JP7214947B2 - 車両用シート - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シートに関し、特に、シートクッションの側面が薄型化された車両用シートに適用可能である。
車両用シートには、表皮に凹部を有するものがある(特開2005-13621号公報を参照)。このような車両用シートの凹部は、緩衝体(パッド)を凹部形状に成型し、その緩衝体に表皮を被せることによって実現されている。
特開2005-13621号公報
本願発明者らは、車両用シートにおいて、運転席側シートと助手席側シートとの間に幅の広いコンソールボックスを設置するため、コンソールボックスが配置される部分に対応するシートクッションの側面部の薄型化を検討し、シートクッションの側面部に対応するパッドの側面を部分的に削除する技術について考察を行った。この結果、パッドの側面を部分的に削除したことにより、シートクッションの側面部の表皮を均一に設けることができず、表皮にしわが発生することが分かった。このため、シートクッションの側面部の外観が不安定となることが分かった。
本発明の目的は、シートクッションの側面部が薄型化された場合であっても、シートクッションの側面部の外観を安定化することが可能な技術を提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を有する。前記シートクッションは、サイドフレームを有するクッションフレームと、前記サイドフレームに取り付けられたトリムワイヤと、前記クッションフレームの上に設けられたパッドと、前記パッドを覆う様に設けられた表皮と、前記シートクッションの側面部に対応する前記表皮の裏面に設けられた外形規定板と、を有する。前記シートクッションの前記側面部は、後方部分と、前方部分と、前記後方部分と前記前方部分との間に設けられた中間部分と、を含む。前記トリムワイヤは、前記後方部分に対応して設けられた第1部分と、前記前方部分に対応して設けられた第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、前記中間部分に対応して設けられた第3部分と、を含む。前記シートクッションの前記側面部に対応する前記表皮の端部は、前記トリムワイヤの前記第1部分に掛けられた第1フック部と、前記トリムワイヤの前記第2部分に掛けられた第2フック部と、を含む。
上記車両用シートによれば、シートクッションの側面部の外観を安定化することが可能である。
図1は、実施例に係る車両用シートの斜視図である。 図2は、図1のシートクッションの右側面部に設けられた外形規定板を説明する図である。 図3は、比較例1に係る車両用シートを上から見た場合の概念的な上面図である。 図4は、図3のA-A線に沿うシートクッションの断面図である。 図5は、比較例2に係る車両用シートを上から見た場合の概念的な上面図である。 図6は、図5のB-B線に沿うシートクッションの断面図である。 図7は、実施例に係るシートクッションの断面図である。 図8は、実施例に係るシートクッションの概念的な斜視図である。 図9は、外形規定板を湾曲した形状とするための構成例を説明する図である。 図10は、表皮とトリムワイヤとを説明する図である。 図11は、外形規定板の表皮への取り付け例を説明する図である。 図12は、実施例に係るシートクッションフレームの構成例を示す斜視図である。 図13は、実施例に係るシートクッションフレームの構成例を示す上面図である。 図14は、図13のシートクッションフレームにパッドを設けた状態を示すシートクッションの上面図である。 図15は、表皮が取り付けられたシートクッションを裏側から見た状態を示す斜視図である。 図16は、実施例に係るシートクッションの右側面部のパッドの構成例を示す斜視図である。 図17は、図3のシートクッション2rの右側面部2SRrのパッド20rの構成例を示す斜視図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、図面において、矢印前は車両の前方を示し、矢印後は車両の後方を示し、矢印左は車両の左側方を示し、矢印右は車両の右側方を示し、矢印上は車両の上方を示し、矢印下は車両の下方を示している。また、以下の説明においては、特別に断らない限り、前、後や上、下、左、右については、車両に対しての前、後や上、下、左、右を意味するものとする。
図1は、実施例に係る車両用シートの斜視図である。図1に示す車両用シート1は、車両の進行方向に対して、左側シート(たとえば、助手席側シート)を例示的に示している。図1に示す様に、車両用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、シートバック3の上部に設けられたヘッドレスト4と、を有する。シートクッション2は座面を構成し、シートバック3は背もたれを構成する。車両用シート1は、シートクッション2とシートバック3との角度調整を可能にするリクライニング機構を有し、リクライニング機構によりシートクッション2とシートバック3とが連結されている。シートクッション2は、車両用シート1の前後方向の位置調整を可能にするスライド機構を有している。
