JP7225624B2 - 車両用の空調装置 - Google Patents
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Description
しかし、内燃エンジンの始動初期には冷却水の温度が低いため、暖房によって車室内の温度が所定温度に達するまでにはある程度の時間を要していた。
また、特許文献2には、ループ型のヒートパイプを用いた給湯装置が開示されている。
ヒートパイプシステムでは、作動媒体が状態変化(サイクル)を繰り返しながら、蒸発器と凝縮器との間を循環することによって、排気ガスの熱の一部が、空調用の空気の加熱に有効利用(回収)される。
これにより、ヒートパイプシステムにおける作動媒体を用いた熱輸送を、停止できるようになっている。
この凝縮した液媒体が蒸発器に流入すると、流入した液媒体が多少の受熱によって気化するために、ヒートパイプシステムのサイクルが不安定になる。
内燃機関で発生する排気ガスが通流する排気管と、
前記排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステムと、を備える車両用の空調装置において、
前記ヒートパイプシステムは、
前記排気管に取り付けられて、前記排気ガスとの熱交換で作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器で液化した前記作動媒体を前記蒸発器に送る液配管と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を前記凝縮器に送るガス配管と、
前記液配管に設けられた開閉弁と、を有しており、
前記液配管は、前記蒸発器の液配管入口高さよりも低い位置を経由する迂回部を有し、
前記迂回部は、前記蒸発器の液配管入口から斜め下方に延びる第1領域と、前記第1領域の下端から斜め上方に延びる第2領域と、を有し、
前記開閉弁は、前記第1領域と前記第2領域の境界部に設けられる構成の車両用の空調装置とした。
図1は、本実施形態にかかる車両用の空調装置1の概略構成を説明する図である。
図2は、車両用の空調装置1の基本構成を説明する図であって、ヒートパイプシステム4と、冷凍サイクル5と、冷却水循環サイクル6の回路構成を説明する図である。
図3は、車両用の空調装置1における凝縮器43と液配管42とガス配管41の配置を説明する図である。
図4は、車両用の空調装置1における排熱回収器35と液配管42とガス配管41の配置を説明する図である。
図5は、ヒートパイプシステム4の迂回部48周りを説明する図である。
図1に示すように、車両Vの前部では、運転席71の前方(図1の左方)に空調装置1が設置されている。
車両Vのファイアウォール72よりも前方のエンジンルームには、駆動源である内燃機関(ENG)2が収容されている。
内燃機関2は、ガソリンなどの燃料の燃焼によって発生する熱エネルギーを運動エネルギー(駆動力)に変換するものである。内燃機関2には、燃料の燃焼により発生した排気ガスの排気系として、排気管3が接続されている。
図1に示すように、熱回収路32とバイパス路33の上流側の分岐部と、下流側の合流部には、切替ドア34a、34bが、それぞれ回動可能に設けられている。
図4では、熱回収路32とバイパス路33が、水平方向に並んで配置されている場合を例示している。熱回収路32とバイパス路33の並びは、図1と図4の態様の何れでも良い。
蒸発器44は、排気ガスの熱を作動媒体R4に回収するヒートパイプシステム4の構成要素である。車両用の空調装置1では、ヒートパイプシステム4で回収した排気ガスの熱を、空調装置1における空調用の空気Airの加熱に利用する。
空調装置1の内部には、空調用の空気Airが通流するダクト11が形成されている。
ダクト11の内部には、ダクト11における空気Airの通流方向における上流側から順番に、シロッコファン12と、エバポレータ53と、ヒータコア63と、凝縮器43と、エア混合チャンバ14とが設けられている。
ヒータコア63では、内燃機関2の冷却水R6(熱媒体)との熱交換で、ヒータコア63を通過する空気Airを加熱する。
凝縮器43では、作動媒体R4との熱交換で、凝縮器43を通過する空気を加熱する。
空調装置1では、ヒータコア63を通過した空気Airが、そのまま凝縮器43を通過する。
冷凍サイクル5は、エバポレータ53の他に、膨張弁54と、コンプレッサ55と、コンデンサ56と、を有している。
