JP7218686B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車両に関する。
従来、この種のハイブリッド車両としては、ダンパの入力側に接続されたエンジンと、駆動輪に自動変速機とロックアップクラッチやトルクコンバータを有する発進装置とを介して接続されたモータと、ダンパの出力側とモータとの接続および接続の解除を行なうクラッチと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-171006号公報
上述のハイブリッド車両では、クラッチが係合状態のときには、エンジンがダンパやクラッチ、モータ、発進装置、自動変速機を介して駆動輪に連結される。このため、エンジンで燃焼不良が生じても、エンジンの回転数が十分に低下しない。これを踏まえて、エンジンで燃焼不良が生じたときに、その燃焼不良をどのように検出するかが課題とされていた。
本発明のハイブリッド車両は、クラッチが係合状態でエンジンで燃焼不良が生じたときに、その燃焼不良を検出可能にすることを主目的とする。
本発明のハイブリッド車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車両は、
ねじれ要素の入力側に接続されたエンジンと、
駆動輪に変速機を介して接続されたモータと、
前記ねじれ要素の出力側と前記モータとの接続および接続の解除を行なうクラッチと、
を備えるハイブリッド車両であって、
前記クラッチが係合状態のときには、所定期間の前記エンジンの回転変動量の積算値または平均値を閾値と比較することにより、前記エンジンで燃焼不良が生じているか否かを判定する判定装置、
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車両では、クラッチが係合状態のときには、所定期間のエンジンの回転変動量の積算値または平均値を閾値と比較することにより、エンジンで燃焼不良が生じているか否かを判定する。ここで、「燃焼不良」としては、例えば、エンジンに燃料を供給する燃料供給系の異常などによるエンジンの全気筒での失火を挙げることができる。エンジンで燃焼不良が生じると、爆発燃焼に起因するエンジンの回転数の上昇が抑制され、エンジンの回転変動量が小さくなる。したがって、このような手法により、クラッチが係合状態でエンジンで燃焼不良が生じたときに、その燃焼不良を検出することができる。
こうした本発明のハイブリッド車両において、前記判定装置は、前記エンジンの出力軸が所定回転角だけ回転するのに要した所要時間の極大値と極小値との差分を前記回転変動量として演算するものとしてもよい。
この場合、前記判定装置は、前記所定期間の前記エンジンの回転数の積算値または平均値が大きいほど小さくなるように前記閾値を設定するものとしてもよい。これは、エンジンの回転数が大きいほど所要時間が小さくなりやすく、所要時間の極大値と極小値との差分としての回転変動量が小さくなりやすいためである。
また、この場合、前記判定装置は、前記所定期間の前記エンジンの負荷率の積算値または平均値が大きいほど大きくなるように前記閾値を設定するものとしてもよい。これは、エンジンの負荷率(トルク)が大きいほど、エンジンで燃焼不良が生じていないときに、所要時間の極小値が小さくなりやすく、所要時間の極大値と極小値との差分としての回転変動量が大きくなりやすいためである。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 クランク角θcrや燃焼気筒、所要時間T30の様子の一例を示す説明図である。 エンジンECU24により実行される燃焼状態判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 閾値設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22のクランク角θcrや燃焼気筒、所要時間T30、所要時間変動量積算値ΔT30sの様子の一例を示す説明図である。 変形例の燃焼状態判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、エンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、モータ30と、インバータ32と、クラッチ36と、自動変速装置40と、センターデファレンシャルギヤ50と、高電圧バッテリ60と、低電圧バッテリ67と、DC/DCコンバータ68と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU70」という)とを備える。
