この種のドロア装置は、筐体内で引出部をスライドさせる際に、引出部の引出ガイドレールが筐体の筐体ガイドローラ上を移動し、かつ引出部の引出ガイドローラが筐体の筐体ガイドレールの下面に当接して回転しながら移動することにより、筐体に対して引出部がスライドするように構成されている。
以下、図1~図9を参照して、この発明を電子レジスタに適用した一実施形態について説明する。
この電子レジスタは、図1に示すように、ドロア装置1を備えている。このドロア装置1は、筐体2と引出部5とを備え、この筐体2の内部に引出部5が引出可能に収納されるように構成されている。この筐体2は、上部にレジスタ本体(図示せず)が設けられるものであり、合成樹脂のケース本体3と金属製のカバーケース4とを備えている。
ケース本体3は、図1および図2に示すように、上部が開放されたほぼ箱形状に形成されている。すなわち、このケース本体3は、底部3aと前枠部3bと背面部3cと両側の側面部3dとを備えている。前枠部3bと背面部3cとは、外形が同じ大きさのほぼ長方形状に形成されており、前枠部3bには、引出部5が挿入する開口部3eが設けられている。両側の側面部3dは、その高さが前枠部3bと背面部3cとの高さよりも低く形成されている。
カバーケース4は、図1に示すように、上面カバー部4aと両側の側面カバー部4bとを備えている。上面カバー部4aは、ケース本体3の上面部と同じ大きさの四角形状に形成されて、ケース本体3の上面部に配置されるように構成されている。両側の側面カバー部4bは、ケース本体3の前枠部3bと背面部3cとの高さと同じ高さの長方形状に形成されて、ケース本体3の両側の側面部3dを覆って配置されるように構成されている。
引出部5は、図1および図3に示すように、金銭を収納するものであり、上部が開放されたほぼ箱形状に形成されている。この引出部5は、引出方向の長さ(奥行き)がケース本体3の引出方向の長さよりも短く形成され、引出方向と直交する幅方向の長さがケース本体3の前枠部3bの開口部3eにおける幅方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている。
また、この引出部5は、図1および図3に示すように、前面部5aの外形がケース本体3の前枠部3bの外形とほぼ同じ大きさで、前枠部3bの開口部3eの形状よりも大きく形成されている。これにより、引出部5は、ケース本体3の前枠部3bにおける開口部3eから筐体2内に挿入され、前面部5aが前枠部3bに当接して引出部5の後部がケース本体3の背面部3cから離れた状態で、筐体2内に収納されるように構成されている。
この引出部5の内部には、図1および図3に示すように、硬貨収納部6と紙幣収納部7とが設けられている。硬貨収納部6は、硬貨を種類ごとに収納するものであり、引出部5の前部側に設けられ、その内部が金種ごとに複数に仕切られている。紙幣収納部7は、紙幣を種類ごとに収納するものであり、引出部5の後部側に設けられ、その内部が金種ごとに複数に仕切られている。この紙幣収納部7には、複数に仕切られた各内部に紙幣を押える押え部7aがそれぞれ設けられている。
また、この引出部5の後端部には、図1および図3に示すように、一対のローラ取付部8が後方に向けて突出して設けられている。すなわち、一対のローラ取付部8は、引出部5の後端部の両側部にそれぞれ設けられている。この場合にも、引出部5は、筐体2内に収納された際に、一対のローラ取付部8がケース本体3の背面部3cに当接することなく、筐体2内に収納されるように構成されている。また、この引出部5の前面部5aには、筐体2内に収納された引出部5を施錠する施錠部10が設けられている。
また、筐体2内における後部には、図1および図2に示すように、筐体2内に収納された引出部5をロックするロック装置11が設けられている。このロック装置11は、引出部5の後端部に設けられた係合ピン(図示せず)をロックするロック部11aと、このロック部11aによるロックを解除するロック解除部11bと、ロック部11aによるロックが解除された引出部5を筐体2の内部から外部に向けて押し出すコイルばね11cと、を備えている。
これにより、ロック装置11は、図1および図2に示すように、筐体2内に引出部5が収納された際に、引出部5によってコイルばね11cが圧縮された状態で、引出部5の係合ピン(図示せず)をロック部11aでロックするように構成されている。また、このロック装置11は、レジスタ本体(図示せず)のキー操作によってロック解除部11bがロック部11aによる引出部5の係合ピンのロックを解除した際に、コイルばね11cのばね力によって引出部5を筐体2内から押し出すように構成されている。
