JP7209405B1 - 脱輪防止装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような大型車輌にあっては、大重量のタイヤホイールが高速に回転するため、経時的な劣化(金属疲労等)で当該ハブボルトが折損することがある。
このハブボルトの折損が車輌の走行中に生じた場合、高速で回転しているタイヤホイールがアクスルハブから外れ、タイヤごと道路上を暴走し、他の車両に衝突したり、歩行者に当たる等、重大事故を発生する虞がある。
このためハブボルトの折損が生じた場合でも、アクスルハブからタイヤホイールが脱落(脱輪)しないようにした脱輪防止装置が、例えば、以下の特許文献により提案されている。
また、特許文献2は、ホイールハブ(本願のアクスルハブ)の外周を囲む脱輪防止具を、2つのC字型ストッパ部材で構成し、2つのC字型ストッパ部材をボルトとナットでO字型でホイールハブに取り付ける技術を開示している。この脱輪防止具には内側に2つの凸部が形成され、この凸部がホイールハブ側の凹部(本願の凹状溝部)に嵌め込まれて脱落防止が図られている。
この特許文献3では、ハブ2に嵌合させる内筒3は、外径がタイヤホイールの内径よりも大きく形成され、該内筒3の周壁にはハブ2の外周面の凹部(本願の凹状溝部)に対応する位置に支持孔4が形成されている。この支持孔4に上記凹部に係合するストッパブロック(本願の駒部材に対応)6が着脱可能に支持される。
ストッパブロック6は上記凹部に係合させた状態ではストッパブロック6の上面が内筒3の外周面から突出し、この状態で、内筒3に外筒7が嵌装される。
外筒7の内径は、突出した状態のストッパブロック6の外径に等しく、よって、外筒7は、内筒3に嵌装された際にストッパブロック6に係合する。
ストッパブロック6はボルト(本願の固定ネジに対応)8により内筒3から抜けないように抜け止めが形成されている。
また、特許文献2は、単にストッパ部材となるリング状の脱輪防止具に2つの凸部を設け、この2つの凸部を凹部に嵌め合わせる構成であり、かかる脱落防止具によってタイヤホイールがホイールハブから脱落しないようにしている。
特許文献1、2の脱輪防止装置(脱輪防止金具、脱輪防止具)のいずれも構造が極めて簡単であるものの、走行時に高速で回転する大重量のタイヤホイールの脱輪防止装置としての強度を保つことが困難である。これは、特許文献1の脱落防止金具も、特許文献2の脱落防止具も、特許文献3の筒状の部材(金属製の筒)のような十分な強度が確保できる部材ではないからである。
しかし、この特許文献3の脱輪防止装置は、内筒3と外筒7の二重の筒構造であり、また、走行時(高速回転時)のストッパブロック6の軸方向の振動を防止するためには、ストッパブロック6の外側の面と外側7の内面とを精度良く一致させる必要があるなど、構造が複雑で設計も困難であり、部品点数も多く装置全体として高コストなものとなる。
また、ストッパブロック6が、依然として、内筒3の支持孔4内で振動し得る構造であるため、車輌の走行時に各部位にストレスがかかり得る構造となっており、脱輪防止装置自体に十分な耐久性を備えることが困難である。
本発明は、このような従来の文献に開示された脱輪防止装置の欠点を克服し、構成簡単で、しかも高速で回転する大重量のタイヤホイールの脱落を十分に防止でき、装置自体の耐久性も高められる脱輪防止装置を提供することを課題とする。
また、本願の第2の発明は、第1の発明において、前記アクスルハブにはハブキャップが取り付けられて、前記凹状溝部と前記ハブキャップとによって段差が形成され、前記押圧手段は、前記筒部材に形成された取付孔に螺合される固定ネジにて構成され、前記駒部材は、外側端部が前記段差に当接された状態で、前記固定ネジで前記凹状溝部の内壁に押し当てられて、前記筒部材が前記アクスルハブに固定される。
また、本願の第4の発明は、第2の発明において、前記アクスルハブと前記筒部材は、係止片によって互いに連結されている。
また、本願の第5の発明は、第4の発明において、前記係止片は、一端が前記筒部材の外側天面に当接し、他端が前記ハブキャップの上面にネジ止めされている。
また、本願の第7の発明は、第1から第4の発明において、前記筒部材の外周面には、脱輪防止部が設けられている。
本願の第2の発明によれば、脱輪防止装置が、駒部材と、筒部材と、押圧手段とからなり、前記筒部材と前記ハブキャップとで形成される段差に、前記駒部材の外側端部(先端部)が当接された状態で固定されるので、前記駒部材が凹状溝部内で軸方向にも周方向にも振動することがない。よって、走行時にタイヤホイールが高速で回転しても、前記駒部材の揺れを減らすことができ、各部位の破損を防ぐことができ脱輪防止装置自体の耐久性が向上する。
