JP7211880B2 - ナトリウム、カリウム、及びアスコルビン酸を含有する飲料 - Google Patents

ナトリウム、カリウム、及びアスコルビン酸を含有する飲料 Download PDF

Info

Publication number
JP7211880B2
JP7211880B2 JP2019076552A JP2019076552A JP7211880B2 JP 7211880 B2 JP7211880 B2 JP 7211880B2 JP 2019076552 A JP2019076552 A JP 2019076552A JP 2019076552 A JP2019076552 A JP 2019076552A JP 7211880 B2 JP7211880 B2 JP 7211880B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sodium
beverage
potassium
ascorbic acid
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019076552A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020171258A (ja
Inventor
昂史 青木
真一 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suntory Holdings Ltd
Original Assignee
Suntory Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suntory Holdings Ltd filed Critical Suntory Holdings Ltd
Priority to JP2019076552A priority Critical patent/JP7211880B2/ja
Priority to PCT/JP2020/015854 priority patent/WO2020209300A1/ja
Publication of JP2020171258A publication Critical patent/JP2020171258A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7211880B2 publication Critical patent/JP7211880B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

本発明は、電解質と有機酸とを含有する飲料に関する。より詳細には、ナトリウムイオンとカリウムイオンを供給できる電解質を含有し、有機酸としてアスコルビン酸を含む飲料に関する。
熱中症は、従来、高温環境下での運動や労働で頻発していたが、ヒートアイランド現象や地球温暖化の影響により、最近では日常生活においても発生が増加している。厚生労働省のホームページには、熱中症対策として、20~30分ごとにカップ1~2杯程度の水分を摂取すること、水分だけでなく塩分を合わせて摂取することが望ましいとされている。
塩分を含有する飲料として、スポーツドリンクが多数開発されている。スポーツドリンクは、通常、甘味料や果汁が配合されたpH4.0以下の酸性飲料である。pH4.0以下の甘味料及び/又は果汁が配合された飲料は、適度な甘みと酸味で塩味等のミネラルに起因する味がマスキングされ、後味、すっきり感、飲みやすさのバランスがよくなり、嗜好性が向上されている(特許文献1)。スポーツドリンク等、ナトリウムを含有する酸性飲料の嗜好性をさらに改善する方法も種々提案されている。例えば、特定量のラウリン酸を含有させることによってナトリウム由来のぬめりや苦味等を軽減した飲料(特許文献2)、甘味料としてスクラロース及び羅漢果抽出物を用いることで、無機電解質に起因する渋味、塩味、苦味といった好ましくない味を低減した飲料(特許文献3)、4~6°Bx相当量の果汁と、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、及びアスコルビン酸ナトリウムから選択される1又は2以上のナトリウム塩由来の0.005~0.1重量%のナトリウムとが配合されたスポーツ飲料(特許文献4)等がある。また、カメリアシネンシス由来のポリフェノールを含有する飲料のエグ味を、有機酸を用いて低減する方法(特許文献5)が報告されている。さらに、タンニン濃度、ナトリウム濃度、及び塩化物イオン濃度を特定の比率とすることで、ナトリウムを含有した場合でも嗜好性を満たした紅茶飲料も報告されている(特許文献6)。
特開2015-211652号公報 特開2016-007149号公報 国際公開第2010/050510号 特開2013-94125号公報 特開2010-239908号公報 特開2016-96729号公報
ナトリウム等の塩分を含有する飲料の中で、さらに甘味料が配合されているスポーツドリンクのような飲料は、糖分を含むため、健康づくりを意識した人にとっては毎日摂取し難いという問題がある。また、スポーツドリンクのような酸性飲料は、甘みや酸味を有するために、一度にゴクゴクと飲み難い、飲み飽き易いという問題もある。しかし、ナトリウムを高濃度に配合しながら、甘みや酸味の少ない飲料とすると、ナトリウムに起因する塩味を甘みや酸味でマスキングすることができなくなるから、塩味が強く感じられ、やはり飲みにくい飲料となるという問題がある。
本発明は、高濃度のナトリウムを含み、略中性(pH5.0~7.0)でありながら、高いドリンカビリティを有する飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ナトリウムを含有する飲料に対し、特定量のアスコルビン酸及びカリウムを含有せしめることで、ナトリウム含有飲料の塩味を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
[1]電解質と有機酸とを含有し、以下の(i)~(iv):
(i)ナトリウム濃度が20~80mg/100mlである、
(ii)塩化物イオン濃度が30mg/100ml以下である、
(iii)カリウム濃度が5~30mg/100mlである、
(iv)アスコルビン酸濃度が50~700mg/100mlである、及び
(v)pHが5.0~7.0である
を満たす飲料。
[2]カリウムに対するアスコルビン酸の含有量の割合が、1~70である、[1]に記載の飲料。
本発明によって、熱中症対策や運動時(軽運動時を含む)の水分およびナトリウム補給飲料として、甘味や酸味が強くなく、略中性でありながら塩味が抑えられており、一度にゴクゴクと飲める(がぶ飲みできる)高いドリンカビリティ(Drinkability)を有する飲料の提供が可能となる。

