ステップ、複数のスロットのピッチに相関を有する高調波であるスロット高調波の基本次数よりも低い次数を閾値として、複数の周波数成分のうち、奇数次の周波数成分と、閾値よりも高い偶数次の周波数成分とを低減させる特定周波数成分低減ステップ、特定周波数成分低減ステップにより処理された複数の周波数成分を電圧信号に変換する信号変換ステップ、信号変換ステップにより変換された電圧信号を、界磁の複数の磁極にそれぞれ対応する界磁の周方向角度ごとに分割し、複数の磁極のうち、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成し、差分波形の形状に基づいて、界磁巻線の短絡を検知するとともに、界磁巻線の短絡が、界磁の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定する短絡検知ステップ、及び短絡が発生している位置の推定精度を判定する推定精度判定ステップを備え、差分波形においてピーク電圧の絶対値の最大値を含む一波を最大波とし、最大値に対応する界磁の周方向角度をピーク角度としたとき、推定精度判定ステップは、ピーク角度を中心とした最大波の波形の対称度合いに基づいて、短絡が発生している位置の推定精度を判定する。
本開示に係る回転電機の短絡検知装置及び短絡検知方法によれば、界磁巻線の短絡が、界磁の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定することができる。
実施の形態1に係る回転電機及び短絡検知装置を示す構成図である。 図1の信号取得部によって取得される電圧信号の一例を示す波形図である。 図1の信号分解部によって周波数分析された電圧信号の振幅成分の周波数スペクトルを示すスペクトル図である。 図1の特定周波数成分低減部によって図3のスペクトルから特定の周波数成分を低減させた後の振幅成分の周波数スペクトルを示すスペクトル図である。 図1の信号変換部によって変換された電圧信号を示す図である。 図5に示した電圧信号を図1の短絡検知部に入力して得られる差分波形を示す図である。 図6に示した差分波形が得られたときのタービン発電機の運転条件とは異なる運転条件において得られる差分波形の一例を示す図である。 図2に示した電圧信号を図1の短絡検知部に直接入力したと仮定した場合に得られる差分波形を示す図である。 図1の短絡検知装置が実行する短絡検知ルーチンを示すフローチャートである。 図1の推定精度判定部による他の判定方法を示す図である。 実施の形態1及び2の回転電機の短絡検知装置の各機能を実現する処理回路の第1の例を示す構成図である。 実施の形態1及び2の回転電機の短絡検知装置の各機能を実現する処理回路の第2の例を示す構成図である。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る回転電機及び短絡検知装置を示す構成図である。実施の形態1では、回転電機としてタービン発電機10が採用されている。図1において、タービン発電機10については、タービン発電機10の軸方向に垂直な断面が示されている。
図1に示したように、タービン発電機10は、電機子としての固定子20及び界磁としての回転子30を備えている。固定子20は、円筒状の固定子コア21と、多相巻線22とを有している。固定子20は、回転子30の外側に設けられている。
固定子コア21の軸方向は、固定子コア21の軸心に沿う方向であり、図1の紙面に垂直な方向である。固定子コア21の径方向は、固定子コア21の軸心を中心とする円の半径方向である。固定子コア21の周方向は、固定子コア21の軸心を中心とする円弧に沿う方向である。
固定子コア21の内周部には、複数の固定子スロット23が形成されている。各固定子スロット23は、固定子コア21の径方向に沿って形成されている。また、複数の固定子スロット23は、固定子コア21の周方向に等ピッチで配置されている。実施の形態1では、固定子スロット23の総数は84である。複数の固定子スロット23には、多相巻線22が巻かれている。
回転子30は、回転子コア31、界磁巻線32、及び図示しない回転軸を有している。回転子コア31及び回転軸は、固定子コア21と同軸に配置されている。回転子30は、回転軸を中心に回転可能である。
回転子コア31の軸方向は、回転子コア31の軸心Oに沿う方向であり、図1の紙面に垂直な方向である。回転子コア31の径方向は、回転子コア31の軸心Oを中心とする円の半径方向である。回転子コア31の周方向は、回転子コア31の軸心Oを中心とする円弧に沿う方向である。
回転子コア31の外周部には、複数の回転子スロット33が形成されている。各回転子スロット33は、回転子コア31の径方向に沿って形成されている。
実施の形態1では、複数の回転子スロット33は、第1スロット群34と第2スロット群35とに分かれている。第1スロット群34及び第2スロット群35には、それぞれ16の回転子スロット33が含まれている。即ち、回転子スロット33の総数は、32である。
