以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システム100の構成を示している。本実施形態に係る燃料電池システム100は、例えば、車両等の移動体用の電源、又は定置用の電源として用いることができる。
図示のように、燃料電池システム100は、主として、燃料電池スタック10と、排気燃焼器12と、原料処理器14と、第1インジェクタ16と、第2インジェクタ18と、空気熱交換器20と、コントローラ80と、を備えている。
燃料電池スタック10は、複数の燃料電池または燃料電池単位セルを積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は、例えば、固体酸化物型燃料電池(SOFF:Solid Oxide Fuel Cell)である。燃料電池スタック10を構成する各セルは、還元剤ガスとしての改質燃料(アノードガス)及び酸化剤ガスとしての空気(カソードガス)を電気化学反応させて発電を行う。
特に、本実施形態の燃料電池スタック10には、原料処理器14から主燃料供給通路22を介して還元剤ガスとしての改質燃料が供給される。また、燃料電池スタック10には、発電のための、エアブロア300から空気供給通路34を介して酸化剤ガスとして空気が供給される。すなわち、燃料電池スタック10のアノード極(燃料極)の入口には主燃料供給通路22が接続されている。また、燃料電池スタック10のカソード極(空気極)の入口には空気供給通路34が接続されている。
さらに、燃料電池スタック10のアノード極の出口には、発電反応によってアノード極内に発生するオフガス(アノードオフガス)を排出するためのアノードオフガス通路26が接続されている。また、燃料電池スタック10のカソード極の出口には、発電反応によってカソード内に発生するオフガス(カソードオフガス)を排出するためのカソードオフガス通路28が接続されている。そして、このアノードオフガス通路26及びカソードオフガス通路28は、共に、排気燃焼器12に接続されている。
排気燃焼器12は、副燃料供給通路30を介して燃料タンク200から供給される原燃料(例えば、エタノール混合水)と、アノードオフガス通路26及びカソードオフガス通路28を介して供給されるオフガスと、の混合物を燃焼させて燃焼排ガスを生成する。
より詳細には、排気燃焼器12は、この混合物を図示しない燃焼用触媒によって触媒燃焼させて燃焼排ガスを生成する。なお、例えば、後述する燃料電池スタック10の第2暖機モード中又は通常発電運転中においては、副燃料供給通路30を介した排気燃焼器12への原燃料の供給を遮断して、オフガス(アノードオフガス及びカソードオフガスの混合物)のみを燃焼させて燃焼排ガスを生成することも可能である。
また、排気燃焼器12には、生成した燃焼排ガスを排出する燃焼排ガス通路32が接続されている。そして、この燃焼排ガス通路32は、原料処理器14に繋がる第1排ガス分流路32aと、空気熱交換器20に繋がる第2排ガス分流路32bと、により構成されている。すなわち、本実施形態の燃料電池システム100には、いわゆるパラレル排気システムが採用されている。
より詳細には、燃焼排ガス通路32は、排気燃焼器12の下流位置の合流部J1において第1排ガス分流路32a及び第2排ガス分流路32bに分岐する構成をとっている。
第1排ガス分流路32aは、合流部J1から空気熱交換器20を通過して、合流部J2において第2排ガス分流路32bと合流しつつ排気系400に連通するように構成されている。一方、第2排ガス分流路32bは、合流部J1から原料処理器14を通過して、合流部J2において第1排ガス分流路32aと合流しつつ排気系400に連通するように構成されている。
また、本実施形態の燃料電池システム100では、第2排ガス分流路32bにおける空気熱交換器20と合流部J2の間の位置に、排ガス流量調節装置としての排気バルブ36が設けられている。
排気バルブ36は、第2排ガス分流路32bを流れる燃焼排ガスの流量(以下、「第2燃焼排ガス流量Qex_2」とも記載する)の調節が可能となるように、連続的又は段階的に開度調整可能に構成されている。
特に、本実施形態の燃焼排ガス通路32は第1排ガス分流路32a及び第2排ガス分流路32bに分流している構成であるため、排気バルブ36の開度(以下、「排気バルブ開度Oev」とも記載する)を操作することで第1排ガス分流路32aにおける燃焼排ガス流量「以下、「第1燃焼排ガス流量Qex_1」とも記載する」、及び第2燃焼排ガス流量Qex_2を一体として調節することができる。
すなわち、排気バルブ開度Oevを大きくすると、第1燃焼排ガス流量Qex_1が減少しつつ、第2燃焼排ガス流量Qex_2が増加する。逆に、排気バルブ開度Oevを小さくすると、第1燃焼排ガス流量Qex_1が増加しつつ、第2燃焼排ガス流量Qex_2が減少する。
なお、以下では、第2燃焼排ガス流量Qex_2に対する第1燃焼排ガス流量Qex_1の比の値(すなわち、「Qex_1/Qex_2」)を「分流比γ1/2」と定義する。
