JP7218689B2 - 点眼剤 - Google Patents
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Description
これまでにも、ドライアイの治療やコンタクトレンズの装用感の向上を志向して、角膜表面あるいはコンタクトレンズ表面の潤滑性を向上させる眼科用組成物が各種検討されている(特許文献1~3)。
特許文献1は、ソフトコンタクトレンズの濡れ性を高め、装用感を改善するソフトコンタクトレンズ用点眼剤に関するものであるが、特許文献1の方法での潤滑性の向上効果は不十分であった。
特許文献2は、保湿力に優れ、さらに潤滑性を大幅に向上させる組成物が提示されているが、これはコンタクトレンズケア製剤およびコンタクトレンズパッキング液に関するものであり、点眼剤についての言及はない。
特許文献3は、角膜表面やソフトコンタクトレンズ表面に対して十分な潤滑性を与える点眼剤に関するものであるが、特許文献3に記載の点眼剤の保存効力に関する記述はない。
上記のようなドライアイ治療に有効な点眼剤を調製する過程で、眼刺激性の少ない防腐剤であるポリヘキサメチレンビグアニドを一般的な点眼剤よりも少なく配合し、さらに機能性を付与するために、保湿性・潤滑性の大幅な向上に寄与する特定の三元共重合体の両方を含有する点眼剤を調製すると、満足な保存効力が確認できなかった。すなわち、十分な保存効力と機能性とを両立する点眼剤は、未だ満足のいくものが得られていない状態である。
そこで、本発明の課題は、角膜表面やソフトコンタクトレンズに対して潤滑性および保湿性を付与しながら、十分な保存効力を有し、眼あるいはコンタクトレンズ表面に素早く伸展することで保湿・潤滑効果を発揮する点眼剤を提供することにある。
[1]式(1a)~式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率na:nb:ncが100:10~400:2~50であり、重量平均分子量が5,000~2,000,000である共重合体(P)を0.001~1.0w/v%と、式(1d)~式(1e)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率nd:neが10~90:10~90であり、重量平均分子量が10,000~5,000,000である共重合体(Q)を0.01~5.0w/v%と、0.000001~0.001w/v%のポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩を含む点眼剤。
(式中、R1、R2、R5、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基を示す。R6は炭素数12~24の一価の炭化水素基を示す。R9は炭素数4~18のアルキル基を示す。)
[2]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを0.001~5.0w/v%含む上記[1]記載の点眼剤。
[3]ソフトコンタクトレンズ装用者用である上記[1]または[2]記載の点眼剤。
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記式(1a)~式(1c)の3つの構成単位を有し、各構成単位のモル比率na:nb:ncが100:10~400:2~50であり、本発明の点眼剤に用いる共重合体(Q)は、下記式(1d)~式(1e)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率nd:neが10~90:10~90であり、重量平均分子量が10,000~5,000,000である。
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記の(1)~(3)の3つの構成単位を有し、各構成単位のモル比率na:nb:ncは100:10~400:2~50である。点眼剤が共重合体(P)を含むことにより、潤滑性、伸展性が向上する。
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記式(1a)で表される構成単位(以下「PC構成単位」と略記)を有する。該PC構成単位は、後述する式(2)で表されるPC単量体に由来する構成単位である。共重合体(P)がPC単量体に由来する構成単位を含むことにより、眼表面に優れた保水性を付与できる。
共重合体(P)中のPC構成単位は、共重合体(P)へ親水性および含水ゲル形成能を付与し潤滑性を高めるために導入される。
共重合体(P)中のPC構成単位は、共重合体(P)の重合時に使用される下記式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体(以下、PC単量体と略記)から得られる。
式(2)中、Xは不飽和結合を有する重合性官能基を有する1価の有機基を示す。中でもXは、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
PC単量体としては、入手性の観点から例えば、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、さらに下記式(3)で表される2-(メタクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下、MPCとする)が好ましい。
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記式(1b)で表される構成単位(以下、「アミド構成単位」と略記)を有する。
共重合体(P)中のアミド構成単位は、共重合体(P)を高分子量化し、ソフトコンタクトレンズへの密着性を高めるために導入される。
