JP7216019B2 - 地下層における水及びガスの遮断のための組成物及び方法 - Google Patents
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Description
本出願は、2017年5月15日に出願された米国特許出願第62/506,193号、2017年6月9日に出願された欧州出願第17175344.5号、2018年4月9日に出願された欧州特許出願第18166420.2号の優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
この方程式において、Nsilicaは組成物中のシリカの総モル数、Ncationsは組成物中の陽イオンの総モル数、Zは陽イオンの電荷である。Xの範囲は8から50である。
有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR1基に結合するケイ素原子を含むことができる。各R1は、アルキル、エポキシアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-6アルキルアリール、及びC1-6アルキルヘテロアリールから独立して選択でき、ER2、イソシアネート及びイソシアヌレートから選択される1つ又は複数の基で任意に置換できる。Eはなくてもよい、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R3)-,-N(R3)C(O)-,-N(R3)C(O)N(R3)-、及び-C(O)N(R3)-から成る群から選択される連結基(linking group)とすることもできる。R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-3アルキルアリール、及びC1-3アルキルヘテロアリールから成る群から選択でき、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR3、及び-N(R3)2から成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換できる。R3は、水素又はC1-6アルキルとすることができる。
R1は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択できる。
R1は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を含むことができる。
R1はER2置換基を含むことができる。Eは-O-であり、R2は、任意に置換されたC1-8-エポキシアルキル及びヒドロキシル置換アルキルから選択できる。
R1は酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む親水基とすることができ、R1は3つを超えない連続するアルキレン(CH2)基を含むことができる。
R1は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから選択できる。
DMは1nm2あたり約0.8分子と約4分子との間であり、ここで:Aはアボガドロ定数であり;Norganosilaneは、用いられる有機シラン反応物のモル数であり;Ssilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの表面積であって、その単位はm2g-1であり;Msilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの質量であって、その単位はgである。
DMは、約1から約4の間とすることができる。
DMは、約1から約2の間とすることができる。
Xの値は、約8から約25の間、約8から約20の間、約10から約50の間、約10から約25の間、又は約10から約20の間とすることができる。
促進剤は、水酸化物及びケイ酸塩から選択できる。
促進剤の陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級、第二級、第三級、及び第四級アンモニウムイオンから選択される有機アンモニウムイオン、から選択できる。
促進剤の陽イオンは一価とすることができる。
陽イオンはアルカリ金属とすることができる。
陽イオンはナトリウムとすることができる。
陽イオンはカリウムとすることができる。
促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから選択できる。
組成物のpHは約6と約11との間とすることができる。
組成物のpHは約9と約11との間とすることができる。
促進剤は、組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在することができる。
組成物のシリカ含有量は、非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間とすることができる。
促進剤は組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在でき、組成物のシリカ含有量は非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間である。
促進剤は、組成物中の有機シラン変性コロイダルシリカ粒子間の反応を引き起こしたり促進したりすることができ、その結果、坑井内でゲルが形成される。
組成物は不浸透性の坑井ゲルを形成できる。
第1の方法及びその他の態様は以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
地下領域は、地下の油井であってもガス井であってもよい。
第2の方法及びその他の態様は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
組成物のゲル化速度を、組成物中のシリカの量と促進剤の量とによって制御できる。
実施の形態によっては、組成物がダウンホール位置に到達するまで、組成物はゲルを形成しない。
組成物は、ダウンホール位置にて望ましい温度でゲルを形成できる。
第3の方法及びその他の態様は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
組成物を流し込む地層を囲む地下領域の各部分を封止することができる。
地下領域の各部分を、少なくとも1つのストラドルパッカ(straddle packer)を用いて封止できる。
第4の方法及びその他の態様は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義でき:
Xの値は約8と約50との間とすることでき、ここで、Nsilicaは組成物中のシリカの総モル数であり、Ncationは組成物中の陽イオンの総モル数であり、Zは陽イオンの電荷である。
