JP7226182B2 - 電力変換装置の制御装置および電力変換装置の制御方法 - Google Patents

電力変換装置の制御装置および電力変換装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は電力変換装置の制御装置に係り、特に、レベルスキップによる電圧変化率抑制に関する。
入力された三相交流電圧をレクティファイア(交流-直流変換器)で直流電圧に変換し、直流電圧をインバータによって所望の周波数,振幅の交流電圧として出力するシステムを考える。
このようなシステムでは出力電圧に関して規格が設けられており、例えば負荷に電動機(モータ)を接続する電動機駆動系ではIEC61800の基準がある。IEC61800-4においては相電圧(対地電圧)及び線間電圧の電圧変化率に関して電圧ストレス耐量を規定しており、これを守れない場合、システムに絶縁破壊の危険が生じてしまう。
このように出力電圧の変化率抑制がシステムの危険防止の観点から求められており、その達成には相電圧,線間電圧の急激な電圧レベル変化を防止することが肝要である。
また、インバータ出力については目標電圧をキャリア1周期で平均的に表現する三角波比較PWMが用いられることが多い。しかし、電圧出力の最適化を目標として三角波比較PWM以外の変調法を用いる場合があり、固定パルスパターン方式がその一例である。
この固定パルスパターン方式では、評価指標に対して最適なパルスパターンを事前に導出してテーブル化し、そのテーブル通りにスイッチングを行う。評価指標には、スイッチング回数,電圧基本波,電圧高調波などがある。
固定パルスパターン方式においても、相電圧,線間電圧の急激な電圧レベル変化について対策する必要がある。例えば、特許文献1では線間電圧がレベルスキップしないパルスパターンの導出法を検討している。
特開2010-200537号公報
塚越昌彦,松瀬貢規、「大容量PWM整流器用の高調波規制に適合する最適な固定パルスパターンの導出」、電気学会論文誌D,2011年131巻3号,p.380-387
特許文献1は、2段変化防止対象が線間電圧の最大レベルから三番目に大きいレベルへの2段変化に限定されている。また、相電圧の2段変化が考慮されていない。IEC61800-4に規定されるように線間電圧は絶対値ではなく変化率で制限される。線間電圧の2段変化は、レベルに関わらず抑制されるべきである。
3レベル以上のインバータにおいては相電圧(対地電圧)の2段変化があり得る。これは相電圧だけでなく、線間電圧の観点からも無視することができない。Y結線の負荷において、ある相が2段変化し、かつ、他の相がスイッチングしていない場合は線間電圧も2段変化してしまう。そのため、たとえ相電圧の2段変化が許容されていても、線間電圧の2段変化の確実な防止のためには相電圧の2段変化を監視する必要がある。
また、特許文献1では、2段変化を防止するためにスイッチング間に位相幅を確保するが、この位相幅について定量的な指標が示されていない。
以上示したようなことから、電力変換装置の制御装置において、相電圧,線間電圧のレベルスキップを抑制することが課題となる。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、事前に作成したパルスパターンが格納されたテーブルに基づいてゲート信号を出力し、電力変換装置のスイッチング素子を駆動する電力変換装置の制御装置であって、前記パルスパターンがレベルスキップしているか否かの判定を行い、レベルスキップしていない前記パルスパターンを前記テーブルに格納し、前記レベルスキップしているか否かの判定において、前記パルスパターンにおける同相のスイッチングの位相幅および相間のスイッチングの位相幅が閾値よりも大きい場合、レベルスキップしていないと判定するパルス生成部を有することを特徴とする。
また、その一態様として、前記閾値は、以下の(1)式とすることを特徴とする。
Figure 0007226182000001
θskip:閾値
use:パルスパターンが用いられる周波数
1:レベルスキップとして扱われる最大の時間幅。
また、その一態様として、前記パルスパターンにおける同相のスイッチングの位相幅が前記閾値以下の場合、同方向のスイッチングをレベルスキップしていると判定し、逆方向のスイッチングをレベルスキップしていないと判定し、前記パルスパターンにおける相間のスイッチングの位相幅が前記閾値以下の場合、同方向のスイッチングをレベルスキップしていないと判定し、逆方向のスイッチングをレベルスキップしていると判定することを特徴とする。
