JP7207186B2 - X線回折装置およびx線回折測定方法 - Google Patents

X線回折装置およびx線回折測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線回折装置およびX線回折測定方法に関する。
X線回折装置は、X線源から放射されたX線を試料に照射し、試料から反射又は透過すえる回折X線を検出して、試料の結晶構造等を分析するための分析装置であり、各種物質の非破壊分析に広く用いられている。
例えば粉末試料をX線回折測定する場合、ガラス製のキャピラリに粉末試料を充填し、そのキャピラリをX線回折装置内に配置した後、試料に対してX線を照射し、試料からの回折X線を検出することで、粉末試料の回折パターンを取得することができる(例えば特許文献1を参照)。
X線回折装置では、X線源から照射されたX線が、試料に到達するまでの間に、空気により散乱することがある。この散乱X線が検出器に取り込まれてしまうと、回折パターンのバックグラウンド強度が上昇し、精度の高い回折パターンが得られなくなる。例えば、バックグラウンド強度が上昇することで、所定の回折角で出現するはずの回折ピークが埋没して表示されないことがある。
そのため、X線回折装置には、散乱X線の影響を抑制すべく、散乱X線を遮蔽するX線遮蔽部材が試料ステージに配置される(例えば特許文献2を参照)。
特開2005-291817号公報 特開2012-177688号公報
ところで、回折X線のピークは、試料の種類によっても異なるが、回折角の小さな範囲で多く検出される傾向にある。そのため、X線遮蔽部材は、試料ステージにおいて、回折角の小さな範囲での回折X線の検出を妨げないよう、回折角の大きな範囲に固定配置されることがある。つまり、検出器を旋回させて回折X線を検出するときに、検出器が旋回する領域のうち、旋回角度が高角度の領域にX線遮蔽部材が固定配置される。
一方、試料によっては、回折ピークが高角度側でも検出されるものもあり、このような試料では、検出する回折角の範囲を広げて、低角度から高角度にわたって検出する必要がある。しかし、X線遮蔽部材を、低角度での検出に合せて、試料ステージの高角度の範囲に固定配置すると、高角度の範囲で回折X線を検出するときに、X線遮蔽部材が回折X線を遮蔽してしまうことがあった。この結果、回折X線がX線遮蔽部材によって減衰または吸収されることで、得られる回折パターンの精度が低下することがあった。
そこで、本発明は、回折角の低角度から高角度の幅広い範囲にわたってX線回折測定するときに精度の高い回折パターンを得る技術を提供することを一目的とする。
本発明の第1の態様は、
試料を載置する試料ステージと、
前記試料ステージの周囲に設けられ、前記試料ステージ上の前記試料に対してX線を照射するX線源が取り付けられたX線源アームと、
前記試料ステージの周囲に設けられ、前記試料ステージ上の前記試料から反射または透過する回折X線を検出する検出器が取り付けられた検出器アームと、
前記X線源アームまたは前記検出器アームの一方に支持固定され、前記X線の散乱による散乱X線を遮蔽するX線遮蔽部材と、を備え、
前記X線遮蔽部材は、前記試料との間に、前記X線または前記回折X線が通過できる距離をおいて配置され、かつ、前記X線源の照射方向とのなす角、または前記検出器の検出方向とのなす角が一定となるように傾斜して支持固定されており、前記試料ステージから独立して設けられている、
X線回折装置が提供される。
本発明の第2の態様は、第1の態様のX線回折装置において、
前記X線遮蔽部材は、前記X線源アームまたは前記検出器アームの、前記回折X線の回折角を測定するときの高角度側に支持固定される。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様のX線回折装置において、
前記X線源の照射方向とのなす角、または、前記検出器の検出方向とのなす角が5°以上25°以下である。
本発明の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれかのX線回折装置において、
前記X線源が前記試料に対して所定の角度θで固定され、前記試料ステージおよび前記検出器が前記所定の角度θに対して2θの関係を維持するように、前記試料ステージおよび前記検出器アームの動作が制御されている。