第5の方法及びその他の態様は、以下の特徴を含むことができる。地下領域は、地下の油井であってもガス井であってもよい。
実施の形態によっては、R1はC1-C6アルキル基である。実施の形態によっては、R1はメチルである。実施の形態によっては、R1はプロピルである。実施の形態によっては、R1はウレイド基(-NH-C(O)-NH2)である。実施の形態によっては、R1はグリシジルオキシプロピルである。
ここで:
- DMは、表面変性度で、平方ナノメートル(nm-2)あたりの単位であり;
- Aはアボガドロ定数であり;
- Norganosilaneは用いられた有機シラン反応物のモル数であり;
- Ssilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの表面積であって、その単位はグラムあたりの平方メートル(m2g-1)であり;及び
- Msilicaは、コロイダルシリカ中のシリカの質量であって、その単位はグラム(g)である。
実施の形態によっては、シリカの表面積は、シアーズ滴定により便利に測定される。
この方程式において、Nsilicaはシリカのモル数、Ncationsは陽イオンのモル数、Zは陽イオンの電荷である。
150℃でのサンプルの個別のレオロジ測定(rheological measurements)は、Grace M5600レオメータ(Rheometer)を用いて行った。実験中、10秒間の一定のせん断速度(s-1)を適用した。
コロイダルシリカ
・コロイダルシリカ1:
170平方メートル/グラム(m2g-1)の表面積、16nmの粒子径で、40wt%のシリカを含み、0.25wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、9から10のpHを有する非官能化コロイダルシリカ。
・コロイダルシリカ2:
130m2g-1の表面積、21nmの粒子径で、40wt%のシリカを含み、0.2wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、9から10のpHを有する非官能化コロイダルシリカ。
・コロイダルシリカ3:
(変性前に)250m2g-1の表面積と11nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカゾルをベースにしたアルミネート変性コロイダルシリカ。アルミネート変性シリカゾルは、30wt%のシリカと0.3wt%のAl2O3とを含み、0.2wt%未満のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、6から7のpHを有していた。
・コロイダルシリカ4:
(変性前に)80m2g-1の表面積と34nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカゾルをベースにしたアルミネート変性コロイダルシリカ。アルミネート変性シリカゾルは、41wt%のシリカと0.3wt%のAl2O3とを含み、0.34wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、9から10のpHを有していた。
・コロイダルシリカ5:
コロイダルシリカ10(下記参照)をベースにした有機シラン変性グレードのコロイダルシリカ。変性コロイダルシリカゾルは、28wt%のシリカを含み、Na含有量が0.2wt%未満のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、8のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.4分子/nm2であった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ6:
コロイダルシリカ10(下記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、28wt%のシリカを含み、0.71wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.05分子/nm2であった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ7:
コロイダルシリカ10(下記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、28wt%のシリカを含み、0.5wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、0.7分子/nm2であった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ8:
(変性前に)220m2g-1の表面積と12nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカをベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性シリカゾルは、38wt%のシリカを含み、0.2wt%未満のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、8のpHを有していた。変性度は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.7分子/nm2であった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ9:
(変性前に)220m2g-1の表面積と12nmの粒子径とを有する、コロイダルシリカをベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、38wt%のシリカを含み、0.5wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.7分子/nm2であった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ10:
360m2g-1の表面積、7nmの粒子径で、30wt%のシリカを含み、0.6wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、10から11のpHを有する非官能化コロイダルシリカ。
・コロイダルシリカ11:
コロイダルシリカ10(上記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、30wt%のシリカを含み、0.7wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.4分子/nm2であった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン(60mol%)とプロピルトリエトキシシラン(40mol%)とであった。
