JP7219785B2 - 混合セメント組成物、及びその製造方法 - Google Patents

混合セメント組成物、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、混合セメント組成物、及びその製造方法に関する。
近年、地球温暖化対策への要求が高まる中で、セメント製造に関連するCO発生量の低減が求められている。セメント原料として高い割合を占めるセメントクリンカは、その製造工程におけるCO排出量が多く、地球温暖化防止の観点から、セメントクリンカに代えて混合材の使用量を増加することが望まれている。セメントクリンカを代替する混合材として、天然資源である石灰石の他、産業副産物等を利用することで、セメント製造に伴う環境負荷を低減することが可能となる。
代表的な産業副産物として、鉄鋼業から副産される高炉スラグがある。高炉スラグの活性度を判断する指標の一つとして塩基度が用いられており、JIS R 5211:2019「高炉セメント」では下記式(A)によって算出される塩基度(以下、JIS塩基度とも表記する)が1.60以上の高炉スラグを高炉セメントに用いると定めている。
塩基度=(CaO+Al+MgO)/SiO … 式(A)
しかし、国内でセメント添加用に利用される高炉スラグとしては、強度発現に有利とされる高塩基度の高炉スラグが選別されて用いられている。このような高炉スラグとしてJIS塩基度が概ね1.85以上のものが多く用いられている。JIS塩基度が1.60以上であっても塩基度の低い高炉スラグは一般に強度発現性が低いとされており、国内ではセメント添加用の高炉スラグとしての利用が少ない傾向にあった。例えば、特許文献1では高炉スラグを多量に添加することでCO排出量を低減したセメント組成物が開示されているが、使用されている高炉スラグはJIS塩基度が1.85~1.91と高いものとなっている。
一方で、セメント添加用の高炉スラグは、高炉セメントA種、B種、C種として知られる高炉スラグを多量に配合したセメント組成物の製造に使用されるほか、製造量が多い普通ポルトランドセメントの少量混合成分としても使用される。近年では、低炭素化を推進する試みとして、製造量が多い普通ポルトランドセメントの少量混合成分を増量させた場合を想定し、混合材を5質量%超添加した配合について検討が行われている。例えば、非特許文献1ではJIS塩基度1.85の高炉スラグが少量混合成分として用いられている。
特開2010-285302号公報
中口歩香他、「少量混合成分を増量したセメントの品質評価」、セメント・コンクリート論文集、2018、72巻、1号、p.389-395 丸屋英二他、「少量サンプル用断熱熱量計によるセメントの品質管理手法の開発」、セメント・コンクリート論文集、2007、61巻、1号、p.86-91
セメント製造に伴うCO排出量削減のために、セメントクリンカ代替として少量混合成分を増量する場合、現状の普通ポルトランドセメントと比較して、強度が低下する懸念がある。さらに、特許文献1で検討されるような高炉スラグの多量使用が増加すると、従来利用されているJIS塩基度の高い高炉スラグの入手が困難となる可能性があり、JIS塩基度の低い高炉スラグを有効利用することが必要となる。
しかし、低塩基度の高炉スラグ(JIS塩基度1.85未満の高炉スラグ)を使用する場合、高塩基度の高炉スラグを使用した場合に比べて強度が低下する懸念がある。また、少量混合成分としての利用を想定した高炉スラグの少量添加においては、低塩基度である高炉スラグの利用について充分な検討が行われていなかった。
本開示は、従来の普通ポルトランドセメントよりも混合材の使用量を増加させることでCO削減に寄与し、かつ、低塩基度である高炉スラグの有効利用に資する混合セメント組成物を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグを含み、上記高炉スラグは、高炉スラグの化学組成に基づいて下記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、かつ下記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下であり、上記高炉スラグの材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、上記高炉スラグの材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%であり、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下であり、上記高炉スラグの含有量は、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%である、混合セメント組成物を提供する。
Bu(7d)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al)/SiO-0.46×TiO-0.27×MnO … 式(1)
Bu(28d)=(CaO+0.42×MgO+0.16×Al)/SiO-0.60×TiO-0.14×MnO … 式(2)
上記式(1)及び上記式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示し、TiOは高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)を示し、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)示す。ただし、TiO含有率が0.8質量%以上の場合は、TiOを0.8質量%とする。
上記混合セメント組成物は、所定の条件を充足する高炉スラグを所定量で含むことから、CO削減に寄与し、かつ、低塩基度である高炉スラグの有効利用に資する。
上記高炉スラグの含有量が0.1~5.0質量%であってよい。
上記高炉スラグの化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65以上1.85未満であってよい。
JIS塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO … 式(3)
上記式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示す。
ブレーン比表面積が3000cm/g以上であってよい。
上記高炉スラグのMnO量が0.15質量%以上であってよい。
上記高炉スラグは、化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65未満である高炉スラグと、化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65以上である高炉スラグと、の混合物であってよい。
JIS塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO … 式(3)
上記式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示す。
本開示の一側面は、高炉スラグの化学組成に基づいて下記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、下記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下であり、材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%であり、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグを選別する選別工程と、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び上記高炉スラグを含む原料を混合する混合工程と、を有し、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下であり、上記高炉スラグの含有量は、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%である、混合セメント組成物の製造方法を提供する。
