JP7225662B2 - 回転電機の制御装置 - Google Patents

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本発明は、同期式の回転電機の制御装置に関するものである。
この種の制御装置としては、特許文献1に記載されているように、回転電機のステータ巻線に流れる電流の検出値に基づいて、回転電機の磁極位置を推定するものが知られている。制御装置は、推定した磁極位置に基づいて、回転電機のロータを特定方向に回転させるためにステータ巻線に流れる電流を制御する。
推定した磁極位置と実際の磁極位置とが180°ずれてしまうことがある。この場合、ロータを特定方向に回転させようとしているにもかかわらず、特定方向とは逆方向にロータが回転し得る。そこで、特許文献1に記載の制御装置は、ステータ巻線に印加する指令電圧ベクトルと、推定した磁極位置との位相差に基づいて、推定した磁極位置と実際の磁極位置とが180°ずれていることを判定し、この判定結果に基づいて、磁極位置のずれを解消するようにしている。
特許第3701207号公報
本願発明者は、推定した磁極位置と実際の磁極位置とのずれを解消した場合に、電流制御が不安定となり、ステータ巻線に流れる電流が一時的に過度に大きくなってしまうといった問題に直面した。
本発明は、推定した磁極位置と実際の磁極位置とのずれを解消した場合において、ステータ巻線に流れる電流の一時的な増加を抑制できる回転電機の制御装置を提供することを主たる目的とする。
本発明は、同期式の回転電機の磁極位置を推定する推定部と、
前記推定部により推定された磁極位置である推定磁極位置に基づいて、前記回転電機のロータを特定方向に回転させるために前記回転電機のステータ巻線に流れる電流を制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部による電流制御が開始された場合において、前記ロータが前記特定方向とは逆方向に回転していることを判定する逆転判定部と、を備え、
原点を通って前記回転電機の実際の磁極位置の方向に延びるd軸と、前記原点を通って前記d軸に直交する方向に延びるq軸とにより規定される座標系をdq座標系とし、
前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された後、前記駆動制御部の電流制御で用いられる前記推定磁極位置を180°反転させると仮定した場合、前記dq座標系において前記電流ベクトルの先端が描くと想定される軌跡の開始位置を第1点とし、前記軌跡の最終位置を第2点とし、
前記dq座標系において、前記第1点及び前記第2点を通る直線と、前記軌跡とで囲まれる領域のうち、前記軌跡以外の領域を規定領域とする場合、
前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された場合、前記電流ベクトルの先端が前記規定領域からはみださないようにその先端を前記第1点から前記第2点まで移動させるために、前記ステータ巻線に流れる電流を制御する復帰処理を行う復帰制御部と、を備える。
本発明において、逆転判定部は、ロータを特定方向に回転させるための駆動制御部による電流制御が開始された場合において、ロータが特定方向とは逆方向に回転していることを判定する。
逆転判定部により逆方向に回転していると判定された後、電流制御で用いられる推定磁極位置を180°反転させると、dq座標系において電流ベクトルの先端が所定の軌跡を描くように移動する。電流ベクトルの先端がこの軌跡上を移動する場合において、電流ベクトルが一時的に過度に大きくなってしまう。ここで、dq座標系において、上記軌跡の開始位置を第1点とし、上記軌跡の最終位置を第2点とする。また、第1点及び第2点を通る直線と、上記軌跡とで囲まれる領域のうち、上記軌跡以外の領域を規定領域とする。この場合、電流ベクトルの先端が第1点から第2点に移動するまでに、その先端が規定領域に存在するようにすれば、電流ベクトルの一時的な増加を抑制できるとの知見を本願発明者は得た。
そこで、本発明は、逆転判定部により逆方向に回転していると判定された場合、電流ベクトルの先端が規定領域からはみださないようにその先端を第1点から第2点まで移動させるために、ステータ巻線に流れる電流を制御する復帰処理を行う。これにより、ロータの回転方向を特定方向に戻すために推定磁極位置と実際の磁極位置とのずれを解消した場合において、ステータ巻線に流れる電流の一時的な増加を抑制することができる。
第1実施形態に係る回転電機の制御システムの全体構成図。 制御装置の処理を示すブロック図。 dq座標系及びγδ座標系を示す図。 磁極位置を推定するための高周波電圧の推移を示すタイムチャート。 逆転判定処理の手順を示すフローチャート。 推定誤差が0°の場合における電圧,電流ベクトルを示す図。 推定誤差が180°の場合における電圧,電流ベクトルを示す図。 制御に用いる電気角を180°反転させた場合における電圧,電流ベクトルの軌跡を示す図。 制御に用いる電気角及び電圧ベクトルの位相それぞれを180°反転させた場合における電圧,電流ベクトルの軌跡を示す図。 dq座標系における規定領域を示す図。 高周波電圧の位相を180°反転させる処理を説明するための図。 第2実施形態に係る極性判定処理の手順を示すフローチャート。 極性判定の原理を説明するための図。 逆転判定処理の手順を示すフローチャート。 第3実施形態に係る逆転判定処理の手順を示すフローチャート。 第4実施形態に係る制御装置の処理を示すブロック図。 逆転判定処理の手順を示すフローチャート。 指令電流ベクトルの変更態様を示す図。 その他の実施形態に係るdq座標系における規定領域を示す図。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る制御装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態において制御装置は、3相回転電機に接続された3相インバータに適用される。
