JP7206135B2 - 転がり軸受装置 - Google Patents

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この発明は、工作機械の主軸の支持に用いられる転がり軸受装置に関する。
機械および機械要素において、振動低減の為に、高い減衰性を持つ材料、例えばゴム、樹脂、制振合金等を機構に組み込む手法がある。
高い応力を受ける箇所や高温になる環境ではゴムや樹脂では耐久性が不足する為、強度と耐熱性に優れる制振合金が用いられる。制振合金は複合型(鋳鉄など)、強磁性型(Fe-Cr-Al系)、転位型(Mg系)、双晶型(Mu-Cu系)があり、いずれも高い減衰性を示す金属材料である。
自動車等の軸受周りでは、軸受から発生する振動や外部から軸受に伝搬する振動を低減する為、上記の制振合金を軸受軌道輪の外面と取付相手部の間に挟み込む技術が用いられている。
特許文献1は、自動車用のトランスミッシッョン用の軸受装置であるが、図10に示すように、円筒ころ軸受101の外輪102の外周面とハウジング103との間に制振合金製の制振部材104を介在させることが提案されている。
特許文献2は、車両用転舵装置における軸受装置であるが、玉軸受201の外輪202の両端面と
ハウジング203の軸方向を向く面との間に制振合金部材204と弾性体205とを組み合わせて配置することが提案されている。
特許第4622250号公報 特開2016-159668号公報
工作機械の主軸装置では加工精度や静粛性の向上の為に、主軸に取り付けた工具で加工物を切削する際に発生する振動低減の要望がある。また、主軸装置のコンパクト化の要望もあり、振動低減の措置を図る場合に、出来るだけシンプルで嵩張らない構成とすることが必要である。自動車用の軸受装置では、上記のように制振合金を設けることが提案されているが、工作機械の主軸装置においては、制振合金を用いる例はない。
前記従来の各特許文献1,2の技術を工作機械の主軸用軸受に適用した場合、以下の課題がある。
図10に示す特許文献1の発明は、ラジアル方向における振動の低減を目的とした構造である。しかし、工作機械ではアキシアル方向の荷重も受ける。そのためアンギュラ玉軸受が用いられることが多いが、図10の円筒ころ軸受における制振の構造をアンギュラ玉軸受に適用した場合、アキシアル方向の振動を低減することができない恐れがある。
図11に示す特許文献2では、軸受201の軌道輪のアキシアル方向に制振部材204を取り付けているが、軸受周りの構造が拡大・複雑化する。
この発明の目的は、工作機械の主軸に取り付けた工具で加工物を切削し、または前記主軸に保持された加工物を切削する際に発生するアキシアル方向の振動を低減し、工作機械の加工精度と静粛性を向上させることができ、かつコンパクトでシンプルな構成とできる転がり軸受装置を提供することである。
この発明の転がり軸受装置は、工作機械の主軸を支持する転がり軸受装置であって、
転がり軸受の外輪または内輪の端面に接して設けられるいずれかの間座を、制振合金製としたことを特徴とする。
この構成によると、転がり軸受の外輪または内輪の端面に接して設けられるいずれかの間座が制振合金製であるため、工作機械の主軸に取り付けた工具で加工物を切削し、または前記主軸に保持された加工物を切削する際に発生するアキシアル方向の振動が低減し、工作機械の加工精度と静粛性を向上させることができる。前記主軸は、重切削等では高い応力を受け、また高速切削等では切削熱や軸受の回転による発熱、駆動モータからの熱の伝達により昇温し、その応力や温度変化により、軸方向に変位が生じることで加工精度に影響を与える。このような環境下でも、間座を制振合金製とするため、ゴムや樹脂等を用いる場合と異なり、耐久性や耐熱性を満足でき、また熱伝導率が高く放熱性に優れるため、温度変化による特性の変化(主軸や軸受の熱膨張など)を小さくできる。また、間座を制振合金製とするため、振動吸収用の部材を間座とは別に設けて介在させる構成と異なり、コンパクトでシンプルな構成とできる。
この発明の転がり軸受装置において、前記制振合金製の間座が、隣合う転がり軸受の外輪間に介在する外輪間座であってもよい。
この場合に、前記隣合う転がり軸受は、アキシアル荷重を受ける転がり軸受であって、軸受の配列は背面組み合わせ、正面組み合わせ、および並列組み合わせのいずれかを含む2列以上の組み合わせとされてもよい。
