JP6496869B1 - 深層混合処理工法におけるw/cの設定方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】土中の水量とセメントスラリー中の水量の合算水量(Wg)を求める第1の工程と、前記(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の異なる少なくとも3つの値を設定する第2の工程と、前記異なる3つの値に基づき室内配合試験を実施し、それぞれの一軸圧縮強度を求める第3の工程と、前記第3の工程で求められた一軸圧縮強度を相関図上にスラリー曲線を作成する第4の工程と、前記スラリー曲線に基づき目標強度に対応する(Wg)と(C)の比(Wg/C)を求める第5の工程と、前記(Wg/C)から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比を決定する第6の工程とからなる。
【選択図】図11
Description
従来の地盤改良は、土質性状が狭い範囲の土壌に対しての改良が多かったが、近年、地震・耐震対策や防災対策として利用されることが多く、また、エネルギー関連施設など社会資本整備での比較的高強度の深層混合処理工法が採用されるケースが増えるなど、その対象地盤や対象構造物も幅広く多様化している。
地盤タイプと土のコンシステンシー特性は、図2に示すように、分類できる。しかし、セメント系深層混合処理工法プロセス設計検討項目は、図1に示すように、地盤特性、材料特性、機械特性をそれぞれ独立して設計検討するのではなく、互いに関連付けて設計検討することが望まれる。
すなわち、深層混合処理した改良土は、変動係数や平均強度、又は攪拌翼の羽根切り回数だけで品質管理を行い、改良土の強度のバラツキのみを管理してきたが、土壌のバラツキの原因究明が不十分であり、改良土の品質向上が疎かに考えられてきた。そのため室内配合試験による一軸圧縮強度qulと原位置強度(現場安定処理土の一軸圧縮強度)qufとの現場強度比qul/quf=2〜4とより安全側に取るなどして施工してきた。しかし、セメント系深層混合処理工法があらゆるところで使用されるようになり、その設計強度が低いものから高いものまで幅広くなるに従って従来の考え方では対応出来なくなってきており、高強度の設計強度に対しては、qul/qufが大きい値、すなわち安全率が取れない場合もでてきた。
例えば、多層地盤や硬質地盤での施工、改良杭長が30mを超える長尺施工で複雑な施工が要求される場合でも、代表地盤に対して一律に管理仕様を決め、複雑な地盤条件に対応できないまま施工をし、管理を行ってきた。また、工事発注者側の試験施工がなされないため、改良杭の造成内容の把握を行うことが疎かになっており、改良杭の施工の統一された基準値が明確でない場合があった。
具体的には、図3(a)及び図3(b)に示す方法が提示されている。
この図3(a)では、目標強度160kN/m2を得るための最適なセメントの添加量を得るために、W/C=70%、90%、110%とのときの一軸圧縮強度とセメント添加量の特性線を求め、これらの特性線から目標強度160kN/m2を得るための最適なセメントの添加量を、W/C=70%では、71kg/m3、W/C=90%では、93kg/m3、W/C=110%では、111kg/m3と算出している。
同様に、図3(b)では、目標強度450kN/m2を得るための最適なセメントの添加量を得るために、W/C=100%、130%、160%、190%とのときの一軸圧縮強度とセメント添加量の特性線を求め、これらの特性線から目標強度450kN/m2を得るための最適なセメントの添加量を、W/C=100%では、107kg/m3、W/C=130%では、115kg/m3、W/C=160%では、125kg/m3と算出している。W/C=190%では、算出不可能である。
同様にして、図3(b)では、3個所×3本×4特性線=36本の供試体を作り室内配合試験を実施しなければならない。
非特許文献1には、P113〜P117に「4.3室内配合試験」についての記載があり、現地の土を採取して室内でセメントに水と必要に応じて混和剤を添加し、このセメントスラリーをミキサーで混錬し、モールドに充填して、1配合・1材令に付き供試体3本を作製し、養生後脱型して一軸圧縮試験を実施することが記載されている。そして、配合の欄に、W/C(%)60〜100、安定材添加量(kg/m3)80〜200との記載があり、この配合の異なる毎に、供試体の数が増えることは、図3(a)(b)と同様である。
また、非特許文献1の工法においても、配合例が増えると、それに応じて室内配合試験のための供試体の数が増える。
室内配合試験のためには、数10kgの試料土の採取(1供試体当たり0.5kg)、試料の含水比の調整、セメントスラリーとの混練り、試料のモールドへの充填、湿潤養生、材令7日、28日又は91日後の一軸圧縮強度試験という作業工程があり、供試体が増えることにより、極めて手数のかかる作業である。
水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法において、
前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の工程と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の工程と、
前記第1の工程で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の工程で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の工程と、