図1に示すように、制御システムは、回転電機10及びインバータ20を備えている。回転電機10は、ブラシレスの同期機であり、本実施形態では永久磁石同期機である。回転電機10は、ロータ10aと、ステータ巻線であるU,V,W相巻線11U,11V,11Wとを備えている。
なお、回転電機10は、例えば、ファン又はポンプを備える駆動装置を構成し、ロータ10aの回転によってファン又はポンプを駆動する。ファンは、例えば、ラジエータファン又は車室内空調用のファンである。ポンプは、例えば、オイルポンプ又はウォータポンプである。
回転電機10は、インバータ20を介して直流電源としてのバッテリ30に接続されている。インバータ20は、上アームスイッチSUH,SVH,SWHと下アームスイッチSUL,SVL,SWLとの直列接続体を備えている。U相上,下アームスイッチSUH,SULの接続点には、回転電機10のU相巻線11Uの第1端が接続されている。V相上,下アームスイッチSVH,SVLの接続点には、回転電機10のV相巻線11Vの第1端が接続されている。W相上,下アームスイッチSWH,SWLの接続点には、回転電機10のW相巻線11Wの第1端が接続されている。U,V,W相巻線11U,11V,11Wの第2端は、中性点で接続されている。本実施形態において、誘導性負荷であるU,V,W相巻線11U,11V,11Wは、電気角で互いに120°ずれている。
本実施形態では、各スイッチSUH,SUL,SVH,SVL,SWH,SWLとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられており、より具体的にはNチャネルMOSFETが用いられている。各スイッチSUH,SUL,SVH,SVL,SWH,SWLは寄生ダイオードDUH,DUL,DVH,DVL,DWH,DWLを有している。
インバータ20は、その入力側に、インバータ20の入力電圧を平滑化するコンデンサ21を備えている。コンデンサ21の高電位側端子は、バッテリ30の正極端子と、上アームスイッチSUH~SWHのドレインとを接続する電気経路に接続されている。コンデンサ21の低電位側端子は、バッテリ30の負極端子と、下アームスイッチSUL~SWLのソースとを接続する電気経路に接続されている。
制御システムは、電流センサ40を備えている。電流センサ40は、回転電機10に流れる各相電流のうち、少なくとも2相分の電流を検出する。本実施形態では、電流センサ40は、3相分の電流を検出するものとする。電流センサ40の検出値は、制御システムに備えられる制御装置50に入力される。
制御装置50は、マイコンを主体として構成され、回転電機10の制御量をその指令値にフィードバック制御すべく、インバータ20の各スイッチをスイッチング操作する。本実施形態において、制御量は電気角速度(回転速度)であり、その指令値は指令角速度ω*である。制御装置50は、回転電機10に印加される電圧ベクトルが、電気角速度を指令角速度ω*に制御するための指令電圧ベクトルになるように、インバータ20の各スイッチをスイッチング操作する。これにより、互いに120度ずれた正弦波状の相電流が各相巻線11U,11V,11Wに流れる。
制御装置50は、位置センサレス制御を行い、この制御の際に電気角を推定する。位置センサレス制御は、ホール素子やレゾルバ等の角度センサにより検出される回転電機10の回転角情報を用いることのない回転電機10の制御である。
ちなみに、制御装置50は、自身が備える記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、各種制御機能を実現する。各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよいし、ハードウェア及びソフトウェアの双方によって実現されてもよい。
続いて、図2のブロック図を用いて、制御装置50の処理について詳しく説明する。
速度偏差算出部51は、指令角速度ω*から、後述する速度推定部61により算出された推定角速度ωestを減算することにより、速度偏差Δωを算出する。推定角速度ωestは、電気角速度の推定値である。指令角速度ω*は、回転電機10のロータ10aを特定方向(正方向)に回転させる場合に正の値となり、特定方向とは逆方向にロータ10aを回転させる場合に負の値となる。
速度制御器52は、速度偏差Δωを0にフィードバック制御するための操作量として、回転電機10の指令トルクTrq*を算出する。指令トルクTrq*は、ロータ10aを特定方向に回転させる場合に正の値となり、特定方向とは逆方向にロータ10aを回転させる場合に負の値となる。なお、速度制御器52におけるフィードバック制御としては、例えば比例積分制御が用いられればよい。
電流変換部53は、後述する角度推定部62により算出された推定角θestと、電流センサ40により検出された各相電流IU,IV,IWとに基づいて、UVW座標系におけるU,V,W相電流を、γδ座標系におけるγ軸電流Iγr及びδ軸電流Iδrに変換する。推定角θestは、電気角の推定値である。