また、その一態様として、前記パルス生成部は、所定の評価関数に基づいて導出した入力パルスパターンを入力し、前記入力パルスパターンから120°ずらした仮想相のパルスパターンを作成し、前記入力パルスパターンから対象のスイッチングを選定し、前記対象のスイッチングの位相と位相幅が最も近い第1スイッチングと2番目に近い第2スイッチングを前記入力パルスパターンから探索し、前記対象のスイッチングの位相と位相幅が最も近い第3スイッチングと2番目に近い第4スイッチングを前記仮想相のパルスパターンから探索し、前記対象のスイッチングと前記第1スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が逆方向の場合、かつ、前記対象のスイッチングと前記第2スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が逆方向の場合、かつ、前記対象のスイッチングと前記第3スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が同方向の場合、かつ、前記対象のスイッチングと前記第4スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が同方向の場合、レベルスキップなしと判定し、それ以外の場合はレベルスキップありと判定し、レベルスキップなしと判定された場合は、前記入力パルスパターンにおいてレベルスキップの判定が必要な全位相のスイッチングのレベルスキップを判定したか否かを判定し、レベルスキップの判定が必要な全位相のスイッチングのレベルスキップを判定していない場合は、前記対象のスイッチングの選定に戻って前記対象のスイッチングを変更し、レベルスキップの判定が必要な全位相のスイッチングのレベルスキップを判定した場合は、前記入力パルスパターンはレベルスキップしていないと判定することを特徴とする。
本発明によれば、電力変換装置の制御装置において、相電圧,線間電圧のレベルスキップを抑制することが可能となる。
実施形態における電力変換装置のシステム構成を示す概略図。 実施形態におけるパルスパターン導出処理を示すフローチャート。 パルスパターン採用・不採用例を示す概略図。 実施形態におけるレベルスキップ判定の処理を示すフローチャート。 スイッチング判定対象とレベルスキップの関係を示す概略図。 スイッチング方向とレベルスキップの関係を示す概略図。
以下、本願発明における電力変換装置の制御装置の実施形態を図1~図6に基づいて詳述する。
[実施形態]
以下では電圧レベルのn段変化(n>2)のことをレベルスキップと称する。
図1に本実施形態における電力変換装置のシステム構成図を示す。上位制御部1で行われる制御はパルス生成部2より上流で行われる制御である。上位制御部1は、例えばシステムの操作盤操作量に基づく速度指令および三相電流の検出値に基づいて、速度制御,電流制御を経て変調率と位相の指令を生成するような制御を行う。
パルス生成部2は、上位制御部1から変調率,位相を入力し、それらの情報をもとにテーブルを参照してパルス生成を行う。テーブルには事前に作成したパルスパターンの情報が格納されており、変調率,位相の情報から現在レベルを定められるものとする。パルス生成部2からはゲート信号が出力され、それによりインバータINV(電力変換装置)のスイッチング素子が駆動される。インバータINVにはモータ等の負荷3が接続されており、負荷3にはゲート信号に応じた電圧が印加される。
図1は固定パルスパターン方式による電力変換の代表的なシステム構成例であり、本願発明の適用対象はこれに限らない。例えば、電源に回生を行うコンバータ(電力変換装置)において、事前に導出したパルスパターンのテーブルに基づいてスイッチングを行うような構成でもよい。重要なのは、事前に作成したパルスパターンに関するテーブルを用いて、電力変換装置を駆動することである。
図2にパルス生成部2で行われるパルスパターン導出(テーブル作成)処理のフローチャートを示す。
まず、S1において、目標変調率を入力する。次に、S2において、パルスパターン初期値(電圧位相)の設定、及び、基本波,高調波基準の設定を行う。S3において、パルスパターンを導出する。S4において、レベルスキップしているか否かを判定し、レベルスキップしている場合はS2へ戻り、レベルスキップしていない場合は、そのパルスパターンを採用して、テーブルに格納し、処理を終了する。
