JP7208262B2 - ポロキサマーを用いてnk-92細胞増殖を最適化する方法 - Google Patents

ポロキサマーを用いてnk-92細胞増殖を最適化する方法 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2018年5月22日に提出された米国特許仮出願第62/674,723号の優先権を主張する。全ての目的に関して、該仮出願の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
背景
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然免疫系の主要構成要素を成す細胞傷害性リンパ球である。NK細胞は一般に、循環リンパ球の約10~15%を占め、抗原に関して非特異的にかつ事前の免疫感作なしに、ウイルス感染細胞および多くの悪性細胞を含む標的細胞に結合しかつそれらを死滅させる。Herberman et al., Science 214:24(1981)(非特許文献1)。標的細胞の死滅は細胞溶解を誘導することによって生じる。この目的で用いられるNK細胞は、対象由来の血液の末梢血リンパ球(「PBL」)画分から単離され、十分な数の細胞を得るために細胞培養中で増大され、次いで、対象内に再注入される。NK細胞は、エクスビボ療法およびインビボ処置の両方においてある程度有効であることが示されている。しかしながら、そのような療法は、全てのNK細胞が細胞溶解性ではなく、療法は処置された患者に特有なものであるという事実によって複雑になる。
NK-92(登録商標)細胞は、ある種のがんの処置のための治療薬として、以前に評価を受けている。NK細胞とは異なり、NK-92(登録商標)は細胞溶解性のがん細胞株であり、これは非ホジキンリンパ腫に罹患している対象の血液中で発見され、そしてその後、エクスビボで不死化された。NK-92(登録商標)細胞は、正常なNK細胞によって示される主な抑制性受容体を欠くが、活性化受容体の大部分を保持する。しかしながら、NK-92(登録商標)細胞は正常な細胞を攻撃せず、またそれらは、ヒトにおいて容認できない免疫拒絶反応を誘発することもない。NK-92(登録商標)細胞株の特性解析は、たとえばWO 1998/49268(特許文献1)および米国特許8,034,332号(特許文献2)に開示されている。
NK-92(登録商標)細胞は治療上の著しい潜在能力を有しているが、大スケールでのNK-92(登録商標)細胞の増殖は難題となっており、この点が、これらの細胞の治療適用を制限している。特に、増大は、培養物の沈殿物および凝集物(flocculant)の有意な増加という、一般に「集塊形成(clumping)」と称される現象を、しばしば伴う。これらの大きいサイズの沈殿物は、遅い細胞増殖、低い細胞生存率、および不正確な用量の処方を引き起こし得る誤った細胞計数を含む、多くの望ましくない結果をもたらす。細胞培養物における集塊形成はまた、遠心分離において細胞層の攪乱を引き起こし得、これは、細胞採取の際の細胞回収を少なくさせ、そして腫瘍標的細胞に対する細胞の細胞傷害性を、一貫性のないものにさせる。
WO 1998/49268 米国特許8,034,332号
Herberman et al., Science 214:24(1981)
概要
本明細書において、非イオン性界面活性剤を含む増殖培地を用いて、NK-92(登録商標)細胞を培養する方法が提供され、ここで該NK-92(登録商標)細胞は、該非イオン性界面活性剤を欠く対照培地において培養された対照NK-92(登録商標)細胞と比較して、集塊形成を減少させている。増殖培地は、0.025~0.9%の非イオン性界面活性剤、たとえばポロキサマー188を含む。NK-92(登録商標)細胞は、1つまたは複数のトランスジーンを発現するように改変され得、たとえば、NK-92(登録商標)細胞は、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを発現するように改変されることができる。また、本明細書において、NK-92(登録商標)細胞と、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地とを含む、NK-92(登録商標)細胞培養物が、提供される。
本明細書において、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地においてNK-92(登録商標)細胞を培養する段階を含む、NK-92(登録商標)細胞を培養する方法が提供され、ここで該NK-92(登録商標)細胞培養物は、該非イオン性界面活性剤を欠く対照培地において培養された対照NK-92(登録商標)細胞と比較して、集塊形成を減少させている。任意で、NK-92(登録商標)細胞は、対照NK-92(登録商標)細胞と実質的に同じ細胞傷害性を維持した。加えて、ポロキサマー188である非イオン性界面活性剤を用いると、細胞培養物は、集塊形成を実質的に有さない。任意で、細胞は、添加物による、目に見える恩恵が、肉眼で観察できるようになる前に、少なくとも2リットルの培養培地において培養される。
NK-92(登録商標)細胞を培養するための培養培地は、0.025%~0.06%のポロキサマー188、たとえば0.05% ポロキサマー188を含み得る。任意で、NK-92(登録商標)細胞培養物は、対照培養物と比較して、細胞凝集体を減少させている。いくつかの場合において、細胞凝集体の減少のパーセンテージは、少なくとも40%である。任意で、NK-92(登録商標)細胞培養物は、3日間の培養後に6%未満の細胞凝集体を有する。
本明細書において開示される方法を用いて培養されたNK-92(登録商標)細胞は、少なくとも80%の生存率を有し得る。それらは、対照培養物におけるNK-92(登録商標)細胞と実質的に同じ細胞傷害性を維持し得る。NK-92(登録商標)細胞は、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを含み得る。
また、本明細書において、培養培地において凝集物を減少させる方法が提供され、該方法は、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を培養培地に添加する段階を含み、該培養培地は、該非イオン性界面活性剤を欠く対照培養物と比較して、凝集物を減少させている。
また、本明細書において(herien)、NK-92(登録商標)細胞と、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地とを含む、細胞培養物が提供され、ここで該細胞培養物は、NK-92(登録商標)細胞と、該非イオン性界面活性剤を欠く培地とを含む対照培養物と比較して、集塊形成を減少させている。いくつかの場合において、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー188である。任意で、NK-92(登録商標)細胞は、少なくとも3日間培養されている。任意で、細胞培養物は集塊形成を実質的に有さない。任意で、NK-92(登録商標)細胞は、対照培養物におけるNK-92(登録商標)細胞と実質的に同じ細胞傷害性を維持する。任意で、請求項14の細胞培養物において、細胞培養物は、0.025%~0.06%の、たとえば0.05%の、ポロキサマー188を含む。NK-92(登録商標)細胞は、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを含み得る。任意で、細胞培養物は、少なくとも2リットルの体積を、たとえば少なくとも10リットルの体積を有する。
前述の一般的な説明および下記の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものであり、かつ、本開示のさらなる説明を提供することを意図する。他の目的、利点、および新規な特徴は、当業者には容易に明らかである。
目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せて考慮する際、下記の開示を参照することで、より容易に理解される。
図1は、ポロキサマー188(プルロニックF-68)の非存在下でのWAVEバイオリアクターにおけるhaNK(登録商標)細胞の増大の、第一の概略図を示す。集塊形成、および低い細胞生存率が観察された。 図2は、ポロキサマー188(プルロニックF-68)の非存在下でのWAVEバイオリアクターにおけるhaNK(登録商標)細胞の増大の、第二の概略図、および結果を示す。集塊形成、および低い細胞生存率が観察された。 図3は、0.05% ポロキサマー188(プルロニックF-68)の存在下でのWAVEバイオリアクターにおけるhaNK(登録商標)細胞の増大の、概略図を示す。培養物は、集塊形成しなかった。 図4は、ポロキサマー188(プルロニックF-68)の非存在下でのWAVEバイオリアクターにおけるaNK(商標)細胞の増大の、第一の概略図を示す。集塊形成が観察された。 図5は、ポロキサマー188(プルロニックF-68)の非存在下でのWAVEバイオリアクターにおけるaNK(商標)細胞の増大の、第二の概略図を示す。集塊形成が観察された。 図6は、0.05% ポロキサマー188(プルロニックF-68)の存在下でのWAVEバイオリアクターにおけるaNK(商標)細胞の増大の、概略図を示す。培養物は、集塊形成しなかった。 図7は、ポロキサマー188(プルロニックF-68)の非存在下での、またはポロキサマー188(プルロニックF-68)の様々なタイトレーションの存在下での、WAVEバイオリアクターにおけるhaNK(登録商標)細胞の増大の概略図を示す。haNK(登録商標)培養物における集塊形成は、ポロキサマー188(プルロニックF-68)の濃度が増加するにつれて減少した。 ポロキサマー188(プルロニックF-68)の非存在下での、WAVEバイオリアクターからのhaNK(登録商標)細胞のNC-200プロファイルを示す。 0.05% ポロキサマー188(プルロニックF-68)の存在下での、WAVEバイオリアクターからのhaNK(登録商標)細胞のNC-200プロファイルを示す。 ポロキサマー188(プルロニックF-68)の非存在下での、WAVEバイオリアクターからのaNK(商標)細胞のNC-200プロファイルを示す。 0.05% ポロキサマー188(プルロニックF-68)の存在下での(図9B)、WAVEバイオリアクターからのaNK(商標)細胞のNC-200プロファイルを示す。 図10は、ポロキサマー188の非存在下での、WAVEバッグにおいて増殖させたNK-92(登録商標)細胞の写真を示し、ここでは集塊形成が観察された。
