JP7225623B2 - 車両用の空調装置 - Google Patents
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Description
しかし、内燃エンジンの始動初期には冷却水の温度が低いため、暖房によって車室内の温度が所定温度に達するまでにはある程度の時間を要していた。
また、特許文献2には、ループ型のヒートパイプを用いた給湯装置が開示されている。
ヒートパイプシステムでは、作動媒体が状態変化(サイクル)を繰り返しながら、蒸発器と凝縮器との間を循環することによって、排気ガスの熱の一部が、空調用の空気の加熱に有効利用(回収)される。
これにより、ヒートパイプシステムにおける作動媒体を用いた熱輸送を、停止できるようになっている。
作動媒体の循環が停止すると、冷却されて液体状態になった作動媒体が、凝縮器内に貯留される。
そのため、凝縮器には一定程度の容積が必要であり、凝縮器を小型化することが難しかった。そこで、凝縮器を小型化できるようにすることが求められている。
内燃機関で発生する排気ガスが通流する排気管と、
前記排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステムと、を備える車両用の空調装置において、
前記ヒートパイプシステムは、
前記排気管に取り付けられて、前記排気ガスとの熱交換で作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器で液化した前記作動媒体を前記蒸発器に送る液配管と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を前記凝縮器に送るガス配管と、
前記液配管に設けられた開閉弁と、を有しており、
前記液配管における前記開閉弁と前記蒸発器との間の領域に、前記蒸発器の液配管入口高さよりも低い位置を経由する液溜り部を形成し、
前記凝縮器の容積と、前記液配管における前記開閉弁よりも上流側の容積と、前記液溜
り部の容積との合計が、前記ヒートパイプシステムに封入される液体状態の前記作動媒体の総容積と同等になるように設定し、前記排気ガスとの熱交換の非実施時には、前記ヒートパイプシステムに封入される液体状態の前記作動媒体が、前記凝縮器と、前記液配管における前記開閉弁よりも上流側と、前記液溜り部に貯留される構成の車両用の空調装置とした。
これにより、凝縮器の小型化が可能になる。
図1は、車両用の空調装置1の概略構成を説明する図である。
図2は、車両用の空調装置1の基本構成を説明する図であって、ヒートパイプシステム4と、冷凍サイクル5と、冷却水循環サイクル6の回路構成を説明する図である。
図3は、車両用の空調装置1における凝縮器43と液配管42とガス配管41の配置を説明する図である。
図1に示すように、車両Vの前部では、運転席71の前方(図1の左方)に空調装置1が設置されている。
車両Vのファイアウォール72よりも前方のエンジンルームには、駆動源である内燃機関2(ENG)が収容されている。
内燃機関2は、ガソリンなどの燃料の燃焼によって発生する熱エネルギーを運動エネルギー(駆動力)に変換するものである。内燃機関2には、燃料の燃焼により発生した排気ガスの排気系として、排気管3が接続されている。
熱回収路32とバイパス路33の上流側の分岐部と、下流側の合流部には、切替ドア34a、34bが、それぞれ回転可能に設けられている。
図4では、バイパス路33が熱回収路32の紙面奥側に隠れており、熱回収路32とバイパス路33が、水平方向に並んで配置されており、バイパス路33が紙面奥側に位置している場合を例示している。熱回収路32とバイパス路33の並びは、図1と図4の態様の何れでも良い。
蒸発器44は、排気ガスの熱を作動媒体R4に回収するヒートパイプシステム4の構成要素である。車両用の空調装置1では、ヒートパイプシステム4で回収した排気ガスの熱を、空調装置1における空調用の空気Airの加熱に利用する。
空調装置1の内部には、空調用の空気Airが通流するダクト11が形成されている。
ダクト11の内部には、ダクト11における空気Airの通流方向における上流側から順番に、シロッコファン12と、エバポレータ53と、ヒータコア63と、凝縮器43と、エア混合チャンバ14とが設けられている。
