JP7203686B2 - 造形物の製造方法 - Google Patents

造形物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7203686B2
JP7203686B2 JP2019100233A JP2019100233A JP7203686B2 JP 7203686 B2 JP7203686 B2 JP 7203686B2 JP 2019100233 A JP2019100233 A JP 2019100233A JP 2019100233 A JP2019100233 A JP 2019100233A JP 7203686 B2 JP7203686 B2 JP 7203686B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
point
data
bead
shape data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019100233A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020192584A (ja
Inventor
達也 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2019100233A priority Critical patent/JP7203686B2/ja
Publication of JP2020192584A publication Critical patent/JP2020192584A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7203686B2 publication Critical patent/JP7203686B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Description

本発明は、造形物の製造方法、積層制御装置、プログラムに関する。
近年、3Dプリンタの生産手段としてのニーズが高まっており、特に金属材料での適用については航空機業界等で実用化に向けて研究開発が行われている。金属材料による3Dプリンタは、レーザやアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させて造形物を造形する。
例えば特許文献1には、金型の形状を表現する形状データを生成する工程と、生成された形状データに基づいて、金型を等高線に沿った積層体に分割する工程と、得られた積層体の形状データに基づいて、溶加材を供給する溶接トーチの移動経路を作成する工程とを備える金型の製造方法が記載されている。
特許第3784539号公報
ここで、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなるビードを複数重ねた積層体を含む造形物を製造する場合、ビードを形成する毎にアークを発生させる工程(ア―クスタート)が必要となる。
ただし、既に形成されているビードの上に、次のビードを形成しようとする場合、既に形成されているビードの表面には、溶加材の溶融および固化に伴ってスラグが付着していることがある。そして、通常スラグは絶縁体で構成されているため、スラグが付着している部位ではアークを発生させることが困難となり、結果として、アークの発生不良に起因するビードの形成不良が生じることがあった。
本発明は、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなるビードを複数重ねた積層体を含む造形物を製造する場合に、アークの発生不良に起因するビードの形成不良の発生を抑制することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明は、三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなるビードを複数重ねた積層体を含む造形物を製造する、造形物の製造方法であって、前記三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータから、各層の分割点を決定する工程と、前記分割点の一端側を延伸してなる始点と、当該分割点の他端側を延伸してなる終点とを設定し、当該始点および当該終点を付加することで前記スライスデータを修正する工程と、修正された前記スライスデータに基づき、前記始点から前記終点に向かってビードを形成することで、前記造形物を製造する工程とを有し、前記製造する工程では、既に形成されているビードのうち、前記始点および前記終点を付加することに伴って延伸された延伸領域の中から、スラグが付着していない未付着部位を特定し、当該未付着部位を当該始点に修正して次のビードを形成する、造形物の製造方法を提供する。
ここで、前記未付着部位の特定は、既に形成されているビードの表面を撮像した画像からスラグが付着した領域を抽出することで行われる、ものとしてもよい。
また、既に形成されているビードに前記溶加材または当該溶加材を保持する溶接トーチを突き当てることにより、当該ビードに付着したスラグを除去する工程をさらに含む、ものとしてもよい。
また、本発明は、三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなるビードを複数重ねた積層体を含む造形物を製造する、造形物の製造方法であって、前記三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータの各層に、分割点が設定された出力データを受け付ける工程と、受け付けた前記出力データのうちのx層目(xは2以上の整数)のデータに基づき、前記分割点の一端側を始点とし、当該分割点の他端側を終点として、当該始点から当該終点に向かってx層目のビードを形成する工程と、形成されたx層目のビードから、スラグが付着していない未付着部位を検出する工程と、前記x層目のビードにおける前記未付着部位が前記始点となるように、前記出力データのうちのx+1層目のデータを修正する工程と、修正されたx+1層目のデータに基づき、前記x層目のビード上にx+1層目のビードを形成する工程とを有する、造形物の製造方法を提供する。
ここで、前記受け付ける工程では、前記始点を延伸してなる新たな始点と当該終点を延伸してなる新たな終点とが付加された前記出力データを受け付け、前記検出する工程では、形成されたx層目のビードのうち、前記新たな始点および前記新たな終点を付加することに伴って延伸された延伸領域の中から、前記未付着部位を検出する、ものとしてもよい。
また、前記検出する工程では、形成されたx層目のビードを撮像した画像を用いて前記未付着部位を検出する、ものとしてもよい。
