JP7215715B2 - 注入装置 - Google Patents
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Description
この混合注出装置は、フレームにそれぞれ支持した主剤タンクおよび硬化剤タンクと、主剤タンクにサクション側ホースを介して接続された主剤側のピストンポンプと、硬化剤にサクション側ホースを介して接続された硬化剤側のピストンポンプと、両ピストンポンプを同時に作動させる操作レバーと、一対の送出ホースを介して両ピストンポンプのデリベリー側に接続された混合部付きのノズルと、を備えている。両ピストンポンプは、それぞれ下端部をフレームに傾斜自在に取り付けられ、上端部でロッド連結ポイントを介して操作レバーに連結されている。また、操作レバーの先端部は、連結ピンを介してフレームにヒンジ連結されている。
連結ピンを中心に操作レバーを上下作動させ、各ピストンポンプのシリンダーに対しピストンを往復動させると、それぞれの送出ホースを介して主剤および硬化剤が混合部に供給され、ここで混合されてノズルから吐出される。
このレバー式グリースガンは、注入物のチューブを収容する外筒と、外筒に取り付けられ、シリンダー室およびプランジャーを有するキャップと、キャップに取り付けられた注油口金と、キャップに揺動可能に取り付けられたリンクと、プランジャーおよびリンクにそれぞれ揺動可能に取り付けられたレバーと、を備えている。そして、キャップのシリンダー室とチューブ接続口とが連通し、且つシリンダー室と注油口金接続口とが連通している。また、注油口金接続口側の流路には、逆止弁が介設されている。
レバーを操作してプランジャーを引くと、チューブ内の注入物がシリンダー室に吸引され、続いてプランジャーを押すと、シリンダー室の注入物がチューブ接続口を介して注油口金から吐出される。
例えば、特許文献2におけるこの微小な揺動は、レバーを引く動作では、復動するプランジャーの先端をシリンダーの後壁に押し付けるように作用し、レバーを押す動作では、往動するプランジャーの先端をシリンダーの前壁に押し付けるように作用する。注入物がエポキシ樹脂の場合には、プランジャーとシリンダーとの間に入り込んだエポキシ樹脂が潤滑剤として機能し、シリンダーの往復動(摺動)が円滑に行われる。しかし、後述するように、注入物がセメントスラリーの場合には、シリンダーの往復動(摺動)が円滑に行われなくなる問題がある。
セメントスラリーは、微粒子のセメントに水を混合したものであり、親水性があり、また硬化後は、熱膨張係数、強度、弾性係数等においてコンクリートと同等であり、しかも火災に強いため、エポキシ樹脂に対し優位性を有している。
注入物がセメントスラリーの場合には、微小な揺動に合わせてプランジャーとシリンダーとの間(特に、狭くなる先端部と基端部)にセメントスラリーの微粒子が噛み込む形となり、シリンダーの往復動(摺動)が円滑に行われなくなる問題があった。すなわち、従来の往復ポンプ機構によりセメントスラリーを注入しようとすると、数度のポンピング(操作レバー回動操作)からレバー操作が徐々に重くなり、最終的にレバー操作が不可能となってしまう問題があった。そして、このことが、道路や橋梁等の大規模な補修工事を除き、セメントスラリーがほとんど用いられない主たる原因となっていた。
また、先端側の環状シール材により、ポンプとしての機能が発揮される。さらに、基端側の環状シール材により、非摺接状態となるプランジャー部とシリンダー部との基端側の間隙に対し、セメントスラリーの侵入が抑制される。これにより、ポンプ機能を損なうことなく、シリンダー部とプランジャー部との間の摺動抵抗を低減させることができる。
なお、「掻き出すように進む形状」とは、例えばシリンダー部の内周面に接触し状態(単なる接触)の環状シール材において、その径方向外周部の角部が断面直角或いは断面鋭角となる形状である。また、吸込口および吐出口は、シリンダー部の周面および先端部にそれぞれ設けられるものであってもよいし、シリンダー部の二股の先端部に逆止弁付きでそれぞれ設けられるものであってもよい。
なお、基端側の環状シール材を挟持する一対の装着挟持部は、一方が基端部プランジャーに他方が中間部プランジャーに形成され、先端側の環状シール材を挟持する一対の装着挟持部は、一方が中間部プランジャーに他方が先端部プランジャーに形成されていることが好ましい。また、基端側の環状シール材を支持する装着軸部は、基端部プランジャーおよび中間部プランジャーのいずれか一方に形成され、先端側の環状シール材を支持する装着軸部は、中間部プランジャーおよび先端部プランジャーのいずれか一方に形成されていることが好ましい。
また、プランジャー本体と共に基端側の環状シール材が往動すると、連通孔を介してシリンダー本体にエアーが流入し、復動すると、連通孔を介してシリンダー本体からエアーが流出する。すなわち、連通孔が通気口として機能する。このため、環状シール材を設けることによるプランジャー本体の無駄な往復動負荷を軽減することができる。
図1は、第1実施形態に係る注入装置の側面視外観図であり、図2および図3は、それぞれ注入装置における要部の構造図および平面図である。これらの図に示すように、この注入装置10は、手動式のものであり、セメントスラリーを加圧状態で貯留するスラリー貯留部11と、スラリー貯留部11が着脱自在に装着される往復ポンプ部12と、往復ポンプ部12を作動させるための操作レバー14を有するポンピング機構部13と、を備えている。
次に、図6を参照して、環状シール材73A,73Bの変形例について簡単に説明する。
図6(a)は、第1変形例に係る環状シール材73A,73Bを表している。この環状シール材73A,73Bでは、径方向外周部73abの両角部位が外側に広がって断面が鋭角に形成されている。この断面略方形の環状シール材73A,73Bでは、シリンダー本体51の内周面に摺接するときに、セメントスラリーを掻き出すように作用する。このため、シリンダー本体51と環状シール材73A,73Bとの間において、セメントスラリーの噛み込みが抑制され、摺動抵抗が低減する。