詳細な説明
本明細書において、集塊形成を減少させることができる増殖培地を用いて、NK-92(登録商標)細胞を培養する方法が提供される。いくつかの場合において、NK-92(登録商標)細胞は、増殖培地において培養され、かつ該細胞は、細胞集塊形成を実質的に有さない。増殖培地は、0.025~0.9%の非イオン性界面活性剤、たとえばポロキサマー188を含む。NK-92(登録商標)細胞は、1つまたは複数のトランスジーンを、たとえば、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを、発現するように改変され得る。また、本明細書において、NK-92(登録商標)細胞と、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地とを含む、NK-92(登録商標)細胞培養物が、提供される。
用語
特に他で定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるものとするいくつかの用語について言及がなされる。
本明細書で用いる用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。本明細書で用いる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。よって、例えば、「ナチュラルキラー細胞」への言及には複数のナチュラルキラー細胞が含まれる。
範囲を含む全ての数値表記、例えば、pH、温度、時間、濃度、量、および分子量などは、必要に応じて、0.1または1.0の増分で(+)または(-)に変化する近似値である。必ずしも明記されないが、全ての数値表記は用語「約」を前に付すことができることを理解すべきである。本開示における全ての濃度は、体積/体積濃度である。
当業者によって理解されるように、任意のおよび全ての目的について、特に発明の詳細な説明の提供に関して、本明細書に記載の全ての範囲は、任意のおよび全ての可能性のある部分範囲ならびにその部分範囲の組み合わせも包含する。任意の記載された範囲は、少なくとも均等に2分割、3分割、4分割、5分割、10分割などに分解されている同じ範囲を十分に説明および可能にするとして簡単に認識することができる。非限定例として、本明細書に記載の各範囲は、下から3分の1、中央3分の1および上から3分の1などに容易に分解することができる。当業者によってまた理解されるように、「最大で」、「少なくとも」、「上回る」、および「未満」などの全ての語は、記載された数を含み、上述のように続いて部分範囲に分解することができる範囲に言及する。最後に、当業者によって理解されるように、範囲には各個別の要素が含まれる。よって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1、2、または3個の細胞を有する群に言及する。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1、2、3、4、または5個の細胞を有する群などに言及する。
必ずしも明記されないが、本明細書に記載される試薬は単なる例示であり、そのような試薬の同等物が当技術分野で公知であることも理解すべきである。
「任意の」または「任意で」は、その後に記載される事象または状況が発生してもしなくてもよいこと、および該記載が、その事象または状況が起こる場合とそれが起こらない場合を含むことを意味する。
本発明の目的において、かつ特に他で指示されない限り、用語「NK-92(登録商標)」または「NK92(登録商標)」は、元のNK-92(登録商標)細胞株を指すとともに、改変されている(たとえば、外因性の遺伝子の導入によって)、NK-92(登録商標)細胞株、NK-92(登録商標)細胞のクローン、およびNK-92(登録商標)細胞をも指すことが意図される。NK-92(登録商標)細胞、および例示的かつ非限定的なその改変は、参照により、それら全件の全頁が本明細書に組み入れられる、米国特許第7,618,817号;同第8,034,332号;同第8,313,943号;同第9,181,322号;同第9,150,636号;および米国特許出願公開第10/008,955号に記載されており、かつ、野生型NK-92(登録商標)、NK-92(登録商標)-CD16、NK-92(登録商標)-CD16-γ、NK-92(登録商標)-CD16-ζ、NK-92(登録商標)-CD16(F176V)、NK-92(登録商標)MI、およびNK-92(登録商標)CIを含む。NK-92(登録商標)細胞は当業者に公知であり、そのような細胞は、当業者において、NantKwest, Incから容易に利用可能である。
本明細書で用いる場合、用語「aNK(商標)細胞」は、親のNK-92細胞を指す。
本明細書で用いる場合、用語「haNK(登録商標)細胞」は、Fc受容体を発現するように操作されているNK-92(登録商標)細胞を指す。
本明細書で用いる場合、用語「taNK(登録商標)細胞」は、がん特異的抗原、がん関連抗原、または腫瘍特異的抗原に対して親和性を有するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、NK-92(登録商標)細胞を指す。いくつかの態様において、腫瘍特異抗原は、HER-2、たとえばヒトHER-2であり、その場合、これらのNK-92(登録商標)細胞は、本開示においてHER2.taNK(登録商標)細胞と称される。
用語「Fc受容体」は、Fc領域として知られる抗体の一部に結合することによって免疫細胞の防御機能に寄与する、ある特定の細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞)の表面上に見出されるタンパク質を指す。細胞のFc受容体(FcR)への抗体のFc領域の結合は、抗体媒介性食作用または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を介して細胞の食作用または細胞傷害活性を刺激する。FcRは、それらが認識する抗体のタイプに基づいて分類される。例えば、Fc-γ受容体(FcγR)はIgGクラスの抗体に結合する。FcγRIII-A(CD16とも呼ばれる)は、IgG抗体に結合してADCCを活性化する低親和性Fc受容体である。FCγRIII-Aは典型的にはNK細胞上に見出される。NK-92(登録商標)細胞はFcγRIII-Aを発現しない。
用語「キメラ抗原受容体」(CAR)は、本明細書で用いる場合、細胞内シグナル伝達ドメインと融合する細胞外抗原結合ドメインを指す。CARはT細胞またはNK細胞で発現し、細胞傷害性を増大させることができる。概して、細胞外抗原結合ドメインは、関心対象の細胞上に見出される抗原に特異的なscFvである。CAR発現NK-92(登録商標)細胞は、scFvドメインの特異性に基づき、ある特定の抗原を細胞表面上に発現する細胞を標的とする。scFvドメインは、腫瘍特異的抗原を含む、任意の抗原を認識するように操作することができる。
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」は互換的に用いられ、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはその類似体のいずれかのヌクレオチドの任意の長さのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、どのような三次元構造をとってもよく、既知または未知の任意の機能を果たしうる。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、ESTまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含むことができる。存在する場合には、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリヌクレオチドのアセンブリの前または後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分で中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、重合の後に、例えば標識成分とのコンジュゲーションにより、さらに修飾することができる。該用語はまた、二本鎖分子と一本鎖分子との両方を指す。特に他に指定または要求がない限り、ポリヌクレオチドは、二本鎖形態と、二本鎖形態を構成することが知られるまたは予測される2本の相補的一本鎖形態の各々との両方を包含する。
用語「発現」は、遺伝子産物の産生を指す。発現に言及する場合の用語「一過性」は、ポリヌクレオチドが細胞のゲノムに組み込まれていないことを意味する。
用語「サイトカイン」は、免疫系の細胞に作用する生物学的分子の一般的クラスを指す。例示的なサイトカインには、限定するものではないが、インターフェロンおよびインターロイキン(IL)、特にIL-2、IL-12、IL-15、IL-18およびIL-21が含まれる。好ましい態様において、サイトカインはIL-2である。
