JP7215867B2 - 動力伝達装置の潤滑構造 - Google Patents
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Description
そして、筐体内部の最上部に潤滑油必要部を供給するために、第1の回転体の回転で掻き上げた潤滑油を油溜まりに溜め、第2の回転体の回転で油溜まりに溜まった潤滑オイルを第2回転体の上部に配置されたキャッチタンクに潤滑オイルを供給し、キャッチタンクから潤滑油必要部に供給するようにしている。
この特許文献1の潤滑構造は、第1の回転体と潤滑油必要部との距離が長い場合であっても、油溜まりに溜まった潤滑油を第2の回転体の回転で潤滑油必要部に順次供給することができ、潤滑油必要部に対する潤滑油の供給量低下を抑制することができる。
動力伝達装置の筐体内部には複数の大小の歯車が噛み合う回転要素列が配置されており、2箇所の潤滑油必要部に対応した2組の油溜まりおよび第2の回転体を配置するのは、筐体内部のレイアウト制約が大きいので不可能である。
そこで、本発明は、筐体内部に潤滑油の供給を必要とする潤滑油必要部が少なくとも2箇所存在する場合であって、筐体内部のレイアウト自由度を高めながら各潤滑油必要部に潤滑油を確実に供給することができる動力伝達装置の潤滑構造を提供することを目的としている。
以下、本発明の一態様に係る第1実施形態の動力伝達装置の潤滑構造について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面において矢印の符号Fは車両前方、符号Bは車両後方、符号Lは車両左方、符号Rは車両右方、符号Uは車両上方、符号Dは車両下方である。
図1は、本発明に係る第1実施形態の車両1を模式的に示したものであり、車両1は、前輪(左の前輪2FLおよび右の前輪2FR)を駆動するフロントユニット3を備えており、エンジンおよびモータジェネレータの駆動力を備えたハイブリッド車両である。
フロントユニット3は、図2に示すように、電動機および発電機として作動するモータジェネレータとしての第1駆動源4Aと、エンジンとしての第2駆動源4Bと、第1駆動源4Aおよび第2駆動源4Bが連結されているトランスミッション5と、トランスミッション5の内部に配置された差動装置6と、を有している。差動装置6から車両左右方向に延びる車軸6a,6bは、左の前輪2FLおよび右の前輪2FRに連結されている。
そして、ハウジング7およびケース8のフランジ7a,8aを、ガスケット(不図示)を間に配置した状態で当接し、フランジ7a,8aに形成したねじ孔に連結ボルト10をねじ込むことで、ハウジング7およびケース8が一体化されて筐体9が形成される。
図4に示すように、トランスミッション5の筐体9には回転要素列11が収納されている。
第3の歯車14は、第5の歯車16に噛み合っており、第5の歯車16の回転軸16aには、第6の歯車17が同軸に固定されており、この第6の歯車17に第1の歯車12が噛み合っている。また、回転軸16aにはパーキング歯車18が固定されている。
図4に示すように、パーキング歯車18には、パーキング機構を構成するパーキングポール19が係合可能に配置されているとともに、パーキングポール19には、パーキングポール19をパーキング歯車18に断接させるパーキングロッド(不図示)の先端に設けたカム20が係合している。
パーキングポール19は、長尺方向の一端に爪21が形成され、長尺方向の他端にカム受け部22が形成され、長尺方向の中央部に貫通孔(不図示)が形成された部材である。
ハウジング7の内壁にはパーキングポール回動軸23が固定されており、このパーキングポール回動軸23をパーキングポール19の貫通孔に挿通して、パーキングポール19をパーキングポール回動軸23回りに回動自在に配置されている。そして、爪21がパーキング歯車18の歯に係合可能に対向し、カム受け部22がカム20の周面に接触している。パーキングポール回動軸23の周囲には、パーキングポール19の爪21がパーキング歯車18の歯から離れる方向にパーキングポール19に対して付勢力を付与するスプリング24が配置されている。