さらに、本発明は、立体的な造形物の形状を表す三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータの各層に、分割点が設定された出力データを受け付ける受付手段と、受け付けた前記出力データのうちのx層目(xは2以上の整数)のデータに基づき、前記分割点の一端側を始点とし、当該分割点の他端側を終点として、当該始点から当該終点に向かってx層目のビードを形成するための指示を出力する第1出力手段と、形成されたx層目のビードから検出された、スラグが付着していない未付着部位が前記始点となるように、前記出力データのうちのx+1層目のデータを修正する修正手段と、修正されたx+1層目のデータに基づき、前記x層目のビード上にx+1層目のビードを形成するための指示を出力する第2出力手段とを含む造形物の積層制御装置を提供する。
さらにまた、本発明は、コンピュータに、立体的な造形物の形状を表す三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータの各層に、分割点が設定された出力データを受け付ける機能と、受け付けた前記出力データのうちのx層目(xは2以上の整数)のデータに基づき、前記分割点の一端側を始点とし、当該分割点の他端側を終点として、当該始点から当該終点に向かってx層目のビードを形成するための指示を出力する機能と、形成されたx層目のビードから検出された、スラグが付着していない未付着部位が前記始点となるように、前記出力データのうちのx+1層目のデータを修正する機能と、修正されたx+1層目のデータに基づき、前記x層目のビード上にx+1層目のビードを形成するための指示を出力する機能とを実現させるためのプログラムを提供する。
本発明によれば、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなるビードを複数重ねた積層体を含む造形物を製造する場合に、アークの発生不良に起因するビードの形成不良の発生を抑制することができる。
本発明の実施の形態における金属積層造形システムの概略構成例を示した図である。 ロボット装置の概略構成を示した斜視図である。 制御装置の機能構成例を示した図である。 計画作成装置のハードウェア構成例を示した図である。 計画作成装置の機能構成例を示した図である。 計画作成装置の動作例を示したフローチャートである。 積層造形装置の動作例を示したフローチャートである。 (a)~(d)は、計画作成装置で用いられる各種データの概念を説明するための図である。 (a)~(c)は、計画作成装置で用いられる各種データの概念を説明するための図(つづき)である。 延伸済層形状データにおける各種経路を説明するための図である。 (a)~(d)は、構造体の製造プロセス例を示した図である。 (a)~(d)は、構造体の製造プロセスのうち、1層目および2層目のビードの積層手順例を示した図である。 本実施の形態の製造方法によって製造される積層造形物の他の例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[金属積層造形システム]
図1は、本発明の実施の形態における金属積層造形システム1の概略構成例を示した図である。
本実施の形態の金属積層造形システム1は、計画作成装置40と、積層造形装置60とを備える。これらのうち、計画作成装置40は、ビード121を順次積層することによって積層造形物120を形成する計画(以下では、積層計画と称する)に関する、制御プログラム等の作成を行う。また、積層造形装置60は、計画作成装置40が作成した、積層計画に関する制御プログラムに従って動作することで母材110上に積層造形物120を形成し、母材110と積層造形物120とを有する構造体100の製造を行う。そして、積層造形装置60は、ロボット装置10と、溶接トーチ20と、カメラ25と、制御装置30とを備える。この金属積層造形システム1では、計画作成装置40が、積層造形装置60を制御する制御プログラム等を、各種メモリカード等のリムーバブルな記録媒体50に書き込む。そして、積層造形装置60に設けられた制御装置30が、記録媒体50に書き込まれた制御プログラム等を読み出して実行する。
また、金属積層造形システム1に設けられた計画作成装置40には、CAD(Computer Aided Design)装置2が接続されている。このCAD装置2は、コンピュータを用いて、造形物を三次元座標で表した設計を行うとともに、設計によって得られた三次元データ(以下では、「三次元CADデータ」と称する)を保持する機能を有している。なお、ここでは、CAD装置2が金属積層造形システム1の外部に設置されるものとして説明を行うが、金属積層造形システム1の内部にCAD装置2を設けてもかまわない。
では次に、金属積層造形システム1を構成する積層造形装置60および計画作成装置40のそれぞれについて、説明を行う。
(積層造形装置)
本実施の形態で用いた積層造形装置60は、ガスシールドアーク溶接方式を採用したロボット溶接装置を転用したものとなっている。そして、この積層造形装置60は、所謂産業用ロボットで構成されたロボット装置10と、ロボット装置10に取り付けられ、溶接プロセスで用いるワイヤ21の供給等を行う溶接トーチ20と、ロボット装置10に取り付けられ、溶接トーチ20の周辺の画像を撮影するカメラ25と、これらロボット装置10、溶接トーチ20およびカメラ25の動作を制御する制御装置30とを有している。なお、この積層造形装置60は、この他に、シールドガスを供給するガス供給装置やワイヤ21を供給するワイヤ供給装置等をさらに有しているのであるが、ここではその詳細な説明を省略する。
〔ロボット装置〕
図2は、積層造形装置60に設けられたロボット装置10の概略構成を示した斜視図である。以下では、図1に加えて図2も参照しつつ、ロボット装置10の構成について説明を行う。
本実施の形態のロボット装置10は、一般的な6つの駆動軸を有する6軸の垂直多関節ロボットである。ただし、ロボット装置10は垂直多関節ロボットに限られるものではなく、他の構成であってもかまわない。また、ロボット装置10が垂直多関節ロボットを採用する場合であっても、その軸数は、6軸に限定されるものではなく、5軸以下であってもよいし、7軸以上であってもかまわない。
このロボット装置10は、床等の設置対象に固定される基部11と、基部11上で鉛直方向に沿った第1駆動軸S1回りに旋回可能に設けられた旋回部12と、水平方向に沿った第2駆動軸S2を介して一端部が旋回部12と連結され、第2駆動軸S2回りに回転可能な下腕部13とを備えている。また、ロボット装置10は、下腕部13の他端部に第2駆動軸S2と平行な第3駆動軸S3を介して接続された上腕部14と、上腕部14に設けられ、第4駆動軸S4によりアーム軸線回りに回転可能な手首旋回部15とを備えている。さらに、ロボット装置10は、手首旋回部15に第5駆動軸S5を介して接続される手首曲げ部16と、手首曲げ部16の先端に第6駆動軸S6を介して接続される手首回転部17とを備えている。このロボット装置10では、これら下腕部13、上腕部14、手首旋回部15、手首曲げ部16および手首回転部17が、多関節アームを構成している。
そして、多関節アームの最先端軸となる手首回転部17には、所謂エンドエフェクタとして機能することで、溶接トーチ20およびカメラ25を保持する保持部18が取り付けられている。
