一緒に混合されている2種の硬化性組成物を含む硬化性混合物が提供される。2種の硬化性組成物は、異なる波長の化学線放射に逐次に曝露することによって別々に硬化される。より具体的には、硬化性混合物は、第1の波長の化学線放射に曝露されると硬化して第1の硬化組成物を形成する第1の硬化性組成物を含む。硬化性混合物は、更に、第1の波長の化学線放射とは異なる第2の波長の化学線放射に曝露されると硬化する第2の硬化性組成物を含む。第2の硬化性組成物は、第1の波長の化学線放射に曝露されたときには硬化しない。
硬化性混合物を第1の波長の化学線放射に曝露することにより、第1の硬化性組成物は硬化され、部分硬化組成物が形成される。部分硬化組成物は、第1の硬化組成物及び第2の硬化性組成物を含む。部分硬化組成物を第2の波長の化学線放射に更に曝露することにより、第2の硬化性組成物が硬化される。得られた硬化組成物は、第1の硬化組成物及び第2の硬化組成物を含有する。
硬化性混合物は、典型的には、基材上に印刷され得る又は分注され得る。多くの実施形態において、硬化性混合物は、基材上のパターンへと印刷され得る又は分注され得る。パターンは、任意のサイズ、形状、及びデザインを有することができる。印刷されるために又は分注されるために、硬化性混合物は、典型的には、低剪断粘度を有する。この剪断粘度は、多くの従来の構造用接着剤の接着テープを形成するために用いられるホットメルト押出方法などの従来の方法で用いられるものよりもかなり低い。硬化性混合物の基材上への印刷又は分注は、いくつかの用途では、所望の形状を得るために部分硬化組成物の打抜きを回避することができるため、望ましい場合がある。
硬化性混合物は、通常、平行板粘度計を使用して測定したとき、100秒-1の剪断速度で150パスカル秒(Pa・s)以下の剪断粘度を有する。剪断粘度は、多くの場合、100秒-1の剪断速度で、140Pa・s以下、130Pa・s以下、120Pa・s以下、110Pa・s以下、105Pa・s以下、100Pa・s以下、95Pa・s以下、又は90Pa・s以下である。剪断粘度は、多くの場合、100秒-1の剪断速度で、少なくとも1Pa・s、少なくとも2Pa・s、少なくとも5Pa・s、少なくとも10Pa・s、又は少なくとも20Pa・sである。剪断粘度測定に関する更なる詳細は、実施例の項に含まれる。
硬化性混合物は、通常、0.1秒-1の剪断速度で1000パスカル秒(Pa・s)以下の剪断粘度を有する。剪断粘度は、多くの場合、0.1秒-1の剪断速度で、800Pa・s以下、600Pa・s以下、500Pa・s以下、400Pa・s以下、300Pa・s以下、又は200Pa・s以下である。剪断粘度は、多くの場合、0.1秒-1の剪断速度で、少なくとも5Pa・s、少なくとも10Pa・s、少なくとも20Pa・s、少なくとも50Pa・s、又は少なくとも100Pa・sである。剪断粘度測定に関する更なる詳細は、実施例の項に含まれる。
硬化性混合物の基材上への印刷又は分注は、いくつかの用途では、所望の形状を得るために部分硬化組成物の打抜きが不要であるため、望ましい場合がある。打抜きは、多くの場合、部分硬化組成物の形状又は寸法を変更してしまうことがあり、及び/又は製造プロセスに無駄を生じさせることがある。多くの実施形態において、部分硬化組成物は、実施例に記載されるように、クリープ回復百分率を測定することによって決定される良好な寸法安定性を有する。
硬化性混合物は、第1の硬化性組成物及び第2の硬化性組成物の両方を含有する。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトン(グラム/モル)の範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の放射線に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。印刷され得る又は分注され得る硬化性混合物を準備するために、構成成分を選択することができ、及び/又は他の構成成分を加えることができる。
本明細書で使用するとき、A及び/又はBという表現などにおける用語「及び/又は」は、Aのみ、Bのみ、又はAとBとの両方を意味する。
フリーラジカル光開始剤に関して本明細書で使用するとき、第1の波長の化学線放射に対して「感応性」であるということは、フリーラジカル光開始剤がフリーラジカルを形成することができるか、又は第1の波長の化学線放射に曝露されると「活性化」され得ることを意味する。
光酸発生剤に関して本明細書で使用するとき、第2の波長の化学線放射に対して「感応性」であるが第1の波長の化学線放射に対してはそうでないということは、光酸発生剤が、第2の波長の化学線放射に曝露されると酸を発生することができるか又は「活性化」され得るが、第1の波長の化学線放射に曝露されるとそうではないことを意味する。
本明細書で使用するとき、用語「有機溶媒」は、組成物中に存在して組成物の粘度を低下させることができる非反応性有機化合物を指す。有機溶媒は、硬化性混合物、第1の硬化性組成物、又は第2の硬化性組成物のモノマー又は他の反応性成分を含まない。
第1の硬化性組成物は、第2の硬化性組成物より先に硬化される。第1の硬化性組成物を硬化させるが第2の硬化性組成物を硬化させないと、第1の硬化組成物及び第2の硬化性組成物を含有する部分硬化組成物の形成がもたらされる。この部分硬化組成物は、典型的には、感圧接着剤である。
感圧テープ協議会は、感圧接着剤(pressure-sensitive adhesives、PSAs)は以下の特性を有する材料であると定義している:(1)強力かつ永久的な粘着性、(2)指の圧力以下での接着、(3)被着体に対する充分な保持力、及び(4)被着体からきれいに剥離されるだけの十分な凝集力。PSAとして良好に機能することが見出されている材料としては、所望のバランスの粘着性、剥離接着性、及び剪断保持力をもたらす、必要な粘弾性特性を示すように設計及び配合されたポリマーが挙げられる。PSAは、通常、室温(例えば、20℃)で粘着性であることを特徴とする。表面に対して単に粘着性である又は接着する材料はPSAとみなされず、PSAという用語は、追加の粘弾特性を有する材料を包含する。PSAは、室温での粘着性のためのダルキスト基準を満たす接着剤であり、典型的には、室温で、接着、凝集、伸展性、及び弾性を呈する。
部分硬化組成物は、感圧接着剤であるので、第1の基材に接着することができる。その後、部分硬化組成物を第2の波長の化学線放射に曝露して、第2の硬化性組成物の硬化を活性化させる。その後、第2の基材を、照射済み(すなわち、活性化された)部分硬化組成物に隣接して配置させる。硬化は進行し、第1の基材と第2の基材との間に硬化組成物が形成される。硬化組成物は、第1の基材を第2の基材に接着させる。
第1の波長の化学線放射及び第2の波長の化学線放射への逐次曝露後に形成された硬化組成物は、典型的には、構造用接着剤又は半構造用接着剤のいずれかである。本明細書で使用するとき、用語「半構造用接着剤」は、少なくとも0.60メガパスカル(MPa)又は少なくとも0.75MPaの重なり剪断強度を有する硬化組成物を指す。より好ましくは、重なり剪断強度は、少なくとも1.0MPa又は少なくとも1.5MPaである。しかしながら、特に高い重なり剪断強度を有するそれらの硬化組成物は、本明細書では「構造用接着剤」と称される。構造用接着剤は、少なくとも3.5MPa、少なくとも4.0MPa、少なくとも4.5MPa、又は少なくとも5MPaの重なり剪断強度を有する硬化組成物である。
硬化性組成物
第1の硬化性組成物
第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第1の波長の化学線放射は、多くの場合、電磁スペクトルの可視領域又は近紫外領域、例えば、380ナノメートル~800ナノメートルの範囲内である。化学線放射は、第1の波長への曝露によって第1の硬化性組成物中のフリーラジカル光開始剤は活性化されるが第2の硬化性組成物中の光酸発生剤は活性化されないように選択される。
少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマー
本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリロイル」基は、式CH2=CHR1-(CO)-の基を指し、式中、R1は、水素又はメチルである。(メタ)アクリロイル基は、R1がメチルである場合にメタクリロイル基であり、R1が水素である場合にアクリロイル基である。(メタ)アクリロイル基は、通常、式CH2=CHR1-(CO)-O-の(メタ)アクリロイルオキシ基、又は式CH2=CHR1-(CO)-NH-の(メタ)アクリロイルアミド基である。
用語「(メタ)アクリレートコポリマー」は、(メタ)アクリロイル基を有する複数の異なるモノマーから形成されるポリマー材料を指す。(メタ)アクリレートコポリマー中のモノマー単位の50重量%より多くが、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーから誘導される。いくつかの実施形態において、(メタ)アクリレートコポリマー中のモノマー単位のうちの少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は更に100重量%が、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーから誘導される。
少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、典型的には、本明細書で「前駆体(メタ)アクリレートコポリマー」と称される別の(メタ)アクリレートコポリマーから形成される。前駆体(メタ)アクリレートコポリマーは、典型的には、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを生成するために不飽和試薬化合物と反応することができる、ヒドロキシル基(-OH)、カルボン酸基(-(CO)OH)、又は無水物基(-(CO)-O-(CO-))などのペンダント基を有する。多くの実施形態において、前駆体(メタ)アクリレートコポリマー中のペンダント基は、ヒドロキシル基及び/又はカルボン酸基である。
本明細書で使用するとき、用語「不飽和試薬化合物」は、(メタ)アクリロイル基と、前駆体(メタ)アクリロイル基上でペンダントヒドロキシル基、ペンダントカルボン酸基、又はペンダント無水物基と反応可能であり、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを調製することができる相補基とを有する化合物を指す。
「少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマー」及び「ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマー」という語句は、互換的に使用される。
ペンダント(メタ)アクリロイル基は、連結基を介して(メタ)アクリレートコポリマーの主鎖に間接的に連結される。ペンダント基は、典型的には、式CH2=CHR1-(CO)-Q-L-のものであり、式中、Lは、連結基であり、式中、Qは、-O-又は-NH-であり、式中、R1は水素又はアルキル(例えば、メチル)である。L基は、少なくとも1つのアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含み、任意選択で更に、-O-、-O(CO)-、NH(CO)-、-NH-、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好適なアルキレン基(すなわち、アルキレンは、アルカンの二価の基である)は、多くの場合、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有する。好適なアリーレン基(すなわち、アリーレンは、炭素環式芳香族化合物の二価の基である)は、多くの場合、6~12個の炭素原子、6~10個の炭素原子、又は6個の炭素原子を有する。アリーレンは、多くの場合、フェニレンである。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーは、典型的には、(1)(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレート(すなわち、(ヘテロ)アルキルは、ヘテロアルキル、アルキル、又はその両方を指す)である第1のモノマー、及び(2)エチレン性不飽和基、及び不飽和試薬化合物と反応してペンダント(メタ)アクリロイル基を与える官能基を有する第2のモノマーとを含むモノマー組成物を含有する重合性組成物から形成される。全体的なモノマー組成物は、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが第2の硬化性組成物と混和性であるように選択される。(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレート第1のモノマーは、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの所望の弾性率及びガラス転移温度をもたらすように選択される。
例示的なアルキル(メタ)アクリレート第1のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、2-メチルブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2-オクチルデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びヘプタデカニル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的な分枝状アルキル(メタ)アクリレートは、PCT特許出願公開WO2011/119363(Clapper et al.)に記述される、12~32個の炭素原子を有するゲルベアルコールの(メタ)アクリル酸エステルである。
好適なヘテロアルキル(メタ)アクリレート第1のモノマーとしては、2つのアルキレン基の間のオキシ基を指す1つ以上のエーテル結合を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、ヘテロアルキルは、1個以上の酸素ヘテロ原子を含有する。一例は、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートである。他の例としては、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシル化アルキル(メタ)アクリレート、並びにポリ(エチレンオキシド)(メタ)アクリレート及びポリ(プロピレンオキシド)(メタ)アクリレートなどのポリ(アルキレンオキシド)(メタ)アクリレートが挙げられる。ポリ(アルキレンオキシド)アクリレートは、多くの場合、ポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレートと称される。これらのモノマーは、ヒドロキシル基又はアルコキシ基などの任意の適切な末端基を有することができる。例えば、末端基がメトキシ基である場合、モノマーは、メトキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートと称され得る。末端基がヒドロキシル基である場合、モノマーは官能性ヒドロキシル基を有する第2のモノマーとして分類される。
多くの実施形態において、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用される重合性組成物中のモノマー組成物は、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートを含有する。このモノマー組成物は、最大99.9重量%、最大99.5重量%、最大99重量%、最大98重量%、最大95重量%、最大90重量%、最大85重量%、最大80重量%、最大75重量%、最大70重量%、最大65重量%、又は最大60重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートを含有することができる。重量%値は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物中のモノマーの総重量に基づく。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物中に含まれる第2のモノマーは、エチレン性不飽和基、及び不飽和試薬化合物と反応してペンダント(メタ)アクリロイル基を与える官能基を有する。この官能基は、典型的には、ヒドロキシル(-OH)及び/又はカルボン酸(-(CO)OH)及び/又は無水物基(-(CO)-O-(CO)-)である。第2のモノマーの組み合わせを使用することができる。
カルボン酸基を有する有用な第2のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、及びβ-カルボキシエチルアクリレートが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する有用なモノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート);ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド及び3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド);並びにアリールオキシ置換ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシ-2-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート)が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドから誘導されるグリコールに基づくヒドロキシル官能性モノマーも使用することができる。これらのモノマーは、典型的には、400未満のヒドロキシル当量を有する。ヒドロキシル当量分子量は、モノマー化合物の分子量を、モノマー中のヒドロキシル基の数で割ったものとして定義される。エトキシル化ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートモノマーは、Sartomer(Exton,PA,USA)から商品名CD570、CD571、及びCD572で市販されている。ヒドロキシル末端ポリプロピレングリコールアクリレートの一例は、Cognis,Germanyから商品名BISOMER PPA 6で市販されている。
無水物基を有する有用な第2のモノマーとしては、無水マレイン酸及びメタクリル酸無水物が挙げられる。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物は、多くの場合、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、かつ最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、若しくは最大5重量%の第2のモノマーを含有する。第2のモノマーの量は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物中のモノマーの総重量に基づく。
様々な任意選択の(メタ)アクリレートモノマーが、モノマー混合物中に含まれ得る。いくつかの任意の(メタ)アクリレートモノマーは、芳香族基を有する。例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-(フェニルチオ)エチルアクリレート、2-フェニルフェノキシエチルアクリレート、2-ビフェニルヘキシル(メタ)アクリレート、及び2-(ビフェニル)エチルアクリレートが挙げられる。
他の任意選択のモノマーは、(メタ)アクリロイル基ではないビニル基を有する。例としては、ビニルエーテル、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)、オレフィン系モノマー(例えば、エチレンプロピレン、若しくはブチレン)、スチレン、スチレン誘導体(例えば、α-メチルスチレン)などが挙げられる。
これらの任意選択のモノマーのいずれもが所望の量で存在することができるが、典型的には、モノマー組成物は、0~20重量%の任意選択のモノマーを含有する。いくつかの実施形態において、モノマー組成物は、15重量%未満、10重量%未満、又は5重量%未満の任意選択のモノマーを含有するが、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%の任意選択のモノマーを含有することができる。重量%値は、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づく。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーは、典型的には架橋されない。したがって、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物は、典型的には、例えば、複数の(メタ)アクリロイル基を有する架橋モノマーなどの架橋モノマーを含まないか又は実質的に含まない。本明細書で使用するとき、架橋モノマーに関する用語「実質的に含まない」は、モノマー組成物が含有する架橋モノマーが、典型的には、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.02重量%未満、又は0.01重量%未満であることを意味する。重量%値は、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づく。