本明細書で用いる場合、用語「集塊形成」は、肉眼で視認できる細胞集塊(cell clump)の存在を指す。細胞集塊は、典型的には1~15 cmの直径を、たとえば2~10 cm、2~8 cm、1~3 cm、2~6 cm、または6~8 cmの直径を有する。視認できる細胞集塊の、説明用の例は、図10に示される。概して、細胞培養物の集塊形成の度合いは、細胞培養物の体積が増加するにつれて増加し、これは典型的には、増大の間に生じる。
本明細書で用いる場合、用語「集塊形成を減少させる」または「細胞集塊形成を減少させる」は、細胞培養物における細胞集塊の数、サイズ、またはそれら両方が減少する現象を指す。たとえば、提供される方法を用いると、細胞培養物における細胞集塊の数は、対照細胞培養物と比較して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%減少し得る。
用語「集塊形成を実質的に有さない」は、細胞集塊形成が肉眼で視認できない培養条件を指す。
本明細書で用いる場合、用語「細胞凝集体」は、細胞培養物における、5個以上の細胞の凝集体を指す。細胞凝集体は、典型的には、肉眼で視認できないが、顕微鏡などの装置を用いて、見ることが可能であり得る。細胞凝集体の減少とは、対照細胞培養物と比較して、細胞培養物における細胞凝集体の数の、少なくとも40%の減少を指す。任意で、提供される方法は、対照細胞培養物と比較して、細胞凝集体の、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の減少をもたらす。
本明細書で用いる場合、用語「凝集物」は、細胞の非存在下での、培養培地成分の凝集を指す。凝集物はまた、典型的には肉眼で視認でき、かつ、典型的には、0.01~1 cmの直径、たとえば0.02~0.8 cmの、0.05~0.5 cmの、たとえば0.1~0.5 cmの直径を有し得る。
本明細書で用いる場合、用語「凝集物が減少する」は、培地における凝集物の数、サイズ、またはそれら両方が減少する現象を指す。たとえば、提供される方法を用いると、培養培地における凝集物の数は、対照培養培地と比較して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%減少し得る。
本明細書で用いる場合、用語「実質的に同じ細胞傷害性」は、細胞傷害性アッセイからの2つの測定が、互いに、15%以下異なる、10%以下、8%以下、または5%以下異なることを指す。
本明細書で用いる場合、用語「細胞傷害性」は、NK細胞などのエフェクター細胞の活性を記述するために使用される際には、様々な生物学的、生化学的、または生物物理学的機序の任意のものによって標的細胞を死滅させることに関係する。
培養培地
本明細書において、非イオン性界面活性剤を含む培養培地であって、集塊形成を減少させることができる、または防止することができる培養培地が、提供される。非イオン性界面活性剤は、細胞培養物において剪断力を制御することができる、そしてまた、撹拌される培養物において発泡を減少させるために、および培養容器への細胞の結合を減少させるために、使用されることができる。
適した非イオン性界面活性剤は、ポロキサマーを含む。ポロキサマーは、非イオン性のトリブロック共重合体であり、ポリオキシエチレンの2つの親水鎖が隣に配置された、ポリオキシプロピレンの中心疎水鎖から、構成される。ポロキサマーはまた、シンペロニック、プルロニック、およびコリフォールとの商品名でも公知である。ポロキサマー188溶液は、たとえば、Sigma-AldrichまたはThermo Fisher Scientificから市販されている。ポロキサマー188は、Thermo Fisher Scientificから入手される場合には、プルロニックF-68と称される。ポロキサマー188は、典型的には10%の濃度で、商業的に提供されている。
非イオン性界面活性剤、たとえばポロキサマー188は、0.025~0.9%の量で、たとえば、0.025%~0.06%の、0.04%~0.06%の、または0.03~0.05%の量で存在し得る。好ましくは、非イオン性界面活性剤は0.05%で存在する。
NK-92(登録商標)細胞から十分な量の生物学的産物を産生するために、細胞培養物は、比較的大きな体積へとスケールアップされる必要があり、たとえば、細胞培養物の体積は、少なくとも2リットル、少なくとも3リットル、少なくとも4リットル、または少なくとも5リットルであり得る。いくつかの場合において、NK-92(登録商標)細胞は、バイオリアクターにおいて使用されるのに適した、大容量の培養容器において増殖させることができる。前述したように、大きな体積の細胞培養物はしばしば、細胞培養物における集塊形成、すなわち細胞の沈殿および凝集の、有意な増加を伴う。ポロキサマー188の非存在下で、2-リットルWAVEバッグ培養物が、20リットルWAVEバッグへとスケールアップされる際には、沈殿が24時間以内に形成され得る(実施例1および表1に例示される)。大きな体積を有する培養物を含め、細胞培養物へのポロキサマー188の添加は、驚くべきことに、細胞培養物における集塊形成を有意に減少させることができる。NK-92(登録商標)細胞培養物へのポロキサマー188の添加は、細胞増殖、細胞生存率、表現型、細胞傷害性、およびADCC活性に、不都合な影響を与えない。したがって、本開示はまた、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地においてNK-92(登録商標)細胞を培養する段階を含む、NK-92(登録商標)細胞を培養する方法を提供し、ここで該NK-92(登録商標)細胞は、該非イオン性界面活性剤を欠く対照培地において培養された対照NK-92(登録商標)細胞と比較して、集塊形成を減少させており、かつ該NK-92(登録商標)細胞は、対照NK-92(登録商標)細胞と実質的に同じ細胞傷害性を有する。
細胞培養培地は、細胞の非存在下でさえ、肉眼で視認できる凝集物を形成し得ることもまた、本出願の発明者によって観察されている。これらの凝集物は、典型的には、0.01~1cmの直径、たとえば0.02~0.8 cmの、0.05~0.5 cmの、たとえば0.1~0.5 cmの直径を有し、かつ0.025%~0.9%のポロキサマー188の培地への導入は、培地において凝集物の数を減少させることができる。
NK-92(登録商標)細胞を培養する方法
NK-92(登録商標)細胞は、多数の増殖培地において培養されることができ、かつそのうちのいくつかは市販されており、たとえば、3H Biomedical(Uppsala, Sweden)からのhuman NK cell culture medium、またはIrvine Scientific(Irvine, CA, USA)からのPrime XV mediumである。集塊形成を最小限にするため、培養物はポロキサマー188を含み得る。任意で、培養培地はまた、サイトカイン、ヒト血清アルブミン、アミノ酸補足物、またはそれらの組み合わせを含む。適したサイトカインは、限定するものではないが、IL-2を含む。説明用の一例において、aNK細胞は、補足物として添加されたアミノ酸とともに、0.05% プルロニックF-68および450 IU/mLのIL-2を含む増殖培地において、培養され得る。別の説明用の例において、haNK(登録商標)細胞は、0.05% プルロニックF-68を含む増殖培地において培養され得る。さらなる別の例において、taNK(登録商標)細胞は、0.05% プルロニックF-68、および500 IU/mLのIL-2を含む増殖培地において培養され得る。さらなる別の例において、t-haNK(登録商標)細胞は、0.05~0.1% プルロニックF-68を含む増殖培地において培養され得る。
上述のように、増殖培地への非イオン性界面活性剤の添加は、集塊形成を減少させ得る。任意で、増殖培地への非イオン性界面活性剤の添加は、集塊形成を、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも88%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させ得る。
細胞培養物における、非イオン性界面活性剤、たとえばポロキサマー188の使用はまた、該非イオン性界面活性剤を欠く対照細胞培養物と比較して、NK-92細胞凝集体を、相当な程度、減少させることができる。いくつかの場合において、それは、培養物における細胞凝集体のパーセンテージを、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させ得る。いくつかの場合において、ポロキサマー188を含む培養培地において増殖するNK-92細胞は、ある増殖期間のあいだ、少なくとも1リットルの培養体積で増殖させた後で、15%未満の、10%未満の、7%未満の、6%未満の細胞凝集体を有し得る。いくつかの場合において、増殖期間は、1~7日間、たとえば、2日間、3日間、5日間、または7日間である。
NK-92(登録商標)細胞培養物を増大させるために、典型的には、バイアルが解凍され、そして標準的な細胞培養容器、たとえばT75フラスコにおいて、細胞が回収されるまで培養される。細胞はその後、細胞の数を増大させるために、より大容量を有する容器へと移送され、該容器はたとえばG-Rexフラスコであり、これは典型的には0.45リットル未満である。増大された細胞はその後、さらに大きい容器、たとえばWAVE細胞培養バッグへと、移送される。細胞の移送は、ポンプまたは重力送り方式を用いて実施され得る。
任意で、そのように産生されたNK-92(登録商標)細胞は、培養容器に無菌的に結合された連続遠心分離機を用いて、増大プロセスの最後で採取され得る。細胞は収集され得、そして産物の製剤化および様々な適用のために、使用され得る。