ヒータコア63では、内燃機関2の冷却水R6(熱媒体)との熱交換で、ヒータコア63を通過する空気Airを加熱する。
凝縮器43では、作動媒体R4との熱交換で、凝縮器43を通過する空気を加熱する。
空調装置1では、ヒータコア63を通過した空気Airが、そのまま凝縮器43を通過する。
エア混合チャンバ14では、エバポレータ53を通過する際に冷却された空気Airと、ヒータコア63および凝縮器43を通過する際に加熱された空気Airと、が混合されて、所望の温度に調整される。
冷凍サイクル5は、エバポレータ53の他に、膨張弁54と、コンプレッサ55と、コンデンサ56と、を有している。
エバポレータ53は、膨張弁54から供給された熱媒体R5を減圧下で蒸発させる。
コンデンサ56は、ガス配管51を介してコンプレッサ55側から供給された高温高圧の熱媒体R5を、外気との熱交換で冷却して凝縮させる。
冷却経路60は、第1経路601と、第2経路602と、を有している。第1経路601は、内燃機関2と、ラジエータ67と、冷却水バルブ64と、ウォータポンプ66とが、冷却水の通流路に沿って設けられた循環路である。ラジエータ67には、冷却水タンク65が付設されている。
ヒータコア63から延びる冷却水導入配管61と冷却水導出配管62は、第2経路602に接続されている。
冷却水バルブ64を閉じた状態で、ウォータポンプ66が駆動されると、第2経路602側を冷却水R6が通流する。
内燃機関2の排熱で加熱された冷却水R6のうち、第1経路601側を通過する冷却水R6は、ラジエータ67を通過する際に、外気との熱交換で冷却される。
空気Airとの熱交換で温度が低下した冷却水R6は、冷却水導出配管62を介して、冷却経路60(第2経路602)内に戻される。
循環路40は、金属材料からなる筒状管を環状に配置して、内部に作動媒体R4を減圧封入したものである。
ガス配管41は、蒸発器44で蒸発して気体状態になった作動媒体R4を、凝縮器43に供給する機能を果たす。
液配管42は、凝縮器43で凝縮して液体状態になった作動媒体R4を、蒸発器44に供給する機能を果たす。
ヒートパイプシステム4では、排気ガスの排熱を利用して作動媒体R4を加熱することで、排気ガスの熱の一部を作動媒体R4に回収している。
そして、作動媒体R4に回収した熱を利用して、凝縮器43を通過する空気Airを加熱しているので、排気ガスの熱を有効に利用している。
導入口43aは、凝縮器43の側縁部の上端部位に設けられている。排出口43bは、凝縮器43の側縁部の下端部位に設けられている。
液配管42もまた、配管接続部310を貫通してダクト11内に引き込まれており、液配管42の先端部は、凝縮器43の側縁部の下端部位で、排出口43bに接続されている。
エンジンルーム内においてガス配管41および液配管42は、ファイアウォール72に沿って、フロア74側の下方に延びたのち、フロア74の下面に沿って車両Vの後方側に延びている。
ガス配管41は、車両Vの前方側から排熱回収器35(蒸発器44)の上部に接続されている。
開閉弁45は、排気管3における触媒31と排熱回収器35(蒸発器)との間の領域の配管径が最も狭くなった位置に設けられている。
開閉弁45は、空調装置1を搭載した車両の走行時に走行風が通過する領域に位置している。
液配管42において液溜り部46は、開閉弁45と蒸発器44との間の領域に設けられている。
蒸発器44の側方から見て液溜り部46は、第1領域46aと第2領域46bとで、屈曲点Pを下方に向けたV形状に形成されている。
さらに、開閉弁45よりも蒸発器44側に設けた液溜り部46が、蒸発器44の液配管入口44aの高さhよりも低い位置を経由して設けられている。そのため、開閉弁45を閉じてヒートパイプシステム4の作動を停止した際に、液溜り部46内に、液化した作動媒体R4を貯留できる。
そのため、凝縮器43に液体状態の作動媒体R4が貯留されると、液配管42では、凝縮器43に貯留されている作動媒体R4と同じ高さまで、作動媒体R4を貯留できる。
(I)凝縮器43の容積V1と、液配管42における開閉弁45よりも上流側(凝縮器43側)の領域の容積V2と、液溜り部46の容積V3との合計Vsumが、ヒートパイプシステム4に封入される作動媒体R4の総容積Vtotalと同等になる。