・コロイダルシリカ12:
コロイダルシリカ1(上記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、40wt%のシリカを含み、0.3wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.7分子/nm2であった。シリカの変性に用いられた有機シラン化合物はメチルトリエトキシシランであった。
・コロイダルシリカ13:
コロイダルシリカ10(上記参照)をベースにした有機シラン変性コロイダルシリカ。変性コロイダルシリカは、30wt%のシリカを含み、0.7wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)を有し、10から11のpHを有していた。変性度(DM)は、シアーズ滴定で測定したシリカ表面で、1.4分子/nm2であった。シリカを変性するために用いられる有機シラン化合物は、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン(50mol%)とウレイドプロピルトリエトキシシラン(50mol%)とであった。
・促進剤1:
24.2wt%のSiO2濃度と7.3wt%のナトリウム含有量(Na2Oとして表される)とを有する水性の形態で提供されるケイ酸ナトリウム。
・促進剤2:
23.8wt%のSiO2 濃度と11wt%のカリウム含有量(K2Oとして表される)とを有する水性の形態で提供されるケイ酸カリウム。
・促進剤3:
10wt%又は25wt%の水溶液として提供される塩化ナトリウム。
・促進剤4:
10.3wt%水溶液として提供される水酸化ナトリウム。
以下の実施例では、X=Si/陽イオンのモル比である。Xの計算では、0.2wt%未満のアルカリ金属を含むコロイダルシリカ又は有機シラン官能化コロイダルシリカ源は、アルカリ金属を含まないかのように扱った。
表1は、90℃で異なる量のケイ酸カリウム促進剤(促進剤2)を用いたコロイダルシリカ1から4までのゲル化実験の結果を示す。温度は通常、地下の油井又はガス井でさらされる温度よりも低かった。
1 ケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
2 コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
3wt%K2Oで表されるケイ酸カリウム水溶液のカリウム含有量
4 数日後にゲルなし
これらの実験は、シリカ源と同様に、促進剤の量がゲル化時間に影響することを示した。アルミナ変性コロイダルシリカ(コロイダルシリカ3及び4)は、用いたものの中で最も遅いゲル化時間を示した。
表2は、促進剤2の存在下、120℃の高温条件下での2つの非有機化コロイダルシリカ(コロイダルシリカ1及び4)のゲル化時間を示す。
これらの結果は、用いたケイ酸カリウム促進剤の量のわずかな変化のみで、ゲル化時間に対する高い感度を示した。
1 ケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
2 コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
3wt%K2Oで表されるケイ酸カリウム水溶液のカリウム含有量
4 7日後にゲルなし
5 24時間後にゲルなし
実施例2を繰り返したが、有機シラン化の程度が異なるコロイダルシリカ(コロイダルシリカ5から7及び10から13)と塩化ナトリウムとを含む異なる促進剤(促進剤3)を用いた。その結果を表3に示す。
この実験は、コロイダルシリカの有機シラン変性の程度によってゲル化時間が影響を受けることを示した。有機シランの割合(coverage)が低いと、依然として速いゲル化が起きた。シラン化の程度を増やすと、ゲル化時間が長くなる。また、促進剤の量を変えるとゲル化時間の制御に貢献し、これは未変性コロイダルシリカの使用よりも感度が低いことも結果から示された。
これらの結果は、塩化ナトリウムなどのハロゲン化物塩を促進剤として用いることができることも示している。さらに、結果は、シラン化シリカを用いることで、ゲル化速度をより大きく制御できることを示した。
実験はさらに、親水性基による変性が、疎水性基による変性と比較して遅いゲル化速度を与える傾向があることを示した。
1 ソフトゲル
2 用いた10wt%NaCl溶液
3 室温でわずか20分後にゲル化
4 加熱するとゲル化が速くなる
5 水を含まないシリカ又は塩化ナトリウムの重量
表4は、ケイ酸ナトリウム(促進剤1)の存在下での異なる有機シラン化コロイダルシリカ(コロイダルシリカ8)の120℃でのゲル化結果を示している。
これらの結果は、比較的高濃度のケイ酸ナトリウム促進剤を用いると、120℃でのゲル化時間を広範囲にわたって制御できることを示した。
1 ケイ酸ナトリウム水溶液の重量に基づく
2 コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
3 wt%Na2Oで表されるケイ酸ナトリウム水溶液のナトリウム含有量
2つの異なるケイ酸塩促進剤、促進剤1及び促進剤2の存在下で、異なる粒子サイズの有機シラン化コロイダルシリカのゲル化時間を150℃で評価した。結果を表5に示す。
これらの結果は、異なるケイ酸塩促進剤と異なる粒子径の有機シラン化コロイダルシリカを用いることにより、ゲル化時間を制御できることを実証した。より大きな粒子サイズの有機シラン官能化コロイダルシリカ(コロイダルシリカ8)は、より高度な変性を有し、ゲル化を達成するためにより多くの促進剤を必要とする傾向があった。
1 ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
2 コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
3 MはNa(促進剤1)又はK(促進剤2)
4 wt%M2Oで表される水性アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属含有量
コロイダルシリカ8に基づく2つの異なる組成物に対して、15又は17wt%ケイ酸ナトリウム(促進剤1)を促進剤として用い、150℃でのレオロジ研究を実施した。実験では、10s-1の一定せん断速度を適用した。Grace M5600レオメータを用いて測定した。2つの組成物のゲル化中に、時間依存の粘度測定を行った。結果を図3に示す。図3の参照番号1は、(十字印データポイントで)17wt%の促進剤1を含む組成物の結果を示し、参照番号2は、(ダイヤモンド印データポイントで)15wt%の促進剤1を含む組成物の結果を示す。