シートクッション2は、シートクッションフレーム(不図示)と、シートクッションフレームに取り付けられた緩衝部材としてのパッド(不図示)と、パッドを覆う様に設けられた表皮9と、を含む。シートバック3も、同様に、シートバックフレーム(不図示)と、シートバックフレームに取り付けられた緩衝部材としてのパッド(不図示)と、パッドを覆う様に設けられた表皮9bと、を含む。
シートクッションフレームやシートバックフレームは、サイドフレームやパイプフレーム等を含み、剛性の高い材料、例えば鋼材によって構成されている。シートクッションフレームやシートバックフレームは、また、パッドを支えるための金属製のばね部材を含む。表皮9,9bは、たとえば、皮、革、合成皮革、布、それらとの同等物、又はそれらを組み合わせた部材によって構成することができる。パッドは、着座者にクッション性を付与する部材、たとえば、発泡性の樹脂であるウレタンによって構成することができる。
シートクッション2は、右側面部2SRと、左側面部2SLと、を含む。右側面部2SRは、シートクッション2の右側面部2SRに対応するパッドの側面が部分的に削除された構成とされている。これにより、シートクッション2の右側面部2SRが、左側面部2SLと比較して、薄型化されている。より具体的には、右側面部2SRは、後方側面を構成する後方部分5と、前方側面を構成する前方部分6と、後方部分5と前方部分6との間に位置し、中間側面を構成する中間部分7と、を含む。前方部分6は、後方部分5と比較して、シートクッション2の中央を示す線8との距離が短くされている。中間部分7は、シートクッション2を上から見た平面視において、後方部分5と前方部分6とを繋ぐように、斜めの面となっている。つまり、中間部分7は、後方部分5から前方部分6へ向かうにつれて、シートクッション2の中央を示す線8に近づく方向に傾斜する様な傾斜面として構成されている。
図2は、図1のシートクッション2の右側面部2SRに設けられた外形規定板10を説明する図である。図2には、右側面部2SRの表皮9を取り除いた状態が示されている。右側面部2SRには、外形規定板10が設けられている。外形規定板10は、右側面部2SRに対応する表皮9の裏面側に設けられている。外形規定板10は、シートクッション2の後方部分5、中間部分7および前方部分6の外観形状を規定する様に、曲げられている。外形規定板10は、たとえば、所望の平面形状に加工された剛性のある樹脂製の薄い平板により構成される。外形規定板10は、一例では、ポリプロピレン(PP)製の薄い樹脂板を利用することができる。
このように、右側面部2SRに対応する表皮9の裏面側に外形規定板10を設けることで、右側面部2SRに対応する表皮9にしわが発生することを防止し、右側面部2SRに対応する表皮9の外観を安定化させることができる。
図1および図2では、車両の進行方向に対して、左側シート(たとえば、助手席側シート)について説明したが、車両の進行方向に対して、右側シート(たとえば、運転席側シート)にも適用可能である。右側シート(たとえば、運転席側シート)の場合、シートクッション2の左側面部2SLが薄型化されることになるので、シートクッション2の左側面部2SLに、上記と同様に、後方部分5、中間部分7および前方部分6が設けられる。そして、シートクッション2の左側面部(2SL)に対応する表皮9の裏面側に、外形規定板10が設けられることになる。したがって、シートクッション2の左側面部2SLが薄型化された右側シートとシートクッション2の右側面部2SRが薄型化された左側シートとを並べることで、右側シートの前方部分6と左側シートの前方部分6との間が、右側シートの後方部分5と左側シートの後方部分5との間と比較して、広くできる。したがって、幅の広いコンソールボックスを右側シートの前方部分6と左側シートの前方部分6との間に配置することができる。なお、左側シートまたは右側シートの一方のシートの対応する側面部(左側シートの場合は右側面部2SR、右側シートの場合の左側面部2SL)が薄型化され構成でもよい。
(課題の説明)
次に、図3~図6を用いて、課題を説明する。
(比較例1)
図3は、比較例1に係る車両用シート1rを上から見た場合の概念的な上面図である。図4は、図3のA-A線に沿うシートクッション2rの断面図である。図3に示す様に、車両用シート1rは、シートクッション2rと、シートバック3rと、ヘッドレスト4rと、を含む。シートクッション2rの幅、つまり、シートクッション2rの右側面部2SRrとシートクッション2rの左側面部2SLrとの間の距離は、L1とする。
