JP7224122B2 - 検体回収機構を具備する移植片収容デバイス - Google Patents

検体回収機構を具備する移植片収容デバイス Download PDF

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Description

本発明は、検体回収機構を具備する移植片収容デバイスに関する。
近年、重症心不全治療の解決策として新しい再生医療の開発が進められている。その一例として、重症心筋梗塞等において組織工学を応用した温度応答性培養皿を用いて作製したシート状細胞培養物を心臓表面に適用する手法などが試みられている。シート状細胞培養物を用いる手法は、大量の細胞を広範囲に安全に移植することが可能であり、例えば、心筋梗塞(心筋梗塞に伴う慢性心不全を含む)、拡張型心筋症、虚血性心筋症、収縮機能障害(例えば、左室収縮機能障害)を伴う心疾患(例えば、心不全、特に慢性心不全)などの治療にとくに有用である。
このようなシート状細胞培養物を臨床応用するには、例えば、作製されたシート状細胞培養物を保存液と共に容器内に収容し、移植が行われる集中治療室などに移送する必要がある。しかしながら、シート状細胞培養物は絶対的な物理的強度が低く、容器を移送する際などに生じる振動で、皺、破れ、破損などが生じることから、この移送作業には高度な技術が要求され、かつ細心の注意を払う必要がある。
このようなニーズに応えるために、種々の方法や容器が開発されている。例えば、下記特許文献1に記載された膜状組織の保存輸送容器は、収容部内を気体層が形成されることがない程度に保存液で満たすことで、保存液が波打ったり流動したりせず、結果的に、膜状組織に振動が伝わらず、膜状組織の破損を防止できるようになっている。
下記特許文献2には、培養細胞シートを運搬するための包装体が記載されている。かかる包装体は、リッドで密封する際に若干の液体培地と共に空気を排除することによって、運搬時に培養細胞シート包装体が揺れても、液体培地中を気泡が移動したりすることがないため、培養細胞シートのズレや欠損を防止できるようになっている。
特開2012-130311号公報 特開2009-89715号公報
上述のように脆弱な細胞シートを安全に移送するための容器が開発されている。またこのような容器は、容器内を液密にして気泡の移動が起こらないような工夫がなされている。
しかしながら、容器内から完全に気泡を取り除いて液密状態を達成するには高度な技術が要求される上に、液密状態の容器から蓋を取り外すには強い力が必要なため、蓋の脱着の際に液体が波打ち、細胞シートを破損させてしまうことがある。また、容器に蓋をした状態で、細胞シートに接触した液体を試験検体として採取することは困難であった。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、簡単な作業で効率よく液密状態を達成することができ、容器内の液体を試験検体として簡単に採取することができるデバイスを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]移植片を収容するための容器に着脱可能に装着して用いるデバイスであって、容器を密閉するための蓋部材を含み、蓋部材は、容器の開口部を覆う天板部を有し、天板部は、ドーム形状の凸部、液体排出用の開口部および液体注入用の開口部を有し、液体排出用の開口部が凸部の頂部に配置されている、前記デバイス。
[2]開口部が、チューブ接続が可能なようにポート状に突出している、[1]に記載のデバイス。
[3]開口部の上端が水平になるように構成されている、[2]に記載のデバイス。
[4]少なくとも1つの開口部が天板部の周縁部付近に配置されており、下方にポート状に突出している、[1]~[3]のいずれかに記載のデバイス。
[5]開口部に接続可能なチューブと、チューブに接続可能な検体バッグとをさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載のデバイス。
[6]移植片がシート状細胞培養物である、[1]~[5]のいずれかに記載のデバイス。
[7]シート状細胞培養物が、積層体である、[6]に記載のデバイス。
[8]移植片を収容するための容器に着脱可能に装着して用いるデバイスであって、容器を密閉するための蓋部材を含み、蓋部材は、容器の開口部を覆う天板部を有し、天板部は、液体排出用の開口部と、液体注入用の開口部とを有し、液体注入用の開口部が天板部の周縁部付近に配置されている、前記デバイス。
[9]蓋部材を容器に取り付けた状態で、天板部の高さが容器の縁部の高さより低い位置に配置できるように構成されている、[8]に記載のデバイス。
[10]蓋部材が、天板部にドーム形状の凸部を有し、液体排出用の開口部が凸部の頂部に配置されている、[8]または[9]に記載のデバイス。
[11]天板部の周縁部から延伸する筒状壁、および筒状壁の下端と係合する環状部材をさらに含む、[8]~[10]のいずれかに記載のデバイス。
[12]天板部と容器の端部との間に介在できるシール部材をさらに含み、シール部材、筒状壁、環状部材および容器とで囲まれた、無水空間を形成することができる、[11]に記載のデバイス。
