JP7216240B1 - 光学装置及びイメージセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】凹凸及び高低差が存在する被写体であっても劣化が少なく高い解像度を有する画像を取得する【解決手段】光学装置1aは、レンズアレイ10と、透明誘電体アレイ20とを備える。レンズアレイ10は、複数のレンズ11を含んでいる。レンズアレイ10において、複数のレンズ11は、それらの光軸が互いに略平行になるように配列されている。透明誘電体アレイ20は、複数の円柱状の透明誘電体21を含んでいる。透明誘電体アレイ20において、複数の透明誘電体21は、それらの中心軸が互いに略平行になるように配列されている。レンズアレイ10及び透明誘電体アレイ20は、レンズ11の光軸及び円柱状の透明誘電体21の中心軸が略平行であり、かつ、レンズアレイ10の端面と透明誘電体アレイ20の端面とが対向するように配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、光学装置及びイメージセンサに関する。
従来、複数のレンズをそれらの光軸又は中心軸が互いに平行になるように所定の方向に並べて一体化して形成されたレンズアレイが知られている。このようなレンズアレイにおいて、物体面の画像情報を、個々の単レンズによって得られる像の重ね合わせによって像を形成することで、小型でありながら、二次元の画像情報を得ることができる。このような特性及び機能を活かして、レンズアレイは、照明装置及びフォトダイオード(PD)アレイ等の受光素子アレイとともに、イメージセンサに用いられている。レンズアレイが用いられるイメージセンサとして、例えば密着型イメージセンサ(CIS)がある。
Charge-Coupled Device(CCD)及びComplementary Metal-Oxide Semiconductor(CMOS)等の二次元センサと、複数のレンズと、ミラーを備えた縮小光学結像方式のスキャナと比べると、レンズアレイを備えたイメージセンサは、例えば、物体と受光素子(撮像素子)との距離、物点と像点との距離、又は物体面と像面との距離が短く省スペースを実現しやすいこと、部品点数が少なくメンテナンス性がよいこと、及び組立の容易性等のメリットがある。
密着型イメージセンサ等の装置に用いられるレンズアレイは、その小型さ、低コスト、高解像度かつ高コントラストの画像が得られやすいという利点を有する。一方、レンズアレイの被写界深度は小さくなりやすい。このため、例えば、本の見開き部分、透明ケースで保護された写真等の大きな凹凸を有する被写体、又は、原稿台から離れた被写体の画像を取得する場合に、画質が劣化する可能性がある。
例えば、特許文献1には、この被写界深度を改善するための方法として、レンズアレイにおいて複数のレンズ素子に対応した複数の開口部を有する重なり制限部材を設置することが記載されている。レンズアレイの各レンズ素子の光軸とその開口部の中心とが一致している。この方法によれば、レンズ素子の光軸と重なり制限部材の開口部の中心とが一致していないと、重なり制限部材はレンズの結像視野を絞ることができず、像と像の重なりを低減できないと考えられる。一方で、複数のレンズ素子を理想的な配列に対して寸分違わずに配列することはレンズアレイの製作上困難であると考えられる。
特許文献2には、密着型イメージセンサにおいて、原稿面と受光素子アレイとの間に位置し、かつ、レンズアレイの光軸と直交する面上に回折効果を有する遮光マスクを配設する方法が記載されている。この方法では、精細な解像度の観点から重要な高周波成分が画像に反映されにくいという問題が生じうると考えられる。
特開平6-342131号公報 特開平10-173862号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、凹凸及び高低差が存在する被写体であっても高い解像度を有する画像を取得する観点から有利な光学装置を提供する。
本発明は、
複数のレンズを含み、前記複数のレンズの光軸が互いに略平行になるように前記複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
複数の円柱状の透明誘電体を含み、前記複数の透明誘電体の中心軸が互いに略平行になるように配列された透明誘電体アレイと、を備え、
前記レンズアレイ及び前記透明誘電体アレイは、前記光軸及び前記中心軸が略平行であり、かつ、前記レンズアレイの端面と前記透明誘電体アレイの端面とが対向するように配置されている、
光学装置を提供する。
また、本発明は、
上記の光学装置を備えた、イメージセンサを提供する。
上記の光学装置は、凹凸及び高低差が存在する被写体であっても高い解像度を有する画像を取得する観点から有利である。また、上記の光学装置は、レンズアレイを単独で用いる場合よりも、比較的大きい被写界深度を有する点においても有利である。
図1は、本発明に係る光学装置の一例を示す斜視図である。 図2は、本発明に関係するレンズアレイの一例を示す概略的な斜視図である。 図3は、レンズアレイの物体面及び像面との関係を示す図である。 図4は、屈折率分布を有するロッドレンズの結像を説明する図である。 図5Aは、物体の位置が共役の位置にあるときの隣接する二個のロッドレンズの結像状態を説明する図である。 図5Bは、物体の位置が共役の位置からずれているときの隣接する二個のロッドレンズの結像状態を説明する図である。 図6は、ロッドレンズの光入射面において中心軸から距離rだけ離れた位置で受光可能な光線の広がりを模式的に示す図である。 図7は、ロッドレンズの開口の定義から決定される角度θと中心軸からの距離rとの関係を概略的に示すグラフである。 図8Aは、透明誘電体アレイがない場合における光線の広がりを模式的に示す図である。 図8Bは、ロッドレンズの光軸方向に透明誘電体が配置された場合の視野の制限を模式的に示す図である。 図8Cは、ロッドレンズの光軸方向に透明誘電体が配置された場合の視野の制限を模式的に示す図である。 図8Dは、ロッドレンズの光軸方向に透明誘電体が配置された場合の視野の制限を模式的に示す図である。 図9は、本発明に係る透明誘電体アレイの一例を示す斜視図である。 図10Aは、ロッドレンズアレイによって構成された光学系を示す図である。 図10Bは、ロッドレンズアレイによって構成された光学系を示す図である。 図10Cは、ロッドレンズアレイ及び透明誘電体アレイによって構成された光学系を示す図である。 図10Dは、ロッドレンズアレイ及び透明誘電体アレイによって構成された光学系を示す図である。 図11は、ロッドレンズアレイ及び透明誘電体アレイによって構成された光学系における、光線収差の二乗平均平方根の比rmsrと、P1/P0との関係を示すグラフである。 図12Aは、ロッドレンズアレイα及び透明誘電体アレイによって構成された光学系における、光線収差のrmsの比rmsrと、H/(n1・L01)との関係を示すグラフである。 図12Bは、ロッドレンズアレイβ及び透明誘電体アレイによって構成された光学系における、光線収差のrmsの比rmsrと、H/(n1・L01)との関係を示すグラフである。 図12Cは、ロッドレンズアレイγ及び透明誘電体アレイによって構成された光学系における、光線収差のrmsの比rmsrと、H/(n1・L01)との関係を示すグラフである。 図13は、レンズα、β、又はγと、透明誘電体アレイとによって構成された光学系におけるH/(n1・L01thとP1/P0との関係を示すグラフである。 図14は、レンズα、β、又はγと、透明誘電体アレイとによって構成された光学系における、照度ムラΔIと、H/(n1・L01)との関係を示すグラフである。 図15Aは、本発明に係るイメージセンサの一例を示す図である。 図15Bは、本発明に係るイメージセンサの別の一例を示す図である。 図15Cは、本発明に係るイメージセンサのさらに別の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明の例示に関するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る光学装置の一例を示す斜視図である。図1に示す通り、光学装置1aは、レンズアレイ10と、透明誘電体アレイ20とを備えている。x、y、及びzが示す方向は、直交座標系の各x、yおよびz軸の方向を示す。レンズアレイ10は、複数のレンズ11を含んでいる。レンズアレイ10において、複数のレンズ11は、それらの光軸が互いに略平行になるように、x方向のみに配列されている(一列配列)。例えば、特定のレンズ11の光軸に垂直な方向に沿って複数のレンズ11を見たときに、特定のレンズ11の光軸は他のレンズ11の光軸と略平行である。透明誘電体アレイ20は、複数の円柱状の透明誘電体21を含んでいる。透明誘電体アレイ20において、複数の透明誘電体21は、それらの中心軸が互いに略平行になるように、x方向とy方向に配列されている。透明誘電体アレイ20において、透明誘電体21が、y方向に二列、かつ、x方向に比較的多く、長く配列されている(二列配列)。また、透明誘電体アレイ20は、透明誘電体21がx方向に一列に配列されたレンズ列を、y方向に二段重ねて構成されているともいえる。例えば、特定の透明誘電体21の中心軸に垂直な方向に沿って複数の透明誘電体21を見たときに、特定の透明誘電体21の中心軸は他の透明誘電体21の中心軸と略平行である。レンズアレイ10及び透明誘電体アレイ20は、レンズ11の光軸及び円柱状の透明誘電体21の中心軸が略平行であり、かつ、レンズアレイ10の端面と透明誘電体アレイ20の端面とが対向するように配置されている。例えば、透明誘電体21の中心軸に垂直な方向に沿ってレンズアレイ10及び透明誘電体アレイ20を見たときに、レンズ11の光軸は、円柱状の透明誘電体21の中心軸に平行な方向に延びている。ここで、複数の軸又は対象物が互いに略平行であるとは、それらのなす角が1°以下であることをいう。
