JP6911745B2 - 導電性粘着剤、粘着性コネクタ、および粘着性端子部材 - Google Patents
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Description
また、特許文献6には、導電性フィラーとして炭素系導電材(カーボンナノチューブやカーボンマイクロコイル)を分散させた導電粘着剤を金属蒸着織布上に塗布してなる導電性粘着テープが開示されている。
さらに特許文献7には、ウレタン系ポリマー、粘着付与樹脂、およびカーボンナノ材料を含む導電粘着性組成物が、
また特許文献8には、アクリル系樹脂を含む粘着性樹脂およびエネルギー線重合性基を有する重合性化合物、および炭素系フィラーを含有する、エネルギー線架橋型の導電粘着組成物が、それぞれ開示されている。
しかし、特許文献5〜8に開示されている導電性粘着剤組成物は、溶剤(導電性フィラーにとっては液状分散媒)で希釈し固形分を最大でも42質量%程度とすることによって、流動性を確保し、塗布できるようにしている。塗布液のウェット厚みを任意に調整可能なスリットコーター等を用いた全面塗布の場合、このような低固形分の導電性粘着剤組成物を用いても、厚い粘着層を形成できる。しかし、印刷法等を用いた精密パターン形成ではおのずと粘着剤液の塗布厚みが低く制限されるため、十分な粘着特性を得るのに必要な導電粘着層厚みを得ることができないという問題があった。
またそればかりか、低固形分であること、即ち、含まれる溶剤が多いことにより加熱乾燥時の溶剤揮発に伴い、粘着剤層表面に導電性フィラーに起因する凹凸が発生しやすく、表面の初期タックを大きく損なうという問題もあった。
(1)前記樹脂(A)は、主鎖にポリエステル構造を含む。
(2)前記樹脂(A)は、水酸基、カルボキシル基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する。
(3)前記樹脂(A)は、25℃において液状である。
(4)前記樹脂(A)は、数平均分子量1,000〜40,000である。
(5)前記硬化剤(B)は、前記樹脂(A)が有する前記官能基と反応し得る官能基を有する。
(6)導電性粘着剤は、130℃で1時間加熱した場合の不揮発分が75質量%以上100質量%以下である。
また、前記R2は、脂肪族系多価アルコール成分の残基であることが好ましく、炭素数4〜10のアルキレン基であることが好ましい。
また、前記R3は、炭素数2〜5のアルキレン基であることが好ましい。
(11)第1の粘着性端子部材は、第1の絶縁性基材と第1の導電性回路と粘着性端子とを具備する。
(12)前記第1の導電性回路は、前記第1の絶縁性基材の表面の一部に位置する(配設されている)。
(13)前記粘着性端子は、前記第1の導電性回路の表面の一部を覆うように位置する(配設されている)。
(14)前記粘着性端子は、前記本発明の導電性粘着剤から形成される硬化物である。
(15)第2の端子部材は、第2の絶縁性基材と第2の導電性回路とを具備する。
(16)前記第2の導電性回路は、前記第2の絶縁性基材の表面の一部に位置する(配設されている)。
(17)前記第1の粘着性端子部材を構成する前記粘着性端子は、前記第2の端子部材を構成する前記第2の導電性回路の一部と剥離可能に接続されている。
(11)前記第1の粘着性端子部材は、第1の絶縁性基材と第1の導電性回路と粘着性端子とを具備する。
(12)前記第1の導電性回路は、前記第1の絶縁性基材の表面の一部に位置する(配設されている)。
(13)前記粘着性端子は、前記第1の導電性回路の表面の一部に覆うように位置する(配設されている)。
(14)前記粘着性端子は、前記本発明の導電性粘着剤から形成される硬化物である。
即ち、本発明の導電性粘着剤を用い、スクリーン印刷法等の簡便な方法でパターン形成することにより、導電性および粘着性に優れる粘着性端子を形成できる。回路中の任意の位置に配置された回路端子間を、前記粘着性端子で貼り付けることによって、極めて簡便に、機械的かつ電気的に接続することが可能である。そして、前記粘着性端子を回路端子から剥がすことによって、前記接続を容易に解くことができ、再度貼り合せれば再接続できる。
なお、本発明における粘度とは、EH型粘度計を用いて、ローターNo.7、回転速度5rpmで測定した数値を意味する。
また、本発明における数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定におけるポリスチレン換算分子量である。
本発明における樹脂(A)は、前述の通り、(1)主鎖にポリエステル構造を含み、(2)特定の官能基を有し、(3)25℃で液状であり、(4)特定の数平均分子量を有すものである限り特に制限は受けず、また前記条件を満たすものを1種単独で或いは2種以上併用して用いることが可能である。
本発明における樹脂(A)は、主鎖にポリエステル構造を含むものであり、下記一般式1〜3のいずれかで示される構造を含むものが好ましい。これらの構造を有する樹脂を使用することにより、後述する導電性カーボンフィラー間の導電パス形成が促進され優れた導電性が発現されるとともに、高い粘着性をも発現することが可能となる点で好ましい。
多価カルボン酸成分の残基とは、多価カルボン酸成分からカルボキシル基や酸無水物基を除いた部分である。また、多価カルボン酸とメタノール等とのエステルが多価カルボン酸成分の一種として用いられる場合も同様に、残基とは多価カルボン酸からからカルボキシル基を除いた部分である。
多価アルコールの残基とは、多価アルコールから水酸基を除いた部分である。
一般式1で示される繰返し構造を有する含む樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコールとの縮合反応により得ることができる。
脂肪族系多価カルボン酸成分としては、アルキレン基を有する脂肪族系多価カルボン酸が挙げられ、アルキレン基は分岐を有していてもよいし有しなくてもよい。アルキレン基の炭素数は4〜10であることが好ましい。このような脂肪族系多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が挙げられ、これらを併用しても構わない。