図4に示す様に、パッド20rの裏面BSは、シートクッションフレーム30の右サイドフレーム31とシートクッションフレーム30の複数のばね部材32とに支えられるように、設けられる。右サイドフレーム31の下側は、シートレールのアッパシートレール33に接続されている。パッド20rは、右側面部2SRrにおいて、右サイドフレーム31の外側に設けられた凸部21rを有している。
表皮9rは、パッド20rの上面(表面)FSおよび凸部21rの側面SSrに沿うように、パッド20rを覆っている。表皮9rの端部9erは、縫合線70rにおいて、J型フック12rと縫い合わせされている。J型フック12rは、シートクッションフレーム30に設けられたトリムワイヤ35rに掛けられている。表皮9rの端部9erに設けたJ型フック12rをトリムワイヤ35rにはめ込むことで、表皮9rがパッド20rの上面(表面)FSおよび凸部21rの側面SSrに沿うように、張りつめられている。
比較例1では、右側面部2SRrにおいて、パッド20rが凸部21rを有しているので、しわ等が表皮9rに発生しづらい構成となっている。
(比較例2)
図5は、比較例2に係る車両用シート1を上から見た場合の概念的な上面図である。図6は、図5のB-B線に沿うシートクッション2の断面図である。図5に示す様に、図1と同様に、車両用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4と、を含む。シートクッション2は、図3のシートクッション2rから削除部100が削除された構成とされている。シートクッション2の右側面部2SRは、後方部分5と、中間部分7と、前方部分6と、を有している。つまり、シートクッション2の右側面部2SRは、図3のシートクッション2rの右側面部2SRrと比較して、前方部分6と中間部分7とにおいて、薄型化されている。
シートクッション2の前方部分6と左側面部2SLとの間の幅(距離)L2は、シートクッション2rの右側面部2SRrとシートクッション2rの左側面部2SLrとの間の距離L1と比較して、狭くされている(L2<L1)。また、シートクッション2の中央を示す線8と前方部分6との間の距離L3は、線8と後方部分5と間の距離L4と比較して、短くされている(L3<L4)。また、線8と前方部分6との間の距離L3は、線8と左側面部2SLと間の距離L5と比較して、短くされている(L3<L5)。なお、距離L4と距離L5とは、特に制限されないが、ほぼ同じ値にされている。このようにして、シートクッション2の右側面部2SRは、シートクッション2の左側面部2SLと比較して、薄型化される。
このようなシートクッション2の右側面部2SRの構成とするため、削除部100において、右側面部2SRに対応する部分のパッドが部分的に削除されている。
図6に示すパッド20は、図4に示すパッド20rの凸部(パッド20の垂れ部ともいう)21rおよび凸部21rの上部に位置するパッドが削除された構成に対応している。図6において、凸部21rが削除されたことにより、右側面部2SRにおける表皮9rの支えが無い状態となっている。このため、右側面部2SRにおける表皮9rに、しわ101が発生し、シートクッション2の右側面部2SRの外観が不安定となることが分かった。図6の他の構成は、図4の構成と同じであるので、重複する説明は省略する。
(外形規定板10の構成例)
図7は、実施例に係るシートクッション2の断面図である。図7は、図6に対応するように、図5のB-B線に沿う断面図として描かれている。図7において、右側面部2SRにおける表皮9の裏面側には、外形規定板10が設けられる。これにより、右側面部2SRに対応する表皮9にしわが発生することを防止し、右側面部2SRに対応する表皮9の外観を安定化させることができる。
図7に示す様に、表皮9の端部9eは、縫合線70において、J型フック12と外形規定板10と共に、縫い合わせされている。J型フック12は、シートクッションフレーム30に設けられたトリムワイヤ35に掛けられている。表皮9の端部9eに設けたJ型フック12をトリムワイヤ35にはめ込むことで、表皮9がパッド20の上面(表面)FSに沿うように、張りつめられている。図7の他の格子柄は、図4や図6の構成と同じであるので、重複する説明は省略する。
なお、J型フック12は、固定部またはフック部と言い換えることができる。以下の説明では、J型フックを代表例として説明するが、表皮9の端部9eをトリムワイヤ35に固定可能な構成の固定部材であればよく、J型フックに限定されるものではない。