[13]開口部に接続可能なチューブと、チューブに接続可能な検体バッグとをさらに含む、[8]~[12]のいずれかに記載のデバイス。
[14]移植片がシート状細胞培養物である、[8]~[13]のいずれかに記載のデバイス。
[15]シート状細胞培養物が、積層体である、[14]に記載のデバイス。
[16]移植片を収容するためのデバイスであって、縁部を有する容器と、容器を密閉するための蓋部材とを含み、容器は、側面に開口部を有し、蓋部材は、天板部とドーム形状の凸部と凸部の頂部に設けられた開口部とを有し、天板部の周縁部の高さが容器の縁部の高さより低くなるように構成されている、前記デバイス。
[17]開口部が、チューブ接続が可能なようにポート状に突出している、[16]に記載のデバイス。
[18]容器が、容器の底面に突設された筒状リブを有する、[16]または[17]に記載のデバイス。
[19]筒状リブにスリットが設けられている、[16]~[18]のいずれかに記載のデバイス。
[20]天板部の周縁部から延伸する筒状壁と、筒状壁と容器との間に介在できる第1および第2シール部材とをさらに含み、第1シール部材、第2シール部材、筒状壁および容器で囲まれた、無水空間を形成することができる、[16]~[19]のいずれかに記載のデバイス。
[21]開口部に接続可能なチューブと、チューブに接続可能な検体バッグとをさらに含む、[16]~[20]のいずれかに記載のデバイス。
[22]移植片がシート状細胞培養物である、[16]~[21]のいずれかに記載のデバイス。
[23]シート状細胞培養物が、積層体である、[22]に記載のデバイス。
本発明のデバイスによれば、簡便な機構と、簡単な作業で効率よく液密状態を達成することができるため、作業性や製造コストの点において大きなメリットがある。そして、容器内を完全に液密状態にできるため、気泡(気体)が容器内にはいらず、移送中の容器の揺れなどによって気泡が容器内で動いて脆弱物を破損することがない。特に、脆弱物がシート状細胞培養物の積層体である場合に、気泡が移動して、積層体がズレたり欠損したりすることがない。したがって、液体中の脆弱物の形状を保持して変形を防止しつつ、長期保存することができる。
本発明のデバイスは、液密状態を簡単に解除することができるため、例えば、作業者の蓋部材の無理な取り外しによる、容器の振動や液体の流動の発生を抑えることができ、脆弱物を破損することがない。また、周囲を汚染することなく作業を行うことができるため、シート状細胞培養物の作製に使用されるバイオクリーンルームや、シート状細胞培養物が使用される集中治療室など、清浄度が厳密に管理されている場所での使用に適している。さらに、容器に蓋をした状態で、細胞シートに接触した液体を試験検体として採取し、菌の混入の有無などを検査した上で出荷することができる。
図1は、第1実施形態に係るデバイス1を示す概念図である。 図2は、図1のデバイス1の変形例を示す概念図である。 図3は、第2実施形態に係るデバイス1Aを示す概念図である。 図4は、図3のデバイス1Aの変形例を示す概念図である。 図5は、第3実施形態に係るデバイス1Cを示す概念図である。
本発明における脆弱物とは、物理的強度が低く、液体の揺れなどによって、破れ、破損、変形などが生じ得る物体をいう。かかる物体の形状としては、薄肉部を有する物体、帯形状を有する物体、シート形状を有する物体などが挙げられる。かかるシート形状を有する物体としては、とくに限定されないが、シート状構造物、例えば、シート状細胞培養物などの、生体由来材料からなる平膜状の膜組織や、プラスチック、紙、織布、不織布、金属、高分子、脂質といった種々の材質のフィルム等が含まれる。これらのうち、液体中で難分解性のもの、液体中で難崩壊性のものなどが好ましい。シート状構造物は、多角形や円形などであってもよく、幅、厚み、直径などは一様であってもなくてもよい。本発明におけるシート状構造物は、1枚のみを単層の状態で使用してもよいし、2枚以上を重ねた積層体の状態で使用してもよい。後者の場合、積層体の各層は互いに連結していても、連結していなくてもよく、連結している場合は、重なり合っている部分が全て連結していても、部分的に連結していてもよい。また、本発明において脆弱とは、例えば、液体外で物体のつかみ具への固定がなされる従来の引張試験機(例えば、JIS K 7161等に記載のもの)での引張特性の評価が、その脆弱性のために困難であるか、実質的に不可能であることを指す。かかる脆弱な物体としては、例えば、引張特性の各数値が小さく、従来の引張試験機では正確に測定することが困難な物体などが挙げられる。かかる脆弱物としては、引張試験において、例えば、10N(ニュートン)未満、5N未満、2N未満、1N未満、0.5N未満、0.1N未満、0.05N未満の破断荷重を示すものが挙げられる。また、従来の引張試験の測定限界は、破断荷重として一般に1N程度であるため、本発明の一態様においては、これを下回る破断荷重(例えば、0.5N未満)を示すものが脆弱物として好ましい。