図2の重要な点は、レベルスキップしているかどうかを評価指標に入れてパルスパターン導出を行っている点であり、レベルスキップしているかどうかの評価タイミングや、レベルスキップありと判定された場合の後続処理が図2と違う処理手順でもかまわない。
図2のフローチャートによってパルスパターンを導出してテーブルに格納し、そのパルスパターンのテーブルを用いてパルス生成を行うことで、固定パルスパターン方式でのレベルスキップを防止することが可能となる。
図2のフローチャートの動作を説明する。
1:パルスパターン初期値(電圧位相),電圧基本波,高調波基準などを評価指標にパルスパターンを導出する(S1~S3)。
2:導出したパルスパターンがレベルスキップしているか否かを判定する(S4)。
・(A)レベルスキップありの場合は、S2に戻り、パルスパターン初期値(電圧位相)などを調整してパルスパターンを再導出する(1へ戻る)。
・(B)レベルスキップしていない場合は、そのパルスパターンを採用する。以上の動作でレベルスキップしないパルスパターンを導出することができる。
図3にパルスパターンの採用・不採用例を示す。図3に示すように、スイッチングの位相幅が小さい場合は擬似的に2段変化(レベルスキップ)として扱われるため、そのパルスパターンを不採用とし、パルスパターンを再導出する。スイッチングの位相幅が大きい場合は、2段変化(レベルスキップ)とはならないため、そのパルスパターンを採用する。
1については、固定パルスパターン方式で行われる一般的なパルスパターン導出である。非特許文献1では、スイッチング回数,スイッチング方向(パルスの形),考慮する高調波次数といった設定をもとに、電圧基本波を目標変調率通りに保ちつつ電流高調波が最小になる位相の組み合わせを探索するという導出法が示されている。
この非特許文献1の導出法に沿ってパルスパターンを導出することが1の意味するところである。パルスパターンの導出については本願発明と直接関係ないため、詳細な説明は省略する。ただし、パルスパターンの導出法は非特許文献1の方法に限らず、所望の方式,および所望の評価関数に基づいてパルスパターンを導出しても良い。
2については、導出したパルスパターンがレベルスキップしているか否かの判定であり、本願発明の特徴部分である。レベルスキップしているか否かを判定して、レベルスキップしていないパルスパターンのみを採用することで、電圧出力時にレベルスキップしないようなパルスパターンのテーブルの作成が可能である。レベルスキップしているかどうかの具体的な判定法は図4に示しており後述する。
なお、フローチャートの簡単化のためパルスパターンを導出した後にレベルスキップの判定を行っているが、処理の手順はこれに限らない。重要な点はレベルスキップしているかどうかをパルスパターン導出時の評価関数に加えている点であり、例えば、レベルスキップの判定を行った後、電圧高調波が基準値以下かどうかを判定するような導出手順でもよい。
また、2(A)について、パルスパターン初期値(電圧位相)などを調整して再導出とあるが、これはレベルスキップしないようなパルスパターンに修正することができれば、方法はこれに限らない。例えば、1に戻っての再導出は行わず、レベルスキップしているスイッチング位相の間隔をレベルスキップしないだけ広げたうえで、それ以外の位相は電圧基本波基準などを満たすように調整するという方法が考えられる。以上が図2のフローチャートの説明である。
図4にレベルスキップ判定用のフローチャートを示す。図4は、図2のS4におけるレベルスキップ判定の処理を詳細に示したものである。レベルスキップ判定用のフローチャートにはパルスパターンのスイッチング位相とレベルの情報が入力される。出力はレベルスキップしているかどうかの判定結果である。
まず、S11において、図2のS3で導出したパルスパターンを入力する。ここで、このパルスパターンを入力パルスパターンと称する。また、入力パルスパターンにおけるスイッチング位相のテーブルをθu,スイッチング方向のテーブルをSuとする。
S12において、入力パルスパターンから120°ずらした仮想V相(仮想相)のパルスパターンを作成する。ここで、仮想V相のパルスパターンにおけるスイッチング位相のテーブルをθv,スイッチング方向のテーブルをSvとする。
S13において、入力パルスパターンからインデックス(スイッチング)を一つ選び、Aと置く。ここで、入力パルスパターンの対象のスイッチングの位相をθ[A]とする。
