JP7210049B2 - 汚泥の処理方法、汚泥の処理システムおよび吸着剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚泥の処理方法、汚泥の処理システムおよび吸着剤の製造方法に関する。
下水処理場から排出される下水汚泥等の含水汚泥の処理法として、環境汚染防止上の制約や埋め立て処分場の枯渇の問題等から、燃焼炉での燃焼処理が多く採用されている。
下水汚泥を消化処理した脱水汚泥(以下、単に「汚泥」とも言う)には、高濃度(例えば、灰換算約30%)でリンが含まれている。このため、汚泥を燃焼処理する際に、汚泥に含まれるリン成分が蒸発し、リン酸化合物として燃焼炉の壁等に付着し、燃焼炉の炉壁を傷めたり、排気管を詰まらせたり、熱交換管を腐食させたりする等の問題が生じている。
そこで、汚泥の処理において、汚泥中に含まれるリンの量を低減させるための研究がなされている。
リンの除去技術としては、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)を用いた方法が知られているが、このような方法では、アンモニア成分が必要であること、反応時間の長さの問題もあり、上記の問題を十分に解決できなかった。
また、汚泥中の微粒子、浮遊物を凝集させる凝集剤あるいはリン回収剤として、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸第二鉄が知られている(例えば非特許文献1)。
しかしながら、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄を用いた場合、上記のような燃焼炉等に対する悪影響の問題を十分に解決することができなかった。特に、消化処理を施した汚泥がリンを比較的高い含有率(例えば、焼却灰中の含有率が10質量%以上となるような含有率)で含まれる場合に、上記のような問題がより顕著に発生していた。また、これらは、高価であり、コスト上の問題や灰発生量の増加の問題もあった。
一方、工場や鉱山で用いた水には、多くの重金属等の汚染物質が含まれることがある。このような汚染された水を排水する場合には、汚染物質を十分に除去する必要がある。
また、汚染土壌の井戸水等にも重金属等の汚染物質が含まれることがあり、飲用水等の生活用水等として用いる場合に、汚染物質を十分に除去する必要がある。
従来においては、汚染物質の除去には、大量の吸着剤が使われている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、アルカリ性の液中(例えば、水素イオン指数(pH)が10以上の液中)で吸着剤による処理を行うと、重金属を十分に吸着させることができなかったり、吸着した重金属が再溶解してしまったりして、汚染物質を十分に除去することが困難であった。
下水道における効率的なリン回収と凝集剤の循環利用、高橋康弘、堀康弘、Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 12, 200-206 (2005)
特開2013-696号公報
本発明の目的は、燃焼時に蒸発するリン成分の量を減らし、燃焼炉に与える悪影響を抑制することができる汚泥の処理方法および汚泥の処理システムを提供すること、また、汚泥を原料として、水素イオン指数(pH)が大きい状態であっても、重金属を効率よく除去することができる吸着剤を製造することができる吸着剤の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の汚泥の処理方法は、汚泥の消化液を吸着剤と接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記吸着剤に吸着させて除去する吸着工程と、
前記吸着工程で前記消化液からリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥を燃焼する燃焼工程とを有することを特徴とする。
本発明の汚泥の処理方法では、前記吸着工程において、前記吸着剤としてドロマイト類を用いることが好ましい。
本発明の汚泥の処理方法では、前記ドロマイト類は、水酸化ドロマイトであることが好ましい。
本発明の汚泥の処理方法では、前記ドロマイト類は、ドロマイトであることが好ましい。
本発明の汚泥の処理方法では、前記吸着工程をpHが3以上13以下の条件で行うことが好ましい。
本発明の汚泥の処理方法では、前記燃焼工程における燃焼温度は、500℃以上1500℃以下であることが好ましい。
本発明の汚泥の処理システムは、汚泥の消化液を吸着剤と接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記吸着剤に吸着させて除去する吸着処理部と、
前記吸着処理部で前記消化液からリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥を燃焼する燃焼炉とを備えることを特徴とする。
本発明の吸着剤の製造方法は、汚泥の消化液とドロマイト類とを接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記ドロマイト類に吸着させる吸着工程と、
前記消化液と接触させた前記ドロマイト類を焼成する焼成工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、燃焼時に蒸発するリン成分の量を減らし、燃焼炉に与える悪影響を抑制することができる汚泥の処理方法および汚泥の処理システムを提供すること、また、水素イオン指数(pH)が大きい状態であっても、重金属を効率よく除去することができる吸着剤を、汚泥を原料として製造することができる吸着剤の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の汚泥の処理システムの第1実施形態を模式的に示す図である。 図2は、図1に示す処理システムが備える吸着処理部の一例を模式的に示す図である。 図3は、本発明の汚泥の処理方法の第1実施形態を示す工程図である。 図4は、本発明の汚泥の処理システムの第2実施形態を模式的に示す図である。 図5は、図4に示す処理システムが備える吸着処理部と嫌気槽との関係を模式的に示す図である。 図6は、吸着剤としてドロマイトを用いた場合の吸着剤の添加量とリンの除去率との関係を示すグラフである。 図7は、吸着剤として水酸化ドロマイトを用いた場合の吸着剤の添加量とリンの除去率との関係を示すグラフである。 図8は、吸着剤として平均粒径が1mmの軽焼ドロマイトを用いた場合の吸着剤の添加量とリンの除去率との関係を示すグラフである。 図9は、吸着剤として平均粒径が3mmの軽焼ドロマイトを用いた場合の吸着剤の添加量とリンの除去率との関係を示すグラフである。 図10は、吸着剤としてドロマイトを用いた場合のpHとリンの除去率との関係を示すグラフである。 図11は、吸着剤として水酸化ドロマイトを用いた場合のpHとリンの除去率との関係を示すグラフである。 図12は、吸着剤として平均粒径が1mmの軽焼ドロマイトを用いた場合のpHとリンの除去率との関係を示すグラフである。 図13は、吸着剤として平均粒径が3mmの軽焼ドロマイトを用いた場合のpHとリンの除去率との関係を示すグラフである。 図14は、被処理物の吸着剤との接触時間と、リンの除去率との関係を示すグラフである。 図15は、吸着剤として焼成ドロマイト、活性炭を用いた場合の、当該吸着剤によるリンの吸着量の関係を示すグラフである。 図16は、消化汚泥の燃焼温度と、燃焼により得られる汚泥灰中のリン含有率との関係を示すグラフである。 図17は、実施例3で、原料として用いた焼成ドロマイト、当該焼成ドロマイトにリン成分を吸着させた後に焼成して得られた吸着剤、および、当該吸着剤にPbを吸着させた状態についての、X線回折(XRD)の解析結果を示す図である。 図18は、実施例1の吸着剤を用いて、クロム、ニッケル、ヒ素、カドミウムおよび鉛を、それぞれ、2ppmの含有率で含む標準液を処理した場合の吸着剤の単位質量あたりの各重金属の吸着量を示すグラフである。 図19は、実施例2の吸着剤を用いて、クロム、ニッケル、ヒ素、カドミウムおよび鉛を、それぞれ、2ppmの含有率で含む標準液を処理した場合の吸着剤の単位質量あたりの各重金属の吸着量を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
〔汚泥の処理方法、汚泥の処理システム〕
≪第1実施形態≫
以下、汚泥の処理方法、汚泥の処理システムの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の汚泥の処理システムの第1実施形態を模式的に示す図である。図2は、図1に示す処理システムが備える吸着処理部の一例を模式的に示す図である。図3は、本発明の汚泥の処理方法の第1実施形態を示す工程図である。以下の説明では、図1、図2中の下側を「下側」または「下部」とし、図1、図2中の上側を「上側」または「上部」とする。後に説明する図4についても同様である。
本発明の汚泥の処理方法は、汚泥の消化液Sを吸着剤36と接触させ、消化液Sに含まれるリン成分の少なくとも一部を、吸着剤(リン成分吸着剤)36に吸着させて除去する吸着工程と、吸着工程で消化液Sからリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥SSを燃焼する燃焼工程とを有する。
また、本発明の汚泥の処理システム1は、汚泥の消化液Sを吸着剤36と接触させ、消化液Sに含まれるリン成分の少なくとも一部を、吸着剤36に吸着させて除去する吸着処理部(吸着槽)30と、吸着処理部30で消化液Sからリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥SSを燃焼する燃焼炉60とを備える。
