JP7208579B1 - フラックス及びソルダペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】ソルダペーストの経時での粘度変化をより抑制することができるフラックス、及びこのフラックスを用いたソルダペーストを提供する。【解決手段】本発明は、ロジンと、溶剤と、チキソ剤と、チオール化合物と、活性剤とを含有するフラックスであって、チオール化合物が、ベンゼン環上の1つ以上の水素原子をメルカプト基(-SH)で置換したベンゼンチオール骨格をもつ化合物(Tp)を含むことを特徴とする。この化合物(Tp)としては、2-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール、3-アミノベンゼンチオール及びベンゼンチオールからなる群より選択される少なくとも一種のチオール化合物が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、フラックス及びソルダペーストに関する。
基板に対する部品の固定、及び基板に対する部品の電気的な接続は、一般に、はんだ付けにより行われる。はんだ付けにおいては、フラックス、はんだ粉末、並びに、フラックス及びはんだ粉末を混合したソルダペーストが用いられる。
フラックスは、はんだ付けの対象となる接合対象物の金属表面及びはんだに存在する金属酸化物を化学的に除去し、両者の境界で金属元素の移動を可能にする効能を持つ。このため、フラックスを使用してはんだ付けを行うことで、両者の間に金属間化合物が形成されるようになり強固な接合が得られる。
ソルダペーストを使用したはんだ付けでは、まず、基板にソルダペーストが印刷された後、部品が搭載され、リフロー炉と称される加熱炉で、部品が搭載された基板が加熱される。これにより、ソルダペーストに含まれるはんだ粉末が溶融して、部品が基板にはんだ付けされる。
フラックスの配合成分は、はんだの種類、又は接合対象物表面の金属種に応じて、適宜選択される。例えば、特許文献1には、特定のはんだ合金粉末に対して、ベース樹脂、溶剤、チキソ剤、活性剤、酸化防止剤及び防錆剤を含有するフラックスを用いたソルダペーストが提案されている。
特開2002-361484号公報
ところで、フラックス及びはんだ粉末を混合したソルダペーストは、使用方法によっては保管期間が長期に渡る場合がある。そして、ソルダペーストの保管状況により、経時に伴いソルダペーストの粘度が増加して、当初の印刷性能を発揮することができなくなる等の不具合がある。近年における電子部品の小型化、複雑化が進むなか、この不具合が顕在化した問題となっている。
そこで、本発明は、ソルダペーストの経時での粘度変化をより抑制することができるフラックス、及びこれを用いたソルダペーストを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] ロジンと、溶剤と、チキソ剤と、チオール化合物と、活性剤とを含有し、前記チオール化合物は、ベンゼン環上の1つ以上の水素原子をメルカプト基(-SH)で置換したベンゼンチオール骨格をもつ化合物(Tp)を含む、フラックス。
[2] 前記化合物(Tp)が、2-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール、3-アミノベンゼンチオール及びベンゼンチオールからなる群より選択される少なくとも一種のチオール化合物である、[1]に記載のフラックス。
[3] 前記化合物(Tp)が、2-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール及び3-アミノベンゼンチオールからなる群より選択される少なくとも一種のチオール化合物である、[2]に記載のフラックス。
[4] 前記化合物(Tp)が、2-アミノベンゼンチオール及び4-アミノベンゼンチオールからなる群より選択される少なくとも一種のチオール化合物である、[3]に記載のフラックス。
[5] 前記化合物(Tp)が、2-アミノベンゼンチオールと4-アミノベンゼンチオールとを併用したものである、[4]に記載のフラックス。
[6] 前記化合物(Tp)の含有量が、フラックスの総質量に対して0.005~0.7質量%である、[1]~[5]のいずれか一つに記載のフラックス。
[7] 前記活性剤は、アミンヨウ化水素酸塩を含む、[1]~[6]のいずれか一つに記載のフラックス。
[8] 前記溶剤は、沸点250℃以上の溶剤(S1)と、沸点220℃以下の溶剤(S3)とを併有する、[1]~[7]のいずれか一つに記載のフラックス。
[9] 前記溶剤(S3)が、沸点190℃以上220℃以下の溶剤(S31)である、[8]に記載のフラックス。
[10] 前記溶剤(S1)と前記溶剤(S31)との比率が、溶剤(S1)/溶剤(S31)で表される質量比で、55/45以上95/5以下である、[9]に記載のフラックス。
[11] はんだ合金粉末と、[1]~[10]のいずれか一つに記載のフラックスと、を含有するソルダペースト。
本発明によれば、ソルダペーストの経時での粘度変化をより抑制することができるフラックス、及びこれを用いたソルダペーストを提供することができる。
本実施例での[ボイド発生の抑制の効果]の評価における、リフロープロファイルを示す図である。
(フラックス)
本実施形態のフラックスは、ロジンと、溶剤と、チキソ剤と、チオール化合物と、活性剤とを含有する。前記チオール化合物は、ベンゼン環上の1つ以上の水素原子をメルカプト基(-SH)で置換したベンゼンチオール骨格をもつ化合物(Tp)を含む。
<ロジン>
ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。
該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性ロジン、酸変性水添ロジン、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられる。
ロジンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
ロジンとしては、上記の中でも、重合ロジン、酸変性水添ロジン及び水添ロジンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
酸変性水添ロジンとしては、アクリル酸変性水添ロジンを用いることが好ましい。
水添ロジンとしては、アビエチン酸とこの異性体との混合物を含む天然樹脂を水素化したもの、例えば、ジヒドロアビエチン酸とテトラヒドロアビエチン酸とを主成分とするロジン等が挙げられる。「主成分」とは、化合物を構成する成分のうち、その化合物中の含有量が40質量%以上の成分をいう。
本実施形態のフラックス中の、ロジンの含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましく、25質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。
<溶剤>
溶剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,2′-オキシビス(メチレン)ビス(2-エチル-1,3-プロパンジオール)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、2-ヘキシル-1-デカノール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、オクタンジオール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルグリコール)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルグリコール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレントリグルコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル等が挙げられる。