Bu(7d)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al)/SiO-0.46×TiO-0.27×MnO … 式(1)
Bu(28d)=(CaO+0.42×MgO+0.16×Al)/SiO-0.60×TiO-0.14×MnO … 式(2)
上記式(1)及び上記式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示し、TiOは高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)を示し、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)示す。ただし、TiO含有率が0.8質量%以上の場合は、TiOを0.8質量%とする。
上記混合セメント組成物の製造方法は、所定の条件を充足する高炉スラグを選別する工程と、選別された高炉スラグを所定量で配合する工程とを有することから、上述のようなCO削減に寄与し、かつ、低塩基度である高炉スラグの有効利用に資する混合セメント組成物を製造できる。
上記高炉スラグを、高炉スラグの化学組成に基づいて上記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、かつ上記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下である第一分画と、その他の第二分画とに、選別する工程を更に有し、上記混合工程は、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び前記第一分画を含む原料を混合する工程、又はセメントクリンカ、石膏、石灰石、及び前記第二分画を含む原料を混合する工程であり、上記第一分画の配合量は10質量%以下であり、上記第二分画の配合量は30質量%超60質量%未満であってよい。
上記高炉スラグは、化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65未満である高炉スラグと、化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65以上の高炉スラグと、を混合することによって、化学組成に基づいて下85未満となるように調製したものであってよい。
JIS塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO … 式(3)
上記式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示す。
本開示によれば、従来の普通ポルトランドセメントよりも混合材の使用量を増加させることでCO削減に寄与し、かつ、低塩基度である高炉スラグの有効利用に資するセメント組成物を提供できる。
図1は、材齢7日のモルタル硬化体における、高炉スラグの塩基度と、同スラグを用いたモルタル組成物の圧縮強さ比を同スラグの活性度指数A50で除した値と、の関係を示すグラフである。 図2は、材齢28日のモルタル硬化体における、高炉スラグの塩基度と、同スラグを用いたモルタル組成物の圧縮強さ比を同スラグの活性度指数A50で除した値と、の関係を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。なお、以下の説明では、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」を意味する。
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
混合セメント組成物の一実施形態は、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグを含む。
セメントクリンカは、例えば、普通セメントクリンカ、早強セメントクリンカ、中庸熱セメントクリンカ、低熱セメントクリンカ、及び油井セメントクリンカ等が挙げられる。この中でも、強度特性や入手のしやすさを考慮すると、普通セメントクリンカ、早強セメントクリンカが好適に使用できる。
セメントクリンカはCS、CS、CA、CAFを含み、それぞれの含有量をBogue式によって算出することができる。Bogue式とは、化学組成の含有比率からセメントクリンカ中の主要鉱物の含有率を算定する式として広く用いられる式である。以下に示すBogue式を用いることによって、セメントクリンカ中のケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2、Sで示す。)、ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2、Sで示す。)、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al、CAで示す。)、及び鉄アルミン酸四カルシウム(4CaO・Al・Fe、CAFで示す。)の含有量を算出することができる。化学式は、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」による化学分析値が示す各化合物の含有比率(質量%)を表す。
<Bogue式>
S[質量%]=(4.07×CaO[質量%])-(7.60×SiO[質量%])-(6.72×Al[質量%])-(1.43×Fe[質量%])-(2.85×SO[質量%])
S[質量%]=(2.87×SiO[質量%])-(0.754×CS[質量%])
A[質量%]=(2.65×Al[質量%])-(1.69×Fe[質量%])
AF[質量%]=3.04×Fe[質量%]
セメントクリンカ中のCS量は、好ましくは30.0~70.0質量%であるが、より好ましくは45.0~66.0質量%であり、更に好ましくは50.0~63.0質量%であり、更により好ましくは55.0~61.5質量%であり、特に好ましくは58.0~60.0質量%である。CS量の下限値を上記範囲内とすることによって、セメント組成物の硬化における初期強度をより向上させることができる。またCS量の上限値を上記範囲内とすることによって、セメント組成物の硬化時における発熱をより抑制することができる。
セメントクリンカ中のCS量は、好ましくは5.0~65.0質量%であるが、より好ましくは10.0~55.0質量%であり、更に好ましくは12.0~30.0質量%であり、更により好ましくは15.0~25.0質量%であり、特に好ましくは17.0~20.0質量%である。CS量の下限値を上記範囲内とすることによって、セメント組成物の硬化における長期強度をより向上させることができる。またCS量の上限値を上記範囲内とすることによって、セメント組成物の硬化における初期強度をより向上させることができる。
セメントクリンカにおけるCA量の下限値は、好ましくは7.0質量%以上であるが、より好ましくは8.0質量%以上であり、更に好ましくは8.5質量%以上であり、更により好ましくは9.0質量%以上であり、特に好ましくは9.3質量%以上である。CA量の下限値を上記範囲内とすることによって、セメントクリンカ原料となる石炭灰等の廃棄物・副産物利用量を増加させたセメント組成物を製造することができる。セメントクリンカにおけるCA量の上限値は、好ましくは13.0質量%以下であるが、より好ましくは12.0質量%以下であり、更に好ましくは11.0質量%以下であり、更により好ましくは10.0質量%であり、特に好ましくは9.7質量%以下である。CA量の上限値を上記範囲内とすることによって、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HOで表される化合物)の再生成を抑制することができ、またセメント組成物の硬化時における断熱温度上昇の増加をより低減することができる。