このような本発明によれば、燃焼時に蒸発するリン成分の量を減らし、燃焼炉に与える悪影響を抑制することができる汚泥の処理方法、汚泥の処理システムを提供することができる。
特に、本発明では、汚泥(消化汚泥SS)の燃焼工程(燃焼炉60での燃焼処理)に先立って、汚泥の消化液S中に含まれているリン成分を、吸着工程(吸着処理部30)で処理し、汚泥(消化汚泥SS)および消化液に含まれるリン成分の濃度を低くする。
消化汚泥SSに含まれるリン濃度が高いと、燃焼により、リン成分が蒸発し、燃焼炉60の炉壁、排気管、熱交換管等に悪影響を及ぼしやすいが、本発明では、リン成分を除去することにより、上記のような悪影響を抑えることができる。また、最終的な消化液中に含まれるリン濃度も十分に低くすることができる。
なお、被処理物の元である汚泥は、リン成分を含んでいれば、いかなるものであってもよく、家庭等からの下水、し尿の処理あるいは工場廃水の浄化に伴って多量に排出される、有機質の最終生成物が凝集してできた固形物を含み、固形と液状の中間性状を示す泥状の廃棄物を含む概念である。
また、被処理物である消化液S中において、リンは、通常、主形態であるリン酸イオンやリン酸塩、酸化物等の形態で含まれている。本明細書では、これらの形態を含めてリンを含む化合物(イオン性物質を含む)や当該化合物中に含まれるリン原子のことを、単にリンということがある。
また、本実施形態の汚泥の処理方法では、汚泥S1の消化を行う消化工程で、メタン発酵処理、硝化脱窒素処理、および、好気菌消化処理の各処理を行う。
そして、本実施形態の汚泥の処理システムは、汚泥S1の消化を行う消化処理部20が、メタン発酵処理を行う嫌気槽(メタン発酵処理部)21と、硝化脱窒素処理を行う無酸素槽(硝化脱窒素処理部)22と、好気菌消化処理を行う好気槽(好気菌消化処理部)23とを備えている。
メタン発酵処理(嫌気槽21)では、主に、嫌気性微生物によって汚泥S1を分解するメタン発酵を行う。
硝化脱窒素処理(無酸素槽22)では、メタン発酵処理(嫌気槽21)で発生したアンモニア性窒素を、硝化により硝酸性窒素、亜硝酸性窒素とした後に、還元反応により窒素ガスに変化させる。
好気菌消化処理(好気槽23)では、好気菌により、被処理物(汚泥S1についての消化処理が一部進行した消化液S)中に含まれている有機物を消化させたり、溶解状態で含まれているリン成分を好気菌である脱リン菌に取り込ませたりする。
また、本実施形態の汚泥の処理方法は、消化工程および吸着工程の後であって、燃焼工程の前のタイミングで、消化汚泥SSを脱水する脱水工程、および、乾燥する乾燥工程を有している。
そして、本実施形態の汚泥の処理システムは、消化処理部20および吸着処理部30よりも下流側であり、燃焼炉60よりも上流側に、消化汚泥SSを脱水する脱水装置50、および、脱水装置50により脱水された消化汚泥SSを乾燥する乾燥装置70を備えている。
このような構成により、汚泥の処理をより効率よく行うことができるとともに、本発明による効果をより顕著に発揮することができる。
また、本発明の汚泥の処理システムは、被処理物である汚泥(固形分としての汚泥、および、消化液のような液体分)を各装置間で移送する図示しない移送手段を備えていてもよい。
本発明の汚泥の処理方法は、本発明の汚泥の処理システムを用いて好適に実施することができる。
<消化工程(消化処理部)>
[メタン発酵処理(嫌気槽)]
まず、嫌気消化処理であるメタン発酵処理では、嫌気槽21において、有機性廃棄物である汚泥S1を嫌気性微生物によって分解し、メタンガスを生産しながら、減容化する。
嫌気槽21には、嫌気性微生物群を高濃度に保持する微生物の固定床が設けられているのが好ましい。例えば、発酵槽内に微生物担体(例えば、ガラス繊維製、炭素繊維製の微生物担体等)を充填して図示しない固定床とすることができる。
嫌気槽21内に導入された汚泥S1を嫌気性微生物群により消化させ、メタンガスにまで分解する。
また、嫌気槽21には、汚泥S1を嫌気性微生物群の活性温度に保持する図示しない装置が設けられているのが好ましい。
これにより、嫌気槽21内の汚泥S1をメタン生成微生物に適する発酵温度、例えば、中温域から高温域(例えば、37℃以上55℃以下程度)に維持することができ、メタン生成をさらに効率よく行うことができる。
なお、嫌気槽21は、例えば、固定床に代えて浮遊床方式とすることもできる。
メタン生成嫌気性微生物により、汚泥S1中に含まれる有機酸等の有機物質は分解され、メタンガスおよび炭酸ガスが生成される。なお、メタン発酵処理により発生したメタンは、回収してエネルギー資源として再利用することができる。
そして、嫌気消化処理であるメタン発酵処理が施された汚泥S1(消化液Sにも)は、有機残渣を含んでいる。嫌気消化処理であるメタン発酵処理を経て得られた消化液Sにはアンモニア性窒素およびリンが多く含まれているので、消化液をこのまま放流することは、環境に影響を与えることから規制されている。そこで、本実施形態では、吸着処理部30を設けることで消化液Sからリンを除去し、その後のリンによる負荷を減らすことにより、最終的に消化汚泥SSに含まれるリン成分の含有量を減らし、焼却の際に、過剰なリン成分の蒸発による焼却炉内の腐食等の問題の発生を効果的に防止することができる。
嫌気槽21でメタン発酵処理された汚泥S1と消化液Sは、硝化脱窒素処理部である無酸素槽22に供給される。言い換えると、メタン発酵処理に供された汚泥(消化液S)は、その後、硝化脱窒素処理に供される。
[硝化脱窒素処理(無酸素槽)]
硝化脱窒素処理では、無酸素槽22において、メタン発酵処理で発生したアンモニア性窒素を窒素ガスに変化させる。
図示の構成では、無酸素槽(硝化脱窒素処理部)22は、被処理物である消化液S(すなわち、嫌気槽21で処理された液相)に含まれている硝酸性窒素、亜硝酸性窒素を微生物(脱窒菌)処理で窒素に還元する無酸素部221と、好気性条件下でアンモニア性窒素を微生物(硝酸菌、亜硝酸菌のうちの少なくとも一方)で処理することで硝酸性窒素、亜硝酸性窒素を生成する好気部222を備えている。
まず、無酸素部221において、無酸素の状態を好む硝化細菌(脱窒菌)によって、消化液S中に含まれる硝酸性窒素、亜硝酸性窒素を窒素ガスに変化させる(脱窒素処理)。次に、消化液Sは好気部222に送られる。好気部222においては、消化液S中に含まれるアンモニア性窒素を微生物(硝酸菌、亜硝酸菌の少なくとも一方)によって、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素へ変化させる。次いで、消化液Sは無酸素部221に送られる。このようにして、消化液Sは無酸素部221と好気部222の間を内部循環する。
これにより、消化液に含まれるアンモニア性窒素、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素の量を少なくすることができる。
なお、図示の構成では、無酸素槽22および好気槽23を1つずつ備えているが、無酸素槽22および好気槽23の組み合わせを複数段備えていてもよい。また、消化液Sを、同一の無酸素槽22および好気槽23を、繰り返し循環させるように構成してもよい。
嫌気槽21および無酸素槽22では、脱リン菌からリンが吐き出されるので消化液S中にリン濃度は高くなる。
[好気菌消化処理(好気槽)]
好気菌消化処理では、好気槽23において、好気菌により、被処理物(すなわち、汚泥S1についての消化処理が一部進行した消化液S)中に含まれている有機物を消化させたり、好気菌である脱リン菌により、溶解状態で含まれているリン成分を取り込むようにする。
これにより、例えば、消化液S中に溶解状態で含まれるリン成分の含有率を十分に低くすることができるため、本処理後の消化液Sを排水として処理することができる。
<吸着工程(吸着処理部)>
吸着工程では、吸着処理部30において、消化液Sを吸着剤36と接触させ、消化液Sに含まれるリン成分の少なくとも一部を、吸着剤36に吸着させて除去する。
特に、本実施形態では、吸着処理部30が、無酸素槽22よりも下流側で好気槽23よりも上流側に設けられており、吸着工程を硝化脱窒素処理と好気菌消化処理との間のタイミングで行う。すなわち、本実施形態では、消化工程中において吸着工程を行う。
これにより、好気槽23(好気菌消化処理)に供される消化液S中におけるリンの含有率を十分に低くすることができ、最終的に燃焼炉60に供給される消化汚泥SS中に含まれるリンの含有率を十分に低くすることができる。その結果、焼却の際に、過剰なリン成分の蒸発による焼却炉60内の腐食等の問題の発生をより効果的に防止することができる。
吸着剤36は、消化液S中のリン成分を吸着することができればよいが、例えば、ドロマイト類、水酸化カルシウム(Ca(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸マグネシウム(MgCO)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、吸着工程では、吸着剤36としてドロマイト類を用いるのが好ましい。
これにより、消化液S中に含まれるリン成分をドロマイト類により効率よく吸着させることができる。また、リン成分とともに、消化液S中に含まれる重金属も効率よく除去することができる。
本工程で用いるドロマイト類としては、ドロマイト、水酸化ドロマイト(消化ドロマイト。ドロマイトプラスターを含む)、軽焼ドロマイト、ドロマイトクリンカー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、水酸化ドロマイトを用いることにより、消化液S中に含まれるリン成分をドロマイト類にさらに効率よく吸着させることができる。また、消化液S中に含まれる重金属もより効率よく除去することができる。
