<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1~図11を参照しつつ説明する。本実施形態では、貯蔵庫として4ドア式の冷却貯蔵庫1を例示する。図1は、本発明の実施形態1に係る冷却貯蔵庫1の正面図である。冷却貯蔵庫1は、図1に示されるように、箱状の貯蔵庫本体2と、貯蔵庫本体2の上方に配置された機械室3と、貯蔵庫本体2に対して回動可能に取り付けられた扉4とを備えている。図2は、扉4の開閉動作を模式的に表した説明図である。貯蔵庫本体2は、前方に開口した開口部20を有する断熱箱体であり、その内部に貯蔵物が収容される貯蔵室24を有する。貯蔵庫本体2には、中央から左右両側へ開く左右一対の扉4,4が、上下方向に2組設けられている。つまり、貯蔵庫本体2には、4つの扉4が設けられている。本明細書において、上段の一対の扉4,4のうち、冷却貯蔵庫1に向かって右側の扉4を、「第1扉4A」、及び向かって左側の扉4を、「第2扉4B」と称する場合がある。また、下段の一対の扉4,4のうち、冷却貯蔵庫1に向かって右側の扉4を、「第3扉4C」、及び向かって左側の扉4を、「第4扉4C」と称する場合がある。
各扉4は、ヒンジピン40を含むヒンジ部材41を介して貯蔵庫本体2に対して回動可能に取り付けられている。貯蔵庫本体2の開口部14は、上下方向に延びる仕切部材(センターピラー)18と、水平方向に延びる仕切り部材とによって4つに仕切られている。そして、4つに仕切られた各開口部の開閉を行うために、各扉4が割り当てられている。なお、4つに仕切られた各開口部を囲む枠部26は、貯蔵庫本体2の前端部と、上下方向に延びる仕切部材18と、水平方向に延びる仕切り部材等によって構成される。
各扉4には、それぞれ取っ手5が設けられている。取っ手5は、使用者が扉4を手動で開ける際に利用される。
なお、貯蔵庫本体2の下面には、複数の脚部21が設けられている。そのため、貯蔵庫本体2の下面と、冷却貯蔵庫1が設置される床面Fとの間には、ある程度の大きさの空間が形成される。
機械室3は、冷却装置(冷却ユニット)、電装箱等を収容する部分である。冷却装置は、凝縮器、凝縮器ファン、圧縮機等を備えている。冷却装置は、貯蔵庫本体2内において貯蔵室の天井側に設けられた冷却器室に配設された冷却器と冷媒管によって循環接続されている。このような冷却装置が駆動すると冷却器が冷気を生成する。冷却器で生成された冷気は、冷却器室に設置された冷却ファンにより貯蔵室に送られる。なお、後述するように、機械室3には、第1扉4A及び第2扉4Bを開扉するための開扉装置6(6A,6B)が配設されている。
開扉装置6は、使用者が取っ手5を使用せずに、扉4を開けるための電動式の装置である。開扉装置6は、4つの扉4に対して、1つずつ割り当てられている。つまり、本実施形態の冷却貯蔵庫1には、4つの開扉装置6が設置されている。本明細書において、第1扉4Aの開扉を行うものを、「第1開扉装置6A」と称し、第2扉4Bの開扉を行うものを、「第2開扉装置6B」と称し、第3扉4Cの開扉を行うものを、「第3開扉装置6C」と称し、第4扉4Dの開扉を行うものを、「第4開扉装置6D」と称する場合がある。
第1開扉装置6Aは、第1扉4Aの上方であり、かつ冷却貯蔵庫1の中央側に設置されている。第2開扉装置6Bは、第2扉4Bの上方であり、かつ冷却貯蔵庫1の中央側に設置されている。第1開扉装置6A及び第2開扉装置6Bは、機械室3の前端側に配置されている。第1開扉装置6A及び第2開扉装置6Bは、互いに左右対称の外観形状を備えているものの、基本的な構成は互いに同じである。
第3開扉装置6Cは、第3扉4Cの下方であり、かつ冷却貯蔵庫1の中央側に設置されている。第4開扉装置6Dは、第4扉4Dの下方であり、かつ冷却貯蔵庫1の中央側に設置されている。第3開扉装置6C及び第4開扉装置6Dは、貯蔵庫本体2の下面の前端側に、箱型の取付部22に収容された状態で配置されている。第3開扉装置6C及び第4開扉装置6Dは、互いに左右対称の外観形状を備えているものの、基本的な構成は互いに同じである。また、第3開扉装置6C等は、上述した第1開扉装置6A等に対して、上下が反転したような外観形状となっているものの、基本的な構成は、同じである。