したがって、本実施形態の燃料電池システム100では、排気バルブ開度Oevを適宜調節することで、原料処理器14と空気熱交換器20に対する加熱量のバランスを調節することができる。
原料処理器14は、主燃料供給通路22を介して燃料タンク200から供給される原燃料を燃料電池スタック10による発電が可能となるように処理する装置である。より詳細には、原料処理器14は、主燃料供給通路22における上流から順に、蒸発器14aと、過加熱器14bと、改質器14cと、を有している。なお、原料処理器14は、ガス処理装置(gas processing unit)とも呼ばれる。
蒸発器14aは、主燃料供給通路22を介して燃料タンク200から送られてくる原燃料を、第1排ガス分流路32aを介して過加熱器14bから送られてくる燃焼排ガスの熱で加熱して気化する熱交換器である。すなわち、蒸発器14aは、原燃料を改質器14cによる改質反応に適した気化燃料とする熱交換器である。
過加熱器14bは、蒸発器14aからの気化燃料を、第1排ガス分流路32aを介して改質器14cから送られてくる燃焼排ガスとの熱交換で加熱する熱交換器である。すなわち、過加熱器14bは、より確実なガス状態の燃料を改質器14cに供給する観点から設けられる補助的な加熱装置である。
改質器14cは、主燃料供給通路22を介して過加熱器14bからの燃料ガスを図示しない改質用触媒によって改質反応させ、燃料電池スタック10における発電に適した改質燃料を生成する装置である。特に、改質器14cの内部には、過加熱器14bからの燃料ガスを排気燃焼器12からの燃焼排ガスの熱で加熱する熱交換路と、過加熱器14bからの燃料ガスを触媒反応させる改質用触媒が担持された改質反応路と、が構成されている。
空気熱交換器20は、燃焼排ガスの熱で燃料電池スタック10に供給される空気を加熱する装置である。より詳細には、空気熱交換器20は、空気供給通路34におけるエアブロア300の下流且つ燃料電池スタック10の上流の位置に配置されている。そして、本実施形態の空気熱交換器20は、上述のように第2排ガス分流路32bが接続されている。すなわち、空気熱交換器20は、エアブロア300から空気供給通路34を介して燃料電池スタック10に圧送される空気を、排気燃焼器12からの燃焼排ガスとの熱交換により加熱する熱交換器として構成される。
さらに、本実施形態では、原料処理器14に供給する原燃料の流量(以下、単に「主燃料流量F1」とも記載する)を調節する第1インジェクタ16が、主燃料供給通路22における原料処理器14の上流に配置されている。
さらに、排気燃焼器12に直接供給する原燃料の流量(以下、単に「副供給燃料流量F2」とも記載する)を調節する第2インジェクタ18が、副燃料供給通路30における排気燃焼器12の上流に配置されている。
コントローラ80は、燃料電池システム100の運転に要する各種装置ないし部品の動作を制御する。特に、本実施形態において、コントローラ80は、空気極入口温度センサ101、空気極出口温度センサ102、及び燃焼排ガス温度センサ103における検出値の信号を受信し、これら信号に基づいて第1インジェクタ16、第2インジェクタ18、排気バルブ36、及びエアブロア300を操作する制御装置である。
より詳細に、コントローラ80は、後述する暖機運転において各部品の暖機の進行に応じて要求される熱量、及び燃料電池スタック10に対する要求発電電力などに基づいて目標空気流量(エアブロア300の目標出力)を設定する。さらに、コントローラ80は、この目標空気流量に基づいて主燃料流量F1及び副供給燃料流量F2を定め、これを実現するように第1インジェクタ16及び第2インジェクタ18の開度を操作する。
コントローラ80は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータ、特にマイクロコンピュータで構成される。そして、コントローラ80は、本実施形態に係る各処理を実行可能となるようにプログラムされている。
なお、コントローラ80を一つの装置(ハードウェア)により実現しても良い。一方で、コントローラ80を、本実施形態で説明する各処理を分散処理するようにプログラムされた複数の装置(ハードウェア)により実現しても良い。
ここで、空気極入口温度センサ101は、空気供給通路34における空気熱交換器20の下流且つ燃料電池スタック10の上流の位置に設けられ、当該位置における空気の温度を検出するセンサである。また、空気極出口温度センサ102は、カソードオフガス通路28における燃料電池スタック10の下流且つ排気燃焼器12の上流の位置に設けられ、当該位置におけるガスの温度を検出するセンサである。
さらに、燃焼排ガス温度センサ103は、第1排ガス分流路32aにおける原料処理器14の下流且つ合流部J2の上流の位置に設けられ、当該位置における燃焼排ガスの温度を検出するセンサである。