図8は、実施例に係るシートクッション2の概念的な斜視図である。図8に示す様に、外形規定板10は、シートクッション2の右側面部2SRにおいて、後方部分5、中間部分7および前方部分6の各側面に沿うように、湾曲した形状またはクランク形状にされて設けられている。外形規定板10は、1枚の薄い平らな板状の樹脂平板が利用される。
図9は、外形規定板10を湾曲した形状とするための構成例を説明する図である。図10は、表皮9とトリムワイヤ35とを説明する図である。
図9に示す様に、シートクッションフレームに取り付けられるトリムワイヤ35は、右側面部2SRの後方部分5、中間部分7および前方部分6の各側面を構成するため、第1部分351と、第2部分352と、第1部分351と第2部分352との間に設けられた第3部分353と、を有する。第1部分351は、後方部分5の側面を構成するために、後方部分5に対応して設けられる。第2部分352は、前方部分6の側面を構成するために、前方部分6に対応して設けられる。第3部分353は、中間部分7の側面を構成するために、中間部分7に対応して設けられる。つまり、トリムワイヤ35は、右側面部2SRの後方部分5、中間部分7および前方部分6の各側面を構成するため、後方部分5、中間部分7および前方部分6の各側面を上方から見た場合の曲線と相似する様な曲線に曲げられている。
図10に示す様に、外形規定板10は、右側面部2SRに対応する表皮9の裏面側に設けられている。表皮9の端部9eには、J型フック12(121~123)が設けられている。J型フック12は、この例では、第1フック部121と、第2フック部122と、第3フック部123と、を含む。第1フック部121は、トリムワイヤ35の第1部分351に掛けられる。第2フック部122および第3フック部123は、トリムワイヤ35の第2部分352に掛けられる。
表皮9の端部9eに設けられたJ型フック12(121~123)を、トリムワイヤ35の第1部分351、第2部分352に取り付けることによって、外形規定板10が、図9で示す様に、トリムワイヤ35の曲線に沿う様に、湾曲した形状またはクランク形状に変形され、表皮9が右側面部2SRの右側面部2SRの後方部分5、中間部分7および前方部分6の各側面を構成する。トリムワイヤ35の第3部分353には、J型フックが取り付けられていないが、第1フック121と第2フック部122とを、トリムワイヤ35の第1部分351と第2部分352とに掛けることによって、外形規定板10を変形させて、右側面部2SRの中間部分7の側面を湾曲した形状またはクランク形状に成形している。
図9、図10で説明した様に、1枚の外形規定板10を湾曲した形状またはクランク形状に変形できるので、右側面部2SRの形状に対応するように表皮9を張ることができる。また、外形規定板10を設けることで、右側面部2SRにしわが発生することを防止し、右側面部2SRに対応する表皮9の外観を安定化させることができる。
図9、図10では、1枚の外形規定板10を利用する構成を説明したが、これに限定されるわけではない。外形規定板10は、複数の外形規定板として構成されても良い。ただし、複数の外形規定板を利用すると、複数の外形規定板の間の継ぎ目が右側面部2SRの表皮9に現れることに、注意する必要がある。
一方、外形規定板10を1枚とすることにより、外形規定板10を複数の外形規定板とした構成した場合と比較して、右側面部2SRの表皮9に継ぎ目が現れることが無いので、右側面部2SRに対応する表皮9の外観をさらに向上することができる。
(外形規定板10の表皮9への取り付け例)
図11は、外形規定板10の表皮9への取り付け例を説明する図である。表皮9は、第1表皮91と、第2表皮92と、第3表皮93と、を含む。第1表皮91は、表面91sと裏面91bとを有する。第1表皮91の表面91sは、右側面部2SRの表皮部分として現れる面である。第2表皮92は、たとえば、シートクッション2の座面側(たとえば、腰部サポート部)に現れる表皮部分とされる。
外形規定板10は、第1表皮91の裏面91bと第3表皮93との間に配置される。第1表皮91の端部91eは、外形規定板10の下部10dを覆う様に、J型フック12の上部12uまで延在している。この結果、外形規定板10とJ型フック12との間には、第3表皮93と第1表皮91の端部91eとが設けられる。
表皮9の端部9eにおいて、外形規定板10は、第1表皮91と第1表皮91の端部91eとJ型フック12と共に、第1縫合線70において、糸などにより縫い合わせされている。また、第1表皮91の端部91eとJ型フック12の上部12uとは、第2縫合線71において、糸などにより縫い合わせされている。
第1表皮91、第2表皮92および第3表皮93とは、第3縫合線72において、糸などにより縫い合わせされている。
図11に示す構成は、以下の様な順番で製造できる。
1)最初に、第2縫合線71において第1表皮91の端部91eとJ型フック12の上部12uとを縫い合わせる。
