JP6394957B2 - 点眼剤 - Google Patents

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Description

本発明は、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制でき、高い保存効力を有する点眼剤に関する。
従来からのソフトコンタクトレンズ装用者の増大と、PCやタブレット端末の使用といった目を酷使する作業の増加によって、目の不快感、乾燥感などのドライアイ症状を訴える人が増加している。最近では、ドライアイ症状のほかに、地方から都市部への多量の花粉の飛散によって花粉症を訴える人も増加の一途をたどっている。また、近年、セルフメディケーションが高まりつつあり、自分で健康管理を行うべきであるという意識が高まっていることから、ドライアイ症状や花粉症を訴える人たちは、ドラッグストアなどで点眼薬などの医薬品を購入し、健康の自己管理を行うようになってきている。このため、ソフトコンタクトレンズを装用したまま点眼可能で、かつ、目の不快感、乾燥感、花粉症による目のかゆみを抑えることができる点眼剤が市場から求められていた。
目の不快感や乾燥感については、ホスホリルコリン基を側鎖に持つ高分子化合物を点眼剤等に配合することで抑制できることが知られている(特許文献1)。
また、ホスホリルコリン基を側鎖に持つ高分子化合物の別の特徴として、メントールなどのテルペノイドと組み合わせることで、テルペノイドのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの吸着抑制効果について検討がなされてきた(特許文献2)ものの、これ以外の効果についてはほとんど明らかにされていない状況であった。
また、花粉症による目のかゆみについては、点眼剤に抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミンマレイン酸塩などを配合することで抑制できる。
しかし、ソフトコンタクトレンズを装用したまま点眼可能な点眼剤には、「各種ソフトコンタクトレンズへの使用が適切であることを立証する資料、点眼剤の配合成分、特に添加物(防腐剤など)の吸着、濃縮または取込み、放出によるソフトコンタクトレンズの物性(色、形、固さ、もろさなど)に及ぼす影響がないことを示す資料及び装着時の安全性に関する資料」によって、ソフトコンタクトレンズを装用したまま点眼可能であることを立証することが求められている(非特許文献1)。これは、点眼剤に配合される成分がソフトコンタクトレンズへ吸着・蓄積することで、かえってかゆみや目の不快感が生じたり、眼障害等を引き起こす可能性があるため、点眼剤に配合される成分はソフトコンタクトレンズへの吸着・蓄積が少ないほうが好ましいと考えられるためである。
したがって、クロルフェニラミンマレイン酸塩を点眼剤に配合したければ、ソフトコンタクトレンズを装用したまま点眼可能であることを立証する必要がある。しかし、クロルフェニラミンマレイン酸塩はソフトコンタクトレンズへと吸着することも知られており、そのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制するための検討もなされてきた(特許文献3)ものの、これまでの検討で十分であったとは言えない状況であった。
また、点眼剤には、一定の流通期間中の品質を確保するために防腐剤としてポリヘキサメチレンビグアニド、塩化ベンザルコニウムやパラベン類などを配合するが、これら防腐剤はクロルフェニラミンマレイン酸塩と同様にソフトコンタクトレンズへと吸着することが示されている(非特許文献2、非特許文献3)。このため、例えば、防腐剤であるポリヘキサメチレンビグアニドのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制する検討が行われている(特許文献4)が、こちらもソフトコンタクトレンズへの吸着を十分に抑制できたとはいえない状況であった。
ところで、近年のセルフメディケーションの高まりでますます多くの人たちがドラッグストアなどで点眼薬を購入し、点眼するようになると考えられる。点眼薬の使用の際には、添付文書にて点眼方法が詳細に記載され、その使用方法を遵守するように求めているが、必ずしも点眼剤の使用方法が正しく認識されておらず眼障害が発生することも考えられる。
非特許文献4によれば、点眼剤に求められる保存効力は試験開始時の生菌数と、試験開始から14日後もしくは28日後の生菌数とを比較するとき、一般細菌は1/1000に減少し、かつ、真菌は初期の生菌数と同程度であることが求められている。しかし、点眼剤の使用方法が必ずしも遵守されていないことを考慮すると、更に生菌数を1/10程度にできる保存効力が求められているものと考えられる。
このため、従来にも増して、より保存効力が高く、点眼容器内部で菌が増殖しないようにする検討が必要であると考えられてきた。
一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会監修,「一般用医薬品製造販売承認基準2012」,株式会社じほう C.H.Powell et al,Lipophilic versus hydrodynamic modes of uptake and release by contact lenses of active entiies used in multipurpose solutions,Contact Lens & Anterior Eye,33,9−18,2010 崎元 卓,「治療用コンタクトレンズへの防腐剤の吸着」,日本コンタクトレンズ学会誌,1993年,第35巻,p.177−182 第16改正日本薬局方 参考情報 保存効力試験法
特開平10−324634号公報 特開2011−93898号公報 特開2012−106999号公報 特開2002−272819号公報
非特許文献4に記載の基準では保存効力が十分ではなく、特許文献2及び特許文献3に記載の吸着を抑制する方法では、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制することは十分ではなかった。
すなわち、眼障害を予防するために、点眼剤に配合される成分のソフトコンタクトレンズへの吸着抑制効果と、保存効力を兼ね備えた点眼剤は、いまだ満足のいくものが得られていない。
そこで、本発明の課題は、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制するとともに、高い保存効力を兼ね備えた点眼剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の化合物及び共重合体を特定の割合で含有する組成物を点眼剤とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる点眼薬は、
(A) クロルフェニラミンマレイン酸塩を0.02〜0.04W/V%、
(B) 式(1)で表されるポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩を0.00005〜0.00011W/V%、および
(C) 式(2)で表される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体を0.05〜0.15W/V%含有することを特徴とする。
Figure 0006394957