ところで、このドロア装置1は、図1~図3、図6に示すように、筐体2に対して引出部5を円滑にスライドさせるためのガイド機構12を備えている。このガイド機構12は、筐体2内の両側部に設けられた筐体ガイドレール13および筐体ローラ14と、引出部5の両側部に設けられた引出ガイドレール15および引出ローラ16と、を備えている。
筐体ガイドレール13は、図1および図2に示すように、ケース本体3の左右両側に位置する各側面部3dの内面それぞれに前部側から後部側に亘って設けられている。筐体ローラ14は、図4に示すように、ケース本体3の左右両側の各側面部3dにおける各内面の前側部、つまり前枠部3bの左右両側に位置する後部にそれぞれ取り付けられている。
引出ガイドレール15は、図1および図3に示すように、引出部5の左右両側の各外面にそれぞれ前部から後部のローラ取付部8に亘って設けられている。引出ローラ16は、図5に示すように、引出部5の後端部の各ローラ取付部8における外側の各側部にそれぞれ取り付けられるように構成されている。
これにより、ガイド機構12は、図1および図6に示すように、筐体2に対して引出部5を引出操作する際に、引出部5の引出ガイドレール15がケース本体3の筐体ローラ14上を移動すると共に、引出部5の引出ローラ16がケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転しながら移動することにより、筐体2に対して引出部5が円滑に引き出せるように構成されている。
この場合、このドロア装置1は、図1~図3、図6に示すように、筐体2内に引出部5をスライドさせて収納する際に、筐体ローラ14に引出ローラ16よりも大きな負荷が加わるように構成されている。すなわち、筐体ローラ14は、その上部に引出部5の引出ガイドレール15が配置され、この状態で引出ローラ16が筐体ガイドレールの下面に当接することにより、筐体ローラ14を支点として引出部5を支持するように構成されている。
このため、このドロア装置1は、図1~図3、図6に示すように、筐体2内に引出部5を挿入する際に、引出ローラ16が筐体ローラ14に接近して配置された際に、引出ローラ16と筐体ローラ14とに大きな負荷が加わり、引出ローラ16が筐体ローラ14から離れるに従って引出ローラ16に加わる負荷が次第に軽くなるが、筐体ローラ14に加わる負荷は常にほぼ一定になる構造になっている。これにより、筐体ローラ14は、引出ローラ16よりも強度が高い構造になっている。
すなわち、筐体ローラ14と引出ローラ16とのうち、筐体ローラ14は、図7(a)および図7(b)に示すように、ローラ本体32とねじ部材33とを備えている。ローラ本体32は、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの合成樹脂によって形成されている。このローラ本体32は、円形状に形成され、その中心部に取付孔34が軸方向に貫通して設けられた構成になっている。
ねじ部材33は、図7(a)および図7(b)に示すように、ステンレスなどの金属で形成されている。このねじ部材33は、頭部33aと首部33bとねじ部33cとを備え、これらが同一軸上に設けられた構成になっている。この場合、首部33bは、その外径が頭部33aの外径よりも小さく形成されている。ねじ部33cは、その外径が首部33bの外径よりも小さく形成されている。
このため、ローラ本体32の取付孔34は、図7(a)および図7(b)に示すように、ねじ部材33の頭部33aが嵌め込まれる大径部34aと、首部33bが挿入する小径部34bと、を備えている。大径部34aは、軸方向の長さが頭部33aの軸方向の長さよりも長く形成されている。
この大径部34aには、図7(a)および図7(b)に示すように、頭部33aが挿入されて回転可能に配置される嵌合部34dと、頭部33aが圧入によって乗り越える抜止め部34eと、が設けられている。また、このローラ本体32の取付孔34の小径部34bは、軸方向の長さが首部33bの軸方向の長さよりも短く形成されている。
これにより、ねじ部材33は、図7(a)および図7(b)に示すように、頭部33aが取付孔34の大径部34a内の嵌合部34dに嵌め込まれた際に、頭部33aが取付孔34の大径部34a内から外部に突出することなく取付孔34内に回転可能に配置されてローラ本体32と一体化されるように構成されている。