セメントクリンカにおけるCAF量の下限値は、好ましくは7.0質量%以上であるが、より好ましくは8.0質量%以上であり、更に好ましくは9.0質量%以上であり、更により好ましくは9.5質量%以上であり、特に好ましくは10.0質量%以上である。CAF量の下限値を上記範囲内とすることによって、セメントクリンカ原料となる石炭灰等の廃棄物・副産物利用量を増加させたセメント組成物を製造することができる。セメントクリンカにおけるCAF量の上限値は、好ましくは14.0質量%以下であるが、より好ましくは13.0質量%以下であり、更に好ましくは12.0質量%以下であり、更により好ましくは11.0質量%であり、特に好ましくは10.5質量%以下である。CAF量の上限値を上記範囲内とすることによって、セメント組成物の硬化時における断熱温度上昇の増加をより低減することができる。
石膏は、例えば、二水石膏、半水石膏、及び無水石膏等を使用することができる。石膏は、1種を単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。セメント組成物における石膏の含有量は、一般的なポルトランドセメントにおける石膏の含有量と同等であってよい。
混合セメント組成物における石膏の含有量は、SO換算で、混合セメント全量を100質量%として、例えば、0.5~3.5質量%、0.7~3.0質量%、又は1.0~2.5質量%であってよい。
石灰石としては、例えば、一般に販売されている石灰石及び石灰石粉、及び寒水石粉等の炭酸カルシウムを主成分とする粉末を使用することができる。石灰石は、好ましくは、JIS R 5210「ポルトランドセメント」に記載の少量混合成分に適合するものを含む。
高炉スラグにおける酸化アルミニウムの含有量(Al量とも表記する)は、12.7質量%以上である。高炉スラグのAl量の下限値は、例えば、12.8質量%以上、12.9質量%以上、又は13.0質量%以上であってよい。高炉スラグのAl量の下限値が上記範囲内であることで、初期の強度発現性をより向上させることができる。高炉スラグのAl量の上限値は、例えば、14.0質量%以下、13.9質量%以下、13.8質量%以下、又は13.7質量%以下であってよい。高炉スラグのAl量の上限値が上記範囲内であることで、長期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのAl量は上述の範囲内で調整してよく、例えば、12.7~14.0質量%であってよい。
高炉スラグにおける酸化カルシウムの含有量(CaO量とも表記する)の下限値は、例えば、35.0質量%以上、38.5質量%以上、又は40.0質量%以上であってよい。高炉スラグのCaO量の下限値が上記範囲内であることで、初期の強度発現性をより向上させることができる。高炉スラグのCaO量の上限値は、例えば、45.0質量%以下、43.5質量%以下、43.0質量%以下、42.5質量%以下、42.0質量%以下又は41.5質量%以下であってよい。高炉スラグのCaO量の上限値が上記範囲内であることで、長期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのCaO量は上述の範囲内で調整してよく、例えば、38.5~45.0質量%であってよい。
高炉スラグにおける二酸化ケイ素の含有量(SiO量とも表記する)の下限値は、例えば、30.0質量%以上、34.0質量%以上、34.5質量%以上、又は35.0質量%以上であってよい。高炉スラグのSiO量の下限値が上記範囲内であることで、初期及び長期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのSiO量の上限値は、例えば、40.0質量%以下、38.0質量%以下、36.5質量%以下、又は35.5質量%以下であってよい。高炉スラグのSiO量の上限値が上記範囲内であることで、初期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのSiO量は上述の範囲内で調整してよく、例えば、34.5~40.0質量%であってよい。
高炉スラグにおける酸化鉄(III)の含有量(Fe量とも表記する)の下限値は、例えば、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。高炉スラグのFe量の下限値が上記範囲内であることで、初期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのFe量の上限値は、例えば、4.0質量%以下、2.5質量%以下、2.0質量%以下、1.5質量%以下、又は1.0質量%以下であってよい。高炉スラグのFe量の上限値が上記範囲内であることで、初期及び長期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのFe量は上述の範囲内で調整してよく、例えば、0.1~4.0質量%であってよい。
高炉スラグにおける酸化マグネシウムの含有量(MgO量とも表記する)の下限値は、例えば、4.0質量%以上、5.5質量%以上、6.0質量%以上、7.0質量%以上、又は7.2質量%以上であってよい。高炉スラグのMgO量の下限値が上記範囲内であることで、初期及び長期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのMgO量の上限値は、例えば、10.0質量%以下、9.0質量%以下、7.5質量%未満、又は7.4質量%未満であってよい。高炉スラグのMgO量の上限値が上記範囲内であることで、初期の強度発現性が低下することを抑制できる。高炉スラグのMgO量は上述の範囲内で調整してよく、例えば、4.0~10.0質量%であってよい。
高炉スラグにおける酸化マンガンの含有量(MnO量とも表記する)の下限値は、例えば、0.15質量%以上、0.40質量%以上、0.70質量%以上、又は0.85質量%以上であってよい。MnO量の下限値がこのような範囲であることで、塩基度Bu(7d)及びBu(28d)が小さくなり、少量添加に適したものとなる。高炉スラグのMnO量の上限値は、例えば、3.00質量%以下、2.00質量%以下、1.50質量%以下、又は1.20質量%以下であってよい。MnO量の上限値がこのような範囲であることで、強度発現性を向上させることができる。高炉スラグのMnO量は上述の範囲内で調整してよく、例えば、0.15~3.00質量%であってよい。
本明細書における高炉スラグの化学組成は、JIS R 5202:2015「セメントの化学分析方法」の記載に準拠して測定した値を意味する。
高炉スラグは、高炉スラグの化学組成に基づいて下記式(1)及び式(2)から算出される塩基度が所定の範囲となっており、具体的には、下記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、かつ下記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下である。
Bu(7d)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al)/SiO-0.46×TiO-0.27×MnO … 式(1)
Bu(28d)=(CaO+0.42×MgO+0.16×Al)/SiO-0.60×TiO-0.14×MnO … 式(2)
