JP7215588B2 - フレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミドフィルムを基板として有するフレキシブル電子デバイスの製造方法に関する。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れていることから、電気・電子デバイス分野、半導体分野などの分野で広く使用されてきた。一方、近年、高度情報化社会の到来に伴い、光通信分野の光ファイバーや光導波路等、表示装置分野の液晶配向膜やカラーフィルター用保護膜等の光学材料の開発が進んでいる。特に表示装置分野で、ガラス基板の代替として軽量でフレキシブル性に優れたプラスチック基板の検討や、曲げたり丸めたりすることが可能なディスプレイの開発が盛んに行われている。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイでは、各ピクセルを駆動するためのTFT等の半導体素子が形成される。このため、基板には耐熱性や寸法安定性が要求される。ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れていることから、ディスプレイ用途の基板として有望である。
ポリイミドは、一般に黄褐色に着色しているため、バックライトを備えた液晶ディスプレイなどの透過型デバイスでの使用には制限があったが、近年になって、機械的特性、熱的特性に加えて透明性に優れたポリイミドフィルムが開発されており、ディスプレイ用途の基板としてさらに期待が高まっている(特許文献1~3参照)。
一般に、フレキシブルなフィルムは平面性を維持するのが難しいため、フレキシブルなフィルム上にTFT等の半導体素子、微細配線等を均一に精度良く形成することは困難である。例えば、特許文献4には、「特定の前駆体樹脂組成物をキャリア基板上に塗布成膜して固体状のポリイミド樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜上に回路を形成する工程、前記回路が表面に形成された固体状の樹脂膜を前記キャリア基板から剥離する工程の各工程を含む、表示デバイス又は受光デバイスであるフレキシブルデバイスの製造方法」が記載されている。
また、特許文献5には、フレキシブルデバイスを製造する方法として、ガラス基板上にポリイミドフィルムを形成して得られたポリイミドフィルム/ガラス基材積層体上に、デバイスに必要な素子および回路を形成した後、ガラス基板側からレーザを照射して、ガラス基板を剥離することを含む方法が開示されている。
国際公開第2012/011590号公報 国際公開第2013/179727号公報 国際公開第2014/038715号公報 特開2010-202729号公報 国際公開第2018/221607号公報 国際公開第2016/199926号公報
特許文献4に記載されているようなメカニカル剥離は、追加の設備が不要で簡便であるという利点があるが、ポリイミドフィルムとガラス基板との間の剥離強度が大きすぎて、ポリイミドフィルムをガラス基板から剥離する際にポリイミドフィルム上に形成した素子や回路に対してダメージを与える場合がある。一方、特許文献5に記載されているようなレーザ剥離は、素子および回路形成時にはポリイミドフィルムとガラス基板との高い密着性を確保しながら、剥離時には剥離強度を低下させることができるため、素子や回路へのダメージが小さいという利点がある。しかし、レーザ照射装置が必要になるなど、設備コストが増大する。
ところで、特許文献6にはポリイミド前駆体と炭酸ストロンチウムを含有する組成物が開示されているが、炭酸ストロンチウムの添加によって、基材上で形成されたポリイミドフィルムとその基材との剥離強度が低下することは全く記載されていない。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたものであり、主要な目的は、工業的に簡便な装置および工程により、ポリイミドフィルムを基板とするフレキシブル電子デバイスを製造する方法を提供することを目的とする。
本出願の主要な開示事項をまとめると、以下のとおりである。
1. (a)ポリイミド前駆体、前記ポリイミド前駆体100質量部に対して2質量部超から33質量部未満の量の針状微粒子および溶媒を含有するポリイミド前駆体組成物を、基材上に塗布する工程、
(b)前記基材上で前記ポリイミド前駆体組成物を加熱処理し、前記基材上にポリイミドフィルムが積層された積層体を製造する工程、
(c)前記積層体のポリイミドフィルム上に、導電体層および半導体層から選ばれる少なくとも1つの層を形成する工程、および
(d)前記基材と前記ポリイミドフィルムを、外力によって剥離する工程
を有することを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
2. 前記針状微粒子が、炭酸ストロンチウムを含むことを特徴とする上記項1に記載の製造方法。
3. 前記基材が、ガラス板である上記項1または2に記載の製造方法。
4. 前記基材がガラス板であって、前記積層体中の前記基材と前記ポリイミドフィルムの剥離強度が0.8N/in以下であることを特徴とする上記項1または2に記載の製造方法。
5. 前記基材と前記ポリイミドフィルムを剥離する工程において、レーザ照射を行わないことを特徴とする上記項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
6. 前記ポリイミド前駆体が、下記一般式(I)で表される構造および一般式(I)中のアミド構造の少なくとも1つがイミド化された構造から選ばれる繰り返し単位を含むことを特徴とする上記項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
Figure 0007215588000001
(一般式I中、Xは4価の脂肪族基または芳香族基であり、Yは2価の脂肪族基または芳香族基であり、RおよびRは互いに独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数3~9のアルキルシリル基である。)
7. Xが脂環構造を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基である一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以下であることを特徴とする上記項6に記載の製造方法。
8. 一般式(I)中のXが芳香族環を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基であることを特徴とする上記項6に記載の製造方法。
9. 一般式(I)中のXが脂環構造を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基であることを特徴とする上記項6に記載の製造方法。
10. 一般式(I)中のXが芳香族環を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基であることを特徴とする上記項6に記載の製造方法。
11. 一般式(I)のXが脂環構造を有する4価の基である繰り返し単位を全繰り返し単位中の60%超の割合で含有すること(但し、Xが脂環構造を有する4価の基であり且つYが脂環構造を有する2価の基である一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、50モル%以下である)を特徴とする上記項6に記載の製造方法。
12. 基材とこの基材に形成されたポリイミドフィルムとを有する積層体の、前記基材とポリイミドフィルムの間の剥離強度を低下させる方法であって、
前記ポリイミドフィルム形成のためのポリイミド前駆体組成物が、針状微粒子を含有することを特徴とする、積層体の剥離強度低下方法。
13. 前記針状微粒子が、炭酸ストロンチウムであることを特徴とする上記項12に記載の方法。
14. ポリイミド前駆体組成物に含有されるポリイミド前駆体が、上記項6~11のいずれか1項で定義された繰り返し単位を含むことを特徴とする上記項12または13に記載の方法。
本発明によれば、ポリイミドフィルムを基板とするフレキシブル電子デバイスの簡便な製造方法を提供することができる。本願で開示されたポリイミド前駆体組成物を使用すると、基材とポリイミドフィルム間の剥離強度を適切に低下させることができる。そのため簡便な装置および工程によりフレキシブル電子デバイスを製造することが可能であり、また素子に対してダメージを与えるおそれが小さく、歩留まりの良い製造が可能となる。
本出願において、「フレキシブル(電子)デバイス」とは、デバイス自身がフレキシブルであることを意味し、通常、基板上で半導体層(素子としてトランジスタ、ダイオード等)が形成されてデバイスが完成する。「フレキシブル(電子)デバイス」は、従来のFPC(フレキシブルプリント配線板)上にICチップ等の「硬い」半導体素子が搭載された例えばCOF(Chip On Film)等のデバイスと区別される。但し、本願の「フレキシブル(電子)デバイス」を動作または制御するために、ICチップ等の「硬い」半導体素子をフレキシブル基板上に搭載したり、電気的に接続したりして、融合して使用することは何ら問題がない。好適に使用されるフレキシブル(電子)デバイスとしては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、および電子ペーパー等の表示デバイス、太陽電池、およびCMOS等の受光デバイスを挙げることができる。
以下に、本発明に使用されるポリイミド前駆体組成物について説明し、その後、本発明のフレキシブル電子デバイスの製造方法について説明する。
<<ポリイミド前駆体組成物>>
ポリイミドフィルムを形成するためのポリイミド前駆体組成物は、ポリイミド前駆体、針状微粒子および溶媒を含有する。ポリイミド前駆体は一般に溶解しており、針状微粒子は不溶の粒子で存在している。
本出願において、用語「ポリイミド前駆体」は、ポリイミドフィルム中のポリイミドを形成することができる前駆体の意味で使用する。即ち、用語「ポリイミド前駆体」は、ポリアミック酸および誘導体(正確には式(I)で定義される)、部分的にイミド化が進行した部分イミド化ポリアミック酸および誘導体、およびポリイミドを含むが、いずれも溶媒に溶解するものである。
ポリイミド前駆体は、下記一般式(I):
Figure 0007215588000002
(一般式I中、Xは4価の脂肪族基または芳香族基であり、Yは2価の脂肪族基または芳香族基であり、RおよびRは互いに独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数3~9のアルキルシリル基である。)
で表される繰り返し単位を有する。特に好ましくは、RおよびRが水素原子であるポリアミック酸である。
また、部分的にイミド化が進行したポリイミド前駆体は、一般式(I)中の2つのアミド構造の少なくとも1つがイミド化した繰り返し単位を含む。
一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体から形成されるポリイミドは下記一般式(II):
Figure 0007215588000003
(式中、Xは4価の脂肪族基または芳香族基であり、Yは2価の脂肪族基または芳香族基である。)
で表される繰り返し単位を有する。溶解可能なポリイミドである場合には、「ポリイミド前駆体」として、ポリイミド前駆体組成物中に含有させることができる。
以下に、このようなポリイミドの化学構造を、上記繰り返し単位(一般式(I)および(II))中のXおよびYの構造、および製造に使用されるモノマー(テトラカルボン酸成分、ジアミン成分、その他成分)により説明し、続いて製造方法を説明する。
