JP7225881B2 - 光電変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ペロブスカイト型太陽電池セルを有する光電変換装置に関する。
ペロブスカイト型太陽電池は、近年その光電変換効率の高さ及び製造の容易さから、シリコンを用いた光電池にとって代わる可能性を秘めた材料として注目を集めている。さらに、低照度下においても優れた発電効率を示す特長を有することから、特に小さい面積で動作するセンサやIoT機器のセンサデータの発信源として使うことなども有効な用途として考えられている。
例えば特許文献1では、電子機器にペロブスカイト型太陽電池を組み込むことで、装飾自由度の高いデバイスを提供できるとされている。
また、特許文献2には、ペロブスカイト太陽電池も太陽光を照射し続けると時間と共に変換効率が低下するため、非発電時に光吸収層に電流を流す技術が開示されている。
特開2018-125359号公報 国際公開特許2017-221535号公報
本発明者らは、ペロブスカイト型太陽電池の応用について検討したところ、ペロブスカイト型太陽電池は、発電できない暗環境下に置かれた後、発電可能な光強度の下に置かれても、すぐにはその発電能力が発現しないことが解った。本発明者らの検討では、ペロブスカイト型太陽電池は、発電できない暗環境下に置かれた後、発電可能な光強度の下に置かれた場合、発電電圧が低い状態をしばらくの間保持するため、本来の発電能力を発揮するまでに10分程度の時間を要することを見出した。
本発明の課題は、暗環境下から発電可能な光強度の下に移行した際に、発電電圧の低下を抑制できる、ペロブスカイト型太陽電池を用いた光電変換装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を進め、ペロブスカイト型太陽電池が置かれる環境が一定照度以下となった後に、当該ペロブスカイト型太陽電池に発電時と同じ極性の適度なバイアス電圧を印加することにより、かかる問題が発生せず、迅速に所望の発電能力を発現できることを見出し、本発明に到達した。本発明は、以下のものを含む。
(1)ペロブスカイト型太陽電池セル、及び
前記太陽電池セルに電気的に接続され、且つ前記太陽電池セルにバイアス電圧を印加し得る、バイアス電圧印加機構、を有し、
前記バイアス電圧印加機構は、前記太陽電池セルに電圧を印加する電圧出力手段と、前記太陽電池セルが照度10Lx以下の状態に曝された後、前記太陽電池セルが再度照度10Lxを超える状況に曝される前に、前記太陽電池セルにバイアス電圧Vbを印加するよう制御し得る制御手段と、を有する光電変換装置。
(2)前記バイアス電圧印加機構は、照度10Lx以下であることを検知する検知手段を有する(1)に記載の光電変換装置。
(3)前記印加バイアス電圧Vbが、Vb/Voc=0.05~1.2である(1)又は
(2)に記載の光電変換装置(ただしVocはLED光源200Lx条件下のペロブスカイト型太陽電池セルの開放電圧である)。
(4)前記印加バイアス電圧Vbが、Vb/Voc=0.1~1.0である(3)に記載の光電変換装置。
(5)前記ペロブスカイト型太陽電池セルが、順型ペロブスカイト型太陽電池セルである(1)乃至(4)のいずれかに記載の光電変換装置。
(6)前記ペロブスカイト型太陽電池セルを直列化したペロブスカイト型太陽電池モジュールを有する(1)乃至(5)のいずれかに記載の光電変換装置。
(7)ペロブスカイト型太陽電池セル、及び
前記太陽電池セルに電気的に接続され、且つ前記太陽電池セルにバイアス電圧を印加し得る、バイアス電圧印加機構、を有する光電変換装置の運転方法であって、
前記太陽電池セルが照度10Lx以下の状態において、前記太陽電池セルにバイアス電圧Vbを印加する印加ステップ、を含む光電変換装置の運転方法。
一実施形態としての光電変換素子を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池モジュールを模式的に表す断面図である。 一実施形態としての光電変換装置を模式的に表すブロック図である。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置は、ペロブスカイト型太陽電池セル、及び該太陽電池セルにバイアス電圧を印加し得るバイアス電圧印加機構を有する。ペロブスカイト型太陽電池は、通常、一対の電極と、その間に位置するハライド系有機無機ペロブスカイト半導体化合物を含む活性層と、を有する。詳細は後述する。
本実施形態に係る光電変換装置はバイアス電圧印加機構を有し、バイアス電圧印加機構は、前記太陽電池セルに電圧を印加する電圧出力手段と、前記太陽電池セルが照度10Lx以下の状態に曝された後、前記太陽電池セルが再度照度10Lxを超える状況に晒される前に、前記太陽電池セルにバイアス電圧Vbを印加するよう制御し得る制御手段と、を有する。また、太陽電池セルの環境が、照度10Lx以下であることを検知する検知手段を有してもよい。
本実施形態のペロブスカイト型太陽電池は、照度10Lx以下の暗環境下に置かれた場合、上部電極および下部電極の両極に存在していたメチルアンモニウムイオン、および、ヨウ素イオンが活性層内に拡散する。その後、発電可能な光強度の下に置かれても、上部電極および下部電極の両極へイオンが移動するまでは発電能力が不十分となり、発電電圧が低い状態をしばらくの間保持するため、本来の発電能力を発揮するまでに10分程度の時間を要するとの知見に基づくものである。本実施形態の光電変換装置はバイアス電圧印加機構を有し、該バイアス電圧印加機構は、ペロブスカイト型太陽電池セルに対し、照度10Lx以下の状態に曝された後、前記太陽電池セルが再度照度10Lxを超える状況に晒される前に、前記太陽電池セルにバイアス電圧Vbを印加するよう制御することで、本来の発電能力を早急に発現させようというものである。以下、図4に基づき説明する。
