JP7216019B2 - 地下層における水及びガスの遮断のための組成物及び方法 - Google Patents

地下層における水及びガスの遮断のための組成物及び方法 Download PDF

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Description

[優先権の主張]
本出願は、2017年5月15日に出願された米国特許出願第62/506,193号、2017年6月9日に出願された欧州出願第17175344.5号、2018年4月9日に出願された欧州特許出願第18166420.2号の優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、坑井の操作、例えば、坑井用途における水制御を対象とする。特に、実施の形態によっては、本開示は、油井、ガス井、又は坑井などの地下領域への水又はガスの浸入を塞ぐ(又は遮断する)ことができる組成物を対象とする。実施の形態によっては、本開示は、例えば油田又はガス田用途において、特に地下領域、例えば生産井への水又はガスの浸入を減らしたり防止したりするための組成物の利用を対象とする。本開示は、高温地下領域での利用に特に適する。
地下の貯留層から鉱物炭化水素(例えば、原油及び天然ガス)を抜き取る際に経験する一般的な問題は、水の同時抜取りである。水は、例えば地下の帯水層や注入井を起源として、油、ガス井、及び貯留層で必然的に発生し、生産した炭化水素と混合され、抜き取られることになる。水と鉱物炭化水素の同時抜取りは、費用のかかる分離、処理、及び廃棄が必須であり、多くの場合、井戸への戻し注入が必要である。含水率(ウォーターカット)とは、生産井から産出された流体の総量に対する産出された水の量の比率である。地表まで持ち込まれる水の量を最小限に抑える、つまり含水率を最小限にすることが望ましい。
同様の問題は、不要なガスの浸入を伴う油井/坑井でも発生する。というのは、油の船積みに先立って関連貯蔵所へ油を送給する前に、又は、接続先分配パイプラインへ油を送給する前に、ガスを分離して燃やさねばならないからである。多くの操作を行う中でのガス処理能力の利用は容易ではないことから、ガスの同時生産を理想的にまで最小化している。
炭化水素の抜取り中に、例えば堆積層などの多孔質岩石層を介して、又は水源やガス源につながる網状の割れ目や亀裂を介して、水とガスが例えば坑井や貯留層などの地下領域へ入ることができる、多くの入り込み方がある。さまざまな機械的及び化学的処理により、水やガスの浸入を防止できる(例えば遮断する)、又は、少なくとも減らすことができる。化学処理には、コロイダルシリカベースのゲルやポリアクリルポリマをベースとするゲルなどのゲルの使用が含まれる。コロイダルシリカベースのゲルの例は、例えば、米国特許第4,732,213号、米国特許第7,458,424号、米国特許第7,954,549号、米国特許第9,045,965号、及びWO2009/034287に記載されている。例えばポリアクリルポリマに基づく他の化学システムには、米国特許第5,125,456号及び米国特許第5,957,203号に記載されているものが含まれる。コロイダルシリカベースのゲルシステムの他の用途には、米国特許第7,013,973号に記載されているように、例えば、水圧破砕前における微粒子の固化/結合が含まれる。
コロイダルシリカベースのゲルシステムなどのゲルタイプのシステムでは、コロイダルシリカが岩石層に十分遠くまで浸透するのに十分な時間を確保して十分な障壁を提供する一方、希釈によってゲル障壁が無効になってしまうほど遠くまでは浸透しないように、ゲル化時間を確実に制御することが重要である。このようなゲル化システムは、地下の炭化水素生産井に関連付けられた高温高圧条件下で効果的に機能する必要がある。したがって、コロイダルシリカシステムは他の用途、例えば、汚染物質封じ込めのための土壌中の地下障壁の形成(米国特許第5,836,390号)、又は、岩石、土壌、道路、トンネル、橋梁、若しくは建造物の亀裂や割れ目の封止(WO2004/018381)などに記載されているものの、これらのシステムが遭遇する条件、例えば、特に、その低い温度は、石油及びガスの生産井で遭遇するものとは大きく異なる。
したがって、ゲルを形成し得るような、地下領域で使用できる組成物と、ゲル化時間を制御でき、広い温度範囲にわたって安定し、必要に応じて、例えばpHを増すことで、除去可能な組成物を用いる方法とに対するニーズがある。さらに、多用されている有機ポリマベースのゲルよりも環境への害が少ないゲルを形成し得るような、地下領域で使用できる組成物に対するニーズがある。
本開示は、変性コロイダルシリカ(modified colloidal silica)と促進剤(accelerator)とを含む組成物を提供する。未変性(unmodified)コロイダルシリカの表面シラノール基の少なくとも一部分は、有機シラン部分で置換される。促進剤は、1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である。組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義される:
Figure 0007216019000001
この方程式において、Nsilicaは組成物中のシリカの総モル数、Ncationsは組成物中の陽イオンの総モル数、Zは陽イオンの電荷である。Xの範囲は8から50である。
組成物及びその他の態様には、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR基に結合するケイ素原子を含むことができる。各Rは、アルキル、エポキシアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-6アルキルアリール、及びC1-6アルキルヘテロアリールから独立して選択でき、ER、イソシアネート及びイソシアヌレートから選択される1つ又は複数の基で任意に置換できる。Eはなくてもよい、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R)-,-N(R)C(O)-,-N(R)C(O)N(R)-、及び-C(O)N(R)-から成る群から選択される連結基(linking group)とすることもできる。Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-3アルキルアリール、及びC1-3アルキルヘテロアリールから成る群から選択でき、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR、及び-N(Rから成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換できる。Rは、水素又はC1-6アルキルとすることができる。
は親水性部分とすることができる、又は、加水分解後に親水性となる。
は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択できる。
は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を含むことができる。
はER置換基を含むことができる。Eは-O-であり、Rは、任意に置換されたC1-8-エポキシアルキル及びヒドロキシル置換アルキルから選択できる。
は酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む親水基とすることができ、Rは3つを超えない連続するアルキレン(CH)基を含むことができる。
は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから選択できる。
変性コロイダルシリカは、未変性コロイダルシリカを有機シラン反応物と接触させることにより調製できる。有機シラン反応物は、式T4-ySi─[Rを有する化合物、式[R3-bSi{-O-SiT2-c[R-O-SiT3-b[Rを有するシロキサン、及び式{[R3-bSi}-NHを有するジシラザンから選択できる。ここで、yは1から3であり、各aは独立して0から5であり、各bは独立して1から3であり、cは1又は2であり、各Tは、ハロゲン化物、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、及びC1-6ハロアルコキシから成る群から独立して選択される。
有機シラン変性コロイダルシリカの表面変性度(DM)は、次の方程式で定義でき:
Figure 0007216019000002
DMは1nmあたり約0.8分子と約4分子との間であり、ここで:Aはアボガドロ定数であり;Norganosilaneは、用いられる有機シラン反応物のモル数であり;Ssilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの表面積であって、その単位はm-1であり;Msilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの質量であって、その単位はgである。
DMは、約1から約4の間とすることができる。
DMは、約1から約2の間とすることができる。
Xの値は、約8から約25の間、約8から約20の間、約10から約50の間、約10から約25の間、又は約10から約20の間とすることができる。
促進剤は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、水酸化物、及びこれらの任意の2つ又は2超の混合物から選択できる。
促進剤は、水酸化物及びケイ酸塩から選択できる。
促進剤の陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級、第二級、第三級、及び第四級アンモニウムイオンから選択される有機アンモニウムイオン、から選択できる。
促進剤の陽イオンは一価とすることができる。
陽イオンはアルカリ金属とすることができる。
陽イオンはナトリウムとすることができる。
陽イオンはカリウムとすることができる。
促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから選択できる。
組成物のpHは約6と約11との間とすることができる。
組成物のpHは約9と約11との間とすることができる。
促進剤は、組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在することができる。
組成物のシリカ含有量は、非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間とすることができる。
促進剤は組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在でき、組成物のシリカ含有量は非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間である。
促進剤は、組成物中の有機シラン変性コロイダルシリカ粒子間の反応を引き起こしたり促進したりすることができ、その結果、坑井内でゲルが形成される。
組成物は不浸透性の坑井ゲルを形成できる。
本開示は、組成物を用いて地下領域内の水又はガスの浸透を低減する又はなくすための、先の任意の態様と組み合わせることができる第1の方法も対象とする。
第1の方法及びその他の態様は以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
地下領域は、地下の油井であってもガス井であってもよい。
本開示は、地下領域中の地層を塞ぐための、先の任意の態様と組み合わせることができる第2の方法も対象とする。第2の方法は、変性コロイダルシリカを、1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と混合して組成物を形成するステップを含む。第2の方法は、坑井内のダウンホール位置及び地下領域中の地層へ組成物を流し込むステップを含む。第2の方法は、組成物が流体の流れを通さないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井を閉鎖するステップを含む。
第2の方法及びその他の態様は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
組成物のゲル化速度を、組成物中のシリカの量と促進剤の量とによって制御できる。
実施の形態によっては、組成物がダウンホール位置に到達するまで、組成物はゲルを形成しない。
組成物は、ダウンホール位置にて望ましい温度でゲルを形成できる。
本開示は、坑井内のダウンホール位置への水の流れを遮断するための、先の任意の態様と組み合わせることができる第3の方法も対象としており、第3の方法は第2の方法を実行するステップを含み、形成されるゲルは、層の内側容積部の実質的にすべてを占める。
第3の方法及びその他の態様は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
組成物を流し込む地層を囲む地下領域の各部分を封止することができる。
地下領域の各部分を、少なくとも1つのストラドルパッカ(straddle packer)を用いて封止できる。
本開示は、地下領域中の地層からの流体の流れを遮断するための第4の方法も対象としており、第4の方法は、第1の方法を実行するステップを含み、変性コロイダルシリカ、促進剤、変性コロイダルシリカの量、及び促進剤の量は、少なくとも特定の温度で少なくとも特定の時間の間、組成物がさらされたときに組成物がゲルを形成するように選択される。ここで、地下領域中の地層は少なくとも特定の温度にあり、組成物は地層内に少なくとも特定の時間の間、保持され、その結果、地層内にゲルが形成され、よって地層からの流体の流れが遮断される。
第4の方法及びその他の態様は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義でき:
Figure 0007216019000003
Xの値は約8と約50との間とすることでき、ここで、Nsilicaは組成物中のシリカの総モル数であり、Ncationは組成物中の陽イオンの総モル数であり、Zは陽イオンの電荷である。
本開示は、地下領域の水又はガスの浸透を低減する又はなくすための第5の方法も対象としており、第5の方法は変性コロイダルシリカと促進剤とを含む組成物を坑井内のダウンホール位置及び地下領域中の地層へ流し込むステップを含む。第5の方法は、組成物が流体の流れを通さないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井を封鎖するステップを含む。
第5の方法及びその他の態様は、以下の特徴を含むことができる。地下領域は、地下の油井であってもガス井であってもよい。
