JP2023147896A - セメント組成物及びその製造方法 - Google Patents

セメント組成物及びその製造方法 Download PDF

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香奈子 森
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Abstract

【課題】C3Aの含有率が大きい場合であっても、耐硫酸塩性に優れたセメント組成物を提供する。【解決手段】セメントと石膏粉末の混合物、又は、セメントの粉砕物と石膏粉末の混合物からなるセメント組成物であって、セメントは、水硬率が2.18~2.30、ケイ酸率が2.40~2.54、鉄率が1.74~1.90を満たすものであり、セメント組成物は、ボーグ式を用いて算出したアルミン酸三カルシウムの含有率が8.0質量%以上、ブレーン比表面積が3,500~3,850cm2/g、セメント中の石膏と石膏粉末の合計の含有率がSO3換算で2.4~2.9質量%、及び、石膏粉末の含有率がSO3換算で0.4~0.9質量%を満たすものであり、石膏粉末は、50μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以上、及び、200μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以下を満たすものであるセメント組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント組成物及びその製造方法に関する。
硫酸塩を含む土壌では、コンクリート等のセメント質硬化体が、硫酸塩によって劣化するという問題がある。
耐硫酸塩性が高いセメント組成物として、特許文献1には、セメントと石灰石粉末との質量部比率で5:95~100:0の組成物に、該組成物100質量部に対して1~10質量部のナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物塩そして0.005~0.1質量部の増粘剤及び/又は5~30質量部のシリカ微粉末、フライアッシュもしくは高炉スラグ微粉末を加えてなる耐硫酸性セメント組成物が記載されている。
また、特許文献2には、炭酸カルシウム、石膏及びシリカフュームを含有するセメント添加材を含むことを特徴とするセメント組成物が記載されている。
さらに、特許文献3には、高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントを主体とする混合セメントにおいて、アルミナ含有比率が12~17.5質量%の高炉スラグ微粉末の混合比率を10~60質量%とし、かつ、当該混合セメントに、比表面積が7,000cm/g以上である石膏がSO質量換算で2~4質量%混合されていることを特徴とする耐硫酸塩セメントが記載されている。
特開2004-331459号公報 特開2009-227549号公報 特開2008-201656号公報
「JIS R 5210:2019(ポルトランドセメント)」には、耐硫酸塩ポルトランドセメントとして、アルミン酸三カルシウム(以下、「CA」ともいう。)の含有率が4質量%以下であることが規定されている。
本発明の目的は、CAの含有率が大きい(具体的には、8.0質量%以上)場合であっても、耐硫酸塩性に優れたセメント組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水硬率(H.M.)が2.18~2.30、ケイ酸率(S.M.)が2.40~2.54、鉄率(I.M.)が1.74~1.90の各数値範囲を満たすセメント又は該セメントの粉砕物と、石膏粉末の混合物からなるセメント組成物であって、アルミン酸三カルシウムの含有率が8.0質量%以上、ブレーン比表面積が3,500~3,850cm/g、セメント中の石膏と石膏粉末の合計の含有率がSO換算で2.4~2.9質量%、及び、石膏粉末の含有率がSO換算で0.4~0.9質量%の各数値範囲を満たすものであり、石膏粉末は、50μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以上、及び、200μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以下の各数値範囲を満たすセメント組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供するものである。
