JP2013244507A - プレス成形品の通電加熱方法及びそれに用いる通電加熱装置、並びに、プレス製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の第一態様は、鋼板をプレスすることによって所定形状に成形されたプレス成形品に対して通電加熱を施す方法に関し、前記プレス成形品の任意断面における断面形状に沿った立体形状を有する対の立体電極を配置し、当該立体電極間に通電することにより前記プレス成形品を加熱することを特徴とする。プレス成形品への通電加熱の第一実施形態において、前記プレス成形品は、前記鋼板を熱間プレスにより所定形状に成形するとともに、当該プレス型内で所定時間保持されることにより焼き入れが施されたものであり、前記立体電極による通電加熱によって、前記プレス成形品の通電部位に焼き戻しが施される。
【選択図】図4
Description
その他、プレス成形品の特定部位にレーザー光を照射することにより、部分的に加熱して焼き戻す方法があるが、レーザー照射に時間がかかることから量産工程への実用化には不向きである。
このような理由により、防錆に必要なめっき量を確保するためには、型に付着するめっき量を見込んでめっき層を厚くする、又は、ダイクエンチ後にめっきを塗布するなど、特殊な工程の追加が必要となっており、コスト的、サイクルタイム的に好ましくない。
前記鋼板に対する熱間プレスは、鋼板を通電加熱、炉加熱、高周波加熱等の加熱手段を用いて加熱した後に行われるものである。また、熱間プレスと焼き入れとによって得られるプレス成形品の他に、焼き戻し特性を有する鋼板を冷間プレスすることによって得られるプレス成形品に対しても適用可能である。
前記鋼板に対する熱間プレスは、鋼板を通電加熱、炉加熱、高周波加熱等の加熱手段を用いて加熱した後に行われるものである。また、熱間プレスと焼き入れとによって得られるプレス成形品の他に、焼き戻し特性を有する鋼板を冷間プレスすることによって得られるプレス成形品に対しても適用可能である。
図1は、プレス製品の第一実施形態を示す。プレス製品1は、長手方向に連続するハット断面を有し、所定の製品形状を有する。またプレス製品1は、その用途に応じて、長手方向に沿った強度分布を有する。
例えば、図1に示すように、プレス製品1は、引張強度が1500MPa程度となる高強度部位A、同じく引張強度が1200MPa程度となる中強度部位Bを有し、長手方向の両端部に高強度部位Aが、中央部に中強度部位Bがそれぞれ位置するような強度分布を有する。
ここでは、ワークへの加熱の一例として、通電加熱を用いる実施形態について示しているが、これに限定されず、炉加熱、高周波加熱等、他の加熱手段を用いてワークを加熱することも可能である。
また、ホットスタンプによって高強度化されたプレス成形品を得る場合だけでなく、例えば、焼き戻し特性を有するワークを冷間プレスによって成形したプレス成形品に対しても本実施形態と同様の方法を適用可能である。
立体電極10は、プレス成形品3の表面の一側(図示では下側)に接触可能に配置され、その他側(上側)にはワーク押さえ20が配置される。立体電極10とワーク押さえ20とによって、プレス成形品3を厚み方向から挟持した状態で通電加熱が行われる。
また、立体電極10の形状に応じて、ワーク押さえ20も同様にプレス成形品3の外形形状に沿った立体形状を有する。つまり、立体形状の立体電極10とワーク押さえ20とによって、ハット断面に形成されたプレス成形品3の任意箇所を挟持可能としている。
プレス成形品3への通電加熱が可能となることによって、焼き戻しにかかる加熱時間を短縮することができ、量産工程への適用が容易である。
また、立体電極10を用いることによって、プレス成形品3の任意の個所を任意の条件で通電加熱することができ、プレス製品1の強度分布を自由に設計できる。
例えば、図5(a)に示すように、立体電極10におけるプレス成形品3の角部に対応する部分を部分的に取り除いて分割して、バー電極の組み合わせによって構成する、又は、図5(b)に示すように、立体電極10におけるプレス成形品3の角部に対応する部分を湾曲形状にしてプレス成形品3との間に間隔を設ける構成でも良い。これらの場合、立体電極10とプレス成形品3との接触がない角部では、電流端部からの回り込み等によって、接触している状態と略同等の電流が流れる。また、図5(a)に示すように、プレス成形品3の天板部にビード等が形成され、立体電極10との接触が部分的にない状態でも周囲からの電流の回り込み等によって十分な加熱量を確保できる。