テルピネオール類としては、α-ターピネオール、β-ターピネオール、γ-ターピネオール、ターピネオール混合物(すなわち、その主成分がα-ターピネオールであり、β-ターピネオール又はγ-ターピネオールを含有する混合物)等が挙げられる。
その他溶剤としては、例えば、セバシン酸ジオクチル(DOS)、流動パラフィン等が挙げられる。
溶剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスは、沸点の異なる溶剤を組み合わせた組成のフラックスを含有するソルダペーストの、経時での粘度変化を抑制するのに有用である。
本明細書において、「溶剤の沸点」とは、対象の溶剤の飽和蒸気圧が1気圧と等しくなるときの、その溶剤の温度を意味する。
沸点の異なる溶剤の好適な形態としては、沸点250℃以上の溶剤(S1)と、沸点220℃以下の溶剤(S3)とを併有するものが挙げられる。
以下、沸点250℃以上の溶剤を(S1)成分、沸点220℃以下の溶剤を(S3)成分ともいう。また、沸点220℃超え、250℃未満の溶剤を(S2)成分という。
≪沸点250℃以上の溶剤(S1)≫
(S1)成分としては、例えば、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(沸点272℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)(沸点258℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点278℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)等が挙げられる。
≪沸点220℃超え、250℃未満の溶剤(S2)≫
(S2)成分としては、例えば、1,4-ブタンジオール(沸点228℃)、フェニルグリコール(沸点237℃)、ブチルカルビトール(沸点231℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点243℃)等が挙げられる。
≪沸点220℃以下の溶剤(S3)≫
(S3)成分としては、例えば、1,3-ブタンジオール(沸点203℃)、1,2-ブタンジオール(沸点194℃)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)(沸点198℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルグリコール)(沸点208℃)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(沸点210℃)、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール(沸点215℃)、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール(沸点206℃)、α-ターピネオール(沸点218℃)(以上、沸点190℃以上220℃以下の溶剤(この溶剤を「溶剤(S31)」又は「(S31)成分」ともいう));エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルグリコール)(沸点171℃)、2,3-ブタンジオール(沸点183℃)、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール(沸点174℃)、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(沸点180℃)(以上、沸点160℃以上190℃未満の溶剤(この溶剤を「溶剤(S32)」又は「(S32)成分」ともいう))等が挙げられる。
沸点の異なる溶剤の形態としては、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑えられやすいことから、(S1)成分と(S31)成分とを併有することが好ましい。
(S1)成分と(S31)成分とを併有する場合、前記(S1)成分と前記(S31)成分との比率(質量比)は、ソルダペーストとした際の経時での粘度変化の割合を低く抑えられやすい観点から、溶剤(S1)/溶剤(S31)=55/45以上95/5以下であることが好ましく、60/40以上90/10以下であることがより好ましい。さらに、はんだ付けの際にボイドの発生が抑制されやすい観点から、溶剤(S1)/溶剤(S31)=60/40以上85/15以下であることが好ましい。
溶剤の総含有量は、フラックスにおける残部である。
例えば、本実施形態のフラックス中の、溶剤の総含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、25質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましく、35質量%以上45質量%以下がさらに好ましい。
<チキソ剤>
チキソ剤としては、例えば、エステル系チキソ剤、アミド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
エステル系チキソ剤としては、例えばエステル化合物が挙げられ、具体的には、硬化ひまし油、ミリスチン酸エチル等が挙げられる。
アミド系チキソ剤としては、例えば、モノアミド、ビスアミド、ポリアミドが挙げられる。
モノアミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、4-メチルベンズアミド(p-トルアミド)、p-トルエンメタンアミド、芳香族アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、置換アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールアミド、脂肪酸エステルアミド等が挙げられる。
ビスアミドとしては、例えば、エチレンビス脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、ヘキサメチレンビス脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、芳香族ビスアミド等が挙げられる。前記ビスアミドの原料である脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸(炭素数C18)、オレイン酸(炭素数C18)、ラウリン酸(炭素数C12)等が挙げられる。
ポリアミドとしては、例えば、飽和脂肪酸ポリアミド、不飽和脂肪酸ポリアミド、芳香族ポリアミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリス(2-メチルシクロヘキシルアミド)、環状アミドオリゴマー、非環状アミドオリゴマー等のポリアミドが挙げられる。
前記環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー等が挙げられる。
前記非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸とモノアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマー等が挙げられる。モノカルボン酸又はモノアミンを含むアミドオリゴマーであると、モノカルボン酸、モノアミンがターミナル分子として機能し、分子量を小さくした非環状アミドオリゴマーとなる。また、非環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸と、ジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミド化合物である場合、非環状高分子系アミドポリマーとなる。さらに、非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とモノアミンとが非環状に縮合したアミドオリゴマーも含まれる。
