<実施形態>
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行する車両において、当該車両の各種機器に電力を供給する車載電源システムに用いられる異常判定装置(制御装置)として具体化するものとしている。
図1に示すように、電源システムSは、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを有している。各蓄電池11,12からはスタータ13や、回転電機15、各種の電気負荷14,16への給電が可能となっている。また、各蓄電池11,12に対しては回転電機15による充電が可能となっている。本実施形態では、鉛蓄電池11が「電源部」及び「第1電源」に相当し、リチウムイオン蓄電池12が「電源部」及び「第2電源」に相当し、回転電機15が「電気機器」に相当する。
鉛蓄電池11は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて、充放電における電力損失が少なく、出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて充放電時のエネルギ効率が高い蓄電池であるとよい。また、リチウムイオン蓄電池12は、それぞれ複数の単電池を有してなる組電池として構成されている。これら各蓄電池11,12の定格電圧はいずれも同じであり、例えば12Vである。
リチウムイオン蓄電池12は、収容ケースに収容されて基板一体の電池ユニットUとして構成されている。図1では、電池ユニットUを破線で囲んで示す。電池ユニットUは、外部端子P0,P1,P2を有しており、このうち外部端子P1に配線を介して鉛蓄電池11とスタータ13と電気負荷14が接続され、外部端子P2に配線を介して回転電機15が接続され、外部端子P3に配線を介して電気負荷16が接続されている。なお、外部端子P1は、ヒューズ17を介して鉛蓄電池11に接続されており、外部端子P3は、ヒューズ18を介して電気負荷16と接続されている。
電気負荷14は、定電圧要求負荷以外の一般的な電気負荷である。電気負荷14の具体例としては、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、ヘッドライト、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等が挙げられる。
回転電機15は、3相交流モータや電力変換装置としてのインバータを有するモータ機能付き発電機であり、機電一体型のISG(Integrated Starter Generator)として構成されている。回転電機15は、エンジン出力軸や車軸の回転により発電(回生発電)を行う発電機能と、エンジン出力軸に回転力を付与する力行機能とを備えている。回転電機15の力行機能により、アイドリングストップ中、自動停止されているエンジンを再始動させる際に、エンジンに回転力を付与することができる。また、回転電機15に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されており、回転電機15は、発電電力を各蓄電池11,12や電気負荷14,16に供給する。
電気負荷16には、供給電力の電圧が一定、又はあらかじめ決められた範囲内で変動することが要求される定電圧負荷が含まれる。定電圧要求負荷である電気負荷16の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、エンジンECU等の各種ECUが挙げられる。この場合、供給電力の電圧変動が抑えられることで、上記各装置において不要なリセット等が生じることが抑制され、安定動作が実現可能となっている。また、電気負荷16に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されており、各蓄電池11,12から電気負荷16に電力が供給される。なお、電気負荷16として、電動ステアリング装置やブレーキ装置等の走行系アクチュエータが含まれていてもよい。
次に、電池ユニットUについて説明する。電池ユニットU内の電気経路として、各外部端子P1,P2を繋ぐ電気経路L1と、電気経路L1上の接続点N1とリチウムイオン蓄電池12とを繋ぐ電気経路L2とが設けられている。このうち電気経路L1に第1スイッチ回路SW1が設けられ、電気経路L2に第2スイッチ回路SW2が設けられている。電気経路L1,L2は、回転電機15に対する入出力電流を流すことを想定した大電流経路であり、この電気経路L1,L2を介して、各蓄電池11,12と回転電機15との間の相互の通電が行われる。なお、電気経路L1が「通電経路」に相当する。
また、本実施形態の電池ユニットUでは、電気経路L1,L2以外に、電気経路L1上の接続点N2(外部端子P1と第1スイッチ回路SW1との間の点)と、外部端子P3と、を接続する電気経路L3を有している。電気経路L3により、鉛蓄電池11から電気負荷16への電力供給を可能とする経路が形成されている。電気経路L3(詳しくは接続点N2-接続点N4の間)には、第3スイッチ回路SW3が設けられている。
また、電池ユニットUでは、電気経路L2の接続点N3(第2スイッチ回路SW2とリチウムイオン蓄電池12の間の点)と、電気経路L3上の接続点N4(第3スイッチ回路SW3と外部端子P3の間の点)と、を接続する電気経路L4が設けられている。電気経路L4により、リチウムイオン蓄電池12から電気負荷16への電力供給を可能とする経路が形成されている。電気経路L4(詳しくは接続点N3-接続点N4の間)には、第4スイッチ回路SW4が設けられている。
各スイッチ回路SW3,SW4は、それぞれ2つ一組の半導体スイッチング素子を備えている。半導体スイッチング素子は、MOSFETであり、その2つ一組のMOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きになるように直列に接続されている。なお、各スイッチ回路SW3,SW4に用いる半導体スイッチング素子として、MOSFETに代えて、IGBTやバイポーラトランジスタ等を用いることも可能である。IGBTやバイポーラトランジスタを用いた場合には、上記寄生ダイオードの代わりとなるダイオードをそれぞれ並列に接続させればよい。
電池ユニットUは、各スイッチ回路SW1~SW4を制御する制御装置21を備えている。制御装置21は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されている。制御装置21は、各蓄電池11,12の蓄電状態等に基づいて、各スイッチ回路SW1~SW4等を制御する。例えば、制御装置21は、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを選択的に用いて充放電を実施する。また、制御装置21には、その上位の制御装置であるECU22が接続されている。制御装置21は、CAN等の通信ネットワークによりECU22等に接続されて相互に通信可能となっており、各種データが互いに共有できるものとなっている。また、電池ユニットUには外部端子P1の電圧を検出する電圧検出器23と、外部端子P2の電圧を検出する電圧検出器24が設けられている。
次に、第1スイッチ回路SW1の構成について説明する。図2は、電池ユニットUにおける第1スイッチ回路SW1の概略構成図である。なお、便宜上第1スイッチ回路SW1を用いて説明するが、第2スイッチ回路SW2の場合でも、接続される蓄電池が、鉛蓄電池11ではなくリチウムイオン蓄電池12となり、第2スイッチ回路SW2が設けられた電気経路L1が電気経路L2となるだけで、その構成は同様である。
電気経路L1は、分岐点N11と分岐点N12との間に互いに並列に設けられた第1経路L11と第2経路L12とを有している。各経路L11,L12には、スイッチング素子30がそれぞれ2つずつ設けられている。各スイッチング素子30は、周知の大電力用のn型のMOSFETであって、常開式の半導体スイッチング素子である。各スイッチング素子30には、そのPN接合に起因した寄生ダイオード31が設けられている。この寄生ダイオード31が「スイッチング素子に並列に接続されたダイオード」に相当する。
各スイッチング素子30には、スイッチング素子30をオンオフするMOSドライバ32が接続されている。MOSドライバ32がスイッチング素子30を駆動するための電圧を印加する。スイッチング素子30がオンになっている状態では、スイッチング素子30のオン抵抗は極めて小さく、その経路抵抗が小さい状態でその経路が通電可能となる。そして、MOSドライバ32は、制御装置21の開閉指令信号に基づいて、スイッチング素子30の駆動を制御する。具体的には、制御装置21によりスイッチング素子30をオンにする(閉状態として電流を流す)指令が出た場合には、スイッチング素子30に所定の電圧を印加する。また、制御装置21によりスイッチング素子30をオフにする(開状態として電流を流さない)指令が出た場合には、スイッチング素子30に印加する電圧を0とする。
