JP7211839B2 - 繊維構造体、および、それを用いてなる難燃性防塵フード - Google Patents

繊維構造体、および、それを用いてなる難燃性防塵フード Download PDF

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本発明は、難燃性、遮熱性、防塵性に優れた繊維構造体およびそれ用いてなる着用感の優れた難燃性防塵フードに関する。
従来、消防士が着用する消防服に代表される耐熱防護衣料は、着用者が安全であり快適であることを確保するため、難燃性、耐熱性、機械的特性、耐薬品性といった複数の特性を兼備する必要があった。また、近年では消防士の消火作業中に浴びる多量の粉塵、ばい煙といった有害微粒子の消防服への透過の影響も懸念されており、特に、消防服では、粉塵等による影響があると考えられる頭部や首回りへの対策がなされてきた。
かかる問題を解決するため、例えば、特許文献1では、難燃性合成ポリマーのナノファイバーを含む不織布と難燃性布帛とを組み合わせた難燃性サーマルライナーおよびそれを用いた難燃性保護衣服が提案されている。しかしながら、ナノファイバーを含む不織布はその製造原理から厚みがミクロンオーダーで不均一にならざるを得ず、微粒子不透過性を完全に保証することが困難である、また、ナノファイバーを含む不織布と難燃性布帛との固定に、キルティングのような縫製手段が用いられており、縫製針での貫通孔から微粒子が透過することを阻止できないという課題があった。
特表2017-533352号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、難燃性、遮熱性、防塵性に優れた繊維構造体およびそれ用いてなる着用感の優れた難燃性防塵フードを提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の微細孔を有する難燃性樹脂膜と、遮熱性と通気性の高い難燃性布帛を積層させた繊維構造体によって、高い難燃性、遮熱性、および防塵性が得られること、および、当該繊維構造体を用いることで着用感に優れる難燃性防塵フードが得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
本発明は、融点が400℃以上である難燃性繊維を80wt%以上含み、かつ、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が26以上である難燃性布帛と、JIS L 1096 A法に規定される目付が20g/m以下、厚さが50μm以下であり、平均細孔径が0.1μm以上10μm以下である樹脂からなり、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が40以上である難燃性樹脂膜と、を有し、難燃性樹脂膜が2枚の難燃性布帛の間で固着される繊維構造体が提供される。
また、難燃性樹脂膜は、JIS L1096-1990 通気性A法に規定される通気性が5.0m・m-2・min-1以上であり、かつ、ASTM F2299-2010に規定される捕集効率が95%以上であり、かつ、ISO 17492-2003に規定されるTTI(熱閾値)が30Cal/cm以上であり、かつ、NFPA 1971に規定されるTHL(全熱損失)が300W/m以上であることが好ましく、難燃性樹脂膜は、ポリテトラフルオロエチレンを含むことも好ましい。また、難燃性布帛は、JIS L 1096 A法により規定される目付が450g/m以下であり、かつ、ISO 17492-2003に規定されるTTI(熱閾値)が30Cal/cm以上であり、かつ、NFPA 1971に規定されるTHL(全熱損失)が350W/m以上であることが好ましく、難燃性布帛は、全芳香族ポリアミド繊維を含むことも好ましい。
また、本発明によれば、前記の繊維構造体を含む難燃性防塵フードが提供される。
本発明によれば、難燃性、遮熱性、防塵性に優れた繊維構造体およびそれ用いてなる着用感の優れた難燃性防塵フードを得ることができる。
本発明の積層体の概念図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の繊維構造体は、難燃性繊維を含む難燃性布帛と、難燃性であり微多孔を有する難燃性樹脂膜とを積層した構造体である。図1に模式的に示すように難燃性樹脂膜は難燃性布帛に挟持されている、換言すると、難燃性布帛、難燃性樹脂膜、難燃性布帛の順に積層されている。なお、難燃性樹脂膜と難燃性布帛とは固着されていればよく、接着されていることが好ましい。接着方法は特に規定されないが、点接着であることが好ましく、難燃性を阻害しない範囲でホットメルト接着、ドットプリント接着が好ましく用いられる。
繊維構造体の限界酸素指数(LOI)は、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が26以上であることが好ましく、JIS L 1096 A法に規定される目付が450g/m以下(より好ましくは430g/m以下、さらに好ましくは400g/m以下)であることが好ましい。