ソルビトール系チキソ剤としては、例えば、ジベンジリデン-D-ソルビトール、ビス(4-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、(D-)ソルビトール、モノベンジリデン(-D-)ソルビトール、モノ(4-メチルベンジリデン)-(D-)ソルビトール等が挙げられる。
チキソ剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスが含有するチキソ剤としては、エステル系チキソ剤及びアミド系チキソ剤からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、アミド系チキソ剤を少なくとも含むことがより好ましく、エステル系チキソ剤とアミド系チキソ剤との組合せがさらに好ましい。
エステル系チキソ剤としては、硬化ひまし油が好ましい。
アミド系チキソ剤としては、ポリアミドが好ましい。
本実施形態のフラックス中の、チキソ剤の含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、2質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
<チオール化合物>
本実施形態のフラックスにおいて、チオール化合物には、ベンゼンチオール骨格をもつ化合物(Tp)を含むものを用いる。
「ベンゼンチオール骨格」とは、ベンゼン環上の1つ以上の水素原子をメルカプト基(-SH)で置換した構造をいう。
≪化合物(Tp)≫
化合物(Tp)としては、例えば、下記一般式(Tp-0)で表されるチオール化合物が好適に挙げられる。
Figure 0007208579000001
[式中、Rは、置換基である。xは1以上の整数であり、メルカプト基(-SH)の数を示す。yは0以上の整数であり、置換基(R)の数を示す。但し、1≦x+y≦6である。]
前記式(Tp-0)中、Rにおける置換基としては、例えば、アミノ基(-NH)、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよいし、炭素数1~6のアルキル基が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、このアルキル基は、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよいし、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
なかでも、Rにおける置換基は、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果を高められやすいことから、アミノ基、ヒドロキシ基が好ましく、アミノ基が特に好ましい。
前記式(Tp-0)中、xは、1以上の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
yは、0以上の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0~2の整数であり、特に好ましくは1である。
好ましい化合物(Tp)として、例えば、下記化学式(Tp-10)で表されるアミノベンゼンチオールが挙げられる。
Figure 0007208579000002
前記化学式(Tp-10)中、ベンゼン環上のメルカプト基に対するアミノ基の結合位置は、オルト位(2-)、メタ位(3-)又はパラ位(4-)のいずれでもよい。
化合物(Tp)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスが含有する化合物(Tp)としては、前記一般式(Tp-0)で表されるチオール化合物が好ましく、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果を高められやすいことから、アミノベンゼンチオール(xは1以上、yは1以上)、ベンゼンチオール(xは1以上、y=0)がより好ましい。
これらの中でも、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果をいっそう高められやすいことから、2-アミノベンゼンチオール(x=y=1)、4-アミノベンゼンチオール(x=y=1)、3-アミノベンゼンチオール(x=y=1)及びベンゼンチオール(x=1、y=0)からなる群より選択されるチオール化合物が好ましく、2-アミノベンゼンチオール(x=y=1)、4-アミノベンゼンチオール(x=y=1)及び3-アミノベンゼンチオール(x=y=1)からなる群より選択されるチオール化合物がより好ましく、2-アミノベンゼンチオール(x=y=1)及び4-アミノベンゼンチオール(x=y=1)からなる群より選択されるチオール化合物がさらに好ましく、2-アミノベンゼンチオール(x=y=1)と4-アミノベンゼンチオール(x=y=1)とを併用することが特に好ましい。
2-アミノベンゼンチオール(x=y=1)と4-アミノベンゼンチオール(x=y=1)とを併用する場合、その混合比率(質量比)は、2-アミノベンゼンチオール/4-アミノベンゼンチオール=1/9~9/1が好ましく、3/7~7/3がより好ましく、4/6~6/4がさらに好ましい。
本実施形態のフラックス中の、化合物(Tp)の総含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、0.005質量%以上0.7質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上0.3質量%以下がさらに好ましい。
化合物(Tp)の総含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果をより高められやすくなり、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、はんだ付けの際におけるボイド発生が抑制されやすくなる。
チオール化合物には、上述の化合物(Tp)以外のチオール化合物を併用してもよい。
化合物(Tp)以外のチオール化合物としては、例えば、2-(ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン、2-メルカプトベンゾチアゾール、tert-ドデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸トリデシル等が挙げられる。
<活性剤>
活性剤としては、例えば、ハロゲン系活性剤、有機酸、アミン等が挙げられる。
≪ハロゲン系活性剤≫
ハロゲン系活性剤としては、例えば、アミンハロゲン化水素酸塩、アミンハロゲン化水素酸塩以外の有機ハロゲン化合物が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩:
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素とを反応させた化合物である。ここでのアミンとしては、例えば、アゾール類、グアニジン類、アルキルアミン化合物、アミノアルコール化合物が挙げられ、後述の≪アミン≫についての説明の中で例示されるアミンが挙げられる。ハロゲン化水素としては、例えば、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素の各水素化物が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩としては、アミンヨウ化水素酸塩、アミン臭化水素酸塩、アミン塩酸塩、アミンフッ化水素酸塩が挙げられる。
アミンヨウ化水素酸塩としては、例えば、2-ピペコリンヨウ化水素酸塩(2-ピペコリン・HI)、ピペリジン・HI等の複素脂環式アミンヨウ化水素酸塩;モノエチルアミン・HI、トリエチルアミン・HI、1-ペンタンアミン・HI、2-エチルヘキシルアミン・HI、ジアリルアミン・HI等の鎖状アミンヨウ化水素酸塩;シクロヘキシルアミン・HI等の脂環式アミンヨウ化水素酸塩;アニリン・HI等の芳香族アミンヨウ化水素酸塩;1,3-ジフェニルグアニジン・HI等のグアニジンヨウ化水素酸塩が挙げられる。
