JP7215633B1 - 橋梁架け替え装置および橋梁架け替え工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】新設上部構造60の下方に位置して、新設上部構造60に支持される下方設備部20と、新設上部構造60の上方に位置して、新設上部構造60に支持される上方設備部30と、を有してなり、下方設備部20は、既設上部構造60から切断分離して撤去する撤去ブロックを、新設上部構造60の橋軸直角方向外側に移動させる第1の横移動手段を備えており、上方設備部30は、前記撤去ブロックを新設上部構造60よりも上方の高さ位置に吊り上げる吊り上げ手段32、および前記撤去ブロックを橋軸直角方向に移動させて新設上部構造60の上方に移動させる第2の横移動手段を備えている。
【選択図】図1
Description
図1~図5は本発明の実施形態に係る橋梁架け替え装置10を見る角度を変えて描いた斜視図であり、図6~図8は、本発明の実施形態に係る橋梁架け替え装置10によって既設上部構造50の撤去ブロックを撤去している状況のうち代表的な状況を模式的に描いた鉛直断面図(橋軸方向から見た鉛直断面図)である(図6および図7における撤去ブロックはフランジ部である撤去ブロック50Aであり、図8における撤去ブロックはウェブ部である撤去ブロック50Bである。)。図9は、本発明の実施形態に係る橋梁架け替え装置10を適用する前提となる状態(橋梁100の撤去対象の既設上部構造50の上方に、該既設上部構造50の延びる方向に沿って、架け替えのための新設上部構造60が仮設された状態)を模式的に示す側面図(橋梁100の橋軸直角方向から見た側面図)である。図7では、撤去ブロック50A、連結桁26および上部15t電動チェーンブロック32については吊り上げ前後の両方の状態を描いているが、吊り上げ前の状態の部材や機器を指す指示線を2点鎖線で描いている。本願の他の図面においても、部材や機器について移動前後の両方の状態を描いている場合があるが、そのような部材や機器については、移動前の状態のものを指す指示線を2点鎖線で描くようにしている。
本発明の実施形態に係る橋梁架け替え工法は、前述した本発明の実施形態に係る橋梁架け替え装置10を用いて好適に実施することができるので、ここでは、橋梁架け替え装置10を用いて実施する場合について、本実施形態に係る橋梁架け替え工法を説明する。
(ステップa1)
図9に示すように、新設上部構造60の長手方向両端部に仮設桁70を連結し、その仮設桁70を下方から支保工72で支持するとともに、既設上部構造50と新設上部構造60の間の空間のうち、既設橋脚80の上方の空間に支保工74を設けて、新設上部構造60を、支保工72、74および仮設桁70を介して既設上部構造50の上方に仮設する。
前記ステップa1で新設上部構造60を既設上部構造50の上方に仮設した後、図10に示すように、各径間に1つずつ橋梁架け替え装置10を配置するが、既設上部構造50の両端部の撤去支承部50Yは、直下に既設橋台82が存在するため、橋梁架け替え装置10を用いての撤去が難しい一方、橋梁100に接続する道路上からアクセスできるので、橋梁架け替え装置10を用いなくても撤去することは容易である。したがって、本ステップa2では、各径間に1つずつ橋梁架け替え装置10を配置するとともに、橋梁100に接続する道路上からアクセスして、橋梁架け替え装置10を用いずに既設上部構造50の両端部の撤去支承部50Yを撤去する。撤去ブロック50Xは、撤去支承部50Yの部位および既設橋脚80上方の部位以外の既設上部構造50の部位であり、橋梁架け替え装置10を用いて撤去を行う。