また、繊維構造体の熱閾値(TTI)は、ISO 17492-2003に規定される熱閾値(TTI)が30Cal/cm以上であることが好ましい(より好ましくは32Cal/cm以上、さらに好ましくは34Cal/cm以上)。
また、繊維構造体の全熱損失(THL)は、NFPA 1971に規定される全熱損失(THL)が350W/m以上であることが好ましい(より好ましくは360W/m以上、さらに好ましくは380W/m以上)。
難燃性布帛は、繊維の融点が400℃以上である難燃性繊維を80wt%以上(より好ましくは85wt%以上、さらに好ましくは90wt%以上)含むことが好ましく、かつ、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が26以上(より好ましくは28以上、さらに好ましくは30以上)であることが好ましい。また、布帛の種類としては、織物、編物、不織布の群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましく、特に、編物または不織布であると柔軟性が得られるため好ましい。
難燃性繊維は、例えば、メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、炭素繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、難燃レーヨン、モダアクリル繊維、難燃アクリル繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃ビニロン繊維、メラミン繊維、フッ素繊維、難燃ウール、難燃コットンの群から選ばれる1種類以上の繊維を単独もしくは混合して用いることが好ましい。なお、これらの繊維は、フィラメント、混繊糸、紡績糸等として用いることが好ましい。
さらには、パラ系アラミド繊維すなわちポリパラフェニレンテレフタラミドまたはコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド、および/または、メタ系アラミド繊維すなわちポリメタフェニレンイソフタラミドを用いることが好ましく、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とを混紡して紡績糸として用いることが好ましい。
また、難燃性繊維として、難燃レーヨンを混合することで、布帛の吸湿性を向上させることができるため好ましい。その際に、難燃レーヨンは20wt%以下であることが好ましい。
これらの難燃性繊維は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、酸化チタン、着色剤、不活性微粒子などの添加剤を含有してもよい。
また、難燃性布帛は炭化難燃性能を阻害しない範囲でその他の繊維を含ませてもよい。その際、その他の繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、リヨセル繊維、アクリル系繊維、ビニロン繊維、コットン、麻、ウールなどのその他の繊維を1または2種類以上用いることもできる。
これらのその他の繊維は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、酸化チタン、着色剤、不活性微粒子、導電粒子などの添加剤を含有してもよい。
赤外線吸収剤は、赤外線吸収効果を有するものであれば特に限定されない。例えば、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムスズ酸化物、ニオブドープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化チタン基材に担持したアンチモンドープ酸化スズ、鉄ドープ酸化チタン、炭素ドープ酸化チタン、フッ素ドープ酸化チタン、窒素ドープ酸化チタン、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化亜鉛などを挙げることができる。なお、インジウムスズ酸化物は、インジウムドープ酸化スズとスズドープ酸化インジウムを含む。
導電剤は、導電効果を有するものであれば特に限定されない。例えば、金属粒子(銀粒子、銅粒子、アルミ粒子等)や、金属酸化物(酸化第2錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン等を主体とする粒子)や、導電性酸化物をコーティングした粒子等を含有した導電性粒子含有ポリマー、導電性ウイスカー、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
なお、その他の繊維として、例えば、導電性繊維を挙げることができる。
導電性繊維は、繊維全体が導電性を有する構造でもよいし、繊維の一部に導電性を有する、すなわち、芯鞘、サンドイッチ、偏芯などの断面形状を有していてもよい。なお、導電性繊維は特に規定されないが、例えば、6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、66ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレートおよびこれらの共重合体や酸成分(テレフタル酸)の一部をイソフタル酸で置き換えたものなどが挙げられる。