芳香族系多価カルボン酸として、イソフタル酸、テレフタル酸等およびこれらの無水物、ハロゲン化物、エステル化合物等が使用でき、これらを併用しても構わない。
また、脂肪族系多価カルボン酸成分と芳香族系多価カルボン酸とを併用することもできる。
脂肪族系多価アルコールとしては、アルキレン基を有するものが挙げられ、アルキレン基は分岐を有していてもよいし有しなくてもよい。アルキレン基の炭素数は4〜10であることが好ましい。
このような脂肪族系多価アルコールのうち、アルキレン基を有するものとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1、10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらを併用しても構わない。
芳香族系多価アルコールとしては、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール、1、4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ベンゼン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールA等を用いることができ、これらを併用しても構わない。
また、脂肪族系多価アルコールと芳香族系多価アルコールとを併用することもできる。
R1は多価カルボン酸成分の残基、R3およびR4はアルキレン基を示す。アルキレン基は分岐を有していてもよいし有しなくてもよい。アルキレン基の炭素数は2〜5であることが好ましい。また、m+n≧1かつm≧0、n≧0である。
多価カルボン酸成分としては、一般式1の場合に例示したものが同様に例示できる。
オキシアルキレンジオールとしては、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール以外のポリエチレングリコール、三菱化学社製のPTMG(ポリテトラメチレングリコール)、旭化成製のPTXG(テトラヒドロフランおよびネオペンチルグリコールの共重合体)等があげられ、これらを併用しても構わない。
例えば、多価アルコールとしてジエチレングリコールを用いた場合、R3は炭素数2のアルキレン、m=2、n=0となる。
さらに、一般式1の場合に例示した脂肪族系多価アルコールや芳香族系多価アルコールも併用することもできる。
なお、−(R3-O)m-(R4-O)n−を便宜上、多価アルコール成分の残基ということがある。
R5は環状エステルの開環後の残基を示し、環状エステルの炭素数は5〜10であることが好ましい。
本発明における樹脂(A)は、水酸基、カルボキシル基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する。上記官能基は1分子中に1種のみを有するものであってもよいし、1分子中に2種以上を同時に有してもよい。
これら官能基は、後述する硬化剤(B)と反応し、形成される導電粘着塗膜の凝集力を向上する機能を担う。導電粘着塗膜の凝集力を向上し、着脱(貼る・剥がす)を繰り返す際、糊残りし難くなるよう、上記官能基は1分子中に平均で2個以上有することが好ましい。
一般式1、2の場合、多価カルボン酸成分のカルボキシル基に比して、相対的に水酸基が少なる条件にて多価アルコールを反応させることにより、カルボキシル基を有する樹脂を得ることができる。
多価アルコール成分として、カルボキシル基も有するものを併用し、多価カルボン酸成分のカルボキシル基に比して、相対的に水酸基が多くなる条件にて多価アルコールを反応させることにより、水酸基およびカルボキシル基を有する樹脂を得ることもできる。
また、水酸基を有する樹脂を得た後、イソシアネート基のように水酸基と反応し得る官能基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を、水酸基を有する樹脂に反応させることによって、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を得ることができる。
また、(メタ)アクリロイル基は前記と同様の方法で導入できる。
例えば、水酸基を有するポリエステル樹脂とジイソシアネート化合物とを水酸基過剰の条件にて反応させた反応生成物であるポリエステルポリウレタンポリオール樹脂があげられる。
この際用いられるジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、水添メチレンジフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどがあげられるが、これらに限定されない。
また、これ以外の反応生成物であっても、例えば上記に例示した樹脂を原料とした反応生成物であって、水酸基、カルボキシル基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有し、数平均分子量が1,000〜40,000であり、25℃において液状であるものであれば限定されず用いることができる。
また、同様の理由で、(メタ)アクリロイル基は3mgKOH/g以上112mgKOH/g以下であることが好ましい。
本発明における樹脂(A)は25℃において液状であるものに限られる。但し、本発明における液状とは、空気との相境界が容易に視認可能であり(気体ではない)、かつ傾斜または攪拌により流動し容器に合わせて形を変えうる(固体でもない)流体的性状のことである。上記の限りにおいて特に制限されるものではないが、樹脂(A)の粘度としては、スクリーン印刷に使用する場合には100〜10,000,000mPa・sであることが好ましい。