そして、本実施形態において、コントローラ80は、燃料電池システム100の外部からシステム起動要求信号を検出すると、システム起動時の処理として、排気燃焼器12の暖機、燃料電池スタック10の暖機、及び原料処理器14の暖機を並行して行う暖機運転モードを実行する。
ここで、本実施形態における排気燃焼器12の暖機とは、システム起動時の初期段階において、排気燃焼器12の温度(以下、「燃焼器温度Tc」とも記載する)を、排気燃焼器12の燃焼触媒による触媒反応が実行可能となる温度として予め設定された目標温度(以下、「目標燃焼器暖機温度Tc_t」とも記載する)まで昇温させる処理である。本処理において、コントローラ80は、排気燃焼器12に設けられる図示しないヒータ等の加熱装置を用い排気燃焼器12の暖機を行う。
なお、本実施形態では、コントローラ80は、空気極入口温度センサ101の検出値、空気極出口温度センサ102の検出値、燃焼排ガス温度センサ103の検出値、又はこれらの検出値の2以上の組み合わせから燃焼器温度Tcを求めることができる。一方、燃焼排ガス通路32における排気燃焼器12の下流且つ合流部J1の上流に温度センサを配置し、当該温度センサの検出値を燃焼器温度Tcとして取得しても良い。
また、燃料電池スタック10の暖機とは、燃料電池スタック10の温度(以下、「スタック温度Ts」とも記載する)を、所望の目標暖機温度まで昇温させる処理である。なお、本実施形態では、コントローラ80は、空気極入口温度センサ101及び空気極出口温度センサ102の各検出値の平均値をスタック温度Tsとして取得する。一方で、これらの各検出値の内の大きい方若しくは小さい方などの何れか一方の値をスタック温度Tsとして取得しても良い。
特に、本実施形態では、コントローラ80は、燃料電池スタック10の暖機を第1暖機モードと第2暖機モードの2つのフェーズに分けて実行する。
第1暖機モードにおいてコントローラ80は、アノード極触媒(主にニッケル)の酸化劣化が生じ得る温度である酸化劣化温度Td(例えば400℃~500℃の間の温度)よりも低い第1スタック目標暖機温度Ts_t1を、目標暖機温度として設定する。
一方、第2暖機モードにおいてコントローラ80は、発電を好適に実行する観点から定まる第2スタック目標暖機温度Ts_t2(例えば、800℃~900℃)を、目標暖機温度として設定する。
さらに、原料処理器14の暖機とは、原料処理器14の温度(以下、「原料処理器温度Tp」とも記載する)を所望の目標暖機温度(以下、「目標原料処理器温度Tp_t」とも記載する)まで昇温させる処理である。ここで、目標原料処理器温度Tp_tは、原料処理器14による原燃料に対する処理を好適に実行する観点から定まる値に設定される。なお、本実施形態では、コントローラ80は、燃焼排ガス温度センサ103の検出値を原料処理器温度Tpとして取得する。
以下では、本実施形態の暖機運転モードについてより詳細に説明する。
図2は、本実施形態の燃料電池システム100における暖機運転モードを説明するフローチャートである。
図示のように、ステップS100において、コントローラ80は、排気バルブ開度Oevを初期排気バルブ開度Oev_0に設定する。ここで、初期排気バルブ開度Oev_0は、燃料電池システム100の設計に応じて適宜設定することができる。
ステップS110において、コントローラ80は、エアブロア300を起動させて燃料電池スタック10への空気の供給を開始する。
ステップS120において、コントローラ80は、スタック温度Tsが第2スタック目標暖機温度Ts_t2以上であるか否かを判定する。すなわち、これは、燃料電池スタック10の暖機が必要であるか否かの判定に相当する。
この判定の結果が肯定的である場合には、コントローラ80は、本暖機運転モードを終了する。一方、この判定の結果が否定的である場合には、コントローラ80はステップS130の処理に移行する。
ステップS130において、コントローラ80は、燃焼器温度Tcが目標燃焼器暖機温度Tc_t以上であるか否かを判定する。すなわち、これは、排気燃焼器12の暖機が必要であるか否かの判定に相当する。
この判定の結果が否定的である場合、コントローラ80はステップS140の処理に移行する。
ステップS140において、コントローラ80は、排気燃焼器12の暖機を実行する。コントローラ80は、燃焼器温度Tcが目標燃焼器暖機温度Tc_tに到達させるように、上述した図示しないヒータ等の加熱装置を操作して排気燃焼器12が加熱する。
一方、上記ステップS130における判定が肯定的である場合、コントローラ80はステップS150の処理に移行する。
ステップS150において、コントローラ80は、排気燃焼器12への燃料供給を開始する。すなわち、コントローラ80は、第2インジェクタ18を開放する。
ステップS160において、コントローラ80は、スタック温度Tsが第1スタック目標暖機温度Ts_t1以上であるか否かを判定する。これは、まもなくスタック温度Tsが酸化劣化温度Tdに到達するであろうと判断できる程度に、燃料電池スタック10の暖機度合が進行している否かの判定に相当する。