〔溶接トーチ〕
溶接トーチ20は、アルゴンガスや炭酸ガス等のシールドガスが供給される略筒状のシールドノズルと、シールドノズルの内部に配置されたコンタクトチップ(ともに図示せず)とを有している。そして、コンタクトチップには、送給されてくるワイヤ21が保持されるようになっている。この溶接トーチ20は、ワイヤ21を送給しつつ、シールドガスを流しながらアークを発生させてワイヤ21を溶融および固化させることで、母材110上に複数のビード121を形成且つ積層し、積層造形物120の形成を行うようになっている。なお、本実施の形態の金属積層造形システム1において、積層造形物120の形成に用いられる、溶加材の一例としてのワイヤ21については、積層造形物120に求められる機能や特性等に応じて、適宜選定することが可能である。そして、ここでは、ワイヤ21自身が電極且つ溶加材となる「溶極式」を例として説明を行うが、「非溶極式」を採用することも可能である。
〔カメラ〕
カメラ25は、CCDやCMOS等の撮像デバイスを有しており、この例では、赤外画像を撮影できるようになっている。そして、カメラ25は、溶接トーチ20とともに、ロボット装置10の最先端に位置する手首回転部17に取り付けられた保持部18に保持されており、溶接トーチ20に追従して動くことにより、溶接トーチ20から突出するワイヤ21の先端部の周辺の画像(赤外画像)を撮影するようになっている。
〔制御装置〕
図3は、積層造形装置60に設けられた制御装置30の機能構成例を示した図である。以下では、図1に加えて図3も参照しつつ、制御装置30の構成について説明を行う。
本実施の形態の制御装置30は、受付部301と、全体制御部302と、ロボット制御部303と、溶接制御部304、カメラ制御部305とを有している。
{受付部}
受付部301は、計画作成装置40から、記録媒体50を介して、積層造形装置60を構成するロボット装置10および溶接トーチ20を連動して動作させるための制御プログラム等を含む出力データの入力を受け付ける。
{全体制御部}
第1出力手段、修正手段および第2出力手段の一例としての全体制御部302は、受付部301が受け付けた制御プログラムにしたがい、ロボット装置10および溶接トーチ20を連動して動作させるための全体的な制御を行う。
{ロボット制御部}
ロボット制御部303は、全体制御部302による制御のもと、ロボット装置10を構成する各部を動作させることにより、保持部18に保持された溶接トーチ20の位置制御および姿勢制御等を行う。
{溶接制御部}
溶接制御部304は、全体制御部302による制御のもと、溶接トーチ20に対する給電動作、ワイヤ送給動作およびガス供給動作等に関する制御を行う。
{カメラ制御部}
カメラ制御部305は、全体制御部302による制御のもと、カメラ25による撮影動作に関する制御を行う。
(計画作成装置)
続いて、計画作成装置40の詳細について説明を行う。
〔ハードウェア構成〕
図4は、本実施の形態における計画作成装置40のハードウェア構成例を示した図である。
本実施の形態の計画作成装置40は、例えば汎用のPC(Personal Computer)等により実現される。なお、具体的な説明は行わなかったが、積層造形装置60に設けられた制御装置30も、以下に説明する計画作成装置40と同様のハードウェア構成を有している。
この計画作成装置40は、OSや各種アプリケーション等のプログラムを読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)41と、CPU41が実行するプログラムやプログラムを実行する際に使用するデータ等を記憶するROM(Read Only Memory)42と、プログラムを実行する際に一時的に生成されるデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)43とを備えている。また、計画作成装置40は、各種プログラムや各種データ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)44と、計画作成装置40の外部に設けられたCAD装置2や制御装置30等の機器との間でデータの送受信を行うNIC(Network Interface Card)45と、操作者からの入力を受け付ける入力装置46と、表示画面に画像を表示する表示装置47と、これらを接続するバス48とをさらに備えている。そして、計画作成装置40に設けられたCPU41が実行するプログラムは、予めROM42やHDD44に記憶させておく形態の他、例えばCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU41に提供したり、あるいは、ネットワーク(図示せず)を介してCPU41に提供したりすることも可能である。
〔機能構成〕
図5は、本実施の形態の計画作成装置40の機能構成例を示した図である。
本実施の形態の計画作成装置40は、取得部401と、変換部402と、切断部403と、分割部404と、延伸部405と、作成部406と、付加部407と、出力部408とを有している。以下では、図1に加えて図4も参照しつつ、計画作成装置40の構成について説明を行う。
{取得部}
取得部401は、CAD装置2から、積層造形物120のもととなる造形物の三次元CADデータD3d(後述する図8(a)も参照)を取得する。ここで、三次元CADデータD3dは、三次元形状データの一例である。
{変換部}
変換部402は、取得部401から受け取った三次元CADデータD3dを、計画作成装置40での各種データ加工に用いられる内部データDiに変換する。
{切断部}
切断部403は、変換部402から受け取った内部データDiを、複数の層の積層体となるように切断(スライス)することで、層形状データDs(具体的には、1層目の層形状データDs(1)~n層目の層形状データDs(n)を含むn層分のデータ:後述する図8(b)も参照)を作成する。ここで層形状データDsは、スライスデータの一例である。
{分割部}
分割部404は、切断部403から受け取った層形状データDsに対し、層毎に分割点を設定することで、分割済層形状データDd(具体的には、1層目の分割済層形状データDd(1)~n層目の分割済層形状データDd(n)を含むn層分のデータ:後述する図8(c)も参照)を作成する。ここで、分割済層形状データDdは、修正されたスライスデータの一例である。
{延伸部}
延伸部405は、分割部404から受け取った分割済層形状データDdに対し、層毎に始点および終点を付加することで、延伸済層形状データDe(具体的には、1層目の延伸済層形状データDe(1)~n層目の延伸済層形状データDe(n)を含むn層分のデータ:後述する図8(d)も参照)を作成する。ここで、延伸済層形状データDeは、修正されたスライスデータの一例である。
{作成部}
作成部406は、延伸部405が作成した延伸済層形状データDeに基づき、積層造形装置60の制御装置30が積層造形物120を製造する際に実行する、制御プログラムで使用される制御データDcを作成する。