本発明における樹脂(A)の数平均分子量は1,000〜40,000であり、2,000〜40,000であることが好ましい。形成される導電粘着塗膜の粘着力の点から1,000以上であることが重要であり、硬化速度および形成される導電粘着塗膜の凝集力の点から40,000以下であることが重要である。
本発明における硬化剤(B)は、前記樹脂(A)と反応し粘着性端子にとって必要な凝集力を付与するために使用される。本発明における硬化剤(B)は、前記樹脂(A)が有する前記官能基と反応し得る官能基を有するものであれば特に制限されず用いることができるが、前記樹脂(A)と架橋構造を形成するため、官能基数2〜10であることが望ましい。凝集力の点から官能基数は2以上が好ましく、粘着力の点からで官能基数は10以下が好ましい。
本発明における導電性カーボンフィラー(C)は粉体抵抗として101〜10−4Ω・cmの体積抵抗値を有する導電性の炭素同素体からなるフィラーが好ましく、形状としても球状、フレーク状、凝集塊状、鱗状、鱗片状、針状、繊維状、多孔質状等のものを、特に制限なく使用することができる。
導電性カーボンフィラーの平均粒子径としては、10nm〜30μmであることが好ましく、導電性粘着剤としての導電性と粘着性の両立がより容易になるという点から10nm〜20μmであることが特に好ましい。このような導電性カーボンフィラーの具体例としては、ランプブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラフェン、単層及び多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、カーボン短繊維フィラー等があげられる。市販品としては、Cabot社製Vulcanシリーズ、デンカ社製デンカブラック、ライオンスペシャリティケミカルズ社製ECシリーズ、東海カーボン社製トーカブラック、東京化成工業社製グラフェンナノプレートレットシリーズおよび酸化グラフェン、名城ナノカーボン社製単層カーボンナノチューブECシリーズ、ゼオンナノテクノロジー社製ZEONANOシリーズ、東レ社製トレカミルドファイバーなどがあげられる。
また、平均粒子径は以下のようにして求める。JISM8511(2014)記載のレーザ回折・散乱法に準拠し、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック9220FRA)を用い、分散剤として市販の界面活性剤ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製:トリトンX−100)を0.5体積%含有する水溶液に導電性カーボンフィラーを適量投入し、撹拌しながら40Wの超音波を180秒照射した後、測定を行った。求められたメディアン径(D50)の値を導電性カーボンフィラーの平均粒径とした。
(d)=((c)−(a))/((b)−(a))×100
このような印刷または塗布方法としては、例えばオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、インクジェット印刷、パッド印刷、反転オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーンオフセット印刷、マイクロコンタクト印刷、ディスペンサー塗布、ジェットディスペンサー塗布、マイクロニードル塗布、スプレーマスキング塗布などがあげられる。これらの中でも、より粘着力に優れた厚膜の形成が可能でありパターニング精度にも優れる点から、スクリーン印刷が好ましい。
図に基づきながら、第1の端子部材について説明する。
第1の端子部材(あ)は、図1(a1)、(a2)に示すように、第1の導電性回路2が第1の絶縁性基材1の表面の一部に位置するよう設けられている。図1(a2)は、図1(a1)の部材をI−I’で切った場合の断面図を表す。
前記樹脂基材の素材としてはPETなどのポリエステル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂、ポリイソプレン樹脂架橋体などの天然ゴム、ポリブタジエン樹脂架橋体やEPDM樹脂架橋体などの合成ゴムなどがあげられる。
前記ガラス基材の素材としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、耐熱ガラス、アルミノシリケートガラスなどがあげられる。
前記セラミックス基材の素材としては、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素などがあげられる。
これら第1の絶縁性基材の形状としてはフィルム状や板状でもよく、立体成型物であってもよい。またこれら絶縁性基材のうち、薄く軽量で柔軟かつ各種耐久性に優れることから、樹脂フィルムであることが好ましいが、これに限定されない。また、基材への導電性粘着剤の硬化物の投錨性を補助するため、予めUVオゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理または易接着コーティング処理などの公知の基材処理が施されていることも好ましい。
印刷法により前記第1の導電性回路2を形成する場合は、前記導電性粘着剤のパターニング塗布方法と同様の方法により、前記第1の絶縁性基材上に第1の導電性回路を直接形成することができる。印刷法により前記第1の導電性回路を形成する際の材料としては、公知の導電性銀インキ、導電性銅インキ、導電性カーボンインキ等の導電性インキや、導電性高分子溶液を用いることができる。
フォトリソグラフィ−エッチング法は、前記第1の絶縁性基材と導電性薄膜との積層体を得、前記導電性薄膜を所望の形状にエッチングすることにより前記導電性回路2を形成する方法である。具体的には、前記導電性薄膜上に、インキ型またはドライフィルム型エッチングレジストを用いて公知のフォトリソグラフィ法によりパターニングされたレジスト層を形成し、パターニングされたレジスト層の無い部分の導電性薄膜をエッチング液により除去し、最後にレジスト層を剥離することによって所望の形状にパターニングされた導電性薄膜である第1の導電性回路2を得ることができる。第1の導電性回路2は粘着性を有しない。