本明細書において、テトラカルボン酸成分は、ポリイミドを製造する原料として使用されるテトラカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物、その他テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等のテトラカルボン酸誘導体を含む。特に限定されるわけではないが、製造上、テトラカルボン酸二無水物を使用することが簡便であり、以下の説明ではテトラカルボン酸成分としてテトラカルボン酸二無水物を用いた例を説明する。また、ジアミン成分は、ポリイミドを製造する原料として使用される、アミノ基(-NH)を2個有するジアミン化合物である。
また、本明細書において、ポリイミドフィルムは、(キャリア)基材上に形成されて積層体の中に存在するもの、および基材を剥離した後のフィルムの両方を意味する。また、ポリイミドフィルムを構成している材料、即ちポリイミド前駆体組成物を加熱処理して(イミド化して)得られた材料を、「ポリイミド材料」という場合がある。
ポリイミドフィルムに含有されるポリイミドは、特に限定されず、テトラカルボン酸成分およびジアミン成分が、適宜、芳香族化合物および脂肪族化合物から選ばれるポリイミドで構成される。ジアミン成分の脂肪族化合物は、好ましくは脂環式化合物である。ポリイミドとしては、例えば、全芳香族ポリイミド、半脂環式ポリイミド、全脂環式ポリイミドが挙げられる。
特に限定されるわけではないが、得られるポリイミド材料が耐熱性に優れるため、一般式(I)中のXが芳香族環を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基であることが好ましい。また、得られるポリイミド材料が耐熱性に優れると同時に透明性に優れるため、Xが脂環構造を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基であることが好ましい。また、得られるポリイミド材料が耐熱性に優れると同時に寸法安定性に優れるため、Xが芳香族環を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基であることが好ましい。
得られるポリイミド材料の特性、例えば、透明性、機械的特性、または耐熱性等の点から、Xが脂環構造を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基である式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下または30モル%未満、より好ましくは10モル%以下であることが好ましい。
ある実施態様においては、Xが芳香族環を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基である前記式(I)の繰り返し単位の1種以上の含有量が、合計で、全繰り返し単位に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。この実施態様において、特に高透明性のポリイミド材料が求められる場合は、ポリイミドはフッ素原子を含有することが好ましい。すなわち、ポリイミドが、Xがフッ素原子を含有する芳香族環を有する4価の基である前記一般式(I)の繰り返し単位および/またはYがフッ素原子を含有する芳香族環を有する2価の基である前記一般式(I)の繰り返し単位の1種以上を含むことが好ましい。
ある実施態様においては、ポリイミドは、Xが脂環構造を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基である前記一般式(I)の繰り返し単位の1種以上の含有量が、合計で、全繰り返し単位に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。
ある実施態様においては、ポリイミドは、Xが芳香族環を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基である前記式(I)の繰り返し単位の1種以上の含有量が、合計で、全繰り返し単位に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%であることが好ましい。
<Xおよびテトラカルボン酸成分>
の芳香族環を有する4価の基としては、炭素数が6~40の芳香族環を有する4価の基が好ましい。
芳香族環を有する4価の基としては、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 0007215588000004
(式中、Zは直接結合、または、下記の2価の基:
Figure 0007215588000005
のいずれかである。ただし、式中のZは、2価の有機基、Z3、はでそれぞれ独立にアミド結合、エステル結合、カルボニル結合であり、Zは芳香環を含む有機基である。)
としては、具体的には、炭素数2~24の脂肪族炭化水素基、炭素数6~24の芳香族炭化水素基が挙げられる。
としては、具体的には、炭素数6~24の芳香族炭化水素基が挙げられる。
芳香族環を有する4価の基としては、得られるポリイミドフィルムの高耐熱性と高透明性を両立できるので、下記のものが特に好ましい。
Figure 0007215588000006
(式中、Zは直接結合、または、へキサフルオロイソプロピリデン結合である。)
ここで、得られるポリイミドフィルムの高耐熱性、高透明性、低線熱膨張係数を両立できるので、Zは直接結合であることがより好ましい。
加えて好ましい基として、上記式(9)において、Zが下式(3A):
Figure 0007215588000007
で表されるフルオレニル含有基である化合物が挙げられる。Z11およびZ12はそれぞれ独立に、好ましくは同一で、単結合または2価の有機基である。Z11およびZ12としては、芳香環を含む有機基が好ましく、例えば式(3A1):
Figure 0007215588000008
(Z13およびZ14は、互いに独立に単結合、-COO-、-OCO-または-O-であり、ここでZ14がフルオレニル基に結合した場合、Z13が-COO-、-OCO-または-O-でZ14が単結合の構造が好ましく;R91は炭素数1~4のアルキル基またはフェニル基であり、好ましくはメチルであり、nは0~4の整数であり、好ましくは1である。)
で表される構造が好ましい。
が芳香族環を有する4価の基である一般式(I)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、例えば、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’-オキシジフタル酸、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、m-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸、p-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド、スルホニルジフタル酸や、これらのテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等の誘導体が挙げられる。Xがフッ素原子を含有する芳香族環を有する4価の基である一般式(I)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、例えば、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンや、これのテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等の誘導体が挙げられる。さらに、好ましい化合物として、(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(2-メチル-4,1-フェニレン)ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシレート)が挙げられる。テトラカルボン酸成分は、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
の脂環構造を有する4価の基としては、炭素数が4~40の脂環構造を有する4価の基が好ましく、少なくとも一つの脂肪族4~12員環、より好ましくは脂肪族4員環または脂肪族6員環を有することがより好ましい。好ましい脂肪族4員環または脂肪族6員環を有する4価の基としては、下記のものが挙げられる。
Figure 0007215588000009
(式中、R31~R38は、それぞれ独立に直接結合、または、2価の有機基である。R41~R47は、それぞれ独立に式:-CH-、-CH=CH-、-CHCH-、-O-、-S-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。R48は芳香環もしくは脂環構造を含む有機基である。)
31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38としては、具体的には、直接結合、または、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、または、酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合が挙げられる。
48として芳香環を含む有機基としては、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 0007215588000010
(式中、Wは直接結合、または、2価の有機基であり、n11~n13は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、R51、R52、R53は、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、水酸基、カルボキシル基、またはトリフルオロメチル基である。)
としては、具体的には、直接結合、下記の式(5)で表される2価の基、下記の式(6)で表される2価の基が挙げられる。
Figure 0007215588000011
(式(6)中のR61~R68は、それぞれ独立に直接結合または前記式(5)で表される2価の基のいずれかを表す。)
脂環構造を有する4価の基としては、得られるポリイミドの高耐熱性、高透明性、低線熱膨張係数を両立できるので、下記のものが特に好ましい。
Figure 0007215588000012