産生されたNK-92(登録商標)細胞の細胞傷害性、つまりウイルス感染した細胞および腫瘍原性細胞などの異常な細胞を標的とし、そして死滅させる能力は、当技術分野において周知の方法、たとえば、Klingemann et al. (Cancer Immunol. Immunother. 33:395-397 (1991))によって記述される手順を用いる、51Cr放出アッセイ(Gong et al. (1994))によって、評価され得る。特異的な細胞傷害性のパーセンテージは、放出された51Crの量に基づいて算定され得る。米国特許出願公開第20020068044号を参照されたい。
あるいは、産生されたNK-92(登録商標)細胞の細胞傷害性はまた、カルセイン放出アッセイを用いて評価され得る。たとえば、NK-92(登録商標)細胞(該アッセイにおいて、エフェクターと称される)は、カルセインがロードされた標的細胞(該アッセイにおいて、標的と称される)と、ある一定の比で混合され得る。インキュベーション期間の後、標的細胞からのカルセイン放出は、たとえば蛍光プレートリーダーによって、評価され得る。該アッセイにおいて使用される、エフェクターおよび標的の比は、多様であり得、任意で、エフェクター:標的比は20:1、15:1、10:1、8:1、または5:1であり得;好ましくは、エフェクター:標的比は10:1である。ポロキサマー188を、たとえば0.025%~0.9%の間の濃度で含む培地において増殖させたNK-(登録商標)細胞は、ポロキサマー188の存在を除いて同一である培地において増殖させたNK-92(登録商標)細胞に匹敵する細胞傷害性を維持する。標的細胞は、NK-92(登録商標)細胞によって認識され得る、MHC分子を発現する任意の細胞であり得、たとえばK562細胞であり得る。
NK-92(登録商標)細胞の、たとえばhaNK(登録商標)細胞の、抗体依存性細胞傷害が評価され得る。NK-92(登録商標)細胞のADCCを測定するための方法は、標的細胞を認識することができる抗体が添加される点を除き、上述のような直接的な細胞傷害性を測定する方法に類似している。NK細胞のFc受容体は、細胞に結合した抗体を認識し、そして細胞溶解反応、および標的細胞の死滅を引き起こす。説明用の一例において、haNK(登録商標)細胞は、リツキサン(抗体)およびRamos(標的細胞)とともにインキュベートされ得、そしてRamos細胞の死滅が、上述のように、該標的細胞の内部の成分、たとえば51Crまたはカルセインの放出によって、測定され得る。
0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤、たとえばポロキサマー188を含む培養培地において増殖させたNK-92(登録商標)細胞は、該非イオン性界面活性剤を欠く培養培地において増殖させたNK-92(登録商標)細胞と実質的に同じ細胞傷害性を示し得る。
0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤、たとえばポロキサマー188を含む培養培地において増殖させたNK-92(登録商標)細胞は、典型的には優れた生存率を、たとえば、少なくとも80%の、少なくとも85%の、少なくとも90%の、または少なくとも95%の生存率を有する。NK-92(登録商標)細胞の生存率は、当技術分野において周知の方法を用いて、たとえば、トリパンブルーに基づく染色法、またはNC-200セルカウンターを用いて、決定され得る。
細胞培養物
本開示はまた、NK-92(登録商標)細胞と、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地とを含む、細胞培養物を提供し、ここで該NK-92(登録商標)細胞は、NK-92(登録商標)細胞と、該非イオン性界面活性剤を欠く培地とを含む対照培養物と比較して、集塊形成を減少させている。
任意で、細胞培養物は、非イオン性界面活性剤を欠く対照細胞培養物と比較して、集塊形成を減少させ得、かつ減少は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも88%、少なくとも90%、または少なくとも95%である。
任意で、NK-92(登録商標)細胞は、培養培地において、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも7日間、または少なくとも10日間、培養されている。任意で、細胞培養物は、少なくとも2リットルの、少なくとも5リットルの、少なくとも10リットルの、少なくとも15リットルの、たとえば25リットルの体積を有する。任意で、NK-92(登録商標)細胞培養物は集塊形成を実質的に有さない。
任意で、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー188である。任意で、細胞培養物は、0.025%~0.9%の、たとえば0.03%~0.8%、または0.04%~0.6%の、ポロキサマー188を含む;好ましくは、ポロキサマー188は0.05%で存在する。
NK-92(登録商標)細胞
本明細書において開示される方法を用いて培養され得るNK-92(登録商標)細胞は、aNK(商標)細胞、haNK(登録商標)細胞、taNK(登録商標)細胞、およびt-haNK(登録商標)細胞を含み、以下においてさらに記述される。
NK-92(登録商標)細胞株は、インターロイキン2(IL-2)の存在下で増殖することが発見された独特の細胞株である。Gong et al., Leukemia 8:652-658 (1994)。これらの細胞は、様々ながんに対して高い細胞溶解活性を有する。NK-92(登録商標)細胞株は、広範な抗腫瘍細胞傷害性を有する均一ながん性NK細胞集団であり、増大後に予測可能な収量で得られる。第I相臨床試験ではその安全性プロファイルが確認されている。NK-92(登録商標)は非ホジキンリンパ腫に罹患している対象の血液中で発見され、その後、エクスビボで不死化された。NK-92(登録商標)細胞はNK細胞に由来するが、正常なNK細胞によって示される主な阻害性受容体を欠き、活性化受容体の大部分を保持する。しかしながら、NK-92(登録商標)細胞は正常な細胞を攻撃せず、また、ヒトにおいて容認できない免疫拒絶反応を誘発することもない。NK-92(登録商標)細胞株の特性解析は、WO 1998/49268および米国特許出願公開第2002-0068044号に記載されている。
NK-92(登録商標)細胞株は、CD56bright、CD2、CD7、CD11a、CD28、CD45、およびCD54表面マーカーを呈することが見出されている。さらに、それはCD1、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD14、CD16、CD19、CD20、CD23およびCD34マーカーを提示しない。培養中のNK-92(登録商標)細胞の増殖は、組換えインターロイキン2(rIL-2)の存在に依存しており、1 IU/mL程度の低用量でも増殖を維持するのに十分である。IL-7およびIL-12は長期間の増殖を補助せず、IL-1α、IL-6、腫瘍壊死因子α、インターフェロンαおよびインターフェロンγを含む、試験した他のサイトカイン類も補助しない。NK-92(登録商標)は、1:1の低いエフェクター:標的(E:T)比でさえも高い細胞傷害性を有する。Gong, et al., 前掲。NK-92(登録商標)細胞は、American Type Culture Collection (ATCC)にCRL-2407という名称で寄託されている。
これまで、内因性NK細胞に関する研究によって、輸送中のNK細胞活性化にとってIL-2 (1000 IU/mL)が重要であること、しかし該細胞を37℃かつ5%二酸化炭素で維持する必要はないことが示されている。Koepsell, et al., Transfusion 53:398-403 (2013)。
改変NK-92(登録商標)細胞は公知であり、限定するものではないが、例えば、それらの全てが参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第7,618,817号、同第8,034,332号、および同第8,313,943号、米国特許出願公開第2013/0040386号に記載のもの、例えば、野生型NK-92(登録商標)、NK-92(登録商標)-CD16、NK-92(登録商標)-CD16-γ、NK-92(登録商標)-CD16-ζ、NK-92(登録商標)-CD16(F157V)、NK-92(登録商標)miおよびNK-92(登録商標)ciなどを含む。
NK-92(登録商標)細胞は、NK細胞に関連する活性化受容体および細胞溶解経路のほぼ全てを保持するが、その細胞表面上にCD16を発現しない。CD16は、抗体のFc部分を認識してそれに結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)に対してNK細胞を活性化する、Fc受容体である。CD16受容体が存在しないため、NK-92(登録商標)細胞はADCC機序を介して標的細胞を溶解することができず、したがって、内因性または外因性の抗体(すなわち、リツキシマブおよびハーセプチン)の抗腫瘍作用を増強することができない。
内因性NK細胞に関する研究は、輸送中のNK細胞活性化にとってIL-2 (1000 IU/mL)が重要であること、しかし該細胞を37℃かつ5%二酸化炭素で維持する必要はないことを示している。Koepsell, et al., Transfusion 53:398-403 (2013)。しかしながら、主に、NK-92(登録商標)はがん由来細胞株であるのに対し内因性NK細胞はドナー(または患者)から収集され患者内への注入のために加工されているというそれらの細胞の起源の違いのために、内因性NK細胞はNK-92(登録商標)細胞とで著しく異なっている、内因性NK細胞調製物は不均一な細胞集団であるのに対して、NK-92(登録商標)細胞は均一なクローン細胞株である。NK-92(登録商標)細胞は、細胞傷害性を維持しながら培養中で容易に増殖するのに対して、内因性NK細胞はそうではない。加えて、NK細胞の内因性の不均一な集団は高密度で凝集しない。さらに内因性NK細胞は、NK-92(登録商標)細胞によって発現されないCD-16受容体を含む、Fc受容体を発現する。