レンズアレイにおいて、集光機能を有する複数のレンズがそれらの中心軸又は光軸が略平行になるように一次元又は二次元に配列されうる。レンズアレイは、ファクシミリ、コピー機、及びプリンタ等の装置において、画像を取得するための光学系において広く用いられている。レンズアレイに用いられるレンズとして端面屈折型レンズが知られている。端面屈折型レンズでは、光入射端面及び光出射端面の少なくとも一方の端面が曲面であり、その端面の屈折作用により集光が生じる。
加えて、レンズアレイに用いられるレンズとして屈折率分布型ロッドレンズも知られている。屈折率分布型ロッドレンズ(以下、単に「ロッドレンズ」と称することもある)は、例えば、円柱状の樹脂又はガラスなどからなる光を透過させることが可能な誘電体であり、中心部から外周部に向かって屈折率が減少する屈折率分布を有する。ロッドレンズは、端面屈折型レンズのように光の入射及び出射に供される面の一部又は全部が曲面に形成されていなくても、集光又は光の発散の機能を発揮しうる。ロッドレンズは、製造コストの上昇に直結する端面の曲面加工を必要とせず小さく加工しやすいので、光通信用の集光レンズとして使用されうる。加えて、複数のロッドレンズの中心軸が互いに略平行になるように配列されたレンズアレイでは、線状又は面状の対象物を集光面に結像させることが可能である。このため、このようなレンズアレイは、高解像度又は高コントラスト等の高い光学性能を発揮しつつ、小型さ、低コスト、及びハンドリング性の高さ等の際立って良好な特性を併せ持つ。特に、ガラス製のロッドレンズを備えたレンズアレイは、著しく高い対候性能を有しやすく、長期信頼性を有しやすい。このようなレンズアレイを適用可能な技術分野は多岐にわたる。
レンズアレイ10において、レンズ11は、例えば、半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズである。この場合、レンズ11は、樹脂製であってもよいし、ガラス製であってもよい。レンズ11は、望ましくはガラス製であってもよい。レンズ11は、端面屈折型レンズであってもよい。
レンズアレイ10における複数のレンズ11の配列は特定の態様に限定されない。レンズアレイ10において、レンズ11は例えば集光作用を有する単レンズであり、複数のレンズ11が少なくとも1つの方向に沿って配列されている。レンズアレイ10における複数のレンズ11の配列は、1×n(nは2以上の整数)の一次元配列であってもよいし、m×l(m及びlは2以上の整数である)の二次元配列であってもよい。1×nの配列を一列配列、2×lの配列を二列配列、3×lの配列を三列配列などと称する場合もあり、このとき、m(m=1、2、3・・・)を列数と称する。レンズアレイ10における複数のレンズ11の配列は、複数のレンズ11を光軸に平行な方向に沿って見たときに複数のレンズ11の光軸に対応する点が正方形又は長方形の各頂点となる配列であってもよいし、最密な配列であってもよい。複数のレンズ11が一列配列をなしている場合、上記のnに対応する方向が第一方向又は主走査方向と定められてもよい。複数のレンズ11が二次元配列をなしている場合、上記のm及びlのうちより大きい方に対応する方向が第一方向又は主走査方向と定められてもよい。レンズ11の光軸又は中心軸に垂直であり、かつ、第一方向(主走査方向)に垂直な方向が副走査方向と定められてもよい。
図2は、レンズアレイ10の一例を示す概略的な斜視図である。図2に示す通り、レンズアレイ10において、レンズ11は、例えばロッドレンズであり、複数のレンズ11は一列配列をなしている。図2において、x、y、及びzは、直交座標系のx、y、及びz軸の方向を示す。x方向を主走査方向とし、y方向を副走査方向とし、レンズ11の中心軸はz方向に平行又は略平行である。なお、複数のロッドレンズを備えたレンズアレイに関する以下の説明は、技術的に矛盾しない限りその他のレンズアレイについても当てはまる。
レンズアレイにおいて複数のレンズが配列されており、複数のレンズのそれぞれによって結像された像が重なり合い、複数のレンズが配列された領域に対応して1つの合成像が得られる。例えば、レンズアレイが、物体面と結像面との関係において正立等倍系の配置をとる場合、レンズアレイによって物体面又は物点の正立等倍像が得られる。
図3は、レンズアレイ10の別の一例を示す斜視図であり、レンズアレイ10の物体面OP及び像面IPとの関係を示す図である。図3において、x、y、及びzが表す方向は、直交座標系のx、y、及びz軸の方向を示す。図3に示すレンズアレイ10における複数のレンズ11はm=2の二列配列をなしている。図3において、Zはレンズ11の中心軸方向(z方向)における長さであり、L0は物体面OPとレンズアレイ10との間の距離(物体面OPと、レンズアレイ10の物体面OPに近い側の端面(光入射面)との、レンズ11の光軸方向の距離)であり、L1はレンズアレイ10と像面IPとの間の距離(像面IPとレンズアレイ10の像面IPに近い側の端面(光出射面)との、レンズ11の光軸方向の距離)であり、TCは、TC=L0+Z+L1の関係によって定まる共役長である。レンズ11の光軸は、ロッドレンズが円柱状としたとき、その中心軸又はロッドレンズの回転対称軸としても差し支えない。光が透過する範囲内において物体面側と結像面側の媒質が同じ(空気など)であり、物体面と結像面との関係において正立等倍系を構成するとき、物体面OP、ロッドレンズアレイ、及び像面IPの位置関係において、L0=L1の条件が満たされうる。L0=L1の条件が保たれつつ、像面IPに形成される像の解像度が最も高くなるように、物体面OP又は像面IPと、レンズアレイ10との距離が調整されてもよい。また、このときのL0、L1、及びこれらから算出されるTC等の数値又は数値のセットを正規の共役な配置に対応させてもよい。
物体面又は像面とレンズアレイとの距離が正規の共役な配置(正規の配置又は正立等倍系の配置)から逸脱すると、各レンズによって形成される像にズレが生じ、隣り合うレンズによって形成される像が整合性良く重なり合いにくくなり解像度が低下する。この事情は、レンズアレイにおいて、被写界深度が小さくなる要因の一つである。レンズアレイによって形成される合成像において、単レンズによって得られる像がどれだけ重畳しているかを表す指標として重なり度m値を考える。図3において、単レンズの正規の共役な位置における視野半径X0[mm]とし、レンズアレイにおいて隣り合うレンズの光軸又は中心軸同士の距離(配列ピッチ)P0[mm]としたとき、重なり度mは、m=X0/P0で表される。図3に示す通り、視野半径X0は、物体面OPにおいて単レンズが取り込むことができる領域の半径を示す。重なり度mが大きいことは、レンズアレイの像面IPにおいて、単位面積当たりの合成像の形成に寄与するレンズの数が多いことを意味する。このため、物体面OP又は像面IPとレンズアレイ10との距離が正立等倍時の正規の共役な配置から逸脱したときに生じる像のズレの影響は、重なり度mが大きいほど大きくなりやすく、レンズアレイによって得られる合成像がボケやすく、解像度が低下しやすい。なお、図3では、レンズ11が二列に配列された場合(m=2)について表されているが、レンズ11が一列に配置される場合、レンズ11が二列を超える列数で配置される場合でも、このような事情は同じである。
図4は、屈折率分布を有するロッドレンズの結像を説明する図である。ロットレンズ11の像面IPには、例えばイメージセンサの受光素子が設置され、物体位置又は物体面には、例えば原稿又はワーク等の面を有する物体が設置されうる。上記の通り、レンズアレイが正立等倍の光学系をなす場合、物体面及び像面は、L0=L1の条件を満たす正立等倍系(正規)の共役の関係となっている。この場合、図4に示す通り、等倍結像IUが得られる。物体又は物体面が、L0=L1の条件を満たす共役の位置PCからシフトして、L1<L0の関係に変化すると、結像面IP(結像位置)において縮小像IRが形成される(正立縮小系)。なぜなら、所定の開口角を持つ単レンズの視野がL0の増加に伴い拡大し、物体と視野半径との比が変化するためである。
レンズアレイにおいて物体位置がL0=L1の条件が満たされる共役の位置から変化した場合には、さらに次のような不具合を生じうる。図5Aは、物体の位置が共役の位置にあるときの隣接するロッドレンズの結像状態を説明する図であり、図5Bは、物体の位置が共役の位置からずれているときの隣接するロッドレンズの結像状態を説明する図である。図5A及び図5Bにおいて、隣接する2つの単レンズによって「A」という文字が像面に結像している。
図5Aに示す通り、L0=L1の関係が成り立っていると、各単レンズは、Aという文字の一部をその視野に捉えて、物体と等しい大きさの像が像面に形成され、2つの単レンズによる合成像がずれを生じないよう重なり合う。一方、図5Bに示す通り、L0=L1の共役の関係が成り立つ位置から物体がずれているとき、2つの単レンズによって形成される像は縮小像となる。像面に形成される単レンズの円状の結像の位置と大きさはL1が一定であるので変化しない。このため、「A」という物体と、隣接する2つの単レンズによって形成される像との位置関係にズレが生じ、2つの単レンズによって形成される合成像において不整合が生じうる。このため、解像度の低下が生じうる。
このように、正立等倍系が構成される共役の位置からL0が大きくなる方向に物体の位置がシフトするほど、単レンズにより形成される像の倍率が低下し、それに伴い解像度が低下することがレンズアレイの被写界深度が小さいことの主な要因であると理解される。図4、図5A、及び図5Bにおいて、レンズアレイにおける単レンズがロッドレンズである場合を例に説明している。レンズアレイにおける単レンズが、光の入出射面が曲面を含む面で構成された端面屈折型のレンズである場合も同様の問題が生じうる。また、二個又は二個以上のレンズが、それらの光軸を一致させて、光軸方向に配列されたレンズ系(カスケード配列)を主走査方向に配列させて構成されるレンズアレイによって、物体面や像面との関係が正立等倍系を構成する光学系も存在する。このようなレンズアレイを採用した場合であっても、光軸方向に配列されて構成されたレンズ系を、本書で説明する単レンズに置き換えて、同様の説明が当てはまり得る。