S14において、対象のスイッチングの位相θ[A]と、入力パルスパターンの対象のスイッチング以外のスイッチングの位相の差の絶対値をとる。ここで、位相差の絶対値が最小となるインデックス(スイッチング)を第1スイッチングiu1,位相差の絶対値が2番目に小さいインデックス(スイッチング)を第2スイッチングiu2とする。また、第1スイッチングiu1の位相をθu[iu1],第2スイッチングiu2の位相をθu[iu2]とする。
S15において、対象のスイッチングの位相θ[A]と、仮想V相のパルスパターンのスイッチングの位相差の絶対値をとる。ここで、位相差の絶対値が最小となるインデックス(スイッチング)を第3スイッチングiv1,位相差の絶対値が2番目に小さいインデックス(スイッチング)を第4スイッチングiv2とする。また、第3スイッチングiv1の位相をθv[iv1],第4スイッチングiv2の位相をθv[iv2]とする。
S16において、以下の4つの判定を行う。
・abs(θu[iu1]-θ[A])>θskip、または、Su[iu1]*Su[A]=-1であるか否かを判定する。
・abs(θu[iu2]-θ[A])>θskip、または、Su[iu2]*Su[A]=-1であるか否かを判定する。
・abs(θv[iv1]-θ[A])>θskip、または、Sv[iv1]*Su[A]=1であるか否かを判定する。
・abs(θv[iv2]-θ[A])>θskip、または、Sv[iv2]*Su[A]=1であるか否かを判定する。
上記4つの条件すべて該当する場合は、S17へ移行する。上記4つの条件のうち1つでも該当しないものがある場合はレベルスキップありと判断する。なお、absは絶対値を示し、θskipは位相差の閾値を示す。Su[iu1],Su[iu2],Sv[iv1],Sv[iv2],Su[A]は、第1スイッチング,第2スイッチング,第3スイッチング,第4スイッチング,対象のスイッチングのスイッチング方向を示す。
S17において、入力パルスパターンにおける全ての位相のインデックス(スイッチング)を判定したか否か判定する。すべてのインデックスを判定していない場合はS13に戻って対象のスイッチングを変更し、全ての位相のインデックスを判定した場合は入力パルスパターンにおいてレベルスキップなしと判定して処理を終了する。各相同じパターンを使用する。
図4のフローチャートの動作を説明する。
1.線間電圧のレベルスキップを判定するために仮想V相を生成する(S12)。
2.入力パルスパターンおよび仮想V相のパルスパターンにおいて、対象のスイッチングに対して位相幅が近いスイッチングを探索する(S14,S15)。
3.位相幅が近いスイッチングについて下記のどちらかが満たされればレベルスキップなしと判定する(S16)。
・位相幅がレベルスキップとして扱われる閾値θskipより大きい。
・スイッチング方向がレベルスキップとして扱われない組み合わせである。
4.レベルスキップなしならば2.にもどって対象のスイッチングを変更する(S17)。
以上の動作で、パルスパターンがレベルスキップしているかどうかを判定できる。なお、図4において、上記1~4の手順に登場しない処理もあるが、S11は導出したパルスパターンのテーブル値の入力および定義、S13は対象のスイッチングの位相テーブルのインデックス選択および定義である。
1.については、線間電圧のレベルスキップを考慮するための準備処理である。パルスパターンを導出する場合、通常は単相のパルスパターンとして生成される。図3では入力パルスパターンを便宜的にU相として扱い、変数名もこれに則り定める。
しかし、このままでは、相電圧のレベルスキップしか評価することができないため、別の相のスイッチングを考慮する必要がある。本実施形態では、S12のように、120°ずらして仮想V相を作成し、仮想V相に対してレベルスキップがあるかどうかを確認した。
120°ずらすのは三相平衡を前提においているからであり、三相平衡とならない条件下や三相でない場合は、条件に合ったずらし方を行う必要がある。三相平衡を念頭に置けば,U相と仮想V相を検討することにより、対称性から全ての線間レベルスキップを考慮したことになる。つまり、仮想W相を作成する必要はない。
2.については、レベルスキップしていそうなスイッチングの候補を作成する処理である。レベルスキップの確認する必要があるのは、2番目に近い位相までである。これは、図5のように他の相の小さなパルスの内側に対象スイッチングが入った場合への対策である。
