次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
<第1実施形態>
<構成>
図1は、第1実施形態に係るダイヤル錠の正面図を示す。図2は、第1実施形態に係るダイヤル錠の背面図を示す。図3は、ハウジング、フロントパネルを外した、第1実施形態に係るダイヤル錠の正面側の斜視図を示す。図4は、ハウジング、フロントパネルを外した、第1実施形態に係るダイヤル錠の背面側の斜視図を示す。図5は、図3のダイヤル錠から更にミドルプレート及びツマミを外した、第1実施形態に係るダイヤル錠の正面側の斜視図を示す。図6は、図5のダイヤル錠から更にストッパーを外した、第1実施形態に係るダイヤル錠の背面側の斜視図を示す。以下の説明では、図1の矢印で示すように、ダイヤル4が露出している正面を「前」、背面を「後ろ」として説明する。また、各部品(パーツ)の説明では、部品が組み込まれた状態を前から見た場合を基準に説明する。
ダイヤル錠A(本発明の錠前装置の一例)は、ハウジング1、フロントパネル2、ツマミ3、ダイヤル4、スリーブ5、シリンダー6、ホイール7、スライドプレート8、ボート9、ホルダー10、ナンバーサーチプレート11、アーム12、ダイヤルスプリング13、コネクター14、コーム15、グルーブプレート16、ミドルプレート17、バー18、Lプレート19、ストッパー20、ドライブシャフト22、インジケーター23、番号検索キー24(図32を参照)、内筒交換キー25(図47を参照)を備える。
ハウジング1は、正面が開放され、左右方向に長い直方体の箱形形状であり、内部に各パーツを収容する。図7Aは、ハウジングの正面側の斜視図を示す。図7Bは、ハウジングとスライドプレート等との関係を示す正面図を示す。図8は、ハウジングとホイール等との関係を示す縦断面図を示す。図1、図2、図4、図7A、図7B、図8等に示すように、ハウジング1は、軸部1a、軸部1b、ボートストッパー1c、設定番号確定ボタン1d、スイッチ収容部1e、スプリング受け部1f、立ち上がり部1g、円柱1h、貫通孔1j、回転規制突起1kを有する。軸部1aは、アーム12を回動自在に支持する。軸部1aは、ハウジング1の背面の内側から立ち上げられ、ミドルプレート17の背面まで伸びる円柱で構成されている。軸部1bは、Lプレート19を回動自在に支持する。軸部1bは、ハウジング1の背面の内側から突出した円柱の突起で構成されている。ボートストッパー1c(図42を合わせて参照)は、設定番号確定ボタン1dと協働してシーソーのように動作し、ボート9をスライドさせた位置(番号設定時)で保持する。ボートストッパー1cは、右方向に伸びる、先端が自由端の棒によって構成されている。設定番号確定ボタン1dは、基部がボートストッパー1cの基部と連なり、ボートストッパー1cと協働してシーソーのように動作し、ボートストッパー1cの保持を解除して設定番号を確定させる。設定番号確定ボタン1dは、左方向(ボートストッパー1cと反対の方向)に伸びる、先端が自由端の棒によって構成されている。スイッチ収容部1e(図42を合わせて参照)は、内部に番号設定スイッチ91及びボートスプリング95を収容する。スイッチ収容部1e(図42を合わせて参照)は、ハウジング1の背面の外側に突出した内部に空間を有する凸部で構成されている。凸部からなるスイッチ収容部1eの左側は、番号設定スイッチ91がスライドできるよう開口している。スプリング受け部1fは、ナンバーサーチプレートスプリング114を収容し、支持する。スプリング受け部1fは、ハウジング1の背面の内側に形成された、左右方向(横方向)に伸びる半円状の凹部と左側の端部から内側に僅かに立ち上がる壁で構成されている。立ち上がり部1gは、ボート9と接続され、ボート9を支持する。立ち上がり部1gは、ハウジング1の背面の内側から、左右方向に等間隔で4か所立ち上げられた突起で構成され、夫々の突起の先端が階段状に形成されている。円柱1hは、フロントパネル2を固定する。円柱1hは、背面の内側から3か所立ち上げられた円柱状の突起で構成され、突起の内部に前後方向に伸びる、フロントパネル2を固定するネジ孔を有する。貫通孔1jは、ハウジング1の背面外側にあるストッパー20が固定されるドライブシャフト22が貫通する。貫通孔1jは、円形の貫通孔からなる。回転規制突起1kは、スリーブ5の背面側の端部に形成された切り欠きからなる規制突起受け部56と接して、スリーブ5の回転を規制する(図36Aを参照)回転規制突起1kは、背面の内側から立ち上げられた突起で構成されている。
フロントパネル2は、ハウジング1と接続され、ハウジング1の開放部分、換言すると、ダイヤル錠Aの正面を覆う。ここで、図9を加えて更に説明する。図9は、フロントパネルの背面側の斜視図を示す。図2、図9等に示すように、フロントパネル2は、開閉表示窓2a、ダイヤルシャフト固定壁2b、円凹部2d、円柱2e、インジケーター凹部2f、ダイヤル表示窓2g、ツマミの開口部2hを有する。開閉表示窓2aは、インジケーター23の扇部232(図3、図5を参照)に印刷された2色をダイヤル錠Aの解錠状態、施錠状態に応じて表示する。開閉表示窓2aは、ツマミ3の上方近傍に形成された円形の貫通孔で構成されている。ダイヤル表示窓2gは、ダイヤル4を表示する。ダイヤル表示窓2gは、上下方向(縦方向)に長い長方形の開口で構成され、ダイヤル4の数に応じて4か所形成されている。ダイヤルシャフト固定壁2bは、ダイヤルシャフト212を保持、固定する。ダイヤルシャフト固定壁2bは、ダイヤル表示窓2gの両側に形成されており、合計5か所形成されている。ダイヤルシャフト固定壁2bは、フロントパネル2の内側から立ち上げられた壁で構成されている。ダイヤルシャフト固定壁2bの先端には、ダイヤルシャフト212を保持、固定する、U字形状の凹部からなるU字形状2cが形成されている。円凹部2dは、ミドルプレート17の円凸部173と接続される。円凹部2dは、フロントパネル2の背面に形成された円形の凹部で構成され、ダイヤル表示窓2gの上部近傍、及び下部近傍に合計8か所形成されている。円柱2eは、ハウジング1と接続される。円柱2eは、フロントパネル2の背面から立ち上げられ、ハウジング1の円柱1hの端面まで伸びる円柱で構成されている。円柱2eは、ハウジング1の円柱1hに対応する位置に3か所形成され、内部にハウジング1の円柱1hに形成されたネジ穴と挿通するネジ穴が形成されている。インジケーター凹部2fは、インジケーター23の余剰な回転を抑制する。インジケーター凹部2fは、フロントパネル2の背面に形成された扇状の凹部で構成されている。インジケーター凹部2fの中心には、インジケーター23を表示する開閉表示窓2aが形成されている。ツマミの開口部2hは、ツマミ3が挿通する。ツマミの開口部2hは、円形の貫通孔で構成されている。
ツマミ3は、本発明の操作部に相当し、施錠位置と解錠位置との間を回動し、受具と係合するストッパー20を操作する。ツマミ3は、円盤状の本体部と円盤状の本体部から正面側に突出した突状部で構成されている。ツマミ3の突状部には、番号検索キー24、又は内筒交換キー25を挿入するキー挿入孔31が形成されている。ツマミ3は、シリンダー6に着脱自在に嵌め込まれている。
スリーブ5は、シリンダー6が着脱可能に挿入されている。スリーブ5とシリンダー6は、番号検索キー24、又は内筒交換キー25がシリンダー6に挿入されない限りは共に回動する。スリーブ5及びシリンダー6については、後述する動作説明において詳述する。
ダイヤル4は、任意の解錠符号に設定自在であり、ツマミ3が施錠位置又は解錠位置に操作されると既定の復帰符号に復帰する。第1実施形態では、ダイヤル4が4つ設けられているが、ダイヤルの数は、1又は複数とすることができる。ここで、図10、図11を加えて更に説明する。図10は、第1実施形態に係るダイヤルの一方の側面側(左側)の斜視図を示す。図11は、第1実施形態に係るダイヤルの他方の側面側(右側)の斜視図を示す。ダイヤル4は、円盤状であり、外周面に0から9の数字が印刷された数字部41が形成されている。ダイヤル4は、中心に貫通孔44がありダイヤルシャフト212を挿通可能である。更に、一方の側面(左側の側面)に、本発明の凸部に相当する復帰部43が形成され、他方の側面(右側の側面)に、本発明の歯車に相当する歯車部42が形成されている。歯車部42と復帰部43は数字部41を隔てた両脇に位置する。復帰部43は、後述するコーム15の腕部154(本発明の復帰作動部に相当する。図19、図38を参照。)と当接して、ダイヤル4を復帰符号である「0(ゼロ)」に復帰させる。復帰部43は、ダイヤル4の左側の側面から突出し、側面視において基部が円形で先端に向かって細くなる形状を有する。換言すると、側面視では、復帰部43は、蓮の花弁や水滴のような形状であり、花弁の根元431(基部の根元)がダイヤル4の中心に近い位置にある偏った形状をしている。このような偏った形状は、復帰部43とコーム15の腕部154とが当接し、ダイヤル4を復帰符号である「0(ゼロ)」に最短距離で復帰させるための形状である。また、復帰部43の外周面のうち、花弁の根元431には、コーム15の腕部154が当接し、復帰符号に復帰させた状態を維持するための窪みが形成されている。なお、成型時、復帰部43の向きと数字部41の位置関係を調整することで既定の復帰符号を変更することができる。第1実施形態では、既定の復帰符号が「0(ゼロ)」に設定されている。ここで、コーム15の腕部154は、上から下に向けて伸びており、ダイヤル4を復帰符号である「0(ゼロ)」に復帰させる際、先端が復帰部43の周面と当接する。そこで、第1実施形態のダイヤル4は、花弁の根元431が上にある際、換言すると、復帰部43の先端が下向きの際、コーム15の腕部154が花弁の根元431の窪みに収まって、復帰符号である「0」を正面に表示するように構成されている。歯車部42は、ホイール7の歯車部71と係合する。歯車部42は、ダイヤル4の右側の側面から突出し、外周面に凹凸が形成され、側面視において歯車形状である。
ホイール7は、ダイヤル4と係合した際、ダイヤル4と共に回転する。ホイール7とダイヤル4との係合は、後述するボート9等により解除可能である。第1実施形態では、ホイール7が4つ設けられているが、ホイール7の数は、ダイヤル4と同じく、1又は複数とすることができる。ここで、図12、図13を加えて更に説明する。図12は、第1実施形態に係るホイールの一方の側面側(左側)の斜視図を示す。図13は、第1実施形態に係るホイールの他方の側面側(右側)の斜視図を示す。ホイール7もダイヤル4と同様に円盤状であり、外周面にダイヤル4の歯車部42と係合する歯車部71が形成されている。ホイール7の外周面の一部、換言すると歯車部71の谷の一つは、略コの字の切欠き部76が形成されている。この略コの字の切欠き部76は、ハウジング1の立ち上がり部1gが、ボート9がスライドした際に嵌まり込む。ホイール7の一方の側面(左側)の中心には、ホイール7の一方の側面から突出する円柱部74が形成されている。円柱部74には、ホイールシャフト211が挿通するシャフト貫通孔75が形成されている。また、一方の側面には、矩形状の貫通孔からなる角穴貫通孔73が形成されている。角穴貫通孔73には、ナンバーサーチプレート11の角柱111の先端112が嵌まり込む。また、他方の側面(右側の側面)の外周面近傍には、V字状のV字溝部72が形成されている。V字溝部72は、ダイヤル4の解錠符号、例えば「1234」が表示されると所定の位置にくるよう、ダイヤル4の歯車部42とホイール7の歯車部71が係合している。ホイール7のV字溝部72には、V字溝部72が所定の位置に移動した際、スライドプレート8から等間隔で立ち上がる突出壁81の先端V字凸部811が嵌まり込む。
