以下に、本開示に係る衛生洗浄装置及びトイレ装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示に係る衛生洗浄装置及びトイレ装置が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に示す斜視図である。なお、図1には、説明を分かり易くするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする3次元の直交座標系を図示している。また、本明細書において、「洗浄水」なる表現は、必ずしも冷水の意味ではなく、温水を含む意味で使用される場合がある。
図1に示すように、トイレ装置1は、洋式大便器(以下「便器」と記載する)10と、衛生洗浄装置20とを備え、トイレ室TR内に設置される。便器10は、洗浄水タンク11に貯留された洗浄水で洗浄を行うロータンク式であるが、これに限定されるものではなく、たとえばフラッシュバルブ式であってもよい。また、図1に示す例では、床置き式の便器10を示したが、これに限られず、壁掛け式などであってもよい。
衛生洗浄装置20は、便器10の上部に設けられる。衛生洗浄装置20は、本体部21と、便蓋22と、図示しない便座とを備える。便蓋22および便座はともに、開閉可能なように本体部21に取り付けられる。本体部21は、ケース23を備える。ケース23は、ノズルなどを収納する。
図2は、第1実施形態に係る衛生洗浄装置の構成の一例を示す図である。衛生洗浄装置20は、給水路30と、バルブユニット40と、貯湯タンク50と、ヒータ51と、電解槽ユニット60と、バキュームブレーカ70と、切替弁80と、ノズル90とを備える。また、衛生洗浄装置20は、温水サーミスタ101と、リミッタサーミスタ102とを備える。また、衛生洗浄装置20は、制御部200と、記憶部250とを備える。また、制御部200は、判定部201と、保温制御部202とを備える。
ヒータ51、温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102は、貯湯タンク50内に配置される。また、給水路30、バルブユニット40、貯湯タンク50、電解槽ユニット60、バキュームブレーカ70、切替弁80、ノズル90、制御部200および記憶部250は、衛生洗浄装置20のケース23内に収容される。
給水路30は、給水源の一例である水道管Aとノズル90とを接続し、水道管Aからの洗浄水をノズル90へ供給する。
給水路30には、上流側(すなわち水道管A側)から順に、バルブユニット40、貯湯タンク50、電解槽ユニット60、バキュームブレーカ70および切替弁80が設けられる。
バルブユニット40は、制御部200からの制御信号に応じて給水路30を開閉する。貯湯タンク50は、洗浄水を貯水する。貯湯タンク50内に貯水された洗浄水は、ヒータ51によって加熱される。なお、貯湯タンク50の詳細については、後述する。
電解槽ユニット60は、その内部に陽極板および陰極板を有し、制御部200からの制御信号に応じて駆動して内部を流れる洗浄水を電気分解することによって次亜塩素酸を含む水を機能水として生成する。
バキュームブレーカ70は、給水路30に負圧が生じた場合に、逆流する洗浄水を図示しない大気開放経路へ流すことで、ノズル90から貯湯タンク50等への洗浄水の逆流を防止する。
切替弁80は、制御部200からの制御信号に応じて駆動し、給水路30を流れる洗浄水の流出先を切り替える。たとえば、給水路30を流れる洗浄水の流出先は、切替弁80によって、ノズル90が備える複数の吐出口のいずれかに切り替えられる。また、給水路30を流れる機能水の流出先は、切替弁80によって、ノズル洗浄用流路85に切り替えられる。ノズル洗浄用流路85を流れる機能水は、ノズル90の表面に供給される。これにより、ノズル90が洗浄される。
ノズル90は、貯湯タンク50内の洗浄水を便座に着座した使用者の人体局部に向けて吐水する。ノズル90は、ケース23(図1参照)に対して進退可能に構成される。具体的には、ノズル90には、図示しないモータなどの駆動源が接続されており、ノズル90は、かかる駆動源により、便器10のボウル内へ進出した位置と、ケース23内に後退して格納される位置との間で進退させられる。ノズル90は、進出した位置で洗浄水を使用者の人体局部へ吐出させて人体局部を洗浄する。
温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102は、貯湯タンク50内の洗浄水の温度を測定する温度センサである。温水サーミスタ101は、ヒータ51を制御するために用いられる。リミッタサーミスタ102は、ノズル90から吐出される洗浄水の温度が人体にとって安全な温度であることを確認するために用いられる。