2)次に、外形規定板10を第1表皮91の裏面91bに設置する。
3)次に、外形規定板10を覆う様に、第3表皮93を設置する。
4)次に、外形規定板10の下部10dと第3表皮93の下部とを覆う様に、第1表皮91を折り曲げる。
5)次に、第1縫合線70において、外形規定板10と第1表皮91と第1表皮91の端部91eとJ型フック12とを共に、糸などにより縫い合わせる。
6)最後に、第3縫合線72において、第1表皮91と第2表皮92と第3表皮93とを共に、糸などにより縫い合わせる。
なお、上記5)と上記6)との順番を入れ替えて、上記6)を先に行った後、上記5)を行っても良い。
この様な構成により、J型フック12(121~123)が表皮9の端部9eに取り付けられる。
(シートクッションフレームの構成例)
次に、図12および図13を用いて、シートクッション2の表皮9およびパッド20を取り除いた場合のシートクッションフレーム30の構成例を説明する。図12は、実施例に係るシートクッションフレームの構成例を示す斜視図である。図13は、実施例に係るシートクッションフレームの構成例を示す上面図である。
図12、図13に示す様に、シートクッションフレーム30は、右サイドフレーム31、ばね部材32、トリムワイヤ35、前方パネルフレーム36、後方パイプフレーム37、左サイドフレーム38、前方パイプフレーム39等を含む。
シートクッションフレーム30の後方において、右サイドフレーム31と左サイドフレーム38とに間には、丸いパイプ形状の後方パイプフレーム37が固定されて設けられる。シートクッションフレーム30の前方において、右サイドフレーム31と左サイドフレーム38とに間には、丸いパイプ形状とされた前方パイプフレーム39が固定されて設けられる。右サイドフレーム31、左サイドフレーム38および前方パイプフレーム39の上側には、前方パネルフレーム36が固定されて設けられる。前方パネルフレーム36と後方パイプフレーム37との間には、複数のばね部材32が取り付けられている。
シートクッションフレーム30には、リクライニング機構40、41、スライド機構42、シートベルトのバックルの取付け部43等が設けられる。
トリムワイヤ35は、第1端部31e1と、中間部31mと、第2端部31e2と、を有する。トリムワイヤ35の第1端部31e1は、右サイドフレーム31の後方の下側に溶接などにより固定される。トリムワイヤ35の中間部31mは、右サイドフレーム31の中間部の下側に溶接などにより固定される。トリムワイヤ35の第2端部31e2は、右サイドフレーム31の前方に溶接などにより固定される。
トリムワイヤ35は、第1部分351と、第2部分352と、第3部分353とを含む。第2部分352は、一例では、さらに、第4部分3521と、第5部分3522と、第6部分3523と、を含む。第1部分351は、第1端部31e1と第3部分353との間に設けられる。第3部分353は、第1部分351と第2部分352または第4部分3521との間に設けられる。第4部分3521は、第3部分353と中間部31mとに間に設けられる。第5部分3522と第6部分3523とは、中間部31mと第2端部31e2とに間にこの順で設けられる。
図13を参照し、第4部分3521と第5部分3522とは、上面視において、ほぼ直線状に配置されている。一方、第6部分3523は、第5部分3522に対して、傾斜するように設けられている。第6部分3523は、シートクッション2の右側面部2SRの前方側の湾曲形状を形成するために、傾斜するように設けられている。
(シートクッションの構成例)
図14は、図13のシートクッションフレームにパッドを設けた状態を示すシートクッションの上面図である。図15は、表皮が取り付けられたシートクッションを裏側から見た状態を示す斜視図である。
シートクッション2の表皮9における右側面部2SRは、後方部分5、中間部分7と、前方部分6と、を有するが、図14に示すように、シートクッションフレーム30に設けたパッド20の右側面部2SRPも同様に、後方部分5Pの側面、中間部分7Pの側面と、前方部分6Pの側面と、を有する。前方部分6Pの側面の前方側は、さらに、湾曲形状の側面部分6RPを有する。後方部分5Pの側面は、トリムワイヤ35の第1部分351に対応するように設けられる。中間部分7Pの側面は、トリムワイヤ35の第3部分353に対応するように設けられる。前方部分6Pの側面は、トリムワイヤ35の第2部分352(第4部分3521,第5部分3522)に対応するように設けられる。前方部分6Pの側面の湾曲形状の側面部分6RPは、トリムワイヤ35の第2部分352の第6部分3523に対応するように設けられる。
