本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1~図4には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図1は使い捨ておむつの斜視図を表し、図2は、図1に示した使い捨ておむつの前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面に展開した状態を肌面側から見た図を表し、図3は、図2に示した使い捨ておむつのIII-III断面図を表し、図4は、図2に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表す。なお図面では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
使い捨ておむつ1は、前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとから構成された外装部材2を有する。外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qとが接合されることにより、ウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有するパンツ形状に形成されている。ウェスト開口部3は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部4は着用者の脚を通すための開口である。
外装部材2において、前側胴部Pは、おむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側胴部Qは、おむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。前側胴部Pと後側胴部Qは、外装部材2の前後方向yにおいて、パンツ形状に形成された状態で幅方向xの両側で互いに接合される。股部Rは、前側胴部Pと後側胴部Qとの間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。股部Rは、外装部材2を前後方向yに3分割した中間に位置する部分であり、パンツ形状に形成された状態で幅方向xの両側で互いに接合されない。外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qとを幅方向xの両側のサイド接合部11で接合することにより、パンツ形状に形成される。
使い捨ておむつ1において、前後方向yとは、前側胴部Pから後側胴部Qにかけての方向を意味し、おむつを着用した際の着用者の股間の前後方向に相当する。前側胴部Pが使い捨ておむつ1の前側となり、後側胴部Qが使い捨ておむつ1の後側となる。幅方向xとは、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。使い捨ておむつの肌面側とは、おむつを着用した際、着用者の肌に向く側を意味する。使い捨ておむつの外面側とは、おむつを着用した際、着用者とは反対を向く側を意味する。
外装部材2の肌面側には、吸収性本体7が設けられる。吸収性本体7は、トップシート8とバックシート9とこれらの間に配された吸収体10を有する。トップシート8は、おむつを着用の際に着用者側に位置するシートであり、吸収体10の肌面側に配される。トップシート8は液透過性であることが好ましい。バックシート9は、おむつを着用の際に着用者とは反対側に位置するシートであり、吸収体10の外面側に配される。バックシート9は液不透過性であることが好ましい。着用者から排泄された尿等はトップシート8を透過して吸収体10により収容され、バックシート9は尿等の排泄物が外部へ漏れるのを防ぐ。
液透過性のトップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
液不透過性のバックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシートは2以上のシートの積層体から構成されていてもよく、例えば、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。この場合、積層体を構成する各シートは同じ大きさであっても異なる大きさであってもよい。バックシートは、液不透過性であって、かつ透湿性であってもよい。
吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収体は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。吸収性材料は、吸収容量を高める点から、少なくとも吸水性樹脂を含むことが好ましい。
