先ず、図1~図7を参照して、本発明に係る運搬車両の一例について説明する。本実施形態の運搬車両Tは、小型ブルドーザ等の建機K(被搬送物)搬送のための運搬車と、土砂等の積載物搬送のための運搬車即ちダンプカーとに兼用される。尚、本明細書の説明において、前後・左右方向はそれぞれ運搬車両Tの前後・左右方向をいう。
運搬車両Tは、金属製骨格フレーム枠よりなる車体Fと、車体F前部に配設されるキャビン1と、キャビン1より後方の車体F上に揺動枠2を介して搭載される荷台3とを備える。揺動枠2の構造と、これに機能的に関連する周辺備品の関係構造については、後で具体的に説明する。
荷台3は、上面開放の扁平箱状に形成されるものであって、矩形状に形成された底板部31と、底板部31の前縁及び左右側縁よりそれぞれ起立する前板部32及び左右側板部33,34と、荷台3の後端開口部を開閉可能な後扉35とを備える。底板部31の下面には、前後方向に延びて互いに平行する左右一対の下部枠31bが各々下向きに一体的に突設されており、各下部枠31bは、内向き(即ち車両の縦中心線L側)に開放した横断面コ字状に形成される。
また左右側板部33,34の下端部は、本実施形態では底板部31の左右両側縁部に前後軸線回りに軸支されており、その起立状態は、左右側板部33,34と前板部32間を着脱可能に結合するクランプ機構(図示せず)により保持される。上記クランプ機構による結合を随時解除すれば、例えば図4(A)に二点鎖線で示すように、左右側板部33,34をそれの下端の軸支部回りに下方揺動させて荷台3の左右側方を開放可能である。尚、左右側板部33,34は、それの下端部を底板部31に固着してもよい。
また後扉35は、これの左右上端部と下端部とが各々、左右側板部33,34にヒンジ連結される。そして、後扉35と左右側板部33,34間に設けた従来周知のヒンジ切換機構(図示せず)により、例えば下側のヒンジ連結部回りに後扉35の下端部を前後回動可能とした第1切換態様と、上側のヒンジ連結部回りに後扉35の上端部を前後回動可能とした第2切換態様とに随時に切換可能となっている。
上記第1切換態様は、運搬車両Tを例えば建機運搬車として使用する場合において、荷台3が後述する最後退傾動位置3R(例えば図11(C)を参照)にあるときに、地上の建機Kを荷台3上にスムーズに乗り込ませるための渡り板として後扉35を機能させる場合に選択される。一方、上記第2切換態様は、運搬車両Tをダンプカーとして使用する場合に選択され、その選択により、荷台3のダンプ上げ動作(図10参照)で開いた後扉35を通して荷台3後端から土砂等の積載物がスムーズに排出可能である。
揺動枠2は、揺動枠本体20と、揺動枠本体20上に固着されて前後方向に延びる左右一対の案内レール21と、揺動枠本体20の後部に固着されて後方に延出する左右一対のヒンジ枠22とを備える。揺動枠2は、それの後端部(即ちヒンジ枠22)が車体Fの後端部に第1枢軸P1を介して軸支され、これにより、揺動枠2(従って揺動枠2上の荷台3)は、第1枢軸P1回りに後下がりに傾斜した起立姿勢(図10実線を参照)と略水平な伏倒姿勢(図1実線,図10鎖線を参照)との間で起伏揺動可能である。
揺動枠本体20は、複数の金属製フレーム部材を縦横に梯子状に枠組みして、前後方向に長い概ね矩形状に構成されており、これの左右側縁部の下面が車体F(より具体的には車体F上に固設した着座枠Fc)上に接離可能に載置、支持される。また揺動枠本体20の左右側縁部の上面には、荷台3の下面(より具体的には前述の下部枠31b)の下端面が接離可能に載置、支持される。
また左右一対の案内レール21は、内向きに開放した横断面コ字状に形成されており、その案内レール21内に、荷台3の底面前部より下向きに張出す左右一対の支持ブラケット31aに回転自在に軸支した案内輪36が各々前後方向転動可能に係合される。案内レール21は、これの前端近傍から所定長さ後方上向きに傾斜した傾斜案内部21aと、傾斜案内部21aの後端から後方且つ水平に長く延びる水平案内部21bとを有する。
揺動枠2と車体Fとの間には、揺動枠2を荷台3と共に起伏揺動させる起伏装置Acが介設される。起伏装置Acは、揺動枠2の中間部と車体Fとに各一端が枢支連結され且つ他端相互が屈折可能に枢支連結された一対のリンク23a,23bよりなるリンク機構23と、一方のリンク23aと車体Fとの間に介装される起伏シリンダCcとを備える。そして、起伏シリンダCcが伸長すると揺動枠2が荷台3と共に起立揺動(即ちダンプ上げ動作)し、また同シリンダCcが収縮すると揺動枠2が荷台3と共に伏倒揺動(即ちダンプ下げ動作)する。
また揺動枠2の後部(実施形態では案内レール21の後端部)には、ガイド枠4の前部が第2枢軸線P2回りに上下揺動可能に連結される。ガイド枠4は、側面視L字状の左右の側枠部40sと、左右の側枠部40sの後端部(特に上下中間部)間を結合する後枠部40rとを有して平面視コ字状に形成される。ガイド枠4(より具体的には左,右側枠部40sの前後方向に延びる部分)には、前後に離間して並ぶ前,後案内輪41,42が各々回転自在に軸支され、それら前,後案内輪41,42は、荷台3の下部枠31bに前後方向転動可能に係合する。
また揺動枠2と荷台3間には、荷台3を揺動枠2に対し前後移動させるスライドシリンダCsが介装される。スライドシリンダCsのピストンロッド後端部は、荷台3の下面の後端部に第3枢軸線P3回りに回動可能に枢支連結され、またスライドシリンダCsのバレル中間部は、第2枢軸線P2回りに回動可能に枢支連結される。
而して、後述するように、スライドシリンダCs単独の伸縮作動で荷台3を、地上の建機Kが荷台3に乗り込み可能な所定の最後退傾動位置3R(図11(C)を参照)と、車体F上に伏倒状態にある揺動枠2上に荷台3が略水平に搭載される最前進搭載位置3F(図1実線、図10鎖線を参照)との間で駆動可能である。その場合、案内レール21は、ガイド枠4と協働して、荷台3の降ろし過程後半において荷台3が最後退傾動位置3Rに近づくにつれて傾動角を漸増させるように荷台3を後傾(図11を参照)させることができる。
またガイド枠4の後部には、荷台3が最後退傾動位置3Rにあるときに接地可能な張出状態と、張出状態よりも上方へ退避した格納状態との間で伸縮動作可能(即ち姿勢変更可能)なジャッキJが設けられる。尚、以下の説明において、ジャッキシリンダCjの動作を、ジャッキJの格納状態から張出状態への姿勢変更のための張出動作について伸長動作と呼び、また張出状態から格納状態への姿勢変更のための格納動作について収縮動作と呼ぶ場合がある。
このジャッキJは、ガイド枠4に固定されて上下方向に延びる横断面矩形パイプ状の固定枠61と、固定枠61内に上下摺動可能に嵌合、支持される左右一対の可動枠62と、各可動枠62の下端に回転自在に軸支された補助輪63と、可動枠62及びガイド枠4間に介装されて可動枠62を昇降駆動するジャッキシリンダCjと、ジャッキJが前記格納状態(即ち可動枠62が上昇限)にあることを検知可能なリミットスイッチ(例えば近接スイッチ)よりなる格納センサJ-LSとを備える。
格納センサJ-LSは、例えば固定枠61の上端部に固着した検出素子を含むセンサ本体73sと、センサ本体73sに対しジャッキJの収縮状態(即ち格納状態)で近接対向するドク片62dとを有しており、ドク片62dは、本実施形態では可動枠62の上端部で兼用される。
