JP2015219229A - 巻線短絡箇所の診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】どのスロットに挿入されている巻線で短絡が発生したのかを特定することのできる巻線短絡箇所の診断システムを提供する。【解決手段】診断対象となる回転機の固定子もしくは回転子における巻線1両端に電圧を印加するための電圧発振部2と、電圧発振部2から巻線1に電圧が印加されている状態で、巻線1が挿入されている各スロット毎に周辺の磁束密度を計測し得る磁界センサ3と、磁界センサ3で計測された1つのスロットにおける磁束密度の値を、正常な巻線が挿入されているスロットにおける値と比較して、所定以上の差がある場合に、当該スロット内の巻線1に短絡が発生していると診断する診断部8と、診断部8での診断結果を表示する表示部9とを備えている。【選択図】図11

Description

本発明は、回転機の固定子もしくは回転子における巻線において短絡が発生している箇所を特定することのできる巻線短絡箇所の診断システムに関するものである。
巻線の良否を診断する技術としては、これまでにいくつか提案されている。
例えば、非特許文献1に開示されている技術は、どの相の巻線で短絡が発生しているのか、すなわち短絡がU相で発生しているのか、それともV相やW相で発生しているのかを特定可能な技術である。
株式会社電子制御国際 インパルス巻線試験機DWX−01、DWX−05 取扱説明書
上記非特許文献1に開示されている技術では、短絡がどの相で発生しているかの特定は可能であるが、U相に相当する巻線も、いろいろな箇所に分布して巻かれているため、非特許文献1の技術では、具体的にどのスロットに挿入されている巻線で短絡が発生しているのかを特定することまでは不可能であった。
本発明は、電動機や発電機のような回転機の内部の巻線において、短絡が発生しているスロットを特定することのできる巻線短絡箇所の診断システムの提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の巻線短絡箇所の診断システムは、
診断対象となる回転機の固定子もしくは回転子における巻線両端に電圧を印加するための電圧発振部と、
該電圧発振部から前記診断対象の巻線に電圧が印加されている状態で、巻線が挿入されている各スロット毎に周辺の磁束密度を計測し得る磁界センサと、
該磁界センサで計測された1つのスロットにおける前記磁束密度の値を、正常な巻線が挿入されているスロットにおける値と比較して、所定以上の差がある場合に、当該スロット内の巻線に短絡が発生していると診断する診断部と、
該診断部での診断結果を表示する表示部と、
を備えていることを要旨とする。
本発明では、1つのスロットにおける磁束密度の値が、正常な巻線が挿入されているスロットにおける値と比較して所定以上の差がある場合に、診断部は、当該スロット内の巻線に短絡が発生していると診断するので、どのスロットに挿入されている巻線で短絡が発生しているのかを特定することができる。
どのスロットの巻線に短絡が発生したのかを特定することができれば、短絡が発生しやすい傾向にあるスロットを知ることができるので、その貴重な情報を回転機の設計段階へフィードバックすることで、短絡が起こりやすいスロットに挿入されている巻線に対する構造的もしくは強度的な対策を施すことができ、電動機や発電機といった回転機の短絡発生割合を低下させることにつながり、大きなメリットとなる。
また、本発明の巻線短絡箇所の診断システムにおいて、前記巻線両端に印加する電圧の周波数を商用周波数より高い周波数とすることができる。
こうすれば、周波数を上げてゆくと、短絡が発生している箇所では、測定する磁束密度の値が正常な箇所に比してどんどん下がってゆくので、正常な箇所と短絡が発生している箇所では測定される磁束密度の値の差が大きく現れるため、短絡が発生している箇所を確認しやすくなる。
また、本発明の巻線短絡箇所の診断システムにおいて、前記各スロットの真上で前記磁界センサにより磁束密度を計測することができる。
