JP7207378B2 - 耐水性紙、食品容器、カトラリー - Google Patents
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Description
従来、基紙の片面にポリエチレンフィルムをラミネートしたポリエチレンラミネート紙が、飲料、食品等の各種容器に使用されてきたが、再生時にポリエチレンフィルムの除去が困難であり、再生利用性に劣るという問題があった。
このような問題に対応するために、抄紙工程での性能の付与や、塗工による性能の付与により、耐水性等を付与することが行われてきた。
特許文献1には、耐水性、ヒートシール性、トップカール適性、グラビア印刷適性等の加工適性がポリエチレンラミネート紙と同等であり、かつ資源の有効利用のための再生利用性に優れたカップ原紙、紙皿原紙等の紙器原紙を提供することを目的として、基紙の少なくとも片面に目止め用の下塗り層、耐水耐油層からなる上塗り層を設けた紙器原紙において、下塗り層が顔料/バインダー樹脂層からなり塗工量が片面当り4~15g/m2、上塗り層の耐水耐油層の樹脂塗工量が片面当り2g/m2以上であり、かつ下記A~Dの要件を満足することを特徴とする紙器原紙が記載されている。
A.基紙のコッブの吸水度が50g/m2以下、平滑度が10秒以上である。
B.下塗り層の使用顔料がアスペクト比5~30、平均粒子径が0.5~30μmである。
C.下塗り層の配合比率が顔料100重量部に対してバインダー樹脂が10~100重量部である。
D.上塗り層に使用する耐水耐油樹脂がゲル分率70%以上を有し、塗工層の臨界表面張力が25dyn/cm以上である水分散系樹脂を使用する。
本発明は、冷水のみならず、熱水に対しても耐水性を有するとともに、耐エッジウィック性に優れた耐水性紙を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<18>に関する。
<1> 紙基材の少なくとも一方の面に、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーを配合してなる耐水性層を少なくとも1層有し、浸漬時間10分における70℃の1質量%オクチルフェノールエトキシレート(オキシエチレン基の平均付加モル数9.5)に対するエッジウィック値が、2.0g/1000mm2以下である、耐水性紙。
<2> 前記耐水性層を少なくとも最上層に有する、<1>に記載の耐水性紙。
<3> 前記最上層に位置する耐水性層の塗工量が1.0g/m2以上10g/m2以下である、<2>に記載の耐水性紙。
<4> 前記耐水性層を少なくとも2層有する、<1>~<3>のいずれかに記載の耐水性紙。
<5> 前記耐水性層を2層有し、下層の耐水性層の塗工量が、上層の耐水性層の塗工量より多い、<4>に記載の耐水性紙。
<6> 前記下層の耐水性層の塗工量が、1.5g/m2以上15g/m2以下である、<5>に記載の耐水性紙。
<7> 前記紙基材の両面に耐水性層を有する、<1>~<6>のいずれかに記載の耐水性紙。
<8> 前記耐水性層のエチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーの配合量が樹脂成分中の50質量%以上である、<1>~<7>のいずれかに記載の耐水性紙。
<9> 前記エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが、エチレン-アクリル酸共重合体のアンモニウム塩である、<1>~<8>のいずれかに記載の耐水性紙。
<10> 前記紙基材が、サイズ剤としてロジンを配合してなる、<1>~<9>のいずれかに記載の耐水性紙。
<11> 前記紙基材中のロジンの配合量が、0.2質量%以上1.5質量%以下である、<10>に記載の耐水性紙。
<12> 透気度が1,000秒以上である、<1>~<11>のいずれかに記載の耐水性紙。
<13> 接触時間30分における20℃の水のCobb吸水度が10g/m2以下である、<1>~<12>のいずれかに記載の耐水性紙。
<14> 接触時間30分における90℃の水のCobb吸水度が30g/m2以下である、<1>~<13>のいずれかに記載の耐水性紙。
<15> ヒートシール性を有する、<1>~<14>のいずれかに記載の耐水性紙。
<16> 食品容器用またはカトラリー用である、<1>~<15>のいずれかに記載の耐水性紙。
<17> <1>~<15>のいずれかに記載の耐水性紙を用いてなる、食品容器(例えば、紙コップ)。
<18> <1>~<15>のいずれかに記載の耐水性紙を用いてなる、カトラリー。
本発明の耐水性紙は、紙基材の少なくとも一方の面に、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーを配合してなる耐水性層を少なくとも1層有し、浸漬時間10分における70℃の1質量%オクチルフェノールエトキシレート(オキシエチレン基の平均付加モル数9.5)に対するエッジウィック値が、2.0g/1000mm2以下である。
本発明によれば、冷水のみならず、熱水に対しても耐水性を有するとともに、耐エッジウィック性に優れた耐水性紙を提供することができる。