本ステップa3および次のステップa4では、既設上部構造50の撤去ブロック50Xの撤去を行うが、本ステップa3では、図11に示すように、既設橋脚80のうちの既設橋脚P2、P4、P6に隣接する径間のうち、既設橋脚P2、P4、P6それぞれから近い側の半分の径間について、撤去ブロック50Xの撤去を行う。撤去ブロック50Xの撤去では、建設時の架設の順番とは逆の順番で撤去を進めるので、径間中央部に近い方から順に撤去ブロック50Xの撤去を進める。既設橋脚P2に隣接する径間について言えば、P1-P2径間の中央部およびP2-P3径間の中央部から既設橋脚P2に向かう方向に撤去ブロック50Xの撤去を進め、既設橋脚P4に隣接する径間について言えば、P3-P4径間の中央部およびP4-P5径間の中央部から既設橋脚P4に向かう方向に撤去ブロック50Xの撤去を進め、既設橋脚P6に隣接する径間について言えば、P5-P6径間の中央部およびP6-P7径間の中央部から既設橋脚P6に向かう方向に撤去ブロック50Xの撤去を進める。ただし、新設上部構造60を支持する支保工74を支持している既設上部構造50の部位(既設橋脚80の上方に位置する既設上部構造50の部位)は、既設橋脚80上に残しておく。
本ステップa4では、図12に示すように、既設橋脚80のうちの既設橋脚P3、P5に隣接する径間のうち、既設橋脚P3、P5それぞれから近い側の半分の径間について、撤去ブロック50Xの撤去を行い、既設橋脚P1に隣接する径間のうち、P1-P2径間のP1側の半分の径間およびA1-P1径間について、撤去ブロック50Xの撤去を行い、既設橋脚P7に隣接する径間のうち、P6-P7径間のP7側の半分の径間およびA2-P7径間について、撤去ブロック50Xの撤去を行う。撤去ブロック50Xの撤去では、前記ステップa3と同様に、建設時の架設の順番とは逆の順番で撤去を進める。既設橋脚P1に隣接する径間について言えば、P1-P2径間の中央部から既設橋脚P1に向かう方向および既設橋台A1に近い側から既設橋脚P1に向かう方向に撤去ブロック50Xの撤去を進め、既設橋脚P3に隣接する径間について言えば、P2-P3径間の中央部およびP3-P4径間の中央部から既設橋脚P3に向かう方向に撤去ブロック50Xの撤去を進め、既設橋脚P5に隣接する径間について言えば、P4-P5径間の中央部およびP5-P6径間の中央部から既設橋脚P5に向かう方向に撤去ブロック50Xの撤去を進め、既設橋脚P7に隣接する径間について言えば、P6-P7径間の中央部から既設橋脚P7に向かう方向および既設橋台A2に近い側から既設橋脚P7に向かう方向に撤去ブロック50Xの撤去を進める。ただし、新設上部構造60を支持する支保工74を支持している既設上部構造50の部位(既設橋脚80の上方に位置する既設上部構造50の部位)は、既設橋脚80上に残しておく。
本ステップa5では、既設橋脚80上に残しておいた既設上部構造50の部位を撤去して、図13に示すように、既設橋脚80および既設橋台82上に新設上部構造60をジャッキダウンする。具体的なジャッキダウンの方法例については後述する。
(ステップb1)
撤去ブロック50Aの既設上部構造50からの切り出し作業を行う前に、図14に示すように、連結桁26を撤去ブロック50Aの上面に固定し、固定した連結桁26に、下部10t手動チェーンブロック22の下部に吊り下げられた下部吊り桁28をボルトで連結して、撤去ブロック50Aへの玉掛けを行う。切り出し時の撤去ブロック50Aの落下を確実に防止するために、下部10t手動チェーンブロック22による撤去ブロック50Aへの玉掛けがなされた状態で、撤去ブロック50Aの切り出しを行う。下部吊り桁28の長手方向は橋軸方向であり、連結桁26の長手方向は橋軸直角方向である。連結桁26には例えばツーウェブタイプの鋼材を用いることができ、この場合、連結桁26の撤去ブロック50Aの上面への固定は、例えば棒状鋼材を撤去ブロック50Aの厚さ方向および連結桁26の高さ方向に貫通させて、撤去ブロック50Aの下面と連結桁26の上面において当該棒状鋼材をナット等で固定することにより行うことができる。
前記ステップb1の撤去ブロック50Aの切り出し作業が完了したら、図15に示すように、連結桁26および下部吊り桁28を介して、下部10t手動チェーンブロック22により撤去ブロック50Aを所定の高さ位置(新設上部構造60の橋軸直角方向外側に横移動させる際に他の部材等と干渉しない高さ位置)まで吊り上げる。