エンジン22は、燃料タンクから燃料供給系を介して供給されるガソリンや軽油などを燃料として用いて吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の各行程により動力を出力する4気筒の内燃機関として構成されている。図2に示すように、エンジン22は、エアクリーナ122により清浄された空気を吸気管123に吸入してスロットルバルブ124を通過させると共に燃料噴射弁126から燃料を噴射して空気と燃料とを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室129に吸入する。そして、吸入した混合気を点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト23の回転運動に変換する。燃焼室129から排気バルブ131を介して排気管133に排出される排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する触媒(三元触媒)134aを有する浄化装置134を介して外気に排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御される。エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Twを挙げることができる。吸気バルブ128を開閉するインテークカムシャフトの回転位置や排気バルブ131を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカム角θci,θcoも挙げることができる。スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルポジションセンサ124aからのスロットル開度THや、吸気管123に取り付けられたエアフローメータ148からの吸入空気量Qa、吸気管123に取り付けられた温度センサ149からの吸気温Taも挙げることができる。排気管133に取り付けられた空燃比センサ135aからの空燃比AFや、排気管133に取り付けられた酸素センサ135bからの酸素信号O2も挙げることができる。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ124bへの制御信号や、燃料噴射弁126への制御信号、点火プラグ130への制御信号を挙げることができる。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算したり、エアフローメータ148からの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて、負荷率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算している。
また、エンジンECU24は、クランクシャフト23が所定角度Δθcr1(例えば、10度)だけ回転する度に、クランクシャフト23が30度だけ回転するのに要した所要時間T30を演算している。
さらに、エンジンECU24は、クランクシャフト23が180度だけ回転する度に(例えば、燃焼行程の気筒が変化する度に)、その直前にクランクシャフト23が180度だけ回転した間の所要時間T30の極大値と極小値との差分として所要時間変動量ΔT30を演算している。図3は、クランク角θcrや燃焼気筒、所要時間T30の様子の一例を示す説明図である。実施例では、4気筒のエンジン22を用いるから、クランクシャフト23が180度回転する度に、第1気筒(♯1)、第3気筒(#3)、第4気筒(#4)、第2気筒(♯2)の順に点火が行なわれる。図3に示すように、エンジン22の何れかの気筒で点火により爆発燃焼が生じると、それに伴ってクランクシャフト23の回転角速度が速くなって所要時間T30が短くなり、その後にエンジン22のフリクションによりエンジン22の回転角速度が遅くなって所要時間T30が長くなる。このため、所要時間T30は、180度の周期で変動する。これを考慮して、所要時間変動量ΔT30を上述のように演算するものとした。
図1に示すように、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト23には、エンジン22をクランキングするためのスタータモータ25や、エンジン22からの動力を用いて発電するオルタネータ26が接続されている。また、エンジン22のクランクシャフト23には、ねじれ要素としてのダンパ28の入力側も接続されている。
モータ30は、例えば同期発電電動機として構成されている。インバータ32は、モータ30の駆動に用いられると共に高電圧側電力ライン61に接続されている。モータ30は、HVECU70によってインバータ32の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。クラッチ36は、例えば油圧駆動の摩擦クラッチとして構成されており、ダンパ28の出力側とモータ30の回転軸との接続および接続の解除を行なう。