また、ドロマイトを用いることにより、吸着剤36としてのドロマイト類の選択の幅が広がり、ドロマイト類の粒径や細孔径等の条件を最適な条件に調整することができる。また、吸着剤36がより安価であるため、汚泥の処理コストのさらなる低減の観点からも有利である。
なお、本明細書において、軽焼ドロマイトとは、焼成ドロマイトのうち、600℃以下の焼成温度で焼成されたもののことをいう。
本工程で用いる吸着剤36は、通常、多孔質である。
これにより、吸着剤36の単位質量および単位体積当たりの表面積を大きくすることができ、リン成分の除去効率をさらに向上させることができる。
吸着剤36(特に、ドロマイト類)の平均細孔径は、特に限定されないが、1nm以上100μm以下であるのが好ましく、2nm以上100μm以下であるのがより好ましく、50nm以上30μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、吸着剤36の耐久性を確保しつつ、吸着剤36によるリン成分の吸着効率をさらに向上させることができる。また、消化液S中に含まれる重金属もより効率よく除去することができる。
吸着剤36(特に、ドロマイト類)のBET比表面積は、特に限定されないが、10m/g以上であるのが好ましく、40m/g以上1000m/g以下であるのがより好ましい。
これにより、吸着剤36によるリン成分の吸着効率をさらに向上させることができる。また、消化液S中に含まれる重金属もより効率よく除去することができる。
吸着剤36(特に、ドロマイト類)の形状、大きさは特に限定されないが、吸着剤36が粒子状をなしている場合、その平均粒径は、3μm以上300mm以下であるのが好ましく、100μm以上250mm以下であるのがより好ましく、1mm以上200mm以下であるのがさらに好ましく、10mm以上150mm以下であるのがもっとも好ましい。
これにより、吸着剤36の単位質量および単位体積当たりの粒子表面積を大きくすることや吸着剤36にリン成分を均一に吸着させることができるとともに、粒子状の吸着剤36が不本意に凝集してしまうこと等が効果的に防止され、吸着剤36の流動性、取り扱いのしやすさが向上する。また、容器(例えば、カラム35)への充填性(充填のしやすさ、容器の形状に対する追従性)を向上させることができる。
吸着工程で吸着剤36に吸着させるリン成分は、少なくともその一部が消化液Sに溶解状態で含まれていればよい。
本工程で吸着剤36に吸着されるリン成分としては、例えば、リン酸イオンやその塩(例えば、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム等)、亜リン酸やその塩、ペルオキソ一リン酸やその塩、ホスホン酸やその塩、ホスフィン酸やその塩、五酸化二リン等のリンの酸化物、五塩化リン等のリンのハロゲン化物、塩化ホスホリル等のハロゲン化ホスホリル、一リン化カルシウム、二リン化酸カルシウム等のリン化カルシウム等が挙げられる。
本工程での消化液Sと吸着剤36とを含む混合物のpH(特に、本工程終了時におけるpH)は、3以上13以下であるのが好ましく、5以上10以下であるのがより好ましい。
これにより、リン成分を吸着剤36により効率よく吸着させることができ、本工程をより効率よく行うことができる。
以下、吸着処理部30について詳細に説明する。
図2に示すように、吸着処理部30は、消化液Sが入れられた処理槽31と、吸着剤36が充填されたカラム(容器)35と、処理槽31とカラム35の下部とを接続して配され、処理槽31からカラム35に消化液Sを供給する第1の配管32と、カラム35の上部と処理槽31とを接続して配され、カラム35を通過した消化液Sを処理槽31に戻す第2の配管33とを有している。
図示の構成では、消化液Sは、処理槽31の下部から、第1の配管32を通じてカラム35に供給される。なお、消化液Sは、処理槽31の上部からカラム35に供給される構成であってもよい。
カラム35に消化液Sを通す場合に、図示のように、カラム35の下側から上側に向けて消化液Sを通すのが好ましい。
これにより、カラム35の内部に消化液Sを行き渡らせることができ、カラム35に充填された吸着剤36と消化液Sとをより効率よく接触させて、消化液S中に含まれるリン成分を、吸着剤36により効率よく吸着させることができる。特に、吸着剤36としてドロマイト類を用いる場合、ドロマイト類の空孔内においてもリン成分をドロマイト類により効率よく吸着させることができる。
カラム35を通過した消化液Sは、カラム35の上部から、第2の配管33を通じて処理槽31に戻される。
吸着剤36による吸着作用により、カラム35を通過した後の消化液Sは、カラム35を通過する前の消化液Sに比べて、リンの濃度が低下している。
また、処理槽31とカラム35との間で消化液Sを循環させることで、繰り返し吸着処理を行い、より効率よく吸着剤36にリン成分を吸着させることができる。
吸着剤36が充填されたカラム35に消化液Sを通すことにより、吸着剤36と接触させた後の吸着剤36からの消化液Sの分離が容易になる。
また、カラム35を着脱可能なカートリッジとすることにより、吸着剤36の交換を容易に行うことができる。また、リン成分を吸着した吸着剤36の回収も容易に行うことができる。
なお、消化液Sは多くの固形分(夾雑物)を含む場合があり、消化液Sをそのままカラム35に通すと、固形分によりカラム35が目詰まりを起こしてしまう可能性がある。
そこで、カラム35に供給される消化液Sから、カラム35が目詰まりしない程度に、比較的大きな固形分(夾雑物)を除去しておくのが好ましい。例えば、図2に示すように、フィルター、スクリーン、トロンメル、渦流式分水槽(スワール分水槽)等の夾雑物除去手段34を、第1の配管32の入り口または中途部に配しておくのが好ましい。
これにより、カラム35の目詰まりを効果的に防止しつつ、長期間にわたってより安定的に、消化液Sと吸着剤36とを接触させることができる。また、処理システム1のメンテナンス(吸着剤36の交換を含む)の頻度を減らすことができ、消化液Sの処理の効率をより向上させることができる。
本工程の処理時間(消化液Sがカラム35に入り、吸着剤36との接触時間、すなわち、滞留時間)は、特に限定されないが、1分以上1日以下であるのが好ましく、10分以上3時間以下であるのがより好ましい。
これにより、消化液Sの処理効率の低下を効果的に防止しつつ、吸着剤36によるリン成分の吸着効率をさらに向上させることができる。
本工程の処理温度は、特に限定されないが、0℃以上90℃以下であるのが好ましく、10℃以上80℃以下であるのがより好ましく、15℃以上60℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、リン成分を吸着剤36により効率よく吸着させることができ、短時間で効率よく本工程を行うことができる。
本工程(吸着工程)終了時における、消化液S中に含まれる溶解成分としてのリンの除去率(何ら処理が施されていない被処理物である消化液Sからのリンの除去率で、元素Pに換算した値)は、特に限定されなく、燃焼炉60での状況によってかわるが、10質量%以上98質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上90質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、本発明による効果がより顕著に発揮され、燃焼炉60等に与える悪影響をより効果的に抑制することができる。
これに対し、溶解成分としてのリンの除去率が低すぎると、前述したような本発明による効果が十分に発揮されない可能性がある。
一方、溶解成分としてのリンの除去率を必要以上に高くしても、焼却炉等に対する悪影響の程度はほとんど変化せず、吸着剤36の使用量が増大し、吸着工程に要する時間が必要以上に長くなる等の問題を生じ、消化液Sの処理効率、コスト等の観点から好ましくない。
吸着工程に供された消化液Sは、消化処理部20の好気槽(好気菌消化処理部)23に供給され、前述したような好気菌による好気菌消化処理と、脱リン菌による脱リン処理が施される。
<脱水工程(脱水装置)>
消化処理、吸着処理後、処理済みの消化液Sを含む消化汚泥SSは、脱水装置50に供給される。
脱水工程では、脱水装置50を用いて、消化汚泥SSに脱水処理を施し、消化汚泥SSの含水率を低くする。
これにより、燃焼炉60における燃焼温度を低下させず、燃焼工程をより効率よく行うことができる。
脱水装置50としては、例えば、ベルトプレス型脱水装置、遠心分離型脱水装置、フィルタプレス等の脱水装置を採用することができる。
ここで、もともとの消化液S中に含まれていたリンは、その多くが、吸着工程での吸着剤36による吸着により、系外に除去されており、好気槽(好気菌消化処理)での脱リン菌(好気菌の一種類)に取り込まれるリンの量が少なくなり、好気槽23で発生する消化汚泥SS(余剰汚泥)の中に含まれているリンの含有量は、大きく低下している。
脱水処理された消化汚泥SSは、さらに、加熱乾燥機等を用いて乾燥処理を施してもよい。
加熱乾燥機としては、例えば、熱風乾燥機、ベルト乾燥機、キルン乾燥機等の乾燥機を採用することができる。
これにより、消化汚泥SSの含水率をより低くすることができ、燃焼工程をさらに効率よく行うことができる。
脱水装置50で脱水処理された消化汚泥SSは燃焼炉60に供給される。言い換えると、脱水工程に供された消化汚泥SSは、その後、燃焼工程に供される。
<燃焼工程(燃焼炉)>
燃焼工程では、燃焼炉60において、上述した処理が施された消化汚泥SSを燃焼する。
このとき、消化汚泥SSが、脱水処理により含水率が低くなされていると、燃焼温度の不本意な低下をより効果的に防止しつつ、より効率よく本工程を行うことができる。また、燃焼温度の制御も容易となる。