こうすれば、正確な計測が可能となる。
また、本発明の巻線短絡箇所の診断システムにおいて、前記磁界センサ内の磁界計測用コイル面を前記スロットの真上の垂直軸から45度以内の傾きにして、磁束密度を計測することができる。
こうすれば、磁界センサ下のスロットに挿入されている巻線から発せられる磁界の強さ、すなわち磁束密度をより正確に計測し得るものとなる。
巻線正常時の電流と磁束(磁界)の説明図である。 巻線に短絡が発生した説明図である。 短絡発生後の電流と磁束(磁界)の向きの説明図である。 汎用誘導電動機(回転機)の固定子巻線の概略断面図である。 固定子のスロットに挿入されている巻線の要部拡大斜視図である。 磁界センサ内の磁界計測用コイル面をティースの上面に対して直角にして計測した場合の、巻線両端に印加する電圧周波数60ヘルツの時の磁界センサからの出力電圧νを示す図である。 電圧周波数60ヘルツの時の磁界センサからの出力電圧νを絶対値で表示した図である。 磁界センサ内の磁界計測用コイル面をティースの上面に対して直角にして計測した場合の、巻線両端に印加する電圧周波数1kHzの時の磁界センサからの出力電圧νを絶対値で表示した図である。 磁界センサ内の磁界計測用コイル面をティースの上面に対して直角にして計測した場合の、巻線両端に印加する電圧周波数3kHzの時の磁界センサからの出力電圧νを絶対値で表示した図である。 磁界センサ内の磁界計測用コイル面をティースの上面に対して平行にして計測した場合の、巻線両端に印加する電圧周波数1kHzの時の磁界センサからの出力電圧νを絶対値で表示した図である。 巻線短絡箇所の診断システムのシステム構成図である。 磁界センサ内の磁界計測用コイル面をスロットの真上の垂直軸から45度以内の傾きにして計測する説明図である。
先に本発明の原理について説明する。
巻線において短絡が発生すると、その巻線の中には短絡によって新たな閉ループが誕生する。そして、閉ループに鎖交する磁束(磁界)が時間的に変化すると、閉ループ内にはその磁束の変化を妨げる向きの磁束を発生させようとする誘導起電力が発生する。この閉ループに生じる誘導起電力により発生する磁束の影響を受けて、巻線周辺の磁束は変化する。
この現象を、図を用いて説明する。
巻線が正常な場合、巻線両端に交流電圧を印加して巻線に電流を流すと、電流は図1のような経路で流れている。
いま、図2のように、巻線に短絡Pが発生したとする。この場合、流れる電流は、図3のように抵抗がほとんどゼロの短絡箇所Pを流れ、短絡間の巻線には流れなくなる。このとき巻線に流れる電流をi、電流iにより生じる磁界の強さをHとする。また、短絡により新たに発生した閉ループをCとする。
閉ループCには磁束(磁界)が通過することで、誘導起電力eが発生する。この誘導起電力の向きは、磁束の変化を妨げる方向の磁束を発生させる向きである。この誘導起電力eにより閉ループC内を流れる電流をi、電流iによりできるHとは逆方向の磁界の強さをH、巻線周辺の磁界の強さをHとすると、H
Figure 2015219229
となる。
閉ループCの抵抗値は極めて小さい。そのため、電流iは大きな値となる。電流iが大きくなると磁界の強さHも大きくなる。その結果、巻線周辺の磁界の強さHは、巻線正常時に比べて減少するようになる。
一般に、誘導起電力eは
Figure 2015219229
の式で与えられる。ここでnは閉ループの巻線の巻き数、φは磁束である。
そこで、巻線に流れる電流iによって作られる磁界の強さH
Figure 2015219229
で与えられたとすると、閉ループCと鎖交する磁束φ
Figure 2015219229
で表される。ただしμは透磁率、Bは磁束密度、Sは面積である。
さらに(4)式を(2)式のφに代入して展開すると、
Figure 2015219229
と変形できる。
(5)式より誘導起電力eは、巻線に印加する電圧の時間変化の割合、すなわち、周波数fの関数であることが分かる。