この判定の結果が否定的である場合、コントローラ80はステップS170の処理に移行する。
ステップS170において、コントローラ80は第1暖機モードを実行する。
具体的に、コントローラ80は、排気バルブ開度Oevを初期排気バルブ開度Oev_0に維持した状態で、排気燃焼器12に副燃料供給通路30を介して原燃料を供給する。これにより、燃料電池スタック10及び原料処理器14は、初期排気バルブ開度Oev_0(初期の分流比γ1/2)に応じた昇温速度で並行して加熱される。なお、コントローラ80は、本第1暖機モードを、スタック温度Tsが第1スタック目標暖機温度Ts_t1に達するまで継続する。
一方、上記ステップS160における判定が肯定的である場合、コントローラ80はステップS180の処理に移行する。
ステップS180において、コントローラ80は、原料処理器温度Tpが目標原料処理器温度Tp_t以上であるか否かを判定する。これは、原料処理器14の暖機が完了しているか否かの判定に相当する。
この判定の結果が否定的である場合、コントローラ80はステップS190の処理に移行する。
ステップS190において、コントローラ80は、分流比調節モードを実行する。
具体的に、コントローラ80は、第2燃焼排ガス流量Qex_2に対する第1燃焼排ガス流量Qex_1の比の値である分流比γ1/2が増大するように、排気バルブ開度Oevを減少させる(排気バルブ36をより閉塞側に操作する)。
これにより、空気熱交換器20に供給される燃焼排ガスの流量が減少する一方で、原料処理器14に供給される燃焼排ガスの流量が増大する。すなわち、燃焼排ガスが保有する燃焼熱の燃料電池スタック10への分配量が減少し、原料処理器14への分配量が増大する。このため、燃料電池スタック10の暖機速度が低下し、原料処理器14の暖機速度が増加する。
なお、コントローラ80は、分流比調節モードを、原料処理器温度Tpが目標原料処理器温度Tp_tに達するまで継続する。さらに、原料処理器温度Tpが目標原料処理器温度Tp_tに到達すると、コントローラ80は、排気バルブ開度Oevを増加させて初期排気バルブ開度Oev_0に戻す処理を実行する。
一方、上記ステップS180における判定が肯定的である場合、コントローラ80はステップS200の処理に移行する。
ステップS200において、コントローラ80は、排気燃焼器12への燃料供給を制限する。具体的に、コントローラ80は、第2インジェクタ18の開度を減少させるか、その開度を0に設定する。
次に、ステップS210において、コントローラ80は、スタック温度Tsが第2スタック目標暖機温度Ts_t2以上であるか否かを判定する。これは、燃料電池スタック10の暖機が完了している状態か否かの判定に相当する。
この判定の結果が否定的である場合、コントローラ80はステップS220の処理に移行する。
ステップS220において、コントローラ80は、第2暖機モードを実行する。
具体的に、コントローラ80は、第1インジェクタ16を開放する。これにより、主燃料供給通路22を介した原料処理器14への原燃料の供給が開始される。したがって、原料処理器14からの改質燃料が供給されるため、燃料電池スタック10のアノード極内は還元雰囲気に維持されつつ、低効率の発電反応が進行する。一方、排気燃焼器12において、燃料電池スタック10から排出されるオフガスに残留する燃料成分が燃焼するので、当該燃焼により生じた熱により、燃料電池スタック10が加熱されてその暖機が進行する。なお、コントローラ80は、本第2暖機モードを、スタック温度Tsが第2スタック目標暖機温度Ts_t2に達するまで継続する。
一方、上記ステップS210における判定が肯定的である場合(燃料電池スタック10の暖機が完了している場合)、コントローラ80は本暖機運転モードを終了する。なお、本暖機運転モードが終了すると、コントローラ80は燃料電池システム100の通常運転モード(燃料電池スタック10の通常発電モード)を開始する。
次に、上記暖機運転モードにおける各装置の暖機の進行についてさらに詳細に説明する。
図3は、本実施形態の暖機運転モードの進行を説明するタイミングチャートである。特に、図3(a)は排気バルブ開度Oevの経時変化を示している。図3(b)はスタック温度Tsの経時変化を示している。図3(c)は第1燃焼排ガス流量Qex_1及び第2燃焼排ガス流量Qex_2の経時変化を示している。そして、図3(e)は主燃料流量F1の経時変化を示している。
なお、説明の簡略化のため、本タイミングチャートにおいては図2のフローチャートにおけるステップS150以降の処理を示す。すなわち、本タイミングチャートおける基点の時刻t0は、コントローラ80が排気燃焼器12への燃料供給を開始したタイミングに相当する。
図示のように、時刻t0~時刻t1においては、第1暖機モードが実行される(ステップS170参照)。第1暖機モードでは、排気バルブ開度Oevが初期排気バルブ開度Oev_0に固定されている。このため、この初期排気バルブ開度Oev_0に応じて定まる分流比γ1/2(図3(d)参照)に基づいて、スタック温度Ts及び原料処理器温度Tpが昇温する(図3(a)、図3(b)、及び図3(c)参照)。