上述した効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように考えられる。本発明では、耐水性層にエチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが配合されており、これにより、冷水のみならず、熱水に対しても耐水性を有するものと考えられるが、その理由については不明である。
また、浸漬時間10分における70℃の1質量%オクチルフェノールエトキシレート(オキシエチレン基の平均付加モル数9.5)に対するエッジウィック値が、2.0g/1000mm2以下であることにより、耐エッジウィック性に優れた耐水性紙が得られたものと考えられる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において、耐水性紙は、紙基材の少なくとも一方の面に耐水性層を少なくとも1層有し、該耐水性層は、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーを配合してなる。
なお、「耐水性層はエチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーを配合してなる」とは、少なくとも耐水性層を作製する際に、その原料としてエチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが使用されていることを意味し、製造後において、耐水性層がアイオノマーの形で樹脂を含有していなくてもよい。同様に、以下の説明において、「配合」の文言は、原料として当該成分が使用されていることを意味するものであり、製造後において、当該成分が異なる化合物等になっていてもよいことを意味する。
なお、本発明の耐水性紙は、耐水性層を紙基材の両方の面に有していてもよい。
本発明において、耐水性層は、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが配合されてなる。
本発明者等は鋭意検討した結果、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが配合されてなる耐水性層は、エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマーを配合してなる耐水性層に比べて、熱水への耐水性に顕著に優れることを見出した。
ここで、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーとは、エチレン-アクリル酸共重合体を陽イオンで中和したものである。陽イオンとしては、金属イオン、アンモニウムイオン(NH4 +)、有機アンモニウムイオンが例示される。
金属イオンとしては、リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)等のアルカリ土類金属イオン、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)等の遷移金属イオン等が例示される。
本発明において、これらの中でも、熱水に対する耐久性(耐熱水性)に優れる観点から、陽イオンがアンモニウムイオンまたは有機アンモニウムイオンであることが好ましく、アンモニウムイオンであることがより好ましい。すなわち、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが、エチレン-アクリル酸共重合体のアンモニウム塩または有機アンモニウム塩であることが好ましく、エチレン-アクリル酸共重合体のアンモニウム塩であることがより好ましい。
ここで、耐水性層の樹脂成分とは、耐水性層が含有する高分子成分、すなわち、重量平均分子量が1,000以上である化合物を意味する。
他の成分としては、例えば、粘度調整剤;消泡剤;界面活性剤、アルコール等のレベリング剤;着色顔料、着色染料等の着色剤;無機顔料、合成樹脂等のアンチブロッキング剤などが例示される。
なお、これらの成分は、耐水性およびヒートシール性を悪化させる傾向があることから、他の成分の含有量の合計は、耐水性層の固形分中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、下限値は0質量%である。
耐水性層用塗工液は、水性ディスパージョンであることが好ましい。すなわち、耐水性層塗工液は、界面活性剤等の乳化剤、分散剤を含有しないことが好ましい。
本発明の耐水性紙は、紙基材の少なくとも一方の面に耐水性層を有していればよく、両面に有することも好ましい。
耐水性層を両面に有することにより、例えば、結露が生じるような用途(例えば、冷水用紙コップ等)にも好適に適用可能となる。
最上層の耐水性層の塗工量は、耐水性およびヒートシール性に優れる耐水性層とする観点から、好ましくは1.0g/m2以上、より好ましくは1.2g/m2以上、さらに好ましくは1.5g/m2以上、よりさらに好ましくは1.8g/m2以上であり、そして、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは7.0g/m2以下、さらに好ましくは5.0g/m2以下である。