本発明の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれかのX線回折装置において、
前記X線源からの前記X線を平行X線ビームとして取り出す光学系を備える。
本発明の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれかのX線回折装置において、
前記X線遮蔽部材から前記試料までの最短距離が3mm以上7mm以下である。
本発明の第7の態様は、第1~第6の態様のいずれかのX線回折装置において、
前記X線遮蔽部材は、ニッケル、モリブデン、タングステンおよびステンレス鋼の少なくとも1つを含む。
本発明の第8の態様は、
第1~第7の態様のいずれかのX線回折装置を用いて粉末試料のX線回折測定を行う測定方法であって、
前記粉末試料をキャピラリに充填する充填工程と、
前記粉末試料を充填した前記キャピラリを前記試料ステージに載置する載置工程と、
前記キャピラリに前記X線を照射し、前記回折X線を検出する検出工程と、を有し、
前記検出工程では、回折角が10°以上120°以下の範囲を連続的に検出する、
粉末試料のX線回折測定方法。
本発明によれば、回折角の低角度から高角度の幅広い範囲にわたってX線回折測定するときに精度の高い回折パターンを得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるX線回折装置の概略構成を示す正面図である。 図2は、X線遮蔽部材のX線とのなす角を説明するための図である。 図3は、本発明の他の実施形態にかかるX線回折装置の概略構成を示す正面図である。 図4は、実施例1で得られた粉末試料のX線回折パターンである。 図5は、従来のX線回折装置の概略構成を示す正面図である。 図6は、比較例1で得られた粉末試料のX線回折パターンである。 図7は、比較例2で得られた粉末試料のX線回折パターンである。
従来のX線回折装置100には、例えば図5に示すように、ゴニオメータ部11と、試料40を載置する試料ステージ12と、X線源14が取り付けられたX線源アーム13と、検出器16が取り付けられた検出器アーム15と、が設けられる。そして、散乱X線の検出器16への取り込みを抑制すべく、X線遮蔽部材17が固定ホルダ50を介して試料ステージ12に取り付けられている。X線遮蔽部材17の取り付け位置は、上述したように、回折角の低角度側での検出を妨げないよう、回折角の高角度側となっている。
このようなX線回折装置100を用いて測定を行う場合、例えば図5に示すように、X線源14を、そのX線の照射方向が水平方向に対して30°となるように固定し、試料40と検出器16とを連動して回転させて回折X線を検出すると、回折角2θとして低角度(例えば0°~70°)の範囲を検出する場合であれば、回折X線を好適に検出することができる。一方、回折角2θとして高角度の範囲(例えば70°以上の範囲)を検出する場合、試料40と検出器16との間にX線遮蔽部材17が位置することで、試料40からの回折X線を検出できなくなる。
このため、高角度の範囲を検出する場合、低角度の範囲を検出した後、測定を一旦止めて、試料ステージ12に固定されたX線遮蔽部材17を取り外した後に、高角度の範囲を検出することになる。この場合、得られた低角度側の回折パターンと、高角度側の回折パターンとを、バックグラウンドを基準として合成することにより、低角度から高角度まで連続する1つの回折パターンを得る。
ただし、本発明者の検討によると、低角度側の回折パターンと高角度側の回折パターンとを比較すると、これらを合成する基準となるバックグラウンドが異なることがあるため、2つの回折パターンを合成したときに、回折パターンが歪む場合があることが確認された。
一方、低角度から高角度にわたって広い角度範囲を連続的にX線回折測定する方法としては、X線源となる元素を、より短い波長を有する元素に変更することが考えられる。例えば、Cuから、Mo等の波長の短い元素に変更することが考えられる。しかし、この場合、X線源14を交換するため、交換のたびに光学系を調整する必要が生じ、作業工程が複雑になり、測定効率が低下することが考えられる。