本開示に記載する実施の形態は、ボトムホール静的温度が高い井戸において、特には、未変性シリカのゲル化が速すぎる傾向にあり、有機高分子変性剤が劣化する傾向にある条件にある場合に、井戸の水及び/又はガスの遮断に有利に用いられる。
図1Aは坑井の概略図である。図1Aは、水と炭化水素を同時に生産する坑井を示す。 図1Bは坑井の概略図である。図1Bは、変性コロイダルシリカベースの組成物を用いて、坑井内で水制御を実施する説明図である。 図2は、本書で説明する方法の実施の形態の概要を示すフローチャートである。 図3は、有機シラン変性コロイダルシリカと、異なる分量のケイ酸ナトリウム促進剤とを用いた2つのゲル化システムの経時的な粘度変化を示すプロット図である。 図4Aは、変性コロイダルシリカ組成物を用いて実施したコアフラッディングテスト(core flooding tests)の結果を示すプロットである。 図4Bは、変性コロイダルシリカ組成物を用いて実施したコアフラッディングテスト(core flooding tests)の結果を示すプロットである。
本書で提供するのは、コロイダルシリカと促進剤とを含む組成物である。実施の形態によっては、コロイダルシリカを変性させる。実施の形態によっては、コロイダルシリカを有機シランで変性させる。実施の形態によっては、コロイダルシリカと促進剤とを含む組成物はゲルを形成する。実施の形態によっては、ゲルは、地下領域での水及び/又はガスの遮断用途に用いられる。本開示の組成物は、地下の油田及びガス田用途において、地下領域、例えば油井、ガス井、又は坑井への、望ましくない流体(典型的には水及び/又はガス)の浸入を阻止する性能を改善できることが見出された。実施の形態によっては、本書で提供する組成物は、多孔質堆積物又は割れ目にコロイダルシリカを浸透させることによりゲルを形成し、その後、促進剤の存在下でゲル化及び硬化して障壁を形成する。本書で提供するシリカベースのゲルなどの無機ゲルは、一般に、広い温度範囲でより安定しており、ポリアクリルアミドなどの有機ポリマに比べ、必要に応じてpHを上げることで除去することもできる。実施の形態によっては、コロイダルシリカはよく用いられる有機ポリマに比べて環境への害が一般的に少ないため、本書で提供する組成物及び方法は環境上の利点を有する。
以下の説明では、「有機シラン変性コロイダルシリカ」を「有機シラン官能化コロイダルシリカ」と呼ぶことができる。また、用語「促進剤」を「活性剤(activator)」と呼ぶこともできる。
いずれの理論にも拘束されることを望まないが、有機シラン官能化コロイダルシリカ粒子は、非官能化コロイダルシリカに比べて凝固が遅い。このことにより、穏やかな条件に比べてより速いゲル化にさらされる例えば都市建設工事用途では、より高温での凝縮/ゲル化率をより適切に制御できる。有機シラン官能化コロイダルシリカ粒子は、周囲の岩石層の電解質含有量に対する感度も低いので、井戸の望ましくない部分での制御不能なゲル化のおそれが減少する。ゲル化の制御を改善することにより、浸透性を持つ岩石層への浸透性の改善を達成できると同時に、遠くまで浸透が進み過ぎてコロイダルシリカが希釈され過ぎ適切な水遮断ができなくなってしまうことなく、有効な障壁を依然として確実に提供するのに充分に速い反応を保証するよう十分な反応性を維持する。
本書で提供する組成物はコロイダルシリカを含む。本書で用いる用語「コロイダルシリカ」は、直径が約1nmから約150nmのアモルファスシリカ(SiO)粒子が分散している状態を指す。コロイダルシリカは、溶媒中の分散液として入手できる。溶媒としては、水、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)があるが、これらに限定されない。実施の形態によっては、分散液は水性分散液である。プロトン受容体として機能する溶媒(つまり、水、アルコール、DMF、DMACなどのブレンステッド塩基)では、コロイダルシリカ分散液は電荷安定化されている。コロイダルシリカの表面は、シラノール基(つまり、Si-O-H基)が終端を成す。シラノール基の末端のプロトンは酸性の性質のため、シラノール基のごく一部がブレンステッド塩基溶媒でイオン化する。その結果、コロイダルシリカは負の表面電荷を発生する。この電荷により、2つのコロイダルシリカ粒子が互いに近づくと反発力が発生し、この反発力が十分に大きい場合、粒子は凝集しない。したがって、ブレンステッド塩基溶媒中のコロイダルシリカは、凝集に対して安定な分散液を生成する。
実施の形態によっては、コロイダルシリカは表面変性させる(修飾する)。実施の形態によっては、コロイダルシリカは、表面シラノール基の少なくとも一部が1つ又は複数の化学的に結合した有機シラン基で置換されたコロイダルシリカ粒子を含む。実施の形態によっては、化学的に結合した有機シラン基は、─R基に結合したケイ素原子を含む。実施の形態によっては、1つから3つの─R基が有機シラン部分のケイ素原子上に存在する。実施の形態によっては、3つの─R基がある。実施の形態によっては、2つの─R基がある。実施の形態によっては、1つの─R基がある。複数の─R基がある場合、それらは互いに同じでも異なっていてもよい。
有機シラン官能化コロイダルシリカは、WO2004/035473及びWO2004/035474に記載されているような従来の工程によって製造できる。実施の形態によっては、有機シラン官能化コロイダルシリカは、有機シラン反応物と、コロイダルシリカのシリカ表面上の1つ又は複数のシラノール基、すなわち[SiO]─OH基との反応から形成される。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、式T4─ySi─[Rを有する。実施の形態によっては、有機シラン反応物の各Tは、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、ヒドロキシ及びハロゲン化物から独立して選択される。実施の形態によっては、各TはC1-6アルコキシである。実施の形態によっては、各Tはメトキシである。実施の形態によっては、各Tはエトキシである。実施の形態によっては、3つのT基があり、各基はエトキシである。実施の形態によっては、有機シラン反応物はシロキサンである。実施の形態によっては、シロキサンは式[R3-bSi{-O-SiT2-c[R-O-SiT3-b[Rの化合物であり、ここで、aは0又は1又は1超の整数であり、例えば0から5、bは1から3、cは1から2である。実施の形態によっては、有機シラン反応物はジシラザンである。実施の形態によっては、ジシラザンは式{[R3-bSi}-NHの化合物である。ここでbは1から3である。実施の形態によっては、Tはアルコキシ基又はハロゲン化物である。実施の形態によっては、ハロゲン化物は塩化物である。実施の形態によっては、Tはハロアルコキシ基であり、ハロ基はフルオロ又はクロロである。実施の形態によっては、Tはアルコキシ基である。実施の形態によっては、アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシなどのC1-4アルコキシ基である。
有機シラン反応物の実施の形態によっては、Rは有機部分である。実施の形態によっては、Rは、アルキル、アルケニル、アミノ、ウレイド、エポキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-6アルキルアリール及びC1-6アルキルヘテロアリール基から選択され、そのいずれかは、ER、イソシアネート及びイソシアヌレートから選択される1つ又は複数の基で任意に置換される。実施の形態によっては、Rは、1個から約16個の炭素原子、例えば1個から約12個の炭素原子、又は、1個から約8個の炭素原子を含む。実施の形態によっては、Rは、直接のC-Si結合により有機シランシリコンに結合している。複数のR基がある(つまり、yは1より大きい)場合、各Rは同じであっても異なっていてもよい。
ERの実施の形態によっては、Eは存在せず、RはRに直接結合される。Eが存在するERの実施の形態によっては、Eは、-O-、-S-、-OC(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)OC(O)-、-N(R)-、-N(R)C(O)-、-N(R)C(O)N(R)-及び-C(O)N(R)-から選択される連結基である。ここで、Rは水素又はC1-6アルキルである。実施の形態によっては、Rは、ハロゲン(フッ素、塩素又は臭素など)、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-3アルキルアリール及びC1-3アルキルヘテロアリールから選択される。実施の形態によっては、Rは、ヒドロキシル、ハロゲン(フッ素、塩素又は臭素など)、エポキシ、-OR又は-N(Rから選択される1つ又は複数の基で置換される。ここで、各Rは上で定義したとおりである。実施の形態によっては、Eが存在し、Rは水素である。
実施の形態によっては、RはC1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C1-8アルケニル及びC1-8ハロアルケニルから選択される。実施の形態によっては、Rは、任意のハロゲン化物置換基を有するC1-8アルキル又はC1-8アルケニルである。実施の形態によっては、ハロゲン化物置換基は塩化物である。実施の形態によっては、Rは、メチル、エチル、クロロプロピル、イソブチル、シクロヘキシル、オクチル及びフェニルから選択される。実施の形態によっては、Rは、C1-8基、C1-6基、又はC1-4基である。
実施の形態によっては、Rはアルキルイソシアネート、例えばプロピルイソシアネートである。実施の形態によっては、Rはイソシアヌレート部分である。実施の形態によっては、Rはプロピルイソシアヌレート部分である。
実施の形態によっては、Rは親水性部分である。実施の形態によっては、Rは、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート及びイソシアヌレートから選択される少なくとも1つの基を含む親水性部分である。実施の形態によっては、親水性部分は、酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、共に連結した3つ以下の連続したアルキレン(-CH-)基を含む。
実施の形態によっては、Rは1個から8個の炭素原子を含む基(C1-8アルキル基)であり、さらに、ER置換基を含む。ここで、Eは酸素であり、Rは任意に置換されたC1-8-エポキシアルキル及びC1-8ヒドロキシアルキルから選択される。実施の形態によっては、Rは任意に置換されたアルキルイソシアヌレートである。そのようなER置換基の例には、3-グリシジルオキシプロピル及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルがある。
実施の形態によっては、Rは1個から8個の炭素原子を含む基(C1-8アルキル基)であり、さらに、Eが存在せず、RがエポキシアルキルであるER置換基を含む。実施の形態によっては、Rはエポキシシクロアルキルである。このようなR基の例は、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルである。実施の形態によっては、エポキシ基は2つの隣接するヒドロキシル基である。実施の形態によっては、Rはジヒドロキシシクロアルキルなどのジヒドロキシアルキルであり、Rは(3,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)エチルである。
実施の形態によっては、有機シランのSi原子上に複数のR基がある場合、少なくとも1つはC1-8アルキル又はアルケニル基である。
実施の形態によっては、RはC-Cアルキル基である。実施の形態によっては、Rはメチルである。実施の形態によっては、Rはプロピルである。実施の形態によっては、Rはウレイド基(-NH-C(O)-NH)である。実施の形態によっては、Rはグリシジルオキシプロピルである。
上記の定義では、アルキル及びアルケニル基は、脂肪族、環状であることができ、又は、脂肪族と環状の両方の部分を含むことができる。脂肪族基又は脂肪族部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。実施の形態によっては、任意の基又は置換基がハロゲンを含む場合、ハロゲンはフッ素、塩素及び臭素から選択される。
実施の形態によっては、いくつかの基は、コロイダルシリカ媒体で経験される条件下で加水分解反応を受ける。したがって、実施の形態によっては、ハロゲン化物、アシルオキシ、(メタ)アクリルオキシ及びエポキシ基などの部分を含む基が加水分解して、対応するカルボキシル、ヒドロキシル又はグリコール部分を形成する。
本書に記載する官能化コロイダルシリカの製造に用いることができる有機シラン反応物の例として、オクチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリス-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、エポキシ基を含むシラン(エポキシシラン)、グリシドキシ、及び/又は、3-(グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(トリメトキシ[3-(オキシラニルメトキシ)プロピル]シランとしても知られる)、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ヘキシルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリエトキシシラン;3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、塩化トリメチルシリル、ウレイドメチルトリエトキシシラン、ウレイドエチルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシリザンなどのグリシドキシプロピル基、並びに、これらの混合物などがあるが、これらに限定されない。米国特許第4,927,749号は、本開示で用いることができるさらなる適切なシランを開示している。
実施の形態によっては、有機シランは1つ又は複数のエポキシ基を含む。実施の形態によっては、有機シランはエポキシアルキルシラン又はエポキシアルキルオキシアルキルシランである。実施の形態によっては、有機シランは1つ又は複数のヒドロキシル置換基を含む。実施の形態によっては、ヒドロキシル置換基は、1つ又は複数のヒドロキシル基、例えば1つ又は2つのヒドロキシル基を含むヒドロキシアルキル又はヒドロキシアルキルオキシアルキル基である。例として、グリシドキシ、グリシドキシプロピル、ジヒドロプロポキシ又はジヒドロプロポキシプロピル基を含む有機シランがあるが、これらに限定されない。実施の形態によっては、有機シランは、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン及び(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシランなどの有機シラン反応物から誘導される。実施の形態によっては、エポキシ基は加水分解して、対応するビシナルジオール基を形成する。したがって、実施の形態によっては、本書に記載する組成物は、上記エポキシ基含有化合物のジオール均等物も包含する。