第1スロット群34及び第2スロット群35において、複数の回転子スロット33は、回転子コア31の周方向に等ピッチで配置されている。回転子スロット33のピッチは、回転子コア31の周方向に隣り合う2つの回転子スロット33の幅方向中心間の距離である。実施の形態1における回転子スロット33のピッチは、回転子コア31の周方向角度によって表すと7.42°である。以下、各回転子スロット33のピッチは、「回転子スロットピッチ」と呼ばれる。
第1スロット群34と第2スロット群35との間には、第1磁極36及び第2磁極37が形成されている。図1において、回転子コア31の軸心Oと、回転子30の周方向における第1磁極36の中心と、第2磁極37の中心とを通る一点鎖線は、以下、磁極中心線C1と呼ばれる。第1スロット群34と第2スロット群35とは、磁極中心線C1を中心として対称に配置されている。
また、回転子コア31の軸心Oと、回転子コア31の周方向における第1スロット群34の中心と、第2スロット群35の中心とを通る一点鎖線は、以下、極間中心線C2と呼ばれる。
複数の回転子スロット33のそれぞれは、磁極中心線C1に近い方から順に第1スロット、第2スロット、…、第8スロットと呼ばれる。言い換えると、複数の回転子スロット33のそれぞれは、極間中心線C2に遠い方から順に第1スロット、第2スロット、…、第8スロットと呼ばれる。
複数の回転子スロット33には、磁極中心線C1を挟んで、第1スロット群34と第2スロット群35とを往復するように界磁巻線32が巻かれている。界磁巻線32において、隣り合う回転子スロット33に配置されている部分は、互いに直列に接続されている。
界磁巻線32は、図示しない外部電源によって直流励磁される。これにより、第1磁極36及び第2磁極37の一方がN極となり、他方がS極となる。つまり、タービン発電機10は2極の発電機である。
固定子コア21と回転子コア31との間には空隙40が形成されている。多相巻線22は、図示しない外部電源によって交流励磁される。これにより、空隙40内に回転磁界が発生する。
固定子コア21には、磁気検出器としてのサーチコイル50が固定されている。より具体的に述べると、サーチコイル50は、固定子コア21の内周部、且つ空隙40に面した部分に固定されている。また、サーチコイル50は、界磁巻線32に対向している。
サーチコイル50には、主磁束及び漏れ磁束が鎖交する。主磁束は、空隙40に発生する磁束であり、漏れ磁束は、各回転子スロット33から漏出する磁束である。サーチコイル50に鎖交する磁束は、鎖交磁束と呼ばれる。
サーチコイル50は、第1端子51及び第2端子52を有している。サーチコイル50に磁束が鎖交すると、第1端子51と第2端子52との間に電圧信号が誘起される。サーチコイル50内の鎖交磁束の分布は、回転子30の回転に伴って変動する。
短絡検知装置60は、機能ブロックとして、信号取得部61、信号分解部62、特定周波数成分低減部63、信号変換部64、短絡検知部65、及び推定精度判定部66を備えている。
信号取得部61は、サーチコイル50に誘起される電圧信号を取得する。信号分解部62は、信号取得部61によって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解する。さらに、信号分解部62は、分解された各周波数成分を振幅と位相とに分離する。
特定周波数成分低減部63は、スロット高調波の基本次数よりも低い周波数成分の次数を閾値として設定する。スロット高調波は、回転子スロットピッチに相関を有する高調波である。
さらに、特定周波数成分低減部63は、分離された振幅のうち、奇数次の周波数成分と、閾値よりも高い偶数次の周波数成分とを低減させる。
信号変換部64は、位相と、特定周波数成分低減部63により得られた振幅とを、周波数成分の次数ごとにすべて積算することにより特定周波数成分低減後の電圧信号に変換する。
短絡検知部65は、変換された特定周波数成分低減後の電圧信号を、回転子30の第1磁極36及び第2磁極37にそれぞれ対応する回転子30の周方向角度ごとに分割する。さらに、短絡検知部65は、第1磁極36及び第2磁極37に対応する各電圧信号の差分波形を生成する。さらに、短絡検知部65は、差分波形の形状に基づいて、界磁巻線32の短絡を検知するとともに、界磁巻線32の短絡が、回転子30の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定する。
推定精度判定部66は、界磁巻線32の短絡が発生している位置の推定精度を判定する。さらに、推定精度判定部66は、界磁巻線32の短絡の発生有無、短絡が発生している回転子スロット33の位置、及び短絡が発生している回転子スロット33の推定精度に関する情報を表示装置70へ出力する。
表示装置70は、短絡検知装置60の外部に設けられている。表示装置70は、推定精度判定部66からの情報に基づいて、界磁巻線32の短絡の有無、短絡が発生している回転子スロット33の位置、及び短絡が発生している回転子スロット33の推定精度を表示する。