以上のことから、X線源を変更することなく、回折角を低角度から高角度の広い範囲にわたって連続的にX線回折測定を行う方法について検討を行った。その結果、X線遮蔽部材を試料ステージに固定して取り付けるのではなく、試料を中心として回転移動するX線源アームもしくは検出器アームに取り付けるとよいことを見出した。このように構成することにより、X線遮蔽部材がX線源アームもしくは検出器アームとともに移動するため、X線遮蔽部材が、X線源と試料との間や検出器と試料との間に位置することを抑制することができる。
本発明は上述した知見に基づいて成されたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について図を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るX線回折装置の概略構成を示す正面図であって、図中、左右方向および紙面前後方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。図2は、X線遮蔽部材のX線とのなす角を説明するための図である。
(X線回折装置)
本実施形態のX線回折装置1は、ゴニオメータ部11と、試料ステージ12と、X線源アーム13と、検出器アーム154と、X線遮蔽部材17と、支持部材20と、を備えて構成される。
ゴニオメータ部11は、その上に搭載される試料ステージ12を、試料40を回転軸の中心として回転させる駆動機構(図示略)を有している。また、ゴニオメータ部11には、その周囲に、X線源アーム13と、検出器アーム15とが取り付けられている。X線源アーム13および検出器アーム15はそれぞれ、試料40を回転軸の中心として独自に回転可能なように構成されている。
ゴニオメータ部11は、X線源14から試料40に対して照射されるX線と、試料40で反射または回折される回折X線とのなす角を変更できるように、X線源14と試料ステージ12と検出器16との相対的な位置関係を制御することができる。例えば、X線源アーム13を固定した状態で、試料40を回転軸の中心として試料ステージ12を角度θ回転させたときに、これと連動するように検出器アーム15を同一の回転軸を中心にして角度2θ旋回させるように制御される。また例えば、試料40を固定した状態で、X線源アーム13と検出器アーム15とを対称的に同じ角度旋回させるように制御される。なお、検出器アーム15は、X線源アーム13と試料40を挟んで対向する位置を始点として、その回折角が大きくなる方向(図1中の矢印の向き)に旋回するように制御される。
試料ステージ12は、試料40を中心に載置できるように構成され、例えば、試料40を充填したキャピラリ41を挿入固定できるような挿入孔を中心に有する。キャピラリ41とは、例えば石英ガラス、リンデマンガラス、ボロシリケートガラス、ソーダガラスなどの材料から形成され、X線回折装置1で微小量の粉末試料を測定するために使用される管状の試料容器である。
X線源アーム13は、ゴニオメータ部11に取り付けられ、試料40を中心に旋回できるように構成されている。X線源アーム13には、X線源14が設けられている。X線源アーム13を試料ステージ12に対して旋回させることにより、X線の試料40への照射方向を変化させることができる。X線源14としては、Cu管球を用いるとよく、照射するX線としては、CuKα線を含むX線が好ましい。
X線源アーム13には、X線源14と試料ステージ12との間に、X線源14からのX線を平行X線ビームとして取り出す光学系30が設けられることが好ましい。このような光学系30としては、例えば、入射するX線の幅を決める発散スリット、入射するX線の高さを決める縦制限スリット、および、縦方向の余分な発散を抑制するソーラースリットなどを含むスリットボックスを用いることができる。平行ビーム方式の光学系30によれば、発散スリットなどの集中反射方式の光学系を設ける場合と比べて、X線源14を試料ステージ12側に近づけて配置することができる。この結果、X線源アーム13に、後述する支持部材20を取り付けるスペースを確保しやすくなる。
検出器アーム15は、ゴニオメータ部11に取り付けられ、試料40を中心に旋回できるように構成されている。検出器アーム15には、検出器16が設けられている。検出器アーム15を試料ステージ12に対して旋回させることにより、検出方向(検出する回折角)を変化させることができる。