隣合う転がり軸受の間には間座を設ける場合が多く、その間座を制振合金製とすることで、一般的な転がり軸受装置において、部品増の問題を生じることなく、コンパクトでシンプルな構成で制振性を向上させることができる。
また、工作機械の主軸軸受は固定側にアンギュラ玉軸受を背面組み合わせとした場合、予圧を与えて使用するが、切削加工時は主軸の先端から負荷された荷重は、主に弾性変形しやすい軸受の内輪から転動体、外輪へと伝わり、外輪間座と反負荷側の外輪間座を通じてハウジングへ伝わる。この弾性変形によって振動しやすい外輪間座を制振合金製とすることが、内輪間座を制振合金製とするよりも制振効果が大きい。
前記の隣合う転がり軸受を背面組み合わせとした場合、間座の材料に関して、前記内輪間座の線膨張係数は前記外輪間座と同程度の線膨張係数(線膨張係数の差が10%未満)、もしくはそれ以上に大きい線膨張係数が好ましい。特に内輪間座の線膨張係数が外輪間座の線膨張係数より大きい場合、内外輪の間座の熱膨張差による過大な予圧の増加を低減できる。また、内輪間座の線膨張係数が外輪間座の線膨張係数より10%以上小さい場合、内外輪の間座の熱膨張差によって予圧が過大になる恐れがある。
前記の隣合う転がり軸受を正面組み合わせとした場合、間座の材料に関して、前記外輪間座の線膨張係数は前記内輪間座と同程度の線膨張係数(線膨張係数の差が10%未満)、もしくはそれ以上に大きい線膨張係数が好ましい。特に外輪間座の線膨張係数が内輪間座の線膨張係数より大きい場合、内外輪の間座の熱膨張差による過大な予圧の増加を低減できる。また、外輪間座の線膨張係数が内輪間座の線膨張係数より10%以上小さい場合、内外輪の間座の熱膨張差によって予圧が過大になる恐れがある。
なお、内輪間座に外輪間座と同じ制振金属材料を用いてもよい。
この発明の転がり軸受装置において、前記制振合金製の間座が、前記転がり軸受の外輪とハウジングの軸方向を向く段差面との間、または前記転がり軸受の内輪と前記主軸の軸方向を向く段差面との間に介在する外輪間座であってもよい。
転がり軸受とハウジングまたは主軸の段差面との間に間座を配置することがあるが、このような間座を制振合金製とすることで、アキシアル方向の振動を低減し、工作機械の加工精度と静粛性を向上させることができ、かつコンパクトでシンプルな構成とできる。
この発明の転がり軸受装置において、前記制振合金製の間座が、軸方向の一部に他の部分よりも肉厚の薄い薄肉部を有するようにしてもよい。
間座の軸方向の一部に肉厚が薄い部分が生じる形状を施すことで、その部分が歪み易くなり、間座による振動の減衰性が向上する。
前記間座の前記制振合金は、双晶型制振合金であってもよい。双晶型制振合金は、制振性および加工性の面から、転がり軸受装置の制振に用いる制振合金として優れている。
双晶型制振合金としては、Mn-Cu系、Mn-Cu-Ni-Fe系の合金が使用できる。代表的な制振合金として、複合型、強磁性型、転位型、および双晶型があるが、複合型の代表的なものは片状黒鉛鋳鉄であり、鋳鉄は脆性の為、摩耗粉が発生し易く、異物混入の恐れがある為、不適切である。強磁性型は、軸受の動作に悪影響を及ぼす恐れがあるため、不適切である。転位型は高い応力が発生しないと振動吸収しない特性がある為、不適切である。
前記制振合金製の間座は、軸方向の一部のみ制振合金製であって、軸方向の他の部分が制振性を持たない鋼材であってもよい。
間座が複雑な形状の場合、間座の一部に制振合金を用い、残りの間座を構成する要素を高炭素クロム鋼性等とすることなどで、間座の製造が容易になる。間座が複雑な形状である例としては、間座にオイルやエアを突出するノズルを設ける場合がある。
この発明の転がり軸受装置において、前記転がり軸受は、定位置予圧または定圧予圧を行う手段によって予圧されていてもよい。
予圧が与えられている場合に、間座を制振合金製としたことによる効果が、より効果的に発揮される。
この発明の転がり軸受装置において、前記転がり軸受は、前記主軸を支持する固定側とされるフロント側軸受、および自由側とされるリア側軸受の内、前記フロント側軸受であってもよい。
工作機械の主軸装置において、工具または加工物を把持するフロント側の軸受は、加工精度の確保のために固定側とし、切削熱による主軸の熱膨張を逃がすためにリア側軸受は自由側とする構成が一般的である。このような構成の場合、固定側であるフロント側の軸受において、振動発生の問題が大きく生じる。そのため、フロント側軸受に接する間座を制振合金製とすることで、振動低減の効果が大きくなる。