エバポレータ53は、膨張弁54から供給された熱媒体R5を減圧下で蒸発させる。
コンデンサ56は、ガス配管51を介してコンプレッサ55側から供給された高温高圧の熱媒体R5を、外気との熱交換で冷却して凝縮させる。
冷却経路60は、第1経路601と、第2経路602と、を有している。第1経路601は、内燃機関2と、ラジエータ67と、冷却水バルブ64と、ウォータポンプ66とが、冷却水の通流路に沿って設けられた循環路である。ラジエータ67には、冷却水タンク65が付設されている。
ヒータコア63から延びる冷却水導入配管61と冷却水導出配管62は、第2経路602に接続されている。
冷却水バルブ64を閉じた状態で、ウォータポンプ66が駆動されると、第2経路602側を冷却水R6が通流する。
内燃機関2の排熱で加熱された冷却水R6のうち、第1経路601側を通過する冷却水R6は、ラジエータ67を通過する際に、外気との熱交換で冷却される。
空気Airとの熱交換で温度が低下した冷却水R6は、冷却水導出配管62を介して、冷却経路60(第2経路602)内に戻される。
循環路40は、金属材料からなる筒状管を環状に配置して、内部に作動媒体R4を減圧封入したものである。
ガス配管41は、蒸発器44で蒸発して気体状態になった作動媒体R4を、凝縮器43に供給する機能を果たす。
液配管42は、凝縮器43で凝縮して液体状態になった作動媒体R4を、蒸発器44に供給する機能を果たす。
ヒートパイプシステム4では、排気ガスの排熱を利用して作動媒体R4を加熱することで、排気ガスの熱の一部を作動媒体R4に回収している。
そして、作動媒体R4に回収した熱を利用して、凝縮器43を通過する空気Airを加熱しているので、排気ガスの熱を有効に利用している。
液配管42もまた、配管接続部310を貫通してダクト11内に引き込まれており、液配管42の先端部は、凝縮器43の側縁部の下端部位に接続されている。
エンジンルーム内においてガス配管41および液配管42は、ファイアウォール72に沿って、フロア74側の下方に延びたのち、フロア74の下面に沿って車両Vの後方側に延びている。
迂回部48は、筒状のパイプを屈曲させて形成したものである。
第1領域48aと第2領域48bとの境界部に、開閉弁45が設けられている。
開閉弁45は、蒸発器44の液配管入口44aを通る水平線HLよりも下側に位置している。
開閉弁45は、空調装置1を搭載した車両の走行時に、走行風が通過する領域に設けられている。
そして、迂回部48における最下点の位置であって、触媒31と蒸発器44との間の領域に開閉弁45が位置している。開閉弁45は、蒸発器44の上端441よりも低い位置を経由して設けられている。
次に、車両用の空調装置1の作用について説明する。
冬季などにおいて車両Vの車室70内を暖房する必要がある場合には、ミックスドア13が、図3に実線にて示す位置に配置される。
さらに、排熱回収器35に設けられた切替ドア34a、34bが、図1において実線で示す位置に配置される。
凝縮器43に流入した気体状態の作動媒体R4は、凝縮器43を通過する空調用の空気(内気または外気)との間での熱交換により凝縮する。
凝縮器43において気体状態の作動媒体R4は、空調用の空気に凝縮潜熱を放出して凝縮(液化)する。これにより、空調用の空気Airが加熱される。
蒸発器44に流入した液体状態の作動媒体R4は、排熱回収器35内の熱回収路32を流れる排気ガスによって再び加熱されて蒸発(気化)することで、排気ガスの熱の一部を再び回収する。
その時、冷却水R6の温度は高温(常温よりも高い温度、例えば60℃以上)になる。従って、そのような状態の下で、冷却水が循環しているヒータコア63を空気が通過すると、冷却水と熱交換することにより、ヒータコア63が放熱し、その空気は加熱される。
すなわち、切替ドア34a、34bが図1に実線にて示す位置にあるときには、前述のように排気ガスが排熱回収器35内の熱回収路32を流れ、排気ガスの熱の一部が蒸発器44において作動媒体R4によって回収される。
そのため、開閉弁45を閉じて、ヒートパイプシステム4の運転を停止して排気ガスの熱を回収しない場合(排熱非回収時)に、以下のような事象が生じることがある。
(I)液配管42の開閉弁45と蒸発器44の間の領域で作動媒体R4の液化が起こると、液化した作動媒体R4が蒸発器44に流入する。
(II)蒸発器44内に流入した作動媒体R4が多少の受熱によって気化するために、ヒートパイプシステム4のサイクルが不安定になる。
