JP6646588B2 - ホットスタンプ成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
この製造方法によれば、成形品の延性部を焼なましする際に、延性部を保持具で押さえることにより延性部の熱変形が抑えられる(例えば、特許文献1参照。)。
成形品を焼なまして延性部に延性を持たせることにより、延性部をスポット溶接などの溶接接合部として用いることが可能になり、成形品を自動車などのフレームに採用することが可能になる。
しかし、延性部のなかから適切な箇所を選択して保持具で押さえることは難しく、延性部の熱変形を保持具で好適に抑えられないことが考えられる。
そこで、請求項2において、プレス部品に高強度部と一対のフランジとを含ませ、一対のフランジを焼なまして延性部とした。さらに、一対の延性部を溶接部として利用するようにした。
すなわち、成形品の延性部が熱変形することを熱歪抑制部で抑えることができる。これにより、例えば、成形品を再プレスして成形品の形状を矯正しなくても、ホットスタンプ成形品の精度を確保できる。
このように、帯状に形成された部位を一対のクランプで複数に区画し、区画した部位を焼なましすることにより、区画範囲の熱変形を一対のクランプで好適に抑制できる。これにより、延性部の熱変形を好適に抑制することができる。
図1に示すように、ホットスタンプ成形品10の製造方法は、鋼板のブランク材12を加熱する加熱工程E1と、加熱したブランク材12を高強度の成形素材14(すなわち、プレス部品15および左右の熱歪抑制部16,17)に成形するプレス工程E2と、プレス部品15の一部を焼なまし(すなわち、焼鈍)する焼なまし工程E3と、成形素材14から左右の熱歪抑制部16,17を除去する除去工程E4とを備えている。
以下、ホットスタンプ成形品10を「高強度成形品10」として説明する。
プレス工程E2において、加熱されたブランク材12を成形型23でホットスタンプ成形(すなわち、熱間プレス)して成形素材14を得る。ブランク材12を成形型23で成形素材14に成形する際に、成形素材14が成形型23に接触して急冷され、高強度の成形素材14を得ることができる。
プレス部品15は、断面略U字状に形成される高強度部25と、高強度部25の開口端25aから高強度部25の外側に張り出される左接合フランジ26および右接合フランジ27(一対のフランジ)とを含む。
高強度部25、左接合フランジ26および右接合フランジ27でプレス部品15が断面略ハット状に形成されている。
右側壁33の下辺から右接合フランジ(一対のフランジの他方)27が右外向きに張り出されている。右接合フランジ27は、右熱歪抑制部17に隣接する部位であり、高強度部25に沿って帯状に形成されている。
左接合フランジ26(左延性部41)に隣接して高強度の左熱歪抑制部16が設けられている。よって、左接合フランジ26を左延性部41に焼なましする際に、左延性部41の熱変形(すなわち、熱歪)が高強度の左熱歪抑制部16で抑えられる。
右接合フランジ27(右延性部42)に隣接して高強度の右熱歪抑制部17が設けられている。よって、右接合フランジ27を右延性部42に焼なましする際に、右延性部42の熱変形(すなわち、熱歪)が高強度の右熱歪抑制部17で抑えられる。
これにより、左延性部41および右延性部42の熱変形を、左熱歪抑制部16および右熱歪抑制部17でそれぞれ好適に抑制できる。
高強度部25、左延性部41および右延性部42で、断面略ハット状の高強度成形品(すなわち、高強度フレーム)10(図5参照)が形成される。
同様に、右熱歪抑制部17(具体的には、右連結部38)および右延性部42の右境界45をレーザ47により切断することにより、右延性部42から右熱歪抑制部17を除去する。
左熱歪抑制部16および右熱歪抑制部17を左延性部41および右延性部42から除去することにより、断面略ハット状の高強度成形品10(図5参照)が得られる。
このように、左熱歪抑制部16および右熱歪抑制部17を除去することにより、左熱歪抑制部16および右熱歪抑制部17の形状を大きく形成することが可能になる。これにより、左延性部41の熱変形を左熱歪抑制部16で好適に抑制できる。同様に、右延性部42の熱変形を右熱歪抑制部17で好適に抑制できる。
ここで、左延性部41に焼なましする際に、左延性部41の熱変形が左熱歪抑制部16(図3参照)で抑えられる。同様に、右延性部42に焼なましする際に、右延性部42の熱変形が右熱歪抑制部17(図3参照)で抑えられる。