導電性繊維を含む繊維を布帛に含有させることで、該布帛を衣料に使用した際に、外部からの電流を効率的に逃がすことができる。
なお、代表的な導電性繊維として、帝人社製「メタリアン」(商品名)、ユニチカファイバー製「メガーナ」(商品名)、東レ社製「ルアナ」(商品名)、クラレ社製「クラカーボ」(商品名)などや、導電性成分が鞘部に配された芯鞘型複合繊維である、ソルシア社製「NO SHOCK(登録商標)」が例示される。
なお、その他の繊維として、例えば、赤外線吸収と導電性を有する機能性繊維を挙げることもできる。
機能性繊維は、例えば、2種類の機能を有する繊維が、芯鞘、サンドイッチ、偏芯などの断面形状によって一体的な繊維となったものを指し、例えば、鞘部に赤外線吸収剤が含有され、芯部に金属酸化物含有ポリマー等の導電剤が含有される芯鞘型の複合繊維が好ましく挙げられる。また、鞘部がアクリルからなり、かつ、芯部が金属酸化物系粒子含有ポリマーからなる芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維等も好ましく挙げられる。
赤外線吸収剤を含む繊維を布帛に含有させることで、該布帛を衣料に使用し電気的アーク事故やフラッシュ火災に遭った際に、該赤外線吸収剤が、電気的アークや火炎フラッシュの熱エネルギーを吸収し、人体へ到達する熱エネルギーを抑制することができる。
難燃性樹脂膜は、例えば、フッ化重合体、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ化高分子材料や、ポリエチレンやポリケトンなどからなることが好ましい。なかでも、高耐熱性、高耐久性の面でポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることが好ましい。また、多孔膜は、単層でも、複層からなる構成であってもよい。複層構造にすることにより、各単層に仮にピンホール等の損傷が発生した場合にも互いにこれを補うことができる。
なお、PTFEを用いた難燃性樹脂膜の作成方法は特に限定されないが、例えば、乳化重合水性分散液を凝析して得られたPTFEファインパウダーに対し50%以下のソルベントナフサ、ホワイトオイルなどの液状潤滑剤を混合し、得られた混合体を圧延し、次いで液状潤滑剤を除去して未焼成テープを作成し、次いで得られた未焼成テープを延伸して多孔膜を得る。このとき、未焼成テープを長手方向に、PTFE焼成体の融点以下の温度で長手方向に3倍以上20倍以下に延伸した後、長手方向と直交する幅方向に200~420℃の温度で10倍以上50倍以下に延伸することにより、未焼成テープを総面積倍率で80倍以上800倍以下に延伸する。この後、幅方向に延伸したPTFE多孔膜は必要に応じて収縮を防ぐために熱処理をしてもよい。
難燃性樹脂膜は、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が40以上であり、かつ、JIS L 1096 A法に規定される目付が20g/m以下(より好ましくは10g/m以下)、厚さが50μm以下(より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは20μm以下)であり、平均細孔径が0.1μm以上10μm以下(より好ましくは0.5μm以上7μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上5μm以下)であることが好ましい。このような範囲とすることで、高い難燃性、遮熱性、および防塵性が得られ、粉塵、ばい煙といった有害微粒子の透過を抑制することができる。
また、難燃性樹脂膜の捕集効率は、ASTM F2299-2010に規定される捕集効率が95%以上であることが好ましい。なお、捕集効率は、除電の有無にかかわらず、0.2μm径以上のラテックス粒子の捕集効率が95%以上であることが好ましい(より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上)。
また、難燃性樹脂膜の通気性は、JIS L1096-1990 通気性A法(フラジール法)に規定される通気性が5.0m・m-2・min-1以上であることが好ましい(より好ましくは6.0m・m-2・min-1以上、さらに好ましくは8.0m・m-2・min-1以上)。
また、難燃性樹脂膜の熱閾値(TTI)は、ISO 17492-2003に規定される熱閾値(TTI)が30Cal/cm以上であることが好ましい(より好ましくは32Cal/cm以上、さらに好ましくは34Cal/cm以上)。
また、難燃性樹脂膜の全熱損失(THL)は、NFPA 1971に規定される全熱損失(THL)が300W/m以上であることが好ましい(より好ましくは350W/m以上、さらに好ましくは360W/m以上)。