吸収体は、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収シートを有するものであってもよい。このように構成された吸収シートは、不織布シート間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できるとともに、不織布シート間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。この場合もまた、薄型に形成された吸収体とすることができる。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
吸収体10の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体10の形状としては、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。図面では、吸収体10は略長方形に形成されている。
吸収性本体7には、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ12が設けられることが好ましい(図2および図3を参照)。立ち上がりフラップ12を設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ12が立ち上がった状態の上端部(着用者側の端部)には、起立用弾性部材13が設けられることが好ましい。起立用弾性部材13の収縮力により、立ち上がりフラップ12が起立しやすくなる。
外装部材2は、肌面側に配された内側シート5と、外面側に配された外側シート6とを有する。内側シート5の肌面側には、吸収性本体7が設けられる。吸収性本体7は、外装部材2の肌面側の少なくとも股部Rに設けられ、さらに前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに延在していることが好ましい。吸収性本体7は、例えば略砂時計形に形成されたり、略長方形に形成されればよい。
内側シート5と外側シート6はそれぞれ、前側胴部Pと後側胴部Qと股部Rを有するように構成されている。内側シート5と外側シート6は液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシート8やバックシート9に使用可能なシート材料を用いることができる。内側シート5と外側シート6は透湿性であることが好ましく、これにより、おむつの着用感を向上させることができる。
上記説明したトップシート8、バックシート9、外側シート5、内側シート6等のシート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等を用いることが好ましく、これにより薄くて丈夫なシートを容易に得ることができる。
外装部材2には、脚開口部4の縁に沿って脚部弾性部材19が設けられる。脚部弾性部材19は、股部Rを横断し、脚開口部4の前側の縁に沿って設けられる前側脚部弾性部材19Fと、股部Rを横断し、脚開口部4の後側の縁に沿って設けられる後側脚部弾性部材19Bとから構成される。前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bとにより、脚開口部4の縁のほぼ全周にわたり弾性部材が設けられ、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の漏れが防止される。脚部弾性部材19は、内側シート5と外側シート6の間に配され、内側シート5および/または外側シート6に接着されることが好ましい。
外装部材2には、ウェスト開口部3の縁に沿ってウェスト弾性部材20が設けられる。ウェスト弾性部材20により着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、おむつ着用の際に、使い捨ておむつ1が着用者の腰周りにしっかり保持される。ウェスト弾性部材20は、内側シート5と外側シート6の間に配されてもよく、図4に示すように、外装部材2がウェスト開口部3の縁に沿って折り返されて、折り返された外装部材2の間に配されてもよい。
外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qには、幅方向xに延びる胴部弾性部材21が前後方向yに並んで複数設けられることが好ましい。胴部弾性部材21は、ウェスト開口部3と脚開口部4の間に設けられる。胴部弾性部材21により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。胴部弾性部材21は、内側シート5と外側シート6の間に配され、内側シート5および/または外側シート6に接着されることが好ましい。
使い捨ておむつ1に設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態でおむつに固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
外装部材2は、内側シート5と外側シート6が所定の接着領域で互いに接着されている。これについて図5を参照して説明する。図5には、外装部材2を肌面側から見た平面図が示されており、外装部材2の内側シート5と外側シート6が接着される接着領域がクロスハッチングで示され、外装部材2に設置される吸収性本体7の外縁が一点鎖線で示されている。