燃焼炉60としては、例えば、流動層燃焼炉、回転型燃焼炉、固定層燃焼炉、ストーカー式燃焼炉、ガス化溶融炉等を採用することができる。
燃焼炉60は、高温の流動媒体(砂)61からなる流動媒体層を有する流動層燃焼炉であるのが好ましい。高温の流動媒体(砂)61に消化汚泥SSを投入することで、流動する砂の熱量を利用して消化汚泥SSをムラなく、より短時間で燃焼することができる。
図1に示す例において、流動層燃焼炉としての燃焼炉60は、鉛直方向に延びる筒状の形状をしており、その内部が、ガスの上側への移動を許容する分散板62によって仕切られて、分散板62より下側がガス供給部63とされている。分散板62の上側には、流動媒体61である砂からなる流動媒体層を有する。ガス供給部63は、外部から供給された高温のガスを、分散板62を介して、上側の流動媒体層へ向かって送ることができるようになっている。流動媒体層は、ガス供給部63から供給されるガスにより流動するようになっている。
そして、高温の流動媒体61に消化汚泥SSを投入することで、流動砂の熱量を利用して消化汚泥SSをムラなく、より短時間で燃焼することができる。
燃焼工程において、燃焼温度(特に、最高燃焼温度)は、500℃以上1500℃以下であるのが好ましく、550℃以上900℃以下であるのがより好ましい。
これにより、燃焼処理に要するエネルギー量を削減しつつ、短時間で効率よく本工程を行うことができる。また、燃焼炉60等への悪影響をより効果的に防止することができる。
本工程の処理時間(特に、500℃以上での燃焼時間)は、1秒以上120分以下であるのが好ましく、5秒以上10分以下であるのがより好ましい。
これにより、燃焼処理に要するエネルギー量を削減しつつ、効率よく本工程を行うことができる。
本工程で燃焼された消化汚泥SSは、処理生成物である燃焼灰となる。
また、吸着工程において、リン成分を吸着した吸着剤36(特に、ドロマイト類)は、例えば、焼成すること(特に、300℃以上1000℃以下の焼成温度で焼成すること)で、リンを含む吸着剤として再利用することができる。この吸着剤は、例えば、重金属を優れた効率で吸着する吸着剤として用いることができる。
このように、処理後の吸着剤36を再利用することで、最終的な産業廃棄物量を減量することができる。
≪第2実施形態≫
図4は、本発明の汚泥の処理システムの第2実施形態を模式的に示す図である。図5は、図4に示す処理システムが備える吸着処理部と嫌気槽との関係を模式的に示す図である。
以下、これらの図を参照して本発明の汚泥の処理方法、汚泥の処理システムの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、消化工程(消化処理部20)と吸着工程(吸着処理部30)との関係が異なる以外は前記第1実施形態と同様である。
より具体的には、前述した実施形態では、吸着処理部30が消化処理部20を構成する嫌気槽21および無酸素槽22よりも下流側に設けられており、嫌気消化処理および硝化脱窒素処理の後に、吸着処理を行うように構成されていたが、本実施形態では、吸着処理部30’が、嫌気槽21および無酸素槽22にそれぞれ付設されており、嫌気処理であるメタン発酵処理中および無酸素処理である硝化脱窒素処理中に吸着処理を施すように構成されている。
吸着処理部30’は、前記第1実施形態で説明したのと同様のカラム(容器)35、吸着剤36、第1の配管32、第2の配管33および夾雑物除去手段34を備えている。
このような構成にすることにより、消化処理および吸着処理をより効率よく行うことができ、汚泥の処理方法全体としての効率のさらなる向上を図ることができる。
なお、吸着処理部30’は、図示の構成では嫌気槽21および無酸素槽22の両方に付設されているが、これらのうちの一方のみに付設されていてもよい。
〔吸着剤の製造方法〕
次に、本発明の吸着剤の製造方法について説明する。
本発明の吸着剤の製造方法は、汚泥の消化液とドロマイト類とを接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記ドロマイト類に吸着させる吸着工程と、前記消化液と接触させた前記ドロマイト類を焼成する焼成工程とを有する。
これにより、水素イオン指数(pH)が大きい状態であっても、重金属を効率よく除去することができる吸着剤(すなわち、重金属吸着剤)を、汚泥を原料として製造することができる吸着剤の製造方法を提供することができる。特に、重金属を効率よく除去することができる吸着剤を、安価で、生産性良く製造することができる。また、汚泥の処理により発生する結果物(リン成分を吸着した吸着剤(すなわち、リン成分吸着剤))を有効利用することができ、汚泥処理のプロセスで、新たな廃棄物が生じてしまうことを効果的に防止することができる。
また、前述した本発明に係る汚泥の処理方法での吸着工程を、本発明の吸着剤の製造方法における吸着工程と共通化することにより、汚泥の処理方法および吸着剤の製造方法を含む汚泥の処理プロセス全体として、設備への悪影響や廃棄物の新たな発生を抑えつつ、環境に悪影響を与えうる重金属を除去することができる吸着剤(すなわち、重金属吸着剤)を製造することができる。したがって、汚泥処理のプロセス全体を、環境や設備に優しいものとすることができる。
また、本発明の製造方法では、従来高い除去率で除去することが特に困難であったヒ素についても、高い除去率で除去することが可能な吸着剤を製造することができる。
<吸着工程>
吸着工程では、ドロマイト類と、汚泥の消化液とを接触させる。これにより、前記消化液中に含まれるリン成分をドロマイト類に吸着させる。
本工程で用いるドロマイト類としては、前述した本発明に係る汚泥の処理方法、処理システムで用いる吸着剤36を好適に用いることができる。
特に、水酸化ドロマイトを用いることにより、後の焼成工程において、リン酸イオンとドロマイト類を構成するCaとの間での化学結合の形成をより好適に進行させることができる。
また、ドロマイトを用いることにより、原料としてのドロマイト類の選択の幅が広がり、ドロマイト類の粒径や細孔径等の条件を好適に調整することができる。また、原料がより安価であるため、吸着剤(重金属吸着剤)の生産コストのさらなる低減の観点からも有利である。
本工程で用いるドロマイト類(すなわち、原料としてのドロマイト類)は、通常、多孔質である。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の単位質量および単位体積当たりの表面積を大きくすることができ、重金属の除去効率をさらに向上させることができる。さらに、焼成工程により、比表面積を増加させることができる。
原料としてのドロマイト類の平均細孔径は、特に限定されないが、1nm以上100μm以下であるのが好ましく、2nm以上100μm以下であるのがより好ましく、50nm以上30μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の耐久性を確保しつつ、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率をさらに向上させることができる。なお、平均細孔径は、例えば、焼成工程での焼成条件等により調整することができる。
本工程でドロマイト類と接触させるリン化合物(すなわち、汚泥の消化液に含まれるリン化合物)としては、例えば、リン酸やその塩(例えば、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム等)、亜リン酸やその塩、ペルオキソ一リン酸やその塩、ホスホン酸やその塩、ホスフィン酸やその塩、五酸化二リン等のリンの酸化物、五塩化リン等のリンのハロゲン化物、塩化ホスホリル等のハロゲン化ホスホリル、一リン化カルシウム、二リン化酸カルシウム等のリン化カルシウム等が挙げられる。
ドロマイト類とリン化合物(すなわち、汚泥の消化液に含まれるリン化合物)との比率は特に限定されないが、ドロマイト類に対するリン化合物の吸着量は、リン酸イオン量の換算で、ドロマイト類100質量部(%)に対して、0.1質量部以上20質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上2質量部以下であるのがより好ましい。
これにより、ドロマイト類に吸着しないで残存するリン化合物の量を抑制しつつ、ドロマイト類へのリン化合物の吸着量を多くすることができ、ドロマイトより高価なリンを節約することもできる。さらに、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率をさらに向上させることができる。
本工程は、ドロマイト類と汚泥の消化液とを含む混合物のpHが、3以上13以下であるのが好ましく、5以上10以下であるのがより好ましい。
これにより、汚泥の消化液に含まれるリン化合物をドロマイト類により効率よく吸着させることができ、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率をさらに向上させることができる。
本工程の処理時間(すなわち、ドロマイト類と汚泥の消化液との接触時間)は、1分以上1日以下であるのが好ましく、10分以上3時間以下であるのがより好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の生産性の低下を効果的に防止しつつ、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率をさらに向上させることができる。
本工程の処理温度は、特に限定されないが、0℃以上90℃以下であるのが好ましく、10℃以上80℃以下であるのがより好ましく、15℃以上60℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の製造に要するエネルギー量を削減しつつ、リン化合物をドロマイト類により効率よく吸着させることができ、短時間で効率よく本工程を行うことができる。