自動変速装置40は、トルクコンバータ43と、6段変速の自動変速機45と、図示しない油圧回路とを備える。トルクコンバータ43は、一般的な流体式の伝導装置として構成されており、モータ30の回転軸に接続された入力軸41の動力を自動変速機45の入力軸である中間回転軸44にトルクを増幅して伝達したり、トルクを増幅することなくそのまま伝達したりする。トルクコンバータ43は、入力軸41に取り付けられたポンプインペラと、中間回転軸44に接続されたタービンランナと、タービンランナからポンプインペラへの作動油の流れを整流するステータと、ステータの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチと、ポンプインペラとタービンランナとを連結する油圧駆動のロックアップクラッチ43aとを備える。自動変速機45は、中間回転軸44に接続されると共に駆動軸46に接続された出力軸42に接続され、複数の遊星歯車と、油圧駆動の複数の摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ)とを有する。この自動変速機45は、例えば、複数の摩擦係合要素の係脱により第1速から第6速までの前進段や後進段を形成して中間回転軸44と出力軸42との間で動力を伝達する。
センターデファレンシャルギヤ50は、駆動軸46と、前輪51a,51bに車軸52およびフロントデファレンシャルギヤ53を介して連結されたフロント伝達軸54と、後輪55a,55bに車軸56およびリヤデファレンシャルギヤ57を介して連結されたリヤ伝達軸58と、に接続されている。このセンターデファレンシャルギヤ50は、駆動軸46の動力をフロント伝達軸54およびリヤ伝達軸58に分配して伝達したり、フロント伝達軸54およびリヤ伝達軸58の動力の総和を駆動軸46に伝達したりする。
高電圧バッテリ60は、例えばリチウムイオン二次電池として構成されており、インバータ32と共に高電圧側電力ライン61に接続されている。低電圧バッテリ67は、定格電圧が高電圧バッテリ60よりも低い例えば鉛蓄電池として構成されており、スタータモータ25やオルタネータ26と共に低電圧側電力ライン66に接続されている。DC/DCコンバータ68は、高電圧側電力ライン61と低電圧側電力ライン66とに接続されている。このDC/DCコンバータ68は、HVECU70によって制御されることにより、高電圧側電力ライン61の電力を低電圧側電力ライン66に電圧の降圧を伴って供給する。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、モータ30の回転子の回転位置を検出する回転位置センサ(例えばレゾルバ)30aからのモータ30の回転子の回転位置θm、駆動軸46に取り付けられた回転数センサ46aからの駆動軸46の回転数Npを挙げることができる。また、高電圧バッテリ60の端子間に取り付けられた電圧センサからの高電圧バッテリ60の電圧Vbや、高電圧バッテリ60の出力端子に取り付けられた電流センサからの高電圧バッテリ60の電流Ibも挙げることができる。さらに、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。
HVECU70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。HVECU70から出力される信号としては、例えば、スタータモータ25への制御信号や、オルタネータ26への制御信号を挙げることができる。また、インバータ32への制御信号や、クラッチ36への制御信号、自動変速装置40への制御信号、DC/DCコンバータ68への制御信号も挙げることができる。HVECU70は、エンジンECU24と通信ポートを介して接続されている。HVECU70は、回転位置センサ30aからのモータ30の回転子の回転位置θmに基づいてモータ30の回転数Nm(自動変速装置40の入力軸41の回転数)も演算している。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、クラッチ36を解放状態としてモータ30からの動力を用いて走行する電動走行(EV走行)モードや、クラッチ36を係合状態としてエンジン22およびモータ30からの動力を用いて走行するハイブリッド走行(HV走行)モードで走行する。
EV走行モードでは、HVECU70は、基本的には、以下のEV走行制御を行なう。最初に、アクセル開度Accと車速Vとに対する変速線に基づいて自動変速機45の目標変速段M*を設定し、自動変速機45の変速段Mが目標変速段M*となるように自動変速機45を制御する。また、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸46(自動変速装置40の出力軸42)の要求トルクTp*を設定し、駆動軸46の要求トルクTp*と自動変速機45の変速段Mに対応するギヤ比とに基づいて自動変速装置40の入力軸41の要求トルクTin*を計算する。そして、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにモータ30のトルク指令Tm*を設定し、モータ30がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