が脂環構造を有する4価の基である式(I)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、例えば、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-2,3,3’,4’-テトラカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-2,2’,3,3’-テトラカルボン酸、4,4’-メチレンビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-オキシビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-チオビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-スルホニルビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(テトラフルオロプロパン-2,2-ジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン-1,3,4,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、6-(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5-トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3,7,8-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ-7-エン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、9-オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2c,3c,6c,7c-テトラカルボン酸、(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2t,3t,6c,7c-テトラカルボン酸や、これらのテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等の誘導体が挙げられる。テトラカルボン酸成分は、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
<Yおよびジアミン成分>
の芳香族環を有する2価の基としては、炭素数が6~40、更に好ましくは炭素数が6~20の芳香族環を有する2価の基が好ましい。
芳香族環を有する2価の基としては、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 0007215588000013
(式中、Wは直接結合、または、2価の有機基であり、n11~n13は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、R51、R52、R53は、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、水酸基、カルボキシル基、またはトリフルオロメチル基である。)
としては、具体的には、直接結合、下記の式(5)で表される2価の基、下記の式(6)で表される2価の基が挙げられる。
Figure 0007215588000014
Figure 0007215588000015
(式(6)中のR61~R68は、それぞれ独立に直接結合または前記式(5)で表される2価の基のいずれかを表す。)
ここで、得られるポリイミドの高耐熱性、高透明性、低線熱膨張係数を両立できるので、Wは、直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種であることが特に好ましい。また、Wが、R61~R68が直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種である前記式(6)で表される2価の基のいずれかであることも特に好ましい。
加えて好ましい基として、上記式(4)において、Wが下式(3B):
Figure 0007215588000016
で表されるフルオレニル含有基である化合物が挙げられる。Z11およびZ12はそれぞれ独立に、好ましくは同一で、単結合または2価の有機基である。Z11およびZ12としては、芳香環を含む有機基が好ましく、例えば式(3B1):
Figure 0007215588000017
(Z13およびZ14は、互いに独立に単結合、-COO-、-OCO-または-O-であり、ここでZ14がフルオレニル基に結合した場合、Z13が-COO-、-OCO-または-O-でZ14が単結合の構造が好ましく;R91は炭素数1~4のアルキル基またはフェニル基であり、好ましくはフェニルであり、nは0~4の整数であり、好ましくは1である。)
で表される構造が好ましい。
別の好ましい基として、上記式(4)において、Wがフェニレン基である化合物、即ちターフェニルジアミン化合物が挙げられ、特にすべてパラ結合である化合物が好ましい。
別の好ましい基として、上記式(4)において、Wが式(6)の最初のフェニル環1個の構造において、R61およびR62が2,2-プロピリデン基である化合物が挙げられる。
さらに別の好ましい基として、上記式(4)において、Wが次の式(3B2):
Figure 0007215588000018
で表される化合物が挙げられる。
が芳香族環を有する2価の基である一般式(I)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’-ジアミノ-ビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、m-トリジン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,4’-ジアミノベンズアニリド、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’-p-フェニレンビス(p-アミノベンズアミド)、4-アミノフェノキシ-4-ジアミノベンゾエート、ビス(4-アミノフェニル)テレフタレート、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ビス(4-アミノフェニル)エステル、p-フェニレンビス(p-アミノベンゾエート)、ビス(4-アミノフェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジカルボキシレート、[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイルビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-オキシジアニリン、3,4’-オキシジアニリン、3,3’-オキシジアニリン、p-メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’-ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジフルオロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-アミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-メチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-エチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-アミノアニリノ)-6-アニリノ-1,3,5-トリアジンが挙げられる。Yがフッ素原子を含有する芳香族環を有する2価の基である一般式(I)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、例えば、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。加えて好ましいジアミン化合物として、4,4’-(((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス([1,1’-ビフェニル]-5,2-ジイル))ビス(オキシ))ジアミン、[1,1’:4’,1”-ターフェニル]-4,4”-ジアミン、4,4’-([1,1’-ビナフタレン]-2,2’-ジイルビス(オキシ))ジアミンが挙げられる。ジアミン成分は、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
の脂環構造を有する2価の基としては、炭素数が4~40の脂環構造を有する2価の基が好ましく、少なくとも一つの脂肪族4~12員環、より好ましくは脂肪族6員環を有することが更に好ましい。
脂環構造を有する2価の基としては、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 0007215588000019
(式中、V、Vは、それぞれ独立に直接結合、または、2価の有機基であり、n21~n26は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、R81~R86は、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、水酸基、カルボキシル基、またはトリフルオロメチル基であり、R91、R92、R93は、それぞれ独立に 式:-CH-、-CH=CH-、-CHCH-、-O-、-S-で表される基よりなる群から選択される1種である。)
、Vとしては、具体的には、直接結合および前記の式(5)で表される2価の基が挙げられる。
脂環構造を有する2価の基としては、得られるポリイミドの高耐熱性、低線熱膨張係数を両立できるので、下記のものが特に好ましい。
Figure 0007215588000020
脂環構造を有する2価の基としては、中でも、下記のものが好ましい。
Figure 0007215588000021
が脂環構造を有する2価の基である一般式(I)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、例えば、1,4-ジアミノシクロへキサン、1,4-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-エチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-n-プロピルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-イソプロピルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-n-ブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-イソブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-sec-ブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-tert-ブチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロへキサン、1,3-ジアミノシクロブタン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノビシクロヘプタン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、ジアミノオキシビシクロヘプタン、ジアミノメチルオキシビシクロヘプタン、イソホロンジアミン、ジアミノトリシクロデカン、ジアミノメチルトリシクロデカン、ビス(アミノシクロへキシル)メタン、ビス(アミノシクロヘキシル)イソプロピリデン、6,6’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ビス(4-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダンが挙げられる。ジアミン成分は、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分およびジアミン成分として、脂環式以外の脂肪族テトラカルボン酸類(特に二無水物)および/または脂肪族ジアミン類いずれも使用することができるが、その含有量は、テトラカルボン酸成分およびジアミン成分の合計100モル%に対して、好ましくは30モル%以下または30モル%未満、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下(0%を含む)であることが好ましい。