[式(1)中、kは繰り返し単位を示す数字で、3〜40の整数である。]
Figure 0006394957

[式(2)中、m、nは各構成単位のモル比を示し、モル比でm/n=70/30〜90/10である。]
なお、上記各成分の配合量を示す単位である「w/v%」は、重量体積%を表し、単位体積(100mL)当たりの点眼剤に含有される各成分の重量(g)を百分率比で表したものである。
本発明の点眼剤は、上記(A)〜(C)成分を所定の割合で含有するという特徴を有しており、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドのソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制することができるとともに、高い保存効力を兼ね備えている。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の点眼剤は、(A)成分としてクロルフェニラミンマレイン酸塩、(B)成分として下記式(1)に示される化合物、すなわち、ポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩、及び(C)成分として下記式(2)に示される共重合体を各々特定量と、水とを含有する。
Figure 0006394957

[式(1)中、kは繰り返し単位を示す数字で、3〜40の整数である。]
Figure 0006394957

[式(2)中、m、nは各構成単位のモル比を示し、モル比でm/n=70/30〜90/10である。]
本発明の点眼剤に用いる(A)成分は、クロルフェニラミンマレイン酸塩である。(A)成分の配合量は、点眼剤の全量を基準(以下、他の成分も同じ)として、0.02〜0.04w/v%である。(A)成分の配合量が0.02w/v%未満であると、花粉症等によるかゆみ止め効果が弱くなる恐れがあり好ましくない。0.04w/v%よりも大きいと、クロルフェニラミンマレイン酸塩のソフトコンタクトレンズへの吸着量が増大する恐れがあるため好ましくない。
本発明の点眼剤に用いる(B)成分は、上記式(1)で表される化合物であり、ポリヘキサメチレンビグアニドと称される。また、その塩であってもよい。式(1)中のkは繰返し単位を示す数字で、3〜40の整数である。kの値が3未満もしくは40より大きいと、点眼剤としての保存効力が充分に発揮できなくなる恐れがある。より十分な保存効力を発揮する点において、kの値は10以上であることが好ましく、また、18以下であることが好ましい。
ここで、kの値は次の式から算出する。なお、各元素の原子量は、第16改正日本薬局方に記載の炭素:12.0107、水素:1.00794、窒素:14.0067を用いた。