図4は、本実施形態の光電変換装置200の模式図を示す。
ペロブスカイト型太陽電池セル24は、バイアス電圧印加機構20中の電圧出力手段2
1と電気的に接続される。
電圧出力手段21は、バイアス電圧をペロブスカイト型太陽電池セル24に印加できれば特段限定されず、外部電源であってもよいが、通常太陽電池セルを設置する環境下において、外部電源のアウトレットが無い場合もあるため、電池、キャパシタ等を電圧出力手段として使用してもよい。
電圧出力手段21は、制御手段22により、電圧の出力を制御される。制御手段22の制御は、一例としては、照度センサなどの照度検知手段23が検知した照度の数値を得て、当該照度が10Lx以下であった場合には、電圧出力手段21により、ペロブスカイト型太陽電池セル24にバイアス電圧を印加するように制御することが挙げられる。
本実施形態の光電変換装置は、照度検知手段23を有しない形態もあり得る。例えば、工場や家庭などで、消灯した場合の照度が10Lx以下となる場合であって、次に照明を点灯する時間があらかじめ決まっているときには、制御手段22にタイマーを組み込むことで、照明が点灯する一定時間前にペロブスカイト型太陽電池セル24にバイアス電圧を印加するように制御することができる。
電圧出力手段21により、ペロブスカイト型太陽電池セル24にバイアス電圧を印加するタイミングは特段限定されないが、上記述べたように、一度暗環境に曝されたペロブスカイト型太陽電池24は、本来の発電能力を発揮するまでに10分程度の時間を要するため、再度10Lxを上回る照度となる5分前にバイアス電圧を印加してよく、7分前にバイアス電圧を印加してよく、10分前にバイアス電圧を印加してもよい。一方で、再度10Lxを上回る照度となる時点よりも相当前にバイアス電圧を印加すると、エネルギーを無駄にしてしまうことから、30分前以内に電圧を印加してよく、20分前以内に電圧を印加してよく、15分前以内に電圧を印加してもよい。
一方で、どのタイミングで再度10Lxを上回る照度となるか不明である場合には、照度が10Lx以下となった時点で電圧を印加するような制御をしてもよい。
電圧出力手段21によりペロブスカイト型太陽電池セル24に印加するバイアス電圧(Vb)は特段限定されないが、LED光源200Lx下のペロブスカイト型太陽電池セルの開放電圧(Voc)に対する値として、即ちVb/Vocが通常0.05以上であり、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、また通常1.2以下であり、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.8以下である。上記の下限範囲とすることで、ペロブスカイト型太陽電池セル内の活性層内のイオン拡散を十分に促すことで本来の発電特性に戻すことができ、一方、上記の上限範囲とすることでペロブスカイト型太陽電池セルの発電特性の劣化を抑制することができる。
ペロブスカイト型太陽電池セル24は、順型のペロブスカイト型太陽電池セルであっても逆型のペロブスカイト型太陽電池セルであってよいが、逆型のペロブスカイト型太陽電池セルに対して順型のペロブスカイト型太陽電池セルでは、照度10Lx以下のような暗所環境下では正孔輸送層のドーパントが不安定となるため、発電特性の低下がより顕著に表れる特徴を有する。
次に、ペロブスカイト型太陽電池セル(以下、光電変換素子とも称する)を、図面を用いて説明する。
[1.一実施形態に係る光電変換素子]
図1は、光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子の構造であるが、本実施形態に係る光電変換素子が図1に示される構造のものに限られるわけではない。図1に示す光電変換素子100においては、下部電極101、及び上部電極105で構成される一対
の電極の間に、活性層103が位置している。また、光電変換素子100において、下部電極101と活性層103との間に、電子輸送層102が配置されてもよく、また、上部電極105と活性層103との間に、正孔輸送層104が配置されてもよい。さらに、図1に示すように、光電変換素子100が、基材106、絶縁体層、及び仕事関数チューニング層のようなその他の層を有していてもよい。
[1.1 活性層]
活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子100が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアは下部電極101及び上部電極105から取り出される。
本実施形態において、活性層103は有機無機ハイブリッド型半導体材料を含有する。有機無機ハイブリッド型半導体材料とは、有機成分と無機成分とが分子レベル又はナノレベルで組み合わせられた材料であって、半導体特性を示す材料のことを指す。
本実施形態において、有機無機ハイブリッド型半導体材料は、ペロブスカイト構造を有する化合物(以下、ペロブスカイト半導体化合物と呼ぶことがある)である。ペロブスカイト半導体化合物とは、ペロブスカイト構造を有する半導体化合物のことを指す。ペロブスカイト半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、Galasso et al. Structure and Properties of Inorganic Solids, Chapter 7 - Perovskite type and related structuresで挙げられているものから選ぶことができる。例えば、ペロブスカイト半導体
