JP7202976B2 - スラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法 - Google Patents

スラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、改良対象土に注入する固化系スラリーを作る場合、要求されるスラリー注入率に応じたセメント添加量及び水セメント比(以下、「W/C」と略称する)を的確かつ迅速に設定可能にするスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法に関する。
スラリー攪拌式深層混合処理工法は、固化系スラリー(流動物)を地盤中に添加して攪拌翼により粘性土等の原位置土と攪拌混合することで、固結した柱状パイルを造成する地盤改良工法である。この工法として、図4は固化系スラリーを圧縮エアーを用いることなくポンプ移送して吐出した場合の地盤変位発生を示し、図5は圧縮エアーを用いて固化系スラリーを霧状に吐出した場合の地盤変位発生を模式的に示している。ここで、図4の工法では、改良域の地盤中に攪拌翼2を備えた回転軸1を回転させながら貫入し、攪拌翼等に設けられた吐出口7より固化系スラリーを原位置土へ低圧吐出させる。吐出されたスラリーは、撹拌翼2の回転に伴って回転軌跡に散布され原位置土と撹拌混合される。その際、スラリーが地盤中に吐出されると未解泥の地中に滞留して地中の圧力が上昇し、図中に示した矢印のごとく側方地盤を押し広げることで地盤変位が発生する。
また、図5の工法はCI-CMC工法(登録商標)と称されている。この工法では、特許文献1に開示されているごとく改良域の地盤中に攪拌翼2を備えた回転軸1を回転させながら貫入し、攪拌翼等に設けられたエジェクター3より圧縮エアーを混合した固化系スラリーを霧状に吐出させる。吐出された霧状のスラリーは、原位置土を細分化したりほぐし土粒子の流動性を高め、泥状となった土が圧縮エアーのリフトアップ作用(エアーリフト効果)で移動し易くなることにより、投入したスラリー量に応じて攪拌域の泥土が地表側へ上昇し排出されるため周辺変位が少なくなる効果つまり低変位施工が可能となる。
特許第5759151号公報
図4や図5のスラリー攪拌式深層混合処理工法では、用いられる固化系スラリーとして、要求されるスラリー注入率を満足する固化材スラリーの配合仕様、つまりセメント添加量及びW/Cを設定する必要がある。従来は、好ましいと思われるW/C毎に配合試験を実施し、各W/Cに応じたセメント添加量を設定していた。このため、W/Cを複数設定して配合試験を実施した場合、試験数(供試体数)が多くなり工費が増大する。
また、上記した低変位施工の配合設計では、実績等により設定したW/Cでセメント添加量を決定しているため必ずしも最適な配合仕様ではなかった。しかも、施工途中でW/Cを変更する必要が生じた場合、W/Cを変えた配合試験をやり直す必要があった。
ところで、図5の工法では、どのような条件でも低変位施工を実現可能になるものではなく、実現するためには攪拌域の流動性の確保が重要であり、その条件としてスラリー注入率を30%程度以上、経済性から30%程度とする必要がある。この点は本出願人の先願である特願2019-65286(以下、これを先願発明1という)を参照されたい。
ここで、スラリー注入率とは改良対象土の改良体積に対して注入するスラリー量の割合であり、[スラリー注入率=(セメント添加量/セメントの比重+セメント添加量/混練水の比重×W/C)/1,000]の式1により算定される。このスラリー注入率の設定には、式1から分かるように、(1)セメント添加量を変更する方法、(2)W/Cを変更する方法がある。(1)の方法では、本来必要な強度に対してセメント添加量の過不足が生じるため品質面で問題が生じたり、コスト面で不経済となる。(2)の方法では、設定するW/C毎に室内配合試験を実施する必要があるため試験数量及び試験費の増大が懸念される。
本発明は、以上のような背景から、要求されるスラリー注入率に応じた的確な配合仕様、つまりセメント添加量及びW/Cを費用を抑えて迅速に設定可能にすることを目的としている。