{付加部}
付加部407は、制御装置30が実行する制御プログラムに、延伸部405から受け取った延伸済層形状データDeと、作成部406から受け取った制御データDcとを付加することで、出力データDoを作成する。
{出力部}
出力部408は、付加部407から受け取った出力データDoを、記録媒体50に書き込むことによって出力する。
[構造体]
ここで、図1等を参照しながら、本実施の形態の金属積層造形システム1によって製造される構造体100に関する説明を行っておく。
本実施の形態の構造体100は、積層対象となる母材110と、ワイヤ21を用いて母材上に形成される積層造形物120とを備えている。図1に示す例において、母材110は、矩形状(板状)を呈するとともに、その表面が鉛直上方を向くように配置されている。また、図1に示す例において、積層体の一例としての積層造形物120は、円筒状を呈するとともに、母材110の表面に、自身に設けられた開口部が鉛直上方を向くように形成されている。
なお、本実施の形態では、母材110と積層造形物120とを含む構造体100が、最終的な製品となることがある。また、構造体100から母材110を取り除くことで得られた積層造形体120が、最終的な製品となることもある。さらに、いずれの場合においても、積層造形物120に切削加工を含む各種機械加工を施した加工物130(後述する図11(d)も参照)が、最終的な製品となることがある。
(母材)
母材110は、積層造形物120の土台となるものである。母材110には、所謂溶接プロセスによる積層造形物120の形成が可能な金属材を用いることができる。また、積層造形時の安定性の確保等を考慮すれば、積層造形物120として、図1に示すような板材を使用することが望ましい。
(積層造形物)
積層造形物120は、それぞれがワイヤ21を溶融・固化してなる複数のビード121を、鉛直方向上側に向かって積み重ねた構造を有している。そして、図1に示す積層造形物120では、n層のビード121(具体的は、1層目のビード121(1)~n層目のビード121(n))を積み重ねることによって、積層造形物120が構成されている。
[金属積層造形システムの動作]
続いて、図1に示す金属積層造形システム1の動作について説明を行う。
本実施の形態の金属積層造形システム1では、まず、計画作成装置40が、積層造形物120の形成で使用する、制御プログラムおよび各種データを含む出力データDoの作成を行うとともに、作成した出力データDoを記録媒体50に書き込む。そして、積層造形装置60が、記録媒体50から読み出した出力データDoに含まれる制御プログラム(および各種データ)にしたがって動作し、母材110上に積層造形物120の形成を行う。そこで、以下では、最初に計画作成装置40の動作について説明を行い、続いて積層造形装置60の動作について説明を行う。
(計画作成装置の動作)
図6は、計画作成装置40の動作例を示したフローチャートである。なお、ここでは、これから製造しようとする積層造形物120のもととなる造形物に関する三次元CADデータD3dが、既にCAD装置2によって作成されているものとする。
計画作成装置40の動作が開始すると、まず、取得部401が、CAD装置2から三次元CADデータD3dを取得する(ステップ10)。
次に、変換部402が、取得部401から受け取った三次元CADデータD3dを、内部データDiに変換する(ステップ20)。
続いて、切断部403が、変換部402から受け取った内部データDiを用いて、層形状データDsを作成する(ステップ30)。
さらに、分割部404が、切断部403から受け取った層形状データDsを用いて、分割済層形状データDdを作成する(ステップ40:決定する工程の一例)。
次いで、延伸部405が、分割部404から受け取った分割済層形状データDdを用いて、延伸済層形状データDeを作成する(ステップ50:修正する工程の一例)。
また、作成部406が、延伸部405が作成した延伸済層形状データDeを用いて、制御データDcを作成する(ステップ60)。
さらに、付加部407が、積層造形装置60の制御装置30が実行する制御プログラムと、延伸部405から受け取った延伸済層形状データDeと、作成部406から受け取った制御データDcとを用いて、出力データDoを作成する(ステップ70)。
そして、出力部408が、付加部407から受け取った出力データDoを、記録媒体50に書き込むことによって出力する(ステップ80)。
以上により、計画作成装置40の動作が完了する。
(積層造形装置の動作)
図7は、積層造形装置60の動作例を示したフローチャートである。ただし、図7は、実際には、積層造形装置60を構成する制御装置30の動作手順を示している。なお、図7に示す手順に従って積層造形装置60が動作を開始する前に、ロボット装置10の周辺のうちの予め定められた位置には、母材110が固定された状態で位置決めされているものとする。また、これから説明するステップ110~ステップ190が、製造する工程の一例となっている。
積層造形装置60が動作を開始すると、まず、受付部301が、記録媒体50から読み出された、出力データDoの入力を受け付ける(ステップ110;受け付ける工程の一例)。
次に、全体制御部302は、ステップ110で受け取った出力データDoに含まれる制御プログラムを、同じくステップ110で受け取った出力データDoに含まれる各種データ(延伸済層形状データDeおよび制御データDc)を参照しながら実行する。また、全体制御部302は、変数xを1に設定する(ステップ120)。
続いて、全体制御部302は、x層目(最初は1層目)のビード121を形成するための指示(以下では「層形成指示」と称する)を作成する(ステップ130)。
さらに、全体制御部302は、ステップ130で作成したx層目の層形成指示に基づき、x層目のビード121のアーク発生点(最初にアークを発生させる場所)を探索するための指示(以下では「探索指示」と称する)を作成し、ロボット制御部303およびカメラ制御部305に出力する(ステップ140)。すると、ロボット装置10は、探索指示に基づいて動作し、カメラ25が、母材110上あるいは母材110に既に形成済となっているビード121を撮影する。そして、全体制御部302は、カメラ25が撮影した撮影結果(赤外画像)に基づき、x層目のビード121の形成で用いるアーク開始点の探索を行う。
次いで、全体制御部302は、x層目のビード121の形成で用いるアーク発生点を特定できたか否かを判定する(ステップ150)。ステップ150で否定の判断(No)を行った場合は、ステップ140に戻って処理を続行する。
ここで、母材110上に形成されたビード121には、ワイヤ21に含まれるフラックス等に起因するスラグが付着していることがある。一般に、スラグは金属酸化物等からなる絶縁物であることが多く、スラグが付着している部位ではアークを発生させることが困難である。そして、例えば形成直後のビード121では、スラグが付着していない部位は、スラグが付着している部位と比べて、金属酸化物等からなる膜が存在していない分、表面温度が高くなることが多い。