前述の通り、レンズアレイにおいて重なり度mの値が大きいほど単位面積あたりの合成像の形成に関与するレンズの数が多くなりやすい。このため、物体の位置の変化、ずれ、及びシフトなどによる解像度の低下も重なり度mの値が大きいほど顕著になりやすい。このため、レンズアレイにおいて、重なり度mというパラメータの大きさに比例して被写界深度が小さくなりやすい。
ロッドレンズは、例えば、円柱状の透明誘電体から形成されうる。ロッドレンズは、例えば、半径方向において中心軸から周辺に向かって低下する屈折率を有する。このため、ロッドレンズの内部で光線が曲がるので、例えば、光が入射する面又は光が出射する面がロッドレンズの端面としてフラットに形成されていても、集光等の機能が発揮されうる。
レンズ11がロッドレンズである場合、そのロッドレンズの屈折率分布は、例えば下記式(1)によって近似される。加えて、ロッドレンズの開口NAは、式(2)で表される。式(1)において、rは、半径方向におけるロッドレンズの光軸からの距離である。n(r)は、距離rにおけるロッドレンズの屈折率である。n0は、ロッドレンズの光軸又は中心における屈折率である。gは、ロッドレンズの屈折率分布定数である。r0は、ロッドレンズの有効半径である。ロッドレンズの有効半径とは、有効径(有効直径)の1/2であり、有効径とは、光が透過できる範囲であって、ロッドレンズの中心軸の回りの円の直径で表した量である。
n(r)2=n0 2{1-(g・r)2} 式(1)
NA=n0・g・r0 式(2)
図6は、ロッドレンズの光が入射する面上の中心から距離rだけ離れた位置における受光可能な角度θを模式的に示す。ここで、受光可能な角度は、ロッドレンズを介して結像に寄与しうる光線の角度であり、この角度以上の入射光はロッドレンズ側壁での吸収等によりレンズから出射されない。図6において距離rだけ離れた位置における受光可能な範囲が角度θを頂角とした円錐(Acceptance Cone)で表されている。この円錐の母線と円錐の中心軸とのなす角が受光角θと表される。
図7は、式(2)におけるロッドレンズの開口の定義から決定される角度θと中心軸からの距離rとの関係を概略的に示すグラフである。図7に示す通り、r=0であるロッドレンズの光入射面上の中心における受光角θが最大値を示し、ロッドレンズの外周端において角度θはゼロになる。この角度θの最大値が開口角θ0と定義される。開口角θ0及び開口NAは、NA=sinθ0の関係がある。
ロッドレンズを製造する方法は特定の方法に限定されない。ロッドレンズは、例えば、下記(i)、(ii)、及び(iii)を含む方法によって製造されうる。
(i)ダウンドロー法によって、所定の組成を有し、断面が略円形のロッド状ガラスを得る。
(ii)(i)で得られたロッド状ガラスの内部にイオン交換法によってLi等の元素の濃度勾配を形成し、ロッド状ガラスの半径方向に屈折率分布を形成する。
(iii)屈折率分布が形成されたロッド状ガラスを中心軸に略垂直な方向で所定の長さで切断して研磨することによって、光入出射面としての平面状の端面を設ける。
例えば、上記(iii)のステップは下記(iiia)及び(iiib)を含む。
(iiia)複数のロッド状ガラスの中心軸が互いに略平行になるように複数のロッド状ガラスを配列し、かつ、一対の側板で複数のロッド状ガラスを挟持する。
(iiib)ロッド状ガラスの中心軸に略垂直に複数のロッド状ガラスを、求める光学性能を発揮しうる適切な長さで切断して研磨することによって、光入出射面として機能する平面状の端面を設ける。光入出射面に対応する二個の端面は平行であってもよい。
光学装置1aにおいて、透明誘電体アレイ20は、例えば、レンズアレイ10のレンズ11の光軸に垂直な方向においてレンズアレイ10と重なるように配置されている。
図8Aは、ロッドレンズであるレンズ11を通過する光線の広がりを模式的に示す図である。図8B、図8C、及び図8Dのそれぞれは、ロッドレンズ11の光軸方向に透明誘電体が配置された場合の視野の制限を模式的に示す。図8A~図8Dの各図面が概略的に表す光学系において、物体面OPからロッドレンズ11に至る空間、透明誘電体21から結像面IPに至る空間の媒質は空気(屈折率=1)であり、ロッドレンズ11と透明誘電体21とはロッドレンズ11の光軸方向において接触していてもよいし、ロッドレンズ11の光軸方向においてロッドレンズ11と透明誘電体21との間には空気からなる媒質の空間があってもよい。図8Aにおいて、x、y、及びzが表す方向は、直交座標系のx、y、及びz軸の方向を示し、図8B~図8Dにおいても同様である。これらの図は、円柱状のロッドレンズ11の中心軸および透明誘電体21の中心軸を含む面における断面図を表す。また、これらのモデルにおいて、物体面OPの像を結像面IPに結像させる系が表されており、物体面OPにおける物点は、ロッドレンズ11、又は、ロッドレンズ11及び透明誘電体アレイ20からなる光学装置によって結像面IPに正立等倍像として結像される。図中の破線は、光学系が物体面における被写体を取り込める範囲と、光学系によって結像面に投影する範囲を表す。
図8Bから図8Dにおける円柱状の透明誘電体21の内部は透明であり光の吸収が生じない。もしくは、この透明誘電体21の内部で吸収される光の量が非常に少ない。この透明誘電体21は、1以上(又は空気の屈折率以上)の一定の屈折率を有する。円柱状の透明誘電体21の側面に到達した光の一部又は全部は吸収される。これにより、光の遮蔽が可能となっている。なお、円柱状の透明誘電体21の側面に到達した光を吸収する部位の厚みは可能な限り小さく、その厚みはゼロとみなしてもよい。また、透明誘電体の側面には、光を吸収するための黒色のコーティングがなされている場合、その肉厚は50μm以下であってもよい。このような円柱状の透明誘電体21が配列されて透明誘電体アレイ20が構成されうる。換言すれば、透明誘電体アレイは、一定の屈折率を有し、側面(周面)が光の一部を吸収するように構成された複数の円柱状の透明誘電体が、その中心軸が互いに略平行になるように配列させたものを一体化したものである。
屈折率が1である透明誘電体としては、空気を一つの誘電体として理解すれば、薄肉の円筒形状であってもよく、円筒の中心軸を平行にして少なくとも一方向に配列された透明誘電体アレイ(正確には円筒アレイ)であってもよい。
図8Aでは、物体面OPとロッドレンズ11の光入射面との距離と、ロッドレンズ11の光出射面と結像面IPとの距離は等しい。一方、図8B~図8Dでは、透明誘電体21が一定の屈折率を有しているので、物体面OPとロッドレンズ11の光入射面との距離と、ロッドレンズ11の光出射面と結像面IPとの距離は異なる点に注意する。また、ロッドレンズ11の光出射面(物体面OPの反対側の面)と、透明誘電体アレイ20の光入射面(結像面IPとは反対側の面)とは接触していてもよく、離れていてもよい。
図8Aにおいて、ロッドレンズ11は物点の正立等倍像を結像するように構成されているため、受光角の最大値である開口角θ0は、ロッドレンズ11において光が出射する面の中心において角度θの最大値である開口角θ0での光線の広がり生じる。そこで、円柱状の透明誘電体21による視野制限についてロッドレンズ11の中心から出射される光線に着目する。
図8Aにおいて、上述のように、物体面OP、ロッドレンズ11、及び像面IPが正立等倍系の共役の位置に配置されている。図8Aにおいて、破線は、ロッドレンズ11の開口に対応する光線の広がりを模式的に示す。図8Aにおいて、円柱状の透明誘電体21は存在しないので、物体面OPの視野径と像面位置の結像径は共役の位置関係であり、遮るものもないので同じ大きさとなる。
図8Bにおいて、まず、直径がロッドレンズの直径と略同じである3つの円柱状の透明誘電体21が、互いの中心軸が平行であり、かつ、それぞれの透明誘電体21の中心軸に垂直な端面が面一になるように配列されて透明誘電体アレイ20が形成される。一つの透明誘電体21の中心軸が、ロッドレンズ11の中心軸の延長線と一致するように、かつ、ロッドレンズ11の光出射面(ロッドレンズ11の結像面IPに近い側の端面)と、透明誘電体21の光入射面(透明誘電体21のロッドレンズ11に近い側の端面)とが平行に対向するように、透明誘電体21が、ロッドレンズ11の結像面IP側に配置されている。レンズアレイ10及び透明誘電体アレイ20は、例えば、下記式(3)で表される条件を満たす。式(3)において、Hは、円柱状の透明誘電体21の中心軸方向における長さ[mm]である。n1は、透明誘電体21の屈性率であり、1≦n1であり、または、1.2≦n1≦2.0であり、1.4≦n1≦1.8であってもよい。透明誘電体の屈折率n1が1である場合、透明誘電体が薄肉の円筒形状からなるものであってもよい。また、シリカ又はフッ化マグネシウムの中空粒子を含む有機無機ハイブリッド材(例えば、中空粒子を含む、アルコキシシランやその加水分解物、重合物などのバインダから構成される材料)によって形成することによって、屈折率n1が1に近い屈折率の透明誘電体を得ることができる。P1は、透明誘電体アレイ20における隣り合う透明誘電体21の中心軸同士の距離[mm]である(透明誘電体配列ピッチ)。左辺は、透明誘電体21の端面(光入射面)の中心に、θ0の入射角度で透明誘電体21に入射したときの、透明誘電体21の対向する面(光出射面)における光出射点と、光出射面の中心との距離である(sinθ0≒tanθ0の近似を用いた)。右辺は、隣接する透明誘電体21が隙間なく配列されているときの、透明誘電体21の(端面の)半径である。