スライドプレート8は、本発明の駆動部、特にスライド部の一部を構成し、ホイール7と当接してツマミ3の回動の規制等を行う。ここで、図14を加えて更に説明する。図14は、第1実施形態に係るスライドプレートの斜視図を示す。スライドプレート8は、長方形のプレート部材からなり、突出壁81、第一スプリング受け部82、アーム押し込み部83、突出片84を有する。突出壁81は、スライドプレート8の一方の長辺側(背面側)にホイール7の間隔に対応して4か所立ち上げられている。突出壁81の先端には、突出壁81と直角をなすV字状の先端V字凸部811が形成されており、この先端V字凸部811がホイール7のV字溝部72が所定の位置に揃った際に、ホイール7のV字溝部72に嵌まり込む。第一スプリング受け部82は、スライドプレート8の一方の長辺側(背面側)の隅に形成されている。第一スプリング受け部82は、長辺から後方に突出しており、スライドプレート8を付勢するスライドプレートスプリング822に通される、右側に突出した円柱突起を有する。アーム押し込み部83は、第一スプリング受け部82の反対側(左側)の短辺から突出し、アーム12と当接する。アーム押し込み部83には、アーム押し込み部83から左に向けて伸びる円柱状831が形成され、その先端には、円柱状831の径よりも大きく形成された第二スプリング受け部832が形成されている。突出片84は、Lプレート19と当接する。突出片84は、スライドプレート8の一方の長辺(背面側の長辺)のうち、アーム押し込み部83側の突出壁81の近傍から突出するように形成されている。
ボート9は、本発明の駆動部、特に符号設定部の一部を構成し、ホイール7を支持するとともに、自身がスライドしてダイヤル4とホイール7との係合を解除する。ここで、図15を加えて更に説明する。図15は、第1実施形態に係るボートの斜視図を示す。図4、図6、図15、図42等に示すように、ボート9は、番号設定スイッチ91、ホイール固定部92、第1角凹部93、第2角凹部94、ボートスプリング95を有する。番号設定スイッチ91は、解錠符号を設定する際の操作スイッチであり、左右方向に長い長方形のプレートからなる本体部の一端部(左側の端部)からプレート面と直角に背面側に突出した角柱で構成されている。ホイール固定部92は、ホイールシャフト211を介してホイール7を支持する。ホイール固定部92は、番号設定スイッチ91とは反対の面(正面)から立ち上げられた側面視三角形の片からなる。ホイール固定部92は、ホイール7に対応して、4つ等間隔で設けられ、夫々の先端にホイールシャフト211が挿通される貫通孔92aが形成されている。第1角凹部93と第2角凹部94は、ハウジング1のボートストッパー1cの先端が入り込むことで、スライドしたボート9を保持する。第1角凹部93と第2角凹部94は、番号設定スイッチ91と同じ側の面(背面側の面)かつ反対側(右側)に並んで形成されている。第1角凹部93の第2角凹部94側の壁には、傾斜した傾斜辺931が形成されている。第2角凹部94の第1角凹部93の壁には、垂直壁からなる壁面941が形成されている。ボートスプリング95(図42を参照)は、ハウジング1の背面の外側に突出し、内部に空間を有する凸部からなるスイッチ収容部1eに収容され、ボート9を左方向へ付勢する。
ホルダー10は、本発明の駆動部の一部を構成し、コーム15、バー18を収容するとともに、これらを保持する。また、ホルダー10は、グルーブプレート16がスリーブ5の回動に合わせスライドする際のガイド等を行う。ここで、図16を加えて更に説明する。図16は、第1実施形態に係るホルダーの斜視図を示す。ホルダー10は、ハウジング1にネジで固定され、コーム収容溝101、バー収容溝102、グルーブガイド103、腕部104を備える。コーム収容溝101は、正面に向かって櫛状に伸びる複数の腕部104の間に形成された空間からなり、コーム15の腕部154を収容する。バー収容溝102は、左右方向に伸びる直線状の窪みからなり、バー18を収容する。グルーブガイド103は、左右方向に伸びる垂直壁からなり、グルーブプレート16と当接してグルーブプレート16がスリーブ5の回動に合わせスライドする際のガイドとして機能する。櫛状に伸びる複数の腕部104の先端には、ミドルプレート17の凹角部171と係合する先端凸角部104aが形成されている。
ナンバーサーチプレート11は、本発明の駆動部の一部を構成し、番号検索の際に他の部品と協働して番号検索を行う。ここで、図17を加えて更に説明する。図17は、第1実施形態に係るナンバーサーチプレートの斜視図を示す。ナンバーサーチプレート11は、基部110、角柱111、先端112、枝部115、検索作動部113を有する。角柱111は、左右方向に伸びる細長いプレートからなる基部110の一方の面(正面側の面)から立ち上がり、正面に向けて伸びる角柱からなる。先端112は、角柱111の先端から左(ツマミ3側)に突出した突出部からなる。この先端112が、番号検索の際、ホイール7の角穴貫通孔73に入り込み係合する。枝部115は、基部110の下部から下方に向けて伸び、折れ曲がり、最終的に左(ツマミ3側)に伸びている。検索作動部113は、枝部115の先端に上方に向けて突出する突出部からなる。検索作動部113は、番号検索の際、ドライブシャフト22から伸びる検索アーム224と当接する。
アーム12は、本発明の駆動部、特に規制部の一部を構成し、スライドプレート8と連動して回動してスリーブ5の回転を規制する。ここで、図18A、図18Bを加えて更に説明する。図18Aは、第1実施形態に係るアームの斜視図(右側)を示す。図18Bは、第1実施形態に係るアームの斜視図(左側)を示す。アーム12は、本体部121、長穴部122、腕部124を有する。本体部121は、前後方向に伸びる円筒で構成され、ハウジング1から突出した軸部1aが挿通する。長穴部122は、本体部121の下部から下方に向けて突出した突出部からなる。長穴部122は、右側から見ると、上下方向に長い長円の貫通孔である(図18Aを参照)。また、長穴部122は、左側から見ると、下部にスライドプレート8の第二スプリング受け部832が引っかかる段差123(図18Bを参照)が形成されている。また、長穴部122は、左側から見ると、下部が外側に膨らんでおり、全体としてだるま形状となっている。長穴部122は、スライドプレート8の円柱状831が挿通されるとともに、アーム押し込み部83と当接する。腕部124は、長穴部122の反対側、すなわち本体部121の上部から上方に向けて伸び、スリーブ5の外周面に合わせて湾曲している。
ダイヤルスプリング13は、本発明の駆動部、特に抵抗作動部の一部を構成し、ダイヤル4の歯車部42と当接してダイヤル4を回転させた際の感触(クリック感)を発生させる。ここで、図19を加えて更に説明する。図19は、第1実施形態に係るダイヤルスプリングの斜視図を示す。ダイヤルスプリング13は、凸部131、本体部132、腕部133、爪部134を有する。ダイヤルスプリング13は、側面視逆S字状である。凸部131は、前後方向に伸びる本体部132の一端側(背面側)に形成され、バー18のダイヤルスプリング制御凹部183に収容される。本体部132は、凸部131に連なり、上方が開放したC字形状を有し、コーム15の軸部151が挿通される。腕部133は、本体部132と連なり僅かに湾曲している。爪部134は、腕部133の正面側の端部から垂下し、通常、ダイヤル4の歯車部42の谷部42aに嵌まっている。
コネクター14は、本発明の駆動部の一部を構成し、スリーブ5の回動と連動して、グルーブプレート16をスライドさせる。ここで、図20を加えて更に説明する。図20は、第1実施形態に係るコネクター斜視図を示す。図20は、コネクター14を背面側から見た斜視図である。コネクター14は、本体穴部141、C字形状部142、コネクターアーム143を有する。本体穴部141は、左右方向に伸びるコネクターアーム143の左側の端部に設けられた貫通孔からなり、スリーブ5の連結凸部52と接続される。C字形状部142は、コネクターアーム143の右側の端部に設けられ、下方が開放するC字形状を有する。C字形状部142は、グルーブプレート16のグルーブコネクト161と接続される。
コーム15は、本発明の駆動部、特に復帰作動部の一部を構成し、グルーブプレート16のスライドに連動して回動し、腕部154がダイヤル4の一方の側面に沿って回動し、ダイヤル4の復帰部43と当接してダイヤル4を復帰符号に復帰させる。ここで、図21を加えて更に説明する。図21は、第1実施形態に係るコームの斜視図を示す。コーム15は、軸部151、本体部152、ランナー153、腕部154を有する。軸部151は、左右方向に伸びるシャフトであり、ダイヤルスプリング13のC字形状の本体部132に軸支される。本体部152は、軸部151よりも径が大きい円柱からなり、各腕部154の両側に形成されている。ランナー153は、本体部152から背面側斜め上方に向けて突出した突出部からなり、先端が側面視円形に形成されている。ランナー153は、グルーブプレート16の波レール165に係合される。腕部154は、本体部152から正面側斜め上方に向けて伸びており、更に、先端が正面側の斜め上方を臨むように傾斜している。腕部154は、ダイヤル4を復帰符号に復帰する際、ダイヤル4の復帰部43に当接する。