化合物としては、一般式AMXで表されるAMX型のもの又は一般式AMXで表されるAMX型のものが挙げられる。ここで、Mは2価のカチオンを、Aは1価のカチオンを、Xは1価のアニオンを指す。
1価のカチオンAに特段の制限はないが、上記Galassoの著書に記載されているものを用いることができる。より具体的な例としては、周期表第1族及び第13族乃至第16族元素を含むカチオンが挙げられる。これらの中でも、セシウムイオン、ルビジウムイオン、置換基を有していてもよいアンモニウムイオン又は置換基を有していてもよいホスホニウムイオンが好ましい。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの例としては、1級アンモニウムイオン又は2級アンモニウムイオンが挙げられる。置換基にも特段の制限はない。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの具体例としては、アルキルアンモニウムイオン又はアリールアンモニウムイオンが挙げられる。特に、立体障害を避けるために、3次元の結晶構造となるモノアルキルアンモニウムイオンが好ましく、安定性向上の観点からは、一つ以上のフッ素基を置換したアルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。また、カチオンAとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。
1価のカチオンAの具体例としては、メチルアンモニウムイオン、モノフッ化メチルアンモニウムイオン、ジフッ化メチルアンモニウムイオン、トリフッ化メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン、n-プロピルアンモニウムイオン、イソブチルアンモニウムイオン、n-ブチルアンモニウムイオン、t-ブチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン、フェネチルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、アセトアミジニウムイオン又はイミダゾリウムイオン等が挙げられる。
2価のカチオンMにも特段の制限はないが、2価の金属カチオン又は半金属カチオンであることが好ましい。具体的な例としては周期表第14族元素のカチオンが挙げられ、より具体的な例としては、鉛カチオン(Pb2+)、スズカチオン(Sn2+)、ゲルマニ
ウムカチオン(Ge2+)が挙げられる。また、カチオンMとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。なお、安定な光電変換素子を得る観点からは、鉛カチオン又は鉛カチオンを含む2種以上のカチオンを用いることが特に好ましい。
1価のアニオンXの例としては、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、硫黄イオン、テルルイオン、チオシアン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン、2,4-ペンタンジオナトイオン又はケイフッ素イオン等が挙げられる。バンドギャップを調整するためには、Xは1種類のアニオンであってもよいし、2種類以上のアニオンの組み合わせであってもよい。一実施形態において、Xとしてはハロゲン化物イオン、又はハロゲン化物イオンとその他のアニオンとの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化物イオンXの例としては、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン等が挙げられる。半導体のバンドギャップを広げすぎない観点から、ヨウ化物イオンを用いることが好ましい。
活性層103は、Xがハロゲン化物イオン、又はハロゲン化物イオンとその他のアニオンとの組み合わせである、ハライド系有機無機ペロブスカイト半導体化合物を少なくとも含み、他のペロブスカイト半導体化合物を含有していてもよい。例えば、A、B及びXのうちの少なくとも1つが異なるペロブスカイト半導体化合物が活性層103に含まれていてもよい。また活性層103は、異なる材料を含み又は異なる成分を有する複数の層で形成される積層構造を有していてもよい。
ハライド系有機無機ペロブスカイト半導体化合物の具体例としては、CHNHPbI、CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHSnI、CHNHSnBr、CHNHSnCl、CHNHPbI(3-x)Cl、CHNHPbI(3-x)Br、CHNHPbBr(3-x)Cl、CHNHPb(1-y)Sn、CHNHPb(1-y)SnBr、CHNHPb(1-y)SnCl、CHNHPb(1-y)Sn(3-x)Cl、CHNHPb(1-y)Sn(3-x)Br、及びCHNHPb(1-y)SnBr(3-x)Cl、並びに、上記の化合物においてCHNHの代わりにCFHNH、CFHNH、又はCFNHを用いたもの、等が挙げられる。なお、xは0以上3以下、yは0以上1以下の任意の値を示す。
活性層103に含まれるペロブスカイト半導体化合物の量は、良好な半導体特性が得られるように、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上限に特に制限はない。また、活性層103には、ペロブスカイト半導体化合物に加えて添加剤が含まれていてもよい。添加剤の例としては、ハロゲン化物、酸化物、又は硫化物、硫酸塩、硝酸塩若しくはアンモニウム塩等の無機塩のような、無機化合物、又は有機化合物が挙げられる。