次に、実施の形態1に係る短絡検知装置60の各機能ブロックについて、図面を参照しながら、より詳細に説明する。図2は、図1の信号取得部61によって取得される電圧信号の一例を示す波形図である。この波形図は、電磁界解析プログラムを用いて、図1のタービン発電機10の負荷運転状態をシミュレーションすることにより得られたものである。なお、シミュレーションは、例えば、第1磁極36側の第2スロットにおいて、界磁巻線32が1ターン分だけ短絡しているという条件で実行されている。
図2に示したように、例えば、周方向角度0°から180°までが第1磁極36に対応し、周方向角度180°から360°までが第2磁極37に対応している。従って、周方向角度90°では、第1磁極36の中心がサーチコイル50に最も近付いており、周方向角度270°では、第2磁極37の中心がサーチコイル50に最も近付いている。図2中の32個の細かな電圧変動は、回転子スロットピッチ、即ち、7.42°ごとに発生している。
図3は、図1の信号分解部62によって周波数分析された電圧信号の振幅成分の周波数スペクトルを示すスペクトル図である。横軸は、n次高調波の次数であり、図3では、110次までの高調波を示している。nは、1以上の整数である。なお、111次以上の次数の高調波の振幅は小さいため、表示は割愛される。縦軸は、各次数の高調波の電圧強度を示している。
図3によれば、奇数次の高調波の電圧強度が、偶数次の高調波の電圧強度よりも大きいことがわかる。奇数次の高調波は、界磁巻線32に短絡が発生しているか否かにかかわりなく発生する。一方、偶数次の高調波は、界磁巻線32に短絡が発生している場合に発生する。
また、奇数次の高調波のうち、1次の高調波の電圧強度及び47次の高調波の電圧強度が特に大きい。1次の高調波は、基本波とも呼ばれる。基本波は、主磁束の周波数成分である。また、47次の高調波は、スロット高調波である。スロット高調波は、回転子スロットピッチに相関を有する高調波である。47次は、スロット高調波の基本次数である。スロット高調波は、回転子30における1次の起磁力と、回転子スロットピッチのパーミアンス変化との差分によって発生する。
48次以上の高調波は、回転子スロットピッチよりも狭いピッチ、つまり、周方向において回転子スロットピッチよりも小さい角度に相当する高調波である。回転子スロットピッチよりも小さい角度に対応する周波数成分は、界磁巻線32の短絡位置を推定するために必要な成分ではない。そこで、特定周波数成分低減部63は、47次よりも小さい次数を、偶数次の周波数成分を除去するための閾値の次数として選択する。そして、特定周波数成分低減部63は、選択された閾値よりも大きいすべての偶数次の周波数成分を除去する。
スロット高調波の電圧強度は、スロット高調波に近い奇数次の周波数成分の電圧強度に比べて高い。そのため、スロット高調波の次数に近い偶数次の周波数成分ほど、スロット高調波の影響を受け、不安定になり易い。従って、スロット高調波の影響を受け易い偶数次の周波数成分が除去されるように閾値が設定されることがより好ましい。
また、奇数次の周波数成分は、偶数次の周波数成分を検知することを阻害する要因となる。一方で、奇数次の周波数成分は、周方向角度を特定するために必要な情報を含んでいる。そのため、界磁巻線32の短絡位置を推定するために、完全に除去することは望ましくない。そこで、特定周波数成分低減部63は、すべての奇数次の周波数成分を、除去せずに減衰させる。
より具体的に述べると、実施の形態1では、特定周波数成分低減部63は、閾値を12に設定し、14次以上の偶数次の周波数成分を除去する。また、特定周波数成分低減部63は、すべての奇数次の周波数成分を1/50に減衰させる。このように、本実施の形態において、周波数成分を低減させることには、周波数成分を除去すること、及び周波数成分を減衰させることが含まれる。
図4は、図1の特定周波数成分低減部63によって、図3のスペクトルから特定の周波数成分を低減させた後の振幅成分の周波数スペクトルを示すスペクトル図である。図4に示したように、特定周波数成分低減部63から出力される振幅成分の周波数スペクトルは、2次から12次までの偶数次の周波数成分と、減衰された奇数次の周波数成分とを含んでいる。
これにより、界磁巻線32に短絡が発生しているか否かの検知の妨げとなる要因を小さくすることができる。これにより、短絡の検知精度を向上することができる。
図5は、図1の信号変換部64によって変換された電圧信号を示す図である。変換された電圧信号には、スロット高調波の成分が含まれていないので、図2との比較から理解されるように、図5では、電圧の変動周期が長くなっている。言い換えると、図5には、回転子スロットピッチの細かな波形が現れない。
図6は、図5に示した電圧信号を図1の短絡検知部65に入力して得られる差分波形を示す図である。第1磁極36と第2磁極37とは互いに極性が異なるため、差分波形を得るには、第1磁極36に対応する0°から180°までの波形と、第2磁極37に対応する180°から360°までの波形とを足し合わせればよい。図6に示した差分波形は、図5に示した波形を左右に分割し、互いに足し合わせることにより得られる。
図6の差分波形では、50°の位置に正方向のピーク電圧が現れ、130°の位置に負方向のピーク電圧が現れている。正方向のピーク電圧の絶対値は、負方向のピーク電圧の絶対値よりも大きい。従って、差分波形におけるピーク電圧の絶対値の最大値は、正方向のピーク電圧の絶対値である。この最大値を含む一波を最大波とする。