この発明の転がり軸受装置において、前記隣合う転がり軸受は,アキシアル荷重を受ける転がり軸受であればよく、深溝玉軸受、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受、およびアキシアル荷重を受けることが可能な円筒ころ軸受のいずれかであってもよい。
この発明の転がり軸受装置は、工作機械の主軸を支持する転がり軸受装置であって、転がり軸受の外輪または内輪の端面に接して設けられるいずれかの間座を、制振合金製としたため、工作機械の主軸に取り付けた工具で加工物を切削し、または前記主軸に保持された加工物を切削する際に発生するアキシアル方向の振動を低減し、工作機械の加工精度と静粛性を向上させることができ、かつコンパクトでシンプルな構成とできる。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受装置の部分断面図である。 同転がり軸受装置の作用説明図である。 この発明の第2の実施形態に係る転がり軸受装置の部分断面図である。 この発明の第3の実施形態に係る転がり軸受装置の部分断面図である。 この発明に係る転がり軸受装置を適用した工作機械の主軸装置の第1の例の断面図である。 同工作機械の主軸装置の第2の例の断面図である。 同工作機械の主軸装置の第3の例の断面図である。 同工作機械の主軸装置の第4の例の断面図である。 この発明の第4の実施形態に係る転がり軸受装置の部分断面図である。 従来例の断面図である。 他の従来例の断面図である。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受装置を、構成する軸受配列にアンギュラ玉軸受の背面組み合わせを有する場合を例として、図1および図2と共に説明する。これら図1,2において、紙面の左側が、主軸に工具または加工物を把持するフロント側である。
図1において、この転がり軸受装置1は、工作機械の主軸2を支持する一対の転がり軸受3,3が、ハウジング4と主軸2との間に設置されている。これら転がり軸受3,3は、アンギュラ玉軸受であり、背面組み合わせとされている。各転がり軸受3は、内輪5と外輪6と、これら内外輪5,6の軌道面間に介在した複数の転動体7と、これら複数の転動体7を保持する保持器8とで構成される。これら一対の転がり軸受1,1の内輪5,5間、および外輪6,6に内輪間座9および外輪間座10が介在する。
両転がり軸受3,3の外輪6,6の互いに反対側の端面は、ハウジング4に形成された軸方向を向く段差面4a,4bにそれぞれ係合している。両転がり軸受3,3の内輪5,5の互いに反対側の端面は、主軸2に直接に形成された段差面2aと、主軸2の外周に嵌合する軸受列外部の内輪間座11で構成される段差面2Aとにそれぞれ係合している。軸受列外部の内輪間座11は、主軸2の外周に形成された雄ねじ部2c(図2参照)に螺合するナット部材12によって、転がり軸受3側に押し付けられている。これにより、転がり軸受3に定位置予圧で予圧が与えられる。前記段差面2a、4a、ナット部材12などで、予圧付与手段が構成される。
前記外輪間座10は、その全体が制振合金製とされている。この制振合金には、双晶型制振合金、例えばMn-Cu系、またはMn-Cu-Ni-Fe系の合金が用いられている。内輪間座9は、外輪間座10に対して同程度の線膨張係数(線膨張係数の差が10%未満)、もしくはそれ以上に大きい線膨張係数の金属材料である。例えば、内輪間座9は、外輪間座10の線膨張係数に対して10%未満となるようなアルミ合金等が用いられる。
上記構成の作用を説明する。アキシアル荷重は、図2に矢印a,bで示すように主軸1の左側の段差面2aから、左側の転がり軸受1の内輪5、転動体7、外輪6、外輪間座10、右側の転がり軸受3の外輪6を介して、主にハウジングを伝わる経路で伝達し、その一部が転動体7、内輪5、軸受列外部の内輪間座11、ナット部材12を介して、主軸2に伝わる経路で伝達される。
この構成の転がり軸受装置によると、外輪間座10が制振合金製とされているため、工作機械の主軸2に取り付けた工具で加工物を切削する際に発生するアキシアル方向の振動が低減し、工作機械の加工精度と静粛性が向上する。旋盤等のように、主軸2に工具ではなく加工物を保持する場合も同様である。主軸2は、重切削等では高い応力を受け、また高速切削等では切削熱や軸受の回転による発熱、駆動モータからの熱の伝達により昇温し、その応力や温度変化により、軸方向に変位が生じることで加工精度に影響を与える。このような環境下でも、外輪間座10は制振合金製とするため、ゴムや樹脂等を用いる場合と異なり、耐久性や耐熱性を満足でき、また熱伝導率が高く放熱性に優れるため、温度変化による特性の変化(主軸や軸受の熱膨張など)を小さくできる。また、外輪間座10を制振合金製とするため、振動吸収用の部材を間座とは別に介在させる構成と異なり、コンパクトでシンプルな構成とできる。