活性層103の厚さに特段の制限はない。より多くの光を吸収できる点で、活性層103の厚さは、一実施形態において10nm以上、別の実施形態において50nm以上、さらに別の実施形態において100nm以上、さらに別の実施形態において120nm以上である。一方で、直列抵抗が下がる点、又は電荷の取出し効率を高める点で、活性層103の厚さは、一実施形態において1500nm以下、別の実施形態において1000nm以下、さらに別の実施形態において600nm以下である。
活性層103の形成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。具体例としては、塗布法及び蒸着法(又は共蒸着法)が挙げられる。簡易に活性層103を形成できる点で、塗布法を用いることができる。例えば、ペロブスカイト半導体化合物又はその前駆体を含有する塗布液を塗布し、必要に応じて加熱乾燥することにより活性層103
を形成する方法が挙げられる。また、このような塗布液を塗布した後で、ペロブスカイト半導体化合物の溶解性が低い溶媒をさらに塗布することにより、ペロブスカイト半導体化合物を析出させることもできる。
ペロブスカイト半導体化合物の前駆体とは、塗布液を塗布した後にペロブスカイト半導体化合物へと変換可能な材料のことを指す。具体的な例として、加熱することによりペロブスカイト半導体化合物へと変換可能なペロブスカイト半導体化合物前駆体を用いることができる。例えば、一般式AXで表される化合物と、一般式MXで表される化合物と、溶媒と、を混合して加熱攪拌することにより、塗布液を作製することができる。この塗布液を塗布して加熱乾燥を行うことにより、一般式AMXで表されるペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層103を作製することができる。溶媒としては、ペロブスカイト半導体化合物及び添加剤が溶解するのであれば特に限定されず、例えばN,N-ジメチルホルムアミドのような有機溶媒が挙げられる。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
[1.2 電極]
電極は、活性層103における光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。一実施形態に係る光電変換素子100は一対の電極を有し、一対の電極のうち一方を上部電極と呼び、他方を下部電極と呼ぶ。光電変換素子100が基材を有するか又は基材上に設けられている場合、基材により近い電極を下部電極と、基材からより遠い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶことができる。また、透明電極を下部電極と、下部電極よりも透明性が低い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶこともできる。図1に示す光電変換素子100は、下部電極101及び上部電極105を有している。
一対の電極としては、正孔の捕集に適したアノードと、電子の捕集に適したカソードとを用いることができる。この場合、光電変換素子100は、下部電極101がアノードであり上部電極105がカソードである順型構成を有していてもよいし、下部電極101がカソードであり上部電極105がアノードである逆型構成を有していてもよい。
一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、より多くの光が透明電極を透過して活性層103に到達するために好ましい。光の透過率は、分光光度計(例えば、日立ハイテク社製U-4100)で測定できる。
下部電極及び/又は上部電極を透明電極とする場合、下部電極及び/又は上部電極は、上述の可視光線透過率を有してさえいれば、透明導電層又は金属層による単層で形成されていてもよいし、透明導電層及び金属層との積層により形成されていてもよい。しかしながら、透明電極を透明導電層のみで形成すると、抵抗が高く、良好な導電性を示さない傾向があるために変換効率が低下する場合がある。また、透明電極を薄い金属層のみにより形成する場合、金属層は腐食しやすく、経時的に光電変換素子が劣化する傾向があるために、透明電極とする電極は、透明導電層と金属層の積層により形成することが好ましい。
透明導電層に用いられる材料としては、特段の制限はないが、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンを
ドープしたインジウム酸化物(IWO)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化インジウム(In)等である。これらの中でも、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、亜鉛とスズの複合酸化物(ZTO)等の非晶質性酸化物を用いることが好ましい。
また、透明導電層は、シート抵抗が100Ω/□以下であることが好ましく、50Ω/□以下であることがさらに好ましく、一方、0.1Ω/□以上であることが好ましい。
金属層の材料は、特段の制限はなく、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、クロム、銅、コバルトの等の金属又はその合金が挙げられる。これらのなかでも、金属層を形成する材料は、高い電気伝導性を示すとともに、薄膜における可視光線透過率の高い銀又は銀の合金であることが好ましい。なお、銀の合金としては、硫化又は塩素化の影響を受けにくく薄膜としての安定性を向上させるために、銀と金の合金、銀と銅の合金、銀とパラジウムの合金、銀と銅とパラジウムの合金、銀と白金の合金等が挙げられる。