Fc受容体
Fc受容体は抗体のFc部分に結合する。いくつかのFc受容体が知られており、それらは、その好ましいリガンド、親和性、発現、および抗体への結合後の効果によって相違する。
(表1)例示的なFc受容体
Figure 0007208262000001
Figure 0007208262000002
いくつかの態様において、NK-92(登録商標)細胞は、細胞表面上にFc受容体タンパク質を発現するよう改変される。
いくつかの態様において、Fc受容体はヒトCD16である。CD16をコードする代表的なアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示される。CD16をコードする代表的なポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示される。CD16の完全な配列は、SwissProtデータベースにおいて、エントリーP08637として見出されることができる。いくつかの態様において、NK-92(登録商標)細胞は、CD16ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入することによって改変され、該CD16ポリペプチドは、全長CD16の176位にフェニルアラニンを有する、(シグナルペプチドを含む)全長の天然CD16をコードするポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%のポリヌクレオチド配列同一性を有する。いくつかの態様において、CD16ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、176位にバリンを有する、(シグナルペプチドを含む)全長の天然CD16をコードするポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%のポリヌクレオチド配列同一性を有する。
相同ポリヌクレオチド配列には、CD16のバリアントをコードするポリペプチド配列をコードするものが含まれる。いくつかの態様において、700個超から800個のポリヌクレオチドを有するCD16バリアントが本開示の範囲内であるが、相同CD16ポリヌクレオチドは、約150から約700、約750、または約800ポリヌクレオチドの長さであってもよい。
他の例では、CD16アミノ酸配列を変更する多型を有するcDNA配列が、例えば、CD16遺伝子において遺伝的多型を呈する個体間の対立遺伝子変種などのNK-92(登録商標)細胞を改変するために用いられる。他の例では、ヒトCD16の配列とは異なるポリヌクレオチド配列を有する他の種由来のCD16遺伝子が、NK-92(登録商標)細胞を改変するために用いられる。
いくつかの例では、バリアントポリペプチドは、オリゴヌクレオチド媒介性(部位特異的)変異誘発、アラニンスキャニング、およびPCR変異誘発などの当技術分野において公知の方法を用いて作製される。部位特異的変異誘発(Carter, 1986; Zoller and Smith, 1987)、カセット変異導入、制限選択変異誘発(restriction selection mutagenesis)(Wells et al., 1985)または他の公知の技術を、クローニングされたDNAに対して実施して、CD16バリアントを生じさせることができる(Ausubel, 2002; Sambrook and Russell, 2001)。
あるクラスのアミノ酸が同じクラスの別のアミノ酸と置換される、ヒトCD16ポリペプチドのアミノ酸配列での保存的置換は、該置換がポリペプチドの活性を実質的に変更しない限り、開示されたCD16バリアントの範囲内に入る。保存的置換は当業者に周知である。(1)ポリペプチド骨格の構造、例えば、βシートまたはαヘリックスコンフォメーション、(2)電荷、(3)疎水性、または(4)標的部位の側鎖の嵩高さ、に影響を及ぼす非保存的置換は、CD16ポリペプチドの機能または免疫学的独自性を変更する可能性がある。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのあるメンバーを別のクラスに交換することを伴う。置換は、保存的置換部位に、より好ましくは非保存部位に、導入され得る。
いくつかの態様において、CD16ポリペプチドバリアントは、少なくとも200アミノ酸長であり、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも80%、または少なくとも90%の同一性を有する。いくつかの態様において、CD16ポリペプチドバリアントは、少なくとも225アミノ酸長であり、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも80%、または少なくとも90%の同一性を有する。
いくつかの態様において、CD16ポリペプチドをコードする核酸は、CD16融合タンパク質をコードし得る。CD16融合ポリペプチドは、非CD16ポリペプチドと融合したCD16の任意の部分またはCD16全体を含む。いくつかの態様において、異種ポリペプチド配列がCD16のC末端に融合された、またはCD16の内部に位置付けられた、融合ポリペプチドが作製され得る。典型的には、CD16細胞質ドメインの約30%までを置き換えることができる。こうした改変は、発現を増強するか、または細胞傷害性(例えば、ADCC応答性)を高めることができる。他の例では、キメラタンパク質、例えばIg-a、Ig-B、CD3-e、CD3-d、DAP-12およびDAP-10を含むがこれらに限定されない、他のリンパ球活性化受容体由来のドメインが、CD16細胞質ドメインの一部に置き換わる。
融合遺伝子は、従来の技術によって合成することができ、従来の技術には、その後にアニーリングおよび再増幅されキメラ遺伝子配列を生成することができる、2つの連続した遺伝子断片の間に相補的オーバーハングを生じるアンカープライマー用いる自動DNA合成装置およびPCR増幅が含まれる(Ausubel, 2002)。融合部分にインフレームでCD16をサブクローニングすることを容易にする、多くのベクターが商業的に入手可能である。
キメラ抗原受容体
本明細書に記載される場合、NK-92(登録商標)細胞は、細胞表面上にキメラ抗原受容体(CAR)を発現するようにさらに操作される。任意で、CARは腫瘍特異的抗原に特異的である。腫瘍特異的抗原は、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、US 2013/0189268;WO 1999024566 A1;US 7098008;およびWO 2000020460 A1に、非限定的な例として、記載される。腫瘍特異的抗原には、限定するものではないが、NKG2D、CS1、GD2、CD138、EpCAM、EBNA3C、GPA7、CD244、CA-125、ETA、MAGE、CAGE、BAGE、HAGE、LAGE、PAGE、NY-SEO-1、GAGE、CEA、CD52、CD30、MUC5AC、c-Met、EGFR、FAB、WT-1、PSMA、NY-ESO1、AFP、CEA、CTAG1B、CD19およびCD33が含まれる。さらなる非限定的な腫瘍関連抗原、およびそれに関連する悪性腫瘍は表1に見出すことができる。
(表1)腫瘍特異的抗原および関連する悪性腫瘍
Figure 0007208262000003
Figure 0007208262000004
いくつかの態様において、CARはCD19、CD33、またはCSPG-4を標的とする。
いくつかの例では、バリアントポリペプチドは、オリゴヌクレオチド媒介性(部位特異的)変異誘発、アラニンスキャニング、およびPCR変異誘発などの当技術分野において公知の方法を用いて作製される。部位特異的変異誘発(Carter, 1986; Zoller and Smith, 1987)、カセット変異導入、制限選択変異誘発(restriction selection mutagenesis)(Wells et al., 1985)または他の公知の技術を、クローニングされたDNAに対して実施して、CD16バリアントを生じさせることができる(Ausubel, 2002; Sambrook and Russell, 2001)。
任意で、CARは特定のがんの種類に関連する抗原を標的とする。任意で、がんは、白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病を含む)を含む)および慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、これらに限定されないが、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜種、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭がん、乳頭状腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性肺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮種、胚性がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫および網膜芽細胞腫などの肉腫およびがん腫を含む、固形腫瘍からなる群より選択される。