上記式(1)及び上記式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示し、TiOは高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)を示し、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)示す。ただし、TiO含有率が0.8質量%以上の場合は、TiOを0.8質量%とする。
高炉スラグの化学組成に基づいて式(1)から算出される塩基度Bu(7d)の上限値は、例えば、1.20以下、1.15以下、1.05以下、0.95以下、又は0.85以下であってよい。塩基度Bu(7d)の上限値が上記範囲内であると、高炉スラグの含有量が低い場合であっても強度発現性の低下をより抑制できる。高炉スラグの式(1)から算出される塩基度Bu(7d)の下限値は、例えば、0.00以上、0.20以上、0.40以上、0.55以上、又は0.70以上であってよい。塩基度Bu(7d)の下限値が上記範囲内であると、高炉スラグの反応性の低下をより抑制できる。
高炉スラグの化学組成に基づいて式(2)から算出される塩基度Bu(28d)の上限値は、例えば、1.00以下、0.95以下、0.85以下、0.75以下、又は0.70以下であってよい。塩基度Bu(28d)の上限値が上記範囲内であると、高炉スラグの含有量が低い場合であっても強度発現性の低下をより抑制できる。高炉スラグの式(2)から算出される塩基度Bu(28d)の下限値は、例えば、0.00以上、0.20以上、0.40以上、0.55以上、又は0.60以上であってよい。塩基度Bu(28d)の下限値が上記範囲内であると、高炉スラグの反応性の低下をより抑制できる。
本明細書における高炉スラグの塩基度Bu(7d)、及び塩基度Bu(28d)は、JIS A 6206:2013に記載の方法によって取得された値を用いて、それぞれ式(1)及び式(2)に基づいて算出される値を意味する。
高炉スラグの化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度(以下、単にJIS塩基度とも表記する)の上限値は、例えば、1.85未満、1.80以下、1.78以下、1.76以下、又は1.74以下であってよい。高炉スラグのJIS塩基度の下限値は、例えば、1.65以上、1.68以上、又は1.70以上であってよい。高炉スラグのJIS塩基度は上述の範囲内で調整してよく、例えば、1.65以上1.85未満、又は1.65以上1.78以下であってよい。
JIS塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO … 式(3)
上記式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示す。
高炉スラグは混合物であってよく、例えば、JIS塩基度の低いスラグとJIS塩基度の高いスラグとの混合物であってよい。高炉スラグは、例えば、JIS塩基度が1.65未満である高炉スラグ(低塩基度スラグ)と、JIS塩基度が1.65以上の高炉スラグ(高塩基度スラグ)と、の混合物であってよい。このような混合物を用いることで、従来利用されていなかったJIS塩基度が低い高炉スラグの利用を促進し、環境負荷の低減に資することができる。
JIS塩基度が低い高炉スラグ(低塩基度スラグ)のJIS塩基度の下限値は、例えば、1.30以上、1.40以上、1.50以上、又は1.60以上であってよい。JIS塩基度が高い高炉スラグ(高塩基度スラグ)のJIS塩基度の上限値は、例えば、2.20以下、2.00以下、1.90以下、1.85未満であってよい。
高炉スラグがJIS塩基度の低いスラグとJIS塩基度の高いスラグの混合物である場合、混合物のJIS塩基度は上述の高炉スラグのJIS塩基度の要件を充足することが好ましく、当該JIS塩基度の要件を充足させる観点からJIS塩基度の低いスラグとJIS塩基度の高いスラグとの配合量を調整してよい。
高炉スラグの形態として、粒状であっても、粉末状であってもよい。混合セメントは、粒状の高炉スラグをセメントクリンカ、石膏等と混合粉砕して作製してもよく、別途粉砕された高炉スラグ微粉末を別途粉砕された各原料と混合してもよい。なお、高炉スラグ微粉末には石膏等の混合物が添加されたものを示す場合があるが、本明細書における高炉スラグのJIS塩基度、塩基度Bu(7d)及びBu(28d)は、石膏等の混合物を添加していない状態での高炉スラグの化学組成から算出した値を意味する。
高炉スラグは、材齢7日及び材齢28日における活性度指数が所定の範囲となっており、具体的には、材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、上記高炉スラグの材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%である。
高炉スラグの材齢7日における活性度指数A50(7d)の下限値は、例えば、63.5%以上、65.0%以上、66.5%以上、又は68.0%以上であってよい。高炉スラグの材齢7日における活性度指数A50(7d)の上限値は、例えば、96.5%以下、95.0%以下、93.0%以下、90.0%以下、80.0%以下、74.0%以下、又は70.0%以下であってよい。
高炉スラグの材齢28日における活性度指数A50(28d)の下限値は、例えば、86.5%以上、87.5%以上、88.5%以上、又は90.0%以上であってよい。高炉スラグの材齢28日における活性度指数A50(28d)の上限値は、例えば、111.0%以下、106.0%以下、101.0%以下、又は96.0%以下であってよい。活性度指数が低い高炉スラグは多量添加時に圧縮強さの低下が大きく、セメント添加用としては使いにくい傾向にあるが、活性度指数がこのような範囲である高炉スラグを少量添加時に用いることで、十分な高炉スラグの反応性及び少量添加時の強さ向上が得られ、高炉スラグの有効利用に資することが可能となる。
高炉スラグの含有量の下限値は、混合セメント組成物の全量基準で、例えば、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、1.5質量%以上、又は2.5質量%以上であってよい。高炉スラグの含有量の下限値がこのような範囲であることで、圧縮強さを大きくすることができる。高炉スラグの含有量の上限値は、混合セメント組成物の全量基準で、例えば、5.0質量%以下、4.5質量%以下、3.5質量%以下、又は3.0質量%以下であってよい。高炉スラグの含有量の上限値がこのような範囲であることで、断熱温度上昇を小さくすることができる。高炉スラグの含有量は上述の範囲内で調整してよく、混合セメント組成物の全量基準で、例えば、0.1~5.0質量%であってよい。
上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下である。上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量の下限値は、例えば、5.0質量%超、5.5質量%以上、6.5質量%以上、又は7.5質量%以上であってよい。上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量の下限値がこのような範囲であることで、セメントの低炭素化に資することができる。上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量の上限値は、例えば、10.0質量%以下、9.6質量%以下、9.3質量%以下、又は9.0質量%以下であってよい。上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量の上限値がこのような範囲であることで、圧縮強さを大きくすることができる。