導電性薄膜の素材としては、銅、銀、金、ニッケル、アルミやこれらを含む各種合金などの金属や、インジウム錫酸化物(ITO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)などの導電性酸化物があげられる。
図に基づきながら、本発明の第1の粘着性端子部材について説明する。
本発明の第1の粘着性端子部材(い)は、図1(a3)、(a4)に示すように、前記第1の端子部材(あ)と粘着性端子5とを具備する。図1(a4)は、図1(a3)の部材をII−II’で切った場合の断面図を表す。図1(a3)、(a4)に示すように、前記粘着性端子5は、前記第1の絶縁性基材1の表面の一部に位置するよう設けられているとともに、前記第1の導電性回路2の表面の一部を覆うように設けられている。そして、前記粘着性端子5は、前述の本発明の導電性粘着剤から形成される硬化物である。
言い換えると、前記第1の絶縁性基材1の表面の一部(図1(a1)の「イ」周辺域)、前記第1の導電性回路2の表面の一部(図1(a1)の「イ」周辺域)を覆うように、前述の本発明の導電性粘着剤を前術のパターニング方法によりパターニングし、前術の加熱処理方法により硬化し、導電性粘着塗膜、即ち粘着性端子5を形成し、図1(a3)、(a4)に示すような本発明の第1の粘着性端子部材(い)を得ることができる。
本発明の第1の粘着性端子部材(い)は、図1(a5)、(a6)に示すように、前記第1の端子部材(あ)と粘着性端子5とを具備する。図1(a6)は、図1(a5)の部材をII−II’で切った場合の断面図を表す。図1(a5)、(a6)に示すように、前記粘着性端子5は、前記第1の導電性回路2の表面の一部を覆うように設けられている。そして、前記粘着性端子5は、前述の本発明の導電性粘着剤から形成される硬化物である。
言い換えると、図1(a5)、(a6)に示す態様は、前記粘着性端子5が前記第1の絶縁性基材1の表面の一部に位置するよう設けられてはいないという点を除き、図1(a3)、(a4)に示す態様と同様である。
第1の絶縁性基材1の同一の表面に複数の第1の導電性回路2が設けられる場合、各第1の導電性回路2上に設けられる各粘着性端子5は、図1(a3)、(a4)に示す態様、または図1(a5)、(a6)に示す態様をそれぞれ独立に選択することができる。
図に基づきながら、第2の端子部材について説明する。
第2の端子部材(う)は、図2(b1)、(b2)に示すように、導電性回路4が絶縁性基材3の表面の一部に位置するよう設けられている。図2(b2)は、図2(b1)の部材をII−II’で切った場合の断面図を表す。
第2の端子部材(う)を構成する第2の絶縁性基材3、第2の導電性回路4としては、前記第1の端子部材(あ)を構成する第1の絶縁性基材1、第1の導電性回路2について例示したものと同様のものを例示することができる。第2の絶縁性基材3は第1の絶縁性基材1と、第2の導電性回路4は第1の導電性回路2とそれぞれ同一種類のものを用いても良いし、異なる種類のものを用いてもよい。第1の粘着性端子部材(い)と第2の端子部材とを貼り合せ、本発明の粘着性コネクタとして用いることができる。即ち、前記第1の粘着性端子部材(い)を構成する前記粘着性端子5を、前記第2の端子部材(う)を構成する前記第2の導電性回路4の一部と剥離可能に接続することにより、本発明の粘着性コネクタとして用いることができる。貼り合わせの容易さの観点から、第1の端子部材(あ)の第1の絶縁性基材1または第2の端子部材(う)の第2の絶縁性基材3の少なくとも一方は可撓性のあることが好ましいが、これに限定されない。
図に基づきながら、本発明の粘着性コネクタについて説明する。
本発明の粘着性コネクタ(え)は、図3(c1)、(c2)に示すように、第1の粘着性端子部材(い)の粘着性端子5に第2の端子部材(う)を貼り合せることにより、第1の端子部材(あ)と第2の端子部材(う)とを着脱可能に電気的に接続し固定する。
粘着性端子5は、第1の導電性回路2の表面の一部、所望の箇所に形成されているので、第1の絶縁性基材1の同一面上に設けられる複数系統の導電性回路2を、短絡することなく適切に、第2の絶縁性基材3の同一面上に設けられる複数系統の第2の導電性回路4と同時に導通接続することが可能である。
なお、第1の導電性回路2と第2の導電性回路4との間に導電性接着剤を挟んでから前記導電性接着剤を硬化する場合も、第1の端子部材(あ)と第2の端子部材(う)との電気的接続は可能である。しかし、第1の端子部材(あ)と第2の端子部材(う)とを簡単に剥がすことはできない。このような導電性接着剤の利用に比べ、既に硬化していながら粘着性を有する粘着性端子を利用する本発明の粘着性コネクタは簡単に着脱でき、再接続できる。
第の粘着性端子部材(い)として、図3(a5)、(a6)に示す態様のものを用いると、図3(c3)に示すような粘着性コネクタを得ることができる。
(官能基価)[mgKOH/g]=(56.1×1000)/(官能基当量)
上記官能基価は、例えば官能基がカルボキシル基である場合は酸価、官能基が水酸基である場合は水酸基価、官能基がアミノ基である場合はアミン価などと表現される量の総称であり、互いに異なる官能基をもつ物質同士の官能基比率を比較する際には、上記官能基価が同じ値であれば同モル量の官能基を有すると考えてよい。すなわち樹脂(A)の有する官能基と硬化剤(B)有する官能基の比率(官能基比率)は官能基価を用いて次のようにして計算できる。
官能基比率(B)/(A)=(硬化剤(B)の官能基価)/(樹脂(A)の官能基価)
また、(メタ)アクリロイル基やイソシアネート基など、官能基価の定量に上記の水酸化カリウムによる滴定を使用しない場合にも、官能基量を表すそれぞれの測定値から導かれた上記官能基当量ならびに上記計算式を用いて、便宜的に水酸化カリウム換算量として算出することができる。以下に具体的な計算例を示す。
(ジアクリレート化合物「X」の官能基当量)=3,000/2=1,500
