本願は、35 U.S.C.§119(e)に基づき、2015年7月17日に出願された米国仮特許出願第62/194,003号明細書の利益を主張するものであり、その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
以上の概要及び以下の詳細な説明のいずれも、例示及び説明を意図するものであり、特許請求の範囲に記載する通り、本発明を限定するものではないことは理解すべきである。本明細書において、単数形の使用は、特に別の記載がない限り、複数形を含む。本明細書で使用されるとき、「又は」の使用は、別に記載のない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、用語「含んでいる」並びに「含む」及び「含まれる」などの他の形態の使用も限定的ではない。また、「要素」又は「成分」などの用語は、特に別の記載がない限り、1単位を含む要素及び成分と、2サブユニット以上を含む要素及び成分との両方を包含する。
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成を目的とするに過ぎず、記載される主題を限定するものとして解釈すべきではない。本願に引用される全ての文献、又は文献の一部、例えば、限定はしないが、特許、特許出願、論文、書籍、及び専門書は、あらゆる目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれるものとする。
本明細書に記載する様々な態様は、それぞれが標的遺伝子の遺伝子発現を調節することができる少なくとも2つの核酸ベースのエフェクター分子を含む多標的分子に基づくものである。限定なしに、多標的分子中の各エフェクター分子は、同じ標的遺伝子、異なる標的遺伝子、又は同じ標的遺伝子による異なる位置に向けられ得る。概して、多標的分子は、少なくとも2つのエフェクター分子を含む。
付着末端
本明細書に開示されるように、一部の実施形態では、多標的分子中の少なくとも2つのエフェクター分子は、エフェクター分子間のヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって互いに非共有結合され、各エフェクター分子は、それぞれ少なくとも1つのリガンドと共役される。例えば、第1のエフェクター分子のオリゴヌクレオチド鎖の一部は、第2のエフェクター分子のオリゴヌクレオチド鎖の一部とハイブリダイズする。
一部の実施形態では、多標的分子は、2つのsiRNAから組み立てられ、ここで、2つのsiRNAは、互いに非共有結合され得、各siRNAには、少なくとも1つのリガンドが結合されている。従って、一部の実施形態では、多標的分子は、第1のsiRNA及び第2のsiRNAを含み、ここで、第1のリガンドが第1のsiRNAと共役され、及び第2のリガンドが第2のsiRNAと共役される。概して、第1のsiRNAの一部が第2のsiRNA分子の一部にハイブリダイズする。限定なしに、第1のsiRNAの5’又は3’末端の一部のいずれかが、一本鎖(センス鎖又はアンチセンス鎖)の性質に応じて第2のsiRNAの一部にハイブリダイズすることができる。
一部の実施形態では、siRNAは、第1の鎖及び第2の鎖を含む。従って、一部の実施形態では、第1のsiRNA中の鎖の1つの一部が第2のsiRNA中の鎖の1つの一部にハイブリダイズする。ハイブリダイズする第1及び第2のsiRNAの鎖は、両方ともセンス鎖、両方ともアンチセンス鎖又は一方のセンス鎖及びもう一方のアンチセンス鎖であり得る。
一部の実施形態では、第1のsiRNA中の鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子の鎖の3’末端と少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)相補的である。一部の実施形態では、第1のsiRNAのセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の3’末端と完全に相補的である。一部の他の実施形態では、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のセンス鎖の3’末端と完全に相補的である。一部の実施形態では、第1のsiRNAのセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のセンス鎖の3’末端と完全に相補的である。一部の他の実施形態では、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の3’末端と完全に相補的である。
一部の実施形態では、第1のsiRNA中の鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子の鎖の5’末端と少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)相補的である。一部の実施形態では、第1のsiRNAのセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。一部の他の実施形態では、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。一部の実施形態では、第1のsiRNAのセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。一部の他の実施形態では、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。一部の実施形態では、第1のsiRNA中の鎖の3’末端は、第2のsiRNA分子の鎖の5’末端と少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上)相補的である。一部の実施形態では、第1のsiRNAのセンス鎖の5’末端は、第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。一部の他の実施形態では、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の5’末端は、第2のsiRNA分子のセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。一部の実施形態では、第1のsiRNAのセンス鎖の5’末端は、第2のsiRNA分子のセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。一部の他の実施形態では、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の5’末端は、第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の5’末端と完全に相補的である。
概して、第2のsiRNAの鎖の一部と相補的な第1のsiRNA中の鎖の一部は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチド長であり得る。同様に、第1のsiRNAの鎖の一部と相補的な第2のsiRNA中の鎖の一部は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチド長であり得る。2つの部分が、同じ長さのものである必要がないことに留意する。従って、一方は他方より短くてもよい。
限定なしに、第1のsiRNA及び第2のsiRNAの鎖間で相補的な長さは、生理学的条件下でハイブリダイゼーションに十分であるべきである。従って、相補的配列の長さは、約1ヌクレオチド~約25ヌクレオチドの範囲であり得る。例えば、相補的配列の長さは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチドであり得る。上述されるように、第1のsiRNA及び第2のsiRNAの鎖間の完全な相補性は必要とされなくてもよい。従って、相補的部分は、1つ又は複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上)のヌクレオチドミスマッチ、バルジ又はループを含み得る。
第2のsiRNAの鎖との相補性を有する第1のsiRNA中の鎖の部分は、全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAの混合物であり得る。RNA及びDNAは、天然及び修飾されたものであり得る。従って、第2のsiRNAの鎖との相補性を有する第1のsiRNA中の鎖の部分は、非修飾であるか、又は本明細書に記載する1つ又は複数の核酸修飾を含み得る。
同様に、第1のsiRNAの鎖との相補性を有する第2のsiRNA中の鎖の部分は、全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAの混合物であり得る。RNA及びDNAは、天然及び修飾されたものであり得る。従って、第1のsiRNAの鎖との相補性を有する第2のsiRNA中の鎖の部分は、非修飾であるか、又は本明細書に記載する1つ又は複数の核酸修飾を含み得る。
一部の実施形態では、第2のsiRNAの鎖の一部と相補的な第1のsiRNA中の鎖の一部は、全てRNAである。一部の実施形態では、第2のsiRNAの鎖の一部と相補的な第1のsiRNA中の鎖の一部は、全てDNAである。さらに、前記相補的領域は、非修飾であるか、又は本開示に記載する1つ又は複数の核酸修飾を含み得る。従って、一部の実施形態では、前記相補的領域は、修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む。
一部の実施形態では、第2のsiRNAの鎖との相補性を有する第1のsiRNA中の鎖の部分は、全てRNAであり、第1のsiRNAの鎖との相補性を有する第2のsiRNA中の鎖の部分は、全てDNAである。
別の実施形態では、第2のsiRNAの鎖との相補性を有する第1のsiRNA中の鎖の部分及び第1のsiRNAの鎖との相補性を有する第2のsiRNA中の鎖の部分は、両方ともDNAである。
一部の実施形態では、多標的分子は、2つの別個のsiRNA分子から組み立てられ、ここで、各siRNAには、少なくとも1つのリガンドが結合され、ここで、第1のsiRNAのセンス鎖の一部が第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の一部にハイブリダイズする。一部の他の実施形態では、多標的分子は、2つの別個のsiRNA分子から組み立てられ、各siRNAには、少なくとも1つのリガンドが結合され、ここで、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の一部が第2のsiRNA分子のセンス鎖の一部にハイブリダイズする。さらに他の実施形態では、多標的分子は、2つの別個のsiRNA分子から組み立てられ、ここで、各siRNAには、少なくとも1つのリガンドが結合され、ここで、第1のsiRNAのアンチセンス鎖の一部が第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖の一部にハイブリダイズする。さらに他の実施形態では、多標的分子は、2つの別個のsiRNA分子から組み立てられ、ここで、各siRNAには、少なくとも1つのリガンドが結合され、ここで、第1のsiRNAのセンス鎖の一部が第2のsiRNA分子のセンス鎖の一部にハイブリダイズする。
それぞれ少なくとも1つのリガンドを有する少なくとも2つのsiRNAが互いに非共有結合される、多標的分子の様々な実施形態では、多標的分子中のsiRNAのセンス鎖は、アンチセンス鎖の3’末端におけるリガンドと共に、その3’末端における一本鎖突出部を含み得る。本発明に関連して、一本鎖突出部とは、センス鎖の3’末端がその相補的なアンチセンス配列の5’末端を越えて伸長していることを意味する。限定なしに、突出部は、約1ヌクレオチド~約25ヌクレオチドを含み得る。例えば、一本鎖突出部は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチドであり得る。
それぞれ少なくとも1つのリガンドを有する少なくとも2つのsiRNAが互いに非共有結合される、多標的分子の様々な実施形態では、多標的分子中のsiRNAのアンチセンス鎖は、センス鎖の3’末端におけるリガンドと共に、その3’末端における一本鎖突出部を含み得る。本発明に関連して、一本鎖突出部とは、アンチセンス鎖の3’末端がその相補的なセンス配列の5’末端を越えて伸長していることを意味する。限定なしに、突出部は、約1ヌクレオチド~約25ヌクレオチドを含み得る。例えば、一本鎖突出部は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチドであり得る。
限定なしに、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖中の一本鎖突出部は、全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAの混合物であり得る。一部の実施形態では、前記一本鎖突出部は、全てRNAである。一部の実施形態では、前記一本鎖突出部は、全てDNAである。さらに、一本鎖突出部は、非修飾であるか、又は本開示に記載する1つ又は複数の核酸修飾を含み得る。従って、一部の実施形態では、前記一本鎖突出部は、修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む。
一部の実施形態では、第1のsiRNAのセンス鎖中の一本鎖突出部は、全てRNAであり、第2のsiRNAのアンチセンス鎖中の相補的な一本鎖は、全てDNAである。別の実施形態では、第1のsiRNAのアンチセンス鎖中の一本鎖突出部は、全てRNAであり、第2のsiRNAのアンチセンス鎖中の相補的な一本鎖は、全てDNAである。一部の実施形態では、第1のsiRNA中の一本鎖突出部及び第2のsiRNA中の一本鎖突出部は両方ともDNAである。
第1のsiRNA中の一本鎖突出部は、第2のsiRNAのその相補的な鎖中の一本鎖突出部と同様の長さのものであり得る。さらに、他の配列の一本鎖突出部中に相補的な核酸塩基を有さない一本鎖突出部の5’末端において、0、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上の核酸塩基があり得る。従って、多標的分子中の2つのsiRNAが一緒に組み立てられるとき、第1のsiRNAのセンス鎖及び第2のsiRNAのセンス鎖の一本鎖突出部の3’末端間に0(例えば、切れ目)、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上の核酸塩基のギャップがあり得る。また、同様に、多標的分子中の2つのsiRNAが一緒に組み立てられるとき、第1のsiRNAのアンチセンス鎖及び第2のsiRNAのセンス鎖の一本鎖突出部の3’末端間に0(例えば、切れ目)、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上の核酸塩基のギャップがあり得る。
それぞれ少なくとも1つのリガンドを有する少なくとも2つのsiRNAが互いに非共有結合される、多標的分子の様々な実施形態では、前記少なくとも2つのリガンドは同じであり得、又はそれらは異なり得る。さらに、前記少なくともリガンドは、独立に、それぞれのsiRNAの任意の位置において共役され得る。例えば、1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖に結合され得、他のリガンドが第2のsiRNAのセンス鎖に結合され得るか、又は1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖に結合され得、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖に結合され得るか、又は1つのリガンドが第1のsiRNAのアンチセンス鎖に結合され得、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖に結合され得る。限定なしに、第1のリガンドは、独立に、第1のsiRNAの1つの鎖(センス又はアンチセンス)の5’末端、3’末端又は内部位置において結合され得る。同様に、第2のリガンドは、独立に、第2のsiRNAの1つの鎖(センス又はアンチセンス)の5’末端、3’末端又は内部位置において結合され得る。
一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖の5’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖の5’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖の内部位置において共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのアンチセンス鎖の内部位置において共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのセンス鎖の内部位置において共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのアンチセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのセンス鎖の内部位置において共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のsiRNAのアンチセンス鎖の内部位置において共役され、他のリガンドが第2のsiRNAのセンス鎖の内部位置において共役される。
一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のセンス鎖の3’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のセンス鎖の5’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のセンス鎖の3’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のセンス鎖の5’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のセンス鎖の内部位置において共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のセンス鎖の内部位置に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のセンス鎖の内部位置において共役され、他のリガンドが第2のセンス鎖の内部位置において共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のアンチセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のアンチセンス鎖の3’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のアンチセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のアンチセンス鎖の5’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のアンチセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のアンチセンス鎖の3’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のアンチセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のアンチセンス鎖の5’末端に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のアンチセンス鎖の3’末端に共役され、他のリガンドが第2のアンチセンス鎖の内部位置において共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のアンチセンス鎖の5’末端に共役され、他のリガンドが第2のアンチセンス鎖の内部位置に共役される。一部の実施形態では、1つのリガンドが第1のアンチセンス鎖の内部位置において共役され、他のリガンドが第2のアンチセンス鎖の内部位置において共役される。
共有結合
一部の実施形態では、多標的分子中の少なくとも2つの核酸ベースのエフェクター分子は、当技術分野において一般に公知であるような、及び本明細書に記載するヌクレオチドベースのリンカー又は非ヌクレオチドベースのリンカーを介して互いに共有結合され得る。従って、一部の実施形態では、多標的分子中の少なくとも2つのエフェクター分子は、ヌクレオチドベースのリンカーを介して結合される。一部の他の実施形態では、少なくとも2つのエフェクター分子は、非ヌクレオチドベースのリンカーを介して結合される。
ヌクレオチドベースのリンカーが、一緒に結合される一方又は両方のエフェクター分子の一部を形成し得ることに留意する。これが意味することは、リンカーのヌクレオチド配列の少なくとも一部が、エフェクター分子の1つの機能に必要とされることである。好ましい実施形態では、リンカーのヌクレオチド配列は、エフェクター分子の一部を形成しない。換言すれば、エフェクター分子のいずれかは、遺伝子発現を調節するリンカーのヌクレオチド配列の任意の部分を必要としない。例えば、リンカー配列が、エフェクター分子から除去される場合、エフェクター分子は、依然として、リンカーが存在する場合と比べて同様のレベル(例えば、95%以内)で遺伝子発現を調節することができる。エフェクター分子が、活性のために標的遺伝子との相補性を必要とする場合、リンカーは、標的配列との相補性のために必要とされるエフェクター分子の一部であっても又はそうでなくてもよい。一部の実施形態では、リンカーは、標的配列と相補性を有さないか(例えば、5%未満の相補性)又は標的配列にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、2つのエフェクター分子を連結する二本鎖ヌクレオチドベースのリンカーの第1の鎖は、前記二本鎖ヌクレオチドベースのリンカーの第2の鎖と実質的に相補的なヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、リンカーの第1の鎖は、リンカーの第2の鎖の核酸塩基配列と少なくとも75%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%以上)相補的である核酸塩基配列を含む。一部の実施形態では、リンカーの第1の鎖は、2つのエフェクター分子を連結するリンカーの第2の鎖の核酸塩基配列と完全に相補的である核酸塩基配列を含む。
限定なしに、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAの混合物であり得る。一部の実施形態では、2つのエフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、全てDNAである。RNA及びDNAは、天然及び修飾されたものであり得る。従って、一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む。リンカーの例示的な修飾としては、限定はしないが、ロックド核酸(例えば、LNA、ENA及びBNA)、2’-O-アルキルヌクレオシド、2’-ハロヌクレオシド(2’-Fヌクレオチドなど)、2’-アミノヌクレオシド、2’-S-アルキルヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、2’-シアノヌクレオシド、2’-メルカプトヌクレオシド;2’-MOEヌクレオシド、アクリルヌクレオシド、(S)-cEtモノマー、及び修飾ヌクレオチド間結合(リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、ホスホン酸水素、アルキル又はアリールホスホネート、ホスホロアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチレンメチルイミノ、チオジエステル、チオノカルバメート、N,N’-ジメチルヒドラジン、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート(borano phosphate)、ボラノリン酸エステル、アミド、ヒドロキシアミノ、シロキサン、ジアルキルシロキサン、カルボキサミド、炭酸塩、カルボキシメチル、カルバメート、カルボン酸エステル、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、硫化物、スルホン酸塩、スルホンアミド、スルホン酸エステル、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンカルボニルアミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、メチレンオキシメチルイミノ、エーテル、チオエーテル、及びチオアセトアミドなど)が挙げられる。核酸修飾が、本開示において以下により詳細に記載されている。
一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するリンカーと、エフェクター分子との間のヌクレオシド間結合の少なくとも1つは、修飾ヌクレオシド間結合である。一部の実施形態では、リンカーの5’末端をエフェクター分子の1つの3’末端に連結するヌクレオシド間結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。一部の実施形態では、リンカーの3’末端をエフェクター分子の1つの5’末端に連結するヌクレオシド間結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。
一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するリンカーの5’及び/又は3’末端における第1の(例えば、第1、第2、第3、第4又は第5の)ヌクレオシド間結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。一部の実施形態では、リンカーの5’及び/又は3’末端からの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上のヌクレオシド間結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。
一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するリンカーは、リンカーの内部位置における少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上)の修飾ヌクレオシド間結合を含む。
限定なしに、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、任意の所望の長さのものであり得る。例えば、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、1ヌクレオチド~5ヌクレオチド長の長さの範囲であり得る。特定の実施形態では、2つのエフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、4ヌクレオチド長である。
エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーが核酸修飾を含む場合、このような修飾は、リンカーにおける任意の位置に配置され得る。例えば、修飾は、リンカーの5’-ヌクレオチド、3’-ヌクレオチド又は内部ヌクレオチドにあり得る。一部の実施形態では、リンカーの5’及び/又は3’末端における第1の(例えば、第1、第2、第3、第4又は第5の)ヌクレオチドは、核酸修飾を含む。一部の実施形態では、リンカーの5’及び/又は3’末端からの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上のヌクレオチドは、核酸修飾を含む。一部の実施形態では、リンカーの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上の内部ヌクレオチドは、核酸修飾を含む。一部の実施形態では、リンカーの内部ヌクレオチドは、センス鎖における全てのDNAを含む。別の実施形態では、リンカーの内部ヌクレオチドは、アンチセンス鎖におけるDNA及び2’-Oアルキル修飾の混合物を含む。
エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、1つ又は2つの核酸鎖を含むことができ、一本鎖であるか、二本鎖であるか、又は一本鎖及び二本鎖領域を含み得る。一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、二本鎖構造を形成しない2つの核酸鎖を含む。換言すれば、ヌクレオチドベースのリンカーは、互いにハイブリダイズしない2つの鎖を含む。
一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、2つの核酸鎖を含み、ここで、リンカーの第1の鎖のヌクレオチド配列は、リンカーの第2の鎖のヌクレオチド配列との少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上)のヌクレオチドミスマッチを含む。一部の実施形態では、リンカーの鎖の少なくとも1つは、バルジ又はループを含む。例えば、リンカー鎖の少なくとも1つは、他のリンカー鎖との少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上の連続又は不連続)の非相補的核酸塩基を含む。
限定なしに、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、本明細書に開示する1つ又は複数の核酸修飾を含み得る。エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーが2つの核酸鎖を含む場合、各鎖は、独立に、非修飾であるか、又は本明細書に開示する1つ又は複数の核酸修飾を含み得る。従って、一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、2つの核酸鎖を含み、ここで、各鎖は、非修飾である。一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、2つの核酸鎖を含み、ここで、1つの鎖は、非修飾であり、他の鎖は、修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む。一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、2つの核酸鎖を含み、両方の鎖は、修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から独立に選択される少なくとも1つの修飾を含む。
一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、2つの核酸鎖を含み、鎖の1つが全てDNAを含み、他の鎖がDNA及び2’-Oアルキル修飾の混合物を含む。
エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、一本鎖又は二本鎖ヌクレアーゼによる分解又は切断に対して耐性があり得る。或いは、エフェクター分子を連結するヌクレオチドベースのリンカーは、切断可能なリンカーであり得る。例えば、エフェクター分子を連結するリンカーは、一本鎖又は二本鎖ヌクレアーゼによって切断を行うことができる。
本明細書に記載されるように、多標的分子中のエフェクター分子を連結するリンカーは、非ヌクレオチドベースのリンカーであり得る。一部の実施形態では、2つのオリゴヌクレオチドを連結する非ヌクレオチドベースのリンカーは、切断可能な基を含む。
一部の実施形態では、2つのオリゴヌクレオチドを連結する非ヌクレオチドベースのリンカーは、少なくとも1つのジスルフィド基を含む。
本明細書に開示されるように、一部の実施形態では、多標的分子中の少なくとも2つのエフェクター分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカーを介して互いに共有結合され、多標的分子は、少なくとも1つのリガンドとさらに共役される。限定なしに、リガンドは、多標的分子中のいずれの箇所に存在してもよい。例えば、リガンドは、リンカーによって共有結合される少なくとも2つのエフェクター分子の1つの端部、リンカーによって共有結合される少なくとも2つのエフェクター分子の1つにおける内部位置、又はリンカーにおける位置に存在し得る。
一部の実施形態では、一緒に共有結合される少なくとも2つのエフェクター分子を含む多標的分子は、少なくとも1つのリガンドと共役される。限定なしに、リガンドは同じであり得、又はそれらは異なり得る。2つのリガンドは、独立に、多標的分子中の任意の位置において共役され得る。例えば、第1のリガンドは、第1のエフェクター分子中に存在してもよく、第2のリガンドは、第1のエフェクター分子を第2のエフェクター分子に連結するリンカー中に存在してもよく、又は第1のリガンドは、第1のエフェクター分子中に存在してもよく、第2のリガンドは、第1のエフェクター分子に共有結合される第2のエフェクター分子中に存在してもよく;又は両方のリガンドが同じエフェクター分子中に存在してもよく;又は両方のリガンドが、エフェクター分子を連結するリンカー中に存在してもよい。
一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するリンカーは、Q151(図26)、Q173(図26)、図19~24に示されるモノマー及び「例示的なリガンドモノマー」と題されたセクションにおいて後述されるモノマーからなる群から選択されるモノマーを含む。例えば、段落[00316]~[00365]に記載されるモノマーである。限定なしに、リガンドは、リンカーにおける任意の位置に存在し得る。例えば、リガンドは、中央位置又はリンカーの中央の1、2、若しくは3モノマー又は単位以内に共役され得る。一部の実施形態では、モノマーを有するリガンドはリンカーとしての役割を果たす。
一部の実施形態では、多標的分子は、2つのsiRNAから組み立てられ、ここで、2つのsiRNAは、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカーを介して互いに共有結合される。一部の実施形態では、2つのsiRNAを連結するリンカーは、ヌクレオチド配列uuu又は(dT)n(ここで、nが1~20である)を含む。一部の実施形態では、エフェクター分子を連結するリンカーは、-(CH2)12-(C12リンカー又はQ50)、-(CH2)6-S-S-(CH2)6-(C6-S-S-C6リンカー又はQ51)、Q151、Q173、-CH2CH2O-(CH2CH2)n-CH2CH2O-CH2CH2O-(ここで、nが0又は1~20である);-(CH2)9-(CH2)n-CH2-(ここで、nが0又は1~20である);リガンドと任意選択で共役されるモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-又はポリプロリノール;リガンドと任意選択で共役される、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-又はポリヒドロキシプロリノールからなる群から選択される分子を含む。一部の実施形態では、2つのsiRNAを連結するリンカーは、図16~23及び26に示されるものから選択される分子を含む。一部の実施形態では、リンカーは、「例示的なリガンドモノマー」と題されたセクションにおいて後述されるモノマーから選択されるモノマーを含む。例えば、段落[00316]~[00365]において後述されるモノマー1~30である。例示的なリンカーが本開示の実施例セクション、例えば、実施例1~23にも記載されている。
一部の実施形態では、多標的分子は、2つのsiRNAから組み立てられ、ここで、第1のsiRNAのセンス鎖が第2のsiRNAのセンス鎖に共有結合される。限定なしに、2つのセンス鎖は、任意の配向で互いに結合され得る。例えば、第1のセンス鎖の3’末端は、第2のセンス鎖の5’末端に結合され得;第1のセンス鎖の3’末端は、第2のセンス鎖の3’末端に結合され得;又は第1のセンス鎖の5’末端は、第2のセンス鎖の5’末端に結合され得る。
一部の実施形態では、多標的分子は、2つのsiRNAから組み立てられ、ここで、第1のsiRNAのアンチセンス鎖が第2のsiRNAのアンチセンス鎖に共有結合される。限定なしに、2つのアンチセンス鎖は、任意の配向で互いに結合され得る。例えば、第1のアンチセンス鎖の3’末端は、第2のアンチセンス鎖の5’末端に結合され得;第1のアンチセンス鎖の3’末端は、第2のアンチセンス鎖の3’末端に結合され得;又は第1のアンチセンス鎖の5’末端は、第2のアンチセンス鎖の5’末端に結合され得る。
一部の実施形態では、多標的分子は、2つのsiRNAから組み立てられ、ここで、第1のsiRNAのセンス鎖が第2のsiRNAのアンチセンス鎖に共有結合される。限定なしに、第1のsiRNAのセンス鎖は、任意の配向で第2のsiRNAのアンチセンス鎖に結合され得る。例えば、センス鎖の3’末端は、アンチセンス鎖の5’末端に結合され得;センス鎖の3’末端は、アンチセンス鎖の3’末端に結合され得;又はセンス鎖の5’末端は、アンチセンス鎖の5’末端に結合され得る。
一部の実施形態では、多標的分子は、2つのsiRNAから組み立てられ、ここで、第1のsiRNAのセンス鎖が第2のsiRNAのセンス鎖に共有結合され、第1のsiRNAのアンチセンス鎖は、第2のsiRNAのアンチセンス鎖に共有結合される。一部の実施形態では、多標的分子は、2つのsiRNAから組み立てられ、ここで、第1のsiRNAのアンチセンス鎖は、第2のsiRNAのセンス鎖に共有結合され、第1のsiRNAのセンス鎖は、第2のsiRNAのアンチセンス鎖に共有結合される。
エフェクター分子
当業者であれば、20~23、特に21塩基対の二重螺旋構造を含む二本鎖オリゴヌクレオチドがRNA干渉を誘導するのに特に有効であるとして認められていることは十分認識している(Elbashir et al.,EMBO 2001,20:6877-6888)。しかしながら、他に、これより短い又は長い二本鎖オリゴヌクレオチドも有効となり得ることが見出されている。
一部の実施形態では、多標的分子中の少なくとも1つのエフェクター分子は、siRNAである。一部の実施形態では、多標的分子は、少なくともsiRNAを含む。本明細書で使用されるとき、用語「siRNA」は、RNA転写物の標的切断を媒介する物質を指す。これらの物質は、RNAi誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られる細胞質多タンパク質複合体と結合する。RNA干渉を誘導する上で有効な物質は、本明細書においてsiRNA、RNAi剤、又はiRNA剤とも呼ばれる。本明細書で使用されるとき、用語siRNAは、マイクロRNA及びpre-マイクロRNAを含む。本明細書で使用されるとき、用語「siRNA活性」及び「RNAi活性」は、siRNAによる遺伝子サイレンシングを指す。
二本鎖オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズして、二重螺旋構造を形成するのに十分に相補的である2つのオリゴヌクレオチド鎖を含む。一般に、二重螺旋構造は、15~35、より一般的には18~25、さらに一般的には19~24、最も一般的には19~21塩基対の長さである。一部の実施形態では、長さが25~30塩基対と、より長い二本鎖オリゴヌクレオチドが好ましい。一部の実施形態では、長さが10~15塩基対と、より短い二本鎖オリゴヌクレオチドが好ましい。別の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも21ヌクレオチド長である。
一部の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、センス鎖とアンチセンス鎖とを含み、ここで、アンチセンスRNA鎖は、標的配列の少なくとも一部と相補的である相補性の領域を有し、二重螺旋領域は、14~30ヌクレオチド長である。同様に、標的配列に対する相補性の領域は、14~30、より一般的には18~25、さらに一般的には19~24、最も一般的には19~21ヌクレオチド長である。
本明細書で使用されるとき、語句「アンチセンス鎖」は、目的とする標的配列に対して実質的に相補的、又は100%相補的であるオリゴマー化合物を指す。「アンチセンス鎖」という語句は、2つの個別の鎖から形成される両オリゴマー化合物のアンチセンス領域、並びにヘアピン又はダンベル型構造を形成することができる単分子化合物を含む。用語「アンチセンス鎖」及び「ガイド鎖」は、本明細書では置き換え可能に使用される。
語句「センス鎖」は、メッセンジャーRNA又はDNAの配列などの標的配列と、全部又は一部が同じヌクレオシド配列を有するオリゴマー化合物を指す。「センス鎖」及び「パッセンジャー鎖」という用語は、本明細書では置き換え可能に使用される。
一部の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドの二本鎖領域は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、若しくはそれを上回るヌクレオチチド対と等しいか、又は少なくともその長さである。
一部の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、若しくはそれを上回るヌクレオチチド対と等しいか、又は少なくともその長さである。
一部の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、若しくはそれを上回るヌクレオチチド対と等しいか、又は少なくともその長さである。
一部の実施形態では、1つの鎖は、二本鎖領域内に1~10個の一本鎖ヌクレオチドの少なくとも1区間を有する。「二本鎖領域内に一本鎖ヌクレオチドの区間」とは、別のヌクレオチドと塩基対を形成しない二本鎖領域内の少なくとも1つのヌクレオチドが存在することを意味する。一本鎖ヌクレオチドの区間が二本鎖領域の内部に存在する場合、一本鎖区間の両端に少なくとも1つのヌクレオチド塩基対が存在し得る。二本鎖領域の端部に存在する場合、一本鎖ヌクレオチドの区間は、一本鎖突出部であり得る。二本鎖領域内の一本鎖ヌクレオチドの区間は、バルジ又は1つ又は複数のミスマッチヌクレオチドの形態であり得る。一部の実施形態では、両方の鎖が、二本鎖領域内に1~5(例えば、1、2、3、4、又は5)個の一本鎖ヌクレオチドから構成される少なくとも1区間を有する。両方の鎖が、二本鎖領域内に1~5(例えば、1、2、3、4、又は5)個の一本鎖ヌクレオチドから構成される1区間を有する場合、このような一本鎖ヌクレオチドは、互いに反対(例えば、ミスマッチの区間)であってもよく、又は第2の鎖が第1の鎖の一本鎖オリゴヌクレオチドと反対の非塩基対ヌクレオチドを含まないようにこれらを配置することもでき、またその逆(例えば、一本鎖ループ)も可能である。一部の実施形態では、一本鎖ヌクレオチドは、いずれかの末端から8ヌクレオチド以内、例えば、2つの鎖の間の相補性の領域の5’又は3’末端のいずれかから8、7、6、5、4、3、若しくは2ヌクレオチドに存在する。
ヘアピン及びダンベルタイプオリゴヌクレオチドは、少なくとも14、15、15、16、17、18、19、29、21、22、23、24、又は25ヌクレオチド対以上の二重螺旋領域を有し得る。二重螺旋領域は、200、100、又は50以下の長さであってよい。一部の実施形態では、二重螺旋領域の範囲は、15~30、17~23、19~23、及び19~21ヌクレオチド対の長さである。
一部の実施形態では、核酸ベースのエフェクター分子は、一部の実施形態では3’に、また一部の実施形態ではヘアピンのアンチセンス側に一本鎖突出部又は末端非対合領域を有し得るヘアピンオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、突出部は、1~4、より一般的には2~3ヌクレオチド長であった。RNA干渉を誘導することができるヘアピンオリゴヌクレオチドは、本明細書において「shRNA」とも呼ばれる。
いくつかの実施形態では、2つのオリゴヌクレオチド鎖は、特定の結合が要望される条件下、すなわち、in vivoアッセイ若しくは治療処置の場合、生理学的条件下で、並びにin vitroアッセイの場合、アッセイが実施される条件下で、非標的核酸配列とアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性がある場合に特異的にハイブリダイズする。
本明細書で使用されるとき、「緊縮ハイブリダイゼーション条件」又は「緊縮条件」は、アンチセンス化合物がその標的配列とハイブリダイズするが、他の配列とは最小数にハイブリダイズする条件を指す。緊縮条件は、配列依存的であり、様々な状況で異なり、アンチセンス化合物が標的配列とハイブリダイズする「緊縮条件」は、アンチセンス化合物の性質及び組成、並びにそれらが試験されるアッセイによって決定される。
当技術分野では、ヌクレオチド親和性修飾の組み込みにより、非修飾活性化と比較して、より多くのミスマッチ数を達成し得ることが理解される。同様に、特定のオリゴヌクレオチド配列は、他のオリゴヌクレオチド配列よりミスマッチに対してより耐性であり得る。当業者は、オリゴヌクレオチド同士、又はオリゴヌクレオチド及び標的核酸同士の適切な数のミスマッチを、例えば、融解温度(Tm)の決定により、決定することができる。Tm又はΔTmは、当業者に周知である技術によって計算することができる。例えば、Freierら(Nucleic Acids Research,1997,25,22:4429-4443)に記載される技術により、当業者は、ヌクレオチド修飾を、それらがRNA:DNA及びRNA:RNA二重螺旋の融解温度を高める能力について評価することができる。
一部の実施形態では、エフェクター分子は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤、すなわちsiRNAである。dsRNA、siRNA、オリゴヌクレオチドは、別の記載がない限り同義的に使用され得ることが理解される。dsRNA剤は、センス鎖とアンチセンス鎖を含み、各々、14~40ヌクレオチドを有する。dsRNA剤は、式(I):
により表される。
式(I)中、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-O-アルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドである。一部の実施形態では、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々、2’-OMe修飾を含む。
C1は、アンチセンス鎖のシード領域(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)とは反対の部位に配置される熱不安定化ヌクレオチドである。例えば、C1は、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位のヌクレオチドと対合するセンス鎖の1つの位置にある。C1ヌクレオチドは、熱不安定化修飾を担持し、これは、脱塩基修飾;二重螺旋中の反対側ヌクレオチドとのミスマッチ;並びに2’-デオキシ修飾又は非環状ヌクレオチド、例えば、アンロックド核酸(UNA)若しくはグリセロール核酸(GNA)などの糖修飾を含み得る。一部の実施形態では、C1は、i)アンチセンス鎖の反対側ヌクレオチドとのミスマッチ;ii)
からなる群から選択される脱塩基修飾;及びiii)
からなる群から選択される糖修飾からなる群から選択される熱不安定化修飾を有し、ここで、Bは、修飾又は非修飾核酸塩基であり、R
1及びR
2は、独立に、H、ハロゲン、OR
3、若しくはアルキルであり;R
3は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール若しくは糖である。一部の実施形態では、C1における熱不安定化修飾は、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、及びU:Tからなる群から選択されるミスマッチ;及び任意選択で、ミスマッチ対における少なくとも1つの核酸塩基は、2’-デオキシ核酸塩基である。一例では、C1における熱不安定化修飾は、GNA又は
である。
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、2’-OMe修飾の立体的嵩高さ以下の立体的嵩高さをヌクレオチドに付与する修飾を含むヌクレオチドを示す。修飾は、ヌクレオチドのリボース糖の2’位にあるか、又は非リボースヌクレオチド、非環状ヌクレオチド、又はヌクレオチドの骨格に対する修飾であってよく、この修飾は、リボース糖の2’位と類似又は均等であり、且つ2’-OMe修飾の立体的嵩高さ以下の立体的嵩高さをヌクレオチドに付与する。例えば、T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルから選択される。一部の実施形態では、T1はDNAである。一部の実施形態では、T1’は、DNA、RNA又はLNAである。一部の実施形態では、T2’は、DNA又はRNAである。一部の実施形態では、T3’は、DNA又はRNAである。
n1、n3、及びq1は、独立に、4~15ヌクレオチド長である。
n5、q3、及びq7は、独立に、1~6ヌクレオチド長である。
n4、q2、及びq6は、独立に、1~3ヌクレオチド長である。
q5は、独立に、0~10ヌクレオチド長である。
n2及びq4は、独立に、0~3ヌクレオチド長である。
或いは、n4は、0~3ヌクレオチド長である。
一部の実施形態では、n4は、0であってよい。一例では、n4は、0で、q2及びq6は、1である。別の例では、n4は、0で、q2及びq6は、1であり、ここで、センス鎖の1~5位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(センス鎖の5’末端から数えて)を有し、アンチセンス鎖の1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾を、また18~23位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)を有する。
一部の実施形態では、n4、q2、及びq6は、各々、1である。
一部の実施形態では、n2、n4、q2、q4、及びq6は、各々、1である。
一部の実施形態では、センス鎖が、19~22ヌクレオチド長であり、且つn4が1であるとき、C1は、センス鎖の5’末端の14~17位にある。
一部の実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位で開始する。一例では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、q6は、1に等しい。
一部の実施形態では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位で開始する。一例では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、q2は、1に等しい。
一部の実施形態では、T1’及びT3’は、長さ11ヌクレオチドだけ隔てられている(すなわち、T1’及びT3’ヌクレオチドを計数しない。
一部の実施形態では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にある。一例では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、q2は、1に等しく、非リボース、非環状若しくは骨格における1つ又は複数の2’位の修飾は、2’-OMeリボース修飾より小さい立体的嵩高さを付与する。
一部の実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にある。一例では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、q6は、1に等しく、非リボース、非環状若しくは骨格におけ1つ又は複数のる2’位の修飾は、2’-OMeリボース修飾より小さい立体的嵩高さを付与する。
一部の実施形態では、T1は、センス鎖の切断部位にある。一例では、センス鎖が、19~22ヌクレオチド長であり、且つn2が1であるとき、T1は、センス鎖の5’末端から11位にある。