吸着工程で、消化液に含まれるリン成分をドロマイト類に吸着させた後に、固液分離を行う(固液分離工程)。
また、固液分離工程で得られた固体であるリン吸着ドロマイト類に対し、乾燥処理を行う(乾燥工程)。
乾燥工程での処理温度は、特に限定されないが、300℃以下であるのが好ましく、70℃以上300℃以下であるのがより好ましい。
その後、乾燥処理したリン吸着ドロマイト類を用いて、以下に詳述する焼成工程を行う。
<焼成工程>
焼成工程では、汚泥の消化液と接触させたドロマイト類(すなわち、リン成分を吸着したドロマイト類)を焼成する。
これにより、リン酸成分が吸着剤(ドロマイト類)に固定化され、原料としてのドロマイト類に比べて、重金属の吸着能力が向上する。特に、アルカリ性の条件下での重金属の吸着能力が顕著に向上する。
また、焼成により、ドロマイト類を構成していたCaがPaと化学結合(イオン結合)しリン酸カルシウム系化合物が形成されることにより、幅広いpH領域(特に、pHが5以上の領域)において、吸着剤(重金属吸着剤)が被処理物と接触した場合のリン成分の脱離が効果的に防止され、安定的に優れた吸着能力が発揮される。
また、重金属だけでなく、F(フッ素)も好適に除去することができる。
また、低いpH領域(例えば、pHが3以下の領域)では、リン成分を好適に溶解させることができ、吸着剤(重金属吸着剤)に吸着した重金属を好適に溶出させることができる。これにより、吸着剤(重金属吸着剤)と重金属とを好適に分離することができ、例えば、重金属を好適に再利用することができる。特に、貴金属(Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os)、希少金属(例えば、Cr、Mn、Co、Ni、Mo、W、Bi等)を吸着させた場合に、特に有利である。
上記のような優れた効果は、焼成工程でリン成分を吸着剤(特に、ドロマイト類)に吸着させ、それを固定化することにより得られるのであって、単に、ドロマイト類とリン化合物を混合し固体と固体が接触することでは得られない。より具体的には、例えば、リン含有水溶液中等において、単に、ドロマイト類とリン化合物とを接触させたとしても、反応性が悪く、焼成処理を行わなかった場合では、高濃度のアルカリ条件で被処理物を処理する際等に、リン酸成分が容易に溶出してしまい、重金属の除去効率の向上の効果が安定的には得られない。
リン酸カルシウム系化合物としては、例えば、リン酸カルシウム(Ca(HPOやその水和物)、無水リン酸水素カルシウム(CaHPO)、ヒドロキシアパタイト(HAP)(Ca10(PO(OH))等のようなリン酸イオンとカルシウムイオンとを含む化合物が挙げられる。
焼成工程の処理温度(特に、最高焼成温度)は、300℃以上1000℃以下であるのが好ましく、400℃以上900℃以下であるのがより好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の製造に要するエネルギー量を削減しつつ、リン酸イオンとドロマイト類を構成するCaとの間で、より効率よく化学結合を形成させることができ、短時間で効率よく本工程を行うことができる。
焼成工程での処理時間(特に、300℃以上の温度での加熱時間)は、特に限定されないが、0.3時間以上10時間以下であるのが好ましく、1時間以上5時間以下であるのがより好ましく、2時間以上3時間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の生産性の低下を効果的に防止しつつ、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率をさらに向上させることができる。
また、焼成工程での加熱は、ほぼ一定の温度で保持するようにして行ってもよいし、異なる複数の保持温度で保持するようにして行ってもよい。また、焼成工程での加熱は、ほぼ一定の昇温速度、ほぼ一定の降温速度となるようにして行ってもよいし、昇温時の昇温速度、降温時の降温速度の少なくとも一方が、経時的に変化するようにして行ってもよい。
より具体的には、例えば、焼成工程では、所定の昇温速度(第1の昇温速度)で温度を上昇させ、所定の温度(第1の温度)に到達した時点で所定時間(第1の保持時間)だけ第1の温度で保持し(昇温速度をゼロとし)、その後、第1の昇温速度とは異なる所定の昇温速度(第2の昇温速度)で温度を上昇させ、所定の温度(第2の温度)に到達した時点で所定時間(第2の保持時間)だけ第2の温度で保持し(昇温速度をゼロとし)、その後、所定の降温速度(第1の降温速度)で温度を低下させ、所定の温度(第3の温度)に到達した時点で所定時間(第3の保持時間)だけ第3の温度で保持し(すなわち、降温速度をゼロとし)、その後、第1の降温速度とは異なる所定の降温速度(第2の降温速度)で温度を低下させてもよい。
前記第1の温度は、例えば、100℃以上300℃以下の温度とすることができる。
前記第2の温度は、前述した最高焼成温度とすることができる。
前記第3の温度は、例えば、100℃以上300℃以下の温度とすることができる。
前記第1の保持時間は、例えば、10分以上4時間以下とすることができる。
前記第2の保持時間は、例えば、30分以上5時間以下とすることができる。
前記第3の保持時間は、例えば、10分以上4時間以下とすることができる。
前記第1の昇温速度は、5℃以上20℃以下とすることができる。
前記第2の昇温速度は、10℃以上40℃以下とすることができる。
前記第1の降温速度は、2℃以上15℃以下とすることができる。
前記第2の降温速度は、5℃以上20℃以下とすることができる。
また、焼成工程は、いかなる雰囲気中で行ってもよいが、空気中で行うのが好ましい。
これにより、焼成工程に比較的単純な構成の装置を用いることができ、雰囲気の組成等の調整を行う必要がなく、吸着剤(重金属吸着剤)の生産性を向上させることができる。また、汚泥の消化液中にリン酸(リン酸の塩を含む)以外のリン化合物を含む場合であっても、本工程でリンの酸化数を調整して効率よくリン酸カルシウム系化合物を形成させることができる。
<水化工程>
上記のような焼成工程で得られた焼成物をそのまま吸着剤(重金属吸着剤)として用いてもよいが、焼成工程の後に、水化させる水化工程をさらに有していてもよい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の化学的安定性が向上する。また、吸着剤(重金属吸着剤)の親水性が向上し、例えば、吸着剤(重金属吸着剤)により処理すべき被処理物が水を含む場合に、吸着剤(重金属吸着剤)と被処理物との親和性(吸着剤(重金属吸着剤)に対する被処理物の濡れ性)をより向上させることができる。その結果、例えば、吸着剤(重金属吸着剤)の空孔内にも好適に被処理物を侵入させることができ、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率がさらに向上する。
水化工程は、前記焼成物と水とを接触させることにより行うことができ、例えば、水を含む液中に前記焼成物を浸漬したり、前記焼成物に水を含む液体を噴霧したりすること等により行うことができる。
上述したような本発明の吸着剤(重金属吸着剤)の製造方法によれば、水素イオン指数(pH)が大きい状態であっても、重金属を効率よく除去することができる吸着剤を簡易な方法で効率よく製造することができる。
また、本発明の吸着剤(重金属吸着剤)の製造方法では、製造条件、より具体的に、例えば、リン化合物のドロマイト類に対する比率や、焼成工程での熱処理条件等を調整することにより、各重金属の吸着のしやすさを調整することができる。これにより、例えば、特定の種類の重金属の選択性を高めることができ、当該特定の重金属の回収、精製等に好適に適用することができる。
〔吸着剤(重金属吸着剤)〕
次に、上記のような吸着剤の製造方法で製造される吸着剤(重金属吸着剤)について説明する。
本発明に係る吸着剤(重金属吸着剤)は、ドロマイト類とリン酸イオンとを含み、リン酸イオンの少なくとも一部が、ドロマイト類を構成するCaと化学結合(イオン結合)し、リン酸カルシウム系化合物を形成していることを特徴とする。
これにより、水素イオン指数(pH)が大きい状態であっても、重金属を効率よく除去することができる吸着剤を提供することができる。
特に、本発明に係る吸着剤(重金属吸着剤)は、従来高い除去率で除去することが特に困難であったヒ素についても、高い除去率で除去することができる。
本発明に係る吸着剤(重金属吸着剤)では、リン酸イオンの大部分が、ドロマイト類を構成するCaと化学結合しているのが好ましい。
より具体的には、25℃で1gの吸着剤を10mLの水と混合した場合のリン酸イオンの溶出量が、100ppm以下であるのが好ましく、50ppm以下であるのがより好ましく、30ppm以下であるのがさらに好ましい。
このような条件を満足する場合、吸着剤(重金属吸着剤)中にリンがより安定的に固定されており、長期間にわたって吸着剤(重金属吸着剤)を使用する場合や、大量の被処理物を処理する場合(大量の被処理物を吸着剤(重金属吸着剤)と接触させる場合)であっても、安定的に重金属を優れた効率で除去することができる。
なお、吸着剤(重金属吸着剤)を水と混合した場合のリン酸イオンの溶出量は、例えば、吸着剤(重金属吸着剤)と水とを混合して1時間撹拌した後に測定を行うことにより求めることができる。
リン酸イオンがドロマイト類を構成するCaと化学結合していることは、例えば、吸着剤(重金属吸着剤)を、上記のようにして水と接触させた後に、低pHの液体と接触させた場合に、リン酸イオンの溶出量が大幅に増加することにより確認することができる。