グルーブプレート16は、本発明の駆動部、特にスライド部の一部を構成し、施錠時又は解錠時にスライドする。ここで、図22、23、24を加えて更に説明する。図22は、第1実施形態に係るグルーブプレートの上方側の斜視図を示す。図23は、第1実施形態に係るグルーブプレートの下方側の斜視図を示す。図24は、第1実施形態に係るグルーブプレートの下面図を示す。グルーブプレート16は、グルーブコネクト161、突出部162、第1リフト部163、第2リフト部164、波レール165を有する。グルーブプレート16は、左右方向に伸びる平面視長方形のプレートからなる。グルーブコネクト161は、ツマミ3側の端部(左側の端部)に形成された前後方向に伸びる円柱からなり、コネクター14のC字形状部142に嵌合される。突出部162は、背面側の長辺の中央よりもややグルーブコネクト161側から背面側(後方)に突出する突出部で構成されている。突出部162は、上方が開放されたC字形状(背面視)であり、かつ扁平である。突出部162は、グルーブプレート16のスライドに伴い、Lプレート19に当接する。第1リフト部163と第2リフト部164は、左右方向に伸びる溝状のレールで構成されている。第1リフト部163には、バー18の第1昇降ガイド181が係合され、第2リフト部164には、バー18の第2昇降ガイド182が係合される。第1リフト部163は、グルーブプレート16のスライドに応じてバー18を昇降できるよう、中央の低い部分(163b)と両側の高い部分(163a、163c)で形成され、中央の低い部分と両側の高い部分は斜面で連なっている。第2リフト部164も第1リフト部163と同様の構成であり、グルーブプレート16のスライドに応じてバー18を昇降できるよう、中央の低い部分(164b)が両側の高い部分(164a、164c)よりも低く形成され、中央の高い部分と両側の低い部分は斜面で連なっている。波レール165は、グルーブプレート16の下面に形成された波状のレールで構成されている。波レール165は、背面側に位置し、ホイールから最も遠くなる山の部分(165a、165c)と、正面側に位置し、ホイールに最も近くなる谷の部分(165b)が交互に配置されている。波レール165には、コーム15のランナー153が係合する。
ミドルプレート17は、フロントパネル2の内側に設けられ、ダイヤル4の収容、スリーブ5の保持等を行う。ここで、図25を加えて更に説明する。図3、図25等に示すように、ミドルプレート17は、凹角部171、ダイヤル収容部172、円凸部173、長穴174、スリーブ収容部175を有する。凹角部171は、ミドルプレート17の背面側の上部に複数形成されている。凹角部171には、ホルダー10の腕部104の先端凸角部104aが嵌合される。ダイヤル収容部172は、ダイヤルシャフト212を挿通させたダイヤル4一式を収容する。ダイヤル収容部172は、ダイヤルシャフト212を収容するために背面側(後方)に窪んだ部分と、ダイヤル4を収容する上下方向に長い長方形の開口部とを含む。円凸部173は、ミドルプレート17の正面側から突出した円形の凸部からなり、ダイヤル収容部172の上部と下部に複数形成されている。円凸部173は、フロントパネル2の背面に形成された円凹部2dと接続される。長穴174は、ツマミ3の上部に形成された左右方向に伸びる直線状の貫通孔からなる。また、長穴174のダイヤル4側の近傍、かつ、長穴174の延長線上には、円形の貫通孔174aが形成されている。貫通孔174aには、インジケータースプリング235(図31を参照)の一端の折り返し部が挿通されて固定される。長穴174には、インジケータースプリング235の他端の折り返し部が移動自在に収容される。スリーブ収容部175は、筒状であり、スリーブ5を収容する。
バー18は、本発明の駆動部の一部を構成し、グルーブプレート16に組み込まれて、施錠時又は解錠時に昇降する。ここで、図26を加えて更に説明する。図26は、第1実施形態に係るバーの正面側の斜視図を示す。バー18は、左右方向に伸びる断面視四角形の棒状部材からなり、第1昇降ガイド181、第2昇降ガイド182、ダイヤルスプリング制御凹部183を有する。第1昇降ガイド181は、バー18のツマミ3側(左側)の端部の上面から上方に突出した突出部からなる。第2昇降ガイド182は、中央よりもややツマミ3と反対側(右側)のバー18の上面から上方に突出した突出部からなる。第1昇降ガイド181は、グルーブプレート16の第1リフト部163に収容される。第2昇降ガイド182は、グルーブプレート16の第2リフト部164に収容される。第1昇降ガイド181と第2昇降ガイド182は、側面視T字形状であり、第1リフト部163や第2リフト部164内を移動しやすいよう、下面が正面視半円状に形成されている。ダイヤルスプリング制御凹部183は、バー18の正面に形成された凹部で構成されている。ダイヤルスプリング制御凹部183は、4か所形成され、夫々にダイヤルスプリング13の凸部131が収容される。
Lプレート19は、本発明の駆動部の一部を構成し、グルーブプレート16とスライドプレート8の間に介在する。ここで、図27を加えて更に説明する。図27は、第1実施形態に係るLプレートの斜視図を示す。Lプレート19は、L字形状のプレートからなり、貫通孔191、長辺側先端部192、短辺側先端部193を有する。貫通孔191は、Lプレート19の角部に形成された円形の貫通孔からなり、ハウジング1から突出した軸部1bが挿通される。長辺側先端部192は、スライドプレート8の突出片84と当接する。短辺側先端部193は、グルーブプレート16の突出部162と当接する。
ストッパー20は、長方形のプレートからなり、ドライブシャフト22に固定され、ツマミ3と連動して回動し、相手側係合部26と係合する(図28、図45を参照)。
ドライブシャフト22は、シリンダー6と係合し、ツマミ3と連動して回動する。ここで、図28を加えて更に説明する。図28は、第1実施形態に係るドライブシャフトの正面側の斜視図を示す。ドライブシャフト22は、十字状の凹部221、軸部222、テーブル部223、検索アーム224を有する。十字状の凹部221は、正面側の端部に形成され、シリンダー6のキー挿通孔61とは反対側の端面(背面側の端面)に設けられた十字状の凸部62と係合する。軸部222は、ハウジング1の貫通孔1jを介して、ハウジング1を貫通する。軸部222には、ネジ山が形成され、ナットによりストッパー20が固定可能となっている。軸部222は、平面からなるテーブル部223の中央から背面側に伸びるように形成されている。テーブル部223は、ストッパー20を安定して保持できるよう平面部として形成されている。検索アーム224は、ドライブシャフト22の側方から突出しており、ある角度まで回転すると、ナンバーサーチプレート11の検索作動部113に当接する。
インジケーター23は、ダイヤル錠Aの解錠、施錠の状態を表示する。ここで、図29、図30A、図30B、図31を加えて更に説明する。図29は、第1実施形態に係るインジケーターの正面側の斜視図を示す。図30Aは、シリンダーとインジケーターの関係を示す正面図を示す。図30Bは、施錠状態と解錠状態における、フロントパネル、シリンダー、インジケーターの関係を示す正面図を示す。図31は、第1実施形態に係るインジケータースプリングの斜視図を示す。インジケーター23は、本体部231、扇部232、切欠き部233、インジケータースプリング235を有する。本体部231は、スリーブ5の外周53の径より僅かに大きな径のリング形状を有する。扇部232は、本体部231の上部に形成されたパネルによって形成され、ダイヤル錠Aの解錠、施錠の状態を判別させるための色が2色印刷されている。切欠き部233は、本体部231の内側下部が切り欠くように形成されている。換言すると、切欠き部233は、本体部231の外径よりも一回り大きく形成されている。切欠き部233の範囲は、図30の符号234の矢印で示す。インジケータースプリング235は、直線部と、直線部の両端に形成された折り返し部を有する。インジケータースプリング235の一端(右端)の折り返し部は、ミドルプレート17の貫通孔174aに固定される。また、インジケータースプリング235の他端(左端)の折り返し部は、ミドルプレート17の長穴174に、移動自在に収容される。
番号検索キー24は、番号検索を行う際にツマミ3の穴部31に挿入される。図32は、第1実施形態に係る番号検索キーの側面図を示す。番号検索キー24は、把持部242と先端側に形成された山241を有する。
内筒交換キー25は、内筒交換を行う際にツマミ3の穴部31に挿入される。図33は、第1実施形態に係る内筒交換キーとシリンダーとの関係を示す。内筒交換キー25は、把持部252と先端側に形成された山、タンプラー溝64の最奥部65に到達する先端部251を有する。
<動作>
次に、「解錠時の動き」、「施錠時の動き」、「インジケーターの動き」、「番号設定時の動き」、「番号検索/内筒交換の動き」について、構成の補足をしながら説明する。
<<解錠時の動き>>
まず、ダイヤル錠Aを解錠する際の動きについて説明する。図1~図6等に示すように、解錠前、ダイヤル錠Aは施錠状態にある(図1~図6は、いずれも施錠状態を示す)。ツマミ3は、施錠位置にあり、インジケーター23は赤色を、ダイヤル4は「0000」を表示する。ここで、図34Aは、施錠状態における、ツマミ、アーム、スリーブとの関係を示す斜視図である。施錠状態では、アーム12の腕部124の先端125がスリーブ5の外周面から突出した回転規制部51と当接する位置関係にあり、スリーブ5が解錠方向へ回転することを規制されている。図34Bに示すように、スリーブ5にはシリンダー6が着脱可能に挿入されており、スリーブ5とシリンダー6は後述の番号検索キー24、内筒交換キー25がシリンダー6に挿入されない限りは共に回動する。シリンダー6にはツマミ3が着脱可能に嵌め込まれているため、結果として施錠時、使用者はツマミ3を解錠方向へ回転させることができない。
ダイヤル錠Aを解錠する場合、使用者は「0000」と表示されているダイヤル4を解錠符号に揃える必要がある。例えば、解錠符号が「1234」の場合、ダイヤル4を回転させ解錠符号を表示させる。例えば、図3、図5等に示すように、施錠状態では、ダイヤル4の歯車部42は、ホイール7の歯車部71と係合しているため、使用者がダイヤル4を回転させるとホイール7も共に回動する。ホイール7のV字の溝部72はダイヤル4の解錠符号「1234」が表示されると所定の位置にくるよう、ダイヤル4の歯車部42とホイール7の歯車部71は嵌め合っている。所定の位置とは、スライドプレート8の突出壁81の先端V字凸部811がホイール7のV字の溝部72に嵌まり込む位置であり、4つのホイール7のV字の溝部72が全て下にある状態である。また、ホイール7の円の中心から垂直方向のV字溝部72側の側面にはスライドプレート8から等間隔で立ち上がる突出壁81の先端V字凸部811が当接している(図7を参照)。
ここで、図35は、施錠状態における、ホイール、スライドプレート、アーム、ボートの関係を示す斜視図である。前述のホイール7のV字溝部72が所定の位置に揃うと(ホイール7のV字溝部72が下にくると)、スライドプレート8から等間隔で立ち上がる突出壁81の先端V字凸部811が、V字溝部72に嵌まり込む。するとスライドプレート8は、左方向にスライドする。この時スライドプレート8は、ハウジング1(図35では図示せず)とスライドプレート8の第一スプリング受け部82との間にあるスライドプレートスプリング822によってスライドする。第一スプリング受け部82の反対側(左側)にはアーム押し込み部83が設けてあり、さらにアーム押し込み部83からは円柱状831が突出している(図14を参照)。尚、円柱状の831の先端には第二スプリング受け部832が設けてある。