一部の実施形態では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6位で開始する。一例では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6~10位にあり、q4は、1である。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、T2’は、2’-Fであり、q4は、2であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、5であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-OMeであり、q7は、1である。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、T2’は、2’-Fであり、q4は、2であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、5であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-OMeであり、q7は、1であり;センス鎖の1~5位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(センス鎖の5’末端から数えて)を有し、アンチセンス鎖の1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾を、また18~23位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)を有する。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、q4は、0であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、7であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-OMeであり、q7は、1である。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、q4は、0であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、7であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-OMeであり、q7は、1であり;センス鎖の1~5位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(5’末端から数えて)を有し、アンチセンス鎖の1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾を、また18~23位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(5’末端から数えて)を有する。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、T2’は、2’-Fであり、q4は、2であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、5であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-Fであり、q7は、1である。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、T2’は、2’-Fであり、q4は、2であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、5であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-Fであり、q7は、1であり;ここで、センス鎖の1~5位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(センス鎖の5’末端から数えて)を有し、アンチセンス鎖の1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾を、また18~23位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)を有する。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、q4は、0であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、7であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-Fであり、q7は、1である。
一部の実施形態では、B1は、2’-OMe又は2’-Fであり、n1は、8であり、T1は、2’Fであり、n2は、3であり、B2は、2’-OMeであり、n3は、7であり、n4は、0であり、B3は、2’-OMeであり、n5は、3であり、B1’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q1は、9であり、T1’は、2’-Fであり、q2は、1であり、B2’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q3は、4であり、q4は、0であり、B3’は、2’-OMe又は2’-Fであり、q5は、7であり、T3’は、2’-Fであり、q6は、1であり、B4’は、2’-Fであり、q7は、1であり;ここで、センス鎖の1~5位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(センス鎖の5’末端から数えて)を有し、また、アンチセンス鎖の1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾と、18~23位内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)を有する。
一部の実施形態では、本発明のdsRNA剤の100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%又は30%が、修飾されている。
一部の実施形態では、dsRNA剤のセンス及びアンチセンス鎖の各々は、独立に、非環状ヌクレオチド、LNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシ、2’-フルオロ、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)、2’-O-ジメチルアミノエトキシエチル(2’-O-DMAEOE)、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、又は2’-アラ-Fで修飾されている。
一部の実施形態では、dsRNA剤のセンス及びアンチセンス鎖の各々は、少なくとも2つの異なる修飾を含有する。
一部の実施形態では、式(I)のdsRNA剤は、1~10ヌクレオチド長の3’及び/又は5’突出部をさらに含む。一例では、式(I)のdsRNA剤は、アンチセンス鎖の3’末端に3’突出部を含み、アンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を含む。別の例では、dsRNA剤は、センス鎖の5’末端に5’末端突出部を有する。
一部の実施形態では、本発明のdsRNA剤は、2’-F修飾を一切含まない。
一部の実施形態では、本発明のdsRNA剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個の2’-F修飾を含む。一例では、本発明のエフェクター分子は、9又は10個の2’-F修飾を含む。
一部の実施形態では、dsRNA剤のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の1つ又は複数のブロックを含む。一例では、センス鎖は、2つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の1つのブロックを含む。一例では、アンチセンス鎖は、2つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の2つのブロックを含む。例えば、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の2つのブロックは、16~18リン酸ヌクレオチド間結合により隔てられている。
一部の実施形態では、dsRNA剤のセンス及びアンチセンス鎖の各々は、15~30ヌクレオチドを有する。一例では、センス鎖は、19~22ヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖は、19~25ヌクレオチドを有する。別の例では、センス鎖は、21ヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖は、23ヌクレオチドを有する。
一部の実施形態では、二重螺旋におけるアンチセンス鎖の5’末端の1位のヌクレオチドは、A、dA、dU、及びdTからなる群から選択される。一部の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端から1番目、2番目、及び3番目の塩基対の少なくとも1つは、AU塩基対である。
一部の実施形態では、本発明のdsRNA剤のアンチセンス鎖は、標的RNAと100%相補的であり、これとハイブリダイズして、RNA干渉によりその発現を阻害する。別の実施形態では、本発明のdsRNA剤のアンチセンス鎖は、標的RNAと少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、又は少なくとも50%相補的である。
一態様では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害することができるdsRNA剤に関する。dsRNA剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、各鎖は、14~40ヌクレオチドを有する。センス鎖は、少なくとも1つの熱不安定化ヌクレオチドを含有し、ここで、少なくとも1つの前記熱不安定化ヌクレオチドは、アンチセンス鎖のシード領域とは反対の部位(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)又はその付近に存在する。例えば、センス鎖が、21ヌクレオチド長のとき、熱不安定化ヌクレオチドは、センス鎖の5’末端の14~17位に存在する。アンチセンス鎖は、立体的要求性のある2’-OMe修飾より小さい、少なくとも2つの修飾核酸を含有する。好ましくは、立体的要求性のある2’-OMe修飾より小さい、2つの修飾核酸は、長さ11ヌクレオチドだけ隔てられている。例えば、2つの修飾核酸は、アンチセンス鎖の5’末端の2及び14位にある。
一部の実施形態では、dsRNA剤のセンス鎖配列は、式(Is):
により表され、
式中、
B1、B2、及びB3は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、アンチセンス鎖のシード領域(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)とは反対の部位に位置する熱不安定化ヌクレオチド(例えば、UNA又はGNA、ミスマッチ、脱塩基、若しくはDNAなどの非環状ヌクレオチド)であり;
T1は、非リボース、非環状又は骨格の2’位又は均等な位置に化学修飾を含むヌクレオチドを示し、この修飾は、2’-OMe修飾より小さい立体的嵩高さをヌクレオチドに付与し;例えば、T1は、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択され;
n
1又はn
3は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5は、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4は、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2は、0~3ヌクレオチド長である。
一部の実施形態では、dsRNA剤の19、20、21、又は22ヌクレオチド長のセンス鎖配列は、式(Is):
により表され、
式中、
B1、B2、及びB3は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、アンチセンス鎖のシード領域(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)とは反対の部位に位置する熱不安定化ヌクレオチド(例えば、UNA又はGNA、ミスマッチ、脱塩基、若しくはDNAなどの非環状ヌクレオチド)であり;
T1は、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択される化学修飾を含むヌクレオチドを示し;
n
1又はn
3は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5は、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4は、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2は、0~3ヌクレオチド長である。
一部の実施形態では、式(Is)のdsRNA剤は、1~10ヌクレオチド長の3’及び/又は5’突出部をさらに含む。一例では、式(Is)のdsRNA剤は、5’突出部を含む。
一部の実施形態では、C1は、センス鎖の5’末端から14、15、16又は17位に1つの熱不安定化ヌクレオチドを含む。例えば、C1は、非環状ヌクレオチド(例えば、UNA若しくはGNA)、ミスマッチ、脱塩基、又はDNAである。1つの具体的な例では、C1は、GNAである。
一部の実施形態では、T1は、センス鎖の5’末端から11位にDNA、RNA、LNA、2’-F、又は2’-F-5’-メチルを含む。
一部の実施形態では、本発明のdsRNA剤は、センス鎖(Is)を含み、ここで、C1は、非環状ヌクレオチド(例えば、UNA若しくはGNA)、ミスマッチ、脱塩基、又はDNAであり;T1は、センス鎖の5’末端から11位にDNA、RNA、LNA、2’-F、又は2’-F-5’-メチルを含む。
一部の実施形態では、dsRNA剤のアンチセンス鎖は、式(Ia):
により表され、
式中、
B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、非リボース、非環状又は骨格の2’位又は均等な位置に化学修飾を含むヌクレオチドを示し、この修飾は、2’-OMe修飾より低い立体的嵩高さをヌクレオチドに付与し;例えば、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択され;
q
1は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
q
4は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長である。
一部の実施形態では、dsRNA剤の19、20、21、22、23、24、又は25ヌクレオチド長のアンチセンス鎖配列は、式(Ia):
により表され、
式中、
B1’、B2’、B3’,及びB4’は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択される化学修飾を含むヌクレオチドを示し;
q
1は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
q
4は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長である。
一部の実施形態では、式(Ia)のdsRNAは、1~10ヌクレオチド長の3’及び/又は5’突出部をさらに含む。一例では、式(Ia)のdsRNA剤は、3’突出部を有する。
一部の実施形態では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。dsRNA剤は、各鎖が14~40ヌクレオチドを有する、センス鎖及びアンチセンス鎖:
を含み、
式中、
B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、非環状ヌクレオチド(例えば、UNA又はGNA)であり;
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択される化学修飾を含むヌクレオチドを示し;
n
1、n
3、又はq
1は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5、q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4、q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2又はq
4は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長であり;
ここで、dsRNA剤は、アンチセンス及び/又はセンス鎖の1~10ヌクレオチド長の3’及び/又は5’突出部を有する。
一部の実施形態では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。dsRNA剤は、各鎖が14~40ヌクレオチドを有する、センス及びアンチセンス鎖:
を含み、
式中、
B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’,及びB4’は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、非環状ヌクレオチド(例えば、UNA又はGNA)であり;
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択される化学修飾を含むヌクレオチドを示し;
n
1、n
3、又はq
1は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5、q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4、q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2又はq
4は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長であり;
ここで、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2ヌクレオチド長の3’突出部を含む。
一部の実施形態では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。dsRNA剤は、各鎖が15~30ヌクレオチドを有する、センス鎖及びアンチセンス鎖:
を含み、
式中、
B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-OMe修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、非環状ヌクレオチドGNAであり;
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA又はRNAであり;
n
1、n
3、又はq
1は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5、q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4、q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2又はq
4は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長であり;
ここで、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の3’末端に1~6ヌクレオチド長の3’突出部を有する。
一部の実施形態では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。dsRNA剤は、各鎖が19~23ヌクレオチドを有する、センス鎖及びアンチセンス鎖:
を含み、
式中、
B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-OMe修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、非環状ヌクレオチドGNAであり;
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA又はRNAであり;
n
1、n
3、q
1、又はq
3は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5、q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4、q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2、q
4又はq
5は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長であり;
ここで、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2ヌクレオチド長の3’突出部を有する。
一部の実施形態では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。dsRNA剤は、各鎖が14~40ヌクレオチドを有する、センス鎖及びアンチセンス鎖:
を含み、
式中、
B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-OMe修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、非環状ヌクレオチドGNAであり;
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA又はRNAであり;
n
1、n
3、q
1、又はq
3は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5、q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4、q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2、q
4又はq
5は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長であり;
ここで、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2ヌクレオチド長の3’突出部を有する。
一部の実施形態では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。dsRNA剤は、各鎖が14~40ヌクレオチドを有する、センス鎖及びアンチセンス鎖:
を含み、
式中、
B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、非環状ヌクレオチド(例えば、UNA又はGNA)であり;
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択される化学修飾を含むヌクレオチドを示し;
n
1、n
3、又はq
1は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5、q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4、q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2又はq
4は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長であり;
ここで、dsRNA剤は、センス鎖の5’末端に1~10ヌクレオチド長の5’突出部を有する。
一部の実施形態では、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖RNA(dsRNA)剤に関する。dsRNA剤は、各鎖が14~40ヌクレオチドを有する、センス鎖及びアンチセンス鎖:
を含み、
式中、
B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’は、各々独立に、2’-Oアルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含むヌクレオチドを示し;
C1は、非環状ヌクレオチド(例えば、UNA又はGNA)であり;
T1、T1’、T2’、及びT3’は、各々独立に、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルからなる群から選択される化学修飾を含むヌクレオチドを示し;
n
1、n
3、又はq
1は、独立に、4~15ヌクレオチド長であり;
n
5、q
3又はq
7は、独立に、1~6ヌクレオチド長であり;
n
4、q
2又はq
6は、独立に、1~3ヌクレオチド長であり;
n
2又はq
4は、独立に、0~3ヌクレオチド長であり;
q
5は、独立に、0~10ヌクレオチド長であり;
ここで、dsRNA剤は、センス鎖の5’末端に1~10ヌクレオチド長の5’突出部を有し、アンチセンス鎖の5’末端に1~10ヌクレオチドの3’突出部を有する。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、マイクロRNAである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば、本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合されるマイクロRNAを少なくとも含む。マイクロRNA(miRNA又はmir)は、植物及び動物のゲノム中のDNAから転写されるが、タンパク質へと翻訳されない小RNA分子の高度に保存されたクラスである。Pre-マイクロRNAは、miRNAへとプロセシングされる。プロセシングされるマイクロRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、発達、細胞増殖、アポトーシス及び分化の主要調節因子として同定された一本鎖約17~25ヌクレオチド(nt)RNA分子である。それらは、特定のmRNAの3’-非翻訳領域に結合することにより、遺伝子発現の調節に役割を果たすものと考えられる。RISCは、翻訳阻害、転写物切断、又はその両方により遺伝子発現の下方制御を媒介する。RISCは、広範囲にわたる真核生物の核内の転写サイレンシングにも関与している。
マイクロRNAは、宿主における病原体の調節にも関与している。例えば、Jopling,C.L.,et al.,Science(2005)vol.309,pp 1577-1581を参照されたい。特定の理論に拘束されることは意図しないが、マイクロRNA、マイクロRNA模倣物、及び/又は抗マイクロRNAオリゴヌクレオチドの投与は、病原体の生存、増殖、発達、及び/又は複製の調節をもたらす。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、マイクロRNA、マイクロRNA模倣物、及び/又は抗マイクロRNAであり、ここで、マイクロRNAは、宿主マイクロRNAである。
これまでに同定されたmiRNA配列の数は、多く且つ増加し続けており、その例示的な例は、例えば、“miRBase:microRNA sequences,targets and gene nomenclature”Griffiths-Jones S,Grocock RJ,van Dongen S,Bateman A,Enright AJ.NAR,2006,34,Database Issue,D140-D144;“The microRNA Registry”Griffiths-Jones S.NAR,2004,32,Database Issue,D109-D111;及びさらにワールドワイドウェブでhttp://microrna.dot.sanger.dot.ac.dot.uk/sequences/に見出される。
成熟miRNAは、概して5’末端の塩基2~7を含む「シード領域」によって特徴付けられる。シード領域は、主に、その標的mRNAの3’UTRに対するmiRNAの特異性を定義するものと考えられ、コンピュータによる標的予測に使用されている。各miRNAについて数百の標的mRNAが予測されるが、比較的少ない標的がこれまでに実験により実証されている。最近のディープシーケンシング(deep sequencing)手法は、現在のmiRNAデータベースの変化をもたらし、miRNA*を有効なmiRNA分子として暗示している。さらに、mir-302bなどのいくつかのmiRNAステムループでは、両方の5’及び3’ステムループ配列が成熟miRNAとして注釈を付けられ、これは、両方のmiRNA鎖が機能特性を有し得ることを示唆している。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、リボザイムである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのリボザイムを含む。
リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を有する特定の触媒ドメインを有するオリゴヌクレオチドである(Kim and Cech,Proc Natl Acad Sci U S A.1987 Dec;84(24):8788-92;Forster and Symons,Cell.1987 Apr 24;49(2):211-20)。少なくとも6つの基本的な種類の天然酵素RNAが現在知られている。概して、酵素核酸は、まず、標的RNAに結合することによって作用する。このような結合は、標的RNAを切断する役割を果たす分子の酵素部分にごく近接して保持される酵素核酸の標的結合部分によって行われる。従って、酵素核酸は、まず標的RNAを認識し、次に相補的な塩基対合によって標的RNAに結合し、適切な部位に結合すると、酵素的に作用して標的RNAを切断する。このような標的RNAの戦略的切断は、コードされたタンパク質の直接合成のその能力を破壊するであろう。酵素核酸が、そのRNA標的に結合し、それを切断した後、それは、別の標的を探すためにそのRNAから放出され、新たな標的に繰り返し結合し、それを切断することができる。
任意の標的配列にターゲティングされたリボザイムを産生する方法が当技術分野において公知である。リボザイムは、国際特許出願公開国際公開第93/23569号パンフレット及び国際特許出願公開国際公開第94/02595号パンフレット(それぞれ参照により本明細書に明確に組み込まれる)に記載されるように設計され、これらの文献に記載されるように、in vitro及びin vivoで試験されるように合成され得る。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、アプタマーである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのアプタマーを含む。アプタマーは、高い親和性及び特異性を有する該当する特定の分子に結合する核酸又はペプチド分子である(Tuerk and Gold,Science 249:505(1990);Ellington and Szostak,Nature 346:818(1990))。大きいタンパク質からの多くの様々な実体を、小さい有機分子に結合するDNA又はRNAアプタマーが問題なく産生された。Eaton,Curr.Opin.Chem.Biol.1:10-16(1997)、Famulok,Curr.Opin.Struct.Biol.9:324-9(1999)、及びHermann and Patel,Science 287:820-5(2000)を参照されたい。アプタマーは、RNA又はDNAベースであり得る。概して、アプタマーは、vitro選択又は同等にSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)を複数回にわたり繰り返すことにより、小分子、タンパク質、核酸、さらには細胞、組織及び生物などの様々な分子標的に結合するように改変される。アプタマーは、合成、組み換え、及び精製方法を含む任意の公知の方法によって調製され得、単独で又は同じ標的に特異的な他のアプタマーと組み合わせて使用され得る。さらに、本明細書により完全に記載されるように、用語「アプタマー」は、特に、2つ以上の公知のアプタマーを、所与の標的と比較することから得られるコンセンサス配列を含有する「二次アプタマー」を含む。
転写因子が、周囲のゲノムDNAの非存在下でさえ、それらの比較的短い結合配列を認識するため、特定の転写因子のコンセンサス結合配列を有する短いオリゴヌクレオチドは、生細胞内の遺伝子発現を操作するためのツールとして使用され得る。この手法は、このような「デコイオリゴヌクレオチド」の細胞内輸送を含み、次に、デコイオリゴヌクレオチドは、標的因子によって認識され、結合される。従って、一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、デコイオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのデコイオリゴヌクレオチドを含む。
デコイによる転写因子のDNA結合部位の占有により、転写因子は、標的遺伝子のプロモーター領域に後に結合することができなくなる。デコイは、転写因子によって活性化される遺伝子の発現を阻害するため、又は転写因子の結合によって抑制される遺伝子を上方制御するため、治療剤として使用され得る。デコイオリゴヌクレオチドの利用の例は、Mann et al.,J.Clin.Invest.,2000,106:1071-1075に見出され、これは、全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、miRNA模倣物である。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのmiRNA模倣物を含む。マイクロRNA模倣物(miRNA模倣物)は、1つ又は複数のmiRNAの遺伝子調節活性を模倣するのに使用され得るクラスの分子を表す。従って、用語「マイクロRNA模倣物」は、RNAi経路に入り、遺伝子発現を調節することができる合成非コードRNA(すなわち、miRNAは、内在性miRNAの源からの精製によって得られない)を指す。miRNA模倣物は、成熟分子(例えば、一本鎖)又は模倣物前駆体(例えば、pri-又はpre-miRNA)として設計され得る。1つの設計では、miRNA模倣物は、(例えば、約16~約31ヌクレオチド長の二重螺旋領域を有する)二本鎖分子であり、所与のmiRNAの成熟鎖との同一性を有する1つ又は複数の配列を含む。二本鎖miRNA模倣物は、二本鎖オリゴヌクレオチドについて上述されるのと同様の設計を有する。
一部の実施形態では、miRNA模倣物は、16~31ヌクレオチドの二重螺旋領域及び以下の化学修飾パターンの1つ又は複数を含む:センス鎖は、(センスオリゴヌクレオチドの5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2、並びにCs及びUsの全ての2’-O-メチル修飾を含有し;アンチセンス鎖修飾は、Cs及びUsの全ての2’F修飾、オリゴヌクレオチドの5’末端のリン酸化、及び2ヌクレオチド3’突出部と結合された安定化ヌクレオチド間結合を含み得る。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、スーパーmirである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのスーパーmirを含む。スーパーmirは、miRNAと実質的に同一であり、且つその標的に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する、例えば、一本鎖、二本鎖又は部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチドを指す。この用語は、同様に機能する少なくとも1つの非天然部分を含むオリゴヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、スーパーmirは、センス鎖を含まず、別の好ましい実施形態では、スーパーmirは、かなりの程度まで自己ハイブリダイズしない。本発明の主題であるスーパーmirは、二次構造を有し得るが、それは、生理学的条件下で実質的に一本鎖である。実質的に一本鎖であるスーパーmirは、スーパーmirの約50%未満(例えば、約40%、30%、20%、10%、又は5%未満)が、それ自体と二本鎖を形成する程度に一本鎖である。スーパーmirは、ヘアピンセグメントを含むことができ、例えば、配列は、好ましくは、3’末端において、自己ハイブリダイズし、二重螺旋領域、例えば、少なくとも1、2、3、又は4つ、好ましくは、8、7、6、又は5つ未満のヌクレオチド、例えば、5つのヌクレオチドの二重螺旋領域を形成することができる。二重螺旋領域は、リンカー、例えば、ヌクレオチドリンカー、例えば、3、4、5、又は6dT、例えば、修飾dTによって連結され得る。別の実施形態では、スーパーmirは、例えば、3’及び5’末端の一方又は両方又は1つの端部及びスーパーmirの非末端又は中央において、例えば、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチド長のより短いオリゴと二本鎖を形成する。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、抗mirである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つの抗mirを含む。用語「抗mir」、「マイクロRNA阻害剤」又は「miR阻害剤」は、同義であり、特定のmiRNAの活性に干渉するオリゴヌクレオチド又は修飾オリゴヌクレオチドを指す。阻害剤は、一本鎖、二本鎖(RNA/RNA又はRNA/DNA二本鎖)、及びヘアピン設計を含む様々な形態を取ることができ、概して、マイクロRNA阻害剤は、ターゲティングされるmiRNAの成熟鎖(又は鎖)と相補的であるか又は部分的に相補的である1つ又は複数の配列又は配列の部分を含み、さらに、miRNA阻害剤は、成熟miRNAと逆相補的な配列の5’及び3’に位置するさらなる配列も含み得る。さらなる配列は、成熟miRNAが得られるpri-miRNAにおいて成熟miRNAに隣接する配列と逆相補的であり得、又はさらなる配列は、任意配列であり得る(A、G、C、U、又はdTの混合物を有する)。一部の実施形態では、さらなる配列の一方又は両方は、ヘアピンを形成することが可能な任意配列である。従って、一部の実施形態では、miRNAと逆相補的な配列には、5’側及び3’側にヘアピン構造が配置されている。マイクロRNA阻害剤は、二本鎖である場合、逆鎖にヌクレオチド間のミスマッチを含み得る。さらに、マイクロRNA阻害剤は、細胞中への阻害剤の取り込みを促進するために、コンジュゲート部分に結合され得る。
ヘアピンmiRNA阻害剤を含むマイクロRNA阻害剤は、Vermeulen et al.,“Double-Stranded Regions Are Essential Design Components Of Potent Inhibitors of RISC Function”,RNA 13:723-730(2007)並びに国際公開第2007/095387号パンフレット及び国際公開第2008/036825号パンフレット(これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。当業者は、所望のmiRNAのデータベースから配列を選択し、本明細書に開示する方法に有用な阻害剤を設計することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、アンタゴmirである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのアンタゴmirを含む。アンタゴmirsは、RNAse保護並びに向上した組織及び細胞取り込みなどの薬理学的特性のために様々な修飾を有するRNA様オリゴヌクレオチドである。それらは、例えば、糖の完全な2’-O-メチル化、ホスホロチオエート糖間結合、及び例えば3’末端におけるコレステロール-部分が通常のRNAと異なる。好ましい実施形態では、アンタゴmirは、全てのヌクレオチドにおける2’-O-メチル修飾、3’末端におけるコレステロール部分、5’末端の最初の2つの位置における2つのホスホロチオエート糖間結合及び分子の3’末端における4つのホスホロチオエート結合を含む。アンタゴmirは、アンタゴmir及び内在性miRNAを含む二重鎖を形成することによって内在性miRNAを効率的にサイレンシングするのに使用され得、それにより、miRNAに誘導される遺伝子サイレンシングを防ぐ。アンタゴmirに媒介されるmiRNAサイレンシングの一例は、Krutzfeldt et al,Nature,2005,438:685-689(これは、全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる)に記載される、miR-122のサイレンシングである。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、U1アダプターである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのU1アダプターを含む。U1アダプターは、ポリA部位を阻害し、標的遺伝子の末端エキソン中の部位に相補的な標的ドメイン及びU1 snRNPのU1のより小さい核RNA成分に結合する「U1ドメイン」を有する二官能価オリゴヌクレオチドである。例えば、国際特許出願公開国際公開第2008/121963号パンフレット及びGoraczniak,et al.,2008,Nature Biotechnology,27(3),257-263(これらのそれぞれは、全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる)を参照されたい。U1 snRNPは、主に、pre-mRNAエキソン-イントロン境界への結合によってスプライセオソーム形成における初期段階を指令するように機能するリボヌクレオタンパク質複合体である(Brown and Simpson,1998,Annu Rev Plant Physiol Plant MoI Biol 49:77-95)。
一部の実施形態では、U1アダプターは、少なくとも1つのエフェクタードメイン(U1ドメイン)に結合された少なくとも1つのアニーリングドメイン(ターゲティングドメイン)を含み、ここで、アニーリングドメインは、標的遺伝子配列にハイブリダイズし、エフェクタードメインは、U1 snRNPのU1 snRNAにハイブリダイズする。一部の実施形態では、U1アダプターは、1つのアニーリングドメインを含む。一部の実施形態では、U1アダプターは、1つのエフェクタードメインを含む。
特定の理論に拘束されることは意図しないが、アニーリングドメインは、典型的に、約10~約50ヌクレオチド長、より典型的に、約10~約30ヌクレオチド又は約10~約20ヌクレオチドである。一部の好ましい実施形態では、アニーリングドメインは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21ヌクレオチド長である。アニーリングドメインは、標的遺伝子と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又はより好ましくは、100%相補的であり得る。一部の実施形態では、アニーリングドメインは、末端コード領域及び3’UTR及びポリアデニル化シグナル配列(例えば、ポリアデニル化部位を介して)を含む、pre-mRNAの3’末端エキソン内の標的部位とハイブリダイズする。別の実施形態では、標的配列は、pre-mRNAのポリ(A)シグナル配列の約500塩基対、約250塩基対、約100塩基対、又は約50塩基対以内である。一部の実施形態では、アニーリングドメインは、標的遺伝子配列との1、2、3、又は4つのミスマッチを含む。
エフェクタードメインは、約8ヌクレオチド~約30ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約20ヌクレオチド、又は約10~約15ヌクレオチド長であり得る。Ulドメインは、Ul snRNA、特に、5’末端と、より特定的に、ヌクレオチド2~11とハイブリダイズすることができる。別の実施形態では、Ulドメインは、内在性Ul snRNAのヌクレオチド2~11と完全に相補的である。一部の実施形態では、U1ドメインは、5’-GCCAGGUAAGUAU-3’、5’-CCAGGUAAGUAU-3’、5’-CAGGUAAGUAU-3’、5’-CAGGUAAGU-3’、5’-CAGGUAAG-3’及び5’-CAGGUAA-3’からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、U1ドメインは、ヌクレオチド配列5’-CAGGUAAGUA-3’を含む。特定の理論に拘束されることは意図しないが、ステム1への塩基対合及び/又はUl snRNAの位置1への塩基対合を含むためにUlドメインの長さを増加させることにより、Ul snRNPに対するUlアダプターの親和性を向上させる。
Ulアダプターのアニーリング及びエフェクタードメインは、エフェクタードメインがアニーリングドメインの5’末端及び/又は3’末端にあるように結合され得る。2つのドメインは、一方のドメインの3’末端が他方のドメインの5’末端に結合されるか、又は一方のドメインの3’末端が他方のドメインの3’末端に結合されるか、又は一方のドメインの5’末端が他方のドメインの5’末端に結合されるように結合され得る。アニーリング及びエフェクタードメインは、互いに直接又はヌクレオチドベース若しくは非ヌクレオチドベースのリンカーによって結合され得る。リンカーがヌクレオチドベースである場合、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大15、最大20、又は最大25ヌクレオチドを含み得る。
一部の実施形態では、アニーリングドメインとエフェクタードメインとの間のリンカーは、多価、例えば、三価、四価又は五価である。特定の理論に拘束されることは意図しないが、多価リンカーは、単一のアニーリングドメインを複数のアダプタードメインと一緒に結合するのに使用され得る。
U1アダプターが、本明細書に記載する任意のオリゴヌクレオチド修飾を含み得ることは理解すべきである。U1アダプターのための例示的な修飾としては、アニーリング親和性、特異性、細胞及び生物内におけるバイオアベイラビリティ、細胞及び/又は核輸送、安定性、及び/又は分解に対する耐性を向上させるものが挙げられる。
最近の研究では、dsRNAが遺伝子発現も活性化することができること、すなわち、「小さいRNAに誘導される遺伝子活性化」又はRNAa(活性化RNA)と呼ばれている機構が見出された。例えば、Li,L.C.et al.Proc Natl Acad Sci U S A.(2006),103(46):17337-42及びLi L.C.(2008).“Small RNA-Mediated Gene Activation”.RNA and the Regulation of Gene Expression:A Hidden Layer of Complexity.Caister Academic Press.ISBN 978-1-904455-25-7を参照されたい。dsRNAターゲティング遺伝子プロモーターが関連遺伝子の強力な転写活性化を誘導することが示されている。RNAaを引き起こす内在性miRNAは、ヒトにおいても見出されている。E.Nature(2007).448(7156):855-858を確認されたい。
別の驚くべき観察は、RNAaによる遺伝子活性化が長続きすることである。遺伝子発現の誘導は、10日間以上続くことが分かった。RNAaの長期の効果は、dsRNA標的部位における後成的変化に起因し得る。一部の実施形態では、RNA活性化剤は、遺伝子の発現を増加させることができる。一部の実施形態では、増加した遺伝子発現は、生存、成長発達、及び/又は複製を阻害する。
従って、一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、活性化RNAである。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つの活性化RNAを含む。
従って、一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中のエフェクター分子の少なくとも1つは、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド(TFO)である。一部の実施形態では、多標的分子は、ヌクレオチドベース又は非ヌクレオチドベースのリンカー、例えば本開示に記載するリンカーを介して互いに共有結合されるか、又は互いに非共有結合される少なくとも2つのTFOを含む。最近の研究では、配列特異的に二重螺旋DNA中のポリプリン/ポリピリミジン領域を認識し、それに結合することができる三重鎖形成性オリゴヌクレオチドが設計され得ることが示された。これらの認識規則は、Maher III,L.J.,et al.,Science(1989)vol.245,pp 725-730;Moser,H.E.,et al.,Science(1987)vol.238,pp 645-630;Beal,P.A.,et al.,Science(1992)vol.251,pp 1360-1363;Conney,M.,et al.,Science(1988)vol.241,pp 456-459及びHogan,M.E.,et al.,EP Publication 375408に概説されている。挿入剤の導入及び糖間結合置換などのオリゴヌクレオチドの修飾、及び結合条件(pH及びカチオン濃度)の最適化は、電荷斥力及び不安定性などのTFO活性に対する固有の障害を克服するのに役立ち、合成オリゴヌクレオチドが特定の配列にターゲティングされ得ることが最近示された(最近の論述については、Seidman and Glazer,J Clin Invest 2003;l 12:487-94を参照されたい)。概して、三重鎖形成性オリゴヌクレオチドは、以下の配列対応を有する。
オリゴ3’-A G G T
二重鎖5’-A G C T
二重鎖3’-T C G A
しかしながら、A-AT及びG-GCトリプレットが最大の三重螺旋安定性を有することが示された(Reither and Jeltsch,BMC Biochem,2002,Seρtl2,Epub)。同じ著者が、A-AT及びG-GC規則に従って設計されたTFOが非特異的三重鎖を形成しないことを実証しており、これは、三重鎖形成が実際に配列特異的であることを示す。
従って、任意の所与の配列について三重鎖形成性配列が考案され得る。三重鎖形成性オリゴヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも15、より好ましくは、25、さらにより好ましくは、30以上のヌクレオチド長、最大50又は100ヌクレオチドである。
標的DNAによる三重螺旋構造の形成は、立体及び機能変化を誘導し、転写の開始及び伸長を妨げ、内在性DNAにおける所望の配列変化の導入を可能にし、遺伝子発現の特異的な下方制御をもたらす。TFOで処理された細胞内の遺伝子発現のこのような抑制の例としては、哺乳動物細胞内のエピソームsupFGl及び内在性HPRT遺伝子のノックアウト(Vasquez et al.,Nucl Acids Res.1999;27:1176-81、及びPuri,et al,J Biol Chem,2001;276:28991-98)、並びに前立腺癌の病因において重要なEts2転写因子(Carbone,et al,Nucl Acid Res.2003;31:833-43)、及び炎症誘発性ICAM-I遺伝子(Besch et al,J Biol Chem,2002;277:32473-79)の発現の配列特異的及び標的特異的な下方制御が挙げられる。さらに、Vuyisich及びBealは、最近、配列特異的TFOがdsRNAに結合することができ、RNA依存性キナーゼなどのdsRNA依存性酵素の活性を阻害することを示した(Vuyisich and Beal,Nuc.Acids Res 2000;28:2369-74)。
さらに、上記の原理に従って設計されたTFOは、DNA修復を行うことが可能な定方向突然変異誘発を誘導し、従って、内在性遺伝子の発現の下方制御及び上方制御の両方を提供することができる(Seidman and Glazer,J Clin Invest 2003;112:487-94)。有効なTFOの設計、合成及び投与の詳細な説明は、Froehlerらの米国特許出願公開第2003 017068号明細書及び同第2003 0096980号明細書、並びにEmanueleらの同第2002 0128218号明細書及び同第2002 0123476号明細書、及びLawnに付与された米国特許第5,721,138号明細書(その内容は、全体として本明細書に組み込まれる)に見出される。
核酸修飾
一部の実施形態では、多標的分子は、本明細書に記載する少なくとも1つの核酸修飾を含む。例えば、修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾である。限定なしに、このような修飾は、多標的分子の中のいずれの箇所に存在してもよい。例えば、修飾は、エフェクター分子又は2つのエフェクター分子を連結するリンカーのうちの1つに存在し得る。
核酸修飾(核酸塩基)
ヌクレオシドの天然に存在する塩基部分は、典型的に、複素環式塩基である。このような複素環式塩基の2つの最も一般的なクラスは、プリン及びピリミジンである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドの場合、リン酸基を糖の2’、3’又は5’ヒドロキシル部分に連結することができる。オリゴヌクレオチドを形成する際、これらのリン酸基は、隣接するヌクレオシドを互いに共有結合させて、直鎖ポリマー化合物を形成する。オリゴヌクレオチド内で、リン酸基は、一般にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成するものを指す。RNA及びDNAの天然に存在する結合又は骨格は、3’-5’リン酸ジエステル結合である。
プリン核酸塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン核酸塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)などの「非修飾」又は「天然」核酸塩基以外にも、当業者に周知の多くの修飾核酸塩基又は核酸塩基模倣物が本明細書に記載する化合物で使用可能である。非修飾又は天然核酸塩基は、改善された特性を有するオリゴヌクレオチドを提供するために修飾又は置換することができる。例えば、ヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドは、これらの塩基又は合成及び天然核酸塩基(例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン、イソグアニシン、若しくはツベルシジン)並びに本明細書に記載のオリゴマー修飾のいずれか1つを用いて調製することができる。或いは、上記塩基及び「ユニバーサル塩基」のいずれかの置換若しくは修飾類似体を使用することができる。天然塩基を非天然及び/又はユニバーサル塩基により置換する場合、本明細書において、このヌクレオチドは、修飾核酸塩基及び/又は核酸塩基修飾を含むと言われる。修飾核酸塩基及び/又は核酸塩基修飾はまた、共役部分、例えば、本明細書に記載のリガンドを含む天然、非天然及びユニバーサル塩基も含む。核酸塩基との共役のための好ましいコンジュゲート部分は、カチオン性アミノ基を含み、これらは、適切なアルキル、アルケニル、又はアミド結合を有するリンカーを介して核酸塩基と共役され得る。