各組成物について、ゲル化が始まる前にタイムラグがあり、その時点で粘度が急速に増加した。これは、多孔質地下層の深さに基づいて、正しい時間にゲル化するように組成を選択できるため、ダウンウェル用途に望ましい形状である。急勾配の形状のため、組成物はこの時点前には比較的可動性が高いため、組成物をダウンウェルに送り込む際に時期早尚なゲル化や潜在的な問題を引き起こす可能性が低くなる。
その結果は、促進剤の量を変えることにより速いゲル化の開始を制御できることも示した。
表6は、促進剤1と、コロイダルシリカ8に似ているがアルカリ金属のレベルが高くpHが高いコロイダルシリカ9とを含む組成物の結果を示す。150℃でゲル化を評価した。
1 ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
2 コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
3 wt%Na2Oで表されるケイ酸ナトリウム水溶液のナトリウム含有量
結果は、シリカゾルの初期pHが異なっていても、例えば表4及び表5に示す結果と比較した場合でも、組成物が効果的に機能することを示した。
これらの実験は、コロイダルシリカ8又は9と、促進剤としての水酸化ナトリウム(促進剤4)とを含む、150℃における組成に基づく。その結果を以下の表7に示す。
1 ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム水溶液の重量に基づく
2 コロイダルシリカと促進剤からのシリカの総重量
3 wt%Na2Oで表されるケイ酸ナトリウム水溶液のナトリウム含有量
これらの結果は、水酸化ナトリウムなどの水酸化物も、150℃の高温でも効果的な促進剤として機能できることを示した。
ガラス試験管で静的ゲル化試験を実施し、目視によりゲル化を推定した。典型的な静的ゲル化試験では、ガラス試験管内の利用可能な総容積の約半分まで、変性コロイダルシリカとケイ酸ナトリウム溶液との混合物でガラス試験管を容れた。次に、ガラス管を室温で放置する、又は、試験温度(例えば、200°F又は300°F)に設定された予熱オーブンに入れた。予熱オーブンに入れた場合は、管を定期的に取り出して観察した。ゲル化時間は、混合物が、ガラス管をひっくり返したときに形成されたゲルが動かないポイントに到達するまでにかかった時間であると推定した(ゲルは流動性を失ったと解釈できる)。表8に、有機シラン変性コロイダルシリカと標準(未変性)コロイダルシリカとで観察されたゲル化時間を示す。変性コロイダルシリカは、上記のコロイダルシリカ8であった。これらのシステムでは、ケイ酸ナトリウム溶液を促進剤として用いた。静的ゲル化試験で用いた典型的なケイ酸ナトリウム溶液は、次の特性、すなわち水素イオン指数(pH)11.27、比重1.359、26.1wt%の二酸化ケイ素(SiO2)、8.40wt%酸化ナトリウム(Na2O)、二酸化ケイ素と酸化ナトリウム(SiO2/Na2O)とのモル比3.21、36ppm鉄(Fe)を有した。
1 未変性コロイダルシリカ
2 有機シラン変性コロイダルシリカ
表8に示すように、有機シラン官能化コロイダルシリカ組成物の300°F(148℃)でのゲル化時間は、ほぼ直ぐにゲル化した非官能化コロイダルシリカを含む組成物に比べ、約4時間であった。未変性コロイダルシリカの200°F(93℃)でのゲル化時間は約6時間であった。
粘度テストは、高圧高温(HPHT)条件下でのコロイダルシリカベースの流体のゲル化時間とゲル化挙動とに関する情報を取得するために用いられるもう一つの手法であった。組成物は、85wt%又は87wt%の上記コロイダルシリカ8を撹拌しながら液体ケイ酸ナトリウムと混合して調製した。粘度試験で用いられる典型的なケイ酸ナトリウム溶液は、静的ゲル化試験で用いるケイ酸ナトリウムと同じであった。室温で混合し、その後、組成物を、加圧レオメータのサンプルカップ内で、10s-1のせん断速度で設定温度まで加熱した。コロイダルシリカベースの流体を用いるマップレオメータ試験を、273°F(134℃)、300°F(148℃)、及び312°F(156℃)の設定温度で実施した。温度は、ガス井などの坑井内のダウンホール温度と同様であった。粘度計/レオメータを用いた粘度試験中に粘度を測定し、時間の関数として粘度を監視した。ゲル化時間は、混合物の粘度が著しく増加するのにかかる時間、例えば、試験開始時の混合物の粘度と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は50%超と推定した。コロイダルシリカとケイ酸ナトリウムとの混合物の粘度測定値対時間を示すプロットでは、粘度時間曲線の変曲点に到達するのにかかる時間としてゲル化時間を推定できる。これらの温度で用いられるさまざまな組成のゲル化時間を表9に示す。
表9に示すように、ゲル化時間は、温度と変性コロイダルシリカ及びケイ酸ナトリウム促進剤の濃度によって異なった。
空隙内のゲルシステムの注入性と長期安定性とを分析した。多孔率が24%、塩水浸透率が400ミリダルシ(mD)の砂岩コアプラグと、コロイダルシリカ8とを含む組成物を用いたコアフラッディングテストを実施した。組成物を用いた化学処理の前に、事前フラッシングとして約50の細孔容積を圧送することにより、初期の定常状態を得た。初期圧力低下は、1cm3/分の一定流量で約1psi(0.07bar)であった。これに続いて、主たる段階である水遮断処理を行った。
現場で用いる前に組成物の注入性を測定するために、2つのコアフローテストを実施した。第1のコアテストでは、粘土安定剤(塩化物塩)を組成物と共には用いなかった。図4Aは、事前フラッシングの注入と水遮断処理との間の圧力低下と細孔容積数を示す。化学物質注入中、5の細孔容積を注入後に340psi(23.4bar)の大幅な圧力上昇が観察された。この増加は粘土の膨潤に起因する可能性がある。
第2のコアテストでは、粘土の膨潤を防ぎ、組成物の注入性を改善するために、粘土安定剤と界面活性剤(アルコールと第四級アンモニウム化合物との混合物)とを添加した。第2のコアテストの結果は、粘土安定剤と界面活性剤とが処理の主たる段階で添加された場合、化学処理中の注入性の大幅な改善を示した。第1のコアテストと比較して、注入圧力をほとんど増加させずに(7psi/0.5bar)、合計で7の細孔容積を注入した。主たる段階での注入を行った後、硬化のために流れが閉鎖された。