各経路L11,L12では、2つ一組のスイッチング素子30が、寄生ダイオード31が互いに逆向きになるように直列に接続されている。より具体的には、各寄生ダイオード31のアノード同士が互いに向き合う状態(バックツーバック状態)で、各スイッチング素子30が直列接続されている。これらのスイッチング素子30のうち、第1経路L11に設けられた2つの第1スイッチング素子30A,30Bが第1回路部C1を構成しており、第2経路L12に設けられた2つの第2スイッチング素子30C,30Dが第2回路部C2を構成している。つまり、第1経路L11には、2つの第1スイッチング素子30A,30Bが、寄生ダイオード31が互いに逆向きになるように直列に接続された第1回路部C1が設けられている。また、第2経路L12には、2つの第2スイッチング素子30C,30Dが、寄生ダイオード31が互いに逆向きになるように直列に接続された第2回路部C2が設けられている。そして、第1回路部C1と第2回路部C2とは互いに並列になっている。
第1スイッチ回路SW1の一端側及び他端側のうち少なくとも一方が鉛蓄電池11に接続された電源側端子になっている。各回路部C1,C2において、分岐点N11側に鉛蓄電池11が接続されており、分岐点N12側に回転電機15が接続されている。そして、各スイッチング素子30のうち、電源側端子の側のスイッチング素子30A,30Cである、つまり分岐点N11側のスイッチング素子30A,30Cが電源側素子となっている。
第1経路L11で直列に接続された各第1スイッチング素子30A,30Bの間には、第1回路部C1に流れる電流を測定するための第1電流センサ40Aが設けられている。また、第2経路L12で直列に接続された各第2スイッチング素子30C,30Dの間には、第2回路部C2に流れる電流を測定するための第2電流センサ40Bが設けられている。各電流センサ40A,40Bは、シャント抵抗41と、シャント抵抗41の両端に接続されるアンプ42と、を有している。そして、各経路L11,L12において、各スイッチング素子30とシャント抵抗41とが直列に接続されている。また、アンプ42は、シャント抵抗41の両端での端子間電圧を検出して、制御装置21に出力する。
また、第1経路L11には、第1経路L11の所定位置での電圧を検出する第1電圧センサ45Aが接続されている。より具体的には、第1電圧センサ45Aは、第1スイッチング素子30A,30Bの間の中間電圧V1を検出している。同様に、第2経路L12にも、第2電圧センサ45Bが設けられ、第2スイッチング素子30C,30Dの間の中間電圧V2を検出している。各スイッチング素子30の中間位置で電圧を検出することで、各スイッチング素子30がオンにならなければ、検出する電圧が0になっている。そして、各電圧センサ45A,45Bで検出した電圧は、制御装置21に出力されている。
本実施形態のような構成では、例えばリチウムイオン蓄電池12の蓄電量に基づいて、第1スイッチ回路SW1をオフ、第2スイッチ回路SW2をオンとしてリチウムイオン蓄電池12の充放電を可能にする状態と、第1スイッチ回路SW1をオン、第2スイッチ回路SW2をオフとして鉛蓄電池11の充放電を可能にする状態との切替が行われる。また、これら各スイッチ回路S1,SW2のオンオフの切替時に、各スイッチ回路SW1,SW2での異常の有無が判定される。ただし、第1スイッチ回路SW1のオン状態において、例えば第1回路部C1側及び第2回路部C2側のいずれかのスイッチング素子30でオフ異常が生じていても第1スイッチ回路SW1に電流が流れることがある。また、第1スイッチ回路SW1のオフ状態において、例えば第1回路部C1側及び第2回路部C2側のいずれかのスイッチング素子30でオン異常が生じていても第1スイッチ回路SW1に電流が流れないことがある。そのため、第1スイッチ回路SW1に流れる電流に基づき各スイッチング素子30のオフ異常又はオン異常を判定する場合に、その異常判定が困難になることが懸念される。
そこで、第1スイッチ回路SW1のオンオフが切り替えられる際に、全てのスイッチング素子30を同時にオンからオフ又はオフからオンに切り替えるのではなく、切替順序に従って各スイッチング素子30のオンオフを切り替える。そして、切替順序に従って各スイッチング素子30のオンオフを切り替えた際の電流の変化を検出することで、各スイッチング素子30の異常を判定することとしている。
また、各スイッチング素子30のオンオフに伴う電流変化に基づいて、各スイッチング素子30の異常を判定する際に、各電流センサ40A,40Bに異常が生じると、電流変化を適正に把握することができない。各電流センサ40A,40Bの異常の場合に、各スイッチング素子30の異常であると判定しフェイルセーフ処理を行うと、そのフェイルセーフ処理が過剰となることが懸念される。そこで、各スイッチング素子30の異常と各電流センサ40A,40Bの異常とを判別できることが望ましい。
以下に、各スイッチ回路SW1,SW2のオンオフを切り替える際、つまりオン状態とするスイッチ回路を切り替える際の制御について具体的に説明する。なお、各スイッチ回路SW1,SW2を切り替える際には、第1スイッチ回路SW1及び第2スイッチ回路SW2が一時的に共にオン状態となる重複期間を設けている。ここでは、第1スイッチ回路SW1における各スイッチング素子30の異常判定について説明する。
第1スイッチ回路SW1の異常判定時には、第1スイッチ回路SW1の切替がオン状態からオフ状態への切替とオフ状態からオン状態への切替とのいずれであるかを第1条件、切替時の電流の向きを第2条件とし、それら各条件に基づいて、各スイッチング素子30の切替順序が設定される。
第1スイッチ回路SW1のオンオフ切替は、
(1)第1スイッチ回路SW1がオンからオフに切り替えられる場合と、
(2)第1スイッチ回路SW1がオフからオンに切り替えられる場合と、
に分けることができ、それら(1),(2)についてそれぞれ別々に切替順序が設定される。そして、その切替順序に応じた各スイッチング素子30の切替が行われる切替期間において、各スイッチング素子30等の異常判定が行われる。
図3は、上記(1),(2)の場合における各スイッチング素子30の切替順序を説明するための説明図である。図3において(a)は、第1スイッチ回路SW1においてオン状態での電流の向きを示し、(b)は、上記(1)の場合における各スイッチング素子30の切替順序とその切替に伴う電流及び電圧の変化とを示し、(c)は、上記(2)の場合における各スイッチング素子30の切替順序とその切替に伴う電流及び電圧の変化とを示している。
図3(a)では、第1スイッチ回路SW1において、オン状態での電流の向き(第2条件)を、いずれも鉛蓄電池11側から回転電機15側に電流が流れる向きとしている。図3(a)に示す電流の向きは、上記(1)の場合にはオフ状態への切替前のオン状態での電流の向きであり、上記(2)の場合にはオフ状態からの切替後のオン状態での電流の向きである。
ここで、第1回路部C1及び第2回路部C2では、直列接続された各スイッチング素子30は、それらの寄生ダイオード31の向きと電流の向きとに応じて、一方が電流の向きに対して逆方向(通電逆方向)となる「逆方向素子」と、他方が電流の向きに対して順方向(通電順方向)となる「順方向素子」とのいずれかとなる。図3(a)の場合には、鉛蓄電池11側から回転電機15側に電流が流れるため、第1回路部C1の第1スイッチング素子30Aと第2回路部C2の第2スイッチング素子30Cとが逆方向素子になり、第1回路部C1の第1スイッチング素子30Bと第2回路部C2の第2スイッチング素子30Dとが順方向素子になっている。説明の便宜上、図3(a)の状態を前提とする記載では、第1スイッチング素子30Aを「逆方向素子30A」、第1スイッチング素子30Bを「順方向素子30B」、第2スイッチング素子30Cを「逆方向素子30C」、第2スイッチング素子30Dを「順方向素子30D」とも称する。
逆方向素子30A,30Cでは、オンになっている状態で導通状態となり、オフになっている状態で導通が遮断される。また、順方向素子30B,30Dでは、オンになっている状態及びオフになっている状態のいずれでも導通状態となる。ただし、順方向素子30B,30Dにおいてオフになっている状態での導通時には、寄生ダイオード31を介した導通となるため、オンになっている状態に比べて経路抵抗が大きくなるようになっている。
(1)オン→オフ切替の場合
第1スイッチ回路SW1のオンからオフへの切替時には、図3(b)に示すように、順方向素子30B→順方向素子30D→逆方向素子30A→逆方向素子30Cの順で切替順序が設定され、各々異なるタイミングで各スイッチング素子30がオンからオフに切り替えられる。