上述した回転要素列11において、第1の歯車12の回転軸12a、第2の歯車13の回転軸13a、第3の歯車14の回転軸14a、第4の歯車15の回転軸15a、第4の歯車15の回転軸16aは、ハウジング7およびケース8の内壁に配置したベアリング(不図示)により筐体9に回転自在に支持されている。
図4に示すように、ハウジング7およびケース8で構成される筐体9内部の収容空間の底部には、回転軸12aより低い位置まで第1の歯車12を浸している潤滑油OLが溜まっている。
第1駆動源4A、或いは第2駆動源4Bの回転力が伝達されることで第1の歯車12が矢印方向に回転すると、後述する潤滑構造によって、筐体9に溜まっている潤滑油OLが掻き上げられて回転軸12a、回転軸14a、回転軸16aを支持しているベアリングに潤滑油が供給される。
この第1のベアリング室25より車両後方B側のハウジング7の内壁上部には、第5の歯車16の回転軸16aを回転自在に支持するベアリングを装着する環状溝形状の第2のベアリング室26が形成されている。この第2のベアリング室26の一部の溝が切り欠かかれて車両上方U側に延在する第2油通路26aが形成されている。
ハウジング7の車両上方Uのフランジ7aには、潤滑油導入路27により車両上方Uに導かれてきた潤滑油OLの流れを変える油分岐点28と、油分岐点28より車両前方Fに設けられており、車両前方Fに向うに従い車両上方Uに傾斜する第1油案内部29が形成されている。
また、図5および図7に示すように、ハウジング7の内壁上部には、第2油案内部30に対して車両下方D側で対向する平面とされ、第2油案内部30から滴下した潤滑油OLを受ける第1油受け部31と、第1油受け部31から流れた潤滑油OLをケース8側に案内する油下方案内部32が形成されている。この油下方案内部32を形成したハウジング7の内壁上部には、パーキング機構のパーキングロッド及びカム20が配置されている。
一方、図6に示すように、ケース8の内壁下部には、第1の歯車12の回転軸12aを回転自在に支持するベアリングを装着する環状溝形状の第3のベアリング室33が形成されている。
この第3のベアリング室33に対して車両上方Uのケース8の内壁には、図6および図7に示すように、ハウジング7の内壁に形成した油下方案内部32から流れてきた潤滑油OLを受ける第2油受け部34が形成され、第2油受け部34の最も下側に傾斜している位置と、第3のベアリング室33の一部が連通して第3油通路33aが形成されている。
第3のベアリング室33に対して車両前方F側に位置し、第2油受け部34より車両下方位置には、第5の歯車16の掻き上げ又は油貯留室から溢れた潤滑油OLを受ける樋形状の第3油受け部35が形成されている。第3油受け部35は、第3のベアリング室33に向かって下り傾斜を付けて形成されており、第3のベアリング室33の一部と連通して第4油通路35aが形成されている。
第1の歯車12が回転すると、図5に示すように、筐体9内部の底部に溜まっている潤滑油OLが掻き上げられ、油導入路27に沿って車両上方Uに流れていく(図5の符号OF1)。
油導入路27に沿って車両上方Uに流れた潤滑油OLは、油分岐点28で流れを変えて第1油案内部29(符号OF2)および第2油案内部30(符号OF3)の2方向に流れが分かれる。
第1油案内部29に沿って車両前方Fに向う車両上方Uに傾斜して流れた潤滑油OLは、第1油通路25aから第1のベアリング室25、第2油通路26aから第2のベアリング室26に流れていくとともに、ハウジング上部の油受けで潤滑油を受け車両前方F方向および車両左方向Lに潤滑油を供給する。
第1油受け部31に一時的に溜まった潤滑油OLは、図7に示すように、油下方案内部32に沿って車両下方D側に流れていき(図7の符号OF4)、油下方案内部32の最下部からケース8に向けて流れていき、第2油受け部34において一時的に溜まっていく(図7の符号OF5)。