tanθ0・H/n1 > P1/2 式(3)
図8Bにおいて、式(3)が成り立つとき、ロッドレンズ11から出射された光の一部は円柱状の透明誘電体21の側面に到達して吸収され、側面に到達せず、透明誘電体21を通過した光線によって像が形成される。像面に形成される像の径は、物体面OP上の視野径より小さくなる。例えば、複数の透明誘電体21の隣り合う中心軸同士の距離がロッドレンズ11の直径と等しくなるように複数の透明誘電体21が第一方向(主走査方向)に配列していると、各ロッドレンズ11の視野径に対応する光線の広がりが円柱状の透明誘電体21の側面によって狭められ、実質的に重なり度mが小さい状態で合成像が得られる。
図8Cにおいて、ロッドレンズ11及び透明誘電体アレイ20は、図8Bを用いて説明したときのものと同様のものであるとした。図8Bを用いて説明した事情と異なる点は、透明誘電体アレイ20における透明誘電体21の中心軸は、ロッドレンズ11の光軸に対して透明誘電体配列ピッチP1の半値だけずれている点である。このような透明誘電体アレイ20の位置のずれが生じるとロッドレンズの最外の光線が透明誘電体21の側面によって遮られにくく、像面IPに到達しやすい。このため、透明誘電体21によってロッドレンズの視野が制限されにくい。透明誘電体21の中心軸とロッドレンズの光軸とのずれが存在した状態でロッドレンズの光軸同士の距離及び透明誘電体21の中心軸同士の距離が同一になるようにロッドレンズ及び透明誘電体21を配列させると、各ロッドレンズの視野径に対応する光線の広がりは、透明誘電体アレイ20の各透明誘電体21の側面の光遮光性によって狭まらない。このため、このような状態の重なり度mは、透明誘電体アレイ20が存在しない状態の重なり度mとほとんど同じであり得る。このため、透明誘電体21の直径がロッドレンズの直径と等しい場合、円柱状の透明誘電体21の側面は、例えば、レンズアレイにおけるロッドレンズの配列方向においてロッドレンズの光軸からずれた位置に配置されうる。
図8Dにおいて、透明誘電体配列ピッチP1はロッドレンズ11の直径より小さい。例えば、透明誘電体21の直径はロッドレンズ11の直径の1/2であり、透明誘電体配列ピッチP1もロッドレンズの直径の1/2に調整されている。このように透明誘電体配列ピッチP1が小さいと、レンズアレイ11におけるロッドレンズ11の配列方向においてロッドレンズ11の光軸を含む直線の近くに透明誘電体21の側面が存在していてもロッドレンズ11の開口が制限される。このように、透明誘電体アレイ20における透明誘電体配列ピッチP1を隣り合うロッドレンズの光軸同士の距離P0よりも小さくし、透明誘電体アレイ20がロッドレンズの直径よりも小さい寸法を有する細分化された透光部を有するように複数の透明誘電体21を配列させる。これにより、レンズアレイ10におけるロッドレンズ11の配列方向においてロッドレンズ11の光軸を含む直線の近くに透明誘電体21の側面が存在するように透明誘電体21が配置されていても、重なり度mが小さくなりやすい。
図8Dに示すように、透明誘電体配列ピッチP1がロッドレンズ11の直径より小さいと、重なり度mの低減のためにロッドレンズ11の光軸と透明誘電体21の中心軸との精密な整合を図る必要性が低減される。このため、レンズアレイ10で生じうるレンズ11の配列間隔に誤差があっても、被写界深度が不安定になりにくい。加えて、温度の変化に伴い各部材に生じる熱膨張の差により、ロッドレンズ11の光軸と透明誘電体21の中心軸との整合(共軸性)がとれなくなるという問題も発生しにくい。
透明誘電体アレイ20は、例えば、1列又は2列以上の列を有するように配列された複数の円柱状の透明誘電体21を備えていてもよい。透明誘電体21は、開口制限素子として機能しうる。透明誘電体アレイ20において、複数の透明誘電体21の中心軸が互いに略平行になるように複数の透明誘電体21が配置されている。
図9は、透明誘電体アレイ20の一例を示す斜視図である。図9において、透明誘電体アレイ20が2列の配列によって構成されているが、1列又は2列を超える列数の透明誘電体アレイにおいても、以降の説明が当てはまり得る。複数の円柱状の透明誘電体21は、一対の平板22同士の間に、樹脂又は接着剤23によってその隙間が充填されて一体化されている。平板22は、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)製の板である。樹脂23は黒色に着色されている。このような構成によれば、例えば、透明誘電体アレイ20において複数の透明誘電体21が複数列をなすように複数の透明誘電体21を配置しやすい。
透明誘電体21の材料は特定の材料に限定されない。透明誘電体21は、ロッドレンズと同一種類の材料によって形成されていてもよい。この場合、透明誘電体21及びロッドレンズにおいて熱膨張の差が生じにくく、レンズアレイ10に対して透明誘電体アレイ20を取り付けやすい。なお、上記(ii)のイオン交換法によって屈折率分布が形成される前後のガラスは、一部の金属成分の増減があるものの、実質的に同一種類の材料とみなしてもよい。さらに、ロッドレンズアレイを構成する単レンズの中心軸における屈折率n0と、透明誘電体の屈折率n1は略同じ値であってもよい。複数の屈折率が略同じ値であるとは、それらの屈折率の差の絶対値が0.0005未満であることをいう。
透明誘電体21は、例えば、略一様な屈折率n1を有するガラス又はプラスチックによって形成されうる。例えば、透明誘電体21における屈性率n1は、1≦n1の条件を満たし、1.2≦n1≦2.0の条件を満たしてもよく、1.4≦n1≦1.8の条件を満たしてもよい。透明誘電体21の側面の表面粗さは特定の値に限定されない。その表面粗さは、透明誘電体21の内部を通過してその側面の到達した光の一部又は全部が散乱するように調整されていてもよい。例えば、透明誘電体21の側面の算術平均粗さRaは、0.1~5.0μmである。算術平均粗さRaは、日本産業規格JIS B0601:1994に従って決定される。透明誘電体21の側面には、光の一部又は全部を吸収するためにコーティング膜が形成されていてもよい。このコーティング膜は黒色等の光を吸収する色に着色された樹脂によって形成されうる。コーティング膜は、例えば、通常のレンズ(例えば、凹状面、凸状面、平面、回折格子面などから構成され、光をそれらの面で屈折や回折させて、発散または集束させるための光学素子)において、周縁部やコバ面の墨塗などによる作用と同等の作用をなすものであってもよい。コーティングに供される材料は、望ましくは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、及びシリコーン樹脂等の硬化性樹脂を含み、これらのうち一種又は二種以上の混合物が用いられてもよい。さらに、コーティングに供される材料は、望ましくは、硬化後に艶のない外観を有する。コーティングに供される材料は、上記の樹脂に加えて、カーボンブラック、チタンブラック(チタン系黒色顔料)、マグネタイト型四酸化三鉄、銅とクロムとを含む酸化物、及びバリファストブラック(アゾークロム化合物)等の黒色粒子をさらに含んでいてもよい。また、バリファストブラック(オリエント化学社製)を含むクロロホルム溶液中にロッドレンズの原糸を浸漬して、原糸の側面にその溶液を付着させ、クロロホルムを蒸発及び乾燥させて黒色に染色されたガラスロッド又はロッドレンズの原糸を作製してもよい。また、レンズアレイ10を構成する各レンズが屈折率分布型レンズである場合、各レンズの側面を黒色にコーティングするための樹脂と同様の樹脂を用いて透明誘電体21の側面のコーティングがなされてもよい。
透明誘電体アレイ20は、例えば、下記(I)及び(II)を含む方法によって製造されうる。
(I)ダウンドロー法等の方法によって製造された複数の略円柱状のロッド状ガラスを、その内部に屈折率分布を形成させないで、複数のロッド状ガラスの中心軸又は回転対称軸が互いに略平行になるように配列して、一対の板状の側板で挟持して接着剤又は樹脂等で一体化させる。
(II)複数のロッド状ガラスをそれらの中心軸に略垂直な方向にそって所定の長さで切断し研磨することによって、光入出射面となる、中心軸に垂直な端面を設ける。
このような方法によれば、製造された透明誘電体アレイ20の透明誘電体21をなすガラスの組成を上記(i)において得られるロッド状ガラスのガラス組成と略同じにすることも可能である。このため、透明誘電体21及びロッドレンズにおいて熱膨張係数及び光の透過率等の物理的特性値の差が小さくなりやすい。複数の部品間で熱膨張係数の差が小さいことにより、温度変化があった場合でも部品の伸縮に伴う部品間の相対的な位置関係に変動が生じにくく、複数の部品の相互の位置精度及び複数の部品が協働して発揮される光学性能の変動が小さくなりやすい。
例えば、透明誘電体21同士の間隙には樹脂が充填され、その樹脂を硬化させて複数の透明誘電体21を一体化してもよい。この場合、樹脂は、光の吸収を高めるために黒色に着色されていてもよい。樹脂の充填は、例えば空隙の一端部に向かって液状の樹脂を供給しつつ空隙の他端部において真空吸引を行うことによって、複数の透明誘電体21の配列における間隙の全体に樹脂を行き渡らせることによってなされてもよい。もしくは、一対の平板の表面に黒色に着色された接着用の樹脂を予め塗布し、一対の平板同士の間に複数の透明誘電体21を配列させて挟持した後、一対の平板及び複数の透明誘電体21を加熱プレスして、透明誘電体21同士の空隙を樹脂で充填してもよい。
透明誘電体21は、コア及びクラッドを含む構造を有していてもよい。この場合、クラッドは、その外周部に向かって進む又は透明誘電体21の側面近傍に到達する光の一部を吸収する着色層でありうる。透明誘電体21の側面には、望ましくは、光の散乱及び吸収を促進する微細な凹凸部が形成されていてもよい。