HV走行モードでは、HVECU70は、基本的には、以下のHV走行制御を行なう。自動変速機45の制御については、EV走行モードと同様に行なう。エンジン22およびモータ30の制御については、最初に、EV走行モードと同様に入力軸41の要求トルクTin*を計算する。続いて、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにエンジン22の目標トルクTe*やモータ30のトルク指令Tm*を設定する。そして、エンジン22が目標トルクTe*で運転されるようにエンジン22を制御すると共にモータ30がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定する際の動作について説明する。なお、「燃焼不良」としては、例えば、エンジン22に燃料を供給する燃料供給系の異常などによるエンジン22の全気筒での失火を挙げることができる。図4は、エンジンECU24により実行される燃焼状態判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
図4の燃焼状態判定ルーチンが実行されると、エンジンECU24は、最初に、エンジン22の回転数Neの積算値である回転数積算値Nesや、エンジン22の負荷率KLの積算値である負荷率積算値KLs、所要時間変動量ΔT30の積算値である所要時間変動量積算値ΔT30s、カウンタCを初期値としての値0にリセットする(ステップS100)。
続いて、クラッチ係合フラグFcを入力し(ステップS110)、入力したクラッチ係合フラグFcの値を調べる(ステップS120)。クラッチ係合フラグFcが値0のときには、クラッチ36が解放状態であると判断し、クラッチ解放時判定処理によりエンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。クラッチ36が解放状態のときには、エンジン22がモータ30や自動変速装置40、前輪51a,51bおよび後輪55a,55bから切り離されている。このため、エンジン22で燃焼不良が生じていない(燃焼状態が正常である)ときには、エンジン22の回転数Neがそれほど低下しないのに対し、エンジン22で燃焼不良が生じているときには、エンジン22の回転数Neが低下する。したがって、クラッチ解放時判定処理では、例えば、エンジン22の回転数Neを閾値Nerefと比較することにより、エンジン22で燃焼不良が生じているかを判定することができる。
ステップS120でクラッチ係合フラグFcが値1のときには、クラッチ36が係合状態であると判断し、エンジン22の回転数Neや負荷率KL、所要時間変動量ΔT30などのデータを入力する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neや負荷率KL、所要時間変動量ΔT30は、エンジンECU24により上述のように設定された値が入力される。なお、上述したように、クランクシャフト23が180度だけ回転する度に所要時間変動量ΔT30を演算するから、実施例では、ステップS110,S120,S140~S180の処理を繰り返し実行する際には、クランクシャフト23が180だけ回転する度にステップS140の処理を行なうようにするものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したエンジン22の回転数Neを前回の回転数積算値(前回Nes)に加えて回転数積算値Nesを更新し(ステップS150)、エンジン22の負荷率KLを前回の負荷率積算値(前回KLs)に加えて負荷率積算値KLsを更新する(ステップS160)。続いて、所要時間変動量ΔT30を前回の所要時間変動量積算値(前回ΔT30s)に加えて所要時間変動量積算値ΔT30sを更新し(ステップS170)、カウンタCを値1だけインクリメントして更新する(ステップS180)。
そして、カウンタCを閾値Crefと比較する(ステップS190)。ここで、閾値Crefは、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かをある程度精度よく判定可能な回転量(以下、「判定用回転量」という)だけエンジン22のクランクシャフト23が回転したか否かを判定するのに用いられる閾値であり、例えば、380や400、420などが用いられる。カウンタCが閾値Cref未満のときには、エンジン22が判定用回転量だけ回転していないと判断し、ステップS100に戻る。
ステップS190でカウンタCが閾値Cref以上のときには、エンジン22が判定用回転量だけ回転したと判断し、回転数積算値Nesおよび負荷率積算値KLsに基づいて、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かの判定に用いる閾値ΔT30srefを設定する(ステップS200)。ここで、閾値ΔT30srefは、実施例では、回転数積算値Nesおよび負荷率積算値KLsと閾値ΔT30srefとの関係を予め定めて閾値設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、回転数積算値Nesおよび負荷率積算値KLsが与えられると、このマップから対応する閾値ΔT30sreftwo導出して設定するものとした。図5は、閾値設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、閾値ΔT30srefは、回転数積算値Nesが大きいほど小さくなるように、且つ、負荷率積算値KLsが大きいほど大きくなるように設定される。この理由については後述する。