内側シート5と外側シート6は、股部Rに形成された中間接着領域16と、中間接着領域16よりも前側に形成された前側接着領域14と、中間接着領域16よりも後側に形成された後側接着領域15とで互いに接着されている。前側接着領域14と中間接着領域16と後側接着領域15は外装部材2を前後方向yに区分することによって規定される。前側接着領域14は、前後方向yに対して、股部Rから前側胴部Pにかけて形成されることが好ましい。前側接着領域14は、幅方向xに対して、前側胴部Pの一方端から他方端にかけて形成されることが好ましい。後側接着領域15は、前後方向yに対して、股部Rから後側胴部Qにかけて形成されることが好ましい。後側接着領域15は、幅方向xに対して、後側胴部Qの一方端から他方端にかけて形成されることが好ましい。中間接着領域16は、股部Rのみに設けられる。前側接着領域14と中間接着領域16と後側接着領域15は、吸収性本体7と重なって設けられることが好ましい。
前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bは、前側接着領域14と中間接着領域16と後側接着領域15で内側シート5および/または外側シート6に接着されており、中間接着領域16において、前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bが断続的に設けられている。なお、それ以外の部分では、前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bは連続的に設けられることが好ましい。このように前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bが設けられれば、吸収性本体7が前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bの収縮力によって歪みにくくなり、吸収性本体7の着用者の股間でのフィット性を高めることができる。脚部弾性部材19を断続的に設ける場合は、脚部弾性部材19を内側シート5および/または外側シート6に接着固定した後、脚部弾性部材19をカッター等で切断すればよい。このようにすることで、脚部弾性部材19を製造上簡単に断続的に設けることができ、また脚部弾性部材19が断続的に設けられた部分で、弾性部材の収縮力を実質的に失わせることができる。
前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bは、図5に示すように、股部Rにおいて前後方向yに互いに離間して設けられてもよく、図面には示されていないが、前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bが互いに接していたり交差して設けられてもよい。
上記のように構成された外装部材2は、内側シート5または外側シート6が幅方向xに複数繋がった連続体を幅方向xに搬送しながら、前側接着領域14、中間接着領域16、後側接着領域15に対応する箇所に接着剤を塗布し、さらに前側脚部弾性部材19Fの連続体と後側脚部弾性部材19Bの連続体を蛇行状に幅方向xに繰り出して内側シート5または外側シート6の連続体に接着固定することにより、製造することができる。この際、中間接着領域16の接着剤は、内側シート5または外側シート6に対して幅方向xに間欠的に塗布すること、すなわち脚開口部4が形成される箇所に接着剤をできるだけ塗布しないようにし、それ以外の箇所に接着剤を塗布することで、接着剤使用量を削減することができる。このように外装部材2を製造する場合、中間接着領域16が所定の箇所に適切に形成されることが重要となるが、接着剤は通常透明であり、目視で中間接着領域16が形成された箇所を確認することは難しい。特に使い捨ておむつの製造ラインでは、製造過程の使い捨ておむつが高速で搬送されているため、画像解析技術を用いたとして、接着剤の塗布箇所を確認することは極めて困難となる。
一方、ウェスト弾性部材20や胴部弾性部材21を内側シート5および/または外側シート6に接着固定するための接着剤は、幅方向xに搬送される内側シート5または外側シート6の連続体に対して幅方向xに間欠的に塗布する必要性はなく、むしろ接着剤を幅方向xに連続的に塗布することで、ウェスト弾性部材20や胴部弾性部材21を内側シート5および/または外側シート6に強固に接着固定することができる。特に、ウェスト弾性部材20は、使い捨ておむつ1が着用者の腰周りにしっかりと保持されるように収縮力が適切に発揮されることが求められることから、ウェスト弾性部材20を固定するための接着剤は連続的に塗布されることが好ましい。
