JP7202501B1 - 運転支援装置、運転支援方法および運転支援プログラム - Google Patents

運転支援装置、運転支援方法および運転支援プログラム Download PDF

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Abstract

【解決手段】電解槽におけるイオン交換膜に蓄積する一つ以上の不純物を構成する一つ以上の元素の蓄積速度の実績値または蓄積量の実績値に基づいて、一つ以上の不純物を推定し、推定した一つ以上の不純物の蓄積速度または蓄積量に基づいて、イオン交換膜の性能低下速度を推定する推定部を備える運転支援装置を提供する。推定部は、イオン交換膜の断面方向における位置と、イオン交換膜に蓄積する不純物の濃度との関係に基づいて、性能低下速度を推定してよい。推定部は、イオン交換膜の断面方向における位置と不純物の濃度との関係に基づいて、イオン交換膜の断面方向における不純物の濃度プロファイルを推定し、推定した濃度プロファイルに基づいて前記性能低下速度を推定してよい。【選択図】図4

Description

本発明は、運転支援装置、運転支援方法および運転支援プログラムに関する。
特許文献1には、「本実施形態のイオン交換膜の更新方法は、陽極側ガスケットと陰極側ガスケットとの間に前記イオン交換膜を挟む工程を有し、・・・」と記載されている(段落0052)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2019-19408号公報
電解槽におけるイオン交換膜の性能は、電解槽の稼働時間とともに低下し得る。イオン交換膜の性能の低下速度は、電解槽の運転条件(温度、濃度、電流等)により変化し得る。このため、電解槽は最適な運転条件で稼働されることが望ましい。電解槽の予定される稼働期間のうちの一の時点における最適な運転条件と、当該稼働期間の全体を考慮した最適な運転条件とは、異なり得る。このため、電解槽は、予定される稼働期間の全体を考慮した最適な運転条件で稼働されることが望ましい。
予定される稼働期間の全体を考慮した、電解槽の最適な運転条件を決定することは、当該稼働期間のうちの一の時点における最適な運転条件を決定することよりも、困難であり得る。このため、当該稼働期間の全体が考慮された最適な運転条件を、簡易に認知できることが望ましい。
本発明の第1の態様においては、運転支援装置を提供する。運転支援装置は、電解槽におけるイオン交換膜に蓄積する一つ以上の不純物を構成する一つ以上の元素の蓄積速度の実績値または蓄積量の実績値に基づいて、一つ以上の不純物を推定し、推定した一つ以上の不純物の蓄積速度または蓄積量に基づいて、イオン交換膜の性能低下速度を推定する推定部を備える。
推定部は、イオン交換膜の断面方向における位置と、イオン交換膜に蓄積する不純物の濃度との関係に基づいて、性能低下速度を推定してよい。
推定部は、イオン交換膜の断面方向における位置と不純物の濃度との関係に基づいて、断面方向における不純物の濃度プロファイルを推定し、推定した濃度プロファイルに基づいて性能低下速度を推定してよい。
電解槽は、イオン交換膜により仕切られた陽極室および陰極室を有してよい。陽極室にはアルカリ金属の塩化物の水溶液が導入されてよい。陰極室からはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導出されてよい。推定部は、アルカリ金属の塩化物の水溶液のpHおよびアルカリ金属の水酸化物の水溶液のpHの少なくとも一方に基づいて、イオン交換膜の断面方向における不純物の濃度プロファイルを推定してよい。
推定部は、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物の濃度データに基づいて、性能低下速度を推定してよい。
推定部は、推定した濃度プロファイルがピークを示す位置に基づいて、性能低下速度を推定してよい。当該濃度プロファイルは、推定部が、イオン交換膜の断面方向における位置と不純物の濃度との関係に基づいて推定した濃度プロファイルであってよい。当該濃度プロファイルは、推定部が、アルカリ金属の塩化物の水溶液のpHおよびアルカリ金属の水酸化物の水溶液のpHの少なくとも一方に基づいて推定した濃度プロファイルであってよい。推定部は、推定した濃度プロファイルがピークを示す位置、および、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物の濃度データに基づいて、性能低下速度を推定してよい。
推定部は、性能低下速度に基づいて、電解槽が一の運転条件で運転された場合における生産パラメータであって、電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータを推定してよい。上記性能低下速度は、推定部が、イオン交換膜の断面方向における位置と、イオン交換膜に蓄積する不純物の濃度との関係に基づいて推定した性能低下速度であってよい。上記性能低下速度は、推定部が、イオン交換膜の断面方向における位置と不純物の濃度との関係に基づいて、断面方向における不純物の濃度プロファイルを推定し、推定した濃度プロファイルに基づいて推定した性能低下速度であってよい。上記性能低下速度は、推定部が、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物の濃度データに基づいて推定した性能低下速度であってよい。上記性能低下速度は、推定部が、濃度プロファイルがピークを示す位置に基づいて推定した性能低下速度であってよい。
元素の蓄積速度の実績値は、イオン交換膜の実解析データであってよい。
推定部は、電解槽の運転条件の実績値に基づいて、性能低下速度を推定してよい。
推定部は、イオン交換膜に蓄積する不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係に基づいて、性能低下速度を推定してよい。推定部は、推定した濃度プロファイルがピークを示す位置、および、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物の濃度データの少なくとも一方と、イオン交換膜に蓄積する不純物の蓄積速度と性能低下速度との関係に基づいて、性能低下速度を推定してよい。
運転支援装置は、性能低下予測モデルを生成する性能低下学習部をさらに備えてよい。性能低下予測モデルは、不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係を機械学習することにより、不純物の蓄積速度または蓄積量と性能低下速度との関係に基づく、イオン交換膜の性能低下速度の予測量を出力してよい。上記性能低下速度は、推定部が、イオン交換膜の断面方向における位置と、イオン交換膜に蓄積する不純物の濃度との関係に基づいて推定した性能低下速度であってよい。上記性能低下速度は、推定部が、イオン交換膜の断面方向における位置と不純物の濃度との関係に基づいて、断面方向における不純物の濃度プロファイルを推定し、推定した濃度プロファイルに基づいて推定した性能低下速度であってよい。上記性能低下速度は、推定部が、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物の濃度データに基づいて推定した性能低下速度であってよい。上記性能低下速度は、推定部が、濃度プロファイルがピークを示す位置に基づいて推定した性能低下速度であってよい。上記性能低下速度は、推定部が、電解槽の運転条件の実績値に基づいて推定した性能低下速度であってよい。
性能低下予測モデルは、電解槽の運転条件、および、不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係を機械学習することにより、電解槽の運転条件、および、不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係に基づく性能低下速度の予測量を、複数の運転条件のそれぞれごとに出力してよい。
運転支援装置は、複数の性能低下学習部を備えてよい。複数の性能低下学習部のそれぞれは、複数のイオン交換膜の種類のそれぞれごとに、性能低下予測モデルを生成してよい。
性能低下予測モデルは、不純物の蓄積速度または蓄積量と、電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータとに基づいて、生産パラメータを満たす、電解槽の運転条件を推定してよい。
性能低下予測モデルは、生産パラメータを満たす運転条件が存在しない場合、イオン交換膜の性能の回復時期およびイオン交換膜の交換時期の少なくとも一方を推定してよい。
運転支援装置は、電解槽が一の運転条件で運転されている場合における、不純物の蓄積速度または蓄積量を取得する取得部と、取得部により取得された不純物の蓄積速度または蓄積量に基づいて、推定部により推定された一つ以上の不純物の蓄積速度または蓄積量を補正する補正部とをさらに備えてよい。
推定部は、一つ以上の不純物の蓄積速度または蓄積量を第1周期で推定してよい。取得部は、不純物の蓄積速度を、第1周期よりも短い第2周期で取得してよい。
不純物は、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、ヨウ素、シリコン、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、チタンおよびリンの少なくとも一つであってよい。
本発明の第2の態様においては、運転支援方法を提供する。運転支援方法は、推定部が、電解槽におけるイオン交換膜に蓄積する一つ以上の不純物を構成する一つ以上の元素の蓄積速度の実績値または蓄積量の実績値に基づいて、一つ以上の不純物を推定し、推定した一つ以上の不純物の蓄積速度または蓄積量に基づいて、イオン交換膜の性能低下速度を推定する第1推定ステップを備える。
第1推定ステップは、推定部が、イオン交換膜の断面方向の位置と、イオン交換膜に蓄積する不純物の濃度との関係に基づいて、性能低下速度を推定するステップであってよい。
第1推定ステップは、推定部が、イオン交換膜の断面方向の位置と不純物の濃度との関係に基づいて、イオン交換膜の断面方向における不純物の濃度プロファイルを推定し、推定した濃度プロファイルに基づいて性能低下速度を推定するステップであってよい。当該濃度プロファイルは、推定部が、アルカリ金属の塩化物の水溶液のpHおよびアルカリ金属の水酸化物の水溶液のpHの少なくとも一方に基づいて推定した濃度プロファイルであってよい。