多くの実施形態において、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを調製するために使用されるモノマー組成物は、50~99.9重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー、0.1~30重量%の、エチレン性不飽和基、及び不飽和試薬化合物と反応してペンダント(メタ)アクリロイル基を与える官能基を有する第2のモノマー、0~20重量%の任意選択のモノマーを含有する。多くの実施形態において、モノマー混合物は、70~99.9重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーと0.1~30重量%の第2のモノマー、70~99重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーと1~30重量%の第2のモノマー、75~99重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーと1~25重量%の第2のモノマー、75~98重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーと2~25重量%の第2のモノマー、80~99重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーと1~20重量%の第2のモノマー、又は80~98重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーと2~20重量%の第2のモノマーを含有する。重量%値は、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づく。
連鎖移動剤が、多くの場合、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーの分子量を制御するために重合性組成物中に含まれる。好適な連鎖移動剤としては、四臭化炭素、ヘキサブロモエタン、ブロモトリクロロメタン、2-メルカプトエタノール、tert-ドデシルメルカプタン、イソオクチルチオグリコレート、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、クメン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社から商品名KARENZ MT PE1で入手可能)、エチレングリコールビスチオグリコレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。選択される連鎖移動剤の反応性に応じて、連鎖移動剤の量は、多くの場合、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて、0~5重量%の範囲である。いくつかの実施形態において、連鎖移動剤の量は、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.3重量%、又は少なくとも0.5重量%であり、かつ、最大4.5重量%、最大4重量%、最大3.5重量%、最大3重量%、最大2.5重量%、最大2重量%、最大1.5重量%、又は最大1重量%である。
フリーラジカル開始剤は、典型的には、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用される。フリーラジカル開始剤は、光開始剤であってもよく、熱開始剤であってもよい。複数の光開始剤又は複数の熱開始剤を使用することができる。フリーラジカル開始剤の量は、典型的にはより低い分子量のポリマー材料を生成するより大きい量で、重量平均分子量に影響を及ぼし得る。前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用される重合性組成物中のフリーラジカル開始剤の量は、多くの場合、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、少なくとも0.05重量%である。いくつかの実施形態において、フリーラジカル開始剤の量は、通常、モノマーの総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.05重量%、又は少なくとも0.1重量%である。この量は、モノマーの総重量に基づいて、最大5重量%、最大4重量%、最大3重量%、最大2重量%、最大1.5重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.3重量%、最大0.2重量%、又は最大0.1重量%とすることができる。
好適な熱開始剤としては、Chemours Co.(Wilmington,DE,USA)から商品名VAZOで市販されているものなどの様々なアゾ化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)であるVAZO67、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)であるVAZO64、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)であるVAZO52、及び1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)であるVAZO88;ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-クミルペルオキシド、及びAtofina Chemical,Inc.(Philadelphia,PA,USA)から商品名LUPERSOL(例えば、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンであるLUPERSOL 101、及び2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンであるLUPERSOL 130)で市販されているペルオキシドなどの様々なペルオキシド;tert-アミルヒドロペルオキシド及びtert-ブチルヒドロペルオキシドなどの様々なヒドロペルオキシド;並びにこれらの混合物が挙げられる。
多くの実施形態において、光開始剤は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用される。いくつかの例示的な光開始剤は、ベンゾインエーテル(例えばベンゾインメチルエーテル若しくはベンゾインイソプロピルエーテル)、又は置換ベンゾインエーテル(例えばアニソインメチルエーテル)である。他の例示的な光開始剤は、2,2-ジエトキシアセトフェノン、又は2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(商品名IRGACURE 651でBASF Corp.(Florham Park,NJ,USA)から、又は商品名ESACURE KB-1でSartomer(Exton,PA,USA)から市販されている)などの置換アセトフェノンである。更に別の例示的な光開始剤は、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換アルファ-ケトール、2-ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド、及び1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシムである。他の好適な光開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名IRGACURE 184で市販されている)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商品名IRGACURE 819で市販されている)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(商品名IRGACURE 2959で市販されている)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン(商品名IRGACURE 369で市販されている)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(商品名IRGACURE 907で市販されている)、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名DAROCUR 1173でCiba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY,USA)から市販されている)が挙げられる。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するための重合性組成物の重合は、有機溶媒の存在下で、又は有機溶媒なしで生じ得る。有機溶媒が重合性組成物中に含まれる場合、この量は、多くの場合、所望の粘度をもたらすように選択される。好適な有機溶媒の例としては、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの有機溶媒は、単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。多くの実施形態において、重合は、少量の有機溶媒で又は有機溶媒なしで生じる。すなわち、重合性組成物は、有機溶媒を含まない、又は最小限の量の有機溶媒のみを含む。使用される場合、有機溶媒は、多くの場合、重合性組成物の総重量に基づいて、10重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満の量で存在する。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーは、任意の好適な方法を用いて重合性組成物から形成することができる。重合は、一段階又は多段階で生じ得る。つまり、モノマー及び/又は熱開始剤の全て又は一部分を好適な反応容器内に投入し、重合させることができる。例えば、有機溶媒及び熱開始剤を含有する重合性組成物を混合し、50℃~100℃の範囲などの高温で、数時間加熱することができる。
いくつかの実施形態において、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、米国特許第5,986,011号(Ellis et al.)及び同第5,637,646号(Ellis)に記載に記載の断熱的方法を用いて調製される。この重合方法では、少なくとも1種の熱開始剤を含む重合性組成物が反応容器内に密封される。内容物は混合され、酸素がパージされ、まだ誘導温度になっていない場合には、その後、誘導温度に加温される。誘導温度は、通常、40℃~75℃の範囲であり、モノマー、開始剤、及び開始剤の使用量などの様々な因子に依存する。重合は、100℃~200℃の範囲のピーク反応温度を有する本質的に断熱条件下で実施される。工程間の任意選択の冷却を伴う複数の反応工程を用いて、各連続工程での重合転化率を増大させ、分子量を制御することができる。任意選択で、様々な反応成分が複数の工程において加えられて、得られたポリマー材料の特性(例えば、分子量、分子量分布、及びポリマー組成)を制御することができる。
前駆体(メタ)アクリレートが調製されると、それは不飽和試薬化合物と反応して、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを提供する。不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基、及び前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのペンダント官能基と反応する相補官能基を含有する。概して、この反応は、環開環、付加反応、又は縮合反応によって反応する、求核性官能基と求電子性官能基との間のものである。前駆体(メタ)アクリレートコポリマー上の官能基と、不飽和試薬化合物の相補官能基とが反応すると、得られた(メタ)アクリレートコポリマーは、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有することになる。
ペンダント(メタ)アクリロイル基を組み込むこの「間接的方法」を用いるときに、前駆体(メタ)アクリレートコポリマー上の好ましい反応性官能基としては、ヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基が挙げられる。前駆体のペンダント反応性官能基がヒドロキシル基を含む場合、不飽和試薬化合物の相補的官能基は、典型的には、カルボン酸、イソシアナト、エポキシ、又は無水物基である。前駆体のペンダント反応性官能基がカルボン酸基を含む場合、不飽和試薬化合物の相補的官能基は、典型的には、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナト基、アジリジノ基、アゼチジノ基、又はオキサゾリニル基である。前駆体のペンダント基が無水物を含む場合、不飽和試薬化合物の相補的官能基は、ヒドロキシル基又はアミノ基であり得る。
特定の実施形態において、ペンダント(メタ)アクリロイル基は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマー中のヒドロキシル基と、不飽和試薬化合物としての、イソシアナトエチル(メタ)アクリレートとの間の反応から形成され得る。特定の実施形態において、ペンダント(メタ)アクリロイル基は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマー中のカルボン酸と、不飽和試薬化合物としての、グリシジル(メタ)アクリレートとの反応から形成され得る。特定の他の実施形態において、ペンダント(メタ)アクリロイル基は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマー中の無水物基と、不飽和試薬化合物としての、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル官能性モノマーとの間に形成され得る。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーと不飽和試薬化合物との間の反応は、多くの場合、室温で、又は最大150℃若しくは更に高い温度、最大120℃、最大100℃、最大90℃、最大80℃、最大60℃、又は最大40℃の温度などの高温で生じる。更に、この反応は、多くの場合、いくらかの酸素の存在下で生じ、それは、酸素はラジカル伝播を阻害することができるためである。例えば、窒素の酸素に対する容積比は、多くの場合、約90:10である。
前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのペンダント反応性官能基の全て又は任意の部分を、不飽和試薬化合物と反応させることができる。最大100モル%、最大95モル%、最大90モル%、最大85モル%、最大80モル%、最大75モル%、最大70モル%、最大60モル%、最大50モル%、最大40モル%、最大30モル%、又は最大20モル%、かつ少なくとも1モル%、少なくとも2モル%、少なくとも5モル%、少なくとも7モル%、少なくとも10モル%、少なくとも12モル%、少なくとも15モル%、又は少なくとも20モル%の、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのペンダント反応性官能基を不飽和試薬化合物と反応させる。不飽和試薬化合物と反応した後の残りのペンダント反応性官能基は、多くの場合、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの、第2の硬化性組成物の構成成分などの硬化性混合物の他の構成成分との混和性を促進する。
換言すれば、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、多くの場合、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、又は少なくとも5重量%、かつ最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位を含有する。
いくつかの実施形態において、前駆体(メタ)アクリレートコポリマー中のペンダント反応性官能基は、ヒドロキシル基及び/又はカルボン酸基である。これらのヒドロキシル基及び/又はカルボン酸基の一部が不飽和試薬化合物と反応した後に残存する場合、ヒドロキシル基及び/又はカルボン酸基は、第1の硬化性組成物と第2の硬化性組成物との間の混和性を改善することができる。加えて、ヒドロキシル基及び/又はカルボン酸基は、第2の硬化性組成物中のエポキシ樹脂と反応することができる。これにより、第1の硬化組成物と第2の硬化組成物との間に架橋ネットワークの形成がもたらされ得る。ネットワークの形成は、硬化組成物の重なり剪断強度を向上させることができる。
1鎖当たり少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基が、平均的に存在する。いくつかの実施形態において、平均して、1鎖当たり少なくとも3つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも20、又は少なくとも25のペンダント(メタ)アクリロイル基が存在する。1鎖当たりのペンダント(メタ)アクリロイル基の数は、最大450以上、最大400、最大350、最大300、最大250、最大200、最大150、最大100、最大75、最大70、最大65、最大60、最大55、最大50、最大45、最大40、最大35、又は最大30とすることができる。ペンダント基が多すぎる場合、第1の硬化性組成物を硬化させることによって形成された部分硬化組成物は、感圧接着剤として良好に機能するためには過度に高度に架橋され得る。すなわち、部分硬化組成物は、十分な粘着性を有さなくてもよく、又はそれに適用される基材を、十分に接着するために十分濡らさなくてもよい。存在し得るペンダント基の数は、硬化性混合物の全体的な組成に依存する。ペンダント基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの量が硬化性混合物中で減少する場合、より多数のペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを、過度に高度に架橋された部分硬化組成物を形成することなく、使用することができる。
ペンダント(メタ)アクリロイル基の数は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのグラム/モルでの重量平均分子量(A)、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマー単位のグラムでの重量%(B)、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は不飽和試薬化合物と反応する無水物基を有するモノマー単位のモル分率(C)、及びペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマー単位のグラム/モルでの分子量(D)に基づいて計算することができる。より具体的には、1鎖当たり(メタ)アクリロイル基の数は、(A)(B)(C)÷(D)に等しく、式中、(A)、(B)、(C)、及び(D)は、上に定義したものである。
あるいは、ペンダント(メタ)アクリロイル基の数は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのグラム/モルでの重量平均分子量(A)、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーと反応した不飽和試薬化合物のモル(E)、及び不飽和試薬化合物で処理された前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのグラムでの量(F)に基づいて計算することができる。より具体的には、1鎖当たり(メタ)アクリロイル基の数は、(A)(E)÷(F)に等しく、式中、(A)、(E)、及び(F)は、上に定義したものである。
いくつかの実施形態において、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、多くの場合、50~99.9重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、0.1~30重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~29.9重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の、上に定義した任意選択のモノマーから誘導されるモノマー単位を含有する。例えば、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、多くの場合、70~99.9重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、0.1~30重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~29.9重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の、任意選択のモノマーから誘導されるモノマー単位を含有する。量値は、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの総重量に基づく。