そこで本発明では、ウェスト弾性部材20を内側シート5および/または外側シート6に接着するための接着剤として、紫外線吸収剤を含有する第1接着剤を使用し、中間接着領域16を形成する接着剤として、蛍光剤を含有し、紫外線吸収剤を含有しない第2接着剤を使用する。第2接着剤は、蛍光剤を含有し、紫外線吸収剤を含有しないことにより、紫外線照射により蛍光発光し、容易に目視判別できるものとなる。これにより、使い捨ておむつ1を製造の際、外装部材2に紫外線(例えば、ブラックライト)を照射すると第2接着剤が強く蛍光発光し、中間接着領域16の形成箇所を容易に判別することができる。一方、第1接着剤は、紫外線吸収剤を含有することにより、紫外線を照射しても紫外線吸収剤によって紫外線のエネルギーが吸収され、たとえ第1接着剤に蛍光剤が含まれていても、蛍光発光をしないか、蛍光発光するとしても第2接着剤よりも弱く発光するものとなる。
第1接着剤は、紫外線吸収剤を含有することにより、接着剤や弾性部材の経時劣化(特に光劣化)を抑制できるという効果を奏する。使い捨ておむつ1は、着用の際、ウェスト弾性部材20の収縮力によって、着用者の腰周りにしっかりと保持されることが望ましいが、ウェスト弾性部材20が紫外線吸収剤を含有する第1接着剤で接着固定されることにより、使い捨ておむつ1を長期保管しても、ウェスト弾性部材20の内側シート5および/または外側シート6への接着力の低下やウェスト弾性部材20の劣化を抑えることができる。一方、紫外線吸収剤を含有しない第2接着剤で形成された中間接着領域16は、脚部弾性部材19が断続的に設けられているため、脚部弾性部材19の収縮力の経時劣化を気にする必要はない。
前側接着領域14と後側接着領域15は、紫外線吸収剤を含有する第1接着剤から形成されてもよく、蛍光剤を含有し紫外線吸収剤を含有しない第2接着剤から形成されてもよい。例えば前側接着領域14と後側接着領域15が第1接着剤から形成されていれば、脚部弾性部材19をより安定して内側シート5および/または外側シート6に接着固定することができる。一方、脚部弾性部材19はウェスト弾性部材20と比べて強い収縮力で配されなくてもよいことから、前側接着領域14と後側接着領域15が第2接着剤から形成されていても、脚部弾性部材19の収縮力の経時劣化についてそれほど気にしなくてもよい。
前側接着領域14および/または後側接着領域15は、中間接着領域16と前後方向yに離間して設けられることが好ましい。この場合、前側接着領域14および/または後側接着領域15が中間接着領域16と離間した部分に、内側シート5と外側シート6が接着されない非接着部が形成され、この非接着部を通って、着用者から発せられた汗や蒸れなどがおむつの外に排出されやすくなる。前側接着領域14および/または後側接着領域15が中間接着領域16と離間した部分に形成される非接着部は、吸収性本体7と重なって設けられることが好ましく、また外装部材2の股部Rを幅方向xに横切って、外装部材2の一方側の外縁から他方側の外縁まで延びるように設けられることが好ましい。
上記のように前側接着領域14および/または後側接着領域15が中間接着領域16から離間して設けられる場合、前側接着領域14および/または後側接着領域15は第2接着剤によって形成されることが好ましい。これにより、おむつ製造の際、外装部材2に紫外線(例えば、ブラックライト)を照射すると、第2接着剤が蛍光発光し、前側接着領域14と中間接着領域16の間の非接着部および/または後側接着領域15と中間接着領域16の間の非接着部が適切に形成されたか容易に判別することができる。
前側接着領域14と中間接着領域16との前後方向yの離間距離、および後側接着領域15と中間接着領域16との前後方向yの離間距離は、外装部材2の通気性を高める観点から、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。一方、当該離間距離は、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましく、これにより、前側脚部弾性部材19Fまたは後側脚部弾性部材19Bが前側接着領域14または後側接着領域15により好適に内側シート5および/または外側シート6に接着固定され、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが好適に形成されやすくなる。
前側接着領域14は吸収性本体7と重なって設けられ、吸収性本体7の前側端よりも前方に延在して設けられることが好ましい。また、後側接着領域15は吸収性本体7と重なって設けられ、吸収性本体7の後側端よりも後方に延在して設けられることが好ましい。このように前側接着領域14や後側接着領域15が設けられていれば、吸収性本体7の前後方向yの端部が外装部材2(特に外側シート6)に対してずれにくくなり、おむつを着用した際に、吸収性本体7が着用者の股間部で適切に位置決めされやすくなる。
上記のように前側接着領域14および/または後側接着領域15が設けられる場合、前側接着領域14および/または後側接着領域15は第2接着剤によって形成されることが好ましい。これにより、おむつ製造の際、外装部材2に紫外線(例えば、ブラックライト)を照射すると、第2接着剤が蛍光発光し、前側接着領域14および/または後側接着領域15が前後方向yに対して適切な位置に形成されたか容易に判別することができる。