図14に示すように、トリムワイヤ35は、上面視において、パッド20から露出することなく、パッド20に覆われている。これにより、シートクッション2の表皮9をトリムワイヤ35に取り付けた際に、適切な張力を表皮9と外形規定板10に付加できる。これにより、パッド20の右側面部2SRPの湾曲形状またはクランク形状を追従性よく再現することが可能になる。
後方部分5Pにおいて、パッド20は、リクライニング機構40の右側を覆う様に設けられる。また、バックルの取付け部43が露出するように、パッド20が設けられる。シートクッションフレーム30に設けたパッド20の左側面部2SLPにおいて、リクライニング機構41、スライド機構42が露出するように、パッド20が設けられる。
図15には、トリムワイヤ35に掛けられたJ型フック12(121~124)の状態が示されている。J型フック12(121~124)は、図11で説明された様に、表皮9の端部9eの裏面側に取り付けられている。
J型フック12は、第1フック部121と、第2フック部122と、第3フック部123と、第4フック部124と、を含む。第1フック部121は、トリムワイヤ35の第1部分351に掛けられている。第2フック部122は、トリムワイヤ35の第4部分3521に掛けられている。第3フック部123は、トリムワイヤ35の第5部分3522に掛けられている。第4フック部124は、トリムワイヤ35の第6部分3523に掛けられている。
これにより、シートクッション2の表皮9における右側面部2SRは、図14に示す様に、後方部分5の側面、中間部分7の側面と、前方部分6の側面と、湾曲形状の側面部分6Rとを含むように、成形されることになる。
(シートクッションの右側面部のパッドの構成例)
図16は、実施例に係るシートクッション2の右側面部2SRのパッド20の構成例を示す斜視図である。
図16に示す様に、シートクッション2の右側面部2SRにおいて、パッド20は、右サイドフレーム31に取り付けられたシートベルトのバックル50の固定部51が露出するように、削除されている。また、パッド20は、右サイドフレーム31の下側部分が露出するように、削除されている。このようなパッド20の削除により、シートクッション2の右側面部2SRが薄型化されている。
右サイドフレーム31の下には、シートレールのアッパシートレール33(不図示)が接続されており、アッパシートレール33(不図示)は、シートレールのロアシートレール34にスライド可能に取り付けられている。シートバック3とシートクッション2との間には、シートクッション2とシートバック3との角度調整を可能にするリクライニング機能40が設けられている。
したがって、シートクッション2の表皮9における右側面部2SRを上から見た場合、右側面部2SRは、図5に示す様に、後方部分5と、中間部分7と、前方部分6と、側面部分6Rと、を有していることになる。
図17は、図3のシートクッション2rの右側面部2SRrのパッド20rの構成例を示す斜視図である。図17が図16と異なる点は、バックル50の固定部51および右サイドフレーム31の前方の下側部分が覆われるようにパッド20r(21r)が設けられている点である。図17に示すシートクッション2rの表皮9rにおける右側面部2SRを上から見た場合、右側面部2SRrは、右側面部2SRrに存在するパッド21rの側面で構成されていることになる。
実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
1)シートクッション2の右側面部2SRに対応する表皮9の裏面側に外形規定板10を設けることで、右側面部2SRに対応する表皮9にしわが発生することを防止し、右側面部2SRに対応する表皮9の外観を安定化させることができる。
2)シートクッションフレーム30に取り付けられるトリムワイヤ35は、シートクッション2の右側面部2SRの後方部分5、中間部分7および前方部分6の各側面を構成するため、第1部分351と、第2部分352と、第1部分351と第2部分352との間に設けられた第3部分353と、を有する。表皮9の端部9eの裏面に、外形規定板10とJ型フック12(121~123)とが設けられ、J型フック12(121~123)がトリムワイヤ35の第1部分351と第2部分352とに掛けられる。これにより、外形規定板10は、シートクッション2の右側面部2SRにおいて、後方部分5、中間部分7および前方部分6の各面に沿うように、湾曲した形状またはクランク形状にされる。
3)上記2により、1枚の外形規定板10を湾曲した形状またはクランク形状に変形できるので、右側面部2SRの形状に対応するように表皮9を張ることができる。また、右側面部2SRにしわが発生することを防止し、右側面部2SRに対応する表皮9の外観を安定化させることができる。