前記第3の工程で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の工程で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の工程と、
前記第4の工程で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の工程と、
前記第5の工程で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の工程と
を具備していることを特徴とする。
コンピューターに、
水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法における前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の手順と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の手順と、
前記第1の手順で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の手順で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の手順と、
前記第3の手順で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の手順で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の手順と、
前記第4の手順で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の手順と、
前記第5の手順で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の手順と
を実行させる。
水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法において、
前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の工程と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の工程と、
前記第1の工程で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の工程で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の工程と、
前記第3の工程で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の工程で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の工程と、
前記第4の工程で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の工程と、
前記第5の工程で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の工程と
を具備しているので、室内配合試験のための供試体の数は、3本の平均値をとるものとしても、9本で済み、簡便に室内配合試験ができる。すなわち、W/C=80%、100%、120%などと異なっても、同一の特性を有する対象土であれば、予め設定した任意のW/Cについて、セメントの添加量の少なくとも3つの異なる試供体、すなわち平均値をとるため3個ずつ9個の試供体を作製すれば済むこととなる。また、あらゆる地盤に対応できるバラツキの少ない強度と出来形を造成できる深層混合処理工法におけるW/Cの設定方法を確立することができる。
合算水量(Wg)は、改良対象土が塑性状から液状に移行する液性限界の水量としたので、改良対象土とセメント系改良材の混錬を適正に行うことができる。
合算水量(Wg)は、液性限界の1.0〜1.4倍の水量としたので、あらゆる改良対象土に対応することができる。
水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法における前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の手順と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の手順と、
前記第1の手順で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の手順で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の手順と、
前記第3の手順で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の手順で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の手順と、
前記第4の手順で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の手順と、
前記第5の手順で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の手順と