本発明において、移植片とは、比較的に物理的強度が低い生体由来の脆弱物をいう。移植片は培養した細胞(例えば細胞培養物など)や採取された細胞を含む。移植片はさらに細胞が産生した産生物を含むことがある。移植片は細胞および/または細胞の産生物のほかに、生体の所定部(例えば患部等)を補填および/または支持するための材料(補填材料や支持材料)なども含むことができる。移植片はシート状、膜状、塊状、柱状等の種々の形状をとることができる。移植片は生体への移植などに用いられる。移植片の一例としては、3次元細胞組織(オルガノイド、スフェロイド等)、2次元細胞組織(シート状細胞培養物等)などが挙げられる。
本発明において、シート状細胞培養物とは、細胞が互いに連結してシート状になったものをいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、シート状細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの(多層体)であってもよい。また、シート状細胞培養物は、細胞が明確な層構造を示すことなく、細胞1個分の厚みを超える厚みを有する3次元構造を有してもよい。例えば、シート状細胞培養物の垂直断面において、細胞が水平方向に均一に整列することなく、不均一に(例えば、モザイク状に)配置された状態で存在していてもよい。シート状細胞培養物は、独立して形成された単一の(一枚の)シート状細胞培養物として存在してもよく、また独立した単一の(一枚の)シート状細胞培養物が二以上積層されて形成された積層体として存在してもよい。積層体は、例えばシート状細胞培養物が2層(2枚)、3層(3枚)、4層(4枚)、5層(5枚)、または6層(6枚)積層された積層体であってよい。
本発明におけるシート状細胞培養物は、上記の構造を形成し得る任意の細胞から構成される。かかる細胞の例としては、限定されずに、接着細胞(付着性細胞)を含む。接着細胞は、例えば、接着性の体細胞(例えば、心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞など)および幹細胞(例えば、筋芽細胞、心臓幹細胞などの組織幹細胞、胚性幹細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞などの多能性幹細胞、間葉系幹細胞等)などを含む。体細胞は、幹細胞、特にiPS細胞から分化させたものであってもよい。シート状細胞培養物を形成し得る細胞の非限定例としては、例えば、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞など)、間葉系幹細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来のものなど)、心筋細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞(例えば、口腔粘膜上皮細胞、網膜色素上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞など)、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞など)、肝細胞(例えば、肝実質細胞など)、膵細胞(例えば、膵島細胞など)、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞等が挙げられる。本明細書においては、単層の細胞培養物を形成するもの、例えば、筋芽細胞または心筋細胞などが好ましく、とくに好ましくは骨格筋芽細胞またはiPS細胞由来の心筋細胞である。
細胞は、細胞培養物による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物には、とくに限定されないが、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。また、シート状細胞培養物の形成に用いる細胞は1種類のみであってもよいが、2種類以上の細胞を用いることもできる。本発明の好ましい態様において、細胞培養物を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の比率(純度)は、細胞培養物製造終了時において、例えば骨格筋芽細胞の場合、65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
本発明におけるシート状細胞培養物は、スキャフォールド(細胞培養時の足場)に細胞を播種し、培養することによって得られるシート形状の培養組織などでもよいが、好ましくは、細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
シート状細胞培養物は、任意の既知の手法によって製造されたものであってよい。
本発明の一態様において、シート状細胞培養物は、シート状骨格筋芽細胞培養物である。これは、シート状骨格筋芽細胞培養物は、その一部をつかむと自重で破断するほど脆弱であるがゆえに、従来単体で移送することができないばかりか、一度折り重なると元の形状に戻すことが極めて困難なため、液中でシート形状を維持することに大きな意義があるからである。