また、このねじ部材33は、図7(a)および図7(b)に示すように、頭部33aが取付孔34の大径部34a内の嵌合部34dに嵌め込まれた際に、首部33bが取付孔の小径部34b内に配置され、かつねじ部33c側に位置する首部33bの内端部が小径部34bから外部に突出し、この状態でローラ本体32が回転可能な状態でローラ本体32と一体化されるように構成されている。
これにより、筐体ローラ14は、図2および図4に示すように、ねじ部材33のねじ部33cによってケース本体3の両側の側面部3dに取り付けられるように構成されている。すなわち、この筐体ローラ14は、ケース本体3の両側の側面部3dに設けられた取付孔(図示せず)にねじ部材33のねじ部33cを挿入させてナット(図示せず)で締め付けることにより、ケース本体3の両側の側面部3dに取り付けられるように構成されている。
この場合、この筐体ローラ14は、図2および図4に示すように、ねじ部材33のねじ部33cがナット(図示せず)によって締め付けられた際に、図7(b)に示すように、ねじ部材33の首部33bの内端部が取付孔34の小径部34bから突出していることにより、この突出した首部33bの内端部がケース本体3の側面部3dに押し当てられて、ローラ本体32の側面がケース本体3の側面部3dに接触しないように構成されている。
このため、この筐体ローラ14は、図2および図4に示すように、ねじ部材33のねじ部33cがナット(図示せず)によって締め付けられて、ケース本体3の側面部3dに取り付けられて固定され、この状態でローラ本体32がねじ部材33の頭部33aおよび首部33bを中心に回転するように構成されている。
一方、引出ローラ16は、図8および図9に示すように、ローラ本体17とねじ部材18とを備えている。ローラ本体17は、筐体ローラ14のローラ本体32と同様、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの合成樹脂によって形成されている。このローラ本体17は、円筒状のローラ部20と、このローラ部20と同心円状に設けられた軸受部である円筒部21と、を備えている。
この場合、ローラ部20は、図8および図9に示すように、内径が円筒部21の外径よりも十分に大きく形成されている。このローラ部20の軸方向の一端部(図9(b)では左端部)には、側壁20aが設けられている。これにより、円筒部21は、軸方向の一端部側(図9(b)では左端部側)がローラ部20の側壁20aに一体に形成されている。
この円筒部21の内周面には、図8および図9に示すように、複数の抜止め突起22が設けられている。これら複数の抜止め突起22は、図8(b)に示すように、円筒部21の内周面における同一円周上の複数箇所、例えば120度の角度間隔で3箇所にそれぞれ半球状に突出して設けられている。
この場合、ローラ部20の内周面と円筒部21の外周面との間には、図8および図9に示すように、複数のくり抜き部23が複数の仕切リブ24によって設けられている。複数のくり抜き部23は、複数の抜止め突起22に対応して設けられ、円筒部21の径方向への弾性変形を可能にするように構成されている。複数の仕切リブ24は、ローラ部20の内周面と円筒部21の外周面とを連結して円筒部21の径方向への弾性変形を規制するように構成されている。
すなわち、これら複数の仕切リブ24は、図8および図9に示すように、複数の抜止め突起22間のほぼ中間部にそれぞれ位置して、120度の角度間隔で3箇所に設けられている。また、これら複数の仕切リブ24の放射方向の各中間部には、仕切リブ24の弾性変形を規制する変形規制部24aが設けられている。この変形規制部24aは、ほぼ円柱状に形成され、その外径が仕切リブ24の肉厚よりも大きく形成されている。
これにより、円筒部21は、図8および図9に示すように、複数の抜止め突起22が複数のくり抜き部23の各中間部に対応して設けられていることにより、複数のくり抜き部23に対応する箇所が径方向に弾性変形するように構成されている。また、この円筒部21は、複数の仕切リブ24が複数の抜止め突起22の間に位置して設けられていることにより、円筒部21の径方向への弾性変形が規制されるように構成されている。
また、この円筒部21は、図9(b)に示すように、軸方向の両端部がローラ部20の軸方向の両端部よりも軸方向に突出して設けられている。このため、ローラ本体17は、ケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転移動する際に、ケース本体3の側面部3dに円筒部21の端面のみが接触することにより、接触面積を小さくして摩擦抵抗を最小限に軽減するように構成されている。