誘導起電力eを大きくすると、磁界の強さHを大きくすることができる。
このことから、巻線両端に印加する電圧の周波数fを高くすることで、磁界の強さHのみを意図的に大きくすることができ、巻線の周辺の磁界の強さHの減少割合が巻線正常時に比べてより一層顕著となり、どのスロットに挿入されている巻線で短絡が発生しているのかを特定することが可能となる。
このように、短絡によって生じる閉ループ内を流れる電流が作る磁界に注目し、巻線に印加する電源の周波数を高くして磁界の強さを計測することで、短絡が発生しているスロットを特定できるようになる。
図11には、巻線短絡箇所の診断システムのシステム構成図を示す。
巻線短絡箇所の診断システムは、診断対象となる回転機の固定子もしくは回転子における巻線1の両端に電圧を印加するための電圧発振部2を備えており、この電圧発振部2は、例えば、周波数を可変可能な交流電圧を印加するファンクションジェネレータで構成される。
また、巻線1が挿入されている各スロット毎に周辺の磁束密度もしくは磁束密度の大きさに比例した電圧を計測し得る磁界センサ3を備えており、この磁界センサ3内には、磁界計測用コイル4と、信号を増幅させる増幅器5が設けられている。
また、本体部6内には、アナログ信号をデジタル化するA/D変換部7と、磁界センサ3で計測された1つのスロットにおける磁束密度の値もしくは磁束密度の大きさに比例した電圧の値を、正常な巻線が挿入されているスロットにおける値と比較して、所定以上の差がある場合に、当該スロット内の巻線に短絡が発生していると診断する診断部8と、診断部8での診断結果を表示する表示部9とが設けられている。
このような診断システムにおいて、診断する際には、先ず、診断対象とする回転機の固定子もしくは回転子の巻線1間に交流電圧を印加して、巻線1に磁界を発生させる。この場合、巻線1間には電圧発振部2から50V以下の電圧を印加する。なお、電圧発振部2からの交流電圧の周波数は可変とする。
端子間の巻線1に電流を流した状態で、固定子や回転子のスロットの真上で、磁界センサ3を使って磁束密度を計測する。
磁界センサ3内には、磁界計測用のコイル4が巻かれており、それにより磁束密度の大きさに比例した電圧νを出力する。
磁界の強さは磁束密度と比例関係にあり、磁界センサ3から出力される電圧νも磁束密度と比例関係にある。そのため、磁界センサ3側で電圧νの値から磁束密度に変換して出力してもよいし、そのまま電圧νを出力してもよい。なお、この電圧νは小さいので、増幅器5などで信号増幅させたのち出力する。以後の説明では、増幅された後の信号を電圧νとする。
磁界センサから出力された電圧ν、もしくは磁束密度はアナログ信号なので、A/D変換部7によりデジタル化する。それを診断部8に送る。
一つのスロット真上の電圧ν(もしくは磁束密度)の計測が終了すれば、次は隣のスロットの電圧ν(もしくは磁束密度)の計測を行う。そして、すべてのスロット真上での電圧ν(もしくは磁束密度)の計測を行う。
診断部8では、すべてのスロット真上の電圧ν(もしくは磁束密度)を基に診断する。
短絡が含まれる巻線が挿入されているスロット真上の電圧ν(もしくは磁束密度)は低下する。そのため、隣どうしのスロットの電圧ν(もしくは磁束密度)の値と比較し、両者の値の差に閾値を設けておくことで、その値が閾値を超えると、短絡が発生しているスロットと判断する。これにより、固定子もしくは回転子のどのスロットに挿入されている巻線において短絡が発生しているのかを判定することができる。
最後に、表示部9で診断結果を表示する。
診断システムにおいて診断する別方法を以下に示す。
別方法では、診断対象と同じ型番の正常な巻線に対して電圧を印加して、そのとき観測される電圧ν(もしくは磁束密度)の値を、例えば診断部8内の記憶部に記憶させておく前処理を行う。
次に、実際の診断対象の巻線1に対して、前処理と同じ大きさで同じ周波数の電圧を印加する。そして、磁界センサ3を用いて電圧ν(もしくは磁束密度)の値を求め、この値を診断部8に送る。