固定枠61は、左右一対有って、揺動枠2の左,右側枠部40s(より具体的には上下方向に長い台形板状をなす後端部)の内面にそれぞれ固着される。またジャッキシリンダCjは、シリンダバレルがガイド枠4の後枠部40rの左右中間部に固定され、またピストンロッドの下端が、左右の可動枠62の下端部相互を結合する横連結部材64に枢支連結される。
更に運搬車両Tは、荷台3が揺動枠2に対する前進限よりも後退した状態では揺動枠2の車体Fからの浮き上がりを阻止するよう揺動枠2及び車体F相互間を係合させるが、荷台3が前進限にあるときには荷台3に連動して前記係合を解除する浮き上がり防止機構50を備える。
この浮き上がり防止機構50は、本実施形態では、車体Fに固定の係止ピン54と、揺動枠本体20に上下中間部を前後揺動可能に軸支51pされて、車体F(具体的には係止ピン54)に対し係止可能なロック位置(図1鎖線及び図11の各実線を参照)と係止不能なロック解除位置(図1及び図10の各実線を参照)との間を移動可能なロック部材51と、ロック部材51を常にロック位置側(即ち図1で時計方向)に付勢する付勢手段としてのロックばね52と、荷台3に固設されていてロック部材51の上端部に係脱可能なロック解除部材53とを備える。ロック解除部材53は、荷台3が揺動枠2に対する前進限の直前位置から前進限まで前進するのに連動してロック部材51をロック解除位置に移動、保持するようにロック部材51に係合する。
而して、ロック部材51は、ロック解除部材53から離間、解放された状態ではロックばね52に付勢されてロック位置に保持されることで車体F(係止ピン54)に係止され、これにより、揺動枠2の車体Fからの浮き上がりが阻止可能となる。また荷台3が前進限に接近、到達するのに連動してロック部材51がロックばね52に抗してロック解除位置まで反時計方向に回動することにより、ロック部材51を介しての揺動枠2及び車体F相互間の係止状態が解除される。この係止解除により、後述する荷台3のダンプ上げ・下げ工程で揺動枠2が荷台3と共に起伏揺動する際に浮き上がり防止機構50が障害となる虞れはない。
また荷台3と揺動枠2との間には、荷台3が揺動枠2に対する前進限にある状態を検知可能なリミットスイッチ(例えば近接スイッチ)よりなる前進限センサS-LSが設けられる。この前進限センサS-LSは、例えば揺動枠2(即ち揺動枠本体20の側枠部)および荷台3(即ち下部枠31b)の何れか一方に固着した検出素子を含むセンサ本体71sと、その何れか他方に固着されたドク片71dとを有する。そして、ドク片71dは、荷台3が揺動枠2に対する前進限乃至その手前近傍にあるときにセンサ本体71sに近接対向し、これにより、センサ本体71sは検知(即ちオン)状態となる。
また、揺動枠2と車体Fとの間には、揺動枠2が車体F上に伏倒した伏倒姿勢にあるのを検知可能な着床センサF-LSが設けられる。この着床センサF-LSは、例えば車体F(着座枠Fc)及び揺動枠2(即ち揺動枠本体20の側枠部)の何れか一方に固着した検出素子を含むセンサ本体72sと、その何れか他方に固着されたドク片72dとを有する。そして、ドク片72dは、揺動枠2が車体F(着座枠Fc)上に伏倒した状態でセンサ本体72sに近接対向し、これにより、センサ本体72sは検知(即ちオン)状態となる。
キャビン1内の操作盤10には、作業員(例えば運転者)により随時操作可能な複数のスイッチが設けられ、これらスイッチには、電源スイッチP-SWと、動力取出スイッチPTO-SWと、オン操作されることで荷台3を揺動枠2と共に起立方向に揺動させるためのダンプ上げ操作用スイッチSW1と、オン操作されることで荷台3を揺動枠2と共に伏倒方向に揺動させるためのダンプ下げ操作用スイッチSW2と、オン操作されることで荷台3を最前進搭載位置3Fから最後退傾動位置3Rまで駆動(即ち降ろし工程を実行)するための降ろし操作用スイッチSW3と、オン操作されることで荷台3を最後退傾動位置3Rから最前進搭載位置3Fまで駆動(即ち積込工程を実行)するための積込操作用スイッチSW4とが少なくとも含まれる。
電源スイッチP-SWは、電子制御装置ECに対し随時、電源投入するためのものであり、また動力取出スイッチPTO-SWは、車載の動力取出装置(PTO)を随時、動力接続状態と動力遮断状態とに選択的に切替えるためのものであって、その動力接続状態では車載エンジンの出力が後述する油圧ポンプPOに伝達されることで、油圧ポンプPOが駆動される。
尚、本実施形態では、各操作用スイッチSW1~SW4を、操作者が押圧操作したときだけオン操作され、手を離すとオフ操作に自動復帰するモーメンタリスイッチで構成したものを示したが、オン操作とオフ操作を選択的に固定可能なオルタネイトスイッチで構成してもよい。また本実施形態では、ダンプ上げ・下げ、並びに荷台3の降ろし・積込の各操作を各々専用のスイッチSW1~SW4で別々に行うようにしたものを示したが、例えばダンプ上げ・下げ用操作スイッチSW1,SW2の機能を一纏めにした単一のトグルスイッチによりダンプ上げ(オン)・オフ・ダンプ下げ(オン)を切換え操作できるようにしてもよく、或いは降ろし・積込操作用スイッチSW3,4の機能を一纏めにした単一のトグルスイッチにより降ろし(オン)・オフ・積込(オン)を切換え操作できるようにしてもよい。
また、操作盤10には、作業員に工程実行中の異常を報知(即ちエラー表示)するためのエラー表示手段11(例えば表示ランプ群)が設けられる。エラー表示手段11の表示態様は、例えば始動初期のエラー状態と、工程途中のエラー状態を色の違いや点滅の違い等から容易に識別可能であることが望ましく、更に言えば、何れのセンサF-LS,S-LS,J-LSの故障に起因したエラー状態かを識別可能な表示態様であることが望ましい。
尚、エラー表示手段11による異常報知即ちエラー表示は、本実施形態では、後述するダンプ上げ・下げ・降ろし・積込の各工程のフローチャート(図12~図15)において、ステップS5,S10,S15,S26,S27,S29,S45,S56,S65,S81,S82で実行される。
更に操作盤10には、エラー表示手段11に代えて又は加えて、作業員に工程実行中の異常を報知したり或いは特定動作(例えばジャッキJの格納動作)に関して作業員に注意喚起するための警報音発生手段12(例えば警報ブザー、スピーカ等)が設けられる。警報音発生手段12からの警報音は、例えば異常の内容や程度を警報音の音色、音量等から容易に識別可能であることが望ましく、或いは単純な警報音に代えて又は加えて、エラー状態を説明するメッセージ音を発するようにしてもよい。
ところで図8には、起伏シリンダCc及びスライドシリンダCsに対する作動油圧の給排制御を行う油圧回路HCの一例が示される。そして、図9に示すように、油圧回路HCと、油圧回路HC中の各種制御弁V1~V5、並びに各種スイッチP-SW,PTO-SW,SW1~SW5,E-SW、及び各種センサF-LS,S-LS,J-LSに接続される電子制御装置ECとにより、本発明の油圧制御装置Cが構成される。
油圧回路HCは、油タンクTA内の油を吸引、圧送する油圧ポンプPOと、油圧ポンプPOの吐出側を起伏シリンダCcの伸長用油室100に導くダンプ上げ選択用の第1電磁部SOL1、及び同吐出側をジャッキシリンダCjの収縮用油室101に導くジャッキ縮選択用の第2電磁部SOL2を有する第1制御弁V1と、起伏シリンダCcの伸長用油室100を油タンクTAに導く戻り油路を導通させるダンプ下げ選択用の第3電磁部SOL3を有する常閉型の第2制御弁V2と、油圧ポンプPOの吐出側をジャッキシリンダCj及びスライドシリンダCsの各伸長用油室102,103に導くジャッキ伸・後スライド選択用の第4電磁部SOL4、並びにスライドシリンダCsの収縮用油室104に導く前スライド選択用の第5電磁部SOL5を有する第3制御弁V3とを備える。