第1推定ステップは、推定部が、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物の濃度データに基づいて、性能低下速度を推定するステップであってよい。
第1推定ステップは、推定部が、濃度プロファイルがピークを示す位置に基づいて、性能低下速度を推定するステップであってよい。当該濃度プロファイルは、推定部が、イオン交換膜の断面方向における位置と不純物の濃度との関係に基づいて推定した濃度プロファイルであってよい。当該濃度プロファイルは、推定部が、アルカリ金属の塩化物の水溶液のpHおよびアルカリ金属の水酸化物の水溶液のpHの少なくとも一方に基づいて推定した濃度プロファイルであってよい。
運転支援方法は、推定部が、第1推定ステップにおいて推定された性能低下速度に基づいて、電解槽が一の運転条件で運転された場合における生産パラメータであって、電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータを推定する第2推定ステップをさらに備えてよい。
第1推定ステップは、推定部が、電解槽の運転条件の実績値に基づいて、性能低下速度を推定するステップであってよい。
第1推定ステップは、推定部が、イオン交換膜に蓄積する不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係に基づいて、性能低下速度を推定するステップであってよい。第1推定ステップは、推定部が、推定した濃度プロファイルがピークを示す位置、および、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物の濃度データの少なくとも一方と、イオン交換膜に蓄積する不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係に基づいて、性能低下速度を推定するステップであってよい。
第1推定ステップは、性能低下学習部が性能低下予測モデルを生成する性能低下学習ステップを含んでよい。性能低下予測モデルは、不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係を機械学習することにより、不純物の蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度との関係に基づく、イオン交換膜の性能低下速度の予測量を出力してよい。
第1推定ステップは、性能低下予測モデルが、不純物の蓄積速度または蓄積量と、電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータとに基づいて、生産パラメータを満たす、電解槽の運転条件を推定する運転条件推定ステップをさらに含んでよい。
運転支援方法は、取得部が、電解槽が一の運転条件で運転されている場合における、不純物の蓄積速度または蓄積量を取得する取得ステップと、補正部が、取得ステップにおいて取得された不純物の蓄積速度または蓄積量に基づいて、第1推定ステップにおいて推定された一つ以上の不純物の蓄積速度または蓄積量を補正する補正ステップとをさらに備えてよい。
本発明の第3の態様においては、運転支援プログラムを提供する。運転支援プログラムは、コンピュータを運転支援装置として機能させるための運転支援プログラム。
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の一つの実施形態に係る電解装置200の一例を示す図である。 図1における1つの電解セル91の詳細の一例を示す図である。 図2に示される電解セル91におけるイオン交換膜84の近傍を拡大した図である。 本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の一例を示す図である。 不純物Imの蓄積量と電流効率CEとの関係の一例を不純物Imごとに示す図である。 イオン交換膜84の断面方向の位置と、アルカリ金属の濃度との関係の一例を示す図である。 イオン交換膜84のクラスター85を模式的に示す図である。 イオン交換膜84のクラスター85を模式的に示す図である。 イオン交換膜84の断面方向の位置と、pHとの関係の一例を示す図である。 経過時間tと電流効率CEとの関係の一例を不純物Imごとに示す図である。 本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の他の一例を示す図である。 性能低下予測モデル62の一例を示す図である。 出力部32における出力態様の一例を示す図である。 本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の他の一例を示す図である。 性能低下予測モデル62による予測量VLpの予測または運転条件Cdの推定の一例を示す図である。 性能低下予測モデル62による、イオン交換膜84の性能の回復時期またはイオン交換膜84の交換時期の推定の一例を示す図である。 本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の他の一例を示す図である。 取得部35による不純物Imの蓄積速度または蓄積量の取得タイミング、および、推定部10による不純物Imの蓄積速度または蓄積量の取得タイミングの一例を示す図である。 本発明の一つの実施形態に係る運転支援方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る運転支援装置100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る電解装置200の一例を示す図である。本例の電解装置200は、電解槽90、導入管92、導入管93、導出管94および導出管95を備える。
電解装置200は、電解液を電気分解する装置である。電解槽90は、電解液を電気分解する槽である。当該電解液は、例えばNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。電解槽90は、例えば、NaCl(塩化ナトリウム)水溶液を電気分解することにより、Cl(塩素)とNaOH(水酸化ナトリウム)とH(水素)とを生成する。電解槽90は、複数の電解セル91(電解セル91-1~電解セル91-N。Nは2以上の整数)を備えてよい。Nは、例えば50である。
本例において、導入管92および導入管93は、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに接続されている。電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれには、液体70が導入される。液体70は、導入管92を通過した後、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに導入されてよい。液体70は、アルカリ金属の塩化物の水溶液である。アルカリ金属は、元素周期表第1族に属する元素である。液体70は、例えばNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。
電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれには、液体72が導入される。液体72は、導入管93を通過した後、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに導入されてよい。液体72は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液である。液体72は、例えばNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である。
本例において、導出管94および導出管95は、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに接続されている。電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれからは、液体76および気体78(後述)が導出される。液体76および気体78(後述)は、導出管95を通過した後、電解装置200の外部に導出されてよい。液体76は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液である。液体72がNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である場合、液体76はNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である。気体78(後述)は、H(水素)であってよい。
電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれからは、液体74および気体77(後述)が導出される。液体74および気体77(後述)は、導出管94を通過した後、電解装置200の外部に導出されてよい。液体74は、アルカリ金属の塩化物の水溶液である。液体70がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、液体74はNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。気体77(後述)は、Cl(塩素)であってよい。
図2は、図1における1つの電解セル91の詳細の一例を示す図である。電解槽90は、陽極室79、陽極80、陰極室98、陰極82およびイオン交換膜84を有する。本例においては、1つの電解セル91が、陽極室79、陽極80、陰極室98、陰極82およびイオン交換膜84を有する。陽極室79および陰極室98は、電解セル91の内部に設けられている。陽極室79と陰極室98とは、イオン交換膜84により仕切られている。陽極室79には、陽極80が配置される。陰極室98には、陰極82が配置される。
本明細書においては、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書においては、陽極室79および陰極室98の底面88と平行な面をXY面とする。本明細書において、底面88と、陽極室79および陰極室98の天井面89とを結ぶ方向(底面88に垂直な方向)をZ軸方向とする。本明細書において、陽極80から陰極82へ向かう方向をY軸方向とし、XY面内においてY軸に直交する方向をX軸方向とする。Z軸方向は重力方向に平行であってよい。Z軸方向が重力方向に平行である場合、XY面は水平面であってよい。