他の実施形態において、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、多くの場合、70~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~30重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~29重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の、任意選択のモノマーから誘導されるモノマー単位を含有する。例えば、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、70~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~20重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~29重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の、任意のモノマーから誘導されるモノマー単位を含有することができる。他の例において、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、70~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~10重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~29重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の、任意選択のモノマーから誘導されるモノマー単位を有する。なおも他の例において、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、70~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~5重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~29重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の、任意選択のモノマーから誘導されるモノマー単位を有する。
他の例において、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、80~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~20重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~19重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位を含有することができる。他の例において、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、80~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~10重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~19重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位を有する。なおも他の例において、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、80~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~5重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~19重量%の、ペンダントヒドロキシル基、又はカルボン酸基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位を有する。
ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、典型的には、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。重量平均分子量は、典型的には、実施例に記載のゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの重量平均分子量が35,000ダルトン未満である場合、最終硬化組成物の重なり剪断強度は、許容できないほど低くなり得る。しかしながら、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの重量平均分子量が高すぎる場合、硬化性混合物の粘度は、許容できないほど高くなり得る。ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの重量平均分子量は、多くの場合、少なくとも40,000ダルトン、少なくとも60,000ダルトン、少なくとも80,000ダルトン、少なくとも100,000ダルトンであり、かつ最大275,000ダルトン、最大250,000ダルトン、最大200,000ダルトン、最大175,000ダルトン、最大150,000ダルトン、又は最大125,000ダルトンとすることができる。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は、35,000~300,000ダルトン、50,000~300,000ダルトン、35,000~250,000ダルトン、50,000~250,000ダルトン、又は100,000~250,000ダルトンの範囲である。
ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーのガラス転移温度は、モノマー単位の量及び固有性に基づいて、Fox式を用いて測定することができる。
1/Tg mix=Σwi/Tgi
この式中、Tg mixは、混合物のガラス転移温度を指し、これは、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを、又は少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを、指すことができる。Tgiは、各構成成分i(すなわち、各構成成分は、コポリマー中の異なるモノマー単位である)のガラス転移温度であり、wiは、各構成成分iの質量分率である。TgiとTg mixとの両方が、Fox式の目的のためにケルビン度にあるが、多くの場合、セ氏度で報告される。各構成成分(例えば、モノマー)のガラス転移温度は、そのモノマーから形成されたホモポリマーのガラス転移温度である。Fox式及びその使用についての更なる情報は、例えば、Hiemenz and Lodge,Polymer Chemistry,Second Edition,2007,pp.492-495などの、ポリマー材料に関する様々な参照文献に見出すことができる。ホモポリマーのガラス転移温度の表は、例えば、Sigma-Aldrich,Polyscience及びBASFなどの様々なモノマー供給元から入手可能である。ほとんどの実施形態において、前駆体(メタ)アクレレートコポリマーのガラス転移温度、並びにペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーのガラス転移温度は、40℃以下、20℃以下、10℃以下、0℃以下、-10℃以下、又は-20℃以下である。
硬化性混合物は、典型的には、硬化性混合物の総重量に基づいて、少なくとも2重量%の、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを含有する。硬化性混合物が、2重量%未満のこのコポリマーを含有する場合、感圧接着剤である部分硬化組成物は、十分な保持力又は凝集力を有していないことがある。硬化性混合物は、典型的には、最大75重量%の、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを含有する。硬化性混合物が75重量%より多くのこのコポリマーを含有する場合、この部分硬化組成物は、多くの場合、過度に高度に架橋され、十分に粘着性でなく、それが適用される基材の表面を適切に濡らさない感圧接着剤である。更に、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの量が多すぎると、十分な重なり剪断強度を有する硬化組成物の調製をもたらすには不十分な量のエポキシ樹脂が存在し得る。
いくつかの実施形態において、硬化性混合物は、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも7重量%、少なくとも8重量%、又は少なくとも10重量%の、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを含有する。この量は、最大75重量%、最大70重量%、最大65重量%、最大60重量%、最大55重量%、最大50重量%、最大45重量%、最大40重量%、最大35重量%、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、又は最大15重量%とすることができる。いくつかの例において、この量は、2~75重量%、2~70重量%、2~60重量%、2~50重量%、2~40重量%、2~30重量%、4~70重量%、4~60重量%、4~50重量%、4~40重量%、4~30重量%、5~60重量%、5~50重量%、5~40重量%、8~60重量%、8~50重量%、8~40重量%、10~60重量%、10~50重量%、又は10~40重量%の範囲である。この量は、硬化性混合物の総重量に基づく。
フリーラジカル光開始剤
ペンダント(メタ)アクリロイル基の、(メタ)アクリレートコポリマーにおける反応を開始するために、フリーラジカル光開始剤が加えられる。フリーラジカル光開始剤は、それが第1の波長の化学線放射に感応性であるように選択される。第1の波長は、第1の硬化性組成物中のフリーラジカル光開始剤を活性化するが、第2の硬化性組成物中に含まれる光酸発生剤を活性化しないように選択される。第1の波長の化学線放射は、200~800ナノメートルの波長範囲であり、フリーラジカル光開始剤は、この波長範囲内の化学線放射に曝露されたときにそれがフリーラジカルを発生させることができるように選択される。多くの実施形態において、第1の波長の化学線放射は、電磁スペクトルの可視領域内又は近紫外領域内にあり、フリーラジカル光開始剤は、それが、少なくとも380ナノメートル、例えば380~800ナノメートル、380~600ナノメートル、380~500ナノメートル、380~450ナノメートル、380~420ナノメートル、又は380~415ナノメートルの範囲の波長で活性化されるように選択される。
好適なフリーラジカル光開始剤の例としては、アルファアミノケトン、アルファヒドロキシケトン、ホスフィンオキシド(例えば、アシルホスフィンオキシド)、フェニルグリオキサレート、チオキサントン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、オキシムエステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(BASFから商品名IRGACURE 651で市販されている)などの置換アセトフェノン、アミン相乗剤、マレイミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
多くの実施形態において、フリーラジカル光開始剤は、例えば、米国特許第4,737,593号(Ellrich et al.)に記載のものなどのアシルホスフィンオキシドである。アシルホスフィンオキシドは、多くの場合、式(I)又は(II)のものである。
式(I)及び(II)中、各R1は、独立に、1~18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状アルキル、5~6個の環員を有するシクロアルキル(すなわち、シクロペンチル及びシクロヘキシル)、置換シクロアルキル、アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、及びナフチル)、置換アリール、又は5個若しくは6個の環員を有し、かつ1個以上の硫黄、窒素、又は酸素ヘテロ原子を有する複素環である。置換アリール基及び置換シクロアルキル基に好適な置換基としては、ハロ基(例えば、F、Cl、Br、及びI)、アルキル基(例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、若しくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基)、又はアルコキシ基(例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルコキシ基)が挙げられる。
式(I)及び(II)中の各R2、及び式(I)中の各R3は、独立に、5~6個の環員を有するシクロアルキル(すなわち、シクロペンチル及びシクロヘキシル)、置換シクロアルキル、アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、及びナフチル)、置換アリール、又は1個以上の硫黄、窒素、若しくは酸素ヘテロ原子を有し、5個又は6個の環員を有する複素環である。置換アリール基及び置換シクロアルキル基に好適な置換基としては、ハロ基(例えば、F、Cl、Br、及びI)、アルキル基(例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、若しくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基)、又はアルコキシ基(例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルコキシ基)が挙げられる。式(I)中のR2基及びR3基は、結合して、1つ以上のアルキル基(例えば、1~6つのアルキル基)で任意選択で置換され得る、4~10個の炭素原子を含有する環を形成することができる。
いくつかの実施形態において、アシルホスフィンは、式(I)のものであり、式中、R1はアリールであり、R2は、アルキル又はアルコキシで置換されたアリールであり、R3は、アルキル又はアルコキシで置換されたアリールである。いくつかの特定の実施形態において、アシルホスフィンは、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドであり、これは、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 819で市販されている。
他の実施形態において、アクリルホスフィンは、式(II)のものであり、式中、各R1は、任意のアリールであり、R2は、アルキル又はアルコキシで置換されたアリールである。例えば、アシルホスフィンは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドとすることができ、これはMillipore Sigma(旧Sigma Aldrich)(St.Louis,MO,USA)から商品名TPOで市販されている。
なおも他の実施形態において、アシルホスフィンは、式(II)のものであり、式中、第1のR1はアリールであり、第2のR1はアルキルであり、R2はアルキルで置換されたアリールである。例えば、アシルホスフィンは、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートとすることができ、これは、Lambson,Wetherby,West Yorkshire,Englandから商品名TPO-Lで市販されている。
部分硬化組成物を提供するために使用されるフリーラジカル光開始剤は、概して、硬化性混合物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.02重量%、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%に等しい量で存在する。フリーラジカル光開始剤は、硬化性混合物の総重量に基づいて、最大5重量%、最大3量%、最大2重量%、又は最大1重量%の量で使用することができる。いくつかの実施形態において、この量は、硬化性混合物の総重量に基づいて、0.01~5重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~2重量%の範囲である。
任意選択のモノマー
任意選択のフリーラジカル重合性モノマーを、所望であれば、第1の硬化性組成物中に含めることができる。これらのモノマーは、様々な理由で加えることができ、例えば、硬化性組成物の粘度を低下させるため、又は架橋モノマーを加えることによって硬化組成物の重なり剪断強度を更に向上させるためである。
いくつかの実施形態において、加えられるモノマーは、硬化性混合物の粘度を低下させるために加えられる(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートである。すなわち、このモノマーは、有機溶媒を加えるというよりも、又は加えられる有機溶媒の量を最小限にするために、加えられる。このモノマーは、硬化性混合物中の他の構成成分と混和性であるように選択される。上記の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーのいずれかを使用することができる。いくつかの実施形態において、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーの調製後であるが前駆体(メタ)アクリレートコポリマーと不飽和試薬化合物との反応前に、任意選択の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーが加えられる。不飽和試薬化合物との反応は高温で生じることが多いため、この反応中に蒸発しないことになるモノマーが、多くの場合、選択される。すなわち、任意選択の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートは、多くの場合、60℃より高い、70℃より高い、80℃より高い、又は90℃より高い沸点を有するように選択される。好適な例としては、環状アルキル(メタ)アクリレート、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
任意選択の多官能性(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートの量は、多くの場合、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの総重量に基づいて、0~50重量%の範囲である。いくつかの実施形態において、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の任意選択の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートが存在する。その量は、最大45重量%、最大40重量%、最大35重量%、最大30重量%、最大25重量%、又は最大20重量%とすることができる。いくつかの実施形態では、任意選択の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートの量は、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、1~50重量%、2~50重量%、5~50重量%、0~40重量%、1~40重量%、5~40重量%、5~35重量%、0~30重量%、1~30重量%、5~30重量%、1~25重量%、5~25重量%、10~50重量%、10~40重量%、10~30重量%、10~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、2~10重量%、2~8重量%、又は2~6重量%の範囲である。
架橋モノマーを、第1の硬化性組成物に加えることができる。架橋モノマーは、少なくとも2つの、典型的には(メタ)アクリロイル基であるフリーラジカル重合性基を有する。2つの(メタ)アクリロイル基を有する架橋モノマーの例としては、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。3つの(メタ)アクリロイル基を有する架橋モノマーの例としては、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する架橋モノマーの例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