各タイミングについて具体的に説明する。順方向素子30Bがオフに切り替えられるタイミングt1では、順方向の寄生ダイオード31により順方向素子30Bの導通状態は継続されるものの、経路抵抗が増加する。そのため、第1回路部C1に流れる電流I1が減少する。また、第1回路部C1及び第2回路部C2の経路抵抗の差に応じて、第2回路部C2に流れる電流I2が増加する。
順方向素子30Dがオフに切り替えられるタイミングt2では、順方向の寄生ダイオード31により順方向素子30Dの導通状態は継続されるものの、経路抵抗が増加する。この場合、各回路部C1,C2で経路抵抗が等しい状態に戻るため、電流I1が増加するとともに電流I2が減少し、各回路部C1,C2に流れる電流I1,I2が等しい状態となる。
逆方向素子30Aがオフに切り替えられるタイミングt3では、逆方向素子30Dの導通遮断に伴い、第1回路部C1の通電が遮断される。そのため、電流I1がゼロになる。また、第1スイッチ回路SW1の通電が第1回路部C1及び第2回路部C2の並列通電から、第2回路部C2のみの通電に切り替わるため、電流I2が増加する。さらに、第1回路部C1の通電遮断に伴い、第1回路部C1の中間電圧V1がゼロになる。
逆方向素子30Cがオフに切り替えられるタイミングt4では、逆方向素子30Cの導通遮断に伴い、第2回路部C2の通電が遮断される。そのため、電流I2もゼロになる。また、第2回路部C2の通電遮断に伴い、第2回路部C2の中間電圧V2がゼロになる。
次に、上記のとおり第1スイッチ回路SW1のオンからオフへの切替が行われる際の各部の異常判定について、図4及び図5を用いて説明する。
第1回路部C1においては、
図4(a1)に示す逆方向素子30Aのオン故障
図4(a2)に示す順方向素子30Bのオン故障
図4(a3)に示す第1電流センサ40Aの故障
図4(a4)に示す第1電圧センサ45Aの故障
について異常判定が可能である。なお、図4において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図3(b)と同様である。また、図4において、異常時との比較のために、図3(b)で示した正常時の電流等を「(a0)正常」として示す。
逆方向素子30Aのオン故障が生じている場合には、図4(a1)に示すように、逆方向素子30Aに対してオフ切替を指令してもその前後で電流I1や中間電圧V1の変化が生じない(図4のタイミングt3)。これにより、逆方向素子30Aのオン故障の判定が可能となっている。
順方向素子30Bのオン故障が生じている場合には、図4(a2)に示すように、順方向素子30Bに対してオフ切替を指令してもその前後で電流I1の変化が生じない(図4のタイミングt1)。また、第1回路部C1の経路抵抗が変化しないため、電流I2にも変化が生じない(図4のタイミングt1)。
また、第1電流センサ40Aの故障が生じている場合には、図4(a3)に示すように、逆方向素子30A及び順方向素子30Bをオフにしても、電流I1に変化が生じない(図4のタイミングt1、t3)。一方で、逆方向素子30Aをオフにした際に中間電圧V1が変化する(図4のタイミングt3)。逆方向素子30Aをオフにした際に電流I1が変化せず、中間電圧V1が変化する場合には、第1電流センサ40Aの故障であると判別できる。
第1電圧センサ45Aの故障が生じている場合には、図4(a4)に示すように、逆方向素子30Aをオフにすると、電流I1の変化が生じる一方で、中間電圧V1の変化が生じない(図4のタイミングt3)。これにより、第1電圧センサ45Aの故障が判定できる。
また、第2回路部C2においては、
図5(b1)に示す逆方向素子30Cのオン故障
図5(b2)に示す順方向素子30Dのオン故障
図5(b3)に示す第2電流センサ40Bの故障
図5(b4)に示す第2電圧センサ45Bの故障
について異常判定が可能である。なお、図5において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図3(b)と同様である。また、図5において、異常時との比較のために、図3(b)で示した正常時の電流等を「(b0)正常」として示す。
逆方向素子30Cのオン故障が生じている場合には、図5(b1)に示すように、逆方向素子30Cに対してオフ切替を指令してもその前後で電流I2や中間電圧V2の変化が生じない(図5のタイミングt4)。これにより、逆方向素子30Cのオン故障の判定が可能となっている。
順方向素子30Dのオン故障が生じている場合には、図5(b2)に示すように、順方向素子30Dに対してオフ切替を指令してもその前後で電流I2の変化が生じない(図5のタイミングt2)。また、第2回路部C2の経路抵抗が変化しないため、電流I1にも変化が生じない(図5のタイミングt2)。
また、第2電流センサ40Bの故障が生じている場合には、図5(b3)に示すように、逆方向素子30C及び順方向素子30Dをオフにしても、電流I2に変化が生じない(図5のタイミングt2、t4)。一方で、逆方向素子30Cをオフにした際に中間電圧V2が変化する(図5のタイミングt4)。逆方向素子30Cをオフにした際に電流I2が変化せず、中間電圧V2が変化する場合には、第2電流センサ40Bの故障であると判別できる。
第2電圧センサ45Bの故障が生じている場合には、図5(b4)に示すように、逆方向素子30Cをオフにすると、電流I2の変化が生じる一方で、中間電圧V2の変化が生じない(図5のタイミングt4)。これにより、第2電圧センサ45Bの故障が判定できる。
第1スイッチ回路SW1をオンからオフに切り替える際には、逆方向素子30A,30Cと順方向素子30B,30Dとは、順方向素子30B,30Dが先、逆方向素子30A,30Cが後となる順序で、これら各スイッチング素子30がオンからオフに切り替えられる。つまり、異常判定対象となる第1回路部C1における2つの第1スイッチング素子30A,30Bのうち順方向素子30Bのオフ切替が、逆方向素子30Aがオンになっている状態で切り替えられるように切替順序が設定されている。同様に、異常判定対象となる第2回路部C2における2つの第2スイッチング素子30C,30Dのうち順方向素子30Dのオフ切替が、逆方向素子30Cがオンになっている状態で切り替えられるように切替順序が設定されている。これにより、各回路部C1,C2が導通状態で、順方向素子30B,30Dを切り替えることで、正常時には順方向素子30B,30Dのオンオフに伴い電流I1,I2が変化する一方、異常時には電流I1,I2が変化しないことで、順方向素子30B,30Dの異常判定を行うことができる。
また、逆方向素子30Cがオンになっている状態で、順方向素子30B,30Dは、オンからオフに切り替えられる。つまり、順方向素子30Bについては、第2経路L12が通電状態になっている状態でオンからオフに切り替えられるように切替順序が設定されている。同様に、順方向素子30Dについては、第1経路L11が通電状態になっている状態でオンからオフに切り替えられるように切替順序が設定されている。これにより、順方向素子30B,30Dのオンオフに伴って、第1経路L11と第2経路L12との分流比が変わるため、電流変化が顕著になる。
さらに、逆方向素子30Aがオフになり、第2経路L12のみが通電状態となる場合に、その時点では順方向素子30Dがオフになっている。つまり、第1経路L11及び第2経路L12のうち一方の経路のみが通電される状態において、順方向素子30Dがオフになっているように切替順序が設定されている。これにより、一方の経路のみが通電状態となる場合には、その経路の経路抵抗が高い状態となっている。そのため、大電流が流れることを抑制できる。
(2)オフ→オン切替の場合
第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替時には、図3(c)に示すように、逆方向素子30A→逆方向素子30C→順方向素子30B→順方向素子30Dの順で切替順序が設定され、各々異なるタイミングで各スイッチング素子30がオフからオンに切り替えられる。
各タイミングについて具体的に説明する。逆方向素子30Aがオンに切り替えられるタイミングt11では、第1回路部C1が通電状態となり、電流I1が流れる。また、中間電圧V1が発生する。
逆方向素子30Cがオンに切り替えられるタイミングt12では、第2回路部C2が通電状態となり、電流I2が流れる。このとき、各回路部C1,C2で経路抵抗が等しくなり、I1=I2となる。また、中間電圧V2が発生する。
順方向素子30Bがオンに切り替えられるタイミングt13では、順方向素子30Bの経路抵抗が減少するため、電流I1が増加する。また、各回路部C1,C2の経路抵抗の差に応じて、電流I2が減少する。