スライドプレート8が左方向にスライドするとアーム押し込み部83が、アーム12の長穴部122を押し込む。アーム12は、ハウジング1から突出した軸部1aを中心に、スライドプレート8のアーム押し込み部83が、アーム12の長穴部122を左方向に押し込むことで回転する。これにより、アーム12の長穴部122とは反対方向に突き出した腕部124の先端125は、右方向に移動し、換言すると、スリーブ5の外周面から突出した回転規制部51と当接する位置関係が変位する。その結果、スリーブ5の回転(右回転)が可能となる(図34Aを参照)。
ここで、図36Aは、施錠状態における、スリーブ、コネクター、グルーブプレート、Lプレート、スライドプレート、アームの関係を示す斜視図である。図36Aは、背面側の斜視図である。スリーブ5は、貫通孔のある円柱形状をしており、下端側(背面側)にはコネクター14と嵌め合う連結凸部52が設けてある。この連結凸部52も円柱形状をしており、コネクター14の本体穴部141より僅かに小さく、コネクター14の本体穴部141に挿通されている。またコネクター14にはC字形状部142(図20を参照)が設けられており、このC字形状部142はグルーブプレート16のグルーブコネクト161(図22、23、24を参照)に嵌め合っている。グルーブコネクト161はコネクター14のC字形状部142と嵌め合うためC字形状より僅かに小さい径をしている。
スリーブ5の回転が可能となっているため、使用者がツマミ3を解錠方向へ回転させると前述の通り、嵌め合い状態にあるシリンダー6、スリーブ5が共に右方向に回動する。このときスリーブ5の連結凸部52はスリーブ5の回動に合わせ弧を描くように位置が変位していく。すると連結凸部52にコネクター14の本体穴部141が押されるかたちで、コネクター14は右方向へスライドする。さらにコネクター14のC字形状部142(図20を参照)はグルーブプレート16のグルーブコネクト161(図22、23、24を参照)と嵌め合い状態にあるため、コネクター14のC字形状部142に押されるかたちでグルーブプレート16は右方向へスライドする。
グルーブプレート16の背面側に形成された略コの字状の突出部162は、グルーブプレート16の右方向へのスライドに伴い、Lプレート19の短辺側先端部193に当接する。グルーブプレート16の突出部162がLプレート19の短辺側先端部193に当接すると、Lプレート19はハウジング1から突出した軸部1bを中心にグルーブプレートの突出部162に押し下げられるように回転し、その回転によってLプレート19の長辺側先端部192がスライドプレート8の突出片84をスライドプレートスプリング822の付勢が働く方向とは逆、すなわち右方向に押し込む。嵌め合い状態にあるスライドプレート8の突出壁81の先端V字凸部811がホイール7の円の中心から垂直方向のV字溝部72から外れる。
スリーブ5の回動はまだ続いており、グルーブプレート16の右方向へのスライドも続いている。図36Bは、施錠状態と解錠状態における、バー、コーム、グルーブプレート、ダイヤルスプリングの関係を示す下視断面図を示す。グルーブプレート16の右方向へのスライドが進むと、グルーブプレートの第1リフト部163と第2リフト部164に組込まれているバー18の第1昇降ガイド181が第1リフト部163の163c(右側の高い部分)から163b(中央の低い部分)に、第2昇降ガイド182が第2リフト部164の164c(右側の高い部分)から164b(中央の低い部分)にそれぞれ移動する。その結果、バー18が下方に下がり、バー18のダイヤルスプリング制御凹部183(図26を参照)の位置が下方に変位する。
図36Cは、施錠状態における、ホルダー、コーム、バーの関係を示す斜視図である。図36Cは、上方からの斜視図を示す。ダイヤルスプリング13の本体部132はC字形状をしており(図19を参照)、このC字形状の本体部132の中心にはコーム15の軸部151が挿通されている。コーム15はホルダー10のコーム収容溝101に収容されておりコーム15の軸部151のズレが抑制されている。ホルダー10は、バー18も収容しておりバー収容溝102があることで、バー18は上下運動の際に正しく作動することができる。また、ホルダー10は、グルーブプレート16がスリーブ5の回動に合わせスライドする際のガイドとしての役割も兼ねておりグルーブガイド103を有している(図41を参照)。ホルダー10は、ハウジング1とネジ止めされ固定されているため(図36Cでは図示せず)、ホルダー10自体のズレはなく、それぞれ収容された部材は的確かつ円滑に動作することができる。バー18が下方に下がり、ダイヤルスプリング制御凹部183(図26を参照)の位置が下方に変位するとダイヤルスプリング制御凹部183に収容されたダイヤルスプリング13の凸部131(図19を参照)が下方に押され、コーム15の軸部151を中心にダイヤルスプリング13は回転する。
ここで、回転したダイヤルスプリング13にはC字形状の本体部132から腕部133が伸びておりその先端には爪部134がある。この爪部134は通常ダイヤル4の歯車部42の谷部42aに嵌っている。ここで、図37Aは、ダイヤルとダイヤルスプリングとの関係を示す断面図である。図37Bは、スライドプレートの突出壁の先端V字凸部がホイールのV字溝部に嵌まった状態とV字溝から外れた状態を示す。通常、爪部134がダイヤル4の歯車部42の谷部42aに嵌っていることで、ダイヤル4を回転させた際の感触(クリック感)が生まれている。前述のダイヤルスプリング13の回転は、爪部134がダイヤル4の歯車部42の谷部42aから離間するように回転する。それによりダイヤル4は回転に感触(クリック感)がなくフリー状態Bとなる。フリー状態Bとは、スライドプレート8の突出壁81の先端V字凸部811がホイール7のV字溝部72から外れ(図37Bを参照)、かつ、ダイヤル4の歯車部42の谷部42aからダイヤルスプリング13の爪部134が離間した状態を指す。
スリーブ5の回動は続いており、フリー状態Bになると略同時にコーム15に動きが見られる。詳細には、コーム15のランナー153は、グルーブプレート16の波レール165と係合している(図36Bを参照)。そのため、グルーブプレート16の右方向へのスライドが進むとグルーブプレート16の波レール165内をコーム15のランナー153が波レール165をなぞる様に沿って移動する。その結果、コーム15の軸部151と本体部152を中心にコーム15が回転し、腕部154がダイヤル4の復帰部43に接近してくる(図38Aを参照)。
コーム15が回転すると、腕部154はダイヤル4の復帰部43に当接し、復帰部43の側面を押していく。復帰部43は、蓮の花弁又は水滴のような偏った形状をしている。この偏りはダイヤル4を復帰符号に復帰させる際に最短距離で復帰させるためのものである。最短距離というのは、例えばダイヤル4の「0」の真裏に位置する数字は「5」である。「5」の隣の数字、すなわち「4」と「6」を「0」まで回転させるには「4」は数字がマイナスする方向、「6」は数字がプラスする方向というように、それぞれ逆回転させ効率よく「0」に戻す距離である。ちなみに「5」は「6」と同じ方向に回転する。コーム15の腕部154が復帰部43の花弁の根本431に到達するまで押し切るとダイヤル4は「0」へと復帰する。
その後、スリーブ5の回動に伴いグルーブプレート16の右方向へのスライドが進み、グルーブプレート16の波レール165をコーム15のランナー153が、前述とは逆の動きで波レール165をなぞる様に沿って移動する。コーム15の腕部154はダイヤル4の復帰部43から離間する方向に回転していく。ランナー153の一連の動きを簡単に説明すると、ツマミ3側(左側)のランナー153は波レール165の165cをスタートとして165bを経て165aに至る(図36Bを参照)。もう一方のランナー153は、波レール165の165cがスタート位置というようにスタート位置は異なるものの、波レール165の165c、165b、165cの山、谷、山、という動きに変わりはない。
コーム15の腕部154がダイヤル4の復帰部43から完全に離間し元の位置まで戻ってくると略同時にグルーブプレート16の略コの字状の突出部162とLプレート19の当接が解除され、Lプレート19はハウジング1から突出した軸部1bを中心に回転する。この回転力は、スライドプレートスプリング822の付勢によるもので、スライドプレート8の突出片84がL字プレートの長辺側先端部192を押すことで生まれる。
グルーブプレート16の略コの字状の突出部162とLプレート19の当接が解除されLプレート19が回転した際、スライドプレート8は左方向へスライドしているが、ダイヤル4が復帰符号である「0」へと復帰しているためホイール7のV字溝部72が所定の位置には揃っていない。つまり、ホイール7のV字溝部72が下にきていない。そのため、スライドプレート8の突出壁81の先端V字凸部811は、V字溝部72に嵌まり込むことはなくホイール7のV字溝部72側の側面に当接した状態にある(図38Bを参照)。図38Bは、スライドプレートの突出壁の先端V字凸部がホイールのV字溝部に嵌まり込むことはなくV字溝部側の側面に当接した状態を示す。
また、コーム15の腕部154が完全に離間し元の位置まで戻ってくると、グルーブプレート16の第1リフト部163と第2リフト部164に組込まれているバー18の第1昇降ガイド181がグルーブプレート16の第1リフト部163の163b(中央の低い部分)から163a(左側の高い部分)に、第2昇降ガイド182が第2リフト部164の164b(中央の低い部分)から164a(左側の高い部分)にそれぞれ移動する(図36Bを参照)。するとバー18は、再び上方に持ち上がり、バー18のダイヤルスプリング制御凹部183(図26を参照)の位置が上方に変位する。これに伴いダイヤルスプリング制御凹部183に収容されたダイヤルスプリング13の凸部131が上方に引き上げられ、コーム15の軸部151を中心にダイヤルスプリング13の爪部134は再びダイヤル4の歯車部42に向かい回転し、ダイヤルスプリング13の爪部134はダイヤル4の歯車部42の谷部42aに収まる(図37Aを参照)。
使用者によって、ツマミ3が解錠位置まで回転されると、内部ではシリンダー6、スリーブ5、に付随するコネクター14、コーム15、ダイヤルスプリング13、グルーブプレート16、スライドプレート8、バー18、Lプレート19の一連の動きは完結し内部機構的に解錠したこととなる。