前記ステップb2で下部10t手動チェーンブロック22により撤去ブロック50Aを所定の高さ位置まで吊り上げた後、図16に示すように、下部トロリ24を新設上部構造60の橋軸直角方向外側に横移動させて、撤去ブロック50Aを、新設上部構造60の橋軸直角方向外側の地点である、上部15t電動チェーンブロック32の直下まで横移動させる。
図17に示すように、上部トロリ36を新設上部構造60の橋軸直角方向外側の地点に位置する上部15t電動チェーンブロック32付近まで横移動させる。2本の上部トロリ用レール30B2それぞれに2つずつ配置された上部トロリ36のうちの片方ずつは上部15t電動チェーンブロック32よりも、橋軸直角方向外側の地点まで横移動させる。
図18に示すように、上部15t電動チェーンブロック32の下端部のフック32Aを撤去ブロック50Aの上面付近まで下降させ、下降させたフック32Aに連結された連結具32Bを、撤去ブロック50Aの上面に固定された連結桁26に係合させ、上部15t電動チェーンブロック32による撤去ブロック50Aへの玉掛けをする。
撤去ブロック50Aの上面に固定された連結桁26にボルトで連結されていた下部吊り桁28から該ボルトを取り外し、下部10t手動チェーンブロック22の撤去ブロック50Aへの玉掛けを解体して、図19に示すように、下部10t手動チェーンブロック22から上部15t電動チェーンブロック32に吊り替えを行う。その後、下部トロリ24を、撤去ブロック50Aに対して左右に逃がし、次のステップb7で吊り上げる撤去ブロック50Aと干渉しないようにする。
図20に示すように、上部15t電動チェーンブロック32で撤去ブロック50Aを新設上部構造60よりも上方の所定の高さ位置まで吊り上げる。
上部10t手動チェーンブロック34の下部に吊り下げられた上部吊り桁38を、図21に示すように、撤去ブロック50Aの上面に固定された連結桁26にボルトで連結させて、上部10t手動チェーンブロック34による撤去ブロック50Aへの玉掛けを行う。
上部15t電動チェーンブロック32の下端部のフック32Aに連結された連結具32Bと連結桁26との係合を解除し、図22に示すように、撤去ブロック50Aを上部15t電動チェーンブロック32から上部10t手動チェーンブロック34に吊り替える。この吊り替え作業の過程で、撤去ブロック50Aを上部10t手動チェーンブロック34により所定の高さ位置まで吊り上げて、撤去ブロック50Aを新設上部構造60の上方(台車64の上方)に横移動させても、撤去ブロック50Aが他の部材等と干渉しないようにする。
図23に示すように、上部トロリ36を片持ち張出部30B1から本体部30Aの中央部へと横移動させて、撤去ブロック50Aを新設上部構造60上の台車64の上方に横移動させる。
図24に示すように、上部10t手動チェーンブロック34により撤去ブロック50Aを下降させて、撤去ブロック50Aを台車64に載置する。そして、撤去ブロック50Aの上面に固定された連結桁26にボルトで連結されていた上部吊り桁38から該ボルトを取り外し、上部10t手動チェーンブロック34の撤去ブロック50Aへの玉掛けを解体する。その後、撤去ブロック50Aが載置された台車64を新設上部構造60上のレール62に沿って移動させて、撤去ブロック50Aを外部に搬出する。
(ステップc1)
撤去ブロック50Bの既設上部構造50からの切り出し作業を行う前に、図25に示すように、連結桁26を撤去ブロック50Bの上面に貫通棒状鋼材およびナットで固定し、固定した連結桁26に、下部10t手動チェーンブロック22の下部に吊り下げられた下部吊り桁28をボルトで連結して、撤去ブロック50Bへの玉掛けを行う。切り出し時の撤去ブロック50Bの落下を確実に防止するために、下部10t手動チェーンブロック22による撤去ブロック50Bへの玉掛けがなされた状態で、撤去ブロック50Bの切り出しを行う。下部吊り桁28の長手方向は橋軸方向であり、連結桁26の長手方向は橋軸直角方向である。