以上の中でも、本発明の好ましい一実施形態は、一般式(I)のXが脂環構造を有する4価の基である繰り返し単位を全繰り返し単位中の60%超、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%の割合で含む。脂環構造が100%未満の場合、残りの部分は、Xが芳香族環を有する4価の基であることが好ましい。好ましい脂環構造を有する4価の基および芳香族環を有する4価の基は上記で説明したとおりである。また、Yは芳香族環を有する2価の基および脂環構造を有する2価の基のどちらでもよいが、前述のとおりXが脂環構造を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基である式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下または30モル%未満、より好ましくは10モル%以下であることが好ましい。
また、本発明の異なる好ましい一実施形態においては、フィルムにしたときの破断強度が85MPa以上、好ましくは90MPa以上、より好ましくは100MPaとなるポリイミド(およびポリイミド材料)であることが好ましい。破断強度は、例えば5~100μm程度の膜厚のフィルムから得られる値を用いることができる。また、この破断強度は、ポリイミド前駆体溶液組成物またはポリイミド溶液組成物の塗布膜を、好ましくは最高温度310℃にて加熱して得られるフィルムについて得られる値である。
ポリイミド前駆体は、上記テトラカルボン酸成分とジアミン成分から製造することができる。本発明に用いられるポリイミド前駆体(前記式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を含むポリイミド前駆体)は、R及びRが取る化学構造によって、
1)ポリアミド酸(R及びRが水素)、
2)ポリアミド酸エステル(R及びRの少なくとも一部がアルキル基)、
3)4)ポリアミド酸シリルエステル(R及びRの少なくとも一部がアルキルシリル基)、
に分類することができる。そして、ポリイミド前駆体は、この分類ごとに、以下の製造方法により容易に製造することができる。ただし、本発明で使用されるポリイミド前駆体の製造方法は、以下の製造方法に限定されるものではない。
1)ポリアミック酸
ポリイミド前駆体は、溶媒中でテトラカルボン酸成分としてのテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを略等モル、好ましくはテトラカルボン酸成分に対するジアミン成分のモル比[ジアミン成分のモル数/テトラカルボン酸成分のモル数]が好ましくは0.90~1.10、より好ましくは0.95~1.05の割合で、例えば120℃以下の比較的低温度でイミド化を抑制しながら反応することによって、ポリイミド前駆体溶液として好適に得ることができる。
限定するものではないが、より具体的には、有機溶剤または水にジアミンを溶解し、この溶液に攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0~120℃、好ましくは5~80℃の範囲で1~72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。上記製造方法でのジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序は、ポリイミド前駆体の分子量が上がりやすいため、好ましい。また、上記製造方法のジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序を逆にすることも可能であり、析出物が低減することから、好ましい。溶媒として水を使用する場合は、1,2-ジメチルイミダゾール等のイミダゾール類、あるいはトリエチルアミン等の塩基を、生成するポリアミック酸(ポリイミド前駆体)のカルボキシル基に対して、好ましくは0.8倍当量以上の量で、添加することが好ましい。
2)ポリアミック酸エステル
テトラカルボン酸二無水物を任意のアルコールと反応させ、ジエステルジカルボン酸を得た後、塩素化試薬(チオニルクロライド、オキサリルクロライドなど)と反応させ、ジエステルジカルボン酸クロライドを得る。このジエステルジカルボン酸クロライドとジアミンを-20~120℃、好ましくは-5~80℃の範囲で1~72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。また、ジエステルジカルボン酸とジアミンを、リン系縮合剤や、カルボジイミド縮合剤などを用いて脱水縮合することでも、簡便にポリイミド前駆体が得られる。
この方法で得られるポリイミド前駆体は、安定なため、水やアルコールなどの溶剤を加えて再沈殿などの精製を行うこともできる。
3)ポリアミック酸シリルエステル(間接法)
あらかじめ、ジアミンとシリル化剤を反応させ、シリル化されたジアミンを得る。必要に応じて、蒸留等により、シリル化されたジアミンの精製を行う。そして、脱水された溶剤中にシリル化されたジアミンを溶解させておき、攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0~120℃、好ましくは5~80℃の範囲で1~72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
4)ポリアミック酸シリルエステル(直接法)
1)の方法で得られたポリアミック酸溶液とシリル化剤を混合し、0~120℃、好ましくは5~80℃の範囲で1~72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
3)の方法、及び4)の方法で用いるシリル化剤として、塩素を含有しないシリル化剤を用いることは、シリル化されたポリアミック酸、もしくは、得られたポリイミドを精製する必要がないため、好適である。塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
また、3)の方法のジアミンのシリル化反応には、反応を促進するために、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミンなどのアミン系触媒を用いることができる。この触媒はポリイミド前駆体の重合触媒として、そのまま使用することができる。
ポリイミド前駆体を調製する際に使用する溶媒は、水や、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が好ましく、原料モノマー成分と生成するポリイミド前駆体が溶解すれば、どんな種類の溶媒であっても問題はなく使用できるので、特にその構造には限定されない。溶媒として、水や、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等のアミド溶媒、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m-クレゾール、p-クレゾール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o-クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2-メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用できる。なお、溶媒は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
ポリイミド前駆体の対数粘度は、特に限定されないが、30℃での濃度0.5g/dLのN,N-ジメチルアセトアミド溶液における対数粘度が0.2dL/g以上、より好ましくは0.3dL/g以上、特に好ましくは0.4dL/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.2dL/g以上では、ポリイミド前駆体の分子量が高く、得られるポリイミドの機械強度や耐熱性に優れる。
ポリイミド前駆体のイミド化率としては、約0%(5%以下)~約100%(95%以上)まで広範囲のものを使用することができる。上記の方法で得られたポリイミド前駆体(ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸シリルエステル)は、低イミド化率を有している。これらを溶液中でイミド化処理し(熱イミド化、化学イミド化)、イミド化を進行させて所望のイミド化率に調整することができる。例えば、ポリアミック酸溶液を、例えば80~230℃、好ましくは120~200℃の範囲で、例えば1~24時間攪拌することで、イミド化が進行したポリイミド前駆体を得ることができる。ポリイミドが溶媒可溶である場合、イミド化反応後の反応混合物を貧溶媒に投入してポリイミドを析出させて得たポリイミド、または、ポリイミド前駆体(低イミド化率)の溶液(必要によりイミド化触媒や脱水剤を含有する)を、例えばキャリア基材上に流延して、加熱処理して乾燥、イミド化(熱イミド化、化学イミド化)して得られたポリイミドを、溶媒に溶解してフィルム製造用のポリイミド前駆体に使用してもよい。
<針状微粒子>
針状微粒子は、微細な針状または棒状の形状を有するものであれば特に限定されず使用することができる。着色が小さく且つヘイズの小さいポリイミドフィルムを得るためには、針状微粒子自体の粒径が小さく、針状微粒子分散液の無色透明性が高いことも重要であり、且つ組成物中で微粒子として存在すること、即ち溶媒に溶解しないこと、さらにはポリイミド前駆体を加熱処理する際(イミド化・フィルム化)に安定であることも求められる。このような要求を満たすものとしては、炭酸塩が好ましく、より具体的には、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸コバルト、炭酸マンガンよりなる群から選択される1種以上の微粒子が好ましく、炭酸ストロンチウムがより好ましい。従って、針状微粒子は、炭酸塩、特に炭酸ストロンチウムを含むことが好ましく、より好ましくは主成分として、即ち50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、最も好ましくは90質量%以上(100質量%も非常に好ましい)の量で炭酸塩、特に炭酸ストロンチウムを含む。これらの針状微粒子は光学異方性、特に負の光学異方性を有していてもよい。
炭酸塩の形態(結晶構造)としては、アラゴナイト、カルサイト、バテライト、及びアモルファスなどが挙げられる。
針状微粒子は、平均アスペクト比が1.5以上が好ましく、2以上がより好ましく、2.2以上が特に好ましい。平均アスペクト比の上限は、特に限定されないが、一般に5程度である。なお、アスペクト比は、針状微粒子の長さと直径との比(長さ/径)で示される。
針状微粒子は、得られるポリイミドフィルム(ポリイミド材料)の透明性等の点から、長径の平均長さが100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、30~40nmが特に好ましい。
本発明において、針状微粒子は、長径の長さが200nm以上の針状粒子の含有率が個数基準で5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがより好ましく、0%であることが特に好ましい。
炭酸ストロンチウム微粒子等の針状微粒子は、表面処理剤で表面処理されているものであってもよい。
