JP7214973B2 - 熱間プレス加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Description
図1~図2に示すように、熱間プレス加工装置1は、プレス成形品としてのピラー部品100を得るための金型、すなわち、プレス成形用の上型11及び下型12を備える。上型11は上型ホルダ13に固定されている。上型ホルダ13には、プレス機械が昇降するスライダ(図示省略)が取り付けられる。下型12は下型ホルダ14に固定されている。
図5は、ワークWの変態曲線を例示する図である。
まず、平板状のワークWを加熱して、Ac3点(変態温度のうち、フェライトからオーステナイトへの変態を完了する温度)以上に加熱する。これにより、ワークWは、オーステナイトへの変態を完了する。
図1に示すように、加熱したワークWを上型11と下型12の間に搬入する。
図2に示すように、上型11を下降させ、ワークWを上型11のプレス成形面15及び下型12のプレス成形面16に倣った形状にプレス成形する。このとき、上型11及び下型12それぞれの第1型部11A,12Aによって、ピラー部品100の上端部から中央部かけての部位が成形され、それぞれの第2型部11B,12Bによって、ピラー部品100の下端部が成形される。
上型11と下型12によってワークWをプレスした状態において、第1型部11A,12Aと第3型部11C,12Cの冷媒通路17,18に液状冷媒を通す。液状冷媒を通す時間は、液状冷媒として水を用いた場合は2~3秒程度に設定される。それと同時に、第2型部11B,12Bのヒータ19,20を発熱させる。ヒータ19,20の発熱により、第2型部11B,12Bは、例えば500℃程度に保温される。図5に示すように、ヒータ19,20の温度は、フェライト・ベイナイト生成領域の下限温度よりも高く設定してもよい。
図示は省略するが、上型11を上昇させてプレス成形されたワークWを脱型する。脱型されたワークWは、下型12から搬出される。
下型12から搬出されたワークWは、大気によって空冷される。これにより、第1及び第2ハードゾーンZh,Zbが生成された部位が、型冷却時よりも緩やかに冷却されて常温に至る。
こうして、プレス成形されたピラー部品100を得る。このピラー部品100は、単一の成形品でありながらも、第1ハードゾーンZhに起因した高強度と、ソフトゾーンZsに起因した伸び性とを両立させることができる。特に、このソフトゾーンZsによって、車両衝突時(特に側突時)に、その衝突エネルギを吸収することができる。
前記実施形態では、第2ハードゾーンZbに付されるビード形状として、ピラー部品100の板厚方向に向かって凸を成す形状について説明したが、本開示に係るビード形状は、これに限られない。例えば、図7(b)、及び、そのA2-A2断面に示すように、ピラー部品100’の第2ハードゾーンZbに対して、ステップ状に折曲して成るビード形状を付与してもよい。
前記実施形態では、成形品の一例として、自動車の車体構成部品としてピラー部品について説明したが、ここに開示した技術は、例えば、自動車の骨格構成部品に適用することもできる。サイドフレームを始めとする骨格構成部品に適用した場合、単一の成形品でありながらも、ハードゾーンに起因した高強度と、ソフトゾーンに起因した加工性とを両立させることができる。この場合においても、冷却時の意図しない変形を抑制し、成形品の加工精度を高めることができる。
100 ピラー部品
W ワーク
Zh 第1ハードゾーン
Zs ソフトゾーン
Zb 第2ハードゾーン(所定部位)
Claims (13)
- ワークを成形品に加工するための熱間プレス加工方法であって、
前記ワークを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により加熱されたワークをプレス成形するプレス工程と、
前記プレス工程によりプレス成形されたワークの一部を冷却してマルテンサイト変態させることにより、前記ワーク内にハードゾーンを生成する一方、該ワークの他部を冷却してフェライト・ベイナイト変態させることにより、前記ワーク内にソフトゾーンを生成する冷却工程と、を備え、
前記冷却工程を実行するとき、前記ソフトゾーン内の所定部位に対しては、前記フェライト・ベイナイト変態の代わりに前記マルテンサイト変態させることによって該所定部位における剛性および硬度の少なくとも一方を高めた後に、前記所定部位を含めて前記ワークの他部を冷却し、
前記冷却工程を実行するとき、前記剛性および硬度の少なくとも一方を高めるべく前記所定部位に焼き入れを施した後に冷却することで、前記ソフトゾーンを生成し、
前記所定部位は、前記ハードゾーンに対して独立した領域を区画するとともに、前記ハードゾーンと前記ソフトゾーンの境界線に沿って延設される
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - 請求項1に記載された熱間プレス加工方法において、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、前記ソフトゾーンにおける他の部位よりも高い剛性を有する形状を付与した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - 請求項2に記載された熱間プレス加工方法において、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、特定方向に延びるビード形状を付与した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - 請求項3に記載された熱間プレス加工方法において、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、前記ハードゾーンと前記ソフトゾーンとの境界に沿って延びるビード形状を付与した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - ワークを成形品に加工するための熱間プレス加工方法であって、