透明誘電体アレイ20における複数の透明誘電体21の配列のパターンは特定のパターンに限定されない。複数の透明誘電体21の配列のパターンは、一次元配列であってもよいし、二次元配列であってもよい。二次元配列において、複数の透明誘電体21は、例えば複数の列をなしている。この場合、各列における複数の透明誘電体21の中心軸が略平行でありうる。
光学装置1aにおいて、距離P0及び透明誘電体配列ピッチP1が満たす条件は特定の条件に限定されない。光学装置1aは、望ましくは、P1≦0.8×P0の条件を満たす。これにより、光学装置1aにおいて被写界深度が大きくなりやすく、光学装置1aを備えた機器において、凹凸及び高低差が存在する被写体であっても劣化が少なく高い解像度を有する画像を取得しうる。光学装置1aは、例えば、0.3×P0≦P1の条件をさらに満たす。なお、P0は、レンズアレイ10における隣り合うロッドレンズ11の光軸間の距離であり、であり、ロッドレンズの配列ピッチ又はレンズ間ピッチと定義される場合もある。P1は、透明誘電体アレイ20における隣り合う透明誘電体21の中心軸間の距離であり、透明誘電体の配列ピッチ又は誘電体間ピッチと定義される場合もある。透明誘電体の配列ピッチP1が0.3×P0以上であることにより、レンズの有効径をカバーできにくくなって光量が低減することを防ぎやすく、レンズの開口が分割されにくい。このため、副走査方向(y方向)のNAが小さくなってスポット径が大きくなることを防ぎやすく、走査方向(x方向)では透明誘電体アレイの周期構造によってサイドピークが生じることを防ぎやすい。また、P0及びP1は、0.4×P0≦P1の条件を満たしてもよく、0.5×P0≦P1の条件を満たしてもよい。また、一列のレンズアレイに対し、0.45×P0≦P1≦0.65×P0の条件が満たされてもよく、0.5×P0≦P1≦0.6×P0の条件が満たされてもよい。
光学装置1aにおいて、透明誘電体21の中心軸方向の長さH[mm]、透明誘電体21の屈性率n1、ロッドレンズ-物体面間距離L01[mm]、透明誘電体配列ピッチP1、及びロッドレンズの配列ピッチP0が満たす条件は特定の条件に限定されない。ロッドレンズ-物体面間距離L01は、光学装置1aを用いた光学系において、物体面上の物点の正立等倍像が、結像面に最も高い解像度で形成されたときの、レンズの物体面に近い側の端面と物体面との間の距離である。光学装置1aにおいて、望ましくは、H/(n1・L01)>0.27×(P1/P0)+0.023の条件が満たされる。これにより、光学装置1aが大きい被写界深度をより有しやすく、例えば、厚み、凹凸、及び高低差が存在する被写体又はワークであっても光学性能の低下が少なく高い解像度を有する画像をより取得しやすい。
光学装置1aにおいて、望ましくは、H/(n1・L01)≦0.6の条件が満たされる。この場合、光学装置1aにおいて照度ムラが発生しにくい。
レンズアレイのレンズの光軸及び透明誘電体の中心軸が略平行になるようにレンズアレイ及び透明誘電体アレイが配置された光学装置を用いるときに、レンズ及び透明誘電体の配列に求められる精度は光学装置の性能を確保するうえで重要な検討事項である。そこで、レンズアレイのレンズ及び透明誘電体アレイの透明誘電体のx方向及びy方向の相対的位置の理想的な位置からのずれが光学装置の性能に及ぼす影響を検討する。
光線追跡又は像評価を目的として、米国のLambda Research Corporationの幾何光学計算ソフトOSLO Premium rev 6を用いて、適切な光学系のモデルを考えて、ロッドレンズアレイと透明誘電体アレイとの相対的な位置を変えたときの被写界深度に及ぼす効果を検討した。
図10Aは、物体面OPと、ロッドレンズアレイ10pと、結像面IPによって構成される光学系を概略的に表したものである。物体面OPは紙面に垂直な面とし、Aで示された位置の物体面OP上の点を原点とし、原点を通り、物体面OPに垂直で結像面IPに向かう軸をz軸とし、原点を通り、z軸に垂直、かつ、紙面に平行な軸をx軸とし、原点を通りx軸とz軸、及び紙面に垂直な軸をy軸とした。ロッドレンズ10pは、x方向に一列に配列されており、ロッドレンズアレイ10pの中の一つのロッドレンズの中心軸がz軸の一部と一致するように配置した。円柱状のロッドレンズや回転対称性のレンズの場合、その中心軸又は回転対称軸がレンズの光軸としても差し支えない。従って、z軸がロッドレンズの光軸と一致するように配置されたとしてもよい。図10AにおいてAで示される位置の物体面OP上の物点の正立等倍像IQが、ロッドレンズアレイ10pによって結像面IP上に最も高い解像度で形成される。Aで表される物体面OPと、ロッドレンズアレイ10pと、結像面IPは正規の配置であるとした。
図10Bは、物体面OPの側からz方向に図10Aに示す光学系を見た概略図である。なお、物体面OP、ロッドレンズアレイ10p、及び結像面IPは、空気中(屈折率=1)に設置されているものとした。
図10Cは、物体面OPと、ロッドレンズアレイ10pと、透明誘電体アレイ20pと、結像面IPによって構成される光学系を概略的に表したものである。物体面OPは紙面に垂直な面とし、図10CにおいてAで示された物体面OP上の点を原点とし、原点を通り、物体面OPに垂直で結像面IPに向かう軸をz軸とし、原点を通り、z軸に垂直、かつ、紙面に平行な軸をx軸とし、原点を通り、x軸、z軸、及び紙面に垂直な軸をy軸とした。ロッドレンズ10pは、x方向に一列に配列されており、ロッドレンズアレイ10pの中の一つのロッドレンズの中心軸がz軸の一部と略一致するように配置した。円柱状のロッドレンズや回転対称性のレンズの場合、その中心軸または回転対称軸がレンズの光軸としても差し支えない。従って、z軸がロッドレンズの光軸と略一致するように配置されたとしてもよい。図10CにおいてAで示される位置の物体面OP上の物点の正立等倍像IQが、ロッドレンズアレイ10p及び透明誘電体アレイ20pからなる光学系によって結像面IP上に最も高い解像度で形成される。Aで示される位置の物体面OPと、ロッドレンズアレイ10pと透明誘電体アレイ20pとからなる光学装置と、結像面IPは正規の配置である。
図10Dは、物体面OPの側からz方向に図10Cに示す光学系を見た概略図である。なお、物体面OP、ロッドレンズアレイ10p、透明誘電体アレイ20p、及び結像面IPは、空気中(屈折率=1)に設置されているものとした。図10Dに示すように、透明誘電体アレイ20pは、x方向に一列に配列した透明誘電体アレイを、y方向に隙間が最小となるように重ねた構成とされた(二列配列)。x-z面は、透明誘電体アレイ20pのy方向の幅を二等分し、y-z面は透明誘電体アレイ20pの一つの透明誘電体の中心軸とロッドレンズの中心軸を含むように、透明誘電体アレイ20pが配置された。
先述のとおり、Aで表される物体面OP上の原点にある物点及び像点IQは正立等倍系の共役の位置関係にある。物体面OPがAの位置にある場合、特定のロッドレンズの光軸の延長線と物体面OPとの交点がx軸、y軸、及びz軸で特定される座標系の原点でもある。この原点に点光源を設置してこの光源が像面IPにおいて結像した像を評価した。光源は理想的な点光源と仮定した。
図10Aから図10Dに示す光学系においてロッドレンズアレイ10pは、表1に示す光学性能を備えているものとした。なお、表中のL0は、図10A及び図10Bに係るロッドレンズアレイ10pからなる光学系において、Aで示される位置の物体面OPの正立等倍像が最も高い解像度で結像面IPに形成されたときの、すなわち正規の配置における、ロッドレンズアレイ10pと物体面OP間の距離を表す。
Figure 0007216240000002
図10C又は図10Dで表される光学装置に含まれる透明誘電体アレイ20pを構成する円柱状の透明誘電体は、一様な屈折率n1を有する媒質からなる吸収のない円柱状の透明な誘電体である。透明誘電体の光入射及び光出射が生じる端面では散乱等が生じずにスネルの法則に厳格に従うものと取り扱った。加えて、円柱状の透明誘電体の側面は、到達した光が吸収され、厚さが無視できる光吸収層が形成されているものと取り扱った。
図10C及び図10Dに示す光学系において、ロッドレンズアレイ10pは、表1に記載された、図10A及び図10Bに示す光学系で用いたものと同一のロッドレンズアレイとした。透明誘電体アレイ20pは、表2に示す特性及び物理量を備えているものを用意した。なお、図10C及び図10Dに示す、ロッドレンズアレイ10pと透明誘電体アレイ20pからなる光学装置を含む光学系において、物体面OPの正立等倍像が最も高い解像度で結像面IPに形成されたときの、すなわち正規の配置における、ロッドレンズアレイ10pの物体面OP側の端面と、物体面OPとの距離をL01として取得した。図10C及び図10Dに表された関係においては、図10A及び図10Bに表されたロッドレンズアレイ10pを含む光学系に、ロッドレンズアレイ10pの直後に、透明透明誘電体アレイを挿入したものと考えられるので、図10C及び図10Dに表された正規の配置における距離L01は、図10A及び図10Bに表された正規の配置における距離L0と略同じ値である。ロッドレンズアレイの端面と物体面との距離について、二個の数値が略同じ値であるということは、二個の数値の差の絶対値が基準となる数値に対して2%未満であることをいう。表2において、(i)~(v)に表された透明誘電体アレイ20pのP1/P0及びH/(n1・L01)等の値は、正規の位置において、それらと組み合わせた各光学装置に含まれる表1で表されるロッドレンズアレイ10pとの関係も含まれる。
Figure 0007216240000003