72時間の硬化時間の後、図4Bに示すように、コア全体の差圧を測定することにより、注入後工程で地層塩水(formation brine)を注入し、化学処理の施栓(塞ぎ)効率(plugging efficiency)を特定した。典型的な長い定圧実験では、ポンプを用いて1ミリリットル/分(mL/min)の一定流量で地層塩水をコアプラグから注入し、注入工程全体でコアプラグ全体の差圧を測定した。コアプラグの圧力が望ましい圧力に達したら、ポンプを定圧モードに設定し、差圧と流量を測定した。ポンプは数日間運転を続け、施栓効率を特定した。圧力の低下も流出物もないことは、多孔質媒体(化学処理後のコアプラグ)が完全に塞がれていることを示す。地層塩水は以下の組成、すなわち50,500ミリグラム/リットル(mg/L)のナトリウムイオン、24,300mg/Lのカルシウムイオン、891mg/Lのマグネシウムイオン、732mg/Lの硫酸イオン、123,000mg/Lの塩化物イオン、及び22mg/Lの重炭酸イオン;を有していた。注入後、耐久試験を開始し、差圧を3.5時間800psi(55.2bar)に保持し、その後3時間300psi(20.7bar)に保持した。その後、処理されたコアプラグからの漏れを最小限に抑えながら、差圧を、約380時間にわたり約500psid(34.5bar-d)に保った。この期間に測定された平均漏れ率(leak-off rate)は、0.0018cm3/分であった。300°F(148℃)で15日後、2回目の高圧安定性試験を実施して、化学プラグの保持圧力を評価した。2回目の高圧安定性テストでは、圧力の供給に用いられるポンプを定圧モードから定流量モードに切り替え、コアプラグにかかる圧力は2400psi(166bar)に達した。ポンプを定圧モードに切り替え、圧力損失は平均して約2300psid(159bar-d)であり、プラグサンプルを通る流れの証拠はなかった。
に含まれる。
[第1の局面]
組成物であって:
変性コロイダルシリカであって、未変性コロイダルシリカの表面シラノール基の少なくとも一部分は有機シラン部分で置換されている、前記変性コロイダルシリカと;
1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と;を備え、
前記組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
前記Xの値は、約8と約50との間であり、
N silica は、前記組成物中の前記シリカの総モル数であり、
N cations は、前記組成物中の前記陽イオンの総モル数であり
Zは、前記陽イオンの電荷である、
組成物。
[第2の局面]
前記有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR 1 基に結合するケイ素原子を備え、
各R 1 は、アルキル、エポキシアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C 1-6 アルキルアリール、及びC 1-6 アルキルヘテロアリールから独立して選択され、これらはいずれも、ER 2 、イソシアネート及びイソシアヌレートの中から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
Eは存在しない、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R 3 )-,-N(R 3 )C(O)-,-N(R 3 )C(O)N(R 3 )-、及び-C(O)N(R 3 )-から成る群から選択される連結基(linking group)であり、
R 2 は、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C 1-3 アルキルアリール、及びC 1-3 アルキルヘテロアリールから成る群から選択され、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR 3 、及び-N(R 3 ) 2 から成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
R 3 は、水素又はC 1-6 アルキルである、
第1の局面に記載の組成物。
[第3の局面]
R 1 は、親水性部分である、又は、加水分解後に親水性となる、
第2の局面に記載の組成物。
[第4の局面]
R 1 は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択される、
第3の局面に記載の組成物。
[第5の局面]
R 1 は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を備える、
第2の局面乃至第4の局面のいずれかに記載の組成物。
[第6の局面]
R 1 は、ER 2 置換基を備え、
Eは、-O-であり、
R 2 は、任意に置換されたC 1-8 -エポキシアルキル及びヒドロキシル置換アルキルから選択される、
第5の局面に記載の組成物。
[第7の局面]
R 1 は酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を備える親水基であり、
R 1 は3つを超えない連続するアルキレン(CH 2 )基を備える、
第2の局面乃至第6の局面のいずれかに記載の組成物。
[第8の局面]
R 1 は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから選択される、
第7の局面に記載の組成物。
[第9の局面]
前記変性コロイダルシリカは、前記未変性コロイダルシリカを有機シラン反応物と接触させることにより調製され、
前記有機シラン反応物は、式T 4-y Si─[R 1 ] y を有する化合物、式[R 1 ] b T 3-b Si{-O-SiT 2-c [R 1 ] c } a -O-SiT 3-b [R 1 ] b を有するシロキサン、及び式{[R 1 ] b T 3-b Si} 2 -NHを有するジシラザンから選択され、
yは、1から3であり、
各aは、独立して0から5であり、
各bは、独立して1から3であり、
cは、1又は2であり、
各Tは、ハロゲン化物、ヒドロキシル、C 1-6 アルコキシ、及びC 1-6 ハロアルコキシから成る群から独立して選択される、
第2の局面乃至第8の局面のいずれかに記載の組成物。
[第10の局面]
有機シラン変性コロイダルシリカの表面変性度(DM)は、次の方程式で定義され、
DMは、1nm 2 あたり約0.8分子と約4分子との間であり、
Aは、アボガドロ定数であり、
N organosilane は、用いられる有機シラン反応物のモル数であり、
S silica は、前記コロイダルシリカ中のシリカの表面積であって、その単位はm 2 g -1 であり;
M silica は、前記コロイダルシリカ中のシリカの質量であって、その単位はgである、
第1の局面乃至第9の局面のいずれかに記載の組成物。
[第11の局面]
前記DMは、約1から約4の間である、
第10の局面に記載の組成物。
[第12の局面]
前記DMは、約1から約2の間である、
第10の局面に記載の組成物。
[第13の局面]
前記Xの値は、約8から約25の間、約8から約20の間、約10から約50の間、約10から約25の間、又は約10から約20の間である、