一方、ねじ部材18は、図8および図9に示すように、頭部25とねじ部26とを備え、これらがステンレスなどの金属によって一体に形成されている。頭部25は、ローラ本体17の円筒部21内に回転自在に挿入するものであり、外径が円筒部21の内径と同じか、それよりも僅かに小さい大きさで、かつねじ部26の外径よりも大きく形成されている。
この頭部25は、図8および図9に示すように、その軸方向の長さが円筒部21の軸方向の長さと同じ長さに形成されている。この場合、ねじ部26は、頭部25の一端部(図9(b)では左端部)に頭部25と同一軸上に設けられ、軸方向の長さが頭部25の軸方向の長さとほぼ同じか、それよりも長く形成されている。
また、頭部25の外周面には、図8および図9に示すように、頭部25が円筒部21内に挿入された際に、円筒部21の内周面に設けられた複数の抜止め突起22が回転移動可能に係合する係合溝部27が環状に設けられている。すなわち、この係合溝部27は、半円弧状の環状溝であり、複数の抜止め突起22が係合した状態で係合溝部27に沿って摺動することにより、頭部25が円筒部21内で相対的に回転するように構成されている。
また、この頭部25は、図9(b)に示すように、複数の抜止め突起22が係合溝部27に係合した際に、頭部25におけるねじ部26と反対側の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく円筒部21内に配置され、ねじ部26側の内端面25bが円筒部21内から外部に突出して配置されるように構成されている。この場合、頭部25の内端面25bには、図9(b)に示すように、多数の凹凸部が放射状に形成された滑止め部28が設けられている。
また、頭部25の外端面25aにおける外周縁には、図8および図9に示すように、傾斜面29が設けられている。この傾斜面29は、頭部25を円筒部21内に挿入し易くすると共に、頭部25の外端面25aの外周部が円筒部21内の複数の抜止め突起22に当接した際に、複数の抜止め突起22を乗り越え易くするためのものである。
すなわち、頭部25は、図9(b)に示すように、外端面から係合溝部27までの長さが、頭部25の傾斜面29によって短く形成されている。このため、頭部25は、傾斜面29の外周面が複数の抜止め突起22を乗り越える際に、速やかにかつ円滑に乗り越えるように構成されている。
これにより、ねじ部材18は、図8および図9に示すように、頭部25の傾斜面29側がローラ部20の側壁20a側に位置する円筒部21の端部から円筒部21内に挿入され、この挿入された頭部25の傾斜面29の外周部が円筒部21内の複数の抜止め突起22を乗り越えて、頭部25の係合溝部27に複数の抜止め突起22が係合するように構成されている。
すなわち、このねじ部材18は、図8および図9に示すように、頭部25の傾斜面29の外周部が円筒部21内の複数の抜止め突起22を乗り越える際に、頭部25の傾斜面29によって円筒部21を円滑に径方向に押し広げるように弾性変形させて、頭部25の係合溝部27に複数の抜止め突起22を係合させることにより、ローラ本体17に回転可能に取り付けられてローラ本体17と一体化されるように構成されている。
このため、引出ローラ16は、図1、図3および図5に示すように、ねじ部材18のねじ部26が引出部5の後端部に設けられたローラ取付部8の取付孔8aに挿入されてナット30によって締め付けられることにより、引出部5のローラ取付部8に取り付けられるように構成されている。
この場合、引出ローラ16は、図8および図9に示すように、ねじ部材18のねじ部26が引出部5のローラ取付部8の取付孔8aに挿入されてナット30によって締め付けられた際に、頭部25の内端面25bの滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられるように構成されている。
これにより、引出ローラ16は、図1、図3および図5に示すように、頭部25の滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられることにより、ねじ部材18がローラ取付部8に対して回転することなく固定され、この状態でローラ本体17がねじ部材18の頭部25を中心に回転するように構成されている。