これにより、例えば、高強度成形品10を再プレスして高強度成形品10の形状を矯正しなくても、高強度成形品10の精度を確保できる。
そこで、高強度成形品10に左右の延性部41,42を備えた。
すなわち、高強度成形品10の左延性部41および右延性部42を溶接部として利用することができる。
図6に示すように、焼鈍装置50は、床部51に固定されるベース52と、ベース52に設けられてプレス部品15を載せる載置台(図示せず)と、ベース52に矢印A−B方向へ移動自在に支持された支持部53と、支持部53に設けられた第1、第2のクランプ手段(一対のクランプ)54,55と、第1クランプ手段54および第2クランプ手段55間に配置されるレーザ手段56とを備えている。
図6においては、発明の理解を容易にするために左接合フランジ26を第1クランプ手段54および第2クランプ手段55で把持する例について説明して、右接合フランジ27を把持する説明を省略する。
第1上クランプ部61を下方に移動し、第1下クランプ部62を上方に移動する。これにより、第1上クランプ部61の先端61bおよび第1下クランプ部62の先端62bで成形素材14の左接合フランジ26を上下方向から把持する(すなわち、クランプする)。
第2上クランプ部64を下方に移動し、第2下クランプ部65を上方に移動する。これにより、第2上クランプ部64の先端64bおよび第2下クランプ部65の先端65bで成形素材14の左接合フランジ26を把持する(すなわち、クランプする)。
この状態において、支持部53を矢印A方向(すなわち、成形素材14の搬送方向)に移動することにより、第1クランプ手段54および第2クランプ手段55とともに成形素材14が矢印Aの方向に搬送される。
照射部57からレーザ58が照射されることにより、レーザ58が左接合フランジ26に照射される。この状態で、レーザ手段56を矢印A方向に移動することにより、第1クランプ手段54および第2クランプ手段55間の左接合フランジ26をレーザ58で焼なましすることができる。
図7(a)に示すように、第1クランプ手段54で左接合フランジ26の第1固定部位26bを把持することにより固定する。第1固定部位26bは、左接合フランジ26の左端部26aから間隔L1だけ離れている。
すなわち、左接合フランジ26が第1クランプ手段54で区画範囲L1に区画されている。
すなわち、左接合フランジ26が第1クランプ手段54および第2クランプ手段55で区画範囲L1に区画されている。
第2焼鈍部位72を焼なました後、第1クランプ手段54および第2クランプ手段55を矢印A方向に移動する。
すなわち、左接合フランジ26が第1クランプ手段54および第2クランプ手段55で区画範囲L1に区画されている。
すなわち、左接合フランジ26が第1クランプ手段54および第2クランプ手段55で区画範囲L1に区画されている。
第(mー2)焼鈍部位74の一部が第(mー1)焼鈍部位75の一部に重なることにより、左接合フランジ26の左端部26aから第(n−1)固定部位26hまでの距離L4が連続して焼なましされる。
第(mー1)焼鈍部位75を焼なました後、第1クランプ手段54および第2クランプ手段55を矢印A方向に移動する。
第(n)固定部位26jは、左接合フランジ26の右端部26iから間隔L1だけ離れている。
すなわち、左接合フランジ26が第2クランプ手段55で区画範囲L1に区画されている。
よって、左接合フランジ26が左延性部41(図3参照)に焼なましされる。
同様に、図6に示す右接合フランジ27を連続させて焼なましすることにより、右接合フランジ27を右延性部42(図3参照)とすることができる。加えて、右延性部42の熱変形も、左延性部41と同様に、好適に抑制できる。
図9(a)に示すように、断面略ハット状の高強度成形品10は、左延性部41や右延性部42の精度が確保されている。よって、高強度成形品10にプレート81を精度よく重ね合わせることができる。
具体的には、高強度成形品10の左延性部41にプレート81の左側部81aを精度よく重ね合わせることができる。同様に、高強度成形品10の右延性部42にプレート81の右側部81bを精度よく重ね合わせることができる。
すなわち、高強度成形品10およびプレート81で高剛性の閉断面フレームを形成することができる。