任意選択の架橋モノマーの量は、多くの場合、硬化性混合物の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲である。いくつかの実施形態において、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、又は少なくとも3重量%で存在し、かつその量は、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、又は最大5重量%とすることができる。いくつかの実施形態において、任意選択の架橋モノマーの量は、1~10重量%、2~10重量%、0~8重量%、1~8重量%、2~8重量%、0~6重量%、1~6重量%、2~6重量%、0~5重量%、1~5重量%、又は2~5重量%の範囲である。
第2の硬化性組成物
第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。第2の硬化性組成物は、第1の硬化性組成物と混和性である。すなわち、第1の硬化性組成物の構成成分と第2の硬化性組成物の構成成分との間に相分離はない。第2の波長の化学線放射は、多くの場合、電磁スペクトルの紫外領域内にある。
エポキシ樹脂
第2の硬化性組成物中に包含されるエポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも1つのエポキシ官能基(すなわち、オキシラン基)を有する。本明細書で使用するとき、用語「オキシラン基」は、以下の二価の基を指す。
アスタリスクは、オキシラン基と他の基との結合部位を示す。オキシラン基がエポキシ樹脂の末端位置にある場合、オキシラン基は通常、水素原子に結合している。
この末端オキシラン基は、多くの場合(かつ好ましくは)、グリシジル基の一部である。
エポキシ樹脂は、多くの場合、1分子当たり少なくとも1つのオキシラン基を有し、かつ多くの場合、1分子当たり少なくとも2つのオキシラン基を有する。例えば、エポキシ樹脂は、1分子当たり1~10個、2~10個、1~6個、2~6個、1~4個、又は2~4個のオキシラン基を有することができる。オキシラン基は、通常、グリシジル基の一部である。
エポキシ樹脂は、硬化前に所望の粘度特性をもたらすように、かつ硬化後に所望の機械的特性をもたらすように選択される、単一の材料であってもよく、材料の混合物であってもよい。エポキシ樹脂が複数の材料の混合物である場合、混合物中のエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つは、典型的には、1分子当たり少なくとも2つのオキシラン基を有するように選択される。例えば、混合物中の第1エポキシ樹脂は、2~4個のオキシラン基を有することができ、混合物中の第2エポキシ樹脂は1~4個のオキシラン基を有することができる。これらの例のうちのいくつかでは、第1のエポキシ樹脂は、2~4つのグリシジル基を有する第1のグリシジルエーテルであり、第2のエポキシ樹脂は、1~4個のグリシジル基を有する第2のグリシジルエーテルである。
エポキシ樹脂分子のうちのオキシラン基ではない部分(すなわち、エポキシ樹脂分子からオキシラン基を差し引いたもの)は、芳香族、脂肪族、又はこれらの組み合わせであることができ、直鎖、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせとすることができる。エポキシ樹脂の芳香族及び脂肪族部分は、ヘテロ原子、又はオキシラン基と反応しない他の基を含むことができる。すなわち、エポキシ樹脂は、ハロ基、エーテル結合基中などのオキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基などを含むことができる。エポキシ樹脂はまた、ポリジオルガノシロキサンベースの材料などのシリコーンベースの材料であり得る。
エポキシ樹脂は、任意の好適な分子量を有することができるが、重量平均分子量は、通常、少なくとも100ダルトン、少なくとも150ダルトン、少なくとも175ダルトン、少なくとも200ダルトン、少なくとも250ダルトン、又は少なくとも300ダルトンである。重量平均分子量は、最大1000ダルトンとすることができ、又は高分子エポキシ樹脂では更に高くなり得る。重量平均分子量が高すぎる場合、硬化性混合物は、印刷及び/又は分注に粘稠すぎることがあり、又は曳糸性であることがある。重量平均分子量は、多くの場合、最大900ダルトン、最大800ダルトン、最大700ダルトン、最大600ダルトン、又は最大500ダルトンである。例えば、重量平均分子量は、100~1000ダルトン、100~800ダルトン、100~600ダルトン、100~500ダルトン、200~1000ダルトン、200~800ダルトン、200~600ダルトン、200~500ダルトン、300~1000ダルトン、300~800ダルトン、300~600ダルトン、又は300~500ダルトンの範囲であり得る。
エポキシ樹脂の当量は、エポキシの1当量を含有するグラム単位での樹脂の重量を指し、多くの場合、500グラム/当量以下、450グラム/当量以下、400グラム/当量以下、375グラム/当量以下、350グラム/当量以下、325グラム/当量以下、300グラム/当量以下、275グラム/当量以下、又は250グラム/当量以下であり、多くの場合、少なくとも50グラム/当量、少なくとも75グラム/当量、少なくとも100グラム/当量、少なくとも125グラム/当量、又は少なくとも150グラム/当量である。いくつかの実施形態において、当量は、多くの場合、50~500グラム/当量、100~400グラム/当量、100~300グラム/当量、又は150~250グラム/当量の範囲である。
好適なエポキシ樹脂は、典型的には、室温(例えば、約20℃~約25℃)で液体である。しかしながら、エポキシ樹脂の組み合わせを使用することができる。望ましくはないものの、室温で液体でないエポキシ樹脂は、それらが、硬化性混合物が印刷又は分注に好適な粘度を有するように好適な有機溶媒又は硬化性混合物の他の構成成分に溶解することができるのであれば、使用してもよい。ほとんどの実施形態では、エポキシ樹脂はグリシジルエーテルである。例示的なグリシジルエーテルは、式(III)のものであり得る。
式(III)中、R
4基は、芳香族、脂肪族、又はこれらの組み合わせであるp価の基である。R
4基は、直鎖、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせとすることができる。R
4基は、任意選択で、ハロ基、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基などを含むことができる。変数pは任意の好適な1以上の整数であり得るが、pは、多くの場合、2~4の範囲の整数である。多くの実施形態において、pは2に等しい。
いくつかの例示的な式(III)のエポキシ樹脂において、変数pは2に等しく(すなわち、エポキシ樹脂はジグリシジルエーテルである)、R4は、アルキレン(すなわち、アルキレンはアルカンの二価の基であり、アルカン-ジイルと称され得る)、ヘテロアルキレン(すなわち、ヘテロアルキレンはヘテロアルカンの二価の基であり、ヘテロアルカン-ジイルと称され得る)、アリーレン(すなわち、アレーン化合物の二価の基)、又はこれらの混合物を含む。好適なアルキレン基は、多くの場合、1~20個の炭素原子、1~12個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキレン基は、多くの場合、2~50個の炭素原子、2~40個の炭素原子、2~30個の炭素原子、2~20個の炭素原子、2~10個の炭素原子、又は2~6個の炭素原子を有する。ヘテロアルキレン中のヘテロ原子は、多くの場合、オキシ基である。好適なアリーレン基は、多くの場合、6~18個の炭素原子、又は6~12個の炭素原子を有する。例えば、アリーレンは、フェニレンであり得る。R4基は、ハロ基、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基などを、更に任意選択で含むことができる。
式(III)のいくつかのエポキシ樹脂は、ジグリシジルエーテルであり、式中、R4は、(a)アリーレン基、又は(b)アリーレン基と、アルキレン、ヘテロアルキレン、若しくはこれらの両方との組み合わせを含む。R4基は、ハロ基、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基などの任意選択の基を更に含むことができる。これらのエポキシ樹脂は、例えば、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する芳香族化合物を、過剰のエピクロロヒドリンと反応させることにより、調製することができる。少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有用な芳香族化合物の例としては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、p,p’-ジヒドロキシジベンジル、p,p’-ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシフェニルスルホン、及びp,p’-ジヒドロキシベンゾフェノンが挙げられるが、これらに限定されない。なおも他の例としては、ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルプロピレンフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルエタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルジシクロヘキシルメタン、及びジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンの2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’及び4,4’異性体が挙げられる。
式(III)のいくつかの市販のジグリシジルエーテルエポキシ樹脂は、ビスフェノールA(すなわち、ビスフェノールAは、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタンである)から誘導される。例としては、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(Houston,TX)から商品名EPON(例えば、EPON 828、EPON 872、及びEPON 1001)で入手可能なもの、Dow Chemical Co.(Midland,MI)から商品名DER(例えば、DER 331、DER 332、DER 336)で入手可能なもの、並びに、大日本インキ化学工業株式会社(日本、千葉)から商品名EPICLON(例えば、EPICLON 850)で入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。他の市販のジグリシジルエーテルエポキシ樹脂は、ビスフェノールF(すなわち、ビスフェノールFは、2,2’-ジヒドロキシジフェニルメタンである)から誘導される。例としては、Dow Chemical Co.から商品名DER(例えば、DER 334)で入手可能なもの、及び大日本インキ化学工業株式会社から商品名EPICLON(例えば、EPICLON 830)で入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
式(III)の他のエポキシ樹脂は、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテルである。これらのエポキシ樹脂は、ポリ(アルキレングリコール)ジオールのジグリシジルエーテルと称され得る。変数pは2に等しく、R4は、酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンである。ポリ(アルキレングリコール)は、コポリマー又はホモポリマーであり得る。例としては、ポリ(エチレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテル、及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。この種のエポキシ樹脂は、Polysciences,Inc.(Warrington,PA,USA)から市販されており、例えば、約400ダルトン、約600ダルトン、又は約1000ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(エチレンオキシド)ジオールから、又はポリ(プロピレンオキシド)ジオールから誘導されるものである。
式(III)のなおも他のエポキシ樹脂は、アルカンジオールのジグリシジルエーテル(R4はアルキレンであり、変数pは2に等しい)である。例としては、1,4-ジメタノールシクロヘキシルのジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、並びにHexion Specialty Chemicals,Inc.(Houston,TX,USA)からの商品名EPONEX 1510で市販されているものなどの、水素化ビスフェノールAから形成される脂環式ジオールのジグリシジルエーテルが挙げられる。
なおも他のエポキシ樹脂としては、少なくとも2つのグリシジル基を有するシリコーン樹脂、及び少なくとも2つのグリシジル基を有する難燃性エポキシ樹脂(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から商品名DER 580で市販されているものなどの、少なくとも2つのグリシジル基を有する臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂)が挙げられる。
エポキシ樹脂は、多くの場合、材料の混合物である。例えば、エポキシ樹脂は、硬化前に、所望の粘度又は流動特性をもたらす混合物であるように選択され得る。混合物は、より低い粘度を有する反応性希釈剤と称される少なくとも1つの第1のエポキシ樹脂と、より高い粘度を有する少なくとも1つの第2のエポキシ樹脂とを含むことができる。反応性希釈剤は、エポキシ樹脂混合物の粘度を低下させる傾向があり、多くの場合、飽和している分枝状主鎖又は飽和している若しくは不飽和である環状主鎖のいずれかを有する。例としては、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、及びトリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルは、Hexion Specialty Chemicals(Columbus,OH,USA)から商品名HELOXY MODIFIER 107で、及びAir Products and Chemical Inc.(Allentown,PA,USA)から商品名EPODIL 757で市販されている。他の反応性希釈剤は、様々なモノグリシジルエーテルなどの官能基(すなわち、オキシラン基)を1つのみ有する。いくつかの例示的なモノグリシジルエーテルとしては、1~20個の炭素原子、1~12個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を持つアルキルグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的なモノグリシジルエーテルは、Air Products and Chemical,Inc.(Allentown,PA,USA)から商品名EPODILで市販されており、例えばEPODIL 746(2-エチルヘキシルグリシジルエーテル)、EPODIL 747(脂肪族グリシジルエーテル)、及びEPODIL 748(脂肪族グリシジルエーテル)である。
多くの実施形態において、100重量%のエポキシ樹脂が、式(III)のものである。他の実施形態において、少なくとも95重量%、少なくとも90重量%、少なくとも85重量%、少なくとも80重量%、少なくとも75重量%、又は少なくとも70重量%のエポキシ樹脂が、式(III)のものである。典型的には、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、又は15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下のエポキシ樹脂が、グリシジル基ではないオキシラン基を有する化合物である。
多くの実施形態において、100重量%のエポキシ樹脂が、ジグリシジルエーテル(すなわち、pが2に等しい式(III)の化合物)である。他の実施形態において、エポキシ樹脂は、pが2に等しい式(III)の化合物と、pが2に等しくない式(III)の化合物との混合物である。いくつかの混合物において、ジグリシジルエーテルの量は、多くの場合、エポキシ樹脂の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%である。
ほとんどの実施形態において、エポキシ樹脂は、グリシジル基ではないオキシラン基を有する化合物を含まない。しかしながら、こうした化合物が含まれる場合、それらは、典型的に、エポキシ樹脂の総重量に基づいて、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満を占める。
硬化性混合物は、通常、少なくとも10重量%のエポキシ樹脂を含有する。硬化性混合物が10重量%未満のエポキシ樹脂を含有する場合、不十分な量のエポキシ樹脂が存在して、好適な重なり剪断強度を有する硬化組成物の調製がもたらされ得る。更に、部分硬化組成物は、過度に高度に架橋され、十分に粘着性ではなく、かつそれが適用される基材の表面を適切に濡らさない感圧接着剤であり得る。硬化性混合物は、通常、硬化性混合物の総重量に基づいて、最大80重量%のエポキシ樹脂を含有する。硬化性混合物が80重量%より多いエポキシ樹脂を含有する場合、完全硬化組成物は、良好な重なり剪断などの良好な構造用接着剤の特性を有することになるが、部分硬化組成物が感圧接着剤として適切に機能しない場合がある。部分硬化組成物の取り扱い性と、硬化組成物の最終的な構造的接着強度のバランスをとる必要がある。
エポキシ樹脂の量は、硬化性混合物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、又は少なくとも40重量%とすることができ、かつ最大80重量%、最大75重量%、最大70重量%、最大65重量%、最大60重量%、最大55重量%、最大50重量%、又は最大45重量%とすることができる。いくつかの例において、エポキシ樹脂の量は、10~80重量%、10~75重量%、10~70重量%、10~65重量%、10~60重量%、10~55重量%、10~50重量%、15~75重量%、15~70重量%、15~65重量%、15~60重量%、15~55重量%、15~50重量%、20~75重量%、20~70重量%、20~60重量%、20~50重量%、25~75重量%、25~70重量%、25~65重量%、25~60重量%、25~55重量%、又は25~50重量%の範囲である。この量は、硬化性混合物の総重量に基づく。
ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの、エポキシ樹脂に対する重量比は、典型的には、1:20~1:0.5の範囲である。換言すると、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの量は、エポキシ樹脂の量よりも20倍少ない量から、エポキシ樹脂の量よりも2倍多い量まで多様とすることができる。いくつかの実施形態において、この重量比は、少なくとも1:18、少なくとも1:15、少なくとも1:12、少なくとも1:10、少なくとも1:5、又は少なくとも1:4であり、かつ最大1:3、最大1:2、又は最大1:1とすることができる。この重量比は、多くの場合、1:18~1:0.5、1:18~1:1、1:15~1:0.5、1:15~1:1、1:10~1:0.5、又は1:10~1:1の範囲である。
ポリエーテルポリオール
第2の硬化性組成物は、ポリエーテルポリオールを含む。より具体的には、ポリエーテルポリオールは、少なくとも2つ又は少なくとも3つのヒドロキシル基を有する。ポリエーテルポリオールは、典型的には、ポリオキシアルキレングリコールなどのポリエーテルジオールである。ポリオキシアルキングリコールのいくつかの例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、及びポリオキシブチレングリコール(ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール又はポリ(テトラヒドロフラン)グリコールとも称され得る)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレントリオールなどのポリエーテルトリオールである。これらのトリオールは、グリセロールから誘導することができる。例としては、ポリオキシエチレントリオール及びポリオキシプロピレントリオールが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエーテルポリオールは、典型的には、エポキシ樹脂、及びペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーなどの硬化性混合物の他の構成成分と混和性である。