この場合、引出ローラ16は、図1、図3および図5に示すように、頭部25の滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられた際に、図9(b)に示すように、頭部25の内端面25bが円筒部21内から突出することにより、円筒部21の端面がローラ取付部8に接触することなく配置されるように構成されている。
また、この引出ローラ16は、図1、図3および図5に示すように、頭部25の滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられた際に、図9(b)に示すように、頭部25の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく、円筒部21内に配置されていることにより、頭部25の外端面25aがケース本体3の側面部3dに接触しないように構成されている。
ところで、筐体ローラ14と引出ローラ16とは、図1および図6に示すように、ローラ本体32、17との外径が同じ大きさで、かつローラ本体32、17の軸方向の長さも同じ長さに形成されている。この場合、引出ローラ16は、ケース本体3の側面部3dに対する円筒部21の端部の接触面積が、引出部5の側面に対する筐体ローラ14の側面の接触面積よりも小さく形成されている。
すなわち、引出ローラ16の接触面積は、ローラ本体17の円筒部21における端部の端面の面積であり、筐体ローラ14の接触面積は、ローラ本体32の側面の面積である。このため、筐体ローラ14のローラ本体32と引出ローラ16のローラ本体17との外径が同じ大きさであれば、引出ローラ16の接触面積は、筐体ローラ14の接触面積よりも大幅に小さい。
また、筐体ローラ14は、その強度が引出ローラ16の強度よりも高い構造になっている。すなわち、引出ローラ16は、ローラ本体17にくり抜き部23が設けられており、筐体ローラ14は、ローラ本体32にくり抜き部23が設けられていない。このため、筐体ローラ14は、その強度が引出ローラ16よりも高い構造になっている。
次に、このようなドロア装置1の作用について説明する。
まず、筐体2内に筐体ローラ14を取り付ける場合には、予め、ローラ本体32とねじ部材33を一体化する。このときには、ねじ部材33のねじ部をローラ本体32の取付孔34に挿入させて首部33bを取付孔34の小径部34bに挿入させると共に、頭部33aを取付孔34の大径部34aに圧入によって嵌め込む。
すなわち、ねじ部材33の頭部33aを取付孔34の大径部34aに嵌め込む際には、大径部34a内に設けられた抜止め部34eを頭部33aが乗り越えるように、頭部33aを大径部34a内に圧入によって嵌め込む。これにより、頭部33aが大径部34aの嵌合部34dに嵌め込まれると共に、首部33bが取付孔34の小径部34bに挿入され、ねじ部33cが小径部34bから外部に突出する。
この状態では、頭部33aが大径部34aの嵌合部34dに回転可能に配置されて、頭部33aが取付孔34の大径部34aから突出することなく、大径部34a内に配置される。また、首部33bは、取付孔34の小径部34bに回転可能に配置されて、ねじ部33c側の首部33bの端部が小径部34bから突出する。これにより、ローラ本体32にねじ部材33が取り付けられて、ローラ本体32とねじ部材33とが一体化される。
そして、ローラ本体32とねじ部材33とが一体化された筐体ローラ14を筐体2内に取り付ける。このときには、ねじ部材33のねじ部33cを筐体2のケース本体3における側面部3dの前部、つまりに前枠部3bの後部に設けられた取付孔(図示せず)に挿入させてナット(図示せず)によって締め付ける。これにより、筐体ローラ14がケース本体3の側面部3dの内面に取り付けられる。
この場合には、ねじ部材33の頭部25の内端面がケース本体3の側面部3dに押し付けられる。このため、筐体ローラ14は、ねじ部材33がケース本体3の側面部3dに固定される。また、このときには、ねじ部材33の首部33bの端部が円筒部21内から突出していることにより、ローラ本体32の軸方向の側面がケース本体3の側面部3dに接触することなく配置される。これにより、筐体ローラ14のローラ本体32がねじ部材33を中心に円滑に回転する状態になる。
一方、引出部5に引出ローラ16を取り付ける場合には、筐体ローラ14と同様、予め、ローラ本体17とねじ部材18を一体化する。このときには、ねじ部材18の頭部25の傾斜面29側をローラ部20の側壁20a側に位置する円筒部21の端部側から円筒部21内に挿入する。このときには、頭部25の傾斜面29によって頭部25が円筒部21内に円滑に挿入する。