陽極室79には、導入管92および導出管94が接続されている。陰極室98には、導入管93および導出管95が接続されている。陽極室79には、液体70が導入される。陰極室98には、液体72が導入される。
イオン交換膜84は、イオン交換膜84に配置されたイオンとは異符号のイオンの通過を阻止し、且つ、同符号のイオンを通過させる、膜状の物質である。本例においては、イオン交換膜84は、Na(ナトリウムイオン)を通過させ、且つ、Cl(塩化物イオン)の通過を阻止する膜である。
陽極80および陰極82は、それぞれ予め定められた正の電位および負の電位に維持されてよい。陽極室79に導入された液体70、および、陰極室98に導入された液体72は、陽極80と陰極82との間の電位差により、電気分解される。陽極80においては、次の化学反応が起こる。
[化学式1]
2Cl→Cl+2e
液体70がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、NaCl(塩化ナトリウム)は、Na(ナトリウムイオン)とCl(塩化物イオン)とに電離している。陽極80においては、化学式1に示される化学反応によりCl(塩素)ガスが生成される。気体77(当該Cl(塩素)ガス)および液体74は、陽極室79から導出されてよい。Na(ナトリウムイオン)は、陰極82からの引力により、陽極室79からイオン交換膜84を経由した後、陰極室98に移動する。
陽極室79には、液体73が滞留していてよい。液体73は、アルカリ金属の塩化物の水溶液である。本例においては、液体73はNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。液体73のNa(ナトリウムイオン)濃度およびCl(塩化物イオン)濃度は、液体70のNa(ナトリウムイオン)濃度およびCl(塩化物イオン)濃度よりも小さくてよい。
陰極82においては、次の化学反応が起こる。
[化学式2]
2HO+2e→H+2OH
液体72がNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である場合、NaOH(水酸化ナトリウム)は、Na(ナトリウムイオン)とOH(水酸化物イオン)とに電離している。陰極82においては、化学式2に示される化学反応により、H(水素)ガスとOH(水酸化物イオン)が生成される。気体78(当該H(水素)ガス)および液体76は、陰極室98から導出されてよい。
陰極室98には、液体75が滞留していてよい。液体75は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液である。本例においては、液体75はNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である。本例においては、陰極室98には、化学式2に示される化学反応より生成したOH(水酸化物イオン)と、陽極室79から移動したNa(ナトリウムイオン)とが溶解した液体75が滞留している。
図3は、図2に示される電解セル91におけるイオン交換膜84の近傍を拡大した図である。本例のイオン交換膜84には、陰イオン基86が固定されている。陰イオンは、陰イオン基86により反発されるので、イオン交換膜84を通過しにくい。本例において、当該陰イオンは、Cl(塩化物イオン)である。陽イオン71は、陰イオン基86により反発されないので、イオン交換膜84を通過できる。液体70(図2参照)がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、陽イオン71はNa(ナトリウムイオン)である。
図4は、本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の一例を示す図である。運転支援装置100は、電解槽90(図1参照)の運転を支援する。運転支援装置100は、推定部10を備える。運転支援装置100は、制御部20、入力部30、出力部32および記憶部40を備えてよい。
運転支援装置100は、一例としてCPU、メモリおよびインターフェース等を備えるコンピュータである。制御部20は、当該CPUであってよい。推定部10と制御部20とが、一つの当該CPUであってもよい。運転支援装置100がコンピュータである場合、当該コンピュータには、後述する運転支援方法を実行させるため運転支援プログラムがインストールされていてよく、当該コンピュータを運転支援装置100として機能させるための運転支援プログラムがインストールされていてもよい。
入力部30は、例えばキーボード、マウス等である。出力部32は、推定部10による推定結果を出力する。出力部32は、例えばディスプレイ、モニタ等である。
電解槽90(図1参照)は液体70を電気分解するので、電解槽90の稼働時間経過に伴い、一つ以上の不純物がイオン交換膜84に蓄積し得る。イオン交換膜84に蓄積した当該不純物を、不純物Imとする。不純物Imは化合物であってよく、元素であってもよい。一つ以上の不純物Imとは、一つ以上の種類の不純物Imを指してよい。不純物Imがイオン交換膜84に蓄積した場合、イオン交換膜84の性能が低下し得る。イオン交換膜84の性能とは、イオン交換膜84のイオン交換性能を指す。
電解槽90(図1参照)には、原塩が溶解した塩水に対して予め定められた処理がされた液体70(図1参照)が導入される。予め定められた処理とは、例えば、クラリファイヤによる、塩水に含まれるSS(サスペンデッドソリッド)の沈殿、セラミックフィルタによる当該SSの除去、樹脂塔による、塩水に含まれるBa(バリウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)およびMg(マグネシウム)の少なくとも一つの除去、等である。
原塩には、I(ヨウ素)、Fe(鉄)、Ti(チタン)およびP(リン)の少なくとも一つが含まれる場合がある。SS(サスペンデッドソリッド)には、Si(シリコン)およびAl(アルミニウム)の少なくとも一方が含まれる場合がある。不純物Imには、Ba(バリウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Mg(マグネシウム)、I(ヨウ素)、Fe(鉄)、Ti(チタン)、Si(シリコン)、Al(アルミニウム)およびP(リン)の少なくとも一つが含まれてよい。
陰極82の表面には、Ni(ニッケル)が設けられる場合がある。陰極82の表面には、Ni(ニッケル)がめっきにより形成される場合がある。電解槽90の稼働時間経過に伴い、陰極82の表面に設けられたNi(ニッケル)が液体75(図2参照)に含まれる場合がある。不純物Imには、Ni(ニッケル)が含まれてよい。
推定部10は、イオン交換膜84に蓄積する一つ以上の不純物Imを構成する一つ以上の元素の蓄積速度の実績値または蓄積量の実績値に基づいて、一つ以上の不純物Imを推定する。当該実績値を、実績値Viとする。推定部10は、推定した一つ以上の不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて、イオン交換膜84の性能低下速度を推定する。当該性能低下速度を、性能低下速度VLとする。
実績値Viは、イオン交換膜84の実解析データであってよい。実解析データとは、イオン交換膜84を実解析することにより評価されたデータを指す。不純物Imが化合物である場合、実績値Viは、イオン交換膜84に蓄積した当該化合物を構成する複数の元素、および、当該元素ごとの蓄積量または蓄積速度の実解析データであってよい。推定部10は、実解析された元素ごとの蓄積量または蓄積速度に基づいて、一つ以上の化合物を推定し得る。一つ以上の化合物とは、一種類以上の化合物を指す。
不純物Imが元素である場合、実績値Viは、イオン交換膜84に蓄積した一つ以上の元素の蓄積量または蓄積速度の、元素ごとの解析データであってよい。推定部10は、実解析された元素ごとの蓄積量または蓄積速度に基づいて、一つ以上の元素を推定し得る。一つ以上の元素とは、一種類以上の元素を指す。
不純物Imを構成する一つ以上の元素の蓄積量は、予め定められた期間Teにわたる蓄積量であってよい。期間Teは、例えば一年である。不純物Imを構成する一つ以上の元素の蓄積速度は、予め定められた期間Te'当たりの蓄積量であってよい。期間Te'は期間Teと等しくてよく、異なっていてもよい。
推定部10は、推定した一つ以上の不純物Imについて、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を算出してよい。不純物Imの蓄積量は、期間Te'にわたる不純物Imの蓄積量であってよい。不純物Imの蓄積速度は、期間Te'当たりの不純物Imの蓄積量であってよい。推定部10は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を不純物Imごとに算出してよい。
実績値Viは、不純物Imを構成する複数の元素ごとの蓄積量または蓄積速度と、当該イオン交換膜84が電解槽90に装着された状態における当該電解槽90の稼働時間との関係を解析したデータであってもよい。実績値Viは、イオン交換膜84が電解槽90から外された状態で評価されてよく、電解槽90に装着された状態で評価されてもよい。
実績値Viは、入力部30により入力されてよい。入力部30により入力された実績値Viは、記憶部40に記憶されてよい。
イオン交換膜84の性能が低下した場合、液体73に含まれるアルカリ金属の塩化物がイオン交換膜84を通過する場合がある。イオン交換膜84を通過したアルカリ金属の塩化物は、液体75に含まれる場合がある。上述したとおり、液体75はアルカリ金属の水酸化物の水溶液である。
実績値Viは、液体73における不純物Imの濃度を実解析した実解析データであってもよい。液体73がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、実績値Viは、当該NaCl(塩化ナトリウム)水溶液における不純物Imの濃度を実解析した実解析データであってよい。
性能低下速度VLは、電解槽90の電流効率CEの低下速度であってよい。電流効率CEとは、電解槽90により生産される生産物の理論上の生産量に対する実際の生産量の割合を指す。当該生産物を、生産物Pとする。生産物Pの理論上の生産量を、生産量Paとする。生産物Pの実際の生産量を、生産量Prとする。電流効率CEとは、生産量Paに対する生産量Prの割合を指す。イオン交換膜84への不純物Imの蓄積量が大きいほど、電流効率CEは低下しやすい。