実施の形態によっては、有機シラン官能化コロイダルシリカは、1つ又は複数の有機シラン反応物と、コロイダルシリカのシリカ表面上の1つ又は複数のシラノール基との間の反応から形成される。実施の形態によっては、有機シラン反応物は(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランである。実施の形態によっては、有機シラン反応物はプロピルトリエトキシシランである。実施の形態によっては、有機シラン反応物はメチルトリエトキシシランである。実施の形態によっては、有機シラン反応物はウレイドプロピルトリエトキシシランである。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、1つ又は複数の有機シラン反応物の混合物である。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランとプロピルトリエトキシシランとの混合物である。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、約50mol%から約70mol%の(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランと、約30mol%から約50mol%のプロピルトリエトキシシランとの混合物である。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、約60mol%の(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランと約40mol%のプロピルトリエトキシシランとの混合物である。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランとウレイドプロピルトリエトキシシランとの混合物である。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、約40mol%から約60mol%の(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランと、約40mol%から約60mol%のウレイドプロピルトリエトキシシランとの混合物である。実施の形態によっては、有機シラン反応物は、約50mol%の(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランと、約50mol%のウレイドプロピルトリエトキシシランとの混合物である。
実施の形態によっては、有機シラン反応物は予備加水分解ステップを経て、例えば、Greenwood and Gevert、Pigment and Resin Technology、2011年、40(5)、275~284ページに記載されているように、1つ又は複数のT基が-OHに変換される。
実施の形態によっては、有機シラン反応物とコロイダルシリカのシリカ表面上の1つ又は複数のシラノール基との反応により、コロイダルシリカの表面に化学的に結合した1つ又は複数の有機シラン基が生じる。実施の形態によっては、有機シラン基はすべて同じである。実施の形態によっては、有機シラン基は異なる。実施の形態によっては、化学的に結合した有機シラン基は、式[{SiO}─O─]4-y-z[Z]Si─[Rで表される。ここで、{SiO}─O─基の─O─はシリカ表面の酸素原子を表す。実施の形態によっては、有機シランケイ素原子は、シリカ表面に対して少なくとも1つ、最大3つのそのような結合を有する、すなわち、4-y-zは少なくとも1であって3以下である。実施の形態によってはZ基が存在する。実施の形態によっては、zは0から2の範囲にある。実施の形態によっては、有機シランケイ素原子は1つから3つの[R]基を有する、すなわち、yは1から3、又は、1から2である。複数のR基がある場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。
実施の形態によっては、zがゼロでない場合、有機シランケイ素は未反応のT基を含む、及び/又は、T基が除去されたヒドロキシル基を含む。実施の形態によっては、T基は加水分解反応により除去される。実施の形態によっては、Si-O-Si結合は、隣接する有機シラン基のケイ素原子をともなって形成できる。したがって、実施の形態によっては、式{[SiO]─O─}4-y-z[Z]Si─[Rの中で、Z基は、上記のTで定義された基からも、そしてヒドロキシ基及び─O─[SiR]’基からも選択される各出現(each occurrence)に対して独立している。ここで、[SiR]’基は隣接する有機シラン基である。
実施の形態によっては、有機シラン反応物は表面シラノール基と反応して、コロイダルシリカのシリカ表面と有機シラン反応物のシリコン原子との間に1つから3つのSi-O-Si結合を形成する。実施の形態によっては、式{[SiO]─O─}4-y-z[T]Si─[Rを有する化合物が形成される。ここで4-y-zは1から3、例えば1から2であり、対応する数のT基が結果として有機シランから除去される。例えば、Tがアルコキシユニットの場合、アルコールが産出される。
実施の形態によっては、有機シラン反応物の少なくとも一部は、コロイダルシリカに結合する前には二量体形態又はオリゴマ形態でさえある。実施の形態によっては、2つ又は2超の有機シラン反応物部分は、Si-O-Si結合を介して互いに結合している。
実施の形態によっては、変性(又は「官能化」)コロイダルシリカは互いに異なる複数の有機シランを含む。例えば有機シラン変性シリカが、2つ又は2超の有機シランの混合物をコロイダルシリカと反応させることにより、又は2つ又は2超の別々に調製された有機シラン変性コロイダルシリカを混合することにより産出される。
実施の形態によっては、有機シラン化合物は、コロイダルシリカのシラノール基と共に安定な共有シロキサン結合(Si-O-Si)を形成する。実施の形態によっては、有機シラン化合物は、コロイダルシリカ粒子の表面上で水素結合によりシラノール基に結合している。実施の形態によっては、コロイダルシリカのすべてのシリカ粒子が有機シラン基によって変性されるわけではない。有機シラン基で官能化されるコロイダルシリカ粒子の割合は、さまざまな要因、例えば、シリカ粒子のサイズと利用可能な表面積、コロイダルシリカを官能化するために用いられるコロイダルシリカに対する有機シラン反応物の相対量、用いる有機シラン反応物の種類、及び反応条件に依存する。
実施の形態によっては、有機シラン基によるシリカ表面の変性度(DM)は、シリカ表面の平方ナノメートルあたりのシラン分子の数に関して、以下の計算(方程式2)に従って表される:
Figure 0007216019000004
ここで:
- DMは、表面変性度で、平方ナノメートル(nm-2)あたりの単位であり;
- Aはアボガドロ定数であり;
- Norganosilaneは用いられた有機シラン反応物のモル数であり;
- Ssilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの表面積であって、その単位はグラムあたりの平方メートル(m-1)であり;及び
- Msilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの質量であって、その単位はグラム(g)である。
実施の形態によっては、シリカの表面積は、シアーズ滴定により便利に測定される。
実施の形態によっては、DMは、1nmあたり少なくとも0.8分子のシラン、例えば0.8分子/nmから4分子/nmの範囲とすることができる。実施の形態によっては、DMは、1分子/nmから3分子/nm範囲、例えば、1分子/nmから2分子/nmである。
本開示の組成物に用いられるコロイダルシリカは安定なコロイドである。「安定」とは、媒体に分散された有機シラン官能化コロイダルシリカ粒子が、室温(20℃)での通常の保管で少なくとも2ヶ月、又は少なくとも4ヶ月、又は少なくとも5ヶ月の期間内に実質的にゲル化又は沈殿しないことを意味する。
実施の形態によっては、シラン官能化コロイダルシリカ分散液の粘度の、調製から調製後2ヶ月までの相対増加は、100%未満、例えば50%未満又は20%未満である。実施の形態によっては、シラン官能化コロイダルシリカの粘度の、調製から調製後4ヶ月までの相対増加は、200%未満、例えば100%未満又は40%未満である。
実施の形態によっては、シリカゾル(コロイダルシリカ)内のシリカ粒子は、有機シランの変性に加えて、1つ又は複数の追加の酸化物で変性される。実施の形態によっては、追加の酸化物は酸化アルミニウム又は酸化ホウ素である。ホウ素変性シリカゾルは、例えば、米国特許第2,630,410号に記載されている。実施の形態によっては、アルミナ変性シリカ粒子は、約0.05重量パーセント(wt%)から約3重量パーセント、例えば約0.1wt%から約2wt%のAlの含有量を有する。アルミナ変性シリカゾルの調製手順は、例えば、「The Chemistry of Silica」、Iler、K.Ralph、407~409ページ、John Wiley&Sons(1979年)及び米国特許第5,368,833号に記載されている。
実施の形態によっては、コロイダルシリカ中のシリカは、追加の追加酸化物を含まない。実施の形態によっては、コロイダルシリカは、それぞれの場合に、例えば追加の酸化物のそれぞれが重量で1000パーツパーミリオン(ppm)未満の痕跡量又は不純物量を超えて含むことはない。実施の形態によっては、ゾル中に存在する非シリカ酸化物の総量は、重量で約5000ppm未満、例えば約1000ppm未満である。
実施の形態によっては、コロイダルシリカ粒子の平均粒子直径は約2nmから約150nm、例えば約3nmから約50nm、又は約5nmから約25nmの範囲である。実施の形態によっては、平均粒子直径は約6nmから約20nmの範囲にある。実施の形態によっては、コロイダルシリカ粒子の比表面積(specific surface area)は、約20m-1から約1500m-1、例えば約50m-1から約900m-1、約70m-1から約600m-1、又は約70m-1から約400m-1である。本書に記載する表面積は、シアーズ滴定(G.W. Sears、Anal.Chem.,1956年、28(12)1981~1983ページ)による、合成に用いられる「裸の」又は「非官能化」コロイダルシリカの測定に基づく。これは、シリカ表面の官能化によりシアーズ滴定測定が複雑になる可能性があるからである。実施の形態によっては、粒子径は、例えば、「The Chemistry of Silica」、Iler、K.Ralph、465ページ、John Wiley&Sons(1979年)に記載された方法を用いて、滴定表面積から計算される。実施の形態によっては、シリカ粒子の密度は2.2グラム/立方センチメートル(gcm-3)であり、すべての粒子は同じサイズであり、滑らかな表面積を持ち、球形の場合、粒子直径は方程式3から算出できる:
Figure 0007216019000005
実施の形態によっては、コロイダルシリカ粒子は、安定化陽イオンの存在下で水に分散される。実施の形態によっては、安定化陽イオンは、水性シリカゾルを形成するように、K、Na、Li、NH4、有機陽イオン、第四級アミン、第三級アミン、第二級アミン、及び第一級アミン、及びそれらの混合物から選択される。実施の形態によっては、分散液は有機溶媒を含む。実施の形態によっては、有機溶媒は、水混和性のもの、例えば、低級アルコール、アセトン、又はそれらの混合物である。実施の形態によっては、有機溶媒は、水に対する体積比が20%又は20%未満で存在する。実施の形態によっては、溶媒はコロイダルシリカ又は官能化コロイダルシリカに添加されない。実施の形態によっては、組成物中の有機溶媒は、有機シラン反応物とシリカとの反応により、有機シラン官能化コロイダルシリカの合成中に生じることがある。例えば、有機シラン反応物がアルコキシドの場合、対応するアルコールが産出される。実施の形態によっては、任意の有機溶媒の量は、重量で約20%未満、例えば重量で約10%未満に維持される。
実施の形態によっては、官能化シリカゾルのシリカ含有量は、促進剤と混合する前に、重量で約5%から約60%、例えば約10%から約50%、又は約15%から約45%の範囲にある。これは、非官能化シリカのwt%で表され、有機シランで変性する前のコロイダルシリカ源中のシリカのwt%から算出される。実施の形態によっては、促進剤の存在下で、最終組成物中のシリカの含有量は、約3wt%から約58wt%の範囲内、例えば約10wt%から約55wt%、例えば約15wt%から約50wt%にあり、非官能化シリカ(つまり、SiOとして)のwt%で表される。
実施の形態によっては、官能化シリカゾルのpHは、約1から約13、例えば約2から約12、約4から約12、約6から約12、又は約7.5から約11の範囲にある。実施の形態によっては、シリカがアルミニウム変性されている場合には、pHは約3.5から約11の範囲にある。
実施の形態によっては、官能化コロイダルシリカは、促進剤と混合される前に、約20から約100、例えば約30から約90、又は約60から約90のS-値を有する。S-値は、コロイダルシリカ粒子の凝集の程度、例えば凝集又はマイクロゲル形成の程度を特徴付ける値である。実施の形態によっては、S-値は、Iler,R.K.&Dalton,R.L.inJ.Phys.Chem.,60(1956年)、955~957ページに記載される式に従って測定及び算出される。S-値は、シリカ含有量、粘度、及びコロイダルシリカの密度に依存する。高いS-値は、マイクロゲルの含有量が低いことを示す。S-値は、シリカゾルの分散相に存在する重量パーセントでのSiOの量を表す。実施の形態によっては、例えば米国特許第5,368,833号に記載されているように、マイクロゲル形成の程度を製造工程中に制御できる。有機シラン官能化コロイダルシリカのS-値は、通常、合成に用いられる「裸」又は「非官能化」コロイダルシリカのS-値として引用される(本書で表される表面積と同様)。
実施の形態によっては、シラン官能化シリカゾル中の有機シランのシリカに対する重量比は、約0.003から約1.5、例えば約0.006から約0.5、又は約0.015から約0.25である。実施の形態によっては、分散液中の有機シランの重量は、シリカ粒子に結合又は連結された可能な遊離有機シラン化合物及び有機シラン誘導体又は基の総量として計算され、例えば、最初にコロイダルシリカに添加されて有機シラン変性シリカを生成する有機シラン反応物の総量に基づいており、どのくらいの有機シランがシリカに実際に化学的に結合されているかの直接的な測定に基づく必要はない。