なお、「一波」とは、ピーク電圧の一側において電圧の絶対値が最も小さくなっている周方向角度から、ピーク電圧の他側において電圧の絶対値が最も小さくなっている周方向角度までの範囲である。
図6中の縦の破線は、第1スロットから第8スロットまでの周方向角度を表している。磁極の中心に対応する90°に最も近い破線が第1スロットであり、0°及び180°に最も近い破線が第8スロットである。隣り合う破線同士の間隔は、回転子スロットピッチに相当する。
正方向のピーク電圧を含む一波の半値幅、及び負方向のピーク電圧を含む一波の半値幅は、いずれも回転子スロットピッチよりも大きい。半値幅は、判定電圧である半値電圧における一波の周方向角度範囲である。半値電圧は、ピーク電圧の半分の電圧である。
このように、回転子スロットピッチよりも幅広のピーク波形が現れることは、界磁巻線32に短絡が発生していることを示している。
50°のピーク電圧及び130°のピーク電圧は、いずれも第2スロットを表す破線に最も近い。この結果から、短絡検知部65は、第2スロットにおいて界磁巻線32の短絡が発生していると推定する。
推定精度判定部66は、ピーク角度θ1を中心とした最大波の波形の対称度合いに基づいて、短絡が発生している位置の推定精度を判定する。ピーク角度θ1は、ピーク電圧の絶対値の最大値に対応する回転子30の周方向角度である。
推定精度判定部66は、最大波の中心角度θ2を算出する。中心角度θ2は、最大波の半値幅の中心に対応する周方向角度である。
図6によれば、中心角度θ2は、44°である。中心角度θ2は、第2スロットよりもむしろ第3スロットに近い。ピーク角度θ1と中心角度θ2との角度差Δθは、6°であり、回転子スロットピッチである7.42°の1/2よりも大きい。
例えば、最大波が、ピーク角度θ1に対して左右対称であれば、ピーク角度θ1と中心角度θ2とは一致する。例えば、最大波が、左右に歪んでピーク角度θ1に対して左右非対称となる場合、又は最大波の左右のいずれかにおいて局所的に振幅が大きく変化する場合には、ピーク角度θ1と中心角度θ2とは一致しなくなる。
上記のように、界磁巻線32に短絡が発生していることは、幅広のピーク波形が存在することで検知可能である。しかし、最大波が歪んでいる場合、短絡がいずれの回転子スロット33で発生しているかを、正確に推定することが難しい。
そこで、推定精度判定部66は、角度差Δθに基づいて推定精度を判定する。これにより、界磁巻線32の短絡位置の推定精度の確からしさを定量的に把握することができ、界磁巻線32の短絡位置を誤って推定することを抑制できる。
例えば、角度差Δθが回転子スロットピッチよりも十分に小さければ、ピーク角度θ1及び中心角度θ2に対応する回転子スロット33において短絡が発生したと高精度に推定することができる。一方、例えば、角度差Δθが回転子スロットピッチの1/2よりも大きければ、ピーク角度θ1に対応する回転子スロット33と、中心角度θ2に対応する回転子スロット33とが一致するとは言えない。
図7は、図6に示した差分波形が得られたときのタービン発電機の運転条件とは異なる運転条件において得られる差分波形の一例を示す図である。この運転条件では、ピーク角度θ1及び中心角度θ2は、いずれも第2スロットの周方向角度と一致している。従って、角度差Δθはゼロである。
図6及び図7から理解されるように、図7における最大波の波形の対称度合いは、図6における最大波の波形の対称度合いよりも高い。このように、角度差Δθがゼロに近いほど最大波の波形の対称度合いが高く、推定精度も高い。
図8は、図2に示した電圧信号を図1の短絡検知部65に直接入力したと仮定した場合に得られる差分波形を示す図である。図8によれば、第2スロットに対応している一波以外にも、局所的な一波が複数存在している。そのため、この場合、第2スロット以外の回転子スロット33においても界磁巻線32に短絡が発生していると誤って推定されるおそれがある。
しかし、実施の形態1に係る短絡検知装置60によれば、閾値以上の偶数次の周波数成分が除去されるので、図6及び図7に示すような差分波形が得られる。従って、第2スロット以外において界磁巻線32に短絡が発生していると誤って推定されにくい。
図9は、図1の短絡検知装置60の各機能ブロックが実行する短絡検知ルーチンを示すフローチャートである。図9のルーチンは、例えば、短絡検知装置60が起動されることにより開始され、一定時間が経過する毎に実行されるようになっている。
信号取得部61は、図9のルーチンを開始すると、まず、ステップS105において、サーチコイル50から電圧信号を取得する。次いで、信号分解部62は、ステップS110において、取得された電圧信号の振幅及び位相について周波数分析を行う。
次いで、特定周波数成分低減部63は、ステップS115において、周波数分析された振幅の周波数成分低減を行う。即ち、特定周波数成分低減部63は、振幅のうち、閾値よりも大きい偶数次の周波数成分を除去するとともに、すべての奇数次の周波数成分を1/50に減衰させる。