そのため、凝縮器43の容積V1のみを考慮して、ヒートパイプシステム4に封入される作動媒体R4の総容積Vtotalを決める場合よりも、より多くの作動媒体R4を封入できる。
なお、図4では、液体状態の作動媒体R4が貯留されている領域に、交差したハッチングを付して示している。この図4では、開閉弁45を閉じてヒートパイプシステム4の作動を停止した後における作動媒体R4の貯留状態がハッチングで示されている。
次に、車両用の空調装置1の作用について説明する。
冬季などにおいて車両Vの車室70内を暖房する必要がある場合には、ミックスドア13が、図3に実線にて示す位置に配置される。
さらに、排熱回収器35に設けられた切替ドア34a、34bが、図1に実線にて示す位置に設定される。
凝縮器43に流入した気体状態の作動媒体R4は、凝縮器43を通過する空調用の空気(内気または外気)との間での熱交換により凝縮する。
凝縮器43において気体状態の作動媒体R4は、空調用の空気に凝縮潜熱を放出して凝縮(液化)する。これにより、空調用の空気Airが加熱される。
蒸発器44に流入した液体状態の作動媒体R4は、排熱回収器35内の熱回収路32を流れる排気ガスによって再び加熱されて蒸発(気化)することで、排気ガスの熱の一部を再び回収する。
その時、冷却水R6の温度は高温(常温よりも高い温度、例えば60℃以上)になる。従って、そのような状態の下で、冷却水が循環しているヒータコア63を空気が通過すると、冷却水と熱交換することにより、ヒータコア63が放熱し、その空気は加熱される。
すなわち、切替ドア34a、34bが図1に実線にて示す位置にあるときには、前述のように排気ガスが排熱回収器35内の熱回収路32を流れ、排気ガスの熱の一部が蒸発器44において作動媒体R4によって回収される。
そのため、蒸発器44内の作動媒体(液媒体)が多少の受熱によって気化するために、液配管42の液溜り部46内の作動媒体R4もまた、受熱によって気化する可能性がある。
そのため、蒸発器44における排気ガスと、液体状態の作動媒体R4との熱交換を速やかに開始することができるので、ヒートパイプシステム4が時間遅れなく始動する。
よって、ヒートパイプシステム4の始動性が高められることになる。
そのため、凝縮器43の容積のみを考慮して、ヒートパイプシステム4に封入される作動媒体R4の総容積を決める場合よりも、より多くの作動媒体R4を封入できる。
これにより、液配管42の部分の容積分だけ、凝縮器43の容積を減らすことができるので、凝縮器43の小型化と、凝縮器43を収容する空調装置1の小型化が可能になる。
(1)空調装置1は、
内燃機関2で発生する排気ガスを排出する排気管3と、
排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステム4と、を備える。
ヒートパイプシステム4は、
排気管3に取り付けられて、排気ガスとの熱交換で作動媒体R4を蒸発させる蒸発器44と、
蒸発器44で蒸発した作動媒体R4を液化させる凝縮器43と、
凝縮器43で液化した作動媒体R4を蒸発器44に送る液配管42と、
蒸発器44で蒸発した作動媒体R4を凝縮器43に送るガス配管41と、
液配管42に設けられた開閉弁45と、を有する。
液配管42における開閉弁45と蒸発器44との間の領域に、蒸発器44の液配管入口44aの高さhよりも低い位置を経由する液溜り部46が設けられている。
凝縮器43の容積V1と、液配管42における開閉弁45よりも上流側(凝縮器43側)の領域の容積V2と、液溜り部46の容積V3との合計Vsumが、ヒートパイプシステム4に封入される作動媒体R4の総容積Vtotalと同等に設定されている。(Vsum≒Vtotal)。
そのため、凝縮器43の容積のみを考慮して、ヒートパイプシステム4に封入される作動媒体R4の総容積を決める場合よりも、より多くの作動媒体R4を封入できる。
これにより、ヒートパイプシステム4内の圧力を高めることができるので、作動媒体R4を用いた熱輸送の効率が向上する。
そうすると、ヒートパイプシステム4に封入された作動媒体R4の略総てが、凝縮器43側で凝縮して液体状態となる。
これにより、凝縮した作動媒体(液媒体)が凝縮器43から溢れて蒸発器44に流入しない。