アミン臭化水素酸塩としては、例えば、2-ピペコリン臭化水素酸塩(2-ピペコリン・HBr)、ピペリジン・HBr、ジフェニルグアニジン・HBr、シクロヘキシルアミン・HBr、ヘキサデシルアミン・HBr、ステアリルアミン・HBr、エチルアミン・HBr、2-エチルヘキシルアミン・HBr、ピリジン・HBr、イソプロピルアミン・HBr、ジエチルアミン・HBr、ジメチルアミン・HBr、ロジンアミン・HBr、ヒドラジンヒドラート・HBr、トリノニルアミン・HBr、ジエチルアニリン・HBr、2-ジエチルアミノエタノール・HBr、ジアリルアミン・HBr、トリエチルアミン・HBr、アニリン・HBr、ジメチルシクロヘキシルアミン・HBr、ロジンアミン・HBr、2-フェニルイミダゾール・HBr、4-ベンジルピリジン・HBr、ヒドラジン一臭化水素酸塩、ヒドラジン二臭化水素酸塩、エチレンジアミン二臭化水素酸塩等が挙げられる。
アミン塩酸塩としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン塩酸塩(1,3-ジフェニルグアニジン・HCl)、エチルアミン・HCl、ステアリルアミン・HCl、ジエチルアニリン・HCl、ジエタノールアミン・HCl、ジメチルアミン・HCl、2-エチルヘキシルアミン・HCl、イソプロピルアミン・HCl、シクロヘキシルアミン・HCl、1,3-ジフェニルグアニジン・HCl、ジメチルベンジルアミン・HCl、ジメチルシクロヘキシルアミン・HCl、2-ジエチルアミノエタノール・HCl、ジアリルアミン・HCl、ジエチルアミン・HCl、トリエチルアミン・HCl、ブチルアミン・HCl、へキシルアミン・HCl、n-オクチルアミン・HCl、ドデシルアミン・HCl、L-グルタミン酸・HCl、N-メチルモルホリン・HCl、ベタイン・HCl、ピリジン・HCl、ヒドラジン一塩酸塩、ヒドラジン二塩酸塩、塩化アンモニウム等が挙げられる。
アミンフッ化水素酸塩としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジンフッ化水素酸塩(1,3-ジフェニルグアニジン・HF)、ジエチルアミン・HF、2-エチルヘキシルアミン・HF、シクロヘキシルアミン・HF、エチルアミン・HF、ロジンアミン・HF等が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩以外の有機ハロゲン化合物:
アミンハロゲン化水素酸塩以外の有機ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化脂肪族炭化水素基を有するハロゲン化脂肪族化合物が挙げられる。
ハロゲン化脂肪族炭化水素基は、脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたものをいう。
ハロゲン化脂肪族化合物としては、ハロゲン化脂肪族アルコール、ハロゲン化複素環式化合物が挙げられる。
ハロゲン化脂肪族アルコールとしては、例えば、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-ブタノール、1,3-ジブロモ-2-プロパノール、2,3-ジブロモ-1-プロパノール、1,4-ジブロモ-2-ブタノール、trans-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオール等が挙げられる。
ハロゲン化複素環式化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
-(R ・・・(3)
は、m価の複素環式基を表す。Rは、ハロゲン化脂肪族炭化水素基を表す。
における、m価の複素環式基の複素環としては、脂肪族炭化水素環又は芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された環構造が挙げられる。この複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。この複素環は、3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることがより好ましい。この複素環としては、例えば、イソシアヌレート環などが挙げられる。
における、ハロゲン化脂肪族炭化水素基は、炭素数1~10が好ましく、炭素数2~6がより好ましく、炭素数3~5がさらに好ましい。また、Rは、臭素化脂肪族炭化水素基、塩素化脂肪族炭化水素基が好ましく、臭素化脂肪族炭化水素基がより好ましく、臭素化飽和脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。
ハロゲン化複素環式化合物として、具体的には、トリス-(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
また、アミンハロゲン化水素酸塩以外の有機ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化カルボキシル化合物が挙げられ、2-ヨード安息香酸、3-ヨード安息香酸、2-ヨードプロピオン酸、5-ヨードサリチル酸、5-ヨードアントラニル酸等のヨウ化カルボキシル化合物;2-クロロ安息香酸、3-クロロプロピオン酸等の塩化カルボキシル化合物;2,3-ジブロモプロピオン酸、2,3-ジブロモコハク酸、2-ブロモ安息香酸等の臭素化カルボキシル化合物が挙げられる。
あるいは、ハロゲン系活性剤としては、例えば、アミンとテトラフルオロホウ酸(HBF)とを反応させた塩、アミンと三フッ化ホウ素(BF)とを反応させた錯体も用いることができる。前記錯体としては、三フッ化ホウ素ピぺリジン等が挙げられる。
ハロゲン系活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスが含有するハロゲン系活性剤としては、はんだ付けの際におけるボイド発生の抑制の効果の観点から、アミンハロゲン化水素酸塩を用いることが好ましく、その中でもアミンヨウ化水素酸塩を用いることがより好ましく、複素脂環式アミンヨウ化水素酸塩及びグアニジンヨウ化水素酸塩からなる群より選択される少なくとも一種を用いることがさらに好ましく、複素脂環式アミンヨウ化水素酸塩を用いることが特に好ましく、2-ピペコリン・HI及びピペリジン・HIからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが最も好ましい。
本実施形態のフラックスが、上述の化合物(Tp)に加えてアミンヨウ化水素酸塩を含有する場合、化合物(Tp)とアミンヨウ化水素酸塩との混合比率(質量比)は、化合物(Tp)/アミンヨウ化水素酸塩=50/50超え、90/10以下が好ましく、60/40以上80/20以下がより好ましく、67/33以上75/25以下がさらに好ましい。
本実施形態のフラックス中の、ハロゲン系活性剤の総含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましく、1質量%以上2質量%以下がさらに好ましい。
ハロゲン系活性剤の総含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、はんだ付けの際におけるボイド発生が抑制されやすくなり、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果をより高められやすくなる。
≪有機酸≫
有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、シアヌル酸、ダイマー酸、トリマー酸などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、チオグリコール酸、プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、グリシン等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ピコリン酸、p-アニス酸、m-アニス酸、o-アニス酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、2-キノリンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、2,4-ジエチルグルタル酸、フマル酸、マレイン酸、ジグリコール酸、ジチオグリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フェニルコハク酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