このジアクリレート化合物「X」の官能基当量と上記官能基価の計算式から、下記のようにジアクリレート化合物「X」の官能基価を算出することができる。
(ジアクリレート化合物「X」の官能基価)[mgKOH/g]
=(56.1×1000)/1,500=37.4
(3官能イソシアネート化合物「Y」の官能基当量)
=1/(0.23/44)=191.3
この3官能イソシアネート化合物「Y」の官能基当量と上記官能基価の計算式から、下記のように3官能イソシアネート化合物「Y」の官能基価を算出することができる。
(3官能イソシアネート化合物「Y」の官能基価)[mgKOH/g]
=(56.1×1000)/191.3=293.3
[一般式1にて示される実施例用 樹脂(A1)〜(A14)]
・樹脂(A1):クラレ社製 液状ポリエステルポリオール、クラレポリオール P2030。イソフタル酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの反応生成物。数平均分子量:2,000、粘度:3,000mPa・s、不揮発分100%、官能基価:56mgKOH/g。
樹脂(A2)100.0部に無水コハク酸10.0部を反応させ、カルボキシル基を有する樹脂(A7)を得た。樹脂(A7)の数平均分子量は40,000、粘度:60,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:3mgKOH/gであった。
ジオクチル錫ジラウレートの存在下、樹脂(A2)100.0部に2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工製カレンズMOI)15.5部を加え、加熱し、赤外分光光度計(日本分光製FT/IR−4000)による測定で遊離NCOに帰属される2270cm−1のピークが消滅するまで反応させ、アクリロイル基を有する樹脂(A8)を得た。樹脂(A8)の数平均分子量:2,300、粘度:3,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:56mgKOH/gであった。
ジオクチル錫ジラウレートの存在下、樹脂(A2)100.0部に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート6.6部を加え、赤外分光光度計による測定で遊離NCOに帰属される2270cm−1のピークが消滅するまで反応させ、水酸基を有する樹脂(A9)を得た。樹脂(A9)の数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/gであった。
ドデカン二酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの反応生成物。数平均分子量:2,000、粘度:3,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:56mgKOH/g。
ドデカン二酸と1,10−デカンジオールとの反応生成物。数平均分子量:2,000、粘度:3,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:56mgKOH/g。
アジピン酸:テレフタル酸=1:1(モル)と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとを反応させた水酸基を有する反応生成物に、さらに1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させたポリエステルポリウレタン樹脂(A12)。数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/g。
アジピン酸:テレフタル酸=3:1(モル)と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとを反応させた水酸基を有する反応生成物に、さらに1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させたポリエステルポリウレタン樹脂(A13)。数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/g。
アジピン酸と1,4-ブタンジオールとの反応生成物。数平均分子量:2,000、粘度:3,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:56mgKOH/g。
<樹脂(A15)>
アジピン酸とジエチレングリコールとの反応生成物。数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/g。
アジピン酸とポリエチレングリコール(和光純薬製ポリエチレングリコール300)との反応生成物。数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/g。
樹脂(A15)100.0部に、無水コハク酸2.0部を反応させ、カルボキシル基を有する樹脂(A17)を得た。樹脂(A17)の数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/gであった。
ジオクチル錫ジラウレートの存在下、樹脂(A15)100.0部に2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工製カレンズMOI)3.1部を加え、樹脂(A8)の場合と同様にしてイソシアネート基が消失するまで反応させ、アクリロイル基を有する樹脂(A19)を得た。樹脂(A18)の数平均分子量:10,300、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/gであった。
アジピン酸とポリテトラメチレングリコール(三菱化学製PTMG2000)との反応生成物。数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/g。