ここで、図39は、施錠状態における、ツマミ、シリンダー、ドライブシャフトの関係を示す横断面図である。図40は、施錠状態における、ツマミ、シリンダー、ドライブシャフトの関係を示す縦断面図である。図41は、解錠状態における、ツマミ、ダイヤル、スライドプレート等の関係を示す正面側の斜視図を示す。シリンダー6のキー挿通孔61とは反対側の端面(背面側の端面)に設けられた十字状の凸部62が、ドライブシャフト22の十字状の凹部221と係合している。なお、十字状の凸部62及び十字状の凹部221は、係合できればよく、形状は、例えば円形でもよく、十字状に限定されない。ドライブシャフト22にはハウジング1を貫通する軸部222が設けられている。軸部222は、ネジ山が形成されておりボルトとして機能し、ナットを受け入れ可能となっている。また軸部222の根本にはテーブル部223がありこのテーブル部223もハウジング1を貫通している。テーブル部223の平面にはストッパー20が乗るように設置されており、前述の軸部222にナットを嵌めることでストッパー20をドライブシャフトと固定している。第1実施形態ではナットを使用しているが、ネジ止めでもよい。使用者がツマミ3を回転させることで、シリンダー6と係合しているドライブシャフト22、ドライブシャフト22と固定されているストッパー20は共に同一方向へと回動する。ストッパー20は筐体の相手側係合部26から外れ、外部機構的にも解錠したこととなる。
<<施錠時の動き>>
次に、ダイヤル錠Aを施錠する際の動きについて説明する。施錠するにあたり、ダイヤル錠Aは解錠状態にあり前述の通りダイヤル4は「0000」と表示された状態である。使用者はダイヤル4を操作することなく、そのままツマミ3を施錠方向へ回転させることで施錠ができる。解錠時の動きは先に説明した通りであり、施錠時の動きは解錠時の動きの逆になる。従って、解錠時の動きについては、以下簡単に説明する。
バー18、コーム15の動きについて補足すると、バー18の第1昇降ガイド181は、グルーブプレート16の第1リフト部163の163aから163cに向けて移動し、第2昇降ガイド182は、第2リフト部164の164aから164cに向けて移動する。また、コーム15のランナー153は、グルーブプレート16の波レール165の165aから165cに向けて移動する(図36Bを参照)。
施錠する際は、解錠符号が表示されていないため、スライドプレート8の突出壁81の先端V字凸部811は、ホイール7のV字溝部72に嵌まり込むことはなくV字溝部72側の側面に当接した状態にある(図38Bを参照)。つまりスライドプレート8は、右方向へスライドした位置にある。また、スライドプレート8の右方向へのスライドに加えアームスプリング126の付勢によってアーム12はハウジング1から突出した軸部1aを中心に左回転する(図35を参照)。
このようなアーム12の回転は、解錠時の回転とは逆回転となる。すなわち、アーム12は、スリーブ5の外周面から突出した回転規制部51(図34Aを参照)と当接する方向へ回転する。スリーブ5が施錠位置まで回転する過程において外周面から突出した回転規制部51とアーム12の腕部124が、完全に回転を規制する施錠位置となる前に接触する位置がある。このときのアーム12は回転規制部51に設けられた斜辺51aがあることで容易に回転規制部51を乗り越えることができる。アーム12は、アームスプリング126(図43を参照)の付勢によって再び回転規制部51と当接する方向へ回転し、その位置となり施錠位置に至った回転規制部51と当接し回転は規制される。
<<インジケーターについて>>
ダイヤル錠Aには解錠、施錠の状態が容易に判別可能なように、解錠、施錠の状態を表示するインジケーター23が設けられている。インジケーター23は、シリンダー6の回転と連動して回転し、解錠、施錠の状態を表示する。以下、更に詳細に説明する。図29に示すように、インジケーター23の本体部231は、下部に切欠き部233が設けてあり、その切欠き部233は、切欠き部233以外の部分と比較して一回り大きな径となっている。切欠き部233の径は、シリンダー6の回転突起63より僅かに大きく形成されている。図30A、図30Bに示すように、切欠き部233は、シリンダー6の回転突起63の回動を許容するとともに、シリンダー6の回転突起63と接してインジケーター23を回転させる。施錠状態では、図30A、図30Bの上図に示すように、シリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)は、インジケーター23の切欠き部233の切欠き側面233b(右側)に接している。その際、フロントパネル2の表示窓2aには、施錠状態を示す扇部232の赤色が表示される。ツマミ3を解錠方向(右回り)に回転すると、シリンダー6とスリーブ5が一体となって回転する(図34Bを参照)。シリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)は、インジケーター23の切欠き部233の切欠き側面233b(右側)から離れ、シリンダー6の回転突起63の第2側面632(左側)が、インジケーター23の切欠き部233の切欠き側面233a(左側)に近づいていく。第1実施形態では、切欠き部233の切欠き角度234が約72度であり、施錠状態から、シリンダー6が右回りに72度回転すると、シリンダー6の回転突起63の第2側面632(左側)が、インジケーター23の切欠き部233の切欠き側面233a(左側)に接する。更に、ツマミ3が右回りに回転することでシリンダー6が回転すると、インジケーター23は、切欠き部233の切欠き側面233a(左側)がシリンダー6の回転突起63の第2側面632(左側)に押されることで右回りに回転する。つまり、シリンダー6の回転突起63は、インジケーター23の切欠き部233の切欠き角度234を超えて回転する。ここで、スリーブ5は、スリーブ5の回転規制受け部56(図44を参照)とハウジング1の回転規制突起1k(図7Aを参照)とが接することで、回転が規制される。第1実施形態では、スリーブ5の回転角度が約90度になるよう、回転規制受け部56が切り欠かれている。そのため、ツマミ3換言するとシリンダー6とスリーブ5は、右回りに90度回転すると、回転規制受け部56の端部56aとハウジング1の回転規制突起1kとが接し、回転が規制されて解錠状態となる。解錠状態では、図30Bの下図に示すように、フロントパネル2の表示窓2aには、解錠状態を示す扇部232の青色が表示される。なお、解錠状態から施錠状態に移行する場合、ツマミ3を施錠方向(左回り)に72度回転すると、シリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)が、インジケーター23の切欠き部233の切欠き側面233b(右側)に接する。更に、ツマミ3が左回りに回転することでシリンダー6が回転すると、インジケーター23は、切欠き部233の切欠き側面233b(右側)がシリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)に押されることで回転する。スリーブ5の回転規制受け部56の端部56b(図44を参照)とハウジング1の回転規制突起1k(図7Aを参照)とが接することで、スリーブ5の回転が規制されると、施錠状態となる。その際、フロントパネル2の表示窓2aには、施錠状態を示す扇部232の赤色が表示される。なお、扇部232の赤色、青色は一例であり、扇部232の色はこれらに限定されない。
ここで、図9に示すように、フロントパネル2の裏側には、インジケーター23の扇部232を収容し、かつ、インジケーター23が回転する際にインジケーター23の扇部232の回転をガイドするインジケーター凹部2fが設けられている。インジケーター凹部2fは、湾曲した帯状の凹部で構成されている。また、インジケーター凹部2fは、以下の理由により、表示窓2aを基準として、左側よりも右側が長く形成されている。上述のように、シリンダー6の回転突起63は、インジケーター23の切欠き部233の切欠き角度234を超えて回転する。そして、ツマミ3が解錠位置、すなわちツマミ3が施錠状態から右回りに90度回転した際、シリンダー6と共に回転するスリーブ5の回転が規制されることで、シリンダー6の回転も規制される。その際、フロントパネル2の表示窓2aには、解錠状態を示す扇部232の青色が表示される。但し、番号検索を行う場合、番号検索キー24が挿入されことで、スリーブ5の内壁57とタンプラー27の側面273との干渉がなくなる(図47、図48を参照)。そのため、シリンダー6は、単独で回転することが可能となり(番号検索については後述する)、シリンダー6の回転突起63は、ツマミ3の解錠位置を更に超えて回転する。インジケーター23は、切欠き部233の切欠き側面233a(左側)がシリンダー6の回転突起63の第2側面632(左側)に押されるため更に右回りに回転する。このような、番号検索の際の回転を許容するため、インジケーター凹部2fは、表示窓2aを基準として、左側よりも右側が長く形成されている。なお、シリンダー6の回転突起63がツマミ3の解錠位置を更に超えて回転した場合、インジケーター23の扇部232は、フロントパネル2の表示窓2aを通りすぎる。そのため、フロントパネル2の表示窓2aには、施錠状態又は解錠状態を示す扇部232の色は表示されない。回転突起63と切欠き角度234の関係性については、第1実施形態とは異なる角度の場合もあり、本記載に限定されない。
スリーブ5は外周53のその殆どがミドルプレート17のスリーブ収容部175に収まり保持、固定されている。インジケーター23は、スリーブ5の外周53に本体部231は嵌め合っているが、同時にミドルプレート17とツマミ3との間に挟まるような位置にもある。それによりインジケーター23は、フロントパネル2の開閉表示窓2aと一定の距離を常に保つことができている。ミドルプレート17にはミドルプレート17を貫通する長穴174があり、長穴174のダイヤル4側には略円状の貫通孔174aがある。この長穴174と貫通孔174aにはインジケータースプリング235が取り付けられる。インジケータースプリング235は、細い針金状の部材で略コの字に両端が折り曲げられている。またインジケータースプリング235の径はミドルプレート17の貫通孔174aの径より僅かに小さく貫通孔174aに挿通され、簡易的な位置決めとされている。インジケータースプリング235における貫通孔174aとは反対側の端は、ミドルプレート17の長穴174の幅よりもインジケータースプリング235の径が僅かに小さいので挿通されるが、ミドルプレート17の略円状の貫通孔174aの様に位置決めとなるようなものはない。