[1] セメントと石膏粉末の混合物、又は、上記セメントの粉砕物と石膏粉末の混合物からなるセメント組成物であって、上記セメントは、水硬率(H.M.)が2.18~2.30、ケイ酸率(S.M.)が2.40~2.54、鉄率(I.M.)が1.74~1.90、の各数値範囲を満たすものであり、上記セメント組成物は、ボーグ式を用いて算出したアルミン酸三カルシウムの含有率が8.0質量%以上、ブレーン比表面積が3,500~3,850cm/g、上記セメント中の石膏と上記石膏粉末の合計の含有率がSO換算で2.4~2.9質量%、及び、上記石膏粉末の含有率がSO換算で0.4~0.9質量%、の各数値範囲を満たすものであり、上記石膏粉末は、50μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以上、及び、200μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以下、の各数値範囲を満たすものであることを特徴とするセメント組成物。
[2] 上記セメントが、普通ポルトランドセメントである前記[1]に記載のセメント組成物。
[3] 上記石膏粉末は、50~100μmの粒度を有する粉末の割合が7質量%以上、の数値範囲を満たすものである前記[1]又は[2]に記載のセメント組成物。
[4] 上記セメント組成物は、「JIS R 5201:2015」(セメントの物理試験方法)に準拠して測定される圧縮強さが材齢3日で30N/mm以上のものである前記[1]~[3]のいずれかに記載のセメント組成物。
[5] 前記[1]~[4]のいずれかに記載のセメント組成物を製造するための方法であって、上記セメントと上記石膏粉末を混合して、又は、上記セメントを粉砕して上記セメントの粉砕物を得た後、該粉砕物と上記石膏粉末を混合して、上記セメント組成物を得る混合工程、を含むことを特徴とするセメント組成物の製造方法。
[6] 上記混合工程において、上記セメントのブレーン比表面積が3,400cm/g以下である場合、上記セメントを粉砕して上記セメントの粉砕物を得た後、該粉砕物と上記石膏粉末を混合して、上記セメント組成物を得る前記[5]に記載のセメント組成物の製造方法。
本発明のセメント組成物は、CAの含有率が大きい(具体的には、8.0質量%以上)にもかかわらず、耐硫酸塩性に優れたものである。
本発明のセメント組成物は、セメントと石膏粉末の混合物、又は、セメントの粉砕物と石膏粉末の混合物からなるセメント組成物であって、セメントは、水硬率(H.M.)が2.18~2.30、ケイ酸率(S.M.)が2.40~2.54、鉄率(I.M.)が1.74~1.90、の各数値範囲を満たすものであり、セメント組成物は、ボーグ式を用いて算出したアルミン酸三カルシウムの含有率が8.0質量%以上、ブレーン比表面積が3,500~3,850cm/g、セメント中の石膏と石膏粉末の合計の含有率がSO換算で2.4~2.9質量%、及び、石膏粉末の含有率がSO換算で0.4~0.9質量%、の各数値範囲を満たすものであり、石膏粉末は、50μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以上、及び、200μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以下、の各数値範囲を満たすものである。
以下、詳しく説明する。
本発明で用いられるセメントの例としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、エコセメント等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、セメントの入手の容易性や、アルミン酸三カルシウムの含有率が8.0質量%以上であるセメント組成物を得る観点から、普通ポルトランドセメントが好ましい。
セメントのブレーン比表面積は、入手の容易性や、セメント組成物のブレーン比表面積の調整(3,500~3,850cm/gに調整すること)が容易になる観点から、好ましくは3,400cm/g以下、より好ましくは3,000~3,300cm/g、特に好ましくは3,100~3,250cm/gである。
本発明では、セメント組成物のブレーン比表面積の調整(3,500~3,850cm/gに調整すること)が容易になる観点から、上述したセメントの代わりに、該セメントを粉砕してなるセメントの粉砕物を用いてもよい。
セメントの粉砕物を用いる場合、上記セメントのブレーン比表面積は、好ましくは3,400cm/g以下、より好ましくは3,000~3,300cm/g、特に好ましくは3,100~3,250cm/gである。
セメントのアルミン酸三カルシウム(3CaO・Al;アルミネート相ともいう。)の含有率は8.0質量%以上、好ましくは8.5質量%以上、より好ましくは9.0質量%以上である。上記含有率が8.0質量%未満であると、セメント組成物の強度発現性(特に材齢3日、材齢7日の強度)が低下する。また、一般的な材料(例えば、普通ポルトランドセメント)を用いて、本発明のセメント組成物(上記含有率が8.0質量%以上であるもの)を製造することができる。上記含有率は、製造の容易性および耐硫酸塩性がより向上する観点からは、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下である。
セメントのエーライト(3CaO・SiO;「CS」ともいう。)の含有率は、セメント組成物の耐硫酸塩性、強度発現性及び流動性等の観点から、好ましくは53.0~70.0質量%、より好ましくは55.0~67.0質量%、特に好ましくは58.0~65.0質量%である