本明細書に記載するオリゴマー化合物は、核酸塩基(当技術分野では単純に「塩基」と呼ばれることが多い)修飾又は置換も含むことができる。本明細書で使用されるとき、「非修飾」又は「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)を含む。例示的な修飾核酸塩基として、限定はしないが、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン、イソグアニシン、ツベルシジン、2-(ハロ)アデニン、2-(アルキル)アデニン、2-(プロピル)アデニン、2-(アミノ)アデニン、2-(アミノアルキル)アデニン、2-(アミノプロピル)アデニン、2-(メチルチオ)-N6-(イソペンテニル)アデニン、6-(アルキル)アデニン、6-(メチル)アデニン、7-(デアザ)アデニン、8-(アルケニル)アデニン、8-(アルキル)アデニン、8-(アルキニル)アデニン、8-(アミノ)アデニン、8-(ハロ)アデニン、8-(ヒドロキシル)アデニン、8-(チオアルキル)アデニン、8-(チオール)アデニン、N6-(イソペンチル)アデニン、N6-(メチル)アデニン、N6,N6-(ジメチル)アデニン、2-(アルキル)グアニン、2-(プロピル)グアニン、6-(アルキル)グアニン、6-(メチル)グアニン、7-(アルキル)グアニン、7-(メチル)グアニン、7-(デアザ)グアニン、8-(アルキル)グアニン、8-(アルケニル)グアニン、8-(アルキニル)グアニン、8-(アミノ)グアニン、8-(ハロ)グアニン、8-(ヒドロキシル)グアニン、8-(チオアルキル)グアニン、8-(チオール)グアニン、N-(メチル)グアニン、2-(チオ)シトシン、3-(デアザ)-5-(アザ)シトシン、3-(アルキル)シトシン、3-(メチル)シトシン、5-(アルキル)シトシン、5-(アルキニル)シトシン、5-(ハロ)シトシン、5-(メチル)シトシン、5-(プロピニル)シトシン、5-(プロピニル)シトシン、5-(トリフルオロメチル)シトシン、6-(アゾ)シトシン、N4-(アセチル)シトシン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル、2-(チオ)ウラシル、5-(メチル)-2-(チオ)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)-2-(チオ)ウラシル、4-(チオ)ウラシル、5-(メチル)-4-(チオ)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)-4-(チオ)ウラシル、5-(メチル)-2,4-(ジチオ)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)-2,4-(ジチオ)ウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-(アルキル)ウラシル、5-(アルキニル)ウラシル、5-(アリルアミノ)ウラシル、5-(アミノアリル)ウラシル、5-(アミノアルキル)ウラシル、5-(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5-(1,3-ジアゾール-1-アルキル)ウラシル、5-(シアノアルキル)ウラシル、5-(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5-(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5-(ハロ)ウラシル、5-(メトキシ)ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、5-(メトキシカルボニルメチル)-2-(チオ)ウラシル、5-(メトキシカルボニル-メチル)ウラシル、5-(プロピニル)ウラシル、5-(プロピニル)ウラシル、5-(トリフルオロメチル)ウラシル、6-(アゾ)ウラシル、ジヒドロウラシル、N3-(メチル)ウラシル、5-ウラシル(すなわち、プソイドウラシル)、2-(チオ)プソイドウラシル、4-(チオ)プソイドウラシル、2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、5-(アルキル)プソイドウラシル、5-(メチル)プソイドウラシル、5-(アルキル)-2-(チオ)プソイドウラシル、5-(メチル)-2-(チオ)プソイドウラシル、5-(アルキル)-4-(チオ)プソイドウラシル、5-(メチル)-4-(チオ)プソイドウラシル、5-(アルキル)-2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、5-(メチル)-2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、1-置換プソイドウラシル、1-置換2(チオ)-プソイドウラシル、1-置換4-(チオ)プソイドウラシル、1-置換2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、1-(アミノカルボニルエチレニル)-プソイドウラシル、1-(アミノカルボニルエチレニル)-2(チオ)-プソイドウラシル、1-(アミノカルボニルエチレニル)-4-(チオ)プソイドウラシル、1-(アミノカルボニルエチレニル)-2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、1-(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)-プソイドウラシル、1-(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)-2(チオ)-プソイドウラシル、1-(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)-4-(チオ)プソイドウラシル、1-(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)-2,4-(ジチオ)プソイドウラシル、1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェンチアジン-1-イル、1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェンチアジン-1-イル、7-置換1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-置換1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-置換1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェンチアジン-1-イル、7-置換1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェンチアジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェンチアジン-1-イル、7-(アミノアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェンチアジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェノキサジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェノキサジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキル-ヒドロキシ)-1,3-(ジアザ)-2-(オキソ)-フェンチアジン-1-イル、7-(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)-1-(アザ)-2-(チオ)-3-(アザ)-フェンチアジン-1-イル、1,3,5-(トリアザ)-2,6-(ジオキサ)-ナフタレン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン、ツベルシジン、イソグアニシン、イノシニル、2-アザ-イノシニル、7-デアザ-イノシニル、ニトロイミダゾリル、ニトロピラゾリル、ニトロベンズイミダゾリル、ニトロインダゾリル、アミノインドリル、ピロロピリミジニル、3-(メチル)イソカルボスチリリル、5-(メチル)イソカルボスチリリル、3-(メチル)-7-(プロピニル)イソカルボスチリリル、7-(アザ)インドリル、6-(メチル)-7-(アザ)インドリル、イミジゾピリジニル、9-(メチル)-イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル、イソカルボスチリリル、7-(プロピニル)イソカルボスチリリル、プロピニル-7-(アザ)インドリル、2,4,5-(トリメチル)フェニル、4-(メチル)インドリル、4,6-(ジメチル)インドリル、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントラセニル、ピレニル、スチルベニル、テトラセニル、ペンタセニル、ジフルオロトリル、4-(フルオロ)-6-(メチル)ベンズイミダゾール、4-(メチル)ベンズイミダゾール、6-(アゾ)チミン、2-ピリジノン、5-ニトロインドール、3-ニトロピロール、6-(アザ)ピリミジン、2-(アミノ)プリン、2,6-(ジアミノ)プリン、5-置換ピリミジン、N2-置換プリン、N6-置換プリン、O6-置換プリン、置換1,2,4-トリアゾール、ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、パラ-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、オルト-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ビス-オルト-置換-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、パラ-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、オルト-(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ビス-オルト--(アミノアルキルヒドロキシ)-6-フェニル-ピロロ-ピリミジン-2-オン-3-イル、ピリドピリミジン-3-イル、2-オキソ-7-アミノ-ピリドピリミジン-3-イル、2-オキソ-ピリドピリミジン-3-イルなどの他の合成若しくは天然核酸塩基、又はこれらの任意のO-アルキル化若しくはN-アルキル化誘導体が挙げられる。或いは、上に挙げた塩基及び「ユニバーサル塩基」のいずれかの置換又は修飾類似体を使用することもできる。
本明細書で使用されるとき、ユニバーサル核酸塩基は、融解挙動、細胞内酵素による認識又はオリゴヌクレオシド二重螺旋の活性に実質的に影響することなく、4つの天然に存在する核酸塩基の全てと塩基対合することができる任意の核酸塩基である。一部の例示的なユニバーサル核酸塩基として、限定はしないが、2,4-ジフルオロトルエン、ニトロピロリル、ニトロインドリル、8-アザ-7-デアザアデニン、4-フルオロ-6-メチルベンズイミダズル、4-メチルベンズイミダズル、3-メチルイソカルボスチリリル、5-メチルイソカルボスチリリル、3-メチル-7-プロピニルイソカルボスチリリル、7-アザインドリル、6-メチル-7-アザインドリル、イミジゾピリジニル、9-メチル-イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル、イソカルボスチリリル、7-プロピニルイソカルボスチリリル、プロピニル-7-アザインドリル、2,4,5-トリメチルフェニル、4-メチルインドリル、4,6-ジメチルインドリル、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナトラセニル、ピレニル、スチルベニル、テトラセニル、ペンタセニル、及びこれらの構造的誘導体(例えば、Loakes,2001,Nucleic Acids Research,29,2437-2447を参照されたい)が挙げられる。
さらなる核酸塩基として、米国特許第3,687,808号明細書に開示されているもの;2009年3月26日に出願された国際出願PCT/米国特許出願第09/038425号明細書に開示されているもの;Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858-85,Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley&Sons,1990に開示されているもの;English et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613により開示されているもの;Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijin,P.Ed.Wiley-VCH,2008に開示されているもの;並びにSanghvi,Y.S.,Chapter 15,dsRNA Research and Applications,pages 289-302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,CRC Press,1993により開示されているものが挙げられる。これら文献全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、例えば、7-デアザプリン、5-メチルシトシン、又はG-クランプなどの親核酸塩基と構造がかなり類似する核酸塩基である。いくつかの実施形態では、核酸塩基模擬物は、例えば、三環式フェノキサジン核酸塩基模擬物などのように、より複雑な構造を含む。前述した修飾核酸塩基の調製方法は、当業者に周知である。
核酸修飾(糖)
本発明において提供される多標的分子は、修飾糖部分を有する、ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを上回る)のモノマーを含み得る。例えば、ヌクレオシドのフラノシル糖環は、いくつかの方法で修飾することができ、こうした方法として、限定はしないが、置換基の付加、2つの非ジェミナル環原子の架橋によるロックド核酸又は二環式核酸の形成などがある。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、LNAである1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを上回る)のモノマーを含む。
ロックド核酸の一部の実施形態では、フラノシルの2’位は、-[C(R1)(R2)]n-、-[C(R1)(R2)]n-O-、-[C(R1)(R2)]n-N(R1)-、-[C(R1)(R2)]n-N(R1)-O-、-[C(R1R2)]n-O-N(R1)-、-C(R1)=C(R2)-O-、-C(R1)=N-、-C(R1)=N-O-、-C(=NR1)-、-C(=NR1)-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=S)-、-C(=S)O-、-C(=S)S-、-O-、-Si(R1)2-、-S(=O)x-及び-N(R1)-から独立に選択されるリンカーによって4’位に連結され;
式中、
xは、0、1、又は2であり;
nは、1、2、3、又は4であり;
各R1及びR2は、独立に、H、保護基、ヒドロキシル、C1~C12アルキル、置換C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換C2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換C5~C20アリール、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C5~C7脂環式ラジカル、置換C5~C7脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、COOJ1、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)2-J1)、又はスルホキシル(S(=O)-J1)であり;
各J1及びJ2は、独立に、H、C1~C12アルキル、置換C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換C2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換C5~C20アリール、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、C1~C12アミノアルキル、置換C1~C12アミノアルキル又は保護基である。
一部の実施形態では、LNA化合物のリンカーの各々は、独立に、-[C(R1)(R2)]n-、-[C(R1)(R2)]n-O-、-C(R1R2)-N(R1)-O-又は-C(R1R2)-O-N(R1)-である。別の実施形態では、前記リンカーの各々は、独立に、4’-CH2-2’、4’-(CH2)2-2’、4’-(CH2)3-2’、4’-CH2-O-2’、4’-(CH2)2-O-2’、4’-CH2-O-N(R1)-2’及び4’-CH2-N(R1)-O-2’-であり、ここで、各R1は、独立に、H、保護基又はC1~C12アルキルである。
いくつかのLNAは、特許文献並びに科学文献で調製及び開示されている(Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456;Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630;Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633-5638;Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222;国際公開第94/14226号パンフレット;国際公開第2005/021570号パンフレット;Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039;LNAを開示する発行米国特許及び公開出願の例として、例えば、米国特許第7,053,207号明細書;同第6,268,490号明細書;同第6,770,748号明細書;同第6,794,499号明細書;同第7,034,133号明細書;及び同第6,525,191号明細書;並びに米国特許出願公開第2004-0171570号明細書;同第2004-0219565号明細書;同第2004-0014959号明細書;同第2003-0207841号明細書;同第2004-0143114号明細書;及び同第20030082807号明細書が挙げられる。
リボシル糖環の2’-ヒドロキシル基が糖環の4’炭素原子に連結され、これにより、メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)結合を形成して、二環式糖部分を形成するLNAも本明細書において提供される(Elayadi et al.,Curr.Opinion Invens.Drugs,2001,2,558-561;Braasch et al.,Chem.Biol.,2001,8 1-7;及びOrum et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.,2001,3,239-243に論述される;米国特許第6,268,490号明細書及び同第6,670,461号明細書も参照されたい)。連結は、2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋するメチレン(-CH2-)基であってよく、その場合、この二環式部分には用語メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAが用いられ;この位置にエチレン基がある場合、用語エチレンオキシ(4’-CH2CH2-O-2’)LNAが用いられる(Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456:Morita et al.,Bioorganic Medicinal Chemistry,2003,11,2211-2226)。メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNA及び他の二環式糖類似体は、相補的DNA及びRNAとの非常に高い二重螺旋熱安定性(Tm=+3~+10℃)、3’-エキソヌクレアーゼ分解に対する安定性及び良好な溶解性を示す。BNAを含む強力且つ非毒性アンチセンスオリゴヌクレオチドが記載されている(Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633-5638)。
同じく取り上げられているメチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAの異性体は、α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAであり、これは、3’-エキソヌクレアーゼに対する優れた安定性を有することが示されている。α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAは、アンチセンスギャップマー及びキメラに組み込まれて、これらは、強力なアンチセンス活性を示した(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。
メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAモノマーアデニン、シトシン、グアニン、5-メチル-シトシン、チミン及びウラシルの合成及び調製は、それらのオリゴマー化及び核酸認識特性と共に記載されている(Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630)。BNA及びその調製も国際公開第98/39352号パンフレット及び国際公開第99/14226号パンフレットに記載されている。
メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAの類似体、ホスホロチオエート-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNA及び2’-チオ-LNAも調製されている(Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222)。核酸ポリメラーゼの基質としてオリゴデオキリボヌクレオチド二重螺旋を含むロックドヌクレオシド類似体の調製も記載されている(Wengelらの国際公開第99/14226号パンフレット)。さらにまた、新規の配座固定された高親和性オリゴヌクレオチド類似体である2’-アミノ-LNAの合成も当技術分野で記載されている(Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039)。さらには、2’-アミノ-及び2’-メチルアミノ-LNAが調製され、相補的RNA及びDNA鎖とのそれらの二重螺旋の熱安定性が既に報告されている。
修飾糖部分は、よく知られており、その標的に対するアンチセンス化合物の親和性を改変する、典型的には、増大する、及び/又はヌクレアーゼ耐性を増大するために使用することができる。好ましい修飾糖の代表的なリストには、限定はしないが、メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNA及びエチレンオキシ(4’-(CH2)2-O-2’架橋)ENAを含む二環式修飾糖;置換された糖、特に、2’-F、2’-OCH3又は2’-O(CH2)2-OCH3置換基を有する2’置換糖;及び4’-チオ修飾糖が含まれる。また、糖は、とりわけ糖模擬基で置換することもできる。修飾糖の調製方法は、当業者に周知である。こうした修飾糖の調製を教示するいくつかの代表的な特許及び刊行物として、限定はしないが、米国特許第4,981,957号明細書;同第5,118,800号明細書;同第5,319,080号明細書;同第5,359,044号明細書;同第5,393,878号明細書;同第5,446,137号明細書;同第5,466,786号明細書;同第5,514,785号明細書;同第5,519,134号明細書;同第5,567,811号明細書;同第5,576,427号明細書;同第5,591,722号明細書;同第5,597,909号明細書;同第5,610,300号明細書;同第5,627,053号明細書;同第5,639,873号明細書;同第5,646,265号明細書;同第5,658,873号明細書;同第5,670,633号明細書;同第5,792,747号明細書;同第5,700,920号明細書;同第6,531,584;及び同第6,600,032号明細書;並びに国際公開第2005/121371号パンフレットが挙げられる。
「オキシ」-2’ヒドロキシル基修飾の例として、アルコキシ又はアリールオキシ(OR、例えば、R=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール若しくは糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CH2CH2O)nCH2CH2OR、n=1~50;ヌクレオシドのフラノース部分が、フラノース環上の2つの炭素原子を連結する架橋を含み、それにより二環式環系を形成する「ロックド」核酸(LNA);O-AMINE又はO-(CH2)nAMINE(n=1~10、AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン又はポリアミノ);及びO-CH2CH2(NCH2CH2NMe2)2が挙げられる。
「デオキシ」修飾として、水素(すなわち、突出一本鎖と特に関連するデオキシリボース糖);ハロ(例えば、フルオロ);アミノ(例えば、NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、又はアミノ酸);NH(CH2CH2NH)nCH2CH2-AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ);-NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖);シアノ;メルカプト;アルキル-チオ-アルキル;チオアルコキシ;チオアルキル;アルキル;シクロアルキル;アリール;アルケニル及びアルキニルが挙げられ、これらは、任意選択で、例えば、アミノ官能基で置換することができる。
他の好適な2’-修飾、例えば、修飾MOEが、米国特許出願公開第20130130378号明細書(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
2’位の修飾は、アラビノース立体配置に存在し得る。用語「アラビノース立体配置」は、アラビノースにおける2’-OHと同じ立体配置のリボースのC2’上の置換基の配置を指す。
糖は、糖の同じ炭素に2つの異なる修飾、例えば、gem修飾を含むことができる。糖基は、リボースにおける対応する炭素のものとは反対の立体化学配置を有する1個又は複数個の炭素を含有することもできる。従って、オリゴマー化合物は、糖として、例えば、アラビノースを含有する1つ又は複数のモノマーを含み得る。モノマーは、糖の1’位にα-結合、例えば、α-ヌクレオシドを有してもよい。モノマーはまた、4’位に反対の立体配置を有してもよく、例えば、C5’及びH4’又はこれらを置換する置換基同士が交換される。C5’及びH4’又はこれらを置換する置換基同士が交換されている場合、この糖は、4’位で修飾されていると言う。
本明細書に開示する多標的分子は、脱塩基糖、すなわち、C-1’に核酸塩基が欠落しているか、又はC1’の核酸塩基の代わりに別の化学基を有する糖も含み得る。例えば米国特許第5,998,203号明細書(その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。これらの脱塩基糖はまた、1個又は複数個の構成糖原子に修飾をさらに含むこともできる。多標的分子は、L異性体、例えばL-ヌクレオシドである1つ又は複数の糖を含有することもできる。糖基に対する修飾は、硫黄、任意選択で置換された窒素若しくはCH2基による4’-Oの置換も含み得る。一部の実施形態では、C1’と核酸塩基との連結は、α立体配置である。
糖修飾はまた、リボース炭素同士のC-C結合(例えば、C1’-C2’、C2’-C3’、C3’-C4’、C4’-O4’、C1’-O4’)が存在しない、且つ/又はリボース炭素又は酸素(例えば、C1’、C2’、C3’、C4’又はO4’)の少なくとも1つが独立に若しくは組合せでヌクレオチドに存在しない、非環状ヌクレオチドを含んでもよい。一部の実施形態では、非環状ヌクレオチドは、
であり、ここで、Bは、修飾若しくは非修飾核酸塩基であり、R
1及びR
2は、独立に、H、ハロゲン、OR
3、又はアルキルであり;R
3は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール若しくは糖である)。
一部の実施形態では、糖修飾は、2’-H、2’-O-Me(2’-O-メチル)、2’-O-MOE(2’-O-メトキシエチル)、2’-F、2’-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル](2’-O-NMA)、2’-S-メチル、2’-O-CH2-(4’-C)(LNA)、2’-O-CH2CH2-(4’-C)(ENA)、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)及びアラビノース立体配置に2’-O-Meを有するgem 2’-OMe/2’Fからなる群から選択される。
特定のヌクレオチドがその2’位を介して次のヌクレオチドと連結している場合、本明細書に記載の糖修飾は、その特定のヌクレオチド、例えば、その2’位を介して連結しているヌクレオチドについて、糖の3’位に配置することができることは理解すべきである。3’位の修飾は、キシロース立体配置で存在し得る。用語「キシロース立体配置」は、キシロース糖の3’-OHと同じ立体配置でのリボースのC3’上の置換基の配置を指す。
C4’及び/又はC1’に結合した水素は、直鎖又は分岐状の、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニルにより置換することができ、アルキル、アルケニル及びアルキニルの骨格は、O、S、S(O)、SO
2、N(R’)、C(O)、N(R’)C(O)O、OC(O)N(R’)、CH(Z’)、リン含有結合、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換された複素環式又は任意選択で置換されたシクロアルキルのうちの1つ又は複数を含有することができ、ここで、R’は、水素、アシル又は任意選択で置換された脂肪族であり、Z’は、OR
11、COR
11、CO
2R
11、
NR
21R
31、CONR
21R
31、CON(H)NR
21R
31、ONR
21R
31、CON(H)N=CR
41R
51、N(R
21)C(=NR
31)NR
21R
31、N(R
21)C(O)NR
21R
31、N(R
21)C(S)NR
21R
31、OC(O)NR
21R
31、SC(O)NR
21R
31、N(R
21)C(S)OR
11、N(R
21)C(O)OR
11、N(R
21)C(O)SR
11、N(R
21)N=CR
41R
51、ON=CR
41R
51、SO
2R
11、SOR
11、SR
11、及び置換若しくは非置換複素環式からなる群から選択され;R
21及びR
31は、それぞれの存在について、独立に、水素、アシル、非置換若しくは置換脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環式、OR
11、COR
11、CO
2R
11、又はNR
11R
11’であるか;或いはR
21及びR
31は、それらが結合する原子と一緒に、複素環を形成し;R
41及びR
51は、それぞれの存在について、独立に、水素、アシル、非置換若しくは置換脂肪族、アリール、ヘテロアリール、複素環式化合物、OR
11、COR
11、若しくはCO
2R
11、又はNR
11R
11’であり;R
11及びR
11’は、独立に、水素、脂肪族、置換脂肪族、アリール、ヘテロアリール、又は複素環式である。一部の実施形態では、5’末端ヌクレオチドのC4’に結合した水素は、置換されている。
一部の実施形態では、C4’及びC5’は、一緒に、好ましくは、少なくとも1つの-PX(Y)-を含む、任意選択で置換された複素環式を形成し、ここで、Xは、H、OH、OM、SH、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルキルチオ、任意選択で置換されたアルキルアミノ又は任意選択で置換されたジアルキルアミノであり、ここで、Mは、それぞれの存在について、独立に、総電荷が+1のアルキル金属又は遷移金属であり;Yは、O、S、又はNR’であり、ここで、R’は、水素、任意選択で置換された脂肪族である。この修飾は、オリゴヌクレオチドの5末端にあるのが好ましい。
いくつかの実施形態では、LNAは、式:
を有する二環式ヌクレオシドを含み、
式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり;
T1は、H又はヒドロキシル保護基であり;
T2は、H、ヒドロキシル保護基又は反応性リン基であり;
Zは、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、置換C1~C6アルキル、置換C2~C6アルケニル、置換C2~C6アルキニル、アシル、置換アシル、又は置換アミドである。
一部の実施形態では、置換された基の各々は、独立に、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2及びCN(各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である)から独立に選択される、任意選択で保護された置換基で一又は多置換されている。
いくつかのこうした実施形態では、置換された基の各々は、独立に、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、及びNJ3C(=X)NJ1J2(各J1、J2及びJ3は、独立に、H、C1~C6アルキル、若しくは置換C1~C6アルキルであり、Xは、O若しくはNJ1である)から独立に選択される置換基で一又は多置換されている。
いくつかの実施形態では、Z基は、1つ又は複数のXxで置換されたC1~C6アルキルであり、ここで、各Xxは、独立に、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2又はCN(各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である)である。別の実施形態では、Z基は、1つ又は複数のXxで置換されたC1~C6アルキルであり、ここで、各Xxは、独立に、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、アルコキシ(例えば、CH3O-)、置換アルコキシ又はアジドである。
いくつかの実施形態では、Z基は、-CH2Xxであり、ここで、Xxは、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2又はCN(各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である)である。別の実施形態では、Z基は、-CH2Xxであり、ここで、Xxは、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、アルコキシ(例えば、CH3O-)又はアジドである。
いくつかのこうした実施形態では、Z基は、(R)-配置:
である。
いくつかのこうした実施形態では、Z基は、(S)-配置:
である。
いくつかの実施形態では、各T1及びT2は、ヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基の好ましいリストは、ベンジル、ベンゾイル、2,6-ジクロロベンジル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、メシレート、トシレート、ジメトキシトリチル(DMT)、9-フェニルキサンチン-9-イル(Pixyl)及び9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-イル(MOX)を含む。いくつかの実施形態では、T1は、アセチル、ベンジル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル及びジメトキシトリチルから選択されるヒドロキシル保護基であり、より好ましいヒドロキシル保護基は、4,4’-ジメトキシトリチルであるT1である。
いくつかの実施形態では、T2は、反応性リン基であり、好ましい反応性リン基として、ジイソプロピルシアノエトキシホスホロアミダイト及びH-ホスホネートが挙げられる。いくつかの実施形態では、T1は、4,4’-ジメトキシトリチルであり、T2は、ジイソプロピルシアノエトキシホスホロアミダイトである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、式:
又は式:
又は式:
の少なくとも1つのモノマーを含み、
式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり;
T3は、H、ヒドロキシル保護基、連結したコンジュゲート基、又はヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、モノマーサブユニット若しくはオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間結合基であり;
T4は、H、ヒドロキシル保護基、連結したコンジュゲート基、又はヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、モノマーサブユニット若しくはオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間結合基であり;
ここで、T3及びT4の少なくとも1つは、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、モノマーサブユニット若しくはオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間結合基であり;
Zは、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、置換C1~C6アルキル、置換C2~C6アルケニル、置換C2~C6アルキニル、アシル、置換アシル、又は置換アミドである。
一部の実施形態では、置換された基の各々は、独立に、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2及びCN(各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である)から独立に選択される、任意選択で保護された置換基で、一又は多置換されている。
一部の実施形態では、置換された基の各々は、独立に、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、及びNJ3C(=X)NJ1J2(各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O若しくはNJ1である)から独立に選択される置換基で、一又は多置換されている。
いくつかのこうした実施形態では、少なくとも1つのZは、C1~C6アルキル又は置換C1~C6アルキルである。いくつかの実施形態では、各Zは、独立に、C1~C6アルキル又は置換C1~C6アルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、C1~C6アルキルである。いくつかの実施形態では、各Zは、独立に、C1~C6アルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、メチルである。いくつかの実施形態では、各Zは、メチルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、エチルである。いくつかの実施形態では、各Zは、エチルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、置換C1~C6アルキルである。いくつかの実施形態では、各Zは、独立に、置換C1~C6アルキルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、置換メチルである。いくつかの実施形態では、各Zは、置換メチルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、置換エチルである。いくつかの実施形態では、各Zは、置換エチルである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの置換基は、C1~C6アルコキシである(例えば、少なくとも1つのZは、1つ又は複数のC1~C6アルコキシで置換されたC1~C6アルキルである)。別の実施形態では、各置換基は、独立に、C1~C6アルコキシである(例えば、各Zは、独立に、1つ又は複数のC1~C6アルコキシで置換されたC1~C6アルキルである)。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのC1~C6アルコキシ置換基は、CH3O-である(例えば、少なくとも1つのZは、CH3OCH2-である)。別の実施形態では、各C1~C6アルコキシ置換基は、CH3O-である(例えば、各Zは、CH3OCH2-である)。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの置換基は、ハロゲンである(例えば、少なくとも1つのZは、1つ又は複数のハロゲンで置換されたC1~C6アルキルである)。いくつかの実施形態では、各置換基は、独立に、ハロゲンである(例えば、各Zは、独立に、1つ又は複数のハロゲンで置換されたC1~C6アルキルである)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのハロゲン置換基は、フルオロである(例えば、少なくとも1つのZは、CH2FCH2-、CHF2CH2-又はCF3CH2-である)。いくつかの実施形態では、各ハロ置換基は、フルオロである(例えば、各Zは、独立に、CH2FCH2-、CHF2CH2-又はCF3CH2-である)。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの置換基は、ヒドロキシルである(例えば、少なくとも1つのZは、1つ又は複数のヒドロキシルで置換されたC1~C6アルキルである)。いくつかの実施形態では、各置換基は、独立に、ヒドロキシルである(例えば、各Zは、独立に、1つ又は複数のヒドロキシルで置換されたC1~C6アルキルである)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、HOCH2-である。別の実施形態では、各Zは、HOCH2-である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、CH3-、CH3CH2-、CH2OCH3-、CH2F-又はHOCH2-である。いくつかの実施形態では、各Zは、独立に、CH3-、CH3CH2-、CH2OCH3-、CH2F-又はHOCH2-である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZ基は、1つ又は複数のXxで置換されたC1~C6アルキルであり、ここで、各Xxは、独立に、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2又はCNであり;各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である。別の実施形態では、少なくとも1つのZ基は、1つ又は複数のXxで置換されたC1~C6アルキルであり、ここで、各Xxは、独立に、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、アルコキシ(例えば、CH3O-)又はアジドである。
いくつかの実施形態では、各Z基は、独立に、1つ又は複数のXxで置換されたC1~C6アルキルであり、ここで、各Xxは、独立に、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2又はCNであり;各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である。別の実施形態では、各Z基は、独立に、1つ又は複数のXxで置換されたC1~C6アルキルであり、ここで、各Xxは、独立に、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、アルコキシ(例えば、CH3O-)又はアジドである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZ基は、-CH2Xxであり、ここで、Xxは、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2又はCNであり;各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZ基は、-CH2Xxであり、ここで、Xxは、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、アルコキシ(例えば、CH3O-)又はアジドである。
いくつかの実施形態では、各Z基は、独立に、-CH2Xxであり、ここで、各Xxは、独立に、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2又はCNであり;各J1、J2及びJ3は、独立に、H若しくはC1~C6アルキルであり、Xは、O、S若しくはNJ1である。別の実施形態では、各Z基は、独立に、-CH2Xxであり、ここで、各Xxは、独立に、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、アルコキシ(例えば、CH3O-)又はアジドである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのZは、CH3-である。別の実施形態では、各Zは、CH3-である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのモノマーのZ基は、式:
又は式:
又は式:
により表される(R)-配置である。
いくつかの実施形態では、上記式の各モノマーのZ基は、(R)-配置である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのモノマーのZ基は、式:
又は式:
又は式:
により表される(S)-配置である。
いくつかの実施形態では、上記式の各モノマーのZ基は、(S)-配置である。
いくつかの実施形態では、T3は、H又はヒドロキシル保護基である。いくつかの実施形態では、T4は、H又はヒドロキシル保護基である。別の実施形態では、T3は、ヌクレオシド、ヌクレオチド又はモノマーサブユニットに結合したヌクレオシド間結合基である。いくつかの実施形態では、T4は、ヌクレオシド、ヌクレオチド又はモノマーサブユニットに結合したヌクレオシド間結合基である。いくつかの実施形態では、T3は、オリゴヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドに結合したヌクレオシド間結合基である。いくつかの実施形態では、T4は、オリゴヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドに結合したヌクレオシド間結合基である。いくつかの実施形態では、T3は、オリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間結合基である。いくつかの実施形態では、T4は、オリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間結合基である。いくつかの実施形態では、T3及びT4の少なくとも1つは、リン酸ジエステル又はホスホロチオエートから選択されるヌクレオシド間結合基を含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、式:
又は式:
又は式:
の少なくとも2つの連続したモノマーの少なくとも1つの領域を含む。
いくつかのこうした実施形態では、LNAとして、限定はしないが、
に示すように、(A)α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNA、(B)β-D-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNA、(C)エチレンオキシ(4’-(CH2)2-O-2’)LNA、(D)アミノオキシ(4’-CH2-O-N(R)-2’)LNA及び(E)オキシアミノ(4’-CH2-N(R)-O-2’)LNAが挙げられる。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、上の式の少なくとも2つの連続したモノマーの少なくとも2つの領域を含む。いくつかの実施形態では、多標的分子は、ギャップモチーフを含む。いくつかの実施形態では、多標的分子は、約8~約14個の連続したβ-D-2’-デオキシリボフラノシルヌクレオシドの少なくとも1つの領域を含む。いくつかの実施形態では、多標的分子は、約9~約12個の連続したβ-D-2’-デオキシリボフラノシルヌクレオシドの少なくとも1つの領域を含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、式:
(式中、Bxは、複素環式塩基部分である)
の少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを上回る)の(S)-cEtモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、モノマーは、糖模倣物を含む。いくつかのこうした実施形態では、糖又は糖-ヌクレオシド間結合組合せの代わりに、模倣物を使用し、核酸塩基は、選択される標的とのハイブリダイゼーションのために維持する。糖模倣物の代表的な例として、限定はしないが、シクロヘキセニル又はモルホリノが挙げられる。糖-ヌクレオシド間結合組合せの模倣物の代表的な例として、限定はしないが、非荷電アキラル結合により連結されたペプチド核酸(PNA)及びモルホリノ基が挙げられる。一部の事例では、核酸塩基の代わりに模倣物を用いる。代表的な核酸塩基模倣物は当技術分野でよく知られており、限定はしないが、三環式フェノキサジン類似体及びユニバーサル塩基(Berger et al.,Nuc Acid Res.2000,28:2911-14、参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。糖、ヌクレオシド及び核酸塩基模倣物の合成方法は、当業者に周知である。
核酸修飾(糖間結合)
本明細書には、モノマー(限定はしないが、修飾及び非修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドを含む)を互いに連結し、それによってオリゴマー化合物、例えば、オリゴヌクレオチドを形成する結合基を記載する。こうした結合基は、糖間結合とも呼ばれる。2つの主要なクラスの結合基は、リン原子の存在又は非存在によって区別される。代表的なリン含有結合として、限定はしないが、リン酸ジエステル(P=O)、リン酸トリエステル、ホスホン酸メチル、ホスホロアミデート、及びホスホロチオエート(P=S)が挙げられる。代表的な非リン含有結合基として、限定はしないが、メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル(-O-C(O)-S-)、チオノカルバメート(-O-C(O)(NH)-S-);シロキサン(-O-Si(H)2-O-);及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が挙げられる。天然のリン酸ジエステル結合と比較して、修飾された結合は、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を改変、典型的には増大するために使用することができる。いくつかの実施形態では、キラル原子を有する結合は、個別の鏡像体として、ラセミ混合物として調製することができる。代表的なキラル結合として、限定はしないが、ホスホン酸アルキル及びホスホロチオエートが挙げられる。リン含有及び非リン含有結合の調製方法は、当業者に周知である。
結合基中のリン酸基は、酸素の1つを異なる置換基で置換することにより修飾することができる。この修飾による結果の1つは、核酸分解に対するオリゴヌクレオチドの耐性増大であり得る。修飾リン酸基の例として、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミデート、アルキル又はアリールホスホネート及びリン酸トリエステルが挙げられる。一部の実施形態では、連結における非架橋リン酸酸素原子の1つは、S、Se、BR3(Rは、水素、アルキル、アリールである)、C(すなわち、アルキル基、アリール基など)、H、NR2(Rは、水素、任意選択で置換されたアルキル、アリールである)、又はOR(Rは、任意選択で置換されたアルキル又はアリールである)のいずれかにより置換することができる。非修飾リン酸基中のリン原子は、アキラルである。しかし、上記原子又は原子団の1つによる非架橋酸素の1つの置換は、リン原子をキラルにする。換言すれば、このように修飾されたリン酸基中のリン原子は、立体中心である。立体形成性リン原子は、「R」配置(本明細書では、Rp)又は「S」配置(本明細書では、Sp)のいずれかを有し得る。