前側接着領域14と後側接着領域15の吸収性本体7と重なる部分での前後方向yの長さはそれぞれ、吸収性本体7の前後方向yの長さの10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましく、また45%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。前側接着領域14と後側接着領域15の前後方向yの長さは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、後側接着領域15の方が前側接着領域14よりも前後方向yの長さが長いことが好ましい。
図6には、前側接着領域14と中間接着領域16と後側接着領域15の他の形成例を示した。図6においても、前側接着領域14と中間接着領域16と後側接着領域15がクロスハッチングで示され、外装部材2に設置される吸収性本体7の外縁が一点鎖線で示されている。
前側接着領域14は、吸収性本体7と重なる部分で幅方向xに断続的に設けられ、内側シート5と外側シート6とが接着されない前側非接着部17が形成されることが好ましい。後側接着領域15は、吸収性本体7と重なる部分で幅方向xに断続的に設けられ、内側シート5と外側シート6とが接着されない後側非接着部18が形成されることが好ましい。このように前側非接着部17および/または後側非接着部18が形成されることにより、おむつ内部に溜まった湿気がおむつの上方に排出されやすくなり、外装部材2と吸収性本体7が重なる部分での通気性を高めることができる。外装部材2は、前側接着領域14と後側接着領域15の両方がこのように幅方向xに断続的に設けられることが好ましいが、前側接着領域14のみ、あるいは後側接着領域15のみが、幅方向xに断続的に設けられてもよい。
上記のように前側接着領域14および/または後側接着領域15が幅方向xに断続的に設けられる場合、前側接着領域14および/または後側接着領域15は第2接着剤によって形成されることが好ましい。これにより、おむつ製造の際、外装部材2に紫外線(例えば、ブラックライト)を照射すると、第2接着剤が蛍光発光し、前側接着領域14および/または後側接着領域15が適切に幅方向xに断続的に形成されたか容易に判別することができる。
前側非接着部17および/または後側非接着部18は、外装部材2の幅方向xの中心に対して略対称に形成されていることが好ましい。これにより、外装部材2に紫外線を照射した際に、前側接着領域14および/または後側接着領域15が適切に幅方向xに断続的に形成されたかの判断が容易になる。
前側非接着部17の幅方向xの長さ(複数ある場合はその合計長さ)と後側非接着部18の幅方向xの長さ(複数ある場合はその合計長さ)は、吸収性本体7の幅方向xの長さの10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましい。これにより、外装部材2の通気性を高めやすくなる。一方、おむつを着用した際に、吸収性本体7が外装部材2に対してずれにくくする点から、前側非接着部17の幅方向xの長さと後側非接着部18の幅方向xの長さは、吸収性本体7の幅方向xの長さの80%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。
前側非接着部17の幅方向xの長さ(複数ある場合はその合計長さ)と後側非接着部18の幅方向xの長さ(複数ある場合はその合計長さ)は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、前側非接着部17の幅方向xの長さの方が後側非接着部18の幅方向xの長さよりも長いことが好ましい。これにより、より多くの尿が溜まりやすいおむつの前側での通気性を高めることができる。
前側接着領域14は、前側胴部Pのサイド接合部11から内方に10mm以上離れた領域(より好ましくは5mm以上離れた領域)において、前側脚部弾性部材19Fの全部と重なって設けられることが好ましい。これにより、前側脚部弾性部材19Fの両端部が前側接着領域14により固定され、前側脚部弾性部材19Fの抜け落ちが起こりにくくなる。後側接着領域15は、後側胴部Qのサイド接合部11から内方に10mm以上離れた領域(より好ましくは5mm以上離れた領域)において、後側脚部弾性部材19Bの全部と重なって設けられることが好ましい。これにより、後側脚部弾性部材19Bの両端部が後側接着領域15により固定され、後側脚部弾性部材19Bの抜け落ちが起こりにくくなる。前側接着領域14および後側接着領域15は、幅方向xに対しては、外装部材2のサイド接合部11から内方に10mm以内の領域(より好ましく5mm以内の領域)まで延在していることが好ましい。
中間接着領域16は、外装部材2の幅方向xの一方側の外縁から他方側の外縁にかけて、幅方向xに連続的に設けられることが好ましい。これにより、前側脚部弾性部材19Fと後側脚部弾性部材19Bの断片が中間接着領域16で遊離せず、おむつの見栄えを良くすることができる。