ここで、UVW座標系は、回転電機10の3相固定座標系であり、γδ座標系は、回転電機10の2相回転座標系であるdq座標系の推定座標系である。図3に、γδ座標系、dq座標系、及び2相固定座標系であるαβ座標系を示す。dq座標系は、原点Oを通って実際の磁極位置の方向に延びるd軸と、原点Oを通ってd軸と直交する方向に延びるq軸とにより規定される座標系である。γδ座標系は、原点Oを通って推定磁極位置の方向に延びるγ軸と、原点Oを通ってγ軸と直交する方向に延びるδ軸とにより規定される座標系である。図3には、αβ座標系のα軸とγδ座標系のγ軸とのなす角度を推定角θestとして示し、α軸とdq座標系のd軸とのなす角度を実際の電気角θとして示し、d軸とγ軸とのなす角度を推定誤差Δθとして示す。dq座標系は、αβ座標系に対して、回転電機10の電気角速度で回転する座標系である。
図2の説明に戻り、指令電流設定部54は、指令トルクTrq*に基づいて、γ軸指令電流Iγ*と、δ軸指令電流Iδ*とを設定する。γ軸指令電流Iγ*及びδ軸指令電流Iδ*により、γδ座標系における指令電流ベクトルが定まる。本実施形態において、指令電流設定部54は、γ軸指令電流Iγ*を0に設定する。この設定は、本実施形態の回転電機10が、非突極機のSPMSMであるためになされる。
γ軸偏差算出部55aは、γ軸指令電流Iγ*からγ軸電流Iγrを減算した値として、γ軸偏差ΔIγを算出する。δ軸偏差算出部55bは、δ軸指令電流Iδ*からδ軸電流Iδrを減算した値として、δ軸偏差ΔIδを算出する。
電流制御器56は、γ軸偏差ΔIγに基づいて、γ軸電流Iγrをγ軸指令電流Iγ*にフィードバック制御するための操作量として、γ軸電圧Vγrを算出する。また、電流制御器56は、δ軸偏差ΔIδに基づいて、δ軸電流Iδrをδ軸指令電流Iδ*にフィードバック制御するための操作量として、δ軸電圧Vδrを算出する。γ軸電圧Vγr及びδ軸電圧Vδrにより、γδ座標系における指令電圧ベクトルが定まる。なお、電流制御器56におけるフィードバック制御としては、例えば比例積分制御が用いられればよい。
γ軸重畳部57aは、γ軸電圧Vγrと、高周波生成部58により生成されたγ軸高周波電圧Vγhとの加算値を、γ軸指令電圧Vγ*として出力する。δ軸重畳部57bは、δ軸電圧Vδrと、高周波生成部58により生成されたδ軸高周波電圧Vδhとの加算値を、δ軸指令電圧Vδ*として出力する。本実施形態では、δ軸高周波電圧Vδhが0に設定されている。このため、δ軸電圧Vδrがそのままδ軸指令電圧Vδ*となる。なお、本実施形態において、γ軸重畳部57a、δ軸重畳部57b及び高周波生成部58が高周波印加部に相当する。
γ軸高周波電圧Vγhは、γ軸指令電圧Vγ*の基本波成分の電気角速度よりも十分高い角速度で変動する信号である。本実施形態では、図4に示すように、γ軸高周波電圧Vγhの振幅をVaとし、γ軸高周波電圧Vγhの周期をTsとする。ちなみに、高周波生成部58は、回転電機10の起動時のみならず、速度制御中においても、推定角θestの算出に必要なγ軸高周波電圧Vγhを生成する。
電圧変換部59は、γ軸指令電圧Vγ*、δ軸指令電圧Vδ*及び推定角θestに基づいて、γδ座標系におけるγ,δ軸指令電圧Vγ*,Vδ*を、UVW座標系におけるU,V,W相指令電圧VU,VV,VWに変換する。本実施形態において、U,V,W相指令電圧VU,VV,VWは、電気角で位相が互いに120°ずれた波形となる。
信号生成部60は、電圧変換部59から出力されたU,V,W相指令電圧VU,VV,VWに基づいて、各操作信号gUp~gWnを生成する。信号生成部60は、生成した各操作信号gUp~gWnをインバータ20の各スイッチSUp~SWnに対して出力する。ここで、操作信号は、例えば、三角波信号等のキャリア信号と各相指令電圧VU,VV,VWとの大小比較に基づくPWM制御により生成されればよい。各相において、上アーム側の操作信号と、対応する下アーム側の操作信号とは、互いに相補的な信号となっている。このため、上アームスイッチと、対応する下アームスイッチとは、交互にオンされる。
速度推定部61は、δ軸電流Iδrに基づいて、推定角速度ωestを算出する。以下、この算出の原理について説明する。
高周波も考慮した回転電機の電圧方程式は下式(eq1)で表され、下式(eq1)に含まれる高周波に関する電圧方程式は下式(eq2)で表される。
Figure 0007225662000001
Figure 0007225662000002
図3に示したdq座標系で表された上式(eq2)をγδ座標系における式に変換すると、下式(eq3)が導かれる。
Figure 0007225662000003
上式(eq3)を電流について解くと下式(eq4)が導かれる。
Figure 0007225662000004
本実施形態では、電気角を推定するための外乱電圧をγ軸のみに印加する。このため、上式(eq4)において「Vδh=0」とすると、下式(eq5)が導かれる。
Figure 0007225662000005
上式(eq5)を推定誤差Δθについて解くと、下式(eq6)が導かれる。
Figure 0007225662000006
「Δθ≒0」と仮定し、γ軸高周波電圧Vγhの振幅Va及び周期Tsを用いると、下式(eq7)が導かれる。
Figure 0007225662000007
γ軸高周波電圧Vγhを印加すると、δ軸高周波電流Iδhが流れる。上式(eq7)は、周期Tsにおけるδ軸高周波電流Iδhの変化量ΔIδhにより、推定誤差Δθを算出できることを示している。
速度推定部61は、δ軸電流Iδrに基づいてδ軸高周波電流Iδhを算出する。速度推定部61は、例えば、δ軸電流Iδrにハイパスフィルタを施すことによりδ軸高周波電流Iδhを算出すればよい。速度推定部61は、算出したδ軸高周波電流Iδhと上式(eq7)とに基づいて、推定誤差Δθを算出する。速度推定部61は、算出した推定誤差Δθを0にフィードバック制御するための操作量として、推定角速度ωestを算出する。速度推定部61におけるフィードバック制御としては、例えば比例積分制御が用いられればよい。