性能低下速度VLは、電解槽90の電圧CVの上昇速度であってもよい。イオン交換膜84への不純物Imの蓄積量が大きいほど、電圧CVは上昇しやすい。
図5は、不純物Imの蓄積量と電流効率CEとの関係の一例を不純物Imごとに示す図である。図5においては、四つの不純物Im(不純物Im1~不純物Im4)のそれぞれについて、不純物Imの蓄積量と電流効率CEとの関係が示されている。不純物Im1~不純物Im4の種類は、相互に異なる。不純物Im1は、例えばBa(バリウム)とI(ヨウ素)との化合物である。不純物Im2は、例えばCa(カルシウム)とSr(ストロンチウム)とI(ヨウ素)との化合物である。不純物Im3は、例えばI(ヨウ素)である。不純物Im4は、例えばSi(ケイ素)とAl(アルミニウム)との化合物である。
図5に示されるとおり、不純物Imの蓄積量が増加するほど電流効率CEは低下しやすい。図5に示されるとおり、不純物Imの蓄積量当たりの電流効率CEの低下量は、不純物Imの種類により異なり得る。図5に示される不純物Imの蓄積量と電流効率CEとの関係は、記憶部40に記憶されてよい。
運転支援装置100において、推定部10は不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて性能低下速度VLを推定する。このため、運転支援装置100のユーザは、イオン交換膜84の将来の性能低下を認知できる。
推定部10は、複数の不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて、性能低下速度VLを推定してよい。不純物Imごとのイオン交換膜84の性能低下速度を、性能低下速度VL'とする。図5の例において、不純物Im1~不純物Im4ごとのイオン交換膜84の性能低下速度を、それぞれ性能低下速度VL'1~性能低下速度VL'4とする。
推定部10は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度VLとの関係に基づいて、イオン交換膜84の性能低下速度VLを推定してよい。推定部10は、不純物Imごとの不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、不純物Imごとの性能低下速度VL'との関係に基づいて、複数の不純物Imが蓄積したイオン交換膜84の性能低下速度VLを推定してよい。不純物Imの蓄積速度または蓄積量と性能低下速度VL'との関係とは、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と性能低下速度VL'との関係の実績であってよい。図5の例では、推定部10は、不純物Im1の蓄積量と性能低下速度VL1'との関係、不純物Im2の蓄積量と性能低下速度VL2'との関係、不純物Im3の蓄積量と性能低下速度VL3'との関係、および、不純物Im4の蓄積量と性能低下速度VL4'との関係に基づいて、性能低下速度VLを推定する。
電解槽90の運転条件を、運転条件Cdとする。運転条件Cdとは、イオン交換膜84の状態に影響を与え得る、電解槽90の運転状況を指す。推定部10は、運転条件Cdの実績値に基づいて、イオン交換膜84の性能低下速度VLを推定してよい。当該実績値を、実績値Vdとする。推定部10は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と実績値Vdとに基づいて、性能低下速度VLを推定してよい。運転条件Cdには、電流効率CE、電圧CV、液体70(図2参照)のpHおよび流量、液体72(図2参照)のpHおよび流量、および、液体73(図2参照)または液体75(図2参照)の温度が含まれてよい。
運転条件Cdの実績値を、実績値Cdとする。実績値Vdは、電解槽90の電流の実績値、電流効率CEの実績値、電圧CVの実績値、液体70(アルカリ金属の塩化物の水溶液)のpHおよび流量の実績値、液体72(アルカリ金属の水酸化物の水溶液)のpHおよび流量の実績値、および、液体73(図2参照)または液体75(図2参照)の温度の実績値の少なくとも一つであってよい。図5に示される電流効率CEは、電流効率CEの実績値であってよい。実績値Vdは、入力部30により入力されてよい。入力部30により入力された実績値Vdは、記憶部40に記憶されてよい。
図6は、イオン交換膜84の断面方向の位置と、アルカリ金属の濃度との関係の一例を示す図である。図6は、陽極室79、イオン交換膜84および陰極室98にわたるアルカリ金属の濃度プロファイルの一例である。イオン交換膜84の断面方向とは、イオン交換膜84における、陽極室79(図2参照)から陰極室98(図2参照)への方向を指す。イオン交換膜84の断面方向とは、イオン交換膜84の面に交差する方向を指す。イオン交換膜84の断面方向とは、イオン交換膜84の面に直交する方向を指してよい。本例においては、イオン交換膜84の面はXY面(図2参照)であり、イオン交換膜84の断面方向はY軸方向(図2参照)である。
図6において、位置P0は陽極80(図2参照)の位置であり、位置P4は陰極82(図2参照)の位置である。図6において、位置P1は陽極室79とイオン交換膜84との界面の位置であり、位置P3は陰極室98とイオン交換膜84との界面の位置である。図6において、位置P2は、イオン交換膜84におけるアルカリ金属の濃度が最小となる(濃度C2(後述)となる)位置である。
図6において、濃度C0は陽極室79におけるアルカリ金属の濃度であり、濃度C4は陰極室98におけるアルカリ金属の濃度ある。図6において、濃度C1は位置P1におけるアルカリ金属の濃度であり、濃度C3は位置P3におけるアルカリ金属の濃度である。図6において、濃度C2は、イオン交換膜84におけるアルカリ金属の濃度の最小値である。図6に示されるとおり、アルカリ金属の濃度は、陽極80側よりも陰極82側の方が高い。イオン交換膜84におけるアルカリ金属の濃度は、位置P1から位置P2にかけて減少し、位置P2から位置P3にかけて増加する。
液体70(図1、2参照)のpHまたは濃度、または、液体76(図1、2参照)のpHまたは濃度が変化すると、図6に示されるアルカリ金属の濃度プロファイルが変化し得る。これにより、イオン交換膜84に供給される不純物Imの供給量、または、イオン交換膜84に蓄積する不純物Imの蓄積位置が変化し得る。これにより、イオン交換膜84の性能低下速度VLが変化し得る。推定部10は、実績値Vdに基づいて性能低下速度VLを推定する。このため、運転支援装置100のユーザは、イオン交換膜84の将来の性能低下を認知できる。
図7および図8は、イオン交換膜84のクラスター85を模式的に示す図である。図7および図8は、イオン交換膜84を陽極80から陰極82への方向(イオン交換膜84の厚さ方向)に見た場合における、クラスター85の模式図である。図7は、液体73(図2参照)および液体75(図2参照)が予め定められた温度範囲における一の温度T1である場合のクラスター85の模式図である。図8は、液体73および液体75が当該温度範囲外、且つ、当該温度範囲よりも高温側の他の温度T2である場合のクラスター85の模式図である。
液体73および液体75の少なくとも一方の温度が変化した場合、図7および図8に示されるように、イオン交換膜84のクラスター85の大きさが変化しうる。クラスター85の大きさが変化することで、図6に示されるアルカリ金属の濃度プロファイルが変化し得る。これにより、イオン交換膜84に供給される不純物Imの供給量、または、イオン交換膜84に蓄積する不純物Imの蓄積位置が変化し得る。これにより、イオン交換膜84の性能低下速度VLが変化し得る。推定部10は、実績値Vd(本例においては液体73および液体75の温度の実測値)に基づいて、性能低下速度VLを推定する。このため、運転支援装置100のユーザは、イオン交換膜84の将来の性能低下を認知できる。
図9は、イオン交換膜84の断面方向の位置と、pHとの関係の一例を示す図である。図9は、イオン交換膜84の断面方向におけるpHプロファイルの一例である。
イオン交換膜84は、スルホン酸層81およびカルボン酸層83を有してよい。スルホン酸層81は、イオン交換膜84の陽極室79側に設けられる。カルボン酸層83は、イオン交換膜84の陰極室98側に設けられる。位置P1は、上述したとおり陽極室79とイオン交換膜84との界面の位置である。位置P1は、陽極室79とスルホン酸層81との界面の位置である。位置P3は、上述したとおり陰極室98とイオン交換膜84との界面の位置である。位置P3は、陰極室98とカルボン酸層83との界面の位置である。スルホン酸層81とカルボン酸層83とが接する位置を、位置P5とする。
イオン交換膜84の断面方向におけるpHは、位置P1から位置P3にかけて増加しやすい。位置P1におけるpHをpH1とし、位置P3におけるpHをpH2とする。pH1のpH値は、例えば4である。pH2のpH値は、例えば15である。
陽極室79における液体73(図2参照)からイオン交換膜84に侵入する不純物Imの一部はスルホン酸層81に蓄積し得、当該不純物Imの他の一部はスルホン酸層81を通過し得る。スルホン酸層81のpHは、カルボン酸層83のpHよりも低くなりやすい。このため、スルホン酸層81を通過した不純物Imの他の一部は、カルボン酸層83に蓄積し得る。
不純物Imは、イオン交換膜84の断面方向において濃度プロファイルを示す。不純物Imの濃度プロファイルとは、イオン交換膜84の断面方向の各位置と、当該各位置のそれぞれにおける不純物Imの濃度との関係を指す。イオン交換膜84の断面方向における不純物Imの濃度プロファイルは、液体73(図2参照)および液体75(図2参照)の少なくとも一方の不純物Imの種類および濃度、および、運転条件Cdに依存し得る。このため、不純物Imの濃度プロファイルの形状は、不純物Imの種類および濃度に依存し得る。当該濃度プロファイルは、イオン交換膜84の断面方向における位置P1と位置P3との間において、ピークを示す場合がある。当該ピークの位置は、不純物Imの種類および濃度に依存し得る。液体73および液体75における不純物Imの濃度は、それぞれ液体73および液体75における不純物Imの濃度データであってよい。
図10は、経過時間tと電流効率CEとの関係の一例を不純物Imごとに示す図である。図10には、経過時間tと電流効率CEとの関係が、イオン交換膜84の断面方向における三つの蓄積位置ごとに示されている。三つの蓄積位置には、同じ量の不純物Imが蓄積しているとする。性能低下速度VLは、イオン交換膜84の断面方向において、不純物Imが陰極室98側に蓄積するほど大きくなりやすい。