(ナトリウム)
本発明の飲料は、熱中症対策や軽運動時の水分およびナトリウム補給に有用な飲料であり、高濃度のナトリウムを含有する。ナトリウムを飲料に含有させる方法としては、例えば、ナトリウム塩の形態で飲料に添加する方法を挙げることができる。ナトリウム塩としては、飲用可能なナトリウム塩であればよく、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム等を用いることができるが、特にこれらに限定されない。好ましくはクエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウムが用いられる。特に、L-アスコルビン酸ナトリウムは、後述するアスコルビン酸の供給源となり得ることから好適に用いられる。
本発明の飲料におけるナトリウムの濃度は、20~80mg/100mlである。ナトリウム濃度が低すぎる場合、発汗で喪失する水分および塩分の補給には不十分である。ナトリウム濃度の下限値は、22mg/100ml以上が好ましく、24mg/100ml以上がより好ましい。また、ナトリウム濃度が高過ぎる場合、本発明の効果が発揮されにくいことから80mg/100ml以下とする。好ましくは70mg/100ml以下、より好ましくは60mg/100ml以下である。なお、飲料中のナトリウム濃度は、原子吸光光度計を用いて分析することができる。また、ナトリウム塩として配合した場合には、ナトリウム元素の含有量として算出することができる。
(塩化物イオン)
本発明者らの検討によると、飲料中の塩化物イオン(Cl)濃度が高いとナトリウムの塩味を増強し、本発明の効果が得られにくくなる。本発明の飲料における塩化物イオンの含有量は、30mg/100ml以下となるよう制御することが重要である。本発明の飲料における塩化物イオンの含有量は、25mg/100ml以下がより好ましく、20mg/100ml以下がさらに好ましく、15mg/100ml以下が特に好ましく、10mg/100ml以下がことさら好ましい。本発明の好ましい態様の一例として、上述のナトリウムやカリウムの供給源として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物を配合しない飲料を挙げることができる。なお、飲料中の塩化物イオン濃度は、硝酸銀滴定法により分析することができる。また、塩化物として配合した場合には、塩化物中の塩素元素の含有量として算出することができる。
(カリウム)
本発明の飲料は、高濃度のナトリウムによる強い塩味を低減するために、アスコルビン酸とともにカリウムを用いることを特徴とする。カリウムを飲料に含有させる方法としては、例えば、カリウム塩の形態で飲料に添加する方法、水酸化カリウムの形態で飲料に添加する方法、水分散性に優れるカリウムを多く含有する食品原料を飲料に添加する方法を挙げることができる。カリウム塩としては、飲用可能なカリウム塩であればよく、例えば、塩化カリウム、クエン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸水素二カリウム、酢酸カリウム等を用いることができるが、特にこれらに限定されない。
本発明では、塩化物イオンの含有量の制御のしやすさから、水分散性に優れるカリウムを多く含有する食品原料を用いてカリウムを飲料に添加する方法が好適に用いられる。水分散性に優れるカリウムを多く含有する食品原料としては、これらに限定されないが、茶抽出物、昆布抽出物、カカオ抽出物等の植物抽出物、野菜汁又は果汁、豆乳、牛乳等を挙げることができる。炭水化物や脂質が含まれると本発明の効果が知覚されにくくなることがあるため、これらの中では、植物抽出物が好ましく、茶抽出物が特に好ましい。ただし、カッコン(葛根)、カッカ(葛花)、ニンジン(高麗人参)、ウコン(鬱金)、チンピ(陳皮)、カンゾウ(甘草)、トウキ(当帰)等の生薬抽出物は、高濃度のナトリウムと併用すると生薬特有の不快な臭いや味が増強されるから、本発明の飲料で用いるには適さない。
本発明の飲料におけるカリウムの含有量は、5~30mg/100mlである。カリウム含有量が前記範囲より少ない場合は、アスコルビン酸と組み合わせた際の相乗作用が十分に得られないことがある。また、カリウム含有量が前記範囲より多い場合は、カリウムの苦味や後味が強くなり、またナトリウムの塩味を増強させることになり、本発明の効果が十分に得られないことがある。カリウム含有量の下限値は、好ましくは7mg/100ml以上、より好ましくは9mg/100ml以上であり、カリウム含有量の上限値は、好ましくは25mg/100ml以下、より好ましくは22mg/100ml以下である。なお、飲料中のカリウム濃度は、原子吸光光度計を用いて分析することができる。また、カリウム塩として配合した場合には、カリウム元素の含有量として算出することができる。
(アスコルビン酸)
上述したとおり、本発明は、高濃度のナトリウムによる強い塩味を低減するために、アスコルビン酸とともにカリウムを用いることを特徴とする。本発明においてアスコルビン酸を飲料に含有させる方法としては、例えば、アスコルビン酸やその塩を添加する方法、アスコルビン酸含有食品原料(例えばアセロラやレモンの果汁を濃縮・固形化したもの等)を飲料に添加させる方法などを挙げることができる。アスコルビン酸塩としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。中でも、ナトリウムを同時に配合できるという理由からナトリウム塩が好適に用いられる。
本発明の飲料は、アスコルビン酸を50~700mg/100mlの濃度で含有する。アスコルビン酸含有量が前記範囲より少ない場合は、ナトリウムの塩味を改善するのに充分な効果を得ることができない。また、アスコルビン酸含有量が前記範囲より多い場合は、アスコルビン酸特有の酸味が強くなり、飲料の風味に影響を与えることがある。飲料中のアスコルビン酸濃度は、HPLCを用いて分析することができる。アスコルビン酸含有量の下限値は、好ましくは100mg/100ml以上である。アスコルビン酸含有量の上限値は、好ましくは500mg/100ml以下であり、より好ましくは300mg/100ml以下である。なお、飲料中のアスコルビン酸濃度は、イオン排除クロマトグラフィーを分離モードとする高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析することができる。また、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩として配合した場合には、アスコルビン酸に換算した濃度として算出することができる。