第1の局面乃至第12の局面のいずれかに記載の組成物。
[第14の局面]
前記促進剤は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、水酸化物、及びそれらの任意の2つ又は2超の混合物から選択される、
第1の局面乃至第13の局面のいずれかに記載の組成物。
[第15の局面]
前記促進剤は、ハロゲン化物及びケイ酸塩から選択される、
第14の局面に記載の組成物。
[第16の局面]
前記促進剤の前記陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級、第二級、第三級、及び第四級アンモニウムイオンから選択される有機アンモニウムイオン、から選択される、
第1の局面乃至第15の局面のいずれかに記載の組成物。
[第17の局面]
前記促進剤の前記陽イオンは、一価である、
第1の局面乃至第16の局面のいずれかに記載の組成物。
[第18の局面]
前記陽イオンは、アルカリ金属である、
第17の局面に記載の組成物。
[第19の局面]
前記陽イオンは、ナトリウムである、
第18の局面に記載の組成物。
[第20の局面]
前記陽イオンは、カリウムである、
第18の局面に記載の組成物。
[第21の局面]
前記促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから選択される、
第1の局面乃至第18の局面のいずれかに記載の組成物。
[第22の局面]
前記組成物のpHは、約6と約11との間である、
第1の局面乃至第21の局面のいずれかに記載の組成物。
[第23の局面]
前記pHは、約9と約11との間である、
第22の局面に記載の組成物。
[第24の局面]
前記促進剤は、前記組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在する、
第1の局面乃至第23の局面のいずれかに記載の組成物。
[第25の局面]
前記組成物のシリカ含有量は、非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間である、
第1の局面乃至第24の局面のいずれかに記載の組成物。
[第26の局面]
前記促進剤は、前記組成物の約1wt%と約30wt%との間の量で存在し、前記組成物の前記シリカ含有量は、前記非官能化シリカのwt%で表され、約3wt%と約55wt%との間である、
第1の局面乃至第23の局面のいずれかに記載の組成物。
[第27の局面]
前記促進剤は、前記組成物中の前記変性コロイダルシリカ粒子間の反応を引き起こし又は促進し、その結果、坑井内にゲルが形成される、
第1の局面乃至第26の局面のいずれかに記載の組成物。
[第28の局面]
前記組成物は、不浸透性の坑井ゲルを形成する、
第1の局面乃至第27の局面のいずれかに記載の組成物。
[第29の局面]
第1の局面乃至第28の局面のいずれかに記載の前記組成物を用いて、地下領域における、水又はガスの浸透を低減する又はなくす方法。
[第30の局面]
前記地下領域は、地下の油井又は地下のガス井である、
第29の局面に記載の水又はガスの浸透を低減する又はなくす方法。
[第31の局面]
地下領域中の地層を塞ぐ方法であって:
a)組成物を形成するために、変性コロイダルシリカを、1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と混合するステップと;
b)坑井内のダウンホール位置及び前記地下領域中の前記地層に前記組成物を流し込むステップと;
c)前記組成物が流体の流れを通さないゲルを形成するのに十分な時間の間、前記坑井を閉鎖するステップと;を備える、
地下領域中の地層を塞ぐ方法。
[第32の局面]
前記組成物のゲル化速度を、前記組成物中のシリカの量と促進剤の量とによって制御する、
第31の局面に記載の地層を塞ぐ方法。
[第33の局面]
前記組成物が前記ダウンホール位置に到達するまで、前記組成物は前記ゲルを形成しない、
第31の局面又は第32の局面に記載の地層を塞ぐ方法。
[第34の局面]
前記組成物は、前記ダウンホール位置にて望ましい温度で前記ゲルを形成する、
第31の局面乃至第33の局面のいずれかに記載の地層を塞ぐ方法。
[第35の局面]
坑井内のダウンホール位置への水の流れを遮断する方法であって:
a)組成物を形成するために、変性コロイダルシリカを、1つ又は複数の陽イオンを備える有機又は無機塩である促進剤と混合するステップと;
b)前記坑井が形成される地下領域中の地層へ前記組成物を流し込むステップと;
c)水流に対して不浸透性のゲルを前記組成物が形成するのに十分な時間の間、前記坑井を閉鎖するステップであって、前記ゲルは前記地層の実質的にすべての容積を占める、前記閉鎖するステップと;を備える、
坑井内のダウンホール位置への水の流れを遮断する方法。
[第36の局面]
前記組成物を流し込まれることになる前記地層を囲む前記地下領域の各部分を封止するステップを備える、
第35の局面に記載の水の流れを遮断する方法。
[第37の局面]
前記地下領域の前記各部分を、少なくとも1つのストラドルパッカを用いて封止する、
第36の局面に記載の水の流れを遮断する方法。
[第38の局面]
地下領域中の地層からの流体の流れを遮断する方法であって:
a)組成物を形成するために、変性コロイダルシリカを、1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と混合するステップであって、前記変性コロイダルシリカ、前記促進剤、前記変性コロイダルシリカの量、及び前記促進剤の量は、少なくとも特定の温度で少なくとも特定の時間の間に前記組成物がさらされたときに前記組成物がゲルを形成するように選択される、前記形成するステップと;
b)前記地下領域中の地層へ前記組成物を流すステップであって、前記地層は少なくとも特定の温度にある、前記流すステップと;
c)前記組成物は少なくとも一定時間の間、前記地層内に保持され、その結果、前記地層内に前記ゲルが形成され、よって前記地層からの流体の流れを遮断するステップと;を備える、
地下領域の地層からの流体の流れを遮断する方法。
[第39の局面]
前記組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
Xの値は、約8と約50との間であり、
N silica は、前記組成物中の前記シリカの総モル数であり、
N cations は、前記組成物中の前記陽イオンの総モル数であり
Zは、前記陽イオンの電荷である、
第31の局面乃至第38の局面のいずれかに記載の方法。
[第40の局面]
地下領域での水又はガスの透過を低減する又はなくす方法であって:
第1の局面乃至第28の局面のいずれかに記載の組成物を、坑井内のダウンホール位置及び前記地下領域中の地層へ流し込むステップと;