前記ステップc1で撤去ブロック50Bを既設上部構造50から切り出した後、図26に示すように、下部トロリ24を新設上部構造60の橋軸直角方向外側に横移動させて、撤去ブロック50Bを、新設上部構造60の橋軸直角方向外側の地点である、上部15t電動チェーンブロック32の直下まで横移動させる。
図27に示すように、上部トロリ36を新設上部構造60の橋軸直角方向外側の地点に位置する上部15t電動チェーンブロック32側へ横移動させる。2本の上部トロリ用レール30B2それぞれに2つずつ配置された上部トロリ36のうちの片方ずつは上部15t電動チェーンブロック32とクレビスジャッキ40との間の地点に配置する。
図28に示すように、上部15t電動チェーンブロック32のフック32Aを撤去ブロック50Bの上面付近の位置まで下降させ、下降させたフック32Aに連結された連結具32Bを、撤去ブロック50Bの上面に固定された連結桁26に係合させ、玉掛けをする。
撤去ブロック50Bの上面に固定された連結桁26にボルトで連結されていた下部吊り桁28から該ボルトを取り外し、下部10t手動チェーンブロック22の撤去ブロック50Bへの玉掛けを解体して、図29に示すように、下部10t手動チェーンブロック22から上部15t電動チェーンブロック32に吊り替えを行う。その後、下部トロリ24を、撤去ブロック50Bに対して左右に逃がし、次のステップc6で吊り上げる撤去ブロック50Bと干渉しないようにする。
図30に示すように、上部15t電動チェーンブロック32で撤去ブロック50Bを新設上部構造60よりも上方の所定の高さ位置まで吊り上げる。
前記ステップc6で新設上部構造60よりも上方の所定の高さ位置まで撤去ブロック50Bを吊り上げた後、吊り上げた撤去ブロック50Bの下部に、図31に示すように、連結具50B1をアンカーボルトで取り付け、取り付けた連結具50B1にクレビスジャッキ40の下端部を係合させる。
クレビスジャッキ40を収縮させるとともに、それに合わせて上部15t電動チェーンブロック32の下端部のフック32Aを下降させ、図32に示すように、撤去ブロック50Bを横倒しにする。
上部10t手動チェーンブロック34の下端部に吊り下げられた上部吊り桁38を、図33に示すように、前記ステップc8で横倒しにした撤去ブロック50Bのウェブ部の上面(図33の状態における上面)に、アンカーボルトで取り付け、上部10t手動チェーンブロック34による撤去ブロック50Bへの玉掛けを行う。
上部15t電動チェーンブロック32の下端部のフック32Aに連結された連結具32Bと連結桁26との係合を解除して、上部15t電動チェーンブロック32による撤去ブロック50Bへの玉掛けを解体するとともに、クレビスジャッキ40の下端部と連結具50B1との係合を解除して、図34に示すように、撤去ブロック50Bを上部15t電動チェーンブロック32から上部10t手動チェーンブロック34に吊り替える。この吊り替え作業の過程で、撤去ブロック50Bを上部10t手動チェーンブロック34により所定の高さ位置まで吊り下げて、撤去ブロック50Bを新設上部構造60の上方(台車64の上方)に横移動させても、撤去ブロック50Bが他の部材等と干渉しないようにする。
図35に示すように、上部トロリ36を片持ち張出部30B1から本体部30Aの中央部へと横移動させて、撤去ブロック50Bを新設上部構造60上の台車64の上方に横移動させる。
図36に示すように、上部10t手動チェーンブロック34により撤去ブロック50Bを下降させて、撤去ブロック50Bを台車64に載置する。そして、撤去ブロック50Bのウェブ部の上面に固定された上部吊り桁38を取り外し、上部10t手動チェーンブロック34の撤去ブロック50Bへの玉掛けを解体する。その後、撤去ブロック50Bが載置された台車64を新設上部構造60上のレール62に沿って移動させて、撤去ブロック50Bを外部に搬出する。