前記ワークを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により加熱されたワークをプレス成形するプレス工程と、
前記プレス工程によりプレス成形されたワークの一部を冷却してマルテンサイト変態させることにより、前記ワーク内にハードゾーンを生成する一方、該ワークの他部を冷却してフェライト・ベイナイト変態させることにより、前記ワーク内にソフトゾーンを生成する冷却工程と、を備え、
前記冷却工程を実行するとき、前記ソフトゾーン内の所定部位に対しては、前記フェライト・ベイナイト変態の代わりに前記マルテンサイト変態させることによって該所定部位における剛性および硬度の少なくとも一方を高めた後に、前記所定部位を含めて前記ワークの他部を冷却し、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、前記ソフトゾーンにおける他の部位よりも高い剛性を有する形状を付与するとともに、焼き入れを施した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載された熱間プレス加工方法において、
前記成形品が自動車の車体構成部品である
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - 請求項6に記載された熱間プレス加工方法において、
前記成形品が自動車の骨格構成部品である
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - 請求項6に記載された熱間プレス加工方法において、
前記自動車の車体組立時に車両上下方向となる方向を上下方向と呼称し、前記自動車の車体組立時に車両前後方向となる方向を前後方向と呼称すると、
前記成形品が、その長手方向を前記上下方向に沿わせた姿勢で組み付けられる自動車のピラー部品であり、
前記冷却工程では、前記ピラー部品の前記上下方向における上端部から中央部にかけての部分に前記ハードゾーンを構成し、前記ソフトゾーン内の前記所定部位に、前記前後方向に延びかつ剛性および硬度の少なくとも一方を高めた第2のハードゾーンを構成する
ことを特徴とする熱間プレス加工方法。 - ワークを成形品に加工するための熱間プレス加工装置であって、
前記ワークを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により加熱されたワークをプレス成形するプレス工程と、
前記プレス工程によりプレスされたワークの一部を冷却してマルテンサイト変態させることにより、前記ワーク内にハードゾーンを生成する一方、該ワークの他部を冷却してフェライト・ベイナイト変態させることにより、前記ワーク内にソフトゾーンを生成する冷却工程と、を実行し、
前記冷却工程を実行するとき、前記ソフトゾーン内の所定部位に対しては、前記フェライト・ベイナイト変態の代わりに前記マルテンサイト変態させることによって該所定部位における剛性および硬度の少なくとも一方を高めた後に、前記所定部位を含めて前記ワークの他部を冷却し、
前記冷却工程を実行するとき、前記剛性および硬度の少なくとも一方を高めるべく前記所定部位に焼き入れを施した後に冷却することで、前記ソフトゾーンを生成し、
前記所定部位は、前記ハードゾーンに対して独立した領域を区画するとともに、前記ハードゾーンと前記ソフトゾーンの境界線に沿って延設される
ことを特徴とする熱間プレス加工装置。 - 請求項9に記載された熱間プレス加工装置において、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、前記ソフトゾーンにおける他の部位よりも高い剛性を有する形状を付与した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工装置。 - 請求項10に記載された熱間プレス加工装置において、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、特定方向に延びるビード形状を付与した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工装置。 - 請求項11に記載された熱間プレス加工装置において、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、前記ハードゾーンと前記ソフトゾーンとの境界に沿って延びるビード形状を付与した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工装置。 - ワークを成形品に加工するための熱間プレス加工装置であって、
前記ワークを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により加熱されたワークをプレス成形するプレス工程と、
前記プレス工程によりプレスされたワークの一部を冷却してマルテンサイト変態させることにより、前記ワーク内にハードゾーンを生成する一方、該ワークの他部を冷却してフェライト・ベイナイト変態させることにより、前記ワーク内にソフトゾーンを生成する冷却工程と、を実行し、
前記冷却工程を実行するとき、前記ソフトゾーン内の所定部位に対しては、前記フェライト・ベイナイト変態の代わりに前記マルテンサイト変態させることによって該所定部位における剛性および硬度の少なくとも一方を高めた後に、前記所定部位を含めて前記ワークの他部を冷却し、
前記冷却工程を実行するとき、前記所定部位に対しては、前記ソフトゾーンにおける他の部位よりも高い剛性を有する形状を付与するとともに、焼き入れを施した後に冷却する
ことを特徴とする熱間プレス加工装置。
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