ホスホロジチオエートは、硫黄により置換された両方の非架橋酸素を有する。ホスホロジチオエート中のリン中心は、オリゴヌクレオチドジアステレオマーの形成を排除するアキラルである。従って、特定の理論に拘束されることは意図しないが、両方の非架橋酸素に対する修飾は、キラル中心、例えばホスホロジチオエート形成を排除し、それらがジアステレオマー混合物を生成することができないことから、望ましい場合がある。従って、非架橋酸素は、独立に、O、S、Se、B、C、H、N、又はOR(Rは、アルキル又はアリールである)のいずれかであり得る。
リン酸リンカーはまた、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)及び炭素(架橋ホスホン酸メチレン)による、架橋酸素(すなわち、リン酸塩をモノマーの糖に連結する酸素)の置換によって修飾することもできる。この置換は、連結酸素のいずれか一方又は両方の連結酸素で実施することができる。架橋酸素が、ヌクレオシドの3’-酸素であるとき、炭素による置換が好ましい。架橋酸素が、ヌクレオシドの5’-酸素であるとき、窒素による置換が好ましい。
リン酸塩に連結した酸素の少なくとも1つが置換されているか、又はリン酸基が非リン基によって置換されている修飾リン酸結合は、「非リン酸ジエステル糖間結合」又は「非リン酸ジエステルリンカー」とも呼ばれる。
いくつかの実施形態では、リン酸基は、非リン含有コネクター、例えばデホスホリンカーにより置換することができる。デホスホリンカーは、本明細書において、非リン酸ジエステルリンカーとも呼ばれる。特定の理論に拘束されることを意図しないが、荷電リン酸ジエステル基は、核酸分解の反応中心であるため、中性構造模倣物によるその置換は、増強されたヌクレアーゼ安定性を付与すると考えられる。やはり特定の理論に拘束されることは意図しないが、一部の実施形態では、荷電リン酸基を中性部分で置換する改変を導入することが望ましい場合もある。
リン酸基を置換することができる部分の例として、限定はしないが、以下のものが挙げられる:アミド(例えば、アミド-3(3’-CH2-C(=O)-N(H)-5’)及びアミド-4(3’-CH2-N(H)-C(=O)-5’))、ヒドロキシアミノ、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボキサミド、炭酸塩、カルボキシメチル、カルバメート、カルボン酸エステル、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、硫化物、スルホン酸塩、スルホンアミド、スルホン酸エステル、チオホルムアセタール(3’-S-CH2-O-5’)、ホルムアセタール(3’-O-CH2-O-5’)、オキシム、メチレンイミノ、メチレンカルボニルアミノ、メチレンメチルイミノ(MMI、3’-CH2-N(CH3)-O-5’)、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、メチレンオキシメチルイミノ、エーテル(C3’-O-C5’)、チオエーテル(C3’-S-C5’)、チオアセトアミド(C3’-N(H)-C(=O)-CH2-S-C5’、C3’-O-P(O)-O-SS-C5’、C3’-CH2-NH-NH-C5’、3’-NHP(O)(OCH3)-O-5’及び3’-NHP(O)(OCH3)-O-5’及び混合N、O、S及びCH2構成部分を含むノニオン結合。例えば、Carbohydrate Modifications in Antisense Research;Y.S.Sanghvi and P.D.Cook Eds.ACS Symposium Series 580;Chapters 3 and 4,(pp.40-65)を参照されたい。好ましい実施形態として、メチレンメチルイミノ(MMI)、メチレンカルボニルアミノ、アミド、カルバメート及びエチレンオキシドリンカーが挙げられる。
当業者であれば、いくつかの事例において、非架橋酸素の置換が、隣接する2’-OHによる糖間結合の切断増強をもたらし得るため、多くの事例で、非架橋酸素の修飾が、2’-OHの修飾、例えば、隣接する糖間結合、例えば、アラビノース糖、2’-O-アルキル、2’-F、LNA及びENAの切断に参加しない修飾を必要とし得ることを十分に認識している。
好ましい非リン酸ジエステル糖間結合は、ホスホロチオエート、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90% 95%又はそれを上回る鏡像体過剰率のSp異性体を含むホスホロチオエート、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90% 95%又はそれを上回る鏡像体過剰率のRp異性体を含むホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキル-ホスホネート(例えば、メチル-ホスホネート)、セレノホスフェート、ホスホロアミデート(例えば、N-アルキルホスホロアミデート)、及びボラノホスホネートを含む。
一部の実施形態では、多標的分子は、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを上回る、並びに各数値を含めてそれを下回る)の修飾若しくは非リン酸ジエステル結合を含む。一部の実施形態では、多標的分子は、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを上回る、並びに各数値を含めてそれを下回る)のホスホロチオエート結合を含む。
リン酸リンカー及び糖がヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド又はヌクレオチドサロゲートにより置換されている、多標的分子を構築することもできる。特定の理論に拘束されることは意図しないが、繰り返し荷電された骨格の非存在は、ポリアニオンを認識するタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ)に対する結合を弱めると考えられる。やはり特定の理論に拘束されることは意図しないが、一部の実施形態では、塩基が中性サロゲート骨格により係留される改変を導入するのが望ましい場合もある。例として、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン、ペプチド核酸(PNA)、アミノエチルグリシルPNA(aegPNA)及び骨格伸張ピロリジンPNA(bepPNA)ヌクレオシドサロゲートが挙げられる。好ましいサロゲートは、PNAサロゲートである。
本明細書に記載する多標的分子は、1つ又は複数の非対称中心を含み、従って、鏡像体、ジアステレオマー、その他の立体配置を生成し得るが、これらは、絶対立体化学に関して、糖アノマーなどの場合、(R)若しくは(S)として、又はアミノ酸などの場合、(D)若しくは(L)として定義され得る。本明細書において提供される多標的分子には、このような考えられるあらゆる異性体並びにそれらのラセミ形態及び任意選択で純粋形態が含まれる。
核酸修飾(末端修飾)
多標的分子又は多標的分子に含まれるエフェクター分子の末端を修飾することができる。このような修飾は、一方又は両方の末端で可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの3’及び/又は5’末端を標識部分、例えば、発蛍光団(例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3若しくはCy5色素)又は保護基(例えば、硫黄、ケイ素、ホウ素若しくはエステル系)などの他の機能性分子実体と共役させることができる。機能性分子実体は、リン酸基及び/又はリンカーを介して糖に結合することができる。リンカーの末端原子は、リン酸基の結合原子、又は糖のC-3’若しくはC-5’O、N、S若しくはC基に連結するか、又はそれを置換することができる。或いは、リンカーは、ヌクレオチドサロゲート(例えば、PNA)の末端原子に連結するか、又はそれを置換することができる。
リンカー/リン酸-機能分子実体-リンカー/リン酸アレイが二本鎖オリゴマー化合物の2つの鎖の間に配置されているとき、このアレイは、ヘアピンタイプのオリゴマー化合物中のヘアピンループを置換し得る。
活性を調節する上で有用な末端修飾には、リン酸塩又はリン酸塩類似体によるオリゴヌクレオチドの5’末端の修飾がある。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの5’末端は、リン酸化されているか、又はホスホリル類似体を含む。例示的な5’-リン酸修飾として、RISC媒介性遺伝子サイレンシングと適合性であるものが挙げられる。5’末端の修飾は、対象の免疫系を刺激又は阻害する上でも有用となり得る。一部の実施形態では、オリゴマー化合物の5’末端は、修飾
を含み、ここで、W、X及びYは、各々独立に、O、OR(Rは、水素、アルキル、アリールである)、S、Se、BR
3(Rは、水素、アルキル、アリールである)、BH
3
-、C(すなわち、アルキル基、アリール基など)、H、NR
2(Rは、水素、アルキル、アリールである)、又はOR(Rは、水素、アルキル又はアリールである)からなる群から選択され;A及びZは、それぞれの存在について各々独立に、非存在、O、S、CH
2、NR(Rは、水素、アルキル、アリールである)、又は任意選択で置換されたアルキレンであり、ここで、アルキレンの骨格は、内部及び/又は末端に、O、S、SS及びNR(Rは、水素、アルキル、アリールである)の1つ又は複数を含むことができ;nは、0~2である。一部の実施形態では、nは、1又は2である。Aは、糖の5’炭素に連結した酸素を置換することは理解される。nが0であるとき、W及びYは、それらが結合されるPと一緒に、任意選択で置換された5~8員複素環式化合物を形成することができ、ここで、W及びYは、各々独立に、O、S、NR’又はアルキレンである。複素環式は、アリール又はヘテロアリールで置換されているのが好ましい。一部の実施形態では、5’末端ヌクレオチドのC5’上の一方又は両方の水素が、ハロゲン、例えば、Fで置換されている。
例示的な5’-修飾として、限定はしないが、5’-一リン酸塩((HO)2(O)P-O-5’);5’-二リン酸塩((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-三リン酸塩((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-モノチオリン酸塩(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P-O-5’);5’-モノジチオリン酸塩(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’-ホスホロチオレート((HO)2(O)P-S-5’);5’-α-チオ三リン酸塩;5’-β-チオ三リン酸塩;5’-γ-チオ三リン酸塩;5’-ホスホロアミデート((HO)2(O)P-NH-5’、(HO)(NH2)(O)P-O-5’)が挙げられる。他の5’-修飾として、5’-アルキルホスホン酸塩(R(OH)(O)P-O-5’、R=アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピルなど)、5’-アルキルエーテルホスホン酸塩(R(OH)(O)P-O-5’、R=アルキルエーテル、例えば、メトキシメチル(CH2OMe)、エトキシメチルなど)が挙げられる。他の例示的な5’-修飾として、Zが、任意選択で少なくとも1回置換されたアルキルであるもの、例えば、((HO)2(X)P-O[-(CH2)a-O-P(X)(OH)-O]b-5’、((HO)2(X)P-O[-(CH2)a-P(X)(OH)-O]b-5’、((HO)2(X)P-[-(CH2)a-O-P(X)(OH)-O]b-5’;ジアルキル末端リン酸塩及びリン酸塩模倣物:HO[-(CH2)a-O-P(X)(OH)-O]b-5’、H2N[-(CH2)a-O-P(X)(OH)-O]b-5’、H[-(CH2)a-O-P(X)(OH)-O]b-5’、Me2N[-(CH2)a-O-P(X)(OH)-O]b-5’、HO[-(CH2)a-P(X)(OH)-O]b-5’、H2N[-(CH2)a-P(X)(OH)-O]b-5’、H[-(CH2)a-P(X)(OH)-O]b-5’、Me2N[-(CH2)a-P(X)(OH)-O]b-5’が挙げられ、ここで、a及びbは、各々独立に、1~10である。他の実施形態は、BH3、BH3
-及び/又はSeによる酸素及び/又は硫黄の置換を含む。
末端修飾は、分布をモニターする上でも有用となり得、このような場合、付加するのに好ましい基には、発蛍光団、例えば、フルオレセイン又はAlexa色素、例えば、Alexa 488がある。末端修飾はまた、取り込みを増強するのにも有用となり得、このための有用な修飾としては、ターゲティングリガンドがある。末端修飾は、別の部分にオリゴヌクレオチドを架橋する上でも有用となり得;このための有用な修飾として、マイトマイシンC、プソラレン、及びそれらの誘導体が挙げられる。
熱不安定化修飾
アンチセンス鎖のシード領域(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)とは反対の部位で、センス鎖に熱不安定化ヌクレオチドを導入することにより、dsRNA二重螺旋が解離又は融解する傾向を高める(二重螺旋会合の自由エネルギーを低減する)ことにより、siRNA又はdsRNA剤等のエフェクター分子をRNA干渉について最適化することができる。この修飾は、二重螺旋が、アンチセンス鎖のシード領域内で解離又は融解する傾向を高めることができる。
熱不安定化修飾は、脱塩基修飾;反対側の鎖における反対側ヌクレオチドとのミスマッチ;並びに2’-デオキシ修飾又は非環状ヌクレオチド、例えば、アンロックド核酸(UNA)若しくはグリセロール核酸(GNA)などの糖修飾を含み得る。
用語「非環状ヌクレオチド」は、非環状リボース糖を有する任意のヌクレオチドを指し、例えば、その際、リボース炭素同士の結合(例えば、C1’-C2’、C2’-C3’、C3’-C4’、C4’-O4’、若しくはC1’-O4’)のいずれかが存在しない、且つ/又はリボース炭素若しくは酸素(例えば、C1’、C2’ C3’、C4’又はO4’)の少なくとも1つが、独立に又は組合せで、ヌクレオチドから欠失している。一部の実施形態では、非環状ヌクレオチドは、
であり、ここで、Bは、修飾又は非修飾核酸塩基であり、R
1及びR
2は、独立に、H、ハロゲン、OR
3、又はアルキルであり;R
3は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖である)。用語「UNA」は、アンロックド非環状核酸を指し、糖の結合のいずれかが除去されて、アンロックド「糖」残基を形成する。一例では、UNAは、C1’-C4’(すなわち、C1’及びC4’炭素同士の共有結合炭素-酸素-炭素結合)が除去されたモノマーも包含する。別の例では、糖のC2’-C3’結合(すなわち、C2’及びC3’炭素同士の共有結合炭素-炭素結合)が除去されている(Mikhailov et.al.,Tetrahedron Letters,26(17):2059(1985);及びFluiter et al.,Mol.Biosyst.,10:1039(2009)を参照されたい;これらは、全体として参照により本明細書に組み込まれる)。非環状誘導体は、ワトソン-クリック対合に影響を及ぼすことなく、より大きい骨格柔軟性を付与する。非環状ヌクレオチドは、2’-5’又は3’-5’結合を介して連結することができる。
用語「GNA」は、DNA又はRNAに類似しているが、リン酸ジエステル結合:
により連結される反復グリセロール単位から構成される点で、「骨格」の組成が異なるポリマーであるグリコール核酸を指す。
熱不安定化修飾は、dsRNA二重螺旋内の熱不安定化ヌクレオチドと、反対側の鎖の反対側ヌクレオチドとのミスマッチ(すなわち、非相補的塩基対)であってよい。例示的なミスマッチ塩基対は、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、U:T、又はこれらの組合せを含む。当技術分野で知られる他のミスマッチ塩基対合も本発明に適している。ミスマッチは、天然に存在するヌクレオチド又は修飾ヌクレオチドのいずれのヌクレオチド間でも起こり得る。すなわち、ミスマッチ塩基対合は、ヌクレオチドのリボース糖に対する修飾とは関係なく、それぞれのヌクレオチドからの核酸塩基同士で起こり得る。いくつかの実施形態では、siRNA又はdsRNA剤等のエフェクター分子は、ミスマッチ対合に少なくとも1つの核酸塩基を含有し、それは、2’-デオキシ核酸塩基であり;例えば、2’-デオキシ核酸塩基は、センス鎖に存在する。
脱塩基ヌクレオチド、非環状ヌクレオチド修飾(UNA及びGNAなど)、並びにミスマッチ修飾のさらなる例は、国際公開第2011/133876号パンフレット(これは、全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
熱不安定化修飾は、反対側塩基との水素結合を形成する能力が低減又は無効化されたユニバーサル塩基、さらにはリン酸修飾も含み得る。
反対側の鎖における塩基との水素結合を形成する能力が障害又は完全に無効化された核酸塩基修飾が、国際公開第2010/0011895号パンフレット(全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、dsRNA二重螺旋の中央領域の不安定化について評価されている。例示的な核酸塩基修飾は、
である。
天然のリン酸ジエステル結合と比較して、dsRNA二重螺旋の熱安定性を低下させることがわかっている例示的なリン酸修飾は、
である。
一部の実施形態では、多標的分子中のエフェクター分子は、2’-5’結合(2’-H、2’-OH及び2’-OMeとの、及びP=O又はP=Sとの)を含む。例えば、2’-5’結合修飾を用いて、ヌクレアーゼ耐性を促進するか、又はセンス鎖とアンチセンス鎖の結合を阻害することができ、或いは上記修飾をセンス鎖の5’末端に用いて、RISCによるセンス鎖活性化を回避することができる。
別の実施形態では、多標的分子中のエフェクター分子は、L糖(例えば、2’-H、2’-OH及び2’-OMeを含むLリボース、L-アラビノース)を含む。例えば、これらのL糖修飾を用いて、ヌクレアーゼ耐性を促進するか、又ははセンス鎖とアンチセンス鎖との結合を阻害することができ、或いは上記修飾をセンス鎖の5’末端に用いて、RISCによるセンス鎖活性化を回避することができる。
一実施形態では、本発明のdsRNA剤は、担体を介してリガンドに共役され、担体は、環状基又は非環状基であってよく;好ましくは、環状基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリル及びデカリンから選択され;好ましくは、非環状基は、セリノール骨格又はジエタノールアミン骨格から選択される。
一部の実施形態では、本明細書に開示する多標的分子中の少なくとも1つのエフェクター分子の少なくとも1つの鎖は、5’リン酸化されているか、又は5’プライム末端にホスホリル類似体を含む。5’-リン酸修飾は、RISC媒介遺伝子サイレンシングと適合性のものを含む。好適な修飾としては、以下のものが挙げられる:5’-一リン酸((HO)2(O)P-O-5’);5’-二リン酸((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-三リン酸((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-グアノシンキャップ(7-メチル化又は非メチル化)(7m-G-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-アデノシンキャップ(Appp)、及び任意の修飾若しくは非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’);5’-モノチオリン酸(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P-O-5’);5’-モノジチオリン酸(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’-ホスホロチオレート((HO)2(O)P-S-5’);酸素/硫黄置換一リン酸、二リン酸及び三リン酸(例えば、5’-α-チオトリホスフェート、5’-γ-チオトリホスフェートなど)、5’-ホスホロアミデート((HO)2(O)P-NH-5’、(HO)(NH2)(O)P-O-5’)、5’-アルキルホスホネート(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピルなど、例えば、RP(OH)(O)-O-5’-、5’-アルキルホスホネート(すなわち、ビニル、置換ビニル)、(OH)2(O)P-5’-CH2-)、5’-アルキルエーテルホスホネート(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2-)、エトキシメチルなど、例えば、RP(OH)(O)-O-5’-)の任意の組合せ。
標的遺伝子
限定なしに、siRNAの標的遺伝子として、限定はしないが、不要な細胞増殖を促進する遺伝子、増殖因子遺伝子、増殖因子受容体遺伝子、遺伝子発現キナーゼ、アダプタータンパク質遺伝子、Gタンパク質スーパーファミリー分子をコードする遺伝子、転写因子をコードする遺伝子、血管新生を媒介する遺伝子、ウイルス遺伝子、ウイルス複製に必要な遺伝子、ウイルス機能を媒介する細胞遺伝子、細菌性病原体の遺伝子、アメーバ性病原体の遺伝子、寄生体病原体の遺伝子、真菌性病原体の遺伝子、不要な免疫応答を媒介する遺伝子、痛みのプロセシングを媒介する遺伝子、神経疾患を媒介する遺伝子、ヘテロ接合性の喪失を特徴とする細胞に見出されるallene遺伝子、又は多型遺伝子の1つのallege遺伝子が挙げられる。
siRNAの特定の例示的な標的遺伝子として、限定はしないが、以下のものが挙げられる:PCSK-9、ApoC3、AT3、AGT、ALAS1、TMPR、HAO1、AGT、C5、CCR-5、PDGFベータ遺伝子;Erb-B遺伝子、Src遺伝子;CRK遺伝子;GRB2遺伝子;RAS遺伝子;MEKK遺伝子;JNK遺伝子;RAF遺伝子;Erk1/2遺伝子;PCNA(p21)遺伝子;MYB遺伝子;c-MYC遺伝子;JUN遺伝子;FOS遺伝子;BCL-2遺伝子;サイクリンD遺伝子;VEGF遺伝子;EGFR遺伝子;サイクリンA遺伝子;サイクリンE遺伝子;WNT-1遺伝子;β-カテニン遺伝子;c-MET遺伝子;PKC遺伝子;NFKB遺伝子;STAT3遺伝子;サバイビン(survivin)遺伝子;Her2/Neu遺伝子;トポイソメラーゼI遺伝子;トポイソメラーゼIIα遺伝子;p73遺伝子;p21(WAF1/CIP1)遺伝子、p27(KIP1)遺伝子;PPM1D遺伝子;カベオリンI遺伝子;MIB I遺伝子;MTAI遺伝子;M68遺伝子;腫瘍抑制遺伝子;p53遺伝子;DN-p63遺伝子;pRb腫瘍抑制遺伝子;APC1腫瘍抑制遺伝子;BRCA1腫瘍抑制遺伝子;PTEN腫瘍抑制遺伝子;MLL融合遺伝子、例えば、MLL-AF9、BCR/ABL融合遺伝子;TEL/AML1融合遺伝子;EWS/FLI1融合遺伝子;TLS/FUS1融合遺伝子;PAX3/FKHR融合遺伝子;AML1/ETO融合遺伝子;αv-インテグリン遺伝子;Flt-1受容体遺伝子;チューブリン遺伝子;ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)遺伝子、ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)複製に必要な遺伝子、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)遺伝子、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)複製に必要な遺伝子、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A Virus)遺伝子、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A Virus)複製に必要な遺伝子、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus)遺伝子、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus)複製に必要な遺伝子、C型肝炎ウイルス遺伝子(Hepatitis C Virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus)複製に必要な遺伝子、D型肝炎ウイルス(Hepatitis D Virus)遺伝子、D型肝炎ウイルス(Hepatitis D Virus)複製に必要な遺伝子、E型肝炎ウイルス(Hepatitis E Virus)遺伝子、E型肝炎ウイルス(Hepatitis E Virus)複製に必要な遺伝子、F型肝炎ウイルス(Hepatitis F Virus)遺伝子、F型肝炎ウイルス(Hepatitis F Virus)複製に必要な遺伝子、G型肝炎ウイルス(Hepatitis G Virus)遺伝子、G型肝炎ウイルス(Hepatitis G Virus)複製に必要な遺伝子、H型肝炎ウイルス(Hepatitis H Virus)遺伝子、H型肝炎ウイルス(Hepatitis H Virus)複製に必要な遺伝子、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)遺伝子、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)複製に必要な遺伝子、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus)遺伝子、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus)複製に必要な遺伝子、ヘルペスサイトメガロウイルス(herpes Cytomegalovirus)遺伝子、ヘルペスサイトメガロウイルス(herpes Cytomegalovirus)複製に必要な遺伝子、ヘルペスエプスタインバーウイルス(Epstein Barr Virus)遺伝子、ヘルペスエプスタインバーウイルス(Epstein Barr Virus)複製に必要な遺伝子、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi’s Sarcoma-associated Herpes Virus)遺伝子、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi’s Sarcoma-associated Herpes Virus)複製に必要な遺伝子、JCウイルス(JC Virus)遺伝子、JCウイルス(JC Virus)複製に必要なヒト遺伝子、ミクソウイルス遺伝子、ミクソウイルス遺伝子複製に必要な遺伝子、ライノウイルス遺伝子、ライノウイルス複製に必要な遺伝子、コロナウイルス遺伝子、コロナウイルス複製に必要な遺伝子、西ナイルウイルス(West Nile Virus)遺伝子、西ナイルウイルス(West Nile Virus)複製に必要な遺伝子、セントルイス脳炎(St.Louis Encephalitis)遺伝子、セントルイス脳炎(St.Louis Encephalitis)複製に必要な遺伝子、ダニ媒介性脳炎ウイルス(Tick-borne encephalitis virus)遺伝子、ダニ媒介性脳炎ウイルス(Tick-borne encephalitis virus)複製に必要な遺伝子、マリーバレー脳炎ウイルス(Murray Valley encephalitis virus)遺伝子、マリーバレー脳炎ウイルス(Murray Valley encephalitis virus)複製に必要な遺伝子、デング熱ウイルス遺伝子、デング熱ウイルス遺伝子複製に必要な遺伝子、シミアンウイルス(Simian Virus)40遺伝子、シミアンウイルス(Simian Virus)40複製に必要な遺伝子、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス(Human T Cell Lymphotropic Virus)遺伝子、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス(Human T Cell Lymphotropic Virus)複製に必要な遺伝子、モロニー-マウス白血病ウイルス(Moloney-Murine Leukemia Virus)遺伝子、モロニー-マウス白血病ウイルス(Moloney-Murine Leukemia Virus)複製に必要な遺伝子、脳心筋炎ウイルス遺伝子、脳心筋炎ウイルス複製に必要な遺伝子、はしかウイルス遺伝子、はしかウイルス複製に必要な遺伝子、水痘帯状疱疹ウイルス(Vericella zoster virus)遺伝子、水痘帯状疱疹ウイルス(Vericella zoster virus)複製に必要な遺伝子、アデノウイルス遺伝子、アデノウイルス複製に必要な遺伝子、黄熱病ウイルス遺伝子、黄熱病ウイルス複製に必要な遺伝子、ポリオウイルス遺伝子、ポリオウイルス複製に必要な遺伝子、ポックスウイルス遺伝子、ポックスウイルス複製に必要な遺伝子、プラスモジウム(plasmodium)遺伝子、プラスモジウム(plasmodium)遺伝子複製に必要な遺伝子、ミコバクテリア・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)遺伝子、ミコバクテリア・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)複製に必要な遺伝子、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)遺伝子、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)遺伝子に必要な遺伝子、癩菌(Mycobacterium leprae)遺伝子、癩菌(Mycobacterium leprae)複製に必要な遺伝子、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)遺伝子、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)複製に必要な遺伝子、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)遺伝子、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)複製に必要な遺伝子、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)遺伝子、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)複製に必要な遺伝子、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)遺伝子、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)複製に必要な遺伝子、肺炎ミコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)遺伝子、肺炎ミコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)複製に必要な遺伝子、インテグリン遺伝子、セレクチン遺伝子、補体系遺伝子、ケモカイン遺伝子、ケモカイン受容体遺伝子、GCSF遺伝子、Gro1遺伝子、Gro2遺伝子、Gro3遺伝子、PF4遺伝子、MIG遺伝子、前血小板塩基性タンパク質遺伝子、MIP-1I遺伝子、MIP-1J遺伝子、RANTES遺伝子、MCP-1遺伝子、MCP-2遺伝子、MCP-3遺伝子、CMBKR1遺伝子、CMBKR2遺伝子、CMBKR3遺伝子、CMBKR5v、AIF-1遺伝子、I-309遺伝子、イオンチャネルの構成要素の遺伝子、神経伝達物質受容体の遺伝子、神経伝達物質リガンドの遺伝子、アミロイドファミリー遺伝子、プレセニリン遺伝子、HD遺伝子、DRPLA遺伝子、SCA1遺伝子、SCA2遺伝子、MJD1遺伝子、CACNL1A4遺伝子、SCA7遺伝子、SCA8遺伝子、ヘテロ接合性喪失(LOH)細胞に見出される対立遺伝子、多型遺伝子のうちの1つの対立遺伝子、並びにこれらの組合せ。
ヘテロ接合性喪失(LOH)は、LOHの領域に、配列、例えば、遺伝子のヘミ接合を引き起こし得る。これにより、正常細胞と疾患状態の細胞、例えば、癌細胞との間に有意な遺伝的差異が生じ得るが、これは、正常細胞と疾患状態の細胞、例えば、癌細胞との間の有用な差異を提供する。この差異は、遺伝子又は他の配列が、二倍体細胞においてヘテロ接合性であるが、LOHを有する細胞ではヘミ接合性であるために、起こり得る。LOHの領域は、多くの場合、喪失によって不要な増殖を促進する遺伝子、例えば、腫瘍抑制遺伝子、並びに例えば、他の遺伝子、一部の事例では正常な機能、例えば、成長に不可欠な遺伝子を含む他の配列を含む。本発明の方法は、部分的に、本発明の組成物による必須遺伝子の1つの対立遺伝子の特異的な調節を利用するものである。
いくつかの実施形態では、本発明は、マイクロRNAを調節する多標的分子を提供する。
リガンド
いくつかの実施形態では、多標的分子は、1つ又は複数のコンジュゲート基の共有結合により修飾される。一般に、コンジュゲート基は、結合された多標的分子の1つ又は複数の特性を修飾し、こうした特性として、限定はしないが、薬力学、薬物動態、結合、吸収、細胞分布、細胞取り込み、電荷及びクリアランスが挙げられる。コンジュゲート基は、化学分野で常用的に使用されており、オリゴマー化合物などの親化合物に直接又は任意選択の連結部分若しくは結合基を介して連結される。コンジュゲート基の好ましいリストは、限定はしないが、挿入剤、リポータ分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸塩、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン及び染料を含む。
本発明に適した好ましいコンジュゲート基としては、以下のものが挙げられる:コレステロール部分などの脂質部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553);コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053);チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3,2765);チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20,533);脂肪族鎖、例えば、ドデカジオール又はウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,111;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49);リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-ラク-グリセロール又はトリエチルアンモニウム-1,2-ジ-O-ヘキサデシル-ラク-グリセロ-3-H-ホスホン酸塩(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777);ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14,969);アダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651);パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229);又はオクタデシルアミン若しくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923)。
一般に、非常に多様な実体、例えば、リガンドを本明細書に記載のオリゴマー化合物に結合させることができる。リガンドは、天然に存在する分子、又は組換え若しくは合成分子を含み得る。例示的なリガンドとして、限定はしないが、以下のものが挙げられる:ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコライド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG-2K、PEG-5K、PEG-10K、PEG-12K、PEG-15K、PEG-20K、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、ポリホスファジン、ポリエチレンイミン、カチオン基、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、プソイドペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第4級塩、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン、グリコシル化ポリアミノ酸、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、アプタマー、アシアロフェチュイン、ヒアルロナン、プロコラーゲン、免疫グロブリン(例えば、抗体)、インスリン、トランスフェリン、アルブミン、糖-アルブミンコンジュゲート、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(例えば、TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子(例えば、ステロイド、胆汁酸、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、若しくはフェノキサジン)、ペプチド(例えば、α螺旋ペプチド、両親媒性ペプチド、RGDペプチド、細胞透過ペプチド、エンドソーム溶解性/融合性ペプチド)、アルキル化剤、リン酸塩、アミノ、メルカプト、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカ、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、ナプロキセン、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロ環のEu3+複合体)、ジニトロフェニル、HRP、AP、抗体、ホルモン及びホルモン受容体、レクチン、炭水化物、多価炭水化物、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン及びピリドキサール)、ビタミン補因子、リポ多糖、p38 MAPキナーゼの活性化剤、NF-κBの活性化剤、タキソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトルンクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、ミオセルビン、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン-1β、γインターフェロン、天然若しくは組換え低密度リポタンパク(LDL)、天然若しくは組換え高密度リポタンパク質(HDL)、並びに細胞透過剤(例えば、螺旋状細胞透過剤)。
ペプチド及びペプチド模倣リガンドとしては、天然又は修飾ペプチド、例えば、D又はLペプチド;α、β、若しくはγペプチド;N-メチルペプチド;アザペプチド;1つ又は複数のアミドを有するペプチド、すなわち、ペプチド、1つ又は複数の尿素、チオ尿素、カルバメート、若しくはスルホニル尿素結合で置換された結合;又は環状ペプチドを有するものがある。ペプチド模倣物(本明細書では、オリゴペプチド模倣物とも呼ばれる)は、天然のペプチドに類似した明確な3次元構造にフォールディングすることができる分子である。ペプチド又はペプチド模倣リガンドは、約5~50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50アミノ酸長であってよい。
例示的な両親媒性ペプチドとして、限定はしないが、セクロピン、リコトキシン(lycotoxin)、パラダキシン(paradaxin)、ブホリン、CPF、ボンビニン様ペプチド(BLP)、カテリシジン、セラトトキシン(ceratotoxin)、S.クラバ(S.clava)ペプチド、メクラウナギ(hagfish)腸抗菌ペプチド(HFIAP)、マガイニン(magainine)、ブレビニン-2、デルマセプチン、メリチン、プレウロシジン、H2Aペプチド、アフリカツメガエル(Xenopus)ペプチド、エスクレンチニス-1(esculentinis-1)、及びカエリンが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、用語「エンドソーム溶解性リガンド」は、エンドソーム溶解性を有する分子を指す。エンドソーム溶解性リガンドは、本発明の組成物若しくはその成分の溶解、及び/又は本発明の組成物若しくはその成分の、エンドソーム、リソソーム、小胞体(ER)、ゴルジ体、微小管、ペロキシソーム、又は細胞内の他の小胞体などの細胞内コンパートメントから細胞の細胞質への輸送を促進する。いくつかの例示的なエンドソーム溶解性リガンドとして、限定はしないが、イミダゾール、ポリ若しくはオリゴイミダゾール、直鎖若しくは分岐状ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖及び分岐状ポリアミン、例えば、スペルミン、カチオン性直鎖若しくは分岐状ポリアミン、ポリカルボキシレート、ポリカチオン、マスクオリゴ若しくはポリカチオン又はアニオン、アセタール、ポリアセタール、ケタール/ポリケタール、オルトエステル、マスク若しくは非マスクカチオン又はアニオン電荷を有する直鎖若しくは分岐状ポリマー、マスク若しくは非マスクカチオン又はアニオン電荷を有するデンドリマー、ポリアニオン性ペプチド、ポリアニオン性ペプチド模倣薬、pH感受性ペプチド、天然及び合成融合性脂質、天然及び合成カチオン性脂質が挙げられる。
例示的なエンドソーム溶解性/融合性ペプチドとして、限定はしないが、以下のものが挙げられる:AALEALAEALEALAEALEALAEAAAAGGC(GALA)(配列番号1);AALAEALAEALAEALAEALAEALAAAAGGC(EALA)(配列番号2);ALEALAEALEALAEA(配列番号3);GLFEAIEGFIENGWEGMIWDYG(INF-7)(配列番号4);GLFGAIAGFIENGWEGMIDGWYG(Inf HA-2)(配列番号5);GLFEAIEGFIENGWEGMIDGWYGCGLFEAIEGFIENGWEGMID GWYGC(diINF-7)(配列番号6);GLFEAIEGFIENGWEGMIDGGCGLFEAIEGFIENGWEGMIDGGC(diINF-3)(配列番号7);GLFGALAEALAEALAEHLAEALAEALEALAAGGSC(GLF)(配列番号8);GLFEAIEGFIENGWEGLAEALAEALEALAAGGSC(GALA-INF3)(配列番号9);GLF EAI EGFI ENGW EGnI DG K GLF EAI EGFI ENGW EGnI DG(INF-5、nは、ノルロイシンである)(配列番号10);LFEALLELLESLWELLLEA(JTS-1)(配列番号11);GLFKALLKLLKSLWKLLLKA(ppTG1)(配列番号12);GLFRALLRLLRSLWRLLLRA(ppTG20)(配列番号13);WEAKLAKALAKALAKHLAKALAKALKACEA(KALA)(配列番号14);GLFFEAIAEFIEGGWEGLIEGC(HA)(配列番号15);GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(Melittin)(配列番号16);H5WYG(配列番号17);及びCHK6HC(配列番号18)。
特定の理論に拘束されることは意図しないが、融合性脂質は、膜と融合し、その結果、膜を不安定化する。融合性脂質は、通常、小さい頭部基及び不飽和アシル鎖を有する。例示的な融合性脂質として、限定はしないが、1,2-ジレオイル-sn-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-オール(Di-Lin)、N-メチル(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタンアミン(DLin-k-DMA)及びN-メチル-2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)エタンアミン(本明細書では、XTCとも呼ばれる)が挙げられる。
本発明に適したエンドソーム溶解活性を有する合成ポリマーは、米国特許出願公開第2009/0048410号明細書;同第2009/0023890号明細書;同第2008/0287630号明細書;同第2008/0287628号明細書;同第2008/0281044号明細書;同第2008/0281041号明細書;同第2008/0269450号明細書;同第2007/0105804号明細書;同第20070036865号明細書;及び同第2004/0198687号明細書に記載されており、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
例示的な細胞透過性ペプチドとして、限定はしないが、以下のものが挙げられる:RQIKIWFQNRRMKWKK(ペネトラチン)(配列番号19);GRKKRRQRRRPPQC(Tat断片48~60)(配列番号20);GALFLGWLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV(シグナル配列ベースのペプチド)(配列番号21);LLIILRRRIRKQAHAHSK(PVEC)(配列番号22);GWTLNSAGYLLKINLKALAALAKKIL(トランスポルタン)(配列番号23);KLALKLALKALKAALKLA(両親媒性モデルペプチド)(配列番号24);RRRRRRRRR(Arg9)(配列番号25);KFFKFFKFFK(細菌細胞壁透過性ペプチド)(配列番号26);LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTES(LL-37)(配列番号27);SWLSKTAKKLENSAKKRISEGIAIAIQGGPR(セクロピンP1)(配列番号28);ACYCRIPACIAGERRYGTCIYQGRLWAFCC(α-デフェンシン)(配列番号29);DHYNCVSSGGQCLYSACPIFTKIQGTCYRGKAKCCK(β-デフェンシン)(配列番号30);RRRPRPPYLPRPRPPPFFPPRLPPRIPPGFPPRFPPRFPGKR-NH2(PR-39)(配列番号31);ILPWKWPWWPWRR-NH2(インドリシジン)(配列番号32);AAVALLPAVLLALLAP(RFGF)(配列番号33);AALLPVLLAAP(RFGF類似体)(配列番号34);及びRKCRIVVIRVCR(バクテネシン)(配列番号35)。
例示的なカチオン性基として、限定はしないが、例えば、O-AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ);アミノアルコキシ、例えば、O(CH2)nAMINE、(例えば、AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ);アミノ(例えば、NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、又はアミノ酸);並びにNH(CH2CH2NH)nCH2CH2-AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ)から得られる、プロトン化アミノ基が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、用語「ターゲティングリガンド」は、選択される標的、例えば、細胞、細胞型、組織、臓器、身体の領域、又はコンパートメント、例えば、細胞、組織若しくは臓器コンパートメントに対し、増大した親和性を付与する任意の分子を指す。いくつかの例示的なターゲティングリガンドとして、限定はしないが、抗体、抗原、葉酸塩、受容体リガンド、炭水化物、アプタマー、インテグリン受容体リガンド、ケモカイン受容体リガンド、トランスフェリン、ビオチン、セロトニン受容体リガンド、PSMA、エンドセリン、GCPII、ソマトスタチン、LDL及びHDLリガンドが挙げられる。
炭水化物ベースのターゲティングリガンドとして、限定はしないが、D-ガラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-D-ガラクトース(GalNAc)、多価GalNAc、例えばGalNAc2及びGalNAc3;D-マンノース、多価マンノース、多価ラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸及びレクチンが挙げられる。多価という用語は、2つ以上の単糖単位が存在することを示す。このような単糖サブユニットは、グリコシド結合を介して互いに連結するか、又はスカフォールド分子に連結することができる。
リガンドとして、本発明に適したいくつかの葉酸塩及び葉酸塩類似体が米国特許第2,816,110号明細書;同第5,552,545号明細書;同第6,335,434号明細書及び同第7,128,893号明細書に記載されており、これらの内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用されるとき、用語「PK調節リガンド」及び「PKモジュレータ」は、本発明の組成物の薬剤動態を調節することができる分子を指す。いくつかの例示的なPKモジュレータとして、限定はしないが、親油性分子、胆汁酸、ステロール、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、ビタミン、脂肪酸、フェノキサジン、アスピリン、ナプロキセン、イブプロフェン、スプロフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、PEG、ビオチン、及びトランスサイレチア-結合リガンド(例えば、テトラヨードチロ酢酸、2,4,6-トリヨードフェノール及びフルフェナム酸)が挙げられる。いくつかのホスホロチオエート糖間結合を含むオリゴマー化合物は、血清タンパク質と結合することも知られており、従って、短いオリゴマー化合物、例えば、約5~30ヌクレオチド(例えば、5~25ヌクレオチド、好ましくは5~20ヌクレオチド、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20ヌクレオチド)を含み、骨格に複数のホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドもリガンド(例えば、PK調節リガンド)として本発明に適している。PK調節オリゴヌクレオチドは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを上回るホスホロチオエート及び/又はホスホロジチオエート結合を含み得る。一部の実施形態では、PK調節オリゴヌクレオチド中の全てのヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート及び/又はホスホロジチオエート結合である。さらに、血清成分(例えば、血清タンパク質)に結合するアプタマーもPK調節リガンドとして本発明に適している。血清成分(例えば、血清タンパク質)との結合は、Oravcova,et al.,Journal of Chromatography B(1996),677:1-27に記載されているものなどのアルブミン結合アッセイから予測することができる。
2つ以上のリガンドが存在する場合、リガンドは、全て同じ特性を有してもよく、全てが異なる特性を有するか、又は一部のリガンドが同じ特性を有し、残りは異なる特性を有してもよい。例えば、リガンドは、ターゲティング特性を有するか、エンドソーム溶解活性を有するか、又はPK調節特性を有することができる。好ましい実施形態では、リガンドは全て異なる特性を有する。
リガンド又は係留されたリガンドは、前記モノマーが多標的分子の構成要素(例えば、エフェクター分子又はリンカー)に組み込まれている場合、このモノマー上に存在してもよい。一部の実施形態では、リガンドは、「前駆体」モノマーを多標的分子の構成要素(例えば、エフェクター分子又はリンカー)に組み込んだ後、カップリングによってこの「前駆体」モノマーに組み込むことができる。例えば、例としてアミノ末端テザーを有する(すなわち、リガンドが結合していない)モノマー、例えば、モノマー-リンカー-NH2は、多標的分子の構成要素(例えば、エフェクター分子又はリンカー)に組み込むことができる。次の操作で、すなわち、多標的分子の構成要素(例えば、エフェクター分子又はリンカー)への前駆体モノマーの組み込み後、求電子基、例えば、ペンタフルオロフェニルエステル又はアルデヒド基を有するリガンドを、リガンドの求電子基と前駆体モノマーのテザーの末端求核基とのカップリングにより前駆体モノマーに結合することができる。
別の例では、クリックケミストリー反応に参加するのに好適な化学基を有するモノマー、例えば、アジド又はアルキン末端テザー/リンカーを組み込むことができる。次の操作で、すなわち、鎖への前駆体モノマーの組み込み後、相補的化学基を有するリガンド、例えば、アルキン又はアジドを、アルキン及びアジドとのカップリングにより前駆体モノマーに結合することができる。
一部の実施形態では、リガンドは、多標的分子の核酸塩基、糖部分、又はヌクレオシド間結合に共役させることができる。プリン核酸塩基又はその誘導体への共役は、環内及び環外原子を含む任意の位置で実施してよい。一部の実施形態では、プリン核酸塩基の2-、6-、7-、又は8位をコンジュゲート部分に結合する。ピリミジン核酸塩基又はその誘導体への共役も任意の位置で実施してよい。一部の実施形態では、ピリミジン核酸塩基の2-、5-、及び6位をコンジュゲート部分で置換することができる。リガンドを核酸塩基に共役させる場合、好ましい位置は、ハイブリダイゼーションを妨害しない、すなわち、塩基対合に必要な水素結合相互作用を妨害しない位置である。