次に、原料処理器温度Tpが目標原料処理器温度Tp_t未満であって、スタック温度Tsが第1スタック目標暖機温度Ts_t1以上となる時刻t1~時刻t2においては、分流比調節モードが実行される(ステップS190参照)。既に説明したように、スタック温度Tsが酸化劣化温度Tdを超えると、燃料電池スタック10内のアノード極触媒の酸化劣化反応が発生する可能性がある。このため、本実施形態では、スタック温度Tsが酸化劣化温度Tdよりも低く設定された第1スタック目標暖機温度Ts_t1に到達すると、分流比γ1/2を増加させて燃料電池スタック10の昇温速度を抑制している。
特に、分流比調節モード中は、スタック温度Tsが第1スタック目標暖機温度Ts_t1に維持されるように、排気バルブ開度Oevを減少させる(図3(a)及び図3(b)参照)。これにより、図3(d)に示すように、第2燃焼排ガス流量Qex_2が減少する一方で、第1燃焼排ガス流量Qex_1が増加する(分流比γ1/2が増加する)。このため、スタック温度Tsを酸化劣化温度Tdよりも低い第1スタック目標暖機温度Ts_t1に維持しつつ、原料処理器14に対する加熱量を増加させることができる。すなわち、燃料電池スタック10の暖機の進行が制限されつつ、原料処理器14の暖機の進行が促進される(図3(b)及び図3(c)参照)。
次に、分流比調節モード中の時刻t2において、原料処理器温度Tpが目標原料処理器温度Tp_tに達すると、副燃料供給通路30を介した排気燃焼器12への燃料供給が制限されるとともに、主燃料供給通路22を介した原料処理器14への燃料供給が開始される(ステップS200、及び図3(e)参照)。すなわち、時刻t2においては、原料処理器14の暖機が終了しているので、原料処理器14を介した燃料電池スタック10への改質燃料の供給が開始されることとなる。
そして、燃料電池スタック10への燃料供給が開始された以降は、燃料電池スタック10のアノード極内が燃料によって還元雰囲気に保たれることとなる。このため、スタック温度Tsが酸化劣化温度Tdを超えても、アノード極触媒の酸化反応の発生が抑制されることとなる。
したがって、燃料電池スタック10への燃料供給が開始される時刻t2以降においては、燃料電池スタック10の暖機速度を速めるべく、排気バルブ開度Oevを増加させてこれを初期排気バルブ開度Oev_0に戻す操作が実行される(図3(a)の時刻t2~時刻t3参照)。
なお、原料処理器14への原燃料の供給が開始された時刻t2の直後は、この低温の原燃料との熱交換によって原料処理器14の保有熱が奪われることに起因し、原料処理器温度Tpが一時的に低下する(図3(c)の時刻t2~時刻t3参照)。
そのため、排気バルブ開度Oevを初期排気バルブ開度Oev_0に戻す操作を行う際には、この原料処理器温度Tpの一時的な低下が生じても、当該原料処理器温度Tpが再び目標原料処理器温度Tp_tを下回らない程度の熱量を原料処理器14に与えられるように、排気バルブ開度Oevの増加速度(変化率)を設定することが好ましい。これにより、排気バルブ開度Oevを初期排気バルブ開度Oev_0に戻す制御において、原料処理器温度Tpが目標原料処理器温度Tp_tを一時的に下回ることで、排気バルブ開度Oevに設定される操作量が増減することが抑制される。
次に、分流比調節モードが終了する時刻t3以降は、スタック温度Tsが第2スタック目標暖機温度Ts_t2に到達するまで第2暖機モードが実行される(ステップS220)。
そして、スタック温度Tsが第2スタック目標暖機温度Ts_t2に到達する時刻t4以降は、コントローラ80は、本実施形態の暖機運転モードは終了し、通常発電モード(要求発電電力に応じた出力で燃料電池スタック10を発電させるモード)に移行する。
以上説明した本実施形態の燃料電池システム制御方法は、以下の構成を備え、それによる作用効果を奏する。
本実施形態の燃料電池システム制御方法は、燃料電池としての燃料電池スタック10及び燃料電池スタック10による発電が可能となるように原燃料を処理する原料処理器14を備えた燃料電池システム100において実行される。この燃料電池システム制御方法では、燃料電池スタック10から排出されるオフガス(カソードオフガス、アノードオフガス、又はこれらの混合ガス)と原燃料を燃焼させて得られる燃焼排ガスを燃料電池スタック10の加熱装置(特に空気熱交換器20)及び原料処理器14に分流することで、燃料電池スタック10の暖機及び原料処理器14の暖機が実行される。
そして、この燃料電池システム制御方法では、燃料電池スタック10の暖機度合及び原料処理器14の暖機度合に基づいて、分流比γ1/2を調節する。
なお、「暖機度合」という用語は、暖機が完了する状態に対する現在の暖機状態の進行の程度を意味する。