上記高炉スラグの含有量は、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%である。上記高炉スラグの含有量の上限値は、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計量を基準として、例えば、90質量%以下、80質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、又は50質量%以下であってよい。上記高炉スラグの含有量の上限値がこのような範囲であることで、断熱温度上昇を小さくすることができる。上記高炉スラグの含有量の下限値は、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計量を基準として、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は20質量%以上であってよい。上記高炉スラグの含有量の下限値がこのような範囲であることで、圧縮強さを大きくすることができる。
高炉スラグの粉砕物のブレーン比表面積の下限値は、例えば、2500cm/g以上、3000cm/g以上、4000cm/g以上、4200cm/g以上、又は4400cm/g以上であってよい。高炉スラグの粉砕物のブレーン比表面積の下限値がこのような範囲であることで、圧縮強さを大きくすることができる。高炉スラグのブレーン比表面積の上限値は、例えば、20000cm/g以下、10000cm/g以下、8000cm/g以下、6000cm/g以下、又は5000cm/g以下であってよい。高炉スラグのブレーン比表面積の上限値がこのような範囲であることで、流動性やハンドリング性の低下を抑制することができる。
混合セメント組成物のブレーン比表面積の下限値は、例えば、3000cm/g以上、3200cm/g以上、3300cm/g以上、又は3450cm/g以上であってよい。混合セメント組成物のブレーン比表面積の下限値がこのような範囲であることで、圧縮強さを大きくすることができ、且つ低塩基度高炉スラグの少量添加時の長期強度発現効果が高まる。混合セメント組成物のブレーン比表面積の上限値は、例えば、6000cm/g以下、5000cm/g以下、4200cm/g以下、又は3850cm/g以下であってよい。混合セメント組成物のブレーン比表面積は上述の範囲内で調整してよく、例えば、3450~3850cm/gであってよい。混合セメント組成物のブレーン比表面積の上限値がこのような範囲であることで、流動性やハンドリング性の低下を抑制することができる。
本明細書における「ブレーン比表面積」は、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値を意味する。
混合セメントは、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグに加えて、本開示の趣旨を損なわない範囲で、他の成分を含んでよい。他の成分としては、例えば、石炭灰、シリカフューム、水酸化カルシウム、硅石粉、その他カルシウムを含む無機粉末(石膏、石灰石を除く)、コンクリート用減水剤、促進剤、及び遅延剤等が挙げられる。上記他の成分の含有量は、混合セメント組成物全量を100質量部として、例えば、10質量%以下であってよい。
上述の混合セメント組成物は例えば、以下のような方法によって製造することができる。混合セメント組成物の製造方法の一実施形態は、化学組成に基づいて上記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、上記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下であり、材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%であり、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグを選別する選別工程と、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び上記高炉スラグを含む原料を混合する混合工程と、を有する。上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下であり、上記高炉スラグの含有量は、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%である。
選別工程では、高炉スラグから、化学組成に基づいて上記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、上記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下であり、材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%であり、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグを選別する工程である。選別前の高炉スラグは、一般に入手できるものを使用してよい。入手した高炉スラグのロット毎に、塩基度Bu(7d)、塩基度Bu(28d)、活性度指数A50(7d)、活性度指数A50(28d)を測定して、上述の要件を満たすロットと、満たさないロットとに選別する。
上述の要件を満たす高炉スラグは、JIS塩基度が1.65未満である高炉スラグと、JIS塩基度が1.65以上の高炉スラグと、を混合することによって、JIS塩基度が、1.65~1.85となるように調製したものであってよい。
混合工程は、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び上記高炉スラグを含む原料を、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下となり、上記高炉スラグの含有量は、上記石灰石及び上記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%となるように混合する工程である。
混合工程においては、各主成分の混合の他、各主成分を破砕してもよく、混合及び破砕の順序は特に限定されるものではない。すなわち、各主成分を混合した後に破砕を行ってもよく、各主成分を破砕した後に混合してもよく、また各主成分の混合と破砕とを同時に行ってもよい。混合工程における各主成分の混合は、例えば、パン型ミキサー、傾胴式ミキサー、リボンミキサー等の混合機を用いて行ってよく、ボールミル又は竪型ローラーミル、及びローラープレス等の粉砕機を用いて混合粉砕してもよく、又は各主成分のそれぞれを粉砕した後に機械混合機等の混合機で混合してもよい。
上述の製造方法は、選別工程、及び混合工程の他の工程を備えてもよい。
上述の製造方法は、上記高炉スラグ(選別工程によって選別された高炉スラグ)を、化学組成に基づいて上記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、かつ上記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下である第一分画と、その他の第二分画とに、選別する工程を更に有してよい。この場合、上記混合工程は、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び上記第一分画を含む原料を混合する工程とすることができ、上記第一分画の配合量が10質量%以下であってよい。高炉スラグの上記第一分画は、Bu(7d)及びBu(28d)が低く、活性度指数が比較的小さく、少量添加時の圧縮強さ比が比較的大きい高炉スラグであるから、普通ポルトランドセメントの少量混合成分として好適である。そのため、少量混合(例えば、10質量%以下、又は5質量%以下)として用いる混合セメント組成物の製造に適する。