このように、立体電極10の形状を厳密にプレス成形品3の外形形状に合わせるのではなく、十分な加熱条件を確保できる範囲内で電極を部分的に分割する又は湾曲させることにより形状制限の大きい部位に緩やかに沿わせることで、電極の製造コストを抑えることができる。また、角部に余裕を持たせることで、通電加熱時のプレス成形品3の熱変形にも対応できる。
図6に示す実施形態では、プレス成形品3に立体電極10を複数対配置し、それぞれの電極対に印加する電流量を変えて各通電領域での加熱量を変えることで、焼き戻し具合を変更している、このように、プレス製品1の強度分布を自由に設計できる。
図7は、プレス製品の第二実施形態を示す。プレス製品51は、長手方向に連続するハット断面を有し、所定の製品形状を有する。またプレス製品51は、その用途に応じて、適宜の強度を有するとともに、表面に防錆処理が施されている。
例えば、図7に示すように、プレス製品51は、引張強度が1500MPa程度であり、表面に防錆用の亜鉛めっきが施されている。
図8に示すように、亜鉛めっきが施された矩形平板状のめっき鋼板52を冷間プレスして所定形状にプレス成形し、プレス成形品53を成形する。プレス成形品53の長手方向両端に対の立体電極10を配置して、立体電極10間に通電して全体を一様に加熱した後、所定の(例えば、プレス成形品53の形状に形成されるキャビティ空間を有する)型内で所定時間保持して急冷する焼き入れを経てプレス製品51が製造される。
このように、本実施形態によれば、立体電極10を用いてプレス成形品53への通電加熱を行うことにより、プレス成形工程とクエンチ工程を分けることができる。このため、高強度を有するとともに、高い防錆性能を有するめっき鋼板52を用いたプレス製品51を製造可能である。
また、通電加熱を用いることにより、加熱時間を短縮して、めっき鋼板52の合金化を抑制できる。
Claims (6)
- 鋼板をプレスすることによって所定形状に成形されたプレス成形品に対して通電加熱を施す方法であって、
前記プレス成形品の任意断面における断面形状に沿った立体形状を有する対の立体電極を配置し、当該立体電極間に通電することにより前記プレス成形品を加熱することを特徴とするプレス成形品の通電加熱方法。 - 前記プレス成形品は、前記鋼板を熱間プレスにより所定形状に成形するとともに、当該プレス型内で所定時間保持されることにより焼き入れが施されたものであり、
前記立体電極による通電加熱によって、前記プレス成形品の通電部位に焼き戻しが施される請求項1に記載のプレス成形品の通電加熱方法。 - 前記プレス成形品は、前記鋼板を冷間プレスにより所定形状に成形されたものであり、
前記鋼板は、表面にめっき処理が施されたものである請求項1に記載のプレス成形品の通電加熱方法。 - 鋼板をプレスすることによって所定形状に成形されたプレス成形品に対して通電加熱を行う通電加熱装置であって、
前記プレス成形品の任意断面における断面形状に沿った立体形状を有する対の立体電極と、前記立体電極間に電流を印加する電源装置とを具備することを特徴とする通電加熱装置。 - 鋼板をプレスすることによって所定形状に成形されたプレス成形品に対して通電加熱を行うことによって得られるプレス製品であって、
前記プレス成形品は、前記鋼板を熱間プレスにより所定形状に成形するとともに、当該プレス型内で所定時間保持して焼き入れすることにより得られ、
前記プレス成形品の任意断面における断面形状に沿った立体形状を有する対の立体電極を用いて通電加熱し、前記プレス成形品の通電部位に焼き戻しが行われることによって、複数種類の強度を有することを特徴とするプレス製品。 - 表面にめっき処理が施された鋼板をプレスすることによって所定形状に成形されたプレス成形品に対して通電加熱を行うことによって得られるプレス製品であって、
前記プレス成形品は、前記鋼板を冷間プレスにより得られ、
前記プレス成形品の両端部におけるそれぞれの断面形状に沿った立体形状を有する対の立体電極を用いて通電加熱した後、型内で所定時間保持されることにより焼き入れが施されることによって得られることを特徴とするプレス製品。
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