そのため、開閉弁45を閉じた後に、開閉弁45と蒸発器44との間の部位に作動媒体R4の液化が発生しても、この液化した作動媒体R4(水)が、液配管入口44aの高さhよりも低い位置を経由する領域(第1領域48a)に留まって、蒸発器44内に流入しない。
よって、排熱非回収時のヒートパイプシステム4の運転を確実に停止させることができる。
そのため、ヒートパイプシステム4の運転を再開するために開閉弁45を開くと、液配管42の開閉弁45と蒸発器44との間の部位に残留する作動媒体R4が蒸発器44に素早く送られる。これにより、ヒートパイプシステム4が時間遅れなく始動するために始動性が高められる。
(1)空調装置1は、
内燃機関2で発生する排気ガスを排出する排気管3と、
排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステム4と、を備える。
ヒートパイプシステム4は、
排気管3に取り付けられて、排気ガスとの熱交換で作動媒体R4を蒸発させる蒸発器44と、
蒸発器44で蒸発した作動媒体R4を液化させる凝縮器43と、
凝縮器43で液化した作動媒体R4を蒸発器44に送る液配管42と、
蒸発器44で蒸発した作動媒体R4を凝縮器43に送るガス配管41と、
液配管42に設けられた開閉弁45(電磁弁)と、を有する。
液配管42の開閉弁45と蒸発器44との間の部位(第1領域48a)を、蒸発器44の液配管入口44aの高さhよりも低い位置を経由させた。
そのため、開閉弁45を閉じた後に、開閉弁45と蒸発器44との間の部位(第1領域48a)に作動媒体R4の液化が発生しても、液化した作動媒体R4(水)が、第1領域48a内に留まって、蒸発器44内に流入しない。
液化した作動媒体R4(水)が蒸発器44内に流入すると、流入した液媒体が多少の受熱によって気化するために、ヒートパイプシステムのサイクルが不安定になる。
上記のように構成すると、開閉弁45を閉じた後に液化した作動媒体R4(水)が生じても、生じた作動媒体R4が第1領域48a内に留まって蒸発器44内に流入しない。
これにより、排熱非回収時のヒートパイプシステム4の運転(熱輸送)を確実に停止させることができるので、排熱非回収時に、ヒートパイプシステムのサイクルが不安定化することを好適に防止できる。
ヒートパイプシステム4の運転を再開するために開閉弁45を開くと、液配管42の開閉弁45と凝縮器43の間の部位に残留する作動媒体R4が、蒸発器44に素早く送られる。
これにより、蒸発器44における排気ガスと、液体状態の作動媒体R4との熱交換を速やかに開始することができるので、ヒートパイプシステム4を時間遅れなく始動することができる。よって、ヒートパイプシステム4の始動性が高められることになる。
(2)開閉弁45が、蒸発器44の上端よりも低い位置に設けられている。
これにより、ヒートパイプシステム4の運転を再開するために開閉弁45を開くと、より多くの作動媒体R4を、蒸発器44に素早く送り出すことができる。
これにより、蒸発器44における排気ガスと、液体状態の作動媒体R4との熱交換を速やかに開始することができるので、ヒートパイプシステム4を時間遅れなく始動することができる。よって、ヒートパイプシステム4の始動性が高められることになる。
(3)開閉弁45が、蒸発器44の液配管入口44aの高さhよりも低い位置に設けられている。
これにより、ヒートパイプシステム4の運転を再開するために開閉弁45を開くと、十分な量の作動媒体R4を蒸発器44に速やかに供給することができる。よって、蒸発器44における液体状態の作動媒体R4との熱交換を速やかに開始して、ヒートパイプシステム4を時間遅れなく始動することができる。すなわち、ヒートパイプシステム4の始動性を高めることができる。
図6は、変形例にかかる迂回部48Aを説明する図であって、蒸発器44周りを側方から見た図である。
図7は、変形例に係る迂回部48Bを説明する図であって、蒸発器44周りを側方から見た図である。
迂回部48は、蒸発器44の液配管入口44aの高さhよりも低い位置を経由する形状であれば、他の形状を採用することも可能である。
図6に示す迂回部48Aは、蒸発器44の液配管入口44aから下方に延びる第1領域48aと、第1領域48aの下端から水平線HL方向に沿って車両の前方側に延びる第2領域48bと、第2領域48bの先端から上方に延びる第3領域48cと、を有している。
第3領域48cの上端には、開閉弁45から車両後方側に延びる液配管42が接続されている。
蒸発器44の側方から見て迂回部48Aは、第1領域48aから第3領域48cまでの範囲が、下方に窪んだ凹形状に形成されている。