診断部8では、前処理で求めておいた電圧ν(もしくは磁束密度)と、いま計測された電圧ν(もしくは磁束密度)の値を比較する。
両者の値の差に閾値を設けておくことで、その値が閾値を超えると、短絡が発生している箇所と判断する。これにより、固定子もしくは回転子のどのスロットに挿入されているコイルにおいて短絡が発生しているのかを判定することができる。
最後に、表示部9で診断結果を表示する。
実施例では、回転機として誘導電動機10を用い、この誘導電動機10の固定子を用いて検証試験を行った。
誘導電動機10の容量は0.75kWであり、この誘導電動機10の固定子巻線は、4極の1スター結線の巻線構造である。そして巻線1が挿入されているスロット数は36個である。この36個の各スロット12上の磁界の強さを計測する。
図4には、誘導電動機10の固定子巻線の概略断面を示し、図5には、固定子の各スロット12に挿入されている巻線1の要部を拡大して示す。
図5に示すように、スロット12は、左右のティース11,11間に溝状の空間として形成されており、内部に巻線1が挿入されている。
図4に示すように、誘導電動機10の後部から見て最も下部に位置するスロット12をNo.1として、時計回りにNo.2、No.3、・・・と順番にNo.36まで割り振っていく。この固定子巻線は、スロットNo.1−No.12間に35回巻線1が巻かれ、次に、スロットNo.2−No.11間に35回巻線1が巻かれ、次に、スロットNo.3−No.10間に35回巻線1が巻かれた、分布巻の構造となっている。
今回の短絡は、スロットNo.1−No.12間に挿入された巻線1に存在する。そしてこれは固定子巻線のU相に相当する。また、今回の電動機は4極であり、スロットNo.1と対称な位置関係にあるスロットはNo.19であり、スロットNo.12と対称な位置関係にあるスロットはNo.30である。
(巻線両端への電圧の印加)
短絡がU相であることから、U相の巻線を含むU−V間、もしくはU−W間に交流電圧を印加して、固定子内部に磁界を発生させる。ここではU−V間の巻線に交流電圧を印加する。交流電圧にはファンクションジェネレータを用いる。
ファンクションジェネレータを用いることで、巻線1両端に印加する電圧の周波数を様々な値に可変することができる。また、印加する電圧の大きさは、ピーク−ピーク間電圧を5.0ボルトとする。
巻線1両端に印加する電圧において、ピーク−ピーク間電圧を5.0ボルト程度まで下げると、電圧発振部の電子回路をさらに安価に仕上げることができるだけでなく、電圧発振部に供給する電源をさらに小型化することができ、診断システムのコストが一層安くなるといった利点が生じる。
なお、実験では印加する電圧のピーク間電圧を5.0Vとしているが、印加電圧のピーク間電圧を50V以下の範囲内で選択可能である。
磁界の計測では、磁束密度を計測することが一般的であるので、ここでは磁束密度を計測する。
磁束密度の計測を、図5に示すように、左右のティース11,11のティース上面11a,11aの間のスロットの上に磁界センサ3を配置させてスロット12上の磁界の強さを計測する。
磁界センサ3内には検出したい磁界の強さに応じて磁界計測用コイル4が数ターンから場合によっては数十ターン程度、巻かれている。
この磁界計測用コイル4を磁界が通過することで、その磁界計測用コイル4の両端には磁界の強さに比例した電圧νが生じる。
磁界の強さと磁束密度は比例関係にあり、この電圧νと磁束密度も比例関係にある。
磁束密度がいくつのとき磁界センサ3から出力される電圧νが何ボルトかを予め知っておくことで、電圧νの値から実際の磁束密度の値を換算することができる。
しかしここでは磁束密度の値を知るのが目的ではないことから、磁束密度の値と比例関係にある磁界センサ3からの出力電圧νの値そのものを用いて、固定子のどのスロット12で短絡が発生しているのかを診断する。
巻線両端に印加する電圧が交流電圧であるので、磁界センサ3からの出力電圧νも交流電圧である。この実施例では、磁界センサ3から出力される交流電圧のピーク間の電圧を磁界センサ3からの出力電圧νとする。