トリカルボン酸としては、例えば、クエン酸等が挙げられる。
シアヌル酸としては、例えば、イソシアヌル酸トリス(2-カルボキシエチル)等が挙げられる。
ダイマー酸、トリマー酸としては、例えば、オレイン酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸、オレイン酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸、アクリル酸の反応物であるダイマー酸、アクリル酸の反応物であるトリマー酸、メタクリル酸の反応物であるダイマー酸、メタクリル酸の反応物であるトリマー酸、アクリル酸とメタクリル酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とメタクリル酸との反応物であるトリマー酸、オレイン酸の反応物であるダイマー酸、オレイン酸の反応物であるトリマー酸、リノール酸の反応物であるダイマー酸、リノール酸の反応物であるトリマー酸、リノレン酸の反応物であるダイマー酸、リノレン酸の反応物であるトリマー酸、アクリル酸とオレイン酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とオレイン酸との反応物であるトリマー酸、アクリル酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸、アクリル酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、アクリル酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、メタクリル酸とオレイン酸との反応物であるダイマー酸、メタクリル酸とオレイン酸との反応物であるトリマー酸、メタクリル酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸、メタクリル酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸、メタクリル酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、メタクリル酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、オレイン酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、オレイン酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、リノール酸とリノレン酸との反応物であるダイマー酸、リノール酸とリノレン酸との反応物であるトリマー酸、上述した各ダイマー酸に水素を添加した水添物である水添ダイマー酸、上述した各トリマー酸に水素を添加した水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
例えば、オレイン酸とリノール酸との反応物であるダイマー酸は、炭素数が36の2量体である。また、オレイン酸とリノール酸との反応物であるトリマー酸は、炭素数が54の3量体である。
有機酸は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスが含有する有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びダイマー酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、ジカルボン酸及びダイマー酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、脂肪族ジカルボン酸及びダイマー酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることがさらに好ましく、はんだボールの発生を抑制する観点から、脂肪族ジカルボン酸を少なくとも用いることが特に好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸及びスベリン酸からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、グルタル酸、アジピン酸及びピメリン酸からなる群より選択される少なくとも一種がさらに好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
本実施形態のフラックス中の、有機酸の総含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、1質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、3質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
ジカルボン酸の含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましく、2質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
ダイマー酸(水添ダイマー酸を含む)の含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、2.5質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましく、7.5質量%以上12.5質量%以下がさらに好ましい。
≪アミン≫
アミンとしては、例えば、アゾール類、グアニジン類、アルキルアミン化合物、アミノアルコール化合物等が挙げられる。
アゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-s-トリアジン、エポキシ-イミダゾールアダクト、2-メチルベンゾイミダゾール、2-オクチルベンゾイミダゾール、2-ペンチルベンゾイミダゾール、2-(1-エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2-ノニルベンゾイミダゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール化合物;1,2,4-トリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6’-tert-ブチル-4’-メチル-2,2’-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1-(1’,2’-ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-[(2-エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6-ビス[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]-4-メチルフェノール、5-メチルベンゾトリアゾール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール化合物;5-フェニルテトラゾール等が挙げられる。
グアニジン類としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。
アルキルアミン化合物としては、例えば、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、シクロヘキシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン等が挙げられる。