検出器16としては、従来公知の検出器を用いることができる。例えば、プロポーションカウンター(PC:Proportional Counter)やシンチレーションカウンター(SC:Scintillation Counter)などを用いることができる。なお、検出器アーム15には、試料ステージ12と検出器16との間に、上述したスリットボックスなどを設けてもよい。
本実施形態では、X線源14から照射されたX線が例えば空気により散乱されて生じる散乱X線が検出器16に取り込まれないよう、散乱X線を遮蔽するX線遮蔽部材17を設ける。X線遮蔽部材17は、例えば支持部材20を介して、X線源アーム13に支持固定されている。このとき、散乱X線の検出器16への取り込みを抑制するため、X線遮蔽部材17は、試料40との間に所定の距離をおいて近接して配置される。また、X線遮蔽部材17は、X線源14の照射方向とのなす角が一定となるように傾斜して支持固定される。
ここで、X線遮蔽部材17と試料40との間の距離とは、X線遮蔽部材17から試料40までの最短距離を示す。図2においては、X線遮蔽部材17の支持部材20で支持される一端とは反対の先端部17aと試料40との距離dを示す。また、X線遮蔽部材17とX線源14の照射方向とのなす角とは、図2に示すように、試料40を通る水平線(図中の点線)とX線遮蔽部材17とのなす角αと、水平線とX線源14の照射方向とのなす角βとから、求められる角度γを示す。
X線遮蔽部材17を、試料40から所定の距離を置いて試料40に近接して配置することにより、X線源14からのX線や試料40からの回折X線を通過させつつ、散乱X線を遮蔽することができる。これにより、試料40に由来する回折ピークの強度を弱めることなく、精度の高い回折パターンを得ることができる。また、X線遮蔽部材17を、試料ステージ12に固定させることなく、X線源14の照射方向に対して所定の角度で傾斜させて配置することにより、検出器16を高角度側まで移動させたときでも、X線遮蔽部材17が検出器16に干渉することを抑制できる。
X線遮蔽部材17は、X線源アーム13において、回折X線の回折角を測定するときの高角度側に位置するように支持固定されることが好ましい。
X線遮蔽部材17と照射方向とのなす角は、特に限定されないが、検出器16を旋回させる角度を大きくして、回折角を低角度から高角度にわたって測定する観点からは、25°以下とすることが好ましい。一方、なす角が過度に小さくなると、散乱X線を十分に遮蔽できず、回折パターンの精度が低下することがある。そのため、なす角は、5°以上とすることが好ましい。つまり、回折角を大きくしつつ、回折パターンの精度を高く維持する観点からは、なす角は5°以上25°以下とすることが好ましい。
X線遮蔽部材17と試料40との距離は、X線遮蔽部材17と試料40との隙間をX線や回折X線が通過できれば特に限定されない。X線や回折X線を通過させつつ、散乱X線をより確実に遮蔽する観点からは、距離を3mm以上7mm以下とすることが好ましい。
X線遮蔽部材17の形状は、特に限定されないが、板状であることが好ましい。また、その材質は、X線を透過させないものであれば特に限定されないが、ニッケル、モリブデン、タングステンおよびステンレス鋼の少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、X線遮蔽部材17は、キャピラリ41と平行となるように配置されることが好ましい。平行に配置することにより、X線遮蔽部材17による遮蔽効果のばらつきを抑制することができ、より精度の高い回折パターンを得ることができる。
なお、支持部材20としては、X線遮蔽部材17を支持固定できるものであれば、特に限定されない。X線遮蔽部材17の角度、もしくはX線遮蔽部材17と試料40との距離を適宜変更させる観点からは、支持部材20は、図1に示すように、2本の調整用アーム21と、それらを連結して支持する関節部22とを有し、屈曲可能に構成されていることが好ましい。また、X線遮蔽部材17の支持部材20への固定方法は、特に限定されず、例えば調整用アーム21に挟持したり、調整用アーム21にねじ止めしたりするとよい。
(X線回折測定)