そして、挿入された頭部25の傾斜面29の外周面を円筒部21の内周面に設けられた複数の抜止め突起22に押し当てて乗り越えさせる。このときには、複数の抜止め突起22がローラ部20と円筒部21との間に複数の仕切リブ24によって設けられた複数のくり抜き部23にそれぞれ対応して設けられているので、頭部25の傾斜面29の外周面によって円筒部21が円滑に径方向に押し広げられるように弾性変形する。
すなわち、頭部25の傾斜面29の外周面が円筒部21内の複数の抜止め突起22に押し当てられると、頭部25の傾斜面29の外周面によってくり抜き部23に対応する箇所の円筒部21が径方向に押し広げられるように弾性変形する。このため、頭部25の傾斜面29の外周面が複数の抜止め突起22を乗り越えて、複数の抜止め突起22が頭部25の係合溝部27に係合する。
このときには、頭部25の外端面から係合溝部27までの長さが、頭部25の傾斜面29によって短く形成されているので、頭部25の傾斜面29の外周面が複数の抜止め突起22を速やかにかつ円滑に乗り越える。また、このときには、複数の仕切リブ24によって円筒部21の径方向への弾性変形が規制されているので、頭部25の係合溝部27に対する複数の抜止め突起22の係合強度が確保される。これにより、ねじ部材18がローラ本体17に回転可能な状態で取り付けられてローラ本体17と一体化される。
この状態では、複数の抜止め突起22が円筒部21の内周面における同一円周上に設けられ、頭部25の係合溝部27が頭部25の外周面に環状に設けられていることにより、頭部25の係合溝部27に係合した複数の抜止め突起22が頭部25の係合溝部27に沿って回転方向に移動可能な状態になる。また、この状態では、頭部25の傾斜面29側の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく円筒部21内に配置され、ねじ部26側の内端面25bが円筒部21内から外部に突出して配置される。
そして、ローラ本体17とねじ部材18とが一体化された引出ローラ16を引出部5に取り付ける場合には、ねじ部材18のねじ部26を引出部5の後端部に設けられたローラ取付部8の取付孔8aに挿入させてナット30によって締め付ける。これにより、引出ローラ16が引出部5のローラ取付部8に取り付けられる。
このときには、ねじ部材18の頭部25の内端面25bに設けられた滑止め部28が引出部5のローラ取付部8に押し付けられる。このため、引出ローラ16は、ねじ部材18がローラ取付部8に対して回転することなく固定される。また、このときには、ねじ部材18の頭部25の内端面25bが円筒部21内から突出していることにより、ローラ部20の軸方向の端部よりも突出した円筒部21の軸方向の端面がローラ取付部8に接触することなく配置される。
このように、筐体ローラ14が筐体2のケース本体3における各側面部3dの内面の前側部に取り付けられ、かつ引出ローラ16が引出部5のローラ取付部8に取り付けられた状態では、予め、筐体2のケース本体3における左右両側の側面部3dの各内面に、筐体ガイドレール13が一体に形成されており、また引出部5の左右両側の各外面にも、引出ガイドレール15が一体に形成されている。
そして、引出部5を筐体2内に挿入する場合には、図6に示すように、引出部5の後端部に設けられたローラ取付部8をケース本体3の前枠部3bの開口部3eからケース本体3内に挿入させる。このときには、引出部5の引出ガイドレール15をケース本体3の側面部3dに取り付けられた筐体ローラ14上に配置させると共に、引出部5のローラ取付部8に取り付けられた引出ローラ16のローラ本体17をケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して配置させる。
この状態で、引出部5を筐体2内に押し込むと、引出部5が筐体2内に収納される。このときには、引出部5の引出ガイドレール15がケース本体3の側面部3dに取り付けられた筐体ローラ14上を移動すると共に、引出部5のローラ取付部8に取り付けられた引出ローラ16のローラ本体17がケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転しながら移動する。このため、引出部5が円滑に移動して筐体2内に収納される。