順方向素子30Dがオンに切り替えられるタイミングt14では、順方向素子30Dの経路抵抗が減少し、各回路部C1,C2で経路抵抗が等しい状態に戻るため、電流I1が減少するとともに電流I2が増加し、各回路部C1,C2に流れる電流I1,I2が等しい状態となる。
次に、上記のとおり第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替が行われる際の各部の異常判定について、図6及び図7を用いて説明する。
第1回路部C1においては、
図6(a1)に示す逆方向素子30Aのオフ故障
図6(a2)に示す順方向素子30Bのオフ故障
図6(a3)に示す第1電流センサ40Aの故障
図6(a4)に示す第1電圧センサ45Aの故障
を対象にして異常判定が可能である。なお、図6において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図3(c)と同様である。また、図6において、異常時との比較のために、図3(c)で示した正常時の電流等を「(a0)正常」として示す。
逆方向素子30Aのオフ故障が生じている場合には、図6(a1)に示すように、逆方向素子30Aに対してオン切替を指令してもその前後で電流I1や中間電圧V1の変化が生じない(図6のタイミングt11)。これにより、逆方向素子30Aのオフ故障の判定が可能となっている。なお、逆方向素子30Aがオフ故障の場合には、順方向素子30Bがオンになると中間電圧V1が変化する(図6のタイミングt13)。
順方向素子30Bのオフ故障が生じている場合には、図6(a2)に示すように、順方向素子30Bに対してオン切替を指令してもその前後で電流I1の変化が生じない(図6のタイミングt13)。また、第1回路部C1の経路抵抗が変化しないため、電流I2にも変化が生じない(図6のタイミングt11)。
また、第1電流センサ40Aの故障が生じている場合には、図6(a3)に示すように、逆方向素子30A及び順方向素子30Bをオンにしても、電流I1に変化が生じない(図6のタイミングt11、t13)。一方で、逆方向素子30Aをオンにした際に中間電圧V1が変化する(図6のタイミングt11)。逆方向素子30Aをオンにした際に電流I1が変化せず、中間電圧V1が変化する場合には、第1電流センサ40Aの故障であると判別できる。
第1電圧センサ45Aの故障が生じている場合には、図6(a4)に示すように、逆方向素子30Aをオンにすると、電流I1の変化が生じる一方で、中間電圧V1の変化が生じない(図6のタイミングt11)。これにより、第1電圧センサ45Aの故障が判定できる。
また、第2回路部C2においては、
図7(b1)に示す逆方向素子30Cのオン故障
図7(b2)に示す順方向素子30Dのオン故障
図7(b3)に示す第2電流センサ40Bの故障
図7(b4)に示す第2電圧センサ45Bの故障
を対象にして異常判定が可能である。なお、図7において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図3(c)と同様である。また、図7において、異常時との比較のために、図3(c)で示した正常時の電流等を「(b0)正常」として示す。
逆方向素子30Cのオフ故障が生じている場合には、図7(b1)に示すように、逆方向素子30Cに対してオン切替を指令してもその前後で電流I2や中間電圧V2の変化が生じない(図7のタイミングt12)。これにより、逆方向素子30Cのオフ故障の判定が可能となっている。
順方向素子30Dのオフ故障が生じている場合には、図7(b2)に示すように、順方向素子30Dに対してオン切替を指令してもその前後で電流I2の変化が生じない(図7のタイミングt14)。また、第2回路部C2の経路抵抗が変化しないため、電流I1にも変化が生じない(図7のタイミングt14)。
また、第2電流センサ40Bの故障が生じている場合には、図7(b3)に示すように、逆方向素子30C及び順方向素子30Dをオンにしても、電流I2に変化が生じない(図7のタイミングt12、t14)。一方で、逆方向素子30Cをオンにした際に中間電圧V2が変化する(図7のタイミングt12)。逆方向素子30Cをオンにした際に電流I2が変化せず、中間電圧V2が変化する場合には、第2電流センサ40Bの故障であると判別できる。
第2電圧センサ45Bの故障が生じている場合には、図7(b4)に示すように、逆方向素子30Cをオンにすると、電流I2の変化が生じる一方で、中間電圧V2の変化が生じない(図7のタイミングt12)。これにより、第2電圧センサ45Bの故障が判定できる。
第1スイッチ回路SW1をオフからオンに切り替える際には、逆方向素子30A,30Cと順方向素子30B,30Dとは、逆方向素子30A,30Cが先、順方向素子30B,30Dが後となる順序で、これら各スイッチング素子30がオフからオンに切り替えられる。つまり、異常判定対象となる第1回路部C1における2つの第1スイッチング素子30A,30Bのうち順方向素子30Bのオン切替が、逆方向素子30Aがオンになっている状態で切り替えられるように切替順序が設定されている。同様に、異常判定対象となる第2回路部C2における2つの第2スイッチング素子30C,30Dのうち順方向素子30Dのオン切替が、逆方向素子30Cがオンになっている状態で切り替えられるように切替順序が設定されている。これにより、各回路部C1,C2が導通状態で、順方向素子30B,30Dを切り替えることで、正常時には順方向素子30B,30Dのオンオフに伴い電流I1,I2が変化する一方、異常時には電流I1,I2が変化しないことで、順方向素子30B,30Dの異常判定を行うことができる。
また、逆方向素子30Cがオンになっている状態で、順方向素子30Bは、オフからオンに切り替えられる。つまり、順方向素子30Bについては、第2経路L12が通電状態でオフからオンに切り替えられるように切替順序が設定されている。同様に、順方向素子30Dについては、第1経路L11が通電状態でオフからオンに切り替えられるように切替順序が設定されている。これにより、順方向素子30B,30Dのオンオフに伴って、第1経路L11と第2経路L12との分流比が変わるため、電流変化が顕著になる。
さらに、逆方向素子30Aがオンになり、第1経路L11のみが通電状態となる場合に、その時点では順方向素子30Bがオフになっている。つまり、第1経路L11及び第2経路L12のうち一方の経路のみが通電される状態において、順方向素子30Bがオフになっているように切替順序が設定されている。これにより、一方の経路のみが通電状態となる場合には、その経路の経路抵抗が高い状態となっている。そのため、大電流が流れることを抑制できる。
また、第1スイッチ回路SW1のオフ状態からオン状態への切替時に、オン切替直後の電流の向きが不明なことがある。重複期間においては、第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2とが共にオンとなり、両蓄電池11,12が互いに電気接続された状態になることから、両蓄電池11,12の電圧差に応じて意図せぬ向きで電流が流れることも考えられる。
そこで、本実施形態では、第1スイッチ回路SW1の4つのスイッチング素子30のうちいずれか1つ(例えば、第1回路部C1における2つのスイッチング素子30A,30Bのうち一方)をオンに切り替え、そのオン切替に伴う第1スイッチ回路SW1に流れる電流の変化に基づいて、第1スイッチ回路SW1における電流の向きを判定することとしている。
例えば、図2において、第1回路部C1における電源側素子である第1スイッチング素子30Aをオンにする。この第1スイッチング素子30Aのオン切替に伴い、第1回路部C1に流れる電流に変化がある場合、つまり第1回路部C1に電流が流れる場合、この第1スイッチング素子30Aが通電上流側となる向きで電流が流れると判定する。つまり、電源側素子である第1スイッチング素子30Aが逆方向素子であるととみなすことができる。この場合、第1スイッチ回路SW1のオフ状態からオン状態への切替であり、かつ鉛蓄電池11から回転電機15に電流が流れることに基づいて、各スイッチング素子30の切替順序が設定される。ただし、その切替順序及び異常判定は、図3(c)、図6及び図7と同様になるため、その説明を省略する。
一方、この第1スイッチング素子30Aのオン切替に伴い、第1回路部C1に流れる電流に変化がない場合、つまり第1回路部C1に電流が流れないままとなる場合には、第1スイッチング素子30Aが通電下流側となる向きで電流が流れているか、又は第1スイッチング素子30Aの故障が生じているかのいずれかであると判定する。これらのいずれかであるかは、第1電圧センサ45Aで取得される中間電圧V1により判定が可能である。中間電圧V1が変化する場合、つまり中間電圧V1が鉛蓄電池11の電源電圧に応じた値になる場合には、第1スイッチング素子30Aが通電下流側となる向きで電流が流れる(図8(a0)参照)と判定される。中間電圧V1が変化しない場合、つまり中間電圧V1が0Vのままの場合、第1スイッチング素子30Aが故障であると判定される(図6(a1)及び図8(a1)参照)。