金属層の膜厚は、透明電極として70%以上の可視光線透過率を維持できる限りにおいて、特段の制限はないが、良好な導電性を得るために1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、一方、光透過率が低下して活性層に入射する光量が低下するのを防ぐために、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
上述の通り、一対の電極は、一方の電極が透明電極であれば、他方の電極は必ずしも透明電極でなくてもよく、非透明電極であってもよい。非透明電極を用いる場合、特段の制限はないが、例えば、上述したような金属層を厚膜化して形成することにより、非透明電極を形成することができる。なお、下部電極及び上部電極を共に透明電極とする場合、下部電極及び上部電極はともに、金属層と透明導電層の積層構造であることが好ましい。
下部電極及び上部電極の全体の厚さは、特段の制限はなく、光学特性及び電気特性を考慮して任意で選択すればよい。なかでも、シート抵抗を抑えるために、下部電極及び上部電極のそれぞれの膜厚は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、一方、高い透過率を維持するために、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。
下部電極及び上部電極の形成方法は、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。コーティングにおける膜形成ステップとしては、例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布する湿式法が挙げられる。なお、下部電極及び上部電極に対して表面処理を行うことにより、電気特性や濡れ特性等を改良してもよい。
[1.3 電子又は正孔輸送層]
電子輸送層102及び正孔輸送層104は、活性層103と一対の電極101,105の少なくとも一方との間に位置する層である。電子輸送層102及び正孔輸送層104は、例えば、活性層103から下部電極101又は上部電極105へのキャリア移動効率を向上させるために用いることができる。
電子輸送層102及び正孔輸送層104の構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517
号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の部材及びその製造方法を使用することができる。
[1.4 基材]
光電変換素子100は、通常は支持体となる基材106を有する。基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されず、例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の材料を使用することができる。
[1.5 その他の層]
光電変換素子100は、その他の層を有していてもよい。例えば、光電変換素子100は、電極の仕事関数を調整する仕事関数チューニング層を、下部電極101と電子輸送層102との間、又は上部電極105と正孔輸送層104との間に有していてもよい。また、光電変換素子100は、下部電極101と活性層103との間、又は上部電極105と活性層103との間に、水分等が活性層103に到達することを抑制する薄い絶縁体層を有していてもよい。また、耐久性を向上させるため、光電変換素子100をさらに封止してもよい。例えば、上部電極105にさらに封止板を積層し、基材106と封止板とを接着剤で固定することにより、光電変換素子100を封止することができる。
[2.光電変換素子の作製方法]
上述の方法に従って、光電変換素子100を構成する各層を形成することにより、光電変換素子100を作製することができる。光電変換素子100を構成する各層の形成方法に特段の制限はなく、シートツゥーシート(枚葉)方式、又はロールツゥーロール方式で形成することができる。
なお、ロールツゥーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツゥーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、ロールツゥーロール方式はシートツゥーシート方式に比べて量産化に適している。一方、ロールツゥーロール方式で各層を成膜しようとすると、その構造上、成膜面とロールとが接触することにより膜に傷がついたり、部分的に剥がれてしまったりする場合がある。
ロールツゥーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツゥーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、外径の上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下である。一方、下限は好ましくは10cm以上、さらに好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。ロール芯の外径の上限は、好ましくは4m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは0.5m以下である。一方、下限は好ましくは1cm以上、さらに好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは各工程で成膜される層が曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅の下限は、好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上である。一方、上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは光電変換素子100の大きさの自由度が高くなるため好ましい。