一対の転がり軸受3,3が背面組み合わせのアンギュラ玉軸受であって、予圧を与える場合、図2に示したように荷重が伝達され、外輪間座10に大きなアキシアル荷重が作用するが、外輪間座10を制振合金製とされているため、上記の作用が効果的に得られる。
内輪間座9の材料が外輪間座10の材料の線膨張係数より10%以上小さい場合、内外の間座9,10の熱膨張差によって予圧が過大になる恐れがある。このため、内輪間座9は外輪間座10の材料に対して同程度の線膨張係数(線膨張係数の差が10%未満)、もしくはそれ以上に大きい線膨張係数の金属材料を使用している。これにより、上記の予圧過大の恐れが解消される。内輪間座9に外輪間座10と同じ制振合金材料を用いてもよい。
前記制振合金としては、上記のように双晶型制振合金が好ましい。双晶型制振合金は、制振性および加工性の面から、転がり軸受装置の制振に用いる制振合金として優れている。
代表的な制振合金として、複合型、強磁性型、転位型、および双晶型があるが、複合型の代表的なものは片状黒鉛鋳鉄であり、鋳鉄は脆性の為、摩耗粉が発生し易く、異物混入の恐れがある為、不適切である。強磁性型は、軸受の動作に悪影響を及ぼす恐れがあるため、不適切である。転位型は高い応力が発生しないと振動吸収しない特性がある為、不適切である。
図3は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態において、特に説明する事項を除き、第1の実施形態と同様である。この実施形態では、内輪間座9および外輪間座10が、軸方向の一部に他の部分よりも肉厚の薄い薄肉部9a,10aを持つ形状とされている。具体的には、内輪間座9の内周面における軸方向の中央、および外輪間座10の外周面における軸方向の中央に環状溝をそれぞれ設け、その溝底部分を前記薄肉部9a,10aとしている。
このように内輪間座9および外輪間座10に薄肉部9a,10aが設けられていると、これら内輪間座9および外輪間座10におけるアキシアル方向の振動の減衰性が高められる。
図4は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態において、特に説明する事項を除き、第1の実施形態と同様である。この実施形態では、制振合金製の間座である外輪間座10は、軸方向の一部のみ制振合金製とされ、軸方向の他の部分が制振性を持たない鋼材とされている。具体的には、中央の1個の中央間座部材10Aと、両側の端部間座部材10Bとで構成され、中央間座部材10Aが前記制振合金製とされ、両側の端部間座部材10Bは制振性を持たない鋼材、例えば高炭素クロム鋼とされている。
端部間座部材10Bは、転がり軸受3の内輪5の傾斜した外周面部分に隙間を介して被さる鍔部21と、この鍔部21の内面に開口する潤滑油吐出用のノズル22と、間座外周面からノズル22に連通する給油穴23とを有し、前記給油穴23が形成された本体部材10Baと、前記鍔部21を構成する鍔部材10Baとにさらに分割して構成されている。前記給油穴23は、ハウジング4内に設けられた給油経路を介して給油源(いずれも図示せず)に接続されている。
外輪間座10がこのような複雑な形状の場合、上記のように制振合金製の部分(中央間座部材10A)と他の金属製の部分(端部間座部材10B)とで構成し、他の部分に加工性の良い材料、例えば前記高炭素クロム鋼等を用いることで、製造性を確保しなから、制振合金製の間座とすることができる。
図5は、図1の実施形態に係る転がり軸受装置を適用した工作機械の主軸装置の一例を示す。この主軸装置は、ビルトインモータ型であり、主軸2がフロント側の転がり軸受装置31とリア側の軸受装置32とで支持され、両軸受装置31,32の間にモータ33が組み込まれている。主軸2は、工具または加工物を把持するチャック(図示せず)が設けられた主軸頭2Aをフロント側端に有している。リア側の軸受装置32は、この例では一つの円筒ころ軸受からなるが、軸受個数および種類は問わない。モータ33は、ハウジング4の主軸走行空間の内周に設けられたステータ34と、主軸2の外周に設けられたロータ35とでなる。モータ33の周囲に位置して、ハウジング4に冷却液流路36が設けられている。