図5では、U相の対象のスイッチングと最も位相幅が小さいスイッチングは、位相幅は閾値θskip以下であるがU相と仮想V相は同方向にスイッチングしているため、レベルスキップしていないと判定され、許容される。
U相の対象のスイッチングと2番目に位相幅が小さいスイッチングは、位相幅は閾値θskip以下であり、かつ、U相と仮想V相が逆方向にスイッチングしているため、レベルスキップしていると判定され、禁止される。
図5から対象のスイッチングに対して位相幅が最小幅のスイッチングだけを見て判定を行うと線間レベルスキップを起こしているにもかかわらず採用してしまうことがわかる。
そのため、図4のS14,S15では、入力パルスパターンにおいて対象のスイッチングの位相θ[A]との位相差の絶対値が最も小さい第1スイッチングと2番目に小さい第2スイッチングを採用し、仮想V相のパルスパターンにおいて対象のスイッチングの位相θ[A]との位相差の絶対値が最も小さい第3スイッチングと2番目に小さい第4スイッチングを採用している。閾値θskipの導出やスイッチング方向の考え方は3.の説明で述べる。
3.については、2.で作成した候補に対するレベルスキップの判定処理である。上記では、以下の2つの判定基準を用いた。それぞれ、位相幅の判定,スイッチング方向の判定と称することにする。
・位相幅がレベルスキップとして扱われる基準より大きい。
・スイッチング方向がレベルスキップとして扱われない組み合わせである。
位相幅の判定は、電圧変化率の横軸(時間軸)に関する判定である。前述したように、電圧変化率が安全性に関する評価基準であり、スイッチングからスイッチングの時間幅が疑似的な2段変化として扱われない程度に離れていれば、レベルスキップしていないと扱える。
しかし、パルスパターンの導出は一般に位相軸上で行われ、位相幅と時間幅を直接対比することができない。そこで、パルスパターンを用いる周波数を想定することで、位相と時間の関係性を定めることにする。
パルスパターンが用いられる周波数をfuse[Hz]とおく。この周波数fuseに関して、システムの運転方式がCVCF(Constant Voltage Constant Frequency)ならば周波数fuseは固定であるし、V/f制御によるVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)ならばパルスパターンの目標変調率から周波数fuseが一意に定まる。
しかし、ベクトル制御によるVVVFの場合は、電圧と周波数の関係が流動的になるため周波数fuseを一意に定めることはできない。ただ、周波数が高いほど同じ位相幅が短い時間幅となるため、利用され得る最高周波数を周波数fuseに設定すれば全周波数範囲でレベルスキップは防止できる。例えば、目標変調率に応じて利用周波数の範囲を仮定し、利用周波数の上限を周波数fuseとおけばよい。また、利用周波数の範囲が決められない場合は仕様上の最高周波数を周波数fuseとすればよい。
また、レベルスキップとして扱われる最大の時間幅をt1[s]とする。時間幅t1はインバータINVの直流電圧値と電圧変化率防止基準に基づいて、スイッチング間隔が時間幅t1より大きく保たれていればレベルスキップを防止できるように設定する。時間幅t1は、例えば、デッドタイムより数μs大きい値に設定される。
設定した周波数fuse[Hz],時間幅t1[s]に基づいてレベルスキップとして扱われる最大の位相幅(閾値)θskipを導出する。周波数f[Hz]における角周波数は2πf[rad/s]であるので、レベルスキップとして扱われる最大の位相幅(閾値)θskipは(1)式で表される。
Figure 0007226182000002
(1)式で導出した位相幅(閾値)θskipを図4のS16で用いて、位相幅の判定を行う。2.で求めたレベルスキップ候補のスイッチングの位相と対象のスイッチングの位相について、差の絶対値を取って位相幅θskipと大小関係を比べ、差の絶対値が閾値θskipより大きければ十分な位相幅があるとみなせる。十分な位相幅があれば、対象のスイッチングと候補のスイッチングについてはレベルスキップを起こさないと判定される。図4におけるS16内の式のうち(2)式の部分および(2)式からiu1を適宜iu2,iv1,iv2に変更した式が位相幅の判定に該当する。
Figure 0007226182000003