本願の第4の発明によれば、前記係止片が前記取付ボルトによって前記ハブキャップの上面に固定されると共に筒部材を先端側から押さえ込むので、筒部材の軸方向の移動が制限され、前記駒部材が軸芯方向に抑えられるので、筒部材をアクスルハブに確実に固定できる。
本願の第6の発明によれば、筒部材の内側底部(ハブ取付部の側)に切欠き部又は凹部が形成されているので、脱輪防止装置が装着された状態でのソケットを用いたレンチによるナットの締め付け作業が可能となる。
本願の第7の発明によれば、ハブ取付部のハブ穴の内径が、筒部材の外径より大きい場合であっても、筒部材の外周面に設けられた脱輪防止部により、タイヤホイールが外れることを防止できる。
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1から図18を用いて説明する。
図1は、本発明の脱輪防止装置100がアクスルハブ10に取り付けられている様子を示す斜視図、図2は、脱輪防止装置100を示す分解斜視図である。
図1、図2に示すように、脱輪防止装置100は、アクスルハブ10にタイヤホイール20のハブ取付部21が固定された状態で、該アクスルハブ10を車両のアウター側(図1及び図2中、左側)から取り付けられる。
アクスルハブ10の先端には、ハブキャップ14が取り付けられており、このハブキャップ14と、アクスルハブ10の凹状溝部11,11,11,…とで段差Dが形成される(図8参照)。
この筒部材120は、常時アクスルハブ10に取り付けられているため軽量であることが望まれるが、一方で、走行時に、ハブボルト12,12,12,…が折損して(ナット13が外れて)ハブ取付部21とアクスルハブ10が離れた場合に、タイヤホイール20を車輌から離脱(脱輪)させない強度が要求される。
これはハブボルト12,12,12,…が折損したり、ナット13,13,13,…が緩んだ場合に、これらの異常(ハブ取付部21とアクスルハブ10が離れたこと)が分かるようにするためである。
この隙間dを設けないと、ハブボルト12,12,12,…が折損したり、ナット13,13,13,…が緩んでも、筒部材120とハブ取付部21とが密着して固定されたままで、異常が検知できない。
この実施の形態では隙間dは、アクスルハブ10の軸方向の高さ(例えば、150mm)の1/3程度(40mm~50mm)となっている。
この切欠き部122,122,122,…は、タイヤホイール20の取り付けに用いられる電動レンチ30のソケット31(図8、図9参照)が収容できる大きさ/形状となっている。
このように切欠き部122,122,122,…を、ソケット31が収容可能な大きさ/形状とすることで、脱輪防止装置100を装着したまま、ハブボルト12,12,12,…に螺合されたナット13,13,13,…の緩みを、適時点検し、電動レンチ30による締め付け作業を可能としている(図9参照)。
一方、図3(b)では、2つの一点鎖線で囲む位置で、凹状溝部11,11に2つの駒部材110,110を嵌め込むことができるだけで、残りの凹状溝部11,11,11,…に駒部材110を嵌め込むとハブボルト12が、取付ネジ130に隠れてしまい、ハブボルト12,12,12,…にソケット31を挿着できない。
このように、ハブボルト12,12,12,…の位置と凹状溝部11,11,11,…との位置によって、3つの駒部材110,110,110を凹状溝部11,11,11に装着可能であったり、2つの駒部材110,110しか凹状溝部11,11に装着できなかったりする。
なお、3つの駒部材110,110,110を3ヶ所の凹状溝部11,11,11に嵌め込んで脱輪防止装置100を装着する場合、凹状溝部11,11,11と固定ネジ130,130,130の位置関係は、図4に示すようになる。
このときハブ取付部21に形成された取付孔22a,22a,22a,…に、ハブボルト12,12,12,…が貫通するように位置合わせが行われ、該ハブボルト12,12,12,…にナット13,13,13,…が電動レンチ30等で螺合されて両者が固定される。
先ず、3つの駒部材110,110,110が、図6(a)(b)に示すように、3ヶ所の凹状溝部11,11,11に嵌め込まれる。
この3ヶ所の凹状溝部11,11,11は、駒部材110を固定ネジ130で固定しても、固定ネジ130が、ナット13の締め込み作業の妨げにならない箇所である(図6(b))。
このとき駒部材110,110,110のアウター側の上端(外側端部)110A,110A,110Aは、図8に示すように、凹状溝部11,11,11とハブキャップ14とで形成された段差Dに当接するように位置合わせが行われ、この状態で固定ネジ130で固定される。