これにより、排熱非回収時のヒートパイプシステム4の運転を確実に停止させることができる。
図7に示す迂回部48Bは、蒸発器44の液配管入口44aから斜め下方に延びる第1領域48aと、第1領域48aの下端から斜め上方に延びる第2領域48bと、を有している。
第1領域48aと第2領域48bとの境界から、第2領域48b側の上方に離間した位置であって、蒸発器44の液配管入口44aの高さhよりも高い位置に開閉弁45が設けられている。
蒸発器44の側方から見て迂回部48Bは、第1領域48aと第2領域48bとで、屈曲点を下方に向けたV形状に形成されている。
これにより、排熱非回収時のヒートパイプシステム4の運転を確実に停止させることができると共に、ヒートパイプシステム4の始動性が高められる。
11 ダクト
12 シロッコファン
13 ミックスドア
14 エア混合チャンバ
15、16、17 流入口
18 ブラケット
2 内燃機関
3 排気管
31 触媒
310 配管接続部
32 熱回収路
33 バイパス路
34a、34b 切替ドア
35 排熱回収器
4 ヒートパイプシステム
40 循環路
41 ガス配管
42 液配管
43 凝縮器
44 蒸発器
44a 液配管入口
45 開閉弁
48、48A、48B 迂回部
48a 第1領域
48b 第2領域
48c 第3領域
5 冷凍サイクル
50 冷媒配管
51 ガス配管
52 液配管
53 エバポレータ
54 膨張弁
55 コンプレッサ
56 コンデンサ
6 冷却水循環サイクル
60 冷却経路
601 第1経路
602 第2経路
61 冷却水導入配管
62 冷却水導出配管
63 ヒータコア
64 冷却水バルブ
65 冷却水タンク
66 ウォータポンプ
67 ラジエータ
70 車室
71 運転席
72 ファイアウォール
74 フロア
Air 空気
HL 水平線
R4 作動媒体
R5 熱媒体
R6 冷却水(熱媒体)
V 車両
h 高さ
Claims (3)
- 内燃機関で発生する排気ガスが通流する排気管と、
前記排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステムと、を備える車両用の空調装置において、
前記ヒートパイプシステムは、
前記排気管に取り付けられて、前記排気ガスとの熱交換で作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器で液化した前記作動媒体を前記蒸発器に送る液配管と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を前記凝縮器に送るガス配管と、
前記液配管に設けられた開閉弁と、を有しており、
前記液配管は、前記蒸発器の液配管入口高さよりも低い位置を経由する迂回部を有し、
前記迂回部は、前記蒸発器の液配管入口から斜め下方に延びる第1領域と、前記第1領域の下端から斜め上方に延びる第2領域と、を有し、
前記開閉弁は、前記第1領域と前記第2領域の境界部に設けられることを特徴とする車両用の空調装置。 - 内燃機関で発生する排気ガスが通流する排気管と、
前記排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステムと、を備える車両用の空調装置において、
前記ヒートパイプシステムは、
前記排気管に取り付けられて、前記排気ガスとの熱交換で作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器で液化した前記作動媒体を前記蒸発器に送る液配管と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を前記凝縮器に送るガス配管と、
前記液配管に設けられた開閉弁と、を有しており、
前記液配管は、前記蒸発器の液配管入口高さよりも低い位置を経由する迂回部を有し、
前記迂回部は、前記蒸発器の液配管入口から斜め下方に延びる第1領域と、前記第1領域の下端から斜め上方に延びる第2領域と、を有し、
前記開閉弁は、前記第2領域の、前記蒸発器の液配管入口高さよりも高い位置に設けられることを特徴とする車両用の空調装置。 - 前記開閉弁を、前記蒸発器の上端よりも低い位置に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用の空調装置。
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