セメントのビーライト(2CaO・SiO;「CS」ともいう。)の含有率は、セメント組成物の耐硫酸塩性、強度発現性及び流動性等の観点から、好ましくは6.0~18.0質量%、より好ましくは7.5~16.0質量%、特に好ましくは9.0~14.0質量%である。
セメントのフェライト相(4CaO・Al・Fe;「CAF」ともいう。)の含有率は、セメント組成物の耐硫酸塩性、製造の容易性等の観点から、好ましくは5.0~15.0質量%、より好ましくは7.0~12.0質量%、特に好ましくは8.0~10.0質量%である。
セメントのアルミン酸三カルシウム等の各含有率は、セメントの化学分析の結果から、以下のボーグの式を用いて算出することができる。
(1) アルミン酸三カルシウム=(2.65×Al)-(1.69×Fe
(2) エーライト=(4.07×CaO)-(7.60×SiO)-(6.72×Al)-(1.43×Fe)-(2.85×SO
(3) ビーライト=(2.87×SiO2)-(0.754×CS)
(4) フェライト相=(3.04×Fe
セメントの水硬率(H.M.)は、2.18~2.30、好ましくは2.19~2.28、より好ましくは2.20~2.25である。上記水硬率(H.M.)が上記数値範囲を満たさない場合、セメント組成物の耐硫酸塩性及び強度発現性が低下する。また、上記水硬率が2.18未満であると、セメント組成物の初期強度発現性が低下する。上記水硬率が2.30を超えると、水和熱がより大きくなる。
セメントのケイ酸率(S.M.)は、2.40~2.54、好ましくは2.41~2.53、より好ましくは2.42~2.52である。上記ケイ酸率(S.M.)が上記数値範囲を満たさない場合、セメント組成物の耐硫酸塩性及び強度発現性が低下する。また、また、上記ケイ酸率が2.40未満であると、セメント組成物の水和熱が大きくなる。上記ケイ酸率が2.54を超えると、原料としての廃棄物の使用量を増やすことが難しくなる。
セメントの鉄率(I.M.)は、1.74~1.90、好ましくは1.74~1.80、より好ましくは1.74~1.75である。上記鉄率(I.M.)が上記数値範囲を満たさない場合、セメント組成物の耐硫酸塩性及び強度発現性が低下する。また、上記鉄率が1.74未満であると、初期強度発現性が低下する。上記鉄率が1.90以上であると、水和熱が大きくなる。
セメントの水硬率、ケイ酸率、及び鉄率は、それぞれ、下記式を用いて算出することができる。
水硬率=(CaO-0.7×SO)/(SiO+Al+Fe
ケイ酸率=SiO/(Al+Fe
鉄率=Al/Fe
(上記式中の化学式は、セメント中の、該化学式が表す化合物の含有率(質量%)を表す。)
セメント中のMgOの含有率は、セメント組成物の耐硫酸塩性及び強度発現性をより向上させる観点から、好ましくは1.30質量%以上、より好ましくは2.00~4.00質量%である。
また、セメント中のPの含有率は、セメント組成物の耐硫酸塩性及び強度発現性をより向上させる観点から、好ましくは0.47質量%以下、より好ましくは0.15~0.40質量、さらに好ましくは0.20~0.30質量%である。
石膏粉末の石膏としては、例えば、天然二水石膏、排煙脱硫石膏、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏等の粉末が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、石膏の形態の例としては、二水石膏、半水石膏及び無水石膏が挙げられる。石膏粉末は、1種の形態のみからなる粉末であってもよく、2種以上の形態を含む粉末であってもよい。
石膏粉末は、50μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以上(好ましくは13~80質量%、より好ましくは20~70質量%、特に好ましくは30~55質量%)、及び、200μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以下(好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、よく似好ましくは2質量%以下)の各数値範囲を満たすものである。上記数値範囲を満たさない粒度分布を有する石膏粉末を用いた場合、セメント組成物の耐硫酸塩性が低下する。
また、石膏粉末の50~100μmの粒度を有する粉末の割合は、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは20~50質量%、特に好ましくは30~40質量%である。上記数値範囲を満たす粒度分布を有する石膏粉末を用いた場合、セメント組成物の耐硫酸塩性がより向上する。
なお、本明細書中、粒度の値は、篩の目開き寸法に対応する値である。
石膏粉末のD50(メディアン径)は、セメント組成物の耐硫酸塩性がより向上する観点から、好ましくは10~70μm、より好ましくは12~65μmである。