共重合体(P)中のアミド構成単位の割合については、PC構成単位のモル数naを100としたときのモル数nbについて、nb/na=10~400/100であり、好ましくは30~250/100である。nbが大きすぎる場合には点眼剤を製造する際に必要となる無菌濾過が困難となるおそれがあり、nbが小さすぎる場合には潤滑性向上効果が見込めない。
上記式(1b’)で表される(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミド誘導体として例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドまたはN,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
共重合体(P)中の疎水性構成単位は、ソフトコンタクトレンズへの吸着性を高め、疎水性相互作用による物理架橋ゲル形成能を高め潤滑性を向上させるために導入される。
式(1c’)で表される疎水性単量体として例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
共重合体(P)は、本発明の効果を損なわない範囲において、式(1a)~式(1c)で表される構成単位以外のその他の構成単位を導入することもできる。共重合体(P)を構成する上記式(1a)で示すnaを100とした場合、その他の構成単位はモル比で50以下が好ましく、10以下がより好ましく、0がさらに好ましい。
その他の単量体としては、例えば、直鎖または分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、環状(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルエステル単量体、親水性の水酸基含有(メタ)アクリレート、酸基含有単量体、アミノ基含有単量体、カチオン性基含有単量体などを挙げることができる。
直鎖または分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエステル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸等が挙げられる。
アミノ基含有単量体としては、例えば、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン性基含有単量体としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
本発明に用いる共重合体(P)は、重量平均分子量5,000~2,000,000であり、好ましくは100,000~1,500,000、より好ましくは500,000~1,500,000の重合体である。重量平均分子量が5,000未満の場合は、重合体のコンタクトレンズ表面への吸着力が十分でないため、潤滑性向上が見込めないおそれがあり、2,000,000を超える場合は、点眼剤を製造する際に必要となる無菌濾過が困難となるおそれがある。
共重合体(P)は、上記した式(2)で表される単量体、式(1b’)で表される単量体、及び式(1c’)で表される単量体を含む単量体組成物をラジカル重合することによって得ることが出来る。なお、該単量体組成物は、本発明の効果を害しない範囲で、上記したその他の単量体を含有してもよい。
共重合体(P)の製造は、例えば、上記単量体組成物を、ラジカル重合の開始剤の存在下、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス置換または雰囲気下においてラジカル重合により行うことができる。重合方法は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の公知の方法により行うことができる。共重合体(P)の精製は、再沈殿法、透析法、限外濾過法等の公知の方法により行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系ラジカル重合開始剤、有機化酸化物、過硫酸化物等を挙げることができる。
有機化酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、過酸化ラウロイル、t-ブチルペルオキシネオデカネート、コハク酸ペルオキシド等が挙げられる。
過酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。重合開始剤の使用量は、単量体組成物100質量部に対して通常0.001~10質量部、好ましくは0.01~5.0質量部である。
アルコール系溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチルなどが上げられる。
直鎖または環状のエーテル系溶媒としては、例えば、エチルセルソルブ、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
含窒素系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン等が挙げられる。好ましくは水またはアルコールまたはこれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明の点眼剤に用いる共重合体(Q)は、下記の(1)~(2)の2つの構成単位を有し、各構成単位のモル比率nd:neが10~90:10~90であり、重量平均分子量が10,000~5,000,000である。
本発明で用いられる共重合体(Q)は下記式(1d)で表されるPC構成単位、すなわち、前記PC単量体に由来する構成単位を含む。共重合体(Q)がPC単量体に由来する構成単位を含むことにより、眼表面に優れた保水性を付与でき、涙液層及び涙液油層の安定化効果を発現することができる。
上記(1d)においてR7は、水素原子又はメチル基を指す。ndは、共重合体(Q)中の上記式(1d)で示される構成単位の数を表す。
共重合体(Q)中のPC構成単位は、前記PC単量体から得られる。PC単量体は、前記の通り公知の方法で製造できる。