他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、改良対象土に注入し混合する固化系スラリーとして、所定のスラリー注入率に応じたセメント添加量及び水セメント比(以下、「W/C」という)を設定するスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法であって、値の異なるW/Cに調整した複数の固化系スラリーを用いて配合試験を実施している場合はその結果を用いて(図2を参照)、配合試験のW/Cが1種類のみの場合はその結果と共に予め求めたW/Cと強度比の関係により配合試験と異なるW/Cに応じた強度を推定して(図3を参照)、セメント添加量と一軸圧縮強さの関係を求める第1工程と、[スラリー注入率=(セメント添加量/セメントの比重+セメント添加量/混練水の比重×W/C)/1,000]の式1により所定のスラリー注入率となるセメント添加量を前記W/C毎に求める第2工程と、第1工程で求めたセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を用いて第2工程で求めたセメント添加量で発現する一軸圧縮強さをW/C毎に求める第3工程と、第3工程で求めた所定のスラリー注入率を満足するセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を線で結ぶ第4工程と、第4工程で作成したセメント添加量と一軸圧縮強さの関係により要求される室内目標強度に対応するセメント添加量を求める第5工程と、第5工程で求めたセメント添加量と前記式1より所定のスラリー注入率を満足するW/Cを求める第6工程とを経ることを特徴としている。
なお、上記の式1は次のように表すことができる。Sをスラリー注入率、Cをセメント添加量、Gcをセメントの比重、混練水の比重を1、W/Cを水セメント比とする。
Figure 0007202976000001
Figure 0007202976000002
請求項2の発明は、請求項1の各工程を配合設定表として図式化した構成である。すなわち、この配合設定表は、図2や図3に例示されるごとく縦軸下段をW/C用軸、縦軸上段を一軸圧縮強さ用軸とし、かつ縦軸の上下段の間に設けた横軸をセメント添加量用軸としていると共に、縦軸上段と横軸の上側で区画される表内に前記第1工程及び第3工程の各関係を表示しており、また、縦軸下段と横軸の下側で区画される表内に前記式1より求めた所定のスラリー注入率でのW/Cとセメント添加量の関係を表示している構成である。
請求項3の発明は、前記配合設定表を利用して前記第5工程のセメント添加量及び前記第6工程のW/Cを求める構成である。これに対し、請求項4の発明は、所定のスラリー注入率を30%と設定している構成である。これは、低変位施工を実現するため先願発明1に基づいて特定したものである。

以上の本発明は、これまで実施した室内配合試験結果の検討評価等を動機付けとして完成されたものである。すなわち、本出願人らは、改良対象土に注入し混合する固化系スラリーとして、要求される所定のスラリー注入率に応じたセメント添加量及びW/Cを配合設計するに際し、まず、W/Cと一軸圧縮強さの関係を検討してきたところ、一般的に改良対象土の含水比が高いと、セメントが固化するに必要とされる水(間隙水)の量が過多となり改良土の強度が小さくなる。また、セメントをスラリーで添加した場合、W/Cを高くするほど実質的に改良対象土の含水比が高い状態とみなされるため、同じセメント添加量ではW/Cが高いほど強度は低下する。
そこで、本出願人らは、W/Cを変化させた場合の強度に与える影響を評価するために、出願人(自社)で実施した配合試験のうち複数のW/Cで試験を実施している現場の18試料土の配合試験結果、及び他社のセメントメーカーが実施した4試料土の配合試験結果(宇部三菱セメント(株):ユースタビラー技術資料,1998)を用いて、W/C=100%の強度を100とした場合の強度比を算定した。下記の表1はその強度比の算定例を示している。算定に用いたデータは土質、セメントのメーカー及び種類が異なっているが、それらの違いによる明瞭な相関関係は認められなかった。また、図1は算定結果からW/Cと強度比の関係で整理したものである。
図1からはW/Cと強度比には高い相関関係があることが分かる。そして、最小二乗法で求めた指数近似式は下記の式2となる。この水セメント比W/Cと強度比の関係は、本発明の第1工程において配合試験のW/Cが1種類のみの場合に有用となる。すなわち、第1工程において、配合試験のW/Cが1種類のみの場合はその結果と共に、予め求めたW/Cと強度比の関係により配合試験と異なるW/Cに応じた強度を推定して、セメント添加量と一軸圧縮強さの関係を求める。
Figure 0007202976000003








Figure 0007202976000004
請求項1の発明では、スラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法として、所定のスラリー注入率を満足する固化材スラリーの配合仕様、つまりセメント添加量及びW/Cを多数のW/C毎に配合試験を行って設定する従来構成に比べ、上記第1工程から第6工程を経るだけなので配合試験数を大幅に減らしそれに伴う費用を抑えて的確かつ迅速に設定できる。この点は、例えば、施工途中でW/Cを変更したい場合でも追加で配合試験を行うことなく配合仕様を設定可能なため、施工の信頼性を向上したり遅延要因を解消できる。