第3制御弁V3とスライドシリンダCsの両油室103,104との間の油路には、スライドシリンダCsの収縮用油室104と油タンクTA間を通常は遮断し、且つジャッキシリンダCjが伸長限界となって作動油圧が所定値以上に上昇するのに応じて開弁することで、スライドシリンダCsの伸長動作を開始させるためのカウンタバランス弁Vcbが設けられる。即ち、そのカウンタバランス弁Vcbは、ジャッキシリンダCjが先に伸長して伸長限界に達してからスライドシリンダCsの伸長動作が始まるようにして、ジャッキJの収縮と荷台3の前方移動とをこの順序でシーケンス制御する。
電子制御装置ECは、各種操作用スイッチP-SW,SW1~SW4及び緊急モードスイッチE-SWへの操作入力と、各種センサF-LS,S-LS,J-LSの検知結果とに基づいて、予め設定、記憶された制御プログラムにより各制御弁V1~V3の電磁部SOL1~SOL5を制御して各シリンダCc,Cs,Cjに対する作動油圧の給排制御(従って各シリンダCc,Cs,Cjの作動制御)を行う。これにより、運搬車両Tは、ダンプ上げ・下げ工程、並びに荷台3の降ろし工程及び積込工程を実行可能である。
上記した油圧制御装置Cにより制御されるダンプ上げ・下げ工程、並びに荷台3の降ろし工程及び積込工程の基本的な動作を、次に順に説明する。尚、各工程は、電源スイッチP-SWをオン操作し且つ動力取出スイッチPTO-SWによりPTO接続状態とした状態で行われるが、この状態で各種操作用スイッチSW1~SW4が何れもオン操作されていなければ、各制御弁V1~V3の電磁部SOL1~SOL5は非励磁状態にあって、各工程は待機状態となる。
[ダンプ上げ工程の基本動作]
ダンプ上げ操作用スイッチSW1がオン操作されると、第1制御弁V1の第1電磁部SOL1が励磁されることで油圧ポンプPOの吐出側が起伏シリンダCcの伸長用油室100に連通する。これにより、起伏シリンダCcが伸長動作し、これに連動して揺動枠2(従って荷台3)が図10に示すように起立方向に揺動、即ちダンプ上げ動作するので、荷台3内の積載物が後端より自重で流下、排出される。
また、そのダンプ上げ途中でダンプ上げ操作用スイッチSW1がオフ操作される(即ち作業員が当該スイッチSW1より手を放す)と、第1制御弁V1は中立位置に戻るので、起伏シリンダCcが伸長停止して、揺動枠2(従って荷台3)がその時点の上げ位置に停止する。
[ダンプ下げ工程の基本動作]
上記したダンプ上げ状態で、ダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作されると、第2制御弁V2の電磁部SOL3が励磁されることで起伏シリンダCcの伸長用油室100が油タンクTAに連通する。これにより、荷台3の重量が作用する起伏シリンダCcが収縮動作して揺動枠2(従って荷台3)が伏倒方向に揺動、即ちダンプ下げ動作し、最終的には図1に示すように車体F上で水平な伏倒姿勢で停止する。
また、そのダンプ下げ途中でダンプ下げ操作用スイッチSW2がオフ操作される(即ち作業員が当該スイッチSW2より手を放す)と、第2制御弁V2は中立位置に戻って、起伏シリンダCcの伸長用油室100と油タンクTA間が遮断される。これにより、起伏シリンダCcの収縮動作が停止して、揺動枠2(従って荷台3)がその時点の下げ位置に停止する。
[降ろし工程の基本動作]
降ろし操作用スイッチSW3がオン操作されると、第3制御弁V3の第4電磁部SOL4が励磁されることで油圧ポンプPOの吐出側がスライドシリンダCc及びジャッキシリンダCjの各伸長用油室103,102に連通する。このとき、前述のカウンタバランス弁V4の作用で、ジャッキシリンダCjが先に伸長して伸長限界に達してからスライドシリンダCsの伸長が始まるようにシーケンス制御される。
この間、スライドシリンダCsが伸長するのに連動して、図11(A)~(B)に示すように荷台3が揺動枠2(案内レール21)及びガイド枠4に沿って後方移動するが、特に案内レール21の前部傾斜形態及びガイド枠4の後傾揺動に基づき荷台3の前部がやや持ち上がる。そして、荷台3の引き続く後方移動に伴い、荷台3前部の案内輪36が第2枢軸線P2に接近するにつれて荷台3の後下がり角度が段々と大きくなり、遂には、図11(C)に示す如く荷台3後端が接地した最後退傾動位置3RでスライドシリンダCsが伸長停止する。
この状態で荷台3の後扉35を図11(C)に示すように下ヒンジ連結部回りに後方揺動させて渡り板とし、建機K(被搬送物)を荷台3に乗り込み可能とする。
[積込工程の基本動作]
荷台3の降ろし状態で積込操作用スイッチSW4がオン操作されると、第3制御弁V3の第5電磁部SOL5が励磁されることで、油圧ポンプPOの吐出側がスライドシリンダCcの収縮用油室104に連通する。これによりスライドシリンダCsが収縮するのに連動して、荷台3が揺動枠2(案内レール21)及びガイド枠4に沿って前方移動するが、荷台3は、案内レール21及びガイド枠4の協働により徐々に水平姿勢に姿勢変化(即ち図11(C)→(B)→(A)→図1に示すように変化)する。そして、遂には荷台3が揺動枠2に対する前進限に達すると、最前進搭載位置3FでスライドシリンダCsが収縮停止する。
次いで第1制御弁V1の第2電磁部SOL2が励磁されることで、ジャッキシリンダCjの収縮用油室101に連通する。これにより、ジャッキシリンダCjが収縮動作し、その収縮限でジャッキJの格納動作が終了する。
次に上記した各工程の制御手順の一例を示す図12~図16のフローチャートを参照して、説明する。尚、各工程のフローチャートは、電源スイッチP-SWをオン操作して電子制御装置ECに通電し且つ動力取出スイッチPTO-SWで動力取出装置を動力接続状態とした状態で、電子制御装置ECに記憶の制御プログラムに基づいて実行される。
[ダンプ上げ工程の制御例]
図12において、ステップS1でダンプ上げ操作用スイッチSW1がオン操作されると、ステップS2に進んで、他の操作用スイッチSW2~4の何れかが操作中か判断され、操作中である場合には、ステップS3に進んで全てのシリンダCc,Cs,Cjが緊急停止する全停止状態となり、再び待機状態に戻る。ここで、緊急停止とは、全てのシリンダCc,Cs,Cjの伸縮を停止する状態をいい、本実施例では、全ての電磁部SOL1~SOL5を非励磁とすることによりポンプPoの吐出側がシリンダCc,Cs,Cjの何れの油室にも連通せず、従って全シリンダCc,Cs,Cjが伸縮しない状態を指す。尚、各油室からタンクTに油が排出されることを遮断することにより、全シリンダCc,Cs,Cjが伸縮しないようにしてもよい。
またステップS2で、他の操作用スイッチSW2~4が操作中でないと判断されると、ステップS4に進んで始動判定、即ち格納センサJ-LS及び前進限センサF-LSが何れもオン(即ちジャッキJが格納状態、荷台3が前進限)であるかを判断する。そして、何れもオンでなければステップS5に進んでエラー表示となり、ダンプ上げ工程は開始されず、待機状態となる。
またステップS4で両センサJ-LS,F-LSが何れもオンである場合は、ステップS6に進んで第1制御弁V1の第1電磁部SOL1の励磁させ、これにより、起伏シリンダCcは伸長用油圧を供給されるため、荷台3の起立方向の揺動即ちダンプ上げ動作が開始される。