本発明の繊維構造体を用いて、縫製部分にシームテープを用いつつ、常法通りに顔面や頭部、首部などを覆うフードを作成することにより、多量の粉塵、ばい煙といった有害微粒子の侵入を抑制でき、かつ、通気性もよく着用感に優れる難燃性防塵フードを得ることができる。その際、難燃性防塵フードは、消防士向け防火フードの国際規格であるISO 11999-9:2016 タイプ1を満たすことが好ましい。
ISO 11999-9:2016 タイプ1は以下の要件からなる。
耐炎性 ISO 15025:2000 A法(表面着火)前処理後、以下を満たす。
火炎が上端、両側端に至らない
着火溶融不可
残炎≦2秒(平均)
残じん≦2秒(平均)
各層穴あき無し
熱伝達(火炎ばく露)ISO 9151:1995 前処理後、以下を満たす。
HTI24 ≧8秒
HTI24-HTI12 ≧3秒
熱伝達(放射熱ばく露)ISO 6942:2002 B法 20kW/m 前処理後、以下を満たす。
RHTI24 ≧11秒
RHTI24-RHTI12 ≧3秒
耐熱性ISO 17493:2000 180+5/-0℃ 前処理後、以下を満たす。
溶融、滴下、分離、発火なし
収縮率 ≦5%
熱伝達(火炎・放射熱同時ばく露)ISO 17492:2003 前処理前後、以下を満たす。
TTI(kJ/m)≧700
放射熱暴露後の残留破裂強度ISO 13938-2:1999 前処理後、以下を満たす。
試験面積7.3cmで破裂までの試験時間30秒±10秒
ISO 6942:2002 A法 10kW/mにより前処理後、以下を満たす。
破裂強度 ≧200kPa (平均)
寸法変化ISO 5077 :2007 前処理後
寸法変化 ≦5%
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)目付(単位面積あたりの質量)
JIS L 1096 A法により測定した。
(2)厚み
JIS L 1096 A法により測定した。
(3)平均細孔径
難燃性樹脂膜をCapillary Flow Porometer CFP-1200-AEXL(Porous Materials, Inc.製)を用いて、平均細孔径を求めた。
(4)通気性
JIS L1096-1990 通気性A法(フラジール法)により測定した。
(5)捕集効率
ASTM F2299-2010により、0.2μm径のラテックス粒子の捕集効率を測定した。
(6)熱閾値(TTI)
ISO 17492-2003により、TPP time(2度火傷までの時間)×熱流束(cal・cm-2・s-1)を測定した。
(7)全熱損失(THL)
NFPA 1971により測定した。
(8)限界酸素指数(LOI)
JIS L 1091 E-2法により測定した。
[実施例1]
難燃性布帛:メタ系全芳香族ポリアミド繊維原着単繊維(帝人株式会社製)、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm、パラ系全芳香族ポリアミド短繊維(帝人株式会社製)、「テクノーラ」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mmを用いて、表1に示す通り、公知の方法により英式綿番手40番の単糸を製造した。
続いて20ゲージ、釜径33インチのシングル丸編機を使用し、上記英式綿番手40番を使用し、天竺組織の丸編を整編した。次いで常法により精練、熱セットを行って難燃性布帛1を作成した。得られた難燃性布帛1(天竺)の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表1に示す。
難燃性樹脂膜:PTFEファインパウダー100重量部に液状潤滑剤(ドデカン)19重量部を均一に混合して混合物を得た。次いで、この混合物を、フィッシュテールダイを装着した押出機を用いてシート状に押し出した。押し出したPTFEシートの厚みは1.5mm、幅は20cmであった。さらに、PTFEシートを1対の金属圧延ロールの間を通過させて圧延した。圧延して得たPTFEシートの厚みは200μmであった。引き続き、テンターを用い、圧延したPTFEシートを、液状潤滑剤を含んだままの状態でその幅方向に延伸し、その後、延伸したPTFEシートを150℃に保持して液状潤滑剤を除去した。次いで、ロール延伸法により280℃の延伸温度でその長手方向に延伸し、さらにテンター延伸法により110℃の延伸温度でその幅方向に延伸し、未焼成PTFE多孔膜を得た。最後に、未焼成PTFE多孔膜を、熱風発生炉を用いて400℃で焼成し、帯状の難燃性樹脂膜A(PTFE多孔膜)を得た。得られた難燃性樹脂膜Aの限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表2に示す。
繊維構造体:得られた難燃性布帛1に得られた難燃性樹脂膜Aをホットメルトにより貼り合わせ、難燃性樹脂膜Aが2枚の難燃性布帛1で挟持されるように繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表3に示す。
得られた繊維構造体は、難燃性、遮熱性に優れており、さらに、難燃性樹脂膜としてPTFE多孔膜を用いているため、繊維構造体の全ての領域で防塵性に優れていた。さらに、当該構成とすることで、防塵性と通気性とを両立させることが可能であった。