ここでは、第1扉4Aの開扉を行う第1開扉装置6Aを例に挙げて説明する。図3は、開扉装置6の斜視図である。開扉装置6(第1開扉装置6A)は、図3に示されるように、主として、ソレノイド本体61a及びプランジャ(可動鉄芯)61bを含むソレノイド61(駆動部の一例)と、てこ部材63と、回動支点軸64と、扉押出部65とを備えている。プランジャ61bの先端には、ヒンジピン66が取り付けられている。ヒンジピン66は、固定部材67によって前後方向について変位可能に固定されている。具体的には、ヒンジピン66は、固定部材67が有する貫通孔67aに挿通されている。貫通孔67aは、前後方向に延びた長孔状をなし、ヒンジピン66は貫通孔67aの内部において前後方向に変位することができる。
てこ部材63は、上下に間隔を空けて対向配置された一対の板部63a,63bを含む断面コの字型のてこ本体62と、てこ本体62の下側の板部63bから下方に向かって延設された延設板部63cとを備えている。てこ本体62は、前方に開口したような形をなしている。てこ部材63の上側に配される板部63aを、第1板部63aと称し、下側に配される板部63bを、第2板部63bと称する。第1板部63a及び第2板部63bは、それぞれ左右方向に延びた長手状の板材からなる。てこ部材63の第1板部63a、第2板部63b及び延設板部63cは、上下方向に延びた回動支点軸64を中心として、一体的に回動可能に構成されている。第1板部63aの一方の端部63a1には、左右方向に延びた長孔状の貫通孔63a2があり、その貫通孔63a2にヒンジピン66が挿通される形で、第1板部63aの端部63a1が、ソレノイド61のプランジャ61bに接続されている。延設板部63cの下端には、扉押出部65が設けられている。扉押出部65は、扉4を開ける際に、扉4の後面に当接する部分である。
図4は、作動前の開扉装置6と、閉状態の扉4とを示す説明図である。図4には、貯蔵庫本体2の上面2aに開扉装置6が固定されている状態が示されている。図4に示されるように、開扉装置6は、台座部68を介して、貯蔵庫本体2の上面2aに固定されている。なお、貯蔵庫本体2の上面2aは、機械室3の床面を構成する部分である。閉状態の扉4は、扉4の裏面に設けられたマグネットガスケット42の磁力(吸着力)により、貯蔵庫本体2に対して吸着されている。なお、扉4を開くためには、貯蔵庫本体2からマグネットガスケット42を引き剥がすために、マグネットガスケット42の磁力(吸着力)よりも大きな力を、扉4の裏面43に加える必要がある。
作動前の開扉装置6では、てこ部材63(第1板部63a等)の長手方向が、左右方向に沿った状態となっている。そして、扉押出部65は、マグネットガスケット42が設けられていない部分の扉4の裏面43に対して、向かい合った状態となっている。
開扉装置6は、後述するように、対象検知部7が、使用者からの開扉動作(開扉入力)を検知すると、制御部からの指令に基づいて、扉4を開けるように作動する。具体的には、制御部からの指令に基づいて、ソレノイド61が通電され、プランジャ61bがソレノイド本体61a内に引っ込むように後方へ変位するように駆動する。すると、てこ部材63が、回動支点軸64を中心として回動し、扉押出部65が前方へ変位する。これによって、扉押出部65が、扉4を裏面43側から前方へ押し出す形となり、扉4は、ヒンジ部材41を中心として回動しつつ、貯蔵庫本体2の枠部26から離される。図5は、作動後の開扉装置6と開状態の扉4とを示す説明図である。てこ部材63は、ソレノイド61のプランジャ61bの駆動力を増幅して、扉4に伝えることができる。
なお、図4及び図5に示されるように、開扉装置6には、引張りコイルばね69が設けられている。引張りコイルばね69の一端は、台座部68に固定され、その他端は、てこ部材63の第2板部63bに固定される。引張りコイルばね69は、ソレノイド61に対する通電が停止された後、プランジャ61bがソレノイド本体61aから突出して、通電前の元の位置(図4に示される位置)へ戻されるように、てこ部材63を引っ張る機能を有する。