図10に示すように、変形例1の成形素材90は、実施例の成形素材14の左熱歪抑制部16を左熱歪抑制部(熱歪抑制部)92に代え、右熱歪抑制部17を右熱歪抑制部(熱歪抑制部)93に代えたもので、その他の構成は実施例の成形素材14と同様である。
よって、左接合フランジ26をレーザ58(図6参照)で左延性部41に焼なましする際に、左延性部41の熱変形を左熱歪抑制部92で抑制できる。
よって、右接合フランジ27をレーザ58で右延性部42に焼なましする際に、右延性部42の熱変形を右熱歪抑制部93で抑制できる。
よって、高強度成形品10を再プレスして高強度成形品10の形状を矯正しなくても、高強度成形品10の精度を確保できる。
すなわち、変形例1の成形素材90によれば、実施例の成形素材14と同様の効果が得られる。
図11に示すように、変形例2の成形素材95は、実施例の成形素材14の左熱歪抑制部16を左熱歪抑制部(熱歪抑制部)96に代え、右熱歪抑制部17を右熱歪抑制部(熱歪抑制部)98に代えたもので、その他の構成は実施例の成形素材14と同様である。
よって、左接合フランジ26をレーザ58(図6参照)で左延性部41に焼なましする際に、左延性部41の熱変形を左熱歪抑制部96で抑制できる。
よって、右接合フランジ27をレーザ58で右延性部42に焼なましする際に、右延性部42の熱変形を右熱歪抑制部98で抑制できる。
よって、高強度成形品10を再プレスして高強度成形品10の形状を矯正しなくても、高強度成形品10の精度を確保できる。
すなわち、変形例2の成形素材95によれば、実施例の成形素材14と同様の効果が得られる。
図12(a)に示すように、変形例3の成形素材102は、実施例の成形素材14の頂部31にも一対の熱歪抑制部103,104が間隔L6をおいて設けられたもので、その他の構成は実施例の成形素材14と同様である。
そこで、変形例3の成形素材102において、頂部31に一対の熱歪抑制部103,104を設け、一対の熱歪抑制部103,104間の部位31aをレーザ58(図6参照)で焼なまし可能とした。
成形素材102の左境界102aから左熱歪抑制部16を除去し、右境界102bから右熱歪抑制部17を除去することにより、高強度成形品100(図12(b)参照)が得られる。
すなわち、変形例3の成形素材102によれば、実施例の成形素材14と同様の効果が得られる。
図13(a)に示すように、変形例4の成形素材112は、平面視略矩形状にホットスタンプ成形された高強度の部材である。成形素材112は、中央に設けられたプレス部品113と、プレス部品113の周縁113aに連結される熱歪抑制部114とを有する。
すなわち、変形例4の成形素材112によれば、実施例の成形素材14と同様の効果が得られる。
図14(a)に示すように、自動車の車体120は軽量化などの観点から車体120に高強度成形品が採用される。具体的には、車体120の骨格材を構成する、左右のフロントサイドフレーム121、クロスメンバ122、左右のサイドシル123や左右のアッパメンバ124に高強度成形品が採用されている。
以下、右フロントサイドフレーム121に高強度成形品を採用する例について説明する。
図15(a)に示すように、成形素材131は、平面視略矩形状にホットスタンプ成形された高強度の部材である。成形素材131は、中央に設けられたプレス部品132と、プレス部品132の周縁132aに連結される熱歪抑制部133とを有する。
プレス部品132は、断面略U字状に形成される高強度部135と、高強度部135の上辺に沿って形成される上接合フランジ136と、高強度部135の下辺に沿って形成される下接合フランジ137とを有する。
熱歪抑制部133に上折曲フランジ138および下折曲フランジ139を形成することにより、上折曲フランジ138および下折曲フランジ139で熱歪抑制部133の剛性が確保されている。
上接合フランジ136および下接合フランジ137を上延性部141および下延性部124に焼なましした後、熱歪抑制部133を成形素材131の境界131aから除去することによりインナパネル(すなわち、高強度成形品)127(図16参照)が得られる。
上延性部141および下延性部142は、レーザ58で焼なましされることにより延性を有している。
これにより、アウタパネル126およびインナパネル127で高強度の右フロントサイドフレーム121が閉断面に形成される。このように、右フロントサイドフレーム121に高強度部材を採用することにより、右フロントサイドフレーム121の板厚寸法を小さく抑えることが可能になり、車体120は軽量化などを図ることができる。