また、上部電極105を積層した後に、光電変換素子100を一実施形態において50℃以上、別の実施形態において80℃以上、一方、一実施形態において300℃以下、別
の実施形態において280℃以下、さらに別の実施形態において250℃以下の温度範囲において、加熱することができる(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子100の各層間の密着性、例えば電子輸送層102と下部電極101、電子輸送層102と活性層103等の層間の密着性が向上する効果が得られる。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、光電変換素子100に含まれる有機化合物が熱分解する可能性が低くなる。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内において異なる温度を用いた段階的な加熱を行ってもよい。
加熱時間としては、熱分解を抑えながら密着性を向上させるために、一実施形態において1分以上、別の実施形態において3分以上、一方、一実施形態において180分以下、別の実施形態において60分以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることができる。また、アニーリング処理工程は、構成材料の熱酸化を防ぐ上でも、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することができる。加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
[3.光電変換特性]
光電変換素子100の光電変換特性は使用する光源毎に対して次のようにして求めることができる。光電変換素子100に光を照射して、電流-電圧特性を測定する。得られた電流-電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
光電変換特性を求める際に使用する光源は太陽光、および、人工的な光源を用いることができる。人工的な光源は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、白色LEDランプ、電球色LEDランプ、水銀ランプ、ナトリウムランプ、および、これらのランプを組合せたものが挙げられる。
一般的に、擬似太陽光としては光源としてキセノンランプやメタルハライドランプが用いられ、AM1.5Gのスペクトルに近似した条件の光を照射強度100mW/cmで光電変換特性を得るための測定光源として使用する。また、低照度光源としては特段の制限はないが、白色LEDランプが用いられ、1~5000Lxの照度での光電変換特性を得るための測定光源として使用する。
光電変換素子100の光電変換効率は、特段の制限はないが、一実施形態において3%以上、別の実施形態において5%以上、さらに別の実施形態において8%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。また、光電変換素子100のフィルファクターは、特段の制限はないが、一実施形態において0.6以上、別の実施形態において0.7以上、さらに別の実施形態において0.8以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
本実施形態に係る光電変換素子は、温度85℃の試験環境に1日間おいた後の、最大出力(Pmax)の維持率は、60%以上であり、一実施形態において80%以上であり、別の実施形態において90%以上であり、さらに別の実施形態において95%以上である。例えば、光電変換素子を作製した直後の初期Pmaxと、この光電変換素子を試験環境においた後のPmaxとに基づいて、Pmax維持率を求めることができる。また、Pmax維持率は、上記のように光電変換素子を封止した後で測定することができる。ここで
、Pmax維持率とは、試験環境におく前後でのPmaxに基づいて、以下のように算出することができる。
Pmax維持率(%)=((試験環境においた後のPmax)/(試験環境におく前のPmax))×100
また、温度85℃の試験環境に長時間(例えば、60時間以上)おいた後の、Pmax維持率は、40%以上であり、一実施形態において60%以上であり、別の実施形態において80%以上であり、さらに別の実施形態において90%以上であり、さらに別の実施形態において95%以上である。
[4.太陽電池]
一実施形態において、光電変換素子100は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用される。図2は一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に表す断面図であり、図2には一実施形態に係る太陽電池である薄膜太陽電池が示されている。図2に表すように、薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、太陽電池素子6として、上記説明した光電変換素子を有している。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図2中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池14は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