ここで、図7を参照して、第2実施形態に係る注入装置10Aについて説明する。この実施形態では、ポンピング機構部13Aが、いわゆるリンク機構で構成され、プランジャー部24を直接、往復直線運動させる構造になっている。すなわち、このポンピング機構部13Aは、プランジャー部24との連結部をプランジャー部24と同軸上において往復直線運動させる、パンタグラフの機構(直線運動機構)で構成されている。
図8は、第2実施形態の変形例に係る注入装置10Aを表している。この変形例では、固定ガイド106に対し、上記の第6回転対偶116が回動自在に支持される一方、第3回転対偶113が回動自在に且つスライド自在に支持されている。この場合も、第3回転対偶113、第6回転対偶116および第1回転対偶111が直線上に位置している。そして、第3回転対偶113が係合するスライドガイド119は、プランジャー部24の往復動方向に平行となるように形成されている。この場合には、第3回転対偶113がパンタグラフにおける追跡点を、第1回転対偶111がパンタグラフにおける描点を構成することとなる。
次に、図9を参照して、第3実施形態に係る注入装置10Bについて説明する。この実施形態でも、ポンピング機構部13Bが、プランジャー部24を直接、往復直線運動させる構造になっている。すなわち、このポンピング機構部13Bは、プランジャー部24との連結部をプランジャー部24と同軸上において往復直線運動させる、スコットラッセルの機構(直線運動機構)で構成されている。
次に、図10を参照して、第4実施形態に係る注入装置10Cについて説明する。この実施形態でも、ポンピング機構部13Cが、プランジャー部24を直接、往復直線運動させる構造になっている。第4実施形態のポンピング機構部13Cでは、ギヤとリンクとを組み合わせて、プランジャー部24との連結部をプランジャー部24と同軸上において往復直線運動させる、直線運動機構が構成されている。
Claims (10)
- セメントスラリーを対象物に注入するための注入装置であって、
シリンダー部に対し往復動するプランジャー部の、復動により吸込口から吸い込んだ前記セメントスラリーを往動により吐出口から吐出する往復ポンプ部を備え、
前記プランジャー部は、前記シリンダー部に対し非摺接状態で往復動するプランジャー本体と、軸方向に相互に離間して前記プランジャー本体に装着され、往復動に際し前記シリンダー部に摺接する2つの環状シール材と、を有し、
前記各環状シール材の径方向外周部は、往復動に際し、前記シリンダー部の内周面に付着した前記セメントスラリーを掻き出すように進む形状に形成され、
前記吸込口は前記シリンダー部の周面に形成され、且つ前記吐出口は前記シリンダー部の先端部に形成され、
先端側の前記環状シール材は、前記吸込口を含む領域において往復動し、基端側の前記環状シール材は、前記吸込口よりも基端側の領域において往復動することを特徴とする注入装置。 - 前記各環状シール材は、断面方形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注入装置。
- 前記各環状シール材は、硬度ショアA45度~90度のゴム材で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の注入装置。
- 前記プランジャー部は、前記プランジャー本体に設けられ、前記各環状シール材が装着される2つのシール装着部を、有し、
前記各シール装着部は、前記環状シール材を支持する装着軸部と、軸方向において前記環状シール材を挟持すると共に、摺動に伴う前記環状シール材の前記径方向外周部における軸方向の変形を許容する一対の装着挟持部と、を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の注入装置。 - 前記プランジャー本体は、2つの前記シール装着部を境に別体で構成された、基端部プランジャー、中間部プランジャーおよび先端部プランジャーを含み、
前記中間部プランジャーは、基端側の前記環状シール材を装着した状態で前記基端部プランジャーにネジ止めされ、
前記先端部プランジャーは、先端側の前記環状シール材を装着した状態で前記中間部プランジャーにネジ止めされていることを特徴とする請求項4に記載の注入装置。 - 前記シリンダー部は、前記吸込口が形成された内周面側の吸込口形成縁部が面取り形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注入装置。
- 前記シリンダー部は、前記プランジャー本体に対応するシリンダー本体と、前記シリンダー本体の基端から軸方向に延長された直動ガイド部と、を有し、
前記プランジャー部は、前記プランジャー本体の基端から軸方向に延長され、前記直動ガイド部に摺接する直動被ガイド部を、更に有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の注入装置。 - 前記シリンダー本体の前記直動ガイド部側の基端部には、前記シリンダー本体の内部と外部とを連通する連通孔が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の注入装置。
- 操作レバーを有し、前記操作レバーによる回動運動を前記プランジャー部の往復運動に変換するポンピング機構部を、更に備え、
前記ポンピング機構部は、レバー本体および前記レバー本体から延びるプランジャー作動部を含む前記操作レバーと、前記プランジャー作動部と前記直動被ガイド部とを回動自在に連結するガイドピンと、前記シリンダー部に設けられ、前記プランジャー作動部を先端部で回動自在に支持する支持片と、を有し、
前記プランジャー作動部は、前記ガイドピンを両持ちで且つ延在方向にスライド自在に支持していることを特徴とする請求項7または8に記載の注入装置。 - 操作レバーと、前記操作レバーによる回動運動を前記プランジャー部の往復運動に変換するポンピング機構部と、を更に備え、
前記ポンピング機構部は、前記プランジャー部との連結部を前記プランジャー部と同軸上において往復運動させる直線運動機構で構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の注入装置。
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