ちなみに、高周波電圧の重畳を用いた角度推定の適用対象となる回転電機は、通常、突極機である。ただし、本実施形態の回転電機10は非突極機である。例えば各相巻線11U~11Wに大電流が流れ、回転電機10において磁束飽和が生じると、回転電機10のd軸インダクタンスとq軸インダクタンスとが異なる状態となる。このため、回転電機10が非突極機である場合であっても、高周波電圧の重畳を用いた角度推定が可能となる。
角度推定部62は、推定角速度ωestを時間積分することにより、推定角θestを算出する。
ところで、γ軸がd軸に対して180°ずれてしまうことがある。この場合、ロータ10aを特定方向に回転させようとしていたにもかかわらず、特定方向とは逆方向にロータ10aが回転してしまう。この場合に備えて、制御装置50は、復帰制御部63を備えている。
図5に、制御装置50により実行される逆転判定処理の手順を示す。この処理は、制御装置50内の図2に示した各処理部の協働により実行される。
ステップS10では、速度制御器52から出力する指令トルクTrq*を0にする。この処理は、ステップS15で肯定判定されるまで、回転電機10の発生トルクを0にするための処理である。本実施形態では、ステップS15で肯定判定されるまで、トルクを発生させないように指令電流設定部54及び電流制御器56における演算処理が実施されないものとする。
ステップS11では、γ軸高周波電圧Vγhの印加を開始し、ステップS12では、その印加に伴って流れるδ軸高周波電流Iδhを検出し始める。ステップS12の処理が高周波検出部に相当する。
ステップS13では、検出したδ軸高周波電流Iδhに基づいて、上述した方法による推定角速度ωestの算出を開始する。ステップS14では、算出した推定角速度ωestに基づく推定角θestの算出を開始する。
ステップS15では、推定角速度ωestの算出処理が開始されてからの経過時間TLが閾値時間Tthを超えたか否かを判定する。この処理は、上式(eq7)に基づく推定角速度ωestの算出処理が開始された後、推定誤差Δθが0又は0に近い値に収束したか否かを判定するための処理である。
ステップS15において否定判定した場合には、ステップS11に戻る。一方、ステップS15において肯定判定した場合には、ステップS16に進み、指令トルクTrq*に基づく演算を許可する。すなわち、指令電流設定部54及び電流制御器56における演算処理の実施を許可し、電気角速度が指令角速度ω*になるように、回転電機10の発生トルクが0から増加し始める。
ステップS17では、推定角速度ωestの絶対値が速度閾値ωthよりも高いか否かを判定する。この処理は、ステップS18における逆方向回転の判定精度を高めるためのものである。つまり、推定角速度ωestにはノイズが重畳し得る。この場合において、推定角速度ωestの絶対値が小さいと、推定角速度ωestに占めるノイズの割合が高くなり、ステップS18における判定精度が低下する懸念がある。
ステップS17において否定判定した場合には、ステップS11に戻る。一方、ステップS17において肯定判定した場合には、ステップS18に進み、ロータ10aの回転方向が上記特定方向とは逆方向になっているか否かを判定する。本実施形態では、指令トルクTrq*と推定角速度ωestとの乗算値が0以下であると判定した場合、逆方向になっていると判定する。この判定方法は、ロータ10aが特定方向に回転している場合、指令トルクTrq*及び推定角速度ωestそれぞれの符号が同じになることに基づくものである。
ステップS18において肯定判定した場合には、ステップS19に進み、ロータ10aが特定方向に回転していると判定する。そして、角度推定部62において上述した方法により算出した推定角θestを、電流変換部53及び電圧変換部59それぞれに対してそのまま出力する。
一方、ステップS18において否定判定した場合には、ステップS20に進み、ロータ10aが逆方向に回転している判定する。そして、角度推定部62において上述した方法により算出した推定角θestに180°加算した値を、電流変換部53及び電圧変換部59それぞれに出力する。
ステップS21では、指令電圧ベクトルの位相θvtを180°反転させる復帰処理を行う。詳しくは、指令電圧ベクトルの位相θvtを180°反転させるべく、電流制御器56から出力されるγ,δ軸電圧Vγr,Vδrそれぞれの符号を変更する。以下、図6~図10を用いて、位相θvtを180°反転させる理由について説明する。
図6に、推定誤差Δθが0の場合における指令電圧ベクトルVtr及び電流ベクトルItrを示す。電流ベクトルItrは、γ軸電流Iγr及びδ軸電流Iδrにより定まるベクトルである。なお、図6において、「ωφ」は誘起電圧べクトルを示し、「RI」はステータ巻線の抵抗による電圧降下分のベクトルを示し、「ωLI」は電機子反作用のベクトルを示す。
推定誤差Δθが0°の場合、dq座標系及びγδ座標系が一致する。この場合、指令電圧ベクトルVtrの先端はdq座標系の第2象限に存在し、電流ベクトルItrの先端は正のq軸上に存在する。その結果、ロータ10aは特定方向に回転する。
図7に、推定誤差Δθが180°の場合における指令電圧ベクトルVtr及び電流ベクトルItrを示す。推定誤差Δθが180°の場合、γ軸とd軸とが180°ずれる。この場合、指令電圧ベクトルVtrの先端はdq座標系の第3象限に存在し、電流ベクトルItrの先端は負のq軸上に存在する。その結果、δ軸指令電流Iδ*は正の値であるものの、q軸電流は負の値となり、ロータ10aは特定方向とは逆方向に回転する。