温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102による測定結果(以下、「測定値」と記載する)は、制御部200に入力される。温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102の測定値は、たとえば、0~255のデジタル値(以下、「AD値」と記載する)で表現される。制御部200は、温水サーミスタ101等から入力されるAD値を記憶部250にあらかじめ記憶されている変換テーブルを用いて温度に変換する。
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部250に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部200は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。かかる制御部200は、入力される各種の信号に基づいてバルブユニット40、貯湯タンク50、電解槽ユニット60、切替弁80等の制御を行う。記憶部250は、たとえばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等によって実現される。
制御部200は、温水サーミスタ101の測定値に基づき、ヒータ51のオンおよびオフを制御することによって貯湯タンク50内の洗浄水の温度をあらかじめ設定された目標温度THc(図4参照)に近づける。
また、制御部200は、リミッタサーミスタ102の測定値が閾値以上である場合に、貯湯タンク50から流出した洗浄水の温度が人体にとって安全な温度を超えていると判定する。この場合、制御部200は、上述した温度制御処理を中止することで、洗浄水を加熱しないようにする。また、これに限らず、制御部200は、リミッタサーミスタ102の測定値が閾値以上である場合に、バルブユニット40を制御して洗浄水の吐出を強制停止してもよい。
判定部201は、温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102の内、異常検知の対象として設定された温度センサに異常が生じているか否かを判定する。本実施形態においては、リミッタサーミスタ102が異常検知の対象である。判定部201は、温水サーミスタ101が異常検知の対象として設定されている場合には、温水サーミスタ101に異常が生じているか否かの判定を行う。
保温制御部202は、貯湯タンク50内の洗浄水の温度が目標温度THcに維持されるように所定の温度幅でヒータ51のオンおよびオフを制御する。なお、判定部201および保温制御部202の詳細については、後述する。
図3は、第1実施形態に係る貯湯タンクを模式的に示す説明図である。上述したように、貯湯タンク50の内部には、ヒータ51と、温水サーミスタ101と、リミッタサーミスタ102とが配置される。図3に示すように、貯湯タンク50は、貯湯タンク50の上流側から貯湯タンク50内に洗浄水を流入させる流入口52と、貯湯タンク50内から貯湯タンク50の下流側に洗浄水を流出させる流出口53とを有する。
温水サーミスタ101は、リミッタサーミスタ102よりも流入口52に近い位置に配置される。リミッタサーミスタ102は、温水サーミスタ101よりも流出口53に近い位置に配置される。ヒータ51は、流出口53よりも流入口52に近い位置に配置される。
貯湯タンク50内の洗浄水は、ヒータ51によって加熱されると、まずヒータ51に近い流入口52付近から温度が上がり始める。加熱された洗浄水は、W1に示すように、次第に対流をはじめ、流出口53付近の温度も徐々に高くなる。このため、ヒータ51をオンにしている間は、流入口52付近にある温水サーミスタ101の測定値の方が、流出口53付近にあるリミッタサーミスタ102の測定値よりも高くなりやすい。
保温制御部202が行う保温制御の詳細について図4を参照して説明する。図4は、第1実施形態に係る保温制御の説明図である。
図4に示すように、保温制御部202は、貯湯タンク50内の洗浄水の温度が目標温度THcとなるように所定の温度幅Wでヒータ51のオンおよびオフを制御する。なお、所定の温度幅Wは、たとえば、上限値THc1を上限とし、下限値THc2を下限とする幅である。
保温制御部202は、ヒータ51への通電を行う(ヒータ51をオンにする)ことによって洗浄水を加熱した後、温水サーミスタ101の測定値が上限値THc1を超えたことを検知すると、ヒータ51への通電を停止する(ヒータ51をオフにする)。ヒータ51がオフされることにより、洗浄水は自然冷却する。そして、温水サーミスタ101の測定値が下限値THc2を下回ったことを検知すると、保温制御部202は、再度ヒータ51への通電を行う(ヒータ51をオンにする)。このように、保温制御部202は、洗浄水の温度が目標温度THcに維持されるように洗浄水の加熱と冷却とを繰り返す。
なお、本実施形態において、ヒータ51のオンおよびオフは、ヒータ51への通電を行うことおよびヒータ51への通電を停止することによって行われるが、ヒータ51への通電量を大きくすることおよびヒータ51への通電量を小さくすることによって行われてもよい。