ミドルプレート17の長穴174の長手方向の略中間点の位置でインジケータースプリング235がミドルプレート17の前面よりも前方に飛び出すようになっている。これによりインジケーター23とインジケータースプリング235が僅かに干渉する。その結果、インジケーター23に負荷を与えることができ、インジケーター23が誤って回転してしまうことを防ぐことができる。ミドルプレート17は、背面の所定の間隔で並んだ凹角部171とホルダー10の腕部104の先端凸角部104aが嵌め合い状態にあり固定される。また、ミドルプレート17はダイヤル4を収容している。ダイヤル4には中心に貫通孔44がありダイヤルシャフト212を挿通可能である。ミドルプレート17のダイヤル収容部172はダイヤルシャフト212を挿通させたダイヤル4一式、(実施形態ではダイヤル4は4つだが、ダイヤル4の数は限定されない)を収容可能となっており、前面に配置されるフロントパネル2からはダイヤルシャフト固定壁2bが立ち上がり、先端2cはU字形状をしている。
この先端2cはフロントパネル2が組み付けられた際にダイヤルシャフト212を保持、固定する役割があり、先端2cはダイヤルシャフト212の半径に比べ僅かに大きい径をしている。またフロントパネル2が組み付けられた際には、フロントパネル2の等間隔に並んだ円凹部2dにミドルプレート17の円凸部173が嵌め合い、ミドルプレート17は前面でフロントパネル2と背面でホルダー10と嵌め合い位置が決められている。ちなみにフロントパネル2は3箇所から立ち上がる円柱状の2eがハウジング1の円柱1hと先端面どうしが当接するよう設計されている。それぞれの円柱は内側が空洞のドーナツ状になっており、ネジ止めをすることでハウジング1とフロントパネル2は固定される。ダイヤル4は、ダイヤルシャフト212がフロントパネル2のダイヤルシャフト固定壁2bの先端に形成されたU字形状の凹部からなるU字形状2cによって保持、固定されている。その結果、ダイヤル4の上下左右の移動が規制される。
<<番号設定時の動き>>
第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、使用者が使用前に任意の番号(本発明の解錠符号に相当する。以下、設定番号ともいう。)を設定(変更)することができる。設定番号は、次に番号設定されるまで変更されない。ダイヤル錠Aが解錠状態にあり、かつ、設定番号が表示されている状態でのみ番号設定が可能である。例えば、設定番号が「1234」であるとき、ダイヤル4を回転させ「1234」と表示させツマミ3を解錠方向へ回転させる。この場合、ダイヤル4は、「0000」と復帰する。そこで、設定番号の変更は、再度設定番号の「1234」を表示させ、ストッパー20の位置が解錠されていることを確認し、その後、背面にある番号設定スイッチ91をスライドさせることで実現できる。
ここで、図42は、ボートとダイヤル等の関係を示す断面図を示す。図43は、ボートとホイール等の関係を示す背面側の斜視図を示す。図44は、ボート、ホイール、ダイヤル等の関係を示す背面側の斜視図を示す。図45は、ナンバーサーチプレート、ホイール、ダイヤル等の関係を示す背面側斜視図を示す。上記各図、及び図4に示すように、番号設定スイッチ91は、ボート9の背面に設けられ、ボート9と共に左右方向にスライドする。番号設定スイッチ91の反対側(右側)には第1角凹部93と薄壁を隔てて第2角凹部94がある。第1角凹部93には一部傾斜した傾斜辺931が設けられている。番号設定スイッチ91を右方向(背面側から見ると左方向)へスライドさせる前は、第1角凹部93にハウジング1のボートストッパー1cの先端が入り込んでいる。番号設定スイッチ91を右方向(背面側から見ると左方向)へスライドさせるとボートストッパー1cが第1角凹部93の傾斜辺931を乗り越え第2角凹部94へ入り込む。第2角凹部94へ入り込んだボートストッパー1cが第2角凹部94の壁面941と当接することで、ボート9は、スライドさせた位置で保持される。
ここで、番号設定スイッチ91を右方向(背面側から見ると左方向)へスライドするとボート9全体が右方向へスライドする。ボート9には、ホイール固定部92を介してホイール7が固定されている。つまり番号設定スイッチ91を右方向(背面側から見ると左方向)スライドさせるとホイール7も右方向へスライドする。一方、ホイール7はダイヤル4と係合しており、設定番号「1234」を表示させた位置は、ホイール7の角穴貫通孔73の所定の位置に対応する。
上記ホイール7の角穴貫通孔73の所定の位置は、右方向へスライドしたホイール7の角穴貫通孔73がナンバーサーチプレート11の角柱111の先端112と係合する位置である(図45を参照)。換言すると、ホイール7の角穴貫通孔73の所定の位置は、ホイール7の角穴貫通孔73が上になる位置である。そのため、設定番号を変更する場合には、設定番号「1234」を表示させる必要がある。また、ホイール7の角穴貫通孔73が所定の位置にある場合、必ず、V字溝部72も所定の位置(下)にある。また、ホイール7の略コの字に切り欠いた切欠き部76も所定の位置(後方)にある。この略コの字の切欠き部76は、ハウジング1から立ち上がる立ち上がり部1gが嵌まり込んでいる。これにより、ホイール7の誤った回転が防止される。
また、ボート9のスライドと共にホイール7、ホイール7に引っ張られるかたちでスライドプレート8も右方向にスライドする。このときスライドプレート8の突出壁81の先端V字凸部811が、ホイール7のV字溝部72に嵌まり込んだ状態を維持しながら共に右方向にスライドする。スライド後のスライドプレート8は、解錠状態の「0000」と表示されている状態と同様である。すなわち、アーム押し込み部83から伸びた円柱状の831の先端にある第二スプリング受け部832とアーム12の長穴部122との間に組込まれたアームスプリング126の付勢によってアーム12はハウジング1から突出した軸部1aを中心に回転しようとしている(図35を参照)。このとき誤ってツマミ3を回転させてしまうと正しく番号設定が行われていないにも関わらず内部機構的に施錠してしまう不具合が起こる可能性がある。そこでこのような不具合を防ぐため、ボート9がスライドした際に腕部96がアーム12のリブ127(図18B参照)を引っ張り、アーム12の腕部124の先端125とスリーブ5の回転規制部51とが当接しない位置にしている(図44を参照)。尚、ボート9がスライドすることで、ダイヤル4とホイール7の係合は解除されている。
使用者がダイヤル4を回転させ新しい設定番号、例えば「5678」を表示させ背面の設定番号確定ボタン1dを押すと、シーソーのように反対側のボートストッパー1cが持ち上がる。するとボートストッパー1cと第2角凹部94の壁面941との当接が外れ、ボート9はボートスプリング95の付勢によってスライド前の位置に戻る。換言すると、ボート9は、左方向へスライドする。ボートスプリング95は角柱である番号設定スイッチ91とハウジング1のスイッチ収容部1eの間にありボートを常に付勢している。ボート9がスライド前の位置に戻ると再びダイヤル4の歯車部42とホイール7の歯車部71は係合する。このときナンバーサーチプレート11の角柱111の先端112とホイール7の角穴貫通孔73の係合は解除される。一方、スライドプレート8は、スライドプレートスプリング822の付勢により、スライドプレート8の突出壁81の先端V字凸部811がホイール7のV字溝部72に嵌まり込んだまま左方向へスライドする。これら一連の動きにより番号設定が完了される。なお、解錠符号と復帰符号を同一番号とした場合には、ダイヤル4が復帰する機能が働かなくなる。そのため、解錠符号と復帰符号を同一番号とした場合、施錠を行うことはできない。但し、ツマミ3の開閉により、ストッパー20を動作させることはできる。
<<番号検索/内筒交換>>
次に、使用者が設定番号を忘れてしまった等、解錠ができなくなった場合に番号を検索する機能について説明する。図46は、シリンダーの断面図を示す。図47は、番号検索キー24とシリンダーとの関係を説明する断面図である。図48は、番号検索キーを用いる場合のスリーブとシリンダーの関係を示す横断面図である。
ツマミ3のキー挿入孔31に専用の番号検索キー24を挿入することにより、ツマミ3を通りシリンダー6のキー挿通孔61に番号検索キー24が挿入される。するとシリンダー6のタンプラー溝64に組込まれたタンプラー27の山受け部271が番号検索キー24の山241に合致することでシリンダー6の内側に番号検索キー24が収納される。番号検索キー24が挿入されていない状態においては、バネ272によってタンプラー27は持ち上げられており、持ち上げられたタンプラー27の側面273が、スリーブ5の内壁に当接し干渉していることでシリンダー6の単独回転は規制されている。番号検索キー24が挿入されていることによってスリーブ5の内壁とタンプラー27の側面273との干渉がなくなりシリンダー6の回転が可能となる。
番号検索を行う場合、番号検索キー24を挿入後、解錠方向へと番号検索キー24を回転させる。ツマミ3での解錠位置を越え、さらに回転させるとシリンダー6のキー挿通孔61とは反対側の端面に設けられた十字状の凸部62が、ドライブシャフト22の十字状の凹部221と係合しているためドライブシャフト22(図28を参照)もさらに回転する。ドライブシャフト22からは検索アーム224が伸びており、ある角度まで回転すると検索アーム224はナンバーサーチプレート11の検索作動部113に当接し、さらに回転することでナンバーサーチプレート11を左方向へスライドさせることができる(図45を参照)。ナンバーサーチプレート11が左方向へスライドすると、ナンバーサーチプレート11の角柱111の先端112がホイール7の角穴貫通孔73と係合する。
例えば、正しい設定番号が「5678」であり、表示されている番号が「1234」の場合、番号検索キー24を挿入し解錠位置まで回転する。すると、シリンダー6と係合しているストッパー20も解錠位置まで回転し、筐体の相手側係合部26との係合が外れる。このように番号検索キー24は、非常解錠の機能も有している。この段階で筐体に収められた収容物は取り出し可能となる。さらに回転することで、ナンバーサーチプレート11の角柱111の先端112がホイール7の角穴貫通孔73と係合する位置となる。このときにダイヤル4を下から上へと回転させ正しい設定番号の数字、例えば左端「5」を表示させた段階で角柱111の先端112がホイール7の角穴貫通孔73に入り込み係合することで、ダイヤル4の回転が停止する。同様に「678」を表示させ、番号検索キー24を施錠位置まで戻し番号検索キー24を引き抜く。表示されている「5678」を記憶し、使用者によってツマミ3が解錠位置まで回転し解錠すると、番号検索は完了となる。なお、ナンバーサーチプレート11には、ナンバーサーチプレートスプリング114の右方向への付勢力が常に作用している。従って、番号検索が完了すると、ナンバーサーチプレート11は、右方向へスライドし、元の位置に戻る。