この場合、引出ローラ16のローラ本体17がケース本体3の筐体ガイドレール13の下面に当接して回転しながら移動する際には、ねじ部材18の頭部25の内端面25bが円筒部21内から突出し、円筒部21の軸方向の端面がローラ取付部8に接触することなく配置されていることにより、ローラ本体17がねじ部材18の頭部25を中心に円滑に回転する。
また、このときには、引出ローラ16の頭部25の外端面25aが円筒部21内から外部に突出することなく円筒部21内に配置されているので、頭部25の外端面25aがケース本体3の側面部3dに接触することなく、ローラ本体17が筐体ガイドレール13の下面に当接して円滑に回転しながら移動する。この場合、円筒部21は、軸方向の端部がローラ部20の軸方向の端部よりも突出しているので、ローラ本体17がケース本体3の側面部3dに接触しても、接触面積を小さくして摩擦抵抗を最小限に抑えることができる。
一方、筐体ローラ14は、円形状に形成されているので、ローラ本体32の側面が引出部5の側面に接触した際に、ローラ本体32の側面全体が引出部5の側面に接触する。このため、引出ローラ16は、ケース本体3の側面部3dに対する接触面が、筐体ローラ14の引出部5の側面に対する接触面積よりも小さくなる。これにより、引出ローラ16は、ケース本体3の側面部3dに対する摩擦抵抗が、筐体ローラ14の引出部5の側面に対する摩擦抵抗よりも小さくなる。
このため、このドロア装置1では、引出部5が筐体2内をスライドする際に、筐体ローラ14のローラ本体32の外径と引出ローラ16のローラ本体17の外径とが同じ大きさであっても、引出ローラ16のローラ本体17の側面が筐体2のケース本体3における側面部3dの内側面に接触する摩擦抵抗が、筐体ローラ14のローラ本体32の側面が引出部5の外側面に接触する摩擦抵抗よりも小さい。
これにより、このドロア装置1では、引出部5が筐体2内をスライドする際における筐体ローラ14と引出ローラ16との両方の摩擦抵抗が軽減されるので、引出部5のスライド時における負荷が軽減され、引出部5が軽い力で筐体2内を円滑にスライドするため、引出部5のスライド操作性が向上する。
このように、この電子レジスタのドロア装置1によれば、筐体2内に引出部5がスライド収納される際に、引出部5に設けられた引出ローラ16が筐体2に設けられた筐体ガイドレール13に沿って相対移動するように且つ筐体2に設けられた筐体ローラ14が引出部5に設けられた引出ガイドレール15に沿って相対移動するように構成されているドロア装置1であって、引出ローラ16の側面における筐体2への接触面積が筐体ローラ14の側面における引出部5への接触面積よりも小さく設定されていることにより、引出部5のスライド時における負荷を軽減することができる。
また、この電子レジスタのドロア装置1によれば、内部の両側部に筐体ガイドレール13が設けられた筐体2と、この筐体2内にスライド可能に収納され、かつ両側部に引出ガイドレール15が設けられた引出部5と、この引出部5の奥側の両側部に設けられて、筐体2の筐体ガイドレール13に沿って回転しながら移動する引出ローラ16と、筐体2内における前部の両側部に設けられて、引出部5の引出ガイドレール15が移動可能に配置される筐体ローラ14と、を備え、筐体2の内面に対する引出ローラ16の側面の接触面積が、引出部5の側面に対する筐体ローラ14の側面の接触面積よりも小さく設定されていることにより、引出部5のスライド時における負荷を軽減することができる。
すなわち、このドロア装置では、筐体ローラ14のローラ本体32の外径と引出ローラ16のローラ本体17の外径とが同じ大きさであっても、引出ローラ16のローラ本体17の側面が筐体2のケース本体3における側面部3dの内側面に接触する接触面積を、筐体ローラ14のローラ本体32の側面が引出部5の外側面に接触する接触面積よりも小さいので、引出部5が筐体2内をスライドする際における引出ローラ16の摩擦抵抗を筐体ローラ14の摩擦抵抗よりも小さくすることができ、これにより引出部5のスライド時における全体の負荷を軽減して、引出部5を筐体2内で円滑にスライドさせることができるので、引出部5のスライド操作性を向上させることができる。
この場合、引出ローラ16は、回転中心部に設けられた軸受部である円筒部21の外端部が筐体2のケース本体3の側面部3dに接触し、筐体ローラ14は、回転中心部を除く外側面が引出部5の側面に接触することにより、筐体2のケース本体3の側面部3dに接触する引出ローラ16の接触面積を引出部5の側面に接触する筐体ローラ14の接触面積よりも大幅に小さくすることができる。