次いで、信号変換部64は、ステップS120において、位相と、特定周波数成分低減部63により処理された振幅を電圧信号に変換する。
次いで、短絡検知部65は、ステップS125において、変換された電圧信号を、各磁極に対応する電気角、即ち、180°ずつに区切り、隣り合う180°の電気角の電圧信号同士を比較する。言い換えると、隣り合う180°の電気角の差分波形を生成する。
次いで、短絡検知部65は、ステップS130において、生成された差分波形に回転子スロットピッチよりも幅広のピーク波形があるか否かを判定する。幅広のピーク波形がない場合、短絡検知部65は、ステップS150において、「短絡発生なし」を表す情報を表示装置70へ出力し、本ルーチンを一旦終了する。
一方、差分波形に幅広のピーク波形がある場合、短絡検知部65は、ステップS135において、幅広のピーク波形のピーク角度θ1及び中心角度θ2を算出する。さらに、短絡検知部65は、ステップS135において、算出されたピーク角度θ1に基づいて、界磁巻線32の短絡位置を推定する。短絡位置は、例えば、「第2スロット」のように、短絡が発生している回転子スロット33の呼称によって表される。
次いで、推定精度判定部66は、ステップS140において、算出されたピーク角度θ1及び中心角度θ2に基づいて、短絡位置の推定精度を判定する。
次いで、推定精度判定部66は、ステップS145において、「短絡発生あり」、「短絡位置」、及び「短絡位置の推定精度」の情報を表示装置70へ出力し、本ルーチンを一旦終了する。
このように、実施の形態1の短絡検知方法は、信号取得ステップ、信号分解ステップ、特定周波数成分低減ステップ、信号変換ステップ、短絡検知ステップ、及び推定精度判定ステップを含んでいる。
信号取得ステップは、界磁巻線32に対向しているサーチコイル50からの電圧信号を取得するステップである。信号分解ステップは、信号取得ステップによって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解するステップである。
特定周波数成分低減ステップは、スロット高調波の基本次数よりも低い次数を閾値として、複数の周波数成分のうち、奇数次の周波数成分を減衰させるとともに、閾値よりも高い偶数次の周波数成分を除去するステップである。信号変換ステップは、特定周波数成分低減ステップにより処理された複数の周波数成分を電圧信号に変換するステップである。
短絡検知ステップは、信号変換ステップにより変換された電圧信号を、回転子30の複数の磁極にそれぞれ対応する回転子30の周方向角度ごとに分割し、複数の磁極のうち、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成するステップを含んでいる。さらに、短絡検知ステップは、差分波形の形状に基づいて、界磁巻線の短絡を検知するとともに、界磁巻線の短絡が、回転子30の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定するステップを含んでいる。
推定精度判定ステップは、ピーク角度θ1を中心とした最大波の波形の対称度合いに基づいて、短絡が発生している位置の推定精度を判定するステップである。
また、実施の形態1の短絡検知プログラムは、上記の短絡検知方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
即ち、短絡検知プログラムは、信号取得処理、信号分解処理、特定周波数成分低減処理、信号変換処理、短絡検知処理、及び推定精度判定処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
信号取得処理は、界磁巻線32に対向しているサーチコイル50からの電圧信号を取得する処理を含んでいる。信号分解処理は、信号取得処理によって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解する処理を含んでいる。
特定周波数成分低減処理は、スロット高調波の基本次数よりも低い次数を閾値として、複数の周波数成分のうち、奇数次の周波数成分を減衰させるとともに、閾値よりも高い偶数次の周波数成分を除去する処理を含んでいる。信号変換処理は、特定周波数成分低減処理により処理された複数の周波数成分を電圧信号に変換する処理を含んでいる。
短絡検知処理は、信号変換ステップにより変換された電圧信号を、回転子30の複数の磁極にそれぞれ対応する回転子30の周方向角度ごとに分割し、複数の磁極のうち、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成する処理を含んでいる。さらに、短絡検知処理は、差分波形の形状に基づいて、界磁巻線の短絡を検知するとともに、界磁巻線の短絡が、回転子30の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定する処理を含んでいる。
推定精度判定処理は、ピーク角度θ1を中心とした最大波の波形の対称度合いに基づいて、短絡が発生している位置の推定精度を判定する処理を含んでいる。