図9~図13に示すように、新設上部構造60は8径間連続箱桁であり、桁長が長くなっているため、長手方向の両端部に連結された仮設桁70の下方に支保工72を設けているだけでなく、既設上部構造50と新設上部構造60の間の空間のうち、既設橋脚80の上方の空間に支保工74を設けており、新設上部構造60は、支保工72、74および仮設桁70を介して既設上部構造50の上方に仮設されている。このため、既設橋脚80上の既設上部構造50の部位は、支保工74に新設上部構造60の荷重を負担させたままの状態で撤去するか、支保工74が負担していた新設上部構造60の荷重を何らかの方法で肩代わりして、支保工74を撤去してから既設橋脚80上の既設上部構造50の部位を撤去する必要がある。ここでは、支保工74に新設上部構造60の荷重を負担させたままの状態で、既設橋脚80上の既設上部構造50の部位を撤去する方法について、図37~図42を用いて説明する。図37~図42は、前記の撤去の際の工程の具体的な工程を模式的に示す側面図(既設橋脚80の上方の領域を橋軸直角方向から見た側面図)である。図37~図42に示すように、支保工74は、サンドル74Aの下方にジャッキ(第1ジャッキ74B、第2ジャッキ74C)が配置されて構成されている。また、図37~図42においては、支保工74のジャッキとして、第1ジャッキ74Bおよび第2ジャッキ74Cを1つずつ記載しているが、通常の場合、第1ジャッキ74Bおよび第2ジャッキ74Cはどちらも、既設上部構造50の上面に橋軸直角方向に隣り合うように複数配置されており、具体的に言えば、図37~図42において、既設橋脚80の左側の径間に近い側の既設上部構造50の上面には第1ジャッキ74Bが橋軸直角方向に隣り合うように複数配置されており、既設橋脚80の右側の径間に近い側の既設上部構造50の上面には第2ジャッキ74Cが橋軸直角方向に隣り合うように複数配置されている。なお、新設上部構造60が単径間のみを架け渡す単純桁の場合は、以下に説明する撤去方法は行う必要はない。また、連続桁であっても桁長が短く、仮設された新設上部構造60が、既設橋脚80の上方の既設上部構造50上に配置された支保工74から支持を受けることが不要な場合には、以下に説明する撤去方法は行う必要はなく、既設橋脚80の上方の既設上部構造50の部位であっても、本発明の実施形態に係る橋梁架け替え装置10を用いて撤去可能である。ただし、この場合、下方設備部20の足場部20Bが既設橋脚80と干渉しないように足場部20Bの一部を解体して、既設橋脚80の上方に橋梁架け替え装置10を配置した後、足場部20Bを既設橋脚80と干渉しないように組み立て直すことが必要になる場合がある。
図37に示すように、第1ジャッキ74Bを収縮させて、第2ジャッキ74Cのみで新設上部構造60を支持した状態で、既設橋脚80の左側の径間に近い側の既設上部構造50の上端部の半分の領域である第1はつり撤去部50C1をはつる。はつる高さ(第1はつり撤去部50C1の高さ)は、残り半分の領域(既設橋脚80の右側の径間に近い側の既設上部構造50の上端部の半分の領域である第2はつり撤去部50C2(図39参照))を撤去するときに、第1ジャッキ74Bを伸長させて支持できる高さを目安にする。第1はつり撤去部50C1をはつり撤去した後の状態を、図38に模式的に示す。
図39に示すように、第1ジャッキ74Bを伸長させて、第1ジャッキ74Bのみで新設上部構造60を支持した状態で、既設橋脚80の右側の径間に近い側の既設上部構造50の上端部の半分の領域である第2はつり撤去部50C2をはつる。第2はつり撤去部50C2をはつる際の支障とならないように、第2ジャッキ74Cは少し収縮させて、第2はつり撤去部50C2と第2ジャッキ74Cとの間に空間を設ける。第2はつり撤去部50C2をはつり撤去した後の状態を、図40に模式的に示す。
