JP7210955B2 - 車両用の空調装置 - Google Patents
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Description
しかし、内燃エンジンの始動初期には冷却水の温度が低いため、暖房によって車室内の温度が所定温度に達するまでにはある程度の時間を要していた。
また、特許文献2には、ループ型のヒートパイプを用いた給湯装置が開示されている。
ヒートパイプシステムでは、作動媒体が状態変化(サイクル)を繰り返しながら、蒸発器と凝縮器との間を循環することによって、排気ガスの熱の一部が、空調用の空気の加熱に有効利用(回収)される。
これにより、ヒートパイプシステムにおける作動媒体を用いた熱輸送を、停止できるようになっている。
このような状態で開閉弁を開いてヒートパイプシステムの運転を再開すると、液配管から液媒体が蒸発器に素早く送り込まれないためにヒートパイプシステムの始動に時間遅れが生じ、ヒートパイプシステムの始動性が悪くなることがあった。
内燃機関で発生する排気ガスが通流する排気管と、
前記排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステムと、を備える車両用の空調装置において、
前記ヒートパイプシステムは、
前記排気管に取り付けられて、前記排気ガスとの熱交換で作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器で液化した前記作動媒体を前記蒸発器に送る液配管と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を前記凝縮器に送るガス配管と、を有しており、
前記排気ガスの熱を回収しない排熱非回収時に閉じられる開閉弁を、前記液配管における前記蒸発器側の領域であって、前記車両の車室フロアよりも下方に配置された領域に設け、
前記排気管の、前記蒸発器の上流側に、前記蒸発器に隣り合って触媒が設けられ、
前記開閉弁は、前記液配管の、前記触媒と前記蒸発器の間の領域に設けられる構成の車両用の空調装置とした。
図1は、本実施形態にかかる車両用の空調装置1の概略構成を説明する図である。
図2は、車両用の空調装置1の基本構成を説明する図であって、ヒートパイプシステム4と、冷凍サイクル5と、冷却水循環サイクル6の回路構成を説明する図である。
図3は、車両用の空調装置1における凝縮器43と液配管42とガス配管41の配置を説明する図である。
図1に示すように、車両Vの前部では、運転席71の前方(図1の左方)に空調装置1が設置されている。
車両Vのファイアウォール72よりも前方のエンジンルームには、駆動源である内燃機関(ENG)2が収容されている。
内燃機関2は、ガソリンなどの燃料の燃焼によって発生する熱エネルギーを運動エネルギー(駆動力)に変換するものである。内燃機関2には、燃料の燃焼により発生した排気ガスの排気系として、排気管3が接続されている。
図1に示すように、熱回収路32とバイパス路33の上流側の分岐部と、下流側の合流部には、切替ドア34a、34bが、それぞれ回動可能に設けられている。
図4では、バイパス路33が熱回収路32の紙面奥側に隠れており、熱回収路32とバイパス路33が、水平方向に並んで配置されており、バイパス路33が紙面奥側に位置している場合を例示している。熱回収路32とバイパス路33の並びは、図1と図4の態様の何れでも良い。
蒸発器44は、排気ガスの熱を作動媒体R4に回収するヒートパイプシステム4の構成要素である。車両用の空調装置1では、ヒートパイプシステム4で回収した排気ガスの熱を、空調装置1における空調用の空気Airの加熱に利用する。
空調装置1の内部には、空調用の空気Airが通流するダクト11が形成されている。
ダクト11の内部には、ダクト11における空気Airの通流方向における上流側から順番に、シロッコファン12と、エバポレータ53と、ヒータコア63と、凝縮器43と、エア混合チャンバ14とが設けられている。
ヒータコア63では、内燃機関2の冷却水R6(熱媒体)との熱交換で、ヒータコア63を通過する空気Airを加熱する。