より具体的には、25℃で1gの吸着剤(重金属吸着剤)を10mLの1Nの塩酸と混合した場合にリン酸イオンの溶出量が大幅に増加することにより確認することができる。
25℃で1gの吸着剤(重金属吸着剤)を10mLの1Nの塩酸と混合した場合のリン酸イオンの溶出量は、吸着剤(重金属吸着剤)に含まれている全リン(吸着量)の30%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのがさらに好ましい。
このような条件を満足する場合、吸着剤(重金属吸着剤)中により多くのリンが固定されており、特に優れた重金属の除去能力が得られる。したがって、長期間にわたって吸着剤(重金属吸着剤)を使用する場合や、大量の被処理物を処理する場合(すなわち、大量の被処理物を吸着剤(重金属吸着剤)と接触させる場合)であっても、安定的に重金属を優れた効率で除去することができる。
なお、吸着剤(重金属吸着剤)を1Nの塩酸と混合した場合のリン酸イオンの溶出量は、例えば、吸着剤(重金属吸着剤)と1Nの塩酸とを混合して1時間撹拌した後に測定を行うことにより求めることができる。
吸着剤(重金属吸着剤)は、通常、多孔質体である。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の単位質量および単位体積当たりの表面積を大きくすることができ、重金属の除去効率をさらに向上させることができる。
吸着剤(重金属吸着剤)における平均細孔径は、特に限定されないが、1nm以上100μm以下であるのが好ましく、2nm以上100μm以下であるのがより好ましく、50nm以上30μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)の耐久性を確保しつつ、吸着剤による重金属の除去効率をさらに向上させることができる。
吸着剤(重金属吸着剤)のBET比表面積は、特に限定されないが、10m/g以上であるのが好ましく、40m/g以上1000m/g以下であるのがより好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率はさらに向上する。
吸着剤(重金属吸着剤)の形状、大きさは特に限定されないが、吸着剤(重金属吸着剤)が粒子状をなしている場合、その平均粒径は、3μm以上300mm以下であるのが好ましく、100μm以上250mm以下であるのがより好ましく、1mm以上200mm以下であるのがさらに好ましく、10mm以上150mm以下であるのがもっとも好ましい。
〔重金属の除去方法〕
次に、本発明の吸着剤(重金属吸着剤)を用いた重金属の除去方法について説明する。
重金属の除去は、本発明に係る吸着剤(重金属吸着剤)と、重金属を含む被処理物とを接触させることにより行うことができる。
これにより、被処理物から重金属を効率よく除去することができる。
重金属の除去を行う際の被処理物の形態は、特に限定されないが、通常、流動性を有しており、例えば、液状(ペースト状、スラリー状を含む)や、気体状等が挙げられる。
特に、被処理物の形態は、液状であるのが好ましい。これにより、被処理物は、吸着剤(重金属吸着剤)と好適に接触(例えば、吸着剤(重金属吸着剤)が有する空孔内に好適に侵入)し、より効率よく重金属を除去することができる。
吸着剤(重金属吸着剤)と被処理物とを接触させる際の、吸着剤(重金属吸着剤)と被処理物との混合物のpH(水素イオン指数)は、5以上であるのが好ましく、10以上であるのがより好ましく、11以上14以下であるのがさらに好ましい。
これにより、吸着剤(重金属吸着剤)による重金属の除去効率をさらに向上させることができる。特に、従来の吸着剤では、上記のような高pHの領域では、重金属の除去効率が低下する傾向が顕著に発生する場合があったが、本発明に係る吸着剤(重金属吸着剤)では、上記のような高pH領域で特に優れた重金属の除去効率が得られる。すなわち、上記のような高pHで吸着剤を用いる場合に、上記のような効果がより顕著に発揮される。
特に、除去すべき重金属がPb(鉛)である場合、吸着剤(重金属吸着剤)と被処理物との接触時におけるpHは、5以上であるのが好ましく、除去すべき重金属がCd(カドミウム)である場合、吸着剤(重金属吸着剤)と被処理物との接触時におけるpHは、8以上であるのが好ましく、除去すべき重金属がPb、Cd以外の重金属である場合、吸着剤(重金属吸着剤)と被処理物との接触時におけるpHは、10以上であるのが好ましい。
被処理物は、除去すべき重金属を含む可能性があるものであれば、いかなるものであってもよいが、例えば、工場や実験室、発電所、建築物の解体現場、鉱山からの廃水、下水汚泥燃焼灰やこれを含む液体、井戸水等が挙げられる。
被処理物は、除去すべき重金属を含む可能性があるものであればよく、実際に重金属を含んでいるか否かを問わない。
ただし、被処理物中における重金属の含有率(複数種の重金属を含む場合には、これらの含有率の総和)は、特に限定されないが、0.001ppm以上100,000ppm以下であるのが好ましく、0.01ppm以上10,000ppm以下であるのがより好ましい。
これにより、重金属の除去率(吸着率)を特に高くしつつ、処理後の被処理物中の重金属の含有率を特に低くすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されない。
例えば、本発明の汚泥の処理方法、吸着剤(すなわち、重金属吸着剤)の製造方法は、前述した工程以外の工程(例えば、前処理工程、中間処理工程、後処理工程等)を有していてもよい。例えば、本発明の吸着剤(重金属吸着剤)の製造方法は、焼成工程よりも後に、焼成物を粉砕または解砕する工程や、分級する工程を有していてもよい。また、本発明の吸着剤(重金属吸着剤)の製造方法は、所定の形状に成形された吸着剤(重金属吸着剤)を得るための成形工程を有していてもよい。
また、例えば、本発明の汚泥の処理システムは、前述した構成以外の構成(例えば、前処理装置、中間処理装置、後処理装置等)を有していてもよい。
前述した実施形態では、吸着処理の後に好気菌による処理を行う場合について代表的に説明したが、好気菌による処理は省略してもよい。より具体的には、例えば、吸着処理により、十分にリンを除去できている場合には、好気菌による処理を省略してもよい。
また、前述した実施形態では、本発明の吸着剤(重金属吸着剤)の製造方法について、焼成工程の後に水化工程を有する場合について代表的に説明したが、本発明の吸着剤の製造方法は、水化工程を有していなくてもよい。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
《1》吸着剤の量とリン除去率との関係
(実験例1)
まず、0.5Nの塩酸を調製した。
次に、この塩酸200mLを分取し、ここに汚泥灰10gを添加し、リン成分を完全に溶解させた。
次に、リン成分を溶解させた塩酸から、3つの容器にそれぞれ、100mL分取し、これらに、平均粒径が1mmの粒子状のドロマイト原石:0.3g、0.5g、1.0gを加え、30分間撹拌した。
撹拌終了後に、吸着剤(ドロマイト原石)を濾別した。
得られた濾液(液体)について、モリブデンブルー法により、液体中に含まれるリン成分の濃度を求め、その結果から、吸着剤(ドロマイト原石)によるリン成分の吸着率を求めた。
また、吸着剤(ドロマイト原石)の使用量を種々変更した以外は、前記と同様にして、測定を行い吸着剤(ドロマイト原石)によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図6に示す。
(実験例2)
吸着剤として、平均粒径:1mmのドロマイト原石の代わりに、平均粒径:1mmの水酸化ドロマイトを用いた以外は、前記実験例1と同様にして吸着剤によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図7に示す。
(実験例3)
吸着剤として、平均粒径:1mmのドロマイト原石の代わりに、平均粒径:1mmの軽焼ドロマイトを用いた以外は、前記実験例1と同様にして吸着剤によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図8に示す。
(実験例4)
吸着剤として、平均粒径:1mmのドロマイト原石の代わりに、平均粒径:3mmの軽焼ドロマイトを用いた以外は、前記実験例1と同様にして吸着剤によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図9に示す。
図6~図9から明らかなように、汚泥と吸着剤(特にドロマイト類)とを接触させることにより、汚泥中のリン成分を吸着により効率よく除去できることがわかる。
また、いずれの吸着剤においても、吸着剤の量が多くなるほど、リンの除去率は増加し、特に、吸着剤として水酸化ドロマイト、軽焼ドロマイトを用いた実験例2~4では、吸着剤1gでリンをほぼ100%の割合で除去できている。
《2》pHとリン除去率との関係
(実験例5)
まず、汚泥を用意した。この汚泥は、リンを含んでいた。
次に、この汚泥に、嫌気性微生物を用いた嫌気処理であるメタン発酵処理および無酸素処理である硝化脱窒素処理を施し、消化液を得た。
この消化液に塩酸を滴下し所定のpHに調整した。
このようにしてpHが調整された消化液を100mLだけ分取し、これに、所定量の粒子状の平均粒径が1mmであるドロマイト原石を加え、30分間撹拌した。
撹拌終了後に、吸着剤であるドロマイト原石を濾別した。
得られた濾液(液体)について、モリブデンブルー法により、液体中に含まれるリン成分の濃度を求め、その結果から、吸着剤(ドロマイト原石)によるリン成分の吸着率を求めた。なお、液体中におけるリン成分のうち80質量%以上は、リン酸またはその塩であった。