そして、所要時間変動量積算値ΔT30sを閾値ΔT30srefと比較し(ステップS210)、所要時間変動量積算値ΔT30sが閾値ΔT30sref以上のときには、エンジン22で燃焼不良は生じていない、即ち、エンジン22の燃焼状態は正常であると判定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。一方、所要時間変動量ΔT30が閾値ΔT30sref未満のときには、エンジン22で燃焼不良が生じていると判定して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。
エンジン22の燃焼状態が正常であるときには、エンジン22で燃焼不良が生じているときに比して、所要時間変動量ΔT30ひいては所要時間変動量積算値ΔT30sが大きくなる。このため、所要時間変動量積算値ΔT30sを閾値ΔT30srefと比較することにより、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定することができる。
次に、閾値ΔT30srefを、回転数積算値Nesが大きいほど小さくなるように、且つ、負荷率積算値KLsが大きいほど大きくなるように設定する理由について説明する。前者については、エンジン22の回転数Neひいては回転数積算値Nesが大きいほど、所要時間T30が小さくなりやすく、所要時間変動量ΔT30ひいては所要時間変動量積算値ΔT30sが小さくなりやすいためである。後者については、エンジン22の負荷率KL(爆発燃焼により生じるトルク)が大きいほど、エンジン22の燃焼状態が正常であるときに、クランクシャフト23が180度だけ回転した間の所要時間T30の所要時間T30の極小値が小さくなりやすく、所要時間変動量ΔT30ひいては所要時間変動量積算値ΔT30sが大きくなりやすいためである。したがって、このように閾値ΔT30srefを設定することにより、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かをより適切に判定することができる。
図6は、エンジン22のクランク角θcrや燃焼気筒、所要時間T30、所要時間変動量積算値ΔT30sの様子の一例を示す説明図である。エンジン22の燃焼状態が正常である(燃焼不良が生じていない)ときと燃焼不良が生じているときとでは、単位時間当たりのクランクシャフト23の回転量が異なることから、横軸を時間とすると、図面にしたときに、所要時間T30の横幅が異なる。これを踏まえて、図6では、所要時間T30の横幅を揃えて両者の比較を容易にするために、横軸をカウンタC(クランクシャフト23の回転量に相当する)とした。図中、所要時間T30や所要時間変動量積算値ΔT30sについて、実線は、エンジン22の燃焼状態が正常であるときの様子を示し、破線は、エンジン22で燃焼不良が生じているときの様子を示す。エンジン22の燃焼状態が正常であるときには、図中実線に示すように、所要時間T30の変動量(所要時間変動量ΔT30)が比較的大きく、これに伴って、所要時間変動量積算値ΔT30sが比較的大きくなる。一方、エンジン22で燃焼不良が生じているときには、図中破線に示すように、所要時間T30の変動量(所要時間変動量ΔT30)が比較的小さく、所要時間変動量積算値ΔT30sがそれほど大きくならない。したがって、カウンタCが閾値Cref以上に至ったときに、所要時間変動量積算値ΔT30sを閾値ΔT30srefと比較することにより、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、クラッチ36が係合状態のときには、エンジン22が所定回転量だけ回転した間の所要時間変動量積算値ΔT30sを閾値ΔT30srefと比較することにより、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定する。エンジン22で燃焼不良が生じると、爆発燃焼に起因するエンジン22の回転数の上昇が抑制され、所要時間T30の極小値が小さくなり、所要時間変動量ΔT30ひいては所要時間変動量積算値ΔT30sが小さくなる。したがって、このような手法により、クラッチ36が係合状態でエンジン22で燃焼不良が生じたときに、その燃焼不良を検出することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、所要時間変動量積算値ΔT30sを閾値ΔT30srefと比較することにより、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定するものとした。しかし、所要時間変動量積算値ΔT30sを閾値Crefで除して得られる所要時間変動量ΔT30の平均値である所要時間変動量平均値を閾値と比較することにより、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、回転数積算値Nesおよび負荷率積算値KLsに基づいて閾値ΔT30srefを設定するものとしたが、回転数積算値Nesを閾値Crefで除して得られるエンジン22の回転数Neの平均値である回転数平均値Neaと、負荷率積算値KLsを閾値Crefで除して得られるエンジン22の負荷率KLの平均値である負荷率平均値KLaと、に基づいて閾値ΔT30srefを設定するものとしてもよい。