ナトリウムの塩味と後味の悪さをより効果的に低減できる観点から、カリウムの量に対するアスコルビン酸の量の割合(アスコルビン酸/カリウム)は、1~70であることが好ましく、5~50であることがより好ましく、5~35であることが特に好ましい。
(飲料)
本発明の飲料は、多様化する消費者の嗜好性に対して、略中性の新たな熱中症対策飲料を提供するものである。本明細書でいう「略中性」の飲料とは、具体的にはpH(20℃)が5.0~7.0の中性飲料である。pH5.0未満の場合は、酸味によりナトリウムの塩味をマスキングすることができるので、本発明の課題が発現しにくい。また、pH7.0を超える場合、本発明の所定量のアスコルビン酸を用いてもナトリウムの塩味を改善するのに充分な効果を得ることができないばかりか、pHが7.0を超えると、飲料中の溶存二酸化炭素が炭酸イオン(CO 2-)となり、飲料が容器詰飲料である場合に開栓時の吹き零れ等を生じる原因になり得る。飲料のpH調整は、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等のpH調整剤を用いて適宜行うことができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
本発明は、好ましくは甘味料が配合されていないような甘さが低い飲料で顕著に発現する課題を解決するものである。本発明の飲料の好適な態様の一例として、「甘さが低い飲料」、すなわち甘味度を指標として、甘味度3.00未満(好ましくは2.00未満、より好ましくは1.00未満、さらに好ましくは0.50未満)の飲料を挙げることができる。甘味度とは、ショ糖溶液の甘味を1としたときの相対的な甘味の強さを表す指標である。飲料の甘味度は、各甘味成分の含有量を、ショ糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量(果汁やエキス等由来の甘味成分も含む)を総計することによって求められる。ショ糖の甘味1に対する各種代表的な甘味成分の甘味の相対比を表1に示す。表1に記載のない甘味成分については、当該甘味成分を製造あるいは販売しているメーカーが提示する甘味度を用いたり、官能評価により甘味度を求めたりすることができる。
Figure 0007211880000001
本発明の飲料では、甘味成分を用いて飲料の甘味度を調整することができる。甘味成分としては、例えば、表1に記載されている甘味成分を用いることができるが、それ以外の甘味成分を用いてもよく、果糖などの糖類を含有する果汁を用いてもよい。甘味度が0、すなわち甘味成分が配合されていない飲料は、本発明の飲料の最も好適な態様の一例として挙げられる。
また、別の好ましい態様としては、糖類などの可溶性固形分を指標として、Brixが4.0未満の飲料を挙げることができる。Brixが4.0未満と低く抑えられた飲料は、甘味料である糖類などのマスキング剤が含まれていないために、通常はナトリウムの塩味が顕著に知覚される飲料であるが、本発明により塩味を抑えることができる。本発明の飲料のBrixは、3.0未満がより好ましく、2.0未満がより好ましく、1.0未満がさらに好ましく、0.8未満が特に好ましい。ブリックス(Brix)値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値であり、糖度計や屈折計などを用いて測定することができる。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
さらに、別の好ましい態様としては、たんぱく質及び脂質がそれぞれ0.5g/100ml未満である飲料を挙げることができる。たんぱく質や脂質はナトリウムの塩味を増強することがあり、本発明の効果が得られにくくなることがある。ここで、たんぱく質は窒素定量換算法により、脂質はジエチルエーテルを用いた酸分解法により測定される値である。
本発明の飲料において、飲料中のポリフェノール量が多いと、ポリフェノールに起因するえぐみが強くなり、本発明の効果が知覚され難くなる。飲料中のポリフェノール含有量は、65mg/100mg以下であることが好ましく、60mg/100mg以下であることがより好ましく、50mg/100mg以下であることがさらに好ましく、45mg/100mg以下であることが特に好ましい。ここで、ポリフェノールとは、分子内に複数のフェノール性水酸基をもつ成分のことを意味し、フォーリン・チオカルト法で分析される値をいう。
その他、本発明の飲料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の飲料と同様に、各種添加剤などを配合してもよい。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。本実施例中、飲料中の各成分量等は以下の方法により測定した。
[ナトリウム、カリウムの測定]
試料2~5gを抽出容器に分取し、1%塩酸溶液200mLを加え、室温下で30分間振とう抽出した。抽出液を遠心管に移して遠心分離し、上澄み液を測定用試験溶液とした。原子吸光光度計の測定波長を、ナトリウム:589nm、カリウム:766.5nmに設定して測定用試験溶液の吸光度を検出し、予め作成した標準物質濃度による検量線に基づき、試験溶液の濃度を求めた。
[塩化物イオンの測定]
試料5gに0.01mol/Lの塩酸1gを添加した後、イオン交換水で50gまでメスアップして測定用試験溶液とし、「上水試験方法」(2011年版 日本水道協会)に規定されたモール法による硝酸銀滴定法に準じた方法で分析した。測定用試験溶液中の塩化物イオンの定量は、塩酸のみを添加したブランク測定との差分から算出した。
[アスコルビン酸の測定]