凝縮器43では、作動媒体R4との熱交換で、凝縮器43を通過する空気を加熱する。
空調装置1では、ヒータコア63を通過した空気Airが、そのまま凝縮器43を通過する。
冷凍サイクル5は、エバポレータ53の他に、膨張弁54と、コンプレッサ55と、コンデンサ56と、を有している。
エバポレータ53は、膨張弁54から供給された熱媒体R5を減圧下で蒸発させる。
コンデンサ56は、ガス配管51を介してコンプレッサ55側から供給された高温高圧の熱媒体R5を、外気との熱交換で冷却して凝縮させる。
冷却経路60は、第1経路601と、第2経路602と、を有している。第1経路601は、内燃機関2と、ラジエータ67と、冷却水バルブ64と、ウォータポンプ66とが、冷却水の通流路に沿って設けられた循環路である。ラジエータ67には、冷却水タンク65が付設されている。
ヒータコア63から延びる冷却水導入配管61と冷却水導出配管62は、第2経路602に接続されている。
冷却水バルブ64を閉じた状態で、ウォータポンプ66が駆動されると、第2経路602側を冷却水R6が通流する。
内燃機関2の排熱で加熱された冷却水R6のうち、第1経路601側を通過する冷却水R6は、ラジエータ67を通過する際に、外気との熱交換で冷却される。
空気Airとの熱交換で温度が低下した冷却水R6は、冷却水導出配管62を介して、冷却経路60(第2経路602)内に戻される。
循環路40は、金属材料からなる筒状管を環状に配置して、内部に作動媒体R4を減圧封入したものである。
ガス配管41は、蒸発器44で蒸発して気体状態になった作動媒体R4を、凝縮器43に供給する機能を果たす。
液配管42は、凝縮器43で凝縮して液体状態になった作動媒体R4を、蒸発器44に供給する機能を果たす。
ヒートパイプシステム4では、排気ガスの排熱を利用して作動媒体R4を加熱することで、排気ガスの熱の一部を作動媒体R4に回収している。
そして、作動媒体R4に回収した熱を利用して、凝縮器43を通過する空気Airを加熱しているので、排気ガスの熱を有効に利用している。
液配管42もまた、配管接続部310を貫通してダクト11内に引き込まれており、液配管42の先端部は、凝縮器43の側縁部の下端部位に接続されている。
図5は、排熱回収器35の蒸発器44周りを説明する図である。
エンジンルーム内においてガス配管41および液配管42は、ファイアウォール72に沿って、フロア74側の下方に延びたのち、フロア74におけるファイアウォール72との接続点74aよりも下側を、フロア74の下面に沿って車両Vの後方側に延びている。
図4に示すように、ガス配管41は、車両Vの前方側から排熱回収器35の蒸発器44の上部に接続されている。
液配管42は、ブラケット18よる支持位置よりも蒸発器44側の領域421の方が、ブラケット18よりも内燃機関2の収容部(エンジンルーム)側(図中、左側)の領域よりも、水平線に対する傾きが小さくなっている。
本実施形態では、触媒31の下辺と排熱回収器35(蒸発器44)の下辺とを結ぶ線分Lxとフロア74との間であって、触媒31と排熱回収器35(蒸発器)との間の領域Rx(隙間:図中ハッチング参照)を利用して、開閉弁45を設置している。
そのため、液配管42に開閉弁45を設けても、この開閉弁45が、触媒31や排熱回収器35から下方に大きく膨出しないようになっている。
そのため、開閉弁45は、高温の排気ガスが通流する排気管3の触媒31よりも下流側で、排気管3に近接配置されている。この位置は、高温となる排気管3において上流側に比べて低温となる領域である。そのため、開閉弁45は、熱の影響を可能な限り受けないような位置に設けられているので、特に開閉弁45として電磁弁を採用した場合には、電磁弁の耐久性に熱の影響が及ぶ可能性を、可能な限り低減させている。
次に、車両用の空調装置1の作用について説明する。
冬季などにおいて車両Vの車室70内を暖房する必要がある場合には、ミックスドア13が、図3において実線で示す位置に配置される。
さらに、排熱回収器35に設けられた切替ドア34a、34bが、図1において実線で示す位置に配置される。