図17(a)、図17(b)に示すように、変形例5の成形素材150は、図15の成形素材131の熱歪抑制部133を熱歪抑制部151に代えたもので、その他の構成は成形素材131と同様である。
熱歪抑制部151に上ビード153および下ビード154を形成することにより、上ビード153および下ビード154で熱歪抑制部151の剛性が確保されている。
同様に、下接合フランジ137をレーザ58で下延性部142に焼なましする際に、下延性部142の熱変形を熱歪抑制部151(特に、下ビード154)で抑制できる。
すなわち、変形例5の成形素材150によれば、図15の成形素材131と同様の効果が得られる。
図18(a)、図18(b)に示すように、変形例6の成形素材160は、図15の成形素材131の熱歪抑制部133を熱歪抑制部161に代えたもので、その他の構成は成形素材131と同様である。
すなわち、変形例6の成形素材160によれば、図15の成形素材131と同様の効果が得られる。
例えば、前記実施例では、左接合フランジ26および右接合フランジ27をレーザ58で焼なましする例について説明したが、これに限らないで、左接合フランジ26および右接合フランジ27を高周波誘導加熱などの他の方法で焼なましすることも可能である。
高周波誘導加熱は、コイルに交流電流を流すことにより左接合フランジ26および右接合フランジ27を加熱する、一般に採用されている加熱方法である。
12 ブランク材
15,113,132 プレス部品
16,17,92,93,96,98 左右の熱歪抑制部(熱歪抑制部)
25,135 高強度部
25a 高強度部の開口端
26 左接合フランジ(左熱歪抑制部に隣接する部位)
27 右接合フランジ(右熱歪抑制部に隣接する部位)
36,39 左右の折曲フランジ(折曲フランジ)
41,42 左右の延性部(延性部)
54,55 第1、第2のクランプ手段(一対のクランプ)
58 レーザ
103,104 一対の熱歪抑制部
105,118,119 延性部
114,133,151,161 熱歪抑制部
116,117 焼なまし部位(熱歪抑制部に隣接する部位)
126 アウタパネル(高強度成形品)
127 インナパネル(高強度成形品)
136,137 上下の接合フランジ(熱歪抑制部に隣接する部位)
138,139 上下の折曲フランジ(折曲フランジ)
141,142 上下の延性部(延性部)
E1 加熱工程
E2 プレス工程
E3 焼なまし工程
E4 除去工程
L1 間隔
Claims (2)
- 鋼板のブランク材をオーステナイト組織になるまで加熱する加熱工程と、
加熟したブランク材をホットスタンプ成形で高強度のプレス部品および熟歪抑制部に一体成形するプレス工程と、
前記プレス部品のうち、前記熟歪抑制部に隣接する部位の熱変形を前記熟歪抑制部で抑えた状態で、前記隣接する部位を焼なまして延性を有する延性部とする焼なまし工程と、
を備え、
前記プレス部品のうち前記熟歪抑制部に隣接する部位が帯状に形成され、
前記焼なまし工程の際に、前記帯状に形成された部位を間隔をおいて一対のクランプで固定し、
前記一対のクランプ間を焼なました後、前記一対のクランプを移勤し、
移動した一対のクランプ間を焼なましする工程を順次繰り返して、前記帯状に形成された部位を連続させて焼なましすることにより前記延性部とする、ホットスタンプ成形品の製造方法。 - 鋼板のブランク材をオーステナイト組織になるまで加熱する加熱工程と、
加熟したブランク材をホットスタンプ成形で高強度のプレス部品および熟歪抑制部に一体成形するプレス工程と、
前記プレス部品のうち、前記熟歪抑制部に隣接する部位の熱変形を前記熟歪抑制部で抑えた状態で、前記隣接する部位を焼なまして延性を有する延性部とする焼なまし工程と、
を備え、
前記プレス工程において、前記プレス部品を成形することにより、前記プレス部品に、断面略U字状に形成される高強度部と、該高強度部の開口端から前記高強度部の外側に張り出される一対のフランジとを含み、
前記なまし工程において、前記一対のフランジを焼なまして一対の延性部とし、
前記一対の延性部を溶接部として利用する、ホットスタンプ成形品の製造方法。
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