いくつかの態様において、CARをコードするポリヌクレオチドは、CARの機能を変えることなく、CARをコードするアミノ酸配列を変更するように変異される。例えば、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換をもたらすポリヌクレオチド置換を上で開示されたCARにおいて行うことができる。CARは、例えば、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、特許公報番号WO 2014039523;同US 20140242701;同US 20140274909; 同US 20130280285;および同WO 2014099671等に記載のように操作することができる。任意で、CARはCD19 CAR、CD33 CARまたはCSPG-4 CARである。
さらなる改変-サイトカイン
NK-92(登録商標)細胞の細胞傷害性は、サイトカイン(例えば、インターロイキン-2 (IL-2))の存在に依存する。商業規模の培養でNK-92(登録商標)細胞を維持しかつ増大させるために必要とされるIL-2を外部から加えて使用するには、かなりのコストがかかる。NK92(登録商標)細胞の活性化を継続するのに十分な量でのヒト対象へのIL-2の投与は有害な副作用を引き起こすおそれがある。
いくつかの態様において、FcR発現NK-92(登録商標)細胞は、少なくとも1種のサイトカインおよび自殺遺伝子を発現するようにさらに改変される。特定の態様において、少なくとも1種のサイトカインは、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21またはそのバリアントである。好ましい態様において、サイトカインはヒトIL-2である。IL-2をコードする典型的な核酸はSEQ ID NO:3に示され、IL-2の典型的なポリペプチドはSEQ ID NO:4に示される。ある特定の態様において、IL-2は小胞体を標的とするバリアントである。
1つの態様において、IL-2は、IL-2を小胞体に指向させるシグナル配列と共に発現される。理論に拘束されるものではないが、IL-2を小胞体に指向させることによって、細胞外にIL-2を放出することなく、自己分泌活性化に十分なレベルでのIL-2の発現が可能になる。Konstantinidis et al “Targeting IL-2 to the endoplasmic reticulum confines autocrine growth stimulation to NK-92(R) cells” Exp Hematol. 2005 Feb;33(2):159-64を参照されたい。FcR発現NK-92(登録商標)細胞の連続的な活性化は、例えば自殺遺伝子の存在によって、防止することができる。
さらなる改変-自殺遺伝子
用語「自殺遺伝子」は、細胞の負の選択を可能にするものである。自殺遺伝子は安全システムとして用いられ、該遺伝子を発現する細胞を選択剤の導入によって死滅させることができる。これは、組換え遺伝子が制御不能な細胞増殖につながる突然変異を引き起こす場合に望ましい。いくつかの自殺遺伝子系が同定されており、それらには、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子、シトシンデアミナーゼ遺伝子、水痘帯状疱疹ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、ニトロレダクターゼ遺伝子、大腸菌gpt遺伝子、および大腸菌Deo遺伝子が含まれる(さらに、例えば、Yazawa K, Fisher W E, Brunicardi F C: Current progress in suicide gene therapy for cancer. World J. Surg. 2002 July; 26(7):783-9を参照)。本明細書で用いる場合、自殺遺伝子はNK-92(登録商標)細胞において活性がある。典型的には、自殺遺伝子は、細胞に対して悪影響を有さないが、特定の化合物の存在下で細胞を死滅させる、タンパク質をコードする。したがって、自殺遺伝子は典型的には系の一部である。
1つの態様において、自殺遺伝子はチミジンキナーゼ(TK)遺伝子である。TK遺伝子は野生型または変異型TK遺伝子(例えば、tk30、tk75、sr39tk)であり得る。TKタンパク質を発現する細胞はガンシクロビルを用いて死滅させることができる。
別の態様において、自殺遺伝子はシトシンデアミナーゼであり、これは5-フルオロシトシンの存在下で細胞に対して毒性である。Garcia-Sanchez et al. “Cytosine deaminase adenoviral vector and 5-fluorocytosine selectively reduce breast cancer cells 1 million-fold when they contaminate hematopoietic cells: a potential purging method for autologous transplantation.” Blood 1998 Jul 15;92(2):672-82。
別の態様において、自殺遺伝子は、イホスファミドまたはシクロホスファミドの存在下で毒性であるシトクロムP450である。例えば、Touati et al. “A suicide gene therapy combining the improvement of cyclophosphamide tumor cytotoxicity and the development of an anti-tumor immune response.” Curr Gene Ther. 2014;14(3):236-46を参照されたい。
別の態様において、自殺遺伝子はiCas9である。Di Stasi,(2011) “Inducible apoptosis as a safety switch for adoptive cell therapy.” N Engl J Med 365: 1673-1683。さらに、Morgen, “Live and Let Die: A New Suicide Gene Therapy Moves to the Clinic” Molecular Therapy(2012); 20: 11-13を参照されたい。iCas9タンパク質は、低分子AP1903の存在下でアポトーシスを誘導する。AP1903は生物学的に不活性な低分子であり、臨床試験において耐容性良好であることが示されており、養子細胞療法の状況において使用されている。
1つの態様において、改変NK-92(登録商標)細胞は、患者への投与に先だって照射される。NK-92(登録商標)細胞の照射は、例えば、米国特許第8,034,332号に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。1つの態様において、自殺遺伝子を発現するように操作されていない改変NK-92(登録商標)細胞が照射される。
トランスジーン発現
トランスジーン(例えば、CD19 CARおよびCD16)は、当業者に公知の任意の機序によって発現ベクター内に操作され得る。トランスジーンは同じ発現ベクターまたは異なる発現ベクター内に操作され得る。好ましい態様において、トランスジーンは同じベクター内に操作される。
いくつかの態様において、ベクターは、細胞のゲノム内へのトランスジーンの取り込みを可能にする。いくつかの態様において、ベクターは正の選択マーカーを有する。正の選択マーカーには、その遺伝子を発現しない細胞を死滅させる条件下で細胞を増殖させることができる任意の遺伝子が含まれる。非限定的な例として、抗生物質耐性、例えば、ジェネテシン(Tn5由来のNeo遺伝子)が含まれる。
任意の数のベクターが、Fc受容体および/またはCARを発現するために用いられうる。いくつかの態様において、ベクターはプラスミドである。1つの態様において、ベクターはウイルスベクターである。ウイルスベクターには、限定するものではないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、およびポックスウイルスベクターなどが含まれる。
トランスジーンは、非限定的な例として、感染、エレクトロポレーション、リポフェクション、ヌクレオフェクション、または「遺伝子銃」を含む、当技術分野において公知の任意のトランスフェクション法を用いて、NK-92(登録商標)細胞内に導入することができる。
本開示の方法および組成物で使用することができる、それと併用して使用することができる、それらの調製で使用することができる、またはそれらの産物である、材料、組成物、および構成成分が開示される。これらおよび他の材料が本明細書において開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが記載される場合、これらの化合物の各種個別のおよび集合的な組み合わせおよび順列の具体的な記載が明確に記載されていない可能性があるが、各々が本明細書において具体的に企図され記載されることが理解される。例えば、方法が開示および議論され、方法を含むいくつかの分子に対して行うことができるいくつかの改変が議論される場合、方法の各々のおよび全ての組み合わせおよび順列、ならびに可能性のある改変は、それとは反対の具体的な指示がない限り、具体的に企図される。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせもまた、具体的に企図され開示される。この概念は、限定するものではないが、開示の組成物を用いる方法における工程を含む本開示の全ての局面に適用される。したがって、実施することができる様々な追加的段階が存在する場合、これらの追加的段階の各々が、任意の特定の方法段階または開示の方法の方法段階の組み合わせによって実施できること、およびそのような組み合わせまたは組み合わせのサブセットの各々が具体的に企図されかつ開示されているとみなされるべきことが理解される。