凝縮器43に流入した気体状態の作動媒体R4は、凝縮器43を通過する空調用の空気(内気または外気)との間での熱交換により凝縮する。
凝縮器43において気体状態の作動媒体R4は、空調用の空気に凝縮潜熱を放出して凝縮(液化)する。これにより、空調用の空気Airが加熱される。
蒸発器44に流入した液体状態の作動媒体R4は、排熱回収器35内の熱回収路32を流れる排気ガスによって再び加熱されて蒸発(気化)することで、排気ガスの熱の一部を再び回収する。
その時、冷却水R6の温度は高温(常温よりも高い温度、例えば60℃以上)になる。従って、そのような状態の下で、冷却水が循環しているヒータコア63を空気が通過すると、冷却水と熱交換することにより、ヒータコア63が放熱し、その空気は加熱される。
すなわち、切替ドア34a、34bが図1において実線で示す位置にあるときには、前述のように排気ガスが排熱回収器35内の熱回収路32を流れ、排気ガスの熱の一部が蒸発器44において作動媒体R4によって回収される。
そのため、蒸発器44内で作動媒体(液媒体)が、多少の受熱によって気化するために、ヒートパイプシステム4のサイクルが不安定になるという問題があった。
これにより、蒸発器44に液体状態の作動媒体R4が供給されなくなって、蒸発器44での作動媒体R4の気化が停止する結果、ヒートパイプシステム4による熱輸送が停止するようになっている。
この場合、開閉弁45と蒸発器44との間の領域423の作動媒体R4は、受熱によって蒸発して、液配管42の開閉弁45と蒸発器44との間の領域423では、作動媒体R4がドライアウトした状態となる。
そのため、液配管42に単純に開閉弁45を設けただけでは、ヒートパイプシステム4による熱輸送を再開する際の始動性が低下する場合がある。
そのため、開閉弁45から蒸発器44までの液配管42の領域423の長さが、短くなっている。よって、開閉弁45を開いてヒートパイプシステム4の運転を再開すると、液配管42の領域421、422に貯留された液体状態の作動媒体R4を、蒸発器44に素早く送出することができる。
そのため、蒸発器44における排気ガスと、液体状態の作動媒体R4との熱交換を速やかに開始することができるので、ヒートパイプシステム4が時間遅れなく始動する。
よって、ヒートパイプシステム4の始動性が高められることになる。
(1)空調装置1は、
内燃機関2で発生する排気ガスを排出する排気管3と、
排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステム4と、を備える。
ヒートパイプシステム4は、
排気管3に取り付けられて、排気ガスとの熱交換で作動媒体R4を蒸発させる蒸発器44と、
蒸発器44で蒸発した作動媒体R4を液化させる凝縮器43と、
凝縮器43で液化した作動媒体R4を蒸発器44に送る液配管42と、
蒸発器44で蒸発した作動媒体R4を凝縮器43に送るガス配管41と、を有している。
排気ガスの熱を回収しない排熱非回収時に閉じられる開閉弁45が、液配管42における蒸発器44側の領域に設けられている。
液配管42は、車両のフロア74(車室フロア)におけるファイアウォール72との接続点74aよりも下側を、フロア74の下面に沿って車両Vの後方側に延びており、車両前方側から蒸発器44に接続されている。
開閉弁45は、液配管42における蒸発器44側の領域であって、車両のフロア74(車室フロア)よりも下方に配置された領域に設けられている。
そのため、開閉弁45を閉じた際に、液配管42における開閉弁45よりも上流側に貯留される作動媒体R4の量を確保できる。
開閉弁45を蒸発器44に近づけるほど、液配管42におけるフロア74寄りも下方に配置された領域の多くを使って、より多くの作動媒体R4を貯めることができ、液配管42に貯留される作動媒体R4の量を増やすことができる。
これにより、蒸発器44における排気ガスと、液体状態の作動媒体R4との熱交換を速やかに開始することができるので、ヒートパイプシステム4を時間遅れなく始動することができる。よって、ヒートパイプシステム4の始動性が高められることになる。
(2)液配管42におけるフロア74(車室フロア)よりも下方に配置された領域は、排気管3に沿って設けられている。