ポリエーテルポリオールは、ヒドロキシル含有材料1グラム当たりのKOHのミリグラムを指す、それらのヒドロキシル価によって特徴付けることができる。これは、例えば、ポリエーテルポリオールと反応する過度の酸性材料を加えて、その後、残りの酸性材料を塩基で後方滴定してポリエーテルポリオール1グラム当たりのヒドロキシル基の量を決定することによって決定することができる。ヒドロキシル基の量は、それらが塩基性材料KOHからのものであるかの如く報告される。ヒドロキシル価(ポリエーテルポリオール1グラム当たりmgKOH)は、通常、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、又は少なくとも200であり、かつ最大700、最大650、最大600、最大550、最大500、最大450、最大400、最大350、最大300、又は最大250とすることができる。
いくつかの実施形態において、ポリエーテルポリオールは、室温で液体である。他の実施形態において、ポリエーテルポリオールは、40℃より高い温度で液体である。室温で液体ではないポリエーテルポリオールは、多くの場合、硬化性混合物の他の構成成分に可溶性であるか、又は必要に応じて、任意選択の有機溶媒に溶解させることができる。例えば、この重量平均分子量は、最大50,000ダルトン、最大40,000ダルトン、最大20,000ダルトン、最大10,000ダルトン、又は最大5,000ダルトンであり得る。ヒドロキシル価が好適であるならば、所望の、より低い重量平均分子量のポリエーテルポリオールを使用することができる。例えば、重量平均分子量は、多くの場合、少なくとも500ダルトン、少なくとも750ダルトン、少なくとも1,000ダルトン、少なくとも1,500ダルトン、又は少なくとも2,000ダルトンである。
好適なポリテトラメチレンオキシドグリコールとしては、例えば、LyondellBasell,Inc.(Jackson,TN,USA)から商品名POLYMEGで、Invista(Newark,DE,USA)から商品名TERATHANEで、及びBASF Corp.(Charlotte,NC,USA)から商品名POLYTHFで入手可能なものが挙げられる。好適なポリオキシプロピレンポリオールとしては、Bayer Material Science(Los Angeles,CA,USA)から商品名ARCOLで市販されているものが挙げられる。なおも他のポリエーテルポリオールは、Dow Automotive Systems(Auburn Hills,MI,USA)から商品名VORANOLで市販されている。
ポリエーテルポリオールは、第2の硬化性組成物の硬化反応を遅延させる傾向がある。すなわち、ポリエーテルポリオールは、第2の硬化性組成物の「開時間」を増加させる傾向がある。本明細書で使用するとき、用語「開時間」は、硬化性組成物が第2の波長の化学線放射で照射された後の時間であって、その間、硬化性混合物がそれに接着される第2の基材に対して十分に未硬化のままである、時間を指す。
硬化性混合物(より具体的には、第2の硬化性組成物)の開時間は、望ましくは、約1.6J/cm2のエネルギー線量の第2の波長のUVA-A化学線放射に曝露した後、少なくとも2分である。いくつかの実施形態において、第2の波長は、5.6~7.4J/cm2のエネルギー線量を有するLED光を用いて提供される。しかしながら、一緒に接着される基材の一方又は両方が、第2の硬化性組成物を含有する部分硬化組成物が曝露されるべき照射に対して半透明である場合、開時間は妥当性を欠き、その理由は、その場合、放射線への曝露は、両基材を部分硬化組成物を通じて互いに貼り付けられた後に半透明基材を通して実施され得るためである。アセンブリの両基材が不透明である場合、部分硬化組成物は、第2の基材がそれに貼り付けられるより前に、第2の波長の化学線放射に曝露される。この場合、部分硬化組成物内で第2の硬化性組成物の好適な加工性を可能にするには、少なくとも2分の開時間が望ましい。
第2の硬化性組成物は、典型的には、ポリエーテルポリオール以外の他の種類のポリオールを含まないか又は実質的に含まない。他の種類のポリオールの存在に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」は、硬化性混合物が含有する他の種類のポリオールが、1重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満であることを意味する。他の種類のポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル含有フェノキシ樹脂、ヒドロキシル含有エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリビニルアセタール樹脂などのフィルム形成ポリマーであるものが挙げられる。重量%値は、硬化性組成物の総重量に基づく。
更に、第2の硬化性組成物は、典型的には、例えば、カルボン酸基(-COOH)を有するポリエステルなどの、カルボン酸基を有する熱可塑性物質を、含まないか又は実質的に含まない。カルボキシル基を有する熱可塑性物質の存在に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」は、硬化性混合物が含有する、カルボン酸基を有する熱可塑性物質が、1重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満であることを意味する。重量%値は、硬化性組成物の総重量に基づく。
なおも更に、第2の硬化性組成物(及び硬化性混合物全体)は、典型的には、他の「活性水素含有化合物」を含まないか又は実質的に含まない。本明細書で使用するとき、他の「活性水素含有化合物」は、エポキシ樹脂と反応し得るアミノ基及び/又はメルカプト基を有する化合物を指す。他の活性水素含有化合物の存在に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」は、硬化性混合物が含有する他の活性水素含有化合物が、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満であることを意味する。重量%値は、硬化性組成物の総重量に基づく。
硬化性混合物は、典型的には、硬化性混合物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%のポリエーテルポリオールを含有する。ポリエーテルポリオールが少なすぎると、第2の硬化性組成物は速すぎる硬化(重合)をすることになり、光酸発生剤の活性化させて、第2の基材を、活性化済み第2の硬化性組成物に隣接して配置させた後に、十分な開時間がない。すなわち、第1の基材と第2の基材との間の接着の構造強度が損なわれることがある。更に、十分なポリオールが存在しない場合、硬化組成物の強靭性が適切でない場合がある。ポリエーテルポリオールの量は、硬化性混合物の総重量に基づいて、最大25重量%とすることができる。ポリエーテルポリオールの量が多すぎる場合、硬化性混合物は、エポキシ樹脂、及び/又はペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの量が不十分であり得る。エポキシ樹脂の量が不十分であると、硬化組成物の構造的接着強度に悪影響を及ぼす可能性があり、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの量が不十分であると、部分硬化組成物の感圧接着剤の特性に悪影響を及ぼし得る。
多くの実施形態において、ポリエーテルポリオールの量は、硬化性混合物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、又は少なくとも5重量%である。ポリエーテルポリオールの量は、多くの場合、硬化性混合物の総重量に基づいて、最大25重量%、最大20重量%、最大18重量%、最大15重量%、最大12重量%、又は最大10重量%である。いくつかの実施形態において、硬化性混合物は、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、2~25重量%、2~20重量%、2~15重量%、4~25重量%、4~20重量%、4~15重量%、5~25重量%、5~20重量%、5~15重量%、10~25重量%、10~20重量%、又は10~15重量%を占める。
エポキシ樹脂のポリエーテルポリオールに対する重量比は、典型的には、0.5:1~10:1の範囲である。換言すれば、エポキシ樹脂の量は、ポリエーテルポリオールの量の半分からポリエーテルポリオールの量の10倍まで多様とすることができる。いくつかの実施形態において、重量比は、少なくとも0.6:1、少なくとも0.8:1、少なくとも1:1、少なくとも2:1、又は少なくとも3:1であり、かつ最大8:1、最大6:1、又は最大5:1とすることができる。いくつかの実施形態において、この重量比は、0.6:1~10:1、0.8:1~10:1、1:1~10:1、1:1~8:1、1:1~6:1、2:1~6:1、又は3:1~5:1の範囲である。
光酸発生剤
光酸発生剤は、第1の硬化性組成物を硬化するために使用される第1の波長の化学線放射とは異なる第2の波長の化学線放射に曝露されたときに、第2の硬化性組成物の硬化を開始するように機能する。光酸発生剤は、多くの場合、カチオン性光開始剤と称される。第2の波長の化学線放射は、典型的には、第1の硬化性組成物を硬化させるために使用される第1の波長の化学線放射で選択されるものよりも短い化学線放射の波長であるように選択される。多くの実施形態において、第2の波長の化学線放射は、電磁スペクトルの紫外領域内にあるように選択される。すなわち、光酸発生剤は、電磁スペクトルの紫外領域内の放射線に感応性である(それにより活性化される)ように、しかし電磁スペクトルの可視領域又は近紫外領域には感応性でないように選択される。例えば、第2の波長の化学線放射は、典型的には、電磁スペクトルの紫外領域内で380ナノメートル未満である。
いくつかの光酸発生剤は、ヨードニウム塩である。ヨードニウム塩の例としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(Hampford Research Inc.(Stratford,CT,USA)から商品名FP5034で入手可能)、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフェニルボレート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフレート、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(IGM Resins(Bartlett,IL,USA)から商品名OMNICAT 440で入手可能)、([4-(オクチルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)、([4-(オクチルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)、(4-イソプロピルフェニル)(4-メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Bluestar Silicones(East Brunswick,NJ,USA)から商品名RHODORSIL 2074で入手可能)、及び4-(2-ヒドロキシ-1-テトラデシキルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートが挙げられるが、これらに限定されない。
他の光酸発生剤は、多くの場合、トリアリールスルホニウム塩である。トリアリールスルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Chitec Technology Corp.(Taipei,Taiwan)から商品名CT-548で入手可能)、ジフェニル(4-フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4-フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビス(ヘキサフルオロホスフェート)、及びビス(4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドヘキサフルオロアンチモネートが挙げられるが、これらに限定されない。トリアリールスルホニウム塩のブレンドは、Synasia(Metuchen,NJ,USA)からヘキサフルオロホスフェート塩は商品名SYNA PI-6992で、ヘキサフルオロアンチモネート塩は商品名SYNA PI-6976で入手可能である。トリアリールスルホニウム塩の混合物は、Aceto Pharma Corporation(Port Washington,NY,USA)から商品名UVI-6992及びUVI-6976で市販されている。
光酸発生剤は、典型的には、硬化性混合物の重量に基づいて、少なくとも0.5重量%に等しい量、かつ最大3重量%に等しい量で使用される。いくつかの実施形態において、この量は、少なくとも0.8重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも1.2重量%、少なくとも1.5重量%であり、かつ最大2.5重量%、又は最大2.0重量%である。
硬化性混合物は、エポキシ樹脂用の熱活性化硬化剤と熱酸発生剤の両方を含まない。このような熱活性化硬化剤の例としては、ジシアンジアミド(dicyandiamide、DICY)が挙げられるが、これらに限定されない。熱酸発生剤の例としては、King Industries(Norwalk,CT,USA)から商品名NACURE、TAG、及びK-PUREで入手可能な製品が挙げられるが、これらに限定されない。
任意選択のビニルエーテル
エポキシ樹脂と同様、いくつかのビニルエーテルは、光酸発生剤の活性化のときに硬化され得る。これらのモノマーは、いくつかの実施形態において、エポキシ樹脂のうちのいくつかの代わりに使用され得る。しかしながら、ほとんどの実施形態において、硬化性混合物は、ビニルエーテルを含まないか又は実質的に含まない。ビニルエーテルの量に関する用語「実質的に含まない」は、硬化性混合物が含有するビニルエーテルが、硬化性混合物の総重量に基づいて、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満であることを意味する。
ビニルエーテルが第2の硬化性組成物中に含まれるいくつかの実施形態において、その量は、エポキシ樹脂とビニルエーテルとの総重量に基づいて、20重量%以下である。例えば、ビニルエーテルの量は、エポキシ樹脂とビニルエーテルとの総重量に基づいて、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、又は1~5重量%の範囲である。カチオン重合の抑制を回避するために、ビニルエーテルモノマーは、窒素を含有しないものに限定することができる。好適なビニルエーテルの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
硬化性混合物中の任意選択の成分
有機溶媒
いくつかの硬化性混合物において、有機溶媒が含まれる。好適な有機溶媒としては、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、エチレングリコールアルキルエーテル、炭酸プロピレン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有機溶媒は、硬化性混合物中の反応物を溶解するために加えることができ、硬化性混合物の粘度を低下させてその印刷若しくは分注を容易にするために添加することができ、又はペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの調製からの残渣とすることもできる。硬化性混合物中の有機溶媒の量は、硬化性混合物の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、この量は、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%であり、かつ最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、又は最大5重量%である。
シリカ
多くの硬化性混合物は、任意選択のシリカ粒子を含む。シリカは、チキソトロピー剤であり、剪断の減粘をもたらすために加えられる。シリカは、力(剪断力)が加えられたときに、硬化性混合物の粘度を低下させる効果を有する。しかしながら、力(剪断力)が加えられないときに、粘度はより高いように見える。すなわち、剪断粘度は静止粘度よりも低い。
シリカ粒子は、典型的には、500ナノメートル未満、400ナノメートル未満、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、又は100ナノメートル未満の最長平均寸法を有する。シリカ粒子は、多くの場合、少なくとも5ナノメートル、少なくとも10ナノメートル、少なくとも20ナノメートル、又は少なくとも50ナノメートルの最長平均寸法を有する。いくつかの実施形態において、シリカ粒子はヒュームドシリカである。他の実施形態において、シリカ粒子は非凝集ナノ粒子である。
任意選択のシリカ粒子の量は、硬化性混合物の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%である。シリカの量は、少なくとも1重量%、少なくとも1.5重量%、又は少なくとも2重量%とすることができ、かつ最大10重量%、最大8重量%、又は最大5重量%とすることができる。例えば、シリカの量は、0.5~10重量%、1~10重量%、0.5~8重量%、1~8重量%、0.5~5重量%、又は1~5重量%の範囲とすることができる。
シラン
様々なシラン化合物を、硬化性混合物に含めることができる。シランは、硬化組成物と一緒に接着される第1の基材及び/又は第2の基材への接着性を促進するために加えられてもよい。シラン基は、例えば、ガラス表面又はセラミック表面などのヒドロキシル基を有する基材への接着性を高めるのに特に効果的であるシリル基を有する。シリル基は、多くの場合、式-Si(R5)x(OR6)3-xのものであり、式中、各R5及び各R6は、独立に、アルキルである。R5及びR6についての好適なアルキル基は、多くの場合、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有する。変数xは、0、1、又は2である。シリル基は、加水分解を受け、ケイ質表面と反応することができる少なくとも1つのアルコキシ基を有する。
シランは、疎水性であっても親水性であってもよい。すなわち、シランは、式
R7-Si(R5)x(OR6)3-xのものとすることができ、式中、R7は、疎水性基であっても親水性基であってもよい。それがエポキシ樹脂のカチオン重合に干渉しないのであれば、任意の疎水性基又は親水性基を使用することができる。すなわち、R7は、通常、窒素含有基を欠いている。いくつかの実施形態において、シランは、親水性シランであり、R7基は、(メタ)アクリレートコポリマー上の基などの硬化性組成物の構成成分のうちの1種と反応することができる。このような反応は、シランの、硬化組成物に対する共有結合をもたらすことができる。例えば、いくつかのシランは、グリシジルエーテルシランであり、式中、R7は、グリシジル基を含有する。このようなシランの例としては、(3-グリシルオキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられるが、これに限定されない。
任意選択のシランの量は、多くの場合、硬化性混合物の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲である。この量は、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%とすることができ、かつ最大10重量%、最大8重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%とすることができる。例えば、この量は、0.1~10重量%、0~8重量%、0.1~8重量%、0~6重量%、0.1~6重量%、0~4重量%、0.1~4重量%、0~2重量%、又は0.1~2重量%の範囲とすることができる。
なおも他の任意選択の構成成分
なおも他の任意選択の構成成分としては、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、粘着付与剤、流動制御剤、硬化速度遅延剤、接着促進剤(例えば、チタン酸塩)、耐衝撃性改良剤、発泡性微小球、ガラスビーズ又は気泡、熱伝導性粒子、導電性粒子、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、及び抗酸化剤が挙げられる。任意選択の構成成分は、例えば、構造用接着剤層の重量を低減するために、粘度を調整するために、追加の補強をもたらすために、熱又は導電性特性を変更するために、硬化速度を変更するために、などで加えることができる。これらの任意選択の構成成分のいずれかが存在する場合、それらは、典型的には、硬化性混合物の印刷又は分注を妨げない量で使用される。
多くの実施形態において、硬化性混合物は、繊維強化剤を含まないか又は実質的に含まない。本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」は、硬化性組成物が含有する繊維が、1重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、又は0.01重量%以下であることを意味する。
硬化の方法