本書で提供する組成物には促進剤が含まれる。実施の形態によっては、促進剤は、コロイダルシリカ粒子を一緒に反応させ、ゲルの形成をもたらす反応を引き起こす又は促進することができる。実施の形態によっては、促進剤は、(有機シラン変性)コロイダルシリカのゲル化を促進することができる。実施の形態によっては、促進剤は、コロイダルシリカ粒子を一緒に反応させ、組成物の粘度を増加させる。実施の形態によっては、複数の促進剤が用いられる。
実施の形態によっては、促進剤は塩である。実施の形態によっては、促進剤は有機塩である。実施の形態によっては、促進剤は無機塩である。実施の形態によっては、塩は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、及び水酸化物から選択される。実施の形態によっては、塩はハロゲン化物、水酸化物又はケイ酸塩である。実施の形態によっては、ハロゲン化物は塩化物である。
実施の形態によっては、促進剤は陰イオンを含む。実施の形態によっては、陰イオンは、ハロゲン化物(塩化物、臭化物又はヨウ化物など)、炭酸塩、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、カルボン酸塩、又はシュウ酸塩から選択される。実施の形態によっては、促進剤は陽イオンを含む。
実施の形態によっては、陽イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、主族の金属(例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ)、以下を含むアンモニウムイオン:すなわち第一級アンモニウム、第二級アンモニウム、第三級アンモニウム、及び第四級アンモニウムイオン、及びアミノ及び有機アミノイオンなどの有機陽イオン;から選択される。実施の形態によっては、陽イオンはプロトンであり、例えば、酸が促進剤として用いられる。実施の形態によっては、陽イオンは一価である。実施の形態によっては、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムから選択される。
実施の形態によっては、促進剤は無機塩である。無機塩の例としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及びセメントなどの他のカルシウム供与体、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ヨウ化カリウム、リン酸水素ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、並びにそれらの混合物があるが、これらに限定されない。
実施の形態によっては、促進剤はケイ酸塩である。実施の形態によっては、促進剤はケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムである。実施の形態によっては、促進剤は塩化ナトリウムである。実施の形態によっては、促進剤は水酸化物である。実施の形態によっては、促進剤は、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム又は有機水酸化アンモニウムである。
実施の形態によっては、促進剤の陽イオンは一価の陽イオンである。実施の形態によっては、一価の陽イオンは、アルカリ金属陽イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンである。実施の形態によっては、一価の陽イオンはアルカリ金属陽イオンである。実施の形態によっては、アルカリ金属陽イオンはリチウム、ナトリウム、又はカリウムである。
実施の形態によっては、促進剤はアルカリ金属ケイ酸塩を含む。実施の形態によっては、アルカリ金属ケイ酸塩は、カリウム、ナトリウム、及びリチウムの1つ又は複数を含む。他の実施の形態では、有機ケイ酸塩が用いられる。実施の形態によっては、有機ケイ酸塩はアミノ又はアンモニウム陽イオンを含む。実施の形態によっては、SiO/MOのモル比(Mはナトリウム又はカリウムである)は約1から約4である。実施の形態によっては、SiO/MOのモル比(Mはリチウム又は有機成分である)は約1から約20である。
実施の形態によっては、促進剤はケイ酸ナトリウムである。実施の形態によっては、ケイ酸ナトリウム促進剤は、約20wt%から約30wt%のSiO濃度、及び約5wt%から約10wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有する水性の形態である。実施の形態によっては、ケイ酸ナトリウム促進剤は、約24.2wt%のSiO濃度及び約7.3wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有する水性の形態である。
実施の形態によっては、促進剤はケイ酸カリウムである。実施の形態によっては、ケイ酸カリウム促進剤は、約20wt%から約30wt%のSiO濃度及び約10wt%から約15wt%のカリウム含有量(KOとして表される)を有する水性の形態である。実施の形態によっては、ケイ酸カリウム促進剤は、約23.8wt%のSiO濃度及び約11wt%のカリウム含有量(KOとして表される)を有する水性の形態である。
実施の形態によっては、促進剤は塩化ナトリウムである。実施の形態によっては、塩化ナトリウム促進剤は水性の形態である。実施の形態によっては、塩化ナトリウム促進剤は、約5wt%から約30wt%の塩化ナトリウムの水溶液である。実施の形態によっては、塩化ナトリウム促進剤は10wt%水溶液である。実施の形態によっては、塩化ナトリウム促進剤は25wt%水溶液である。
実施の形態によっては、促進剤は水酸化ナトリウムである。実施の形態によっては、水酸化ナトリウム促進剤は水性である。実施の形態によっては、塩化ナトリウム促進剤は、約5wt%から約15wt%水酸化ナトリウム水溶液である。実施の形態によっては、水酸化ナトリウム促進剤は10.3wt%水溶液である。
実施の形態によっては、促進剤は、室温(例えば、15℃から25℃)及び/又は地下坑井温度、例えば、約90℃から約200℃の範囲で組成物に可溶性、又は少なくとも部分可溶性である。
実施の形態によっては、組成物中の促進剤の含有量は、ケイ酸塩及びシリカ粒子の総乾燥重量の約1wt%から約30wt%、例えば約2wt%から約15wt%である。
実施の形態によっては、本開示の組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は方程式1で表される:
Figure 0007216019000006
この方程式において、Nsilicaはシリカのモル数、Ncationsは陽イオンのモル数、Zは陽イオンの電荷である。
実施の形態によっては、Xの範囲は約8から約50である。実施の形態によっては、組成物中の促進剤の量は、この範囲のX比を達成するように選択される。実施の形態によっては、Xの範囲は約8から約25、例えば約8から約20である。実施の形態によっては、Xは約10から約50、例えば約10から約25又は約10から約20である。この計算におけるシリカのモル数には、コロイダルシリカ源からのシリカだけでなく、促進剤に存在するシリカも含まれる。例えば、促進剤がケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムなどのケイ酸塩である場合、シリカ含有量には促進剤からのケイ酸塩が含まれる。したがって、シリカのモル数は、コロイダルシリカの供給源に存在するシリカ又はケイ酸塩と、促進剤に存在するシリカ又はケイ酸塩とに基づく。実施の形態によっては、これは、地下水遮断要件に対してゲル化が速すぎないことを保証すると同時に、効果的な障壁が維持されるように、十分に速いゲル化特性及び良好なゲル強度を確保するのに十分な程度までゲル化が行われることを保証する。
実施の形態によっては、水性コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムなどの水性媒体に存在する塩で作られる。これらの陽イオンは、上記方程式の陽イオンのモル数にも含まれている。したがって、実施の形態によっては、陽イオンのモル数には、促進剤に存在する陽イオン、及び、コロイダルシリカ源に存在する陽イオンが含まれる。実施の形態によっては、シリカ源中の陽イオンは、蛍光X線などの方法により特定される。
組成物に複数の異なるタイプの陽イオンがある場合、上記はすべての異なるタイプの陽イオンの合計に対して次のように表現できる:
Figure 0007216019000007
ここで、各「i」は異なる陽イオンを表し、nは異なる陽イオンの総数である。
実施の形態によっては、Zはすべての場合で1、すなわち、すべての陽イオンは一価である。
実施の形態によっては、本書で提供する組成物は水性であり、標準の温度及び圧力で液体である。実施の形態によっては、水と比較して少量ではあるが、低級アルコール、アセトン又はそれらの混合物などの有機溶媒が存在する。
本書で提供する組成物には、本書で説明されている変性コロイダルシリカなどのコロイダルシリカと促進剤とが含まれている。組成物は、ゲルを形成できる流体組成物である。実施の形態によっては、組成物は、地下の油井又はガス井でゲルを形成する。実施の形態によっては、本開示の組成物のゲル化時間は、温度が90℃又は90℃超、多くの場合100℃以上、例えば110℃又は110℃超である地下の油井及びガス井での使用に適する。組成物が使用に適する温度範囲の例は、約90℃から約200℃、約100℃超から約200℃、及び約110℃から約180℃である。実施の形態によっては、ゲル化時間は、非官能化コロイダルシリカを用いた場合よりも長くなるが、地下の地層、例えば原油や天然ガス井での水及びガス遮断用途での使用に依然として有効である。
実施の形態によっては、組成物は120℃の温度で約1時間又は1時間超のゲル化時間を有する。実施の形態によっては、組成物は、120℃の温度で48時間以下のゲル化時間を有する。実施の形態によっては、組成物のゲル化時間は、約1時間から約48時間、又は約1時間から約24時間、例えば約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約12時間、約16時間、約20時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、又は約48時間である。
実施の形態によっては、組成物のゲル化時間を制御することができる。非官能化コロイダルシリカが用いられるシステムでは、通常、少量の促進剤が必要であり、ゲル化時間は、特に地下の油井やガス井で普通に遭遇する高温条件下で、促進剤塩の量の変化に非常に敏感である。したがって、使用量が正確に制御されていない場合、ゲル化時間は目的の時間枠を簡単に外れてしまう。さらに、地下の岩石層に存在する電解質と接触すると、制御されない、又は時期早尚なゲル化のリスクもある。対照的に、実施の形態によっては、本書に記載の組成物は、そのような条件下での促進剤の量の変動に対する感受性が低い。実施の形態によっては、用いられる量の変動及びダウンウェル電解質(down-well electrolytes)の存在に対してより大きな許容量がある。
実施の形態によっては、組成物中のコロイダルシリカと促進剤との比率を調整することにより、ゲル化時間の制御を達成できる。実施の形態によっては、最適な比率は、有機シラン基の性質、並びに関与する多孔質岩石層の状態及び性質に依存する。
実施の形態によっては、組成物は、有機シラン変性コロイダルシリカ及び塩促進剤を含む。これらの組成物は、特定の既知の化学システムと比べると、水及び/又はガスの遮断を達成するための非毒性で環境に優しいアプローチを示す。
また、本書では、地下領域、例えば地下の油井又はガス井における水又はガスの浸透を低減する又はなくす方法も提供する。本書で提供する方法は、本書に記載する組成物を用いて地下領域でゲルを形成するステップを含む。実施の形態によっては、ゲルは流体の流れに対して不浸透性である。完全に不浸透性の障壁を得るのは困難な場合があるため、本書で用いる用語「不浸透性」には、液体浸透がわずかで実質的でないレベルで発生する可能性のあるシステムが含まれる。
本書で提供するのは、地下領域で地層を塞ぐ方法である。実施の形態によっては、この方法は、変性コロイダルシリカと促進剤とを含む組成物を形成するステップと;坑井内のダウンホールの場所と地下領域の地層とへ組成物を流し込むステップと;組成物が流体の流れを透過させないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井を閉鎖するステップと;を含む。実施の形態によっては、組成物のゲル化速度は、組成物中の変性コロイダルシリカの量と促進剤の量とによって制御される。実施の形態によっては、組成物がダウンホール位置に到達するまで、組成物はゲルを形成しない。実施の形態によっては、組成物は、特定の温度を有するダウンホール位置に到達するまでゲルを形成しない。
また、本書は、坑井内のダウンホール位置への水の流れを遮断する方法も提供する。実施の形態によっては、この方法は、変性コロイダルシリカと促進剤とを含む組成物を形成するステップと;坑井内のダウンホールの場所と地下領域の地層へ組成物を流し込むステップと;組成物が流体の流れを透過させないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井を閉鎖するステップと;を含む。実施の形態によっては、ゲルは地層の内側容積部の実質的にすべてを占める。実施の形態によっては、この方法は、組成物が流れ込む地層を囲む地下領域の部分を封止するステップを含む。実施の形態によっては、地下領域の部分は、少なくとも1つのストラドルパッカで封止される。
また、本書では、地下領域の地層からの流体の流れを遮断する方法も提供する。実施の形態によっては、この方法は、変性コロイダルシリカと促進剤とを含む組成物を形成するステップと;組成物を坑井内のダウンホールの場所と地下領域の地層に流し込むステップと;組成物が流体の流れを透過させないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井を閉鎖するステップと;を含む。実施の形態によっては、組成物は、特定の時間の間、特定の温度にさらされた後にゲルを形成する。実施の形態によっては、地下領域は、組成物がゲルを形成するのに十分な温度にある。
本書に記載する方法の実施の形態によっては、本書に記載の組成物のゲル化速度が制御されるように、変性コロイダルシリカの量と促進剤の量とを選択する。実施の形態によっては、組成物がダウンホール位置に到達するまで、変性コロイダルシリカと促進剤とはゲルを形成しない。実施の形態によっては、量は上記の方程式1及び方程式4に基づいて選択される。実施の形態によっては、量は、組成物がダウンホール位置の温度でゲルを形成するように選択される。