ヌクレオシドの糖部分への共役は、任意の炭素原子で実施してよい。コンジュゲート部分に結合することができる糖部分の例示的な炭素原子として、2’、3’、及び5’炭素原子がある。また、1’位もコンジュゲート部分、例えば、脱塩基残基に結合することができる。ヌクレオシド間結合は、コンジュゲート部分を担持することもできる。リン含有結合(例えば、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデートなど)の場合、コンジュゲート部分をリン原子に直接、又はリン原子に結合したO、N、若しくはS原子に結合することができる。アミン-又はアミド含有ヌクレオシド間結合(例えば、PNA)の場合、コンジュゲート部分を、アミン若しくはアミドの窒素原子又は隣接する炭素原子に結合することができる。
オリゴヌクレオチドのコンジュゲートを調製する多くの方法がある。一般に、オリゴヌクレオチドの反応性基(例えば、OH、SH、アミン、カルボキシル、アルデヒドなど)をコンジュゲート部分の反応性基と接触させることにより、オリゴヌクレオチドをコンジュゲート部分に結合する。一部の実施形態では、一方の反応性基は求電子性であり、他方は求核性である。
例えば、求電子基は、カルボニル含有官能基であってよく、求核基は、アミン又はチオールであってよい。結合基を用いる又は用いない核酸及び関連オリゴマー化合物の共役方法は、例えば、Manoharan in Antisense Research and Applications,Crooke and LeBleu,eds.,CRC Press,Boca Raton,Fla.,1993,Chapter 17(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)などの文献に十分に記載されている。
リガンドは、担体モノマー、例えば、リガンド担体を介して多標的分子に結合することができる。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは2つの「骨格結合点」と、(ii)少なくとも1つの「係留結合点」とを含む。本明細書で使用する「骨格結合点」は、官能基、例えば、ヒドロキシル基、又は一般に、骨格、例えば、オリゴヌクレオチドのリン酸、若しくは修飾リン酸(例えば、硫黄含有)骨格への担体モノマーの組み込みに利用可能であり且つ好適な結合を指す。「係留結合点」(TAP)は、担体モノマーの原子、例えば、炭素原子又はヘテロ原子(骨格結合点を付与する原子と異なる)を指し、これは、選択された部分を連結する。選択された部分は、例えば、炭水化物、例えば単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖及び多糖であってよい。任意選択で、選択された部分は、介在テザーにより担体モノマーに連結される。従って、担体は、官能基、例えば、アミノ基を含むことが多く、又は一般に、別の化学実体、例えば、構成原子へのリガンドの組み込み又は係留に好適な結合を提供する。
核酸のコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許として、限定はしないが、米国特許第4,828,979号明細書;同第4,948,882号明細書;同第5,218,105号明細書;同第5,525,465号明細書;同第5,541,313号明細書;同第5,545,730号明細書;同第5,552,538号明細書;同第5,578,717号明細書、同第5,580,731号明細書;同第5,580,731号明細書;同第5,591,584号明細書;同第5,109,124号明細書;同第5,118,802号明細書;同第5,138,045号明細書;同第5,414,077号明細書;同第5,486,603号明細書;同第5,512,439号明細書;同第5,578,718号明細書;同第5,608,046号明細書;同第4,587,044号明細書;同第4,605,735号明細書;同第4,667,025号明細書;同第4,762,779号明細書;同第4,789,737号明細書;同第4,824,941号明細書;同第4,835,263号明細書;同第4,876,335号明細書;同第4,904,582号明細書;同第4,958,013号明細書;同第5,082,830号明細書;同第5,112,963号明細書;同第5,214,136号明細書;同第5,082,830号明細書;同第5,112,963号明細書;同第5,149,782号明細書;同第5,214,136号明細書;同第5,245,022号明細書;同第5,254,469号明細書;同第5,258,506号明細書;同第5,262,536号明細書;同第5,272,250号明細書;同第5,292,873号明細書;同第5,317,098号明細書;同第5,371,241号明細書、同第5,391,723号明細書;同第5,416,203号明細書、同第5,451,463号明細書;同第5,510,475号明細書;同第5,512,667号明細書;同第5,514,785号明細書;同第5,565,552号明細書;同第5,567,810号明細書;同第5,574,142号明細書;同第5,585,481号明細書;同第5,587,371号明細書;同第5,595,726号明細書;同第5,597,696号明細書;同第5,599,923号明細書;同第5,599,928号明細書;同第5,672,662号明細書;同第5,688,941号明細書;同第5,714,166号明細書;同第6,153,737号明細書;同第6,172,208号明細書;同第6,300,319号明細書;同第6,335,434号明細書;同第6,335,437号明細書;同第6,395,437号明細書;同第6,444,806号明細書;同第6,486,308号明細書;同第6,525,031号明細書;同第6,528,631号明細書;同第6,559,279号明細書が挙げられ、これらの内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、
に示す構造を有するリガンドを含み、
式中、
L
Gは、それぞれの存在について独立に、リガンド、例えば、炭水化物、例えば単糖、二糖、三糖、四糖、多糖であり;
Z’、Z’’、Z’’’及びZ’’’’は、それぞれの存在について各々独立に、O又はSである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、式(II)、(III)、(IV)又は(V):
のリガンドを含み、
式中、
q
2A、q
2B、q
3A、q
3B、q4
A、q
4B、q
5A、q
5B及びq
5Cは、それぞれの存在について独立に、0~20を表し、反復単位は、同じか又は異なっていてもよく;
Q及びQ’は、それぞれの存在について独立に、非存在、-(P
7-Q
7-R
7)
p-T
7-又は-T
7-Q
7-T
7’-B-T
8’-Q
8-T
8であり;
P
2A、P
2B、P
3A、P
3B、P
4A、P
4B、P
5A、P
5B、P
5C、P
7、T
2A、T
2B、T
3A、T
3B、T
4A、T
4B、T
4A、T
5B、T
5C、T
7、T
7’、T
8及びT
8’は、それぞれの存在について各々独立に、非存在、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NH又はCH
2Oであり;
Bは、-CH
2-N(B
L)-CH
2-であり;
B
Lは、-T
B-Q
B-T
B’-R
xであり;
Q
2A、Q
2B、Q
3A、Q
3B、Q
4A、Q
4B、Q
5A、Q
5B、Q
5C、Q
7、Q
8及びQ
Bは、それぞれの存在について独立に、非存在、アルキレン、置換アルキレンであり、1つ又は複数のメチレンは、O、S、S(O)、SO
2、N(R
N)、C(R’)=C(R’)、C≡C又はC(O)の1つ又は複数によって分断若しくは終結することができ;
T
B及びT
B’は、それぞれの存在について各々独立に、非存在、CO、NH、O、S、OC(O)、OC(O)O、NHC(O)、NHC(O)NH、NHC(O)O、CH
2、CH
2NH又はCH
2Oであり;
R
xは、親油性物質(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸,O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)、ビタミン(例えば、葉酸塩、ビタミンA、ビタミンE、ビオチン、ピリドキサール)、ペプチド、炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、多糖)、エンドソーム溶解性成分、ステロイド(例えば、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン)、テルペン(例えば、トリテルペン、例えば、サルササポゲニン、フリーデリン、エピフリーデラノール誘導体化リトコール酸)、又はカチオン性脂質であり;
R
1、R
2、R
2A、R
2B、R
3A、R
3B、R
4A、R
4B、R
5A、R
5B、R
5C、R
7は、それぞれの存在について各々独立に、非存在、NH、O、S、CH
2、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R
a)C(O)、-C(O)-CH(R
a)-NH-、CO、CH=N-O、
又はヘテロシクリルであり;
L
1、L
2A、L
2B、L
3A、L
3B、L
4A、L
4B、L
5A、L
5B及びL
5Cは、それぞれの存在について各々独立に、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖及び多糖であり;
R’及びR’’は、各々独立に、H、C
1~C
6アルキル、OH、SH、又はN(R
N)
2であり;
R
Nは、それぞれの存在について独立に、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル又はベンジルであり;
R
aは、H又はアミノ酸側鎖であり;
Z’、Z’’、Z’’’及びZ’’’’は、それぞれの存在について各々独立に、O又はSであり;
pは、それぞれの存在について独立に、0~20を表す。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のリガンドを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のリガンドを含む。
例示的なリガンドモノマー
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
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のモノマーを含む。
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のモノマーを含む。
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のモノマーを含む。
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のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のリガンドを含む。
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のリガンドを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
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のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
一部の実施形態では、L2A及びL2Bはいずれも異なる。
一部の好ましい実施形態では、L3A及びL3Bはいずれも同じである。
一部の実施形態では、L3A及びL3Bはいずれも異なる。
一部の好ましい実施形態では、L4A及びL4Bはいずれも同じである。
一部の実施形態では、L4A及びL4Bはいずれも異なる。
一部の好ましい実施形態では、L5A、L5B及びL5Cは全て同じである。
一部の実施形態では、L5A、L5B及びL5Cのうちの2つが同じである。
一部の実施形態では、L5A及びL5Bは同じである。
一部の実施形態では、L5A及びL5Cは同じである。
一部の実施形態では、L5B及びL5Cは同じである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Yは、O又はSであり、nは、1~6である。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Y=O又はSである。nは、1~6であり、Rは、水素又は核酸であり、R’は核酸である。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Yは、O又はSであり、nは、1~6である。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
の少なくとも1、2、3又は4つのモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Xは、O又はSである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、OH又はNHCOOHである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、OH又はNHCOOHである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、O又はSである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、OH又はNHCOOHである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、OH又はNHCOOHである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、OH又はNHCOOHである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、OH又はNHCOOHである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含み、ここで、Rは、OH又はNHCOOHである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
前述したモノマーにおいて、X及びYは、それぞれの存在について各々独立に、H、保護基、リン酸基、リン酸ジエステル基、活性化リン酸基、活性化亜リン酸基、ホスホロアミダイト、固体担体、-P(Z’)(Z’’)O-ヌクレオシド、-P(Z’)(Z’’)O-オリゴヌクレオチド、脂質、PEG、ステロイド、ポリマー、ヌクレオチド、ヌクレオシド、又はオリゴヌクレオチドであり;Z’及びZ’’は、それぞれの存在について各々独立に、O又はSである。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のリガンドと共役される。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のリガンドを含む。
いくつかの実施形態では、多標的分子は、構造:
のモノマーを含む。
前述したリガンド及びモノマーの合成は、例えば、米国特許第8,106,022号明細書(その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
当技術分野で公知のものなどの結合基又は二官能価結合部分は、本明細書において提供される化合物に適している。結合基は、例えばオリゴマー化合物などの親化合物中の選択性部位に対する、化学官能基、コンジュゲート基、リポータ基及びその他の基の結合に有用である。一般に、二官能価結合部分は、2つの官能基を有するヒドロカルビル部分を含む。官能基の一方は、親分子又は目的の化合物に結合するように選択され、他方は、化学官能基又はコンジュゲート基などの選択された任意の基に、本質的に結合するように選択される。一部の実施形態では、リンカーは、エチレングリコール若しくはアミノ酸単位などの反復単位の鎖構造又はオリゴマーを含む。二官能価結合部分に常用的に用いられる官能基の例として、限定はしないが、求核基と反応させるための求電子基及び求電子基と反応させるための求核基が挙げられる。一部の実施形態では、二官能価結合部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、不飽和(例えば、二重又は三重結合)などを含む。二官能価結合部分のいくつかの非限定的な例として、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)及び6-アミノヘキサン酸(AHEX又はAHA)が挙げられる。他の結合基として、限定はしないが、置換C1~C10アルキル、置換若しくは非置換C2~C10アルケニル又は置換若しくは非置換C2~C10アルキニルが挙げられ、好ましい置換基の非限定的リストは、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルを含む。
いくつかの実施形態では、リガンドは、リンカーを介して多標的分子と共役される。
本明細書で使用されるとき、用語「リンカー」は、化合物の2つの部分を連結する有機部分を意味する。リンカーは、典型的には、直接結合又は酸素若しくは硫黄などの原子、NR1、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどの単位、又は置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールなどの原子鎖を含み、ここで、1つ又は複数のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R1)2、C(O)、切断可能な連結基、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換複素環式で分断又は終結されていてもよく;ここで、R1は、水素、アシル、脂肪族又は置換脂肪族である。
一部の実施形態では、リンカーは、-[(P-Q’’-R)
q-X-(P’-Q’’’-R’)
q’]
q’’-T-であり、式中、P、R、T、P’、R’及びTは、それぞれの存在について各々独立に、非存在、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NH、CH
2O;NHCH(R
a)C(O)、-C(O)-CH(R
a)-NH-、CH=N-O、
又はヘテロシクリルであり;
Q’’及びQ’’’は、それぞれの存在について各々独立に、非存在、-(CH
2)
n-、-C(R
1)(R
2)(CH
2)
n-、-(CH
2)
nC(R
1)(R
2)-、-(CH
2CH
2O)
mCH
2CH
2-、又は-(CH
2CH
2O)
mCH
2CH
2NH-であり;
Xは、非存在であるか又は切断可能な結合基であり;
R
aは、H又はアミノ酸側鎖であり;
R
1及びR
2は、それぞれの存在について各々独立に、H、CH
3、OH、SH又はN(R
N)
2であり;
R
Nは、それぞれの存在について独立に、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル又はベンジルであり;
q、q’及びq’’は、それぞれの存在について各々独立に、0~20であり、反復単位は、同じか又は異なっていてもよく;
nは、それぞれの存在について独立に、1~20であり;
mは、それぞれの存在について独立に、0~50である。
一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つの切断可能な結合基を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、分岐状リンカーである。分岐状リンカーの分岐点は、少なくとも三価であってもよいが、四価、五価若しくは六価の原子、又はそのような多価を示す基であってもよい。一部の実施形態では、分岐点は、-N、-N(Q)-C、-O-C、-S-C、-SS-C、-C(O)N(Q)-C、-OC(O)N(Q)-C、-N(Q)C(O)-C、又は-N(Q)C(O)O-Cであり;式中、Qは、それぞれの存在について独立に、H又は任意選択で置換されたアルキルである。一部の実施形態では、分岐点は、グリセロール又はグリセロール誘導体である。
切断可能な結合基は、細胞外部では十分に安定しているが、標的細胞に進入すると、切断されて、リンカーが一緒に保持する2つの部分を放出するものである。好ましい実施形態では、切断可能な結合基は、対象の血液若しくは血清中、又は第2の基準条件下(例えば、血液若しくは血清中に見出される条件を模倣又は表すために選択することができる)より、標的細胞内又は第1の基準条件下(例えば、細胞内の条件を模倣又は表すために選択することができる)で、少なくとも10倍以上、好ましくは少なくとも100倍以上速く切断される。
切断可能な結合基は、切断作用剤、例えば、pH、酸化還元電位又は分解分子の存在に対して感受性である。一般に、切断作用剤は、血清又は血液中よりも細胞内部で、より行き渡っているか、又はより高いレベル若しくは活性で見出される。そのような分解作用剤の例として、特定の基質のために選択される酸化還元剤又は基質特異性のない酸化還元剤が挙げられ、これは、例えば、酸化若しくは還元酵素、又は還元によって酸化還元的に切断可能な結合基を分解することができる、細胞に存在するメルカプタンなどの還元剤;エステラーゼ;アミダーゼ;エンドソーム又は酸性環境を作り出すことができる作用剤、例えば、5以下のpHをもたらすもの;一般酸、ペプチダーゼ(基質特異的であってよい)及びプロテアーゼ、並びにホスファターゼとして作用することにより、酸で切断可能な結合基を加水分解又は分解することができる酵素を含む。
リンカーは、特定の酵素により切断可能である切断可能な結合基を含むことができる。リンカーに組み込まれる切断可能な結合基のタイプは、ターゲティングしようとする細胞に応じて変わり得る。例えば、肝臓ターゲティングリガンドは、エステル基を含むリンカーを介してカチオン性脂質に連結することができる。肝細胞は、エステラーゼに富んでおり、従って、リンカーは、エステラーゼが豊富でない細胞型よりも肝細胞中で効率的に切断されるであろう。エステラーゼが豊富な他の細胞型としては、肺、腎皮質、及び精巣の細胞がある。
肝細胞及び滑膜細胞などのペプチダーゼが豊富な細胞型をターゲティングする場合、ペプチド結合を含有するリンカーを使用することができる。
一部の実施形態では、切断可能な結合基は、血液若しくは血清(又は細胞外条件を模倣するように選択されたin vitro条件下)と比較して、細胞内(又は細胞内条件を模倣するように選択されたin vitro条件下)で少なくとも1.25、1.5、1.75、2、3、4、5、10、25、50、又は100倍速く切断される。一部の実施形態では、切断可能な結合基は、細胞内(又は細胞内条件を模倣するように選択されたin vitro条件下)と比較して、血液中(又は細胞外条件を模倣するように選択されたin vitro条件下)で、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、又は1%未満切断される。
例示的な切断可能な結合基として、限定はしないが、以下のものが挙げられる:酸化還元的に切断可能な結合基(例えば、-S-S-及び-C(R)2-S-S-、ここで、Rは、H又はC1~C6アルキルであり、少なくとも1つのRは、C1~C6アルキル、例えばCH3若しくはCH2CH3である);ホスフェートベースの切断可能な結合基(例えば、-O-P(O)(OR)-O-、-O-P(S)(OR)-O-、-O-P(S)(SR)-O-、-S-P(O)(OR)-O-、-O-P(O)(OR)-S-、-S-P(O)(OR)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(OR)-O-、-O-P(O)(R)-O-、-O-P(S)(R)-O-、-S-P(O)(R)-O-、-S-P(S)(R)-O-、-S-P(O)(R)-S-、-O-P(S)(R)-S-、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、及び-O-P(S)(H)-S-、ここで、Rは、任意選択で置換された直鎖若しくは分岐状C1~C10アルキルである);酸で切断可能な結合基(例えば、ヒドラゾン、エステル、並びにアミノ酸のエステル、-C=NN-及び-OC(O)-);エステルベースの切断可能な結合基(例えば、-C(O)O-);ペプチドベースの切断可能な結合基(例えば、細胞内のペプチダーゼ及びプロテアーゼなどの酵素により切断される結合基、例えば、-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-、ここで、RA及びRBは、2つの隣接アミノ酸から構成されるR基である)。ペプチドベースの切断可能な結合基は、2つ以上のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドベースの切断結合は、細胞に見出されるペプチダーゼ又はプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、酸で切断可能な結合基は、約6.5以下(例えば、約6.-、5.5、5.0、又はそれを下回る)のpHを有する酸性環境中で、又は一般酸として作用し得る酵素などの作用剤により切断可能である。
オリゴヌクレオチドでないか、又はヌクレオチド若しくはヌクレオシドを含まないリンカーは、非ヌクレオチドベースのリンカーとも呼ばれる。
モチーフ
本発明は、キメラ化合物である多標的分子も含む。本発明に関連して、「キメラ」化合物又は「キメラ」は、2つ以上の化学的に異なる領域を含む化合物であり、各領域は、少なくとも1つのモノマー単位、例えば、オリゴヌクレオチドの場合、修飾若しくは非修飾ヌクレオチドから構成される。キメラ化合物は、特定のモチーフを有するものとして記載することができる。一部の実施形態では、モチーフとして、限定はしないが、交互モチーフ、ギャップモチーフ、ヘミマーモチーフ、均質に完全に修飾されたモチーフ及び位置修飾モチーフが挙げられる。本明細書で使用されるとき、「化学的に異なる領域」という語句は、化合物の他所には存在しない修飾を有する点で、又は化合物の他所に存在する修飾がない点で、他の領域と異なる多標的分子の領域を指す。多標的分子は、2つ以上の化学的に異なる領域を含み得る。本明細書で使用されるとき、修飾を含まない領域も化学的に異なるとみなされる。
化学的に異なる領域は、多標的分子化合物内で反復することができる。従って、多標的分子内の化学的に異なる領域のパターンは、第1の化学的に異なる領域に、1つ又は複数の第2の化学的に異なる領域が続くように実現することができる。化学的に異なる領域のこうした配列は、1回又は複数回反復することができる。好ましくは、2回以上配列を反復する。例えば、二本鎖エフェクター分子の両方の鎖がこれらの配列を含むことができる。化学的に異なる領域の各々は、実際に、わずかに単一モノマー、例えば、ヌクレオチドを含むことがある。一部の実施形態では、化学的に異なる領域の各々は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18モノマー、例えば、ヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、交互ヌクレオチドは、同じ修飾を含み、例えば、鎖内の全ての奇数ヌクレオチドは、同じ修飾を有する、及び/又は鎖内の全ての偶数ヌクレオチドは、第1の鎖と類似の修飾を有する。一部の実施形態では、二本鎖エフェクター分子又は多標的分子中の全ての奇数ヌクレオチドは、同じ修飾を有し、全ての偶数ヌクレオチドは、奇数ヌクレオチドには存在しない修飾を有し、その逆も同じである。
二本鎖分子の両方の鎖が交互修飾パターンを含む場合、一方の鎖のヌクレオチドは、類似修飾された第2の鎖のヌクレオチドに対して相補的位置であってよい。別の実施形態では、第2の鎖の類似修飾のパターンに対して、それぞれ第1の鎖の修飾のパターンの間に位相シフトが存在する。このシフトは、第1の鎖及び第2の鎖の類似修飾ヌクレオチドが、互いに相補的位置ではないようにするのが好ましい。
一部の実施形態では、第1の鎖は、交互ヌクレオチドが、2’-修飾、例えば、2’-O-メチル修飾を含む、交互修飾パターンを有する。一部の実施形態では、第1の鎖が、交互2’-O-メチル修飾を含み、第2の鎖が、交互2’-フルオロ修飾を含む。他の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドの両方の鎖が、交互2’-O-メチル修飾を含む。
二本鎖オリゴヌクレオチドの両方の鎖が交互2’-O-メチル修飾を含む場合、このような2’-修飾ヌクレオチドは、二重螺旋領域において相補的位置であってよい。或いは、このような2’-修飾ヌクレオチドは、二重螺旋領域において相補的位置ではない。
一部の実施形態では、多標的分子中に存在するオリゴヌクレオチドは、2つの化学的に異なる領域を含み、ここで、各領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチド長である。
他の実施形態では、多標的分子中に存在するオリゴヌクレオチドは、3つの化学的に異なる領域を含む。中央の領域は、約5~15、(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15)ヌクレオチド長であり、各フランキング又はウィング領域は、独立に、1~10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)ヌクレオチド長である。3つの領域の全てが、異なる修飾を有してもよく、又はウィング領域が、互いに類似の修飾を有してもよい。一部の実施形態では、ウィング領域は、同じ長さ、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチド長である。
本明細書で使用されるとき、用語「交互モチーフ」は、モノマーサブユニットが、化合物のほぼ全配列にわたって交互に繰り返す2つの異なるタイプの糖基を有する、連結モノマーサブユニットから構成される連続配列を含む化合物を指す。交互モチーフを有するオリゴヌクレオチドは、式:5’-A(-L-B-L-A)n(-L-B)m-3’により表すことができ、式中、A及びBは、異なる糖基を有するモノマーサブユニットであり、各Lは、ヌクレオシド間結合基であり、nは、約4~約12であり、mは、0又は1である。これにより、長さが約9~約26モノマーサブユニットの交互モチーフを有する化合物が可能になる。これより長い及び短い化合物も本発明に適していることから、この長さ範囲が限定的であるわけではない。一部の実施形態では、A及びBの一方は、本明細書において提供される2’-修飾ヌクレオシドである。
本明細書で使用されるとき、ある「タイプ」のヌクレオシド又はヌクレオシドに関して「修飾のタイプ」は、ヌクレオシドの修飾を指し、修飾及び非修飾ヌクレオシドを含む。従って、別に指定されない限り、「第1タイプの修飾を有するヌクレオシド」は、非修飾ヌクレオシドであってもよい。
本明細書で使用されるとき、「タイプ領域」は、化合物の一部を指し、ここで、上記領域内のヌクレオシド及びヌクレオシド間結合は全て同じタイプの修飾を含み;任意の隣接部分のヌクレオシド及び/又はヌクレオシド間結合は、少なくとも1つの異なるタイプの修飾を含む。本明細書で使用されるとき、用語「均質な完全修飾モチーフ」は、各々同じタイプの糖基を有する連結モノマーサブユニットの連続的配列を含むオリゴヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、均質な完全修飾モチーフは、本発明のヌクレオシドの連続的配列を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるヌクレオシドの連続的配列の3’及び5’末端の一方又は両方は、1つ又は複数の非修飾ヌクレオシドなどの末端基を含む。
いくつかの実施形態では、化合物、例えば、多標的分子又はエフェクター分子の5’末端モノマーは、5’末端にリン含有部分を含む。いくつかの実施形態では、5’末端モノマーは、2’-修飾を含む。いくつかのこうした実施形態では、5’末端モノマーの2’-修飾は、カチオン性修飾である。いくつかの実施形態では、5’末端モノマーは、5’-修飾を含む。いくつかの実施形態では、5’末端モノマーは、2’-修飾及び5’-修飾を含む。いくつかの実施形態では、5’末端モノマーは、5’-安定化ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、5’末端モノマーの修飾は、5’-リン酸塩を安定化する。いくつかの実施形態では、5’末端モノマーの修飾を含む化合物は、エキソヌクレアーゼに対して耐性である。いくつかの実施形態では、5’末端モノマーの修飾を含む化合物は、改善された遺伝子発現調節特性を有する。
いくつかの実施形態では、5’末端モノマーは、改変された結合により、残りの化合物に結合される。いくつかのこうした実施形態では、5’末端モノマーは、ホスホロチオエート結合により、残りの化合物に結合される。
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴマー化合物は、1つ又は複数の交互修飾の領域を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、1つ又は複数の交互ヌクレオシド修飾の領域を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、1つ又は複数の交互結合修飾の領域を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、1つ又は複数の交互ヌクレオシド及び結合修飾の領域を含む。
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴマー化合物は、1つ又は複数の交互2’-F修飾ヌクレオシド及び2’-OMe修飾ヌクレオシドの領域を含む。いくつかのこうした実施形態では、交互2’F修飾及び2’OMe修飾ヌクレオシドのこのような領域も交互結合を含む。いくつかのこうした実施形態では、2’-F修飾ヌクレオシドの3’末端での結合は、ホスホロチオエート結合である。いくつかのこうした実施形態では、2’OMeヌクレオシドの3’末端での結合は、リン酸ジエステル結合である。
いくつかの実施形態では、このような交互領域は:
(2’-F)-(PS)-(2’-OMe)-(PO)
である。
いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11個のこうした交互領域を含む。こうした領域は、連続的であってもよく、又は異なる修飾ヌクレオシド若しくは結合によって分断されていてもよい。
いくつかの実施形態では、交互モチーフ中の1つ又は複数の交互領域は、複数のあるタイプの単一ヌクレオシドを含む。例えば、本発明のオリゴマー化合物は、以下のヌクレオシドモチーフ:
ABA;
ABBA;
AABA;
AABBAA;
ABBABB;
AABAAB;
ABBABAABB;
ABABAA;
AABABAB;
ABABAA;
ABBAABBABABAA;
BABBAABBABABAA;又は
ABABBAABBABABAA;
のいずれかの1つ又は複数の領域を含んでもよく、ここで、Aは、第1タイプのヌクレオシドであり、Bは、第2タイプのヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、A及びBは、各々、2’-F、2’-OMe、LNA、DNA及びMOEから選択される。
いくつかの実施形態では、Aは、DNAである。いくつかの実施形態では、Bは、DNAである。一部の実施形態では、Aは、4’-CH2O-2’-LNAである。いくつかの実施形態では、Bは、4’-CH2O-2’-LNAである。いくつかの実施形態では、Aは、DNAであり、Bは、4’-CH2O-2’-LNAである。いくつかの実施形態では、Aは、4’-CH2O-2’-LNAであり、Bは、DNAである。
いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMeである。いくつかの実施形態では。Bは、2’-OMeである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMeであり、Bは、4’-CH2O-2’-LNAである。いくつかの実施形態では、Aは、4’-CH2O-2’-LNAであり、Bは、2’-OMeである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMeであり、Bは、DNAである。いくつかの実施形態では、Aは、DNAであり、Bは、2’-OMeである。
いくつかの実施形態では、Aは、(S)-cEtである。一部の実施形態では、Bは、(S)-cEtである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMeであり、Bは、(S)-cEtである。いくつかの実施形態では、Aは、(S)-cEtであり、Bは、2’-OMeである。いくつかの実施形態では、Aは、DNAであり、Bは、(S)-cEtである。いくつかの実施形態では、Aは、(S)-cEtであり、Bは、DNAである。
いくつかの実施形態では、Aは、2’-Fである。いくつかの実施形態では、Bは、2’-Fである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-Fであり、Bは、4’-CH2O-2’-LNAである。いくつかの実施形態では、Aは、4’-CH2O-2’-LNAであり、Bは、2’-Fである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-Fであり、Bは、(S)-cEtである。いくつかの実施形態では、Aは、(S)-cEtであり、Bは、2’-Fである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-Fであり、Bは、DNAである。いくつかの実施形態では、Aは、DNAであり、Bは、2’-Fである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMeであり、Bは、2’-Fである。いくつかの実施形態では、Aは、DNAであり、Bは、2’-OMeである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMeであり、Bは、DNAである。
いくつかの実施形態では、このような交互モチーフを有するオリゴマー化合物は、リン酸塩安定化修飾を含む5’末端ヌクレオシドも含む。いくつかの実施形態では、このような交互モチーフを有するオリゴマー化合物は、2’カチオン性修飾を含む5’末端ヌクレオシドも含む。いくつかの実施形態では、このような交互モチーフを有するオリゴマー化合物は、5’末端修飾も含む。
2-2-3モチーフ
いくつかの実施形態では、多標的分子中のオリゴヌクレオチドは、2-2-3モチーフを有する領域を含む。このような領域は、下記のモチーフ:
5’-(E)w-(A)2-(B)x-(A)2-(C)y-(A)3-(D)z
を含み、
式中、Aは、第1タイプの修飾ヌクレオシドであり;
B、C、D、及びEは、Aと異なる修飾がなされたヌクレオシドであるが、B、C、D、及びEは、互いに同じ又は異なる修飾を有していてもよく;
w及びzは、0~15であり;
x及びyは、1~15である。
いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMe修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、B、C、D、及びEは全て2’-F修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、Aは、2’-OMe修飾ヌクレオシドであり、B、C、D、及びEは全て2’-F修飾ヌクレオシドである。
いくつかの実施形態では、2-2-3モチーフの結合は全て修飾結合である。いくつかの実施形態では、結合は全てホスホロチオエート結合である。いくつかの実施形態では、第1タイプの各修飾の3’末端の結合は、リン酸ジエステルである。
いくつかの実施形態では、Zは0である。こうした実施形態では、第1タイプの3ヌクレオシドの領域は、オリゴヌクレオチドの3’末端にある。いくつかの実施形態では、このような領域は、オリゴマー化合物の3’末端にあり、第1タイプの3ヌクレオシドの領域の3’末端に他の基は結合していない。いくつかの実施形態では、Zが0であるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物は、3’末端ヌクレオシドに結合された末端基を含んでもよい。このような末端基は、別のヌクレオシドを含んでもよい。このような別のヌクレオシドは、典型的に、非ハイブリダイズヌクレオシドである。
いくつかの実施形態では、Zは1~3である。いくつかの実施形態では、Zは2である。いくつかの実施形態では、Zのヌクレオシドは、2’-MOEヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、Zは、非ハイブリダイズヌクレオシドを表す。混乱を避けるために、このような非ハイブリダイズヌクレオシドがZ=0の3’末端基としても記載され得ることに留意する。
組合せモチーフ
前述したモチーフ及び修飾のいくつかを組み合わせてもよいことは理解すべきである。モチーフは、少数のヌクレオチドのみを含み得ることから、特定のオリゴヌクレオチドは、2つ以上のモチーフを含むことができる。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、多標的分子中のオリゴヌクレオチドは、LNA、ホスホロチオエート結合、2’-OMe、共役リガンドから選択される2つ以上のヌクレオチドモチーフを有し得る。
限定なしに、本明細書に記載する様々なヌクレオチドモチーフのいずれかを有する本発明の多標的分子は、任意の結合モチーフを有することもできる。例えば、多標的分子中に存在するオリゴヌクレオチドにおいて、5’末端の最初の1、2、3、4又は5糖間結合は、修飾された糖間結合であってよく、3’末端の最初の4、5、6、7又は8糖間結合は、修飾された糖間結合であってよい。こうした修飾オリゴヌクレオチドの中央領域は、本明細書に記載する他のモチーフのいずれかに基づく糖間結合、例えば、均質、交互、ヘミマー、ギャップマーなどを有し得る。一部の実施形態では、多標的分子中に存在するオリゴヌクレオチドは、5’末端の第1及び第2モノマーの間のホスホロチオエート結合、中央領域におけるホスホロチオエート/リン酸ジエステル交互結合、並びに3’末端の6、7、又は8ホスホロチオエート結合を含む。
ヌクレオチドモチーフにより画定される領域の長さ及び結合モチーフの長さは、同じである必要はないことに留意すべきである。
一部の実施形態では、一本鎖オリゴヌクレオチド又は二本鎖オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの鎖は、以下のモチーフの少なくとも1つを含む:
(a)5’-ホスホロチオエート又は5’-ホスホロジチオエート;
(b)5’末端のヌクレオチド1及び2のカチオン性修飾、ここで、カチオン性修飾は、ピリミジンのC5位、及びプリンのC2、C6、C8、環外N2若しくは環外N6に位置する;
(c)5’末端の最初の2つの末端ヌクレオチドにおける少なくとも1つのGクランプヌクレオチド及びカチオン性修飾を有する他のヌクレオチド、ここで、カチオン性修飾は、ピリミジンのC5位、又はプリンのC2、C6、C8、環外N2若しくは環外N6位に位置する;
(d)核酸塩基修飾を含む少なくとも1つの2’-F修飾ヌクレオチド;
(e)核酸塩基修飾を含む少なくとも1つのgem-2’-O-メチル/2’-F修飾ヌクレオチド、好ましくは、メチル置換基は、上方配置、例えば、アラビノース配置にある;
(f)3’末端の5’-PuPu-3’ジヌクレオチド、ここで、いずれのヌクレオチドも、米国特許出願公開第20130130378号明細書(その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように2’位に修飾MOEを含む;
(g)5’末端の5’-PuPu-3’ジヌクレオチド、ここで、いずれのヌクレオチドも、米国特許出願公開第20130130378号明細書に記載のように2’位に修飾MOEを含む;
(h)米国特許出願公開第20130130378号明細書に記載のように2’位に修飾MOEを含む、5’末端のヌクレオチド;
(i)3’-F修飾を有する5’末端のヌクレオチド;
(j)4’-置換基を含む5’末端ヌクレオチド;
(k)O4’修飾を含む5’末端ヌクレオチド;
(l)4’-置換基を含む3’末端ヌクレオチド;及び
(m)これらの組合せ。
一部の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドの両方の鎖は、独立に、前述したモチーフの少なくとも1つを含む。一部の他の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドの両方の鎖は、前述したモチーフの少なくとも1つを含み、これらのモチーフは、同じでも異なっていてもよく、又は同じ及び異なるもののいくつかの組合せであってよい。
前述の例は、記載されるモチーフをどのように組み合わせて使用できるかを示すために提供されるに過ぎず、特定の組合せ又は組合せの例示に用いた特定の修飾に本発明を限定することは意図しない。さらに、限定はしないが、上の表に示すものなどの本明細書における特定の例は、より一般的な実施形態を包含することを意図する。例えば、上の表の列Aは、交互に繰り返す2’-OMe及び2’-Fヌクレオシドの領域を例示する。従って、この同じ開示は、交互に繰り返す別の2’-修飾の領域も例示する。これはまた、交互に繰り返す2’-O-アルキル及び2’-ハロゲンヌクレオシドの領域も例示する。これはまた、交互に繰り返す異なる修飾ヌクレオシドの領域も例示する。本明細書全体の例の全てがこうした包括的解釈を考慮する。
化合物、例えば、多標的分子中の存在するオリゴヌクレオチドの長さは、モチーフを破断することなく、記載の領域の1つ又は複数を伸長又は短縮することによって容易に操作し得ることにも留意する。
一部の実施形態では、多標的分子中のオリゴヌクレオチドは、2つ以上の化学的に異なる領域を含み、2009年3月26日に出願された国際出願PCT/米国特許出願第09/038433号明細書(その内容は、全体として本明細書に組み込まれる)に記載の構造を有する。
合成、精製及び分析
修飾及び非修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドのオリゴマー化は、DNA(Protocols for Oligonucleotides and Analogs,Ed.Agrawal(1993),Humana Press)及び/又はRNA(Scaringe,Methods(2001),23,206-217.Gait et al.,Applications of Chemically synthesized RNA in RNA:Protein Interactions,Ed.Smith(1998),1-36.Gallo et al.,Tetrahedron(2001),57,5707-5713)についての文献に記載の手順に従って、常用的に実施することができる。
オリゴヌクレオチドなどの核酸は、固相合成の周知の技術によって好都合且つ常用的に製造することができる。こうした合成の装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)を含む複数の供給業者により販売されている。当技術分野で公知であるこうした合成のための任意の他の手段を追加的又は代替的に使用してもよい。類似の技術を用いて、ホスホロチオエート及びアルキル化誘導体などのオリゴヌクレオチドを調製することはよく知られている。本発明は、合成の方法により限定されない。
核酸の精製及び分析の方法は、当業者に公知である。分析方法としては、キャピラリー電気泳動(CE)及びエレクトロスプレー質量分析が挙げられる。こうした合成及び分析方法は、マルチウェルプレートで実施することができる。本発明の方法は、オリゴマー精製方法により限定されない。
オリゴヌクレオチドなどの核酸は、液相若しくは固相有機合成を用いて、又は当技術分野で公知の方法により酵素を用いて調製することもできる。有機合成は、非天然又は修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖を容易に調製することができるという利点を提供する。当技術分野で公知のこうした合成のための任意の他の手段を追加的又は代替的に使用してもよい。類似の技術を用いて、糖間結合のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート及びアルキル化誘導体を含むものなど、他の核酸を調製することも知られている。二本鎖核酸は、2ステップ法を用いて調製することができる。最初に、二本鎖分子の個々の鎖を別々に調製する。次に、構成鎖をアニーリングする。
合成の方法とは関係なく、核酸は、製剤化に適切な溶液(例えば、水及び/又は有機溶液)中で調製することができる。例えば、核酸調製物を沈殿させてから、純粋再蒸留水中に再溶解させた後、凍結乾燥させることができる。次に、乾燥させた核酸を、意図する製剤化方法に適した溶液に再懸濁させることができる。
特定の修飾核酸の合成に関する教示は、以下の米国特許又は係属中の特許出願に見出すことができる:ポリアミン共役オリゴヌクレオチドに関する米国特許第5,138,045号明細書及び同第5,218,105号明細書;キラルリン結合を有するオリゴヌクレオチドの調製のためのモノマーに関する米国特許第5,212,295号明細書;修飾骨格を有するオリゴヌクレオチドに関する米国特許第5,378,825号明細書及び同第5,541,307号明細書;骨格修飾オリゴヌクレオチド及び還元性カップリングによるその調製に関する米国特許第5,386,023号明細書;3-デアザプリン環系に基づく修飾核酸塩基及びその合成方法に関する米国特許第5,457,191号明細書;N-2置換プリンに基づく修飾核酸塩基に関する米国特許第5,459,255号明細書;キラルリン結合を有するオリゴヌクレオチドを調製するための方法に関する米国特許第5,521,302号明細書;ペプチド核酸に関する米国特許第5,539,082号明細書;βラクタム骨格を有するオリゴヌクレオチドに関する米国特許第5,554,746号明細書;オリゴヌクレオチドの合成のための方法及び材料に関する米国特許第5,571,902号明細書;アルキルチオ基を有するヌクレオシド(このような基は、ヌクレオシドの様々な位置のいずれかに結合した他の部分に対するリンカーとして使用することができる)に関する米国特許第5,578,718号明細書;高キラル純度のホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドに関する米国特許第5,587,361号明細書及び同第5,599,797号明細書;2’-O-アルキルグアノシン及び関連化合物(2,6-ジアミノプリン化合物など)の調製方法に関する米国特許第5,506,351号明細書;N-2置換プリンを有するオリゴヌクレオチドに関する米国特許第5,587,469号明細書;3-デアザプリンを有するオリゴヌクレオチドに関する米国特許第5,587,470号明細書;いずれも共役4’-デスメチルヌクレオシド類似体に関する米国特許第5,223,168号明細書、及び米国特許第5,608,046号明細書;骨格修飾オリゴヌクレオチド類似体に関する米国特許第5,602,240号明細書、及び同第5,610,289号明細書;並びにとりわけ2’-フルオロ-オリゴヌクレオチドの合成方法に関する米国特許第6,262,241号明細書、及び同第5,459,255号明細書。
医薬組成物を製剤化するための組成物及び方法
多標的分子は、医薬組成物又は製剤の調製のために、薬学的に許容される活性及び/又は不活性物質と混合することができる。医薬組成物の製剤化のための組成物及び方法は、限定はしないが、投与経路、疾患の程度、又は投与しようとする用量などのいくつかの基準に左右される。
多標的分子は、このようなオリゴマー化合物を好適な薬学的に許容される希釈剤若しくは担体と組み合わせることにより、医薬組成物として使用することができる。薬学的に許容される希釈剤としては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)がある。PBSは、非経口で送達しようとする組成物に使用するのに好適な希釈剤である。従って、一部の実施形態では、アンチセンス化合物及び/又は解毒剤化合物及び薬学的に許容される希釈剤を含む医薬組成物が本明細書に記載する方法に使用される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、PBSである。
多標的分子を含む医薬組成物は、任意の薬学的に許容される塩、エステル、又はこうしたエステルの塩を含む。いくつかの実施形態では、多標的分子を含む医薬組成物は、ヒトなどの動物に投与されると、生物学的に活性の代謝物又はその残基を(直接若しくは間接的に)付与することができる1つ又は複数のオリゴヌクレオチドを含む。従って、例えば、本開示は、アンチセンス化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、こうしたプロドラッグの薬学的に許容される塩、並びに他の生物学的均等物にも関する。好適な薬学的に許容される塩として、限定はしないが、ナトリウム及びカリウム塩がある。
プロドラッグは、活性分子を形成するために、身体内で内在性ヌクレアーゼにより切断される多標的分子の一方又は両方の末端に別のヌクレオシドの組み込みを含むことができる。
本発明の医薬組成物は、局所又は全身治療のいずれが要望されるか、並びに治療しようとする部位に応じて様々な方法で投与することができる。投与は、局所(例えば、経皮パッチにより)、肺、例えば、ネブライザーなどを用いて、粉末若しくはエアゾールの吸入又は通気により;気管内、鼻内、表皮及び経皮、経口若しくは非経口であってよい。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内若しくは筋肉内注射又は注入;皮下、例えば、埋込型デバイスにより;又は頭蓋内、例えば、実質内、髄腔内若しくは脳室内投与が挙げられる。多標的分子は、肝臓(例えば、肝臓の肝細胞)などの特定の組織をターゲティングするように送達することができる。