図6は、下段の第3扉4Cを開けるための第3開扉装置6Cの斜視図である。第3開扉装置6Cは、第1開扉装置6Aと比べて、上下が反転したような外観形状となっているものの、基本的な構成は同じである。第3開扉装置6Cは、ソレノイド本体61Ca及びプランジャ(可動鉄芯)61Cbを含むソレノイド61Cと、てこ部材63Cと、回動支点軸64Cと、扉押出部65Cとを備えている。プランジャ61Cbの先端には、ヒンジピン66Cが取り付けられており、そのヒンジピン66Cは、固定部材67Cによって前後方向について変位可能に固定されている。ヒンジピン66Cは、固定部材67Cが有する貫通孔67Caに挿通され、ヒンジピン66Cは貫通孔67Caの内部において前後方向に変位することができる。また、てこ部材63Cは、第1開扉装置6Aと同様、上下に間隔を空けて対向配置された一対の板部63Ca,63Cbを含む断面コの字型のてこ本体62と、てこ本体62の上側の板部63Cbから上方に向かって延設された延設板部63Ccとを備えている。延設板部63cの上端には、扉押出部65Cが設けられている。
冷却貯蔵庫1は、更に、対象検知部7と、開閉検知部8とを備えている。対象検知部7は、対象検知部7から所定の範囲内に、使用者等の対象物が進入したことを検知する手段である。本実施形態の対象検知部7は、赤外線モーションセンサからなり、その検知範囲(検知可能な範囲)は、センサの前方において数センチ程度(例えば、5センチ)に設定されている。このような対象検知部7は、使用者が、取っ手5を使用せずに扉4を開ける場合に、その扉4に対応した開扉装置6を作動させるために利用される。対象検知部7は、4つの扉4にそれぞれ1つずつ割り当てられている。これらのうち、第1扉4Aの開扉に対応したものを、「第1対象検知部7A」と称し、第2扉4Bの開扉に対応したものを、「第2対象検知部7B」と称し、第3扉4Cの開扉に対応したものを、「第3対象検知部7C」と称し、第4扉4Dの開扉に対応したものを、「第4対象検知部7D」と称する場合がある。
第1対象検知部7Aは、図1に示されるように、第1扉4Aの下端であって、冷却貯蔵庫1の中央寄りの部分に設置されている。第2対象検知部7Bは、第2扉4Bの下端であって、冷却貯蔵庫1の中央寄りの部分に設置されている。上段の各扉4,4に対応した第1対象検知部7A及び第2対象検知部7Bの各検知方向は、冷却貯蔵庫1の前方に設定されている。このような第1対象検知部7A及び第2対象検知部7Bは、例えば、使用者が前方から手をかざす動作を検知する。
第3対象検知部7C及び第4対象検知部7Dは、それぞれ第3開扉装置6C及び第4開扉装置6Dの各近傍に設けられている。例えば、図6に示されるように、第3対象検知部7Cは、第3開扉装置6Cの固定部材67Cに隣接する形で設けられている。下段の各扉4,4に対応した第3対象検知部7C及び第4対象検知部7Dの各検知方向は、貯蔵庫本体2の下方に設定されている。このような第3対象検知部7C及び第4対象検知部7Dは、例えば、貯蔵庫本体2の下面と床面Fとの間にある空間に、使用者が前方から差し入れた足(つま先)の動作を検知する。
開閉検知部8は、扉4が開状態であるか、又は閉状態であるかを検知する手段である。本実施形態の開閉検知部8は、磁気スイッチからなり、2本の強磁性体リードを含むリードスイッチ81と、磁石82とを含む。リードスイッチ81に磁石82が近づいて、強磁性体リードの軸方向に外部から磁場が与えられると、強磁性体リード同士が接触することにより、閉状態検知信号が、開閉検知部8から出力される。これに対し、リードスイッチ81から磁石82が離れ、磁石82の磁場がリードスイッチ81に及ばないと、強磁性体リード同士が弾性で離れ、閉状態検知信号の出力が停止する。
なお、開閉検知部8は、4つの扉4にそれぞれ1つずつ割り当てられている。これらのうち、第1扉4Aの開閉を検知するものを、「第1開閉検知部8A」と称し、第2扉4Bの開閉を検知するものを、「第2開閉検知部8B」と称し、第3扉4Cの開閉を検知するものを、「第3開閉検知部8C」と称し、第4扉4Dの開閉を検知するものを、「第4開閉検知部8D」と称する場合がある。