4)外形規定板10を1枚とすることにより、外形規定板10を複数の外形規定板とした構成した場合と比較して、右側面部2SRの表皮9に継ぎ目が現れることが無いので、右側面部2SRに対応する表皮9の外観をさらに向上することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
1:車両用シート
2:シートクッション
2SR:シートクッションの右側面部
2SL:シートクッションの左側面部
3:シートバック
4:ヘッドレスト
5:後方部分
6:前方部分
7:中間部分
9、9b:表皮
9e:表皮の端部
10:外形規定板
12:J型フック
121:第1フック部
122:第2フック部
123:第3フック部
124:第4フック部
20,20r:パッド
30:シートクッションフレーム
31:右サイドフレーム
32:ばね部材
33:アッパシートレール
34:ロアシートレール
35:トリムワイヤ
351:トリムワイヤの第1部分
352:トリムワイヤの第2部分
353:トリムワイヤの第3部分
3521:トリムワイヤの第4部分
3522:トリムワイヤの第5部分
3523:トリムワイヤの第6部分
36:前方パネルフレーム
37:後方パイプフレーム
38:左サイドフレーム
39:前方パイプフレーム
40、41:リクライニング機構
42:スライド機構
43:バックルの取付け部
50:バックル

Claims (8)

  1. シートクッションと、シートバックと、を有し、
    前記シートクッションは、
    サイドフレームを有するクッションフレームと、
    前記サイドフレームに取り付けられたトリムワイヤと、
    前記クッションフレームの上に設けられたパッドと、
    前記パッドを覆う様に設けられた表皮と、
    前記シートクッションの側面部に対応する前記表皮の裏面に設けられた外形規定板と、を有し、
    前記シートクッションの前記側面部は、後方部分と、前方部分と、前記後方部分と前記前方部分との間に設けられた中間部分と、を含み、
    前記トリムワイヤは、前記後方部分に対応して設けられた第1部分と、前記前方部分に対応して設けられた第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、前記中間部分に対応して設けられた第3部分と、を含み、
    前記シートクッションの前記側面部に対応する前記表皮の端部は、前記トリムワイヤの前記第1部分に掛けられた第1フック部と、前記トリムワイヤの前記第2部分に掛けられた第2フック部と、を含み、
    前記シートクッションの前記側面部の前記後方部分と前記中間部分と前記前方部分は、上面視において、湾曲した形状またはクランク形状にされており、
    前記外形規定板は、前記湾曲した形状または前記クランク形状に曲げられている、車両用シート。
  2. 前記外形規定板は、所望の平面形状に加工された剛性のある樹脂製の薄い平板により構成される、請求項1に記載の車両用シート。
  3. シートクッションと、シートバックと、を有し、
    前記シートクッションは、
    サイドフレームを有するクッションフレームと、
    前記サイドフレームに取り付けられたトリムワイヤと、
    前記クッションフレームの上に設けられたパッドと、
    前記パッドを覆う様に設けられた表皮と、
    前記シートクッションの側面部に対応する前記表皮の裏面に設けられた外形規定板と、を有し、
    前記シートクッションの前記側面部は、後方部分と、前方部分と、前記後方部分と前記前方部分との間に設けられた中間部分と、を含み、
    前記トリムワイヤは、前記後方部分に対応して設けられた第1部分と、前記前方部分に対応して設けられた第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、前記中間部分に対応して設けられた第3部分と、を含み、
    前記シートクッションの前記側面部に対応する前記表皮の端部は、前記トリムワイヤの前記第1部分に掛けられた第1フック部と、前記トリムワイヤの前記第2部分に掛けられた第2フック部と、を含み、
    前記トリムワイヤは、さらに、
    前記サイドフレームの後方の下側に固定された第1端部と、
    前記サイドフレームの中間の下側に固定された中間部と、
    前記サイドフレームの前方に固定され第2端部と、含み、
    前記トリムワイヤの前記第2部分は、第4部分と、第5部分と、第6部分と、を含み、
    前記第1部分は、前記第1端部と前記第3部分との間に設けられ、
    前記第3部分は、前記第1部分と前記第4部分との間に設けられ、
    前記第4部分は、前記第3部分と前記中間部とに間に設けられ、
    前記第5部分と前記第6部分とは、前記中間部と前記第2端部とに間にこの順に設けられ、
    前記第2フック部は、さらに、第3フック部と、第4フック部と、を含み、