次に、上述したX線回折装置1を用いて試料40のX線回折測定を行う方法について説明する。
まず、試料40をキャピラリ41に充填する。続いて、試料40を充填したキャピラリ41を、例えば、キャピラリホルダ(図示略)に固定し、このキャピラリホルダをゴニオメータヘッド(図示略)に取り付けて、ゴニオメータヘッドを試料ステージ12に載置する。これにより、キャピラリ41を試料ステージ12の面に対して垂直となるように載置する。
続いて、図1に示すように、X線源アーム13を所定の角度に固定した状態で、X線をキャピラリ41に対して照射する。このとき、ゴニオメータ部11により試料ステージ12とともにキャピラリ41を回転させて、試料40に対するX線の入射角を変化させつつ、検出器アーム15を試料40を中心に旋回させて、回折X線を検出器16により検出する。本実施形態では、X線遮蔽部材17を、X線の照射方向に対して所定の角度をなすように支持固定しているので、検出器アーム15を低角度から高角度の範囲まで旋回させることができる。例えば、10°以上120°以下の幅広い範囲にわたって旋回させることができる。
以上により、試料40について、回折角が例えば10°以上120°以下の幅広い範囲にわたる回折パターンを取得する。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態のX線回折装置1では、X線遮蔽部材17を、試料40に対して所定の距離をおいて近接して配置するとともに、X線の照射方向とのなす角が一定となるように傾斜して、X線源アーム13に支持固定している。これにより、検出器16を高角度側に旋回させて回折角の高角度側を検出する場合であっても、X線遮蔽部材17により回折X線を遮蔽してしまうことを抑制することができる。この結果、試料40に由来する回折ピークの強度を弱めることなく、回折角の低角度から高角度の幅広い範囲にわたって連続してX線回折測定を行うことができる。しかも、散乱X線の検出器16への取り込みを抑制することができる。したがって、本実施形態のX線回折装置1によれば、低角度から高角度の幅広い範囲にわたって精度の高い回折パターンを得ることができる。
X線遮蔽部材17を、X線源アーム13の、回折X線の回折角を測定するときの高角度側に支持固定する。これにより、散乱X線の検出器16への取り込みをより確実に抑制することができる。
X線遮蔽部材17を、X線の照射方向とのなす角が5°~25°の範囲となるように傾斜させて支持固定する。これにより、回折角の高角度側を検出する場合であっても、散乱X線をより遮蔽することができ、回折パターンの精度を高く維持することができる。
X線源14を試料40に対して所定の角度θで固定するとともに、試料ステージ12および検出器16を角度θに対して2θの関係を維持するように、試料ステージ12および検出器アーム15の動作を制御することが好ましい。このように検出器アーム15を旋回させる一方で、X線源アーム13を固定することにより、X線源14として、例えば高出力で重量の重いもの(例えば回転対陰極型のX線源など)を使用する場合であっても、X線源アーム13の剛性によらず、角度精度を高く維持することができる。
また、X線回折装置1において、X線源14からのX線を平行X線ビームとして取り出す光学系30を設けることが好ましい。具体的には、X線源14と試料ステージ12との間に、平行ビーム方式の光学系30を設けることが好ましい。このような光学系30によれば、X線源14を試料ステージ12により近づけて配置することが可能となり、例えば装置を小型化したり、また例えばX線遮蔽部材17を支持固定するときのスペースを確保したりすることができる。
X線遮蔽部材17と試料40との間の距離を3mm~7mmの範囲に設定することが好ましい。このような距離に調整することにより、X線や回折X線を通過させつつ、散乱X線をより確実に遮蔽することができる。この結果、試料40に由来する回折ピークの強度をより高く維持することができ、より精度の高い回折パターンを得ることができる。
本実施形態のX線回折装置1によれば、試料40(例えば粉末試料など)をX線回折測定する際に、回折角として10°~120°の範囲を連続してX線回折測定することにより、広い回折角の情報を有し、かつ精度の高い回折パターンを得ることができる。このような回折パターンによれば、Rietveld法により、試料40の詳細な結晶構造を解析することができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