請求項2と3の各発明では、図2に例示されるごとく請求項1の各工程を配合設定表として作成しておくと、要求されるスラリー注入率を満足する最適なセメント添加量及びW/Cを直ちに設定できると共に、前述した施工途中でW/Cを変更する場合も即時に対応できる。
請求項4の発明では、所定のスラリー注入率を30%としているため先願発明1の低変位施工、つまりCI-CMC工法として経費を抑えて地盤変位ゼロに近づけることが可能となる。
これまで実施された多数の配合試験に基づく水セメント比と強度比の関係を示すグラフである。 請求項2の配合設定表の具体例として請求項1の第1工程では複数の固化系スラリーを用いて配合試験を実施している構成を示す図である。 請求項2の他の配合設定表例として請求項1の第1工程では配合試験のW/Cが1種類の場合の構成を示す図である。 スラリー攪拌式深層混合処理工法による吐出したスラリーの挙動を概念的に示し、(a)は上からみた模式図、(b)は地盤を縦方向に断面した模式図である。 CI-CMC工法による吐出したスラリーの挙動を概念的に示し、(a)は上からみた模式図、(b)は地盤を縦方向に断面した模式図である。
図2と図3の各配合設定表は、本発明形態としてスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法を図式化したものであり、スラリー攪拌式深層混合処理工法の適用に際し改良対象土に注入する固化系スラリーを作成する場合、要求される所定のスラリー注入率に応じたセメント添加量及び水セメント比W/Cを的確かつ迅速に設定可能にするものである。
すなわち、この配合設定方法では、改良対象土に注入し混合する固化系スラリーとして、所定のスラリー注入率に応じたセメント添加量及び水セメント比(W/C)を以下の第1工程から第6工程により設定する。
第1工程では、値の異なるW/Cに調整した複数の固化系スラリーを用いて配合試験を実施している場合はその結果を用いて、配合試験のW/Cが1種類のみの場合は予め求めたW/Cと強度比の関係式として、強度比=211.7e-0.75W/C の式によりW/Cに応じた強度を推定して、セメント添加量と一軸圧縮強さの関係を求める。
第2工程では、[スラリー注入率=(セメント添加量/セメントの比重+セメント添加量/混練水の比重×W/C)/1,000]の式1により所定のスラリー注入率となるセメント添加量を前記W/C毎に求める。
第3工程では、第1工程で求めたセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を用いて第2工程で求めたセメント添加量で発現する一軸圧縮強さをW/C毎に求める。
第4工程では、第3工程で求めた所定のスラリー注入率を満足するセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を線で結ぶ。
第5工程では、第4工程で作成したセメント添加量と一軸圧縮強さの関係により要求される室内目標強度に対応するセメント添加量を求める。
第6工程では、第5工程で求めたセメント添加量と前記式1より所定のスラリー注入率を満足するW/Cを求める。
また、図2の配合設定表は、縦軸下段をW/C用軸(上方より下方に向かって100%、200%、300%)、縦軸上段を一軸圧縮強さ(kN/m)用軸(0、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000)とし、かつ縦軸の上下段の間に設けた横軸をセメント添加量(kg/m)用軸(0、50、100、150、200、250、300、350、400)としている。また、縦軸上段と横軸の上側で区画される表内には第1工程及び第3工程の各関係を表示している。加えて、縦軸下段と横軸の下側で区画される表内には上記の式1より求めた所定のスラリー注入率でのW/Cとセメント添加量の関係を表示している。
ここで、第1工程では、値の異なるW/Cに調整した複数の固化系スラリーを用いて配合試験を実施している場合はその結果を用いてセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を求める。或いは、配合試験のW/Cが1種類のみの場合はその結果と共に、予め求めた図1に示したようなW/Cと強度比の関係により他のW/Cに応じた強度を推定して、セメント添加量と一軸圧縮強さの関係を求める。
表2には、前者の具体例として、W/C=100%、W/C=150%の場合の例で、セメント添加量が100kg/m、200kg/m、300kg/m 含有した固化系スラリーを用いて配合試験した試験数(供試体数)6ケースの結果つまり一軸圧縮強さを示している。これに基づき、図2にはW/Cが100%と150%における各セメント添加量と一軸圧縮強さの関係をプロットし線で結ぶ。上段のグラフがW/C=100%の場合を、下段のグラフがW/C=150%の場合を示している。