図7は、冷却貯蔵庫1が備える開扉システム10のブロック図である。開扉システム10は、冷却貯蔵庫1が備える4つの扉4の開扉を制御するシステムであり、主として、制御部100と、4つの対象検知部7と、4つの開閉検知部8と、4つの開扉装置6(ソレノイド61)と、2つのタイマ(第1タイマ101、第2タイマ102)と、電源供給部200と、変圧器201と、切替手段202とを備えている。
制御部100は、CPU103、ROM104、RAM105及び信号入出力部106を備える。制御部100の各種機能は、CPU103が、ROM104(記憶部の一例)に格納されているプログラムを実行することで実現される。
信号入出力部106は、4つの対象検知部7、及び4つの開閉検知部8等に対してそれぞれ接続されており、それらからの検知信号(アナログ信号)を、デジタル信号に変換してCPU103へ出力する。
対象検知部7は、対象物を検知している検知状態の時に検知信号を制御部100(CPU103)に対して出力する。また、対象検知部7は、対象物を検知していない非検知状態の時に検知信号の出力を停止する。制御部100(CPU103)は、このような検知信号の出力の有無により、対象検知部7が対象物を検知している検知状態であるか、又は対象物を検知していない非検知状態であるかを判断する。なお、本明細書において、対象検知部7が検知信号を出力している状態を、「オン状態」と称し、対象検知部7が検知信号の出力を停止している状態を、「オフ状態」と称する場合がある。
開閉検知部8は、扉4が閉状態の時に、制御部100(CPU103)に対して閉状態検知信号を出力する。また、開閉検知部8は、扉4が開状態の時に、閉状態検知信号の出力を停止する。制御部100(CPU103)は、このような閉状態検知信号の有無により、扉4が閉状態であるか、又は開状態であるかを判断する。なお、本明細書において、開閉検知部8が開閉検知信号を出力している状態を、「オン状態」と称し、開閉検知部8が開閉検知信号の出力を停止している状態を、「オフ状態」と称する場合がある。
電源供給部200は、各開扉装置6の各ソレノイド61に対して電力を供給するための装置である。変圧器201は、電源供給部200から供給される電力(電圧)を変圧する。本実施形態の場合、電源供給部200から供給される200Vの電圧を、変圧器が100Vへ変圧する。
切替手段202は、4つの開扉装置6(ソレノイド61)のうち、何れか1つの開扉装置6(ソレノイド61)を通電させるための手段である。切替手段202は、第1開扉装置6Aに接続する第1スイッチ202Aと、第2開扉装置6Bに接続する第2スイッチ202Bと、第3開扉装置6Cに接続する第3スイッチ202Cと、第4開扉装置6Dに接続する第4スイッチ202Dとを備えている。切替手段202が備える第1スイッチ202A等は、例えば、リレーからなる。切替手段202は、CPU103から信号入出力部106を介して出力された駆動信号を受けると、目的とする1つの開扉装置6(ソレノイド61)を、所定時間通電させるように作動する。
第1タイマ101及び第2タイマ102は、制御部100による制御において使用される時間を計測する手段である。なお、第1タイマ101及び第2タイマ102は、制御部100の一部として構成されてもよい。
次いで、冷却貯蔵庫1(開扉システム10)における開扉装置6を利用した扉4の開扉制御について、図8を参照しつつ説明する。ここでは、第1開扉装置6Aを利用して閉状態の第1扉4Aを開扉させる場合を例に挙げて説明する。図8は、第1扉4Aの開扉制御の内容を示すタイミングチャート図である。第1扉4Aが開扉される前の状態において、第1対象検知部7Aはオフ状態(非検知状態)であり、第1開閉検知部8Aはオン状態であり、第1開扉装置6Aが備えるソレノイド61は、オフ状態(非通電状態)となっている。また、第1タイマ101及び第2タイマ102は、それぞれオフ状態となっている。
例えば、使用者が手のひらを第1対象検知部7Aの前方にかざすことにより、第1対象検知部7Aの検知が開始すると、図8に示されるように、第1対象検知部7Aは、検知信号を出力してオン状態(検知状態)となる。第1対象検知部7Aがオン状態になると、制御部100(CPU103)からの指令に基づいて、第1タイマ101が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。本実施形態の場合、第1タイマ101は、予め所定時間tb(例えば、3.0秒)の間、時間を計測するように設定されている。