本発明において、容器は、内部に脆弱物、液体などを収容でき、液体が漏出しないものであればとくに限定されず、市販の容器を含む任意のものを用いることができる。容器の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられるがこれに限定されない。また、容器は、脆弱物の形状を維持するための少なくとも1つの平坦な底面を有することが好ましく、例えば、シャーレ、細胞培養皿、細胞培養ボトルなどが挙げられるがこれに限定されない。平坦な底面の面積は、特に限定されないが、典型的には、9.1~78.5cm、1.13~78.5cm、好ましくは12.6~78.5cm、より好ましくは9.1~60.8cmである。
本発明において、容器内の液体は、少なくとも1種の成分から構成され、その成分としてはとくに限定されないが、例えば、水、水溶液、非水溶液、懸濁液、乳液などの液体から構成される。
本明細書における液または液体とは、全体として流動性を有する流体であればよく、細胞足場などの固形物質や気泡などその他非液体成分を含んでもよい。
容器内の液体を構成する成分は、脆弱物に与える影響が少ないものであればとくに限定されない。脆弱物が生体由来材料からなる膜である場合、容器内の液体を構成する成分は、生物学的安定性や長期保存可能性の観点から、生体適合性のもの、すなわち、生体組織や細胞に対して炎症反応、免疫反応、中毒反応などの望まない作用を起こさないか、少なくともかかる作用が小さいものが好ましく、例えば、水、生理食塩水、生理緩衝液(例えば、HBSS、PBS、EBSS、Hepes、重炭酸ナトリウム等)、培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB、L15、SkBM、RITC80-7、IMDM等)、糖液(スクロース溶液、Ficoll-paque(登録商標)PLUS等)、海水、血清含有溶液、レノグラフィン(登録商標)溶液、メトリザミド溶液、メグルミン溶液、グリセリン、エチレングリコール、アンモニア、ベンゼン、トルエン、アセトン、エチルアルコール、ベンゾール、オイル、ミネラルオイル、動物脂、植物油、オリーブ油、コロイド溶液、流動パラフィン、テレピン油、アマニ油、ヒマシ油などが挙げられる。
脆弱物がシート状細胞培養物である場合、容器内の液体を構成する成分は、細胞を安定して保存することができ、細胞生存に必要な最低限の酸素や栄養等を含み、細胞を浸透圧等により破壊しないものが好ましく、例えば、生理食塩水、生理緩衝液(例えば、HBSS、PBS、EBSS、Hepes、重炭酸ナトリウム等)、培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB、L15、SkBM、RITC80-7、IMDM等)、糖液(スクロース溶液、Ficoll-paque PLUS(登録商標)等)などが挙げられるが、これらに限定されない。
容器内の液体の量は、蓋部材を容器に取り付けた状態で脆弱物を保持できる程度であって、容器の底部と蓋部材の頂部との間に形成される液嵩が、脆弱物が揺動しない程度の高さであればとくに限定されない。本発明の一態様において、シート状細胞培養物の直径は約35~55mmであり、面積は6cm以上、または10cm以上である。上記液嵩は、シート状細胞培養物の直径に関わらず、例えば、1.0mm~20.0mmとすることができる。
本発明において、蓋部材は、容器を密閉できるものであればとくに限定されない。蓋部材の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられるがこれに限定されない。
本発明において、蓋部材および容器の形状は、蓋部材と容器とが係合可能で、かかる係合により密閉空間が形成され得る限り、特に限定されない。例えば、容器が汎用シャーレである場合は、蓋部材の形状を円形にすることが好ましい。また、蓋部材および/または容器を光透過性の材料で構成することで、容器に収容されている脆弱物の状態や、液体中の気泡の有無を確認できるようにしてもよい。
本発明において、脆弱物は液体が収容された容器内の液体中に保持される。脆弱物の液体中での位置は、特に限定されないが、蓋部材を容器に取り付けて密閉空間を形成した状態で、蓋部材と脆弱物とが接触しない位置に配置される(または接触してもよい)。好ましくは、脆弱物は、容器の液体中で、容器の底面上、底面付近などに配置される。
本発明において、環状部材とは、矩形をその一辺に平行な軸の周りで回転させることでできる輪の内側に空間を有する部材をいう。また、かかる空間に液体および脆弱物が収容できるように、環状部材の高さは、特に限定されないが、典型的には、1~20mm、好ましくは3~15mm、より好ましくは5~10mmである。環状部材の内径は、特に限定されないが、典型的には、1~15cm、好ましくは3~15cm、より好ましくは3~10cmである。
本発明において、シール部材とは、容器と蓋部材との間に介在して容器の密閉性を高めるための部材をいい、例えば、パッキンリングなどが挙げられる。
環状部材および/またはシール部材は、容器や蓋部材の製造公差などを吸収し、容器の密閉性を高めるために、弾性材料で構成することができる。弾性材料としては、天然ゴム、エラストマー、ニトリルゴム、シリコンゴム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明において、凸部とは、例えば、突き出ている部分、膨らんでいる部分など、平坦ではない部分をいう。凸部の水平断面積とは、例えば、凸部を液体に浸漬した状態で、凸部を液面で切断したときに現れる2次元断面の面積をいう。