このディンプル111は、駒部材110の上端110Aが段差Dに当接した状態で、螺着された固定ネジ130の先端が、その中心に位置するよう形成されている。
よって、固定ネジ130,130,130が、雌ねじが切られた取付孔121,121,121に螺着されると、固定ネジ130,130,130の先端はディンプル111,111,111を押すことになり、結果、駒部材110,110,110は、上端110Aが段差Dに当接されたまま、凹状溝部11,11,11内で軸芯側の内壁に強固に固定される(図8)。
図6に示したように、3ヶ所の凹状溝部11,11,11に駒部材110,110,110を嵌め込んでも、固定ネジ130は、ナット13を締め付ける際にソケット31の妨げとならない。
脱輪防止装置200を取り付けるに当たっては、2つの駒部材210,210が、図10に示す2ヶ所の凹状溝部11,11に嵌め込まれる。
この2ヶ所の凹状溝部11,11の駒部材210は、雌ねじが切られた取付孔221,221に固定ネジ230,230を螺着することで固定される。このとき固定ネジ230は、ハブボルト12,12,12,…の位置と重ならないため、ナット13,13,…の締め込み作業の妨げにならない(図10)。
また、筒部材220の内側底部(ハブ取付部21側の端部)にも、切欠き部222,222,222,…が設けられているため、脱輪防止装置200が取り付けられたままソケット31によるナット13の締め付け作業が可能となる(図13参照)。
この状態で、取付ボルト14aを取付孔14bに螺合させることで、係止片240は、一端がハブキャップ14の上面に固定され、他端が筒部材220を上端側の面(外側天面)から押さえ込む。
この脱輪防止装置200でも、車輌の走行時に大重量のタイヤホイール20が高速に回転しても、駒部材210,210や筒部材220が、アクスルハブ10の軸方向や軸芯方向への振動が抑えられ、アクスルハブ10、脱輪防止装置100の各部位に余分なストレスを与えることがなくなり、これら各部位の破損を防ぐこともできる。
この脱輪防止装置200を取り付けたままでも、筒部材220の内側底部(インナー側の端部)に切欠き部222,222,222,…が形成されているため、電動レンチ30による締め付ける作業が可能である。
脱輪防止装置300を取り付けるに当たっては、先ず、2つの駒部材310,310が、図14、図15に示す2ヶ所の凹状溝部11,11に嵌め込まれる。
駒部材310,310も、上端が凹状溝部11,11,11とハブキャップ14とで形成された段差D(図示省略)に当接され、この状態で、固定ネジ330,330が、雌ねじが切られた取付孔321,321に螺着されると、該固定ネジ330,330の先端がディンプル311,311内に押し当てられる。
このとき係止片340の他端は、筒部材320の上端側の面(外側天面)を押さえ込む。
一方で、筒部材320は、2つの駒部材310,310で軸芯に向かって押さえ付けられてアクスルハブ10に固定される。
なお、筒部材320の内側底部にも切欠き部222,222,222,…が形成されているため、脱輪防止装置300を取り付けたままで、電動レンチ30による締め付ける作業が可能となる。
10のハブボルト42,42,42,…を有するアクスルハブ40では、ハブボルト42,42,42,…は、中心とハブキャップ14の10の取付ボルト14a,14a,14a,…を結ぶ延長線上に位置する(図16)。
この脱輪防止装置400でも、筒部材420の下端に切欠き部422,422,422,…が形成されているため(図17)、脱輪防止装置400を実装したまま、ナット43,43,43,…の緩みを点検したり、締め付けをすることが可能である。
この脱輪防止装置500は、脱輪防止装置100(図7)と比較して、切欠き部522を可能な限り大きくして軽量化を図った点のみが異なる。
脱輪防止装置500の切欠き部522は、脱輪防止装置100の2つの切欠き部122,122を合わせて1つの大きな切欠き部としたものである。
次に、第2の実施の形態に係る脱輪防止装置600について、図19から図23を用いて説明する。
図19は、本発明の脱輪防止装置600がアクスルハブ60に取り付けられている様子を示す斜視図である。
この脱輪防止装置600は、ハブ取付部71のハブ穴71Aの内径W1が、アクスルハブ60の主部(スカート部65を除いた部分)60Aの外径W2より大きいタイヤホイール70の脱輪防止に用いられるものである(図20(B)、図21(B))。
アクスルハブ60は、その裾部分に複数(図示例では、10)のスカート部65,65,…が形成され、このスカート部65,65,…の外側がハブ穴71Aと接することで、ハブ取付部71がアクスルハブ60に固定可能になっている。
そこで脱輪防止装置600では、筒部材620の外周面に複数(図示例では、5つ)の脱輪防止部(脱輪防止用凸部)640,640,…が設けられている。