なお、第1スイッチング素子30Bをオンにした場合であっても、同様に電流の向きを判定することができる。具体的には、第1スイッチング素子30Bのオン切替に伴い、第1回路部C1に流れる電流に変化がある場合、この第1スイッチング素子30Bが通電上流側となる向きで電流が流れると判定できる。第1スイッチング素子30Bのオン切替に伴い、第1回路部C1に流れる電流に変化がない場合、この第1スイッチング素子30Bが通電下流側となる向きで電流が流れると判定できる。また、重複期間中は、第2スイッチ回路SW2もオン状態となっていることから、分岐点N12にもリチウムイオン蓄電池12の電圧が印加されていることになる。そのため、重複期間中は、第1スイッチング素子30Bも電源側素子とみなすことができる。
図8及び図9は、オフ状態で電流の向きが不明で、電流の向きを判定して、切替順序を設定した場合の説明図である。この図においては、電流の向きが回転電機15側から鉛蓄電池11側に流れることが判定されている。図8(a0)を用いて、切替順序を説明する。なお、図8(a0)は、図9(b0)と同じ図である。また、図8及び図9において各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図8(a0)と同じである。
図8(a0)の場合には、回転電機15側から鉛蓄電池11側に電流が流れるため、第1回路部C1の第1スイッチング素子30Aと第2回路部C2の第2スイッチング素子30Cとが順方向素子になり、第1回路部C1の第1スイッチング素子30Bと第2回路部C2の第2スイッチング素子30Dとが逆方向素子になっている。説明の便宜上、図8(a0)の状態を前提とする記載では、第1スイッチング素子30Aを「順方向素子30A」、第1スイッチング素子30Bを「逆方向素子30B」、第2スイッチング素子30Cを「順方向素子30C」、第2スイッチング素子30Dを「逆方向素子30D」とも称する。
第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替時には、図8(a0)に示すように、まず、電流の向きを判定するために、電源側素子である鉛蓄電池11側の第1スイッチング素子30Aがオンにされる(図8タイミングt21)。そして、この結果、第1回路部C1が通電状態にならず、中間電圧V1に変化があった場合には、このスイッチング素子が通電下流側となる向き、つまり回転電機15側から鉛蓄電池11側に電流が流れると判定する。そして、電流の向きを判定した結果、オンにした第1スイッチング素子30Aが順方向素子になるため、一端オフにする。
そして、判定した電流の向きに基づいて、逆方向素子30D→逆方向素子30B→順方向素子30C及び順方向素子30Aの順で切替順序が設定され、各々異なるタイミングで各スイッチング素子30がオフからオンに切り替えられる。なお、順方向素子30Aが正常であると判定されているため順方向素子30A,30Cを同時にオンにしているが、別々のタイミングでオンにしてもよい。
電流の向きが判定された後の各タイミングについて具体的に説明する。逆方向素子30Dがオンに切り替えられるタイミングt22では、第2回路部C2が通電状態となり、電流I2が流れる。また、中間電圧V2が発生する。
逆方向素子30Bがオンに切り替えられるタイミングt23では、第1回路部C1が通電状態となり、電流I1が流れる。このとき、各回路部C1,C2で経路抵抗が等しくなり、I1=I2となる。また、中間電圧V1が発生する。
順方向素子30A,30Cがオンに切り替えられるタイミングt24では、順方向素子30A,30Cの経路抵抗が減少し、各回路部C1,C2で経路抵抗が等しい状態であるため、電流I1,I2が増加し、各回路部C1,C2に流れる電流I1,I2が等しい状態となる。
次に、上記のとおり第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替が行われる際の各部の異常判定について説明する。第1回路部C1においては、図8(a1)に示す順方向素子30Aのオン故障、図8(a2)に示す逆方向素子30Bのオン故障、図8(a3)に示す第1電流センサ40Aの故障、図8(a4)に示す第1電圧センサ45Aの故障について異常判定が可能である。なお、図8において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図8(a0)と同様である。また、具体的な判定方法については、順方向素子30Aについての判定方法が上述の通り異なる他は、図6とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
また、第2回路部C2においては、図9(b1)に示す順方向素子30Cのオン故障、図9(b2)に示す逆方向素子30Dのオン故障、図9(b3)に示す第2電流センサ40Bの故障、図9(b4)に示す第2電圧センサ45Bの故障について異常判定が可能である。なお、図9において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図8(a0)と同様である。また、具体的な判定方法については、図7とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
第1スイッチ回路SW1をオフからオンに切り替える際に、まず電流の向きを判定することがある。この場合に、電源側素子である第1スイッチング素子30Aをまずオンに切り替え、そのオン切替に伴う電流の変化に基づいて、電流の向きを判定する。電源側素子である第1スイッチング素子30Aをオンにしても電流が流れなければ、この素子30Aが通電下流側であると判定する。一方、この素子30Aをオンにして、電流が流れれば、この素子が通電上流側であると判定する。このように、オフ状態からオン状態への切替を実施する場合において事前に電流の向きが把握できていなくても、電流の向きを把握でき、把握した電流の向きに基づいて、各スイッチング素子30のオンオフの切替順序を定めることで、スイッチング素子30の異常に起因して生じる電流変化を適正に把握できる。
なお、電源側素子である第1スイッチング素子30Aをオンにしても、電流I1が変化せず、中間電圧V1が電源電圧に応じた電圧値とならない場合には、この素子30A自体に異常が発生していると判定する。これにより、素子30A自体に異常が発生しているのか、通電下流側になるから電流が流れないのかを判別することができる。
また、電流の向きの判定を行った電源側素子である順方向素子30Aが設けられていない回路部である第2回路部C2の逆方向素子30Dから通電を行うように切替順序を設定している。これにより、順方向素子30Aをオフにした過渡状態の影響を受けることを抑制することができる。
図10は、第1スイッチ回路SW1のオンオフを切り替える際のフローチャートである。本フローチャートによる処理は、制御装置21により、周期的に実行される。なお、図10では、第1スイッチ回路SW1を対象としているが、第2スイッチ回路SW2についても同様の処理を実施する。
S10では、各蓄電池11,12の充電状況等に基づいて、各スイッチ回路SW1,SW2のうちオン状態にするスイッチ回路を切り替えるかを判定する。具体的には、各蓄電池11,12の充電状況等に基づいて、第1スイッチ回路SW1をオン状態からオフ状態又はオフ状態からオン状態にするかを判定する。第1スイッチ回路SW1のオンオフを切り替える状態でないと判定されている場合(S10:No)には、本フローチャートの処理を終了する。
S10で、第1スイッチ回路SW1のオンオフを切り替える状態であると判定されている場合(S10:Yes)には、S11に進む。S11では、異常の判定対象を設定する。具体的には、第1回路部C1及び第2回路部C2の両方を異常判定対象とするのか、いずれか一方を異常判定対象とするのかを設定する。異常判定対象は、異常判定を前回実施してからの経過時間等に基づいて設定される。
S12では、第1スイッチ回路SW1がオン状態からオフ状態になるのかを判定する。S12で、第1スイッチ回路SW1がオン状態からオフ状態になる場合、つまりオンオフの切替前の第1スイッチ回路SW1がオン状態である場合であると判定されると(S12:Yes)、S21に進む。
S21では、電流の向きを取得する。第1スイッチ回路SW1がオン状態では、各電流センサ40A,40Bが各回路部C1,C2に流れる電流を検出している。そして、各回路部C1,C2に流れる電流の検出値から電流の向きを特定することができる。
S22では、各スイッチング素子30の切替順序を設定する。第1スイッチ回路SW1のオンオフ切替がオン状態からオフ状態への切替とオフ状態からオン状態への切替とのいずれであるか(第1条件)と、その切替時の電流の向き(第2条件)と、異常判定対象(第3条件)とに応じて切替順序を設定する。なお、S22が「設定部」に相当する。