上述の実施形態では、X線源アーム13を固定し、検出器アーム15を旋回させることで、X線回折測定を行ったが、本発明はこれに限定されず、試料ステージ12を固定して回転させずに、X線源アーム13と検出器アーム15とを対称的に同じ角度旋回させるように制御してX線回折測定を行ってもよい。
この場合、X線源アーム13の旋回とともに、X線遮蔽部材17が、X線とのなす角を一定に維持した状態で旋回することができる。このため、X線遮蔽部材17により検出器16への散乱X線の取り込みを抑制することができる。しかも、高角度側を検出するときに、X線遮蔽部材17が検出器16と試料40との間に位置して回折X線の検出を阻害することを抑制できる。これにより、低角度から高角度の幅広い範囲にわたって精度の高い回折パターンを得ることができる。
また、上述の実施形態では、X線遮蔽部材17をX線源アーム13に支持固定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、X線遮蔽部材17を検出器アーム15に支持固定してもよい。具体的には、図3に示すように、X線遮蔽部材17を、試料40に所定の距離をおいて近接して配置するとともに、検出器16の検出方向に対して所定の角度をなすように傾斜して支持固定するとよい。このとき、X線遮蔽部材17を、検出器アーム15の高角度側に支持固定するとよい。また、X線遮蔽部材17と試料40との距離や、検出方向とのなす角は、X線遮蔽部材17をX線源アーム13に支持固定した場合と同様に調整するとよい。
この場合、検出器アーム15の旋回とともに、X線遮蔽部材17が、回折X線とのなす角を一定に維持した状態で旋回することができる。このため、X線遮蔽部材17により検出器16への散乱X線の取り込みを抑制することができる。しかも、X線遮蔽部材17と検出器16との位置関係を維持できるので、検出器16を低角度から高角度の範囲まで旋回させても、X線遮蔽部材17が検出器16での検出を阻害することがない。これにより、低角度から高角度の幅広い範囲にわたって精度の高い回折パターンを得ることができる。
次に、本発明に係る実施例を説明する。これらの実施例は本発明の一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(実施例1)
まず、図1に示す構造を備えるX線回折装置を準備した。具体的には、Bruker株式会社製の粉末X線回折装置(D8 DISCOVER Vario-1)を準備した。X線源としては、Cu管球を用いた。また、X線遮蔽部材として、縦10cm×横5cmの板状のスリットを用いた。この遮蔽スリットを、支持部材を介して、X線源アームに取り付け、遮蔽スリットの先端から試料までの距離が5mm、遮蔽スリットとX線の照射方向とのなす角が15°となるように、遮蔽スリットを支持固定した。
次に、上述した装置を用いて粉末試料のX線回折測定を行った。具体的には、粉末試料としてSi粉末を、ガラスキャピラリとしてリンデマンガラスのキャピラリをそれぞれ準備した。このキャピラリにSi粉末を充填した後、試料ステージに載置した。そして、X線の出力を1.6kWで試料に対してX線を照射して、回折X線を検出した。本実施例では、回折角の測定範囲を10°~120°として、1回の操作によりX線回折測定を行い、粉末試料の回折パターンを取得した。得られた回折パターンを図4に示す。
図4に示すように、実施例1で得られた回折パターンは、回折ピークの強度の減衰が確認されず、また、バックグラウンド強度の上昇による回折ピークの埋没も確認されなかった。つまり、試料に由来する精度の高い回折パターンが得られた。
(比較例1)
比較例1では、図5に示すように、遮蔽スリットを固定ホルダ(スリットホルダ)を介して試料ステージに固定して取り付けた以外は、実施例1と同様にX線回折測定を行った。
比較例1では、回折角が70°~80°付近までは回折X線を検出できたが、それよりも大きな回折角の範囲では、遮蔽スリットが試料と検出器との間に位置することで、回折X線が遮蔽されてしまった。そのため、図6に示すように、回折角が80°よりも大きな範囲では、回折ピークを検出できず、Rietveld解析に適した回折パターンが得られないことが確認された。