上述の製造方法は、上記高炉スラグ(選別工程によって選別された高炉スラグ)を、化学組成に基づいて下記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、かつ上記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下である第一分画と、その他の第二分画とに、選別する工程を更に有してよい。この場合、上記混合工程は、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び上記第二分画を含む原料を混合する工程とすることができ、上記第二分画の配合量は30質量%超60質量%未満であってよい。高炉スラグの上記第二分画はBu(7d)及びBu(28d)が大きく、活性度指数が比較的大きく、少量添加時の圧縮強さ比が比較的小さい高炉スラグであるから、高炉セメントB種を製造する際の高炉スラグとして好適である。つまり、第二分画を混合工程で用いる製法によって得られる混合セメント組成物は、高炉セメントB種として使用し得る。
上述の製造方法によって製造される混合セメント組成物は、細骨材、粗骨材、水、混和材等と混合してモルタルとして使用してもよい。
細骨材は、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の細骨材等を用いることができる。細骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、銅スラグ細骨材、及び電気炉酸化スラグ細骨材等が挙げられる。細骨材を使用する場合、細骨材の使用量は、上述の混合セメント組成物100質量部に対して、例えば、50~500質量部、100~300質量部、又は200~250質量部であってよい。
粗骨材は、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の粗骨材等を用いることができる。粗骨材としては、例えば、砂利、及び砕石等が挙げられる。粗骨材を使用する場合、粗骨材の使用量は、上述の混合セメント組成物100質量部に対して、例えば、50~500質量部、100~300質量部、又は200~250質量部であってよい。
細骨材及び粗骨材を併用することもできるが、この場合、細骨材及び粗骨材の合計の使用量は、上述の混合セメント組成物100質量部に対して、100~300質量部、又は200~250質量部であってよい。
水としては、例えば、水道水、蒸留水、及び脱イオン水等が挙げられる。水の使用量は、上述の混合セメント組成物100質量部に対して、20~100質量部、又は40~70質量部であってよい。
混和剤は、例えば、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、消泡剤、収縮低減剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、及び増粘剤等が挙げられる。混和剤の使用量は、上述の混合セメント組成物100質量部に対して、例えば、0.01~2質量部であってよい。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。また、上述した実施形態についての説明内容は、互いに適用することができる。
以下、実施例、比較例、及び参考例を参照して本開示の内容をより詳細に説明する。ただし、本開示は、下記の実施例に限定されるものではない。
[混合セメント組成物の原料]
混合セメント組成物の原料として以下の物を用いた。
(セメントクリンカ)
セメントクリンカは、Bogue式による鉱物組成が下記表1の記載となるような普通ポルトランドセメントクリンカを用いた。
Figure 0007219785000001
(石膏)
石膏は、JIS R 9151:2009「セメント用天然せっこう」に記載の要件を満たす石膏を用いた。
(石灰石)
石灰石は、JIS R 5210:2009「ポルトランドセメント」に記載の少量混合成分の要件を満たす石灰石を用いた。
(高炉スラグ)
BS1、BS4~BS6は、石膏を含まない市販の高炉水砕スラグを用いた。BS2はBS1とBS4を1:3の質量比で混合して調製したものであり、BS3はBS1とBS4を1:1の質量比で混合して調製したものである。当該高炉スラグのそれぞれについて、JIS R 5202:2015「セメントの化学分析方法」の記載に準拠して測定した化学組成を表2に示す。また当該高炉スラグの活性度指数A50は下記の方法で測定した。
[高炉スラグの活性度指数の測定]
高炉スラグ活性度指数の評価は、JIS A 6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」の付属書に記載されている「高炉スラグ微粉末のモルタルによる活性度指数及びフロー値比の試験方法」に準拠し、材齢7日、及び28日における値を測定した。
Figure 0007219785000002
(実施例1~14、比較例1~6、及び参考例1)
セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び高炉スラグを表3及び表4に示す配合割合(質量部)で、混合及び破砕することによって混合セメント組成物を調製した。具体的には、まずセメントクリンカ、石膏、及び石灰石をボールミルにて混合粉砕することで、参考例1のセメント組成物を作製した。その後、参考例1のセメント組成物と、別途粉砕された高炉スラグ微粉末及び石灰石微粉末とを所定の割合で混合することによって、実施例及び比較例のセメント組成物を得た。
<圧縮強さの測定>
実施例1~14、比較例1~6、及び参考例1で調製した各混合セメント組成物を用いて、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」の記載に準拠して圧縮強さ比の測定を行った。
具体的にはまず、上記混合セメント組成物100質量部に対して、細骨材として、セメント協会から入手したセメント強さ試験用標準砂を300質量部、及び水を50質量部混合し、モルタル組成物を調製した。当該モルタル組成物を20℃の恒温室にて練り混ぜ、及び型詰めを行い、型枠を湿気箱内に貯蔵して24時間養生をした。24時間養生の後に脱型し、モルタル硬化体を得た。得られたモルタル硬化体は、材齢7日及び28日まで20℃の恒温室で水中養生を行った後に、圧縮強さを測定した。
基準モルタル硬化体の圧縮強さに対する、測定対象のモルタル硬化体の圧縮強さの比を圧縮強さ比Amとした。基準モルタル硬化体は、参考例1(少量混合成分が5質量%以下である現状の普通ポルトランドセメント相当)のセメント組成物を用いて、上述の活性度指数測定用のモルタル硬化体の調製と同様にして調製され、20℃において脱型後に、材齢7日、28日まで水中養生したモルタル硬化体を用いた。基準モルタル硬化体の圧縮強さを、同様に測定し、得られた値を用いて、各モルタル硬化体の圧縮強さ比Amを算出した。結果を表3及び表4に示す。
<圧縮強さ比と高炉スラグの活性度指数との関係の評価>
実施例1~14、比較例1~6、及び参考例1で調製した各混合セメント組成物を用いたモルタル組成物に対する上述の評価によって得られた圧縮強さ比と、その原料である混合セメントの調製に用いた高炉スラグの活性度指数A50、及び塩基度Buとの関係を評価した。具体的には、圧縮強さ比を活性度指数A50で除した値(Am/A50)と、塩基度Buとの関係を指標とした。Am/A50の値が大きいほど、高炉スラグを少量添加した場合の強度発現の観点から有利であり、その評価に用いた高炉スラグが少量添加の用途に適しているといえる。結果を表3及び表4、並びに図1及び図2に示す。
<断熱温度の測定>
実施例5,6,10,11及び比較例4で調製した各混合セメント組成物を用いて、後述する方法に従って断熱温度の測定を行った。