実施の形態によっては、この方法は、坑井内のダウンホール位置への水の流れを遮断する方法として実施される。実施の形態によっては、本開示による組成物は、坑井内に、坑井が形成される地下領域内の地層内のダウンホール位置へ流される。実施の形態によっては、変性コロイダルシリカ及び促進剤(組成物)が水流を透過させないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井が閉じられる。実施の形態によっては、ゲルは地層の内側容積部の実質的にすべてを占める。
実施の形態によっては、組成物が流れ込む地層を取り囲む地下領域の各部分が封止される。実施の形態によっては、これらの各部分は、少なくとも1つのストラドルパッカを用いて封止される。
実施の形態によっては、この方法は、地下領域の地層からの流体の流れを遮断する方法として実施される。この方法では、組成物のさまざまな側面(例えば、変性コロイダルシリカ、促進剤、及びそれらの量)を選択して、組成物が少なくとも特定の温度に少なくとも特定の時間の間さらされると、ゲルを形成する。実施の形態によっては、本開示による組成物は、地層が少なくとも特定の温度である地下領域の地層に流される。実施の形態によっては、組成物は、少なくとも一定時間の間、地層内に保持され、その結果、地層内にゲルが形成される。実施の形態によっては、ゲルは地層からの流体の流れを遮断する。
本開示の実施の形態によっては、地下領域に坑井が形成される。実施の形態によっては、坑井は少なくとも地層まで延びている。実施の形態によっては、組成物は坑井を通じて地層に流される。
実施の形態によっては、組成物は、有機シラン変性シリカと、ゲル化を引き起こす促進剤とを含む非毒性の環境に優しい組成(formulation)であり、本開示による組成物はその一の実施例である。実施の形態によっては、組成物は、単相低粘度溶液として、例えば対象である地層内の坑井内に配置される。これらの深さでは、坑井温度が高くなる可能性がある。実施の形態によっては、変性コロイダルシリカの使用により、ゲル化時間のより良好な制御が可能になることにより、組成物はこれらの高温(例えば、温度は最大350°F/177℃にまで達する)で作動することができる。
実施の形態によっては、ゲル化工程は地層温度によって活性化される。実施の形態によっては、地層温度は、地下領域の望みの場所内の温度である。実施の形態によっては、その場でゲル化がなされて(部分的に又は完全に)空隙が塞がれ、よって望ましくない水の産出が制限される。実施の形態によっては、組成物が流入する地層の内側容積部は、地層内に形成されるゲルによって実質的に塞がれる。実施の形態によっては、実質的な閉塞により、地層内の流体(例えば、水、ガス又は他の流体)が坑井内に逃げ出せなくなる。実施の形態によっては、化学濃度又は促進剤の量(又は両方)を用いてゲル化時間を制御でき、それにより、所定の温度で数分から数時間にわたる予測可能で制御可能な圧送時間が許容される。
ガス遮断などの他の流体の遮断にも同じ原理が適用されるが、ここでは、水遮断に関して組成物を説明する。
図1Aは、水(104)と炭化水素(例えば、ガス(102a)、油(102b)、又はその両方)を同時生産する坑井(100)の概略図である。実施の形態によっては、坑井(100)は、炭化水素を担持する地下領域(108)であって坑井掘削作業を実施することにより形成される。実施の形態によっては、地下領域(108)は、地層、地層の一部、又は複数の地層を含む。例えば、坑井(100)が形成される地下領域(108)は、炭化水素、例えばガス(102a)及び油(102b)を担持する地層、及び水(104)を担持する地層を含む。
坑井(100)の例を垂直坑井として示す。坑井(100)の形状と方向は、水平、垂直、傾斜、曲がり他である、あるいは、そのような種類の形状及び方向を含んでいる。坑井(100)は坑井壁にセメント付けされる、さもなければ固定されるケーシングを含むことができる。実施の形態によっては、坑井にケーシングを設けないようにすることもでき、部分的にケーシングを設けないようにすることもできる。ケーシングを設ける場合、ケーシングに穿孔を設けて、地層からの流体が坑井(100)へ流入して、坑井(100)の地表へ流れることができるようにする。
場合によっては、例えば、割れ目処理を用いて、地下領域(108)に割れ目を形成し又は伝播させ、流体が通過して坑井(100)に流入する領域に流体流路を作ることができる。場合によっては、注入処理を用いて、坑井(100)に隣接して形成された注入坑井へ水を注入することができる。注入された水は、地下領域(108)の圧力が不十分なとき、坑井(100)を囲む炭化水素を坑井(100)へ強制的に流入させることができる。
地下領域の複数の層の掘削を単独で、又は、割れ目処理若しくは注入処理との組み合わせで行うことにより、炭化水素(102a、102b)と水(104)とを坑井(100)へ流し込むことができる。同時生産流体は地表へ流され、そこで水が流体から分離され、地下領域中へ処分される、又は、戻し注入される。遮水は、坑井(100)への水(104)の流れを減らす又はなくす工程である。
ゲル処理は、水及び/又はガスの遮断を実施するための一の手法である。既知の組成物の場合、遮断操作が実施されることになる水の温度よりも低い温度でゲル化が起こり得る。例えば、地層温度が高い坑井の奥深くで遮水する必要があるかもしれない。一方、組成物は、地層温度未満の温度でゲル化を引き起こす場合がある。そのような場合、時期尚早のゲル化により、組成物が通ってダウンホールへ送られる管が塞がってしまう可能性がある。また、時期早尚なゲル化により、水の圧送中に圧力が上昇する可能性がある。
対照的に、有機シラン変性コロイダルシリカと促進剤としての塩とを含む本書に記載の組成物は、高温に達するまでゲル化を遅らせることができる。その結果、本書に記載の組成物を、ゲル化が起こる前に、高温をともなう地層領域へ流すことができる。同様に、他の高温用途では、高温に達するまでゲル化を遅らせることができる。そうすることにより、ゲルを配置する必要がある地層の奥深くに組成物が浸透するのに十分な時間を与えることができる。
実施の形態によっては、高温の水及び/若しくはガスの遮断のための、又は、他の高温用途のためのゲルは、(例えば、上記のように)有機シランによって変性されたコロイダルシリカ及び(例えば、上述のように)塩である促進剤を含む組成物を用いることによって形成できる。実施の形態では、有機シランはトリアルコキシ[3-(オキシラニルメトキシ)プロピル]シランである。実施の形態によっては、トリアルコキシ[3-(オキシラニルメトキシ)プロピル]シランは、トリメトキシ[3-(オキシラニルメトキシ)プロピル]シラン又はトリエトキシ[3-(オキシラニルメトキシ)プロピル]シランである。別の実施の形態では、促進剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又は別の促進剤である。本組成物を実施する環境に基づいて、他の化学成分を添加できる。例えば、水に敏感な砂岩層における遮水処理の注入性を高めるために、粘土調整剤を組成物に添加することができる。
図1Bは、坑井(100)での水制御の実施の概略図である。坑井(100)に、ここで説明した組成物を、例えば、管状シャフト又は管状構造(152)を通して流すことができる。組成物の化学的性質により、水(104)が坑井(100)へ流れ込む地層の内部まで組成物がより深く浸透するまでゲル化が遅れる。先に述べたように、組成物は、ガス(102a)が坑井(100)へ流れ込む地層へ流れ込み、ガスの流れを遮断できる。組成物のゲル化により形成されるゲル(例えば、ゲル154)は、水(104)が坑井(100)へ流れ込む地層の浸入部分を覆うことができ、それにより水の生産を遮断する。一般に、組成物によって形成されたゲル(154)は、組成物が注入される地層の任意の部分の空隙を塞ぐために用いることができる。
図2は、本書で説明する組成物を用いて遮水操作を実行する工程200の実施例のフローチャートである。ステップ202で、変性コロイダルシリカを促進剤と混合して組成物を形成する。実施の形態によっては、地表からダウンホール位置へ組成物を流すために、キャリア流体、例えば水又は別のキャリア流体が用いられる。実施の形態によっては、キャリア流体の量の範囲は、約100ガロン/フィート(gal/ft)から約1000gal/ftの間(約1,242リットル/メートル(L/m)から約12,420(L/m)の間)である。実施の形態によっては、組成物の、キャリア流体に対する比率は、重量で約0%と約60%との間の範囲である。実施の形態によっては、変性コロイダルシリカの濃度は水中で約40%である。実施の形態によっては、組成物は、85%の(40%)コロイダルシリカと促進剤15%とを混合することにより調製される(例えば、表9に示す最初の試料を参照)。この量は、より大容積の組成物に合わせて調整できる。
ステップ204では、組成物を坑井、例えば坑井(100)へ流し込む。組成物を坑井(100)へ流す前に、又は、流す時点で、操作を実施することにより、塞ぐ必要のある地層(例えば、水を担持する地層又はガスを担持する地層)へ組成物が流れ込むこと、別の地層(例えば、油を担持する地層)へは組成物が流れ込まないようにすることができる。こうした操作には、コイルチュービングなしで、ブルヘッディング薬剤のコイルチュービング操作を用いるストラドルパッカの様な適切な配置手法を含むことができる。組成物が望ましい地層に注入された後、操作を逆にすることができる、例えば、ストラドルパッカを取り外すことができる。
実施の形態によっては、組成物が坑井(100)内を流れる速度は、例えば、水又はガスの流れが発生する目標深度や、地層への注入性などの要因に依存する。例えば、注入性が低く、より深い目標領域では、注入性が高く、浅い目標領域と比べて、遅い流速(例えば、0.5バレル/分(bbl/min)と6(bbl/min)との間、つまり79.5リットル/分(L/min)と954L/min)との間)にすることができる。実施の形態によっては、組成物の成分は地表で混合される。実施の形態によっては、組成物の成分は、坑井(100)へ流れ込み、目標深さまで流れる間に混合される。そのような実施の形態では、流量を変更して成分を混合させることができる。地層の温度は深さとともに増加するため、組成物は目標深さに向かって流れるとゲル化する場合がある。そのような場合、流量を定期的に増加させてゲル化及び粘度の増加に関連する圧力の蓄積を克服できる。
ステップ206では、坑井は組成物がゲル化するのに十分な時間の間、閉鎖される。実施の形態によっては、坑井は、組成物がダウンホール位置で水を通さないゲルを形成するのにかかる時間に対して十分な時間の間、閉鎖される。
ステップ208では、ゲルを用いて坑井に入る水の流れが遮断される。ゲルは水を通さないため、ダウンホール位置で坑井への水の流れは遮断される。実施の形態によっては、ゲルが地層を塞ぐので、ゲルが位置する地層を通る流れが遮断される。
以下の実施例は、ゾル(コロイダルシリカ)と促進剤とを含むさまざまな組成物のゲル化特性を示す。組成物は、攪拌機を用いて室温で、コロイダルシリカ及びシラン化コロイダルシリカのいずれかと促進剤とを混合することにより調製した。その後、各組成物を、90℃テスト用ガラス瓶又は120℃から150℃テスト用密封管に移した。次いで、組成物を望ましい温度のオーブンに入れ、定期的にチェックした。ゲル化時間とは、流動がはっきりしない状態で組成物を上下逆にできる時間である。
150℃でのサンプルの個別のレオロジ測定(rheological measurements)は、Grace M5600レオメータ(Rheometer)を用いて行った。実験中、10秒間の一定のせん断速度(s-1)を適用した。
ゲル化組成物で用いられる コロイダルシリカ1から13及び促進剤1から4について以下説明する。
コロイダルシリカ
・コロイダルシリカ1:
170平方メートル/グラム(m-1)の表面積、16nmの粒子径で、40wt%のシリカを含み、0.25wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、9から10のpHを有する非官能化コロイダルシリカ。
・コロイダルシリカ2:
130m-1の表面積、21nmの粒子径で、40wt%のシリカを含み、0.2wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、9から10のpHを有する非官能化コロイダルシリカ。
・コロイダルシリカ3:
(変性前に)250m-1の表面積と11nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカゾルをベースにしたアルミネート変性コロイダルシリカ。アルミネート変性シリカゾルは、30wt%のシリカと0.3wt%のAlとを含み、0.2wt%未満のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、6から7のpHを有していた。
・コロイダルシリカ4:
(変性前に)80m-1の表面積と34nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカゾルをベースにしたアルミネート変性コロイダルシリカ。アルミネート変性シリカゾルは、41wt%のシリカと0.3wt%のAlとを含み、0.34wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、9から10のpHを有していた。
・コロイダルシリカ5:
コロイダルシリカ10(下記参照)をベースにした有機シラン変性グレードのコロイダルシリカ。変性コロイダルシリカゾルは、28wt%のシリカを含み、Na含有量が0.2wt%未満のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、8のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.4分子/nmであった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ6:
コロイダルシリカ10(下記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、28wt%のシリカを含み、0.71wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.05分子/nmであった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ7:
コロイダルシリカ10(下記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、28wt%のシリカを含み、0.5wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、0.7分子/nmであった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ8:
(変性前に)220m-1の表面積と12nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカをベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性シリカゾルは、38wt%のシリカを含み、0.2wt%未満のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、8のpHを有していた。変性度は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.7分子/nmであった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ9:
(変性前に)220m-1の表面積と12nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカをベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、38wt%のシリカを含み、0.5wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.7分子/nmであった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ10:
360m-1の表面積、7nmの粒子径で、30wt%のシリカを含み、0.6wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、10から11のpHを有する非官能化コロイダルシリカ。
・コロイダルシリカ11:
コロイダルシリカ10(上記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、30wt%のシリカを含み、0.7wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.4分子/nmであった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン(60mol%)とプロピルトリエトキシシラン(40mol%)とであった。
・コロイダルシリカ12:
コロイダルシリカ1(上記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、40wt%のシリカを含み、0.3wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.7分子/nmであった。シリカの変性に用いられた有機シラン化合物はメチルトリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ13:
コロイダルシリカ10(上記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、30wt%のシリカを含み、0.7wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.4分子/nmであった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン(50mol%)とウレイドプロピルトリエトキシシラン(50mol%)とであった。
促進剤
・促進剤1:
24.2wt%のSiO濃度と7.3wt%のナトリウム含有量(NaOとして表される)とを有する水性の形態で提供されるケイ酸ナトリウム。
・促進剤2:
23.8wt%のSiO 濃度と11wt%のカリウム含有量(KOとして表される)とを有する水性の形態で提供されるケイ酸カリウム。
・促進剤3:
10wt%又は25wt%の水溶液として提供される塩化ナトリウム。
・促進剤4:
10.3wt%水溶液として提供される水酸化ナトリウム。
実施例1
以下の実施例では、X=Si/陽イオンのモル比である。Xの計算では、0.2wt%未満のアルカリ金属を含むコロイダルシリカ又は有機シラン官能化コロイダルシリカ源は、アルカリ金属を含まないかのように扱った。
表1は、90℃で異なる量のケイ酸カリウム促進剤(促進剤2)を用いたコロイダルシリカ1から4までのゲル化実験の結果を示す。温度は通常、地下の油井又はガス井でさらされる温度よりも低かった。
Figure 0007216019000008
ケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
wt%KOで表されるケイ酸カリウム水溶液のカリウム含有量
数日後にゲルなし
これらの実験は、シリカ源と同様に、促進剤の量がゲル化時間に影響することを示した。アルミナ変性コロイダルシリカ(コロイダルシリカ3及び4)は、用いたものの中で最も遅いゲル化時間を示した。
実施例2
表2は、促進剤2の存在下、120℃の高温条件下での2つの非有機化コロイダルシリカ(コロイダルシリカ1及び4)のゲル化時間を示す。
これらの結果は、用いたケイ酸カリウム促進剤の量のわずかな変化のみで、ゲル化時間に対する高い感度を示した。
Figure 0007216019000009
ケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
wt%KOで表されるケイ酸カリウム水溶液のカリウム含有量
7日後にゲルなし
24時間後にゲルなし
実施例3
実施例2を繰り返したが、有機シラン化の程度が異なるコロイダルシリカ(コロイダルシリカ5から7及び10から13)と塩化ナトリウムとを含む異なる促進剤(促進剤3)を用いた。その結果を表3に示す。
この実験は、コロイダルシリカの有機シラン変性の程度によってゲル化時間が影響を受けることを示した。有機シランの割合(coverage)が低いと、依然として速いゲル化が起きた。シラン化の程度を増やすと、ゲル化時間が長くなる。また、促進剤の量を変えるとゲル化時間の制御に貢献し、これは未変性コロイダルシリカの使用よりも感度が低いことも結果から示された。
これらの結果は、塩化ナトリウムなどのハロゲン化物塩を促進剤として用いることができることも示している。さらに、結果は、シラン化シリカを用いることで、ゲル化速度をより大きく制御できることを示した。
実験はさらに、親水性基による変性が、疎水性基による変性と比較して遅いゲル化速度を与える傾向があることを示した。
Figure 0007216019000010
ソフトゲル
用いた10wt%NaCl溶液
室温でわずか20分後にゲル化
加熱するとゲル化が速くなる
水を含まないシリカ又は塩化ナトリウムの重量
実施例4
表4は、ケイ酸ナトリウム(促進剤1)の存在下での異なる有機シラン化コロイダルシリカ(コロイダルシリカ8)の120℃でのゲル化結果を示している。
これらの結果は、比較的高濃度のケイ酸ナトリウム促進剤を用いると、120℃でのゲル化時間を広範囲にわたって制御できることを示した。
Figure 0007216019000011
ケイ酸ナトリウム水溶液の重量に基づく
コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
wt%NaOで表されるケイ酸ナトリウム水溶液のナトリウム含有量
実施例5
2つの異なるケイ酸塩促進剤、促進剤1及び促進剤2の存在下で、異なる粒子サイズの有機シラン化コロイダルシリカのゲル化時間を150℃で評価した。結果を表5に示す。
これらの結果は、異なるケイ酸塩促進剤と異なる粒子径の有機シラン化コロイダルシリカを用いることにより、ゲル化時間を制御できることを実証した。より大きな粒子サイズの有機シラン官能化コロイダルシリカ(コロイダルシリカ8)は、より高度な変性を有し、ゲル化を達成するためにより多くの促進剤を必要とする傾向があった。
Figure 0007216019000012
ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
MはNa(促進剤1)又はK(促進剤2)
wt%MOで表される水性アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属含有量
実施例6
コロイダルシリカ8に基づく2つの異なる組成物に対して、15又は17wt%ケイ酸ナトリウム(促進剤1)を促進剤として用い、150℃でのレオロジ研究を実施した。実験では、10s-1の一定せん断速度を適用した。Grace M5600レオメータを用いて測定した。2つの組成物のゲル化中に、時間依存の粘度測定を行った。結果を図3に示す。図3の参照番号1は、(十字印データポイントで)17wt%の促進剤1を含む組成物の結果を示し、参照番号2は、(ダイヤモンド印データポイントで)15wt%の促進剤1を含む組成物の結果を示す。
各組成物について、ゲル化が始まる前にタイムラグがあり、その時点で粘度が急速に増加した。これは、多孔質地下層の深さに基づいて、正しい時間にゲル化するように組成を選択できるため、ダウンウェル用途に望ましい形状である。急勾配の形状のため、組成物はこの時点前には比較的可動性が高いため、組成物をダウンウェルに送り込む際に時期早尚なゲル化や潜在的な問題を引き起こす可能性が低くなる。
その結果は、促進剤の量を変えることにより速いゲル化の開始を制御できることも示した。
実施例7
表6は、促進剤1と、コロイダルシリカ8に似ているがアルカリ金属のレベルが高くpHが高いコロイダルシリカ9とを含む組成物の結果を示す。150℃でゲル化を評価した。
Figure 0007216019000013
ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
wt%NaOで表されるケイ酸ナトリウム水溶液のナトリウム含有量
結果は、シリカゾルの初期pHが異なっていても、例えば表4及び表5に示す結果と比較した場合でも、組成物が効果的に機能することを示した。
実施例8
これらの実験は、コロイダルシリカ8又は9と、促進剤としての水酸化ナトリウム(促進剤4)とを含む、150℃における組成に基づく。その結果を以下の表7に示す。
Figure 0007216019000014
ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
wt%NaOで表されるケイ酸ナトリウム水溶液のナトリウム含有量
これらの結果は、水酸化ナトリウムなどの水酸化物も、150℃の高温でも効果的な促進剤として機能できることを示した。
実施例9-静的ゲル化試験
ガラス試験管で静的ゲル化試験を実施し、目視によりゲル化を推定した。典型的な静的ゲル化試験では、ガラス試験管内の利用可能な総容積の約半分まで、変性コロイダルシリカとケイ酸ナトリウム溶液との混合物でガラス試験管を容れた。次に、ガラス管を室温で放置する、又は、試験温度(例えば、200°F又は300°F)に設定された予熱オーブンに入れた。予熱オーブンに入れた場合は、管を定期的に取り出して観察した。ゲル化時間は、混合物が、ガラス管をひっくり返したときに形成されたゲルが動かないポイントに到達するまでにかかった時間であると推定した(ゲルは流動性を失ったと解釈できる)。表8に、有機シラン変性コロイダルシリカと標準(未変性)コロイダルシリカとで観察されたゲル化時間を示す。変性コロイダルシリカは、上記のコロイダルシリカ8であった。これらのシステムでは、ケイ酸ナトリウム溶液を促進剤として用いた。静的ゲル化試験で用いた典型的なケイ酸ナトリウム溶液は、次の特性、すなわち水素イオン指数(pH)11.27、比重1.359、26.1wt%の二酸化ケイ素(SiO)、8.40wt%酸化ナトリウム(NaO)、二酸化ケイ素と酸化ナトリウム(SiO/NaO)とのモル比3.21、36ppm鉄(Fe)を有した。
Figure 0007216019000015
未変性コロイダルシリカ
有機シラン変性コロイダルシリカ
表8に示すように、有機シラン官能化コロイダルシリカ組成物の300°F(148℃)でのゲル化時間は、ほぼ直ぐにゲル化した非官能化コロイダルシリカを含む組成物に比べ、約4時間であった。未変性コロイダルシリカの200°F(93℃)でのゲル化時間は約6時間であった。
実施例10-粘度テスト
粘度テストは、高圧高温(HPHT)条件下でのコロイダルシリカベースの流体のゲル化時間とゲル化挙動とに関する情報を取得するために用いられるもう一つの手法であった。組成物は、85wt%又は87wt%の上記コロイダルシリカ8を撹拌しながら液体ケイ酸ナトリウムと混合して調製した。粘度試験で用いられる典型的なケイ酸ナトリウム溶液は、静的ゲル化試験で用いるケイ酸ナトリウムと同じであった。室温で混合し、その後、組成物を、加圧レオメータのサンプルカップ内で、10s-1のせん断速度で設定温度まで加熱した。コロイダルシリカベースの流体を用いるマップレオメータ試験を、273°F(134℃)、300°F(148℃)、及び312°F(156℃)の設定温度で実施した。温度は、ガス井などの坑井内のダウンホール温度と同様であった。粘度計/レオメータを用いた粘度試験中に粘度を測定し、時間の関数として粘度を監視した。ゲル化時間は、混合物の粘度が著しく増加するのにかかる時間、例えば、試験開始時の混合物の粘度と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は50%超と推定した。コロイダルシリカとケイ酸ナトリウムとの混合物の粘度測定値対時間を示すプロットでは、粘度時間曲線の変曲点に到達するのにかかる時間としてゲル化時間を推定できる。これらの温度で用いられるさまざまな組成のゲル化時間を表9に示す。
Figure 0007216019000016
表9に示すように、ゲル化時間は、温度と変性コロイダルシリカ及びケイ酸ナトリウム促進剤の濃度によって異なった。
実施例11-コアフラッディングテスト
空隙内のゲルシステムの注入性と長期安定性とを分析した。多孔率が24%、塩水浸透率が400ミリダルシ(mD)の砂岩コアプラグと、コロイダルシリカ8とを含む組成物を用いたコアフラッディングテストを実施した。組成物を用いた化学処理の前に、事前フラッシングとして約50の細孔容積を圧送することにより、初期の定常状態を得た。初期圧力低下は、1cm/分の一定流量で約1psi(0.07bar)であった。これに続いて、主たる段階である水遮断処理を行った。
現場で用いる前に組成物の注入性を測定するために、2つのコアフローテストを実施した。第1のコアテストでは、粘土安定剤(塩化物塩)を組成物と共には用いなかった。図4Aは、事前フラッシングの注入と水遮断処理との間の圧力低下と細孔容積数を示す。化学物質注入中、5の細孔容積を注入後に340psi(23.4bar)の大幅な圧力上昇が観察された。この増加は粘土の膨潤に起因する可能性がある。