2層の耐水性層を有する場合、耐水性向上の観点から、下層の耐水性層の塗工量は、上層の耐水性層の塗工量よりも多いことが好ましい。下層の耐水性層の塗工量と、上層の耐水性層の塗工量との比(下層/上層)は、好ましくは1.0/1超、より好ましくは1.1/1以上、さらに好ましくは1.2/1以上、よりさらに好ましくは1.3/1以上であり、そして、好ましくは5.0/1以下、より好ましくは3.0/1以下、さらに好ましくは2.5/1以下である。
2層の耐水性層を有する場合、耐水性向上および耐水性層の塗工量減少の観点から、下層の耐水性層の塗工量は、好ましくは1.5g/m2以上、より好ましくは3.0g/m2以上、さらに好ましくは4.0g/m2以上であり、そして、好ましくは15g/m2以下、より好ましくは12g/m2以下、さらに好ましくは9g/m2以下、よりさらに好ましくは8g/m2以下である。
本発明の耐水性紙は、上述した耐水性層に加えて、他の層を有していてもよい。他の層としては、耐水性層の下層に、顔料層を有する態様が例示され、顔料層が目止め層として機能し、耐水性が向上するので好ましい。
顔料層は、顔料と接着剤(バインダー)を含んでなる。
接着剤はとくに制限されないが、例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。接着剤(バインダー)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、接着剤の好ましい一態様としては、合成系接着剤と澱粉類とを併用することが挙げられる。
本発明の耐水性紙は、紙基材上の少なくとも一方の面に、耐水性層を少なくとも1層有する。
紙基材は、少なくとも表層、裏層、および中層を含む3層以上の紙層を有することが好ましい。
原紙を構成するパルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等の化学パルプ;砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミグランドパルプ(CGP)等の機械パルプ;古紙パルプ;ケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材繊維パルプ;合成パルプ等が挙げられる。これらのパルプは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
CSFは、JIS P 8121-2:2012「パルプ-ろ水度試験方法-第2部:カナダ標準ろ水度法」に従って測定される。
サイズ剤としてのロジンは、とくに限定されず、ロジンエマルションサイズ剤、強化ロジンサイズ剤のいずれでもよいが、好ましくはロジンエマルションサイズ剤である。
紙基材中のサイズ剤としてのロジンの含有量は、耐エッジウィック性向上の観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上であり、そして、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下である。
添加剤の含有量は、とくに限定されず、通常用いられている範囲であってよく、含有しなくてもよい。
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
また、紙基材の紙厚は、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
紙基材を製造する方法としては、パルプと、ロジンとを含有する紙料を抄紙する方法が挙げられる。なお、紙料は、ロジン以外の他の添加剤をさらに含有してもよい。他の添加剤としては、例えば前記で挙げた内添薬品が挙げられる。
紙料は、パルプスラリーにロジンおよび必要に応じて他の添加剤を添加することにより調製できる。
パルプスラリーは、パルプを水の存在下で叩解することにより得られる。パルプの叩解方法、叩解装置はとくに限定されず、公知の叩解方法、叩解装置と同様であってよい。
紙料におけるパルプの含有量は、とくに限定されず、通常用いられている範囲であってよい。例えば、紙料の総質量に対して、60質量%以上100質量%未満である。
複数の湿紙を重ねる際に、湿紙の表面(他の湿紙を重ねる面)に接着剤を塗布してもよい。
本発明の耐水性紙は、透気度が1,000秒以上であることが好ましく、より好ましくは10,000秒以上、さらに好ましくは99,999秒以上である。透気度の上限は、とくに限定されないが、例えば1,000,000秒以下である。
透気度を上記範囲内とすることにより、空気を遮断する意味での遮断性が高くなり、耐水性にさらに優れる耐水性紙が得られる。とくに、耐水性層を2層以上有する場合や、耐水性層の下層として顔料層を設けた場合には、透気度を高くすることができる。
透気度は、JIS P 8117:2009に準拠して測定される。
Cobb吸水度は、JIS P 8140:1998に準拠して測定される。
また、本発明の耐水性紙は、熱水への耐水性の観点から、接触時間30分における90℃の水のCobb吸水度が、好ましくは30g/m2以下、より好ましくは15g/m2以下である。下限はとくに限定されない。
Cobb吸水度は、JIS P 8140:1998に準拠して測定される。
エッジウィック値は、実施例に記載の方法により測定される。
なお、オクチルフェノールエトキシレートは下記式で表される。