前記組成物が流体の流れを通さないゲルを形成するのに十分な時間の間、坑井を封鎖するステップと;を備える、
地下領域での水又はガスの透過を低減する又はなくす方法。
[第41の局面]
前記地下領域は、地下の油井又はガス井である、
第40の局面に記載の水又はガスの透過を低減する又はなくす方法。
2 15wt%の促進剤1を含む組成物の結果
100 坑井
102a ガス
102b 油
104 水
108 地下領域
152 管状構造
154 ゲル
Claims (43)
- ゲル化した組成物であって:
変性コロイダルシリカであって、未変性コロイダルシリカの表面シラノール基の少なくとも一部分は有機シラン部分で置換されている、前記変性コロイダルシリカと;
1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と;を備え、
前記ゲル化した組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
前記Xは、8から50であり、
Nsilicaは、前記ゲル化した組成物中のシリカの総モル数であり、
Ncationsは、前記ゲル化した組成物中の陽イオンの総モル数であり
Zは、前記陽イオンの電荷であり、
前記ゲル化した組成物は、地下領域に存在する、
ゲル化した組成物。 - 前記有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR1基に結合するケイ素原子を備え、
各R1は、i)アルキル、ii)エポキシアルキル、iii)アルケニル、iv)アリール、v)ヘテロアリール、vi)C1-6アルキルアリール、及びvii)C1-6アルキルヘテロアリールから成る群から独立して選択され、これらはいずれも、ER2、イソシアネート及びイソシアヌレートの中から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
Eは、存在しない、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R3)-,-N(R3)C(O)-,-N(R3)C(O)N(R3)-、及び-C(O)N(R3)-から成る群から選択される連結基(linking group)であり、
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-3アルキルアリール、及びC1-3アルキルヘテロアリールから成る群から選択され、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR3、及び-N(R3)2から成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
R3は、水素又はC1-6アルキルである、
請求項1に記載の組成物。 - R1は、親水性部分である、又は、加水分解後に親水性となる、
請求項2に記載の組成物。 - R1は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択される要素を備える、
請求項3に記載の組成物。 - R1は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を備える、
請求項2に記載の組成物。 - R1は、ER2置換基を備え、
Eは、-O-であり、
R2は、C 1-8 -エポキシアルキル、置換されたC1-8-エポキシアルキル、及びヒドロキシル置換アルキルから成る群から選択される、
請求項5に記載の組成物。 - R1は、酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を備える親水基であり、
R1は、3つを超えない連続するアルキレン(CH2)基を備える、
請求項2に記載の組成物。 - R1は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから成る群から選択される、
請求項7に記載の組成物。 - 前記変性コロイダルシリカは、前記未変性コロイダルシリカを有機シラン反応物と接触させることにより調製され、
前記有機シラン反応物は、式T4-ySi─[R1]yを有する化合物、式[R1]bT3-bSi{-O-SiT2-c[R1]c}a-O-SiT3-b[R1]bを有するシロキサン、及び式{[R1]bT3-bSi}2-NHを有するジシラザンから成る群から選択され、
yは、1から3であり、
各aは、独立して0から5であり、
各bは、独立して1から3であり、
cは、1又は2であり、
各Tは、ハロゲン化物、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、及びC1-6ハロアルコキシから成る群から独立して選択される、
請求項2に記載の組成物。 - 前記DMは、1から4である、
請求項10に記載の組成物。 - 前記DMは、1から2である、
請求項10に記載の組成物。 - Xは、8から25、8から20、10から50、10から25、又は10から20から成る群から選択される範囲内である、
請求項1に記載の組成物。 - 前記促進剤は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、及び水酸化物から成る群から選択される1つ又は複数の要素を含む、
請求項1に記載の組成物。 - 前記促進剤は、少なくとも1つの水酸化物及び少なくとも1つのケイ酸塩を含む、
請求項14に記載の組成物。 - 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級有機アンモニウムイオン、第二級有機アンモニウムイオン、第三級有機アンモニウムイオン、及び第四級有機アンモニウムイオンから成る群から選択される、
請求項1に記載の組成物。 - 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、一価である、
請求項1に記載の組成物。 - 前記一価の陽イオンは、アルカリ金属陽イオンである、
請求項17に記載の組成物。 - 前記一価の陽イオンは、ナトリウム陽イオンである、
請求項18に記載の組成物。 - 前記一価の陽イオンは、カリウム陽イオンである、
請求項18に記載の組成物。 - 前記促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから成る群から選択される、
請求項1に記載の組成物。 - 前記組成物のpHは、6から11である、
請求項1に記載の組成物。 - 前記pHは、9から11である、
請求項22に記載の組成物。 - 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在する、
請求項1に記載の組成物。 - 前記組成物のシリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