中間接着領域16の前後方向yの長さは、前側脚部弾性部材19Fが股部Rを横断する部分と後側脚部弾性部材19Bが股部Rを横断する部分に重なるように設けられれば、その長さは特に限定されない。なお、中間接着領域16の前後方向yの長さは、吸収性本体7の前後方向yの長さの15%以上であることが好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましく、また50%以下であることが好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。
胴部弾性部材21は、前側接着領域14および/または後側接着領域15から離間して設けられてもよく、前側接着領域14および/または後側接着領域15に重なって設けられてもよい。なお、前側胴部Pと後側胴部Qの通気性を高め、使い捨ておむつの着用感を向上させる観点から、胴部弾性部材21は前後方向yに並んで複数設けられ、前後方向yに隣接する胴部弾性部材21の間に、内側シート5と外側シート6とが接着されない非接着部が形成されることが好ましい。当該非接着部は、幅方向xに延び、外装部材2のサイド接合部11まで延在していることが好ましい。
上記のように胴部弾性部材21が設けられる場合、胴部弾性部材21は、紫外線吸収剤を含有する第1接着剤によって、内側シート5および/または外側シート6に接着されることが好ましい。この場合、胴部弾性部材21は、面状に形成された広い接着領域ではなく、幅方向xに延びる細い帯状に形成された狭い接着領域で内側シート5および/または外側シート6に接着されるため、胴部弾性部材21を接着する接着剤は、接着力が長期にわたって維持されるものであることが好ましい。このような観点から、胴部弾性部材21は、紫外線吸収剤を含有する第1接着剤によって接着固定されていることが好ましい。
ウェスト弾性部材20は、紫外線吸収剤を含有する第1接着剤によって内側シート5および/または外側シート6に接着されているが、ウェスト弾性部材20が外装部材2のウェスト開口部3の縁からはみ出たり抜け落ちることを防止する観点から、ウェスト弾性部材20は、ウェスト開口部3の縁に沿って折り返された内側シート5または外側シート6の間に配されることが好ましい。より好ましくは、図4に示すように、外側シート6が外装部材2のウェスト開口部3の縁に沿って肌面側に折り返され、ウェスト弾性部材20が折り返された外側シート6の間に配され、これにより、おむつの見栄えを良くすることができる。
第1接着剤と第2接着剤の種類は特に限定されないが、ホットメルト接着剤を用いることが製造上簡便である。第1接着剤と第2接着剤は、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレン等のゴム系接着剤や;スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマーをベースポリマーとして含むことが好ましい。また、ベースポリマーとして、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA);ポリエステル;アクリル系エラストマー;ポリオレフィン系エラストマー等を用いてもよい。接着剤には、粘着付与剤、可塑剤、ワックス、安定剤等が含まれていてもよい。粘着付与剤としては従来公知のものを使用することができ、例えば、ジシクロペンタジエン樹脂、C5系またはC9系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂等を使用することができる。第1接着剤と第2接着剤は、例えば、ベースポリマーを20%~40%、粘着付与剤を40%~60%、可塑剤を10%~30%の割合(質量基準)で含有することが好ましい。
第1接着剤は、上記に説明したように、紫外線吸収剤を含有する。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物(例えば、ベンゾトリアゾール系化合物)、トリアジン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられ、これらの種類は特に限定されない。第1接着の紫外線吸収剤の含有量は、例えば0.05%~1.0%の範囲で適宜調整すればよい。
第2接着剤は、蛍光剤を含有する。蛍光剤は、紫外線(特にブラックライト)の照射により蛍光発光するものであれば特に限定されない。蛍光剤は、ベースポリマー、粘着付与剤、可塑剤、ワックス、安定剤とは別に第2接着剤に含まれていてもよく、ベースポリマー、粘着付与剤、可塑剤、ワックスまたは安定剤が蛍光剤として機能するものであってもよい。例えば、粘着付与剤のうち、C9系炭化水素樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂が蛍光剤を兼ねるものであってもよい。
各接着領域は、接着剤が全面塗布されてもよいし、接着剤が網状や所定パターンの線状や散点状に塗布されてもよい。接着剤の塗布方法としては、例えば、カーテンスプレー法、オメガコーティング法、スパイラルコーティング法、パターンコート等を用いることができる。