なお、本実施形態の場合、第1対象検知部7Aのオン状態(検知状態)が、例えば、検知開始から所定時間ta(例えば、0.1秒)未満であると、第1開扉装置6Aのソレノイドが通電されないように設定されている。つまり、第1対象検知部7Aの検知状態が短すぎる場合、制御部100は、その検知状態の後、検知信号の出力が停止しても、それを第1扉4Aを開扉させるための指令とは認識しない。
第1対象検知部7Aのオン状態(検知状態)が、例えば、検知開始から時間t1(ただし、ta≦t1)の間、続いた後、使用者が手のひらを退避させたことにより、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が停止すると、制御部100(CPU103)によって、その停止した時間t1が、所定時間tb以内か否かが判断される。時間t1が、所定時間tb以内の場合(t1≦tb)、制御部100(CPU103)からの指令に基づいて、第2タイマ102が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。第2タイマ102は、予め、所定時間tc(例えば、0.1秒)の間、時間を計測するように設定されている。検知信号の出力が停止してからオフ状態(非検知状態)が所定時間tc続くと、制御部100は、上述した検知信号の出力の停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令と認識し、制御部100(CPU103)から、切替手段202に対して駆動信号が出力され、第1扉4Aのソレノイド61が所定時間(例えば、0.5秒)の間、通電される(オン状態となる)。ソレノイド61が通電されると、閉状態の第1扉4Aが、第1開扉装置6Aの扉押出部65によって前方へ押し出され、開状態となる。
このように、本実施形態では、第1対象検知部7Aがオン状態(検知状態)からオフ状態(非検知状態)に切り替わっても、ソレノイド61は直ちに通電されず、所定時間tcの間、待機した状態となっている。このようにソレノイド61が所定時間tcの間、待機することにより、使用者は確実に、第1対象検知部7A(第1扉4A)の前方から、手を退避させることができ、手が開扉する第1扉4Aと接触等することが防止される。なお、第1扉4Aが開状態となると、図8に示されるように、第1開閉検知部8Aは、オフ状態となる。
次いで、図9を参照しつつ、第1対象検知部7Aの検知状態(検出信号)が瞬間的に途切れた場合における第1扉4Aの開扉制御について説明する。図9は、第1対象検知部7Aの検出信号が瞬間的に途切れた場合における第1扉4Aの開扉制御の内容を示すタイミングチャート図である。ここでも、上述した場合と同様、第1開扉装置6Aを利用して閉状態の第1扉4Aを開扉させる場合を例に挙げて説明する。図9に示されるように、第1扉4Aが開扉される前の状態において、第1対象検知部7Aはオフ状態(非検知状態)であり、第1開閉検知部8Aはオン状態であり、第1開扉装置6Aが備えるソレノイド61は、オフ状態(非通電状態)となっている。また、第1タイマ101及び第2タイマ102は、それぞれオフ状態となっている。
例えば、使用者が手のひらを第1対象検知部7Aの前方にかざすことにより、第1対象検知部7Aの検知が開始すると、図9に示されるように、第1対象検知部7Aは、検知信号を出力してオン状態(検知状態)となる。第1対象検知部7Aがオン状態になると、制御部100(CPU103)からの指令に基づいて、第1タイマ101が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。本実施形態の場合、第1タイマ101は、上述した場合と同様、予め所定時間tb(例えば、3.0秒)の間、時間を計測するように設定されている。