また、回転数積算値Nesや回転数平均値Neaと、負荷率積算値KLsや負荷率平均値KLaと、のうちの何れかだけに基づいて閾値ΔT30srefを設定するものとしてもよい。さらに、閾値ΔT30srefとして、予め定められた値(一律の値)を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24は、図4の燃焼状態判定ルーチンに示したように、ステップS100の処理をステップS110の処理の実行前(本ルーチンの実行開始直後)に実行するものとしたが、これに代えて、図7の燃焼状態判定ルーチンに示すように、ステップS100の処理をステップS220またはステップS230の処理の実行後に実行するものとしてもよい。
いま、クラッチ36が係合状態、解放状態、係合状態となったときを考える。図4の燃焼状態判定ルーチンでは、クラッチ36が解放状態になったときやその後に係合状態になったときに、回転数積算値Nesや負荷率積算値KLs、所要時間変動量積算値ΔT30s、カウンタCを値0にリセットすることになる。これにより、クラッチ36が係合状態で継続して(解放状態になることなく)、カウンタCが閾値Cref以上に至った(エンジン22のクランクシャフト23が判定用回転量だけ回転した)ときに、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定することができる。
これに対して、図7の燃焼状態判定ルーチンでは、クラッチ36が解放状態になったときやその後に再び係合状態になったときに、回転数積算値Nesや負荷率積算値KLs、所要時間変動量積算値ΔT30s、カウンタCを値0にリセットしないことになる。これにより、クラッチ36が再び係合状態になってからカウンタCが閾値Cref以上に至るまでの時間、即ち、エンジン22で燃焼不良が生じているか否かを判定するまでの時間を短くすることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、4気筒のエンジン22を用いるものとしたが、6気筒や8気筒などのエンジンを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動軸46の動力をセンターデファレンシャルギヤ50を介してフロント伝達軸54(前輪51a,51b)およびリヤ伝達軸58(後輪55a,55b)に分配して伝達するものとした。しかし、センターデファレンシャルギヤ50を備えずに、駆動軸46の動力を前輪51a,51bおよび後輪55a,55bのうちの何れかにだけ出力するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とHVECU70とを備えるものとしたが、これらを1つの電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータ30が「モータ」に相当し、クラッチ36が「クラッチ」に相当し、エンジンECU24が「判定装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車両の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクシャフト、24 エンジンECU、25 スタータモータ、26 オルタネータ、28 ダンパ、30 モータ、30a 回転位置センサ、32 インバータ、36 クラッチ、40 自動変速装置、41 入力軸、42 出力軸、43 トルクコンバータ、43a ロックアップクラッチ、44 中間回転軸、45 自動変速機、46 駆動軸、46a 回転数センサ、50 センターデファレンシャルギヤ、51a 前輪、52 車軸、53 フロントデファレンシャルギヤ、54 フロント伝達軸、55a 後輪、56 車軸、57 リヤデファレンシャルギヤ、58 リヤ伝達軸、60 高電圧バッテリ、61 高電圧側電力ライン、66 低電圧側電力ライン、67 低電圧バッテリ、68 DC/DCコンバータ、70 HVECU、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ。

Claims (1)

  1. ねじれ要素の入力側に接続されたエンジンと、
    駆動輪に変速機を介して接続されたモータと、
    前記ねじれ要素の出力側と前記モータとの接続および接続の解除を行なうクラッチと、
    を備えるハイブリッド車両であって、
    前記クラッチが係合状態のときには、所定期間の前記エンジンの回転変動量の積算値または平均値を閾値と比較することにより、前記エンジンで燃焼不良が生じているか否かを判定する判定装置、
    を備え
    前記判定装置は、前記所定期間の前記エンジンの回転数の積算値または平均値が大きいほど小さくなるように前記閾値を設定する、
    ハイブリッド車両。
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