なお、D50(メディアン径)とは、粉粒状物を、特定の粒度を境にして、該粒度よりも小さな粒度のもの(小さな粒度の集合体)と、該粒度より大きな粒度のもの(大きな粒度の集合体)に分けた場合に、これら小さな粒度の集合体を大きな粒度の集合体とが同量(例えば、各々、50体積%づつ)になるときの特定の粒度をいう。
本明細書中、「メディアン径」は、体積基準であり、レーザー回折散乱粒度分布測定装置または「JIS Z 8815-1994(ふるい分け試験方法通則)」に準拠したふるい分け法を用いて、体積累積分布を作成することで得ることができる。
セメント組成物に含まれる石膏粉末の含有率は、SO換算で0.4~0.9質量%、好ましくは0.45~0.85質量%、より好ましくは0.5~0.85質量%である。上記含有率が上記数値範囲を満たさない粒度分布を有する石膏粉末を用いた場合、セメント組成物の耐硫酸塩性が低下する。
なお、本明細書中、石膏粉末には、セメントに含まれる石膏は含まれないものとする。
セメント組成物の、ボーグ式を用いて算出した、アルミン酸三カルシウムの含有率は8.0質量%以上、好ましくは8.3質量%以上、より好ましくは8.6質量%以上である。上記含有率が8.0質量%未満であると、セメント組成物の強度発現性(特に材齢3日、材齢7日の強度)が低下する。また、一般的な材料(例えば、普通ポルトランドセメント)を用いて、本発明のセメント組成物(上記含有率が8.0質量%以上であるもの)を製造することができる。上記含有率は、製造の容易性および耐硫酸塩性がより向上する観点からは、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下である。
セメント組成物のブレーン比表面積は、3,500~3,850cm/g、好ましくは3,510~3,840cm/g、より好ましくは3,510~3,830cm/gである。上記比表面積が3,500cm/g未満であると、セメント組成物の耐硫酸塩性および強度発現性が低下する。上記比表面積が3,850cm/gを超えると、セメント組成物の耐硫酸塩性が低下する。
セメントの粉砕物中の石膏と石膏粉末の合計の含有率は、SO換算で2.4~2.9質量%、好ましくは2.45~2.85質量%、さらに好ましくは2.5~2.8質量%である。上記含有率が、SO換算で2.4質量%未満であると、セメント組成物の硬化前の使用可能時間(良好な流動性を保ちうる時間)が少なくなる。該量が2.9質量%を超えるとセメント組成物の強度発現性が低下する。
セメント組成物の「JIS R 5201:2015」(セメントの物理試験方法)に準拠して測定される材齢3日の圧縮強さが、好ましくは30N/mm以上、より好ましくは32N/mm以上、特に好ましくは35N/mm以上である。
本発明のセメント組成物を製造するための方法の例としては、セメントと石膏粉末を混合して、又は、セメントを粉砕してセメントの粉砕物を得た後、該粉砕物と石膏粉末を混合して、セメント組成物を得る混合工程を含む方法が挙げられる。
使用するセメントのブレーン比表面積が、例えば、3,500~3,850cm/gであれば、粉砕せずに石膏粉末と混合することで本発明のセメント組成物を得ることができる。
セメントのブレーン比表面積が小さい(例えば、3,400cm/g以下)場合等、セメント組成物のブレーン比表面積を3,500~3,850cm/gに調整する目的で、セメントを粉砕してもよい。
例えば、混合工程において、使用するセメントのブレーン比表面積が3,400cm/g以下である場合、セメントを粉砕してセメントの粉砕物を得た後、該粉砕物と石膏粉末を混合してもよい。
セメントを粉砕する場合、セメントの粉砕手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、ボールミル等のセメントの製造に用いられる一般的な粉砕手段を用いることができる。セメントの粉砕は、得られるセメント組成物のブレーン比表面積が所望の数値範囲内となるように適宜行われる。
混合工程の前に、石膏を粉砕し、分級して、石膏粉末の粒度分布を調整する分級工程を行ってもよい。石膏の粉砕及び分級は、得られる石膏粉末が上述した粒度分布を有し、かつ、混合工程で得られるセメント組成物のブレーン比表面積が所望の数値範囲内となるように適宜行われる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1)セメントA;普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、ブレーン比表面積:3,220cm/g
(2)セメントB;普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、ブレーン比表面積:
3,190cm/g
(3)セメントC;普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、ブレーン比表面積:
3,810cm/g
(4)石膏粉末1~4;二水石膏を粉砕して粒度調整を行ったもの