検知開始から時間t2(ただし、ta≦t2)後において、例えば、使用者の手の位置がずれて、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が停止すると、制御部100によって、先ず、その停止した時間t2が、所定時間tb以内か否かが判断される。時間t2が、所定時間tb以内の場合、制御部100からの指令に基づいて、第2タイマ102が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。第2タイマ102は、予め、所定時間tc(例えば、0.1秒)の間、時間を計測するように設定されている。
図9に示されるように、検知開始から時間t2の後、第1対象検知部7Aのオフ状態(非検知状態)が、時間t3の間続き、そのオフ状態(非検知状態)の後、直ちに第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が再開し、オン状態(検知状態)となっている。
制御部100において、オフ状態(非検知状態)の時間t3が、所定時間tc未満(t3<tc)と判断されると、制御部100は、検知信号の出力の停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令とは認識せず、第2タイマ102が時間を計測してから所定時間tc経過しても、制御部100(CPU103)は、切替手段202に対して駆動信号を出力せず、ソレノイド61を通電させない。つまり、第1対象検知部7Aがオン状態となった後、それに続くオフ状態(非検知状態)の時間が非常に短い場合(例えば、非検知状態の時間が、ソレノイド61の通電前の待機時間(所定時間tc)よりも短い場合)、ソレノイド61は通電されない。
その後、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が再開し、オン状態(検知状態)が続いて、最初の検知状態の開始(検知開始)時から、時間t4後において、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が停止すると、制御部100(CPU103)により、その停止した時間t4が、所定時間tb以内か否かが判断される。時間t4が、所定時間tb以内の場合(t4≦tb)、制御部100からの指令に基づいて、第2タイマ102が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。第2タイマ102は、上述したように、予め、所定時間tc(例えば、0.1秒)の間、時間を計測するように設定されている。再開された後の検知信号の出力が停止してからオフ状態(非検知状態)が所定時間tc続くと、制御部100は、再開された後の検知信号の出力の停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令と認識し、制御部100から、切替手段202に対して駆動信号が出力され、第1扉4Aのソレノイド61が所定時間(例えば、0.5秒)の間、通電される(オン状態となる)。ソレノイド61が通電されると、閉状態の第1扉4Aが、第1開扉装置6Aの扉押出部65によって前方へ押し出され、開状態となる。
以上のように、第1対象検知部7Aの検知状態(オン状態)が所定時間ta以上続いた後、検知信号の出力が停止してから非検知状態(オフ状態)の時間が、所定時間tc未満であると(つまり、検知信号の出力が停止してから非検知状態が所定時間tc未満続くと)、制御部100は、検知信号の出力の停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令とは認識せず、ソレノイド61を通電させない。第1対象検知部7Aの検知状態の途中で見られる非常に時間の短い非検知状態(オフ状態)は、通常、使用者の意図しない誤った動作に基づくものである。そのため、本実施形態では、そのような誤った動作に基づく第1対象検知部7Aの非検知状態(オフ状態)を、ソレノイド61を通電させるための情報として利用しない。したがって、本実施形態の冷却貯蔵庫1では、使用者の誤動作に基づく扉4の不要な開扉が防止される。