これにより、燃料電池スタック10及び原料処理器14のそれぞれの暖機の進行に応じて分流比γ1/2を定め、生成される燃焼排ガスを空気熱交換器20及び原料処理器14にそれぞれ分配することができる。すなわち、燃料電池スタック10及び原料処理器14のそれぞれの暖機の進行に応じて、燃料電池スタック10及び原料処理器14にそれぞれ供給される熱量の比率を調節して、これらの暖機進行のバランスを所望の範囲に調節することができる。
したがって、燃料電池スタック10の暖機と原料処理器14の暖機の進行度合が大きく異なることで生じ得る不具合(部品の耐熱及びアノード極触媒の酸化劣化)の発生を抑制することができる。
特に、本実施形態の燃料電池システム制御方法を実行する燃料電池システム100は、燃料電池スタック10から排出されるカソードオフガスを、燃料電池スタック10から排出されるアノードオフガス及び原燃料の少なくとも一方と反応させて燃焼排ガスを生成する排気燃焼器12と、原料処理器14を介して燃料電池スタック10に燃料を供給する第1燃料供給装置としての第1インジェクタ16と、排気燃焼器12に原燃料を供給する第2燃料供給装置としての第2インジェクタ18と、燃料電池スタック10に空気を供給する空気供給系としての空気供給通路34に設けられ上記加熱装置として機能する空気加熱器としての空気熱交換器20と、排気燃焼器12から排出される燃焼排ガスを原料処理器14に分流する第1排ガス分流路32aと、排気燃焼器12から排出される燃焼排ガスを空気熱交換器20に分流する第2排ガス分流路32bと、第2排ガス分流路32bに設けられた排ガス流量調節装置としての排気バルブ36と、を備える(図1参照)。
そして、本実施形態の燃料電池システム制御方法では、排気バルブ36を操作することで、第2排ガス分流路32bにおける燃焼排ガス流量としての第2燃焼排ガス流量Qex_2を調節することで、分流比γ1/2を設定する。
これにより、上述した空気熱交換器20及び原料処理器14への燃焼排ガスの分流を、第2排ガス分流路32bに排気バルブ36を設けるという簡易な構成で実現することができる。
また、本実施形態の燃料電池システム制御方法では、原料処理器14の暖機度合よりも燃料電池スタック10の暖機度合が大きい場合に、第2排ガス分流路32bの燃焼排ガス流量である第2燃焼排ガス流量Qex_2を減少させるように、分流比γ1/2を調節する(図3(a)及び図3(d)の時刻t1~時刻t2)。
ここで、原料処理器14の暖機度合よりも燃料電池スタック10の暖機度合が大きい場合とは、現在の原料処理器14の暖機の進行状態に対して許容される範囲(それぞれの暖機の進行度合が大きく異なることで生じ得る不具合をもたらさない範囲)を超えて、燃料電池スタック10の暖機が進行している場合を意味する。
特に、本実施形態では、原料処理器14における原燃料の処理(特に、改質器14cによる改質処理)が適切に実行できないにもかかわらず、スタック温度Tsが酸化劣化温度Tdに近づいているシーン(図3(b)の時刻t1~時刻t2)に相当する。
そして、本実施形態では、このようなシーンにおいて、分流比γ1/2を調節して第2燃焼排ガス流量Qex_2を減少させつつ、第1燃焼排ガス流量Qex_1を増加させる。これにより、燃料電池スタック10の暖機の進行を抑制しつつ、原料処理器14の暖機を促進して、燃料電池スタック10に燃料供給を開始するタイミングを早めることができる。
その結果、スタック温度Tsが酸化劣化温度Tdに到達する前に燃料電池スタック10への燃料供給を開始して、燃料電池スタック10のアノード極内をいち早く還元雰囲気に維持することができる。すなわち、燃料電池スタック10を速やかに、アノード極触媒の酸化劣化反応が発生し難い状態にすることができ、燃料電池スタック10の劣化を抑制することができる。
特に、本実施形態では、燃料電池スタック10の暖機度合をスタック温度Tsに基づいて判断し、原料処理器14の暖機度合を原料処理器温度Tpに基づいて判断する(図2のステップS160、ステップ180、及びステップS210参照)。
このため、燃料電池スタック10及び原料処理器14の暖機の進行状態を好適に把握し、それぞれの暖機の進行状態のバランスに応じた分流比γ1/2を設定することができる。
なお、燃料電池スタック10の暖機度合及び原料処理器14の暖機度合を定量的に表すパラメータを演算し、当該パラメータに基づいてそれぞれの暖機度合を判定しても良い。
例えば、燃料電池スタック10の目標暖機温度(第1スタック目標暖機温度Ts_t1)に対する現在の燃料電池の温度(スタック温度Ts)の比に所定のゲインを乗じた値、又はこれらの差に所定のゲインを乗じた値をパラメータとして用いて、燃料電池スタック10の暖機度合を判定しても良い。原料処理器14の暖機度合の判定についても同様である。
さらに、本実施形態では、スタック温度Tsが第1目標暖機温度としての第1スタック目標暖機温度Ts_t1に到達すると、原料処理器14の暖機が完了するまでスタック温度Tsを維持するか又は温度上昇を抑制するように分流比γ1/2を調節する(図3(b)及び図3(c)の時刻t1~時刻t2)。