推定部10(図4参照)は、イオン交換膜84の断面方向における位置と、イオン交換膜84に蓄積する不純物Imの濃度との関係に基づいて、性能低下速度VLを推定してよい。推定部10は、イオン交換膜84の断面方向の各位置と当該各位置のそれぞれにおける不純物Imの濃度との関係、および、図10に示される経過時間tと性能低下速度VLとの関係に基づいて、性能低下速度VLを推定し得る。
イオン交換膜84の断面方向の位置と不純物Imの濃度との関係は、イオン交換膜84の断面方向の位置と不純物Imの濃度との関係の実績であってよい。当該関係の実績とは、イオン交換膜84の断面方向の位置ごとの不純物Imの濃度を実測した実績値に基づく関係であってよい。
推定部10(図4参照)は、イオン交換膜84の断面方向の位置と、不純物Imの濃度との関係に基づいて、当該断面方向における不純物Imの濃度プロファイルを推定してよい。イオン交換膜84の断面方向の位置と不純物Imの濃度との関係が当該関係の実績である場合、イオン交換膜84の断面方向の位置と不純物Imの濃度との関係は当該断面方向において離散的であり得る。このため、推定部10は、イオン交換膜84の断面方向の位置と不純物Imの濃度との関係の実績に基づいて、当該断面方向における不純物Imの濃度プロファイルを推定し得る。推定部10は、推定した当該濃度プロファイルに基づいて性能低下速度VLを推定してよい。
推定部10(図4参照)は、アルカリ金属の塩化物の水溶液のpHおよびアルカリ金属の水酸化物の水溶液のpHの少なくとも一方に基づいて、イオン交換膜84の断面方向における不純物Imの濃度プロファイルを推定してよい。本例においては、アルカリ金属の塩化物の水溶液は液体73(図2参照)であり、アルカリ金属の水酸化物の水溶液は液体75(図2参照)である。
図9に示されるpHプロファイルは、液体73のpHおよび液体75のpHの少なくとも一方に依存し得る。このため、イオン交換膜84の断面方向における不純物Imの蓄積の態様は、液体73のpHおよび液体75のpHの少なくとも一方に依存し得る。このため、推定部10は、液体73のpHおよび液体75のpHの少なくとも一方に基づいて、当該断面方向における不純物Imの濃度プロファイルを推定し得る。
推定部10(図4参照)は、アルカリ金属の塩化物の水溶液における不純物Imの濃度データに基づいて、性能低下速度VLを推定してよい。上述したとおり、イオン交換膜84の断面方向における不純物Imの濃度プロファイルは、液体73(図2参照)および液体75(図2参照)の少なくとも一方における不純物Imの種類および濃度に依存し得る。このため、不純物Imの濃度プロファイルの形状は、不純物Imの種類および濃度に依存し得る。不純物Imの濃度データに基づくことにより、推定部10は性能低下速度VLを正確に推定しやすくなる。
推定部10(図4参照)は、推定した濃度プロファイルがピークを示す位置に基づいて、性能低下速度VLを推定してよい。上述したとおり、不純物Imの濃度プロファイルは、イオン交換膜84の断面方向における位置P1と位置P3との間において、ピークを示す場合がある。このため、不純物Imの濃度プロファイルがピークを示す場合、推定部10は、推定した濃度プロファイルがピークを示す位置に基づいて、性能低下速度VLを推定し得る。
生産物Pに関する生産パラメータを生産パラメータPrとする。生産パラメータPrには、電解槽90の電流効率CE、電流効率CEの低下速度、電解槽90の電圧CV、電圧CVの増加速度、生産物Pの単位時間当たりの生産量、生産物Pの品質、および、当該生産量および当該品質に影響し得るパラメータであって電解槽90の稼働に係るパラメータの少なくとも一つが含まれてよい。生産パラメータPrには、電解槽90の稼働に伴い発生するCO(二酸化炭素)の量が含まれてもよい。電解槽90の稼働に伴い発生するCO(二酸化炭素)とは、電解槽90が電気を消費することにより発生するCO(二酸化炭素)を指す。生産パラメータPrには、電解槽90の運転コストが含まれてもよい。運転コストには、電解槽90の運転に伴う電気コスト、イオン交換膜84を交換した場合におけるイオン交換膜84のコストが含まれてよい。
推定部10は、性能低下速度VLに基づいて、電解槽90が一の運転条件Cdで運転された場合の生産パラメータPrを推定してよい。これにより、運転支援装置100のユーザは、イオン交換膜84の将来の性能低下が反映された生産パラメータPrを認知できる。
図11は、本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の他の一例を示す図である。本例の運転支援装置100は、性能低下学習部60をさらに備える点で、図4に示される運転支援装置100と異なる。性能低下学習部60は、性能低下予測モデル62(後述)を生成する。性能低下予測モデル62(後述)は、記憶部40に記憶されてよい。
図12は、性能低下予測モデル62の一例を示す図である。性能低下予測モデル62は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度VLとの関係を機械学習することにより、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と性能低下速度VLとの関係に基づく、性能低下速度VLの予測量を出力する。当該性能低下速度の予測量を、予測量VLpとする。性能低下予測モデル62は、不純物Imごとの不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、不純物Imごとの性能低下速度VLとの関係を機械学習することにより、不純物Imごとに予測量VLpを出力してよい。
図13は、出力部32(図11参照)における出力態様の一例を示す図である。本例の出力部32は、ディスプレイである。運転条件Cdに関するパラメータを、運転パラメータPdとする。本例の出力部32には、運転パラメータPd表示部33と生産パラメータPr表示部34とが表示されている。運転支援装置100のユーザは、入力部30(図11参照)により運転パラメータPdおよび生産パラメータPrを入力してよい。
運転支援装置100のユーザは、運転パラメータPdのうち、電解槽90の稼働中に固定したい一または複数の運転パラメータPdを指定してよい。性能低下予測モデル62(図12参照)は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量、および、運転条件Cdと、性能低下速度VLとの関係を機械学習することにより、不純物Imの蓄積速度または蓄積量、および、運転条件Cdと、性能低下速度VLとの関係に基づく性能低下速度VLの予測量VLpを、複数の運転条件Cdのそれぞれごとに出力してよい。当該複数の運転条件Cdとは、運転パラメータPd表示部33において運転パラメータPdが入力される場合、運転支援装置100のユーザが固定したい運転パラメータPdの第1のケースと第2のケースとを指す。当該第1のケースには、運転パラメータPd表示部33に表示される運転パラメータPdの一または複数が含まれてよく、当該第2のケースには、当該運転パラメータPdの一または複数であって当該第1のケースとは別の運転パラメータPdが含まれてよい。これにより、運転支援装置100のユーザは、運転条件Cdを様々に変化させた場合の予測量VLpをシミュレーションできる。
図14は、本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の他の一例を示す図である。本例の運転支援装置100は、複数の性能低下学習部60(性能低下学習部60-1~性能低下学習部60-n)を備える点で、図11に示される運転支援装置100と異なる。
複数の性能低下学習部60のそれぞれは、複数のイオン交換膜84の種類のそれぞれごとに、性能低下予測モデル62(図12参照)を生成してよい。イオン交換膜84の種類とは、イオン交換膜84における陰イオン基86(図3参照)の密度、イオン交換膜84の厚さ等、イオン交換膜84の個体ごとに異なり得る物理量であってよい。イオン交換膜84の種類とは、当該個体ごとの、いわゆるロット番号であってもよい。イオン交換膜84の種類とは、陰イオン基86(図3参照)の種類であってもよい。
イオン交換膜84の性能低下の態様は、イオン交換膜84の種類ごとに異なり得る。イオン交換膜84の種類ごとに性能低下予測モデル62が生成されることにより、性能低下予測モデル62のそれぞれは、イオン交換膜84の種類が反映された、より適切な予測量VLpを出力できる。
図15は、性能低下予測モデル62による予測量VLpの予測または運転条件Cdの推定の一例を示す図である。本例の性能低下予測モデル62は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量および運転条件Cdの実績値Vdと、性能低下速度VLとの関係を機械学習済みであるとする。
性能低下予測モデル62は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、生産パラメータPr(図13参照)とに基づいて、当該生産パラメータPrを満たす運転条件Cdを推定してよい。性能低下予測モデル62は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と生産パラメータPrとに基づいて、当該生産パラメータPrを満たす運転条件Cdを不純物Imの種類ごとに推定してよい。性能低下予測モデル62は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と生産パラメータPrとが性能低下予測モデル62に入力された場合、当該生産パラメータPrを満たす運転条件Cdを推定してよい。当該運転条件Cdを、運転条件Cd'とする。性能低下予測モデル62は、運転条件Cd'を推定し、且つ、予測量VLpを予測してもよい。
本例においては、性能低下予測モデル62は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を説明変数とし、生産パラメータPrを制約条件とした場合における、最適な運転条件Cd'を、目的条件として出力する。運転支援装置100のユーザは、生産パラメータPr表示部34(図13参照)に表示される生産パラメータPrのうち、満たしたい生産パラメータPrを入力部30(図11参照)により指定し、且つ、満たしたい当該生産パラメータPrに係る数値を入力部30により入力してよい。これにより、運転支援装置100のユーザは、当該生産パラメータPrを制約条件とした場合の最適な運転条件Cd'を認知できる。