この脱輪防止部640,640,…により、筒部材620の外周部が実質的に拡大し、ハブボルト62,62,62,…が折損した場合でも、タイヤホイール70のハブ取付部71が、この脱輪防止部640,640,…に引っかかって、タイヤホイール70の脱輪を防止することができる。
また、脱輪防止部640,640,…は、アウター側からインナー側(図21(B)の左側から右側)に向けて広がる細長い箱型(側面が台形)となっている(図21(B)、図23)。
このとき脱輪防止部640,640,…のインナー側の端部とハブ取付部71表面との隙間dは、40mm~50mm程度となる。
隙間dを必要以上に大きくすると、ハブボルト62,62,62,…が折損してアクスルハブ60からハブ取付部71が外れ際に筒部材620に生ずる衝撃が大きくなるため、脱輪防止部640,640,…の長さを調整して、間隔dを最適な値としている。
脱輪防止装置600の他の機能は、第1の実施の形態の脱輪防止装置100と同一であるため、その詳細な説明は、省略する。
よって、駒部材610,610,610は、脱輪防止部640,640,…と対応していない残りの5つの凹状溝部61,61,61,…の何れかに装着すればよい。
11,41,61 凹状溝部
12,42,62 ハブボルト
13,43,63 ナット
14 ハブキャップ
14a 取付ボルト
14b 取付孔
20,50,70 タイヤホイール
30 電動レンチ
31 ソケット
100,200,300,400,500,600,700 脱輪防止装置
110,210,310,410,510,610,710 駒部材
120,220,320,420,520,620,720 筒部材
121,221,321,421,521,621,721 取付孔
122,222,322,422,522 切欠き部
130,230,330,430,530,630,730 固定ネジ(押圧手段)
240,340,740 係止片
650 脱輪防止部(凸部)
Claims (7)
- 軸方向に延びる複数の凹状溝部が形成されたアクスルハブに装着されるタイヤホイールの脱輪防止装置であって、
前記凹状溝部の少なくとも1つに嵌め込まれる駒部材と、
前記駒部材が前記凹状溝部に嵌め込まれた状態で前記アクスルハブを外周から覆う筒部材と、
前記筒部材に取り付けられ、前記駒部材を前記凹状溝部に押し当てる押圧手段とからなり、
前記アクスルハブにはハブキャップが取り付けられて、前記凹状溝部と前記ハブキャップとによって段差が形成され、
前記押圧手段は、前記筒部材に形成された取付孔に螺合される固定ネジにて構成され、
前記駒部材は、外側端部が前記段差に当接された状態で、前記固定ネジで前記凹状溝部の内壁に押し当てられて、前記筒部材が前記アクスルハブに固定されることを特徴とする脱輪防止装置。 - 前記駒部材には窪みが形成され、
前記筒部材には、前記駒部材の前記外側端部が前記段差に当接する状態で、前記窪みと対応する位置に前記取付孔が設けられ、
前記押圧手段を構成する前記固定ネジが前記取付孔に螺合されることを特徴とする請求項1に記載の脱輪防止装置。 - 前記アクスルハブと前記筒部材は、係止片によって互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の脱輪防止装置。
- 前記係止片は、一端が前記筒部材の外側天面に当接し、他端が前記ハブキャップの上面にネジ止めされていることを特徴とする請求項3に記載の脱輪防止装置。
- 前記筒部材の内側底部に、前記アクスルハブのハブボルト位置に対応して切欠き部又は凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の脱輪防止装置。
- 前記筒部材の外周面には、脱輪防止部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の脱輪防止装置。
- 中心にハブ穴が形成されたハブ取付部を有し、軸方向に延びる複数の凹状溝部が形成されたアクスルハブに装着されるタイヤホイールの脱輪防止装置であって、
前記凹状溝部の少なくとも1つに嵌め込まれる駒部材と、
前記駒部材が前記凹状溝部に嵌め込まれた状態で前記アクスルハブを外周から覆う筒部材と、
前記筒部材に取り付けられ、前記駒部材を前記凹状溝部に押し当てる押圧手段とからなり、
前記筒部材の外周面に、前記ハブ穴の内径が前記筒部材の外径よりも大きいタイヤホイールが装着された際に前記ハブ取付部を引っかけることが可能な凸部からなる脱輪防止部が設けられていることを特徴とする脱輪防止装置。
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