局所投与用の医薬組成物及び製剤としては、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴薬、坐薬、スプレー、液体及び粉末を挙げることができる。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが必要となるか、又は望ましい場合がある。また、コーティングされたコンドーム、手袋なども有用となり得る。好適な局所製剤として、本発明の主題である多標的分子が、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤及び界面活性剤などの局所送達剤と混合されているものが挙げられる。好適な脂質及びリポソームとして、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及びカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が挙げられる。本発明の主題である多標的分子は、リポソーム中に封入するか、又はそれと、特にカチオン性リポソームと複合体を形成してもよい。或いは、多標的分子を脂質、特にカチオン性脂質と複合体化してもよい。好適な脂肪酸及びエステルとして、限定はしないが、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸エステル、トリカプリン酸エステル、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1-モノカプリン酸エステル、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、又はC1~20アルキルエステル(例えば、イソプロピルミリスチン酸エステルIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド、これらの又は薬学的に許容される塩が挙げられる。局所製剤は、米国特許第6,747,014号明細書に詳細に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
研究され、薬剤の製剤化のために使用されているマイクロエマルション以外にも多くの組織化された界面活性剤構造がある。これらは、単層、ミセル、二層及び小胞を含む。リポソームなどの小胞は、薬剤送達の観点からそれらが提供するその特異性及び作用の持続性のために大きい関心を集めている。本発明に使用されるとき、用語「リポソーム」は、球状二層又は二層内に配置される両親媒性脂質から構成される小胞を意味する。
リポソームは、親油性物質及び水性の内部から形成される膜を有する単層又は多層小胞である。水性部分は、送達しようとする組成物を含有する。カチオン性リポソームは、細胞壁に融合することができるという利点を有する。非カチオン性リポソームは、細胞壁に効率的に融合することはできないが、in vivoでマクロファージにより取り込まれる。
リポソームのさらなる利点は、以下の通りである:天然リン脂質から得られるリポソームは、生体適合性及び生分解性であること;リポソームは、多様な水及び脂溶性薬剤を取り込み得ること;リポソームは、その内部コンパートメント内に封入された薬剤を代謝及び分解から保護し得ること(Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245)。リポソーム製剤の調製で重要な考慮事項は、脂質表面電荷、小胞サイズ及びリポソームの含水量である。
リポソームは、作用部位への活性成分の輸送及び送達に有用である。リポソーム膜は、構造的に生物膜と類似していることから、リポソームを組織に適用すると、リポソームは、細胞膜と融合し始め、リポソームと細胞の融合が進行するにつれ、リポソームの内容物は、細胞中に移され、そこで活性剤が作用し得る。
リポソーム製剤は、多くの薬剤の送達方法として広範囲にわたる研究の対象であった。局所投与の場合、リポソームは、他の製剤に対していくつかの利点を提供するというエビデンスが増えている。このような利点には、投与された薬剤の高度全身吸収に関連する副作用の低減、要望される標的部位での投与薬剤の蓄積増大、並びに親水性及び疎水性両方の多様な薬剤を皮膚中に投与する能力が含まれる。
複数の報告が、高分子量DNAを含む薬剤を皮膚中に送達するリポソームの能力について詳述している。鎮痛薬、抗体、ホルモン及び高分子量DNAを含む化合物が皮膚に送達されている。ほとんどの場合、適用によって上面表皮のターゲティングが達成された。
リポソームは、2つの大きいクラスに分けられる。カチオン性リポソームは、陽荷電リポソームであり、陰荷電DNA分子と相互作用して、安定した複合体を形成する。陽荷電DNA/リポソーム複合体は、陰荷電細胞表面に結合し、エンドソーム内に内在化される。エンドソーム内は酸性pHであるため、リポソームは破壊され、その内容物を細胞質中に放出する(Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1987,147,980-985)。
pH感受性又は陰荷電であるリポソームは、DNAと複合体化するのではなく、DNAを捕捉する。DNAと脂質はいずれも同様に荷電していることから、複合体形成ではなく、反発が起こる。それでも、一部のDNAは、これらのリポソームの水性内部に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを培養中の細胞単層に送達するために用いられている。外来遺伝子の発現が標的細胞内で検出された(Zhou et al.,Journal of Controlled Release,1992,19,269-274)。
一主要タイプのリポソーム組成物は、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成することができる。アニオン性リポソーム組成物は、一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されるが、アニオン性融合性リポソームは、主に、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別のタイプのリポソーム組成物は、例えば、ダイズPC、及び卵PCなどのホスファチジルコリン(PC)から形成される。別のタイプは、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
いくつかの研究では、皮膚へのリポソーム薬製剤の局所送達を評価している。インターフェロンを含有するリポソームをモルモットの皮膚に適用したところ、皮膚ヘルペスの軽減が達成されたのに対し、他の手段(例えば、溶液又はエマルションとして)によるインターフェロンの送達は有効ではなかった(Weiner et al.,Journal of Drug Targeting,1992,2,405-410)。さらに、別の研究では、水性系を用いたインターフェロンの投与に対して、リポソーム製剤の一部として投与されるインターフェロンの効力を試験し、リポソーム製剤は、水性投与より優れているという結論が出された(du Plessis et al.,Antiviral Research,1992,18,259-265)。
ノニオン性リポソーム系も、特にノニオン性界面活性剤及びコレステロールを含む系が皮膚への薬剤送達における有用性を決定するために試験されている。Novasome(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)及びNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含むノニオン性リポソーム製剤が、マウス皮膚の真皮にシクロスポリン-Aを送達するために使用された。結果から、こうしたノニオン性リポソーム系が、皮膚の様々な層へのシクロスポリン-Aの沈着を促進する上で有効であることがわかった(Hu et al.S.T.P.Pharma.Sci.,1994,4,6,466)。
リポソームはまた、「立体安定化」リポソームも含み、この用語は、本明細書で使用されるとき、1種又は複数種の特殊化脂質を含むリポソームを指し、これらの脂質は、リポソームに組み込まれると、このような特殊化脂質のないリポソームと比較して循環寿命の増加をもたらす。立体安定化リポソームの例として、リポソームの小胞体形成脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1などの1つ又は複数の糖脂質を含むもの、又は(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分などの1種又は複数種の親水性ポリマーと誘導体化したものがある。特定の理論に拘束されることは意図しないが、当技術分野では、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン、又はPEG-誘導体化脂質を含有する立体安定化リポソームについて、これらの立体安定化リポソームの循環寿命の増加は、細網内皮系(RES)の細胞への取り込み低減によるものと考えられている(Allen et al.,FEBS Letters,1987,223,42;Wu et al.,Cancer Research,1993,53,3765)。
1種又は複数種の糖脂質を含む様々なリポソームが当技術分野において公知である。Papahadjopoulosら(Ann.N.Y.Acad.Sci.,1987,507,64)は、リポソームの血中半減期を向上させるモノシアロガングリオシドGM1、ガラクトセレブロシド硫酸及びホスファチジルイノシトールの能力を報告している。これらの知見は、Gabizonら(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1988,85,6949)により詳細に説明されている。米国特許第4,837,028号明細書及び国際公開第88/04924号パンフレット(いずれもAllenらによる)は、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1又はガラクトセレブロシド硫酸エステルを含むリポソームを開示する。米国特許第5,543,152号明細書(Webbら)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示する。1,2-sn-ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームが、国際公開第97/13499号パンフレット(Limら)に開示されている。
1種又は複数種の親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含む多くのリポソーム、及びその調製方法が当技術分野で公知である。Sunamotoら(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1980,53,2778)は、PEG部分を含有するノニオン性洗剤、2C1215Gを含むリポソームを記載している。Illumら(FEBS Lett.,1984,167,79)は、ポリマーグリコールによるポリスチレン粒子の親水性コーティングにより、血中半減期が有意に増加したことを記載している。ポリアルキレングリコール(例えば、PEG)のカルボン酸基の結合により修飾された合成リン脂質が、Sears(米国特許第4,426,330号明細書及び同第4,534,899号明細書)により記載されている。Klibanovら(FEBS Lett.,1990,268,235)は、PEGで誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PE)又はステアリン酸PEGを含むリポソームが、血中循環半減期の有意な増加を有することを立証する実験を記載している。Blumeら(Biochimica et Biophysica Acta,1990,1029,91)は、こうした観察を、他のPEG-誘導体化リン脂質、例えば、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)とPEGとの組合せから形成されるDSPE-PEGまで拡大した。外側表面に共有結合したPEG部分を有するリポソームが、Fisherの欧州特許第0 445 131 B1号明細書及び国際公開第90/04384号パンフレットに記載されている。PEGで誘導体化されたPEを1~20モルパーセント含有するリポソーム組成物及びその使用方法が、Woodleら(米国特許第5,013,556号明細書及び同第5,356,633号明細書)及びMartinら(米国特許第5,213,804号明細書及び欧州特許第0 496 813 B1号明細書)によって記載されている。いくつかの他の脂質-ポリマーコンジュゲートを含むリポソームが、国際公開第91/05545号パンフレット及び米国特許第5,225,212号明細書(いずれもMartinら)及び国際公開第94/20073号パンフレット(Zalipskyら)に開示されている。PEG修飾セラミド脂質を含むリポソームが、国際公開第96/10391号パンフレット(Choiら)に記載されている。米国特許第5,540,935号明細書(Miyazakiら)及び米国特許第5,556,948号明細書(Tagawaら)は、その表面で機能性部分とさらに誘導体化することができるPEG含有リポソームを記載している。
核酸を含むいくつかのリポソームが当技術分野で知られている。Thierryらの国際公開第96/40062号パンフレットは、高分子量核酸をリポソームに封入するための方法を開示している。Tagawaらの米国特許第5,264,221号明細書は、タンパク質結合リポソームを開示し、こうしたリポソームの内容物がdsRNAを含み得ることを主張する。Rahmanらの米国特許第5,665,710号明細書は、オリゴデオキシヌクレオチドをリポソームに封入する特定の方法を記載する。Loveらの国際公開第97/04787号パンフレットは、raf遺伝子にターゲティングされたdsRNAを含むリポソームを開示する。
トランスファーソーム(Transfersome)はまた別のタイプのリポソームであり、高度に変形可能な脂質凝集体であり、薬剤送達ビヒクルの魅力的な候補である。トランスファーソームは、脂肪滴と表現することができ、これは、高度に変形可能であるため、この脂肪滴より小さい孔を容易に透過することができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適応することができ、例えば、自己最適化し(皮膚の孔の形状に適応性)、自己修復し、多くの場合、断片化せずにその標的に到達すると共に自己充填することが多い。トランスファーソームを製造するために、表面端活性剤、通常、界面活性剤を標準的リポソーム組成物に添加することができる。トランスファーソームは、皮膚に血清アルブミンを送達するために使用されている。トランスファーソーム媒介による血清アルブミンの送達は、血清アルブミンを含有する溶液の皮下注射と同程度に有効であることが判明している。
研究ツール
いくつかの事例では、遺伝子発現を調節することが可能なオリゴヌクレオチドは、研究ツールとして使用されている。例えば、特定の遺伝子産物の機能を調べている研究者らは、細胞又は動物に存在するその遺伝子産物の量を低減するオリゴヌクレオチドを設計し、細胞又は動物における表現型変化を観察することができる。いくつかの実施形態では、本発明は、細胞又は動物における2つの異なる標的の量を低減するための方法を提供する。一部の実施形態では、2つの異なる標的は、2つの異なる遺伝子又は遺伝子産物であり得る。一部の実施形態では、2つの異なる標的は、同じ遺伝子又は遺伝子産物であり得る。いくつかの実施形態では、試験者らは、タンパク質又は非翻訳核酸を特性決定するために、こうした技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子産物及び/又はいくつかの細胞機能の動力学及び/又はターンオーバを調べるために、こうした実験を使用する。一部の実施形態では、異なる遺伝子又は遺伝子産物間の関係又は相互関係を調べるために、こうした実験を使用する。
キット
いくつかの実施形態では、本発明は、1種又は複数種の多標的分子を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、こうしたキットは、治療用途のために意図される。いくつかの実施形態では、こうしたキットは、研究用途のために意図される。
本明細書に記載する特定の化合物、組成物及び方法をいくつかの実施形態に従って詳細に説明してきたが、以下の実施例は、本明細書に記載する化合物を説明するために用いるに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本願で引用される参照文献、GenBankアクセッション番号などは各々、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
定義
具体的な定義が記載されていない限り、本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、並びに医学及び薬化学に関連して使用される名称、並びにそれらの手順及び技術は、当技術分野でよく知られ、且つ一般に使用されているものである。化学合成、及び化学分析のために標準的技術を使用することができる。いくつかのこうした技術及び手順は、例えば、“Carbohydrate Modifications in Antisense Research”Edited by Sangvi and Cook,American Chemical Society,Washington D.C.,1994;“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,18th edition,1990;及び“Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications”Edited by Stanley T.Crooke,CRC Press,Boca Raton,Fla.;及びSambrook et al.,“Molecular Cloning,A laboratory Manual”,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989に見出すことができ、これらは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。認められる限り、本開示で言及される全ての特許、出願、公開出願、並びに他の刊行物及び他のデータは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
別に指示されていない限り、下記の用語は下記の意味を有する。
本明細書で使用されるとき、用語「標的核酸」は、発現又は活性がsiRNA化合物により調節され得る任意の核酸分子を指す。標的核酸として、限定はしないが、標的タンパク質をコードするDNAから転写されるRNA(限定はしないが、pre-mRNA及びmRNA又はその部分を含む)、並びにそのようなRNAから得られるcDNA、及びmiRNAが挙げられる。例えば、標的核酸は、その発現が特定の障害若しくは病態と関連する細胞遺伝子(又は遺伝子から転写されるmRNA)であってよい。一部の実施形態では、標的核酸は、感染因子由来の核酸分子であってよい。
本明細書で使用されるとき、RNA干渉分子による「遺伝子サイレンシング」は、標的遺伝子について、miRNA又はRNA干渉分子が存在しない細胞に見出されるmRNAレベルの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、100%までを含む少なくとも約99%、及びこれらの間のあらゆる整数%の、細胞中のmRNAレベルの減少を指す。1つの好ましい実施形態では、mRNAレベルは、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、100%までを含む少なくとも約99%、及び5%~100%のあらゆる整数%だけ減少される。
本明細書で使用されるとき、用語「遺伝子発現を調節する」は、1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードする遺伝子の発現、又はRNA分子若しくは均等なRNA分子のレベルを上方制御又は下方制御して、発現、レベル、若しくは活性がモジュレータの非存在下で観察されるものより高く又は低くなるようにすることを意味する。例えば、用語「調節する」は、「阻害する」を意味し得るが、用語「調節する」の使用は、この定義に限定されない。
本明細書で使用されるとき、遺伝子発現調節は、1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードする遺伝子の発現、又はRNA分子若しくは均等なRNA分子のレベルが、siRNA、例えば、RNAi剤の非存在下で観察されるものと少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍以上異なる場合に起こる。%及び/又は倍率差は、例えば、対照又は非対照に対して、以下のように計算することができる。
本明細書で使用されるとき、遺伝子発現に関して、「阻害する」、「下方制御する」、又は「低減する」という用語は、1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードする遺伝子の発現、又はRNA分子若しくは均等なRNA分子のレベル、又は1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性がモジュレータの非存在下で観察されるものより低く低減されることを意味する。1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードする遺伝子の発現、又はRNA分子若しくは均等なRNA分子のレベル、又は1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性が、対応する非調節対照に比べ少なくとも10%低く、好ましくは少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%又は最も好ましくは、100%(すなわち、遺伝子発現がない)だけ低く低減される場合、遺伝子発現は下方制御される。
本明細書で使用されるとき、遺伝子発現に関して、「増加する」又は「上方制御する」という用語は、1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードする遺伝子の発現、又はRNA分子若しくは均等なRNA分子のレベル、又は1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性がモジュレータの非存在下で観察されるものより高く増加されることを意味する。1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードする遺伝子の発現、又はRNA分子若しくは均等なRNA分子のレベル、又は1種又は複数種のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性が、対応する非調節対照に比べ、少なくとも10%、好ましくは少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、100%、1.1倍、1.25倍、1.5倍、1.75倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍以上増加される場合、遺伝子発現は上方制御される。
本明細書で使用されるとき、用語「増加した」又は「増加する」は、概して、統計的に有意な量の増加を意味し;誤解を避けるために、「増加した」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば、基準レベルと比較して少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又は100%以下の増加又は10~100%の間のあらゆる増加、或いは基準レベルと比較して少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍又は少なくとも約10倍の増加、又は2倍~10倍以上の間のあらゆる増加を意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「低減した」又は「低減する」は、概して、統計的に有意な量の減少を意味する。しかしながら、誤解を避けるために、「低減した」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の減少、例えば、基準レベルと比較して少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又は100%(すなわち、基準サンプルと比較してゼロレベル)以下の減少、又は10~100%の間のあらゆる減少を意味する。
「特異的にハイブリダイズ可能な」及び「相補的な」は、核酸が、伝統的なワトソン-クリック又は他の非伝統的タイプのいずれかにより、別の核酸配列と水素結合を形成し得ることを意味する。本発明の核酸分子に関連して、核酸分子とその相補的配列との結合自由エネルギーは、核酸の関連機能、例えば、RNAi活性を進行させるのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は、当技術分野においてよく知られている(例えば、Turner et al,1987,CSH Symp.Quant.Biol.LII pp.123-133;Frier et al.,1986,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 83:9373-9377;Turner et al.,1987,/.Am.Chem.Soc.109:3783-3785を参照されたい)。相補性パーセントは、第2核酸配列と、水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対合)を形成することができる核酸分子中の連続した残基のパーセンテージ(例えば、10のうちの5、6、7、8、9、10は、50%、60%、70%、80%、90%、及び100%相補的である)を示す。「完全に相補的」又は100%相補性とは、核酸配列の連続した残基の全てが、第2核酸配列中の同数の連続した残基と水素結合することを意味する。完全ではない相補性は、2つの鎖の一部(全部ではない)のヌクレオシド単位が互いに水素結合することができる状況を指す。「実質的な相補性」は、非相補的であるように選択されたポリヌクレオチド鎖の領域(例えば、突出部)を除いて、90%以上の相補性を呈示するポリヌクレオチド鎖を指す。特異的結合には、特異的結合が要望される条件下、すなわち、in vivoアッセイ若しくは治療処置の場合、生理学的条件下で、又はin vitroアッセイの場合、アッセイが実施される条件下で、非標的配列とオリゴマー化合物の非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性が必要である。非標的配列は、典型的に、少なくとも5ヌクレオチド異なる。
用語「オフターゲット」及び語句「オフターゲット効果」は、所与の標的に対するエフェクター分子が、別の標的配列、DNA配列又は細胞タンパク質若しくは他の部分と直接若しくは間接的のいずれかで相互作用することにより、意図しない作用を引き起こすあらゆる事例を指す。例えば、「オフターゲット効果」は、他の転写物と、siRNAのセンス及び/又はアンチセンス鎖との間の部分的な相同性又は相補性により、他の転写物の同時分解が生じるときに起こり得る。
本明細書で使用されるとき、用語「ヌクレオシド」は、核酸塩基及び糖を含むグリコシルアミンを意味する。ヌクレオシドとして、限定はしないが、天然に存在するヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、並びに模擬塩基及び/又は糖基を有するヌクレオシドが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、用語「ヌクレオチド」は、核酸塩基と、リン酸基が共有結合した糖とを含むグリコソミン(glycosomine)を指す。ヌクレオチドは、様々な置換基のいずれかで修飾されていてもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「核酸塩基」は、ヌクレオシド又はヌクレオチドの塩基部分を指す。核酸塩基は、別の核酸の塩基に水素結合することができる任意の原子又は原子団を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「複素環式塩基部分」は、複素環を含む核酸塩基を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「オリゴマー化合物」は、2つ以上のサブ構造を含み、核酸分子の領域とハイブリダイズすることができるポリマー構造を指す。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、アンチセンス化合物である。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、解毒剤化合物である。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、コンジュゲート基を含む。
本明細書で使用されるとき、「オリゴヌクレオシド」は、ヌクレオシド間結合が、リン原子を含有しないオリゴヌクレオチドを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の連結ヌクレオシドを含むオリゴマー化合物を指す。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドの1つ又は複数のヌクレオチドは、修飾されている。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、天然及び/又は若しくは非天然核酸塩基、糖及び共有結合ヌクレオシド間結合から構成され、さらに非核酸コンジュゲートを含み得る。
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド間結合」は、隣接するヌクレオシド同士の共有結合を指す。
本明細書で使用されるとき、「天然に存在するヌクレオシド間結合」は、3’-5’リン酸ジエステル結合を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「siRNA性を検出する」又は「siRNA活性を測定する」は、siRNA活性を検出又は測定するための試験が特定のサンプルについて実施され、対照サンプルのものと比較されることを意味する。このような検出及び/又は測定は、ゼロの値を含み得る。従って、siRNA活性の検出のための試験の結果、siRNA活性がないこと(ゼロのsiRNA活性)が判明する場合でも、「siRNA活性を検出する」ステップはやはり実施されている。
本明細書で使用されるとき、用語「対照サンプル」は、リポータオリゴマー化合物と接触させていないサンプルを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「モチーフ」は、オリゴマー化合物中の非修飾及び修飾ヌクレオチドのパターンを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「キメラオリゴマー」は、同じオリゴマー化合物内の少なくとも1つの他の糖、核酸塩基又はヌクレオシド間結合と比較して、異なる様式で修飾されている少なくとも1つの糖、核酸塩基又はヌクレオシド間結合を有するオリゴマー化合物を指す。糖、核酸塩基及びヌクレオシド間結合の残りは、独立に修飾されていても又は非修飾であってもよく、同じでも異なっていてもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「キメラオリゴヌクレオチド」は、同じオリゴヌクレオチド内の少なくとも1つの他の糖、核酸塩基又はヌクレオシド間結合と比較して、異なる様式で修飾されている少なくとも1つの糖、核酸塩基又はヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドを指す。糖、核酸塩基及びヌクレオシド間結合の残りは、独立に修飾されていても又は非修飾であってもよく、同じでも異なっていてもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「混合骨格オリゴマー化合物」は、オリゴマー化合物の少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、オリゴマー化合物の少なくとも1つの他のヌクレオシド間結合と異なるオリゴマー化合物を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「標的タンパク質」は、調節が望まれるタンパク質を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「標的遺伝子」は、標的タンパク質をコードする遺伝子を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「ターゲティングする」又は「ターゲティングされる」は、特定の標的核酸分子又は標的核酸分子内のヌクレオチドの特定の領域に対するsiRNAのアンチセンス鎖の会合を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「核酸塩基相補性」は、別の核酸塩基と塩基対合することができる核酸塩基を指す。例えば、DNAでは、アデニン(A)は、チミン(T)と相補的である。例えば、RNAでは、アデニン(A)は、ウラシル(U)と相補的である。いくつかの実施形態では、相補的核酸塩基は、その標的核酸の核酸塩基と塩基対合することができるアンチセンス化合物の核酸塩基を指す。例えば、アンチセンス化合物の特定の位置の核酸塩基が標的核酸の特定の位置の核酸塩基と水素結合することができれば、オリゴヌクレオチドと標的核酸との水素結合の位置は、その核酸塩基対で相補的であるとみなされる。
本明細書で使用されるとき、用語「非相補的核酸塩基」は、互いに水素結合を形成しないか、或いはハイブリダイゼーションを支持しない核酸塩基の対を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「相補的」は、別のオリゴマー化合物又は核酸と核酸塩基相補性によってハイブリダイズするオリゴマー化合物の能力を指す。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物とその標的とは、各分子内で十分な数の対応する位置が、互いに結合することができる核酸塩基によって占められて、アンチセンス化合物と標的との安定した会合を可能にするとき、互いに相補的である。当業者であれば、会合を維持するオリゴマー化合物の能力を排除することなく、ミスマッチの含有が可能であることは認識される。従って、ミスマッチである(すなわち、標的の対応ヌクレオチドに対して相補的な核酸塩基ではない)最大約20%のヌクレオチドを含み得るオリゴマー化合物(例えば、siRNa、多標的分子など)が本明細書に記載される。好ましくは、siRNA及び多標的分子などのオリゴマー化合物は、約15%以下、より好ましくは約10%以下、最も好ましくは5%以下のミスマッチを含有するか、又はミスマッチを一切含有しない。残りのヌクレオチドは、相補的核酸塩基であるか、或いはハイブリダイゼーションを破壊しない(例えば、ユニバーサル塩基)。当業者であれば、本明細書において提供される化合物は、標的核酸に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%相補的であることは認識されるであろう。
本明細書で使用されるとき、「ハイブリダイゼーション」は、相補的オリゴマー化合物(例えば、siRNAのアンチセンス鎖とその標的核酸又はsiRNAとのアンチセンス鎖及びセンス鎖)の対合を意味する。特定の機構に限定されないが、対合の最も一般的機構は、相補的ヌクレオシド又はヌクレオチド塩基(核酸塩基)同士の水素結合を含み、これは、ワトソン-クリック(Watson-Crick)型、フーグスティーン(Hoogsteen)型若しくは逆フーグスティーン(reversed Hoogsteen)型水素結合であってよい。例えば、天然の塩基アデニンは、水素結合の形成を介して対合する天然の核酸塩基チミジン及びウラシルと相補的な核酸塩基である。天然の塩基グアニンは、天然の塩基シトシン及び5-メチルシトシンと相補的な核酸塩基である。ハイブリダイゼーションは、様々な状況下で起こり得る。
本明細書で使用されるとき、用語「特異的にハイブリダイズする」は、オリゴマー化合物が1つの核酸部位に、他の核酸部位とハイブリダイズするよりも高い親和性でハイブリダイズする能力を指す。いくつかの実施形態では、siRNAのアンチセンス鎖は、2つ以上の標的部位に特異的にハイブリダイズする。
本明細書で使用されるとき、「設計する」又は「設計される」は、選択された核酸分子と特異的にハイブリダイズするオリゴマー化合物を設計するプロセスを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「調節」は、調節前の機能又は活性のレベルと比較した機能又は活性の摂動を指す。例えば、調節は、遺伝子発現の変化、すなわち、増大(刺激若しくは誘導)又は低減(阻害若しくは抑制)のいずれかを含む。別の例として、発現の調節は、pre-mRNAプロセシングのスプライス部位選択の摂動を含み得る。
本明細書で使用されるとき、用語「発現」は、遺伝子のコードされた情報が、細胞内に存在し、且つ作動する構造へと変換されるあらゆる機能及びステップを指す。こうした構造として、限定はしないが、転写及び翻訳の産物が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「変異体」は、DNAの同じゲノム領域から生成され得る別のRNA転写物を指す。変異体として、限定はしないが、「pre-mRNA変異体」があり、これは、同じゲノムDNAから生成される転写物であり、同じゲノムDNAから生成される他の転写物とその開始位置又は終止位置のいずれかが異なり、イントロン及びエキソン配列の両方を含む。変異体には、限定はしないが、別のスプライス部位、又は別の開始及び終止コドンを有するものもある。
本明細書で使用されるとき、「高親和性修飾モノマー」は、天然に存在するモノマーと比較して、少なくとも1つの修飾核酸塩基、ヌクレオシド間結合又は糖部分を有し、この修飾が、その標的核酸に対する高親和性修飾モノマーを含むアンチセンス化合物の親和性を高めるようなモノマーを指す。高親和性修飾として、限定はしないが、2’-修飾糖を含むモノマー(例えば、ヌクレオシド及びヌクレオチド)がある。
本明細書で使用されるとき、用語「2’-修飾」又は「2’-置換」は、H又はOH以外の2’位に置換基を含む糖を意味する。2’-修飾モノマーとして、限定はしないが、2’-置換基、例えば、アリル、アミノ、アジド、チオ、O-アリル、O-C1~C10アルキル、-OCF3、O-(CH2)2-O-CH3、2’-O(CH2)2SCH3、O-(CH2)2-O-N(Rm)(Rn)、又はO-CH2-C(=O)-N(Rm)(Rn)を有するBNA及びモノマー(例えば、ヌクレオシド及びヌクレオチド)が挙げられ、ここで、各Rm及びRnが、独立に、H又は置換若しくは非置換C1~C10アルキルである。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、式2’-O(CH2)nH(ここで、nが1~6である)がない2’修飾モノマーを含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、式2’-OCH3がない2’修飾モノマーを含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、上記式、又は別の実施形態では2’-O(CH2)2OCH3がない2’修飾モノマーを含む。
本明細書で使用されるとき、用語「ロックド核酸」又は「LNA」又は「ロックドヌクレオシド」又は「ロックドヌクレオチド」は、ヌクレオシドのフラノース部分が、フラノース環上の2つの炭素原子を連結する架橋を含み、それにより二環式系を形成するヌクレオシド又はヌクレオチドを指す。ロックド核酸は、二環式核酸(BNA)とも呼ばれる。
本明細書で使用されるとき、別に指示されない限り、用語「メチレンオキシLNA」は、単独でβ-D-メチレンオキシLNAを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「MOE」は、2’-O-メトキシエチル置換基を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「ギャップマー」は、中央領域(「ギャップ」)と、中央領域のいずれかの側の領域(「ウィング」)とを含むキメラオリゴマー化合物を指し、ここで、ギャップは、各ウィングと異なる少なくとも1つの修飾を含む。このような修飾としては、核酸塩基、モノマー結合、及び糖修飾、並びに修飾の非存在(非修飾)がある。従って、いくつかの実施形態では、ウィングの各々におけるヌクレオチド結合は、ギャップ内のヌクレオチド結合と異なる。いくつかの実施形態では、各ウィングは、高親和性修飾を有するヌクレオチドを含み、ギャップは、その修飾を含まないヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ギャップ内のヌクレオチド及びウィング内のヌクレオチドは全て高親和性修飾を含むが、ギャップ内の高親和性修飾は、ウィング内の高親和性修飾と異なる。いくつかの実施形態では、ウィング内の修飾は、互いに同じである。いくつかの実施形態では、ウィング内の修飾は、互いに異なる。いくつかの実施形態では、ギャップ内のヌクレオチドは、非修飾であり、ウィング内のヌクレオチドは、修飾されている。いくつかの実施形態では、各ウィング内の修飾は、同じである。いくつかの実施形態では、一方のウィング内の修飾は、他方のウィング内の修飾と異なる。いくつかの実施形態では、オリゴマー化合物は、ギャップ内に2’-デオキシヌクレオチドを有し、且つウィング内に高親和性修飾を有するヌクレオチドを有するギャップマーである。
本明細書で使用されるとき、用語「プロドラッグ」は、内在性酵素又はその他の化学薬品及び/又は若しくは条件の作用により、身体又はその細胞内で活性形態(すなわち、薬剤)へと変換される不活性形態で調製される治療剤を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される塩」は、活性化合物の所望の生物活性を保持し、望ましくない毒物学的作用を付与しない活性化合物の塩を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「キャップ構造」又は「末端キャップ部分」は、アンチセンス化合物のいずれかの末端に組み込まれた化学修飾を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「予防」は、数時間から数日、好ましくは数週間から数ヵ月にわたって状態若しくは疾患の発症又は発生を遅延させるか、又は未然に防ぐことを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「改善」は、状態若しくは疾患の少なくとも1つの活性又は1つの重症度の指標の軽減を指す。指標の重症度は、当業者に公知の主観的又は客観的測度により決定することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「治療」は、疾患若しくは状態の変化又は改善をもたらすために、本発明の組成物を投与することを指す。予防、改善、及び/又は治療は、疾患若しくは状態の経過を変化させるために、定期的間隔で又は状態若しくは疾患の発症前に複数回用量の投与を必要とし得る。さらに、状態若しくは疾患の予防、改善、及び治療のためにそれぞれ1個体に単剤を順次又は同時に用いてもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「医薬剤」は、対象に投与されるとき、治療利益をもたらす物質を指す。いくつかの実施形態では、医薬剤は、活性医薬剤である。いくつかの実施形態では、医薬剤は、プロドラッグである。
本明細書で使用されるとき、用語「治療有効量」は、動物に治療利益をもたらす医薬剤の量を指す。
本明細書で使用されるとき、「投与する」は、動物に医薬剤を提供することを意味し、限定はしないが、医療専門家による投与及び自己投与を含む。
本明細書で使用されるとき、用語「共投与する」は、2種以上の医薬剤を動物に提供することを意味する。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、一緒に投与する。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、個別に投与する。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、同時に投与する。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、異なる時点で投与する。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、同じ投与経路により投与する。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、異なる投与経路により投与する。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、同じ医薬製剤に含有されている。いくつかの実施形態では、こうした2種以上の医薬剤は、個別の製剤の形態をしている。
本明細書で使用されるとき、用語「医薬組成物」は、個体に投与するのに好適な物質の混合物を指す。例えば、医薬組成物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド及び滅菌水溶液を含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬剤と希釈剤及び/又は担体を含む。
本明細書で使用されるとき、用語「in vitro」は、生物(例えば、動物又は植物)内ではなく、人工的環境、例えば、試験管又は反応容器内、細胞培養内などで起こる事象を指す。本明細書で使用されるとき、用語「ex vivo」は、生きた生物から取り出され、生物外部(例えば、試験管内)で培養される細胞を指す。本明細書で使用されるとき、用語「in vivo」は、生物(例えば、動物、植物及び/又は微生物)内で起こる事象を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「対象」又は「患者」は、例えば、実験、診断、及び/又は治療を目的として、本明細書に開示の組成物を投与することができる任意の生物を指す。典型的な対象として、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳動物)及び/又は植物が挙げられる。通常、動物は、霊長類、げっ歯類、家畜又は競技用動物などの脊椎動物である。霊長類としては、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及びマカク、例えば、アカゲザル(Rhesus)が挙げられる。げっ歯類としては、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ及びハムスターが挙げられる。家畜及び競技用動物としては、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、スイギュウ、ネコ科種、例えば、家ネコ、イヌ科種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、鳥類種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、並びに魚類、例えば、マス、ナマズ及びサケが挙げられる。患者又は対象は、上に挙げた任意のサブセット、例えば、前述の全てを含むが、ヒト、霊長類又はげっ歯類などの1つ又は複数の群若しくは種を除外する。本明細書に記載する態様のいくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。「患者」及び「対象」という用語は、本明細書では同義的に使用される。対象は、男性(雄)又は女性(雌)であり得る。
好ましくは、対象は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、又はウシであってよいが、これらの例に限定されるわけではない。ヒト以外の哺乳動物は、ヒトの疾患及び障害の動物モデルとなる対象として有利に使用することができる。さらに、本明細書に記載する化合物、組成物及び方法は、家畜及び/又はペットに用いることができる。
一部の実施形態では、対象は、ヒトである。別の実施形態では、対象は、疾患モデルとしての実験動物又は代用動物である。この用語は、特定の年齢又は性別を意味するわけではない。従って、男性(雄)又は女性(雌)にかかわらず、成体及び新生の対象、並びに胎児が包含されることが意図される。対象の例として、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、及びマウスが挙げられる。対象という用語は、さらにトランスジェニック種を含むことも意図される。一部の実施形態では、対象は、欧州系であってよい。一部の実施形態では、対象は、アフリカ系アメリカ人であってよい。一部の実施形態では、対象は、アジア系であってよい。
ヒト身体に対して実施される方法の特許付与を禁止する管轄区域では、ヒト対象への組成物の「投与」の意味は、ヒト対象がいずれかの方法(例えば、経口、吸入、局所適用、注射、挿入など)により自己投与する規制物質を処方することに限定されることになる。特許を受けることができる主題を定義する法律又は規制に適合する最も広範且つ合理的な解釈が意図される。ヒト身体に対して実施される方法の特許付与を禁止しない管轄区域では、組成物の「投与」は、ヒト身体に対して実施される方法と、前述した活動との両方を包含する。
本明細書で使用されるとき、用語「非経口投与」は、注射又は注入による投与を指す。非経口投与として、限定はしないが、皮下投与、静脈内投与、又は筋肉内投与が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、用語「皮下投与」は、皮膚の直下への投与を指す。「静脈内投与」は、静脈への投与を意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「用量」は、1回の投与で供給される医薬剤の指定量を指す。いくつかの実施形態では、1用量は、2回以上のボーラス、錠剤、又は注射で投与してもよい。例えば、皮下投与が望まれるいくつかの実施形態では、所望の用量は、1回の注射によって容易に供給できない量を必要とする。こうした実施形態では、2回以上の注射を用いて所望の用量を達成してもよい。いくつかの実施形態では、1用量は、個体の注射部位反応を最小限にするために2回以上の注射で投与してもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「単位投与剤形」は、医薬剤が提供される形態を指す。いくつかの実施形態では、単位投与剤形は、凍結乾燥したアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むバイアルである。いくつかの実施形態では、単位投与剤形は、再構成されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むバイアルである。
本明細書で使用されるとき、用語「医薬品有効成分」は、所望の効果を付与する医薬組成物中の物質を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「副作用」は、所望の効果以外の治療に起因すると考えられる生理反応を指す。いくつかの実施形態では、副作用として、限定はしないが、注射部位反応、肝機能試験異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、及び筋障害が挙げられる。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼレベル上昇は、肝毒性又は肝機能異常を示し得る。例えば、ビリルビンの増加は、肝毒性又は肝機能異常を示し得る。