図4では省略したが、パルスパターンのテーブルの最後のスイッチングについては1周期後の初めのスイッチングと接続するため、その位相幅の確認を忘れないよう注意する必要がある。
次に、スイッチング方向の判定について述べる。そのために、まず、スイッチング方向という言葉について注釈しておく。本明細書において、スイッチング方向とは、そのスイッチングによって出力電圧のレベルが正と負のどちらに変化するかの方向を指す。例えば出力電圧が+2→+3,-1→0,-8→-7となるスイッチングが正方向であり、+4→+3,+1→0,-2→-3となる方向が負方向である。本明細書ではスイッチング位相におけるレベル変化をスイッチング方向で表し、そのテーブルをSとおいた。テーブルSに格納する値については、正方向なら+1,負方向なら-1を想定している。
ここで、レベルスキップとなるようなパルス形を考える。図6にパルス形の例を示す。図6に示すように、同相において同方向に2連続のスイッチングを行う場合、相電圧がレベルスキップとなる可能性がある。相間において2相が逆方向にスイッチングが行うと線間電圧がレベルスキップとなる可能性がある。逆に同相の逆方向のスイッチング,相間の2相の同方向のスイッチングは相電圧・線間電圧ともに2段の変化にならず、レベルスキップとはなりえない。そのため、スイッチングの方向によっては、その候補について位相幅に関係なくレベルスキップなしと判定することができる。
図4のS16においては、2つのスイッチングが同方向であればその積が1,逆方向であれば-1となることを利用して、同相においてスイッチングが逆方向なら、また、相間においてスイッチングが同方向ならレベルスキップではないと判定している。図4のS16内の式のうち(3)式の部分および(3)式からiu1をiu2,iv1,iv2に適宜変更し、-1の符号を適宜変更した式がスイッチング方向の判定に該当する。
Figure 0007226182000004
なお、この判定はスイッチング方向のテーブルでなくとも、スイッチング後の電圧レベルのテーブルを用いた大小関係比較などテーブル運用法に合わせて同じ内容を比較すればよい。
S16において、位相幅の判定かスイッチング方向の判定のどちらかでレベルスキップがないことが分かればレベルスキップなしで判定してよいため、2つの判定式(2)式と(3)式は||(OR演算子)で結ばれている。以下の式でも同様にOR演算子で結んでいるが、判定対象同士に関しては、全てがレベルスキップをしていないことを確かめる必要があるため、&&(AND演算子)で結んでいる。相・線間電圧でともにレベルスキップが無ければS16のif文の出力が1(yes)となる。
4.については、図4のS17に示すように、全てのスイッチングの位相でレベルスキップを確認するようにループ処理を行う。全ての位相とは、レベルスキップの確認に必要な全ての位相であり、対称性を考慮して全テーブル値の探索は行わず、適宜探索数を減らしてもよい。
以上が図4のフローチャートの動作の説明であり、これによりレベルスキップを判定することができる。
以上示したように、本実施形態によれば、図1,図2,図4に基づいて、レベルスキップをしないパルスパターンを導出し、そのパターンによる固定パルスパターン方式のパルス生成を行うことで、相電圧のレベルスキップおよび線間電圧のレベルスキップを抑制した制御を行うことが可能となる。
従来の固定パルスパターン方式では、電圧基本波,電圧(or電流)高調波の2つを考慮してスイッチング位相を決めていた。しかし、上記の条件だけではスイッチング位相が近づきすぎることがあり、一度に2段変化したり、一段ずつの変化が短い期間で2回起こり擬似的に2段変化となったりしていた。2段変化がモータに印加されると絶縁破壊の原因となるため、対策が必要となる。
例えば、絶縁耐量を十分に保つ,出力dv/dtフィルタを設けるなどのハードウェア上の対策が知られるが、これらの対策には、コスト増大,装置の大型化といったデメリットもある。本実施形態では、ソフトウェア対策上でパルスパターン導出の際に位相幅を保ち、2段変化を抑制することが可能となる。
また、特許文献1と比較して、相電圧を考慮している,レベルスキップ防止対象となるレベルを限定しない,確保すべき位相幅を定量的に示しているという利点がある。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1…上位制御部
2…パルス生成部
3…負荷
INV…インバータ