アジピン酸と、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールの共重合体、PTXG(旭化成製)との反応生成物。数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/g。
・樹脂(A21):ダイセル・有機合成カンパニー製ポリカプロラクトンジオール、プラクセル プラクセルL212AL、数平均分子量1,250、粘度:1,800mPa・s、不揮発分100%、官能基価90mgKOH/g。
樹脂(A21)100.0部にε−カプロラクトン700.0部を加え、オクチル酸亜鉛の存在下に160℃に加熱し、ガスクロマトグラフィで反応系中のε−カプロラクトン濃度が1%未満になるまで反応させ、樹脂(A22)を得た。樹脂(A22)の数平均分子量:10,000、粘度:15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/gであった。
樹脂(A21)100.0部にε−カプロラクトン3100部を加え、オクチル酸亜鉛の量をに変えた以外は、前記樹脂(A22)の場合と同様にして樹脂(A23)を得た。樹脂(A23)の数平均分子量は40,000、粘度60,000mPa・s、不揮発分は100%、官能基価:3mgKOH/gであった。
ジオクチル錫ジラウレートの存在下、樹脂(A21)100.0部に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工製カレンズMOI)0.8部を加え、樹脂(A8)の場合と同様にしてイソシアネート基が消失するまで反応させ、アクリロイル基を有する樹脂(A24)を得た。樹脂(A24)の数平均分子量は10,300、粘度15,000mPa・s、不揮発分:100%、官能基価:11mgKOH/gであった。
・樹脂(A25):根上工業社製アクリル系固形粘着樹脂、AS−3000の75%ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート溶液、数平均分子量150,000、粘度8,000,000mPa・s、不揮発分75%、水酸基含有(官能基価7mgKOH/g)
・樹脂(A26):根上工業社製アクリル系固形粘着樹脂、AS−3000の30%ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート溶液、数平均分子量150,000、粘度200,000mPa・s、不揮発分30%、水酸基含有(官能基価7mgKOH/g)
・樹脂(A27):綜研化学社製液状アクリル樹脂、アクトフローUT−1001、数平均分子量3,500、粘度8,000mPa・s、不揮発分100%、水酸基含有(官能基価58mgKOH/g)
・樹脂(A28):旭硝子ケミカル社製液状ポリエーテルポリオール樹脂、エクセノール720、数平均分子量700、粘度100mPa・s、不揮発分100%、水酸基含有(官能基価160mgKOH/g)
・樹脂(A29):DIC社製液状エポキシ樹脂、EPICRON EXA−4850−150、数平均分子量900、粘度15,000mPa・s、不揮発分100%、エポキシ基含有(官能基価125mgKOH/g)
・樹脂(A30):DIC社製液状ポリエステル、ポリサイザー W−2310、数平均分子量2,300、粘度:3,500mPa・s、不揮発分100%、水酸基、カルボキシル基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれるいずれの官能基ももたない。
・樹脂(A31):クラレ社製 脂肪族液状ポリエステルポリオール、クラレポリオール P4010。アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの反応生成物。数平均分子量:4,000、粘度:5,000mPa・s、不揮発分100%、官能基価:28mgKOH/g。
・硬化剤(B1):住化コベストロウレタン社製ヘキサメチレンジイソシアネート3量体、デスモジュール N3300、ブロック化されていないイソシアネート基含有(官能基価283mgKOH/g)、不揮発分100%
・硬化剤(B2):新日本理化社製脂環式酸無水物、リカシッドMH−700、酸無水物基含有(官能基価164mgKOH/g)、不揮発分100%
・硬化剤(B3):Baxeneden Chemicals社製ブロックイソシアネート溶液、Trixene BI7982、ブロック化されているイソシアネート基含有(官能基価195mgKOH/g)、不揮発分70%
・硬化剤(B4):Baxeneden Chemicals社製ブロックイソシアネート溶液、BL3475、ブロック化されているイソシアネート基含有(官能基価146mgKOH/g)、不揮発分75%
・硬化剤(B5):ADEKA社製ポリアミドアミン、アデカハードナーEH−4024W、アミノ基含有(官能基価200mgKOH/g)、不揮発分100%
・硬化剤(B6):昭和電工社製4官能チオール、カレンズMT PE1、チオール基含
有(官能基価412mgKOH/g)、不揮発分100%
・硬化剤(B7):三菱ガスケミカル社製多官能エポキシ化合物、TETRAD−X、エポキシ基含有(官能基価623mgKOH/g)、不揮発分100%
・硬化剤(B8):Baxeneden Chemicals社製ブロックイソシアネート溶液、BI7960、ブロック化されているイソシアネート基含有(官能基価195mgKOH/g)、不揮発分70%
・導電性カーボンフィラー(C1):ライオンスペシャリティケミカル社製、EC−600JD
・導電性カーボンフィラー(C2):ライオンスペシャリティケミカル社製、EC−300J
・導電性カーボンフィラー(C3):CABOT社製、VULCAN XC72
・導電性カーボンフィラー(C4):電気化学工業社製、デンカブラック粒状
・その他の成分(D1):2−オクチル−プロピオネート(以下、ORO−Pという)、不揮発分0%