ここで、図5のステップS18で否定判定されてロータ10aが逆方向に回転していると判定されたタイミングにおける電流ベクトルItrのdq座標系における先端位置を、図8~図10に示すように第1点P1とする。
また、ロータ10aが逆方向に回転していると判定された後、図2に示した電流変換部53及び電圧変換部59で用いられる推定角θestに180°加算すると仮定した場合、dq座標系において電流ベクトルItrの先端が描くと想定される軌跡の最終位置を第2点P2とする。図8~図10において、この軌跡を一点鎖線の矢印にて示す。第2点P2は、d,γ軸に対して第1点P1と線対称の関係にある。
図10に示すように、dq座標系において、第1点P1及び第2点P2を通る直線と、一点鎖線で示した軌跡とで囲まれる領域のうち、この軌跡以外の領域を規定領域Arとする。
ロータ10aが逆方向に回転していると判定された後、推定角θestに180°加算すると、図8に示すように、指令電圧ベクトルVtrの先端位置が、dq座標系において第3象限から第1象限に切り替わる。その後、指令電圧ベクトルVtrの先端は、第2象限に移動する。その結果、dq座標系において、電流ベクトルItrの先端が一点鎖線で示す軌跡上を移動する。図8に示す例では、電流ベクトルItrの先端が、dq座標系において第4象限及び第1象限を介して第2点P2まで移動する。図8に示す例では、第1象限において電流ベクトルItrが一時的に過度に大きくなってしまう。
ここで、電流ベクトルItrの先端が第1点P1から第2点P2に移動するまでに、その先端が規定領域Arに存在するようにすれば、電流ベクトルItrの一時的な増加を抑制できることに本願発明者は着目した。
そこで、ロータ10aが逆方向に回転していると判定された場合、電流ベクトルItrの先端が規定領域Arからはみださないように電流ベクトルItrの先端を第1点P1から第2点P2まで移動させるために、各相巻線11U,11V,11Wに流れる電流を制御する復帰処理を行う。本実施形態では、この復帰処理として、指令電圧ベクトルVtrの位相θvtを180°反転させる処理を行う。この処理によれば、ロータ10aが逆方向に回転していると判定されたタイミングにおける指令電圧ベクトルVtrと、推定角θestに180°加算してかつ位相θvtを180°反転させた指令電圧ベクトルVtrとが同じになる。これにより、電流ベクトルItrの先端は、図9に示すように、第1点P1から第2点P2へと、第1点P1及び第2点P2を通る直線上を移動する。このため、本実施形態によれば、ロータ10aの回転方向を特定方向に戻すために推定角θestに180°加算した場合において、電流ベクトルItrの一時的な増加を抑制することができる。
図5の説明に戻り、続くステップS21では、高周波生成部58により生成するγ軸高周波電圧Vγhの位相を180°反転させる。これは、図11に示すように、γ軸高周波電圧Vγhのパルス幅が、γ軸高周波電圧Vγhの半周期「Ts/2」を超えて長くなることを防止するための処理である。推定角θestに180°を加算したにもかかわらず、γ軸高周波電圧Vγhの位相を180°反転させなければ、γ軸高周波電圧Vγhとして、半周期「Ts/2」ごとに正負が交互に切り替わるパルス信号を出力できなくなる。ステップS21の処理によれば、推定角θestの算出精度の低下を抑制することができる。なお、ステップS18~S21の処理は、復帰制御部63により実行される。
ちなみに、図5の逆転判定処理が完了して回転電機10の起動が完了すると、ステップS11~S14の処理が所定の制御周期で繰り返し実行される。
<第1実施形態の変形例>
・電流ベクトルItrの先端が第1点P1から第2点P2に移動するまでに、その先端が規定領域Arからはみださないことを条件として、指令電圧ベクトルVtrの位相θvtを180°反転させる処理とは別の処理を行ってもよい。例えば、電流ベクトルItrの先端が第1点P1から第2点P2まで移動するように、指令電圧ベクトルVtrを段階的(例えば2段階)に変更してもよい。なお、この場合、電流ベクトルItrの先端を第1点P1から第2点P2に移動させるまでの時間は、例えば、回転電機10の機械的時定数又はその時定数よりも短い時間に設定されていればよい。なお、機械的時定数Tmは、イナーシャをJ、インダクタンスをL、トルク定数をKt、逆起電力定数をKeとすると、「Tm=(J×L)/(Kt×Ke)」により定まる。
・図5のステップS18の処理に代えて、推定角速度ωestの符号と指令トルクTrq*の符号とのそれぞれが正であるか否かを判定する処理を行ってもよい。この処理において肯定判定した場合にステップS19に進み、否定判定した場合にステップS20に進む。
また、図5のステップS18の処理に代えて、推定角速度ωestの符号とδ軸指令電流Iδ*の符号とのそれぞれが正であるか否かを判定する処理を行ってもよい。
また、ロータ10aが逆方向に回転しているか否かの判定を、例えば以下(A)~(C)で説明する方法でも行ってもよい。
(A)特許第3701207号公報を参照して、指令電圧ベクトルと推定された磁極位置との位相差に基づいて、逆方向に回転しているか否かを判定してもよいし、特許第3480572号公報を参照して、γ軸電圧Vγrに基づいて、逆方向に回転しているか否かを判定してもよい。
(B)上記推定角速度ωestを第1推定角速度とする場合、特許第3722948号公報を参照して、ステータ巻線の電圧及び電流と、回転電機のモータ定数とに基づいて第2推定角速度を算出し、第2推定角速度と第1推定角速度とに基づいて、逆方向に回転しているか否かを判定してもよい。