試料を純水にて希釈し、メンブレンフィルターにて濾過後、HPLC分析に供した。分析条件は以下のとおり:
・カラム:Shodex RSpak KC-811 (8.0mmI.D.×300mm)
・移動相:10mmol/L リン酸
・流速:0.5mL/min
・検出波長:UV(210nm)
・カラム温度:40℃サンプル注入量:40μL
・注入量:20μL。
[たんぱく質の測定]
「三訂 早わかり栄養表示基準」(新開発食品保健研究会監修中央法規出版(株))に記載の「1 たんぱく質(1)窒素定量換算法」に基づき、窒素・たんぱく質換算係数を6.25として測定した。
[脂質の測定]
脂質量は酸分解法で求めた。試料を1g量りとり、塩酸を加え分解した後、ジエチルエーテル及び石油エーテルを加え、攪拌混和した。エーテル混合液層を取り出し、水洗した。溶媒を留去させ、乾燥させた後、重量を秤量することで脂質量を求めた。
[ポリフェノールの測定]
フォーリン試薬を用い、吸光光度計(UV-1600(株式会社島津製作所製))により波長725nmにおける吸光度を測定し、該測定値からポリフェノール量を算出した。
[pHの測定]
pHは、試料の品温を20℃にした後、pHメーター(F21、HORIBA製)を使用して測定した。
実験1:アスコルビン酸の評価(1)
表2に示す各種ナトリウム塩を純水(pH7.0)1Lに溶解して、ナトリウム含有飲料(ナトリウム含有量:35mg/100ml)を調製した。これら試料(10℃)について、熟練した5人のパネルによる官能評価を実施した。官能評価は、「後味の悪さ(後味嫌悪性)」について、塩味や雑味が飲用後も残存するか否かを評価項目とし、尺度として、5点:かなりある、4点:ある、3点:ややある、2点:わずかにある、1点:ない、の5段階を設定した。なお、評価はパネル5名が後味の悪さについて各自が実施した後、パネル全員で協議して決定し、上記の尺度を用いて0.5刻みで数値をつけ、3.0点以下を合格(○)とし、2.0点以下を好ましい(◎)とした。
結果を表2に示す。有機酸ナトリウムを用いると後残りが少ない傾向にあること、特にグルコン酸、クエン酸、アスコルビン酸が後残りしにくいことが示唆された。
Figure 0007211880000002
実験2: アスコルビン酸の評価(2)
表3に示す処方のナトリウム塩を純水1Lに溶解して、塩化物イオン濃度およびアスコルビン酸濃度が異なるナトリウム含有飲料を調製した。20℃におけるpHはいずれの試料も、5.0~7.0の範囲内であった。これら試料(10℃)について、熟練した5人のパネルによる官能評価を実施した。官能評価は試料2-1を対照飲料として、対照飲料において感じられる飲用時「塩味」が低減されているか否かを評価項目とし、-:対照飲料よりも塩味が強い、±:対照飲料と同程度、+:効果がある(対照飲料と比較して塩味が少ない)、++:非常に効果がある(対照飲料と比較して塩味が極めて少ない)、の4段階を設定した。なお、評価はパネル5名が塩味の強さについて各自が実施した後、パネル全員で協議して決定した。結果を表3に示す。ナトリウムを高濃度で含有する飲料に、アスコルビン酸を含有させることで塩味が低減できることが示唆された。
Figure 0007211880000003
実験3:アスコルビン酸及びカリウムの評価(1)
表4に示す処方のナトリウム塩及びカリウム塩を純水1Lに溶解して、アスコルビン酸濃度及びカリウム濃度が異なるナトリウム含有飲料(ナトリウム含有量:約34mg/100ml)を調製した。20℃におけるpHはいずれの試料も、5.0~7.0の範囲内であった。これらの試料(10℃)について、熟練した5人のパネルによる官能評価を実施した。官能評価は飲用時の「塩味」及び飲用後の塩味や雑味の後残り、すなわち「後味の悪さ(後味嫌悪性)」について、4点:強く感じる、3点:少し感じる、2点:ほとんど感じない、1点:感じない、の4段階を設定した。なお、評価はパネル5名が塩味の強さについて各自が実施した後、パネル全員で協議して決定し、総合評価としていずれの評価も2点以下を合格(○)とし、1点以下を特に好ましい(◎)とした。
結果を表4に示す。アスコルビン酸を含有しない飲料(試料3-1)にカリウムを含有させても、強い塩味は変わらない(試料3-3)が、アスコルビン酸を含有する飲料にカリウムを含有させると、意外なことにカリウムを含有しない飲料(試料3-2)よりもさらに塩味が少なくなることがわかった。このアスコルビン酸と相乗作用を示すカリウム濃度は、5~30mg/100ml程度であった。
Figure 0007211880000004
実験4:アスコルビン酸及びカリウムの評価(2)
実験3の試料3-3の飲料に、表5に示す処方のアスコルビン酸を混合し、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液を適宜微量滴下してpH6.5~7.0に調整し、アスコルビン酸濃度が異なるナトリウム含有飲料(ナトリウム含有量:34mg/100ml)を調製した。これらの試料(10℃)について、実験3と同様にして官能評価を実施した。
結果を表5に示す。飲料中のアスコルビン酸含有量が50mg/100ml以上となると、ナトリウムの塩味と後味嫌悪性とが感じられない飲料となった。アスコルビン酸含有量が800mg/100mlでは塩味の低減効果はあるが後味に酸味が強くなった。これより、ナトリウムの塩味を低減するのに有効なアスコルビン酸量は、50~700mg/100mlであることが判明した。
Figure 0007211880000005
実験5:ナトリウム濃度の影響
配合を表6及び表7に示す処方とする以外は、実験4と同様にしてナトリウム含有飲料を調製し、官能評価を実施した。20℃におけるpHはいずれの試料も、5.0~7.0の範囲内であった。官能評価は、アスコルビン酸及びカリウムを含まない飲料を対照とし、ナトリウム含有量が同程度の飲料での相対評価とした(評価基準は実験2と同じ)。結果を表6及び表7に示す。ナトリウム含有量が約54mg/100ml、約25mg/100mlの各飲料において、特定量のアスコルビン酸及びカリウムを含有させることで、ナトリウムの塩味を効果的に低減できた。
Figure 0007211880000006
Figure 0007211880000007