すなわち、引出ローラ16の接触面積は、ローラ本体17の円筒部21における端部の端面の面積であり、筐体ローラ14の接触面積は、ローラ本体32の側面の面積である。このため、筐体ローラ14のローラ本体32と引出ローラ16のローラ本体17との外径が同じ大きさであれば、引出ローラ16の接触面積を、筐体ローラ14の接触面積よりも大幅に小さくすることができる。
このため、このドロア装置1では、引出部5が筐体2内をスライドする際における引出ローラ16の摩擦抵抗を筐体ローラ14の摩擦抵抗よりも小さくすることができるので、引出部5のスライド時における摩擦抵抗による負荷を軽減することができ、引出部5を軽い力で円滑にスライドさせることができるので、引出部5のスライド操作性を向上させることができる。
さらに、このドロア装置1では、筐体ローラ14が引出ローラ16よりも強度が高い構造になっていることにより、筐体ローラ14の摩擦抵抗が引出ローラ16の摩擦抵抗よりも大きくても、筐体ローラ14の耐久性を確保することができる。この場合、筐体2内で引出部5をスライドさせる際には、筐体ローラ14に引出ローラ16よりも大きな負荷が加わっても、筐体ローラ14の耐久性を確保することができる。
このため、このドロア装置1では、筐体ローラ14と引出ローラ16とが異なる構造で、引出ローラ16が筐体ローラ14よりも低コストであることにより、装置全体の低コスト化を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、電子レジスタのドロア装置1に適用した場合について述べたが、この発明は、必ずしも電子レジスタのドロア装置1である必要はなく、例えば引出部5を備えた家具などにも適用することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、筐体内に引出部がスライド収納される際に、前記引出部に設けられた第1ローラが前記筐体に設けられた第1ガイドレールに沿って相対移動するように且つ前記筐体に設けられた第2ローラが前記引出部に設けられた第2ガイドレールに沿って相対移動するように構成されているドロア装置であって、前記第1ローラの側面における前記筐体への接触面積が前記第2ローラの側面における前記引出部への接触面積よりも小さく設定されていることを特徴とするドロア装置である。
請求項2に記載の発明は、内部の両側部に第1ガイドレールが設けられた筐体と、前記筐体内にスライド可能に収納され、かつ両側部に第2ガイドレールが設けられた引出部と、前記引出部の奥側の両側部に設けられて、前記筐体の前記第1ガイドレールに沿って回転しながら移動する第1ローラと、前記筐体内における前部の両側部に設けられて、前記引出部の前記第2ガイドレールが移動可能に配置される第2ローラと、を備え、前記筐体の側面に対する前記第1ローラの側面の接触面積が、前記引出部の側面に対する前記第2ローラの側面の接触面積よりも小さく設定されていることを特徴とするドロア装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のドロア装置において、前記第1ローラと前記第2ローラとは、外径が同じ大きさで、前記第1ローラの前記接触面積が前記第2ローラの前記接触面積よりも小さく設定されていることを特徴とするドロア装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載のドロア装置において、前記第1ローラは、回転中心部に設けられた円筒状の軸受部の外端部が前記筐体の側面に接触し、前記第2ローラは、回転中心部を除く外側面が前記引出部の側面に接触することを特徴とするドロア装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載のドロア装置において、前記第2ローラは、前記第1ローラよりも強度が高く形成されていることを特徴とするドロア装置である。
請求項6に記載の発明は、内部の両側部に第1ガイドレールが設けられた筐体と、前記筐体内にスライド可能に収納され、かつ両側部に第2ガイドレールが設けられた引出部と、前記引出部の奥側の両側部に設けられて、前記筐体の前記第1ガイドレールに沿って回転しながら移動する第1ローラと、前記筐体内における前部の両側部に設けられて、前記引出部の前記第2ガイドレールが移動可能に配置される第2ローラと、を備え、前記筐体の側面に対する前記第1ローラの側面の接触面積が、前記引出部の側面に対する前記第2ローラの側面の接触面積よりも小さく設定されていることを特徴とするレジスタである。