次に、内筒交換キー25を用いてシリンダー6を交換する機能について説明する。ここで、図49は、内筒交換キーを用いる場合のスリーブとシリンダーの関係を示す横断面図である。内筒交換は、施錠状態、つまりツマミ3が施錠位置にある場合に行うことができる。なお、施錠状態以外の状態では、内筒交換キー25を挿入後、シリンダー6を左回りに回転させ、施錠状態とする必要がある。内筒交換キー25をツマミ3のキー挿通孔31に挿入することで、番号検索キー24を挿入した場合と同じく、スリーブ5との干渉がなくなりシリンダー6の回転が可能となる(図33も参照)。内筒交換キー25の先端部251は、シリンダー6のキー挿通孔61から見たタンプラー溝64の最奥部65に組込まれたストッパータンプラー28を引き下げる。その結果、ストッパータンプラー28は、下部281がシリンダー6内に収容されるかわりに上部282がシリンダー6から飛び出す。このストッパータンプラー28の上部282は、ストッパータンプラー28の下部281より幅が狭く形成されている。スリーブ5には、ストッパー受け部54が形成されており、内筒交換キー25が挿入されていない状態においてはシリンダー6から飛び出したストッパータンプラー28の下部281がスリーブ5のストッパー受け部54に当接しシリンダー6がスリーブ5から抜けないように保持されている。スリーブ5のストッパー受け部54には一部切欠きが設けてあり、この切欠き55はストッパータンプラー28の上部282より僅かに幅が広く設定されているが下部281の幅よりは狭い。つまり内筒交換キー25を挿入するとストッパータンプラー28は、下部281がシリンダー6内に収容されるかわりに上部282がシリンダー6から飛び出す。回転可能なシリンダー6は、ストッパータンプラー28の上部282とスリーブ5のストッパー受け部54に設けられた切欠き55と合致する位置まで回転されると、スリーブ5から引き抜くことが可能となる。
<効果>
第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、解錠時又は施錠時に、グルーブプレート16のスライドに連動して、グルーブプレート16に係合するコーム15がグルーブプレート16の波レール165をなぞる様に沿って移動する。その結果、コーム15は、軸部151と本体部152を中心に回転し、ダイヤル4の側面に沿った移動が可能となる。その結果、コーム15は、解錠時又は施錠時に、腕部154がダイヤル4の左側側面に設けられた復帰部43に接近して当接し、ダイヤル4を復帰符号(第1実施形態では、「0000」)に復帰させることができる。第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、グルーブプレート16を含む各部品の構成、形状、相対的な位置関係を工夫したことで、ダイヤル4を最終的に復帰符号に復帰させるコーム15を、ダイヤル4とダイヤル4の間の空間を有効に活用して移動させて、ダイヤル4を復帰符号に復帰させることができる。そのため、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、従来技術のように、ダイヤルを復帰符号に復帰させる際に、ダイヤル又はダイヤルの軸を軸方向に移動させる必要がない。従って、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、ダイヤル4の軸方向の長さ、換言すると左右方向の長さを従来よりも短くすることができ、その結果、従来よりも小型化することができる。
また、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、解錠時又は施錠時に、グルーブプレート16のスライドに連動して、グルーブプレート16に組み込まれたバー18が上下方向に移動する。また、バー18には、ダイヤル4を回転させた際にダイヤル4の歯車部42と当接してクリック感を発生させるダイヤルスプリング13がバー18に連動して回動するように接続されている。また、ダイヤルスプリング13は、ダイヤル4を復帰符号に復帰させるコーム15の軸部151にも接続されている。これにより、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、ダイヤル4を回転する際にクリック感を発生させ、更に、ダイヤル4を復帰符号に復帰させる際は、クリック感がないフリー状態とすることができる。そして、ダイヤルスプリング13も、コーム15と同じく、ダイヤル4とダイヤル4の間の空間を有効に活用して、クリック感を発生させる機能やフリー状態に移行する機能を実現することができる。
また、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、インジケーター23を備えることで、ダイヤル錠Aの解錠、施錠の状態を容易に判別することができる。また、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、番号設定スイッチ91を有するボート9やナンバーサーチプレート11等を備えることで、使用者が使用前に任意の番号(解錠符号又は設定番号という)を設定(変更)することができる。更に、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、番号検索キー24を用いることで、非常解錠できる他、設定番号を検索することができる。また、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、内筒交換キー25を用いることで、シリンダー6を交換することができる。第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、グルーブプレート16を含む各部品の構成、形状、相対的な位置関係を工夫したことで、小型でありながら、上述した様々な機能を実現している。
<第2実施形態>
図50は、第2実施形態に係るダイヤル錠の正面側の斜視図を示す。第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと異なり、上下方向に長い構成である。以下、第2実施形態に係るダイヤル錠Aについて、第1実施形態に係るダイヤル錠Aとの相違点を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明を割愛する。
第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、上下方向に長く構成され、第1実施形態との相違点以外の構成については、第1実施形態に係るダイヤル錠Aを右回りに90度回転させた構成である。フロントパネル2では、ツマミ3とダイヤル4が上下方向に並んで配置され、開閉表示窓2aがフロントパネル2の上部に設けられている。図50は、解錠状態を示し、解錠状態では、ストッパー20が上方を指し、受具との係合が解除される。図示を省略するが、施錠状態では、ストッパー20が左方向を指し、受具と係合する。なお、第1実施形態においても、解錠状態において、ストッパー20が上方を指し、施錠状態において、ストッパー20が左方向を指す。ストッパー20の指す方向は、同じであるが、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aを右回りに90度回転させた構成であるため、ストッパー20が固定されるドライブシャフト22に変更が加えられている。ストッパー20は、ドライブシャフト22の軸部222にナットを締めることで固定される(図28、図34A参照)。第2実施形態に係るドライブシャフト22は、第1実施形態と同様のストッパー20を固定できるようにするため、十字状の凹部221に対する軸部222の向きが右に約90度回転させた構成となっている。ここで、図51は、第2実施形態に係るダイヤル錠の背面図を示す。図51は、施錠状態を示す。テーブル部223(図28参照)の平面にはストッパー20が乗るように設置されており、軸部222にナットを嵌めることでストッパー20がドライブシャフト22に固定されている。また、第2実施形態に係るダイヤル錠Aでは、ストッパー20にストッパー20の本体部から突出したストッパーの突起21が設けられている。ハウジング1の背面外側には、施錠状態において、ストッパーの突起21と接して、ストッパー20が左方向を指した状態(水平状態)を維持するストッパー受け1iが設けられている。なお、ストッパー20について、ドライブシャフト22の軸部222と固定される切欠きの向きを変更してもよい。
また、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、インジケーター23、ミドルプレート17、スリーブ5の形状が第1実施形態と異なる。図52は、第2実施形態に係るミドルプレートの正面側の斜視図を示す。第2実施形態に係るダイヤル錠Aでは、インジケータースプリング235(図31参照)が不要となっており、ミドルプレート17には、第1実施形態に係るミドルプレート17にある長穴174、及び円形の貫通孔174a(図3、図25参照)が設けられていない。また、スリーブ収容部175の正面側の開口部のうち、上部を除く部分、換言すると、左側、下側、及び右側の部分に、スリーブ収容部175の内径よりも一回り大きく切り欠かれたミドルプレートの切欠き176が形成されている。ミドルプレートの切欠き176は、後述するインジケーター回転支持部237、及び一体型インジケータースプリング236を収容する。
図53は、第2実施形態に係るインジケーターの正面側の斜視図を示す。インジケーター23は、本体部231、扇部232、インジケーター回転支持部237、一体型インジケータースプリング236を有する。本体部231は、スリーブ5の外周53の径より僅かに大きな径の半円形状であり、段差が設けられている。また、扇部232は、本体部231の上部に形成されたパネルによって形成され、ダイヤル錠Aの解錠、施錠の状態を判別させるための赤色の丸が印刷されている。扇部232の赤色の丸は、解錠、施錠の状態を判別できればよく、形状や色はこれに限定されない。インジケーター回転支持部237は、本体部231に連なる半円形状であり、本体部231の外径よりも一回り大きく形成され、ミドルプレートの切欠き176に収容される。本体部231とインジケーター回転支持部237とで、リングが形成されている。また、インジケーター回転支持部237は、段差を有するリング形状からなる本体部231の背面に連なっており、本体部231よりも一段後方に位置する。一体型インジケータースプリング236は、インジケーター回転支持部237の一部(左側下方)が切り欠かれるようにして形成されている。一体型インジケータースプリング236は、インジケーター回転支持部237と連なるスプリング受け2361と、スプリング受け2361と連なるC字形状のスプリング2362と、C字形状のスプリング2362に設けられたスプリング突起2363とを有する。スプリング受け2361とC字形状のスプリング2362との間には、空間2364が形成されている。スプリング突起2363は、インジケーター回転支持部237の外面よりも更に外側に突出しており、ミドルプレートの切欠き176に収容された際、ミドルプレートの切欠き176の内面とインジケーター回転支持部237よりも強く接触する。C字形状のスプリング2362は、可撓性を有することでスプリングとして機能し、インジケーター23の回転を抑制する。一体型インジケータースプリング236は、インジケータースプリング235に代わるもので、インジケーター23が誤って回転してしまうことを防ぐことができる。ここで、図54は、第2実施形態に係るミドルプレートとインジケーターの関係を示す正面側の斜視図を示す。ミドルプレートの切欠き176は、インジケーター23が回転し、解錠、施錠の状態を表示できるよう、一体型インジケータースプリング236、及びインジケーター回転支持部237が形成された範囲よりも広い範囲で切り欠かれている。