態様
本明細書において開示される方法および組成物は、以下の例示的な態様を含む。
態様1. 0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地においてNK-92(登録商標)細胞を培養する段階を含む、NK-92(登録商標)細胞を培養する方法であって、該NK-92(登録商標)細胞培養物が、該非イオン性界面活性剤を欠く対照培地において培養された対照NK-92(登録商標)細胞と比較して、集塊形成を減少させている、前記方法。
態様2. NK-92(登録商標)細胞が、対照NK-92(登録商標)細胞と実質的に同じ細胞傷害性を維持した、態様1の方法。
態様3. 細胞培養物が集塊形成を実質的に有さない、態様1~2のいずれかの方法。
態様4. 細胞が、少なくとも2リットルの培養培地において培養される、態様1~3のいずれかの方法。
態様5. 非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー188である、態様1~4のいずれかの方法。
態様6. 培養培地が、0.025%~0.06%のポロキサマー188を含む、態様1~5のいずれかの方法。
態様7. 培養培地が、0.05%のポロキサマー188を含む、態様1~6のいずれかの方法。
態様8. NK-92(登録商標)細胞培養物が、対照細胞培養物と比較して、細胞凝集体を減少させている、態様1~7のいずれかの方法。
態様9. 細胞凝集体の減少のパーセンテージが、少なくとも40%である、態様1~8のいずれかの方法。
態様10. NK-92(登録商標)細胞培養物が、3日間の培養後に6%未満の細胞凝集体を有する、態様1~9のいずれかの方法。
態様11. NK-92(登録商標)細胞が、少なくとも80%の生存率を有する、態様1~10のいずれかの方法。
態様12. NK-92(登録商標)細胞が、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~11のいずれかの方法。
態様13. 0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を培養培地に添加する段階を含む、該培養培地において凝集物を減少させる方法であって、該培養培地が、該非イオン性界面活性剤を欠く対照培養物と比較して、凝集物を減少させている、前記方法。
態様14. NK-92(登録商標)細胞と、0.025%~0.9%の非イオン性界面活性剤を含む培養培地とを含む、細胞培養物であって、該細胞培養物が、NK-92細胞と、該非イオン性界面活性剤を欠く培地とを含む対照培養物と比較して、集塊形成を減少させている、細胞培養物。
態様15. NK-92(登録商標)細胞が、少なくとも3日間培養されている、態様14の細胞培養物。
態様16. 細胞培養物が集塊形成を実質的に有さない、態様14~15のいずれかの細胞培養物。
態様17. NK-92(登録商標)細胞が、対照培養物におけるNK-92細胞と実質的に同じ細胞傷害性を維持した、態様14~16のいずれかの細胞培養物。
態様18. 非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー188である、態様14~17のいずれかの細胞培養物。
態様19. 0.025%~0.06%のポロキサマー188を含む、態様14~18のいずれかの細胞培養物。
態様20. 0.05%のポロキサマー188を含む、態様14~19のいずれかの細胞培養物。
態様21. NK-92(登録商標)細胞が、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを含む、態様14~20のいずれかの細胞培養物。
態様22. 少なくとも2リットルの体積を有する、態様14~21のいずれかの細胞培養物。
態様23. 少なくとも10リットルの体積を有する、態様14~22のいずれかの細胞培養物。
以下の実施例は、例示のみを目的としたものであり、限定として解釈されるべきではない。当業者に利用可能な様々な代替技術および手法が存在しており、これらは以下の実施例を成功裏に実施することを同様に可能にする。
実施例1: プルロニックF-68は、haNK(登録商標)細胞培養物における集塊形成を減少させた
参照用の1つの試験において、G-RexフラスコからのhaNK(登録商標)細胞を2つの別々の2リットルWAVEバッグ中に接種した(すなわち、細胞ロット番号D0917C186、および細胞ロット番号D0917C187)。両方のWAVEバッグからの細胞を2日後に組み合わせて、20リットルWAVEバッグ(10Lの作業容量)に播種した。1日後、白い沈殿、および凝集物が、20リットルWAVEバッグD1217C197において観察され(図10)、そして細胞の生存率は50%未満であった。D1217C199は、培養物が20リットル培養物に増大された際に、バックアップ培養物として用いるために、同時にセットアップされた;沈殿および凝集物もまた観察された、そして細胞生存率は90%未満であった。図1を参照されたい。これは、プロセスがスケーラブルではないこと、および増大をその後終了させたことを示す。
参照用の別の試験において、G-RexフラスコからのhaNK(登録商標)細胞を第0日に、2つの別々の2リットルWAVEバッグ中に接種した。両方のWAVEからの細胞を第3日に組み合わせて、10リットルWAVEバッグおよび2リットルWAVEバッグに播種した。10リットルWAVEバッグからの細胞は、第6日に、20リットルWAVEバッグに接種するために使用された。白い沈殿、および凝集物が、10リットルWAVEバッグにおいて観察された。細胞増殖は減少し、そして生存率は80%未満であった。20リットルバッグへと移送すると、沈殿物のサイズはより大きくなった。WAVE培養物は終了させた。これもまた、プロセスがスケーラブルではなかったことを示す。図2を参照されたい。
実際的な実施例として、G-RexフラスコからのhaNK(登録商標)細胞を0.05% プルロニックF-68の存在下の2つの別々の2リットルWAVEバッグ中に接種し、ここで該プルロニックF-68は、Thermo Fisher Scientificから、10%溶液として購入されたものである(カタログ番号24040-032)。両方のWAVEバッグからの細胞を第0日に組み合わせて、10リットルWAVEバッグ(5Lの作業容量)に播種した。10リットルWAVEバッグからの細胞は、第4日に、2つの20リットルWAVEバッグに接種するために使用された。両方の20L WAVEバッグからの細胞を、別々の日に、連続遠心分離によって採取した。この試験における全てのWAVE培養物は、0.05% プルロニックF-68を含んでいた。結果は、試験の間中、いずれのWAVEバイオリアクターにおいても沈殿物は観察されなかったことを示す。
これらの試験の結果は、表1に要約されるように、0.05% プルロニックF-68は、haNK(登録商標)培養物が集塊を形成するのを抑止できたことを示し、かつしたがって、haNK(登録商標)培養物は、0.05% プルロニックF-68を培養物に添加することによって、増大させることができる。図3を参照されたい。
Figure 0007208262000005
実施例2: プルロニックF-68は、aNK(商標)細胞培養物における集塊形成を減少させた
類似の実験が、aNK(商標)細胞培養物を用いて実施された。参照用の1つの試験において、G-RexフラスコからのaNK(商標)細胞を第0日に2つの別々の2リットルWAVEバッグに接種した。両方のWAVEからの細胞を組み合わせて、20リットルWAVEバッグ(10Lの作業容量)、および10リットルWAVEバッグ(5Lの作業容量)に播種した。20リットルバッグからの細胞は、細胞培養物において集塊形成していたものの、第3日に、連続遠心分離によって採取された。白い沈殿、および凝集物が、3日後に、20リットルWAVEバッグにおいて観察された。10リットルWAVE培養物は、より大量の沈殿物、および約75%という低い細胞生存率のために、停止させた。図4を参照されたい。
参照用の別の試験において、撹拌タンクバイオリアクターからのaNK(商標)細胞を第0日に2つの別々の2リットルWAVEバッグ中に接種した。50%未満という減少した生存率のため、20リットルWAVEバッグにおける培養物は終了させた。両方の2リットルWAVEからの細胞を第5日に組み合わせて、2つの別々の10リットルWAVEバッグに播種した。10リットルWAVEバッグからの細胞は、第10日に、50リットルバッグ中への接種のために使用された。50リットルバッグからの細胞は、細胞培養物において集塊形成していたものの、第14日に、連続遠心分離によって採取された。白い沈殿、および凝集物が、20リットルWAVEバッグにおいて観察された。細胞増殖は減少し、そしてそのために、増大は停止させた。これは、WAVE培養物が大量の沈殿を有していたこと、およびプロセスがスケーラブルではなかったことを示す。図5を参照されたい。
実際的な実施例として、G-RexフラスコからのaNK(商標)細胞を、第0日に、0.05% プルロニックF-68の存在下で2つの別々の2リットルWAVEバッグ中に接種した。両方のバイオリアクターからの細胞を第5日に組み合わせて、10リットルWAVEバッグに播種した。10リットルバッグからの細胞は、2つの別々の20リットルWAVEバッグへと移送された。両方のバッグからの細胞を、第14日に、連続遠心分離を用いて採取した。沈殿は、いずれのWAVEバッグにおいても観察されなかった。図6を参照されたい。WAVEバイオリアクター ロット番号F0517C412において増殖させた細胞は、K562標的細胞に対して強力な活性を示した(表3を参照されたい)。
これらの試験の結果は、表2に要約されるように、haNK(登録商標)培養物を、0.05% プルロニックF-68の存在下で、培養物における集塊形成の発生無しに増大させることができることを示す。