接着する方法が提供される。本方法は、第1の硬化性組成物及び第2の硬化性組成物を含有する硬化性混合物を準備することを含む。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。本方法は、硬化性混合物を第1の基材に又は第1の剥離ライナーに適用し、硬化性混合物を第1の波長の化学線放射に曝露して、第1の基材に隣接した又は第1の剥離ライナーに隣接した部分硬化組成物を形成することを更に含み、ここで、部分硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物を含有する。硬化性混合物が第1の剥離ライナーに適用される場合、本方法は、更に、部分硬化組成物を第1の剥離ライナーから第1の基材に移すことを含む。本方法は、なおも更に、部分硬化組成物を第2の波長の化学線放射に曝露して照射済み組成物を形成することと、第2の基材を照射済み組成物に隣接して配置させることとを含む。硬化組成物は、第1の基材を第2の基材に接着させる。
いくつかの用途において、硬化性混合物は、永久的な第1の基材上に印刷される又は分注される。第1の波長の化学線放射に曝露した後、部分硬化組成物を第1の基材に接着させる。任意選択の剥離ライナーを、第1の基材の反対側の部分硬化組成物の表面上に配置させて第1の物品を提供することができる。この第1の物品は、任意の所望の時間にわたって保管することができる。第2の波長の化学線放射に曝露する前に、任意選択の剥離ライナーは除去される。部分硬化組成物は、第2の波長の化学線放射に曝露させ、その後、第2の基材に隣接して配置させることができる。硬化後、得られた物品は、第1の基材と第2の基材との間に配置された硬化組成物を含有する。硬化組成物は、第1の基材を第2の基材に接着させる半構造用接着剤又は構造用接着剤である。
他の用途において、硬化性混合物は、第1の剥離ライナー上に印刷される又は分注される。第1の波長の化学線放射への曝露の後、部分硬化組成物は、第1の剥離ライナーの反対側の任意選択の第2の剥離ライナーに隣接して配置させることができる。得られた物品は、任意の所望の時間にわたって保管することができる。保存後、第1又は第2の剥離ライナーは、除去することができ、部分硬化組成物の曝露済み表面を第1の基材に接着させることができる。残っている剥離ライナーを除去した後、部分硬化組成物を第2の波長の化学線放射に曝露し、その後、第2の基材に貼り付けることができる。硬化後、得られた物品は、第1の基材と第2の基材との間に配置された硬化組成物を含有する。硬化組成物は、第1の基材を第2の基材に接着させる半構造用接着剤又は構造用接着剤である。
硬化性混合物は、第1の硬化性組成物及び第2の硬化性組成物を含む。部分硬化組成物は、硬化性混合物を第1の硬化性組成物内でフリーラジカル光開始剤を活性化するが第2の硬化性組成物内の光酸発生剤を活性化しない第1の波長の化学線放射に曝露することによって形成される。第1の波長の化学線放射に曝露すると、第1の硬化性組成物は反応して部分硬化組成物を形成する。第2の硬化性組成物は、第1の波長の化学線放射に曝露されても反応しない。
部分硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物を含有する。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。
用語「第1の波長の化学線放射」又は同様の用語は、単一の波長を指すことができ、又はフリーラジカル開始剤を活性化する波長の分布を指すことができる。第1の波長は、典型的には、電磁スペクトルの可視領域及び/又は近紫外領域にある。好適な光源は、多くの場合、制御されたスペクトル出力を有しており、ここで、波長分布は比較的狭く(又は「実質的に単色である」)、ピーク強度に対応する波長などの特徴的な第1の波長λ1を中心とする。λしかしながら、これは重要ではなく、多峰性分布を含む波長の他の分布が実現可能であり得る。
いくつかの実施形態において、第1の化学線放射光源は、少なくとも380ナノメートル(nm)、少なくとも383nm、少なくとも386nm、少なくとも390nm、又は少なくとも393nmである第1の波長λ1でピーク強度を有するスペクトル出力を生成する。この実施形態のおいて、ピーク強度は、最大420nm、最大419nm、最大418nm、最大417nm、又は最大416nmの波長λ1とすることができる。光開始剤を活性化するために用いられる励起線量は、少なくとも200mJ/cm2、少なくとも400mJ/cm2、少なくとも600mJ/cm2、少なくとも800mJ/cm2、少なくとも1000mJ/cm2、少なくとも1500mJ/cm2、又は少なくとも2000mJ/cm2とすることができる。励起線量は、最大6400mJ/cm2、最大6000mJ/cm2、5000mJ/cm2、最大4000mJ/cm2、最大3000mJ/cm2、最大2500mJ/cm2、又は最大2000mJ/cm2とすることができる。
第1の化学光源の1つの有用な部類は、発光ダイオード(「LED」)である。LED系紫外線(UV)源は、それらが、ブラックライト及び水銀ランプなどの他のUV光源と比べてはるかに狭い波長範囲にわたってUV光を提供することができるため、有利である。このようなLED源は市販されており、例えば、Excelitas Technologies(Waltham,MA,USA)から入手可能なAC Series 365nm又は395nmのLED Curing Systemsである。
第1の波長の化学線放射に曝露する前に、硬化性混合物は、第1の基材(又は、別法では、第1の剥離ライナー)上に印刷され得る又は分注され得る。第1の波長の化学線放射に曝露されると、硬化性混合物中の第1の硬化性組成物はフリーラジカル重合反応を受け、部分硬化組成物の形成をもたらす。部分硬化組成物は、第1の硬化性組成物中の(メタ)アクリレートコポリマーのペンダント(メタ)アクリロイル基の重合により寸法安定にする。これが寸法安定であるため、部分硬化組成物は、重力下で、経時的に、長さ、幅、又は厚さが著しくは変化しない。部分硬化組成物の寸法が、典型的にはその製造中及び製造後に遭遇する、通常の加工、取扱い、出荷、及び保管の手順に供される場合であっても安定したままであることが好ましい。
いくつかの場合において、部分硬化組成物は、周囲温度でクリープを誘発することができる応力の持続的なレベルに供されてもよい。このような応力の供給源としては、例えば、ロール巻きテンション又は積み重ね重りが挙げられる。第1の化学線放射光源に曝露された後、部分硬化組成物は、最小限の量のコールドフロークリープで長時間保管することができる。更に、部分硬化組成物は、応力が除去されると、有意な量のクリープ回復率を提示することができる。
部分硬化組成物は、多くの場合、少なくとも5日間、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも120日間、少なくとも180日間、又は少なくとも360日間の貯蔵寿命を有する。本明細書で使用するとき、「貯蔵寿命」は、第2の硬化性組成物が本質的に未硬化のままである一方で部分硬化組成物が暗条件下で周囲条件で維持される、第1の硬化性組成物の硬化後の時間として定義される。
部分硬化組成物の貯蔵寿命のために、第1の基材に又は剥離ライナー上に貼り付けられた部分硬化組成物を含有する物品が、製造業者によって調製され得る。顧客は、その後、その部分硬化組成物に第2の波長の光を照射し、照射済み組成物を第2の基材に隣接して配置させることができる。すなわち、最終硬化工程は顧客によって行われる。部分硬化組成物が剥離ライナー上にある場合、剥離ライナーを除去することができ、部分硬化組成物を、第2の波長の化学線放射に曝露する前に第1の基材に貼り付けることができる。
部分硬化組成物は、通常、感圧接着剤である。したがって、これは、第1の基材に接着する。部分硬化組成物は、第2の基材が部分硬化組成物によって第1の基材に接着されるように、容易に第2の基材に隣接して配置させることができる。すなわち、感圧接着剤である部分硬化組成物は、第1の基材と第2の基材との間に配置されて両方の基材に接着する。
典型的には、部分硬化組成物は、部分硬化組成物が第2の波長の化学線放射に曝露された後まで、第2の基材に隣接して配置させない。用語「第2の波長の化学線放射」又は同様の用語は、光酸発生剤を活性化させる単一の波長又は波長分布を指すことができる。第2の波長は、第1の波長λ1とは異なる、第2の波長λ2におけるピーク強度を有するスペクトル出力を生成する、第2の光源からのものである。光酸発生剤は、優先的には、第1の化学線放射光源によって放出される放射線に対して、第2の化学線放射光源によって放出される放射線を吸収する。すなわち、光酸発生剤は、優先的には、第1の化学線放射光源によって放出される放射線をほとんど又は全く吸収しない。
多くの実施形態において、第2の波長λ2は、第1の波長λ1よりも短い。第1の光源と同様に、第2の光源は、多くの場合、制御されたスペクトル出力を有しており、ここで、波長分布は比較的狭く(又は「実質的に単色である」)、ピーク強度に対応する波長などの特徴的な第2の波長λ2を中心とする。しかしながら、これは重要ではなく、多峰性分布を含む波長の他の分布が実現可能であり得る。
第2の波長は、第2の硬化性組成物中の光酸発生剤を活性化するように選択される。これらの化合物は、活性化されたときに酸を生成する。多くの実施形態において、第2の波長λ2は、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも330nm、又は少なくとも356nmである。波長λ2は、380nm未満、最大377nm、又は最大374nmとすることができる。
第2の硬化性組成物の反応は第1の硬化性組成物を硬化させた後に生じるため、第2の化学線放射光の特性は、第1の化学線放射源の特性として制限的である必要はない。第2の化学線放射光源は、前述のように、LED源に基づくことができる。あるいは、第2の化学線放射光源は、UVブラック光、水銀ランプ、又は別の広域スペクトル光源とすることができる。
UVブラック光は、波長範囲280nm~400nmにわたって、概して10mW/cm2以下(測定は、米国標準技術局によって承認された手順に従い、例えば、Electronic Instrumentation & Technology,Inc.(Sterling,VA)製造のUVIMAP UM 365 L-S放射計を用いる)をもたらす比較的低い光強度の供給源である。
水銀ランプは、概して10mW/cm2より高い、好ましくは15~6000mW/cm2の強度を提供することができる、より強度の高い広域スペクトルUV源である。例えば、600mW/cm2の強度、及び約1秒の曝露時間を、有効に用いることができる。強度は、0.1mW/cm2~6000mW/cm2、好ましくは0.5mW/cm2~3000mW/cm2の範囲とすることができる。
第1の硬化反応と第2の硬化反応との両方(すなわち、第1の硬化反応は第1の硬化性組成物の硬化を指し、第2の硬化反応は第2の硬化性組成物の硬化を指す)を不注意にも同時に起こすことを避けるため、第1の化学線放射源は、それが第2の硬化性組成物内の光酸発生剤によって著しく吸収されない波長にわたって放出するように選択される。概して、単色光源が用いられる場合、第1及び第2の化学線放射光源は、異なる波長で作動するように選択することができ、例えば、それらは、少なくとも10ナノメートル、少なくとも15ナノメートル、少なくとも20ナノメートル、少なくとも25ナノメートル、又は少なくとも35ナノメートル離れた波長でそれぞれのピーク強度を有することができる。第1及び第2の化学線放射光源は、最大100ナノメートル、最大80ナノメートル、最大60ナノメートル、最大50ナノメートル、又は最大45ナノメートル離れた波長で、それぞれのピーク強度を有することができる。
部分硬化組成物が第2の波長の化学線放射に曝露されると、第2の硬化性組成物が反応する。光の第2の波長への曝露は、エポキシ樹脂の、第2の硬化性組成物中のポリエーテルポリオールとの反応をもたらす。硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物の反応生成物である第2の硬化組成物を含有する。加えて、第2の光の波長への曝露は、多くの場合、(メタ)アクリレートコポリマーの官能基(例えば、ヒドロキシル基及び/又はカルボン酸基)とエポキシ樹脂との間の共有結合を誘導する。このようにして、第1の硬化組成物と第2の硬化組成物とは、それらが逐次に硬化されても、一緒に共有結合され得る。
第2の化学線放射光源の照射後に機能的構造的接着を形成するのに必要な時間は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、又は少なくとも24時間とすることができる。いくつかの場合において、上記に指定された時間は、接着剤組成物を加熱することによって達成することができる。
完全に硬化するまで、部分硬化組成物は、通常かつ好ましくは、感圧接着剤の特性を有する。第2の硬化反応の全体にわたって第1の基材を第2の基材に固定するために、感圧接着剤が、クランプ又は他の機構の使用を不要にするのに十分な粘着性及び寸法安定性を有していることが好ましい。多くの場合、クランプ又は他の機構は、第2の硬化性組成物を硬化させて、それが接着される表面を適切に濡らすことを確実にする早い段階で用いられる。
部分硬化組成物を第2の波長の化学線放射で照射することは、概して、更なる介入なしに第2の硬化組成物を形成するのに十分である。しかしながら、いくつかの場合において、熱を加えることによって、部分硬化組成物内で第2の硬化性組成物を硬化させるのに必要な時間を短縮することが有利であり得る。例えば、第1の基材/部分硬化組成物/第2の基材というアセンブリが所定の時間にわたって、加熱されたオーブン内に置かれるという照射後焼成を通して、熱を加えることができる。
オニウム塩型光酸発生剤に対する照射後焼成は、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも3分間、又は少なくとも5分間、続けることができる。上端では、照射後焼成が、最大35分間、最大25分間、又は最大15分間、維持されてもよい。照射後焼成の温度は、例えば、少なくとも35℃、少なくとも70℃、又は少なくとも90℃とすることができる。この温度は、最大180℃、最大150℃、又は最大120℃とすることができる。
物品
様々な物品が提供される。第1の物品は、部分硬化組成物、及び少なくとも1つの基材及び/又は剥離ライナーを含む。第2の物品は、第1の基材が第2の基材に接着されるように2つの基材の間に配置された硬化組成物を含む。
第1の物品は、第1の基材又は第1の剥離ライナー、及び第1の基材に又は第1の剥離ライナーに隣接して配置された部分硬化組成物を含む。部分硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物を含有する。そこから第1の硬化組成物が形成される第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。
いくつかの第1の物品は、第1の基材と、その第1の基材に隣接して配置された部分硬化組成物とを含む。任意選択で、剥離ライナーは、第1の基材の反対側の部分硬化組成物の表面上に存在することができる。他の第1の物品は、第1の剥離ライナーと、部分硬化組成物に隣接して配置された部分硬化組成物とを含む。任意選択で、第2の剥離ライナーは、第1の剥離ライナーの反対側の部分硬化組成物の表面上に存在することができる。
第1の基材が可撓性であるか、又は第1の基材が存在しない場合(例えば、物品が剥離ライナーを含む場合)、第1の物品はロールの形態とすることができる。いくつかのロールでは、部分硬化組成物の反対面上に2つの剥離ライナーが存在する。他のロールでは、単一の剥離ライナーが存在する。
いくつかの実施形態において、部分硬化組成物を含有する物品は、例えば、最大1週間、最大2週間、最大1か月、最大2か月、最大4か月、最大6か月、最大8か月、最大10か月、又は最大1年などの任意の所望の時間にわたり、少なくとも1つの剥離ライナーに隣接して保管され得る。
第1の物品中の部分硬化組成物は、感圧接着剤である。多くの実施形態において、第1の物品は、例えば、米国特許出願公開第2002/0182955号(Weglewski et al.)に記載のように繊維で強化される必要はない。
部分硬化組成物は、多くの場合、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%、かつ最大98%、最大95%、最大90%、最大85%、最大80%、最大75%、又は最大70%のクリープ回復率を有する。例えば、クリープ回復率は、20~98%、20~90%、20~80%、25~90%、25~80%、30~80%、又は35~80%の範囲とすることができる。クリープ回復試験は、実施例の項で、より完全に説明される。
部分硬化組成物は、多くの場合、1ラジアン/秒及び25℃で測定して、少なくとも0.05、少なくとも0.10、少なくとも0.20、又は少なくとも0.30に等しく、かつ1未満、0.95未満、0.90未満、0.85未満、又は0.80未満に等しいtan(デルタ)を有する。例えば、tan(デルタ)は、多くの場合、0.1~1未満の範囲である。tan(デルタ)の測定は、実施例の項に更に記載される。
部分硬化組成物は、多くの場合、1ラジアン/秒及び25℃で測定して、300kPa未満、250kPa未満、200kPa未満、150kPa未満、又は100kPa未満のG’を有する。
第2の物品は、第1の基材、第2の基材、及び第1の基材と第2の基材との間に配置された硬化組成物を含む。硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物の反応生成物である第2の硬化組成物を含有する。そこから第1の硬化組成物が形成される第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。硬化組成物は、第1の基材を第2の基材に接着させる。
第2の物品中の硬化組成物は、典型的には、構造用接着剤又は半構造用接着剤である。その重なり剪断強度は、通常、少なくとも0.60MPa、少なくとも0.65MPa、少なくとも0.75MPa、少なくとも1.0MPa、少なくとも1.2MPa、少なくとも1.5MPa、少なくとも2.0MPa、少なくとも2.5MPa、少なくとも3.0MPa、少なくとも3.5MPa、少なくとも4MPa、少なくとも5MPa、少なくとも6MPa、又は少なくとも7MPaである。重なり剪断強度を測定する方法は、実施例の項に更に記載される。
任意の好適な第1の基材及び第2の基材を使用することができる。例えば、いずれの基材も、可撓性であっても非可撓性であってもよく、ポリマー材料、ガラス若しくはセラミック材料、金属(様々な合金を含む)、又はこれらの組み合わせから形成することができる。多くの実施形態において、第1及び/又は第2の基材は、ガラス又はセラミック材料又は金属である。他の実施形態において、第1の基材及び/又は第2の基材は、例えば、ポリマーフィルム、プラスチック複合体(例えば、ガラス又は繊維充填プラスチック)などのポリマー材料とすることができる。ポリマー材料は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらのコポリマー)、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート(polymethyl(meth)acrylate、PMMA)、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びセルロース系材料(例えば、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、及びエチルセルロース)から調製することができる。これらの基材は、それらが部分硬化組成物又は硬化組成物から容易に除去することができないため、永久基材である。
剥離ライナーは、物品の製造において使用され、一時的基材として機能することができる。すなわち、剥離ライナーは永久基材と置き換えられる。好適な剥離ライナーは、典型的には、部分硬化組成物に対する親和性が低い。例示的な剥離ライナーは、紙(例えば、クラフト紙)、又は他の種類のポリマー材料から調製可能である。いくつかの剥離ライナーは、シリコーン含有材料又はフルオロカーボン含有材料(例えば、ポリフルオロポリエーテル又はポリフルオロエチレン)などの剥離剤の外層でコーティングされている。
いくつかの実施形態において、第1の基材と第2の基材とは、自動車又はトラックなどの電動車両の、異なる構成要素である。例えば、基材のうちの1つがガラス(例えばフロントガラスにおいて)であってもよく、第2の基材が、ガラスに取り付けられたハードウェアであってもよい。ハードウェアは、多くの場合、金属又はポリマー表面を有する。
様々な実施形態
様々な実施形態が提供される。これらには、硬化性混合物、部分硬化組成物、硬化組成物、部分硬化組成物を含有する物品、硬化組成物を含有する物品、及び接着する方法が含まれる。
実施形態1Aは、硬化性混合物である。硬化性混合物は、(a)第1の硬化性組成物、及び(b)第2の硬化性組成物を含有する。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。