なお、ここでは、温水サーミスタ101を利用して保温制御部202がヒータ51のオンおよびオフを制御する例を示したが、保温制御部202は、温水サーミスタ101を利用せずに、ヒータ51のオンおよびオフを制御しても良い。たとえば、保温制御部202は、ヒータ51をオンした後、あらかじめ設定された時間が経過した場合にヒータ51をオフしても良い。また、保温制御部202は、ヒータ51をオフした後、あらかじめ設定された時間が経過した場合にヒータ51をオンしても良い。また、温水サーミスタ101が異常検知の対象として設定されている場合に、保温制御部202は、異常検知を行うタイミングにおいて、一時的にリミッタサーミスタ102を利用してヒータ51のオンおよびオフを制御するようにしても良い。
次に、リミッタサーミスタ102の異常検知について説明する。図5は、第1実施形態に係る異常検知の説明図である。図5に示すグラフの縦軸は、リミッタサーミスタ102の測定値に対応する温度を示しており、横軸は、時間を示している。なお、図5(a)は、リミッタサーミスタ102に異常が生じていない場合を示している。また、図5(b)は、リミッタサーミスタ102に異常が生じている場合を示している。また、図5(c)は、リミッタサーミスタ102に異常は生じていないが、環境要因等により、貯湯タンク50内の温度変化が偶然小さくなった場合を示している。
リミッタサーミスタ102に異常が生じていない場合、図5(a)に示すように、リミッタサーミスタ102の測定値は、上述したヒータ51のオンおよびオフによる貯湯タンク50内の洗浄水の温度変化に伴って、上下に変動する。
これに対して、リミッタサーミスタ102に異常が生じている場合、異常の内容によっては、図5(b)に示すように、リミッタサーミスタ102の測定値は、ヒータ51のオンおよびオフによる貯湯タンク50内の洗浄水の温度変化が生じているにも関わらず、変化しなくなってしまったり、変化が小さくなってしまったりする場合がある。
一方、貯湯式の衛生洗浄装置20においては、環境要因等により、貯湯タンク50内の洗浄水の温度変化が偶然小さくなる場合がある。その場合、リミッタサーミスタ102に異常が生じていない場合であっても、図5(c)に示すように、温度変化が小さくなる場合がある。
そこで、制御部200の判定部201は、所定期間T1内においてリミッタサーミスタ102によって測定された温度の最大値LM1および最小値LM2の差分(以下、「測定差分値LMD」と記載する)に基づき、リミッタサーミスタ102の異常を判定することとした。
本実施形態においては、ヒータ51がオンとなってから再度オンになるまでの期間を所定期間T1とした場合を例に挙げて説明する。ヒータ51のオンおよびオフは複数回連続して繰り返されるため、所定期間T1も同様に、複数回連続して繰り返される。
なお、所定期間T1は、一定の時間とは限らない。たとえば、ヒータ51がオンとなり貯水タンク50内の洗浄水の温度が上昇している最中に、貯湯タンク50内に常温の洗浄水が供給されると、貯湯タンク50内の洗浄水の温度が上昇し難くなる場合がある。このとき、ヒータ51がオンとなってから再度オンになるまでに長い時間を要することとなり、所定期間T1が長くなる。このように、所定期間T1は、一定の時間とは限らず、長くなる場合や短くなる場合がある。
判定部201は、連続する複数回の所定期間T1の内、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1の数を計測する。異常判定閾値Tpは、温度幅W(図4参照)未満の閾値である。つづいて、判定部201は、計測された数をあらかじめ定められた数と比較する。そして、判定部201は、計測された数があらかじめ定められた数以上である場合に、リミッタサーミスタ102が異常であると判定する。
ここで、図5(b)および図5(c)を用いて、異常であると判定する場合および異常でないと判定する場合の例について説明する。この例においては、「連続する複数回の所定期間T1」の「複数回」が「4回」に設定され、「あらかじめ定められた数」が「2回」に設定された場合を示している。
図5(b)に示す例の場合、「測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1の数」は「3」であり、「あらかじめ定められた数」である「2回」以上である。このため、判定部201は、リミッタサーミスタ102が異常であると判定する。
一方、図5(c)に示す例の場合、「測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1の数」が「1」であり、「あらかじめ定められた数」である「2回」未満である。このため、判定部201は、リミッタサーミスタ102が正常であると判定する。
なお、ここでは、「連続する複数回の所定期間T1」の「複数回」を「4回」、「あらかじめ定められた数」を「2回」とする例を示したが、これらの回数はこの例に限らず、適宜変更可能である。