(C)U,V,W相電流IU,IV,IWの出現順序に基づいて、ロータ10aが逆方向に回転しているか否かを判定してもよい。これは、逆方向に回転していない場合、U相電流IU、V相電流IV、W相電流IWの順に出現する一方、逆方向に回転している場合、U相電流IU、W相電流IW、V相電流IVの順に出現することを利用したものである。ここで、3相のうちどの相の相電流が出現したかは、例えば、電流センサ40の検出値に基づいて、各相電流が所定の判定値に到達するタイミングから把握すればよい。
・磁極推定において、γ軸高周波電圧Vγhに代えて、δ軸高周波電圧Vδhを用いてもよい。
・磁極位置(電気角)の推定方法としては、例えば、特許第3312472号公報、特許第3454212号公報又は特許第4735287号公報に記載されたものであってもよい。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、逆転判定処理の前に、図12に示す極性判定処理を行う。
図12に、制御装置50により実行される極性判定処理の手順を示す。この処理は、制御装置50内の図2に示した各処理部の協働により実行される。
ステップS30では、速度制御器52から出力する指令トルクTrq*を0にする。この処理は、後述する図14のステップS16の処理が実行されるまで、回転電機10の発生トルクを0にするための処理である。本実施形態では、図14のステップS16の処理が実行されるまで、指令電流設定部54及び電流制御器56における演算処理が実施されないものとする。
ステップS31~S35では、図5のステップS11~S15と同じ内容の処理を行う。
ステップS35において肯定判定した場合には、ステップS36~S38において、ステップS33の推定角θestから把握されるγ軸がN極又はS極のいずれであるかを判定する。本実施形態において、ステップS36~S38の処理が極性判定部に相当する。以下、図13を用いて、この判定の原理について説明する。図13では、U相電流を流す場合を例にして説明する。
図13には、d軸がU相巻線11U側に向いている場合を示す。図13において、状態Aと状態Bとは、U相電流IUを流す方向が異なる場合を示す。状態Aに示すように、U相巻線11Uに正の電圧を印加した場合、正のU相電流IUが流れる。このとき、ロータ10a側の磁石磁束とステータ巻線側の磁束とが強め合うことにより、磁束飽和が発生する。その結果、ステータ巻線のインダクタンスが低下し、U相電流IUの絶対値が大きくなる。
一方、状態Bに示すように、U相巻線11Uに負の電圧を印加した場合、負のU相電流IUが流れる。このとき、ロータ10a側の磁石磁束がステータ巻線側の磁束で弱められる。その結果、ステータ巻線のインダクタンスの低下は発生せず、U相電流IUの絶対値が小さくなる。以上から、U相巻線11Uに同じ大きさの正の電圧と負の電圧とを印加したそれぞれの場合のU相電流IUのうち、その絶対値が大きい方がN極であると判定できる。
図12の説明に戻り、ステップS36では、特定の相において、巻線に正の電圧を印加した場合の相電流Inと、負の電圧を印加した場合の相電流Isとを検出する。そして、正の電圧を印加した場合の相電流Inの絶対値が、負の電圧を印加した場合の相電流Isの絶対値よりも大きいか否かを判定する。なお、本実施形態において、ステップS36では、|In|=|Is|にはならないこととする。
ステップS36において肯定判定した場合には、ステップS37に進み、推定したγ軸の方向がN極であると判定する。一方、ステップS36において否定判定した場合には、ステップS38に進み、推定したγ軸の方向がS極であると判定する。
図12に示した極性判定処理の完了後、図14に示す逆転判定処理を行う。図14において、先の図5に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。図14では、図5のステップS10,S15の処理が実行されない。
図12に示した処理による極性の判定結果が誤ったものとなる可能性がある。この場合であっても、その後図14に示す逆転判定処理が行われることにより、ロータ10aの逆方向への回転を防止しつつ、回転電機10を起動させることができる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、逆転判定処理の内容を一部変更する。
図15に、制御装置50により実行される逆転判定処理の手順を示す。この処理は、制御装置50内の図2に示した各処理部の協働により実行される。なお、図15において、先の図5に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS14の処理の完了後、ステップS22に進み、回転電機10の電気角加速度ACCを推定する。電気角加速度ACCは、例えば、推定角速度ωestの時間微分により算出されればよい。
ステップS16の処理の完了後、ステップS23では、推定した電気角加速度ACCの絶対値が加速度閾値Athよりも高いか否かを判定する。この処理は、ステップS17の処理と同様に、ステップS24における逆方向回転の判定精度を高めるためのものである。加速度の情報を用いることにより、推定角速度ωestが実際の電気角速度から所定量ずれる誤差(オフセット誤差)が推定角速度ωestに含まれる場合であっても、その誤差がステップS24における判定結果に及ぼす影響を抑制できる。
ステップS23において否定判定した場合には、ステップS11に戻る。一方、ステップS23において肯定判定した場合には、ステップS24に進み、指令トルクTrq*と電気角加速度ACCとの乗算値が0よりも大きいか否かを判定する。ステップS24において肯定判定した場合には、ステップS19に進む。一方、ステップS24において否定判定した場合には、ステップS20に進む。
<第3実施形態の変形例>
