JP7223946B2 - 電子機器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、特許文献1および2は、金属粉と特定の樹脂とを含み、伸縮性に優れる樹脂組成物を提案している。この樹脂組成物は、例えば、基材上に配線パターンを形成するため用いられる。
本実施形態に係る電子機器は、伸縮性基材と、伸縮性基材の表面に形成された配線パターンと、配線パターンに接続された電極を備える回路部材と、を備える。配線パターンは、伸縮性樹脂と導電性材料とを含む。そのため、配線パターンは伸縮性を有している。
基材が繊維構造体である場合、JIS L 1096の引張強さ及び伸び率A法(ストリップ法)に準じて準拠して測定された伸び率が3%以上である場合、伸縮性基材であると評価できる。
電子機器は、例えば、以下の方法により製造することができる。
すなわち、本実施形態に係る電子機器は、(1)ポリオールと、ブロックイソシアネートと、アスペクト比2以上のフィラーを含む導電性材料と、を含む導電性組成物を準備する工程(S1)と、(2)導電性組成物を伸縮性基材上に塗布する工程(S2)と、(3)塗布された導電性組成物と回路部材の電極とが接触するように、伸縮性基材に回路部材を搭載する工程(S3)と、塗布された導電性組成物を加熱して、導電性材料と、ポリオールとブロックイソシアネートとの反応生成物とを、含む配線パターンを形成するとともに、電極と配線パターンとを接続する工程(S4)と、を備える方法により製造される。図3は、本実施形態に係る電子機器の製造方法を示すフローチャートである。
導電性組成物は、導電性材料、ポリオール、ブロックイソシアネートおよびその他の添加物を、例えばミキサーなどで混合することによって調製される。
導電性組成物を基材に塗布する方法は特に限定されない。塗布方法としては、例えば、アプリケーター、ワイヤーバー、コンマロール、グラビアロール等を用いるコーティング法:スクリーン、平板オフセット、フレキソ、インクジェット、スタンピング、ディスペンサ等を用いる印刷法等が挙げられる。
伸縮性基材に塗布された加熱前の導電性組成物は、流動性およびタック性を有している。そのため、導電性組成物上に回路部材を搭載すると、回路部材の電極の少なくとも一部は導電性組成物中に埋没し、その状態で導電性組成物に密着する。
導電性組成物を加熱することにより、ブロックイソシアネートのブロック剤が解離して、イソシアネート成分とポリオールとが反応する。これにより、電極の少なくとも一部を埋没させた状態のままで、配線パターン(導電性組成物の硬化物)が形成されるとともに、電極と配線パターンとが接続される。つまり、配線パターンは、電子機器の配線であるとともに、回路部材と配線とを電気的に接続する接合材である。さらに言い換えれば、導電性組成物は、配線形成用の材料であり、かつ、接合用の材料である。そのため、それぞれの材料の相性や互いの物性の違い等を考慮することが省略されるとともに、材料間での剥離等の懸念も解消される。
導電性組成物は、例えば、ポリオールと、ブロックイソシアネートと、導電性材料と、を含む。導電性材料は、アスペクト比2以上のフィラー(以下、扁平フィラーと称する。)を含むことが好ましい。
ポリオールは、ウレタン樹脂の原料の1つであり、1分子内に2以上の水酸基を有する。
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。ポリオールの含有量は、導電性組成物中の不揮発性成分の例えば30質量%以上、80質量%以下であってよい。以下、導電性組成物中の不揮発性成分を固形分と称する場合がある。導電性組成物中の不揮発性成分の質量は、調製された導電性組成物から溶媒の質量を引いて算出される。また、乾燥後および硬化後の導電性組成物の質量は、導電性組成物中の不揮発性成分の質量とみなしてよい。
ブロックイソシアネートは、ウレタン樹脂の原料の1つであり、イソシアネート化合物と、それに含まれるイソシアネート基を保護するブロック剤との反応により得られる。ブロック剤は加熱によって解離して、イソシアネートが生成する。本実施形態に係る導電性組成物は、一液型として調製できる。
導電性材料は、扁平フィラーを含む。扁平フィラーのアスペクト比は、3以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってよい。フレーク状フィラーおよび鱗片状フィラーのアスペクト比は、厚み方向の平均長さと、面方向の平均長さとの比である。繊維状フィラーのアスペクト比は、長手方向の平均長さと、短手方向の平均長さとの比である。面方向の平均長さは、その面の面積と同じ面積を有する円の直径とすればよい。その他の平均長さは、10個のフィラーの平均値である。
導電性組成物には、さらに、溶媒、触媒、鎖延長剤、バインダ、カップリング剤、導電助剤、無機フィラー、有機フィラー等が添加されてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
表1に示す配合量で各成分を混合し、自転・公転ミキサーにて混練し、ペースト状の導電性組成物を調製した。
ポリオールA:ポリエステルポリオール、数平均分子量 500、製品名 P-520、(株)クラレ製、水酸基価 224
ポリオールB:ポリエステルポリオール、数平均分子量 2000、製品名 P-2010、(株)クラレ製、水酸基価 56