開閉弁45は、排気管3に設けられた触媒31よりも下流側の領域に設けられている。
(3)開閉弁45を、車両Vの前後方向において触媒31と蒸発器44との間の領域であって、触媒31と蒸発器44の下側の外周同士を結んだ線分Lx(直線)と、フロア74(車室フロア)との間の領域Rx(隙間)を利用して設置した。
そのため、開閉弁45を、少なくともその一部が領域Rxに臨むように配置することで、排気管3からの輻射熱を避けるように開閉弁45を排気管3から離して配置したとしても、この開閉弁45を配置した部分がコンパクトにまとめられる。
これにより、車両用の空調装置1の小型化が実現する。
これは、ヒートパイプシステム4による熱輸送が必要ない場合に、2つの流路の合流部に設けた切替ドア34a、34bを操作して、蒸発器44が設けられた熱回収路32側への排気ガスの流入を阻止することで、熱輸送を停止できるようにするためである。
そのため、空調装置1の排熱回収器35は、必ずしも、排気管3が二股状に分岐した2つの流路(熱回収路32とバイパス路33)と、切替ドア34a、34bを有している必要はない。
このように構成することによっても、液配管42に設けた開閉弁45を閉じることで、ヒートパイプシステム4による熱輸送を停止することができる。
11 ダクト
12 シロッコファン
13 ミックスドア
14 エア混合チャンバ
15、16、17 流入口
18 ブラケット
2 内燃機関
3 排気管
31 触媒
310 配管接続部
32 熱回収路
33 バイパス路
34a、34b 切替ドア
35 排熱回収器
4 ヒートパイプシステム
40 循環路
41 ガス配管
42 液配管
421 領域
422 領域
423 領域
43 凝縮器
44 蒸発器
44a 液配管入口
45 開閉弁
46 液溜り部
5 冷凍サイクル
50 冷媒配管
51 ガス配管
52 液配管
53 エバポレータ
54 膨張弁
55 コンプレッサ
56 コンデンサ
6 冷却水循環サイクル
60 冷却経路
61 冷却水導入配管
62 冷却水導出配管
63 ヒータコア
64 冷却水バルブ
65 冷却水タンク
66 ウォータポンプ
67 ラジエータ
70 車室
71 運転席
72 ファイアウォール
74 フロア
Air 空気
Lx 線分
R3 作動媒体
R4 作動媒体
R5 熱媒体
R6 冷却水(熱媒体)
Rx 領域
V 車両
h 高さ
Claims (3)
- 内燃機関で発生する排気ガスが通流する排気管と、
前記排気ガスの熱を回収するヒートパイプシステムと、を備える車両用の空調装置において、
前記ヒートパイプシステムは、
前記排気管に取り付けられて、前記排気ガスとの熱交換で作動媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を液化させる凝縮器と、
前記凝縮器で液化した前記作動媒体を前記蒸発器に送る液配管と、
前記蒸発器で蒸発した前記作動媒体を前記凝縮器に送るガス配管と、を有しており、
前記排気ガスの熱を回収しない排熱非回収時に閉じられる開閉弁を、前記液配管における前記蒸発器側の領域であって、前記車両の車室フロアよりも下方に配置された領域に設け、
前記排気管の、前記蒸発器の上流側に、前記蒸発器に隣り合って触媒が設けられ、
前記開閉弁は、前記液配管の、前記触媒と前記蒸発器の間の領域に設けられることを特徴とする車両用の空調装置。 - 前記液配管における前記車室フロアよりも下方に配置された領域は、前記排気管に沿って設けられており、
前記開閉弁は、前記排気管に設けられた前記触媒よりも下流側の領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用の空調装置。 - 前記開閉弁の少なくとも一部を、前記車両の前後方向において前記触媒と前記蒸発器との間の領域であって、前記触媒と前記蒸発器の下側の外周同士を結んだ直線と、前記車室フロアとの間の領域に配置したことを特徴とする請求項2に記載の車両用の空調装置。
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