本実施形態に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。
本実施形態に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14はそのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図3に示すように、本実施形態に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14を基材12上に備える太陽電池モジュール13を作製し、この太陽電池モジュール13を使用場所に設置して用いることができる。基材12としては周知技術を用いることができ、例えば、基材12の材料としては国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等に記載の材料を用いることができる。例えば、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として、建物の外壁用太陽電池パネルを作製することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例の具体例に限定されないことは、言うまでもない。
[塗布液の調製]
(電子輸送層用塗布液の調製)
酸化スズ(IV)15%水分散液(Alfa Aesar社製)に超純水を加えることにより、7.5%の酸化スズ水分散液を作製した。
(活性層用塗布液の調製)
ヨウ化鉛(II)をバイアル瓶に量りとりグローブボックスに導入した。ヨウ化鉛(II)の濃度が1.3mol/Lとなるように溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを加え、その後、100℃で1時間加熱撹拌することで活性層用塗布液1を作製した。
次に、別のバイアル瓶にホルムアミジンヨウ化水素酸塩(FAI)、メチルアミン臭化水素酸塩(MABr)、及びメチルアミン塩化水素酸塩(MACl)を10:1:1の質量比となるよう量りとり、グローブボックスに導入した。そこへ溶媒としてイソプロピルアルコールを加えることにより、FAI、MAbr、及びMAClの合計濃度が0.49mol/Lである活性層用塗布液2を調製した。
(正孔輸送層用塗布液の調製)
64mgのポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](PTAA,シグマアルドリッチ社製)と、7.2mgの4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(TPFB,TCI社製)とをバイアル瓶に量りとり、グローブボックスに導入した。そこへ溶媒として1.6mLのオルトジクロロベンゼンを加えた。次に、得られた混合液を150℃で1時間加熱撹拌することにより、正孔輸送層用塗布液を調製した。
パターニングされた酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜を備えるガラス基板(ジオマテック社製)に対して、超純水を用いた超音波洗浄、窒素ブローによる乾燥、及びUV-オゾン処理を行った。
次に、上記のように調製した電子輸送層用塗布液を、室温で、上記の基板上に2000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約35nmの電子輸送層を形成した。その後、基板をホットプレート上150℃で10分間加熱した。
次に、基板をグローブボックスに導入し、100℃に加熱した活性層用塗布液1を電子輸送層上に150μL滴下し、2000rpmの速度でスピンコートした。次に、基板をホットプレート上100℃で10分間加熱アニールすることにより、ヨウ化鉛層を形成した。次に、基板が室温に戻った後、ヨウ化鉛層上に活性層塗布液2(120μL)を2000rpmの速度でスピンコートし、150℃で20分間加熱することにより、有機無機ペロブスカイトの活性層(厚さ650nm)を形成した。
次に、基板を室温に戻した後、活性層上に、正孔輸送層塗布液(200μL)を1500rpmの速度でスピンコートし、さらにホットプレート上90℃で5分間加熱することで、正孔輸送層(170nm)を形成した。
次に、正孔輸送層上に、抵抗加熱型真空蒸着法により厚さ約100nmの銀を蒸着させ、金属層を形成し、上部電極とした。以上のようにして、光電変換素子を作製した。
次に、封止樹脂としてスリーボンド社製紫外線硬化性エポキシ樹脂(TB3124)を準備した。グローブボックス内の紫外線がカットされた光源下において、上記封止樹脂を下部基板の4辺の周縁部、具体的には基板端部から約3mmの間に塗布し、封止ガラス(テクノプリント社製、厚さ0.7mm、40mm角)を重ね合せた。続いて、活性層部をマスクし、スポット光源(浜松ホトニクス社製LIGHTNINGCURE LC8)を用いてキセノン光を上記基板全面に約2分間照射した。その後、十分に光硬化した厚さ5
μmの封止層、および、ペロブスカイト型太陽電池セルを得た。
<ペロブスカイト型太陽電池セルの発電特性の測定方法>
上述した印加バイアス負荷を与えた後にペロブスカイト型太陽電池セルの下部基板側から低照度測定装置(分光計器社製BLD-100)を用い、得られた電流-電圧曲線を測定した。測定には温度23℃の下、ソースメーター(ケースレー社製、2400)を用い、測定結果から、最大出力電圧(Pmax)を算出した。
<実施例1>