Figure 0007208262000006
実施例3: プルロニックF-68を含む培地において培養されたNK-92(登録商標)細胞の細胞傷害性
プルロニックF-68の存在下で、20リットルWAVEバッグにおいて培養されたhaNK細胞の試料(ロット番号E1217C313)は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)に関して試験された。プルロニックF-68で処理されていない、増大の前のフラスコからの参照試料もまた、同時に試験された。試料、または参照試料は、リツキサン抗体の存在下で、カルセインがロードされた、標的細胞であるRamos細胞と、10:1のエフェクター:標的比で混合された。カルセイン放出は、3時間のインキュベーション後に、蛍光プレートリーダーによって測定された。細胞傷害性は、カルセイン放出のパーセンテージとして表された。各試料は3連で試験された、そして結果は表3に示される。
同様に、プルロニックF-68の存在下で、20リットルWAVEバッグにおいて培養されたaNK(商標)細胞の試料(ロット番号F0517C412)は、細胞傷害性に関して試験された。プルロニックF-68で処理されていない、増大の前のフラスコからの参照試料もまた、同時に試験された。試料、または参照試料は、カルセインがロードされた標的細胞であるK562細胞と、10:1のエフェクター:標的比で混合された。カルセイン放出は、3時間のインキュベーション後に、蛍光プレートリーダーによって評価された。細胞傷害性は、カルセイン放出のパーセンテージとして表された。各試料は3連で試験された、そして結果は表3に示される。
(表3)プルロニックF-68を用いて処理されたNK-92(登録商標)細胞の細胞傷害性
Figure 0007208262000007
結果は、表3に示されるように、プルロニックF-68を用いて処理された細胞の細胞傷害性は、そのように処理されていないそれらの細胞傷害性と実質的に同じであることを示し、これは、プルロニックF-68の増殖培地への添加が、NK-92(登録商標)細胞の細胞傷害性に対して、不都合な影響を及ぼさないことを示唆する。
実施例4: NK-92(登録商標)細胞培養物における集塊形成を防止するために必要なプルロニックF-68の最小有効濃度の同定
この実施例は、集塊形成を防止するために必要なプルロニックF-68の最小有効濃度を同定するために実施された試験を記述する。プルロニックF-68は、WAVEバイオリアクターにおけるhaNK細胞培養物へと、それぞれ0%、0.0125%、0.025%、および0.05%の濃度で添加された。集塊形成は、プルロニックF-68無しであるか、または0.125% プルロニックF-68を有する培養物において、観察された。集塊形成はまた、0.025% プルロニックF-68を有する培養物において、減少した量ではあったが、依然として存在した。注目すべきことに、集塊形成および濁りは、0.05% プルロニックF-68の添加によって完全に防止された。図7を参照されたい。濁った外観のため、WAVE培養物のうちの2つ(0%、および0.0125% プルロニックF-68)は終了させた、一方で、他の2つの培養物は、別々の10 Lバッグにおいて、さらに5日間増大させた。細胞はNC-200セルカウンターを用いて分析された、そして細胞凝集体のパーセンテージは表4に示される。
(表4)様々な濃度のプルロニックF-68を有する増殖培地における細胞凝集体
Figure 0007208262000008
実施例5. NK-92(登録商標)細胞の生存率に対するプルロニックF-68の効果の、NC-200セルカウンターを用いた評価
プルロニックF-68の非存在下または存在下でWAVEバイオリアクターにおいて増大されたhaNK(登録商標)細胞は、それらの健全性および生存率に関して、NC-200セルカウンターを用いて評価された。図8Aに示されるように、複数のピークが、プルロニックF-68を有さない培養物からのアクリジンオレンジプロットにおいて現れた、これは、培養物が不健全であったことを示す。細胞生存率は70.2%であった、そして5個以上の細胞を有する凝集体中にあった細胞は、試料における全細胞の17%を占める。対照的に、0.05% プルロニックF-68を含む培養物においては、単一のピークのみが観察された、これは、細胞が健全であったことを示す。加えて、5個以上の細胞を有する凝集体中の、細胞のパーセンテージが、わずか2%であったことによって示されるように、細胞生存率は94.9%にまで増加し、そして細胞は、集塊形成を実質的に有さなかった(図8B)。プルロニックF-68の添加は、集塊形成を88%減少させた。
類似の試験が、プルロニックF-68の非存在下または存在下でWAVEバイオリアクターにおいて増大されたaNK(商標)細胞において、NC-200セルカウンターを用いて実施された。haNK(登録商標)細胞と同様に、複数のピークが、プルロニックF-68を有さない培養物からのアクリジンオレンジプロットにおいて示された、これは、培養物が不健全であったことを示す。細胞生存率は88.1%であった、そして、32%の細胞が、5個以上の細胞を有する凝集体中にあった。図9Aを参照されたい。対照的に、0.05% プルロニックF-68を含む培養物においては、単一のピークのみが観察された、これは、細胞が健全であったことを示す。加えて、細胞生存率は96.8%にまで改善し、そして細胞凝集体のパーセンテージは、わずか3%に減少した(図9B) - 90%の減少となる。
本明細書に記載された実施例および態様は例示のみを目的としたものであり、それらの観点で様々な修正または変更が当業者には示唆され、本出願の精神および範囲内にかつ添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解されよう。本明細書に引用された全ての刊行物、配列アクセッション番号、特許および特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
略式の配列表
SEQ ID NO: 1 高親和性バリアント免疫グロブリンガンマFc領域受容体III-Aの核酸配列(全長型)。
Figure 0007208262000009
SEQ ID NO: 2 高親和性バリアント免疫グロブリンガンマFc領域受容体III-Aのアミノ酸配列(全長型)。176位のValには下線が引かれている。
Figure 0007208262000010
SEQ ID NO: 3 ER IL-2の核酸配列
Figure 0007208262000011
SEQ ID NO: 4 ER IL-2(ER保留シグナルには下線が引かれている)のアミノ酸配列
Figure 0007208262000012

Claims (21)

  1. 0.025%~0.9%のポロキサマー188を含む培養培地においてNK-92胞を培養する段階を含む、NK-92胞を培養する方法であって、該NK-92胞培養物が、該ポロキサマー188を欠く対照培地において培養された対照NK-92胞と比較して、集塊形成を減少させている、前記方法。
  2. NK-92胞が、対照NK-92胞と同じ細胞傷害性を維持した、請求項1に記載の方法。
  3. 細胞培養物が集塊形成を有さない、請求項1に記載の方法。
  4. 細胞が、少なくとも2リットルの培養培地において培養される、請求項1に記載の方法。
  5. 培養培地が、0.025%~0.06%のポロキサマー188を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 培養培地が、0.05%のポロキサマー188を含む、請求項1に記載の方法。
  7. NK-92胞培養物が、対照細胞培養物と比較して、細胞凝集体を減少させている、請求項1に記載の方法。
  8. 細胞凝集体の減少のパーセンテージが、少なくとも40%である、請求項7に記載の方法。
  9. NK-92胞培養物が、3日間の培養後に6%未満の細胞凝集体を有する、請求項7に記載の方法。
  10. NK-92胞が、少なくとも80%の生存率を有する、請求項1に記載の方法。
  11. NK-92胞が、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 0.025%~0.9%のポロキサマー188を、NK-92細胞を培養する培養培地に添加する段階を含む、該培養培地において凝集物を減少させる方法であって、該培養培地が、該ポロキサマー188を欠く対照培養物と比較して、凝集物を減少させている、前記方法。
  13. NK-92胞と、0.025%~0.9%のポロキサマー188を含む培養培地とを含む、細胞培養物であって、該細胞培養物が、NK-92細胞と、該ポロキサマー188を欠く培地とを含む対照培養物と比較して、集塊形成を減少させている、細胞培養物。
  14. NK-92胞が、少なくとも3日間培養されている、請求項13に記載の細胞培養物。
  15. 細胞培養物が集塊形成を有さない、請求項13に記載の細胞培養物。
  16. NK-92胞が、対照培養物におけるNK-92細胞と同じ細胞傷害性を維持した、請求項13に記載の細胞培養物。
  17. 0.025%~0.06%のポロキサマー188を含む、請求項13に記載の細胞培養物。
  18. 0.05%のポロキサマー188を含む、請求項13に記載の細胞培養物。
  19. NK-92胞が、サイトカイン、Fc受容体、キメラ抗原受容体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の細胞培養物。
  20. 少なくとも2リットルの体積を有する、請求項13に記載の細胞培養物。
  21. 少なくとも10リットルの体積を有する、請求項20に記載の細胞培養物。
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