からなるので、スラリー曲線の作成と、このスラリー曲線に基づき目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比の算出を自動化することが可能となる。
水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法において、
前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の工程と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の工程と、
前記第1の工程で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の工程で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の工程と、
前記第3の工程で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の工程で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の工程と、
前記第4の工程で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の工程と、
前記第5の工程で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の工程と
を具備している。
コンピューターに、
水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法における前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の手順と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の手順と、
前記第1の手順で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の手順で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の手順と、
前記第3の手順で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の手順で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の手順と、
前記第4の手順で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の手順と、
前記第5の手順で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の手順と
により構成する。
図12は、深層混合処理工法におけるW/Cの設定装置のブロック図を示し、この装置の根幹をなすものがパソコン(パーソナルコンピューター)10である。このパソコン10には、インターフェイス20を介して入力部23と表示部24とプリンタ25が結合され、また、室内配合試験装置26へのデータの入出力が行われ、さらに、シミュレーション結果メモリ21を介してデータベース22に結合されている。
A1:スタート後、この工程では、入力部23からインターフェイス20を介してパソコン10に次の情報が入力される。
発注者の特記仕様書・設計書、建設物の要求特性、建設地点の地盤情報、改良すべき地盤の要求性能設計強度quck、概説地層図等の情報、その他必要情報。
A2:この工程では、改良すべき地盤の土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、土粒子の密度(ρs)、自然含水比(Wn)、液性限界(WL)、塑性限界 (Wp)、塑性指数 (Ip)、N値、粒度分布などのデータを入力部23からパソコン10に入力する。
さらに、入力部23からインターフェイス20を介して室内配合試験装置26に土質試験データが送られる。
中強度域:擁壁の基礎などの構造物基礎に必要な改良体で、材令28日強度が1,500〜2,500KN/m2程度(平均2,000KN/m2)の目標強度の場合を中強度域とする。
高強度域:港湾の護岸・岸壁等、ブロック式、壁式、格子式など高強度の改良体が必要な場合で、材令28日強度が2,500〜3,500KN/m2(平均3,000KN/m2)程度の目標強度の場合を高強度域とする。
超高強度域:建築分野での直接基礎や耐震強化岸壁及び液状化対策、レベル2の地震など超高強度の改良体が必要とし、材令28日強度が3,500〜5,000KN/m2(平均4,000KN/m2)程度の目標強度の場合を超高強度域とする。
以上のような情報もパソコン10内に記憶される。
A4:この工程では、演算及び判別回路11で改良すべき地盤の土がpH<8(有機質土か)?を判断し、YesならA11へ移行し、NoならA5に移行する。
この試験では、例えばW/C=100%と設定し、材令Tc=28日のとき、
添加量C=115kgでは、強度qu28=2609kN/m2(3本の平均値)
添加量C=170kgでは、強度qu28=4068kN/m2(3本の平均値)
添加量C=225kgでは、強度qu28=6014kN/m2(3本の平均値)
が得られた。
従来の特性線は、図5に示すように、縦軸が一軸圧縮強度で、横軸がセメント系改良材の添加量としている。具体的には、
(1)W/C=100%のときの特性線は、図5の実線で表される。
(2)W/C=120%のとき、
添加量C=115kgでは、強度qu28=2486kN/m2(3本の平均値)