本明細書で使用されるとき、用語「アルキル」は、ここで使用される通り、最大24個の炭素原子を含む飽和直鎖又は分岐状炭化水素ラジカルを指す。アルキル基の例として、限定はしないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、n-ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルなどが挙げられる。アルキル基は、典型的に、1~約24個の炭素原子、より典型的には1~約12個の炭素原子(C1~C12アルキル)を含み、1~約6個の炭素原子がより好ましい。本明細書で使用される用語「低級アルキル」は、1~約6個の炭素原子を含む。本明細書で使用されるアルキル基は、任意選択で、1個又は複数個の別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「アルケニル」は、ここで使用される通り、最大24個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐状炭化水素鎖ラジカルを指す。アルケニル基の例として、限定はしないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、1,3-ブタジエンなどのジエンなどが挙げられる。アルケニル基は、典型的に、2~約24個の炭素原子、より典型的には2~約12個の炭素原子を含み、2~約6個の炭素原子がより好ましい。本明細書で使用されるアルケニル基は、任意選択で、1個又は複数個の別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「アルキニル」は、ここで使用される通り、最大24個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐状炭化水素ラジカルを指す。アルキニル基の例として、限定はしないが、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニルなどが挙げられる。アルキニル基は、典型的に、2~約24個の炭素原子、より典型的には2~約12個の炭素原子を含み、2~約6個の炭素原子がより好ましい。本明細書で使用されるアルキニル基は、任意選択で、1個又は複数個の別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「アミノアルキル」は、ここで使用される通り、アミノ置換アルキルラジカルを指す。この用語は、任意の位置にアミノ置換基を有するC1~C12アルキル基を含むことを意味し、ここで、アルキル基は、アミノアルキル基を親分子に結合する。アミノアルキル基のアルキル及び/又はアミノ部分は、置換基でさらに置換することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「脂肪族」は、ここで使用される通り、最大24個の炭素原子を含み、いずれか2個の炭素原子の間の飽和が単結合、二重結合若しくは三重結合である、直鎖又は分岐状炭化水素ラジカルを指す。脂肪族基は、好ましくは、1~約24個の炭素原子、より典型的には1~約12個の炭素原子を含み、1~約6個の炭炭素原子がより好ましい。脂肪族基の直鎖又は分岐鎖は、窒素、酸素、硫黄及びリンを含む1個又は複数個のヘテロ原子で分断されていてもよい。ヘテロ原子で分断されたこのような脂肪族基として、限定はしないが、ポリアルコキシ、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアミン、及びポリイミンが挙げられる。本明細書で使用される脂肪族基は、任意選択で、別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「脂環式」又は「アリシクリル」は、環が脂肪族の環系を指す。この環系は、少なくとも1つの環が脂肪族である1つ又は複数の環を含み得る。好ましい脂環式化合物は、環内に約5~約9個の炭素原子を有する環を含む。本明細書で使用される脂環式は、任意選択で、別の置換基を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、用語「アルコキシ」は、ここで使用される通り、アルキル基と酸素原子との間に形成されるラジカルを指し、ここで、酸素原子は、アルコキシ基を親分子に結合するために用いられる。アルコキシ基の例として、限定はしないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、ネオペントキシ、n-ヘキソキシなどが挙げられる。本明細書で使用されるアルコキシ基は、任意選択で、別の置換基を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、ここで使用される通り、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「アリール」及び「芳香族」は、ここで使用される通り、1つ又は複数の芳香環を有する、単環若しくは多環式炭素環系ラジカルを指す。アリール基の例として、限定はしないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられる。好ましいアリール環系は、1つ又は複数の環内に約5~約20個の炭素原子を有する。本明細書で使用されるアリール基は、任意選択で、別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「アラルキル」及び「アリールアルキル」は、ここで使用される通り、アルキル基とアリール基との間に形成されるラジカルを指し、ここで、アルキル基は、アラルキル基を親分子に結合するために用いられる。例として、限定はしないが、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。本明細書で使用されるアラルキル基は、任意選択で、ラジカル基を形成するアルキル、アリール又はその両方の基に結合した別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「複素環式ラジカル」は、ここで使用される通り、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、不飽和、部分的飽和若しくは完全飽和であり、従って、ヘテロアリール基を含む、ラジカル単環式若しくは多環式環系を指す。複素環式は、縮合環系を含むことも意味し、ここで、縮合環の1つ又は複数は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、他の環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含有し得るか、或いは任意選択でヘテロ原子を含まない。複素環式基は、典型的に、硫黄、窒素又は酸素から選択される少なくとも1個の原子を含む。複素環式基の例として、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリルなどが挙げられる。本明細書で使用される複素環式基は、任意選択で、別の置換基を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロアリール」、及び「ヘテロ芳香族」は、ここで使用される通り、環の少なくとも1つが芳香族であり、1個又は複数個のヘテロ原子を含む、単環式若しくは多環式芳香環、環系又は縮合環系を含むラジカルを指す。ヘテロアリールはまた、縮合環系を含むことも意味し、これには、1つ又は複数の縮合環がヘテロ原子を含まない系が含まれる。ヘテロアリール基は、典型的に、硫黄、窒素又は酸素から選択される1個の環原子を含む。ヘテロアリール基の例として、限定はしないが、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニルなどが挙げられる。ヘテロアリールラジカルは、直接、又は脂肪族基若しくはヘテロ原子などの連結部分を介して親分子に結合することができる。本明細書で使用されるヘテロアリール基は、任意選択で、別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロアリールアルキル」は、ここで使用される通り、ヘテロアリールアルキル基を親分子に結合することができるアルキルラジカルを有する、既に定義した通りのヘテロアリール基を指す。例として、限定はしないが、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル、ナフチリジニルプロピルなどが挙げられる。本明細書で使用されるヘテロアリールアルキル基は、任意選択で、ヘテロアリール又はアルキル部分の一方又は両方に別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「単環又は多環式構造」は、本発明で使用される通り、単環又は縮合若しくは連結された環を有する多環式である、全ての環系を包含し、脂肪族、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アリールアルキル、複素環式、ヘテロアリール、ヘテロ芳香族、ヘテロアリールアルキルから個々に選択される単環又は混合環系を含むものとする。このような単環及び多環式構造は、均質であるか、又は完全飽和、部分的飽和若しくは完全不飽和などの様々な飽和度を有する環を含むことができる。各環は、C、N、O及びSから選択される環原子を含み、それにより複素環、並びに混合モチーフに存在し得る唯一のC環原子のみを含む環、例えば、1つの環が炭素環原子のみを有し、縮合環が2つの窒素原子を有するベンズイミダゾールを形成することができる。単環又は多環式構造は、例えば、環の1つに結合した2つの=O基を有するフタルイミドなどの置換基でさらに置換することができる。別の態様では、単環又は多環式構造は、環原子を介して直接、置換基又は二官能価連結部分を介して親分子に結合することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「アシル」は、ここで使用される通り、有機酸からのヒドロキシル基の除去により形成されるラジカルを指し、一般式-C(O)-Xを有し、ここで、Xは、典型的には脂肪族、脂環式又は芳香族である。例として、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族リン酸エステル、脂肪族リン酸エステルなどが挙げられる。本明細書で使用されるアシル基は、任意選択で別の置換基を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロカルビル」は、C、O及びHを含む基を含む。任意の飽和度を有する直鎖、分岐状及び環状基が含まれる。こうしたヒドロカルビル基は、N、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、1つ又は複数の置換基でさらに一又は多置換されていてもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「置換基(substituent)」及び「置換基(substituent group)」は、ここで使用される通り、所望の特性を増強する、又は所望の効果を付与するために、他の基若しくは親化合物に典型的に付加される基を含む。置換基は、保護若しくは非保護のいずれでもよく、親化合物内の1つの利用可能な部位、又は多数の利用可能な部位に付加することができる。置換基も他の置換基でさらに置換されていてよく、直接又はアルキル若しくはヒドロカルビル基などの結合基を介して親化合物に結合させてもよい。このような基として、限定はしないが、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル(-C(O)Raa)、カルボキシル(-C(O)O-Raa)、脂肪族基、脂環式基、アルコキシ、置換オキソ(-O-Raa)、アリール、アラルキル、複素環式、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノ(-NRbbRcc)、イミノ(=NRbb)、アミド(-C(O)N-RbbRcc又は-N(Rbb)C(O)Raa)、アジド(-N3)、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、カルバミド(-OC(O)NRbbRcc又は-N(Rbb)C(O)ORaa)、ウレイド(-N(Rbb)C(O)NRbbRcc)、チオウレイド(-N(Rbb)C(S)NRbbRcc)、グアニジニル(-N(Rbb)C(=NRbb)NRbbRcc)、アミジニル(-C(=NRbb)-NRbbRcc又は-N(Rbb)C(NRbb)Raa)、チオール(-SRbb)、スルフィニル(-S(O)Rbb)、スルホニル(-S(O)2Rbb)、スルホンアミジル(-S(O)2NRbbRcc又は-N(Rbb)S(O)2Rbb)及びコンジュゲート基が挙げられる。各Raa、Rbb及びRccは、独立に、H、任意選択で連結された化学官能基又は別の置換基であり、好ましいリストは、限定はしないが、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂肪族、アルコキシ、アシル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、脂環式、複素環式及びヘテロアリールアルキルを含む。
実施例1:平行及び逆平行鎖配向を有するビス(siRNA)の合成
スキーム1に示されるように、ビス(siRNA)は、固体担体及び官能化された第2の鎖、続いて相補鎖とのハイブリダイゼーションから合成される。
実施例2.ターゲティングリガンドを含む平行及び逆平行鎖配向を有するビス(siRNA)の合成
スキーム2に示されるように、ビス(siRNA)は、固体担体及びリガンドを含む官能化された第2の鎖、続いて相補鎖とのハイブリダイゼーションから合成される。
実施例3.異なる位置にターゲティングリガンドを含む平行及び逆平行鎖配向を有するビス(siRNA)の合成
スキーム3に示されるように、ビス(siRNA)は、固体担体及び官能化された第2の鎖、続いて相補鎖とのハイブリダイゼーションから合成される。
実施例4.異なる位置に2つ以上のリガンドを含む平行及び逆平行鎖配向を有するビス(siRNA)の合成
スキーム4に示されるように、ビス(siRNA)は、固体担体、官能化されたモノマー及びリガンドを含む官能化された第2の鎖、続いて相補鎖とのハイブリダイゼーションから合成される。
実施例5.リガンドが、短鎖体(short-mer)相補性オリゴヌクレオチドの1つに共役された、平行及び逆平行鎖配向を有するビス(siRNA)の合成
スキーム5に示されるように、ビス(siRNA)は、固体担体及び官能化された第2の鎖、続いて相補鎖(そのうちの1つがリガンドを含む)とのハイブリダイゼーションから合成される。
実施例6.第2のsiRNAへの共役のためにリガンド及び機能的テザーの両方を含有するモノマーからのビス(siRNA)の合成
スキーム6に示されるように、ビス(siRNA)は、固体担体及び活性化ジスルフィドを含む官能化された第2の鎖、続いて相補鎖とのハイブリダイゼーションから合成される。
実施例7.第2のsiRNAへの共役のためにリガンド及び機能的テザーの両方を含有するモノマーからのビス(siRNA)の合成
スキーム7に示されるように、ビス(siRNA)は、固体担体及びマレイミド部分を含む官能化された第2の鎖、続いて相補鎖とのハイブリダイゼーションから合成される。
実施例8.官能化リンカー、固体担体及びホスホロアミダイト
実施例9.多量体siRNA固相及び合成後のためのペプチダーゼで切断可能なリンカー
各不斉中心は、ラセミ化合物、又はキラル純粋なR若しくはS及び(R,R)、(R,S)、(S,R)及び(S,S)などの組合せである。ODMTr保護を有するモノマーが、2つ以上の一本鎖オリゴヌクレオチドの固相共有結合に使用される。NHC(O)CF
3、アセチレン又はジスルフィド部分を含有するモノマーが、カラム及び/又は入ってくる一本鎖における相補性反応基と2つ以上の一本鎖オリゴヌクレオチドとの溶液相合成後共有結合に使用される。
実施例10.多量体siRNA固相及び合成後のためのグリコシレート(Glycosylate)及び/又は酸で切断可能なリンカー
各不斉中心は、ラセミ化合物又はキラル純粋なR若しくはS及びこれらの組合せである。ODMTr保護を有するモノマーが、2つ以上の一本鎖オリゴヌクレオチドの固相共有結合に使用される。NHC(O)CF
3、アセチレン又はジスルフィド部分を含有するモノマーが、カラム及び/又は入ってくる一本鎖における相補性反応基と2つ以上の一本鎖オリゴヌクレオチドとの溶液相合成後共有結合に使用される。
実施例11.プロリノールN-カルバメートリンカー:合成後:
化合物702の合成:
DCM(250mL)中のアルコール700(50g、75mmol)の撹拌溶液にTBSCl(13.6g、90mmol)及びイミダゾール(12.75g、187.5mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。50mlの水を加えた後、DCM(250mL)で抽出し、飽和NaHCO
3(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得た。この材料をDCM(150mL)及びトリクロロ酢酸(150mL)に溶解させ、室温で3時間撹拌した。溶媒の濃縮、続いてカラムクロマトグラフィーによる精製により、生成物702(30g、85%)を得た。化合物702についてのLCMS:C
25H
42N
2O
5Siについての計算値:478.70(M
+)、実測値:XXX
化合物704の合成:
ピリジン(100mL)中のアルコール703(21.4g、85.3mmol)の撹拌溶液にDMTrCl(31.7g、93.5mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。50mlの水を加えた後、DCM(250mL)で抽出し、飽和NaHCO3(100mL)、塩水(100mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物704(40g、85%)を得た。
化合物705の合成:
MeOH(100mL)中の704(4.28g、35.5mmol)の撹拌溶液に10%のPd/C(1g)を加え、反応混合物を水素雰囲気下において室温で14時間撹拌した。触媒のろ去、続いて溶媒の濃縮により、対応する生成物705(3.2g、98%)を得た。
化合物706の合成:
DMF(100mL)中のアルコール702(5.9g、12.53mmol)の撹拌溶液にCDI(2.03g、12.53mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。上記の溶液にアミン705(5.3g、12.6mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、酢酸エチル(250mL)で抽出し、飽和NaHCO3(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物706(6.18g、55%)を得た。
C53H73N3O8S:908.26
化合物708の合成:
THF(100mL)中のアルコール706(6.0g、6.5mmol)の撹拌溶液にTHF(8.1mL、8.1mmol)中1MのTBAFを加え、室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、DCM(50mL)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料707(6.0g)を得て、それをMeOH(40mL)に溶解させ、10%のPd/C(1.0g)を加え、水素雰囲気下において室温で14時間撹拌した。触媒のろ去、続いて溶媒の濃縮により、対応するアミン(5.5g)を得た。このアミンをCH3CN(50mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸エチル(2mL)及びトリエチルアミン(2mL)を加え、室温で一晩撹拌した。反応混合物の濃縮、続いてカラムクロマトグラフィーにより、純粋な生成物708(4.0g、80%)を得た。
化合物709の合成:
DCM(80mL)中のアルコール708(4.0g、5.18mmol)の撹拌溶液にDIEA(1.34g、10.34mmol)及び2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(1.53g、6.47mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。10mLの飽和NaHCO3溶液を加えた後、DCM(50mL×2)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物709(3.5g、69%)を得た。
実施例12.プロリノールアミドリンカー:
化合物711の合成:
DCM(50mL)中の酸710(2.9g、10.9mmol)の撹拌溶液にEDC(2.1g、10.9mmol)、HOBt(1.5g、9.6mmol)、アミン705(3.7g、8.8mmol)及びDIEA(1.34g、10.34mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、DCM(50mL×2)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物711(5.79g、80%)を得た。
化合物712の合成:
MeOH(50mL)中の711(5.79g、8.7mmol)の撹拌溶液に10%のPd/C(1.0g)を加え、反応混合物を水素雰囲気下において室温で14時間撹拌した。触媒のろ去、続いて溶媒の濃縮により、対応するアミン(5.0g)を得た。C32H40N2O5について計算されたLCMS:532.68(M+);実測値:555.20(M++Na+)
化合物714の合成:
DMF(150mL)中の酸713(9.2g、4.6mmol)の撹拌溶液にHBTU(2.1g、5.54mmol)、HOBt(1.0g、6.4mmol)、アミン712(2.4g、4.6mmol)及びDIEA(1.5g、11.62mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、DCM(50mL×2)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物714(5.0g、43%)を得た。
化合物714についてのMALDI:C123H186N12O43についての計算値:2519.27(M+)、実測値:2542.43
化合物715の合成:
DCM(60mL)中のアルコール714(3.2g、1.27mmol)の撹拌溶液にDIEA(0.8g、6.34mmol)及び2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(301mg、1.27mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。10mLの飽和NaHCO3溶液を加えた後、DCM(50mL×2)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗生成物715(3.0g)を得た。
実施例13.プロリノールN-カルバメートリンカー:
化合物717の合成:
THF(250mL)中のアルコール716(20g、48mmol)の撹拌溶液にCbz-OSu(12g、48mmol)及びNaHCO
3水溶液(50mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。10mLの飽和NaHCO
3溶液を加えた後、酢酸エチル(250mL×2)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗生成物を得て、それをDCM 9250mL)に溶解させた。上記の溶液にTBSCl(8.6g)及びイミダゾール(8.2g)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。50mLの飽和NaHCO
3溶液を加えた後、DCM(250mL×2)で抽出し、水(100mL)、塩水(100mL)で洗浄し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗生成物を得て、それをトリクロロ酢酸(100mL)及びDCM(250mL)に溶解させ、室温で2時間撹拌した。濃縮、続いてカラムクロマトグラフィーにより、生成物717(13g、74%)を得た。C
19H
31NO
4Siについて計算されたLCMS:365.20(M
+);実測値:366.1 M
++1)
化合物718の合成:
DCM(20mL)中のアルコール717(1.65g、4.5mmol)の撹拌溶液にCDI(730mg、4.5mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。上記の溶液にアミン705(1.89g、4.5mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。5mLの水を加えた後、DCM(50mL)で抽出し、飽和NaHCO3(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物717(2.32g、64%)を得た。
化合物719の合成:
THF(30mL)中のアルコール718(2.32g、2.86mmol)の撹拌溶液にTHF(5.2mL)中1MのTBAFを加え、室温で一晩撹拌した。10mLの水を加えた後、DCM(50mL)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物719(1.67g、84%)を得た。C41H48N2O8について計算されたLCMS:696.34(M+);実測値:731.2(M++Cl-)
化合物721の合成:
MeOH(20mL)に溶解された719(1.65g、2.37mmol)の撹拌溶液に10%のPd/C(250mg)を加え、水素雰囲気下において室温で14時間撹拌した。触媒のろ去、続いて溶媒の濃縮により、対応するアミン720(1.29g、97%)を得た。このアミンをDCM(80mL)に溶解させた後、HBTU(1.06g)、HOBt(428mg)及びDIEA(0.78mL)を加え、室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、DCM(250mL)で抽出し、飽和NaHCO3(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物721(3.97g、66%)を得た。C124H188N12O44について計算されたMALDI:2549.28(M+)、実測値:2569.53(M++Na+)
実施例14.プロリノールエーテルリンカー:
化合物724の合成:
MeOH(250mL)に溶解された717(9g、24.65mmol)の撹拌溶液に10%のPd/C(2.0g)を加え、水素雰囲気下において室温で14時間撹拌した。触媒のろ去、続いて溶媒の濃縮により、対応するアミン723(6.2g)を得て、それをDCM(100mL)に再溶解させた。上記の溶液にBoc
2O(6.4g)及びトリエチルアミン(7.6mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、DCM(250mL)で抽出し、飽和NaHCO
3(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物724(8.0g、98%)を得た。
化合物725の合成:
THF(100mL)中のアルコール724(8.0g、24.13mmol)の撹拌溶液にNaH(1.2g、鉱油中60%)を加え、室温で30分間撹拌した。上記の溶液に0℃で臭化アリル(5.8g)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。5mLの水を加えた後、酢酸エチル(250mL)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物725(6.44g、71%)を得た。
化合物726の合成:
THF(30mL)中のアルコール725(6.4g、24.9mmol)の撹拌溶液に60mLの1Mの9-BBNを加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。上記の溶液に20mLの3MのNaOAc及び20mLのH2O2を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、酢酸エチル(250mL×2)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物726(6.6g、62%)を得た。C19H39NO5Siについて計算されたLCMS:389.26(M+);実測値:390.1(M++1)
化合物729の合成:
ジオキサン(50mL)中のアルコール726(6.0g)の撹拌溶液にジオキサン中4MのHClを加え、室温で3時間撹拌し、溶媒をデカントし、50mLのジオキサンですすぎ、得られた粘着性材料を減圧下で乾燥させた。この材料をDCM中で懸濁させた後、トリフルオロ酢酸エチル(5mL)及びトリエチルアミン(5mL)を加え、室温で24時間撹拌した。濃縮、続いてカラムクロマトグラフィーによる精製により、生成物728(1.9g)を得た。ピリジン(30mL)中の上記の材料728(1.9g、7.01mmol)にDMTrCl(2.6g)を加え、室温で一晩撹拌した。20mLの水を加えた後、酢酸エチル(50mL)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物729(3.36g、84%)を得た。
化合物730の合成:
アセトニトリル(50mL)中の729(3.36g、5.86mmol)の撹拌溶液にKOH水溶液(20mL)を加え、室温で一晩撹拌した。20mLの水を加えた後、酢酸エチル(100mL)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物730(2.65g、95%)を得た。
化合物731の合成:
DCM(60mL)中の酸730(1.55g、3.25mmol)の撹拌溶液に713(6.5g、3.25mmol)、HBTU(2.5g)、HOBt(1.0g)及びDIEA(1.6g)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。50mLの水を加えた後、DCM(100mL×2)で抽出し、水(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料を得て、それをカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物731(3.7g、46%)を得た。C120H181N11O43について計算されたMALDI:2464.23(M+)、実測値:2484.61(M++Na+)
実施例15.プロリノールエーテルリンカー:合成後アミダイト
実施例16.生分解性結合
1.酵素分解
a)エステル(エステラーゼによって切断可能)
b)アセタール:糖由来アセタール
実施例17.合成後三分岐GalNAcリガンドのための前駆体の合成:
実施例18.直鎖マルチ-GalNAcリガンド:
前駆体の合成:
実施例19.アクリルアセタールの合成:
i)直鎖マルチ-GalNAcリガンド前駆体の合成
ii)直鎖三分岐GalNAcリガンド前駆体の合成
生分解性アセタールモノ-GalNAcリガンド前駆体の合成:
(i)トリメチルシリルクロリド、アセトアルデヒド 室温;(ii)グリシドール、DIEA/DCM、室温 77%;(iii)アジ化ナトリウム、塩化アンモニウム、H2O/MeOH、80℃で還流、97%;(iv)tert-ブチルジメチルシリルクロリド、イミダゾール、DCM、室温、97%;(v)トリメチルホスフィン、H2O/THF、室温、99%;(vi)モノ-GalNAc酸、EDAC塩酸塩、HOBt、DIEA/DCM、室温、82%;(vii)H2/Pd-C、EtOAc/MeOH、室温、99%;(viii)DMTr-Cl、DMAP、ピリジン、室温、96%(ix)フッ化テトラブチルアンモニウム、THF、0℃、99%。
化合物42の合成:
4-ベンジルオキシ-1-ブタノール、41(19.5mL、110mmol)及びトリメチルシリルクロリド(70mL)を200mLの丸底フラスコに加え、室温で撹拌した。混合物にアセトアルデヒド(6.24mL、110mmol)を加え、反応物を周囲温度で1時間撹拌した。次に、反応混合物を蒸発乾固させ、2時間にわたって高真空下に置いた。次に、得られた粗生成物を無水ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(40mL、220mmol)をアルゴン下において周囲温度で撹拌しながら混合物に加えた。混合物にグリシドール(7.36mL、110mmol)を加え、反応物をアルゴン下で一晩にわたり周囲温度で撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(100mL)中で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(150mL)で洗浄した。有機層を収集し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、純粋な22g(77%)の化合物42(Rf=0.24、20%のEtOAc/ヘキサン)を透明の液体として得た。[M+1]C
16H
24O
4について計算された質量281.2 実測値281.3。
化合物43の合成:
無水アジ化ナトリウム(18.8g、315mmol)及び塩化アンモニウム(9.6g、175mmol)をメタノール:H
2O(8:2)溶液(400mL)に加えた。化合物42(20g、70mmol)を混合物に滴下して加え、それをアルゴン下で一晩にわたり80℃で還流させた。反応をTLCによってモニターし、完了したら、反応混合物をジクロロメタン(200mL)で洗浄した。水層を別の分量のジクロロメタン(200mL)で洗浄した。次に、有機層を組み合わせて、塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させて、20g(97%)の化合物43を透明の液体として得て、それをさらに精製せずに使用した。[M+1]C
16H
25N
3O
4について計算された質量323.1 実測値323.1。
化合物44の合成:
化合物43(19g、62mmol)及びイミダゾール(10.53g、155mmol)をジクロロメタン(300mL)に溶解させ、それを窒素下において0℃で撹拌した。tert-ブチルジメチルシリルクロリド(11.62g、78mmol)を反応混合物にゆっくりと加え、それをアルゴン下において周囲温度で撹拌した。18時間後、反応混合物を水(250mL)、続いて飽和塩水(200mL)で洗浄した。次に、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、19.7g(97%)の化合物44(Rf=0.33、20%のEtOAc/ヘキサン)を透明のシロップとして得た。[M-N
2]C
22H
39N
3O
4Siについて計算された質量409.2 実測値409.2。
化合物45の合成:
化合物44(13.68g、31.26mmol)をテトラヒドロフラン:H
2O(300:2)溶液(302mL)に加えた。トリメチルホスフィン(40mL)を溶液に滴下して加え、反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、次に、酢酸エチル(300mL)中で希釈した。有機層を水(200mL)及び塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、16.8g(99%)の化合物45(Rf=0.30、10%のMeOH/DCM)を透明のシロップとして得た。[M+1]C
22H
41NO
4Siについて計算された質量412.3 実測値412.3。
化合物46の合成:
モノGalNAc酸(7.7g、12mmol)、EDAC塩酸塩(4.7g、30mmol)、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3g、25mmol)を無水ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.5mL、45mmol)をアルゴン下において周囲温度で撹拌しながら、反応混合物に滴下して加えた。無水ジクロロメタン(20mL)中の化合物45(5.0g、12mmol)の溶液を反応混合物に滴下して加え、それをアルゴン下で一晩にわたり周囲温度で撹拌した。完了したら、反応混合物を水(100mL)、飽和重炭酸塩溶液(100mL)、別の分量の水、続いて塩水(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、8.4g(82%)の化合物46(Rf=0.53 10%のMeOH/DCM)を白色の発泡体として得た。[M+1]C
56H
74N
2O
14Siについて計算された質量1027.5 実測値1027.5。
化合物47の合成:
化合物46(8.3g、8.0mmol)を10%のメタノール/酢酸エチル(300mL)に溶解させた。反応混合物に、湿潤活性炭素Degussaタイプ(100mg)に担持された10重量%のパラジウムを加えた。フラスコをアルゴンでパージした。フラスコを水素で2回パージし、次に、水素を10秒間にわたって反応混合物に通してバブリングした。反応混合物を室温で一晩にわたり水素雰囲気下で撹拌し続けた。反応混合物を、セライトが充填された焼結漏斗へとデカントし、メタノールで2回洗浄した。有機層を蒸発乾固させて、7.50g(99%)の化合物47(Rf=0.32 10%のメタノール/ジクロロメタン)を白色の固体として得て、それはさらに精製する必要がなかった。[M+Na]C
49H
68N
2O
14SiNaについて計算された質量959.3 実測値959.3。
化合物48の合成:
化合物47(5.0g、5.3mmol)を2回にわたり無水ピリジン(75mL)と同時蒸発させた。次に、化合物を2時間にわたって高真空下に置いた。化合物47を真空から取り出し、無水ピリジン(75mL)に溶解させた。反応混合物をアルゴン下において0℃で撹拌した。次に、DMTr-Cl(2.3g、6.8mmol)を0℃で溶液に加えた。この溶液に触媒量のジメチルアミノピリジン(0.2g、1.44mmol)を加えた。混合物を真空下、続いてアルゴン下で撹拌し、室温で一晩にわたりアルゴン下において撹拌を続けた。反応混合物を蒸発乾固させ、ジクロロメタン(80mL)中で希釈した。有機層を水(80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(80mL)、別の分量の水、及び塩水(80mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、5.04g(96%)の化合物48(Rf=0.6 10%のMeOH/DCM)を黄色の発泡体として得た。[M+1]C
70H
86N
2O
16Siについて計算された質量1238.6 実測値1238.6。
化合物49の合成:
化合物48(4.8g、3.9mmol)をTHF(100mL)に溶解させた。反応混合物を0℃で撹拌した。THF(4.30mL)中のフッ化テトラブチルアンモニウムの1M溶液を混合物に滴下して加え、それを0℃で一晩撹拌し続けた。完了したら、反応物を蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、3.60g(99%)の化合物49(Rf=0.3 10%のMeOH/DCM)を透明のシロップとして得た。[M+1]C
64H
72N
2O
16について計算された質量1124.5 実測値1124.5。
生分解性アセタール三分岐GalNAcリガンドの合成:
(i)三分岐GalNAc酸、EDAC塩酸塩、HOBt、DIEA/DCM、室温、(74%);(vii)H
2/Pd-C、EtOAc/MeOH、室温、99%;(viii)DMTr-Cl、DMAP、ピリジン、室温、94%(ix)フッ化テトラブチルアンモニウム、THF、0℃、93%;(x)無水コハク酸、DMAP、TEA/DCM、室温、60%;(xi)HBTU、DIEA/DMF、CPG担体、充填57 50μmol/g。
化合物52の合成:
三分岐GalNAc酸(24.3g、12.2mmol)、EDAC塩酸塩(4.7g、30mmol)、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3g、25mmol)を無水ジクロロメタン(180mL)に溶解させた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.5mL、45mmol)をアルゴン下において周囲温度で撹拌しながら、反応混合物に滴下して加えた。次に、無水ジクロロメタン(20mL)中の化合物45(5.0g、12mmol)の溶液を反応混合物に滴下して加え、それをアルゴンで一晩にわたり周囲温度で撹拌した。完了したら、反応混合物を水(200mL)、飽和重炭酸塩溶液(200mL)、別の分量の水、続いて塩水(200mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、20.3g(74%)の化合物52(Rf=0.33 10%のMeOH/DCM)を白色の発泡体として得た。
化合物53の合成:
化合物52(20.0g、8.75mmol)を10%のメタノール/酢酸エチル(600mL)に溶解させた。反応混合物に、湿潤活性炭素Degussaタイプ(100mg)に担持された10重量%のパラジウムを加えた。フラスコをアルゴンでパージした。フラスコを水素で2回パージし、次に、水素を10秒間にわたって反応混合物に通してバブリングした。反応混合物を室温で一晩にわたり水素雰囲気下で撹拌し続けた。反応混合物を、セライトが充填された焼結漏斗へとデカントし、メタノールで2回洗浄した。有機層を蒸発乾固させて、19.5g(99%)の化合物53(Rf=0.30 20%のMeOH/DCM)を白色の固体として得て、それはさらに精製する必要がなかった。
化合物54の合成:
化合物53(5.0g、2.2mmol)を2回にわたり無水ピリジン(75mL)と同時蒸発させた。次に、化合物を2時間にわたって高真空下に置いた。化合物53を高真空から取り出し、無水ピリジン(75mL)に溶解させた。反応混合物をアルゴン下において0℃で撹拌した。次に、DMT-Cl(950mg、2.8mmol)を0℃で溶液に加えた。この溶液に触媒量のジメチルアミノピリジン(30mg、0.22mmol)を加えた。混合物を真空下、続いてアルゴン下で撹拌し、室温で一晩にわたりアルゴン下において撹拌を続けた。反応混合物を蒸発乾固させ、ジクロロメタン(80mL)中で希釈した。有機層を水(80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(80mL)、別の分量の水、及び塩水(80mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、5.4g(94%)の化合物13(Rf=0.34 10%のMeOH/DCM)をオレンジ色の発泡体として得た。
化合物55の合成:
化合物54(5.0g、2.0mmol)をTHF(100mL)に溶解させた。反応混合物を0℃で撹拌した。THF(2.40mL)中のフッ化テトラブチルアンモニウムの1M溶液を混合物に滴下して加え、それを0℃で一晩撹拌し続けた。完了したら、反応物を蒸発乾固させた。得られた粗生成物をISCOカラムクロマトグラフィーによって精製して、4.5g(93%)の化合物55(Rf=0.33 20%のMeOH/DCM)を透明のシロップとして得た。
実施例20:トリGalNAcアミダイトの合成
ステップ1:化合物21の合成
化合物17(360g)を窒素雰囲気下において10Lの多口丸底フラスコ中で1.8LのTHFに溶解させ、1.8LのTHF中のN-(tert-ブトキシカルボニル)-1,3-プロパンジアミン(20、426g)の溶液を周囲温度で加えた。反応混合物を氷-塩混合物上で0℃に冷却し;1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt・H
2O、351g)及びO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、870g)を撹拌しながら加えた後、DIEA(593g)を滴下して加えた。反応の温度をゆっくりと室温にし、一晩にわたり撹拌を続けた。水(3.6L)を反応混合物に加え、分液漏斗に移し、生成物を酢酸エチル(2×3.6L)中に抽出した。有機層を10%のNaHCO
3水溶液(1.8L)、水(1.8L)、10%のクエン酸水溶液(3×4L)、水(1.8L)及び塩水(1.8L)で連続して洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ;溶媒及び揮発性物質を減圧下で除去して、生成物21を淡黄色の粘性液体(690g、94%)として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-D
6):δ 1.41(s,27H)、1.57-1.60(t,3H)、2.38-2.41(t,3H)、3.10-3.11(m,6H)、3.23-3.27(m,6H)、3.64-3.68(m,12H)、5.02(s,2H)、5.14(m,3H)、5.54(s,1H)、6.82(s,3H)、7.33(S,5H).
ステップ2:化合物22の合成
化合物21(230g)をメタノール(2.3L)に溶解させ、水素化容器中に充填した。この溶液を窒素で脱気し、10%のPd-C(23g、湿潤)を加え、40℃で一晩にわたり完了するまで水素化した。室温に冷ました後、混合物をセライトのパッドに通してろ過し、メタノール(2×500mL)で洗浄した。組み合わされたろ液を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を一晩にわたり高真空下で乾燥させて、化合物22(190g、96%)を淡黄色のガムとして得た。1H NMR(400MHz、DMSO-D6):δ 1.36(s,27H)、1.47-1.50(m,6H)、2.26-2.29(m,6H)、2.28-2.29(m,6H)、3.02-3.03(m,6H)、3.17(m,6H)、3.55-3.57(m,6H)6.79(m,3H)、7.85(m,3H).
ステップ3:化合物23の合成
化合物22(860g)及び18(376g)の溶液を窒素下において10Lの丸底フラスコ中でTHF(8.6L)中において調製し、溶液を氷-塩浴上で冷却した。HOBt(179g)及びHBTU(445g)を撹拌しながら反応混合物に加えた後、30分間の期間にわたってDIEA(300g)を滴下して加え、混合物を周囲温度にゆっくりと温めた。反応混合物を一晩撹拌し、冷水(8.6L)と混合し、生成物を酢酸エチル(2×8L)中に抽出した。有機層を10%のNaHCO3水溶液(4.3L)、水(4.3L)及び10%のクエン酸水溶液(3×4L)、10%の炭酸水素ナトリウム水溶液(4.3L)及び塩水(4.3L)で連続して洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。このように得られた残渣を、溶離剤としてジクロロメタン中4%のメタノールを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物23(710g、60%)を無色のガムとして得た。次のステップに入る前に化合物23をNMR及び質量分析によって特性決定した。1H NMR(400MHz、DMSO-D6):δ 1.25-1.29(12H)、1.43(s,27H)、1.62-1.65(m,10H)、2.17(m,2H)、2.35(m,2H)、2.42(t,6H)、3.15-3.16(m,6H)、3.30(q、6H)、3.67-3.70(m,12H)、5.11(s,2H)、5.26(m,2H)、6.3(s,1H)、6.9(s,3H)、7334(m,5H).
化合物24の合成
化合物23(160g)を窒素下において多口丸底フラスコ中で800mLのジクロロメタンに溶解させ、氷水浴上で冷却した。480mLのジクロロメタン中の320mLのトリフルオロ酢酸の溶液を混合物に加え、NBocアミンの完全な脱保護のために一晩撹拌した。溶媒及び揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエン(6×500mL)及びジクロロメタン(6×500mL)と連続して同時蒸発させ、一晩にわたり高真空下で乾燥させて、化合物24を淡褐色の粘性液体(166g、定量的)として得た。1H NMR(400MHz、DMSO-D6):δ 1.23-1.27(12H)、1.45(t,2H)、1.55(t,2H)、1.71(t,6H)、2.08(t,2H)、2.34(s,8H)、2.81(d,6H)、3.11-3.16(q,6H)、3.55-3.59(m,12H)、5.08(s,2H)、6.94(s,1H)7.34(m,5H)、7.67-7.71(s,9H)、8.01-8.03(s,3H)、10.11(b,6H).
ステップ1:化合物25の合成
カルボン酸12(57.50g、90.90mmol)、EDAC(35g、182mmol)及びHOBt(25g、182mmol)をアルゴン下においてDMF(800mL)中で一緒にし、混合物を撹拌しながら氷-水混合物上で冷却した。DIEA(63mL、362mmol)を混合物に滴下して加え、20分間撹拌した。DMF(200mL)中の化合物24(26.20g、22.70mmol))の溶液を上記の混合物に滴下して加えた。添加後、反応の温度をゆっくりと室温にし、一晩撹拌した。反応混合物を冷水(5L)に加え、形成された沈殿物を沈降させた。ろ過し、沈殿物をジクロロメタンに溶解させ、炭酸水素ナトリウム溶液、水及び塩水で連続して洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣を、溶離剤としてEtOAc中5~33%のメタノールを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物25(54.60g、90%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6)δ 8.00(d,J=9.2Hz、3H)、7.92(t,J=6.7Hz、11H)、7.84(t,J=5.7Hz、3H)、7.80-7.44(m,29H)、7.37(dd,J=16.5、8.6Hz、9H)、6.99(s,1H)、5.76(d,J=3.5Hz、3H)、5.37(dd,J=11.2、3.3Hz、3H)、5.06(s,2H)、4.74(d,J=8.5Hz、3H)、4.46(d,J=8.0Hz、6H)、4.39-4.29(m,6H)、4.10-3.95(m,2H)、3.91-3.71(m,3H)、3.60-3.50(m,14H)、3.14-2.97(m,11H)、2.35-2.26(m,7H)、2.10-1.95(m 7H)、1.70(s,9H)、1.60-1.45(m,20H)、1.26-1.08(m,12H).C
143H
172N
10O
39についての質量計算値:2653.180;実測値:2676.213[M+Na
+、MALDI-TOF、マトリックス:2-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(HABA)]。
ステップ2:化合物26の合成
2Lの丸底フラスコ中でメタノール/EtOAc(200mL、2:1)中の化合物25(54.50g、20.54mmol)の溶液を水素で脱気し、Pd-C(5g、10%、湿潤degaussタイプ)を溶液に加えた。混合物をバルーン圧下で一晩水素化した。触媒をセライトの小さいパッドに通してろ去し、メタノール(500mL)でセライト床を洗浄した。組み合わされたろ液を減圧下で蒸発させて、化合物26(50.30g、96%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ 11.94(s,1H)、8.03-7.86(m,15H)、7.82(t,J=5.8Hz、3H)、7.77-7.44(m,29H)、7.38(t,J=7.7Hz、6H)、6.97(s,1H)、5.76(d,J=3.3Hz、3H)、5.37(dd,J=11.2、3.3Hz、3H)、4.74(d,J=8.5Hz、3H)、4.53-4.40(m,6H)、4.35-4.29(m,6H)、3.80(dd,J=10.4、5.3Hz、3H)、3.60-3.50(m,14H)、3.10-3.00(m,11H)、2.27(t,J=6.5Hz、6H)、2.16(t,J=7.4Hz、2H)、2.12-2.01(m,7H)、1.70(s,8H)、1.61-1.36(m,20H)、1.30-1.18(m,10H).C136H166N10O39についての質量計算値:2563.130;実測値:2586.150[M+Na+、MALDI-TOF、マトリックス:2-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(HABA)]。
ステップ1:化合物29の合成
ジクロロメタン(150mL)中の化合物27(43.00g、16.77mmol)の溶液にHBTU(8.30g、1.3当量)及びDIEA(8.80mL、3当量)を加えた。混合物をアルゴン下において周囲温度で10分間撹拌した。この混合物にジクロロメタン中のアミン(7.40g、1.05当量)の溶液を加え、一晩撹拌した。TLCを確認し、混合物を水、重炭酸塩及び塩水で連続して洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、粗生成物を、ジクロロメタン中3~15%のメタノールを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物28をオフホワイトの固体(36.23g、74%)として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6)δ 8.11-7.78(m,18H)、7.78-7.12(m,43H)、6.97(s,1H)、6.90-6.84(m,4H)、5.75(d,J=3.5Hz、3H)、5.36(dd,J=11.1、3.3Hz、3H)、4.93(dd,J=32.6、4.1Hz、1H)、4.73(d,J=8.5Hz、3H)、4.55-4.20(m,13H)、4.14(dd,J=8.1、4.0Hz、1H)、3.85-3.74(m,3H)、3.71(s,5H)、3.55-3.48(m,15H)、3.31(d,J=12.4Hz、2H)、3.08-2.98(m,14H)、2.27(t,J=6.4Hz、6H)、2.18(t,J=7.4Hz、2H)、2.04-1.98(m,9H)、1.70(s,8H)、1.62-1.32(m,20H)、1.32-1.00(m,14H).C
62H
193N
11O
42についての質量計算値:2964.33;実測値:2987.350[M+Na
+、MALDI-TOF、マトリックス:2-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(HABA)]。
ステップ3:化合物29の合成
化合物28(5.18g、1.74mmol)を無水アセトニトリル(30mL)に溶解させ、ジアミダイト試薬(0.66mL、2.096mmol)及びエチルチオテトラゾール(0.225g、1.74mmol)を加え、混合物を周囲温度で6時間撹拌した。混合物を炭酸水素ナトリウムの低温の希薄溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。溶媒を除去し、濃縮溶液をエーテル/ヘキサン(1:1)の混合物に滴下して加えて、アミダイトを沈殿させた。ろ過し、化合物を減圧下で乾燥させて、化合物29を白色の固体(5.65g、95%の収率)として得た。1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ 8.06-7.10(m,22H)、6.97(s,1H)、6.84(dd,J=8.6、2.9Hz、1H)、5.75(d,J=3.1Hz、1H)、5.37(dd,J=11.1、3.1Hz、1H)、4.74(d,J=8.5Hz、1H)、4.52-4.20(m,4H)、4.14(d,J=11.5Hz、1H)、3.88-3.63(m,5H)、3.62-3.39(m,7H)、3.03(s,5H)、2.73(t,J=6.0Hz、1H)、2.15-2.08(m,7H)、1.70(s,3H)、1.47(d,J=30.5Hz、8H)、1.30-0.79(m,18H).31P NMR(162MHz、DMSO)δ 151.92、151.70、151.51、151.18.