本発明においては、例えば、特開2014-80360号公報に記載の表面処理剤で表面処理されている針状微粒子、すなわち、粒子の表面が、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物と、ポリオキシアルキレン基及び炭化水素基を有するアミンとで処理されている針状微粒子を好適に使用することができる。なお、特定の形状の針状炭酸ストロンチウム粒子に限らず、任意の針状微粒子を特開2014-80360号公報に記載の方法により表面処理して、表面処理されている針状微粒子を得ることができる。ただし、特開2014-80360号公報に記載の特定の形状の針状炭酸ストロンチウム粒子を表面処理したものが特に好ましい。
ある実施態様においては、針状微粒子の表面処理剤は、官能基としてカルボン酸を有することが好ましく、ポリアミック酸であることが特に好ましい。ポリアミック酸で表面処理されている針状形状を有する微粒子粉末については、WO2016/199926公報に詳細に説明されている。即ち、炭酸ストロンチウム微粒子等の針状微粒子は、下記化学式(8)で表される繰り返し単位を含むポリアミック酸(A3)で表面処理されていることが好ましい。
Figure 0007215588000022
(式中、Xは4価の脂肪族基(好ましくは脂環構造を有する)または芳香族基であり、Yは2価の脂肪族基(好ましくは脂環構造を有する)または芳香族基である。ただし、式中のカルボキシル基(-COOH)は、塩基と塩を形成していてもよい。)
ここでの化学式(8)で表される繰り返し単位を含むポリアミック酸(A3)は、特に限定されるわけではないが、ポリアミック酸であるポリイミド前駆体(一般式(I)中のR及びRが水素である前記一般式(I)で表される繰り返し単位を含むポリイミド前駆体)であることが好ましい。化学式(8)は式(I)に対応するもので、XはXに対応し、YはYに対応する。化学式(8)中のX、Yとしては、式(I)中のX、Yと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ポリアミック酸(A3)の製造方法は、式(I)のポリイミド前駆体の製造方法と同様である。
化学式(8)のカルボキシル基と塩を形成する塩基としては、例えば、アミン類、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。その後の熱処理等で揮発することから、アミン類が好ましく、3級アミンがより好ましく、環構造を有する3級アミンが特に好ましい。さらに、イミド化の触媒として効果があることから、ピリジン、イミダゾール誘導体が好ましく、イミダゾール誘導体がより好ましい。
ポリアミック酸によって表面処理されている針状微粒子は、例えば針状微粒子粉末をポリアミック酸(A3)溶液に混合分散して得ることができる。その詳細は、WO2016/199926公報に記載されている。ポリアミック酸によって表面処理されている針状微粒子は、ポリアミック酸溶液から分離してもよいが、そのままポリイミド前駆体組成物として使用することもできる。
<ポリイミド前駆体組成物の配合>
本発明で使用されるポリイミド前駆体組成物は、少なくとも1種のポリイミド前駆体と、少なくとも1種の針状微粒子と、溶媒を含む。
針状微粒子の含有量は、特に限定されないが、ポリイミド前駆体のポリマー固形分100質量部に対して、好ましくは2質量部超、より好ましくは2.2質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3質量部以上、更に好ましくは4質量部以上、最も好ましくは5質量部以上である。この範囲であれば、基材とポリイミドフィルムの間の剥離強度が適正な範囲となり、フレキシブル電子デバイスの製造時の密着性と、製造後の分離の容易性とを両立することである。針状微粒子の含有量の上限としては、ポリイミド前駆体(またはポリイミド)のポリマー固形分100重量部に対して、好ましくは33質量部未満、より好ましくは30質量部以下、最も好ましくは20質量部以下である。針状微粒子を多量に含有するポリイミドフィルムは、非添加のポリイミドフィルムと比較して、機械的特性等(特に破断伸び)が大きく低下する場合がある。即ち、針状微粒子の含有量を過度に増加させると、破断伸びの相対割合(針状微粒子非添加(添加量0)のときのポリイミドフィルムの破断伸びを100%とした割合)が20%程度まで低下し、ポリイミドフィルム本来の特性が損なわれることがある。そこで、破断伸びの相対割合が23%超となるように、針状微粒子の添加量を調整することが好ましい。前記範囲の添加量であれば、得られるポリイミドフィルムの破断伸びの低下が小さい、即ち、破断伸びの相対割合が大きいので好ましい。
なお、ポリマー中の針状微粒子の含有量は、公知の組成分析方法より求めることができる。また、製造過程の針状微粒子の添加量から、その含有量を求めることもできる。
溶媒としては、ポリイミド前駆体を調製する際に使用する溶媒として説明した前述のものを使用することができる。通常は、ポリイミド前駆体を調製する際に使用した溶媒をそのままで、即ちポリイミド前駆体溶液のままで使用することができるが、必要により希釈または濃縮して使用してもよい。
本発明のポリイミド前駆体の粘度(回転粘度)は、特に限定されないが、E型回転粘度計を用い、温度25℃、せん断速度20sec-1で測定した回転粘度が、0.01~1000Pa・secが好ましく、0.1~100Pa・secがより好ましい。また、必要に応じて、チキソ性を付与することもできる。上記範囲の粘度では、コーティングや製膜を行う際、ハンドリングしやすく、また、はじきが抑制され、レベリング性に優れるため、良好な被膜が得られる。
本発明のポリイミド前駆体組成物は、必要に応じて、化学イミド化剤(無水酢酸などの酸無水物や、ピリジン、イソキノリンなどのアミン化合物)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー(シリカ等の無機粒子など)、染料、顔料、シランカップリング剤などのカップリング剤、プライマー、難燃材、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤(流動補助剤)などを含有することができる。
ポリイミド前駆体組成物の調製は、前述のとおりの方法で得られたポリイミド前駆体溶液に、針状微粒子または針状微粒子の分散液を加えて混合することで調製することができる。特に限定されるわけではないが、溶媒にテトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸二無水物等)とジアミン成分を加え、さらに針状微粒子または針状微粒子の分散液を加えて混合し、溶媒中に針状微粒子を分散させ、針状微粒子の存在下で、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて、本発明のポリイミド前駆体組成物を調製することも好ましい。また必要に応じて、イミド化を進行させてもよい。
<<ポリイミド/基材積層体、およびフレキシブル電子デバイスの製造>>
本発明のフレキシブル電子デバイスの製造方法は、(a)ポリイミド前駆体組成物を、基材上に塗布する工程、(b)前記基材上で前記ポリイミド前駆体を加熱処理し、前記基材上にポリイミドフィルムが積層された積層体(ポリイミド/基材積層体)を製造する工程、(c)前記積層体のポリイミドフィルム上に、導電体層および半導体層から選ばれる少なくとも1つの層を形成する工程、および(d)前記基材と前記ポリイミドフィルムとを、外力によって剥離する工程を有する。
まず、工程(a)において、ポリイミド前駆体溶液(高イミド化率のイミド溶液を含み、また必要により添加剤を含有する組成物溶液も含む)を基材上に流延し、加熱処理によりイミド化および脱溶媒(ポリイミド溶液のときは主として脱溶媒)することによってポリイミドフィルムを形成し、基材とポリイミドフィルムとの積層体(ポリイミド/基材積層体)を得る。
基材としては、耐熱性の材料が使用され、例えばセラミック材料(ガラス、アルミナ等)、金属材料(鉄、ステンレス、銅、アルミニウム等)、半導体材料(シリコン、化合物半導体等)等の板状またはシート状基材、または耐熱プラスチック材料(ポリイミド等)等のフィルムまたはシート状基材が使用される。一般に、平面且つ平滑な板状が好ましく、一般に、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、サファイアガラス等のガラス基板;シリコン、GaAs、InP、GaN等の半導体(化合物半導体を含む)基板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属基板が使用される。特にガラス基板は、平面、平滑且つ大面積のものが開発されており容易に入手できるので好ましい。これら基材は、表面に無機薄膜(例えば、酸化ケイ素膜)や樹脂薄膜が形成されたものであってもよい。
板状基材の厚さは限定されないが、取り扱い易さの観点から、例えば20μm~4mm、好ましくは100μm~2mmである。
ポリイミド前駆体溶液の基材上への流延方法は特に限定されないが、例えばスピンコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、電着法などの従来公知の方法が挙げられる。
工程(b)において、基材上でポリイミド前駆体組成物を加熱処理し、ポリイミドフィルムに転換し、ポリイミド/基材積層体を得る。加熱処理条件は、特に限定されないが、例えば50℃~150℃の温度範囲で乾燥した後、最高加熱温度として例えば150℃~600℃であり、好ましくは200℃~550℃、より好ましくは250℃~500℃で処理することが好ましい。ポリイミド溶液を用いた場合の加熱処理条件は、特に限定されないが、最高加熱温度として例えば100℃~600℃であり、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上であり、また好ましくは500℃以下、より好ましくは450℃以下である。
ポリイミドフィルムの厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。厚さが1μm未満である場合、ポリイミドフィルムが十分な機械的強度を保持できず、例えばフレキシブル電子デバイス基板として使用するとき、応力に耐えきれず破壊されることがある。また、ポリイミドフィルムの厚さは、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。ポリイミドフィルムの厚さが厚くなると、フレキシブルデバイスの薄型化が困難となってしまうことがある。フレキシブルデバイスとして十分な耐性を保持しながら、より薄膜化するには、ポリイミドフィルムの厚さは、好ましくは2~50μmである。
一実施形態において、ポリイミドフィルムは、400nm透過率、全光透過率(380nm~780nmにおける平均透過率)、黄色度b*(YI)等の光学特性に優れることが好ましい。それぞれ10μm厚のフィルムで測定したとき、400nm光透過率は好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、最も好ましくは80%以上であり、全光透過率は、好ましくは84%以上、より好ましくは85%以上であり、また黄色度b*(YI)は、好ましくは0以上、5以下、より好ましくは3以下である。400nm透過率、全光透過率および黄色度b*(YI)のうち、好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは3つが同時に好ましい範囲を満たす。