本発明で用いられる共重合体(Q)は下記式(1e)で表される構成単位を含有する。該構成単位は、アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位である。
共重合体(Q)中のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位は、下記式(1e’)で表されるアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体の重合によって得られる。
式(1e)において、R8は水素原子又はメチル基のいずれでもよいが、好ましくはメチル基である。R9は炭素数4~18の直鎖状または分岐状のアルキル基である。neは、共重合体(Q)中の上記式(1e)で示される構成単位の数を表す。
炭素数4~18の分岐状のアルキル基としては、t-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基が挙げられる。
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(1d)およびブチル(メタ)アクリレート(1e)。
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(1d)およびステアリル(メタ)アクリレート(1e)。
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(1d)およびラウリル(メタ)アクリレート(1e)。
本発明に用いる共重合体(Q)は、構成単位(1d)および構成単位(1e)以外の構成単位を含んでいても良いが、構成単位(1d)および構成単位(1e)のみからなるものが好ましい。
本発明に用いる共重合体(Q)は、特開平11-035605の方法に従って重合を行い得たMPCポリマーおよび特開2004-196868の方法に従って重合を行い得たMPCポリマーを用いることができる。
本発明に用いる共重合体(Q)の重量平均分子量は10,000~5,000,000であり、好ましくは20,000~1,000,000、より好ましくは50,000~1,000,000であり、さらに好ましくは200,000~1,000,000である。重量平均分子量が10,000未満であると親油性が低下し、涙液油層安定化効果が望めなくなり、重量平均分子量が50,000より大きいと粘度が急激に上昇し、点眼剤を調製することが困難となるおそれがある。
本発明の点眼剤は、防腐剤として0.000001~0.001w/v%のポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩を含む。ポリヘキサメチレンビグアニドは下記式(4)に示される化合物である。
上記式(4)中のkは繰り返し単位を表す数字で、3~40の整数である。kの値が3未満もしくは40より大きいと、点眼剤としての保存効力が十分に発揮できなくなるおそれがある。より十分な保存効力を発揮する点において、kの値は10以上であることが好ましく、また、18以下であることが好ましい。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、通常の医薬品に使用されるものであればよく、例えば日本薬局方収載品を使用することができる。その具体例としては、例えば、日油(株)製のユニルーブ70DP-950Bや、日油(株)製の薬添規プロノン188P、あるいは三洋化成工業(株)製のニューポールPE-68等の市販品が挙げられる。
その他の成分としては、例えば、充血除去成分、消炎・収斂成分、ビタミン類、アミノ酸類、サルファ剤、糖類、粘稠化剤、清涼化剤、無機塩、有機酸の塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤、ムコ多糖、ムチン分泌促進剤を挙げることができる。
消炎・収斂成分としては、例えば、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、ベルベリンまたはその塩、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸またはその塩、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化リゾチームが挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸またはその塩、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウムが挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
無機塩としては、例えば、塩化カリウム、ホウ砂、炭酸水素カリウム、リン酸水素カリウム、無水リン酸二水素カリウム等が挙げられる。
有機酸の塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
酸としては、例えば、ホウ酸、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、塩酸が挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モノエタノールアミンが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、グリシンが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニドが挙げられる。
ムコ多糖としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムが挙げられる。
ムチン分泌促進剤としては、例えば、ジクアホソルナトリウム、レバミピドが挙げられる。