固定子の各スロット12上の磁束密度を計測する場合には、図5にも示すように、磁界センサ3内にある磁界計測用コイル4の面が、スロット12のほぼ中央にくるように設置する。
また、磁界計測用コイル4の面がスロット12両側のティース11の上面11aとできるだけ垂直になるようにする。
磁界計測用コイル4の面とティース11の上面11aとができるだけ垂直になることで、磁界センサ3下のスロット12から発せられる磁界の強さ、すなわち磁束密度をより正確に計測することができる。
より正確に磁束密度を計測するために、磁界計測用コイル4の面とティース11の上面11aが垂直であることが望ましい。しかし、磁界計測用コイル4の面が傾くことがある。その場合には、図12に示すように、その傾きがスロット12の真上の垂直軸から45度以内の傾きであればよい。
さらに、磁界計測用コイル4の面がスロット12の長手方向(巻線1の挿入方向)とできるだけ平行になるようにする。磁界計測用コイル4の面とスロット12の長手方向が平行になることで、磁界センサ3下のスロット12から発せられる磁界の強さ、すなわち磁束密度をより正確に計測することができる。
今回の磁束密度の測定では、各スロット12から発する磁束密度を検出するために、磁界センサ3の磁界計測用コイル4の中心が固定子ティース11の上面11aから3mmの点で行う。そして、磁界センサ3の磁界計測用コイル4がモータ固定子のほぼ中央にくるようにする。
(試験結果−周波数60Hz)
はじめに、巻線両端に印可する電圧の周波数fを60ヘルツと設定する。このとき各スロット12真上の磁束密度を計測する。ここでは磁束密度に比例した磁界センサ3からの出力電圧νを図6に示す。
図6において、横軸はスロット番号、縦軸は各スロット12真上で検出された磁束密度の大きさに比例する出力電圧νである。
また、スロット毎に計測される磁束密度の相対比較をより明確化するために、図6の電圧を絶対値表記として、それを新たに図7とする。以降の図では、図7のように、出力電圧νの絶対値で表示する。
この固定子では、スロットNo.1と対称な位置関係にあるスロットはNo.19であり、No.12と対称な位置関係にあるスロットはNo.30なので、短絡した巻線コイルが挿入されているスロットNo.1とNo.12の真上で計測される磁束密度と、巻線が正常な状態のスロットNo.19とNo.30の真上で計測される磁束密度をそれぞれ比較する。
スロットNo.1の真上の電圧νをNo.19上の電圧νと、スロットNo.12上の電圧νをNo.30上のものと比較すると、スロットNo.1の電圧νが0.204ボルトなのに対してNo.19の電圧νは0.210ボルト、スロットNo.12の電圧νが0.255ボルトなのに対してNo.30の電圧νは0.273ボルトとなる。
この図を見る限り、60ヘルツの低い周波数では、閉ループCの作る磁界の影響が小さいため、結果的に、電圧νの減少がほとんどないことが確認できる。
(試験結果−周波数1kHz)
(5)式に示したが、短絡により生じる閉ループCに発生する磁界の強さのみを大きくするには、電源周波数fを高くしてやればよい。そこで、磁界Hの周波数fを1キロヘルツとして、60ヘルツのときと同様に、各スロット12真上の電圧νを計測し、結果を図8に示す。ここでも図7と同様に電圧νを絶対値表記している。
周波数fを高くすると、巻線1のインピーダンスが増加することで、電流iが小さくなるため、磁界の強さHも減少する。このため、観測される電圧νも図7と比較して図8の方が小さくなる。しかしながら、スロットNo.1とNo.12では、両隣りのスロットと比較して電圧νが減少していることが確認できる。
正常状態にあるNo.19−No.30の電圧νと、短絡状態のNo.1−No.12の電圧νを比較すると、その違いは明確である。
(試験結果−周波数3kHz)
さらに、電圧周波数fを3キロヘルツに上げて、各スロット12上の電圧νの計測を行ったときの結果を図9に示す。