光学シミュレーションにおいて、図10A及び図10Bで表されるロッドレンズアレイ10pから構成される光学系についてその光学計算をする場合、図中のAで示された位置の物体面上の原点に点光源を配置した。点光源は、原点Oに配置され、角度による強度差のない波長570nmの光が出射するものとし、7380本の光線の追跡計算を行った。このことは、点光源を用いた以降の光学計算においても同様である。物体面OP及び結像面IPとの距離を調整するプロセスでは、ロッドレンズアレイの正立等倍系の式(4)で表されるL0及びL1を求めて、物体面OP、ロッドレンズアレイ、及び結像面IPを配置した。
0=L1=-(1/n0)・tan(π・Z/PP) 式(4)
このようにして、L0及びL1とともに正規な配置を取得して、このときの物体面OP上の原点の結像面IP上の共役点を像点IQとした。シミュレーションにおける、計算上の像面における解像度の調整及び最も高い解像度とする条件の設定については、次のように行った。まず、物体面OPおよび結像面IPとともに、表1のパラメータで表されるロッドレンズアレイ10pを、式(4)で算出されるL0及びL1とともに提供したうえで、結像面IPにおける像のスポットダイアグラムを取得した。次いで、結像面IPにおいて、各光線について像点IQからの距離である横方向の光線収差を求めた。そして、像の評価指標として光線収差の二乗平均平方根(rms)値をrmsAとして求め、そのrmsA値が最も小さくなるように、ロッドレンズアレイ10pの高次係数を最適化させた。これは軸上の球面収差を補正することと同義である。ロッドレンズアレイ10pの高次係数とは、ロッドレンズの屈折率分布n(r)が次の式(5)で表されたときの、係数h4、h6である。
2(r)=n0 2・{1-(g・r)2+h4(g・r)4+h6(g・r)6} 式(5)
次に、図中のBで示された位置の物体面OPは、図中のAで示された位置の物体面OPが点光源とともに、z方向に-1[mm]だけシフトしたときの物体面を作り出している。このとき、ロッドレンズ-物体面間距離は、L0+1[mm]である。このような物体面OPをシフトさせた光学系の配置の場合に、同様に、結像面IPにおける像のスポットダイアグラムを取得し、結像面IPにおいて、各光線について像点IQからの距離である横方向の光線収差を求め、像の評価指標として光線収差の二乗平均平方根(rms)値をrmsBとして求めた。位置Bは、例えば、本来ならば位置Aにあるべき原稿又はワークが、ロッドレンズアレイ又はそれを含むイメージセンサから遠ざかる方向に、いわゆる「浮いた」状態に相当する。なお、正規な配置に属するAで示される位置からシフトさせた位置Bで示される物体面OPを含む光学系において、増加したrms値を低減する(結像性能や集光性を改善する)ための、いわゆる結像面IPのデフォーカス的なシフトはしない。
以上のような条件によるシミュレーションでは、位置Aでは、rmsAは0.0041[mm]であったのに対し、位置BにおけるrmsBは0.1014[mm]であり、物体面OPが、正規の配置であるAの位置から位置Bにシフトした場合、光線収差のrms値が大きくなり、結像性能の低下が生じた。なお、位置Bへのシフトに伴い、結像面IPにおける像のrms値を向上させる目的での補償又はデフォーカス(結像面IPの位置調整)はしていない。位置BにおけるrmsBに対する位置AにおけるrmsAの比rmsrは0.040であった。ロッドレンズアレイを含む光学系において、ワークや原稿の「浮き」(-z方向のシフト)があった場合に、結像性がこの程度低下することが理解できる。
図10C及び図10Dに示す光学系の像評価においては、まず、表1に示したロッドレンズアレイ10pからなる光学系について、正規の位置を求め、そこからz方向に-1[mm]シフトさせた物体面OPに対する結像面IPにおけるrmsBを、先述の図10A及び図10Bに基づいて説明した算出方式と同様にして求めた。実際の算出した値は、同値であり、rmsB=0.1014[mm]であった。次に、ロッドレンズアレイ10pと、表2に示したそれぞれの透明誘電体アレイ20pとを組み合わせて光学装置を構成し、Aで示される位置の物体面OPと、ロッドレンズアレイ10pと透明誘電体アレイ20pからなる光学装置と、結像面IPの系における正規の配置を求めた。このときのロッドレンズアレイ10pの物体面OP側の端面と、物体面OPとの距離L01は、L0と略同じ値であった。図中のBで示された位置の物体面OPは、図中のAで示された位置の物体面OPが点光源とともに、z方向に-1[mm]だけシフトさせた面である。このとき、ロッドレンズ-物体面間距離は、L01+1[mm]である。以降の計算や評価において、物体面OPを-z方向にシフトさせた光学系の配置の場合に加え、さらに、点光源を、x軸に平行な方向(x方向)に対して、各透明誘電体の直径の0倍、0.25倍、0.50倍、及び0.75倍の量の各シフト(0mm、0.25×D1mm、0.5×D1mm、及び0.75×D1mm、D1は透明誘電体の直径)、y軸に平行な方向(y方向)に0mm、0.1mm、及び0.2mmの各シフトを行った。(i)~(v)のそれぞれの透明誘電体アレイ20pに対して、12個のx軸方向及びy軸方向の点光源のシフトを行って、結像面IPにおける、それぞれの像のスポットダイアグラムを取得した。得られたスポットダイアグラムは5×12=60個に及んだ。得られたスポットダイアグラムに対して、結像面IPにおいて、各光線について像点IQからの距離である横方向の光線収差を求め、像の評価指標として光線収差の二乗平均平方根(rms)値を位置Bにおけるrms(k) (m×p)として求めた。rms(k) (m×p)に関し、kは0.4、0.6、0.8、0.9、及び1.0であり、表2に示した(i)~(v)の透明誘電体アレイのP1/P0に対応する添え字であり、mは0、0.25、0.50、及び0.75であり、x方向のシフトの係数を特定する添え字であり、pは0、0.1、及び0.2であり、y方向のシフト量を特定する添え字である。そして、最終的に、先のrmsBに対するrms(k) (m×p)の比であるrmsr (k) (m×p)を求めた(k、m、及びpの添え字の属性は同上である)。このような計算の事情は、本来原稿があるべき高さから、光学系又はそれを含むイメージセンサから遠ざかる方向(-z方向)に原稿が移動した、いわゆる「浮いた」状態に加え、z方向に垂直な面内で、原稿上の物点のずれを生じた状態を考慮したものである。なお、物体面を正規な位置Aからシフトさせた位置Bを含む光学系の検討において、同じように結像面IPのデフォーカス的なシフトはしない。
図11は、ロッドレンズアレイ10p及び透明誘電体アレイ20pによって構成された光学系における、光線収差のrmsの比rmsr (k) (m×p)と、P1/P0との関係を示すグラフである。図11において、各P1/P0に対応した白丸のプロットで表された値は、一個のP1/P0において、12個のシフトパターンによって算出されたrmsr (k) (m×p)の平均値である。加えて、各P1/P0におけるエラーバーは、同一のP1/P0での12個のシフトパターンにおける比rmsr (k) (m×p)の最大値及び最小値を示す。エラーバーの大きさは、各P1/P0におけるrmsr (k) (m×p)のレンジを示す。図10C及び図10Dに示す光学系における比rmsr (k) (m×p)は、各P1/P0において平均値で0.4~0.45の範囲内にあった。この値は、ロッドレンズアレイ10pを備え、透明誘電体アレイ20pを含まない光学系におけるrmsrの値(0.040)と比べて10倍程度である。このため、正規の配置に属する位置Aで示された物体面OPから、-z方向へのシフトに加えて、x方向及びy方向へのシフトがなされたとしても、ロッドレンズアレイ10p及び透明誘電体アレイ20pを含む光学系では、光学性能の劣化が小さいことが理解される。
より詳細に、エラーバーの最大値に着目すると、P1/P0が0.9及び1の場合における比rmsr (k) (m×p)(k=0.9~1.0)の最大値は、P1/P0が0.8以下である場合における比rmsr r (k) (m×p)(k=0.4~0.8)の最大値よりも大きい。これにより、透明誘電体アレイを含む光学系は、全般的には被写界深度を大きくする効果を奏すると理解されるものの、P1/P0が0.9以上で配列された、ロッドレンズアレイと透明誘電体アレイとの組合せの光学系では、x方向及びy方向のシフトにより、十分に解像力の低下を補償することができず、結果、被写界深度が低下する可能性がある。このため、x方向及びy方向方向のシフトが生じた場合でも、大きい被写界深度を実現するためには透明誘電体アレイにおける透明誘電体の配列ピッチP1はロッドレンズアレイの配列ピッチP0の0.8倍以下(P1/P0≦0.8)であることが望ましい。また、透明誘電体アレイにおける透明誘電体の配列ピッチP1はロッドレンズアレイの配列ピッチP0の0.3倍以上(0.3≦P1/P0)であることが望ましい。P1が0.3×P0以上である場合には、光量が低減したり、レンズの開口が分割されることを防ぎやすく、副走査方向(y方向)のNAが小さくなってスポット径が大きくなったり、走査方向(x方向)では透明誘電体アレイの周期構造によってサイドピークが生じたりすることを防止できる。
ロッドレンズアレイ10pと透明誘電体アレイ20pとからなる光学装置の評価をさらに行った。表1に示す光学性能を有するロッドレンズアレイ10pに代えて、表3に示す光学性能を備えているロッドレンズアレイα、β、又はγを用い、かつ、表4~表12に示す性能、仕様を備えるaグループ、bグループ、及びcグループからなる透明誘電体アレイを用いた。表4はロッドレンズアレイαと透明誘電体アレイaグループとの組合せからなる光学装置、表5はロッドレンズアレイαと透明誘電体アレイbグループとの組合せからなる光学装置、表6はロッドレンズアレイαと透明誘電体アレイcグループとの組合せからなる光学装置、表7はロッドレンズアレイβと透明誘電体アレイaグループとの組合せからなる光学装置、表8はロッドレンズアレイβと透明誘電体アレイbグループとの組合せからなる光学装置、表9はロッドレンズアレイβと透明誘電体アレイcグループとの組合せからなる光学装置、表10はロッドレンズアレイγと透明誘電体アレイaグループとの組合せからなる光学装置、表11はロッドレンズアレイγと透明誘電体アレイbグループとの組合せからなる光学装置、表12はロッドレンズアレイγと透明誘電体アレイcグループとの組合せからなる光学装置に関する仕様及び条件を示す。