異常判定対象が両回路部C1,C2であって、第1スイッチ回路SW1のオンオフ切替がオン状態からオフ状態への切替である場合には、図3(b)に示す切替順序を、各スイッチング素子30をオフする際の切替順序とする。また、異常判定対象が両回路部C1,C2であって、第1スイッチ回路SW1のオンオフ切替がオフ状態からオン状態への切替である場合には、図3(c)に示す切替順序を、各スイッチング素子30をオンする際の切替順序とする。
続くS23では、S22で設定した切替順序に応じて、各スイッチング素子30のオンオフの切替を実施する。そして、S24では、各スイッチング素子30のオンオフを切り替えた際の、各回路部C1,C2に流れる各電流I1,I2及び各中間電圧V1,V2を取得する。具体的には、各スイッチング素子30のオンオフを切り替えた際の各電流センサ40A,40B及び各電圧センサ45A,45Bで検出した値を取得する。そして、S40では、異常判定対象となる各回路部C1,C2の異常判定を実施する。異常判定については後述する。なお、S24が「電流取得部」、「中間電圧取得部」及び「電圧取得部」に相当し、S40が「異常判定部」に相当する。
S12で、第1スイッチ回路SW1がオン状態からオフ状態になる場合でない、つまりオンオフの切替前の第1スイッチ回路SW1がオフ状態である場合と判定されると(S12:No)、S31に進む。
S31では、電流の向きを判定する必要があるかを判定する。第1スイッチ回路SW1のオフ状態では、各電流センサ40A,40Bが電流を検出しておらず、各電流センサ40A,40Bの検出値から電流の向きを判定することができない。そこで、電流の向きを判定する必要があるか、具体的には、第1スイッチ回路SW1外部の情報、例えば、外部端子P1,P2の電圧から電流の向きを推定できるかを判定する。外部端子P1,P2の電圧(電圧検出器23,24の検出値)から電流の向きを推定でき、電流の向きを判定する必要がない場合(S31:No)には、S21に進む。なお、意図せぬ向きで電流が流れる可能性を考慮し、常に、S32に進むようにしてもよい。
S21では、電流の向きを取得する。外部端子P1,P2の電圧に基づいて、電流の向きを推定し、S22以降の処理を行う。
S40の異常判定処理について、図11を用いて説明する。図11は、異常判定処理を実施するためのフローチャートである。
S41では、異常判定対象の逆方向素子のオンオフを切り替えた際に、電流変化があったかを判定する。S41で、電流変化がなかった場合(S41:No)、S42では、逆方向素子のオンオフを切り替えた際に、異常判定対象のスイッチ回路が設けられた経路の電圧に変化があったかを判定する。
S42で、電圧に変化がなかった場合(S42:No)、S43では、逆方向素子の異常であると判定し、フェイルセーフ処理を行う。具体的には、フェイルセーフ処理として、第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2との切替を中止する。つまり、第1スイッチ回路SW1をオン状態からオフ状態に切り替える場合には、第1スイッチ回路SW1をオン状態に、つまり第1スイッチ回路SW1の全てのスイッチング素子30をオンにする。同時に、第2スイッチ回路SW2をオフ状態に、つまり第2スイッチ回路SW2の全てのスイッチング素子をオフにする。第1スイッチ回路SW1をオフ状態からオン状態に切り替える場合には、第1スイッチ回路SW1をオフ状態にし、第2スイッチ回路SW2をオン状態にする。また、異常をECU22等に通知する。
また、S42で、電圧に変化があった場合(S42:Yes)、S44では、電流センサの異常であると判定し、フェイルセーフ処理を行う。具体的には、フェイルセーフ処理として、一方の電流センサの異常の場合に他方の電流センサの値を用いるようにしつつ、異常をECU22等に通知する。
第1スイッチ回路SW1のオンからオフへの切替時には、例えば、図4(a1)に示すように、第1回路部C1において逆方向素子30Aのオフ切替時に電流I1の変化が生じておらず、かつ中間電圧V1の変化が生じていないことに基づいて、逆方向素子30Aが異常であると判定される。また、図4(a3)に示すように、逆方向素子30Aのオフ切替時に電流I1の変化が生じておらず、かつ中間電圧V1の変化が生じていることに基づいて、第1電流センサ40Aが異常であると判定される。第2回路部C2においても同様である。
また、第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替時には、例えば、図6(a1)に示すように、第1回路部C1において逆方向素子30Aのオン切替時に電流I1の変化が生じておらず、かつ中間電圧V1の変化が生じていないことに基づいて、逆方向素子30Aが異常であると判定される。また、図6(a3)に示すように、逆方向素子30Aのオン切替時に電流I1の変化が生じておらず、かつ中間電圧V1の変化が生じていることに基づいて、第1電流センサ40Aが異常であると判定される。第2回路部C2においても同様である。
S41で、逆方向素子のオンオフを切り替えた際に電流変化があった場合(S41:Yes)、逆方向素子及び電流センサには異常がないと判定し、S45に進む。S45では、異常判定対象の順方向素子のオンオフを切り替えた際に、電流変化があったかを判定する。S45で、電流変化がなかった場合(S45:No)、S46では、順方向素子の異常であると判定し、フェイルセーフ処理を行う。具体的には、フェイルセーフ処理として、第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2との切替を中止しつつ、異常をECU22等に通知する。
第1スイッチ回路SW1のオンからオフへの切替時には、例えば、図4(a2)に示すように、第1回路部C1において順方向素子30Bのオフ切替時に電流I1の変化が生じていないことに基づいて、順方向素子30Bが異常であると判定される。第2回路部C2においても同様である。また、第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替時には、例えば、図6(a2)に示すように、第1回路部C1において順方向素子30Bのオン切替時に電流I1の変化が生じていないことに基づいて、順方向素子30Bが異常であると判定される。第2回路部C2においても同様である。
S45で、順方向素子のオンオフを切り替えた際に、電流変化があった場合(S45:Yes)、順方向素子には異常がないと判定し、S47に進む。S47では、逆方向素子のオンオフを切り替えた際に、異常判定対象のスイッチ回路が設けられた経路の電圧に変化があったかを判定する。S47で、電圧に変化がなかった場合(S47:No)、S48では、電圧センサの異常であると判定し、フェイルセーフ処理を行う。具体的には、フェイルセーフ処理として、一方の電圧センサの異常の場合に他方の電圧センサの値を用いるようにしつつ、異常をECU22等に通知する。
第1スイッチ回路SW1のオンからオフへの切替時には、例えば、図4(a4)に示すように、逆方向素子30Aのオフ切替時に中間電圧V1の変化が生じていないことに基づいて、第1電圧センサ45Aが異常であると判定される。第2回路部C2においても同様である。また、第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替時には、図6(a4)に示すように、逆方向素子30Aのオン切替時に中間電圧V1の変化が生じていないことに基づいて、第1電圧センサ45Aが異常であると判定される。第2回路部C2においても同様である。
図10のフローチャートに戻って説明する。S40で、図11の異常判定処理を実行すると、フローチャートの処理を終了する。
また、S31で、電流の向きを判定する必要があると判定した場合(S31:Yes)には、S32に進む。S32では、電源である鉛蓄電池11側のスイッチング素子である電源側素子のオンオフを切り替える。
S33では、電源側素子に異常が有るかを判定する。具体的には、各電流センサ40A,40Bで検出した電流I1,I2及び各電圧センサ45A,45Bで検出した中間電圧V1,V2に変化があるかを判定する。各電流I1,I2及び各中間電圧V1,V2に変化がない場合(S33:Yes)には、電源側素子が異常であると判定し、S34に進む。
例えば、図6(a1)に示すように、第1回路部C1において電源側素子である逆方向素子30Aのオン切替時に電流I1の変化が生じておらず、かつ中間電圧V1の変化が生じていないことに基づいて、逆方向素子30Aが異常であると判定される。また、図8(a1)に示すように、第1回路部C1において電源側素子である順方向素子30Aのオン切替時に電流I1の変化が生じておらず、かつ中間電圧V1の変化が生じていないことに基づいて、順方向素子30Aが異常であると判定される。