このため、本実施の形態では、全体制御部302が、カメラ25が撮影した赤外画像に基づいて、ビード121表面の温度の高低を観察し、予め定められた温度よりも高くなっていると判断した部位を、x層目のビード121の形成で用いるアーク開始点に設定する。
一方、ステップ150で肯定の判断(Yes)を行った場合、換言すれば、x層目のビード121の形成で用いるアーク発生点を特定できた場合、全体制御部302は、ステップ130で作成したx層目の層形成指示を、特定したアーク発生点を加味して修正する(ステップ160:修正する工程の一例)。
それから、全体制御部302は、ステップ160で修正したx層目の層形成指示(以下では「修正済の層形成指示」と称する)を、ロボット制御部303および溶接制御部304の両者に出力する(ステップ170)。すると、ロボット装置10および溶接トーチ20は、探索指示に基づいて協働して動作し、母材110上あるいは母材110に既に形成済となっているビード121上に、x層目のビード121の形成を行う(x層目のビードを形成する工程、および、x+1層目のビードを形成する工程、の一例)。
それから、全体制御部302は、変数xが積層造形物120の総層数nと等しくなったか否かを判断する(ステップ180)。
ステップ180で否定の判断(No)を行った場合、全体制御部302は、変数xをx+1に更新し(ステップ190)、ステップ130に戻って次の層に関する処理を続行する。
一方、ステップ180で肯定の判断(Yes)を行った場合、全体制御部302は、一連の処理を終了する。
以上により、母材110上に、複数のビード121を積層してなる積層造形物120が形成された、構造体100を得ることができる。これにより、積層造形装置60の動作が完了する。
なお、上述した説明では、ステップ150で否定の判断(No)を行った場合に、アーク発生点の特定を続行するようにしていたが、これに限られるものではない。例えば、ロボット装置10を動作させて、溶接トーチ20に保持されたワイヤ21の先端を形成済のビード121と対峙させ、この状態で、溶接トーチ20を用いてワイヤ21を進退させることで、ビード121に付着したスラグを突いて破壊し、この部位をアーク発生点に設定する処理としてもよい。すなわち、アーク発生点を特定するのではなく、アーク発生点を作成するようにしてもかまわない。また、溶接トーチ20を用いてワイヤ21を進退させることに代えて、ワイヤ21を保持する溶接トーチ20を振動させることで、ビード121に付着したスラグを突いて破壊し、この部位をアーク発生点に設定する処理としてもよい。このような処理が、除去する工程の一例に対応することになる。
[具体例]
では、上述した金属積層造形システム1を用いた構造体100の製造に関し、具体的な例を挙げて説明を行う。なお、ここでは、図1に示したように、矩形状を呈する母材110上に、円筒状を呈する積層造形物120を形成することで、構造体100を製造する場合を例とする。
(各種データ)
最初に、積層造形物120の製造に用いられる、各種データに関する説明を行う。
図8(a)~(d)および図9(a)~(c)は、積層造形物120の製造に際して、計画作成装置40で用いられる各種データの概念を説明するための図である。なお、ここで説明する各種データは、実際には、バイナリ形式やアスキー形式等によって表現されるものであるが、ここでは、理解を助けるために模式的な表記を行っている。そして、図8(a)~(d)では、各データの全体を三次元形状(斜視図)として表記しており、図9(a)~(c)では、各データのうちの1層分のデータを二次元形状(上面図)として表記している。
〔三次元形状データ〕
図8(a)は、三次元CADデータD3dの一例を示している。
図8(a)に示す三次元CADデータD3dは、上述したように、CAD装置2が作成し、計画作成装置40の取得部401が取得する。なお、ここには記載していないが、計画作成装置40の変換部402が作成する内部データDiも、表現形式が異なるだけで、表現しようとする形状そのものは、三次元CADデータD3dと同じである。
〔層形状データ〕
図8(b)は、層形状データDsの一例を示している。また、図9(a)は、図8(b)に示す層形状データDsを構成する、1層目の層形状データDs(1)の一例を示している。
図8(b)に示す層形状データDsは、上述したように、計画作成装置40の切断部403が作成する。そして、この例では、層形状データDsが、1層目の層形状データDs(1)~n層目の層形状データDs(n)を含むn層構成となっている。
また、図9(a)に示す1層目の層形状データDs(1)は、もととなる三次元CADデータD3d(内部データDi)が円筒状を呈していることに対応して、円環状を呈するようになっている。
なお、ここでは詳細な説明を行わないが、2層目の層形状データDs(2)~n層目の層形状データDs(n)のそれぞれも、円環状を呈するようになっている。そして、この例では、1層目の層形状データDs(1)~n層目の層形状データDs(n)のそれぞれが、同一形状を呈するものとなっている。
〔分割済層形状データ〕
図8(c)は、分割済層形状データDdの一例を示している。また、図9(b)は、図8(c)に示す分割済層形状データDdを構成する、1層目の分割済層形状データDd(1)の一例を示している。
図8(c)に示す分割済層形状データDdは、上述したように、計画作成装置40の分割部404が作成する。そして、図9(b)に示す1層目の分割済層形状データDd(1)は、もととなる1層目の層形状データDs(1)が円環状を呈していることに対応して、円環状を呈するようになっている。
また、1層目の分割済層形状データDd(1)では、もととなる1層目の層形状データDs(1)に対し、周上の一箇所に分割点Pdが設定されている。そして、分割点Pdが設定された1層目の分割済層形状データDd(1)のうち、分割点Pdの一端に隣接する側が仮始点Ptsに設定されており、分割点Pdの他端に隣接する側が仮終点Pteに設定されている。その結果、この1層目の分割済層形状データDd(1)は、仮始点Ptsから仮終点Pteに至るまで、分割点Pdを通ることなく、1パス(所謂一筆書き)で表現できる状態となっている。
なお、ここでは詳細な説明を行わないが、2層目の分割済層形状データDd(2)~n層目の分割済層形状データDd(n)のそれぞれについても、分割点Pd、仮始点Ptsおよび仮終点Pteの3つが設定される。そして、この例では、共通の形状を有する1層目の分割済層形状データDd(1)~n層目の分割済層形状データDd(n)において、分割点Pd、仮始点Ptsおよび仮終点Pteのそれぞれは、鉛直上方からみたときに重なるように配置されている。
〔延伸済層形状データ〕
図8(d)は、延伸済層形状データDeの一例を示している。また、図9(c)は、図8(d)に示す延伸済層形状データDeを構成する、1層目の延伸済層形状データDe(1)の一例を示している。