実施例21:オリゴヌクレオチド共役のためのモノGalNAc構成単位の合成
ステップ1.35の合成
GalNAc酸12(8.39g、18.71mmol)及びアミン34(10.00g、18.77mmol)をジクロロメタン中で一緒にした。HBTU(10.68g、28.12mmol)及びDIEA(9.80mL、3当量)を加え、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。TLCを確認し、反応混合物を分液漏斗に移し、水及び塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去した。粗生成物を、溶媒としてジクロロメタン及びMeOHを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物35を淡黄色のふわりとした固体(11.77g、63%)として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ 7.80(d,J=9.2Hz、1H)、7.69(t,J=5.6Hz、1H)、7.39-7.09(m,9H)、6.86(ddd,J=9.0、5.4、2.1Hz、4H)、5.20(d,J=3.4Hz、1H)、5.03-4.83(m,2H)、4.47(d,J=8.5Hz、1H)、4.41-4.07(m,2H)、4.04-3.95(m,3H)、3.86(dt,J=11.2、8.9Hz、1H)、3.79-3.68(m,6H)、3.68-3.36(m,3H)、3.21-2.88(m,5H)、2.26-2.14(m,2H)、2.09(s,3H)、2.02(t,J=6.7Hz、2H)、1.98(s,3H)、1.87(d,J=7.5Hz、3H)、1.76(s,3H)、1.53-1.29(m,7H).
ステップ2.化合物37の合成
ヒドロキシプロリン誘導体35(6.00g、6.24mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解させ、それにDIEA(2.20mL、3当量)及びアミダイト試薬36を加え、反応混合物を30分間撹拌し、TLCを確認した。それを分液漏斗に移し、水及び炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタン及びMeOHを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物37を白色のふわりとした固体として得た。1H NMR(400MHz、DMSO)δ 7.80(d,J=9.2Hz、1H)、7.68(s,1H)、7.42-7.06(m,8H)、7.01-6.73(m,4H)、5.20(d,J=3.3Hz、1H)、4.96(dd,J=11.2、3.3Hz、1H)、4.63(d,J=4.7Hz、1H)、4.47(d,J=8.5Hz、1H)、4.15(s,1H)、4.01(s,3H)、3.86(d,J=11.0Hz、1H)、3.70(d,J=16.5Hz、9H)、3.45(ddd,J=37.0、23.3、16.4Hz、6H)、2.99(dd,J=12.3、6.4Hz、3H)、2.74(dd,J=9.2、5.8Hz、2H)、2.21(s,2H)、2.09(s,3H)、2.05-1.95(m,5H)、1.88(s,3H)、1.76(s,3H)、1.52-1.16(m,11H)、1.16-1.02(m,11H).31P NMR δ=151.78、151.61、151.50、151.30.
実施例22:後共役(post-conjugation)のためのモノアミン構成単位の合成
i)トリフルオロ酢酸エチル、DIEA、DCM;ii)DIEA、DCM
化合物38:アミン34(17.00g、31.90mmol)を10分間にわたって氷-水混合物中でアルゴン下においてジクロロメタン(200mL)に溶解させた。トリエチルアミン(NEt
3、8.60mL、64mmol)及びトリフルオロ酢酸エチル(6.80g、48mmol)を上記の溶液に加え、混合物を周囲温度にゆっくりと温めた。反応混合物を室温で一晩にわたりアルゴン下で撹拌した。反応の完了をTLC(溶離剤:DCM中5%のMeOH、R
f=0.30)によって確認した。混合物を分液漏斗に移し、水(200mL)及び炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で連続して洗浄した後、標準的な後処理(work-up)を行った。溶離剤として0.1%のNEt
3を含有するヘキサン中50~100%の酢酸エチルを用いた残渣のフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー精製により、トリフルオロアセトアミド誘導体38(18.10g、90%)を淡黄色のふわりとした固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6 回転異性体の混合物:メジャー対マイナー比 約7:3)δ 9.40(t,J=5.4Hz、1H、NHC(O)CF
3)、7.41-7.13(m,9H、芳香族H)、6.93-6.86(m,4H、芳香族H)、4.99(d,J=4.1Hz、0.7H、-CH(OH))、4.90(d,J=4.2Hz、0.3H、-CH(OH))、4.44-4.38(m,0.7H、-CH(OH)-)、4.35-4.29(m,0.3H、-CH(OH)-)、4.20-4.12(m,1H)、3.73(s,6H、OCH
3)、3.58(dd,J=10.6、5.1Hz、0.7H)、3.46(dd,J=11.9、3.8Hz、0.3H)、3.33(dd,J=10.6、3.5Hz、0.7H)、3.26(dd,J=12.1、5.7Hz、0.3H),.3.21-3.05(m,4H)、3.05-2.97(m,1H)、2.11-1.78(m,3H)、1.59-1.23(m,6H).
13C NMR(126MHz、DMSO-d
6)δ 170.8、170.7、158.0、157.9、156.2、155.9、144.9、144.6、135.8、135.7、135.5、135.4、129.5、129.4、127.7、127.6、127.5、126.6、126.4、117.0、114.7、113.1、113.0、85.7、85.0、68.5、67.4、65.1、63.3、55.5、55.0、54.9、53.3、45.7、37.9、36.2、33.9、32.3、28.05、28.02、25.8、24.2、23.9.
19F NMR(376MHz、DMSO-d
6)δ-76.27、-77.13.C
34H
40F
3N
2O
6について計算されたHRMS(FAB):629.2838;実測値 629.2828(M+H).
化合物39:無水DCM(100mL)中の化合物38(11.10g、17.66mmol)の溶液にDIEA(7.6mL、44mmol)、続いて2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(5.00g、21.20mmol.)をアルゴン下で加え、反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応の完了をTLC(溶離剤:DCM中5%のMeOH Rf=0.35)によって確認した。混合物を分液漏斗に移し、水(150mL)及び炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)で連続して洗浄した後、標準的な後処理を行った。溶離剤として0.1%のNEt3を含有するヘキサン中20~50%の酢酸エチルを用いた残渣のフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー精製により、ホスホロアミダイト39(11.55g、79%)を白色のふわりとした固体として得た。1H NMR(400MHz、DMSO-d6、回転異性体の混合物:メジャー対マイナー比 約7:3)δ 9.39(t,J=5.5Hz、1H、NHC(O)CF3)、7.42-7.11(m,9H、芳香族H)、6.98-6.80(m,4H、芳香族H)、4.71-4.60(m,0.7H、-CH(OH)-)、4.59-4.48(m,0.3H、-CH(OH)-)、4.24-4.10(m,1H)、3.83-3.68(m,8H、-OCH3)、3.65-3.38(m,4H)、3.38-3.10(m,3H)、3.09-3.95(m,1H)、2.80-2.70(m,2H)、2.35-2.06(m,3H)、2.05-1.89(m,1H)、1.64-1.37(m,4H)、1.35-1.23(m,2H)、1.23-1.02(m,12H).31P NMR(162MHz、DMSO-d6)δ 147.01(メジャー)、146.75(マイナー)、146.55(マイナー)、146.18(メジャー).
実施例23:三分岐GalNAc酸(C12)NHSエステルの合成
化合物41の合成。無水メタノール(1L)中の酸40(150g、74.8mmol)の溶液に触媒量(0.5g)の金属ナトリウムを加え、混合物を室温で3時間撹拌した。反応の進行を、反応物の質量を調べることによってモニターした。何らかのアセチル化生成物に対応する全ての質量スペクトルピークの完全な消失後、反応混合物を酸性樹脂(Amberlite(登録商標)IR120、Fluka Cat.# 06428)でpH=7.4になるまでゆっくりと酸性化した。反応混合物をろ過し、固体を無水MeOH(200mL)で洗浄し、組み合わされた有機層を濃縮し、乾燥させて、純粋な脱保護酸(122g)をほぼ定量的収率でオフホワイトの固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6):δ 7.88-7.64(m,9H、NH);6.99(s,1H、NH);5.25-4.45(m,9H、OH);4.20(d,J=8.4、3H、糖H4);3.82-3.60(m,9H);3.60-3.37(m,21H)、3.37-3.21(m,6H);3.06-2.96(m,12H);2.27(t,J=6.3Hz、6H);2.17-1.94(m,9H);1.78(s,9H);1.55-1.37(m,22H);1.27-1.16(bs,12H).C
73H
130N
10O
30についての質量計算値:1627.88;実測値:1649.30(M+Na+、MALDI-TOF、マトリックス:HABA).
化合物42の合成。無水DMF(800mL)中の酸41(120g、73mmol)の溶液にDCC(30g、146mmol)を撹拌しながら室温で加えた後、N-ヒドロキシスクシンイミド(16.8g、146mmol)を加えた。反応混合物を室温で42時間撹拌し、その間、尿素副生成物が沈殿した。反応混合物を氷浴中で冷却し、沈殿した尿素をろ去した。反応混合物をロータリーエバポレータにおいて体積が半分になるまで濃縮した。この溶液を酢酸エチル(2L)に滴下して加え、それを激しく撹拌しながら氷浴中で冷却した。沈殿した固体をろ去し、酢酸エチル(2L)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、純粋な生成物を白色の粉末(107g、84%)として得た。1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ 7.95(s,1H、NH)、7.90-7.60(m,8H、NH)、6.98(s,1H、NH);5.03-4.41(m,9H、OH);4.20(d,J=8.4Hz、3H)、3.74-3.56(m,9H)、3.56-3.24(m,24H)、3.02(bs,10H)、2.89(s,3H)、2.80(s,1H)、2.72(s,2H)、2.46(s,2H)、2.27(t,J=6.6Hz、6H)、2.09-1.98(m,9H)、1.79(s,9H)、1.60-1.32(m,22H)、1.28-1.16(m,12H)。C77H133N11O32についての質量計算値:1724.96;実測値:1746.4(M+Na+、MALDI-TOF、マトリックス:HABA).
実施例24.GalNAc C5-NHSエステルの合成
ステップ1:
MeOH(250mL)中のGalNAc酸ペルアセテート43(100g、223.7mmol)の撹拌溶液に、MeOH(500mL)に予め溶解されたNaOMe(14.5g、269mmol)を加えた。上記の反応混合物を室温で一晩撹拌した。Amberlite H
+樹脂を加え、30分間撹拌して中和した。樹脂のろ去、続いて溶媒の濃縮により、泡状の固体生成物2(75g)を得て、それを精製せずに次のステップに使用した。
ステップ2:
DMF(250mL)中の44(25g、77.9mmol)及びNHS(17.9g、155.8mmol)の撹拌溶液にDCC(32.09mg、155.8mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。1Lの酢酸エチルを加えた後、ろ過により、生成物45(25g、77%)を得た。C17H26N2O10について計算されたLCMS:418.399(M+)、実測値:419.0(M++1)。
実施例25:2つのsiRNAを含むいくつかの例示的な二重標的化多標的分子のためのオリゴヌクレオチドの合成プロトコル
オリゴヌクレオチドの説明:2つのsiRNA(ビス-siRNAとも呼ばれる)を含む二重標的化多標的分子が3つのモチーフで考え出された。最も単純なモチーフは、通常の二重鎖で組になった長いセンス(S)及びアンチセンス(AS)鎖を特徴とし、2つの活性ASオリゴを形成するため、細胞内のヌクレアーゼによる切断のためにAS鎖上にDNAの短い区間を含んでいた。第2の手法は、2つの別個のAS鎖とハイブリダイズし得るより長いセンス鎖を特徴としていた。2’OMeウリジン(uuu)、C12リンカー(Q50)、ジスルフィド架橋(Q51)の区間を含むセンス鎖上でトリ-GalNAcを鎖(Q151)の3’末端から中央へと移動させることにより、様々なスペーサーを使用した。最後のモチーフは、4つの一本鎖を特徴とし、そのうちの2つは、DNAベースの付着末端を含んでいた。得られる各二重鎖が単一のDNA付着末端突出部を含むように、2つの別個のS及びAS鎖を一緒にアニーリングした。次に、相補的な付着末端突出部のハイブリダイゼーションを介して2つの二重鎖を連結した。
標準的なカップリング及び酸化:上記のオリゴヌクレオチドの全てをApplied Biosystems又はMerMade合成装置において合成した。それらは、より大きい規模の要求に対してAkta合成装置においてアップスケールすることができる。アミダイトのカップリングを、活性化のためにアセトニトリル中の0.25Mの5-(エチルチオ)-1H-テトラゾールを用いて標準的な合成条件下で行った。3-(ジメチルアミノメチレン)アミノ-3H-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン(DDTT)を用いた標準的なチオール化プロトコルを行って、亜リン酸トリエステルをホスホロチオエート結合へと転化した。アミダイトを、2’OMeシチジン及びウリジンを除いて0.12~0.15Mでアセトニトリルに溶解させ、これは、共溶媒として15%のテトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドを有していた。
合成の例外:Q151モノマーの高分子量のため、鎖A-134477.1におけるそのカップリングについて特別な配慮を行う必要があった。ホスホロアミダイトを0.07~0.09Mでアセトニトリルに溶解させた。Applied Biosystems合成装置において活性化のために0.6Mの5-(エチルチオ)-1H-テトラゾールによる二重カップリングを使用した。これを行って、混合前に2つの溶液の粘度を適合させた。アミダイトの第1の供給後、900秒間保持した後、アミダイト及び活性化剤の第2の供給及びさらなる900のカップリング保持が続いた。その後のアミダイトカップリングを通常の条件下で続行した。
Q51ジスルフィドリンカーについても特別な配慮を用いる必要があった。ジスルフィドは、酸化に敏感であるため、アセトニトリル(70%のTBHP水溶液から希釈された)中10%のtertブチルヒドロペルオキシド(TBHP)をTHF/ピリジン/H2O溶液中の通常の0.02MのI2の代わりに使用した。この弱い酸化をQ51及び全てのその後のカップリングに使用した。
脱保護及び切断:合成後、オリゴヌクレオチドを60℃で5時間又は35℃で16時間にわたってNH3水溶液及びEtOHの4:1混合物中で脱保護した。
精製:オリゴヌクレオチドの全てを、標準的なイオン交換クロマトグラフィー方法及び脱塩手順を用いて85%超の純度に精製した。
モノマーQ50、Q51及びQ151の構造が図26に示される。
試薬の供給元:試薬の供給元が本明細書に特に示されていない場合、このような試薬は、分子生物学における用途の品質/純度標準で分子生物学用の試薬の任意の供給業者から入手することができる。
siRNA合成:FVII及びmTTR siRNA配列を、固体担体に媒介されるホスホロアミダイト化学反応を用いて、Mermade 192合成装置(BioAutomation)において1μmolの規模で合成した。固体担体は、特注のGalNAcリガンド又は汎用固体担体(AM biochemical)が充填された制御細孔ガラス(500Å)であった。補助的な合成試薬、2’-F及び2’-O-メチルRNA及びデオキシホスホロアミダイトは、Thermo-Fisher(Milwaukee,WI)及びHongene(China)から入手した。Q50、Q51及びQ151修飾リンカー(上に示される)を、対応するホスホロアミダイトを用いて導入した。3’GalNAc共役一本鎖の合成をGalNAc修飾CPG担体において行った。特注のCPG汎用固体担体をアンチセンス一本鎖の合成に使用した。全てのホスホロアミダイト(アセトニトリル中100mM)のカップリング時間は、活性化剤(アセトニトリル中0.6M)として5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)を用いて5分間であった。ホスホロチオエート結合を、無水アセトニトリル/ピリジン(1:1 v/v)中の3-((ジメチルアミノ-メチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン(DDTT、Chemgenes(Wilmington,MA,USA)から入手した)の50mMの溶液を用いて生成した。酸化時間は、3分間であった。全ての配列をDMT基の最終的な除去(「DMTオフ」)により合成した。
長鎖設計及び短鎖設計を、ヌクレオチド合成ステップの数を調整することによって同様に合成した。リンカー(Q50、Q51及びQ151)を標準的なホスホロアミダイトとしてカップリングし、このカップリングは、さらなるヌクレオチド合成ステップとして含まれていた。
固相合成が完了したら、オリゴリボヌクレオチドを固体担体から切断し、60℃で20分間にわたって200μLのメチルアミン水溶液試薬を用いて密閉した96ディープウェルプレート中で脱保護した。切断及び脱保護ステップの最後に合成プレートを室温にし、1mLのアセトニトリル:エタノール混合物(9:1)の添加によって沈殿させた。プレートを-80℃で2時間冷却し、上清を、マルチチャンネルピペットを用いて慎重にデカントした。オリゴヌクレオチドペレットを20mMのNaOAc緩衝液中で再懸濁し、A905オートサンプラ及びFrac 950フラクションコレクタを備えたAKTA Purifier Systemにおいて、5mLのHiTrapサイズ排除カラム(GE Healthcare)を用いて脱塩した。脱塩したサンプルを96ウェルプレートに収集した。各配列からのサンプルを、同一性を確認するためにLC-MSによって分析し、定量化のためにUV(260nm)を、及び純度を測定するために、選択された組のサンプルをIEXクロマトグラフィーによって分析した。
3つ以下の一本鎖から構成された多重鎖構築物について、FVII及びmTTR一本鎖のアニーリングを、センス及びアンチセンス一本鎖の等モル混合物を混合することによって行った。相補的な一本鎖を組み合わせた後、96ウェルプレートを確実に密閉し、オーブン中において100℃で10分間加熱し、2~3時間の期間にわたってゆっくりと室温にした。4つ以上の一本鎖から構成された多重鎖構築物について、水中でセンス及びアンチセンス一本鎖の等モル混合物を混合し、加熱及び冷却する(上述されるように)ことにより、個々の逆相補的なFVII及び長い3’-突出部を有するmTTR二重鎖をまず調製した。逆相補的な3’-突出部を有する等モル量の二重鎖を一緒に混合し、乾燥した粉末が得られるまで混合物を水から凍結乾燥させた。次に、多重鎖構築物を、滅菌したエンドトキシンフリー1×PBSに溶解させた。各多重鎖の濃度を、滅菌したエンドトキシンフリー1×PBS中300μMに対して正規化した。
全ての場合において、非変性IEX-HPLC方法は、単一体の多重鎖構築物に対応する単一のクロマトグラムピークの存在を示した。
様々な例示的な多標的分子のIn vitro自由取り込み及びトランスフェクションが表4に要約されている。
実施例26.In vivo試験
In vivo試験:全ての動物を病原体除去環境で飼育し、動物に関わる全ての手順は、該当する場合、地方、州、及び連邦規制に従って、及び実験動物委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)によって承認されるように行った。雌のC57BL/6マウス(7~8週齢)は、Charles River Labsから入手した。ビス-siRNA化合物(FVII及びTTRをターゲティングする)を、滅菌したPBS中で適切な濃度に希釈した。マウスに、0日目に10mL/kgの体積で皮下(s.c)注射によりPBS又はビス-siRNA化合物のいずれかを投与した。様々な時点(0日目[投与前]、7、14、21、及び28日目)で眼窩後方出血により動物から血液サンプルを採取し、血清に処理した(Microtainer Serum Separator Tubes;Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ,USA)。第VII因子タンパク質の血中濃度を、活性に基づく発色アッセイ(activity-based chromogenic assay)(Biophen FVII,Aniara Corporation,Mason,OH)を用いて決定した。TTRタンパク質の血中濃度を、マウスTTR ELISAを用いて決定した。
マウスTTR血清タンパク質方法:TTR血清タンパク質を、製造業者の使用説明書に従って、市販の酵素結合免疫吸着法、41-ALBMS-E01(ALPCO,Salem,NH)を用いて定量化した。簡潔に述べると、血清サンプルを1倍のALPCO Kit Dilution Buffer中で4000倍に希釈した。8点マウスTTR標準曲線を、0~1000ng/mLの範囲で2.5倍の連続希釈を用いて作成した。標準及びサンプル(100μL)をプレートに加え、室温で30分間インキュベートさせた。プレートを1倍のALPCO Kit Wash Buffer中で洗浄し、安定化緩衝液中の西洋ワサビペルオキシダーゼと共役されたアフィニティー精製抗プレアルブミン抗体と共に室温で20分間インキュベートした。ALPCO Kit 1倍洗浄緩衝液中での洗浄後、プレートを、pH3.3のクエン酸緩衝液中の3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)及び過酸化水素を用いて暗所において室温で10分間インキュベートした。反応を1ウェル当たり100μLの0.3Mの硫酸でクエンチした。405nmにおける吸光度をSpectraMaxプレートリーダーで読み取り、データをSoftmax Pro Softwareにおいて計算される4-パラメータ曲線(y=(A-D)/(1+(x/C)^B)+D)にフィットさせて、μg/mLで表される血清TTRタンパク質レベルを決定した。各時点でのタンパク質レベルをビヒクル対照血清タンパク質値のそれぞれの群平均に対して正規化した。結果が図4~13に示される。
実施例27.二重鎖分析
付着末端を有する2つのsiRNAを1mMの濃度でヌクレアーゼフリー水に溶解させた。ビス-siRNA二重鎖を溶融するために、20μLの各二重鎖を一緒に混合し、100μLの10×PBS(pH7.4、Ambion)を加えた後、860μLのヌクレアーゼフリー水を加えて、1×PBS中の1mLのストック二重鎖を得た。ストックビス-siRNA二重鎖を1×PBS緩衝液で約8倍に希釈し、濃度を各溶融ビス-siRNA二重鎖について0.5 ODU/mL(±5%)の260nmにおけるAUに調整した。融点温度(Tm)を、High-Performance Peltier Temperature Controller、Micro Auto 6 Tm Cell Holder(ストッパを有する6つの325μLのTmマイクロセル)及びTm Analysis Softwareを備えたDU 800 Series UV/Vis分光光度計(Beckman Coulter)において実験的に測定した。二重鎖を、1.0℃/分で上昇する温度で20.0~80.0℃の温度範囲内で測定される二重鎖変性及び再生プロフィールを用いて6つの325μLのサンプルフォーマットにおいて分析した。全てのTm値を、Tm Analysis Softwareを備えた一次導関数(First Derivative)方法を用いて計算し、それぞれ2つの独立したTm測定からなる2つの別個の実験(独立した二重鎖調製)からの平均値を各溶融二重鎖について計算した。平均値を、Microsoft Excelを用いて計算した。二重鎖AM-26についての二重鎖分析及び熱融解プロフィールが図14に示される。図から分かるように、AM-26は、これらの条件下で単一体として見える。図14中の非相補的な付着末端ビス-siRNAは、AM-26二重鎖と同じセンス鎖を有するが、各siRNA二重鎖のアンチセンス鎖3’末端において7ヌクレオチド(2’OMe RNA)の区間を有し、それらが一緒に混合されたとき、二重鎖構造を形成することができないようになっている。第1のsiRNAのアンチセンス鎖3’末端における7ヌクレオチドの区間は、第2のsiRNAのアンチセンス鎖3’末端における7ヌクレオチドの区間とハイブリダイズしない。換言すれば、それらは完全にミスマッチである。非相補的な付着末端ビス-siRNAのアンチセンス配列は、5’-usUfsauaGfaGfCfaagaAfcAfcuguususucacagcg-3’及び5’-usUfsaagAfcuUfgagaUfgAfuccugsgscgacacuu-3’である。
配列、例えば、表1~3の記載の配列を説明するのに使用される略語を収集し、便宜のために表5に記載する。
本明細書及び実施例に明示される全ての特許及び他の刊行物は、あらゆる目的のために参照により明示的に本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は、本願の出願日より前に開示のために提供されたに過ぎない。これに関するいかなることも、本発明者らが、先行発明のために又は別の何らかの理由で、こうした開示に先行する資格がないという承認として解釈すべきではない。日付に関する記載又はこれらの文献の内容に関する表示は全て、本出願人が入手可能な情報に基づくものであり、これらの文献の日付又は内容の正確さに関する何らの承認をなすものではない。
本明細書において好ましい実施形態を示し、詳細に説明してきたが、当業者には、様々な改変形態、追加形態、代替形態などが本発明の趣旨を逸脱することなくなされ得、従って、これらは、以下の特許請求の範囲に定義する通り、本発明の範囲内であるとみなされることは明らかであろう。さらに、当業者であれば、既述していない範囲まで本明細書で説明及び例示した様々な実施形態のいずれか1つをさらに改変して、本明細書に開示する他の実施形態のいずれかに示される特徴を組み込み得ることは理解されよう。
他の実施形態
1.少なくとも2つのエフェクター分子を含む多標的分子であって、前記エフェクター分子が一緒に連結され、少なくとも1つのリガンドが前記多標的分子と共役され、前記多標的分子が、前記エフェクター分子が一緒に連結されていない場合と比べてそれぞれ少なくとも70%だけ少なくとも2つの標的核酸の遺伝子発現を調節し、前記少なくとも2つのエフェクター分子が互いに重ならない、多標的分子。
2.前記少なくとも2つのエフェクター分子が互いに非共有的に連結され、及び前記少なくとも2つのエフェクター分子の各々が少なくとも1つのリガンドと共役される、実施形態1に記載の多標的分子。
3.前記非共有結合が前記少なくとも2つのエフェクター分子間のヌクレオチドのハイブリダイゼーションである、実施形態2に記載の多標的分子。
4.前記エフェクター分子が、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、抗マイクロRNA又は抗mir、スーパーmir、アンタゴmir、リボザイム、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、デコイオリゴヌクレオチド、スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、免疫刺激オリゴヌクレオチド、RNA活性化剤、U1アダプター、CRISPR Cas及びこれらの組合せから選択される、実施形態1に記載の多標的分子。
5.前記エフェクター分子が一緒に連結されていない場合と比べてそれぞれ少なくとも75%だけ少なくとも2つの標的核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態1に記載の多標的分子。
6.前記少なくとも2つのエフェクター分子の1つが第1の標的核酸の遺伝子発現を調節し、及び前記少なくとも2つのエフェクター分子のもう1つが第2の核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態5に記載の多標的分子。
7.前記第1の標的核酸及び前記第2の標的核酸が同じである、実施形態6に記載の多標的分子。
8.前記第1の標的核酸及び前記第2の標的核酸が同じヌクレオチド配列をターゲティングする、実施形態7に記載の多標的分子。
9.前記リガンドが前記少なくとも2つのエフェクター分子の1つの3’末端において共役される、実施形態1に記載の多標的分子。
10.前記リガンドが前記少なくとも2つのエフェクター分子の1つの5’末端において共役される、実施形態1に記載の多標的分子。
11.第1の二本鎖siRNA分子及び第2の二本鎖siRNA分子を含む多標的分子であって、前記第1のsiRNAのセンス鎖がその3’末端に一本鎖突出部を含み、及び前記第2のsiRNAのアンチセンス鎖がその3’末端に一本鎖突出部を含み、前記センス鎖の前記一本鎖突出部の核酸配列が前記アンチセンス鎖の前記一本鎖突出部のヌクレオチド配列と実質的に相補的であり、前記2つの一本鎖突出部が二重鎖を形成し、前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAがそれぞれ少なくとも1つのリガンドと共役される、多標的分子。
12.前記第1及び第2のsiRNAが、独立に、前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAが一緒に連結されていない場合と比べて少なくとも70%だけそれらのそれぞれの標的核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態11に記載の多標的分子。
13.前記第1のsiRNAが第1の標的核酸の遺伝子発現を調節し、及び前記第2のsiRNAが第2の核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態11又は12に記載の多標的分子。
14.前記第1の標的核酸及び前記第2の標的核酸が同じである、実施形態13に記載の多標的分子。
15.前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAが同じ核酸配列をターゲティングする、実施形態14に記載の多標的分子。
16.少なくとも1つのリガンドが前記センス鎖の1つと共役される、実施形態11~15のいずれかに記載の多標的分子。
17.少なくとも1つのリガンドが前記センス鎖の1つの前記3’末端、5’末端又は内部位置において共役される、実施形態16に記載の多標的分子。
18.少なくとも1つのリガンドが前記アンチセンス鎖の1つと共役される、実施形態11~16のいずれかに記載の多標的分子。
19.少なくとも1つのリガンドが前記アンチセンス鎖の1つの前記3’末端、5’末端又は内部位置において共役される、実施形態18に記載の多標的分子。
20.第1のリガンドがセンス鎖と共役され、及び第2のリガンドがアンチセンス鎖と共役される、実施形態11~19のいずれかに記載の多標的分子。
21.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第2のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖が前記第1のsiRNAに由来する、実施形態20に記載の多標的分子。
22.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第1のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖が前記第2のsiRNAに由来する、実施形態20に記載の多標的分子。
23.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第1のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖も前記第1のsiRNAに由来する、実施形態20に記載の多標的分子。
24.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第2のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖も前記第2のsiRNAに由来する、実施形態20に記載の多標的分子。
25.前記センス鎖の前記一本鎖突出部が全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAヌクレオチドの混合物を含み、前記DNA及びRNAが天然又は修飾されたものであり得る、実施形態11~24のいずれかに記載の多標的分子。
26.前記アンチセンス鎖の前記一本鎖突出部が全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAヌクレオチドの混合物を含み、前記DNA及びRNAが天然又は修飾されたものであり得る、実施形態11~25のいずれかに記載の多標的分子。
27.前記2つの一本鎖突出部によって形成される前記二重鎖の5%未満がヌクレアーゼによって切断される、実施形態11~26のいずれかに記載の多標的分子。
28.前記2つの一本鎖突出部によって形成される前記二重鎖の少なくとも50%がヌクレアーゼによって切断される、実施形態11~26のいずれかに記載の多標的分子。
29.修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む、実施形態11~18のいずれかに記載の多標的分子。
30.前記少なくとも1つの修飾が、センス鎖、アンチセンス鎖、前記センス鎖の一本鎖突出部、前記アンチセンス鎖の一本鎖突出部又はこれらの任意の組合せに含まれる、実施形態29に記載の多標的分子。
31.第1の二本鎖siRNA分子及び第2の二本鎖siRNA分子を含む多標的分子であって、前記第1のsiRNAのアンチセンス鎖が3’末端に一本鎖突出部を含み、及び前記第2のsiRNAのアンチセンス鎖が3’末端に一本鎖突出部を含み、前記2つの一本鎖突出部核酸配列の核酸配列が互いに対して実質的に相補的であり、及び前記2つの一本鎖突出部が二重鎖を形成し、前記2つの一本鎖突出部が二重鎖を形成し、前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAがそれぞれ少なくとも1つのリガンドと共役される、多標的分子。
32.前記第1及び第2のsiRNAが、独立に、前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAが一緒に連結されていない場合と比べて少なくとも70%だけそれらのそれぞれの標的核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態31に記載の多標的分子。
33.前記第1のsiRNAが第1の標的核酸の遺伝子発現を調節し、及び前記第2のsiRNAが第2の核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態31又は32に記載の多標的分子。
34.前記第1の標的核酸及び前記第2の標的核酸が同じである、実施形態33に記載の多標的分子。
35.前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAが同じ核酸配列をターゲティングする、実施形態34に記載の多標的分子。
36.前記リガンドの少なくとも1つがセンス鎖の1つと共役される、実施形態31~35のいずれかに記載の多標的分子。
37.前記リガンドの少なくとも1つが前記センス鎖の1つの3’末端、5’末端又は内部位置において共役される、実施形態36に記載の多標的分子。
38.前記リガンドの少なくとも1つが前記アンチセンス鎖の1つと共役される、実施形態31~36のいずれかに記載の多標的分子。
39.前記リガンドの少なくとも1つが前記アンチセンス鎖の1つの前記3’末端、5’末端又は内部位置において共役される、実施形態38に記載の多標的分子。
40.第1のリガンドがセンス鎖と共役され、及び第2のリガンドがアンチセンス鎖と共役される、実施形態31~39のいずれかに記載の多標的分子。
41.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第2のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖が前記第1のsiRNAに由来する、実施形態40に記載の多標的分子。
42.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第1のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖が前記第2のsiRNAに由来する、実施形態40に記載の多標的分子。
43.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第1のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖も前記第1のsiRNAに由来する、実施形態40に記載の多標的分子。
44.前記第1のリガンドと共役される前記センス鎖が前記第2のsiRNAに由来し、及び前記第2のリガンドと共役される前記アンチセンス鎖も前記第2のsiRNAに由来する、実施形態40に記載の多標的分子。
45.前記第1のsiRNAの前記アンチセンス鎖の前記一本鎖突出部が全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAヌクレオチドの混合物を含む、実施形態31~44のいずれかに記載の多標的分子。
46.前記第2のsiRNAの前記アンチセンス鎖の前記一本鎖突出部が全てDNA、全てRNA又はDNA及びRNAヌクレオチドの混合物を含む、実施形態31~45のいずれかに記載の多標的分子。
47.前記2つの一本鎖突出部によって形成される前記二重鎖の5%未満がヌクレアーゼによって切断される、実施形態31~46のいずれかに記載の多標的分子。
48.前記2つの一本鎖突出部によって形成される前記二重鎖の少なくとも50%がヌクレアーゼによって切断される、実施形態31~46のいずれかに記載の多標的分子。
49.修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む、実施形態31~48のいずれかに記載の多標的分子。
50.前記少なくとも1つの修飾が、センス鎖、アンチセンス鎖、前記第1のsiRNAの前記アンチセンス鎖の一本鎖突出部、前記第2のsiRNAの前記アンチセンス鎖の一本鎖突出部、又はこれらの任意の組合せに含まれる、実施形態39に記載の多標的分子。
51.第1の二本鎖siRNA分子及び第2の二本鎖siRNA分子を含む多標的分子であって、前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAが互いに共有結合され、少なくとも1つのリガンドが前記多標的分子と共役される、多標的分子。
52.前記第1のsiRNA分子のセンス鎖が前記第2のsiRNA分子のセンス鎖に共有結合される、実施形態51に記載の多標的分子。
53.前記第1のsiRNA分子のセンス鎖が前記第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖に共有結合される、実施形態51に記載の多標的分子。
54.前記第1のsiRNA分子のアンチセンス鎖が前記第2のsiRNA分子のアンチセンス鎖に共有結合される、実施形態51に記載の多標的分子。
55.前記第1及び第2のsiRNAが、独立に、前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAが前記多標的分子の一部でない場合と比べて少なくとも70%だけそれらのそれぞれの標的核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態51~53のいずれかに記載の多標的分子。
56.前記第1のsiRNAが第1の標的核酸の遺伝子発現を調節し、及び前記第2のsiRNAが第2の核酸の遺伝子発現を調節する、実施形態51~55のいずれかに記載の多標的分子。
57.前記第1の標的核酸及び前記第2の標的核酸が同じである、実施形態56に記載の多標的分子。
58.前記第1のsiRNA及び前記第2のsiRNAが同じ核酸配列をターゲティングする、実施形態57に記載の多標的分子。
59.前記リガンドが前記センス鎖の1つと共役される、実施形態51~58のいずれかに記載の多標的分子。
60.前記リガンドが前記センス鎖の1つの3’末端において共役される、実施形態59に記載の多標的分子。
61.前記リガンドが前記センス鎖の1つの5’末端において共役される、実施形態59に記載の多標的分子。
62.前記リガンドが前記アンチセンス鎖の1つの3’末端において共役される、実施形態59に記載の多標的分子。
63.前記リガンドが前記アンチセンス鎖の1つの5’末端において共役される、実施形態59に記載の多標的分子。
64.前記第1のsiRNA分子及び前記第2のsiRNA分子がヌクレオチドベースのリンカーを介して互いに連結される、実施形態51~60のいずれかに記載の多標的分子。
65.前記リンカーが一本鎖である、実施形態64に記載の多標的分子。
66.前記リンカーが二本鎖である、実施形態64に記載の多標的分子。
67.前記二本鎖リンカーが一本鎖領域を含む、実施形態66に記載の多標的分子。
68.前記第1のsiRNA分子及び前記第2のsiRNA分子が非ヌクレオチドベースのリンカーを介して互いに連結される、実施形態51~60のいずれかに記載の多標的分子。
69.前記2つのセンス鎖を連結する前記リンカーが切断可能なリンカーである、実施形態64~68のいずれかに記載の多標的分子。
70.前記リガンドが前記リンカーに共役される、実施形態64~68のいずれかに記載の多標的分子。
71.修飾ヌクレオシド間結合、修飾核酸塩基、修飾糖、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾を含む、実施形態51~70のいずれかに記載の多標的分子。
72.前記少なくとも1つの修飾が、センス鎖、アンチセンス鎖又は前記少なくとも2つのsiRNA分子を連結する前記リンカーに含まれる、実施形態71に記載の多標的分子。
73.前記リンカーが、ロックド核酸、2’-O-アルキルヌクレオシド、2’-ハロヌクレオシド、2’-アミノヌクレオシド、2’-S-アルキルヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、2’-シアノヌクレオシド、2’-メルカプトヌクレオシド;2’-MOEヌクレオシド、アクリルヌクレオシド、S-cEtヌクレオシド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの核酸修飾を含む、実施形態71又は72に記載の多標的分子。
74.前記リンカーが、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、ホスホン酸水素、アルキル又はアリールホスホネート、ホスホロアミデート、ホスホロチオエート、メチレンメチルイミノ、チオジエステル、チオノカルバメート、N,N’-ジメチルヒドラジン、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、アミド、ヒドロキシアミノ、シロキサン、ジアルキルシロキサン、カルボキサミド、炭酸塩、カルボキシメチル、カルバメート、カルボン酸エステル、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、硫化物、スルホン酸塩、スルホンアミド、スルホン酸エステル、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンカルボニルアミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、メチレンオキシメチルイミノ、エーテル、チオエーテル、チオアセトアミド、これらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を含む、実施形態51~73のいずれかに記載の多標的分子。