図41に示すように、第1ジャッキ74Bを収縮させて新設上部構造60のジャッキダウンを行う。第1ジャッキ74Bを収縮させて新設上部構造60をジャッキダウンする前に、第2ジャッキ74Cは前記ステップd2で収縮させた距離だけ伸長させておき、第1ジャッキ74Bを収縮させることによるジャッキダウン距離zが、第1はつり撤去部50C1および第2はつり撤去部50C2の高さと同程度となるようにする。なお、本ステップd3で新設上部構造60のジャッキダウンを行う前に、新設上部構造60の長手方向両端部に連結した仮設桁70および仮設桁70の下方に設けた支保工72を撤去する。
図42に示すように、第1ジャッキ74Bを収縮させて、第2ジャッキ74Cのみで新設上部構造60を支持した状態で、既設橋脚80の左側の径間に近い側の既設上部構造50の上端部の半分の領域である第3はつり撤去部50C3をはつる。本ステップd4での作業は、前記ステップd1での作業と同様であり、以降、前記ステップd1~d3の作業と同様の作業を繰り返すことにより、支保工74に新設上部構造60の荷重を負担させたままの状態で、既設橋脚80上の既設上部構造50を撤去することができる。
本発明の実施形態に係る橋梁架け替え装置10を用いての橋梁上部構造の架け替え及び本発明の実施形態に係る橋梁架け替え工法では、新設上部構造60の上面側で撤去ブロック50A、50Bの外部への運搬および搬出を行うので、既設上部構造50と新設上部構造60との間の空間高さを抑制することができ、新設上部構造60を仮支持する高さを抑制することができる。
20…下方設備部
20A…下方天井部
20A1…下部トロリ用レール
20B…足場部
20C…柱部
20C1…固定具
22…下部10t手動チェーンブロック
24…下部トロリ
26…連結桁
28…下部吊り桁
30…上方設備部
30A…本体部
30A1…走行装置
30B…上方天井部
30B1…片持ち張出部
30B2…上部トロリ用レール
32…上部15t電動チェーンブロック
32A…フック
32B…連結具
34…上部10t手動チェーンブロック
36…上部トロリ
38…上部吊り桁
40…クレビスジャッキ
48…上下連結吊部材
50…既設上部構造
50A、50B、50X…撤去ブロック
50B1…連結具
50C1…第1はつり撤去部
50C2…第2はつり撤去部
50C3…第3はつり撤去部
50Y…撤去支承部
60…新設上部構造
60A…支承
62…レール
64…台車
70…仮設桁
72、74…支保工
74A…サンドル
74B…第1ジャッキ
74C…第2ジャッキ
80、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7…既設橋脚
82、A1、A2…既設橋台
100…橋梁
300…既設橋梁
310…既設上部構造
310A…撤去ブロック
310B…既設上部構造残部
312…既設橋台
314…仮設ベント
316…既設橋脚
316A…既設橋脚撤去相当部
320…新設橋梁
322…新設上部構造
330…接続機構
332…第1接続手段
334…第2接続手段
334A…上側吊ロッド
334B…下側吊ロッド
336…吊桁
338…ジャッキ
350…搬出台車
z…ジャッキダウン距離
Claims (15)
- 橋梁の撤去対象の既設上部構造の上方に、該既設上部構造の延びる方向に沿って、架け替えのための新設上部構造が仮設された状態において用いられる橋梁架け替え装置であって、
前記新設上部構造の下方に位置して、前記新設上部構造に支持される下方設備部と、
前記新設上部構造の上方に位置して、前記新設上部構造に支持される上方設備部と、
を有してなり、
前記下方設備部は、前記既設上部構造から切断分離して撤去する撤去ブロックを、前記新設上部構造の橋軸直角方向外側に移動させる第1の横移動手段を備えており、
前記上方設備部は、前記撤去ブロックを前記新設上部構造よりも上方の高さ位置に吊り上げる吊り上げ手段、および前記撤去ブロックを橋軸直角方向に移動させて前記新設上部構造の上方に移動させる第2の横移動手段を備えている、