S34では、電源側素子の異常であるとして、フェイルセーフ処理を行う。具体的には、フェイルセーフ処理として、第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2との切替を中止しつつ、異常をECU22等に通知する。
電流I1,I2や中間電圧V1,V2に変化がある場合(S33:No)には、電源側素子に異常がないと判定し、S35に進む。S35では、電源側素子のオンオフを切り替えに伴う電流の変化に基づいて、電流の向きを判定する。具体的には、電源側素子のオンオフに伴い電流に変化がある場合には、オンにした電源素子が通電上流側になる向きで電流が流れると判定する。一方、電流に変化がない場合には、オンにしたスイッチング素子が通電下流側となる向きで電流が流れると判定する。なお、S35が「電流判定部」に相当する。
S36では、S35で判定した電流の向きに基づいて、各スイッチング素子30の切替順序を設定する。異常判定対象が両回路部C1,C2であって、鉛蓄電池11側から回転電機15側に電流が流れ、第1スイッチ回路SW1のオンオフ切替がオフ状態からオン状態への切替である場合には、図3(c)に示す切替順序を、各スイッチング素子30をオンする際の切替順序とする。異常判定対象が両回路部C1,C2であって、回転電機15側から鉛蓄電池11側に電流が流れ、第1スイッチ回路SW1のオンオフ切替がオフ状態からオン状態への切替である場合には、図8(a0)に示す切替順序を、各スイッチング素子30をオンする際の切替順序とする。
S37では、S36で設定した切替順序に応じて、各スイッチング素子30のオンオフが切り替えられる。そして、S38では、各スイッチング素子30のオンオフを切り替えた際の、各回路部C1,C2に流れる各電流I1,I2及び各中間電圧V1,V2を取得する。そして、S40では、異常判定処理を実行して、処理を終了する。
次に、異常判定対象が第1回路部C1だけの場合の切替順序の設定および異常判定処理について説明する。図12は、第1スイッチ回路SW1をオン状態からオフ状態に切り替える場合のタイムチャートである。図12では、鉛蓄電池11側から回転電機15側に電流が流れており、第1回路部C1のみを異常判定の対象としている。
第1スイッチ回路SW1のオンからオフへの切替時には、図12(a0)に示すように、順方向素子30B→逆方向素子30C及び順方向素子30D→逆方向素子30Aの順で切替順序が設定され、異常判定対象となる第1回路部C1の第1スイッチング素子30A,30Bが異なるタイミングとなるように、各スイッチング素子30がオンからオフに切り替えられる。なお、切替にかかる時間を抑制するために、異常判定の対象となっていない第2スイッチング素子30C,30Dは同時にオフにされることが望ましい。
各タイミングについて具体的に説明する。順方向素子30Bがオフに切り替えられるタイミングt31では、順方向の寄生ダイオード31により順方向素子30Bの導通状態は継続されるものの、経路抵抗が増加する。そのため、第1回路部C1に流れる電流I1が減少する。また、第1回路部C1及び第2回路部C2の経路抵抗の差に応じて、第2回路部C2に流れる電流I2が増加する。
逆方向素子30C及び順方向素子30Dがオフに切り替えられるタイミングt32では、逆方向素子30Cの導通遮断に伴い、第2回路部C2の通電が遮断される。そのため、電流I2もゼロになる。また、第2回路部C2の通電遮断に伴い、第2回路部C2の中間電圧V2がゼロになる。さらに、第1スイッチ回路SW1の通電が第1回路部C1及び第2回路部C2の並列通電から、第1回路部C1のみの通電に切り替わるため、電流I1が増加する。
逆方向素子30Aがオフに切り替えられるタイミングt3では、逆方向素子30Dの導通遮断に伴い、第1回路部C1の通電が遮断される。そのため、電流I1がゼロになる。さらに、第1回路部C1の通電遮断に伴い、第1回路部C1の中間電圧V1がゼロになる。
第1回路部C1においては、図12(a1)に示す逆方向素子30Aのオン故障、図12(a2)に示す順方向素子30Bのオン故障、図12(a3)に示す第1電流センサ40Aの故障、図12(a4)に示す第1電圧センサ45Aの故障について異常判定が可能である。なお、図12において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図12(a0)と同様である。なお、具体的な判定方法については、図4とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
図13は、第1スイッチ回路SW1をオフ状態からオン状態に切り替える場合のタイムチャートである。図13では、鉛蓄電池11側から回転電機15側に電流が流れており、第1回路部C1のみを異常判定の対象としている。この場合の切替順序の設定について説明する。
第1スイッチ回路SW1のオフからオンへの切替時には、図13(a0)に示すように、逆方向素子30C及び順方向素子30D→逆方向素子30A→順方向素子30Bの順で切替順序が設定され、異常判定対象となる第1回路部C1の第1スイッチング素子30A,30Bが異なるタイミングとなるように、各スイッチング素子30がオフからオンに切り替えられる。なお、切替にかかる時間を抑制するために、異常判定の対象となっていない第2スイッチング素子30C,30Dは同時にオンにされることが望ましい。
各タイミングについて具体的に説明する。逆方向素子30C及び順方向素子30Dがオンに切り替えられるタイミングt41では、第2回路部C2が通電状態となり、電流I2が流れる。また、中間電圧V2が発生する。
逆方向素子30Aがオンに切り替えられるタイミングt42では、第1回路部C1が通電状態となり、電流I1が流れる。また、中間電圧V1が発生する。また、第1回路部C1が通電状態となることで、電流I2が減少する。
順方向素子30Bがオンに切り替えられるタイミングt43では、順方向素子30Bの経路抵抗が減少し、各回路部C1,C2で経路抵抗が等しい状態になるため、電流I2が減少するとともに電流I1が増加し、各回路部C1,C2に流れる電流I1,I2が等しい状態となる。
第1回路部C1においては、図13(a1)に示す逆方向素子30Aのオン故障、図13(a2)に示す順方向素子30Bのオン故障、図13(a3)に示す第1電流センサ40Aの故障、図13(a4)に示す第1電圧センサ45Aの故障について異常判定が可能である。なお、図13において、各スイッチング素子30A~30Dの切替順序は、図13(a0)と同様である。なお、具体的な判定方法については、図6とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
以上のように、各スイッチング素子30の切替順序を設定し、各スイッチング素子30のオンオフに伴う電流の変化に基づいて、各スイッチング素子30の異常判定を実施することができる。また、第1スイッチ回路SW1と第2スイッチ回路SW2の両方がオン状態となる重複期間に異常判定を実施することで、各スイッチ回路SW1,SW2のスイッチング素子30に異常が見つかった場合に、オン状態となるスイッチ回路の切替を中止する等電源失陥を防ぐ対応をフェイルセーフ処理として行うことができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
本実施形態では、第1スイッチ回路SW1のオンオフが切り替えられる場合において、その切替がオン状態からオフ状態への切替とオフ状態からオン状態への切替とのいずれであるか(第1条件)と、その切替時の電流の向き(第2条件)とに基づいて、2つの第1スイッチング素子30A,30Bと2つの第2スイッチング素子30C,30Dとのオンオフの切替順序を設定するようにした。この場合、これら各条件に応じて、各スイッチング素子30のオンオフの切替順序を定めることで、スイッチング素子30の異常に起因して生じる電流変化を適正に把握できる。そして、切替順序に応じて各スイッチング素子30のオンオフが切り替えられる場合において、取得電流に基づいて第1回路部C1及び第2回路部C2のうち少なくとも一方の異常判定を実施することで、各回路部C1,C2の異常判定を適正に実施することができる。
寄生ダイオード31が互いに逆向きに接続された2つのスイッチング素子30を有する構成では、スイッチング素子30の切替順序によっては、通電状態の変化が生じない。そこで、第1スイッチ回路SW1のオンオフの切替時における電流の向きに応じて、いずれか一方のスイッチング素子30が順方向素子、他方のスイッチング素子30が逆方向素子になり、各スイッチング素子30の切替順序として、逆方向素子がオンになっている状態で、順方向素子のオンオフが切り替えられるような順序が設定される。これにより、経路L11,L12に電流が流れている状態で、順方向素子のオンオフが切り替えられ、経路L11.L12の経路抵抗が変化する。そして、順方向素子のオンまたはオフに伴って、電流変化が生じたかによって、順方向素子の異常を判定することができる。