ポリオールC:ポリエステルポリオール、数平均分子量 300、製品名 F-510、(株)クラレ製、水酸基価 336
ポリウレタン樹脂:製品名 ARバインダGS、(株)松井色素化学工業製
ブロックイソシアネートA:ブロック化剤 活性メチレン系、製品名 デュラネートMF-K60B、旭化成(株)製
ブロックイソシアネートB:ブロック化剤 ピラゾール系、製品名 デュラネートSBN-70D、旭化成(株)製
導電性材料:フレーク状銀粉、製品名 AgC-2351、平均粒径(D50) 6.95μm、福田金属箔粉工業(株)製
伸縮性基材(ウレタンフィルム、日本マタイ(株)製、エスマーURS)上に、調製した導電性組成物を矩形に塗布した。導電性組成物は、同一直線上に2箇所塗布した。2箇所の導電性組成物に跨がるようにチップ部品を搭載し、図1に示されるように、チップ部品の2つの電極をそれぞれの導電性組成物に接触させた。この状態で、下記に示す条件で加熱して、矩形の配線パターンを形成するとともに回路部材を実装し、電子機器を得た。
ブロックイソシアネートAを用いた実施例:120℃、30分
ブロックイソシアネートBを用いた実施例:140℃、30分
導電性組成物、配線パターンおよび電子機器について、以下の評価を行った。
(1)体積抵抗値
ガラス板上に、調製した導電性組成物を塗布した後、上記の条件で加熱して、ガラス板上に矩形のフィルム(導電性組成物の硬化物)を形成し、フィルムの長手方向の抵抗値を測定した。測定された抵抗値を用いて、下記式によりフィルムの体積抵抗値(比抵抗値)を算出した。
体積抵抗値=(抵抗値×フィルムの膜厚×フィルムの短手方向の長さ/フィルムの長手方向の長さ)×100
調製した導電性組成物を、ガラス板上にスポット状に2点塗布した後、60秒静置した。各スポットの面積は、チップ部品の搭載面積より小さい。その後、2点のスポットの全面と1つのチップ部品(2.0mm×1.25mm)とが接触するようにチップ部品を搭載して、ボンドテスタ(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製、DAGE ボンドテスターシリーズ4000)によりせん断強度を測定した。せん断強度が70mN以上の場合をA、50mN以上、70mN未満の場合をB、50mN未満の場合をCとして評価した。せん断強度が大きい程、タック性に優れる。
伸縮性基材(ウレタンフィルム、日本マタイ(株)製、エスマーURS)上に調製した導電性組成物を塗布した後、上記の条件で加熱して、伸縮性基材上に矩形の配線パターン(導電性組成物の硬化物)を形成した。その後、配線パターンの長手方向の初期の抵抗値PR0を測定した。
上記(ii)で得られた電子機器の2つの配線パターン間の初期の抵抗値ER0を測定した。この抵抗値には、チップ部品の内部抵抗も加味されている。
次いで、ウレタンフィルムの両端部を挟持して配線パターンの直線方向(図1における左右方向)に伸張し、配線パターン間の電気抵抗値ERが初期の抵抗値ER0の120%になるときのウレタンフィルムの伸張率を算出した。
10 伸縮性基材
20 配線パターン(導電性組成物の硬化物)
30 回路部材
31 電極
31a 底面
31b 側面
Claims (9)
- 伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の表面に形成された配線パターンと、
前記配線パターンに接続された電極を備える回路部材と、を備え、
前記配線パターンは、伸縮性樹脂と、導電性材料と、を含み、
前記電極の少なくとも一部は、前記配線パターンに埋没しており、
前記配線パターンを第1方向に伸張したとき、前記第1方向において、伸張後の前記配線パターンの電気抵抗値が伸張前の前記配線パターンの電気抵抗値の120%になるときの前記配線パターンの伸長率は、5%以上である、電子機器。 - 前記伸縮性樹脂は、ウレタン樹脂であり、
前記導電性材料は、アスペクト比2以上のフィラーを含む、請求項1に記載の電子機器。 - 前記導電性材料の含有量は、前記配線パターンの30体積%以上、80体積%以下である、請求項2に記載の電子機器。
- 前記ウレタン樹脂は、分子量300以上、5,000以下のポリオールとブロックイソシアネートとの反応生成物である、請求項2または3に記載の電子機器。
- 前記ポリオールの水酸基価は、40mgKOH/g以上、800mgKOH/g以下である、請求項4に記載の電子機器。
- 前記ポリオールは、ポリエステルポリオールである、請求項4または5に記載の電子機器。
- 前記ポリオールと前記ブロックイソシアネートとの反応温度は、150℃以下である、請求項4~6のいずれか一項に記載の電子機器。
- 前記導電性材料は、アスペクト比2未満のフィラーをさらに含む、請求項2~7のいずれか一項に記載の電子機器。
- ポリオールと、ブロックイソシアネートと、アスペクト比2以上のフィラーを含む導電性材料と、を含む導電性組成物を準備する工程と、
前記導電性組成物を伸縮性基材上に塗布する工程と、
塗布された前記導電性組成物と回路部材の電極とが接触するように、前記伸縮性基材に前記回路部材を搭載する工程と、
塗布された前記導電性組成物を加熱して、前記導電性材料と、前記ポリオールと前記ブロックイソシアネートとの反応生成物とを、含む配線パターンを形成するとともに、前記電極と前記配線パターンとを接続する工程と、を備える、電子機器の製造方法。
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