次いでステップS7に進んで、ダンプ上げ動作中に両センサJ-LS,F-LSがオンであるかチェック(即ち両センサJ-LS,F-LSの何れか一方がオフであり、ジャッキが格納姿勢から突出しているか、荷台3が後方にズレているかをチェック)され、その何れもがオンのままであればステップS8に進んで、ダンプ上げ操作用スイッチSW1がオン操作されているか再度判断される。そして、ダンプ上げ操作用スイッチSW1がオン操作中であればステップS7に戻り、オン操作中でなくなると、ステップS9に進む。このステップS9では、ステップS6で励磁された第1電磁部SOL1が非励磁となることで起伏シリンダCcの伸長が停止し、ダンプ上げ動作が停止する。
またステップS7で両センサJ-LS,F-LSがオンでなくなると、ステップS10に進んで、エラー表示となり、更にステップS9に進んでダンプ上げ動作が停止し、これにより、ダンプ上げ工程は、待機状態となる。
[ダンプ下げ工程の制御例]
図13において、ステップS11でダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作されると、ステップS12に進んで、他の操作用スイッチSW1,3,4の何れかが操作中か判断され、操作中であれば、ステップS13に進んで全てのシリンダCc,Cs,Cjが緊急停止する全停止状態となり、再び待機状態に戻る。
またステップS12で他の操作用スイッチSW1,3,4が操作中でないと判断されると、ステップS14に進んで始動判定、即ち格納センサJ-LSがオン(即ちジャッキJが格納状態)であるかが判断される。そして、オンでなければステップS15に進んでエラー表示となり、ダンプ下げ工程は開始されず、待機状態となる。
またステップS14で格納センサJ-LSがオンである場合は、ステップS16に進んで、第3制御弁V3の第5電磁部SOL5の励磁によりスライドシリンダCsへ、荷台3を前進させるために作動油(即ち収縮用油圧)が供給開始され、これにより、スライドシリンダCsが収縮方向に(即ち荷台3が前進方向に)付勢される。次いでステップS17に進んで、格納センサJ-LSがオンであるかを判断して、オンであればステップS18に進む。そして、ステップS18では、前進限センサS-LSがオン(即ち荷台3が揺動枠2に対する前進限)であるか判断され、オンになければステップS28に進み、オンであればステップS19に進む。
このステップS19では、ステップS18で前進限センサF-LSがオンと判断されてからの時間が所定の予備前進時間T1(例えば0.5秒)を経過したか判断され、未経過であればステップS19に戻り、経過した場合にはステップS20を経てステップS21に進む。そして、ステップS20では、ステップS16で励磁された第5電磁部SOL5が非励磁となって、スライドシリンダCsへの収縮用油圧の供給が停止し、荷台3の揺動枠2に対する前方移動が停止される。
またステップS21では、第2制御弁V2の第3電磁部SOL3の励磁により、起伏シリンダCcの伸長用油室100が油タンクTAと連通することで荷台3の自重により起伏シリンダCcが収縮して、荷台3の伏倒方向揺動即ちダンプ下げ動作が開始される。
次いでステップS22に進んで、格納センサJ-LSがオンか判断され、オンであればステップS23に進む。このステップS23では、ダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作中か判断され、オン操作中であればステップS22に戻ってダンプ下げ動作が継続し、またオン操作中でなければステップS24に進む。このステップS24では、ステップS21で励磁された第3電磁部SOL3が非励磁となることで、起伏シリンダCcの伸長用油室100が油タンクTAと遮断され、ダンプ下げが終了する。尚、ダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作中でも荷台3が伏倒状態になるとダンプ下げは終了し、この場合は、油圧ポンプPOからの出力油圧は油タンクTA側にリリーフ即ち還流する。
また前記ステップS17で、格納センサJ-LSがオフ(異常)と判断された場合は、ステップS25を経てステップS26に進み、リターンとなる。即ち、ステップS25では、ステップS20と同様、スライドシリンダCsが収縮停止して荷台3の前方移動が停止し、またステップS26ではエラー表示となり、ダンプ下げ工程は待機状態となる。
またステップS22で、格納センサJ-LSがオフ(異常)と判断された場合は、ステップS27に進んでエラー表示となり、次いでステップS24に戻り、ダンプ下げ工程は待機状態となる。
また前記ステップS28では、ステップS16で第5電磁部SOL5が励磁(即ち荷台3が前方移動が開始)されてからの経過時間が十分長い(即ち前進限センサS-LSが故障と推測されるほど長い)所定の故障判定時間T2(例えば20秒)を経過したか判断され、経過していない場合はステップS17に戻る。またステップS28で、故障判定時間T2が経過したと判断された場合はステップS29に進んでエラー表示となり、次いでステップS20に進む。従って、前進限センサS-LSが故障でオフのままの場合でも、故障判定時間T2の経過を待って、ステップS20~24の処理をダンプ下げの終了まで支障なく実行して、ダンプ下げ工程を終えることが可能となる。
[降ろし工程の制御例]
図14において、ステップS41で降ろし操作用スイッチSW3がオン操作されると、ステップS42に進んで、他の操作用スイッチSW1,2,4の何れかが操作中か判断され、操作中であれば、ステップS43に進んで全てのシリンダCc,Cs,Cjが緊急停止する全停止状態となり、再び待機状態に戻る。
またステップS42で他の操作用スイッチSW1,2,4が操作中でないと判断されると、ステップS44に進んで始動判定、即ち着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が車体F上に着床状態)にあるかを判断し、オンでなければステップS45に進んでエラー表示となり、降ろし工程は開始されず、待機状態となる。
またステップS44で着床センサF-LSがオンであると判断された場合は、ステップS46に進んで、第2制御弁V2の第3電磁部SOL3の励磁により起伏シリンダCcの伸長用油室100が油タンクTAと連通状態となる。これにより、起伏シリンダCcは荷台3の自重で収縮方向に付勢されるため、降ろし工程中、荷台3は車体F上の伏倒姿勢に常時付勢、保持される。尚、この状態を、図14のステップS46では「ダンプ縮」と呼ぶ。
次いでステップS47に進んで、前進限センサS-LSがオン(即ち荷台3が揺動枠2に対する前進限)であるか判断され、オンであれば、ステップS48に進む。
このステップS48では、第3制御弁V3の第5電磁部SOL5の励磁によりスライドシリンダCsへ、荷台3を前進させるために作動油(即ち収縮用油圧)が供給開始され、これにより、この時点でもし荷台3が正規の前進限よりも僅かに後側にあれば(この場合でも前進限センサF-LSはオン、即ち検知範囲に多少の幅がある)、荷台3は正規の前進限まで前方移動する。次いでステップS49に進んで、ステップS48で第5電磁部SOL5が励磁されてから(即ち荷台3の前方移動開始から)の経過時間が所定の予備前進時間T3(例えば0.5秒)を経過したか判断され、経過と判断された場合はステップS50を経てステップS51に進む。そして、ステップS50では、第5電磁部SOL5が非励磁となって、スライドシリンダCsへの収縮用油圧の供給が停止し、荷台3の前方移動が停止される。