まず、表3に示されたα、β、及びγのロッドレンズアレイについて、図10A及び図10B、さらにそれらの図面を用いて説明した方法と同様の方法で、正規の配置、正規の配置におけるロッドレンズアレイ-物体面OP間の距離L0、物体面OPと点光源が-z方向に1[mm]だけシフトしたときの結像面IP上のスポットダイアグラム、及びスポットダイアグラムから算出される(h)rmsB値を求めた。(h)rmsBにおいて、hは、α、β、又はγであり、表3に示されたロッドレンズアレイを特定する添え字である。正規の配置とは、物体面OP上の物点の正立等倍像が結像面IPに最も高い解像度で形成されるように、物体面OPとロッドレンズアレイとの間の距離、ロッドレンズアレイと結像面IPとの間の距離を調整した配置である。
次に、表4では、ロッドレンズアレイαと透明誘電体アレイaグループとの組合せからなる光学装置を考える。透明誘電体アレイaグループでは、P1/P0=0.4であり、Hが1.920~38.400mmの6種類の透明誘電体アレイを用意した。ロッドレンズアレイαと、透明誘電体アレイaグループ内の一つの透明誘電体アレイ(H=0.192mm、H/(n1・L01)=0.032)と、を組み合わせて、ロッドレンズアレイと透明誘電体アレイからなる光学装置を構成した。
図10C及び図10D、さらにそれらの図面を用いて説明した方法と同様の方法で、正規の配置、正規の配置におけるロッドレンズアレイ-物体面OP間の距離(h)01 (k) (s)、物体面OPと点光源が-z方向に1[mm]だけシフトしたときの結像面IP上のスポットダイアグラム、及びスポットダイアグラムから算出される(h)rmsB (k) (s)値を求めた。そして、先の(h)rmsBに対する(h)rmsB (k) (s)の比(h)rmsr (k) (s)を求めた。(h)01 (k) (s)(h)rmsB (k) (s)、及び(h)rmsr (k) (s)において、各添え字の意味は以下の通りである。hはα、β、又はγであり、表3に示されたロッドレンズアレイを特定する添え字であり、表4ではαである。kは、0.4、0.6、又は0.8であり、P1/P0を特定する添え字であり、表4では0.4である。sは、0.032~0.637の範囲内の数値であり、H/(n1・L01)を特定する添え字であり、ここでは0.032である。
同様にして、表4を参照して、ロッドレンズアレイαと、透明誘電体アレイaグループに属する他の透明誘電体アレイと、からなる光学装置を構成して、各光学装置における、(h)rmsr (k) (s)を求めた。hはαであり、kは0.4であり、sは0.064~0.637の範囲内の数値であり、H/(n1・L01)を特定する添え字である。
さらに、表5を参照して、ロッドレンズアレイαと、透明誘電体アレイbグループに属する透明誘電体アレイと、からなる光学装置を構成して、各光学装置における、(h)rmsr (k) (s)を求めた。hはαであり、kは0.6であり、sは0.095~0.764の範囲内の数値であり、6水準のH/(n1・L01)を特定する添え字である。
さらに、表6を参照して、ロッドレンズアレイαと、透明誘電体アレイcグループに属する透明誘電体アレイと、からなる光学装置を構成して、各光学装置における、(h)rmsr (k) (s)を求めた。hはαであり、kは0.8であり、sは0.127~0.764の範囲内の数値であり、5水準H/(n1・L01)を特定する添え字である。
上記により、ロッドレンズアレイαと、透明誘電体アレイa~cのグループに属する透明誘電体アレイとの組合せからなる光学装置に関する、物体面に-z方向のシフトを加えたときの結像状態を表すrms指標を算出した。
同様にして、表7~表9を参照して、ロッドレンズアレイβと、透明誘電体アレイa~cのグループに属する透明誘電体アレイとの組合せからなる光学装置に関する、物体面に-z方向のシフトを加えたときの結像状態を表すrms指標(h)rmsr (k) (s)を求めた。hはα、β、又はγであり、表3に示されたロッドレンズアレイを特定する添え字であり、ここではβである。kは、0.4、0.6、及び0.8であり、P1/P0を特定する添え字であり、sは、H/(n1・L01)を特定する添え字である。
同様にして、表10~表12を参照して、ロッドレンズアレイγと、透明誘電体アレイa~cのグループに属する透明誘電体アレイとの組合せからなる光学装置に関する、物体面に-z方向のシフトを加えたときの結像状態を表すrms指標(h)rmsr (k) (s)を求めた。hは、α、β、又はγであり、表3に示されたロッドレンズアレイを特定する添え字であり、ここではγである。kは、0.4、0.6、又は0.8であり、P1/P0を特定する添え字であり、sはH/(n1・L01)を特定する添え字である。
Figure 0007216240000004
Figure 0007216240000005
Figure 0007216240000006
Figure 0007216240000007
Figure 0007216240000008
Figure 0007216240000009
Figure 0007216240000010
Figure 0007216240000011
Figure 0007216240000012
Figure 0007216240000013
図12Aは、ロッドレンズアレイα及び上記の透明誘電体アレイa~cのグループに属する透明誘電体アレイによって構成された光学系における、光線収差のrmsの比(h)rmsr (k) (s)(h、k、及びsの添え字の意味は同上である。以降省略する)と、H/(n1・L01)との関係を示すグラフである。図12Bは、ロッドレンズアレイβ及び上記の透明誘電体アレイa~cのグループに属する透明誘電体アレイによって構成された光学系における、光線収差のrmsの比(h)rmsr (k) (s)と、H/(n1・L01)との関係を示すグラフである。図12Cは、ロッドレンズアレイγ及び上記の透明誘電体アレイa~cのグループに属する透明誘電体アレイによって構成された光学系における、光線収差のrmsの比(h)rmsr (k) (s)と、H/(n1・L01)との関係を示すグラフである。L01は、図10Cに示すように、位置Aのときの物体面OPと、結像面IPとが正立等倍系となるときの、ロッドレンズアレイと物体面OPとのz方向の距離である。表13に、図12A~図12Cから看取した、比(h)rmsr (k) (s)が0.5以下となるH/(n1・L01)の値H/(n1・L01thを示す。加えて、図13に、各光学系のP1/P0の値と、比(h)rmsr (k) (s)が0.5以下となるH/(n1・L01thの値との関係を、破線で描かれた近似直線とともに示す。この関係性は、レンズの種類によらず、P1/P0に対してほぼ比例して増加することを表している。すなわち、図11で表されたP1/P0の値と、比(h)rmsr (k) (s)が0.5以下となるH/(n1・L01thの値との関係から、レンズアレイ及び透明誘電体アレイを備えた光学装置において、被写界深度の向上をより図るために、下記式(6)の条件が成り立つことが有利であることが理解される。
H/(n1・L01)>0.27(P1/P0)+0.023 式(6)
Figure 0007216240000014
上記の通り、レンズアレイにおいて隣接した単レンズを含む近傍の単レンズによる像の重ね合わせによって合成像が結像面に形成される。単レンズによる結像はそれぞれコサイン四乗則などの光量分布を有するので、合成像においても周期的な照度ムラが生じうる。照度ムラは、イメージセンサからの画像信号をゲイン補正すること等によって修正することもできる。しかし、この照度ムラが大きな値、例えば平均照度の0.5を超えると、実用上の問題として、被検体の読み取りイメージのコントラストが著しく低下してスジが生じるなど障害をもたらす可能性がある。
そこで、ロッドレンズアレイ及び透明誘電体アレイを備えた光学装置又は光学系において、結像面での放射照度(Irradiance)を求めるための光学シミュレーションを行った。放射照度の計算には、米国のLambda Research Corporationの照明解析ソフトTrace Pro Standard 7を使用した。光学シミュレーションの条件としては、図10C及び図10Dに示す光学系を用いた。ロッドレンズアレイとして、表3に示すロッドレンズアレイα、β、及びγを用い、かつ、透明誘電体アレイとして、表14~22に示すa’、b’、及びc’の3種類のグループの透明誘電体アレイを用いた。これらを組み合わせて光学系を構成した。加えて、光学シミュレーションにおいて、正立等倍系であって、像の解像度が最も高くなるように、物体面、ロッドレンズアレイ、透明誘電体アレイ、及び結像面の配置を定めた。このときの物体面の位置をAとする。位置Aは正規の配置である。
Figure 0007216240000015
Figure 0007216240000016
Figure 0007216240000017
Figure 0007216240000018
Figure 0007216240000019
Figure 0007216240000020
Figure 0007216240000021
Figure 0007216240000022
Figure 0007216240000023