上記のように、実施の形態1の短絡検知装置60及び短絡検知方法によれば、界磁巻線32の短絡が、回転子30の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定することができる。さらに、界磁巻線32の短絡位置の推定精度を判定することができる。
また、推定精度判定部66は、中心角度θ2を最大波の半値幅の中心の周方向角度として算出する。これによれば、最大波の波形の対称度合いをより容易に計算することができる。
また、特定周波数成分低減部63は、各周波数成分の振幅に基づいて、スロット高調波の基本次数を推定する。これによれば、周波数分析において、閾値及び除去すべき周波数成分の次数を利用者が指定する手間を省くことができる。
また、推定精度判定部66は、界磁巻線32の短絡の発生有無、短絡が発生している回転子スロット33の位置、及び短絡が発生している回転子スロット33の位置の推定精度に関する情報を表示装置70へ出力する。これによれば、利用者が、界磁巻線32の短絡の発生有無、短絡が発生している回転子スロット33の位置、及び短絡が発生している回転子スロット33の位置の推定精度を知ることができる。
また、短絡検知部65は、差分波形に現れるピーク波形によって、界磁巻線32の短絡を検知するとともに、界磁巻線32の短絡が、ピーク角度θ1に対応する回転子スロット33で発生していると推定する。これによれば、より容易に界磁巻線32の短絡位置を推定することができる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る短絡検知装置について説明する。実施の形態1において、特定周波数成分低減部63は、すべての奇数次の周波数成分の振幅を1/50に減衰させていた。これに対し、実施の形態2では、特定周波数成分低減部63は、閾値以下の奇数次の周波数成分の振幅をゼロとする。これによれば、閾値以下の周波数成分には、偶数次の周波数成分のみが含まれる。本実施の形態において、周波数成分を低減させることには、周波数成分の振幅をゼロとすることが含まれる。
実施の形態2における他の構成は、実施の形態1と同様である。
偶数次の周波数成分が、界磁巻線32の短絡の検知のための信号成分であると考えると、奇数次の周波数成分はノイズ成分であると考えられる。従って、閾値以下の奇数次の周波数成分の振幅をゼロとすることにより、差分波形のSN比が向上し、短絡の発生有無の検知精度を向上することができる。
但し、この場合、閾値以下の奇数次の周波数成分が含まれないため、第1磁極36及び第2磁極37の周方向における角度が正確に把握できない。しかし、正方向のピーク電圧の周方向角度と負方向のピーク電圧の周方向角度との角度差から、界磁巻線32の短絡位置を推定することができる場合がある。
このように、実施の形態2の短絡検知装置60において、特定周波数成分低減部63は、閾値以下の奇数次の周波数成分の振幅をゼロとする。これによれば、界磁巻線32に短絡が発生したことを、より精度よく検知することができる。
なお、実施の形態1及び2において、スロット高調波の基本次数は、特定周波数成分低減部63により推定されていた。しかし、スロット高調波の基本次数は、磁極の数、回転子スロット33の配置等によって特定される。そのため、スロット高調波の基本次数及び閾値は、予め特定周波数成分低減部63によって記憶されていてもよい。
また、実施の形態1及び2において、判定電圧は、最大波の電圧の最大値よりも低い値であれば、半値電圧でなくてもよい。
また、実施の形態1及び2において、推定精度判定部66は、ピーク角度θ1と中心角度θ2との角度差Δθに基づいて、推定精度を判定していたが、推定精度の判定方法は、最大波の波形の対称度合いに基づく方法であれば、特に限定されない。
図10は、図1の推定精度判定部66による他の判定方法を示す図である。図10に示したように、例えば、推定精度判定部66は、第1角度差Δθ1と第2角度差Δθ2との差分に基づいて、推定精度を判定してもよい。第1角度差Δθ1は、最大値の一側において判定電圧に対応する周方向角度θ3と、ピーク角度θ1との角度差である。第2角度差Δθ2は、最大値の他側において判定電圧に対応する周方向角度θ4と、ピーク角度θ1との角度差である。
この場合、第1角度差Δθ1と第2角度差Δθ2との差分が小さいほど、推定精度が高いと判定される。
図10では、判定電圧を半値電圧としているが、判定電圧は半値電圧に限定されない。
また、例えば、推定精度は、判定電圧における最大波の正の傾きの大きさと、判定電圧における最大波の負の傾きの大きさとの差分に基づいて判定されてもよい。判定電圧は、半値電圧であっても、最大値よりも小さい任意の電圧であってもよい。この場合も、差分が小さいほど、推定精度が高いと判定される。
また、実施の形態1及び2において、推定精度の判定閾値が設定され、推定精度判定部66による推定精度が判定閾値よりも低い場合、タービン発電機10の運転条件が変更され、再度、図9の短絡検知ルーチンが実行されてもよい。これによれば、推定精度がより高い状態において界磁巻線32の短絡位置が推定される。