得られるポリイミドフィルムは、ガラス基板等の基材に密着して積層される。メカニカル剥離を容易に実施できるためには、基材とポリイミドフィルムとの剥離強度は、JIS K6854-1に準拠して測定した場合、例えば引張速度2mm/分、90°剥離試験において、好ましくは0.8N/in(N/25.4mm)以下、より好ましくは0.6N/in以下、さらに好ましくは0.4N/in以下である。一方、下限値は、好ましくは0.01N/in以上である。剥離強度は、通常、空気中または大気中で測定される。
ポリイミド/基材積層体中のポリイミドフィルムは、表面に樹脂膜や無機膜などの第2の層を有していてもよい。即ち、基材上にポリイミドフィルムを形成した後、第2の層を積層して、フレキシブル電子デバイス基板を形成してもよい。少なくとも無機膜を有することが好ましく、特に水蒸気や酸素(空気)等のバリア層として機能するものが好ましい。水蒸気バリア層としては、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の金属酸化物、金属窒化物および金属酸窒化物からなる群より選択される無機物を含む無機膜が挙げられる。一般に、これらの薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法と、プラズマCVD法、触媒化学気相成長法(Cat-CVD法)などの化学蒸着法(化学気相成長法)などが知られている。この第2の層は、複数層とすることもできる。
本発明では、ポリイミド前駆体組成物が、針状微粒子を含有することにより、剥離強度を低下させることができる。従って、本出願は、基材とこの基材に形成されたポリイミドフィルムとを有する積層体の、前記基材とポリイミドフィルムの間の剥離強度を低下させる方法であって、前記ポリイミドフィルム形成のためのポリイミド前駆体組成物が、針状微粒子を含有することを特徴とする、積層体の剥離強度を低下する方法に関する発明も開示している。
工程(c)では、工程(c)で得られたポリイミド/基材積層体を使用して、ポリイミドフィルム(ポリイミドフィルム表面に無機膜などの第2の層を積層したものを含む)上に、導電体層および半導体層から選ばれる少なくとも1つの層を形成する。これらの層は、ポリイミドフィルム(第2の層を積層したものを含む)上に直接形成してもよいし、デバイスに必要な他の層を積層した上に、つまり間接的に形成してもよい。
導電体層および/または半導体層は、目的とする電子デバイスが必要とする素子および回路に合わせて適切な導電体層および(無機、有機)半導体層が選択される。本発明の工程(c)において、導電体層および半導体層の少なくとも1つを形成する場合、無機膜を形成したポリイミドフィルム上に導電体層および半導体層の少なくとも1つを形成することも好ましい。
導電体層および半導体層は、ポリイミドフィルム上の全面に形成されたもの、ポリイミドフィルム上の一部分に形成されたものの両方を包含する。本発明は、工程(c)の後にただちに工程(d)に移行しても良いし、工程(c)において導電体層および半導体層から選ばれる少なくとも1つの層を形成した後、さらにデバイス構造を形成してから、工程(d)に移行してもよい。
フレキシブルデバイスとしてTFT液晶ディスプレイデバイスを製造する場合には、例えば必要により無機膜を全面に形成したポリイミドフィルムの上に、例えば金属配線、アモルファスシリコンやポリシリコンによるTFT、透明画素電極を形成する。TFTは、例えば、ゲート金属層、アモルファスシリコン膜などの半導体層、ゲート絶縁層、画素電極に接続する配線等を含む。この上に、さらに液晶ディスプレイに必要な構造を、公知の方法によって形成することも出来る。また、ポリイミドフィルムの上に、透明電極とカラーフィルターを形成してもよい。
有機ELディスプレイを製造する場合には、例えば必要により無機膜を全面に形成したポリイミドフィルムの上に、例えば透明電極、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等に加えて必要によりTFTを形成することができる。
本発明において好ましいポリイミドフィルムは耐熱性、靱性等各種特性に優れるので、デバイスに必要な回路、素子、およびその他の構造を形成する手法は特に制限されない。
次に工程(d)おいて、基材とポリイミドフィルムとを、外力によって、物理的に剥離する。「外力によって」とは、基材とポリイミドフィルムとを分離するように、力を加えることを意味する。例えば人の手によってまたは適切な工具、治具、装置等を用いて剥離する。剥離の際は、基材とポリイミドフィルムの一方または両方に湾曲が生じるが、ポリイミドフィルムを湾曲させる範囲は、ポリイミドフィルム上に形成された導電体層、半導体層、およびその他の構造が損傷を受けない範囲である。この目的のために、ポリイミドフィルムの湾曲における曲率半径が小さくならないように、適宜、工具、治具、装置等を使用して剥離を行うことができる。具体的には、例えば、(i)基材とポリイミドフィルムの間にブレードのような工具を入れて移動させることで剥離する方法、(ii)フィルムを基材から引き上げて剥離する方法(このとき、ブレードのような工具を使用してもよい)、(iii)フィルムの平面性をできるだけ保ったまま基材を湾曲させて剥離する方法等を挙げることができる。剥離は、気体中または真空中で実施するのが好ましく、通常は空気中または大気中で実施する。
基材を剥離した後のポリイミドフィルムを基板とする(半)製品に、さらにデバイスに必要な構造または部品を形成または組み込んでデバイスを完成する。
本発明の好ましい実施形態において、基材とポリイミドフィルムの剥離は、レーザ照射をすることなく、外力による剥離方法のみで実施する。
しかしながら、本発明の異なる実施形態においては、レーザ照射のみでは剥離が達成されない場合の補助手段として、本発明の方法、即ち針状微粒子を含有するポリイミド前駆体を使用する方法を適用することができる。
従って、本発明の異なる態様は、
(a)ポリイミド前駆体、針状微結晶および溶媒を含有するポリイミド前駆体組成物を、基材上に塗布する工程、
(b)前記基材上で前記ポリイミド前駆体を加熱処理し、前記基材上にポリイミドフィルムが積層された積層体を製造する工程、
(c)前記積層体のポリイミドフィルム上に、導電体層および半導体層から選ばれる少なくとも1つの層を形成する工程、
(e)前記積層体にレーザ光を照射する工程、および
(d)前記基材と前記ポリイミドフィルムを、外力によって剥離する工程
を有するフレキシブル電子デバイスの製造方法
に関する。
本発明の異なるさらなる態様は、レーザ照射剥離が不可能な場合において、レーザ剥離を可能にする方法に関する。組成に依存して、および/またはレーザの出力不足、等の理由により、レーザ照射しても剥離しない場合において、針状微結晶を含有するポリイミド前駆体組成物を使用することによって、レーザ剥離を可能にする。即ち、この態様は、
(a2)ポリイミド前駆体および溶媒を含有するポリイミド前駆体組成物を、基材上に塗布する工程、
(b2)前記基材上で前記ポリイミド前駆体を加熱処理し、前記基材上にポリイミドフィルムが積層された積層体を製造する工程、
(c2)前記積層体のポリイミドフィルム上に、導電体層および半導体層から選ばれる少なくとも1つの層を形成する工程、および
(e2)前記積層体にレーザ光を照射する工程
を有する方法であって、前記ポリイミド前駆体組成物が、針状微結晶を含有することを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法に関する。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリイミドフィルムの評価>
[b(YI)]
紫外可視分光光度計/V-650DS(日本分光製)を用いて、ASTEM E313
の規格に準拠して、膜厚10μm、5cm角サイズのポリイミドフィルムのb(=YI;黄色度)を測定した。光源はD65、視野角は2°とした。
[400nm光透過率、全光透過率]
紫外可視分光光度計/V-650DS(日本分光製)を用いて、膜厚10μm、5cm角サイズのポリイミドフィルムの波長400nmにおける光透過率、全光透過率(波長380nm~780nmにおける平均透過率)を測定した。
[ヘイズ]
濁度計/NDH2000(日本電色工業製)を用いて、JIS K7136の規格に準拠して、膜厚10μm、5cm角サイズのポリイミドフィルムのヘイズを測定した。
[剥離強度]
オリエンテック社製TENSILON RTA-500を用い、大気中で、引張り速度2mm/分の条件で90°方向の剥離強度を測定した。
[引張弾性率、破断伸度、破断強度]
膜厚約10μmのポリイミドフィルムを、IEC540規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片とし、オリエンテック社製TENSILON RTA-500を用いて、チャック間長30mm、引張り速度24mm/分の条件で初期の弾性率、破断伸度(破断伸び)、破断強度を測定した。尚、表中、「平均破断伸び/%」と記載しているものは、破断伸びの実測値(%)を示し、一方、「破断伸び(対非添加)」と記載しているものは、炭酸ストロンチウム非添加の比較例に対する相対割合を記載して添加量の影響を示した。
[線熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)]
膜厚約10μmのポリイミドフィルムを幅4mmの短冊状に切り取って試験片とし、TMA/SS6100 (エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用い、チャック間長15mm、荷重2g、昇温速度20℃/分で500℃まで昇温した。得られたTMA曲線から、150℃から250℃までの線熱膨張係数を求めた。また、TMA曲線の変曲点より、ガラス転移温度(Tg)を算出した。
[1%重量減少温度(Td1%)]
膜厚約10μmのポリイミドフィルムを試験片とし、TAインスツルメント社製 熱量計測定装置(Q5000IR)を用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分で25℃から600℃まで昇温した。得られた重量曲線から、1%重量減少温度を求めた。
実施例、比較例で使用した化合物の略称は以下のとおりである。
TFMB: 4,4’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
ODA: 4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
4,4’-DDS: 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン
m-TD: 2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル
BAFL: 9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン
BAPB: 4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル
6FDA: 4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピレン)ジフタル酸二無水物
PMDA-HS: 1R,2S,4S,5R-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
s-BPDA: 3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BPADA: 5,5’-((プロパン2-2-ジイルビス(1,4-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(イソベンゾフラン-1,3-ジオン)