図55は、第2実施形態に係るスリーブの正面側の斜視図を示す。第2実施形態に係るスリーブ5は、第2実施形態に係るインジケーター23が第1実施形態に係るインジケーター23よりも厚く形成されていることから、正面側の段差58の深さが第1実施形態に係るスリーブ5の段差58の深さよりも深く形成されている。第1実施形態に係るダイヤル錠Aでは、インジケーター23がシリンダー6によって回転したが、第2実施形態に係るダイヤル錠Aでは、インジケーター23が、主にスリーブ5によって回転する。詳細には、施錠時では、スリーブ5とシリンダー6によってインジケーター23が回転し、解錠時では、スリーブ5によってインジケーター23は回転する。そのため、第2実施形態では、スリーブ5の段差58が第1実施形態と比較して、深く形成されている。
図56は、施錠状態における、第2実施形態に係るインジケーターとスリーブとの関係を示す正面側の斜視図を示す。図57は、解錠状態における、第2実施形態に係るインジケーターとスリーブとの関係を示す正面側の斜視図を示す。
インジケーター23は、本体部231以外の部分、換言すると、インジケーター回転支持部237、及び一体型インジケータースプリング236において、シリンダー6の回転突起63の回動を許容するとともに、シリンダー6の回転突起63と接してインジケーター23を回転させる。
施錠状態では、図56に示すように、シリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)は、インジケーター23の本体部231の本体部側面231a(右側)に接している。その際、フロントパネル2の表示窓2aには、施錠状態を示す扇部232の赤色が表示される。解錠時、ツマミ3(図56、図57では図示せず)を解錠方向(右回り)に回転すると、シリンダー6内のタンプラー27がスリーブ5内の内壁に当接することで(図48を参照)、シリンダー6とスリーブ5が一体となって回転する。シリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)は、インジケーター23の本体部231の本体部側面231a(右側)から離れ、シリンダー6の回転突起63の第2側面632(左側)が、インジケーター23の本体部231の本体部側面231b(左側)に近づいていく。
第2実施形態では、解錠時における、シリンダー6の回転突起63の回動を許容する領域の角度が約90度である。解錠時、施錠状態から、シリンダー6が右回りに約90度回転すると、フロントパネル2の表示窓2aには、解錠状態を示す扇部232の水色が表示される。なお、第2実施形態では、解錠時、シリンダー6の回転突起63の第2側面632(左側)が、インジケーター23の本体部231の本体部側面231b(左側)に接することはない。インジケーター23の本体部231以外の部分(インジケーター回転支持部237、及び一体型インジケータースプリング236)の角度は、番号検索の際、シリンダー6の回転突起が約110度回転できるよう、解錠時における、シリンダー6の回転突起63の回動を許容する領域の角度である90度よりも大きく設計されている。スリーブ5は、スリーブ5の回転規制受け部56(図44を参照)とハウジング1の回転規制突起1k(図7Aを参照)とが接することで、回転が規制される。第2実施形態においても、スリーブ5の回転角度が約90度になるよう、回転規制受け部56が切り欠かれている。そのため、ツマミ3換言するとシリンダー6とスリーブ5は、右回りに90度回転すると、回転規制受け部56の端部56aとハウジング1の回転規制突起1kとが接し、回転が規制されて解錠状態となる。解錠状態では、フロントパネル2の表示窓2aには、解錠状態を示す扇部232の水色が表示される。扇部232の水色は、解錠、施錠の状態を判別できればよく、色はこれに限定されない。なお、解錠状態から施錠状態に移行する場合、ツマミ3を施錠方向(左回り)に回転すると、シリンダー6内のタンプラー27がスリーブ5内の内壁に当接することで(図48を参照)、シリンダー6とスリーブ5が一体となって回転し、シリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)が、インジケーター23の本体部231の本体部側面231a(右側)に接する。
更に、ツマミ3が左回りに回転することでシリンダー6が回転すると、インジケーター23は、インジケーター23の本体部231の本体部側面231a(右側)がシリンダー6の回転突起63の第1側面631(右側)に押されることで回転する。スリーブ5の回転規制受け部56の端部56b(図44を参照)とハウジング1の回転規制突起1k(図7Aを参照)とが接することで、スリーブ5の回転が規制されると、施錠状態となる。その際、フロントパネル2の表示窓2aには、施錠状態を示す扇部232の赤色が表示される。
第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと同じく、従来技術のように、ダイヤルを復帰符号に復帰させる際に、ダイヤル又はダイヤルの軸を軸方向に移動させる必要がない。従って、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、ダイヤル4の軸方向の長さ、換言すると左右方向の長さを従来よりも短くすることができ、その結果、従来よりも小型化することができる。また、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと同じく、ダイヤル4を回転する際にクリック感を発生させ、更に、ダイヤル4を復帰符号に復帰させる際は、クリック感がないフリー状態とすることができる。そして、ダイヤルスプリング13も、コーム15と同じく、ダイヤル4とダイヤル4の間の空間を有効に活用して、クリック感を発生させる機能やフリー状態に移行する機能を実現することができる。また、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、インジケーター23を備えることで、ダイヤル錠Aの解錠、施錠の状態を容易に判別することができる。また、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと同じく、番号設定スイッチ91を有するボート9等を備えることで、使用者が使用前に任意の番号(解錠符号又は設定番号という)を設定(変更)することができる。また、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、ナンバーサーチプレート11を備え、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと同じく、番号検索キー24を用いることで、非常解錠できる他、設定番号を検索することができる。また、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと同じく、内筒交換キー25を用いることで、シリンダー6を交換することができる。第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと同じく、グルーブプレート16を含む各部品の構成、形状、相対的な位置関係を工夫したことで、小型でありながら、上述した様々な機能を実現している。
更に、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、一体型インジケータースプリング236を備えることで、第1実施形態に係るダイヤル錠Aにおけるインジケータースプリング235が不要であり、より簡易な構成である。また、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、インジケータースプリング235をミドルプレート17の長穴174と貫通孔174aに取り付ける必要もないことから、組み立ても容易となる。
<第3実施形態>
図58は、第3実施形態に係るダイヤル錠の正面側の斜視図を示す。第3実施形態に係るダイヤル錠Aは、第1実施形態に係るダイヤル錠Aと異なり、上下方向に長い構成であり、ダイヤル4の右側に引手1jが設けられている。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る錠前装置は、これらに限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形することができ、また、可能な限りこれらを組み合わせることができる。例えば、第1実施形態に係るダイヤル錠Aは、用途に応じて、第2実施形態や第3実施形態に係るダイヤル錠Aのように縦に長い構成としてもよい。また、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係るダイヤル錠Aは、ツマミ3やダイヤル4の位置を入れ替え、左右や上下を反転させた構成としてもよい。また、ストッパー20は、回転ではなく、スライドするようにしてもよい。また、第2実施形態に係るストッパー20を、第1実施形態に係るストッパー20と同様の構成とし、第2実施形態に係るダイヤル錠Aは、ストッパーの突起21やストッパー受け1iを有さない、より簡易な構成としてもよい。また、第1実施形態、及び第3実施形態に係るダイヤル錠Aは、第2実施形態のように、ストッパーの突起21やストッパー受け1iを有する構成としてもよい。また、第1実施形態から第3実施形態に係るダイヤル錠Aは、所謂内筒交換可能なダイヤル錠であるが、内筒交換が不要なダイヤル錠とし、より簡易な構成としてもよい。また、第1実施形態から第3実施形態に係るダイヤル錠Aは、インジケーター23が設けられているが、インジケーターを持たないより簡易な構成としてもよい。また、第1実施形態や第3実施形態に係るダイヤル錠Aにおいて、第2実施形態に係るダイヤル錠Aの一体型インジケータースプリング236を用い、インジケータースプリング235を用いない構成としてもよい。