制約条件には、運転支援装置100のユーザが満たしたい運転条件Cdがさらに含まれてもよい。運転支援装置100のユーザは、図13の運転パラメータPd表示部33に表示される運転パラメータPdのうち満たしたい運転パラメータPdを入力部30(図11参照)により指定し、且つ、満たしたい当該運転パラメータPdに係る数値を入力部30により入力してよい。これにより、運転支援装置100のユーザは、生産パラメータPrおよび運転パラメータPdを制約条件とした場合の最適な運転条件Cd'を認知できる。当該運転条件Cd'は、当該運転パラメータPdと異なっていてよい。
図16は、性能低下予測モデル62による、イオン交換膜84の性能の回復時期またはイオン交換膜84の交換時期の推定の一例を示す図である。図15に示される予測量VLpの予測または運転条件Cdの推定において、生産パラメータPrを満たす運転条件Cd'が存在しない場合、性能低下予測モデル62は、イオン交換膜84の性能の回復時期およびイオン交換膜84の交換時期の少なくとも一方を推定してよい。これにより、運転支援装置100のユーザは、イオン交換膜84の性能の回復時期およびイオン交換膜84の交換時期の少なくとも一方を、予め認知できる。
図17は、本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置100のブロック図の他の一例を示す図である。本例の運転支援装置100は、取得部35および補正部36をさらに備える点で、図11に示される運転支援装置100と異なる。
取得部35は、電解槽90が一の運転条件Cdで運転されている場合における、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を取得する。一の運転条件Cdとは、運転支援装置100のユーザにより指定された運転条件Cdを指してよい。一の運転条件Cdで運転されている場合とは、電解槽90が当該一の運転条件Cdで稼働中である場合を指してよい。取得部35は、電解槽90が一の運転条件Cdで稼働中に、リアルタイムで不純物Imの蓄積速度または蓄積量を取得してよい。
補正部36は、取得部35により取得された不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を補正する。不純物Imの当該蓄積速度は、推定部10により推定された一つ以上の不純物Imの蓄積速度または蓄積量である。推定部10により推定された不純物Imの蓄積速度または蓄積量は、取得部35により取得された蓄積速度または蓄積量と異なり得る。推定部10により推定された蓄積速度または蓄積量は、蓄積速度または蓄積量の過去の実績値Viに基づく推定値である。取得部35がリアルタイムで蓄積速度または蓄積量を取得する場合、当該蓄積速度または当該蓄積量は現在の測定値である。このため、推定部10により推定された蓄積速度または蓄積量よりも、取得部35により取得された蓄積速度または蓄積量の方が、現在のイオン交換膜84の状態が反映された蓄積速度または蓄積量であり得る。本例においては、補正部36は、取得部35により取得された蓄積速度または蓄積量に基づいて、推定部10により推定された不純物Imの蓄積速度または蓄積量を補正する。このため、推定された当該蓄積速度または当該蓄積量は、現在のイオン交換膜84の状態がより反映された蓄積速度または蓄積量になりやすい。
推定部10は、補正部36により補正された不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて、性能低下速度VLを推定してよい。性能低下予測モデル62(図12参照)は、運転条件Cdの実績値Vd、および、補正部36により補正された不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度VLとの関係を機械学習してよい。
図18は、取得部35による不純物Imの蓄積速度または蓄積量の取得タイミング、および、推定部10による不純物Imの蓄積速度または蓄積量の取得タイミングの一例を示す図である。図18において、取得部35による不純物Imの蓄積速度または蓄積量の取得タイミングが白い丸印で示され、不純物Imの蓄積速度または蓄積量の取得タイミングが黒い丸印で示されている。
本例においては、推定部10は一つ以上の不純物Imの蓄積速度または蓄積量を第1周期T1で推定し、取得部35は不純物Imの蓄積速度または蓄積量を第2周期T2で取得する。不純物Imの蓄積速度または蓄積量を第1周期T1で推定するとは、記憶部40(図17参照)に記憶された実績値Viに基づいて、推定部10(図17参照)が第1周期T1で不純物Imの蓄積速度または蓄積量を推定することを指してよい。不純物Imの蓄積速度または蓄積量を第2周期T2で取得するとは、取得部35が、電解槽90が稼働中に不純物Imの蓄積速度または蓄積量を第2周期T2で取得することを指してよい。
第2周期T2は、第1周期T1よりも短くてよい。補正部36(図17参照)は、第2周期T2で取得された不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて、第1周期T1で推定された不純物Imの蓄積速度または蓄積量を補正してよい。上述したとおり、推定部10(図17参照)により推定された蓄積速度または蓄積量よりも、取得部35により取得された蓄積速度または蓄積量の方が、現在のイオン交換膜84の状態が反映された蓄積速度または蓄積量であり得る。このため、第2周期T2が第1周期T1よりも短いことにより、補正部36は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を、より現在のイオン交換膜84の状態が反映された蓄積速度または蓄積量に補正しやすくなる。
図19は、本発明の一つの実施形態に係る運転支援方法の一例を示すフローチャートである。本発明の一つの実施形態に係る運転支援方法は、電解槽90(図1参照)の運転を支援する運転支援方法である。
本発明の一つの実施形態に係る運転支援方法は、第1推定ステップS100を備える。運転支援方法は、第1入力ステップS90、第2入力ステップS92および第3入力ステップS94を備えてよい。
第1入力ステップS90は、イオン交換膜84に蓄積する一つ以上の不純物Imを構成する一つ以上の元素の蓄積速度の実績値Viまたは蓄積量の実績値Viを運転支援装置100(図11参照)に入力するステップである。第2入力ステップS92は、運転条件Cdの実績値Vdを運転支援装置100に入力するステップである。第3入力ステップS94は、性能低下速度VLの実績値を運転支援装置100に入力するステップである。
実績値Vi、実績値Vdおよび性能低下速度VLの実績値は、入力部30(図11参照)により入力されてよい。第1入力ステップS90~第3入力ステップS94は、この順に実施されてよく、この順に実施されなくてもよい。
第1推定ステップS100は、推定部10(図4参照)が、実績値Viに基づいて一つ以上の不純物Imを推定し、推定した一つ以上の不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいてイオン交換膜84の性能低下速度VLを推定するステップである。 第1推定ステップS100は、推定部10(図4参照)が、電解槽90(図1参照)の運転条件Cdの実績値Vdに基づいて、性能低下速度VLを推定するステップであってもよい。
第1推定ステップS100は、推定部10(図4参照)が、イオン交換膜84の断面方向の位置と、イオン交換膜84に蓄積する不純物Imの濃度との関係に基づいて、性能低下速度VLを推定するステップであってよい。第1推定ステップS100は、推定部10が、イオン交換膜84に蓄積する不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度VLとの関係に基づいて、性能低下速度VLを推定するステップであってもよい。
第1推定ステップS100は、性能低下学習部60(図11)が性能低下予測モデル62(図12参照)を生成する性能低下学習ステップS102を含んでよい。性能低下予測モデル62は、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度VLとの関係を機械学習することにより、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と性能低下速度VLとの関係に基づく、イオン交換膜84の性能低下速度VLの予測量VLpを出力する。
第1推定ステップS100は、第4入力ステップS104および第5入力ステップS106を含んでよい。第4入力ステップS104は、イオン交換膜84の不純物Imの蓄積速度または蓄積量を性能低下予測モデル62に入力するステップである。第5入力ステップS106は、運転条件Cdおよび生産パラメータPrを性能低下予測モデル62に入力するステップである。
第4入力ステップS104における不純物Imの蓄積速度または蓄積量、および、第5入力ステップS106における実績値Vdおよび性能低下速度VLの実績値は、入力部30(図11参照)により入力されてよい。運転支援方法において、第4入力ステップS104の次に第5入力ステップS106が実施されてよく、第5入力ステップS106の次に第4入力ステップS104が実施されてもよい。
第1推定ステップS100は、運転条件推定ステップS108をさらに含んでよい。運転条件推定ステップS108は、性能低下予測モデル62(図15参照)が、不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、生産パラメータPrとに基づいて、生産パラメータPrを満たす、電解槽90の運転条件Cdを推定するステップである。当該生産パラメータPrは、生産パラメータPr表示部34(図13参照)に表示される生産パラメータPrのうち、運転支援方法のユーザが満たしたい生産パラメータPrであってよい。
運転支援方法は、第2推定ステップS120をさらに備えてよい。第2推定ステップS120は、推定部10(図4参照)が、第1推定ステップS100において推定された性能低下速度VLに基づいて、電解槽90が一の運転条件Cdで運転された場合における生産パラメータPr(図13参照)を推定するステップである。