第2のコアテストでは、粘土の膨潤を防ぎ、組成物の注入性を改善するために、粘土安定剤と界面活性剤(アルコールと第四級アンモニウム化合物との混合物)とを添加した。第2のコアテストの結果は、粘土安定剤と界面活性剤とが処理の主たる段階で添加された場合、化学処理中の注入性の大幅な改善を示した。第1のコアテストと比較して、注入圧力をほとんど増加させずに(7psi/0.5bar)、合計で7の細孔容積を注入した。主たる段階での注入を行った後、硬化のために流れが閉鎖された。
実施例12-耐久性テスト(長時間の定圧実験)
72時間の硬化時間の後、図4Bに示すように、コア全体の差圧を測定することにより、注入後工程で地層塩水(formation brine)を注入し、化学処理の施栓(塞ぎ)効率(plugging efficiency)を特定した。典型的な長い定圧実験では、ポンプを用いて1ミリリットル/分(mL/min)の一定流量で地層塩水をコアプラグから注入し、注入工程全体でコアプラグ全体の差圧を測定した。コアプラグの圧力が望ましい圧力に達したら、ポンプを定圧モードに設定し、差圧と流量を測定した。ポンプは数日間運転を続け、施栓効率を特定した。圧力の低下も流出物もないことは、多孔質媒体(化学処理後のコアプラグ)が完全に塞がれていることを示す。地層塩水は以下の組成、すなわち50,500ミリグラム/リットル(mg/L)のナトリウムイオン、24,300mg/Lのカルシウムイオン、891mg/Lのマグネシウムイオン、732mg/Lの硫酸イオン、123,000mg/Lの塩化物イオン、及び22mg/Lの重炭酸イオン;を有していた。注入後、耐久試験を開始し、差圧を3.5時間800psi(55.2bar)に保持し、その後3時間300psi(20.7bar)に保持した。その後、処理されたコアプラグからの漏れを最小限に抑えながら、差圧を、約380時間にわたり約500psid(34.5bar-d)に保った。この期間に測定された平均漏れ率(leak-off rate)は、0.0018cm/分であった。300°F(148℃)で15日後、2回目の高圧安定性試験を実施して、化学プラグの保持圧力を評価した。2回目の高圧安定性テストでは、圧力の供給に用いられるポンプを定圧モードから定流量モードに切り替え、コアプラグにかかる圧力は2400psi(166bar)に達した。ポンプを定圧モードに切り替え、圧力損失は平均して約2300psid(159bar-d)であり、プラグサンプルを通る流れの証拠はなかった。
このように、本主題の特定の実施の形態について説明した。他の実施も特許請求の範囲
に含まれる。
[第1の局面]
組成物であって:
変性コロイダルシリカであって、未変性コロイダルシリカの表面シラノール基の少なくとも一部分は有機シラン部分で置換されている、前記変性コロイダルシリカと;
1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と;を備え、
前記組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
Figure 0007216019000017

前記Xの値は、約8と約50との間であり、
silica は、前記組成物中の前記シリカの総モル数であり、
cations は、前記組成物中の前記陽イオンの総モル数であり
Zは、前記陽イオンの電荷である、
組成物。
[第2の局面]
前記有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR 基に結合するケイ素原子を備え、
各R は、アルキル、エポキシアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C 1-6 アルキルアリール、及びC 1-6 アルキルヘテロアリールから独立して選択され、これらはいずれも、ER 、イソシアネート及びイソシアヌレートの中から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
Eは存在しない、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R )-,-N(R )C(O)-,-N(R )C(O)N(R )-、及び-C(O)N(R )-から成る群から選択される連結基(linking group)であり、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C 1-3 アルキルアリール、及びC 1-3 アルキルヘテロアリールから成る群から選択され、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR 、及び-N(R から成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
は、水素又はC 1-6 アルキルである、
第1の局面に記載の組成物。
[第3の局面]
は、親水性部分である、又は、加水分解後に親水性となる、
第2の局面に記載の組成物。
[第4の局面]
は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択される、
第3の局面に記載の組成物。
[第5の局面]
は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を備える、
第2の局面乃至第4の局面のいずれかに記載の組成物。
[第6の局面]
は、ER 置換基を備え、
Eは、-O-であり、
は、任意に置換されたC 1-8 -エポキシアルキル及びヒドロキシル置換アルキルから選択される、
第5の局面に記載の組成物。
[第7の局面]
は酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を備える親水基であり、
は3つを超えない連続するアルキレン(CH )基を備える、
第2の局面乃至第6の局面のいずれかに記載の組成物。
[第8の局面]
は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから選択される、
第7の局面に記載の組成物。
[第9の局面]
前記変性コロイダルシリカは、前記未変性コロイダルシリカを有機シラン反応物と接触させることにより調製され、
前記有機シラン反応物は、式T 4-y Si─[R を有する化合物、式[R 3-b Si{-O-SiT 2-c [R -O-SiT 3-b [R を有するシロキサン、及び式{[R 3-b Si} -NHを有するジシラザンから選択され、
yは、1から3であり、
各aは、独立して0から5であり、
各bは、独立して1から3であり、
cは、1又は2であり、
各Tは、ハロゲン化物、ヒドロキシル、C 1-6 アルコキシ、及びC 1-6 ハロアルコキシから成る群から独立して選択される、
第2の局面乃至第8の局面のいずれかに記載の組成物。
[第10の局面]
有機シラン変性コロイダルシリカの表面変性度(DM)は、次の方程式で定義され、
Figure 0007216019000018

DMは、1nm あたり約0.8分子と約4分子との間であり、
Aは、アボガドロ定数であり、
organosilane は、用いられる有機シラン反応物のモル数であり、
silica は、前記コロイダルシリカ中のシリカの表面積であって、その単位はm -1 であり;
silica は、前記コロイダルシリカ中のシリカの質量であって、その単位はgである、
第1の局面乃至第9の局面のいずれかに記載の組成物。
[第11の局面]
前記DMは、約1から約4の間である、
第10の局面に記載の組成物。
[第12の局面]
前記DMは、約1から約2の間である、
第10の局面に記載の組成物。
[第13の局面]
前記Xの値は、約8から約25の間、約8から約20の間、約10から約50の間、約10から約25の間、又は約10から約20の間である、
第1の局面乃至第12の局面のいずれかに記載の組成物。
[第14の局面]
前記促進剤は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、水酸化物、及びそれらの任意の2つ又は2超の混合物から選択される、
第1の局面乃至第13の局面のいずれかに記載の組成物。
[第15の局面]
前記促進剤は、ハロゲン化物及びケイ酸塩から選択される、
第14の局面に記載の組成物。
[第16の局面]
前記促進剤の前記陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級、第二級、第三級、及び第四級アンモニウムイオンから選択される有機アンモニウムイオン、から選択される、
第1の局面乃至第15の局面のいずれかに記載の組成物。
[第17の局面]
前記促進剤の前記陽イオンは、一価である、
第1の局面乃至第16の局面のいずれかに記載の組成物。
[第18の局面]
前記陽イオンは、アルカリ金属である、
第17の局面に記載の組成物。
[第19の局面]
前記陽イオンは、ナトリウムである、
第18の局面に記載の組成物。
[第20の局面]
前記陽イオンは、カリウムである、
第18の局面に記載の組成物。
[第21の局面]
前記促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから選択される、
第1の局面乃至第18の局面のいずれかに記載の組成物。
[第22の局面]
前記組成物のpHは、約6と約11との間である、
第1の局面乃至第21の局面のいずれかに記載の組成物。
[第23の局面]
前記pHは、約9と約11との間である、
第22の局面に記載の組成物。
[第24の局面]
前記促進剤は、前記組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在する、
第1の局面乃至第23の局面のいずれかに記載の組成物。
[第25の局面]
前記組成物のシリカ含有量は、非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間である、
第1の局面乃至第24の局面のいずれかに記載の組成物。
[第26の局面]
前記促進剤は、前記組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在し、前記組成物の前記シリカ含有量は、前記非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間である、
第1の局面乃至第23の局面のいずれかに記載の組成物。
[第27の局面]
前記促進剤は、前記組成物中の前記変性コロイダルシリカ粒子間の反応を引き起こし又は促進し、その結果、坑井内にゲルが形成される、
第1の局面乃至第26の局面のいずれかに記載の組成物。
[第28の局面]
前記組成物は、不浸透性の坑井ゲルを形成する、
第1の局面乃至第27の局面のいずれかに記載の組成物。
[第29の局面]
第1の局面乃至第28の局面のいずれかに記載の前記組成物を用いて、地下領域における、水又はガスの浸透を低減する又はなくす方法。
[第30の局面]
前記地下領域は、地下の油井又は地下のガス井である、
第29の局面に記載の水又はガスの浸透を低減する又はなくす方法。
[第31の局面]
地下領域中の地層を塞ぐ方法であって:
a)組成物を形成するために、変性コロイダルシリカを、1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と混合するステップと;
b)坑井内のダウンホール位置及び前記地下領域中の前記地層に前記組成物を流し込むステップと;
c)前記組成物が流体の流れを通さないゲルを形成するのに十分な時間の間、前記坑井を閉鎖するステップと;を備える、
地下領域中の地層を塞ぐ方法。
[第32の局面]
前記組成物のゲル化速度を、前記組成物中のシリカの量と促進剤の量とによって制御する、
第31の局面に記載の地層を塞ぐ方法。
[第33の局面]
前記組成物が前記ダウンホール位置に到達するまで、前記組成物は前記ゲルを形成しない、
第31の局面又は第32の局面に記載の地層を塞ぐ方法。
[第34の局面]
前記組成物は、前記ダウンホール位置にて望ましい温度で前記ゲルを形成する、
第31の局面乃至第33の局面のいずれかに記載の地層を塞ぐ方法。
[第35の局面]
坑井内のダウンホール位置への水の流れを遮断する方法であって:
a)組成物を形成するために、変性コロイダルシリカを、1つ又は複数の陽イオンを備える有機又は無機塩である促進剤と混合するステップと;
b)前記坑井が形成される地下領域中の地層へ前記組成物を流し込むステップと;
c)水流に対して不浸透性のゲルを前記組成物が形成するのに十分な時間の間、前記坑井を閉鎖するステップであって、前記ゲルは前記地層の実質的にすべての容積を占める、前記閉鎖するステップと;を備える、
坑井内のダウンホール位置への水の流れを遮断する方法。
[第36の局面]
前記組成物を流し込まれることになる前記地層を囲む前記地下領域の各部分を封止するステップを備える、
第35の局面に記載の水の流れを遮断する方法。
[第37の局面]
前記地下領域の前記各部分を、少なくとも1つのストラドルパッカを用いて封止する、
第36の局面に記載の水の流れを遮断する方法。
[第38の局面]
地下領域中の地層からの流体の流れを遮断する方法であって:
a)組成物を形成するために、変性コロイダルシリカを、1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と混合するステップであって、前記変性コロイダルシリカ、前記促進剤、前記変性コロイダルシリカの量、及び前記促進剤の量は、少なくとも特定の温度で少なくとも特定の時間の間に前記組成物がさらされたときに前記組成物がゲルを形成するように選択される、前記形成するステップと;
b)前記地下領域中の地層へ前記組成物を流すステップであって、前記地層は少なくとも特定の温度にある、前記流すステップと;
c)前記組成物は少なくとも一定時間の間、前記地層内に保持され、その結果、前記地層内に前記ゲルが形成され、よって前記地層からの流体の流れを遮断するステップと;を備える、
地下領域の地層からの流体の流れを遮断する方法。
[第39の局面]
前記組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
Figure 0007216019000019

Xの値は、約8と約50との間であり、
silica は、前記組成物中の前記シリカの総モル数であり、
cations は、前記組成物中の前記陽イオンの総モル数であり
Zは、前記陽イオンの電荷である、
第31の局面乃至第38の局面のいずれかに記載の方法。
[第40の局面]
地下領域での水又はガスの透過を低減する又はなくす方法であって:
第1の局面乃至第28の局面のいずれかに記載の組成物を、坑井内のダウンホール位置及び前記地下領域中の地層へ流し込むステップと;
前記組成物が流体の流れを通さないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井を封鎖するステップと;を備える、