フロント側の転がり軸受装置31は、固定側であり、アンギュラ玉軸受からなる転がり軸受3が背面組み合わせで2個設けられ、図1の実施形態の転がり軸受装置とされている。ハウジング4は、ハウジング本体4Aとこのハウジング本体4Aにボルトで取付けられた押さえ部材4Bとに分割され、押さえ部材4Bの内側の側面で、転がり軸受3の外輪6の端面に接する上記段差面4aが構成されている。
このような構成の転がり軸受装置に前記実施形態の転がり軸受装置31が適用されることで、この転がり軸受装置31の前記アキシアル方向の振動低減等の各効果が、効果的に発揮される。
図6は、主軸装置の他の例を示す。この主軸装置は、フロント側の転がり軸受装置34が、図1に示した転がり軸受装置に対して、フロント側に軸受列外の内輪間座41と外輪間座42を追加した構成とされている。この軸受列外の内輪間座41は、主軸2の前記段差面2aと転がり軸受3の内輪5の端面との間に介在し、軸受列外の外輪間座41は、ハウジング4の前記押さえ部材4Bの側面からなる段差面2aと転がり軸受3の外輪6の端面との間に介在している。前記フロント側の軸受列外の外輪間座42、または外輪間座42と内輪間座41の両方が、前記制振合金製とされている。その他の構成は、図5に示す主軸装置と同様である。
この構成の場合、前記フロント側の軸受列外の外輪間座42、または外輪間座42と内輪間座41の両方が、前記制振合金製とすることで、さらに制振効果が高められている。
なお、隣合う転がり軸受3,3間の内輪間座9および外輪間座10のいずれも制振性を持たない鋼材とし、軸受列外の外輪間座42、または内輪間座41、またはその両方を制振合金製としてもよい。
図7は、工作機械の主軸装置のさらに他の例を示す。この例は、図5と共に説明した工作機械の主軸装置において、フロント側の軸受装置31を構成する2つの転がり軸受3,3のうちのモータ33側の転がり軸受3の外輪6と、ハウジング4の段差面4bとの間隔が広くとられ、この間に軸受列外の外輪間座44が設けられている。この外輪間座44に制振合金が用いられている。両転がり軸受3,3は図5の例と同様にアンギュラ玉軸受の背面組み合わせとされている。これら転がり軸受3,3間の内輪間座9および外輪間座10は、図1の例と同様に制振合金製としても、また制振性を有しない金属製としてもよい。このように構成した場合も、制振性が向上する。
図8は、工作機械の主軸装置のさらに他の例を示す。この例は、図5と共に説明した工作機械の主軸装置において、フロント側の転がり軸受装置31Aを4列としている。各転がり軸受3はアンギュラ玉軸受であり、中央2個の転がり軸受3,3の組からなる軸受装置31の部分が、背面組み合わせとされている。端側の転がり軸受3は、隣合う中央側の転がり軸受と同じ向きとされている。
前記中央2個の転がり軸受3,3間の内輪間座9および外輪間座10のいずれか片方または両方が、前記制振合金製とされている。中央側の転がり軸受3と端側の転がり軸受3との間に配置される内輪間座9Aおよび外輪間座10Aについても、その片方または両方が制振合金製とされている。
このように構成された場合も、制振性が向上する。
図9は、定圧予圧方式に適用した転がり軸受装置の実施形態を示す。この転がり軸受装置1は、工作機械の主軸2を支持する一対の転がり軸受3,3が、ハウジング4と主軸2との間に設置され、定圧予圧機構51が設けられている。両転がり軸受3,3は、アンギュラ玉軸受であり、背面組み合わせとされている。各転がり軸受3は、内輪5と外輪6と、これら内外輪5,6の軌道面間に介在した複数の転動体7と、これら複数の転動体7を保持する保持器8とで構成される。
定圧予圧機構51は、一対のリング部材52,53の間にコイルばねからなる複数のばね部材54を円周方向の複数個所に設けた構成とされている。各ばね部材54の外周にはスリーブ55が設けられている。片方のリング部材52は、ハウジング4の内周面に設けられた軸法方向を向く段差面4cに係合し、もう片方のリング部材53は図の右側(反主軸頭側の転がり軸受3の外輪6の端面に接している。転がり軸受3の内輪5は、主軸2の雄ねじ部2cに螺合するナット12により、軸受列外部の内輪間座11を介して押し付けられ、転がり軸受3に予圧を与えている。
他方(主軸頭側)の転がり軸受3については、外輪6の軸受装置中央側の端面と、ハウジング4に設けられた段差面4eとの間に外輪間座45が設けられている。内輪9は、主軸2に設けられた段差面2f,2gに両側の端面が接している。前記外輪間座45は、前記制振合金製とされている。