運転支援方法は、出力部32(図11参照)が、第1推定ステップS100において推定された性能低下速度VLおよび運転条件Cd'の少なくとも一方を出力する出力ステップS130をさらに備えてよい。出力ステップS130は、出力部32が、第2推定ステップS120において推定された生産パラメータPrをさらに出力するステップであってもよい。これにより、運転支援方法のユーザは、推定された性能低下速度VL、運転条件Cd'および生産パラメータPrの少なくとも一つを認知できる。出力ステップS130は、出力部32が、イオン交換膜84、陽極80および陰極82の少なくとも一つの状態を、運転支援装置100のユーザに出力するステップであってもよい。
運転支援方法は、取得ステップS96および補正ステップS98をさらに備えてよい。取得ステップS96は、取得部35(図17参照)が、電解槽90(図1参照)が一の運転条件Cdで運転されている場合における、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を取得するステップである。補正ステップS98は、補正部36(図17参照)が、取得ステップS96において取得された不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて、不純物Imの蓄積速度または蓄積量を補正するステップである。不純物Imの当該蓄積速度または当該蓄積量は、第1推定ステップS100において推定された一つ以上の不純物Imの蓄積速度または蓄積量である。
第1推定ステップS100は、推定部10(図17参照)が、補正ステップS98において補正された不純物Imの蓄積速度または蓄積量に基づいて、性能低下速度VLを推定するステップであってよい。性能低下学習ステップS102は、性能低下予測モデル62(図12参照)が、第2入力ステップS92において入力された運転条件Cdの実績値Vd、および、補正ステップS98において補正された不純物Imの蓄積速度または蓄積量と、性能低下速度VLとの関係を機械学習するステップであってよい。
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよい。本発明の様々な実施形態において、ブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。
特定の段階が、専用回路、プログラマブル回路またはプロセッサによって実行されてよい。特定のセクションが、専用回路、プログラマブル回路またはプロセッサによって実装されてよい。当該プログラマブル回路および当該プロセッサは、コンピュータ可読命令と共に供給されてよい。当該コンピュータ可読命令は、コンピュータ可読媒体上に格納されてよい。
専用回路は、デジタルハードウェア回路およびアナログハードウェア回路の少なくとも一方を含んでよい。専用回路は、集積回路(IC)およびディスクリート回路の少なくとも一方を含んでもよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NORまたは他の論理操作のハードウェア回路を含んでよい。プログラマブル回路は、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでもよい。
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。コンピュータ可読媒体が当該有形なデバイスを含むことにより、当該デバイスに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。
コンピュータ可読媒体は、例えば電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等であってよい。コンピュータ可読媒体は、より具体的には、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等であってよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、ソースコードおよびオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。当該ソースコードおよび当該オブジェクトコードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されてよい。オブジェクト指向プログラミング言語は、例えばSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等であってよい。手続型プログラミング言語は、例えば「C」プログラミング言語であってよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路は、図19に示されるフローチャート、または、図4、図11、図14および図17に示されるブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサは、例えばコンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等であってよい。
図20は、本発明の実施形態に係る運転支援装置100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る運転支援装置100に関連付けられる操作または運転支援装置100の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、またはコンピュータ2200に、本発明の運転支援方法に係る各段階(図19参照)を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載されたフローチャート(図19)およびブロック図(図4、図11、図14および図17)におけるブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218を含む。CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218は、ホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200は、通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等の入出力ユニットをさらに含む。通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等は、入出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータは、ROM2230およびキーボード2242等のレガシの入出力ユニットをさらに含む。ROM2230およびキーボード2242等は、入出力チップ2240を介して入出力コントローラ2220に接続されている。
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作することにより、各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはRAM2214の中に、CPU2212によって生成されたイメージデータを取得することにより、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
通信インターフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、読み取ったプログラムまたはデータを、RAM2214を介してハードディスクドライブ2224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取るか、または、プログラムおよびデータをICカードに書き込む。
ROM2230は、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、または、コンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ2240は、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ2220に接続してよい。
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い、情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにしてよい。CPU2212は、RAM2214上のデータに対し、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理されてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示に記載された、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索または置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、結果をRAM2214に対しライトバックしてよい。
CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、第2の属性値を読み取ることにより、予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上述したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。プログラムは、当該記録媒体によりコンピュータ2200に提供されてよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
[項目1]
電解槽におけるイオン交換膜の性能低下速度を推定する推定部を備え、
上記推定部は、上記イオン交換膜の断面方向の位置と、上記イオン交換膜に蓄積する一つ以上の不純物の濃度との関係に基づいて、上記性能低下速度を推定する、
運転支援装置。
10・・・推定部、20・・・制御部、30・・・入力部、32・・・出力部、33・・・運転パラメータPd表示部、34・・・生産パラメータPr表示部、35・・・取得部、36・・・補正部、40・・・記憶部、60・・・性能低下学習部、62・・・性能低下予測モデル、70・・・液体、71・・・陽イオン、72・・・液体、73・・・液体、74・・・液体、75・・・液体、76・・・液体、77・・・気体、78・・・気体、79・・・陽極室、80・・・陽極、81・・・スルホン酸層、82・・・陰極、83・・・カルボン酸層、84・・・イオン交換膜、85・・・クラスター、86・・・陰イオン基、88・・・底面、89・・・天井面、90・・・電解槽、91・・・電解セル、92・・・導入管、93・・・導入管、94・・・導出管、95・・・導出管、98・・・陰極室、100・・・運転支援装置、200・・・電解装置、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入出力コントローラ、2222・・・通信インターフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入出力チップ、2242・・・キーボード