本発明の点眼剤の具体的な製品形態としては、一般点眼薬、抗菌性点眼薬、洗眼薬、コンタクトレンズ装着液、人工涙液等を例示することができる。中でも、コンタクトレンズ装着液として使用することが好ましく、ソフトコンタクトレンズ装用者用として使用することがより好ましい。
本発明の点眼剤は共重合体(P)および所望により上記その他の成分を、室温~50℃程度の水中に添加、攪拌して溶解させることにより製造することができる。また共重合体(P)と上記その他の成分の添加順序としては、どの成分から添加してもよい。
製造における加熱、冷却および攪拌は溶液全体を均一に加熱、冷却および攪拌することができればよく、いずれの公知の器具、装置を用いることができる。
得られた各重合体(P)5mgをメタノール/クロロホルム混合溶液(80:20)に溶解し、試料溶液とした。分析条件は以下を用いた。
カラム:PLgel-mixed-C
標準物質:ポリエチレングリコール
検出器:示差屈折計RI-8020(東ソー(株)製)
重量平均分子量の算出法:分子量計算プログラム(SC-8020用GPCプログラム)
流量:1mL/min
注入量:100μL
カラムオーブン:40℃付近の一定温度
得られた重合体溶液を重合体濃度が0.5質量%となるようにメタノール/クロロホルム混合溶液(80:20)で希釈し、この液を0.45μmメンブランフィルターで濾過し、測定した。
各実施例および比較例の点眼剤のpHは、「第17改正日本薬局方 一般試験法 2.54 pH測定法」に従い実施した。
各実施例および比較例の点眼剤の浸透圧は、「第17改正日本薬局方 一般試験法 2.47 浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)」に従い行った。具体的には、氷点測定法によるオズモメーター(Fiske Model 210 マイクロサンプル・オズモメーター)を用いて測定した。
MPC(日油(株)製)31.8g、ステアリルメタクリレート(SMA,日油(株)製)3.6gおよびN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA、興人フィルム&ケミカルズ(株)製)9.6gを4つ口フラスコへ入れ、エタノール55.0gで溶解させ、30分窒素ガスの吹き込みを行った。この後、重合開始剤(パーブチルND(PB-ND)、日油(株)製)0.10gを加えて8時間重合反応を行った。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末を得た。収量は40.2gであった。GPCにより重合体の分子量測定を行い、その重量平均分子量は1,000,000であった。これを重合体1とした。IR、NMR、元素分析から求めた重合体1の化学構造を下記表1に示す。
下記表1に示す種類および量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って重合体を製造した。その重量平均分子量は1,200,000、収量は42.4gであった。IR、NMR、元素分析から求めた重合体2の化学構造を下記表1に示す。
下記表1に示す種類および量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って重合体を製造した。その重量平均分子量は700,000、収量は36.1gであった。IR、NMR、元素分析から求めた重合体3の化学構造を下記表1に示す。
下記表1に示す種類および量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って重合体を製造した。その重量平均分子量は1,000,000、収量は39.9gであった。IR、NMR、元素分析から求めた重合体4の化学構造を下記表1に示す。
精製水約50gを80℃に加温し、これにヒプロメロース 60SH-50 0.1gを加え、攪拌した。目視で均一分散を確認後、47.5℃まで冷却し、さらに攪拌した。47.5℃を維持したまま、ホウ酸0.4g、塩化カリウム0.1g、グリセリン1.05g、トロメタモール1.05g、Cosmocil CQ(登録商標)0.00008g(20%水溶液であるため、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンピグアニドの塩酸塩)としては0.000016gを含む)および重合体1(0.005g)、重合体5(0.095g)、塩酸 0.48gを順次加え、攪拌した。その後、これに全量100mLとなるよう精製水を加えた。この後、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤とした。この点眼剤の浸透圧は296mOsm/kg、浸透圧比にして1.03であり、pHは7.46、外観は無色透明であった。その詳細を下記表3に示す。
表3に示す類および量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って製造し、無菌の点眼剤とした。各実施例の外観、pHおよび浸透圧比を下記表3に示す。
下記表4に示す種類および量の成分を使用した以外は、実施例と同様の手順に従って製造し、無菌の点眼剤とした。各比較例の外観、pHおよび浸透圧比を下記表4に示す。
各実施例、比較例で製造した点眼剤による潤滑性の向上効果は以下の手順で確認した。なお、試験ではソフトコンタクトレンズ(以下、SCLともいう)を想定し、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)-メタクリル酸(MAA)ゲル板を作製し使用した。
<ゲル板の作製>
1)褐色スクリュー管に2-HEMA(日油(株)製)99.0075g、MAA(東京化成(株)製)1.0075g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成(株)製)0.7224g、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(富士フィルム和光純薬(株))0.5017gを加え、ウェーブロータで15分間攪拌混合した。