k=
{(ポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩の重量平均分子量)/183.25408}−1
(B)成分のポリヘキサメチレンビグアニドの塩とは、例えば、塩酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩又はクエン酸塩が挙げられる。その具体例としては、例えば、アーチケミカルズ(株)製のCosmocil CQ(登録商標)、あるいはVantcil IB(登録商標)や、三洋化成工業(株)製のBG−1等の市販品が挙げられる。これらは、1種類を選択して単独で使用しても良く、2種類以上を任意に組み合わせて使用しても良い。ポリヘキサメチレンビグアニドの市販品中には、式(1)に示す末端基がシアノグアジニノ基以外にもグアジニン基等の置換基の異なる化合物が少量混入しているが、問題なく使用できる。
(B)成分の配合量は0.00005〜0.00011w/v%である。これが0.00005w/v%未満であると、点眼剤としても保存効力が十分に発揮できない恐れがあり、0.00011w/v%より大きくても、配合量に見合った保存効力の向上を期待できない。配合量に見合った保存効力の向上という観点からは、(B)成分の配合量を0.00007w/v%以上とすることが更に好ましく、また、0.00009w/v%以下とすることが更に好ましい。
本発明の点眼剤に用いる(C)成分は、上記式(2)に示す、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCと称する)とメタクリル酸ブチルとの共重合体である。MPCとメタクリル酸ブチルとの共重合モル比は、「MPC:メタクリル酸ブチル=70:30〜90:10」の範囲である。
MPCとメタクリル酸ブチルとの共重合モル比は、「MPC:メタクリル酸ブチル=75:25〜85:15」の範囲が特に好ましい。
また、当該共重合体の重量平均分子量(Mw)は、100,000〜1,000,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)を100,000以上とすることによって、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩のソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制する効果を十分に発揮し易い。この重量平均分子量(Mw)を1,000,000以下とすることによって、製造するための無菌ろ過が容易になる。
(C)成分の共重合体は、例えば、次のように製造することができる。すなわち、MPCとメタクリル酸ブチルとを、脱気条件下、ラジカル重合開始剤の存在下、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素ガスなどの不活性ガス置換または雰囲気中、水、メタノール、エタノールなどの溶媒中で加熱あるいは光を照射することにより重合させ、製造することができる。
(C)成分の配合量は0.05〜0.15w/v%である。これが0.05w/v%未満であると、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩のソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制する効果が十分に発揮できない恐れがある。0.15w/v%より大きいと、保存効力を期待できない恐れがある。より十分な保存効力と吸着抑制効果を発揮する点において、(C)成分の配合量は0.10w/v%以上、0.15w/v%以下が好ましい。
本発明の点眼剤には、上記(A)〜(C)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲において、また、他の効果を期待して、その他の成分や、通常、点眼剤に使用される成分を、その目的等に応じて適宜、適量配合することができる。
その他の成分としては、例えば、充血除去成分、消炎・収斂成分、ビタミン類、アミノ酸類、サルファ剤、糖類、粘稠化剤、清涼化剤、無機塩、有機酸の塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤を挙げることができる
充血除去成分としては、例えば、エピネフリンまたはその塩、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、ナファゾリンまたはその塩、フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリンが挙げられる。
消炎・収斂成分としては、例えば、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、ベルベリンまたはその塩、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸またはその塩、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化リゾチームが挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウムが挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸またはその塩、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウムが挙げられる。