異常判定対象である第1回路部C1の順方向素子のオンオフは、第1回路部C1の逆方向素子がオンになっていることで、第1経路L11が通電されており、かつ第2経路L12が通電されている状態で切り替えられるように切替順序が設定されている。つまり、第1経路L11と第2経路L12が共に通電されている状態で、第1経路L11の順方向素子のオンオフが切り替えられるように切替順序が設定されている。第1経路L11と第2経路L12が共に通電されている状態では、第1経路L11と第2経路L12が所定の分流比で流れている。この状態で、順方向素子のオンオフが切り替えられると、第1経路L11の経路抵抗が変更されるため、第1経路L11と第2経路L12の分流比が変わる。そのため、第2経路L12が通電されていない状態で順方向素子のオンオフを切り替えた場合に比べて電流変化が顕著になり、第1経路L11が通電状態で、順方向素子のオンまたはオフに伴う電流変化が生じたかによって、順方向素子の異常をより確実に判定することができる。
オフ状態からオン状態への切替を実施する場合に、事前に電流の向きが把握できていないことがある。このような場合には、第1回路部C1における2つのスイッチング素子30A,30Bのうち一方をオンに切り替え、それに伴い電流に変化がある場合には、オンにしたスイッチング素子が通電上流側になる向きで電流が流れると判定する。一方、電流に変化がない場合には、オンにしたスイッチング素子が通電下流側となる向きで電流が流れると判定する。これにより、オフ状態からオン状態への切替を実施する場合において事前に電流の向きが把握できていなくても、電流の向きを把握でき、把握した電流の向きに基づいて、各スイッチング素子30のオンオフの切替順序を定めることで、スイッチング素子30の異常に起因して生じる電流変化を適正に把握できる。
各スイッチング素子30に並列に接続された寄生ダイオード31のアノード同士が互いに向かい合うように、直列接続されて構成されている場合、各スイッチング素子30がオフになっている状態では中間電圧がゼロ値になり、電源側素子がオンにされると、電源電圧に応じた電圧値となる。また、電源側素子がオンにされて、中間電圧が変化する場合であっても、電源側素子が通電下流側の場合には、取得電流が変化しない。
そこで、第1スイッチ回路SW1のオンオフが切り替えられる場合に、電源側素子のオンオフを切り替える。電源側素子のオンオフを切り替えても取得電流及び中間電圧がいずれも変化しない場合には、電源側素子が通電下流側ではなく、電源側素子に異常が発生していると判定する。これにより、電源側素子をオンにしても取得電流が変化しない場合に、電源側素子が通電下流側であるのか、電源側素子に異常が発生しているかを判別することができる。そのため、電流の向きを正しく把握することができ、把握した電流の向きに基づいて、各スイッチング素子30のオンオフの切替順序を定めることで、スイッチング素子30の異常に起因して生じる電流変化を適正に把握できる。
第1経路L11及び第2経路L12のいずれか一方のみが通電状態となる場合に、その通電状態となる通路側において順方向素子がオフになっているように切替順序を設定する。これにより、第1経路L11及び第2経路L12のうち一方の経路で逆方向素子がオンになっている場合、順方向素子はオフになり、寄生ダイオード31を経由して電流が流れる。そのため、一方の経路に電流が流れている状態での経路抵抗が高くなり、一方の経路に経路抵抗が低い状態で電流が集中することを抑制でき、各スイッチング素子30に大きい電流が流れることを抑制できる。
第1スイッチ回路SW1のオンオフが切り替えられる場合において、検出対象である第1回路部C1が設けられた第1経路L11の所定位置での中間電圧V1を取得している。第1経路L11の所定位置での中間電圧V1は、第1スイッチング素子30A,30Bのオンオフの切替に伴い変化する。これにより、第1スイッチング素子30A,30Bのオンオフ切替により、取得電流に変化がなく、所定位置での中間電圧V1の変化を検出した場合には、第1電流センサ40Aの異常であると判定することができる。そのため、第1電流センサ40Aの異常の場合に、フェイルセーフ処理が過剰となることを抑制できる。
回転電機15に対して、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12から電力が供給されており、電力の供給元を鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12との間で切り替える場合に、電源失陥が生じないように第1スイッチ回路SW1及び第2スイッチ回路SW2がオン状態となる重複期間を設けている。この重複期間中に、回路部C1,C2の異常判定を行っている。そのため、各回路部C1,C2に異常が見つかった場合に、オン状態となる第1スイッチ回路SW1の切替を中止する等電源失陥しないような対応をフェイルセーフ処理として実行することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。ちなみに、以下の別例の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、また、任意に組み合わせて適用してもよい。
・上記実施形態では、2つの蓄電池11,12を備える電源システムSとなっていたが、いずれか片方の蓄電池のみを備えるものであってもよい。
・上記実施形態では、リチウムイオン蓄電池12を用いているが、他の高密度蓄電池を用いてもよい。例えば、ニッケル-水素電池を用いてもよい。その他、いずれも同じ蓄電池(例えば鉛蓄電池、又はリチウムイオン蓄電池等)を用いることも可能である。
・スイッチSW3,SW4についてもスイッチング素子であるMOSFETが互いに並列に接続されるようにして、本構成の対象としてもよい。その場合には、「電気機器」には、電気負荷16が含まれる。
・各回路部C1,C2に用いられるスイッチング素子30として、MOSFETに代えて、IGBTやバイポーラトランジスタ等を用いてもよい。IGBTやバイポーラトランジスタを用いた場合には、上記寄生ダイオード31の代わりとなるダイオードをそれぞれ並列に接続させればよい。また、スイッチング素子30は、半導体スイッチング素子ではなく、機械的なスイッチ素子であってもよい。
・上記実施形態では、電流を検出するためのシャント抵抗41は、直列に接続されたスイッチング素子30の間に設けられていたが、電流を検出するための回路(シャント抵抗41)はスイッチング素子30の前後に設けられていてもよい。つまり、電流を検出するための回路は、各経路L11,L12上に設けられていればよい。また、電流センサとして、シャント抵抗41とアンプ42ではなく、他の方式の電流検出センサを用いてもよい。
・図10のS22で切替順序を設定する前に、温度取得部として、各回路部C1,C2の温度を取得するようにしてもよい。そして、第1回路部C1よりも第2回路部C2の方がその温度が高い場合には、S22で、第1回路部C1側が単独で通電状態となるように切替順序を設定してもよい。例えば、オンからオフにする場合(図3(b))では、逆方向素子30Cをオフに切り替えた後に、第1回路部C1側の逆方向素子30Aをオフに切り替えるようにしてもよい。このように、各回路部C1,C2の温度に基づいて、第1経路L11及び第2経路L12の一方の経路を通電状態とするように、各スイッチング素子30の切替順序を設定してもよい。これにより、温度が高い方のスイッチが設けられた経路だけに電流が流れることを抑制することができる。そのため、一方の回路部のスイッチング素子の温度だけが上昇することを抑制できる。
・図10のS33で電源側素子である第1スイッチング素子30Aをオンにして中間電圧V1が変化しない場合には、この第1スイッチング素子30Aの異常であると判定し、S34に進んでいたが、電流I1が変化しないことに基づいて、第1スイッチング素子30Aが電流下流側となる向きで電流が流れると判定してもよい。これにより、電流I1が変化せず、中間電圧V1が変化しない場合に、第1電圧センサ45Aの異常でないことを確認することができる。
・上記実施形態では、図11のS44で、各電流センサ40A,40Bの異常判定を実施していたが、各経路L11,L12の経路抵抗が同じタイミング、つまり第1経路L11及び第2経路L12に流れる電流が同じになるタイミング(例えば、図6のタイミングt4以降)で、各電流センサ40A,40Bの検出値が同じであるかによって、各電流センサ40A,40Bの異常判定を実施してもよい。