このように、第1実施形態に係る衛生洗浄装置20では、リミッタサーミスタ102の異常を判定する判定部201は、温水サーミスタ101の測定値とリミッタサーミスタ102の測定値とを比較して異常を判定するのではなく、リミッタサーミスタ102によって測定された所定期間T1内における温度の最大値LM1および最小値LM2の差分である測定差分値LMDに基づき、リミッタサーミスタ102の異常を判定する。このため、リミッタサーミスタ102の測定値だけでもリミッタサーミスタ102の異常を検知することが可能となり、リミッタサーミスタ102の異常を複数の温度センサを必要とせずに検知することができる。
また、所定期間T1内における温度の最大値LM1と最小値LM2とを用いて異常検知を行っているため、貯湯タンク50内の洗浄水が急峻に温度変化しなくとも、所定期間T1内で最大値LM1および最小値LM2に差分が生じれば異常を検知することができるため、瞬間式に比べて温度変化が緩やかな貯湯式であっても、異常検知の対象となる温度センサであるリミッタサーミスタ102の異常を適切に検知することができる。
また、第1実施形態に係る衛生洗浄装置20では、連続する複数回の所定期間T1の内、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1の数があらかじめ定められた数以上であることを条件にリミッタサーミスタ102が異常であると判定するため、環境要因等により、温度変化が偶然小さくなる場合がある貯湯式の衛生洗浄装置20において、誤検知が生じることを抑制できる。
つづいて、異常検知の手順について図6を参照して説明する。図6は、第1実施形態に係る異常検知の手順の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、リミッタサーミスタ102の異常検知を行う場合を例に挙げて説明するが、温水サーミスタ101に対して同様の異常検知が実行されてもよい。すなわち、「異常検知の対象となる温度センサ」は、リミッタサーミスタ102に限らず、温水サーミスタ101であってもよい。
図6に示すように、判定部201は、所定期間T1内の測定差分値LMDを算出する(ステップS101)。具体的には、所定期間T1内において、リミッタサーミスタ102から入力される測定値のうち最大値LM1および最小値LM2を記憶する。また、判定部201は、所定期間T1内において、記憶した最大値LM1よりも大きな測定値が入力された場合には最大値LM1を更新し、記憶した最小値LM2よりも小さな測定値が入力された場合には最小値LM2を更新する。そして、判定部201は、所定期間T1が終了した時点における最大値LM1と最小値LM2との差分を測定差分値LMDとして算出する。
つづいて、判定部201は、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さいか否かを判定する(ステップS102)。
ステップS102において、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さいと判定した場合(ステップS102,Yes)、判定部201は、判定を保留する保留状態としてノズル90からの吐水を禁止する(ステップS103)。
一方、ステップS102において、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも大きいと判定した場合(ステップS102,No)、判定部201は、現在の状態が保留状態であるか否かを判定する(ステップS104)。この処理において、現在の状態が保留状態であると判定した場合(ステップS104,Yes)、判定部201は、保留状態を解除して(ステップS105)、処理を終了する。また、ステップS104において、現在の状態が保留状態でない場合(ステップS104,No)、判定部201は、ステップS105の処理を行うことなく、処理を終了する。
ステップS103につづいて、判定部201は、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さいと判定された所定期間T1(以下、「保留判定された所定期間T1」と記載する)があらかじめ定められた数であるN回以上連続したか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106において、保留判定された所定期間T1がN回以上連続していない場合(ステップS106,No)、判定部201は、処理をステップS101に戻し、引き続き処理を繰り返す。
一方、ステップS106において、保留判定された所定期間T1がN回以上連続した場合(ステップS106,Yes)、判定部201は、リミッタサーミスタ102が異常であると判定し(ステップS107)、異常対応処理を行ったうえで(ステップS108)、処理を終了する。
異常対応処理として、判定部201は、たとえば、衛生洗浄装置20の本体部21あるいは図示しない操作部に設けられたLED(Light Emitting Diode)インジケータを点灯させることにより、リミッタサーミスタ102に異常が生じたことを使用者に報知してもよい。また、判定部201は、異常対応処理として、ヒータ51による温度制御処理を禁止することで、設定温度を超える温度の洗浄水が人体に吐出されないようにしてもよい。