    前記第2フック部は、前記第4部分に掛けられており、
    前記第3フック部は、前記第5部分に掛けられており、
    前記第4フック部は、前記第6部分に掛けられている、車両用シート。
  4. シートクッションと、シートバックと、を有し、
    前記シートクッションは、
    サイドフレームを有するクッションフレームと、
    前記サイドフレームに取り付けられたトリムワイヤと、
    前記クッションフレームの上に設けられたパッドと、
    前記パッドを覆う様に設けられた表皮と、
    前記シートクッションの側面部に対応する前記表皮の裏面に設けられた外形規定板と、を有し、
    前記シートクッションの前記側面部は、後方部分と、前方部分と、前記後方部分と前記前方部分との間に設けられた中間部分と、を含み、
    前記トリムワイヤは、前記後方部分に対応して設けられた第1部分と、前記前方部分に対応して設けられた第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、前記中間部分に対応して設けられた第3部分と、を含み、
    前記シートクッションの前記側面部に対応する前記表皮の端部は、前記トリムワイヤの前記第1部分に掛けられた第1フック部と、前記トリムワイヤの前記第2部分に掛けられた第2フック部と、を含み、
    前記トリムワイヤは、さらに、
    前記サイドフレームの後方の下側に固定された第1端部と、
    前記サイドフレームの中間の下側に固定された中間部と、
    前記サイドフレームの前方に固定され第2端部と、含み、
    前記トリムワイヤの前記第2部分は、第4部分と、第5部分と、第6部分と、を含み、
    前記第1部分は、前記第1端部と前記第3部分との間に設けられ、
    前記第3部分は、前記第1部分と前記第4部分との間に設けられ、
    前記第4部分は、前記第3部分と前記中間部とに間に設けられ、
    前記第5部分と前記第6部分とは、前記中間部と前記第2端部とに間にこの順に設けられ、
    前記第4部分と前記第5部分とは、上面視において、ほぼ直線状に配置され、
    前記第6部分は、前記シートクッションの前記側面部の前方側の湾曲形状を形成するために、前記第5部分に対して、傾斜するように設けられている、車両用シート。
  5. 前記第2フック部は、さらに、第3フック部と、第4フック部と、を含み、
    前記第2フック部は、前記第4部分に掛けられており、
    前記第3フック部は、前記第5部分に掛けられており、
    前記第4フック部は、前記第6部分に掛けられている、請求項4に記載の車両用シート。
  6. 前記第1フック部ないし前記第4フック部のおのおのは、J型フックにより構成され、
    前記表皮は、第1表皮と、第2表皮と、第3表皮と、を含み、
    前記第1表皮は、表面と、裏面と、端部と、を有し、
    前記外形規定板は、前記第1表皮の前記裏面と前記第3表皮との間に配置され、
    前記第1表皮の前記端部は、前記外形規定板の下部を覆う様に、前記J型フックの上部まで延在し、
    前記外形規定板は、前記第1表皮と前記第1表皮の前記端部と前記J型フックと共に、第1縫合線において縫い合わせられており、
    前記第1表皮の前記端部と前記J型フックの前記上部とは、第2縫合線において縫い合わせらされおり、
    前記第1表皮、前記第2表皮および前記第3表皮とは、第3縫合線において縫い合わせらされている、請求項5に記載の車両用シート。
  7. 前記第1フック部ないし前記第4フック部のおのおのは、J型フックにより構成され、
    前記表皮は、第1表皮と、第2表皮と、第3表皮と、を含み、
    前記第1表皮は、表面と、裏面と、端部と、を有し、
    前記外形規定板は、前記第1表皮の前記裏面と前記第3表皮との間に配置され、
    前記第1表皮の前記端部は、前記外形規定板の下部を覆う様に、前記J型フックの上部まで延在し、
    前記外形規定板は、前記第1表皮と前記第1表皮の前記端部と前記J型フックと共に、第1縫合線において縫い合わせられており、
    前記第1表皮の前記端部と前記J型フックの前記上部とは、第2縫合線において縫い合わせらされおり、
    前記第1表皮、前記第2表皮および前記第3表皮とは、第3縫合線において縫い合わせらされている、請求項3に記載の車両用シート。
  8. 前記第1表皮の前記表面は、前記シートクッションの右側面部の表皮として現れる面であり、
    前記第2表皮は、前記シートクッションの座面側に現れる表皮とされる、請求項7に記載の車両用シート。
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