アミノアルコール化合物としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等が挙げられる。
アミンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスが含有するアミンとしては、アゾール類及びグアニジン類からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、トリアゾール化合物及びグアニジン類からなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
本実施形態のフラックスにおいては、はんだボールの発生を抑制する観点から、前記活性剤が、トリアゾール化合物を含むことがさらに好ましい。
本実施形態のフラックス中の、アミンの総含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、0.5質量%以上5質量%以下が好ましく、1質量%以上4.5質量%以下がより好ましく、2質量%以上4質量%以下がさらに好ましい。
トリアゾール化合物の含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、0質量%超え0.99質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。
グアニジン類の含有量としては、前記フラックスの総質量(100質量%)に対して、1質量%以上5質量%以下が好ましく、2質量%以上4質量%以下がより好ましい。
また、本実施形態のフラックスにおいては、はんだボールの発生を抑制する観点から、前記活性剤として、脂肪族ジカルボン酸とトリアゾール化合物とを併用することも好ましい。脂肪族ジカルボン酸とトリアゾール化合物とを併用する場合、脂肪族ジカルボン酸とトリアゾール化合物との混合比率(質量比)は、脂肪族ジカルボン酸/トリアゾール化合物=90/10以上95/5以下が好ましい。
<その他成分>
本実施形態のフラックスは、ロジン、溶剤、チキソ剤、チオール化合物及び活性剤以外に、必要に応じてその他成分を含有してよい。
その他成分としては、ロジン以外の樹脂成分、チオール化合物以外の硫黄含有化合物、界面活性剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
ロジン以外の樹脂成分としては、例えば、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル-ポリエチレン共重合樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
変性テルペン樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられる。変性テルペンフェノール樹脂としては、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。変性スチレン樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等が挙げられる。変性キシレン樹脂としては、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等が挙げられる。アクリル-ポリエチレン共重合樹脂としては、エチレンアクリル酸コポリマー等が挙げられる。
チオール化合物以外の硫黄含有化合物としては、例えば、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジヘキシルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、弱カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アルコールポリオキシエチレン付加体、芳香族アルコールポリオキシエチレン付加体、多価アルコールポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
弱カチオン系界面活性剤としては、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アミンポリオキシエチレン付加体、芳香族アミンポリオキシエチレン付加体、多価アミンポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
上記以外の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。
以上説明した本実施形態のフラックスにおいては、特定のチオール化合物(Tp)を含有するため、ソルダペーストに利用した際、ソルダペーストの経時での粘度変化をより抑制することができる。かかる効果を高められやすいことから、特定のチオール化合物(Tp)の中でも、アミノベンゼンチオール及びベンゼンチオールからなる群より選択されるチオール化合物を用いることが好ましく、これらの中でもアミノベンゼンチオールを用いることがより好ましい。アミノベンゼンチオールの中でも、2-アミノベンゼンチオール及び4-アミノベンゼンチオールの少なくとも一方を用いる場合の方が、3-アミノベンゼンチオールを用いる場合に比べて、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果がより得られやすい。この理由は定かではないが、ソルダペーストの経時での粘度変化は、はんだ合金の金属と、フラックス系中の酸とが錯体を形成することで起こると推測される。アミノベンゼンチオールは、金属表面に吸着することで保護層を形成して、金属と酸との錯体形成を抑制する。アミノベンゼンチオールにおいては、ベンゼン環上にある-NHが持つ電子供与性によって、メルカプト基硫黄原子の電子密度が増大する。このため、アミノベンゼンチオールは、はんだ合金表面の陰イオン欠陥部への吸着が、より促進されることで、かかる効果が得られやすいと推測される。また、2-アミノベンゼンチオール及び4-アミノベンゼンチオールの方が、3-アミノベンゼンチオールに比べて、ベンゼン環上にある-NHが持つ電子供与性による、メルカプト基硫黄原子の電子密度の増大の割合が高いため、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果がより得られやすいと考えられる。
本実施形態のフラックスにおいては、特定のチオール化合物に加え、好ましくはアミンヨウ化水素酸塩をさらに含有することで、当該フラックスを含有するソルダペーストの経時での粘度変化がいっそう抑えられやすくなり、かつ、はんだ付けの際におけるボイドの発生を抑えられる。
(ソルダペースト)
本実施形態のソルダペーストは、はんだ合金粉末と、上述したフラックスと、を含有する。
はんだ合金粉末は、Sn単体のはんだの粉体;Sn-Ag系、Sn-Cu系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Bi系又はSn-In系等のはんだ合金の粉体;あるいは、これらのはんだ合金にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体で構成されてもよい。
また、はんだ合金粉末は、Sn-Pb系、あるいは、Sn-Pb系にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体で構成されてもよい。
はんだ合金粉末は、Pbを含まないはんだであることが好ましい。
はんだ合金粉末としては、例えば、その溶融温度が150~250℃のものを用いることができる。
ソルダペースト中、フラックスの含有量は、ソルダペーストの総質量に対して5~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
以上説明した本実施形態のソルダペーストにおいては、特定のチオール化合物を含有するフラックスを採用するため、経時での粘度変化が生じにくい。
加えて、本実施形態のソルダペーストにおいては、アミンヨウ化水素酸塩をさらに併用するフラックスを含有する場合には、経時での粘度変化が生じにくく、かつ、はんだ付けの際におけるボイドの発生も抑制される。