θskip…閾値

Claims (5)

  1. 事前に作成したパルスパターンが格納されたテーブルに基づいてゲート信号を出力し、電力変換装置のスイッチング素子を駆動する電力変換装置の制御装置であって、
    前記パルスパターンがレベルスキップしているか否かの判定を行い、レベルスキップしていない前記パルスパターンを前記テーブルに格納し、前記レベルスキップしているか否かの判定において、前記パルスパターンにおける同相のスイッチングの位相幅および相間のスイッチングの位相幅が閾値よりも大きい場合、レベルスキップしていないと判定するパルス生成部を有することを特徴とする電力変換装置の制御装置。
  2. 前記閾値は、以下の(1)式とすることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の制御装置。
    Figure 0007226182000005
    θskip:閾値
    use:パルスパターンが用いられる周波数
    1:レベルスキップとして扱われる最大の時間幅
  3. 前記パルスパターンにおける同相のスイッチングの位相幅が前記閾値以下の場合、同方向のスイッチングをレベルスキップしていると判定し、逆方向のスイッチングをレベルスキップしていないと判定し、
    前記パルスパターンにおける相間のスイッチングの位相幅が前記閾値以下の場合、同方向のスイッチングをレベルスキップしていないと判定し、逆方向のスイッチングをレベルスキップしていると判定することを特徴とする請求項1または2記載の電力変換装置の制御装置。
  4. 前記パルス生成部は、
    所定の評価関数に基づいて導出した入力パルスパターンを入力し、
    前記入力パルスパターンから120°ずらした仮想相のパルスパターンを作成し、
    前記入力パルスパターンから対象のスイッチングを選定し、
    前記対象のスイッチングの位相と位相幅が最も近い第1スイッチングと2番目に近い第2スイッチングを前記入力パルスパターンから探索し、
    前記対象のスイッチングの位相と位相幅が最も近い第3スイッチングと2番目に近い第4スイッチングを前記仮想相のパルスパターンから探索し、
    前記対象のスイッチングと前記第1スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が逆方向の場合、
    かつ、前記対象のスイッチングと前記第2スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が逆方向の場合、
    かつ、前記対象のスイッチングと前記第3スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が同方向の場合、
    かつ、前記対象のスイッチングと前記第4スイッチングの位相幅が前記閾値よりも大きく、または、スイッチング方向が同方向の場合、レベルスキップなしと判定し、それ以外の場合はレベルスキップありと判定し、
    レベルスキップなしと判定された場合は、前記入力パルスパターンにおいてレベルスキップの判定が必要な全位相のスイッチングのレベルスキップを判定したか否かを判定し、レベルスキップの判定が必要な全位相のスイッチングのレベルスキップを判定していない場合は、前記対象のスイッチングの選定に戻って前記対象のスイッチングを変更し、レベルスキップの判定が必要な全位相のスイッチングのレベルスキップを判定した場合は、前記入力パルスパターンはレベルスキップしていないと判定することを特徴とする請求項1~3のうち何れかに記載の電力変換装置の制御装置。
  5. 事前に作成したパルスパターンが格納されたテーブルに基づいてゲート信号を出力し、電力変換装置のスイッチング素子を駆動する電力変換装置の制御方法であって、
    パルス生成部において、前記パルスパターンがレベルスキップしているか否かの判定を行い、レベルスキップしていない前記パルスパターンを前記テーブルに格納し、前記レベルスキップしているか否かの判定において、前記パルスパターンにおける同相のスイッチングの位相幅および相間のスイッチングの位相幅が閾値以上の場合、レベルスキップしていないと判定することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
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