オクチルフェノールエトキシレート(オキシエチレン基の平均付加モル数9.5)は、Triton(登録商標)X-100として、入手できる。
成形の一例を挙げると、必要に応じて耐水性紙の表面に印刷を施し、製造する液体容器の形状に対応した形状に打抜き加工し、折り曲げ加工し、重なり部分をヒートシールにより貼り合わせて液体容器とされる。
本発明の耐水性紙は、耐水性、ヒートシール性に優れるため、成形加工性にも優れる。さらに、耐エッジウィック性にも優れるため、液体容器とすることにとくに好適である。
より具体的には、紙コップ、紙皿、紙トレー、紙製の食品容器、スプーン、フォーク、ナイフ、箸、ストロー等が例示される。これらの中でも、とくに紙コップに好適に使用される。従って、本発明は、上記の耐水性紙を用いてなる食品容器(例えば、紙コップ)またはカトラリーについても提供する。
<1> 紙基材の少なくとも一方の面に耐水性層を少なくとも1層有する耐水性紙であって、接触時間30分における90℃の水のCobb吸水度が30g/m2以下であり、浸漬時間10分における70℃の1質量%オクチルフェノールエトキシレート(オキシエチレン基の平均付加モル数9.5)に対するエッジウィック値が、2.0g/1000mm2以下である、耐水性紙。
<2> 前記耐水性層を少なくとも最上層に有する、<1>に記載の耐水性紙。
<3> 前記最上層に位置する耐水性層の塗工量が1.0g/m2以上10g/m2以下である、<2>に記載の耐水性紙。
<4> 前記耐水性層を少なくとも2層有する、<1>~<3>のいずれかに記載の耐水性紙。
<5> 前記耐水性層を2層有し、下層の耐水性層の塗工量が、上層の耐水性層の塗工量より多い、<4>に記載の耐水性紙。
<6> 前記下層の耐水性層の塗工量が、1.5g/m2以上15g/m2以下である、<5>に記載の耐水性紙。
<7> 前記紙基材の両面に耐水性層を有する、<1>~<6>のいずれかに記載の耐水性紙。
<8> 透気度が1,000秒以上である、<1>~<7>のいずれかに記載の耐水性紙。
<9> 接触時間30分における20℃の水のCobb吸水度が10g/m2以下である、<1>~<8>のいずれかに記載の耐水性紙。
<10> 前記紙基材が、サイズ剤としてロジンを配合してなる、<1>~<9>のいずれかに記載の耐水性紙。
<11> 前記紙基材中のロジンの配合量が、0.2質量%以上1.5質量%以下である、<10>に記載の耐水性紙。
<12> 前記耐水性層は、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーを配合してなる、<1>~<11>のいずれかに記載の耐水性紙。
<13> 前記エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが、エチレン-アクリル酸共重合体のアンモニウム塩である、<12>に記載の耐水性紙。
<14> ヒートシール性を有する、<1>~<13>のいずれかに記載の耐水性紙。
<15> 食品容器用またはカトラリー用である、<1>~<14>のいずれかに記載の耐水性紙。
<16> <1>~<14>のいずれかに記載の耐水性紙を用いてなる、食品容器(例えば、紙コップ)。
<17> <1>~<14>のいずれかに記載の耐水性紙を用いてなる、カトラリー。
<紙基材の作製>
原料パルプとしてNBKP20部、LBKP80部を離解し、パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリー100質量部(固形分換算)に対し、硫酸バンド1.6質量部、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン(PAE)0.15質量部、ロジン0.85質量部を添加し紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを長網抄紙機で抄紙して乾燥させ、坪量が330g/m2、紙厚が415μmの紙基材を作製した。
エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマー(エチレン-アクリル酸共重合体アンモニウム塩、アクリル酸共重合比率21.1質量%)に、消泡剤(ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル)を配合して、固形分中のエチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーの含有量が98.5質量%、消泡剤の含有量が1.5質量%であり、固形分濃度29質量%の塗工液を調製した。
紙基材の片面に、下塗り層として、上記塗工液を塗工量(固形分)が3.0g/m2となるように、エアナイフコーターを用いて塗工し、乾燥させたのち、同じ面に上塗り層として、上記塗工液を塗工量(固形分)が3.0g/m2となるように、エアナイフコーターを用いて塗工し、乾燥させた。
もう一方の面に、上記塗工液を塗工量(固形分)が1.0g/m2となるように、エアナイフコーターを用いて塗工し、乾燥させ、耐水性紙を作製した。
表面下塗り層の塗工量(固形分)を5.0g/m2、裏面の塗工量(固形分)を3.0g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして、耐水性紙を作製した。