添加量C=170kgでは、強度qu28=3861kN/m2(3本の平均値)
添加量C=225kgでは、強度qu28=5781kN/m2(3本の平均値)
が得られたことにより、特性線は、図5の点線で表される。
このように、従来は、W/Cの設定が異なる毎に一軸圧縮試験が行われる。
本発明によるスラリー曲線の作成例を詳細に説明する。
三河神野地区における実証試験での粘性土(Ac)層の室内配合試験を例に説明する。
対象土の土質は次の通りであった。
湿潤密度 ρt=1.608g/cm3
乾燥密度 ρd=1.033g/cm3
土粒子の密度 ρs=2.671g/cm3
自然含水比 Wn=55.7%
液性限界 WL=54.2%
塑性限界 Wp=36.9%
塑性指数 Ip=17.3%
対象土の質量1608=土粒子Ws+自然含水Wwで、
自然含水比=55.7%であるから、Ww=0.557×Wsとなり、
1608=Ws+0.557Ws
したがって、土粒子Ws=1608/1.557=1033kgとなり、
自然含水Ww=1608−1033=575kgとなる。
改良材中の水をΔwとし、これに自然含水Wwを合算した合算水量Wgとすると、
Wg/C=(Ww+Δw)/Cであるから
W/C=100%のとき、Δw=115kg、C=115kgとすると
Wg/C=(575+115)/115=6.0が得られる。
このときの一軸圧縮強度qu=2609kN/m2である。
この一軸圧縮強度qu=2609kN/m2とWg/C=6.0を図4にプロットする。
Wg/C=(575+170)/170=4.38が得られる。
このときの一軸圧縮強度qu=4068kN/m2である。
この一軸圧縮強度qu=4068kN/m2とWg/C=4.38を図4にプロットする。
同様にして、W/C=100%、Δw=225kg、C=225kgを添加したとき
Wg/C=(575+225)/225=3.55が得られる。
このときの一軸圧縮強度qu=6014kN/m2である。
この一軸圧縮強度qu=6014kN/m2とWg/C=3.55を図4にプロットする。
以上のようにして求めた3点(Wg/C=6.0,qu=2609),(Wg/C=4.38,qu=4068),(Wg/C=3.55,qu=6014)をプロットして図4の実線で示す双曲線に似たスラリー曲線Aが得られる。
W/C=120%のとき、Δw=115×1.2=138kg、C=115kgであるから、
Wg/C=(575+138)/115=6.2が得られる。
このときの一軸圧縮強度qu=2486kN/m2である。
W/C=120%、Δw=170×1.2=204kg、C=170kgを添加したとき
Wg/C=(575+204)/170=4.582が得られる。
このときの一軸圧縮強度qu=3861kN/m2である。
同様にして、W/C=120%、Δw=225×1.2=270kg、C=225kgを添加したとき
Wg/C=(575+270)/225=3.755が得られる。
このときの一軸圧縮強度qu=5781kN/m2である。
以上のようにして求めた3点(Wg/C=6.2,qu=2486),(Wg/C=4.582,qu=3861),(Wg/C=3.755,qu=5781)をプロットして図4の点線で示す双曲線に似たスラリー曲線Bが得られる。
目標強度としてqu=3000kN/m2を設定したものとすると、図4のスラリー曲線から、Wg/C=5.4という値が得られる。
ここで、W/C=100%、セメント添加量をCとすると
Δw=(W/C)/100×C=(100)/100×C=Cとなり
Wg/C=(575+C)/C=5.4
5.4C−C=575 C=130.7kg/m3となる。
この値は、図5の実線の特性線の横軸Cから求めた130kg/m3と一致する。
Δw=(W/C)/100×C=(120)/100×C=1.2Cとなり
Wg/C=(575+1.2C)/C=5.4
5.4C−1.2C=575 C=136.9kg/m3となる。
この値は、図5の点線の特性線の横軸Cから求めた137kg/m3と一致する。
以上のように、図4のスラリー曲線のみでW/Cの割合を種々換えたときのセメント添加量を得ることができる。
そこで、A7の工程では、前記全国・個別スラリー曲線から逸脱しているかどうかを判定する。逸脱している場合には、A5の工程に戻り、土質試験データを再確認し、室内配合試験を再度行い、A6〜A8を繰り返す。
図6は、三河地区試験杭の高炉セメントB種を用いた材齢28日の一軸圧縮強度と合算水量(Wg)に対するセメント量(C)の比(Wg/C)の相関関係である。粘性土と砂質土に明らかに相関関係の違いがみられる。
図7より次のことが言える。
低強度域 500KN/m2〜1,500KN/m2:Wg/C=8.0±2.0
中強度域 1,500KN/m2〜2,500KN/m2:Wg/C=5.5±1.5
高強度域 2,500KN/m2〜3,500KN/m2:Wg/C=4.5±1.5
超高強度域 3,500KN/m2〜4,500KN/m2:Wg/C=3.5±1.5
海底粘土のWg/Cと材齢28日一軸圧縮強度の相関式は次式で表すことができる。
10,500(Wg/C)f−1.26≦qu28≦71,300(Wg/C)f−1.33
海底粘土の(Wg/C)と材齢28日一軸圧縮強度の平均値の相関式は次式で表すことが出来る。
qu28=23,300(Wg/C)f−1.26
図8より次のことが言える。
低強度域 500KN/m2〜1,500KN/m2:Wg/C=4.5±1.5
中強度域 1,500KN/m2〜2,500KN/m2:Wg/C=3.5±1.5