また、本実施形態の場合、制御部100は、第1対象検知部7Aの検知状態(オン状態)が所定時間ta(例えば、0.1秒)以上続いた後、それに続けて検知信号の出力が停止してから非検知状態が所定時間tc(例えば、0.1秒)続くと、第1開扉装置6Aのソレノイド61を通電するように制御し、かつ第1対象検知部7Aの検知状態が所定時間ta未満続いた後(つまり、第1対象検知部7Aの検知状態が所定時間ta未満しか続かなかった場合)、それに続けて検知信号の出力が停止してから非検知状態が所定時間tc続いても、第1開扉装置6Aのソレノイド61を通電しないように制御する。そして、そのような本実施形態において、制御部100は、第1対象検知部7Aの検知状態が検知開始時から所定時間ta以上続いた後、それに続けて検知信号の出力が停止してから非検知状態が所定時間tc未満続いた場合(つまり、第1対象検知部7Aの非検知状態が所定時間tc未満しか続かなかった場合)、それに続く検知状態の時間が検知信号の出力再開時から所定時間ta未満であっても、更にそれに続く非検知状態が再開後の検知信号の出力が停止してから所定時間tc続くと、第1開扉装置6Aのソレノイド61を通電するように制御する。
つまり、本実施形態では、再開後の検知状態は、最初の検知状態の開始時から続くものとして扱われる。そのため、本実施形態では、検知状態の再開後から所定時間taの経過を待たずに、再開後の検知信号の出力が停止しても、その停止により、第2タイマ102を起動させ、かつその停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令として認識させることができる。
次いで、図10を参照しつつ、第1扉4Aを開扉させない場合の非開扉制御について説明する。図10は、第1扉4Aの非開扉制御の内容を示すタイミングチャート図である。ここでは、第1対象検知部7Aの検知状態が続いても、第1扉4Aを開扉させない場合を例に挙げて説明する。図10に示されるように、初期状態において、第1対象検知部7Aはオフ状態(非検知状態)であり、第1開閉検知部8Aはオン状態であり、第1開扉装置6Aが備えるソレノイド61は、オフ状態(非通電状態)となっている。また、第1タイマ101及び第2タイマ102は、それぞれオフ状態となっている。
例えば、使用者が手のひらを第1対象検知部7Aの前方にかざすことにより、第1対象検知部7Aの検知が開始すると、図10に示されるように、第1対象検知部7Aは、検知信号を出力してオン状態(検知状態)となる。第1対象検知部7Aがオン状態になると、制御部100からの指令に基づいて、第1タイマ101が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。本実施形態の場合、第1タイマ101は、上述した場合と同様、予め所定時間tb(例えば、3.0秒)の間、時間を計測するように設定されている。
第1対象検知部7Aのオン状態(検知状態)が、例えば、検知開始から時間t5(ただし、ta≦t5)の間、続いた後、使用者が手のひらを退避させたことにより、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が停止すると、制御部100によって、その停止した時間t5が、所定時間tb以内か否かが判断される。時間t5が、所定時間tb以内でない(所定時間tbを超えている)と判断されると、制御部100は、検知信号の出力の停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令と認識せず、第1開扉装置6Aのソレノイド61を通電させない。このように、本実施形態では、検知状態が所定時間tbを超えると、第1扉4を開扉させる指令を受け付けないように設定されており、第1対象検知部7Aの誤検知(例えば、使用者が、第1扉4Aの開扉を目的とせず、第1対象検知部7Aの前に立っている場合)により、不要に第1扉4Aが開扉することが防止される。
次いで、図11を参照しつつ、第1対象検知部7Aの検出信号が瞬間的に途切れた場合における第1扉4Aの非開扉制御について説明する。図11は、第1対象検知部7Aの検出信号が瞬間的に途切れた場合における第1扉4Aの非開扉制御の内容を示すタイミングチャート図である。図11に示されるように、初期状態において、第1対象検知部7Aはオフ状態(非検知状態)であり、第1開閉検知部8Aはオン状態であり、第1開扉装置6Aが備えるソレノイド61は、オフ状態(非通電状態)となっている。また、第1タイマ101及び第2タイマ102は、それぞれオフ状態となっている。