サルファ剤としては、例えば、スルファメキサゾールまたはその塩、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウムが挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等があげられる。
粘稠化剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフルが挙げられる。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ砂、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。
有機酸の塩としては、例えば、クエン酸ナトリウムが挙げられる。
酸としては、例えば、ホウ酸、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、塩酸が挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モノエタノールアミンが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、グリシンが挙げられる。
本発明の点眼剤は、上記(A)〜(C)成分、及び所望により上記その他の成分を水に溶解させた水溶液形態のものである。水としては、安全性の点から純水、イオン交換水等が好ましい。
本発明の点眼剤の具体的な製品形態としては、次のようなものを例示することができる。すなわち、一般点眼薬、抗菌性点眼薬、洗眼薬、コンタクトレンズ装着液、人工涙液などが挙げられる。
ソフトコンタクトレンズはFDA(Food and Drug Administration)により、グループI(含水率が50%未満で非イオン性であるソフトコンタクトレンズ)、グループII(含水率が50%以上で非イオン性であるソフトコンタクトレンズ)、グループIII(含水率が50%未満でイオン性のソフトコンタクトレンズ)、グループIV(含水率が50%以上でイオン性であるソフトコンタクトレンズ)、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの5つに分類される。
本発明の点眼剤はこれらのあらゆるソフトコンタクトレンズへ使用することができるが、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドの吸着抑制の点から、グループI、グループIVのソフトコンタクトレンズもしくはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの使用が好ましく、なかでも、グループIVのソフトコンタクトレンズへの使用がより好ましい。
つづいて、本発明の点眼剤の製造方法について説明する。
本発明の点眼剤は(A)〜(C)成分、及び所望により上記その他の成分を、室温〜50℃程度の温度下に水中に添加、攪拌して溶解させることにより製造することができる。(A)〜(C)成分は逐次に添加してもよく、あるいは、一括して添加してもよい。また、(A)〜(C)成分の添加順序としてはどの成分から添加してもよく、その他の成分を配合する場合も、適宜添加すればよい。
製造における加熱、冷却及び攪拌は溶液全体を均一に加熱、冷却及び攪拌することができればよく、いずれも公知の器具、装置を用いることができる。
以下、本発明について実施例及び比較例により、本発明及びその効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
1.点眼剤のpH
各実施例及び比較例の点眼剤のpHは、第16改正日本薬局方 一般試験法2.54 pH測定法に従い測定した。
2.点眼剤の浸透圧
各実施例及び比較例の点眼剤の浸透圧は、第16改正日本薬局方 一般試験法 2.47 浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)に従い行った。具体的には、氷点測定法によるオズモメーター(Fiske Model 210 マイクロサンプル・オズモメーター)を用いて測定した。
3.クロルフェニラミンマレイン酸塩の定量
高速液体クロマトグラフ装置(日本分光(株)製、LC−2000Plusシリーズ)を用いて測定した。
4.ポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩の定量
紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、V−560)を用いて測定した。
(実施例1)
精製水80gを45℃に加温し、これにリン酸水素ナトリウム水和物0.434g、無水リン酸二水素ナトリウム0.052g、塩化ナトリウム0.67g、塩化カリウム0.1g、クロルフェニラミンマレイン酸塩0.03g、ピリドキシン塩酸塩0.01g、Cosmocil CQ(登録商標)0.00055g(20%水溶液であるため、ポリヘキサメチレンビグアニドとしては0.00011gを含む)及び、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体5%水溶液2.0g該共重合体有効分として0.1g、共重合体モル比は80:20)を順次加え、攪拌した。この溶液を45℃のまま、1時間攪拌混合した。この後、これに全量100mLとなるように精製水を加えた。この後、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤とした。この点眼剤の浸透圧は280mOsm/kg、pHは7.0、外観は無色澄明であった。詳細を表1に示す。