[実施例2]
難燃性布帛:メタ系全芳香族ポリアミド繊維原着単繊維(帝人株式会社製)、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mmを用い、表1に示す通り公知の方法により難燃性布帛2(不織布)を得た。得られた難燃性布帛2の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表1に示す。
難燃性樹脂膜:実施例1と同様にして難燃性樹脂膜Aを得た。
繊維構造体:得られた布帛と、樹脂膜とを実施例1と同様にして貼り合わせ、繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表3に示す。
[比較例1]
難燃性布帛:実施例1と同様にして難燃性布帛1を得た。
難燃性樹脂膜:圧延したPTFEシートを、液状潤滑剤を含んだままの状態で幅方向に延伸する際延伸倍率を実施例1対比1.2倍とし、ロール延伸法により280℃の延伸温度でその長手方向に延伸し、さらにテンター延伸法により110℃の延伸温度でその幅方向に延伸する際の延伸倍率を実施例1対比1.1倍で作成した以外は実施例1と同様にして難燃性樹脂膜Bを得た。
繊維構造体:得られた布帛と、樹脂膜とを実施例1と同様にして貼り合わせ、繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表3に示す。
[比較例2]
難燃性布帛:実施例1と同様にして難燃性布帛1を得た。
難燃性樹脂膜:圧延したPTFEシートを、液状潤滑剤を含んだままの状態で幅方向に延伸する際延伸倍率を実施例1対比0.8倍とし、ロール延伸法により280℃の延伸温度でその長手方向に延伸し、さらにテンター延伸法により110℃の延伸温度でその幅方向に延伸する際の延伸倍率を実施例1対比0.9倍で作成した以外は実施例1と同様にして難燃性樹脂膜Cを得た。
繊維構造体:得られた布帛と、樹脂膜とを実施例1と同様にして貼り合わせ、繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表3に示す。
[比較例3]
難燃性布帛:メタ系全芳香族ポリアミド繊維原着単繊維(帝人株式会社製)、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mmを用い、表1に示す通り公知の方法により難燃性布帛3(不織布)を得た。得られた難燃性布帛3の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表1に示す。
難燃性樹脂膜:比較例2と同様にして難燃性樹脂膜Cを得た。
繊維構造体:得られた布帛と、樹脂膜とを実施例1と同様にして貼り合わせ、繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の限界酸素濃度(LOI)等を測定した結果を表3に示す。
Figure 0007211839000001
Figure 0007211839000002
Figure 0007211839000003

Claims (6)

  1. 融点が400℃以上である難燃性繊維を80wt%以上含み、かつ、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が26以上である難燃性布帛と、JIS L 1096 A法に規定される目付が20g/m以下、厚さが50μm以下であり、平均細孔径が0.1μm以上10μm以下であり、JIS L 1091 E-2法に規定される限界酸素指数(LOI)が40以上である難燃性樹脂膜と、を有し、
    難燃性樹脂膜が2枚の難燃性布帛の間で固着されることを特徴とする繊維構造体。
  2. 難燃性樹脂膜は、JIS L1096-1990 通気性A法に規定される通気性が5.0m・m-2・min-1以上であり、かつ、ASTM F2299-2010に規定される捕集効率が95%以上であり、かつ、ISO 17492-2003に規定されるTTI(熱閾値)が30Cal/cm以上であり、かつ、NFPA 1971に規定されるTHL(全熱損失)が300W/m以上である請求項1に記載の繊維構造体。
  3. 難燃性樹脂膜は、ポリテトラフルオロエチレンを含む請求項1または2に記載の繊維構造体。
  4. 繊維構造体が、JIS L 1096 A法により規定される目付が450g/m以下であり、かつ、ISO 17492-2003に規定されるTTI(熱閾値)が30Cal/cm以上であり、かつ、NFPA 1971に規定されるTHL(全熱損失)が350W/m以上である請求項1から3のいずれか1つに記載の繊維構造体。
  5. 難燃性布帛は、全芳香族ポリアミド繊維を含む請求項1から4のいずれか1つに記載の繊維構造体。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の繊維構造体を含む難燃性防塵フード。
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