請求項1に記載の組成物。 - 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在し、前記組成物のシリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
請求項1に記載の組成物。 - 前記促進剤は、前記組成物中の前記変性コロイダルシリカ粒子間の反応を引き起こし又は促進し、その結果、坑井内に前記ゲル化した組成物が形成される、
請求項1に記載の組成物。 - 組成物であって:
変性コロイダルシリカであって、未変性コロイダルシリカの表面シラノール基の少なくとも一部分は有機シラン部分で置換されている、前記変性コロイダルシリカと;
1つ又は複数の陽イオンを含む有機又は無機塩である促進剤と;を備え、
前記組成物の、陽イオンに対するシリカのモル比(X)は、次の方程式で定義され、
前記Xは、8から50であり、
N silica は、前記組成物中のシリカの総モル数であり、
N cations は、前記組成物中の陽イオンの総モル数であり
Zは、前記陽イオンの電荷であり、
前記組成物は、地下領域に存在し、ゲル化時間が90℃~200℃の温度で1時間~48時間である、
組成物。 - 前記有機シラン部分は、直接Si-C結合によって1つ、2つ、又は3つのR 1 基に結合するケイ素原子を備え、
各R 1 は、i)アルキル、ii)エポキシアルキル、iii)アルケニル、iv)アリール、v)ヘテロアリール、vi)C 1-6 アルキルアリール、及びvii)C 1-6 アルキルヘテロアリールから成る群から独立して選択され、これらはいずれも、ER 2 、イソシアネート及びイソシアヌレートの中から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
Eは、存在しない、又は、-O-,-S-,-OC(O)-,-C(O)-,-C(O)O-,-C(O)OC(O)-,-N(R 3 )-,-N(R 3 )C(O)-,-N(R 3 )C(O)N(R 3 )-、及び-C(O)N(R 3 )-から成る群から選択される連結基(linking group)であり、
R 2 は、水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、C 1-3 アルキルアリール、及びC 1-3 アルキルヘテロアリールから成る群から選択され、並びに、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、エポキシ、-OR 3 、及び-N(R 3 ) 2 から成る群から選択される1つ又は複数の基で任意に置換され、
R 3 は、水素又はC 1-6 アルキルである、
請求項28に記載の組成物。 - R 1 は、親水性部分である、又は、加水分解後に親水性となる、
請求項29に記載の組成物。 - R 1 は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、エステル、エポキシ、アシルオキシ、ケトン、アルデヒド、(メタ)アクリルオキシ、アミノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから成る群から選択される要素を備える、
請求項30に記載の組成物。 - R 1 は、エポキシ基又は1つ又は複数のヒドロキシル基を備える、
請求項29に記載の組成物。 - R 1 は、ER 2 置換基を備え、
Eは、-O-であり、
R 2 は、C 1-8 -エポキシアルキル、置換されたC 1-8 -エポキシアルキル、及びヒドロキシル置換アルキルから成る群から選択される、
請求項32に記載の組成物。 - R 1 は、酸素及び窒素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を備える親水基であり、
R 1 は、3つを超えない連続するアルキレン(CH 2 )基を備える、
請求項29に記載の組成物。 - R 1 は、3-グリシドキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、及び2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピルから成る群から選択される、
請求項34に記載の組成物。 - 前記変性コロイダルシリカは、前記未変性コロイダルシリカを有機シラン反応物と接触させることにより調製され、
前記有機シラン反応物は、式T 4-y Si─[R 1 ] y を有する化合物、式[R 1 ] b T 3-b Si{-O-SiT 2-c [R 1 ] c } a -O-SiT 3-b [R 1 ] b を有するシロキサン、及び式{[R 1 ] b T 3-b Si} 2 -NHを有するジシラザンから成る群から選択され、
yは、1から3であり、
各aは、独立して0から5であり、
各bは、独立して1から3であり、
cは、1又は2であり、
各Tは、ハロゲン化物、ヒドロキシル、C 1-6 アルコキシ、及びC 1-6 ハロアルコキシから成る群から独立して選択される、
請求項29に記載の組成物。 - 前記促進剤は、ハロゲン化物、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩、硫化物、及び水酸化物から成る群から選択される1つ又は複数の要素を含む、
請求項28に記載の組成物。 - 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン、並びに、第一級有機アンモニウムイオン、第二級有機アンモニウムイオン、第三級有機アンモニウムイオン、及び第四級有機アンモニウムイオンから成る群から選択される、
請求項28に記載の組成物。 - 前記促進剤の前記1つ又は複数の陽イオンのうちの陽イオンは、一価である、
請求項28に記載の組成物。 - 前記促進剤は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、塩化ナトリウム、及び水酸化ナトリウムから成る群から選択される、
請求項28に記載の組成物。 - 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在する、
請求項28に記載の組成物。 - 前記組成物のシリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
請求項28に記載の組成物。 - 前記促進剤は、前記組成物の1wt%から30wt%の量で存在し、前記組成物のシリカ含有量は、未変性シリカについて3wt%から55wt%である、
請求項28に記載の組成物。
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