Figure 0006394957

(実施例2〜実施例5)
表1に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って製造し、無菌の点眼剤とした。各実施例の外観、pH及び浸透圧を表1に示す。
(比較例1〜比較例5)
表2に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って製造し、無菌の点眼剤とした。各比較例の外観、pH及び浸透圧を表2に示す。
Figure 0006394957

<点眼剤の保存効力>
第16改正日本薬局方 参考情報 保存効力試験法に従い以下の方法で評価した。細菌として、Escherichia coli(大腸菌)(NBRC3972)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)(NBRC13275)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)(NBRC13276)の3種を用い、真菌として、Candida albicans(カンジダ菌)(NBRC1594)、Aspergillus brasiliensis(クロコウジカビ)(NBRC9455)の2種を用いた。上記、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ菌、クロコウジカビを1mL当たり10cfu(Colony Forming Unit、コロニーを形成する能力がある単位数)となるようにあらかじめ培養し、試験菌液とした。この試験菌液の1/100量を実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5に対して添加し、接種菌数が1mL当たり10cfuとなるように調整し、25℃にて保管した。接種から28日後にサンプリングを行い、培養して、生菌数を測定した。生菌数が以下の2基準をともに満たすとき、保存効力試験に適合したと判断した。
(基準1)
大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌:接種から28日後にサンプリングを行い、10cfu以下となる
(基準2)
カンジダ菌、クロコウジカビ:接種から28日後にサンプリングを行い、10cfu以下となる
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5の保存効力試験結果に関して28日後に観察された各菌における生菌数を表3、表4に示す。
Figure 0006394957

Figure 0006394957

この結果、実施例1〜実施例5ではいずれも大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌はcfuが10未満となり基準1を満たした。カンジダ菌は1.0×10〜7.2×10cfuとなり、クロコウジカビは4.7×10〜7.7×10cfuとなり基準2を満たした。よって実施例1〜実施例5の保存効力は試験適合であった。なかでも実施例1及び実施例2の保存効力が最も優れていた。
比較例1及び比較例4では大腸菌及び黄色ブドウ球菌のcfuは10未満、緑膿菌は2.9×10〜3.2×10cfuとなり基準1を満たした。カンジダ菌は1.5×10〜2.0×10cfuとなり、また、クロコウジカビはいずれも1.6×10cfuとなり基準2を満たさなかった。
比較例3ではいずれも大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌のcfuは10未満となり基準1を満たした。カンジダ菌は6.0×10cfuとなったものの、クロコウジカビは7.2×10cfuとなり基準2を満たさなかった。
比較例2及び比較例5については、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌のcfuはいずれも10未満となり基準1を満たした。カンジダ菌及びクロコウジカビについてもともに、7.2×10cfu、7.7×10cfuとなり基準2を満たした。
これより比較例1、比較例3及び比較例4の保存効力は試験不適合であった。比較例2及び比較例5について保存効力は試験適合であった。
<点眼剤に配合される成分のソフトコンタクトレンズへの吸着>
ソフトコンタクトレンズへの吸着試験には、ソフトコンタクトレンズとしてメダリストプラス(登録商標)(グループI、構成モノマー:2−HEMA、ボシュロムジャパン(株)製)、メダリストII(登録商標)(グループII、構成モノマー:2−HEMA、NVP、ボシュロムジャパン(株)製)、メダリストフレッシュフィット(登録商標)(グループIII、構成モノマー:TrisVC、NVP、ボシュロムジャパン(株)製)、アキュビューオアシス(登録商標)(シリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズ、構成モノマー:2−HEMA、SiMAA2、mPDMS1000、DMA、ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)製)を用いた。
以下に、具体的な試験方法を示す。
(手順1)
コンタクトレンズケースを4つ用意し、実施例1の点眼剤を1mLずつ入れた。
(手順2)
コンタクトレンズケースに各ソフトコンタクトレンズを2枚ずつ入れ、35℃、65%RHで24時間浸漬させた。
(手順3)
この後、これらコンタクトレンズケースから各ソフトコンタクトレンズを取り出した。
(手順4)
レンズケース中に残った液を用いて、クロルフェニラミンマレイン酸塩の定量及び、ポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩の定量を行った。
(手順5)
式(3)及び式(4)を用いて、実施例1の点眼剤に配合されるクロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドの各ソフトコンタクトレンズへの吸着率を算出した。
クロルフェニラミンマレイン酸塩の各ソフトコンタクトレンズへの吸着率を表5に示し、ポリヘキサメチレンビグアニドの各ソフトコンタクトレンズへの吸着率を表6に示す。