具体的にはまず、上記混合セメント組成物100質量部に対して、細骨材として砕砂(山口県宮野産)を318質量部、及び水を55質量部混合し、モルタル組成物を調製した。当該モルタル組成物を練り混ぜ、所定量を20mLの測定容器に詰め、熱電対を挿入し、少量サンプル用断熱熱量計(株式会社東京理工製、製品名:ATR-6L)を用いて、発熱量を測定した。測定時間は、断熱温度上昇が終息するまでの時間(2~3日間)とした。なお、発熱量の測定においては熱電対によってモルタル組成物の温度を測定し、測定容器の周囲の温度が、熱電対で測定される温度と同じ温度となるように測定容器を設置した槽内温度を制御することによって断熱条件であると近似した。そして、終局の温度上昇量(℃)を断熱状態における温度上昇量として評価した。なお、断熱温度上昇速度は、測定結果をコンクリート工学協会で提案されている断熱温度上昇回帰式(下記式(4))に当てはめて評価した。
Q(t)=Q∞(1-exp(-γ(t-t))) … 式(4)
上記式(4)中、Q(t)は断熱温度上昇量(℃)を示し、Q∞は終局の断熱温度上昇量(℃)を示し、tは材齢(日)を示し、tは発熱開始材齢(日)を示す。γは温度上昇速度に関する定数である。
ただし、本測定で用いた少量サンプル用断熱熱量計の装置では、近似した断熱条件であっても装置からの熱損失があるため、非特許文献2に記載の方法に準拠し、装置からの熱損失分を補正し、断熱温度上昇量を求めた。結果を表3及び表4に示す。
Figure 0007219785000003
Figure 0007219785000004
図1及び図2は、材齢7日及び28日のモルタル硬化体における、高炉スラグの塩基度と、同スラグを用いたモルタル組成物の圧縮強さ比を同スラグの活性度指数A50で除した値(Am/A50)と、の関係を示すグラフである。図1、図2に示されるように、塩基度Buが小さいほど、上記Am/A50の値が増加する傾向にあることが確認できる。
表3はブレーン比表面積が3300±100cm/gであるセメント組成物の評価結果を示したものである。ブレーン比表面積と高炉スラグ配合量とが同程度のセメント組成物について比較した場合、Bu(7d)及びBu(28d)が小さいほどAm/A50の値が増加する傾向が認められる。
比較例1と実施例1~3との比較、並びに比較例3と実施例4~6との比較から、Bu及びA50が小さい高炉スラグBS1を用いたセメント組成物(比較例1,3)では少量添加時の圧縮強さ比Amが小さく、特に材齢7日での圧縮強さ比Amは、各比較例が対応するいずれの実施例よりも小さい。BS3~BS5のように活性度指数A50が一定以上である高炉スラグを用いることで、少量添加された場合でも良好な圧縮強さ比Amが得られることが確認された。
一方で、比較例2と実施例1~3との比較、並びに比較例4と実施例4~6との比較から、従来の技術常識では強度発現性に優れるとされるJIS塩基度が高い高炉スラグBS6を配合した比較例2,4の圧縮強さ比Amは、対応するいずれの実施例よりも低い。したがって、少量添加用途においては、BS3~BS5のような塩基度Bu(7d)及びBu(28d)が小さい高炉スラグの使用がより好ましいといえる。
表4はブレーン比表面積が3600±50cm/gであるセメント組成物の評価結果を示したものである。ブレーン比表面積と高炉スラグ配合量が同程度のセメント組成物について比較した場合、Bu(7d)及びBu(28d)が小さいほど概ねAm/A50の値が増加する傾向が認められる。しかし、A50が小さい高炉スラグであるBS1を用いた比較例5,6においては、Am/A50の値が高くはあるものの、材齢7日の圧縮強さ比Amが小さく、十分な圧縮強さが得られない結果となった。
実施例5と比較例4、実施例10と実施例11は、それぞれブレーン比表面積と配合比が同等であり、使用された高炉スラグが異なるセメント組成物である。Bu(7d)及びBu(28d)が低い高炉スラグを用いたセメント組成物(実施例5,10)では、断熱温度上昇が低下する傾向が確認された。また、実施例8と実施例11は同一の高炉スラグを用いて、高炉スラグの添加量を変えたセメント組成物であるが、高炉スラグの添加量が小さいほど断熱温度上昇は低下している。
表3及び表4に示されるとおり、JIS塩基度が1.85未満の高炉スラグ(低塩基度の高炉スラグ)であっても、本開示の高炉スラグの要件を充足する高炉スラグを本開示の配合量で用いることによって、例えば、十分な圧縮強さ比を発揮し得ることが確認された。つまり、上述のような用途で使用することによって、低塩基度である高炉スラグを有効に利用することができる。
また、ブレーン比表面積に対して対比可能なBS1、BS3,BS4について比較した場合、表3に示されるように、ブレーン比表面積が低い混合セメント組成物(実施例1、2、3、5、比較例1、3)においては、全体としてJIS塩基度及び塩基度Bu(28d)が高い高炉スラグを配合した場合に材齢28日の圧縮強さ比も大きくなる傾向を見ることができる。一方、表4に示されるブレーン比表面積が高いセメント組成物(実施例8、9、11、12、比較例5,6)においては、JIS塩基度及び塩基度Bu(28d)が低い高炉スラグを用いた場合に材齢28日の圧縮強さ比が大きくなる傾向を見ることができる。
従来、高炉セメントでは、JIS塩基度が高い高炉スラグを用いることが優れた圧縮強さの発現に有利であるとされているが、本開示の上述の結果は、高炉スラグを少量添加し、ブレーン比表面積が大きいセメント組成物とする場合にあっては、JIS塩基度がより高い高炉スラグを使用するのではなく、むしろ、JIS塩基度及び塩基度Bu(28d)がある程度低い高炉スラグを用いることによって、安定して長期の圧縮強さを発揮し得るということを示しているといえる。
本開示によれば、従来の普通ポルトランドセメントよりも混合材の使用量を増加させることでCO削減に寄与し、かつ、低塩基度である高炉スラグの有効利用に資するセメント組成物を提供できる。

Claims (9)

  1. セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグを含み、
    前記高炉スラグは、高炉スラグの化学組成に基づいて下記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が0.95以下であり、かつ下記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が0.75以下であり、
    前記高炉スラグの材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、前記高炉スラグの材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%であり、
    前記石灰石及び前記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下であり、
    前記高炉スラグの含有量は、前記石灰石及び前記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%である、混合セメント組成物。
    Bu(7d)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al)/SiO-0.46×TiO-0.27×MnO … 式(1)
    Bu(28d)=(CaO+0.42×MgO+0.16×Al)/SiO-0.60×TiO-0.14×MnO … 式(2)
    [式(1)及び式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示し、TiOは高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)を示し、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)示す。ただし、TiO含有率が0.8質量%以上の場合は、TiOを0.8質量%とする。]
  2. 前記高炉スラグの含有量が0.1~5.0質量%である、請求項1に記載の混合セメント組成物。