ことを特徴とする橋梁架け替え装置。 - 前記下方設備部は前記上方設備部に連結しており、前記下方設備部は前記上方設備部を介して前記新設上部構造に支持されることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記下方設備部は、前記既設上部構造から前記撤去ブロックを切断分離する際に、該撤去ブロックを吊り支持する吊り支持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記下方設備部が備える前記第1の横移動手段は、前記撤去ブロックを吊り支持する機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記上方設備部が備える前記第2の横移動手段は、前記撤去ブロックを吊り支持する機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記上方設備部は、前記撤去ブロックを横倒しにする横倒し手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記上方設備部は、前記新設上部構造の延びる方向に沿って移動するための移動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記撤去ブロックを、前記新設上部構造の延びる方向に沿って前記新設上部構造の上方の空間を移動させて撤去する移動撤去手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記移動撤去手段は、前記新設上部構造に設けられたレールと、該レールに沿って移動する台車を備えることを特徴とする請求項8に記載の橋梁架け替え装置。
- 前記下方設備部は、
柱部と、
該柱部の鉛直方向の高さ位置を変更可能に固定できる固定具と、
を備え、前記既設上部構造から切断分離する前記撤去ブロックの高さに応じて、前記下方設備部内の空間高さを調整できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の橋梁架け替え装置。 - 前記下方設備部は、足場を備えていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の橋梁架け替え装置。
- 橋梁の撤去対象の既設上部構造の上方に、該既設上部構造の延びる方向に沿って、新設上部構造を仮設する新設上部構造仮設工程と、
前記撤去対象の既設上部構造を、撤去可能な大きさの撤去ブロックに切断する切断工程と、
前記切断工程で切断した前記撤去ブロックを、前記新設上部構造よりも橋軸直角方向外側に移動させる第1の横移動工程と、
前記第1の横移動工程で、前記新設上部構造よりも橋軸直角方向外側に移動させた前記撤去ブロックを、前記新設上部構造よりも上方の高さ位置に吊り上げる吊り上げ工程と、
前記吊り上げ工程で前記新設上部構造よりも上方の高さ位置に吊り上げた前記撤去ブロックを、前記新設上部構造の上方に移動させる第2の横移動工程と、
前記第2の横移動工程で前記新設上部構造の上方に移動させた前記撤去ブロックを、前記新設上部構造の延びる方向に沿って移動させて、前記新設上部構造の外部に搬出する搬出工程と、
を有することを特徴とする橋梁架け替え工法。 - 前記新設上部構造仮設工程では、前記新設上部構造の部位のうち、前記新設上部構造の両端部および前記橋梁の既設橋脚の上方に位置する部位を、支保工で支持することを特徴とする請求項12に記載の橋梁架け替え工法。
- 前記吊り上げ工程で前記新設上部構造よりも上方の高さ位置に吊り上げた前記撤去ブロックを横倒しにする横倒し工程を、さらに有することを特徴とする請求項12に記載の橋梁架け替え工法。
- 前記搬出工程は、
前記第2の横移動工程で前記新設上部構造の上方に移動させた前記撤去ブロックを、前記新設上部構造の延びる方向に沿って移動可能な台車上に載置する載置工程と、
前記載置工程で前記撤去ブロックを載置した前記台車を、前記新設上部構造の延びる方向に沿って移動させる台車移動工程と、
を有することを特徴とする請求項12~14のいずれかに記載の橋梁架け替え工法。
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