Claims (26)

  1. 電解槽におけるイオン交換膜に蓄積する一つ以上の不純物を構成する一つ以上の元素の蓄積速度の実績値または蓄積量の実績値に基づいて、前記一つ以上の不純物の種類を推定し、推定した前記一つ以上の種類の前記不純物の蓄積速度または蓄積量に基づいて、前記イオン交換膜の性能低下速度を推定する推定部を備える、運転支援装置。
  2. 前記推定部は、前記イオン交換膜の断面方向における位置と、前記イオン交換膜に蓄積する前記不純物の濃度との関係に基づいて、前記性能低下速度を推定する、請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記推定部は、前記位置と前記不純物の濃度との前記関係に基づいて、前記断面方向における前記不純物の濃度プロファイルを推定し、推定した前記濃度プロファイルに基づいて前記性能低下速度を推定する、請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 前記電解槽は、前記イオン交換膜により仕切られた陽極室および陰極室を有し、
    前記陽極室にはアルカリ金属の塩化物の水溶液が導入され、前記陰極室からはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導出され、
    前記推定部は、前記アルカリ金属の塩化物の水溶液のpHおよび前記アルカリ金属の水酸化物の水溶液のpHの少なくとも一方に基づいて、前記断面方向における前記不純物の前記濃度プロファイルを推定する、
    請求項3に記載の運転支援装置。
  5. 前記推定部は、前記アルカリ金属の塩化物の水溶液における前記不純物の濃度データに基づいて、前記性能低下速度を推定する、請求項4に記載の運転支援装置。
  6. 前記推定部は、推定した前記濃度プロファイルがピークを示す前記位置に基づいて、前記性能低下速度を推定する、請求項3から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  7. 前記推定部は、前記性能低下速度に基づいて、前記電解槽が一の運転条件で運転された場合における生産パラメータであって、前記電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータを推定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  8. 前記元素の蓄積速度の前記実績値は、前記イオン交換膜の実解析データである、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  9. 前記推定部は、前記電解槽の運転条件の実績値に基づいて、前記性能低下速度を推定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  10. 前記推定部は、前記イオン交換膜に蓄積する前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記性能低下速度との関係に基づいて、前記性能低下速度を推定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  11. 性能低下予測モデルを生成する性能低下学習部をさらに備え、
    前記性能低下予測モデルは、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記性能低下速度との前記関係を機械学習することにより、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と前記性能低下速度との関係に基づく、前記イオン交換膜の性能低下速度の予測量を出力する、
    請求項10に記載の運転支援装置。
  12. 前記性能低下予測モデルは、前記電解槽の運転条件、および、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記性能低下速度との関係を機械学習することにより、前記電解槽の運転条件、および、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記性能低下速度との関係に基づく前記性能低下速度の予測量を、複数の前記運転条件のそれぞれごとに出力する、請求項11に記載の運転支援装置。
  13. 複数の前記性能低下学習部を備え、
    複数の前記性能低下学習部のそれぞれは、複数の前記イオン交換膜の種類のそれぞれごとに、前記性能低下予測モデルを生成する、
    請求項11に記載の運転支援装置。
  14. 前記性能低下予測モデルは、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータとに基づいて、前記生産パラメータを満たす、前記電解槽の運転条件を推定する、請求項11に記載の運転支援装置。
  15. 前記性能低下予測モデルは、前記生産パラメータを満たす前記運転条件が存在しない場合、前記イオン交換膜の性能の回復時期および前記イオン交換膜の交換時期の少なくとも一方を推定する、請求項14に記載の運転支援装置。
  16. 前記電解槽が一の運転条件で運転されている場合における、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量を取得する取得部と、
    前記取得部により取得された前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量に基づいて、前記推定部により推定された前記一つ以上の種類の前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量を補正する補正部と、
    をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  17. 前記推定部は、前記一つ以上の種類の前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量を第1周期で推定し、
    前記取得部は、前記不純物の蓄積速度または前記蓄積量を、前記第1周期よりも短い第2周期で取得する、
    請求項16に記載の運転支援装置。
  18. 前記不純物は、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、ヨウ素、シリコン、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、チタンおよびリンの少なくとも一つである、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  19. 推定部が、電解槽におけるイオン交換膜に蓄積する一つ以上の不純物を構成する一つ以上の元素の蓄積速度の実績値または蓄積量の実績値に基づいて、前記一つ以上の不純物の種類を推定し、推定した前記一つ以上の種類の前記不純物の蓄積速度または蓄積量に基づいて、前記イオン交換膜の性能低下速度を推定する第1推定ステップを備える、運転支援方法。
  20. 前記第1推定ステップは、前記推定部が、前記イオン交換膜の断面方向の位置と、前記イオン交換膜に蓄積する前記不純物の濃度との関係に基づいて、前記性能低下速度を推定するステップである、請求項19に記載の運転支援方法。
  21. 前記推定部が、前記第1推定ステップにおいて推定された前記性能低下速度に基づいて、前記電解槽が一の運転条件で運転された場合における生産パラメータであって、前記電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータを推定する第2推定ステップをさらに備える、請求項19または20に記載の運転支援方法。
  22. 前記第1推定ステップは、前記推定部が、前記イオン交換膜に蓄積する前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記性能低下速度との関係に基づいて、前記性能低下速度を推定するステップである、請求項19または20に記載の運転支援方法。
  23. 前記第1推定ステップは、性能低下学習部が性能低下予測モデルを生成する性能低下学習ステップを含み、
    前記性能低下予測モデルは、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記性能低下速度との前記関係を機械学習することにより、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記性能低下速度との関係に基づく、前記イオン交換膜の性能低下速度の予測量を出力する、
    請求項22に記載の運転支援方法。
  24. 前記第1推定ステップは、前記性能低下予測モデルが、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量と、前記電解槽により生産される生産物に関する生産パラメータとに基づいて、前記生産パラメータを満たす、前記電解槽の運転条件を推定する運転条件推定ステップをさらに含む、請求項23に記載の運転支援方法。
  25. 取得部が、前記電解槽が一の運転条件で運転されている場合における、前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量を取得する取得ステップと、
    補正部が、前記取得ステップにおいて取得された前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量に基づいて、前記第1推定ステップにおいて推定された前記一つ以上の種類の前記不純物の前記蓄積速度または前記蓄積量を補正する補正ステップと、
    をさらに備える請求項19または20に記載の運転支援方法。
  26. コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置として機能させるための運転支援プログラム。
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