図8(d)に示す延伸済層形状データDeは、上述したように、計画作成装置40の延伸部405が作成する。そして、図9(c)に示す1層目の延伸済層形状データDe(1)は、もととなる1層目の分割済層形状データDd(1)が円環状を呈していることに対応して、基本的には円環状であるものの、その外周面の一部が外側に突出する突起部を備えた形状を呈するようになっている。そして、1層目の延伸済層形状データDe(1)では、このような突起部が、分割点Pdの設定部位、より具体的には、分割点Pdの一端である仮始点Ptsおよび分割点の他端である仮終点Pteの両者から延伸するようになっている。より具体的に説明すると、この突起部は、1層目の延伸済層形状データDe(1)のうち、仮始点Ptsを起点としてその外側に設定された始点Psに至るまで延伸した部位と、仮終点Pteを起点としてその外側に設定された終点Peに至るまで延伸した部位とを、隣接して配置することで構成されている。その結果、始点Psおよび終点Peが設定された1層目の延伸済層形状データDe(1)は、始点Psから仮始点Ptsおよび仮終点Pteを介して終点Peに至るまで、分割点Pdを通ることなく、1パス(所謂一筆書き)で表現できる状態となっている。ここで、始点Psは新たな始点の一例となっており、終点Peは新たな終点の一例となっている。
なお、ここでは詳細な説明を行わないが、2層目の延伸済層形状データDe(2)~n層目の延伸済層形状データDe(n)のそれぞれについても、始点Psおよび終点Peの2つが設定される。そして、この例では、共通の形状を有する1層目の延伸済層形状データDe(1)~n層目の延伸済層形状データDe(n)において、始点Psおよび終点Peのそれぞれも、鉛直上方からみたときに重なるように配置されている。
〔延伸済層形状データにおける各経路〕
図10は、延伸済層形状データDeにおける各種経路を説明するための図である。ただし、図10は、上述した図9(c)と同じく、延伸済層形状データDeを構成する、1層目の延伸済層形状データDe(1)を例示している。
本実施の形態では、分割点Pdを跨ぐことなく、始点Psから仮始点Ptsおよび仮終点Pteを介して終点Peに至る経路のことを、「形成経路Rf」と称する。また、形成経路Rfのうち、分割点Pdを跨ぐことなく仮始点Ptsから仮終点Pteに至る経路(この例では略円形状を呈する経路)のことを、「製品経路Rp」と称する。さらに、形成経路Rfのうち、始点Psから仮始点Ptsに至る経路のことを、「始点側延伸経路Rs」と称する。さらにまた、形成経路Rfのうち、仮終点Pteから終点Peに至る経路のことを、「終点側延伸経路Re」と称する。ここで、本実施の形態では、始点側延伸経路Rsおよび終点側延伸経路Reが、延伸領域の一例となっている。
したがって、始点Ps、仮始点Pts、仮終点Pteおよび終点Peは、始点側延伸経路Rsと製品経路Rpと終点側延伸経路Reとを含む形成経路Rfによって、1パスで結ばれていることになる。
ここで、製品経路Rpは、分割済層形状データDd(図8(c)、図9(b)参照)において、既に存在している経路である。これに対し、始点側延伸経路Rsおよび終点側延伸経路Reは、分割済層形状データDdには存在せず、延伸済層形状データDe(図8(d)、図9(c)参照)となって、初めて現れる経路である。
(構造体)
続いて、上記図8~図10に示す各種データを用いた、積層造形物120を含む構造体100の製造について説明を行う。
図11(a)~(d)は、構造体100の製造プロセス例を示した図である。
また、図12(a)~(d)は、図11に示す構造体100の製造プロセスのうち、1層目および2層目のビード121の積層手順例を示した図である。
なお、ここでは、積層造形物120を構成するビード121の総層数が、5(n=5)である場合を例として説明を行う。
〔1層目のビードの形成〕
図11(a)は、1層目の延伸済層形状データDe(1)に基づき、母材110上に、1層目のビード121(1)を形成した後の状態を示す斜視図である。また、図12(a)は、1層目のビード121(1)を形成する前の状態を示す上面図である。さらに、図12(b)は、1層目のビード121(1)を形成した後の状態を示す上面図である。
ここで、1層目のビード121(1)のもととなる1層目の延伸済層形状データDe(1)には、図12(a)に示すように、1層目の始点Ps(1)、1層目の仮始点Pts(1)、1層目の仮終点Pte(1)および1層目の終点Pe(1)が設定されている。
そして、1層目の延伸済層形状データDe(1)を用いてロボット装置10を駆動することにより、溶接トーチ20に保持されたワイヤ21を、母材110上で、1層目の始点Ps(1)から、1層目の始点側延伸経路Rs(1)、1層目の仮始点Pts(1)、1層目の製品経路Rp(1)、1層目の仮終点Pte(1)、1層目の終点側延伸経路Re(1)および1層目の終点Pe(1)の順で移動させる。これにより、図11(a)等に示すように、母材110上に1層目のビード121(1)が形成される。
〔2層目のビードの形成〕
図11(b)は、2層目の延伸済層形状データDe(2)に基づき、1層目のビード121(1)上に、2層目のビード121(2)を形成した後の状態を示す斜視図である。また、図12(c)は、1層目のビード121(1)を形成した後であって、2層目のビード121(2)を形成する前の状態を示す図である。さらに、図12(d)は、2層目のビード121(2)を形成した後の状態を示す上面図である。
ここで、2層目のビード121(2)のもととなる2層目の延伸済層形状データDe(2)にも、図12(c)に示すように、2層目の始点Ps(2)、2層目の仮始点Pts(2)、2層目の仮終点Pte(2)および2層目の終点Pe(2)が設定されている。なお、この例では、1層目の延伸済層形状データDe(1)と2層目の延伸済層形状データDe(2)とが、同一形状を呈するものとなっていることから、2層目の始点Ps(2)は1層目の始点Ps(1)と、2層目の仮始点Pts(2)は1層目の仮始点Pts(1)と、2層目の仮終点Pte(2)は1層目の仮終点Pte(1)と、2層目の終点Pe(2)は1層目の終点Pe(1)と、それぞれ重なる位置となっている。
そして、本実施の形態では、2層目のビード121(2)を形成する前に、既に形成されている1層目のビード121(1)上で、アーク発生点の探索を行う。より具体的に説明すると、アーク発生点の探索は、1層目のビード121(1)のうちの1層目の始点側延伸経路Rs(1)に対応する部位から、溶接に伴って発生するスラグが付着していない部位(未付着部位)を検出することで行う(検出する工程の一例)。
それから、本実施の形態では、図12(c)に示す2層目の延伸済層形状データDe(2)に、検出した未付着部位を加味した補正を行う。より具体的に説明すると、本実施の形態では、図12(c)に示す2層目の延伸済層形状データDe(2)に対し、検出した未付着部位を始点Psに修正する補正を行う。これにより、2層目の延伸済層形状データDe(2)は、図12(c)に示す状態から、例えば図12(d)に示す状態へと修正される。なお、図12(d)に示す例では、図12(c)に示す例と比較して、始点Psが仮始点Pts側へと移動している。