またステップS51では、第3制御弁V3の第4電磁部SOL4の励磁により油圧ポンプPOの吐出側がスライドシリンダCc及びジャッキシリンダCjの各伸長用油室103,102に連通する。この場合、カウンタバランス弁V4の作用で、ジャッキシリンダCjの伸長動作とスライドシリンダCsの伸長動作(即ち荷台3の後方移動)とが、この順序でシーケンス制御され、最終的にはスライドシリンダCsが伸長限界となるか荷台3が接地するかしてスライドシリンダCsが伸長停止し、このとき荷台3は最後退傾動位置3Rとなる。
上記シーケンス制御の間、ステップS52,53が実行される。即ち、ステップS52で着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が車体F上に着床状態)にあるかが判断され、オン(着床状態)であればステップS53に進んで、降ろしスイッチSW3がオン操作中か判断される。そして、降ろしスイッチSW3がオン操作中であればステップS52に戻り、オン操作中でなければステップS54に進んで、ステップS51で励磁された第4電磁部SOL4が非励磁となる。これにより、第3制御弁V3は中立位置に復帰するので、ジャッキシリンダCj及びスライドシリンダCsの伸長が停止する。
次いでステップS55に進んで、ステップS46で励磁された第2制御弁V2の第3電磁部SOL3が非励磁となるため、起伏シリンダCcの伸長用油室100が油タンクTAから遮断され、即ち「ダンプ縮」状態が解除される。
またステップS52で着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が着床状態)にないと判断された場合は、ステップS56に進んでエラー表示となり、リターンとなるので、降ろし工程(従って各シリンダCc,Cs,Cjの動作)は、待機状態となる。
[積込工程の制御例]
図15において、ステップS61で積込操作用スイッチSW4がオン操作されると、ステップS62に進んで、他の操作用スイッチSW1~3の何れかが操作中か判断され、操作中であれば、ステップS63に進んで全てのシリンダCc,Cs,Cjが緊急停止する全停止状態となり、再び待機状態に戻る。
またステップS62で他の操作用スイッチSW1~3が操作中でないと判断されると、ステップS64に進んで始動判定、即ち着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が車体F上に着床状態)にあるかを判断し、オンでなければステップS65に進んでエラー表示となり、積込工程は開始されず、待機状態となる。
またステップS64で着床センサF-LSがオンであると判断された場合は、ステップS66を経てステップS67に進む。そして、ステップS66では、第2制御弁V2の第3電磁部SOL3の励磁により起伏シリンダCcの伸長用油室100が油タンクTAと連通状態となり、これにより、起伏シリンダCcは荷台3の自重で収縮方向に付勢されるため、積込工程中、荷台3は車体F上の伏倒姿勢に常時付勢、保持される。尚、この状態を、図15のステップS66では前述のステップS46と同様「ダンプ縮」と呼ぶ。
またステップS67では、第3制御弁V3の第5電磁部SOL5の励磁によりスライドシリンダCsへ、荷台3を前進させるために作動油(即ち収縮用油圧)が供給開始され、これにより、荷台3は揺動枠2に対し前方移動する。次いでステップS68に進んで、着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が着床状態)にあるか判断され、オンであればステップS69に進む。このステップS69では、積込操作用スイッチSW4がオン操作中か判断され、オン操作中であれば、ステップS70へ進んで、前進限センサS-LSがオン(即ち荷台3が揺動枠2に対する前進限)であるか判断される。
そして、ステップS70で、前進限センサS-LSがオン(即ち荷台3が前進限)となると、ステップS71に進んで、前進限センサS-LSのオンからの経過時間が所定の延長前進時間T4(例えば1秒)を経過したか判断され、経過した場合はステップS72を経てステップS73に進む。そして、ステップS72では、ステップS67で励磁した第5電磁部SOL5が非励磁となって、スライドシリンダCsへ収縮用油圧の供給が停止し、荷台3の前方移動が前進限で停止される。
またステップS70で、前進限センサS-LSがオン(即ち荷台3が前進限)でないと判断された場合は、ステップS74に進んで、ステップS67で第5電磁部SOL5が励磁(即ち荷台3が前方移動が開始)されてからの経過時間が十分長い(即ち前進限センサS-LSが故障と推測されるほど長い)所定の故障判定時間T2(例えば20秒)を経過したか判断され、経過していない場合はステップS68に戻り、また経過したと判断された場合はステップS72に進む。これにより、前進限センサS-LSが故障でオフのままの場合でも、故障判定時間T2の経過を待って、以下に説明するステップS73~80の処理が可能となり、ジャッキJの格納終了まで支障なく実行して、積込工程を最後まで進めることが可能となる。
そして、ステップS73では、第1制御弁V1の第2電磁部SOL2の励磁によりジャッキシリンダCjに収縮用油圧が供給されてジャッキJが収縮動作すると共に、ブザー等の警報音発生手段12が警報音を発して作業員に注意を喚起する。次いでステップS75に進んで、着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が車体F上に着床状態)であるか判断され、オンであればステップS76に進む。
このステップS76では、ジャッキシリンダCjの収縮開始からの経過時間が所定の終了判定時間T5(例えば10秒)を経過したかが判断され、未経過の場合はステップS77に進む。このステップS77では、格納センサJ-LSがオン(即ちジャッキシリンダCjが収縮限界)になったか判断され、オンでなければステップS75に戻り、またオンとなればステップS78に進む。ステップS78では、格納センサJ-LSがオン(即ちジャッキシリンダCjが収縮限界)になってからの経過時間が所定の延長格納時間T6(例えば0.8秒)を経過したかが判断され、経過した場合はステップS79を経てステップS80に進む。
尚、終了判定時間T5は、延長格納時間T6よりも十分に長く設定され、またジャッキJの所要格納時間(例えば5秒)よりも長く設定される。また延長格納時間T6は、ジャッキJの所要格納時間よりも短く設定される。
そして、ステップS79では、ステップS73で励磁した第2電磁部SOL2が非励磁となってジャッキシリンダCjの収縮が停止すると共に、警報音発生手段12も警報停止する。またステップS80では、ステップS66で励磁された第2制御弁V2の第3電磁部SOL3が非励磁となるため、起伏シリンダCcの伸長用油室100が油タンクTAから遮断され、これにより「ダンプ縮」が解除される。
またステップS76で、ジャッキシリンダCjの収縮開始からの経過時間が所定の終了判定時間T5(例えば10秒)を経過したと判断された場合も、ステップS79に進んで、ジャッキシリンダCjの収縮と警報音発生手段12による警報とを停止させる。
また前記ステップS75で、着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が着床状態)でないと判断された場合は、ステップS81に進んでエラー表示となり、次いでステップS79に進むため、積込工程が待機状態となる。