例えば、使用者が手のひらを第1対象検知部7Aの前方にかざすことにより、第1対象検知部7Aの検知が開始すると、図11に示されるように、第1対象検知部7Aは、検知信号を出力してオン状態(検知状態)となる。第1対象検知部7Aがオン状態になると、制御部100からの指令に基づいて、第1タイマ101が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。第1タイマ101は、上述した場合と同様、予め所定時間tb(例えば、3.0秒)の間、時間を計測するように設定されている。
検知開始から時間t6(ただし、ta≦t6)後において、例えば、使用者の手の位置がずれて、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が停止すると、制御部100によって、先ず、その停止した時間t6が、所定時間tb以内か否かが判断される。時間t6が、所定時間tb以内の場合、制御部100からの指令に基づいて、第2タイマ102が起動してオン状態となり、時間の計測を開始する。第2タイマ102は、予め、所定時間tc(例えば、0.1秒)の間、時間を計測するように設定されている。
図11に示されるように、検知開始から時間t6の後、第1対象検知部7Aのオフ状態(非検知状態)が、時間t7の間続き、そのオフ状態(非検知状態)の後、直ちに第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が再開し、オン状態(検知状態)となっている。
制御部100において、オフ状態(非検知状態)の時間t7が、所定時間tc未満(t7<tc)と判断されると、制御部100は、第2タイマ102が時間を計測してから所定時間tc経過しても、ソレノイド61を通電させない。つまり、第1対象検知部7Aがオン状態となった後、それに続くオフ状態(非検知状態)の時間が非常に短い場合(例えば、非検知状態の時間が、ソレノイド61の通電前の待機時間(所定時間tc)よりも短い場合)、ソレノイド61は通電されない。
その後、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が再開し、オン状態(検知状態)が続いて、最初の検知状態の開始(検知開始)時から、時間t8後において、第1対象検知部7Aからの検知信号の出力が停止すると、制御部100により、その停止した時間t8が、所定時間tb以内か否かが判断される。時間t8が、所定時間tb以内でない(所定時間tbを超えている)と判断されると、制御部100は、再開後の検知信号の出力の停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令と認識せず、第1開扉装置6Aのソレノイド61を通電させない。このように、本実施形態では、検知状態が所定時間tbを超えると、第1扉4を開扉させる指令を受け付けないように設定されている。
以上のように、第1対象検知部7Aの検知状態(オン状態)が所定時間ta以上続いた後、検知信号の出力が停止してから非検知状態(オフ状態)の時間が、所定時間tc未満であると(つまり、検知信号の出力が停止してから非検知状態が所定時間tc未満続くと)、制御部100は、検知信号の出力の停止を、第1扉4Aを開扉させるための指令とは認識せず、ソレノイド61を通電させない。したがって、本実施形態の冷却貯蔵庫1では、使用者の誤動作に基づく扉4の不要な開扉が防止される。
また、本実施形態では、再開後の検知状態は、最初の検知状態の開始時から続くものとして扱われる。そのため、本実施形態では、検知状態が瞬間的に途切れても、第1対象検知部7Aの誤検知を防止する機能が損なわれない。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)他の実施形態の貯蔵庫においては、ブザー等の報知手段を備えてもよい。例えば、対象検知部のオン状態(検知状態)が、検知開始から所定時間ta(例えば、0.1秒)の間、続いた場合、その所定時間taが経過したタイミングで、報知手段を利用して、使用者に、扉の開扉入力がなされたことを、音情報等により報知してもよい。