実施形態2Aは、印刷可能である及び/又は分注可能である、実施形態1Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態3Aは、100秒-1の剪断速度で、150パスカル秒以下の剪断粘度を有する、実施形態1A又は2Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態4Aは、0.1秒-1の剪断速度で、800パスカル秒以下の剪断粘度を有する、実施形態1A~3Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態5Aは、ペンダント(メタ)アクリロイル基が、式CH2=CHR1-(CO)-Q-L-のものであり、式中、Qは、-O-又は-NH-であり、式中、R1は、水素又はアルキル(例えば、メチル)であり、式中、L基は、少なくとも1つのアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせを含み、かつ任意選択で、-O-、-O(CO)-、-NH-(CO)-、-NH、又はこれらの組み合わせを更に含むことができる、実施形態1A~4Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態6Aは、第1の硬化性組成物が、第2の硬化性組成物と混和性である、実施形態1A~5Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態7Aは、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、(a)ペンダント官能基を有する前駆体(メタ)アクリレートコポリマーと、(b)(メタ)アクリロイル基、及び前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのペンダント官能基と反応可能な相補基を有する不飽和試薬化合物との反応生成物である、実施形態1A~6Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態8Aは、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーが、50~99.9重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー、0.1~30重量%の、エチレン性不飽和基、及び不飽和試薬化合物と反応可能な官能基を有する第2のモノマー、及び0~20重量%の、エチレン性不飽和基を有する任意選択のモノマーを含むモノマー組成物から形成される、実施形態7Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態9Aは、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーが、70~99.9重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー、並びに0.1~30重量%の、エチレン性不飽和基、及び不飽和試薬化合物と反応可能な官能基を有する第2のモノマーを含むモノマー組成物から形成される、実施形態8Aに記載の硬化性混合物である。
実施形10Aは、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーが、70~99重量%の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び1~30重量%の、エチレン性不飽和基、及び不飽和試薬化合物と反応可能な官能基を有する第2のモノマーを含むモノマー組成物から形成される、実施形態9Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態11Aは、第2のモノマーの官能基が、ヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基である、実施形態7A~10Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態12Aは、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を更に含む、実施形態1A~11Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態13Aは、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、最大55のペンダント(メタ)アクリロイル基を有する、実施形態1A~12Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態14Aは、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、50~99.9重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、0.1~30重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、0~29.9重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の、任意選択のモノマーから誘導されるモノマー単位を含有する、実施形態1A~13Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態15Aは、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、70~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー単位、1~30重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、0~29重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位、及び0~20重量%の任意選択のモノマーから誘導されるモノマー単位を含有する、実施形態14Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態16Aは、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、80~99重量%の、(ヘテロ)アルキル(メタ)から誘導されるモノマー単位、1~20重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有するモノマー単位、及び0~19重量%の、ペンダントヒドロキシル基、カルボン酸基、又は無水物基を有するモノマーから誘導されるモノマー単位を含有する、実施形態14A又は15Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態17Aは、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、Fox式を用いて計算して、40℃以下であるガラス転移温度を有する、実施形態1A~16Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態18Aは、硬化性混合物の総重量に基づいて、2~25重量%の、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを含有する、実施形態1A~17Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態19Aは、フリーラジカル光開始剤が、200~800ナノメートルの第1の波長範囲にある化学線放射に、又は380~800ナノメートルの第1の波長範囲にある化学線放射に、感応性である、実施形態1A~18Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態20Aは、フリーラジカル光開始剤が、アシルホスフィンオキシドである、実施形態1A~19Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態21Aは、アシルホスフィンオキシドが、式(I)又は式(II)のものである、実施形態20Aに記載の硬化性混合物である。
式(I)及び(II)中、各R
1は、独立に、1~18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状アルキル、5~6個の環員を有するシクロアルキル(すなわち、シクロペンチル及びシクロヘキシル)、置換シクロアルキル、アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、及びナフチル)、置換アリール、又は5個若しくは6個の環員を有し、硫黄、窒素、又は酸素ヘテロ原子を有する複素環である。置換アリール基及び置換シクロアルキル基に好適な置換基としては、ハロ基(例えば、F、Cl、Br、及びI)、アルキル基(例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基)、又はアルコキシ基(例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルコキシ基)が挙げられる。
実施形態22Aは、アシルホスフィンオキシドが、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドである、実施形態21Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態23Aは、アシルホスフィンオキシドが、ジフェニル(2,4,6-トリメチル)ホスフィンオキシド又はエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートである、実施形態21Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態24Aは、硬化性混合物の総重量に基づいて、0.01~5重量%のフリーラジカル光開始剤を含有する、実施形態1A~23Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態25Aは、第1の硬化性組成物が、60℃より高い沸点を有する任意選択の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーを更に含む、実施形態1A~24Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態26Aは、60℃より高い沸点を有する任意選択の(ヘテロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーの量が、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0~50重量%の範囲の量で存在する、実施形態25Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態27Aは、第1の硬化性組成物が、少なくとも2つのラジカル重合性基を有する任意選択の架橋モノマーを更に含む、実施形態1A~26Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態28Aは、架橋モノマーが、反応混合物の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲の量で存在する、実施形態27Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態29Aは、エポキシ樹脂が、グリシジルエーテルを含む、実施形態1A~28Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態30Aは、グリシジルエーテルが、ジグリシジルエーテルを含む、実施形態29Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態31Aは、エポキシ樹脂が、100~1000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、実施形態1A~30Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態32Aは、エポキシ樹脂が、50~500グラム/当量の範囲の当量を有する、実施形態1A~31Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態33Aは、硬化性混合物の総重量に基づいて、10~80重量%のエポキシ樹脂を含む、実施形態1A~32Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態34Aは、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーのエポキシ樹脂に対する重量比が、1:20~1:0.5の範囲である、実施形態1A~33Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態35Aは、ポリエーテルポリオールが、少なくとも2つ又は少なくとも3つのヒドロキシル基を有する、実施形態1A~34Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態36Aは、ポリエーテルポリオールが、少なくとも10に等しいヒドロキシル価を有する、実施形態1A~35Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態37Aは、ポリエーテルポリオールが、40℃より高い温度で液体である、実施形態1A~36Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態38Aは、ポリエーテルポリオールが、50,000ダルトン以下の重量平均分子量を有する、実施形態1A~37Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態39Aは、エポキシ樹脂とポリエーテルポリオールとの両方が、硬化性混合物に可溶性である、実施形態1A~38Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態40Aは、硬化性混合物の総重量に基づいて、1~25重量%のポリエーテルポリオールを含む、実施形態1A~39Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態41Aは、エポキシ樹脂のポリエーテルポリオールに対する重量比が、0.5:1~10:1の範囲である、実施形態1A~40Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態42Aは、光酸発生剤が、第1の波長の化学線放射よりも短い第2の波長の化学線放射に感応性である、実施形態1A~41Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態43Aは、第2の波長の化学線放射が、電磁スペクトルの紫外領域内にある、実施形態42Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態44Aは、光酸発生剤が、電磁スペクトルの紫外領域内における第2の波長の化学線放射に感応性であるが、電磁スペクトルの近紫外領域又は可視領域における第1の波長の化学線放射には感応性でない、実施形態42A又は43Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態45Aは、光酸発生剤がヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩である、実施形態1A~44Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態46Aは、硬化性混合物の総重量に基づいて、0.5~2.5重量%の光酸発生剤を含有する、実施形態1A~45Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態47Aは、任意選択のシリカ粒子を更に含む、実施形態1A~46Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態48Aは、シリカ粒子が、500ナノメートル未満の平均最長寸法を有する、実施形態47Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態49Aは、硬化性混合物の総重量に基づいて、0~10重量%のシリカを含有する、実施形態47A又は48Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態50Aは、任意選択のシランを更に含む、実施形態1A~49Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態51Aは、任意選択のシランが、疎水性シラン又は親水性シランである、実施形態50Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態52Aは、任意選択のシランが、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリロイルコポリマー上の相補基と反応可能な基を有する親水性シランである、実施形態50A又は51Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態53Aは、シランが、ペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーのペンダントヒドロキシル基又はペンダントカルボン酸基と反応可能なグリシジル基を有する、実施形態52Aに記載の硬化性混合物である。
実施形態54Aは、硬化性混合物の総重量に基づいて、0~10重量%の任意選択のシランを含有する、実施形態50A~53Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態55Aは、繊維強化剤を含まないか又は実質的に含まない、実施形態1A~54Aのいずれか1つに記載の硬化性混合物である。
実施形態1Bは、部分硬化組成物である。部分硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物を含有する。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。
実施形態2Bは、第1の硬化性組成物及び/又は第2の硬化性組成物が、実施形態2A~55Aのいずれか1つに記載のものである、実施形態1Bに記載の部分硬化組成物である。
実施形態3Bは、感圧接着剤である、実施形態1B又は2Bに記載の部分硬化組成物である。
実施形態4Bは、実施例の項に記載の試験手順を用いて、20~98%の範囲のクリープ回復率を有する、実施形態1B~3Bのいずれか1つに記載の部分硬化組成物である。
実施形態5Bは、1ラジアン/秒及び25℃で測定して、1未満のtan(デルタ)を有する、実施形態1B~4Bのいずれか1つに記載の部分硬化組成物である。
実施形態6Bは、1ラジアン/秒及び25℃で、300kPa未満のG’を有する、実施形態1B~5Bのいずれか1つに記載の部分硬化組成物である。
実施形態1Cは、硬化組成物である。硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物の反応生成物である第2の硬化組成物を含有する。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。
実施形態2Cは、第1の硬化性組成物及び/又は第2の硬化性組成物が、実施形態2A~55Aのいずれか1つに記載のものである、実施形態1Cに記載の硬化組成物である。
実施形態3Cは、半構造用接着剤又は構造用接着剤である、実施形態1C又は2Cに記載の硬化組成物である。
実施形態1Dは、第1の物品である。第1の物品は、第1の基材又は第1の剥離ライナー、及び第1の基材に又は第1の剥離ライナーに隣接して配置された部分硬化組成物を含む。部分硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物を含有する。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。
実施形態2Dは、部分硬化組成物が、実施形態2B~6Bのいずれか1つに記載のものである、実施形態1Dに記載の第1の物品である。
実施形態3Dは、第1の基材、部分硬化組成物、及び任意選択の第2の剥離ライナーを含む、実施形態1D又は2Dに記載の第1の物品である。任意選択の第2の剥離ライナーは、第1の基材の反対側の部分硬化組成物の表面に隣接している。
実施形態4Dは、第1の物品が、第1の剥離ライナー、部分硬化組成物、及び任意選択の第2の剥離ライナーを含む、実施形態1D又は2Dに記載の第1の物品である。任意選択の第2の剥離ライナーは、第1の剥離ライナーの反対側の部分硬化組成物の表面に隣接している。
実施形態1Eは、第2の物品である。第2の物品は、第1の基材、第2の基材、及び第1の基材と第2の基材との間に配置された硬化組成物を含む。第1の基材は、硬化組成物により、第2の基材に接着される。硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性組成物の反応生成物である第2の硬化組成物を含有する。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。
実施形態2Eは、硬化組成物が、実施形態2C又は3Cに記載のものである、実施形態1Eに記載の第2の物品である。