(クロルフェニラミンマレイン酸塩のソフトコンタクトレンズへの吸着率(%))=
((実施例1に含まれるクロルフェニラミンマレイン酸量(g))−((手順4)にて定量されたクロルフェニラミンマレイン酸塩量(g)))/(実施例1に配合されるクロルフェニラミンマレイン酸塩の量(g))×100 ・・・・・・ (3)

(ポリヘキサメチレンビグアニドのソフトコンタクトレンズへの吸着率(%))=
((実施例1に含まれるポリヘキサメチレンビグアニドの量(g))−((手順4)にて定量されたポリヘキサメチレンビグアニドの量(g)))/(実施例1に配合されるポリヘキサメチレンビグアニドの量(g))×100 ・・・・・・ (4)
実施例2〜実施例5についても実施例1と同様にして試験を行い、クロルフェニラミンマレイン酸塩の各ソフトコンタクトレンズへの吸着率を評価した。クロルフェニラミンマレイン酸塩の各ソフトコンタクトレンズへの吸着率を表5に、ポリヘキサメチレンビグアニドの各ソフトコンタクトレンズへの吸着率を表6に示す。
Figure 0006394957

Figure 0006394957

その結果、クロルフェニラミンマレイン酸塩のソフトコンタクトレンズへの吸着率は、メダリストII及びメダリストフレッシュフィットで1.0〜1.1%となり他のソフトコンタクトレンズよりも多かった。メダリストプラス及びアキュビューオアシスへのクロルフェニラミンマレイン酸塩の吸着率はメダリストII、メダリストフレッシュフィットの約1/2であった。
また、ポリヘキサメチレンビグアニドの吸着率は、メダリストIIで最も多く10.5〜16.2%であった。メダリストフレッシュフィットはメダリストIIの約1/4程度で2.5〜4.1%であった。メダリストプラス及びアキュビューオアシスへのポリヘキサメチレンビグアニドの吸着率が最も少なく1.3〜2.1%であった。
さらに、これらのソフトコンタクトレンズ以外に、2ウィークアキュビュー(登録商標)(グループIV、構成モノマー:2−HEMA、MAA、ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)製)を用いて、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5に含まれるクロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドの吸着率を評価した。2ウィークアキュビューへのクロルフェニラミンマレイン酸塩の吸着率を表7に、ポリヘキサメチレンビグアニドの吸着率を表8に示す。
Figure 0006394957

Figure 0006394957

その結果、2ウィークアキュビューへのクロルフェニラミンマレイン酸塩の吸着量は実施例1〜実施例5よりも比較例1〜比較例5は約2倍多く吸着する傾向を示した。また、ポリヘキサメチレンビグアニドの吸着量も同様に実施例1〜実施例5よりも比較例1〜比較例5で約2〜4倍多く吸着する傾向を示した。これより、実施例1〜実施例5の点眼剤はクロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドのソフトコンタクトレンズへの吸着を顕著に抑制した。
以上より、本発明の点眼剤は、点眼剤に欠かせない保存効力を満足し、クロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドの吸着を抑制できることが分かった。各種ソフトコンタクトレンズのなかでも、メダリストプラス(FDA分類:グループI)とアキュビューオアシス(シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)へのクロルフェニラミンマレイン酸塩及びポリヘキサメチレンビグアニドの吸着を顕著に抑制することができることが分かった。

Claims (3)

  1. (A) クロルフェニラミンマレイン酸塩を0.02〜0.04W/V%、
    (B) 式(1)で表されるポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩を0.00005〜0.00011W/V%、および
    (C) 式(2)で表される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体を0.05〜0.15W/V%含有することを特徴とする、点眼剤。
    Figure 0006394957

    [式(1)中、kは繰り返し単位を示す数字で、3〜40の整数である。]








    Figure 0006394957

    [式(2)中、m、nは各構成単位のモル比を示し、m/n=70/30〜90/10である。]
  2. ソフトコンタクトレンズ装用者用点眼剤であることを特徴とする、請求項1記載の点眼剤。
  3. 前記ソフトコンタクトレンズが、FDA分類によるグループIVのソフトコンタクトレンズであることを特徴とする、請求項2記載の点眼剤。
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