そして、修正された2層目の延伸済層形状データDe(2)を用いてロボット装置10を駆動することにより、溶接トーチ20に保持されたワイヤ21を、母材110上で、2層目の始点Ps(2)から、2層目の始点側延伸経路Rs(2)、2層目の仮始点Pts(2)、2層目の製品経路Rp(2)、2層目の仮終点Pte(2)、2層目の終点側延伸経路Re(2)および2層目の終点Pe(2)の順で移動させる。これにより、図11(b)等に示すように、1層目のビード121(1)上に、2層目のビード121(2)が形成される。このとき、2層目の始点Ps(2)は、スラグが付着してない未付着部位に修正されていることから、2層目のビード121(2)の形成において、アークの発生不良等は生じ難い。
以降、同様の手順で始点Psを修正しながら、3層目のビード121(3)、4層目のビード121(4)および5層目のビード121(5)の積層が行われる。
〔n層目(n=5)のビードの形成〕
図11(c)は、5層目の延伸済層形状データDe(5)に基づき、4層目のビード121(4)上に、最終層となる5層目のビード121(5)を形成した後の状態、すなわち、母材110上に積層造形物120を形成した後の状態を示す図である。
本実施の形態の場合、得られる積層造形物120の形状は、もととなる円筒状の造形物の外周面側に、鉛直方向に沿って延びる突起部が形成されたものとなっている。また、溶接プロセスを用いてビード121の形成を行っているため、その外周面および内周面に、ビード121に起因する凹凸が存在するものとなっている。
〔加工〕
図11(d)は、図11(c)に示す積層造形物120に機械加工を施して得られた加工物130を示している。
ここで、図11(d)に示す加工物130は、図11(c)に示す積層造形物120上の突起部を除去する切削加工が施されることによって略平坦となった外周面131と、特に機械加工が施されることなく、凹凸がそのまま残った内周面132とを有している。これにより、加工物130の形状を、もととなる造形物の形状(三次元CADデータD3d)に近づけることができる。なお、内周面132にも、外周面131と同様の切削加工を施すようにすれば、加工物130の形状を、もととなる造形物の形状にさらに近づけることが可能である。
[その他]
上述した本実施の形態では、造形物の三次元CADデータD3dに基づいて積層造形物120を製造するにあたり、始点側延伸経路Rsおよび終点側延伸経路Reに基づく突起部を積層造形物120に形成するようにしていたが、これに限られるものではない。
図13は、本実施の形態の製造方法によって製造される積層造形物120の他の例を示す図である。
この例では、計画作成装置40が、図8(c)に示す分割済層形状データDdを作成した後、延伸済層形状データDeを作成せずに、この分割済層形状データDdを含む出力データDoを作成し、出力する。そして、積層造形装置60では、1層のビード121を形成する毎に、アーク発生点の探索を行い、始点Ps(図10等に示す例では仮始点Ptsと記載)および終点Pe(図10等に示す例では仮終点Pte)の修正を行う。これは、1層毎に分割点Pdの修正(変更)を行うことと等価である。
このようにした場合にも、各層のビード121の形成を開始するに際して、アークの発生不良に伴うビード121の形成不良を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、円筒状を呈する積層造形物120の形成において、突起部を外側に向けて延伸するようにしていたが、これに限られるものではなく、突起部を内側に向けて延伸するようにしてもかまわない。
また、本実施の形態では、ロボット装置10にカメラ25を取り付けていたが、これに限られるものではなく、母材110等が撮影できる場所であれば、ロボット装置10とは別の場所にカメラ25を設置するようにしてもかまわない。
さらに、本実施の形態では、カメラ25による撮影結果に基づいて、アーク発生点の探索を行っていたが、これに限られるものではなく、例えばビード121の電気抵抗(接触抵抗)の測定結果に基づいて、アーク発生点の探索を行ってもかまわない。
さらにまた、本実施の形態では、計画作成装置40で、三次元CADデータD3dを内部データDiに変換してから各種処理を施していたが、これに限られるものではなく、例えば三次元CADデータD3dから直接層形状データDsを作成してもかまわない。
1…金属積層造形システム、2…CAD装置、10…ロボット装置、20…溶接トーチ、21…ワイヤ、25…カメラ、30…制御装置、40…計画作成装置、50…記録媒体、60…積層造形装置、100…構造体、110…母材、120…積層造形物、121…ビード、130…加工物、131…外周面、132…内周面、301…受付部、302…全体制御部、303…ロボット制御部、304…溶接制御部、401…取得部、402…変換部、403…切断部、404…分割部、405…延伸部、406…作成部、407…付加部、408…出力部、D3d…三次元CADデータ、Di…内部データ、Ds…層形状データ、Dd…分割済層形状データ、De…延伸済層形状データ、Dc…制御データ、Pd…分割点、Pts…仮始点、Ps…始点、Pte…仮終点、Pe…終点、Rf…積層経路、Rp…製品経路、Rs…始点側延伸経路、Re…終点側延伸経路

Claims (3)

  1. 三次元形状データに基づき、アークを用いて溶加材を溶融および固化してなるビードを複数重ねた積層体を含む造形物を製造する、造形物の製造方法であって、
    前記三次元形状データを複数の層に分割して得たスライスデータから、各層の分割点を決定する工程と、
    前記分割点の一端側を延伸してなる始点と、当該分割点の他端側を延伸してなる終点とを設定し、当該始点および当該終点を付加することで前記スライスデータを修正する工程と、
    修正された前記スライスデータに基づき、前記始点から前記終点に向かってビードを形成することで、前記造形物を製造する工程と
    を有し、
    前記製造する工程では、既に形成されているビードのうち、前記始点および前記終点を付加することに伴って延伸された延伸領域の中から、スラグが付着していない未付着部位を特定し、当該未付着部位を当該始点に修正して次のビードを形成する、造形物の製造方法。
  2. 前記未付着部位の特定は、既に形成されているビードの表面を撮像した画像からスラグが付着した領域を抽出することで行われる、請求項1記載の造形物の製造方法。
  3. 既に形成されているビードに前記溶加材または当該溶加材を保持する溶接トーチを突き当てることにより、当該ビードに付着したスラグを除去する工程をさらに含む、請求項1記載の造形物の製造方法。
JP2019100233A 2019-05-29 2019-05-29 造形物の製造方法 Active JP7203686B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019100233A JP7203686B2 (ja) 2019-05-29 2019-05-29 造形物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019100233A JP7203686B2 (ja) 2019-05-29 2019-05-29 造形物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020192584A JP2020192584A (ja) 2020-12-03