光学シミュレーションにおいて、位置Aの物体面から均一な光を出射する面光源を配置して、各光学系の結像面における照度ムラを求めた。光学シミュレーションに用いた面光源は、ランバートな配光の波長570nmの光が出射する条件とし、1000万本の光線追跡を行った。ロッドレンズアレイ及び透明誘電体アレイの周期性から、放射照度も主走査方向(x方向)について周期性を有する傾向がある。イメージセンサ等の用途において、受光素子アレイが検出する放射照度は、主走査方向において一定であるほうがよい。放射照度が主走査方向にばらつきや周期的な変動がある場合は、イメージセンサが、濃淡や明暗のばらつきや変動のある画像を取得することになり、適切だとはいえない。そこで、各光学系において、シミュレーションを実施して、主走査方向の放射照度分布を求め、放射照度のムラを評価した。
図14に、ロッドレンズアレイα、β、及びγの3種類のロッドレンズアレイと、表4に表された、a’グループの透明誘電体アレイ(P1=0.4×P0)、b’グループの透明誘電体アレイ(P1=0.6×P0)、及びc’グループの透明誘電体アレイ(P1=0.8×P0)を組み合わせた光学系のそれぞれにおいて、正規の配置を求めたうえで、x=0[mm]~x=100[mm]の範囲内において、求められた放射照度ムラΔIを示す。図14における横軸は、H/(n1・L01D)であり、縦軸は、放射照度ムラΔIである。放射照度ムラΔIは、主走査方向(x方向)の上記範囲内における、放射照度の最大値Imax及び放射照度の最小値Iminを求め、下記式(7)で算出した。
ΔI=2×(Imax-Imin)/(Imax+Imin) 式(7)
図14は、放射照度ムラΔIとパラメータH/(n1・L01)との関係を示す。図14に示す通り、放射照度ムラΔIの値は小さいほうが望ましいところ、放射照度ムラΔIとH/(n1・L01)との関係性において、ΔIは、レンズのタイプによらずバンド状に幅を持ちながらH/(n1・L01)が大きくなるとともに増大する傾向を示した。H/(n1・L01)が大きいと、ロッドレンズの開口を制限する効果が強まるとともに、透明誘電体アレイから結像面に向けて放射される光線の角度も小さくなり、透明誘電体アレイの各透明誘電体の放射照度分布の重なりが乏しくなると推察される。
加えて、図14に示された関係性より、H/(n1・L01)が0.6より大きいと、ロッドレンズアレイと透明誘電体アレイとを組合わせた光学系における放射照度ムラΔIは、ロッドレンズと透明誘電体アレイとの組み合わせによっては0.5を超えると推察される。本検討の結果によれば、ロッドレンズアレイ及び透明誘電体アレイを備える光学装置又は光学系において照度ムラを低減する目的で、H/(n1・L01)≦0.6以下の条件が満たされていることが望ましいことが理解される。さらに、H/(n1・L01)の値が0.46以下であるとき、放射照度ムラΔIが0.3以下となって、より望ましい。
光学装置1aにおいて、放射照度ムラΔIは、例えば0.5以下である。放射照度ムラΔIは、望ましくは0.4以下であり、より望ましくは0.3以下である。
光学装置1aにおいてレンズアレイ10と透明誘電体アレイ20との間には空気又は真空層が存在していてもよい。レンズアレイ10と透明誘電体アレイ20との間には透明な接着剤が充填されていてもよく、Optical Clear Adhesive(OCA)等の透明な粘着層又は接着層等の樹脂が存在していてもよい。レンズアレイ10と透明誘電体アレイ20との間に樹脂が存在している場合、その樹脂の屈性率がレンズアレイ10のレンズ11の屈折率及び透明誘電体アレイ20の透明誘電体21の屈性率に近いことが望ましい。なぜなら、界面反射による光のロスを低減できるからである。
光学装置1aの用途は特定の用途に限定されない。光学装置1aは、例えば、イメージセンサ、スキャナ、プリンタ、ラインセンサーカメラ、複写機、ファクシミリ、複合機(例えば複写機、プリンタなどの機能を含む装置)、外観検査装置、及び内視鏡などの光学製品又は光学機器に用いることができる。
図15Aは、イメージセンサの一例を示す図である。図15Aに示す通り、イメージセンサ3aは、光学装置1aを備えている。イメージセンサ3aは、例えば、CISである。イメージセンサ3aにおいて、光学装置1aのレンズアレイ10のレンズ11の光軸及び透明誘電体アレイ20の透明誘電体21の中心軸はz軸方向に延びている。レンズアレイ10における複数のレンズ11はx軸方向(主走査方向)に沿って配列されている。なお、イメージセンサ3a又はイメージセンサ3aに含まれるパーツのx軸方向における寸法は、x軸及びz軸に直交するy軸方向におけるそれらの寸法よりも大きくてもよい。
図15Aに示す通り、イメージセンサ3aは、筐体30と、ライン状照明装置31と、原稿台32と、受光素子アレイ33と、電気回路基板34とを備えている。光学装置1a、ライン状照明装置31、受光素子アレイ33、及び電気回路基板34は、筐体30の内部に配置されている。原稿台32は、ガラス板からなり、筐体30の開口を覆うように配置されている。ライン状照明装置31は、例えば、x軸方向に略均一な照明光を出射して原稿等の対象物Sを照明する。対象物Sの表面で反射した照明光の一部は、レンズアレイ10及び透明誘電体アレイ20をこの順番で通過して、受光素子アレイ33のPD又はアバランシェフォトダイオード(APD)等の各受光素子に到達し、対象物Sの表面の情報が、受光素子の受光面に結像する。イメージセンサ3aにおいて、対象物の表面が物体面OP及び受光素子の受光面が像面IPに対応するように光学装置1aが作製されており、光学装置1aにおいて正立等倍系の配置がなされている。イメージセンサ3aはそれ自体がy軸方向に走査されることによって、対象物Sの二次元的情報が取得される。
イメージセンサ3aにおいて、透明誘電体アレイ20は、レンズアレイ10の光出射面側に配置されている。筐体30の内部の構造に対して、レンズアレイ10及び透明誘電体アレイ20を別々に組み込むようにしてもよいし、予めレンズアレイ10と透明誘電体アレイ20とを接着などによって一体化したのちに、筐体30に組み込んでもよい。このため、光学装置1aは、レンズアレイ10と透明誘電体アレイ20とが別々に組み込まれるように構成されていてもよいし、レンズアレイ10と透明誘電体アレイ20とが一体化された構成であってもよい。
図15Bはイメージセンサの別の一例を示し、図15Cはイメージセンサのさらに別の一例を示す。図15Bに示すイメージセンサ3b及び図15Cに示すイメージセンサ3cのそれぞれは、特に説明する部分を除きイメージセンサ3aと同様に構成されている。イメージセンサ3aの構成要素と同一又は対応する、イメージセンサ3b及び3cの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。イメージセンサ3aに関する説明は技術的に矛盾しない限り、イメージセンサ3b及び3cにも当てはまる。
図15Bに示す通り、イメージセンサ3bにおいて、透明誘電体アレイ20は、レンズアレイ10の光入射面側に配置されている。
図15Cに示す通り、イメージセンサ3cにおいて、透明誘電体アレイ20は、レンズアレイ10の光出射面側に加えて、光入射面側にも配置されている。
1a 光学装置
3a、3b、3c イメージスキャナ
10 レンズアレイ
11 レンズ
20 透明誘電体アレイ
21 透明誘電体

Claims (5)

  1. 複数のレンズを含み、前記複数のレンズの光軸が互いに略平行になるように前記複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
    複数の円柱状の透明誘電体を含み、前記複数の透明誘電体の中心軸が互いに略平行になるように配列された透明誘電体アレイと、を備え、
    前記レンズアレイ及び前記透明誘電体アレイは、前記光軸及び前記中心軸が略平行であり、かつ、前記レンズアレイの端面と前記透明誘電体アレイの端面とが対向するように配置されており、
    前記レンズは、半径方向に屈折率分布を有するロッドレンズであり、
    前記レンズアレイの配列ピッチP 0 及び前記透明誘電体アレイの配列ピッチP 1 は、0.3×P 0 ≦P 1 ≦0.8×P 0 の第一条件を満たす、
    光学装置。
  2. 前記透明誘電体アレイの屈折率n1及び前記透明誘電体アレイの長さH[mm]は、
    H/(n1・L01)>0.27×(P1/P0)+0.023の第二条件を満たし、
    前記第二条件において、L01は、物体面の正立等倍像が最も高い解像度で結像するときの前記レンズアレイと前記物体面との距離[mm]である、
    請求項に記載の光学装置。
  3. 放射照度ムラΔIは、0.5以下であり、
    前記放射照度ムラΔIは、正立等倍系であって、像の解像度が最も高くなるように前記レンズアレイ、前記透明誘電体アレイ、及び前記光学装置の物体面の配置を定めた状態で前記物体面から均一な光を出射する面光源を配置して得られる前記光学装置の結像面における前記光学装置の主走査方向の放射照度分布に基づいて決定され、
    前記放射照度ムラΔIは、ΔI=2×(Imax-Imin)/(Imax+Imin)の関係を有し、
    前記関係において、Imaxは、前記放射照度分布における前記光学装置の主走査方向の放射照度の最大値であり、Iminは、前記放射照度分布における前記光学装置の主走査方向の放射照度の最小値である、
    請求項1に記載の光学装置。
  4. 前記透明誘電体アレイの屈折率n1及び前記透明誘電体アレイの長さH[mm]は、H/(n1・L01)≦0.6の第三条件を満たし、
    前記第三条件において、L01は、物体面の正立等倍像が最も高い解像度で結像するときの前記レンズアレイと前記物体面との距離[mm]である、
    請求項1~のいずれか1項に記載の光学装置。
  5. 請求項1に記載の光学装置を備えた、イメージセンサ。
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