図15のステップS24の処理に代えて、電気角加速度ACCの符号と指令トルクTrq*の符号とのそれぞれが正であるか否かを判定する処理を行ってもよい。また、図15のステップS24の処理に代えて、電気角加速度ACCの符号とδ軸指令電流Iδ*の符号とのそれぞれが正であるか否かを判定する処理を行ってもよい。
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、復帰処理として、指令電圧ベクトルVtrを変更する処理に代えて、指令電流ベクトルを変更する処理を行う。
図16は、本実施形態に係る制御装置50の処理を示すブロック図である。図16において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、ロータ10aが逆方向に回転していると判定された場合であっても、角度推定部62から出力される推定角θestは補正されず、そのまま出力される。
図17に、制御装置50により実行される逆転判定処理の手順を示す。この処理は、制御装置50内の図16に示した各処理部の協働により実行される。なお、図17において、先の図5に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS18において否定判定した場合には、ステップS25に進み、指令電流設定部54が設定するδ軸指令電流Iδ*の符号を反転させる。これにより、図18に示すように、γ軸指令電流Iγ*及びδ軸指令電流Iδ*によって定まる符号反転後の指令電流ベクトルは、符号反転前の指令電流ベクトルに対してγ軸に線対称な関係となる。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<その他の実施形態>
・γ軸指令電流Iγ*が0以外の値(例えば、Iγ*<0)に設定されていてもよい。この設定は、例えば、回転電機が突極機であるIPMSMの場合に採用される。この場合、図19に示すように、第1点P1及び第2点P2がγ軸上からずれた位置に存在することとなる。この場合において、第1点P1と第2点P2とは、d,γ軸に対して線対称な関係にある。図19に、dq座標系において、第1点P1及び第2点P2を通る直線と、一点鎖線で示した軌跡とで囲まれる領域のうち、この軌跡以外の領域である規定領域をArで示す。
・回転電機としては、ロータに永久磁石を備える永久磁石界磁型のものに限らず、例えば、界磁電流が流れる界磁巻線をロータに備える巻線界磁型のものであってもよい。
・インバータを構成するスイッチとしては、MOSFETに限らず、例えばIGBTであってもよい。
10…回転電機、10a…ロータ、50…制御装置、63…復帰制御部。

Claims (12)

  1. 同期式の回転電機(10)の磁極位置を推定する推定部と、
    前記推定部により推定された磁極位置である推定磁極位置、前記回転電機のロータ(10a)を特定方向に回転させるための、前記回転電機のステータ巻線(11U~11W)に印加する指令電圧ベクトルとに基づいて、記ステータ巻線に流れる電流を制御する駆動制御部と、
    前記駆動制御部による電流制御が開始された場合において、前記ロータが前記特定方向とは逆方向に回転していることを判定する逆転判定部と、を備え、
    原点を通って前記回転電機の実際の磁極位置の方向に延びるd軸と、前記原点を通って前記d軸に直交する方向に延びるq軸とにより規定される座標系をdq座標系とし、
    前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された後、前記駆動制御部の電流制御で用いられる前記推定磁極位置を180°反転させると仮定した場合、前記dq座標系において前記ステータ巻線に流す電流ベクトルの先端が描くと想定される軌跡の開始位置を第1点(P1)とし、前記軌跡の最終位置を第2点(P2)とし、
    前記dq座標系において、前記第1点及び前記第2点を通る直線と、前記軌跡とで囲まれる領域のうち、前記軌跡以外の領域を規定領域(Ar)とし、
    前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された場合、前記電流ベクトルの先端が前記規定領域からはみださないようにその先端を前記第1点から前記第2点まで移動させるために、前記ステータ巻線に流れる電流を制御する復帰処理を行う復帰制御部を備え、
    前記復帰制御部は、前記復帰処理として、前記駆動制御部の電流制御で用いられる前記推定磁極位置及び前記指令電圧ベクトルの位相のそれぞれを180°反転させ、180°反転させた前記推定磁極位置に基づいて、位相を180°反転させた前記指令電圧ベクトルを、前記電流ベクトルの先端を前記第2点にするための前記指令電圧ベクトルにするように前記ステータ巻線に流れる電流を制御する処理を行う回転電機の制御装置。
  2. 同期式の回転電機(10)の磁極位置を推定する推定部と、
    前記推定部により推定された磁極位置である推定磁極位置と、前記回転電機のロータ(10a)を特定方向に回転させるための、前記回転電機のステータ巻線(11U~11W)に流す指令電流ベクトルとに基づいて、記ステータ巻線に流れる電流を制御する駆動制御部と、
    前記駆動制御部による電流制御が開始された場合において、前記ロータが前記特定方向とは逆方向に回転していることを判定する逆転判定部と、を備え、
    原点を通って前記回転電機の実際の磁極位置の方向に延びるd軸と、前記原点を通って前記d軸に直交する方向に延びるq軸とにより規定される座標系をdq座標系とし、