本発明の一態様において、凸部は、頂部を有するドーム形状とすることができ、好ましくは、凸部の頂部と開口部の中心線が交わるように設計される。凸部の曲面の形状としては、双曲面形状、放物面形状、半球面形状、円錐面形状、角錐面形状などが挙げられるが、これらに限定されない。
〔第1実施形態〕
本発明の一側面は、移植片を収容するための容器に着脱可能に装着して用いるデバイスであって、容器を密閉するための蓋部材を含み、蓋部材は、容器の開口部を覆う天板部を有し、天板部は、ドーム形状の凸部、液体排出用の開口部および液体注入用の開口部を有し、液体排出用の開口部が凸部の頂部に配置されている、前記デバイスに関する。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るデバイス1を示す概念図であり、図2は、デバイス1の変形例を示す概念図である。なお、本願における各図において、説明を容易とするため、各部材の大きさは、適宜強調されており、図示の各部材は、実際の大きさを示すものではない。
図1Aに示すように、本発明の第1実施形態に係るデバイス1は、容器2を密閉するための蓋部材3を含む。容器2は、開口部を取り囲む縁部21を有する市販のシャーレであり、液体Lや脆弱物Sなどを収容できる収容空間を構成する。蓋部材3は、天板部31と、天板部31の周縁部から垂下する筒状壁34と、開口部32、33とを含む。蓋部材3は、天板部31にドーム形状の凸部38を有し、開口部32は、凸部38の頂部に、開口部33は、天板部31の周縁部付近にそれぞれ設けられている。開口部32、33は、上方に向けてポート状に突出しており、チューブなどを接続できるように構成されている。天板部31の周縁部には、リング状のシール部材Rが配置されている。
図1Bに示すように、デバイス1を使用する際は、液体Lや脆弱物Sを収容している容器2に蓋部材3を取り付けて、シール部材Rを介して容器2に密着させる。この際、筒状壁34は蓋部材3を容器2に対して位置決めするガイド機構として、さらに容器2と蓋部材3とを嵌合できる嵌合機構として機能する。次に、開口部33にチューブ(図示せず)を接続し、かかるチューブの先に液体を収容したシリンジ(図示せず)を接続する。また、開口部32にもチューブ(図示せず)を接続し、かかるチューブの先に検体採取用のバッグ(図示せず)を接続する。
そして、開口部33に接続されたシリンジを操作して容器2内に液体を注入すると、液体は容器2の周縁部付近に落下するため、脆弱物Sを破損するなどの問題が起きにくい。シリンジ中の液体を容器2内にさらに注ぐと、容器2内の液嵩が増し、液体Lの液面が開口部32に到達して開口部32から排出される。この際に、液体L中に気泡が存在している場合でも、凸部38が水平面に対して傾斜しているため、気泡に浮力が掛り確実に凸部38の頂部(開口部32)に押し出して排出することができる。排出された液体Lは、チューブを通って検体採取用のバッグに回収され、脆弱物Sに接触した液体Lをバッグに入れた状態で検査に送ることができる。
検体として必要な量の液体Lをバッグに回収すると、開口部32、33に接続されているチューブを取り外して栓体(図示せず)を取り付け、液密空間を保持した状態で移送する。移送先で脆弱物Sを使用する際は、開口部33にシリンジを取り付け、開口部32を開放した状態でシリンジを操作して容器2内の液体Lをシリンジ内に回収する。シリンジ内に回収された液体Lを検体として検査に送ることもできる。ある程度の液体Lが排出されると、液面が水平になるため、蓋部材3を取り外しても液面の揺れは起こらない。また、蓋部材3は液密空間に入り込む構造ではなく、蓋部材3を取り外す前に液密状態が解除されているため、作業者が無理な力で蓋部材を取り外すようなことが起きにくい。そして、容器2に収容されている脆弱物Sを取り出して使用する。
本実施形態はこれに限定されるものではなく、当業者は、デバイスの構成および形状を好適に変更して、異なる構成や形状を有するデバイスを設計することができる。例えば、図2Aに示すように、ポート状の開口部32、33Aの上端の高さを水平にすることもできる。これにより、液密状態において開口部32、33Aの液面の高さが揃うため、液体Lが開口部から溢れ出すようなことが起きにくい。また、図2Bに示すように、開口部33Bを下方に向けてポート状に突出させることもできる。これにより、開口部33Bの下端を液体Lに浸漬した状態で、液体を注入することができるため、泡立ちなどが起きにくい。さらに、開口部33Bから液体Lを取り除く際に、液面をより低くすることができるため、蓋部材3を取り外した際に、液体Lが容器外へ漏出するなどの問題が起きにくい。開口部を蓋部材3に3以上設けて、液体の注入や排出を3以上の開口部から行ってもよい。
以上、本発明の第1実施形態に係るデバイス1によれば、簡便な機構と、簡単な作業で効率よく液密状態を達成することができるため、作業性や製造コストの点において大きなメリットがある。そして、容器内を完全に液密状態にできるため、気泡(気体)が容器内にはいらず、移送中の容器の揺れなどによって気泡が容器内で動いて脆弱物を破損することがない。特に、脆弱物がシート状細胞培養物の積層体である場合に、気泡が移動して、積層体がズレたり欠損したりすることがない。したがって、液体中の脆弱物の形状を保持して変形を防止しつつ、長期保存することができる。