このように定圧予圧方式で予圧が与えられている場合であっても、外輪間座45を制振合金製としたことによる前記振動低減等の効果が、効果的に発揮される。
なお、以上の各実施形態において、特に説明した事項の他は、第1の実施形態と同様である。
また、前記各実施形態は、隣合う転がり軸受3を背面組み合わせとしたが、正面組み合わせ、および並列組み合わせのいずれかを含む2列以上の組み合わせとされてもよい。
隣合う転がり軸受3,3を正面組み合わせとした場合、間座の材料に関して、外輪間座10の線膨張係数は内輪間座9と同程度の線膨張係数(線膨張係数の差が10%未満)、もしくはそれ以上に大きい線膨張係数が好ましい。特に外輪間座10の線膨張係数が内輪間座9の線膨張係数より大きい場合、内外輪の間座9,10の熱膨張差による過大な予圧の増加を低減できる。また、外輪間座10の線膨張係数が内輪間座9の線膨張係数より10%以上小さい場合、内外輪の間座9,10の熱膨張差によって予圧が過大になる恐れがある。
前記隣合う転がり軸受3,3の種類については、アキシアル荷重を受けることができる転がり軸受であればよく、深溝玉軸受、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受、およびアキシアル荷重を受けることが可能な円筒ころ軸受等のいずれかであってもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…転がり軸受装置
2…主軸
3…転がり軸受
4…ハウジング
5…内輪
6…外輪
9…内輪間座
10…外輪間座
12…ナット部材(予圧を与える手段)
51…定圧予圧機構

Claims (9)

  1. 工作機械の主軸を支持する転がり軸受装置であって、
    転がり軸受の外輪または内輪の端面に接して設けられるいずれかの間座制振合金製であり、
    前記制振合金製の間座が、隣合う転がり軸受の内輪間に介在する内輪間座および隣合う転がり軸受の外輪間に介在する外輪間座であって、
    前記内輪間座および前記外輪間座における軸方向の一部に環状溝を設けてアキシアル方向の振動の減衰性を高めた転がり軸受装置。
  2. 請求項に記載の転がり軸受装置において、前記隣合う転がり軸受は、アンギュラ玉軸受であって、背面組み合わせ、正面組み合わせ、および並列組み合わせのいずれかを含む2列以上の組み合わせとされた転がり軸受装置。
  3. 請求項2に記載の転がり軸受装置において、前記隣合う転がり軸受が背面組み合わせであって、前記内輪間座の線膨張係数が、前記外輪間座と同程度の線膨張係数、もしくはそれ以上に大きい線膨張係数である転がり軸受装置。
  4. 請求項2に記載の転がり軸受装置において、前記隣合う転がり軸受が正面組み合わせであって、前記外輪間座の線膨張係数が、前記内輪間座と同程度の線膨張係数、もしくはそれ以上に大きい線膨張係数である転がり軸受装置。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転がり軸受装置において、前記制振合金が双晶型制振合金である転がり軸受装置。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転がり軸受装置において、前記制振合金製の間座は、軸方向の一部のみ制振合金製であって、軸方向の他の部分が制振性を持たない鋼材である転がり軸受装置。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転がり軸受装置において、前記転がり軸受は、定位置予圧または定圧予圧を行う手段によって予圧されている転がり軸受装置。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転がり軸受装置において、前記転がり軸受は、前記主軸を支持する固定側とされるフロント側軸受、および自由側とされるリア側軸受の内、前記フロント側軸受である転がり軸受装置。
  9. 請求項1に記載の転がり軸受装置において、前記隣合う転がり軸受はアキシアル荷重を受ける転がり軸受であって、深溝玉軸受、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受、およびアキシアル荷重を受けることが可能な円筒ころ軸受のいずれかとされる転がり軸受装置。
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