Claims (3)

  1. 電解質と有機酸とを含有し、以下の(i)~(iv):
    (i)ナトリウム濃度が20~80mg/100mlである、
    (ii)塩化物イオン濃度が30mg/100ml以下である、
    (iii)カリウム濃度が5~30mg/100mlである、
    (iv)アスコルビン酸濃度が50~700mg/100mlである、及び
    (v)pHが5.0~7.0である
    を満たす飲料。
  2. カリウムに対するアスコルビン酸の含有量の割合が、5~50である、請求項1に記載の飲料。
  3. 甘味成分が配合されていない、請求項1または2に記載の飲料。
JP2019076552A 2019-04-12 2019-04-12 ナトリウム、カリウム、及びアスコルビン酸を含有する飲料 Active JP7211880B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019076552A JP7211880B2 (ja) 2019-04-12 2019-04-12 ナトリウム、カリウム、及びアスコルビン酸を含有する飲料
PCT/JP2020/015854 WO2020209300A1 (ja) 2019-04-12 2020-04-08 ナトリウム及び有機酸を含有する飲料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019076552A JP7211880B2 (ja) 2019-04-12 2019-04-12 ナトリウム、カリウム、及びアスコルビン酸を含有する飲料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020171258A JP2020171258A (ja) 2020-10-22
JP7211880B2 true JP7211880B2 (ja) 2023-01-24