Figure 0007202976000005
表2中、W/Cは水セメント比、つまり水とセメントの比率を百分率で表した値である。W/Cの大きさは改良杭の強度、耐久性などに影響する。一般的には、W/Cが大きすぎると強度や耐久性の不足につながり、小さすぎるとワーカビリティの低下につながる。セメント添加量(kg/m)と一軸圧縮強さ(kN/m)は一般的に比例する関係にある。固化系スラリーは、セメントスラリーとして特許文献1に例示されるように遅延性減水材その他の改良剤などを含有している構成でもよい。
以上の第1工程は、値の異なるW/Cに調整した複数の固化系スラリーを用いて配合試験を実施している場合の例である。これに代えて、配合試験のW/Cが1種類のみの場合はその結果であるセメント添加量と一軸圧縮強さと共に、予め求めた図1に示したようなW/Cと強度比の関係により他のW/Cに応じた強度を推定してセメント添加量と一軸圧縮強さを求める。後者の場合は、図1に示したグラフより配合試験したW/Cの強度に対する割合で他のW/Cに応じた強度を推定する方法、上記の式2によりW/Cに応じた強度を推定する方法のどちらでもよい。表3は配合試験及び推定結果を一覧している。すなわち、 表3の一軸圧縮強さは、例えば、配合試験を実施したセメント添加量と一軸圧縮強さが表2のW/C=100%の場合の値である。また、表3の推定一軸圧縮強さは、図1から水セメント比(W/C)200%の場合だと、強度比がW/C=100%のときの略半分の50%、つまりW/C=100%の一軸圧縮強さの値の1/2となる。なお、以下の説明では、この例のセメント添加量と推定一軸圧縮強さの関係を推定の場合という。表3はその結果を一覧している。







Figure 0007202976000006
第2工程では、上記の式3により所定のスラリー注入率となるセメント添加量をW/C毎に求める。所定のスラリー注入率は、施工設計等で要求されるスラリー注入率であり、ここでは先願発明1に準拠してスラリー注入率30%となるセメント添加量を求めると、W/C=100%の場合はセメント添加量が228kg/m、W/C=150%の場合はセメント添加量が165kg/mとなる。なお、推定の場合、つまりW/C=200%の場合はセメント添加量が129kg/mとなる。
第3工程では、第1工程で得られたセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を用いて、第2工程で求めたセメント添加量で発現する一軸圧縮強さを求めると、W/C=100%、セメント添加量=228kg/mにおける一軸圧縮強さは4,578kN/m、W/C=150%、セメント添加量=165kg/mにおける一軸圧縮強さは1,996kN/mとなる。なお、推定の場合、つまりW/C=200%、セメント添加量=129kg/mにおける一軸圧縮強さは850kN/mとなる。
第4工程では、図2の配合設定表において、第3工程で求めたスラリー注入率30%を満足するセメント添加量と一軸圧縮強さの関係、つまり(セメント添加量が228kg/m、一軸圧縮強さが4,578kN/m)と(セメント添加量が165kg/m、一軸圧縮強さが1,996kN/m)とを連結線(図2中の破線)で結ぶ。なお、推定の場合もスラリー注入率30%を満足するセメント添加量と一軸圧縮強さの関係、つまり(セメント添加量が228kg/m、一軸圧縮強さが4,578kN/m)と(セメント添加量が129kg/m、一軸圧縮強さが850kN/m)とを連結線(図3中の破線)で結ぶ。
第5工程では、第4工程で求めたセメント添加量と一軸圧縮強さの関係、つまり作成された図2の連結線を用いて、設計上要求される室内目標強度3,400kN/mに対応するセメント添加量199kg/mを求める。なお、推定の場合も第4工程で求めたセメント添加量と一軸圧縮強さの関係、つまり作成された図3の連結線を用いて、設計上要求される室内目標強度3,400kN/mに対応するセメント添加量199kg/mを求める。
第6工程では、第5工程で求めたセメント添加量199kg/mで、スラリー注入率30%となるW/Cを求めると、W/C=119%となる。なお、推定の場合も第5工程で求めたセメント添加量199kg/mで、スラリー注入率30%となるW/Cを求めると、W/C=119となる。
以上の具体例に挙げた現場では、W/C=120%の配合試験も実施しており、この結果から室内目標強度3,400kN/mを満足するセメント添加量を求めると1974kg/mとなり、スラリー注入率に応じて設定した結果(W/C=119%、セメント添加量199kg/m)とほぼ一致した。この点からも本発明の妥当性が確認できた。