また前記ステップS68で、着床センサF-LSがオン(即ち揺動枠2が着床状態)でないと判断された場合は、ステップS82に進んでエラー表示となり、次いでステップS83を経てステップS80に進む。そして、ステップS83では、ステップS67で励磁した第5電磁部SOL5が非励磁となって、スライドシリンダCsの収縮動作が停止するので、これまた積込工程が待機状態となる。なお、ステップS73~S80は積込操作用スイッチSW4がオフ操作されたとしても継続する。
以上、本実施形態のダンプ上げ・下げ工程、並びに降ろし工程及び積込工程の各制御例について説明したが、特に本実施形態によれば、次のような格別の作用効果が達成可能である。
例えば、本実施形態の図13に示すダンプ下げ工程では、荷台3の起立状態でダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作されると、伏倒方向に揺動する荷台3が車体F上に伏倒状態となる前(特に本実施形態ではステップS21によるダンプ下げ開始前)に、スライドシリンダCsへ、荷台3を前進させるために作動油が所定の予備前進時間T1の間、供給される(ステップS16~S20を参照)。これにより、例えば荷台3をダンプ上げ状態に長期間放置する等して荷台3が多少下降(即ち、スライドシリンダCsが油リーク等に因り多少収縮)した状況下で、ダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作された場合でも、荷台3のダンプ下げが完了する前にスライドシリンダCsを前進限まで前方移動させることができる。その結果、ダンプ下げ完了状態(即ち車両の走行姿勢)で荷台3が車体F上の正規の搭載位置3Fより後方に張出すのを効果的に防止できる。また荷台3の後方への張出しの有無を、運転席の作業員がその都度、降車して目視チェックする必要はなくなる。
また本実施形態では、荷台3が揺動枠2に対する前進限よりも後退した状態では揺動枠2の車体Fからの浮き上がりを阻止するよう揺動枠2及び車体F相互間を係合させ、且つ荷台3が前進限にあるときには荷台3に連動して前記係合を解除する浮き上がり防止機構50を備える。そのため、荷台3のダンプ上げ・下げ機能を損なうことなく、荷台3の降ろし・積込の作業途中での揺動枠2(従って荷台3)の浮き上がりが機械的に阻止され、荷崩れ防止にも有効である。また上記ステップS16~S20の処理によれば、荷台3のダンプ下げが完了する前にスライドシリンダCsを前進限まで前方移動(従って浮き上がり防止機構50を係合解除)させることができるため、ダンプ下げが完了したときに係合状態の浮き上がり防止機構50が荷台3と干渉して破損するのを未然に効果的に防止可能となる。
ところで荷台3を揺動枠2と共に車体F上の伏倒状態においた運搬車両Tの走行中、急加速に伴い荷台3に後方への大きな慣性力が働くと、収縮状態のスライドシリンダCsに対して伸長方向の大きな外力が作用する。そして、その外力を受けたスライドシリンダCs内部で油がピストンシール部等からリークすると、スライドシリンダCsが若干伸長して、荷台3が揺動枠2に対し正規の前進限より後方に僅かにずれ動いてしまう可能性があり、これに関係して浮き上がり防止機構50による揺動枠2と車体F相互の係合が不完全な状態となると、その状態で走行時の路面凹凸等に因る突き上げを受けて荷台3等が上下振動する等した際に浮き上がり防止機構50が係合不能状態で固まる虞れがある。そして、この状態のままでは、荷台3の降ろし・積込の作業途中での揺動枠2(従って荷台3)の浮き上がりを阻止できなくなる。
これに対し、本実施形態の図14に示す降ろし工程では、荷台3の伏倒状態で降ろし操作用スイッチSW3がオン操作されたときに前進限センサS-Lsが荷台3の前進限を検知しておれば、荷台3の後方移動を開始させる前にスライドシリンダCsへ、荷台3を前進させるために作動油が予備前進時間T3の間、供給される(ステップS47~S50参照)。そのため、降ろし操作用スイッチSW3がオン操作されたときに荷台3が揺動枠2に対し正規の前進限より後方に若干ずれ動いている場合でも、ステップS51で荷台3を後方移動させる前に荷台3を正規の前進限まで確実に前方移動させることができるため、浮き上がり防止機構50を一旦、係合解除状態に確実にリセット可能となる。これにより、その直後に荷台3を後方移動させるのに連動して、浮き上がり防止機構50を係合状態に確実に切替え可能となるため、荷台3の降ろし・積込の作業途中での揺動枠2(従って荷台3)の浮き上がりを確実に阻止することができる。
また仮に降ろし操作用スイッチSW3がオン操作されたときに前進限センサS-Lsが非検知状態にあれば、荷台3が正規の前進限より或る程度(即ち前進限センサS-Lsの検知範囲よりも)後側に在って浮き上がり防止機構50が揺動枠2を車体Fに係合させていると考えられる。ここで降ろし操作用スイッチSW3がオン操作されたときに前進限センサS-Lsが非検知状態となる場合とは、例えば降ろし工程の途中で一旦停止後に降ろし工程を再開する場合であり、このとき浮き上がり防止防止機構50は、一旦停止前の降ろし工程の始動時において上記ステップS47~S50により揺動枠2を車体Fに係合させている。従って、上記した前進限センサS-Lsが検知状態の場合のように荷台3を特別に前方移動させる必要はなくなり、この場合は、ステップS47からステップS51へショートカットされ、それだけ作業効率アップが図られる。
その上、本実施形態の降ろし工程では、荷台3の伏倒状態で降ろし操作用スイッチSW3がオン操作されたとき、ステップS51において、ジャッキJが格納状態から張出状態まで伸長した後で荷台3の後方移動が開始されるように、ジャッキシリンダCjの伸長とスライドシリンダCsの伸長とがこの順序でシーケンス制御される。これにより、車両の走行姿勢からの荷台3の降ろし過程で、先ず、ジャッキJの張出が完了してから荷台3の後方移動が開始されるため、前述の揺動枠2の浮き上がり防止効果と相俟って、作業の安全性が更に高められる。
更に本実施形態では、起伏シリンダCcに対する作動油圧の給排制御を行う油圧制御装置Cが、荷台3の降ろし過程(図14)及び積込過程(図15)で、起伏シリンダCcを収縮状態に維持し得るように給排制御(即ち、ステップS46~S55までの間、及びステップS66~S80までの間、「ダンプ縮」)を実行する。これにより、荷台3を降ろしたり或いは積み込んだりする過程で、荷台3の重心移動や振動等に因り荷台3から揺動枠2を介して起伏シリンダCcに対し伸長方向の大きな外力が作用した場合でも、起伏シリンダCcを収縮状態に維持可能となる。その結果、起伏シリンダCcが多少伸長して揺動枠2(従って荷台3)が車体F上面から浮き上がることで降ろし過程又は積込過程で荷台3(延いては積載物)の挙動や姿勢が不安定化するのを未然に効果的に防止可能となる。
しかも上記した降ろし過程及び積込過程では、浮き上がり防止機構50が、揺動枠2の車体Fからの浮き上がりを阻止するよう揺動枠2及び車体F相互間を係合させるため、荷台3の降ろし・積込の作業途中での揺動枠2(従って荷台3)の浮き上がりを機械的に阻止できる。これにより、荷台3(揺動枠2)の浮き上がり防止がより確実となり、例えば、降ろし・積込の作業途中で揺動枠2が急に持ち上がって荷台3が振動し積載物の荷崩れが起きる等の事態を効果的に防止可能である。