また、本発明の第1実施形態に係るデバイス1によれば、液密状態を簡単に解除することができるため、例えば、作業者の蓋部材の無理な取り外しによる、容器の振動や液体の流動の発生を抑えることができ、脆弱物を破損することがない。また、周囲を汚染することなく作業を行うことができるため、シート状細胞培養物の作製に使用されるバイオクリーンルームや、シート状細胞培養物が使用される集中治療室など、清浄度が厳密に管理されている場所での使用に適している。さらに、容器に蓋をした状態で、細胞シートに接触した液体を試験検体として採取し、菌の混入の有無などを検査した上で出荷することができる。
〔第2実施形態〕
本発明の一側面は、移植片を収容するための容器に着脱可能に装着して用いるデバイスであって、容器を密閉するための蓋部材を含み、蓋部材は、容器の開口部を覆う天板部を有し、天板部は、液体排出用の開口部と、液体注入用の開口部とを有し、液体注入用の開口部が天板部の周縁部付近に配置されている、前記デバイスに関する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るデバイス1Aを示す概念図、図4は、図3のデバイス1Aの変形例を示す概念図である。なお、本願における各図において、説明を容易とするため、各部材の大きさは、適宜強調されており、図示の各部材は、実際の大きさを示すものではない。
また、図中、第1実施形態に係るデバイス1の構成と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、第1実施形態との相違点について詳細に説明し、同様の事項については、説明を省略する。
図3Aに示すように、本発明の第2実施形態に係るデバイス1Aは、市販の容器2を密閉するための蓋部材3Aを含む。蓋部材3Aは、天板部31と、天板部31の周縁部から上下方向に延伸する筒状壁34と、開口部32、33とを含む。開口部32、33は、天板部31の中央付近と天板部31の周縁部付近とにそれぞれ設けられている。開口部32、33は、上方に向けてポート状に突出しており、上端が水平になるように構成されている。筒状壁34の外径は、容器2の内径と略同一であり、天板部31を容器2に取り付けると、筒状壁34が容器2の内側面に密着するように構成されている。筒状壁34の上端部39は、半径方向に拡径されており、縁部21に載置できるように構成されている。
図3Bに示すように、デバイス1Aを使用する際は、筒状壁34を容器2の内側面に密着させながら、蓋部材3Aを容器2に取り付けて、筒状壁34の上端部39を容器3の縁部21に係着させる。この際、筒状壁34は蓋部材3Aを容器2に対して位置決めするガイド機構として、および蓋部材3Aを容器2に嵌合できる嵌合機構として機能する。また、筒状壁34の天板部31より下側の部分は、天板部31を容器2内へ押し込む際のストッパーとしての役目を果たすため、天板部31を必要以上に押し込んで脆弱物Sを傷つけることがない。また、天板部31の容器2底面からの高さは、筒状壁34の下側部分の高さと同じになるため、筒状壁34の下側部分の高さを調節することで、容器2内での天板部31の位置を調節することもできる。
次に、開口部32、33にチューブ、シリンジ、検体採取用のバッグを接続して、液体の注入作業、液体Lの排出作業、検体(液体L)の回収作業などを行う。チューブを開口部32、33に取り付ける際や取り外す際に、圧力の関係でチューブ内の液体または液体Lやポート内の液体Lが流出する場合がある。この場合でも、天板部31の高さが容器2の縁部21より低いため、流出した液体が天板部31と筒状壁34との間の空間Aに受け入れられる。そして、その上からさらに蓋4をすることで、空間Aに流出した液体が、移送中に容器2の外に漏出しないようにすることもできる。また、開口部32、33の上端は水平であるため、開口部32、33から栓体を取り外す際などに液体Lが容器2内から流出することがない。移送先では、筒状壁34の上端部39を把持して蓋部材3Aを取り外し、容器2に収容されている脆弱物Sを取り出して使用する。
本実施形態はこれに限定されるものではなく、当業者は、デバイスの構成および形状を好適に変更して、異なる構成や形状を有するデバイスを設計することができる。例えば、天板部31にドーム形状の凸部を設け、凸部の頂部に開口部32を設けることもできる。これにより、液体L中に気泡が存在している場合でも、凸部の頂部(開口部32)に押し出して排出することができる。この時、開口部32、33の上端が水平になるように構成することもできる。また、開口部33を下方に向けてポート状に突出させることもできる。これにより、開口部33の下端を液体Lに浸漬した状態で、液体を注入することができるため、泡立ちなどが起きにくい。
次に、本発明の第2実施形態の変形例に係るデバイス1Bについて説明する。以下、第2実施形態との相違点について詳細に説明し、同様の事項については、説明を省略する。