これにより、燃料電池スタック10の暖機度合が一定の段階まで進行した場合において、当該燃料電池スタック10の暖機を実質的に中断しつつ、原料処理器14の暖機を進行させることができる。したがって、原料処理器14の暖機度合が、燃料電池スタック10の暖機度合に対して小さい場合であっても、燃料電池スタック10の暖機の進行を遅らせつつ原料処理器14の暖機を促進させて、これらの暖機度合のバランスをより好適に調節することができる。
特に、本実施形態では、第1スタック目標暖機温度Ts_t1が、燃料電池スタック10のアノード極内の酸化劣化を生じ得る酸化劣化温度Tdよりも低く設定される(図3(b)参照)。
これにより、スタック温度Tsが酸化劣化温度Tdに到達する前の段階において、燃料電池スタック10の暖機の進行を抑制しつつ原料処理器14の暖機を促進する制御モード(分流比調節モード)をより確実に実行することとなる。結果として、スタック温度Tsが酸化劣化温度Tdを超えているにもかかわらず、燃料電池スタック10への燃料供給が開始されていない状況(アノード極内の酸化劣化が生じ得る状況)の発生をより確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、燃料電池スタック10のカソード極の入口温度(空気極入口温度センサ101の検出値)又は出口温度(空気極出口温度センサ102)を、スタック温度Tsとして取得している。これにより、現在のスタック温度Tsを容易に把握することができる。
本実施形態の燃料電池システム制御方法では、さらに、原料処理器14の暖機が完了すると燃料電池スタック10への燃料供給を開始する(図3(e)の時刻t2)。また、原料処理器14の暖機が完了すると、スタック温度Tsを燃料電池スタック10の暖機を完了させるべき第2目標暖機温度(第2スタック目標暖機温度Ts_t2)に昇温させるように分流比γを調節する(図3(a)の時刻t2以降)。
これにより、原料処理器14の暖機が完了して燃料電池スタック10への燃料供給が開始された以降(アノード極触媒の酸化劣化反応が発生し難い状態となった後)も、燃料電池スタック10の暖機を進行させことができる。
特に、本実施形態では、原料処理器14の暖機が完了すると、第2燃焼排ガス流量Qex_2を増大させるべく、分流比γ1/2を初期排気バルブ開度Oev_0まで増加させる(図3(a)の時刻t2~時刻t3)。これにより、燃料電池スタック10に対する加熱量が増大するので、スタック温度Tsを速やかに第2スタック目標暖機温度Ts_t2に到達させることができる。
また、本実施形態では、下記の構成の燃料電池システム100が提供される。
この燃料電池システム100は、燃料電池としての燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10による発電が可能となるように原燃料を処理する原料処理器14と、燃料電池スタック10から排出されるカソードオフガスと、アノードオフガス及び原燃料の少なくとも一方と、を反応させて燃焼排ガスを発生させる排気燃焼器12と、原料処理器14を介して燃料電池スタック10に燃料を供給する第1燃料供給装置としての第1インジェクタ16と、排気燃焼器12に原燃料を供給する第2燃料供給装置としての第2インジェクタ18と、燃料電池スタック10に空気を供給する空気供給系としての空気供給通路34に設けられた空気加熱器としての空気熱交換器20と、排気燃焼器12から排出される燃焼排ガスを原料処理器14に分流する第1排ガス分流路32aと、排気燃焼器12から排出される燃焼排ガスを空気熱交換器20に分流する第2排ガス分流路32bと、第2排ガス分流路32bに設けられた排ガス流量調節装置としての排気バルブ36と、排気バルブ36を操作する制御装置としてのコントローラ80と、を備える。
そして、コントローラ80は、システム起動時(特に、図3における時刻t0~時刻t4)において、燃料電池スタック10の暖機度合及び原料処理器14の暖機度合に基づいて、排気バルブ36を操作する。
この構成により、本実施形態の燃料電池システム制御方法を好適に実行することができる。
また、本実施形態の燃料電池システム100において、原料処理器14は、原燃料を気化させる蒸発器14aと、蒸発器14aからの気化燃料を改質する改質器14cと、を含む。また、第1排ガス分流路32aは、上流から順に、改質器14c、及び蒸発器14aを通過して排気系400に接続するように構成される。さらに、蒸発器14aと排気系400の間の位置に燃焼排ガス温度センサ103が設けられる(図1参照)。
そして、コントローラ80は、燃焼排ガス温度センサ103の検出値(すなわち、原料処理器温度Tp)に基づいて原料処理器14の暖機度合を判定する(図2のステップS180)。
さらに、本実施形態では、燃料電池スタック10の空気極入口(より詳細には、空気供給通路34における空気極入口の近傍位置)に、空気温度センサとしての空気極入口温度センサ101が設けられている。また、燃料電池スタック10の空気極出口(より詳細には、カソードオフガス通路28における空気極出口の近傍位置)に、空気温度センサとしての空気極出口温度センサ102が設けられている。