セメントA~Cの化学組成及び鉱物組成を表1~2に示す。
また、石膏粉末1~4(表3中、「石膏1~4」と示す。)の、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(マイクロトラックベル社製、商品名「MT3300EX II」)を用いて測定した、D50(メディアン径)、及び、粒度分布を表3に示す。
Figure 2023147896000001
Figure 2023147896000002
Figure 2023147896000003
[実施例1]
表4に示す種類のセメントを粉砕して、セメントのブレーン比表面積を調整したセメントの粉砕物と、表4に示す種類の石膏粉末を混合して、セメント組成物中の石膏粉末の含有率、セメント組成物中のセメントの粉砕物に含まれる石膏と石膏粉末の合計の、SO換算の含有率(表4中、「SO」と示す。)、セメントのブレーン比表面積(表4中、「比表面積」と示す。)、セメント組成物中のアルミン酸三カルシウムの含有率が、表4に示す各数値となるように混合してセメント組成物を得た。
得られたセメント組成物の材齢14日の膨張率を、「ASTM C 452(硫酸塩にさらされたポルトランドセメントモルタルの潜在的膨張のための標準試験方法)」に準拠して測定した。なお、膨張率が小さい程、耐硫酸塩性に優れていると判断することができる。
また、得られたセメント組成物の材齢3日、7日、28日の圧縮強さを、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に準拠して測定した。
なお、参考例1として、市販されている耐硫酸塩セメントの材齢3日、7日、28日の圧縮強さを同様にして測定した。
[比較例1]
表4に示す種類のセメントと石膏粉末を混合してセメント組成物を得る以外は実施例1と同様にしてセメント組成物を得た。得られたセメント組成物の膨張率及び圧縮強さを実施例1と同様にして測定した。
[実施例2~4、比較例2~6]
実施例1と同様にしてセメント組成物を得た。得られたセメント組成物の膨張率及び圧縮強さを実施例1と同様にして測定した。
各々の結果を表4~5に示す。
Figure 2023147896000004
Figure 2023147896000005
表4~5から、実施例1~4の膨張率(0.031~0.0032)は、比較例1~6の膨張率(0.036~0.038)よりも小さく、耐硫酸塩性に優れていることがわかる。
また、実施例1~4の圧縮強さは、参考例1(市販の耐硫酸塩セメント)の圧縮強さよりも大きいことがわかる。

Claims (6)

  1. セメントと石膏粉末の混合物、又は、上記セメントの粉砕物と石膏粉末の混合物からなるセメント組成物であって、
    上記セメントは、水硬率(H.M.)が2.18~2.30、ケイ酸率(S.M.)が2.40~2.54、鉄率(I.M.)が1.74~1.90、の各数値範囲を満たすものであり、
    上記セメント組成物は、ボーグ式を用いて算出したアルミン酸三カルシウムの含有率が8.0質量%以上、ブレーン比表面積が3,500~3,850cm/g、上記セメント中の石膏と上記石膏粉末の合計の含有率がSO換算で2.4~2.9質量%、及び、上記石膏粉末の含有率がSO換算で0.4~0.9質量%、の各数値範囲を満たすものであり、
    上記石膏粉末は、50μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以上、及び、200μm以上の粒度を有する粉末の割合が10質量%以下、の各数値範囲を満たすものであることを特徴とするセメント組成物。
  2. 上記セメントが、普通ポルトランドセメントである請求項1に記載のセメント組成物。
  3. 上記石膏粉末は、50~100μmの粒度を有する粉末の割合が7質量%以上、の数値範囲を満たすものである請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  4. 上記セメント組成物は、「JIS R 5201:2015」(セメントの物理試験方法)に準拠して測定される圧縮強さが材齢3日で30N/mm以上のものである請求項1~3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のセメント組成物を製造するための方法であって、
    上記セメントと上記石膏粉末を混合して、又は、上記セメントを粉砕して上記セメントの粉砕物を得た後、該粉砕物と上記石膏粉末を混合して、上記セメント組成物を得る混合工程、
    を含むことを特徴とするセメント組成物の製造方法。
  6. 上記混合工程において、上記セメントのブレーン比表面積が3,400cm/g以下である場合、上記セメントを粉砕して上記セメントの粉砕物を得た後、該粉砕物と上記石膏粉末を混合して、上記セメント組成物を得る請求項5に記載のセメント組成物の製造方法。
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