(はんだ付け用フラックスの増粘抑制剤)
本実施形態のはんだ付け用フラックスの増粘抑制剤は、はんだ合金粉末と、はんだ付け用フラックスと、を含有するソルダペーストの粘度増加を抑制するのに好適なフラックス材料である。
かかる増粘抑制剤は、ベンゼン環上の1つ以上の水素原子をメルカプト基(-SH)で置換したベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物を含むものである。
ここでいう、ベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物は、上述した≪化合物(Tp)≫と同一のものである。なかでも、ソルダペーストの経時での粘度増加を抑制する効果をいっそう高められやすいことから、前記ベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物は、2-アミノベンゼンチオール(x=y=1)、4-アミノベンゼンチオール(x=y=1)、3-アミノベンゼンチオール(x=y=1)及びベンゼンチオール(x=1、y=0)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
かかる増粘抑制剤には、前記ベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物以外のチオール化合物を併用してもよい。
前記ベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物以外のチオール化合物としては、例えば、2-(ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン、2-メルカプトベンゾチアゾール、tert-ドデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸トリデシル等が挙げられる。
かかる増粘抑制剤における、前記ベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物の含有量は、50質量%以上でもよいし、80質量%以上でもよいし、90質量%以上でもよいし、100質量%でもよい。
本実施形態のはんだ付け用フラックスの増粘抑制剤は、はんだ付け用フラックスの用途に、上述した(フラックス)を構成する<チオール化合物>と同様に利用することができる。本実施形態の増粘抑制剤は、典型的には、はんだ付け用フラックスと、はんだ合金粉末とを含有するソルダペーストを、基板上に印刷し、その印刷部位に部品を搭載し、加熱(リフロー)する工程を有する方法により接合体を製造する実施形態における、はんだ付け用フラックスの配合成分として利用可能である。
本実施形態のはんだ付け用フラックスの増粘抑制剤によれば、ソルダペーストの経時での粘度増加を生じにくいフラックスを提供することが可能である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<フラックスの調製>
(実施例1~91、比較例1~10)
表1~13に示す組成のとおり、配合成分を混合して、実施例及び比較例の各フラックスを調合した。使用した配合成分を以下に示した。なお、実施例19については参考例扱いとする。
ロジン:
ロジンとしてアクリル酸変性水添ロジン、水添ロジンを用いた。
溶剤:
沸点250℃以上の溶剤(S1)としてジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(沸点272℃)を用いた。
沸点220℃超え250℃未満の溶剤(S2)として1,4-ブタンジオール(沸点228℃)を用いた。
沸点220℃以下の溶剤(S3)として、以下に示す沸点190℃以上220℃以下の溶剤(S31)と、沸点160℃以上190℃未満の溶剤(S32)とを用いた。
沸点190℃以上220℃以下の溶剤(S31):
1,3-ブタンジオール(沸点203℃)、1,2-ブタンジオール(沸点194℃)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)(沸点198℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルグリコール)(沸点208℃)、α-ターピネオール(沸点218℃)
沸点160℃以上190℃未満の溶剤(S32):
2,3-ブタンジオール(沸点183℃)
チキソ剤:
チキソ剤としてポリアミド、硬化ひまし油を用いた。
硫黄含有化合物:
硫黄含有化合物として、以下に示す、ベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物(Tp)と、化合物(Tp)以外のチオール化合物と、その他硫黄含有化合物とを用いた。
ベンゼンチオール骨格をもつチオール化合物(Tp):
ベンゼンチオール、3-アミノベンゼンチオール、2-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール
化合物(Tp)以外のチオール化合物:
2-(ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン、2-メルカプトベンゾチアゾール、tert-ドデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸トリデシル
その他硫黄含有化合物:
テトラエチルチウラムジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジヘキシルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸
活性剤:
活性剤として、以下に示すアミンヨウ化水素酸塩、アミン臭化水素酸塩、アミン塩酸塩、有機酸、アミンを用いた。
アミンヨウ化水素酸塩として2-ピペコリン・HI、ピペリジン・HI、1,3-ジフェニルグアニジン・HIを用いた。
2-ピペコリン・HIは、イソプロピルアルコール(IPA)70g中に、2-ピペコリンとヨウ化水素との総量30gを等モルで添加して混合し、その後、常温(25℃)で5分間静置して析出させ、その析出物を乾燥させることにより製造した(収率は約100%)。
ピペリジン・HIは、前記の2-ピペコリン・HIの製造方法において、2-ピペコリンをピペリジンへ変更した以外は同様の方法により製造した(収率は約100%)。
その他のアミンヨウ化水素酸塩には、既製品を用いた。
アミン臭化水素酸塩として2-ピペコリン・HBr、ピペリジン・HBr、1,3-ジフェニルグアニジン・HBrを用いた。
アミン塩酸塩として1,3-ジフェニルグアニジン・HClを用いた。
前記のアミン臭化水素酸塩、アミン塩酸塩には、既製品を用いた。
有機酸:
有機酸として水添ダイマー酸、アジピン酸、安息香酸、フェニルコハク酸を用いた。
アミン:
アミンとして1,3-ジ-o-トリルグアニジン、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾールを用いた。
その他成分:
アクリル樹脂としてエチレンアクリル酸コポリマーを用いた。
酸化防止剤として2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]を用いた。
<ソルダペーストの調製>
各例のフラックスと、下記のはんだ合金粉末と、をそれぞれ混合してソルダペーストを調合した。調合したソルダペーストは、いずれも、ソルダペーストの総量に対して、フラックスの含有量を11.5質量%、はんだ合金粉末の含有量を88.5質量%とした。
はんだ合金粉末:
はんだ合金粉末には、Agが3質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnのはんだ合金からなる粉末を用いた。このはんだ合金の固相線温度は217℃であり、液相線温度は220℃であった。
はんだ合金粉末のサイズは、JIS Z 3284-1:2004における粉末サイズの分類(表2)の記号5(粒度分布)を満たすものとした。
<評価>