(比較例2)
比較例2では、遮蔽スリットをX線回折装置に配置しない以外は、実施例1と同様にX線回折測定を行った。
比較例2では、図7に示すように、特に、回折角の測定範囲が低角度の範囲において、バックグラウンドの強度が上昇することが確認された。これは、測定中に、散乱X線が検出器に取り込まれたため、と考えられる。このような回折パターンでは、バックグラウンドの強度が高く、その精度が低いため、回折ピークを適切に判断できず、粉末試料の解析を適切にできないことが考えられる。
以上のように、X線遮蔽部材を、試料に対して所定の距離をおいて近接させるとともに、照射方向または検出方向に対して所定の角度で傾斜するように、X線源アームまたは検出器アームに支持固定することにより、回折角の測定範囲を広げて連続してX線回折測定を行うことができる。この結果、高い精度の回折パターンを得ることができる。
1 X線回折装置
11 ゴニオメータ部
12 試料ステージ
13 X線源アーム
14 X線源
15 検出器アーム
16 検出器
17 X線遮蔽部材
20 装着ユニット
21 調整用アーム
22 関節部
30 平行ビーム方式の光学系
40 試料
41 キャピラリ
50 固定ホルダ

Claims (8)

  1. 粉末試料を充填する管状の試料容器を挿入固定するように構成される試料ステージと、
    前記試料ステージの周囲に設けられ、前記試料ステージに挿入固定された前記管状の試料容器に充填される前記粉末試料に対してX線を照射するX線源が取り付けられたX線源アームと、
    前記試料ステージの周囲に設けられ、前記粉末試料から反射または透過する回折X線を検出する検出器が取り付けられた検出器アームと、
    前記X線源アームに支持固定され、前記X線の散乱による散乱X線を遮蔽するX線遮蔽部材と、を備え、
    前記X線遮蔽部材は、前記管状の試料容器との間に、前記X線が通過できる距離をおいて配置され、かつ、前記X線源の照射方向とのなす角が一定となるように傾斜して支持固定されており、前記試料ステージから独立して設けられている、
    X線回折装置。
  2. 前記X線遮蔽部材は、前記X線源アームの、前記回折X線の回折角を測定するときの高角度側に支持固定される、
    請求項1に記載のX線回折装置。
  3. 前記X線源の照射方向とのなす角が5°以上25°以下である、
    請求項1又は2に記載のX線回折装置。
  4. 前記X線源が前記試料に対して所定の角度θで固定され、前記試料ステージおよび前記検出器が前記所定の角度θに対して2θの関係を維持するように、前記試料ステージおよび前記検出器アームの動作が制御されている、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のX線回折装置。
  5. 前記X線源からの前記X線を平行X線ビームとして取り出す光学系を備える、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のX線回折装置。
  6. 前記X線遮蔽部材から前記試料までの最短距離が3mm以上7mm以下である、
    請求項1~5のいずれか1項に記載のX線回折装置。
  7. 前記X線遮蔽部材は、ニッケル、モリブデン、タングステンおよびステンレス鋼の少な
    くとも1つを含む、
    請求項1~6のいずれか1項に記載のX線回折装置。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のX線回折装置を用いて粉末試料のX線回折測定を行う測定方法であって、
    前記粉末試料を前記管状の試料容器に充填する充填工程と、
    前記粉末試料を充填した前記管状の試料容器を前記試料ステージに挿入固定する載置工程と、
    前記管状の試料容器に前記X線を照射し、前記回折X線を検出する検出工程と、を有し、
    前記検出工程では、回折角が10°以上120°以下の範囲を連続的に検出する、粉末試料のX線回折測定方法。
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