上記のようにして作製されたペロブスカイト型太陽電池セルを、温度23℃の下、照度200Lxの照射下で15分静置した後に、照度200LxのLED光源を用いてIV測定を行い、Pmaxを得た(Pmax0)。その後、実質的に照度0Lxとなる暗環境下で発電時の太陽電池と同じ極性のバイアス電圧0.2Vを15分印加した後に、照度200LxのLED光源を用いてIV測定を行い、Pmaxを得た(Pmax1)。Pmax維持率は以下の式により求めた。得られた結果を表1に示す。
Pmax維持率=Pmax1/Pmax0×100
<実施例2>
バイアス電圧を0.5Vとした以外は実施例1と同じ方法により、Pmax維持率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<実施例3>
バイアス電圧を0.8Vとした以外は実施例1と同じ方法により、Pmax維持率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<実施例4>
照度200Lxの照射下で15分静置した直後に、10Lx以下の環境で30分静置する工程を追加した以外は実施例1と同じ方法により、Pmax維持率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<実施例5>
バイアス電圧を0.05Vとした以外は実施例1と同じ方法により、Pmax維持率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<実施例6>
バイアス電圧を印加する時間を3分とした以外は実施例4と同じ方法により、Pmax維持率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<比較例1>
実質的に照度0Lxとなる暗環境下でバイアス電圧を印加しないこと以外は実施例1と同じ方法により、Pmax維持率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<比較例2>
照度3Lxの環境下でバイアス電圧を印加しないこと以外は実施例1と同じ方法によりPmax維持率を求めた。得られた結果を表1に示す。
Figure 0007225881000001
実施例1、2、3のペロブスカイト型太陽電池セルは、Pmax維持率が高かったのに対し、比較例1、2では低かった。暗所下におかれたペロブスカイト太陽電池がバイアス電圧の印加により特性が劣化していないことは、暗所下において活性層に存在していたイオンが両電極へ移動したためと考えられる。したがって、実施例1、2のように、光照射がなくても、外部電源から発電と同じ極性の電圧を印加することにより、即時に本来の発電性能を得ることができたと思われる。加えて、実施例5のペロブスカイト型太陽電池セルは、バイアス電圧を印加しなかった比較例1よりもPmax維持率が高かった。さらに、バイアス電圧の印加による効果は実施例4、6のように、暗所下に静置する工程が含まれていても発現されることが分かった。これは、長時間暗所下で保管したペロブスカイト型太陽電池セルにも適用することが可能であることを示唆している。
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3、9 ガスバリアフィルム
4、8 ゲッター材フィルム
5、7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
100 光電変換素子
101 下部電極
102 電子輸送層
103 活性層
104 正孔輸送層
105 上部電極
106 基材
200 光電変換装置
20 バイアス電圧印加機構
21 電圧印加手段
22 制御手段
23 照度検知手段
24 ペロブスカイト型太陽電池セル

Claims (5)

  1. ペロブスカイト型太陽電池セル、及び
    前記太陽電池セルに電気的に接続され、且つ前記太陽電池セルにバイアス電圧を印加し得る、バイアス電圧印加機構、を有し、
    前記バイアス電圧印加機構は、前記太陽電池セルに電圧を印加する電圧出力手段と、前記太陽電池セルが照度10Lx以下の状態に曝された後、前記太陽電池セルが再度照度10Lxを超える状況に曝される前に、前記太陽電池セルにバイアス電圧Vbを印加するよう制御し得る制御手段と、を有し、
    前記印加バイアス電圧Vbが、Vb/Voc=0.05~1.0である(ただしVocはLED光源200Lx条件下のペロブスカイト型太陽電池セルの開放電圧である)光電変換装置。
  2. 前記バイアス電圧印加機構は、照度10Lx以下であることを検知する検知手段を有する、請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記ペロブスカイト型太陽電池セルが、順型ペロブスカイト型太陽電池セルである、請求項1又は2のいずれかに記載の光電変換装置。
  4. 前記ペロブスカイト型太陽電池セルを直列化したペロブスカイト型太陽電池モジュールを有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置。
  5. ペロブスカイト型太陽電池セル、及び
    前記太陽電池セルに電気的に接続され、且つ前記太陽電池セルにバイアス電圧を印加し得る、バイアス電圧印加機構、を有する光電変換装置の運転方法であって、
    前記太陽電池セルが照度10Lx以下の状態において、前記太陽電池セルにバイアス電圧Vbを印加する印加ステップ、を含み、
    前記印加ステップで印加するバイアス電圧Vbが、Vb/Voc=0.05~1.0である(ただしVocはLED光源200Lx条件下のペロブスカイト型太陽電池セルの開放電圧である)光電変換装置の運転方法。
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