    前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された後、前記駆動制御部の電流制御で用いられる前記推定磁極位置を180°反転させると仮定した場合、前記dq座標系において前記ステータ巻線に流す電流ベクトルの先端が描くと想定される軌跡の開始位置を第1点(P1)とし、前記軌跡の最終位置を第2点(P2)とし、
    前記dq座標系において、前記第1点及び前記第2点を通る直線と、前記軌跡とで囲まれる領域のうち、前記軌跡以外の領域を規定領域(Ar)とし、
    原点を通って前記推定磁極位置の方向に延びるγ軸と、前記原点を通って前記γ軸に直交する方向に延びるδ軸とにより規定される座標系をγδ座標系とし、
    前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された場合、前記電流ベクトルの先端が前記規定領域からはみださないようにその先端を前記第1点から前記第2点まで移動させるために、前記ステータ巻線に流れる電流を制御する復帰処理を行う復帰制御部を備え、
    前記復帰制御部は、前記復帰処理として、前記駆動制御部の電流制御で用いられる前記指令電流ベクトルを、前記γδ座標系において前記γ軸に対して線対称なベクトルに変更する処理を行う回転電機の制御装置。
  3. 同期式の回転電機(10)のステータ巻線(11U~11W)に高周波電圧を印加する高周波印加部と、
    前記高周波電圧の印加によって前記ステータ巻線に流れる高周波電流を検出する高周波検出部と、
    前記高周波検出部により検出された高周波電流に基づいて、前記回転電機の磁極位置を推定する推定部と、
    前記推定部により推定された磁極位置である推定磁極位置に基づいて、前記回転電機のロータ(10a)を特定方向に回転させるために前記ステータ巻線に流れる電流を制御する駆動制御部と、
    前記駆動制御部による電流制御が開始された場合において、前記ロータが前記特定方向とは逆方向に回転していることを判定する逆転判定部と、を備え、
    原点を通って前記回転電機の実際の磁極位置の方向に延びるd軸と、前記原点を通って前記d軸に直交する方向に延びるq軸とにより規定される座標系をdq座標系とし、
    前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された後、前記駆動制御部の電流制御で用いられる前記推定磁極位置を180°反転させると仮定した場合、前記dq座標系において前記ステータ巻線に流す電流ベクトルの先端が描くと想定される軌跡の開始位置を第1点(P1)とし、前記軌跡の最終位置を第2点(P2)とし、
    前記dq座標系において、前記第1点及び前記第2点を通る直線と、前記軌跡とで囲まれる領域のうち、前記軌跡以外の領域を規定領域(Ar)とし、
    前記逆転判定部により逆方向に回転していると判定された場合、前記電流ベクトルの先端が前記規定領域からはみださないようにその先端を前記第1点から前記第2点まで移動させるために、前記ステータ巻線に流れる電流を制御する復帰処理を行う復帰制御部を備え、
    前記復帰制御部は、前記復帰処理に加え、前記ステータ巻線に印加される前記高周波電圧の位相を180°反転させる処理を行う回転電機の制御装置。
  4. 前記回転電機の磁極位置の極性を判定する極性判定部を備え、
    前記復帰制御部は、前記極性判定部により極性が判定された後に前記復帰処理を行う請求項1~のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  5. 前記逆転判定部は、前記推定磁極位置と、前記ステータ巻線に流れる電流とに基づいて、前記逆方向に回転していることを判定する請求項1~のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  6. 前記推定部は、前記回転電機の電気角速度を推定し、推定した前記電気角速度に基づいて磁極位置を推定し、
    前記逆転判定部は、推定された前記電気角速度と、前記ステータ巻線に流れる電流とに基づいて、前記逆方向に回転していることを判定する請求項に記載の回転電機の制御装置。
  7. 前記逆転判定部は、推定された前記電気角速度の符号と、前記ステータ巻線に流れるトルク電流の符号とに基づいて、前記逆方向に回転していることを判定する請求項に記載の回転電機の制御装置。
  8. 前記逆転判定部は、推定された前記電気角速度がその閾値よりも高いことを条件として、前記逆方向に回転していることを判定する請求項6又は7に記載の回転電機の制御装置。
  9. 前記推定部は、前記回転電機の電気角加速度を推定し、
    前記逆転判定部は、推定された前記電気角加速度と、前記ステータ巻線に流れる電流とに基づいて、前記逆方向に回転していることを判定する請求項1~のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  10. 前記逆転判定部は、推定された前記電気角加速度の符号と、前記ステータ巻線に流れるトルク電流の符号とに基づいて、前記逆方向に回転していることを判定する請求項に記載の回転電機の制御装置。
  11. 前記逆転判定部は、推定された前記電気角加速度がその閾値よりも高いことを条件として、前記逆方向に回転していることを判定する請求項9又は10に記載の回転電機の制御装置。
  12. 前記逆転判定部は、前記ステータ巻線に流れる各相電流の出現順序に基づいて、前記逆方向に回転していることを判定する請求項1~のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
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