表面下塗り層の塗工量(固形分)を7.0g/m2に変更した以外は実施例2と同様にして、耐水性紙を作製した。
紙基材の内添サイズ剤をAKD0.30質量部に変更した以外は実施例2と同様にして、耐水性紙を作製した。
塗工液のアイオノマーをエチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー(エチレン-メタクリル酸共重合体ナトリウム塩)に変更し、表面下塗り層の塗工量(固形分)5.0g/m2、表面上塗り層の塗工量(固形分)5.0g/m2、裏面の塗工量(固形分)を5.0g/m2に変更し、耐水性紙を作製した。
[透気度]
透気度は、JIS P 8117:2009に準拠して測定した。
Cobb吸水度は、JIS P 8140:1998に準拠して、接触時間30分にて測定した。水の温度は20℃と90℃にて測定した。
より具体的には、20℃または90℃の水に30分間接触させ、接触前後の質量差から測定した。
まず、JIS P 8118:2014に準拠し、紙基材の厚さ(紙厚)を測定した。その後、市販のポリエチレンフィルムを紙基材の両面にラミネートし、端面が露出するように60mm×90mmに切り出して試験片を作製し、試験片の質量(浸漬前質量)を測定した。この試験片を70℃の1質量%Triton(登録商標) X-100に10分間浸漬させ、表面の水分を拭き取った後、該試験片の質量(浸漬後質量)を測定した。そして、次式により、紙基材の1質量%Triton(登録商標) X-100に対するエッジウィック値を求めた。
また、同様の測定方法で浸漬時間10分における70℃のイオン交換水、70℃の1.5質量%コーヒー(ネスレ日本株式会社製、NESCAFE Excella)に対するエッジウィック値を求めた。
エッジウィック値[g/1000mm2]=(浸漬後質量(g)-浸漬前質量(g))/紙厚(mm)/周の長さ(mm)
サンプルを2.5cm×15cmにカットし、塗工面(表)と塗工面(裏)または塗工面(表)と原紙面が密着するように重ね合わせたのち、ヒートシールテスターを用いて、温度150℃、圧力0.2MPaで10秒間シールした後、室温まで冷却し、重ねたサンプルを手で剥がした時の様子を下記評価基準に基づいて評価した。
A:完全に接着している
B:部分的に接着している
C:まったく接着していない
一方、サイズ剤としてAKDを含有する比較例1では、耐エッジウィック性能が低く、本発明の要件を満たすものではなかった。さらに、エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマーを使用した比較例2では、透気度が低く、また、耐水性にも劣るものであった。
Claims (18)
- 紙基材の少なくとも一方の面に、エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーを配合してなる耐水性層を少なくとも1層有し、
浸漬時間10分における70℃の1質量%オクチルフェノールエトキシレート(オキシエチレン基の平均付加モル数9.5)に対するエッジウィック値が、2.0g/1000mm2以下である、
耐水性紙。 - 前記耐水性層を少なくとも最上層に有する、請求項1に記載の耐水性紙。
- 前記最上層に位置する耐水性層の塗工量が1.0g/m2以上10g/m2以下である、請求項2に記載の耐水性紙。
- 前記耐水性層を少なくとも2層有する、請求項1~3のいずれかに記載の耐水性紙。
- 前記耐水性層を2層有し、下層の耐水性層の塗工量が、上層の耐水性層の塗工量より多い、請求項4に記載の耐水性紙。
- 前記下層の耐水性層の塗工量が、1.5g/m2以上15g/m2以下である、請求項5に記載の耐水性紙。
- 前記紙基材の両面に耐水性層を有する、請求項1~6のいずれかに記載の耐水性紙。
- 前記耐水性層のエチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーの配合量が樹脂成分中の50質量%以上である、請求項1~7のいずれかに記載の耐水性紙。
- 前記エチレン-アクリル酸共重合体アイオノマーが、エチレン-アクリル酸共重合体のアンモニウム塩である、請求項1~8のいずれかに記載の耐水性紙。
- 前記紙基材が、サイズ剤としてロジンを配合してなる、請求項1~9のいずれかに記載の耐水性紙。
- 前記紙基材中のロジンの配合量が、0.2質量%以上1.5質量%以下である、請求項10に記載の耐水性紙。
- 透気度が1,000秒以上である、請求項1~11のいずれかに記載の耐水性紙。
- 接触時間30分における20℃の水のCobb吸水度が10g/m2以下である、請求項1~12のいずれかに記載の耐水性紙。
- 接触時間30分における90℃の水のCobb吸水度が30g/m2以下である、請求項1~13のいずれかに記載の耐水性紙。
- ヒートシール性を有する、請求項1~14のいずれかに記載の耐水性紙。
- 食品容器用またはカトラリー用である、請求項1~15のいずれかに記載の耐水性紙。
- 請求項1~15のいずれかに記載の耐水性紙を用いてなる、食品容器。
- 請求項1~15のいずれかに記載の耐水性紙を用いてなる、カトラリー。
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