CpODA: ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2”-ノルボルナン-5,5”,6,6”-テトラカルボン酸二無水物
CBDA: シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
PPHT: N,N’-(1,4-フェニレン)ビス(1,3-ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシアミド)
Figure 0007215588000023
[炭酸ストロンチウム分散液]
炭酸ストロンチウム分散液として、特開2014-80360号公報に記載の炭酸ストロンチウム(表面が、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリカルボン酸もしくはその無水物と、ポリオキシアルキレン基及び炭化水素基を有するアミンとで処理されている炭酸ストロンチウム)を用いた分散液(溶媒:NMP)を用意した。分散液は、炭酸ストロンチウムの含有量:18.8質量%、平均長径35nm、平均アスペクト比2.0、長径200nm以上の粒子の含有率5%であった。
〔合成例1〕(ODA/PMDA-HS)
窒素ガスで置換した反応容器中にODA 16.04g(80.1ミリモル)を入れ、N,N-ジメチルアセトアミドを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が17質量%となる量の166.01gを加え、室温で30分間攪拌した。この溶液にPMDA-HS 17.96g(80.1ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
〔合成例2〕(BAFL+BAPB/CpODA+PPHT)
窒素ガスで置換した反応容器中にBAFL5.42g(15.6ミリモル)、BAPB13.37g(36.3ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が21質量%となる量の158.00gを加え、室温で30分間攪拌した。この溶液にCpODA4.98g(13.0ミリモル)、PPHT18.22g(38.9ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
〔実施例1〕
窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.42g(4.4ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを15.70g、炭酸ストロンチウム分散液を0.91g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は17質量%である。この溶液に6FDA 1.98g(4.5ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は5.0質量%である。
このポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度3℃/minにて30℃から350℃まで昇温し、350℃にて10分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。剥離強度については、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体から、幅1インチ(25.4mm)の試験サンプルを作成して測定した。引張試験については、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後、ポリイミドフィルムをガラス板から剥離し、乾燥した後、所定の大きさにカットして試験サンプルを作成して特性測定を行った。以下の例においても同様にして引張試験サンプルを作成して測定を行った。光学特性については、ポリイミドフィルム/ガラス積層体からポリイミドフィルムを機械的に剥離し、所定の大きさにカットして試験サンプルを作成して、測定をおこなった。以下の例においても同様であるが、剥離強度が高く機械的に剥離不可能な比較例については引張試験用サンプルの作成と同様にして測定サンプルを作成した。結果を表に示す。
〔実施例2〕
炭酸ストロンチウム分散液0.91gに合成例1で得られたポリアミック酸溶液20.02gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は5.0質量%である。
このポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度3℃/minにて30℃から350℃まで昇温し、350℃にて10分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。得られたフィルムをガラス板から剥離して、各種特性の測定を行った。
〔実施例3〕
窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB1.42g(4.4ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを15.96g、炭酸ストロンチウム分散液を0.85g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は16質量%である。この溶液に6FDA1.38g(3.1ミリモル)、s-BPDA0.39g(1.3ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は5.0質量%である。
このポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度3℃/minにて30℃から350℃まで昇温し、350℃にて10分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。得られたフィルムをガラス板から剥離して、各種特性の測定を行った。
〔実施例4〕
窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB1.43g(4.5ミリモル)、DDS0.022g(0.1ミリモル)を入れ、N,N-ジメチルアセトアミドを16.46g、炭酸ストロンチウム分散液を0.78g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は14質量%である。この溶液にs-BPDA1.33g(4.5ミリモル)、BPADA0.024g(0.05ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は5.2質量%である。
このポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度2.5℃/minにて30℃から70℃まで昇温し、70℃にて20分間保持、続いて昇温速度2.5℃/minにて70℃から120℃まで昇温し、120℃にて20分間保持、続いて昇温速度4.6℃/minにて120℃から300℃まで昇温し、300℃にて5分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。得られたフィルムをガラス板から剥離して、各種特性の測定を行った。
〔実施例5〕
窒素ガスで置換した反応容器中にm-TD1.79g(8.4ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを15.44g、炭酸ストロンチウム分散液を0.98g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は18質量%である。この溶液にCpODA0.32g(0.8ミリモル)、CBDA1.49g(7.6ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は5.1質量%である。
このポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度3℃/minにて30℃から80℃まで昇温し、80℃にて30分間保持、続いて昇温速度3℃/minにて80℃から260℃まで昇温し、260℃にて10分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。得られたフィルムをガラス板から剥離して、各種特性の測定を行った。
〔実施例6〕
炭酸ストロンチウム分散液1.12gに合成例2で得られたポリアミック酸溶液20.14gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は5.0質量%である。
このポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度5℃/minにて30℃から310℃まで昇温し、310℃にて20分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。得られたフィルムをガラス板から剥離して、各種特性の測定を行った。
〔比較例1〕
合成例1で得られたポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度3℃/minにて30℃から350℃まで昇温し、350℃にて10分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。得られたフィルムをガラス板から剥離して、各種特性の測定を行った。
〔実施例7〕
炭酸ストロンチウム分散液0.45gに合成例1で得られたポリアミック酸溶液20.10gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は2.5質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例2と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例8〕
炭酸ストロンチウム分散液1.81gに合成例1で得られたポリアミック酸溶液19.99gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は10質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例2と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例9〕
炭酸ストロンチウム分散液3.63gに合成例1で得られたポリアミック酸溶液20.03gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は20質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例2と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔比較例2〕
合成例2で得られたポリアミック酸溶液を、基材のガラス板上にスピンコーターにより塗布し、その塗膜を窒素雰囲気化にて昇温速度5℃/minにて30℃から310℃まで昇温し、310℃にて20分間加熱処理し、ガラス板上に厚さ10μmのポリイミドフィルムを形成した。但し、剥離試験については、試験サンプルを作ろうとしたが、ガラス板とポリイミドフィルムの密着力が大きく、フィルムの掴み部を作ることができず、測定できなかった。
〔比較例3〕