更に本実施形態では、荷台3を最後退傾動位置3Rから最前進搭載位置3Fまで駆動する積込過程(図15)において、ステップS70で荷台3が前進限にある状態を前進限センサS-Lsが検知した後、所定の延長前進時間T4が経過するまでは、荷台3を前進させるためのスライドシリンダCsへの作動油供給を念のため延長継続し、その延長前進時間T4の経過後に供給を停止する(ステップS71、S72を参照)。これにより、前進限センサS-LSの検知誤差の影響を受けることなく、積込工程の終了時点で荷台3をより確実に前進限に位置させることができるため、車両の走行時に荷台3後端が無用に張出すのを効果的に防止可能となる。しかも、高い検出精度の前進限センサは不要であるため、それだけコスト節減が図られる。
また上記したステップS70で荷台3が前進限にあることを前進限センサS-Lsが検知した後、延長前進時間T4が経過するまでに積込操作用スイッチSW4のオン操作が解除されても、延長前進時間T4が経過するまでは、荷台3を前進させるための作動油供給が継続される(ステップS70~S72参照)。これにより、荷台3を一層確実に前進限に位置させることができ、車両の走行時に荷台3後端が無用に張出すのを更に効果的に防止可能となる。
更にまた本実施形態では、図15に示す積込工程におけるジャッキJの収縮動作中、ジャッキJが格納状態になったことを格納センサJ-Lsが検知するのに応じてジャッキJの収縮動作を終了(ステップS73~S79参照)させるが、特にジャッキJが収縮動作を開始してから所定の終了判定時間T5が経過しても、ジャッキJが格納状態になったことを格納センサJ-Lsが未検知の場合(即ちステップS76でyes と判断)には、ステップS76からステップS79にショートカットして、ジャッキJの収縮動作を終了させる。これにより、格納センサJ-Lsが万一、不調又は故障の場合でも終了判定時間T5が経過すると、収縮動作が自動終了となるため、ジャッキJが格納状態となっているか否かを、運転席の作業員が一々降車して目視チェックする必要はなくなり、作業効率の向上が図られる。
その上、ステップS73でジャッキJの収縮動作中、ジャッキJが格納状態になったことを格納センサJ-Lsが検知すると、その検知から所定の延長格納時間T6が経過してから、ジャッキJの収縮動作を終了させる(ステップS77~S79参照)。これにより、格納センサJ-Lsが格納状態を検知した後も延長格納時間T6だけは収縮動作を念のため延長継続させることができるため、格納センサJ-Lsの検知誤差の影響を受けにくくなり、ジャッキJをより確実に格納状態に置くことができる。
更にまた本実施形態では、何れかの操作用スイッチSW1~SW4のオン操作中に、他の操作用スイッチがオン操作されると、全シリンダCc,Cs,Cjを全停止させる(例えばダンプ上げ工程ではステップS1~S3、ダンプ下げ工程ではステップS11~S13、降ろし工程ではステップS41~S43、積込工程ではステップS61~S63を参照)。これにより、少なくとも2個の操作用スイッチSW1~SW4の同時操作に起因して荷台3等に予期せぬ事態が起きるのを未然に効果的に防止することができる。
[緊急モード対応の制御例]
ところで本実施形態の油圧制御装置Cは、少なくとも一つの特定工程(本実施形態ではダンプ下げ工程及び積込工程)については工程途中でも工程を取り敢えず終らせるために、緊急モードスイッチE-SWに対する任意のオン操作に基づいて「緊急モード」に移行できるように構成されている。即ち、この緊急モードでは、前進限・着床・格納の各センサS-LS,F-LS,J-LSの検知結果を無視して、特定工程に係る操作用スイッチSW2,SW4への操作入力だけで特定工程を取り敢えず終了させられるような、各シリンダCc,Cs,Cjに対する作動油の給排制御が実行可能である。
緊急モードへの移行は、特定工程の操作用スイッチSW2,SW4ごとに予め設定された特定のセンサ(本実施形態ではダンプ下げ操作用スイッチSW2のオン操作時には格納センサJ-LS,積込操作用スイッチSW4のオン操作時には着床センサF-LS)の検知態様(本実施形態では各センサJ-LS,F-LSがオフ即ち故障状態)に基づいて判定される特定のエラー状態でのみ許可される。ここで、特定のセンサとは、工程の実行中において、仮に故障すると、荷台3等が危険な姿勢とならないよう各シリンダCc,Cs,Cjを制御することが困難になる可能性のあるセンサである。
そして、この緊急モードの制御対応は、前述のようなダンプ上げ・下げ・降ろし及び積込の各工程の制御とは並行して実行される。そして特に緊急モードに移行した場合は、各工程の制御よりも緊急モードの制御が優先される。次に、緊急モードに関する制御対応の一例を、図16を参照して説明する。
先ず、ステップS101において、各工程の始動時又は工程途中で待機状態となったか判断され、待機状態となった場合は、ステップS102に進む。ステップS102では、緊急モードスイッチE-SWがオン操作されたか判断され、オン操作された場合は、ステップS103に進む。
そのステップS103では、ダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作されたか判断され、オン操作された場合はステップS104に進んで格納センサJ-LSがオン(即ち検知状態)であるか判断される。そして、格納センサJ-LSがオンである場合は、ステップS105に進んで緊急モードへの移行が許可され、また格納センサJ-LSがオンでない場合はステップS106に進んで緊急モードへの移行が禁止される。
而して、ステップS105で緊急モードへの移行が許可された場合は、ダンプ下げ工程(図13)の実行中、格納センサJ-LS及び前進限センサS-LSの判断処理(即ちステップS14,S17,S18,S22)で全てオン状態と見做してダンプ下げ工程の制御処理を進行(例えばステップS14,S16~S24を順次実行)させるため、ダンプ下げ工程を最後まで進めることが可能である。
また、例えば格納センサJ-LSが正常(オン)であり且つ前進限センサS-LSが故障(オフ)となった場合には、ステップS106で緊急モードへの移行が禁止される。そして、この場合は、ダンプ下げ工程が図13の制御手順の通りに実行される。従って、例えばステップS18で前進限センサS-LSがオフのまま所定の故障判定時間T2が経過したとステップS28で判断された場合には、ステップS20~S24に移行することで、ダンプ下げ工程を最後まで進めることができる。
一方、ステップS103でダンプ下げ操作用スイッチSW2がオン操作されてないと判断された場合はステップS107に進んで積込操作用スイッチSW4がオン操作されたか判断され、オン操作された場合はステップS108に進み、オン操作されてない場合はリターンとなる。そして、ステップS108では、着床センサF-LSがオン(即ち検知状態)であるか判断され、オンである場合はステップS109に進んで緊急モードへの移行が許可され、また着床センサF-LSがオンでない場合はステップS110に進んで緊急モードへの移行が禁止される。
而して、ステップS109で緊急モードへの移行が許可された場合は、積込工程(図15)の実行中、各センサF-LS,S-LS,J-LSの判断処理(即ちステップS64,S70,S75,S77)で全てオン状態と見做して積込工程の制御処理を進行(例えばステップS64~S80を順次実行)させることで、積込工程を最後まで進めることが可能である。