高強度域 2,500KN/m2〜3,500KN/m2:Wg/C=3.0±1.5
超高強度域 2,500KN/m2〜3,500KN/m2:Wg/C=2.0±1.0
海底粘土のWg/Cと材齢28日一軸圧縮強度の相関式は次式で表すことが出来る。
qu28≦5700(Wg/C)f−1.10
海底粘土の(Wg/C)と材齢28日一軸圧縮強度の平均値の相関式は次式で表すことが出来る。
qu28=10,800(Wg/C)f−1.14
図9より次のことが言える。
低強度域 500KN/m2〜1,500KN/m2:Wg/C=8.0±2.0
中強度域 1,500KN/m2〜2,500KN/m2:Wg/C=5.5±1.5
高強度域 2,500KN/m2〜3,500KN/m2:Wg/C=4.5±1.5
超高強度域 2,500KN/m2〜3,500KN/m2:Wg/C=3.5±1.0
シルト質粘土のWg/Cと材齢28日一軸圧縮強度の相関式は次式で表すことが出来る。
23,600(Wg/C)f−1.42≦qu28≦21,300(Wg/C)f−0.99
シルト質粘土の(Wg/C)と材齢28日一軸圧縮強度の平均値の相関式は次式で表すことが出来る。
qu28=22,000(Wg/C)f−1.45
図10より次のことが言える。
低強度域 500KN/m2〜1,500KN/m2:Wg/C=4.0±2.0
中強度域 1,500KN/m2〜2,500KN/m2:Wg/C=3.0±1.5
高強度域 2,500KN/m2〜3,500KN/m2:Wg/C=2.5±1.5
有機質土の(Wg/C)と材齢28日一軸圧縮強度の平均的な相関式は次式で表すことが出来る。
qu28=19,400(Wg/C)f−2.63
Claims (5)
- 水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法において、
前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の工程と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の工程と、
前記第1の工程で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の工程で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の工程と、
前記第3の工程で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の工程で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の工程と、
前記第4の工程で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の工程と、
前記第5の工程で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の工程と
を具備していることを特徴とする深層混合処理工法におけるW/Cの設定方法。 - 前記第2の工程に先立ち改良すべき地盤の土がpH<8(有機質土か)?を判断し、Yesのとき、強度を確保するために有機質土に特殊添加剤や特殊セメントを使用する工程を付加したことを特徴とする請求項1記載の深層混合処理工法におけるW/Cの設定方法。
- 合算水量(Wg)は、改良対象土が塑性状から液状に移行する液性限界の水量としたことを特徴とする請求項1又は2記載の深層混合処理工法におけるW/Cの設定方法。
- 合算水量(Wg)は、液性限界の1.0〜1.4倍の水量であることを特徴とする請求項3記載の深層混合処理工法におけるW/Cの設定方法。
- コンピューターに、
水とセメント系改良材との設定された比W/Cで混合したセメントスラリーを改良対象土に注入し攪拌混合するセメント系深層混合処理工法における前記改良対象土を採集し、土質試験を行い、湿潤密度(ρt)、乾燥密度(ρd)、自然含水比(Wn)、その他の土質試験データを取得する第1の手順と、
前記水セメント比W/Cを任意に設定した一定値としてセメント添加量を異ならせた少なくとも3種類の配合のセメントスラリーを、前記採集した土にそれぞれ混錬し養生して供試体を作製し、室内配合試験により一軸圧縮強度を求める第2の手順と、
前記第1の手順で取得したデータに基づき演算した前記採集した土の自然含水量(Ww)と前記第2の手順で作成した少なくとも3種類の配合のセメントスラリー中の水の量(Δw)を合算して少なくとも3つの合算水量(Wg)を求める第3の手順と、
前記第3の手順で求めたそれぞれの合算水量(Wg)と前記それぞれのセメント添加量(C)の比(Wg/C)の各点を横軸上にプロットし、前記第2の手順で得られたそれぞれのセメント添加量(C)に対応する一軸圧縮強度の各点を縦軸上にプロットしてそれぞれの交点を相関図上にプロットし、これらのプロットを結び当該改良対象土固有のスラリー曲線を作成する第4の手順と、
前記第4の手順で作成したスラリー曲線の前記縦軸上に設定した目標強度に対応する前記横軸上の合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値を求める第5の手順と、
前記第5の手順で求めた目標強度に対応する合算水量(Wg)とセメント量(C)の比(Wg/C)の値から目標強度に対応するセメント添加量と水セメント比W/Cを演算する第6の手順と
を実行させるためのプログラム。
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