JP7203686B2 true JP7203686B2 (ja) 2023-01-13

Family

ID=73547705

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019100233A Active JP7203686B2 (ja) 2019-05-29 2019-05-29 造形物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7203686B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7506000B2 (ja) 2021-01-29 2024-06-25 株式会社神戸製鋼所 積層造形物の製造方法および表示装置
CN117444358B (zh) * 2023-12-08 2024-05-28 北京天圣华信息技术有限责任公司 一种增材制造方法、装置、设备及存储介质

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110070394A1 (en) 2009-09-23 2011-03-24 Stratasys, Inc. Seam concealment for three-dimensional models
JP2018027558A (ja) 2016-08-18 2018-02-22 国立大学法人山梨大学 三次元造形のためのコンピュータ支援製造装置,方法およびプログラム,三次元造形のための制御プログラム生成装置,ならびに三次元造形システム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2924186B2 (ja) * 1990-12-28 1999-07-26 石川島播磨重工業株式会社 消耗電極式溶接機の自動溶接方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110070394A1 (en) 2009-09-23 2011-03-24 Stratasys, Inc. Seam concealment for three-dimensional models
JP2018027558A (ja) 2016-08-18 2018-02-22 国立大学法人山梨大学 三次元造形のためのコンピュータ支援製造装置,方法およびプログラム,三次元造形のための制御プログラム生成装置,ならびに三次元造形システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020192584A (ja) 2020-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11067965B2 (en) System and method for additive manufacturing and control thereof
EP3863791B1 (en) System and method for weld path generation
JP6738789B2 (ja) 積層造形物の設計方法、製造方法、及び製造装置、並びにプログラム
JP7048435B2 (ja) 積層造形物の積層計画方法、積層造形物の製造方法及び製造装置
JP7203686B2 (ja) 造形物の製造方法
JP5905159B2 (ja) 数値制御プログラム編集装置、数値制御プログラム編集方法およびプログラム
JP5957070B2 (ja) ワーク加工面表示方法、ワーク加工面表示装置、工具経路生成装置およびワーク加工面表示プログラム
JP2018126760A (ja) 積層制御装置、積層制御方法及びプログラム
WO2019167904A1 (ja) 積層造形物の造形方法及び積層造形物の製造装置、並びにプログラム
CN112166002B (zh) 层叠造型物的制造方法、制造装置以及存储介质
EP3137955A2 (en) Beam tool pathing for 3d compound contours using machining path surfaces to maintain a single solid representation of objects
JP2020189324A (ja) 構造体の製造システム及び製造方法
Gibson et al. Controls and process planning strategies for 5-axis laser directed energy deposition of Ti-6Al-4V using an 8-axis industrial robot and rotary motion
WO2018173656A1 (ja) 溶接パス情報の取得方法および溶接ロボットシステム
JP7183120B2 (ja) 造形物の製造方法、積層制御装置、プログラム
JP2021016885A (ja) 積層造形物の積層計画方法、積層造形物の製造方法及び製造装置
JP6964544B2 (ja) 造形物の製造方法及び造形物
Moltumyr et al. Towards vision-based closed-loop additive manufacturing: a review
Bhatt et al. Robot trajectory generation for multi-axis wire arc additive manufacturing
JP2021126694A (ja) 造形物の製造方法、造形物の製造装置、及びプログラム
Panchagnula et al. A novel methodology to manufacture complex metallic sudden overhangs in weld-deposition based additive manufacturing
JPWO2020079796A1 (ja) 表示システム、付加製造装置および進捗表示方法
JP7232721B2 (ja) 造形物の製造方法、造形物の製造制御方法、造形物の製造制御装置、及びプログラム
JP2014117757A (ja) ロボット制御システムおよびロボット制御方法
WO2022234658A1 (ja) 数値制御装置および数値制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211026

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7203686

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150