図4Aに示すように、本発明の第2実施形態の変形例に係るデバイス1Bは、市販の容器2を密閉するための蓋部材3Bを含む。蓋部材3Bは、天板部31、開口部32、33、筒状壁34、筒状壁34の上端部から半径方向に延伸する天部35、天部35の周縁部から垂下する筒状スカート壁36、シール部材37および凸部38を有する。天板部31の周縁部の高さは、容器2の縁部21より低い。筒状壁34の外径は、容器2の内径より小さく、筒状壁34の外側面と容器2の内側面との間に空間G(第二空間)が形成されるように構成されている。天部35は、蓋部材3Bを容器2に取り付けた際に容器2の縁部21上に載置されるように構成されている。筒状スカート壁36は、容器2の外径と略同一からそれより大きな内径を有し、蓋部材3Bを容器2に取り付ける際に、筒状壁34の位置を容器2の中央に誘導するガイド機構として機能する。
図4Bに示すように、デバイス1Bを使用する際は、筒状スカート壁36を容器2の外側面に沿わせながら、蓋部材3Bを容器2に取り付ける。この際に、弾性体の環状部材4を筒状壁34の下端と容器2の底面との間に介在させて密着性を高めるようにしてもよい。環状部材4は、矩形をその一辺に平行な軸の周りで回転させることでできる輪の内側に空間(第一空間)を有する部材である。環状部材4の断面は矩形であり、環状部材4を液中に浸漬した際に気泡などが入り込む空間が存在しないように構成されている。また、環状部材4を容器2の底面に設置することで、脆弱物Sが第一空間内に捕捉されるため(図4A参照)、蓋部材3Bを容器2に取り付ける際に、筒状壁34の下端で脆弱物を欠損するような問題が起こりにくい。
蓋部材3Bを取り付ける際に、環状部材4を容器2の底面に設置した状態で、容器2内の液体Lの液嵩が環状部材4の高さより低くなるように調整する。そして、蓋部材3Bにより第一空間と第二空間とを区切り、第一空間およびその上方の空間に液体を注入することで、第二空間を液体Lが存在しない無水空間にすることができる。そして、かかる無水空間は、環状部材4とシール部材37とで二重にブロックされているため、万一、液密空間内の液体Lが環状部材4を越えて流出した場合でも、シール部材37でブロックすることができる。また、蓋部材3Bを取り外す際に、液密空間内の液体Lは、第二空間に受容されるため、液体Lの排出作業を省略することもできる。シール部材37下面側に円形の溝を設け、容器2の縁部21が溝に入り込むようにすることで、蓋部材3Bを容器2に強固に固定することもできる。
以上、本発明の第2実施形態に係るデバイス1A、1Bによれば、簡便な機構と、簡単な作業で効率よく液密状態を達成することができるため、作業性や製造コストの点において大きなメリットがある。そして、容器内を完全に液密状態にできるため、気泡(気体)が容器内にはいらず、移送中の容器の揺れなどによって気泡が容器内で動いて脆弱物を破損することがない。特に、脆弱物がシート状細胞培養物の積層体である場合に、気泡が移動して、積層体がズレたり欠損したりすることがない。したがって、液体中の脆弱物の形状を保持して変形を防止しつつ、長期保存することができる。
また、本発明の第2実施形態に係るデバイス1A、1Bによれば、液密状態を簡単に解除することができるため、例えば、作業者の蓋部材の無理な取り外しによる、容器の振動や液体の流動の発生を抑えることができ、脆弱物を破損することがない。また、周囲を汚染することなく作業を行うことができるため、シート状細胞培養物の作製に使用されるバイオクリーンルームや、シート状細胞培養物が使用される集中治療室など、清浄度が厳密に管理されている場所での使用に適している。さらに、容器に蓋をした状態で、細胞シートに接触した液体を試験検体として採取し、菌の混入の有無などを検査した上で出荷することができる。
〔第3実施形態〕
本発明の一側面は、移植片を収容するためのデバイスであって、縁部を有する容器と、容器を密閉するための蓋部材とを含み、容器は、側面に開口部を有し、蓋部材は、天板部とドーム形状の凸部と凸部の頂部に設けられた開口部とを有し、天板部の周縁部の高さが容器の縁部の高さより低くなるように構成されている、前記デバイスに関する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係るデバイス1Cを示す概念図である。なお、本願における各図において、説明を容易とするため、各部材の大きさは、適宜強調されており、図示の各部材は、実際の大きさを示すものではない。
また、図中、第1および第2実施形態に係るデバイスの構成と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、相違点について詳細に説明し、同様の事項については、説明を省略する。
図5Aに示すように、本発明の第3実施形態の変形例に係るデバイス1Cは、縁部21を有する容器2Cと、容器2Cを密閉するための蓋部材3Cを含む。蓋部材3Cは、天板部31、開口部32、筒状壁34、天部35、筒状スカート壁36、シール部材37および凸部38を有する。本実施形態において、筒状壁34は、天板部31の周縁部から上方に延伸しており、下方には延伸していない。筒状壁34の外径は、容器2の内径より小さく、天板部31を容器2C内に押し込んで、天板部31の周縁部を容器2Cの縁部21より低い位置に配置できるように構成されている。