・その他の成分(D2):荒川化学工業社製の粘着付与剤「エステルガムH」をORO−Pに溶解した溶液、不揮発分80%。
・その他の成分(D3):広栄化学社製イオン液体、IL-A2、不揮発分100%
・その他の成分(D4):1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、不揮発分100%
・その他の成分(D5):広栄化学社製反応性イオン液体、IL-OH2、水酸基含有(官能基価139mgKOH/g)、不揮発分100%
・その他の成分(D6):広栄化学社製反応性イオン液体、IL-OH9、水酸基含有(官能基価172mgKOH/g)、不揮発分100%
[実施例1]
<導電性粘着剤(E1)の作成>
樹脂(A1)100部と硬化剤(B1)28.8部、導電性カーボンフィラー(C1)9.0部を撹拌混合し、3本ロールミルで混練することで導電性粘着剤(E1)を作製した。
<導電性粘着剤(E2)〜(E57)の作成>
表2〜5に記載した材料および組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて導電性粘着剤(E2)〜(E57)を得た。
<導電性粘着剤(E58)の作成>
樹脂(A1)の代わりに樹脂(A25)を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて導電性粘着剤の作成を試みたが、得られた導電性粘着剤(E58)は流動性の無い粘土状半固形物であり、実用には適さないことが明らかであった。
<導電性粘着剤(E59)〜(E64)の作成>
表6に記載した材料および組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて導電性粘着剤(E59)〜(E64)を得た。
外径40mmの浅型金属容器にゼムクリップを1個入れ秤量した後(この際の質量を(a)とする)、導電性粘着剤(E1)〜(E57)、(E59)〜(E64)約300mgを入加えて再度秤量した(この際の質量を(b)とする)。メンタム缶全体に均一に導電性粘着剤を行き渡らせるため、ここに更に2−ブタノン約1gを加えて、前記ゼムクリップで均一に全体をなじませた後、熱風乾燥オーブン130℃1時間加熱後の質量を測定した(この際の質量を(c)とする)。下記計算式より導電性粘着剤(E1)〜(E64)の不揮発分(d)%を計算した。
(d)=((c)−(a))/((b)−(a))×100
ポリエステルフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4100、厚み75μm)基材上に、導電性粘着剤(E1)〜(E57)、(E59)〜(E64)をスクリーン印刷機(ミノスクリーン社製、ミノマットSR5575半自動スクリーン印刷機)によって7cm×10cmの長方形ベタ状に印刷した後、熱風乾燥オーブンで130℃で30分加熱することで導電性粘着剤(E1)〜(E57)、(E59)〜(E64)の硬化物(F1)〜(F57)、(F59)〜(F64)を得た。
得られた導電性粘着剤の硬化物に対し、日本工業規格(JIS)B7503に規定されたダイヤルゲージを用いて導電性粘着剤印刷部の膜厚(e)と非印刷部の膜厚(f)をそれぞれ測定し、下記計算式より導電性粘着剤の硬化物(F1)〜(F64)の膜厚(g)を計算した。
(g)=(e)−(f)
上記導電性粘着剤の硬化物(F1)〜(F57)、(F59)〜(F64)および測定した各硬化物膜厚の測定値(μm)を使用し、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP MCP−T610型抵抗率計、JIS−K7194準拠、4端子4探針法定電流印加方式)(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用いて、上記硬化物膜厚測定で得られた導電性粘着剤の硬化物(F1)〜(F57)、(F59)〜(F64)の体積固有抵抗(Ω・cm)を測定した。
◎:体積固有抵抗 1×101Ω・cm未満
○:体積固有抵抗 1×101Ω・cm以上、1×102未満
△:体積固有抵抗 1×102Ω・cm以上、1×104未満
×:体積固有抵抗 1×104Ω・cm以上
上記導電性粘着剤の硬化物(F1)〜(F57)、(F59)〜(F64)を裁断することで導電性粘着剤塗布部として2cm×10cmの短冊状とし、2kgローラーを用いてステンレス板にラミネートすることで測定サンプルを作成した。
これを引張試験機(島津製作所社製、小型卓上試験機 EzTest EZ−LX)を用い日本工業規格(JIS)Z0237:2009に規定された「粘着テープ・粘着シート試験方法」に基づいて、上記導電性粘着剤の硬化物(F1)〜(F57)、(F59)〜(F64)のステンレス板に対する180°引きはがし試験を行い、貼り合わせ時から1時間後の剥離接着力を測定した。
◎:剥離接着力 3N/cm以上
○:剥離接着力 1.5N/cm以上、3N/cm未満
△:剥離接着力 0.5N/cm以上、1.5N/cm未満
×:剥離接着力 0.5N/cm未満
ポリイミド銅張積層版(新日鐵住金化学社製 エスパネックス、ポリイミド厚み25μm、銅箔厚み18μm)のエッチングにより、図1(a1)、(a2)に示すデザインの、絶縁基材1の表面の一部に導電性回路2が配された第1の端子部材(G0)を得た。
次いで第1の端子部材(G0)上の一部(「イ」周辺部)に導電性粘着剤(E1)〜(E64)をスクリーン印刷機(ミノスクリーン社製、ミノマットSR5575半自動スクリーン印刷機)によって印刷した後、熱風乾燥オーブンで130℃で30分加熱した。
これにより、導電性粘着剤から形成された硬化物(F1)〜(F57)、(F59)〜(F64)である粘着端子5により前記導電性回路の一部が覆われている図1(a3)、(a4)に示すデザインの第1の粘着性端子部材(G1)〜(G57)、(G59)〜(G64)を得た。
粘着性コネクタ(H1)〜(H57)、(H59)〜(H64)の両端(ア、エ)間の抵抗値を小型デジタルテスター(ファントム社製ミニデジタルテスター)を用いて計測することで、粘着性コネクタの接続抵抗を評価した。