また、例えば着床センサF-LSが正常(オン)であり且つ前進限センサS-LSが故障(オフ)となった場合には、ステップS110で緊急モードへの移行が禁止される。そして、この場合は、積込工程が図15の制御手順の通りに実行される。従って、例えばステップS70で前進限センサS-LSがオフになったまま所定の故障判定時間T2が経過したとステップS74で判断されると、ステップS72~S80に移行するため、積込工程を最後まで進めることができる。
かくして、特定の操作用スイッチSW2・SW4のオン操作により特定工程(ダンプ下げ工程・積込工程)を実行中において、特定のセンサ(格納センサJ-LS・着床センサF-LS)以外のセンサ(例えば前進限センサS-LS)が故障した場合には、残りの正常なセンサJ-LS,F-LSの検知結果からだけでも各シリンダCc,Cs,Cjを工程終了まで一応安全に制御可能であることから、たとえ緊急モードスイッチE-SWがオン操作されても緊急モードへの移行が禁止される。これにより、無用な緊急モード切替えに伴い作業者の操作ミスで好ましくない操作状況が生じる事態を、未然に効果的に防止することができる。即ち、全センサJ-LS,F-LS,S-LSの検知結果を無視する緊急モードへの移行は、必要最小限の機会に絞られるため、安全性の向上が図られる。
また本実施形態では、緊急モードスイッチE-SWがオン操作された場合に、特定の操作用スイッチ(即ちダンプ下げ操作用スイッチSW2及び積込操作用スイッチSW4)へのオン操作に基づく各シリンダCc,Cs,Cjに対する給排制御だけが許容されるため、緊急モードへの移行が許容される作業工程は、ダンプ下げ工程と積込工程だけとなる。これにより、その両工程における特定のセンサ(ダンプ下げ工程では格納センサJ-LS,積込工程では着床センサF-LS)の故障に因るエラー状態では、緊急モードに切替えることで、荷台等を安全な走行姿勢に復帰させることができて、取り敢えずの車両走行が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、運搬車両Tの搬送対象となる被搬送物として建機Kを例示したが、本発明でいう被搬送物は、建機Kに限定されず、荷台3と地上E間で乗降可能な種々の自力走行可能な車両(例えば乗用車、作業車等)が含まれ、また自力走行できない車両や種々の物品(例えば、種々の機械装置、コンテナ、組立家屋等)も含まれる。
また前記実施形態では、スライドシリンダCs単独の伸縮作動で荷台3を、地上の建機K(被搬送物)が荷台3に乗り込み可能な最後退傾動位置3Rと、車体F上に伏倒状態にある揺動枠2上に荷台3が略水平に搭載される最前進搭載位置3Fとの間で駆動可能とした所謂シングルアクション式の運搬車両に適用したものを示したが、本発明は、起伏シリンダCc及びスライドシリンダCsが協働して荷台3を最後退傾動位置3Rと最前進搭載位置3Fとの間で駆動可能とした所謂ダブルアクション式の運搬車両(例えば実開平6-18069号公報を参照)に適用してもよい。
また、前記実施形態では、起伏シリンダCcとして、出力油室(伸長用油室100)が単一である単動式油圧シリンダを用いたものを示したが、これに代えて、ピストンの前後に2個の出力油室を有する複動式油圧シリンダを用いてもよい。例えば、本実施形態のステップS46,S66で実行される「ダンプ縮」の動作は、実施形態では起伏シリンダCcの伸長用油室100を油タンクTA側に連通(即ち伸長用油室100から油タンクTAへ油還流)させることで実行されたが、起伏シリンダCcを複動式とした場合には、これの収縮用油室に油圧ポンプからの吐出油を供給することで実行される。
また前記実施形態では、ダンプ下げ工程において、前進限センサS-LSがオンとなってから所定の予備前進時間T1が経過(即ち荷台3の前方移動が完了)してから、ダンプ下げが開始されるようにした制御例(ステップS18~S21)を示したが、この制御例に代えて、予備前進時間T1の経過途中でもダンプ下げが開始され、荷台3が車体F上に伏倒状態となるダンプ下げ停止(ステップS24)までの間に予備前進時間T1が経過(即ち荷台3の前方移動が完了)するようにした別の制御例も実施可能である。或いはまた、それら制御例に代えて、ダンプ下げ開始後に荷台3の前方移動を開始して、予備前進時間T1の経過後に荷台3が車体F上に伏倒するようにしてもよく、この場合、前方移動を開始すべき荷台3又は揺動枠2の角度を検出するセンサを別途設け、当該角度から伏倒状態となるまでの下降時間内に予備前進時間T1が充分に経過(即ち荷台3の前方移動が完了)するように設定する。
また前記実施形態では、荷台3の後部は、揺動枠2に対し上下揺動可能に軸支したガイド枠4に前後移動可能に係合することにより支持されているが、ガイド枠4を省略してもよい。この場合、揺動枠2又は車体Fにローラを軸支し、当該ローラに荷台3の後部を上下揺動可能かつ前後移動可能に支持すればよい。
また前記実施形態では、ジャッキJをガイド枠4に設けたが、その設置部位はガイド枠4に限定されず、例えば車体FにジャッキJを設けるようにしてもよい。
また前記実施形態のジャッキJは、上下に伸縮することにより、接地可能な張出状態と張出状態よりも上方へ退避した格納状態との間で姿勢変更可能なものを例示したが、ジャッキJの構造は実施形態に限定されず、少なくとも接地可能な張出状態と張出状態よりも上方へ退避した格納状態との間で姿勢変更可能に構成されておればよい。例えば、上下に延びるアームを前後又は左右に揺動可能に軸支することにより、張出状態と格納状態との間で姿勢変更可能に構成されたものも実施可能である。
更に前記実施形態では、ジャッキJを張出状態と格納状態との間で姿勢変更可能としたものを示したが、ジャッキをガイド枠4に固定(従って姿勢変更不能に)してもよい。
また前記実施形態では、ジャッキJをアクチュエータ(ジャッキシリンダCj)で姿勢変更させるものを示したが、ジャッキを手動で姿勢変更可能に構成したものの実施も可能である。
また前記実施形態では、緊急モードへの移行は、特定工程の操作用スイッチSW2,SW4ごとに予め設定された特定のセンサ(本実施形態ではダンプ下げ操作用スイッチSW2のオン操作時には格納センサJ-LS,積込操作用スイッチSW4のオン操作時には着床センサF-LS)の検知態様(本実施形態では各センサJ-LS,F-LSがオフ即ち故障状態)に基づいて判定される特定のエラー状態でのみ許可されるものを例示した。しかし緊急モードへの移行条件は、実施形態の条件に加えて、他の移行条件でも設定可能である。例えば、ダンプ上げ工程や降ろし工程においても、ダンプ上げ操作用スイッチSW1や降ろし操作用スイッチSW3ごとに予め設定された特定のセンサ(ダンプ上げ操作用スイッチSW1のオン操作時には格納センサJ-LS又は前進限センサS-LS,また降ろし操作用スイッチSW3のオン操作時には着床センサF-LS)の検知態様(本実施形態では当該センサがオフ即ち故障状態)に基づいて判定される特定のエラー状態でのみ、緊急モードへの移行が許可されるように設定可能である。そして、移行した緊急モードで全ての工程を実行できるように設定可能である。
尚また、緊急モードスイッチE-SWがオン操作された場合の緊急モード対応のバリエーションとして、例えば各センサJ-LS,F-LS,S-LSを各々が自己診断機能を有するセンサとし、緊急モードへの移行は、全てのセンサJ-LS,F-LS,S-LSが故障したことが把握されたエラー状態のときにも許可するように設定してもよい。