実施形態3Eは、第1の基材と第2の基材とが、電動車両の、異なる構成要素である、実施形態1E又は2Eに記載の第2の物品である。
実施形態1Fは、接着する方法である。本方法は、第1の硬化性組成物及び第2の硬化性組成物を含有する硬化性混合物を準備することを含む。第1の硬化性組成物は、(1)少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有し、35,000~300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレートコポリマー、及び(2)第1の波長の化学線放射に感応性であるフリーラジカル光開始剤を含有する。第2の硬化性組成物は、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエーテルポリオール、及び(3)第2の波長の化学線放射に感応性であり、第1の波長の化学線放射には感応性でない光酸発生剤を含有する。本方法は、硬化性混合物を第1の基材に又は第1の剥離ライナーに適用し、硬化性混合物を第1の波長の化学線放射に曝露して、第1の基材に隣接した又は第1の剥離ライナーに隣接した部分硬化組成物を形成することを更に含み、ここで、部分硬化組成物は、(a)第1の硬化性組成物の反応生成物である第1の硬化組成物、及び(b)第2の硬化性混合物を含む。硬化性混合物が第1の剥離ライナーに適用される場合、本方法は、部分硬化組成物を第1の剥離ライナーから第1の基材に移すことを更に含む。本方法は、なおも更に、部分硬化組成物を第2の波長の化学線放射に曝露して照射済み組成物を形成することと、第2の基材を照射済み組成物に隣接して配置させることとを含む。本方法は、なおも更に、第1の基材を第2の基材に接着させる硬化組成物を形成することを含む。
実施形態2Fは、第1の硬化性組成物及び/又は第2の硬化性組成物が、実施形態2A~55Aのいずれか1つに記載のものである、実施形態1Fに記載の方法である。
実施形態3Fは、硬化性混合物が、印刷又は分注によって適用される、実施形態1F又は2Fに記載の方法である。
実施形態4Fは、部分硬化組成物が、実施形態2B~6Bのいずれか1つに記載のものである、実施形態1F~3Fのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態5Fは、硬化組成物が、実施形態2C又は3Cに記載のものである、実施形態1F~4Fのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態6Fは、第1の波長の化学線放射及び/又は第2の波長の化学線放射が、LED化学線放射源によって供給される、実施形態1F~5Fのいずれか1つに記載の方法である。
実施形態7Fは、少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、断熱重合プロセスを用いて調製される、実施形態1F~6Fのいずれか1つに記載の方法である。
材料
材料及びそれらの供給元は、表1に列挙したとおりとした。別段の指示がない限り、全ての材料は、民間の供給元から購入し、受け取ったままで使用した。
実験方法
混合及びコーティング手順
エポキシ/ポリオールと開始剤とアクリレートとの混合物を、全ての構成成分を適切なサイズにしたスピードミックスカップに加え、混合物がよくブレンドしているように見える(濁りがない)まで、FlackTek SpeedMixer(Landrum,SC,USA)を用いてスピードミックスして、調製した。いくつかの場合において、オーブンを用いて(70℃、10分)、スピードミックスカップ内の構成成分を加熱する必要があった。
全ての場合において、各配合物は、様々な程度の粘度を有する液体とした(表8を参照されたい)。これらの液体を、シリコーン処理したポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)の2枚のシートの間にナイフコーティングし(25~30mil(0.64~0.76mm))、395nmのLED array(Excelitas Technologies(Waltham,MA,USA))に直ちに曝露して、部分硬化材料を得た。これは、試料のコールドフローを十分に低減し、それらを後続の試験のために切断して365nmのLED array(Excelitas Technologies(Waltham,MA,USA))への曝露を可能にした(機械的試験データの表9を参照されたい)。
光曝露条件
光曝露を、UV Power Puck II放射計(Electronic Instrumentation & Technology,Inc.(Leesburg,VA,USA))によって測定した。各試料に付与した曝露線量の範囲を表2にまとめる。
試験方法
固形分
試料をアルミニウムパンに秤量し、真空下、160℃で少なくとも45分間乾燥させて、ポリマー固形分を重量測定法で決定した。2種の試料を測定し、平均値を報告した。固形分%を、下式を用いて計算した。
固形分の重量%=100[(X-Y)/(Z-Y)]
変数Xは、乾燥試料とアルミニウムパンとの重量である。変数Yは、アルミニウムパンの重量である。変数Zは、湿潤試料(乾燥前)の重量とアルミニウムパンの重量とである。
分子量分布
ポリマーを、ゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)を用いて、それらの分子量について評価した。ポリマーを0.5%(重量/容量)の濃度でテトラヒドロフランに溶解し、0.2マイクロメートルのポリテトラフルオロエチレンフィルターに通過させた。得られた溶液の試料を、35℃で2つのPLgel 5 micrometer MIXED-D columns(Styragel HR5E 7.8mm×300mm)を備えたWaters Corporation(Milford,MA,USA)製のGPCユニット(Waters Corp.(Milford,MA,USA)から得た)、並びにUV検出器(Model 2487)及び屈折率検出器(Model 2410)を用いて分析した。投入後、試料を1mL/分で溶出した。ポリスチレン標準液を使用して較正を実施した。重量平均分子量(Mw)を決定し、キロダルトン(kDa)で報告した。
レオメータ法
未硬化(液体)組成物及び部分硬化組成物の剪断粘度及びクリープ回復性能を、Discovery HR-2平行板レオメータ(TA Instruments(New Castle,DE))を用いて決定した。
液体試料を、応力制御した回転レオメータに固定した直径25mmの平行板同士の間に装填した。温度を、取り付けたオーブン及び窒素ガスを用いて25℃で制御した。試料の間隔を1.05mmへと短縮し、試料の縁部をトリミングし、その後、試料の間隔を1mmへと短縮した。
部分硬化試料を、8mmのダイパンチを用いて切断し、応力制御した回転レオメータに固定した直径8mmの平行板同士の間に装填した。温度を、取り付けたオーブン及び窒素ガスを用いて25℃で制御した。0.5Nの垂直力(FN)を加えた。
流動掃引試験:
流動掃引を行い、未硬化試料の剪断粘度を得た。剪断速度を、収集したデータの1ディケード当たり3点で対数的に0.1~100秒-1に増加させた。0.1秒-1及び100秒-1での定常状態剪断粘度を記録した。
周波数掃引試験:
周波数掃引を行い、部分硬化試料のtan(デルタ)及びG’を得た。未硬化(液体)試料については3%の歪み振幅で0.1~100rad/秒(1秒当たりのラジアン)から、部分硬化試料については1%で、振動させた。tan(デルタ)及びG’を、1rad/秒で記録した。
クリープ回復率試験:
1000パスカル(Pa)の一定応力を60秒間加え、その後、0Paの一定応力を60秒間加えた。組成物のクリープ又はコールドフローを特徴づけるために、59.2秒でのひずみ(γ60s)を記録し、ひずみ%として表す。119.2秒(γ120s)及び全実験時間でのひずみを記録して、組成物のクリープ回復挙動を特徴付け、以下の関係によって得る:
クリープ回復率(%)=[1-(γ60s/γ120s)]×100
クリープ回復率は、組成物の弾性の指標を提供する。高いクリープ回復率(例えば、100%)は高弾性を示し、低いクリープ回復率(例えば、<10%)は粘性フローを示す。
未硬化(液体)試料を含む実験では、負のクリープ回復値が得られ、材料の低粘度の性質に起因してアーチファクトであると判定した。負の値を0%として報告した。
重なり剪断試験
選択した部分硬化接着剤材料を、0.5インチ×1インチ(12.7mm×25.4mm)の面積へと切断した。1インチ×4インチ×0.064インチ(25.4mm×101.6mm×1.63mm)でサイズ決定したアルミニウム基材を、Scotch-Brite General Purpose Hand Pad #7447(3M,Maplewood,MN)によりターミナル1インチ(25.4mm)をこすり洗いした後、イソプロパノールで洗浄し風乾して調製した。接着剤組成物を、1つの基材のこすり洗いした端部に適用した。剥離ライナーを除去し、組成物を365nmのUV LED光源に曝露した。第2の基材を、照射済み試料に適用することで、接着を閉鎖した(接着面積0.5インチ×1インチ(12.7mm×25.4mm))。静的10ポンドローラを、水平及び垂直に3回適用することによって、アセンブリを濡らした。接着部を大型バインダークリップではさみ、試験前に室温で18~24時間静置した。
動的重なり剪断試験を、MTS Sintech Tensile Tester(Eden Prairie,MN)を用いて周囲温度で実施した。試験片をグリップ中に装填し、クロスヘッドを1分当たり0.1インチ(2.54mm)で作動させ、試験片に荷重をかけて破壊した。破断応力を、メガパスカル(MPa)単位で記録した。
計算
ガラス転移温度(Tg)の計算
Fox式を用いて、(メタ)アクリレートコポリマーの、ケルビン(K)度でのガラス転移温度(Tg)を決定した。下表中のデータは℃で示している。計算は、個々のホモポリマーガラス転移値の加重平均に基づく。n個の異なるモノマーから調製したコポリマーでは、コポリマーのTgの逆数は、各成分モノマーの重量分率(w)を、その特定の構成成分モノマーの対応するホモポリマーのTgで割った集計に等しい。
1/Tg=Σwi/Tg,i
この式中、Tgは、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを指し得るコポリマーのガラス転移温度を指し、又は少なくとも2つのペンダント(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーのガラス転移温度を指す。Tg,iは、各構成成分iのガラス転移温度であり、wiは各構成成分iの質量分率である。
(メタ)アクリロイル基同士の間の平均分子量の計算
ペンダント(メタ)アクリロイル基の理論平均数を、下式のいずれかによって計算することができる。
1鎖当たりのメタ(アクリロイル)=(不飽和試薬化合物のモル)×(前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのMw)÷(前駆体(メタ)アクリレートコポリマーの質量)
1鎖当たりのメタ(アクリロイル)=(前駆体(メタ)アクリレートコポリマーのMw)×(不飽和試薬化合物と反応するヒドロキシル含有モノマーのモル分率)×(ヒドロキシル含有モノマーの重量%)÷(ヒドロキシル含有モノマーの分子量)
[実施例]
IEMで処理した実施例1A(EX-1A)(50/47/3 BA/THFA/HPA)
50グラムのTHFA、44.52グラムのBA、3.0グラムのHPA、0.10グラムのIR1010抗酸化剤、BAに溶解した1.50グラムの25重量%IOTG(連鎖移動剤)、及びBAに溶解した0.82グラムの2.5重量%MEHQを、8オンスガラス瓶内で撹拌して65℃に加熱し、溶液を調製した。この溶液を50℃に冷却した。BAに溶解した0.48グラムの0.25重量%固形物V52の混合物を加え、混合した。その後、80グラムの混合物をステンレス鋼反応器に移した。反応器を加熱しながら酸素をパージし、60psiの窒素ガスで加圧すると、その後、63℃の誘導温度に達した。重合反応を、断熱条件下で、131℃のピーク反応温度まで進行させた。5.0グラムのアリコートを反応混合物から取ると、未反応モノマーは、混合物の総重量に基づいて、62.7重量%であった。
1.0グラムのV52開始剤、0.10グラムのV88開始剤、0.05グラムのL101過酸化物、0.15グラムのL130過酸化物、及び48.70グラムの酢酸エチルを、4オンスガラス瓶内で混合して、溶液を調製した。この混合物を、往復ミキサーで振盪して固形分を溶解した。その後、0.7グラムのこの溶液、及び0.35グラムの25重量%IOTGをステンレス鋼反応器中、撹拌した。反応器を加熱しながら酸素をパージし、その後に、60psiの窒素ガスで加圧すると、その後、59℃の誘導温度に達した。重合反応を、断熱条件下、190℃のピーク反応温度まで進行させた。混合物を、等度で30分間保持し、その後、8オンス瓶に流し入れた。試料を取ったところ、未硬化モノマーは、混合物の総重量に基づいて、4.7重量%であった。
(メタ)アクリレートコポリマーを、以下の手順によってIEMで処理した。62.7グラムのコポリマーを8オンス瓶に入れ、これに2.24グラムのIEMを加えた。瓶を密封し、テープで留め、ローラー上に16時間より長く置いた。最初の2~4時間の後、加熱ランプを用いて、残りの時間をかけて瓶の内容物を約60℃まで加熱した。この実施例の特性を下表6にまとめる。
IEMで処理した実施例1B(EX-1B)(50/47/3 BA/THFA/HPA)
実施例1Bを、表3~5に示す変更を除き、実施例1Aと同じ方法で調製した。この実施例の特性を下表6にまとめる。
IEMで処理した比較例1A(CE-1A)(50/47/3 BA/THFA/HPA)
比較例1Aを、表3~5に示す変更を除き、実施例1Aと同じ方法で調製した。この実施例の特性を下表6にまとめる。
IEMで処理していない比較例1B(CE-1B)(50/50 BA/THFA)
比較例1Bを、表3~4に示す変更を除き、実施例1Aと同じ方法で調製した。IEM官能化は行わなかった。この実施例の特性を下表6にまとめる。
IEMで処理していない比較例1C(CE-1C)(50/47/3 BA/THFA/HPA)
比較例1Cを、表3~4に示す変更を除き、実施例1Aと同じ方法で調製した。IEM官能化は行わなかった。この実施例の特性を下表6にまとめる。
IEMで処理した実施例1C(EX-1C)(20/40/40 HPA/IBOA/2-EHA)
775.4グラムの2-EHA、800.0グラムのIBOA、400.0グラムのHPA、4.0グラムのIOTGと、20.0グラムの2-EHAに溶解した0.4グラムのV52の混合物1.7グラムと、40.0グラムの2-EHAに溶解した0.7グラムのMEHQの混合物23.3グラムとを、全てステンレス鋼反応容器に加えた。この混合物を、窒素で酸素をパージし、窒素で30psigに加圧し、60℃の誘導温度まで加温し、その後、断熱的に重合させると、表4に示すピーク1温度に達した。混合物を50℃に冷却し、19.20グラムの反応混合物で排出ラインを洗い流した後、試料(10.93グラム)を回収した。全て44.50グラムの2-EHAに完全に溶解させた、1.0グラムのV52と2.0グラムのV67と2.5グラムのV88との混合物19.70グラムを反応容器に加えた。3.93グラムのIOTGを、反応容器に加えた(表3のIOTGの欄に示しているIOTGの量の3分の1)。この混合物を、窒素で酸素をパージし、窒素で30psigに加圧し、60℃の誘導温度まで加温し、断熱的に重合させると、表4に示すピーク2温度に達した。27.11グラムの反応生成物で排出ラインを洗い流した後、反応混合物の試料(42.66グラム)を回収した。
混合物を110℃に冷却し、反応容器内の重合オリゴマー100部を基準として、50pphのIBOA951.2グラムを、完全に反応混合物中に混合した。0.8pphのIEM(22.83グラム)を反応容器内に混合し、窒素/酸素90/10雰囲気下、110℃で2時間保持した。その後、生成物を排出した。
IEMで処理した実施例1D(EX-1D)(20/40/40 HPA/IBOA/2-EHA)
776グラムの2-EHA、800.0グラムのIBOA、400.0グラムのHPA、4.0グラムのIOTG、20.0グラムの2-EHAに溶解した0.4グラムのV52の混合物1.2グラム、及び40.0グラムの2-EHAに溶解した0.7グラムのMEHQの混合物23.3グラムを、全て、ステンレス鋼反応容器に加えた。この混合物を、窒素で酸素をパージし、窒素で30psigに加圧し、60℃の誘導温度まで加温し、その後、断熱的に重合させると、表4に示すピーク1温度に達した。混合物を50℃に冷却し、7.28グラムの反応混合物で排出ラインを洗い流した後、試料(15.28グラム)を回収した。全て44.50グラムの2-EHAに完全に溶解した、1.0グラムのV52と2グラムのV67と2.5グラムのV88との混合物19.77グラムを反応容器に加えた。3.95グラムのIOTGを反応容器に加えた(表3のIOTGの欄に示しているIOTGの量の3分の1)。この混合物を、窒素で酸素をパージし、窒素で30psigに加圧し、60℃の誘導温度まで加温し、断熱的に重合させると、表4に示すピーク2温度に達した。6.73グラムの反応生成物で排出ラインを洗い流した後、反応混合物の試料(13.91グラム)を回収した。
混合物を110℃に冷却し、反応容器内の重合オリゴマー100部を基準として、50pphのIBOA978.9グラムを、完全に反応混合物中に混合した。1.2pphのIEM(35.24グラム)を反応容器中に混合し、窒素/酸素90/10雰囲気下、110℃で2時間保持した。その後、生成物を排出した。
IEMで処理した実施例1E(EX-1E)(20/40/40 HPA/IBOA/2-EHA)
776グラムの2-EHA、800.0グラムのIBOA、400.0グラムのHPA、4.0グラムのIOTG、20.0グラムの2-EHAに溶解した0.4グラムのV52の混合物1.2グラム、及び40.0グラムの2-EHAに溶解した0.7グラムのMEHQの混合物23.3グラムを、全て、ステンレス鋼反応容器に加えた。この混合物を、窒素で酸素をパージし、窒素で30psigに加圧し、60℃の誘導温度まで加温し、その後、断熱的に重合させると、表4に示すピーク1温度に達した。混合物を50℃に冷却し、9.61グラムの反応混合物で排出ラインを洗い流した後、試料(11.20グラム)を回収した。全て44.50グラムの2-EHAに溶解させた、1.0グラムのV52と2グラムのV67と2.5グラムのV88との完全に溶解した混合物19.79グラムを反応容器に加えた。3.96グラムのIOTGを反応容器に加えた(表3のIOTGの欄に示しているIOTGの量の3分の1)。この混合物を、窒素で酸素をパージし、窒素で30psigに加圧し、60℃の誘導温度まで加温し、断熱的に重合させると、表4に示すピーク2温度に達した。15.50グラムの反応生成物で排出ラインを洗い流した後、反応混合物の試料(18.84グラム)を回収した。
混合物を110℃に冷却し、反応容器内の重合オリゴマー100部を基準として、50pphのIBOA(973.1グラム)を、完全に反応混合物に混合した。1.6pphのIEM(31.14グラム)を反応容器中に混合し、窒素/酸素90/10雰囲気下、110℃で2時間保持した。その後、生成物を排出した。
表3中のモノマーの量は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用される重合性組成物中のモノマーの総重量に基づく重量%(wt%)として示している。表3中のIOTGの量は、前駆体(メタ)アクリレートコポリマーを形成するために使用されるモノマーの重量に基づいて、100部(pph)で示している。
これらの実施例の特性を下表6にまとめる。
比較例2~4(CE-2~CE-4)及び実施例2~14(EX-2~EX-14)
比較例2~4(CE-2~CE-4)及び実施例2~14(EX-2~EX-14)の配合物を表7にまとめる。配合物を、上記の「混合及びコーティング手順」に従って調製した。CE-2~CE-4及びEX-2~EX-14のレオロジー試験データを表8に、機械的試験データを表9にまとめる。
比較例5(CE-5)
(メタ)アクリレートコポリマーを、米国特許第5,804,610号(Hamer et al.)の方法により調製した。50重量部(pbw)のnBA、50pbwのTHFA、0.2pbwのI-651、及び0.1pbwのIOTGを琥珀色のガラス瓶中で合わせ、手で旋回させて混合して溶液を調製した。この溶液を、熱融着したエチレン酢酸ビニル系フィルムの区画内に、25グラムのアリコートへと分割し、16℃の水浴に浸し、UV光を用いて(UVA=4.7mW/cm2、片面当たり8分)重合させた。
32pbwのアクリレートコポリマー、19pbwのE1001F、9pbwのLVPREN、9pbwのPKHA、19pbwのE1510、9pbwのAL240、0.9pbwのGPTMS、0.5pbwのU6976、0.02pbwのTPO-L、及び2.4pbwのPETAを、30mm Werner & Pfleiderer共回転二軸押出機を用いて配合した。構成成分を予混合し、その後、押出成形機の供給口に体積測定的に供給し、毎分300回転(rpm)の混合に供した。押出機温度、溶融輸送温度、及びダイ温度を110℃に設定した。配合後、材料をシリコーン剥離ライナー同士の間に0.020インチ(0.5mm)の厚さでコーティングした。完成した試料の周囲光曝露を最小限に抑えるように注意を払った。比較例-5のレオロジーデータを表8にまとめる。