スロットNo.1での電圧νが0.017ボルトなのに対してNo.19の電圧νは0.056ボルト、スロットNo.12の電圧νが0.016ボルトなのに対してNo.30の電圧νは0.068ボルトとなり、周波数fを3キロヘルツとすることで、No.1とNo.12のスロットの電圧νの減少はNo.19やNo.30に比べて一層顕著となっていることがわかる。そして、短絡を有する巻線1が挿入されたスロットNo.1とNo.12では、両隣りのスロットとの違いがより明確化する。
以上の結果から、電源周波数fを1キロヘルツ以上に設定することで、短絡している巻線1が挿入されているスロット12をより明確にすることができるようになる。
これまでは、磁界センサ3内の磁界計測用コイル4面をティース上面11aに対し垂直にして計測した場合の結果を示したが、磁界センサ3内の磁界計測用コイル4面をティース上面11aに対し平行にした場合の計測も行った。
電源周波数を1kHzとしたときの磁界計測用コイル4面をティース上面11aに対し平行にして計測した計測結果を図10に示す。
ティース上面11aに対して磁界計測用コイル4面が平行である場合には、短絡している巻線1が巻かれてあるスロットNo.1−No.12の方は電圧νが全体的に低下している傾向にあることは確認できる。しかしながら、電圧νの値が明らかに小さくなるスロットまでは特定することはできない。
一方、上記したティース上面11aに対して磁界計測用コイル4面が垂直である場合には、電源周波数が1kHzであれば図8のように、スロットNo.1とNo.19、もしくはNo.12とNo.30の間に変化が確認できる。このことからも、磁界センサ3内の磁界計測用コイル4面がティース上面11aに対して垂直であることが望ましいと言える。
以上の結果から、短絡によって生じる磁界の変化に着目した本発明により、短絡した巻線1が挿入されている固定子内のスロットを特定することができるようになる。
なお、実施例では、磁界センサ3は、磁束密度の大きさに比例した電圧νを出力するものとしたが、前述したように、何テスラの磁束密度のときに磁界センサ3から何ボルトの電圧が出力されるのかの関係を明らかにすることで、電圧νの値から具体的な磁束密度の値を換算でき、この具体的な磁束密度の大きさを判定の指標に用いてもよい。
これまでの説明では、固定子のスロットに巻かれた巻線を対象にして説明したが、巻線型の回転子に対しても、同様に適用してもよい。
1 巻線
2 電圧発振部
3 磁界センサ
4 磁界計測用コイル
8 診断部
9 表示部
10 汎用誘導電動機(回転機)
11 ティース
11a ティース上面
12 スロット

Claims (4)

  1. 診断対象となる回転機の固定子もしくは回転子における巻線両端に電圧を印加するための電圧発振部と、
    該電圧発振部から前記診断対象の巻線に電圧が印加されている状態で、巻線が挿入されている各スロット毎に周辺の磁束密度を計測し得る磁界センサと、
    該磁界センサで計測された1つのスロットにおける前記磁束密度の値を、正常な巻線が挿入されているスロットにおける値と比較して、所定以上の差がある場合に、当該スロット内の巻線に短絡が発生していると診断する診断部と、
    該診断部での診断結果を表示する表示部と、
    を備えていることを特徴とする巻線短絡箇所の診断システム。
  2. 前記巻線両端に印加する電圧の周波数を商用周波数より高い周波数とすることを特徴とする請求項1に記載の巻線短絡箇所の診断システム。
  3. 前記各スロットの真上で前記磁界センサにより磁束密度を計測することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻線短絡箇所の診断システム。
  4. 前記磁界センサ内の磁界計測用コイル面を前記スロットの真上の垂直軸から45度以内の傾きにして、磁束密度を計測することを特徴とする請求項3に記載の巻線短絡箇所の診断システム。
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