シール部材37は、筒状壁34の外側面と容器2Cの内側面との間、および天板部31と容器2の端部21との間に配置されている。本実施形態において、開口部32、22は、蓋部材3Cの凸部38の頂部と、容器2Cの側面とにそれぞれ設けられている。容器2Cは、底面に突設された筒状リブ23を有し、その内側に空間(第一空間)を形成できるように構成されている。蓋部材3Cを容器2Cに取り付けた状態で、天板部31と筒状リブ23との間に隙間ができるように構成されている。容器2Cの開口部22は、筒状リブ23に水平になるように、容器2Cの側面に設けられている。
図5Bに示すように、デバイス1Cを使用する際は、容器2Cの筒状壁34の内側に液体Lと脆弱物Sとを入れて、蓋部材3Cを容器2Cに取り付ける。次に、開口部22に接続したシリンジを操作して液体を容器2C内に注入する。開口部22から注入された液体は、筒状リブ23に遮られるため、液体の注入により脆弱物Sが揺動して破損するなどの問題が起きにくい。そして、さらに液体を注入すると筒状リブ23の高さを越えて第一空間内に流れ込み、容器2C内が液体Lで満たされ、蓋部材3Cの開口部32から排出される。移送先で液体Lを排出する場合は、開口部32を開放して、開口部22から液体Lを排出するが、この際も脆弱物Sは第一空間内に捕捉されているため、水流などの影響を受けにくい。開口部22から注入される液体や、第一空間内の液体Lの移動がスムーズになるように、筒状リブ23にスリットを設けてもよい。かかるスリットは、脆弱物Sを保持する液体Lが多少残るように、筒状リブ23の上側に設けるようにしてもよい。
以上、本発明の第3実施形態に係るデバイス1Cによれば、簡便な機構と、簡単な作業で効率よく液密状態を達成することができるため、作業性や製造コストの点において大きなメリットがある。そして、容器内を完全に液密状態にできるため、気泡(気体)が容器内にはいらず、移送中の容器の揺れなどによって気泡が容器内で動いて脆弱物を破損することがない。特に、脆弱物がシート状細胞培養物の積層体である場合に、気泡が移動して、積層体がズレたり欠損したりすることがない。したがって、液体中の脆弱物の形状を保持して変形を防止しつつ、長期保存することができる。
また、本発明の第3実施形態に係るデバイス1Cによれば、液密状態を簡単に解除することができるため、例えば、作業者の蓋部材の無理な取り外しによる、容器の振動や液体の流動の発生を抑えることができ、脆弱物を破損することがない。また、周囲を汚染することなく作業を行うことができるため、シート状細胞培養物の作製に使用されるバイオクリーンルームや、シート状細胞培養物が使用される集中治療室など、清浄度が厳密に管理されている場所での使用に適している。さらに、容器に蓋をした状態で、細胞シートに接触した液体を試験検体として採取し、菌の混入の有無などを検査した上で出荷することができる。
以上、本発明を図示の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1~第3実施形態における蓋部材3、3A、3B、3Cの各構成は、自由に組み合わせることができる。
本発明においては、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
1、1A、1B、1C デバイス
2、2C 容器
21 縁部
22 開口部
23 筒状リブ
3、3A、3B、3C 蓋部材
31 天板部
32 開口部
33、33A、33B 開口部
34 筒状壁
35 天部
36 筒状スカート壁
37、R シール部材
38 凸部
4 環状部材

Claims (7)

  1. 移植片を収容するための容器に着脱可能に装着して用いるデバイスであって、容器を密閉するための蓋部材を含み、蓋部材は、容器の開口部を覆う天板部を有し、天板部は、液体排出用の開口部と、液体注入用の開口部とを有し、液体注入用の開口部が天板部の周縁部付近に配置されており、蓋部材を容器に取り付けた状態で、天板部の周縁部の高さが容器の縁部の高さより低い位置に配置でき、かつ天板部が容器の開口部を覆うことにより容器を密閉できるように構成されており、蓋部材は、天板部にドーム形状の凸部を有し、液体排出用の開口部が凸部の頂部に配置されている、前記デバイス。
  2. 液体排出用の開口部および液体注入用の開口部が、チューブ接続が可能なようにポート状に突出している、請求項1に記載のデバイス。
  3. 天板部の周縁部から延伸する筒状壁、および筒状壁の下端と係合する環状部材をさらに含む、請求項1または2に記載のデバイス。
  4. 天板部と容器の端部との間に介在できるシール部材をさらに含み、シール部材、筒状壁、環状部材および容器とで囲まれた、無水空間を形成することができる、請求項3に記載のデバイス。
  5. 開口部に接続可能なチューブと、チューブに接続可能な検体バッグとをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
  6. 移植片がシート状細胞培養物である、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
  7. シート状細胞培養物が、積層体である、請求項6に記載のデバイス。
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