また、測定に用いる消化液のpHを種々変更した以外は、前記と同様にして、測定を行い吸着剤(ドロマイト原石)によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図10に示す。
(実験例6)
吸着剤として、平均粒径:1mmのドロマイト原石の代わりに、平均粒径:1mmの水酸化ドロマイトを用いた以外は、前記実験例5と同様にして吸着剤によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図11に示す。
(実験例7)
吸着剤として、平均粒径:1mmのドロマイト原石の代わりに、平均粒径:1mmの軽焼ドロマイトを用いた以外は、前記実験例5と同様にして吸着剤によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図12に示す。
(実験例8)
吸着剤として、平均粒径:1mmのドロマイト原石の代わりに、平均粒径:3mmの軽焼ドロマイトを用いた以外は、前記実験例5と同様にして吸着剤によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図13に示す。
図10~図13から明らかなように、吸着剤の添加により、消化液中に含まれるリン成分を効率よく吸着除去することができ、吸着処理後の消化液(液体)中に含まれるリン成分の含有量を十分に低くできることが確認された。また、リン成分の吸着率は、吸着剤の条件、pH条件に依存することも確認された。
《3》処理時間(接触時間)とリン除去率との関係
(実験例9)
まず、汚泥を用意した。この汚泥は、リンを含んでいた。
次に、この汚泥に、嫌気性微生物を用いた嫌気処理であるメタン発酵処理および無酸素処理である硝化脱窒素処理を施し、消化液を得た。
この消化液を100mLだけ分取し、これに、平均粒径が1mmの粒子状の水酸化ドロマイト:0.8gを加え、30分間撹拌した。
撹拌終了後に、吸着剤(水酸化ドロマイト)を濾別した。
得られた濾液(液体)について、モリブデンブルー法により、液体中に含まれるリン成分の濃度を求め、その結果から、吸着剤(水酸化ドロマイト)によるリン成分の吸着率を求めた。
また、消化液と吸着剤(水酸化ドロマイト)との接触時間を種々変更した以外は、前記と同様にして、測定を行い吸着剤(水酸化ドロマイト)によるリン成分の吸着率を求めた。
この実験結果を図14に示す。
図14から明らかなように、吸着剤との接触により、消化液中に含まれるリン成分を効率よく吸着除去することができ、吸着処理後の消化液(液体)中に含まれるリン成分の含有量を十分に低くできることが確認された。特に、5分程度の接触時間で、リンをほぼ100%の割合で除去できている。
《4》ドロマイト類および活性炭についてのリンの初期濃度とリン吸着量との関係
まず、所定のリン濃度(P換算の濃度)の複数種のリン酸水溶液を調製した。
これらのリン酸水溶液について、それぞれ、100mLのリン酸水溶液中に、0.1gの吸着剤としての焼成ドロマイトを添加し、30分間撹拌した。
その後、焼成ドロマイトを濾別し、焼成ドロマイトによるリンの吸着量(P換算の値)を求めた。
また、吸着剤として、焼成ドロマイトの代わりに活性炭を用いた以外は、前記と同様の処理を行い、活性炭によるリンの吸着量(P換算の値)を求めた。
その結果を、図15に示す。
図15から明らかなように、ドロマイト類である焼成ドロマイトは、活性炭に比べて単位重量当たりのリンの吸着量が大きいことが分かる。このことから、各種の吸着剤の中でもドロマイト類を用いることにより、汚泥の消化液中のリン成分を特に効率よく吸着することができることが分かる。また、例えば、活性炭を吸着させた場合、リンを吸着させた後の当該活性炭は、通常、有効な利用方法がなく、廃棄することになるが、ドロマイト類をリン成分の吸着剤として用いることにより、リンを吸着させた後の当該ドロマイト類を、重金属を効率よく除去することができる吸着剤として有効利用することができる。
《5》燃焼温度とリン除去率との関係
まず、汚泥を用意した。この汚泥は、リンを含んでいた。
次に、この汚泥に、嫌気性微生物を用いた嫌気処理であるメタン発酵処理および無酸素処理である硝化脱窒素処理、好気処理を施し、消化汚泥を得た。
その後、消化汚泥を脱水、乾燥した後、その一部について、前記と同様にしてリン成分の濃度を求めた。また、脱水、乾燥した消化汚泥の残部のうちの一部について、600℃で5分間燃焼した。燃焼により得られた燃焼灰について、前記と同様にしてリン成分の濃度を求めた。これらの結果から、汚泥灰に含まれるリン成分量を求めた。また、燃焼によるリン成分の減少量を求めた。
また、燃焼温度を種々変更した以外は、前記と同様にして、消化汚泥を燃焼し、燃焼によるリン成分の減少量を求めた。
この実験結果を図16に示す。
図16から明らかなように、消化汚泥の燃焼温度が高くなることにより、燃焼灰に移行するリンの含有率が低下しており、燃焼工程においてリン成分が蒸発していることが分かる。特に、燃焼温度を高くするほど、燃焼灰のリン含有率が低下するので、リン成分の蒸発量が高くなることが分かる。
以上の結果から、汚泥の消化液に含まれているリン成分を、吸着剤(ドロマイト類)に吸着させて効率よく除去できることがわかった。これにより、消化液中に含まれているリンの量を減らすことができ、消化汚泥に含まれるリン濃度も減らせることが出来る。その結果、燃焼時に蒸発しやすい状態のリン成分が低下し、燃焼炉に与える悪影響を抑制することができる。
なお、前記各実験例で用いた吸着剤は、いずれも、多孔質で、平均細孔径が5nm以上30nm以下の範囲内の値であり、BET比表面積が40m/g以上1000m/g以下の範囲内の値であった。
また、吸着工程での処理温度を15℃以上60℃以下の範囲内で変更した以外は、前記各実験例と同様にして処理を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、前記の実験例では、消化液に吸着剤を添加して混合することにより、消化液と吸着剤とを接触させたが、吸着剤を充填したカラムに消化液を通すことによっても、上記のような結果が得られると推察される。
以上の結果から、燃焼時に、燃焼炉等に与える悪影響を少なくすることができると推測される。
《6》吸着剤の製造
(実施例1)
まず、前記実験例5で説明したのと同様の処理より、平均粒径が1mmであり、平均細孔径が10~20nmである多孔質ドロマイトで構成されたドロマイト原石と汚泥の消化液とを30分間混合撹拌した(吸着工程)。
撹拌終了後に、固液分離を行い、リン化合物が吸着されたドロマイト原石に焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、最高焼成温度である800℃まで昇温速度:20℃/分で昇温し、最高焼成温度である800℃で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
次に、上記のようにして得られた焼成物を、水中に浸漬することにより水化処理を施し、その後、固液分離して自然乾燥した。その後、乳鉢ですりつぶすことにより粉末状の吸着剤(重金属吸着剤)を得た。得られた吸着剤は、ドロマイト類100質量部に対し、汚泥由来のリンを1質量部含有していた。
(実施例2)
汚泥の消化液の使用量を変更した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤(重金属吸着剤)を製造した。このようにして得られた吸着剤は、ドロマイト類100質量部に対し、汚泥由来のリンを3質量部含有していた。
(実施例3)
焼成処理の条件を、最高焼成温度を900℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤(重金属吸着剤)を製造した。
(実施例4)
焼成処理の条件を、最高焼成温度を700℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤(重金属吸着剤)を製造した。
(実施例5)
焼成処理の条件を、最高焼成温度を600℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤(重金属吸着剤)を製造した。
(実施例6)
焼成処理の条件を、最高焼成温度を400℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤(重金属吸着剤)を製造した。
(実施例7)
ドロマイト原石の代わりに水酸化ドロマイトを用いた以外は、前記実施例1と同様にして吸着剤(重金属吸着剤)を製造した。
(比較例1)
本比較例では、前記実施例1で原料として用いたドロマイト原石をそのまま吸着剤として用いた。
(比較例2)
本比較例では、前記実施例7で原料として用いた水酸化ドロマイトをそのまま吸着剤として用いた。
(比較例3)
前記実施例7と同様にして、水酸化ドロマイトにリン化合物を吸着させた後に固液分離した。その後、分離された固相について焼成処理を施すことなく室温で自然乾燥させることにより吸着剤を得た。
前記各実施例および前記各比較例の吸着剤の製造条件、吸着剤の構成等を表1にまとめて示す。なお、BET比表面積は、表面積測定装置(Mircometrics社製、TriStarII3020)を用いた測定により求められた数値である。また、前記各実施例では、吸着剤の平均粒径は、いずれも、1mm以上3mm以下の範囲内の値であった。また、前記各実施例では、吸着工程におけるドロマイト類と汚泥の消化液とを含む混合物のpHは、いずれも5以上6以下であった。また、前記各実施例では、25℃で1gの吸着剤を10mLの水と混合し、1時間撹拌した後に測定を行うことにより求めたリン酸イオンの溶出量の値は、いずれも、10ppm以下であり、その後にさらに、固液分離し、25℃で1gの吸着剤を10mLの1Nの塩酸と混合し、1時間撹拌した場合のリン酸イオンの溶出量の値は、いずれも、吸着剤に含まれる全リン(吸着量)の80%以上であった。この結果から、各実施例では、吸着剤中において、リン酸イオンの大部分が、ドロマイト類を構成するCaと化学結合し、リン酸カルシウム系化合物を形成していることが分かる。