また、ハウジング7の油下方案内部32は、パーキング機構のパーキングポール19を配置するための収納空間を形成している内壁を利用しているので、広いスペースで大量の潤滑油OLを一時的に溜めることが可能な油下方案内部32を形成することができる。
さらに、ハウジング7の油下方案内部32からケース8に向けて流れた潤滑油OLは、第2油受け部34に溜まりながら第3油通路33aから第3のベアリング室33に流れていくとともに、第2油受け部34に大量に溜まって溢れ出た潤滑油OLは第3油受け部35に流れていき、第4油通路35aから第3のベアリング室33に流れていくので、第3のベアリング室33に十分な量の潤滑油OLを供給することができる。
2FL,2FR,2BL,2FR 車輪
3 フロントユニット
4A 第1駆動源
4B 第2駆動源
5 トランスミッション
6 差動装置
6a,6b 車軸
7 ハウジング
7a フランジ
8 ケース
8a フランジ
9 筐体
10 連結ボルト
11 回転要素列
12 第1の歯車
12a 回転軸
13 第2の歯車
13a 回転軸
14 第3の歯車
14a 回転軸
15 第4の歯車
16 第5の歯車
16a 回転軸
17 第6の歯車
18 パーキング歯車
19 パーキングポール
20 カム
21 爪
22 カム受け部
23 パーキングポール回動軸
24 スプリング
25 第1のベアリング室
25a 第1油通路
26 第2のベアリング室
26a 第2油通路
27 油導入路
28 油分岐点
29 第1油案内部
30 第2油案内部
31 第1油受け部
32 油下方案内部
33 第3のベアリング室
33a 第3油通路
34 第2油受け部
35 第3油受け部
35a 第4油通路
Claims (3)
- ハウジングおよびケースのフランジ同士を突き合わせることで形成した筐体の内部に、複数の歯車が噛み合う回転要素列が収納され、前記回転要素列は、最も下部に第1歯車が配置され、前記第1歯車に対して上方に第2歯車が配置されており、前記第1歯車が、前記筐体の内部の底部に溜まった潤滑油を掻き上げることで、前記第1歯車の第1回転軸を回転自在に支持する第1ベアリングを配置するための前記ケースに形成した第1ベアリング室と、前記第2歯車の第2回転軸を回転自在に支持する第2ベアリングを配置するための前記ハウジングに形成した第2ベアリング室とに、前記潤滑油を供給する動力伝達装置の潤滑構造であって、
前記ハウジングの内壁には、
前記第1歯車で掻き上げた前記潤滑油を上方に導く油導入路と、
前記油導入路から上方に導かれた前記潤滑油の流れを変更する油分岐点と、
前記油分岐点を通過した後の前記潤滑油の一部を斜め上方に案内する第1油案内部と、
前記第1油案内部に案内した前記潤滑油を前記第2ベアリング室に導くハウジング側油通路と、
前記油分岐点を通過した後の前記潤滑油の一部を受けて前記第1油案内部の案内方向に対して斜め下方に流す第2油案内部と、
前記第2油案内部に流れて滴下した前記潤滑油を前記ケース側に供給するハウジング側案内部と、が形成されており、
前記ケースの内壁には、
前記ハウジング側案内部から流れてきた前記潤滑油を受ける第2油受け部と、
前記第2油受け部から流れてきた前記潤滑油を前記第1ベアリング室に流す第1ケース側油通路と、が形成されていることを特徴とする動力伝達装置の潤滑構造。 - 前記ケースの内壁には、前記第2油受け部の下方に設けられて前記第2油受け部から溢れ出た潤滑油を受ける第3油受け部と、前記第3油受け部で受けた前記潤滑油を前記第1ベアリング室に流す第2ケース側油通路と、が形成されていることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置の潤滑構造。
- 前記ハウジング側案内部は、パーキング機構を収納している前記ハウジングの内壁に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力伝達装置の潤滑構造。
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