地下領域での水又はガスの透過を低減する又はなくす方法。
[第41の局面]
前記地下領域は、地下の油井又はガス井である、
第40の局面に記載の水又はガスの透過を低減する又はなくす方法。
1 17wt%の促進剤1を含む組成物の結果
2 15wt%の促進剤1を含む組成物の結果
100 坑井
102a ガス
102b 油
104 水
108 地下領域
152 管状構造
154 ゲル

Claims (43)

  1. ゲル化した組成物であって:
    変性コロイダルシリカであって、未変性コロイダルシリカの表面シラノール基の少なくとも一部分は有機シラン部分で置換されている、前記変性コロイダルシリカと;
    1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と;を備え、
    前記ゲル化した組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
    Figure 0007216019000020

    前記X8から50であり、
    silicaは、前記ゲル化した組成物中のリカの総モル数であり、
    cationsは、前記ゲル化した組成物中のイオンの総モル数であり
    Zは、前記陽イオンの電荷であ
    前記ゲル化した組成物は、地下領域に存在する、
    ゲル化した組成物。
  2. 前記有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR基に結合するケイ素原子を備え、
    各Rは、i)アルキル、ii)エポキシアルキル、iii)アルケニル、iv)アリール、v)ヘテロアリール、vi)C1-6アルキルアリール、及びvii)C1-6アルキルヘテロアリールから成る群から独立して選択され、これらはいずれも、ER、イソシアネート及びイソシアヌレートの中から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
    Eは存在しない、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R)-,-N(R)C(O)-,-N(R)C(O)N(R)-、及び-C(O)N(R)-から成る群から選択される連結基(linking group)であり、
    は、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-3アルキルアリール、及びC1-3アルキルヘテロアリールから成る群から選択され、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR、及び-N(Rから成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
    は、水素又はC1-6アルキルである、
    請求項1に記載の組成物。
  3. は、親水性部分である、又は、加水分解後に親水性となる、
    請求項2に記載の組成物。
  4. は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択される要素を備える
    請求項3に記載の組成物。
  5. は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を備える、
    請求項2記載の組成物。
  6. は、ER置換基を備え、
    Eは、-O-であり、
    は、 1-8 -エポキシアルキル、置換されたC1-8-エポキシアルキル、及びヒドロキシル置換アルキルから成る群から選択される、
    請求項5に記載の組成物。
  7. 酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を備える親水基であり、
    3つを超えない連続するアルキレン(CH)基を備える、
    請求項2記載の組成物。
  8. は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから成る群から選択される、
    請求項7に記載の組成物。
  9. 前記変性コロイダルシリカは、前記未変性コロイダルシリカを有機シラン反応物と接触させることにより調製され、
    前記有機シラン反応物は、式T4-ySi─[Rを有する化合物、式[R3-bSi{-O-SiT2-c[R-O-SiT3-b[Rを有するシロキサン、及び式{[R3-bSi}-NHを有するジシラザンから成る群から選択され、
    yは、1から3であり、
    各aは、独立して0から5であり、
    各bは、独立して1から3であり、
    cは、1又は2であり、
    各Tは、ハロゲン化物、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、及びC1-6ハロアルコキシから成る群から独立して選択される、
    請求項2記載の組成物。
  10. 有機シラン変性コロイダルシリカの表面変性度(DM)は、次の方程式で定義され、
    Figure 0007216019000021

    DMは、1nmあたり0.8分子から4分子であり、
    Aは、アボガドロ定数であり、
    organosilaneは、用いられる有機シラン反応物のモル数であり、
    silicaは、ロイダルシリカ中のシリカの表面積であって、その単位はm-1であり;
    silicaは、ロイダルシリカ中のシリカの質量であって、その単位はgである、
    請求項1記載の組成物。
  11. 前記DMは、1から4である、
    請求項10に記載の組成物。
  12. 前記DMは、1から2である、
    請求項10に記載の組成物。
  13. は、8から258から2010から5010から25、又は10から20から成る群から選択される範囲内である、
    請求項1記載の組成物。
  14. 前記促進剤は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、及び水酸化物から成る群から選択される1つ又は複数の要素を含む
    請求項1記載の組成物。
  15. 前記促進剤は、少なくとも1つの水酸化物及び少なくとも1つのケイ酸塩を含む
    請求項14に記載の組成物。
  16. 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級有機アンモニウムイオン、第二級有機アンモニウムイオン、第三級有機アンモニウムイオン、及び第四級有機アンモニウムイオンから成る群から選択される、
    請求項1記載の組成物。
  17. 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、一価である、
    請求項1記載の組成物。
  18. 前記一価の陽イオンは、アルカリ金属陽イオンである、
    請求項17に記載の組成物。
  19. 前記一価の陽イオンは、ナトリウム陽イオンである、
    請求項18に記載の組成物。
  20. 前記一価の陽イオンは、カリウム陽イオンである、
    請求項18に記載の組成物。
  21. 前記促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから成る群から選択される、
    請求項1記載の組成物。
  22. 前記組成物のpHは、6から11である、
    請求項1記載の組成物。
  23. 前記pHは、9から11である、
    請求項22に記載の組成物。
  24. 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在する、
    請求項1記載の組成物。
  25. 前記組成物のシリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
    請求項1記載の組成物。
  26. 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在し、前記組成物のリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
    請求項1記載の組成物。
  27. 前記促進剤は、前記組成物中の前記変性コロイダルシリカ粒子間の反応を引き起こし又は促進し、その結果、坑井内に前記ゲル化した組成物が形成される、
    請求項1記載の組成物。
  28. 組成物であって:
    変性コロイダルシリカであって、未変性コロイダルシリカの表面シラノール基の少なくとも一部分は有機シラン部分で置換されている、前記変性コロイダルシリカと;
    1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と;を備え、
    前記組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
    Figure 0007216019000022

    前記Xは、8から50であり、
    silica は、前記組成物中のシリカの総モル数であり、
    cations は、前記組成物中の陽イオンの総モル数であり
    Zは、前記陽イオンの電荷であり、
    前記組成物は、地下領域に存在し、ゲル化時間が90℃~200℃の温度で1時間~48時間である、
    組成物。
  29. 前記有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR 基に結合するケイ素原子を備え、
    各R は、i)アルキル、ii)エポキシアルキル、iii)アルケニル、iv)アリール、v)ヘテロアリール、vi)C 1-6 アルキルアリール、及びvii)C 1-6 アルキルヘテロアリールから成る群から独立して選択され、これらはいずれも、ER 、イソシアネート及びイソシアヌレートの中から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
    Eは、存在しない、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R )-,-N(R )C(O)-,-N(R )C(O)N(R )-、及び-C(O)N(R )-から成る群から選択される連結基(linking group)であり、
    は、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C 1-3 アルキルアリール、及びC 1-3 アルキルヘテロアリールから成る群から選択され、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR 、及び-N(R から成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
    は、水素又はC 1-6 アルキルである、
    請求項28に記載の組成物。
  30. は、親水性部分である、又は、加水分解後に親水性となる、
    請求項29に記載の組成物。
  31. は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択される要素を備える、
    請求項30に記載の組成物。
  32. は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を備える、
    請求項29に記載の組成物。
  33. は、ER 置換基を備え、
    Eは、-O-であり、
    は、C 1-8 -エポキシアルキル、置換されたC 1-8 -エポキシアルキル、及びヒドロキシル置換アルキルから成る群から選択される、
    請求項32に記載の組成物。
  34. は、酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を備える親水基であり、
    は、3つを超えない連続するアルキレン(CH )基を備える、
    請求項29に記載の組成物。
  35. は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから成る群から選択される、
    請求項34に記載の組成物。
  36. 前記変性コロイダルシリカは、前記未変性コロイダルシリカを有機シラン反応物と接触させることにより調製され、
    前記有機シラン反応物は、式T 4-y Si─[R を有する化合物、式[R 3-b Si{-O-SiT 2-c [R -O-SiT 3-b [R を有するシロキサン、及び式{[R 3-b Si} -NHを有するジシラザンから成る群から選択され、
    yは、1から3であり、
    各aは、独立して0から5であり、
    各bは、独立して1から3であり、
    cは、1又は2であり、
    各Tは、ハロゲン化物、ヒドロキシル、C 1-6 アルコキシ、及びC 1-6 ハロアルコキシから成る群から独立して選択される、
    請求項29に記載の組成物。
  37. 前記促進剤は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、及び水酸化物から成る群から選択される1つ又は複数の要素を含む、
    請求項28に記載の組成物。
  38. 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級有機アンモニウムイオン、第二級有機アンモニウムイオン、第三級有機アンモニウムイオン、及び第四級有機アンモニウムイオンから成る群から選択される、
    請求項28に記載の組成物。
  39. 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、一価である、
    請求項28に記載の組成物。
  40. 前記促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから成る群から選択される、
    請求項28に記載の組成物。
  41. 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在する、
    請求項28に記載の組成物。
  42. 前記組成物のシリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
    請求項28に記載の組成物。
  43. 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在し、前記組成物のシリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
    請求項28に記載の組成物。
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