2)フィルター濾過後、板材作製用セルへピペッターで分注した。
3)100℃、1時間の条件で硬化した。
4)硬化後のゲル板をISO18369-3:2017に基づいて調製したISO生理食塩水に一晩浸漬させ、HEMA-MAAゲル板を得た。
1)作製したゲル板を2cm×10cmにカットした。
2)実施例1~実施例8および比較例1~比較例5で製造した点眼剤にゲル板を浸漬し、KES-SEフリクションテスター(カトーテック(株)製)にてゲル板とプローブ間の摩擦係数を測定した。
◎・・摩擦係数が0以上0.20以下
〇・・摩擦係数が0.20超1.0以下
△・・摩擦係数が1.0超
共重合体(P)を配合しない比較例1と比較して、共重合体(P)を配合した実施例1~8および比較例2~5でより小さくなった。以上より、本発明の点眼剤は、優れた潤滑性を示す。
各実施例、比較例で製造した点眼剤の保存効力を以下の手順で確認した。
点眼剤の保存効力は、「第17改正 日本薬局方 参考情報 保存効力試験法」の項に従い実施した。細菌として、Escherichia coli(大腸菌、以下E.c.と略記)(NBRC3972)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌、以下P.a.と略記)(NBRC13275)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌、以下S.a.と略記)(NBRC13276)の3種を用い、真菌として、Candida albicans(カンジダ菌、以下C.a.と略記)(NBRC13276)、Aspergillus brasiliensis(クロコウジカビ、以下A.b.と略記)(NBRC9455)の2種を用いた。
上記、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ菌、クロコウジカビを1mLあたり108cfu(Colony Forming Unit、コロニーを形成する能力がある単位数)となるようにあらかじめ培養し、試験菌液とした。この試験菌液を、1%(v/v)となるように実施例1~8および比較例1~5で製造した点眼液に対して添加し、接種菌数が1mLあたり106cfuとなるように調整し、25℃で保管した。
接種から7日後、14日後、28日後にサンプリングを行い、培養して、生菌数を測定した。判定は「第17改正 日本薬局方 参考情報 保存効力試験法」記載の判定基準(製剤区分:カテゴリーIA)に従った。判定基準を下記表6に示す。
14日経過後のサンプリングで上記判定基準に不適合であった場合は△を、上記判定基準に適合した場合は○を示す。
〇・・すべての細菌、真菌に対して上記判定基準に適合する場合
△・・少なくとも一部の細菌、真菌に対して上記判定基準に適合しない場合
上記より、本発明の点眼剤は十分な保存効力を有する。
各実施例、比較例で製造した点眼剤について実使用を想定した、ソフトコンタクトレンズを用いた伸展性向上効果の確認を以下の手順で検討した。
なお、伸展性向上効果の検討には、試験用SCLとしてワンデーアキュビュー(登録商標)(ジョンソンエンドジョンソン(株)製、FDA分類:グループIV)を用いた。
1)試験用SCLをブリスターパックから1枚取り出し、試験台に載せた
2)試験用SCL表面に、シリンジを用いて実施例1の点眼剤1μLを滴下した。
3)滴下後、1.5秒から5.5秒までの接触角を、接触角計 Drop Master500(協和界面科学(株)製)で測定し、濡れ性と伸展性を確認した。
得られた接触角の値に基づいて、親水性・伸展性の評価を以下の基準により行った。
◎ 点眼剤滴下後1.5秒~5.5秒までの接触角がすべて2°以下
〇 点眼剤滴下後3.5秒~5.5秒までの接触角がすべて2°以下(ただし上記◎を除く)
△ 点眼剤滴下後1.5秒~5.5秒までの接触角がすべて2°超
ワンデーアキュビュートゥルーアイについては、共重合体(P)を配合した実施例1~8および比較例1~5で、測定不能となるほど接触角が小さくなり、高い親水性を有した。また、実施例1~5および比較例2~5は、点眼後1.5秒の時点で接触角が測定不能であり、SCL表面に素早く伸展していた。
以上より、本発明の点眼剤は、優れた親水性・伸展性を示す。
上記試験結果のまとめを下記表9に示す。
Claims (3)
- 式(1a)~式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率na:nb:ncが100:10~400:2~50であり、重量平均分子量が5,000~2,000,000である共重合体(P)を0.001~1.0w/v%と、式(1d)~式(1e)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率nd:neが10~90:10~90であり、重量平均分子量が10,000~5,000,000である共重合体(Q)を0.01~5.0w/v%と、0.000001~0.001w/v%のポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩を含む点眼剤。
(式中、R1、R2、R5、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基を示す。R6は炭素数12~24の一価の炭化水素基を示す。R9は炭素数4~18のアルキル基を示す。) - ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを0.001~5.0w/v%含む請求項1記載の点眼剤。
- ソフトコンタクトレンズ装用者用である請求項1または請求項2記載の点眼剤。
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