◎:粘着性コネクタの接続抵抗 50kΩ未満
○:粘着性コネクタの接続抵抗 50kΩ以上 200kΩ未満
△:粘着性コネクタの接続抵抗 200kΩ以上 500kΩ未満
×:粘着性コネクタの接続抵抗 500kΩ以上
前記(5)記載の粘着性コネクタ(H1)〜(H57)、(H59)〜(H64)について、粘着性端子5と導電性回路4とを貼り合せ、1時間経過した後、第2の端子部材を粘着性端子部材(G1)〜(G57)、(G59)〜(G64)から引き剥がし、両部材を前記(5)記載の方法と同様にして再度貼り合せ、粘着性コネクタ(H1)〜(H57)、(H59)〜(H64)の両端(ア、エ)間の抵抗値を同様に測り、同様の基準で評価した。
前記(5)記載の粘着性コネクタ(H1)〜(H57)について、前記(6)記載の方法を1時間おきに繰り返して抵抗値を測り、粘着性コネクタの接続抵抗が500kΩ以上になるまでの回数を再接続回数として評価した。
◎:再接続回数 10回以上
○:再接続回数 5回以上 10回未満
△:再接続回数 2回以上 5回未満
×:再接続回数 2回未満
また比較例3では、25℃において液状である樹脂を用いてはいるものの、ポリエステル構造を含まないため、実施例2と比較して体積固有抵抗および接続性が不良であった。
さらに比較例4および5では分子量が1,000未満であることから剥離接着力についても著しく劣っていた。比較例6においては、ポリエステル構造を含むため体積固有抵抗は良好であったが、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含まないため、実施例2と比較して顕著に剥離接着力および通接続性が不良であった。
さらに比較例7では液状である樹脂を用いてはいるが、比較例1と同様に不揮発分比率が低いため必要な導電性粘着剤膜厚を得ることができず、実施例2と比較して剥離接着力および導通接続性が不良となった。
また実施例1〜57の結果から、本発明の導電性粘着剤の印刷硬化物を粘着性端子として用いた場合、導電性回路間の電気的接続性に優れた粘着性コネクタが得られ、端子の着脱および再接続も可能であった。このことから、本発明の導電性粘着剤の印刷硬化物を用いた粘着性端子および粘着性コネクタは、電子回路の可逆的な導通接合を特別な装置を用いることなく常温で行うことができ、また設置個所の制限が少なく平坦性が高いため、従来プラグ型コネクタによる接続が必要であった電子機器の軽薄短小化および設計自由度の向上に極めて有用である。
2、4:第1、第2の導電性回路
5:粘着性端子
Claims (12)
- 樹脂(A)と、硬化剤(B)と導電性カーボンフィラー(C)とを含む導電性粘着樹脂組成物であって、下記条件(1)〜(6)を全て満たす導電性粘着剤。
(1)前記樹脂(A)は、主鎖にポリエステル構造を含む。
(2)前記樹脂(A)は、水酸基、カルボキシル基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する。
(3)前記樹脂(A)は、25℃において液状である。
(4)前記樹脂(A)は、数平均分子量1,000〜40,000である。
(5)前記硬化剤(B)は、前記樹脂(A)が有する前記官能基と反応し得る官能基を有する。
(6)導電性粘着剤は、130℃で1時間加熱した場合の不揮発分が75質量%以上100質量%以下である。 - R1が脂肪族系多価カルボン酸成分の残基である、請求項2記載の導電性粘着剤。
- R1が炭素数4〜10のアルキレン基である、請求項2または3記載の導電性粘着剤。
- R2が脂肪族系多価アルコール成分の残基である、請求項2〜4いずれか1項に記載の導電性粘着剤。
- R2が炭素数4〜10のアルキレン基である、請求項2〜5いずれか1項に記載の導電性粘着剤。
- R3が炭素数2〜5のアルキレン基である、請求項2〜6いずれか1項に記載の導電性粘着剤。
- 環状エステルの炭素数が5〜10である、請求項2記載の導電性粘着剤。
- 硬化剤(B)の有する官能基が、ブロック化されていないイソシアネート基、ブロック化されているイソシアネート基、エポキシ基、酸無水物基、アミノ基、およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8いずれか1項に記載の導電性粘着剤。
- 樹脂(A)の官能基に対する硬化剤(B)の官能基の比率「(B)/(A)」が0.5〜1.5である、請求項1〜9いずれか1項に記載の導電性粘着剤。
- 第1の粘着性端子部材と第2の端子部材とを具備する粘着性コネクタであって、下記条件(11)〜(17)の全てを満たす粘着性コネクタ。
(11)第1の粘着性端子部材は、第1の絶縁性基材と第1の導電性回路と粘着性端子とを具備する。
(12)前記第1の導電性回路は、前記第1の絶縁性基材の表面の一部に位置する。
(13)前記粘着性端子は、前記第1の導電性回路の表面の一部を覆うように位置する。
(14)前記粘着性端子は、請求項1〜10いずれか1項に記載の導電性粘着剤から形成される硬化物である。
(15)第2の端子部材は、第2の絶縁性基材と第2の導電性回路とを具備する。
(16)前記第2の導電性回路は、前記第2の絶縁性基材の表面の一部に位置する。
(17)前記第1の粘着性端子部材を構成する前記粘着性端子は、前記第2の端子部材を構成する前記第2の導電性回路の一部と剥離可能に接続されている。 - 下記条件(11)〜(14)の全てを満たす第1の粘着性端子部材。
(11)前記第1の粘着性端子部材は、第1絶縁性基材と第1導電性回路と粘着性端子とを具備する。
(12)前記第1導電性回路は、前記第1絶縁性基材の表面の一部に位置する。
(13)前記第1粘着性端子は、前記第1導電性回路の表面の一部に覆うように位置する。
(14)前記粘着性端子は、請求項1〜10いずれか1項に記載の導電性粘着剤から形成される硬化物である。
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