上記で調合したソルダペーストを用い、以下に記載した試験方法に従って[ソルダペーストの経時での粘度変化]及び[ボイド発生の抑制の効果]の各評価を行った。
[ソルダペーストの経時での粘度変化]
(1)試験方法
調合直後のソルダペーストについて、粘度計(株式会社マルコム社製、PCU-205)を用い、回転数10rpm、温度25℃、大気中で24時間の条件で粘度の測定を続けた。そして、ソルダペーストにおける測定開始時点の粘度と、24時間後の粘度とから、24時間後の粘度変化率を求め、下記の評価基準により、ソルダペーストの経時での粘度変化を評価した。この評価結果を表1~13に示した。
(2)評価基準
1点:24時間後の粘度変化率が10%未満であった。
2点:24時間後の粘度変化率が10%以上20%未満であった。
3点:24時間後の粘度変化率が20%以上30%未満であった。
4点:24時間後の粘度変化率が30%以上40%未満であった。
5点:24時間後の粘度変化率が40%以上50%未満であった。
6点:24時間後の粘度変化率が50%以上であった。
[ボイド発生の抑制の効果]
(1)試験方法
メタルマスク(マスク厚0.12mm)を用いて、Cu-OSP処理された基板(基板サイズ105mm×105mm)上に、各例のソルダペーストを印刷した。
次いで、ソルダペーストを印刷した基板に対し、QFN(1辺の長さ8mm、下面電極の1辺の長さ5.80mm、Pad寸法5.80mm×5.80mm)を搭載した。
次いで、リフローを行い、はんだ付けした。
その際のリフロープロファイルを図1に示した。
リフロープロファイルは、150℃から175℃で85秒間保持してプレヒートを行い、220℃以上で40秒間保持し、ピーク温度は242℃であった。
基板とQFNとの接合体に対し、基板の鉛直方向からX線を照射して、透過X線を解析することにより、ボイド面積を測定した。ボイド面積の測定には、XD7600NT Diamond X線検査システム(Nordson DAGE社製)を用いた。
ボイド面積は、X線が少なくとも1個のボイドを通過した場合に、ボイドが存在したものとして測定した。ボイドは、直径0.1μm以上のものを検出対象とした。
次いで、下面電極の総面積(これを面積率100%とする)に対する、ボイドの総面積の割合を算出し、ボイド面積率(%)とした。接合体5個における、ボイド面積率の平均値を求め、下記の評価基準により、はんだ付けの際におけるボイド発生の抑制の効果を評価した。この評価結果を表5~13に示した。
(2)評価基準
1点:ボイド面積率が10%未満であった。
2点:ボイド面積率が10%以上15%未満であった。
3点:ボイド面積率が15%以上20%未満であった。
4点:ボイド面積率が20%以上30%未満であった。
5点:ボイド面積率が30%以上であった。
Figure 0007208579000003
Figure 0007208579000004
Figure 0007208579000005
Figure 0007208579000006
表1~4に示す結果から、特定のチオール化合物(Tp)を含有する実施例のフラックスは、化合物(Tp)に該当しない硫黄含有化合物を含有する比較例のフラックスに比べて、24時間後の粘度変化率が低く、ソルダペーストの経時での粘度変化がより抑制されていること、が確認できる(実施例3、8、12、16と比較例1~10との対比)。
特定のチオール化合物(Tp)について、ソルダペーストとした際、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制する効果が、次の順で高いことが確認できる(実施例3、8、12、16、22)。
ベンゼンチオール
<3-アミノベンゼンチオール
<2-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール
<2-アミノベンゼンチオールと4-アミノベンゼンチオールとの併用
2-アミノベンゼンチオールと4-アミノベンゼンチオールとの併用により、少ない配合量で、より高い効果を奏していることが認められる(実施例4、9、21)。
Figure 0007208579000007
表5に示す結果から、アミンヨウ化水素酸塩をさらに含有することで、ソルダペーストとした際における経時での粘度変化が生じにくく、かつ、はんだ付けの際におけるボイドの発生も抑制されること、が確認できる。
Figure 0007208579000008
Figure 0007208579000009
Figure 0007208579000010
Figure 0007208579000011
表6~9に示す結果から、特定のチオール化合物(Tp)とアミンヨウ化水素酸塩とを併有する、実施例29~66フラックスを用いた場合には、いずれも、ソルダペーストの経時での粘度変化が生じにくく、かつ、はんだ付けの際におけるボイドの発生も抑制されていること、が確認できる。
Figure 0007208579000012
Figure 0007208579000013
Figure 0007208579000014
Figure 0007208579000015
表10~13に示す結果から、実施例68、81~84と実施例86との対比より、沸点220℃以下の溶剤(S3)の中で、溶剤(S1)と溶剤(S31)とを組み合わせた場合の方が、溶剤(S1)と溶剤(S32)とを組み合わせた場合に比べて、24時間後の粘度変化率が低く、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑えられやすいこと、が分かる。
実施例68、81~84、86と実施例85との対比より、溶剤(S1)と溶剤(S3)とを組み合わせた場合の方が、溶剤(S1)と溶剤(S2)とを組み合わせた場合に比べて、ソルダペーストとした際、はんだ付けの際におけるボイドの発生が抑制されやすいこと、が分かる。
実施例68、76~78と実施例79との対比より、溶剤(S1)と溶剤(S31)との比率を制御することにより、ソルダペーストの経時での粘度変化を抑制できること、が分かる。
アミンハロゲン化水素酸塩について、ソルダペーストとした際、はんだ付けの際におけるボイドの発生を抑制する効果が、次の順で高いことが確認できる(実施例68、72、87;実施例88~91)。
アミン塩酸塩、アミン臭化水素酸塩<グアニジンヨウ化水素酸塩<複素脂環式アミンヨウ化水素酸塩
アミンヨウ化水素酸塩について、ソルダペーストとした際、はんだ付けの際におけるボイドの発生を抑制する効果は、2-ピペコリン・HI、ピペリジン・HI(複素脂環式アミンヨウ化水素酸塩)を用いた場合が最も優れていること、が分かる(実施例68、72、87)。

Claims (7)

  1. ロジンと、溶剤と、チキソ剤と、チオール化合物と、活性剤とを含有し、
    前記チオール化合物は、ベンゼン環上の1つ以上の水素原子をメルカプト基(-SH)で置換したベンゼンチオール骨格をもつ化合物(Tp)を含み、
    前記化合物(Tp)の含有量が、フラックスの総質量に対して0.005~0.7質量%である、フラックス。
  2. 前記化合物(Tp)が、2-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール、3-アミノベンゼンチオール及びベンゼンチオールからなる群より選択される少なくとも一種のチオール化合物である、請求項1に記載のフラックス。
  3. 前記活性剤は、アミンヨウ化水素酸塩を含む、請求項1に記載のフラックス。
  4. 前記溶剤は、沸点250℃以上の溶剤(S1)と、沸点220℃以下の溶剤(S3)とを併有する、請求項1に記載のフラックス。
  5. 前記溶剤(S3)が、沸点190℃以上220℃以下の溶剤(S31)である、請求項に記載のフラックス。
  6. 前記溶剤(S1)と前記溶剤(S31)との比率が、
    溶剤(S1)/溶剤(S31)で表される質量比で、55/45以上95/5以下である、請求項に記載のフラックス。
  7. はんだ合金粉末と、請求項1~のいずれか一項に記載のフラックスと、を含有するソルダペースト。
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