  3. 前記高炉スラグの化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65以上1.85未満である、請求項1又は2に記載の混合セメント組成物。
    JIS塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO … 式(3)
    [式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示す。]
  4. ブレーン比表面積が3000cm/g以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合セメント組成物。
  5. 前記高炉スラグのMnO量が0.15質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の混合セメント組成物。
  6. 前記高炉スラグは、
    化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65未満である高炉スラグと、
    化学組成に基づいて下記式(3)から算出される塩基度が1.65以上である高炉スラグと、の混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の混合セメント組成物。
    JIS塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO … 式(3)
    [式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示す。]
  7. 化学組成に基づいて下記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が0.95以下であり、下記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が0.75以下であり、材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%であり、Al量が12.7質量%以上である高炉スラグを選別する選別工程と、
    セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び前記高炉スラグを含む原料を混合する混合工程と、を有し、
    前記石灰石及び前記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下であり、
    前記高炉スラグの含有量は、前記石灰石及び前記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%である、混合セメント組成物の製造方法。
    Bu(7d)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al)/SiO-0.46×TiO-0.27×MnO … 式(1)
    Bu(28d)=(CaO+0.42×MgO+0.16×Al)/SiO-0.60×TiO-0.14×MnO … 式(2)
    [式(1)及び式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示し、TiOは高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)を示し、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)示す。ただし、TiO含有率が0.8質量%以上の場合は、TiOを0.8質量%とする。]
  8. 化学組成に基づいて下記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、下記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下であり、材齢7日における活性度指数A50(7d)は63.5~96.5%であり、且つ、材齢28日における活性度指数A50(28d)は86.5~111.0%であり、Al 量が12.7質量%以上である高炉スラグを選別する選別工程と、
    前記高炉スラグを、化学組成に基づいて前記式(1)から算出される塩基度Bu(7d)が1.20以下であり、かつ前記式(2)から算出される塩基度Bu(28d)が1.00以下である第一分画と、その他の第二分画とに、選別する工程と、
    セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び前記高炉スラグを含む原料を混合する混合工程と、を有し、
    前記混合工程は、セメントクリンカ、石膏、石灰石、及び前記第一分画を含む原料を混合する工程、又はセメントクリンカ、石膏、石灰石、及び前記第二分画を含む原料を混合する工程であり、
    前記第一分画の配合量は10質量%以下であり、前記第二分画の配合量は30質量%超60質量%未満であり、
    前記石灰石及び前記高炉スラグの合計の含有量は5.0質量%超10.0質量%以下であり、
    前記高炉スラグの含有量は、前記石灰石及び前記高炉スラグの合計量を基準として、1~90質量%である、混合セメント組成物の製造方法。
    Bu(7d)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al )/SiO -0.46×TiO -0.27×MnO … 式(1)
    Bu(28d)=(CaO+0.42×MgO+0.16×Al )/SiO -0.60×TiO -0.14×MnO … 式(2)
    [式(1)及び式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Al は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiO は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示し、TiO は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)を示し、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)示す。ただし、TiO 含有率が0.8質量%以上の場合は、TiO を0.8質量%とする。]
  9. 前記高炉スラグは、化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65未満である高炉スラグと、化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が1.65以上の高炉スラグと、を混合することによって、化学組成に基づいて下記式(3)から算出されるJIS塩基度が、1.65以上1.85未満となるように調製したものである、請求項7又は8に記載の製造方法。
    JIS塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO … 式(3)
    [式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)を示し、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)を示し、Alは高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)を示し、SiOは高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)を示す。]
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