かかる場合、ヒートパイプシステム4では、ガス配管41側で、熱輸送が生じてしまう。
すわち、ヒートパイプシステム4の循環路40内の作動媒体R4の循環を停止して、ヒートパイプシステム4における作動媒体R4を用いた熱輸送を、確実に停止できる。
(2)開閉弁45が、蒸発器44の液配管入口44aの高さhよりも低い位置に配置されている。
(3)液配管42におけるフロア74(車室フロア)よりも下方に配置された領域は、排気管3に沿って設けられている。
開閉弁45は、排気管3に設けられた触媒31よりも下流側の領域に設けられている。
(4)液配管42は、凝縮器43の下端部位に設けた排出口43bと、蒸発器44の液配管入口44aとを繋いでいる。
開閉弁45は、液配管42の長手方向の途中に設けられている。
空調装置1の車両Vへの設置状態を基準とした上下方向で、液配管42の最も高い位置にある領域(上端部421)が、凝縮器43の上端の高さh1以下となるように、液配管42の取り回しが設定されている。
液配管42の最も高い位置にある領域(上端部421)は、凝縮器43と開閉弁45との間にある。
11 ダクト
12 シロッコファン
13 ミックスドア
14 エア混合チャンバ
15、16、17 流入口
18 ブラケット
2 内燃機関
3 排気管
31 触媒
310 配管接続部
32 熱回収路
33 バイパス路
34a、34b 切替ドア
35 排熱回収器
4 ヒートパイプシステム
40 循環路
41 ガス配管
42 液配管
421 上端部
43 凝縮器
43a 導入口
43b 排出口
44 蒸発器
44a 液配管入口
45 開閉弁
46 液溜り部
46a 第1領域
46b 第2領域
5 冷凍サイクル
50 冷媒配管
51 ガス配管
52 液配管
53 エバポレータ
54 膨張弁
55 コンプレッサ
56 コンデンサ
6 冷却水循環サイクル
60 冷却経路
601 第1経路
602 第2経路
61 冷却水導入配管
62 冷却水導出配管
63 ヒータコア
64 冷却水バルブ
65 冷却水タンク
66 ウォータポンプ
67 ラジエータ
70 車室
71 運転席
72 ファイアウォール
74 フロア
Air 空気
HL 水平線
R4 作動媒体
R5 熱媒体
R6 冷却水(熱媒体)
V 車両
Claims (3)
- 内燃機関で発生する排気ガスが通流する排気管と、
前記排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステムと、を備える車両用の空調装置において、
前記ヒートパイプシステムは、
前記排気管に取り付けられて、前記排気ガスとの熱交換で作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器で液化した前記作動媒体を前記蒸発器に送る液配管と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を前記凝縮器に送るガス配管と、
前記液配管に設けられた開閉弁と、を有しており、
前記液配管における前記開閉弁と前記蒸発器との間の領域に、前記蒸発器の液配管入口高さよりも低い位置を経由する液溜り部を形成し、
前記凝縮器の容積と、前記液配管における前記開閉弁よりも上流側の容積と、前記液溜り部の容積との合計が、前記ヒートパイプシステムに封入される液体状態の前記作動媒体の総容積と同等になるように設定し、前記排気ガスとの熱交換の非実施時には、前記ヒートパイプシステムに封入される液体状態の前記作動媒体が、前記凝縮器と、前記液配管における前記開閉弁よりも上流側と、前記液溜り部に貯留されるようにしたことを特徴とする車両用の空調装置。 - 前記開閉弁を、前記蒸発器の液配管入口高さよりも低い位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用の空調装置。
- 前記空調装置の前記車両への設置状態を基準とした上下方向で、前記液配管の最も高い位置にある領域が、前記凝縮器の上端の高さ以下となるように、前記液配管の取り回しが設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用の空調装置。
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