窒素ガスで置換した反応容器中にBAFL1.35g(3.9ミリモル)、BAPB3.34g(9.1ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを38.94g、炭酸ストロンチウム分散液を0.56g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は21質量%である。この溶液にCpODA1.25g(3.2ミリモル)、PPHT4.55g(9.7ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は1.0質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔比較例4〕
窒素ガスで置換した反応容器中にBAFL1.36g(3.9ミリモル)、BAPB3.34g(9.1ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを38.36g、炭酸ストロンチウム分散液を1.13g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は21質量%である。この溶液にCpODA1.25g(3.2ミリモル)、PPHT4.56g(9.7ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は2.0質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例10〕
炭酸ストロンチウム分散液0.56gに合成例2で得られたポリアミック酸溶液19.79gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は2.5質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例11〕
窒素ガスで置換した反応容器中にBAFL1.36g(3.9ミリモル)、BAPB3.34g(9.1ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを37.82g、炭酸ストロンチウム分散液を1.70g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は21質量%である。この溶液にCpODA1.25g(3.2ミリモル)、PPHT4.56g(9.7ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は3.0質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例12〕
窒素ガスで置換した反応容器中にBAFL1.36g(3.9ミリモル)、BAPB3.34g(9.1ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを37.26g、炭酸ストロンチウム分散液を2.26g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は21質量%である。この溶液にCpODA1.25g(3.2ミリモル)、PPHT4.56g(9.7ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は4.0質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例13〕
炭酸ストロンチウム分散液2.23gに合成例2で得られたポリアミック酸溶液20.02gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は10質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例14〕
窒素ガスで置換した反応容器中にBAFL0.81g(2.3ミリモル)、BAPB2.01g(5.4ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを18.63g、炭酸ストロンチウム分散液を5.08g加え室温で30分間攪拌した。仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)は21質量%である。この溶液にCpODA0.75g(1.9ミリモル)、PPHT2.73g(5.8ミリモル)を徐々に加え、室温で12時間撹拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は15.0質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔実施例15〕
炭酸ストロンチウム分散液4.47gに合成例2で得られたポリアミック酸溶液20.06gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は20質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔比較例5〕
窒素ガスで置換した反応容器中にBAFL15.05g(43.2ミリモル)、BAPB 37.13g(100.8ミリモル)を入れ、N-メチル-2-ピロリドンを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が21質量%となる量の413.48gを加え、室温で30分間攪拌した。この溶液にCpODA13.84g(36.0ミリモル)、PPHT50.58g(108.0ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液15.0gに、炭酸ストロンチウム分散液5.92gを加え、室温で12時間攪拌し均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、炭酸ストロンチウムの割合は33質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。
〔比較例6〕(SiO添加)
実施例12において、炭酸ストロンチウム分散液の代わりに、SiO分散液(日産化学製DMAc-ST,Lot.220155,SiO含有率:20wt%)を2.11g加えた以外は、実施例12を繰り返して、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミドモノマー総量に対する、SiOの割合は4.0質量%である。このポリアミック酸溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてポリイミドフィルムを形成し、各種特性の測定を行った。但し、剥離試験については、試験サンプルを作ろうとしたが、ガラス板とポリイミドフィルムの密着力が大きく、フィルムの掴み部を作ることができず、測定できなかった。
Figure 0007215588000024
SrCOの添加量(%)は、ポリマー固形分を100質量%としたときの質量%を表す。
単位N/inはN/25.4mmである。
Figure 0007215588000025
Figure 0007215588000026
Figure 0007215588000027
Figure 0007215588000028
本発明は、フレキシブル電子デバイス、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、および電子ペーパー等の表示デバイス、太陽電池およびCMOS等の受光デバイスの製造に好適に適用することができる。

Claims (12)

  1. (a)ポリイミド前駆体、前記ポリイミド前駆体100質量部に対して2質量部超から33質量部未満の量の針状微粒子および溶媒を含有するポリイミド前駆体組成物を、基材上に塗布する工程、
    (b)前記基材上で前記ポリイミド前駆体組成物を加熱処理し、前記基材上にポリイミドフィルムが積層された積層体を製造する工程、
    (c)前記積層体のポリイミドフィルム上に、導電体層および半導体層から選ばれる少なくとも1つの層を形成する工程、および
    (d)前記基材と前記ポリイミドフィルムを、外力によって剥離する工程
    を有し、
    前記ポリイミド前駆体が、下記一般式(I)で表される構造および一般式(I)中のアミド構造の少なくとも1つがイミド化された構造から選ばれる繰り返し単位を含むことを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
    Figure 0007215588000029
    (一般式I中、X は4価の脂肪族基または芳香族基であり、Y は2価の脂肪族基または芳香族基であり、R およびR は互いに独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数3~9のアルキルシリル基である。)
  2. 前記針状微粒子が、炭酸ストロンチウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記基材が、ガラス板である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記基材がガラス板であって、前記積層体中の前記基材と前記ポリイミドフィルムの剥離強度が0.8N/in以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 前記基材と前記ポリイミドフィルムを剥離する工程において、レーザ照射を行わないことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. が脂環構造を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基である一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以下であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  7. 一般式(I)中のXが芳香族環を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  8. 一般式(I)中のXが脂環構造を有する4価の基であり、Yが芳香族環を有する2価の基であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  9. 一般式(I)中のXが芳香族環を有する4価の基であり、Yが脂環構造を有する2価の基であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  10. 一般式(I)のXが脂環構造を有する4価の基である繰り返し単位を全繰り返し単位中の60%超の割合で含有すること(但し、Xが脂環構造を有する4価の基であり且つYが脂環構造を有する2価の基である一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、50モル%以下である)を特徴とする請求項に記載の製造方法。
  11. 基材とこの基材に形成されたポリイミドフィルムとを有する積層体の、前記基材とポリイミドフィルムの間の剥離強度を低下させる方法であって、
    前記ポリイミドフィルム形成のためのポリイミド前駆体組成物が、針状微粒子を含有し、
    前記ポリイミド前駆体が、請求項1、6~10のいずれか1項で定義された繰り返し単位を含むことを特徴とする、積層体の剥離強度低下方法。
  12. 前記針状微粒子が、炭酸ストロンチウムであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
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