Family

ID=72830417

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019076552A Active JP7211880B2 (ja) 2019-04-12 2019-04-12 ナトリウム、カリウム、及びアスコルビン酸を含有する飲料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7211880B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004123642A (ja) 2002-10-04 2004-04-22 Shimizu Pharmaceutical Co Ltd 電解質組成物
JP2006304775A (ja) 2005-03-31 2006-11-09 Ajinomoto Co Inc 水分電解質補給飲料

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU526503B2 (en) * 1978-12-11 1983-01-13 Enzacor Properties Limited Electrolyte drink concentrate

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004123642A (ja) 2002-10-04 2004-04-22 Shimizu Pharmaceutical Co Ltd 電解質組成物
JP2006304775A (ja) 2005-03-31 2006-11-09 Ajinomoto Co Inc 水分電解質補給飲料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020171258A (ja) 2020-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101128555B1 (ko) 용기포장 음료
US20060099318A1 (en) Non-tea-based, packaged beverages
KR101128556B1 (ko) 용기포장음료
WO2006085785A1 (en) Non-alcoholic beverage enriched with 1h216o
JP3742094B1 (ja) 非茶系容器詰飲料
CN100553467C (zh) 容器装饮料
JP6526354B1 (ja) カリウム含有無色透明飲料
JP3742096B1 (ja) 非茶系容器詰飲料
JP7211880B2 (ja) ナトリウム、カリウム、及びアスコルビン酸を含有する飲料
JP6543009B2 (ja) リナロール含有無色透明飲料
JP7211881B2 (ja) ナトリウム、カリウム、及びクエン酸を含有する飲料
AU2018337453B2 (en) Colorless transparent beverage containing calcium
EP3082439B1 (en) Methods for increasing the clarity and refreshing attributes and reducing the bitterness and astringency of green tea
JP7211879B2 (ja) ナトリウム及びグルコン酸を含有する飲料
JP4383332B2 (ja) 容器詰飲料
TWI783120B (zh) 飲料、容器裝飲料及飲料之乳風味及茶風味增強方法
JP7213738B2 (ja) ナトリウム含有穀類茶飲料
WO2020209300A1 (ja) ナトリウム及び有機酸を含有する飲料
WO2019049976A1 (ja) ナトリウム含有無色透明飲料
WO2019151002A1 (ja) 飲料および飲料への乳風味付与方法
WO2019049978A1 (ja) マグネシウム含有無色透明飲料
JP4630185B2 (ja) 精製緑茶抽出物の製造方法
WO2021132442A1 (ja) 苦味が強化された緑茶飲料
NZ734129B2 (en) Clear beverages containing fruit flavorings

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7211880

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150