また、実施の形態1及び2において、固定子スロット23の数、回転子スロットの数、磁極の数、回転子スロットピッチは、上記の例に限定されない。
例えば、磁極の数が2よりも多い場合、短絡検知部65は、次のように差分波形を生成すればよい。短絡検知部65は、まず、信号変換部64により変換された電圧信号を、回転子の複数の磁極にそれぞれ対応する回転子の周方向角度ごとに分割する。さらに、短絡検知部65は、複数の磁極のうち、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成すればよい。
また、実施の形態1及び2において、回転子スロットピッチは1通りであったが、回転子スロットピッチは、複数通り存在してもよい。回転子スロットピッチが複数通り存在する場合、回転子スロットピッチの最も大きな電圧成分、即ち、複数のスロット高調波のうち、最も次数の小さいスロット高調波の次数をスロット高調波の基本次数と見做して閾値を設定すればよい。これにより、すべての回転子スロットピッチに対応する周波数成分を除去することができる。
また、実施の形態1及び2において、特定周波数成分低減部63は、必ずしもすべての奇数次の周波数成分を低減させなくてもよい。即ち、特定周波数成分低減部63は、偶数次の周波数成分を検知することができる範囲内で、一部の奇数次の周波数成分を低減せず残してもよい。
また、実施の形態1及び2において、特定周波数成分低減部63は、必ずしも閾値よりも高い偶数次の周波数成分を除去しなくてもよい。即ち、特定周波数成分低減部63は、短絡検知部65における差分波形に、回転子スロットピッチよりも幅広のピーク波形が得られる範囲内で、閾値よりも高い偶数次の周波数成分を減衰させてもよい。
また、実施の形態1及び2において、信号分解部62は、電圧信号を互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解し、さらに、複数の周波数成分を振幅と位相とに分離していた。そして、特定周波数成分低減部63は、振幅について特定の周波数成分を低減させる処理を行っていた。しかし、信号を分解する方法は、これに特に限定されない。
例えば、信号分解部62は、電圧信号を互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解し、特定周波数成分低減部63は、分解された複数の周波数成分について特定の周波数成分を低減させる処理を行ってもよい。これによれば、信号分解の処理をより簡易にすることができる。
また、実施の形態1及び2において、回転子30は、固定子20の内周側に配置されていたが、回転子30は、固定子20の外周側に配置されてもよい。
また、実施の形態1及び2において、回転電機としてタービン発電機10が採用されていたが、回転電機は、タービン発電機10以外の発電機であってもよいし、電動機であってもよい。
また、実施の形態1及び2の短絡検知装置60の機能は、処理回路によって実現される。図11は、実施の形態1及び2の短絡検知装置60の機能を実現する処理回路の第1の例を示す構成図である。第1の例の処理回路100は、専用のハードウェアである。
また、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
また、図12は、実施の形態1及び2の短絡検知装置60の機能を実現する処理回路の第2の例を示す構成図である。第2の例の処理回路200は、プロセッサ201及びメモリ202を備えている。
処理回路200では、短絡検知装置60の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ202に格納される。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
メモリ202に格納されたプログラムは、上述した各部の手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。ここで、メモリ202とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。また、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等も、メモリ202に該当する。
なお、上述した短絡検知装置60の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述した短絡検知装置60の機能を実現することができる。
10 タービン発電機(回転電機)、20 固定子(電機子)、21 固定子コア、22 多相巻線、23 固定子スロット、30 回転子(界磁)、31 回転子コア、32 界磁巻線、33 回転子スロット(スロット)、36 第1磁極、37 第2磁極、40 空隙、50 サーチコイル(磁気検出器)、60 短絡検知装置、61 信号取得部、62 信号分解部、63 特定周波数成分低減部、64 信号変換部、65 短絡検知部、66 推定精度判定部。

Claims (8)

  1. 界磁の複数のスロットに設けられている界磁巻線に対向している磁気検出器からの電圧信号を取得する信号取得部、