換言すると、スラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法において、所定のスラリー注入率を満足する固化材スラリーの配合仕様、つまりセメント添加量及びW/Cを多数のW/C毎に配合試験を行って設定する従来構成に比べ、第1工程から第6工程により設定可能なことから、配合試験数を大幅に減らしそれに伴う費用を抑えて的確かつ迅速に設定でき、施工設計及び施工評価等に大いに有用となる。また、この点は、例えば、施工途中でW/Cを変更したい場合でも追加で配合試験を行うことなく配合仕様を設定可能なため、施工の信頼性を向上したり遅延要因を解消できる。
また、この構成では、図2や図3のごとく各工程をスラリー注入率に応じた配合設定表として作成しておくと、要求されるスラリー注入率を満足する最適なセメント添加量及びW/Cを直ちに決めることができ、加えて前述した施工途中でW/Cを変更する場合も即時に対応できる。更に、所定のスラリー注入率を30%としているため先願発明1の低変位施工、つまりCI-CMC工法として経費を抑えて地盤変位ゼロに近づけることが可能となる。
なお、以上の形態例は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項で特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。例えば、図2や図3はスラリー注入率に応じた配合決定図と称する以外に、例えば、スラリー注入率に応じた配合決定表、又は単に配合決定表と称しても差し支えない。
1・・・・回転軸
2・・・・攪拌翼
3・・・・エジェクター
4・・・・配管
5・・・・配管
6・・・・配管
7・・・・吐出口

Claims (4)

  1. 改良対象土に注入し混合する固化系スラリーとして、所定のスラリー注入率に応じたセメント添加量及び水セメント比(以下、「W/C」という)を設定するスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法であって、
    値の異なるW/Cに調整した複数の固化系スラリーを用いて配合試験を実施している場合はその結果を用いて、配合試験のW/Cが1種類のみの場合はその結果と共に予め求めたW/Cと強度比の関係により配合試験と異なるW/Cに応じた強度を推定して、セメント添加量と一軸圧縮強さの関係を求める第1工程と、
    [スラリー注入率=(セメント添加量/セメントの比重+セメント添加量/混練水の比重×W/C)/1,000]の式1により所定のスラリー注入率となるセメント添加量を前記W/C毎に求める第2工程と、
    第1工程で求めたセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を用いて第2工程で求めたセメント添加量で発現する一軸圧縮強さをW/C毎に求める第3工程と、
    第3工程で求めた所定のスラリー注入率を満足するセメント添加量と一軸圧縮強さの関係を線で結ぶ第4工程と、
    第4工程で作成したセメント添加量と一軸圧縮強さの関係により要求される室内目標強度に対応するセメント添加量を求める第5工程と、
    第5工程で求めたセメント添加量と前記式1より所定のスラリー注入率を満足するW/Cを求める第6工程と
    を経ることを特徴とするスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法。
  2. 縦軸下段をW/C用軸、縦軸上段を一軸圧縮強さ用軸とし、かつ縦軸の上下段の間に設けた横軸をセメント添加量用軸としていると共に、縦軸上段と横軸の上側で区画される表内に前記第1工程及び第3工程の各関係を表示しており、また、縦軸下段と横軸の下側で区画される表内に前記式1より求めた所定のスラリー注入率でのW/Cとセメント添加量の関係を表示している配合設定表を作成することを特徴とする請求項1に記載のスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法。
  3. 前記配合設定表を利用して前記第5工程のセメント添加量及び前記第6工程のW/Cを求めることを特徴とする請求項2に記載のスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法。
  4. 前記所定のスラリー注入率を30%と設定していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスラリー攪拌式深層混合処理工法におけるスラリー注入率に応じた配合設定方法。
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