このように、第1実施形態に係る衛生洗浄装置20では、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1が連続したことを条件としてリミッタサーミスタ102が異常であると判定する。これにより、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpより小さくなったとしても、連続して小さくならない限りは、リミッタサーミスタ102に異常があると判定されないため、環境要因等により、温度変化が偶然小さくなる場合がある貯湯式の衛生洗浄装置20において、誤検知が生じることを抑制できる。
また、判定部201は、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい場合に温度センサが異常であるか否かの判定を保留する保留状態とし、保留状態においてノズル90からの吐水を禁止する。また、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも大きい場合に保留状態を解除する。
このように、第1実施形態に係る衛生洗浄装置20では、保留状態において、ノズル90からの吐水を禁止するため、温度センサに異常の疑いがある状態での吐水を禁止することができる。また、温度センサに異常がない場合にはノズル90からの吐水を行うことができる。
ここでは、保温制御部202による保温制御が行われている間に異常判定を行う場合の例について説明したが、リミッタサーミスタ102の異常判定の実行タイミングは、必ずしも保温制御部202による保温制御が行われている間に限定されない。例えば、リミッタサーミスタ102の異常判定は、衛生洗浄装置20に電源が投入された時に行われてもよい。これにより、たとえば、電源を投入する前からリミッタサーミスタ102に異常が生じていた場合であっても、早期に異常を検知することができる。
(第2実施形態)
衛生洗浄装置20は、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さいことを連続で検知せずとも、複数回の所定期間の内のあらかじめ定められた数以上検知することを条件にリミッタサーミスタ102が異常であると判定してもよい。
第2実施形態に係る異常検知の手順について図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係る異常検知の手順の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、判定部201は、まず、所定期間T1内の測定差分値LMDを算出し、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1の数を計測する(ステップS201)。そして、計測された数があらかじめ定められた数であるM以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
ステップS202において、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1の数がM以上でないと判定した場合(ステップS202,No)、判定部201は、処理を終了する。
一方、ステップS202において、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さい所定期間T1の数がM以上であると判定した場合(ステップS202,Yes)、判定部201は、リミッタサーミスタ102が異常であると判定し(ステップS203)、異常対応処理を行ったうえで(ステップS204)、処理を終了する。
このように、第2実施形態に係る衛生洗浄装置20では、たとえば測定差分値LMDが異常判定閾値Tpより偶然大きくなり、連続しなかったとしても、リミッタサーミスタ102の異常を検知することができる。すなわち、異常検知の対象となる温度センサであるリミッタサーミスタ102の異常をより確実に検知することができる。
なお、第1実施形態と同様、判定部201は、測定差分値LMDが異常判定閾値Tpよりも小さいと判定した場合に、判定を保留する保留状態としてノズル90からの吐水を禁止してもよい。
上述してきたように、実施形態に係る衛生洗浄装置20によれば、リミッタサーミスタ102の異常を判定する判定部201は、温水サーミスタ101の測定値とリミッタサーミスタ102の測定値とを比較して異常を判定するのではなく、リミッタサーミスタ102によって測定された所定期間T1内における温度の最大値LM1および最小値LM2の差分である測定差分値LMDに基づき、リミッタサーミスタ102の異常を判定する。このため、リミッタサーミスタ102の測定値だけでもリミッタサーミスタ102の異常を検知することが可能となり、リミッタサーミスタ102の異常を複数の温度センサを必要とせずに検知することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。