    前記信号取得部によって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解する信号分解部、
    前記複数のスロットのピッチに相関を有する高調波であるスロット高調波の基本次数よりも低い次数を閾値として、前記複数の周波数成分のうち、奇数次の周波数成分と、前記閾値よりも高い偶数次の周波数成分とを低減させる特定周波数成分低減部、
    前記特定周波数成分低減部から出力された複数の周波数成分を電圧信号に変換する信号変換部、
    前記信号変換部により変換された電圧信号を、前記界磁の複数の磁極にそれぞれ対応する前記界磁の周方向角度ごとに分割し、前記複数の磁極のうち、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成し、前記差分波形の形状に基づいて、前記界磁巻線の短絡を検知するとともに、前記界磁巻線の短絡が、前記界磁の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定する短絡検知部、及び
    前記短絡が発生している位置の推定精度を判定する推定精度判定部
    を備え、
    前記差分波形においてピーク電圧の絶対値の最大値を含む一波を最大波とし、前記最大値に対応する前記界磁の周方向角度をピーク角度としたとき、
    前記推定精度判定部は、前記ピーク角度を中心とした前記最大波の波形の対称度合いに基づいて、前記短絡が発生している位置の推定精度を判定する
    回転電機の短絡検知装置。
  2. 前記推定精度判定部は、
    前記ピーク角度と、前記最大波の前記最大値よりも小さい電圧である判定電圧における前記最大波の幅の中心の周方向角度である中心角度との角度差に基づいて前記推定精度を判定する
    請求項1に記載の回転電機の短絡検知装置。
  3. 前記判定電圧は、前記最大値の半分の電圧である
    請求項2に記載の回転電機の短絡検知装置。
  4. 前記特定周波数成分低減部は、各前記周波数成分の振幅に基づいて、前記スロット高調波の基本次数を推定する
    請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の回転電機の短絡検知装置。
  5. 前記特定周波数成分低減部は、
    前記閾値以下の奇数次の周波数成分の振幅をゼロとする
    請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の回転電機の短絡検知装置。
  6. 前記推定精度判定部は、
    前記界磁巻線の短絡の発生有無、前記短絡が発生している前記スロットの位置、及び前記短絡が発生している前記スロットの位置の推定精度に関する情報を外部へ出力する
    請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の回転電機の短絡検知装置。
  7. 前記短絡検知部は、
    前記差分波形に現れるピーク波形によって、前記界磁巻線の短絡を検知するとともに、前記界磁巻線の短絡が、前記ピーク角度に対応するスロットで発生していると推定する
    請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の回転電機の短絡検知装置。
  8. 界磁の複数のスロットに設けられている界磁巻線に対向している磁気検出器からの電圧信号を取得する信号取得ステップ、
    前記信号取得ステップによって取得された電圧信号を、互いに次数の異なる複数の周波数成分に分解する信号分解ステップ、
    前記複数のスロットのピッチに相関を有する高調波であるスロット高調波の基本次数よりも低い次数を閾値として、前記複数の周波数成分のうち、奇数次の周波数成分と、前記閾値よりも高い偶数次の周波数成分とを低減させる特定周波数成分低減ステップ、
    前記特定周波数成分低減ステップにより処理された複数の周波数成分を電圧信号に変換する信号変換ステップ、
    前記信号変換ステップにより変換された電圧信号を、前記界磁の複数の磁極にそれぞれ対応する前記界磁の周方向角度ごとに分割し、前記複数の磁極のうち、隣り合う磁極に対応する各電圧信号の差分波形を生成し、前記差分波形の形状に基づいて、前記界磁巻線の短絡を検知するとともに、前記界磁巻線の短絡が、前記界磁の周方向のいずれの位置で発生しているかを推定する短絡検知ステップ、及び
    前記短絡が発生している位置の推定精度を判定する推定精度判定ステップ
    を備え、
    前記差分波形においてピーク電圧の絶対値の最大値を含む一波を最大波とし、前記最大値に対応する前記界磁の周方向角度をピーク角度としたとき、
    前記推定精度判定ステップは、前記ピーク角度を中心とした前記最大波の波形の対称度合いに基づいて、前記短絡が発生している位置の推定精度を判定する
    回転電機の短絡検知方法。
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