また、前記各実施例の吸着剤について、X線回折(XRD)にて成分の分析を行ったところ、いずれも、リン酸カルシウム系化合物(リン酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ヒドロキシアパタイト)が含まれていることが確認された。図17には、実施例3で、原料として用いたドロマイトを900℃で焼結した焼成ドロマイト、当該焼結ドロマイトにリン成分を吸着させた後に焼成して(定着させて)得られた吸着剤、および、当該吸着剤にPbを吸着させた状態についての、X線回折(XRD)の解析結果を示す。
Figure 0007210049000001
《7》評価
まず、ヒ素(As)を2000ppbの含有率で含み、他の重金属を実質的に含有しないpHが12の標準液A、および、ヒ素(As)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)を、それぞれ、2000ppbの含有率で含み、pHが12の標準液Bを調製した。
次に、前記各実施例および各比較例の吸着剤について、それぞれ別個に、標準液A:50mLと標準液B:50mLに対し、実施例1と実施例2では吸着剤:0.01gを、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7では吸着剤:0.1gを加え、1時間撹拌した後、固液分離し、液相について、ICP質量分析法によりヒ素(As)およびクロム(Cr)の含有率を求め、当該含有率の値から吸着剤による除去率を求めた。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 0007210049000002
表2から明らかなように、本発明では、高い除去率(吸着率)で重金属であるヒ素を除去(吸着)することができた。特に、従来では、重金属の除去率を高くすることが困難であったpHが高い状態で、重金属を効率よく除去することができた。
これに対し、各比較例では満足のいく結果が得られなかった。また、各比較例では、重金属の除去率が低く、測定値が安定しなかった。特に、このような傾向は、クロムの除去率の測定において顕著であった。
また、上記のようにして標準液Bに対して吸着剤による処理を施した後の液相について、ヒ素以外の重金属(ニッケル、カドミウム、鉛、クロム)について、前記と同様に吸着剤による除去率を求めたところ、前記と同様に、本発明では、いずれも、各重金属を高い除去率(吸着率)で除去(吸着)することができたのに対し、各比較例では、各重金属の除去率はいずれも低かった。
また、前記実施例1、2の吸着剤について、それぞれ別個に、標準液B:50mLに対し、吸着剤:0.01gを加え、1時間撹拌した。その後、固液分離し、液相について、ICP質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)によりヒ素(As)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)の含有率を求め、当該含有率の値から吸着剤による吸着量(除去率)を求め、吸着剤1g当たりの各重金属の吸着量(除去量)を求めた。その結果を、それぞれ、図18、図19に示す。これらの図から明らかなように、いずれも、高い割合で重金属を吸着(除去)できることが分かる。
また、前記各実施例および各比較例の吸着剤について、pHを10から14の間で変動させた以外は、前記標準液Aと同様にして調製した各液体を標準液として用いた以外は、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様に、各実施例では、高い除去率(吸着率)で重金属であるヒ素を除去(吸着)することができたのに対し、各比較例では各重金属の除去率はいずれも低かった。
また、前記各実施例および各比較例の吸着剤について、pHを10から14の間で変動させた以外は、前記標準液Bと同様にして調製した各液体を標準液として用いた以外は、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様に、各実施例では、高い除去率(吸着率)で重金属であるヒ素を除去(吸着)することができたのに対し、各比較例では各重金属の除去率はいずれも低かった。また、前記各実施例の吸着剤では、ヒ素と同様に、ヒ素以外の重金属についても高い除去率で除去することができた。
本発明の汚泥の処理方法は、汚泥の消化液を吸着剤と接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記吸着剤に吸着させて除去する吸着工程と、前記吸着工程で前記消化液からリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥を燃焼する燃焼工程とを有する。また、本発明の汚泥の処理システムは、汚泥の消化液を吸着剤と接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、吸着剤に吸着させて除去する吸着処理部と、前記吸着処理部で前記消化液からリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥を燃焼する燃焼炉とを備える。そのため、燃焼時に蒸発するリン成分の量を減らし、燃焼炉に与える悪影響を抑制することができる汚泥の処理方法、汚泥の処理システムを提供することができる。したがって、本発明の汚泥の処理方法、汚泥の処理システムは、産業上の利用可能性を有する。
また、本発明の吸着剤の製造方法は、汚泥の消化液とドロマイト類とを接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記ドロマイト類に吸着させる吸着工程と、前記消化液と接触させた前記ドロマイト類を焼成する焼成工程とを有する。そのため、汚泥を原料として、水素イオン指数(pH)が大きい状態であっても、重金属を効率よく除去することができる吸着剤を製造することができる吸着剤の製造方法を提供することができる。したがって、本発明の吸着剤の製造方法は、産業上の利用可能性を有する。
1…処理システム
20…消化処理部
21…嫌気槽(メタン発酵処理部)
22…無酸素槽(硝化脱窒素処理部)
221…無酸素部
222…好気部
23…好気槽(好気菌消化処理部)
30…吸着処理部(吸着槽)
30’…吸着処理部
31…処理槽
32…第1の配管
33…第2の配管
34…夾雑物除去手段
35…カラム(容器)
36…吸着剤
50…脱水装置
60…燃焼炉
61…流動媒体(砂)
62…分散板
63…ガス供給部
70…乾燥装置
S1…汚泥
S…消化液
SS…消化汚泥

Claims (8)

  1. 汚泥の消化液をドロマイト類と接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記ドロマイト類に吸着させて除去する吸着工程と、
    前記消化液と接触させた前記ドロマイト類を焼成して、前記リン成分が前記ドロマイト類に吸着された吸着剤を得る焼成工程と、
    前記吸着工程で前記消化液からリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥を燃焼する燃焼工程と、を有し、
    前記吸着工程終了時における前記消化液中のリンの除去率が、10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする汚泥の処理方法。
  2. (削除)
  3. 前記ドロマイト類は、水酸化ドロマイトまたはドロマイトから選択される少なくとも一種である請求項1に記載の汚泥の処理方法。
  4. 前記消化汚泥に脱水処理を行い、前記消化汚泥の含水率を低くする脱水工程をさらに有する請求項1または3に記載の汚泥の処理方法。
  5. 前記吸着工程をpHが3以上13以下の条件で行う請求項1、3および4のいずれか1項に記載の汚泥の処理方法。
  6. 前記燃焼工程における燃焼温度は、500℃以上1500℃以下である請求項1、3ないし5のいずれか1項に記載の汚泥の処理方法。
  7. 汚泥の消化液をドロマイト類と接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記ドロマイト類に吸着させて除去する吸着処理部と、
    前記消化液と接触させた前記ドロマイト類を焼成して、前記リン成分が前記ドロマイト類に吸着された吸着剤を得る焼成装置と、
    前記吸着処理部で前記消化液からリン成分の少なくとも一部が除去されて得られる消化汚泥を燃焼する燃焼炉と、を備え、
    前記吸着処理部の吸着処理終了時における前記消化液中のリンの除去率が、10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする汚泥の処理システム。
  8. 汚泥の消化液とドロマイト類とを接触させ、前記消化液に含まれるリン成分の少なくとも一部を、前記ドロマイト類に吸着させる吸着工程と、
    前記消化液と接触させた前記ドロマイト類を焼成する焼成工程と、を有し、
    前記吸着工程終了時における前記消化液中のリンの除去率が、10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする吸着剤の製造方法。
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