そして、コントローラ80は、空気極入口温度センサ101の検出値及び空気極出口温度センサ102の検出値に基づいて燃料電池スタック10の暖機度合を判定する(図2のステップS180及びステップS210)。
これにより、コントローラ80は、実際のスタック温度Ts及び原料処理器温度Tpに比較的近い各温度センサの検出値を用いて、燃料電池スタック10及び原料処理器14の暖機度合を判定することができる。結果として、暖機度合に基づいて実行される排気バルブ36を操作(分流比γ1/2)に係る制御をより高精度に実行することができる。
なお、図1で示した蒸発器14aと排気系400の間の位置に設けられた燃焼排ガス温度センサ103に代えて、又はこれとともに第1排ガス分流路32aの他の位置に設けても良い。
図4A及び図4Bにおいて、燃焼排ガス温度センサ103の設置位置の変形例を示す。特に、図4Aには、第1排ガス分流路32aにおける改質器14cと過加熱器14bの間に燃焼排ガス温度センサ103を設けた例を示す。また、図4Bには、第1排ガス分流路32aにおける過加熱器14bと蒸発器14aの間に燃焼排ガス温度センサ103を設けた例を示す。このように、燃焼排ガス温度センサ103の設置位置は、燃料電池システム100の設計に応じて適宜変更が可能である。
また、本実施形態における原料処理器14は、上述した蒸発器14a及び改質器14cに加えて、第1排ガス分流路32aにおける改質器14cと蒸発器14aの間に配置されて、蒸発器14aから改質器14cへ送られる気化燃料をさらに加熱する過加熱器14bをさらに有している。これにより、燃料をより確実にガス状態として改質器14cへ供給することができる。
一方、過加熱器14bを省略しても良い。すなわち、図5に示す変形例のように、原料処理器14が、過加熱器14bを備えず、改質器14c及び蒸発器14aにより実現される構成を採用しても良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を、上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。上記実施形態に対し、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で様々な変更及び修正が可能である。
例えば、上記実施形態では、暖機運転が開始された後に、原料処理器温度Tpが目標原料処理器温度Tp_tに到達する前に、スタック温度Tsが第1スタック目標暖機温度Ts_t1に達する例について説明した。すなわち、原料処理器14の暖機度合よりも燃料電池スタック10の暖機度合が大きいシーンにフォーカスした例を説明した。しかしながら、本実施形態は、制御内容を若干変更して、燃料電池スタック10及び原料処理器14の各暖機度合のバランスが取れていない例に適用することも可能である。
一例として、本実施形態の制御は、原料処理器14の暖機度合よりも燃料電池スタック10の暖機度合が小さい場合、例えば、原料処理器14の暖機進行に対して当該原料処理器14の耐熱性の観点から許容される範囲よりも燃料電池スタック10の暖機進行が遅れている場合にも適用することができる。
すなわち、この場合、第1燃焼排ガス流量Qex_1を減少させつつ第2燃焼排ガス流量Qex_2を増加させるように(分流比γ1/2を減少させるように)、排気バルブ開度Oevを調節する。これにより、原料処理器14の暖機進行を抑制しつつ燃料電池スタック10の暖機進行を促進して、原料処理器14に対する加熱量が過剰となることを抑制し、当該原料処理器14の構成部品又はその周辺部品に対する耐熱保護を図ることができる。
また、上記実施形態では、排気バルブ36を第2排ガス分流路32bにのみ設ける例を説明した。しかしながら、排気バルブ36の設置態様はこれに限られるものではない。
例えば、図6に示すように、第1排ガス分流路32aにおける原料処理器14と合流部J2の間に排気バルブ36を設ける構成を採用しても良い。なお、図6に示す態様の場合、排気バルブ36の開度を増加させると分流比γ1/2(空気熱交換器20へ流れる燃焼排ガスの流量)が減少し、当該開度を減少させると分流比γ1/2が増大する。すなわち、図6に示す変形例では、上記実施形態に対して、排気バルブ36の開度の増減と分流比γ1/2の増減との対応関係が逆になる。
さらに、図7に示すように、第1排ガス分流路32a及び第2排ガス分流路32bの双方に、それぞれ、排気バルブ36-1及び排気バルブ36-2を設ける構成を採用しても良い。
また、第1排ガス分流路32a又は第2排ガス分流路32bにおいて排気バルブ36を設ける位置も、分流比γ1/2を調節可能な範囲で任意に変更可能である。例えば、第1排ガス分流路32aにおける合流部J1と改質器14cの間の位置に排気バルブ36を設けても良い。さらに、第2排ガス分流路32bにおける合流部J1と空気熱交換器20の間の位置に排気バルブ36を設けても良い。